(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検査体に応力を印加していない状態と応力を印加した状態とにおいて前記被検査体内に透過し得る波長の光を前記被検査体に照射しその散乱光を検出することにより被検査体の欠陥を検査する方法であって、
前記被検査体に応力を印加していない状態で、前記被検査体の検査位置に平行光を集光手段により集光した光を照射し、それにより生じた散乱光の強度を散乱光検出手段により検出する第一の散乱光の強度を求める工程と、
前記被検査体の検査位置に応力印加手段により応力を印加した状態で、前記被検査体の検査位置に平行光を集光手段により集光した光を照射し、それにより生じた散乱光の強度を散乱光検出手段により検出する第二の散乱光の強度を求める工程と、
前記集光手段で集光され、前記散乱光検出手段に直接入射する角度の光を遮光手段により遮る工程と、
前記第一の散乱光の強度を求める工程で求められた第一の散乱光の強度と、前記第二の散乱光の強度を求める工程で求められた第二の散乱光の強度を所定の閾値と対比することにより欠陥の検出を行う工程とを有することを特徴とする欠陥を検査する方法。
前記被検査体の検査位置に照射する光が偏光であり、前記散乱光検出手段が前記散乱光を偏光分離して求める工程を有する請求項1または2に記載の欠陥を検査する方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、
図11に示すような欠陥検査装置200による応力印加前後の散乱光強度差を検出する装置を用いて、ガラス等の被検査体10の検査を行うにあたって検出精度が落ちる欠陥があることを見出した。この装置は、非特許文献2に準じる構成である。欠陥検査装置200は、発光手段20より照射された方向L1に向かう光(
図11中、2点破線で概要を示す。)を、反射鏡221により方向L2に反射させ、支持部11により支持された被検査体10に照射する。この発光手段20より照射される光は、被検査体10を透過する光である。また、この光は、欠陥等の検出のための光の強度を高めるために指向性が高い光として、レーザー光源等が用いられている。
【0010】
また、被検査体10には、接触式の応力印加手段40により応力印加の有無を変更することができる。この被検査体10に照射された光は、方向L2に向かうため、欠陥等がない場合、その光は対物レンズ31を介して散乱光検出手段30に検出されない。いわゆる暗視野系の構成となっている。よって、演算処理手段50や、拡大観察処理部70によって画像処理しても欠陥は検出されず、表示部60にも欠陥がないものと表示される。一方、被検査体の観察位置に欠陥がある場合、欠陥による光の散乱が生じて、その散乱は散乱光検出手段30により検出されるため、所定の処理が行われ、欠陥が検出される。このとき、応力印加手段40の応力印加有無の結果を比較することで、より微細な欠陥も検出できる装置である。
【0011】
しかしながら、この欠陥検査装置200は、発光手段20からの光が指向性の高いレーザー光源のため、単一の入射角で、被検査体10に入射するものとなる。このような単一の入射角で検査するとき、その入射角と、欠陥とによっては、その欠陥が見落とされる場合があることが新たに見出された。
図12は、同一の被検査体の同一の位置について、被検査体の向きを変えて、欠陥検査装置200により欠陥検出したものである。
図12(a)の検査を、被検査体の面内での向きを0°として検査したもので、その中央付近にクラックが検出されている。
【0012】
一方、
図12(b)の検査は、
図12(a)に対して、被検査体10を面内で90°向きを変えて検査したものである。この時、
図12(a)に示したようなクラックを検出することができなかった。ただし、画像下部に示すように他の点の散乱部が見られた。すなわち、この結果から、従来の単一の入射角のみで欠陥検査すると、クラックの形状や向きに対する検出精度の依存性があることを見出した。この検出精度の問題を解決するには、光源の向きか、被検査体の向きを変えた検査が必要となるため、操作回数が増えるなど検査効率の低下が生じてしまう。
【0013】
係る状況下、本発明者らは、このようなクラックの向きの依存性を解消することができ、優れた検査効率で欠陥を検査する手法を検討した。すなわち、本発明の目的は、欠陥の向きの依存性を解消する検査が可能な欠陥を検出する方法および欠陥検査装置を提供することである。また、そのために適した光源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0016】
本発明は、被検査体内に透過し得る波長の光を前記被検査体に照射しその散乱光を検出することにより被検査体の欠陥を検査する方法であって、前記被検査体に、前記被検査体の検査位置に集光手段により集光した光を照射し、それにより生じた散乱光の強度を散乱光検出手段により検出する散乱光の強度を求める工程と、前記散乱光の強度を求める工程で求められた散乱光の強度を所定の閾値と対比することにより欠陥の検出を行う工程とを有することを特徴とする欠陥を検査する方法に関するものである。
【0017】
また、本発明は、被検査体の支持部と、前記支持部に支持された前記被検査体に、前記被検査体を透過し得る波長の光を集光手段により集光した光を照射する光源装置と、前記被検査体に前記光源装置により照射した光の散乱光を検出する散乱光検出手段と、前記散乱光検出手段により検出された光の強度を所定の閾値と対比することにより前記被検査体における欠陥の検出を行う演算処理部とを備えてなることを特徴とする欠陥検査装置に関するものである。
【0018】
これらの本発明によれば、被検査体に対して、様々な入射角を有する光が同時に照射されるため、被検査体に存在する欠陥の向きなどによる検査精度の低下を防止して、優れた検査精度で欠陥検査が可能である。
【0019】
また、本発明は、被検査体に応力を印加していない状態と応力を印加した状態とにおいて前記被検査体内に透過し得る波長の光を前記被検査体に照射しその散乱光を検出することにより被検査体の欠陥を検査する方法であって、前記被検査体に応力を印加していない状態で、前記被検査体の検査位置に集光手段により集光した光を照射し、それにより生じた散乱光の強度を散乱光検出手段により検出する第一の散乱光の強度を求める工程と、前記被検査体の検査位置に応力印加手段により応力を印加した状態で、前記被検査体の検査位置に前記集光手段により集光した光を照射し、それにより生じた散乱光の強度を散乱光検出手段により検出する第二の散乱光の強度を求める工程と、前記第一の散乱光の強度を求める工程で求められた第一の散乱光の強度と、前記第二の散乱光の強度を求める工程で求められた第二の散乱光の強度を所定の閾値と対比することにより欠陥の検出を行う工程とを有することを特徴とする欠陥を検査する方法に関するものである。
【0020】
また、本発明は、被検査体の支持部と、前記支持部に支持された被検査体に応力を印加する応力印加手段と、前記支持部に支持された前記被検査体に、前記被検査体を透過し得る波長の光を集光手段により集光した光を照射する光源装置と、前記被検査体に前記光源装置により照射した光の散乱光を検出する散乱光検出手段と、前記被検査体に応力を印加した状態と印加しない状態とにおいてそれぞれ前記散乱光検出手段により検出された光の強度を所定の閾値と対比することにより前記被検査体における欠陥の検出を行う演算処理部と、を備えてなることを特徴とする欠陥検査装置に関するものである。
【0021】
これらの本発明によれば、被検査体に対して、様々な入射角を有する光が同時に照射されるため、被検査体に存在する欠陥の向きなどによる検査精度の低下を防止して、優れた検査精度で欠陥検査が可能である。さらに、応力印加部によって応力を印加することができ、応力印加の有無における散乱光に基づいて、より微細な欠陥なども優れた精度で検出することができる。
【0022】
本発明においては、前記集光手段により集光される光が平行光であることが好ましい。平行光は、集光手段に対して高い強度の光を効率よく入射させることができ、その照射角度、範囲を制御しやすい点で優れている。また、平行光を用いることで、集光手段と組み合わせて、被検査体の検査位置に、均一に全方向から照射する光を調整しやすい点で優れている。
【0023】
本発明においては、前記集光手段がアキシコンレンズであることが好ましい。アキシコンレンズを用いれば、アキシコンレンズに入射した光をその光強度をほとんど低減させることなく、様々な照射角度の光として、被検査体の検査位置に照射しやすい。また、この時、平行光を利用すると、特に、均一に全方向から照射する光を調整しやすい点で優れている。
【0024】
本発明においては、前記被検査体の検査位置に照射する光が偏光であり、前記散乱光検出手段が前記散乱光を偏光分離して求めることが好ましい。偏光分離して解析することで、偏光依存性を含む欠陥分類やノイズ除去などのより高精度の検査をおこなうことができる。
【0025】
本発明においては、前記散乱光検出手段に前記集光した光が入射する角度を遮光手段により遮ることが好ましい。遮光手段を有することで、集光によっても散乱光検出手段に入射されてしまう光を除去することができ、より、散乱光のみの検出を高精度で行うことができる。
【0026】
本発明においては、前記平行光の強度を調整する平行光強度調整手段により平行光の強度を調整することが好ましい。平行光の強度を調整することで、散乱光の強度を調整し、散乱光検出手段による検出をより解析しやすい光量とすることができる。
【0027】
本発明においては、前記応力印加手段が前記被検査体に非接触で応力を印加する非接触式応力印加手段であることが好ましい。応力印加手段が非接触式であることで、被検査体に応力印加手段が接触することによるノイズや異常変形、新たな欠陥の形成等を抑えることができる。
【0028】
本発明においては、前記応力印加手段が前記被検査体に加熱および/または冷却することで応力を印加する熱応力印加手段であることが好ましい。応力印加手段が熱応力印加手段であることで、機械的に変形させる力でのノイズや異常変形、新たな欠陥の形成等を抑えることができる。
【0029】
本発明においては、前記平行光が、レーザー光源由来の光であることが好ましい。レーザー光源は、指向性が高く、散乱が生じない場合は散乱光検出手段に光が入射しないような光路設計が行いやすく、さらに、光の強度を高い設計としやすいため、散乱光の強度も検出しやすい強度に調整しやすい。
【0030】
本発明は、被検査体を透過し得る波長の平行光を照射する平行光照射手段と、前記平行光照射手段により照射された光を、前記被検査体に集光する集光手段とを有する検査用の光源装置とすることができる。集光手段に対して平行光を照射し、その光を集光することで、被検査位置に、均一に全方向(検査位置に対して、周方向)から光を照射することができる。よって、被検査体に対して、様々な入射角度から強度が高い光を効率よく照射することができる。これにより、実質的に全方向から照射する検査を行うことができ、影が少なく、検査光の入射方向の依存性が少ない、検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の欠陥を検査する方法および欠陥検査装置によれば、被検査体に存在する欠陥の向きに依存せず、優れた検査精度で欠陥を検出することができる。また、本発明の光源装置は、本発明の欠陥検査に適した光源装置であり、被検査体に対して、様々な入射角度から強度が高い光を効率よく照射することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
【0034】
[第一の実施形態]
図1は、本発明の第一の実施形態に係る欠陥検査装置を示すものである。
図1に示す欠陥検査装置101は、支持部11に支持された被検査体10の欠陥を検査する装置である。この欠陥検査装置101は、発光手段20と、ビームエキスパンダ21と、反射鏡22と、遮光部24とコンデンサレンズ231と、応力印加手段41と、対物レンズ31と、散乱光検出手段30とを有している。この散乱光検出手段30により検出された散乱光は、演算処理部50により処理され、適宜、表示部60に表示される。また、検査位置の特定等のために、散乱光検出手段に検出される像は、拡大観察処理部70を介して観察することもできる。
【0035】
この欠陥検査装置101によって、被検査体10に応力を印加していない状態と応力を印加した状態とにおいて被検査体10内に透過し得る波長の光を被検査体10に照射しその散乱光を検出することにより被検査体10の欠陥を検査することができる。
【0036】
この欠陥検査装置101において、被検査体10の検査位置に、次のように、発光手段20から照射された被検査体10を透過する光が照射される。まず、発光手段20からビームエキスパンダ21に照射された光は、ビームエキスパンダ21により平行光(
図1中矢印P1でその方向を示す)として反射鏡22側に照射される。そして、反射鏡22から反射された光は、コンデンサレンズ231で集光されて被検査体10の被検査位置を照射する。このコンデンサレンズ231は、ビームエキスパンダ21由来の平行光の集光手段となる。このコンデンサレンズ231からの照射にあたっては、反射鏡22から散乱光検出手段30側に直接透過する入射角の光が無いように遮光手段である遮光部24が設けられている。この光学系は、いわゆる暗視野系の照射系としている。なお、図中の二点破線は、この平行光および集光された光の方向の概念を示す。
【0037】
被検査体10には、応力印加手段41により応力を印加することができ、応力印加手段41を使用するか否かにより、被検査体に応力を印加した状態と、応力を印加していない状態とを達成することができる。
【0038】
まず、応力印加手段41を使用せずに、前述したようにコンデンサレンズ231を介して集光した光を被検査体10の被検査位置に照射して、それにより生じた第一の散乱光の強度を求める工程を行う。この第一の散乱光の強度は、散乱光検出手段30により検出され、適宜メモリ(図示せず)に保存され、演算処理部50により演算処理されるデータとなる。
【0039】
次に、被検査体10の被検査位置に応力印加手段41により応力を印加した状態で、被検査体10の被検査位置に、コンデンサレンズ231を介して集光した光を照射して、それにより生じた第二の散乱光の強度を求める。この第二の散乱光の強度は、前述の第一の散乱光の強度と同様に、散乱光検出手段30により検出され、適宜メモリ(図示せず)に保存され、演算処理部50により演算処理されるデータとなる。
【0040】
このようにして求められた、第一の散乱光の強度と、第二の散乱光の強度とを、演算処理部50により演算処理して、所定の閾値と対比することにより欠陥の検出を行うことができる。この欠陥検出は、ビームエキスパンダ21由来の平行光がコンデンサレンズ231により集光された様々な入射角を有する光が被検査体10に照射された散乱光を検出するものとなる。よって、被検査体10に対する入射角に依存することなく欠陥を検出することができ、欠陥検出精度を向上させることができる。
【0041】
このように欠陥検査装置101は、被検査体10の支持部11を有している。また、支持部11に支持された被検査体に応力を印加する応力印加手段41を有している。また、支持部11に支持された被検査体10に、被検査体10を透過し得る波長の光の発光手段20と、発光手段20由来の光を平行光とするビームエキスパンダ21と、その平行光を集光するコンデンサレンズ231とにより集光した光を照射している。よって、これらの構成により、被検査体10に平行光を集光手段により集光した光を照射する光源装置をなしている。また、前記コンデンサレンズ231を介して被検査体10に照射された光の散乱光は、散乱光検出手段30により検出される。よって、この散乱光検出手段30は、被検査体10に前述した光源装置により照射した光の散乱光を検出する受光手段となる。また、被検査体10に応力を印加した状態と印加しない状態とにおいてそれぞれ受光手段(散乱光検出手段30)により検出された光の強度を所定の閾値と対比することにより被検査体10における欠陥の検出を行う演算処理部50を有している。
【0042】
[発光手段(光源)]
本発明で被検査体に照射する光は、被検査体を透過し得る波長の光である。この光は、被検査体に透過し得る波長の光を発光する発光手段を用いて照射される。散乱光は、欠陥等の散乱の起点となる部分が存在すると、その部分から様々な方向に広く散乱する。この散乱方向について検討すると、入射光が進行する方向に散乱する前方散乱が最も強い散乱となることが多い。本発明においては、欠陥の方向の依存性に加えて、その大きさ等による散乱性も含めて検出精度を上げるために、前方散乱または前方散乱に近い散乱を検出する。このために、被検査体に照射する光は、被検査体を透過し得る波長の光とする。また、被検査体に対して、光を照射する面(側)と、散乱光を検出する手段が設けられる面(側)は、反対方向(すなわち反射光ではなく、透過光側を検出する構成)となっていることが好ましい。
本発明で照射する光は、400〜800nmの波長の光に加えて、紫外線領域の波長から、近赤外線領域の波長まで含むものである。照射する光は、この範囲の波長から、各被検査体や測定環境、透過性、検出しやすさ等を考慮して、適宜選択される。
【0043】
この照射する光は、被検査体の散乱光強度を求めることができる光を種々選択して用いることができる。例えば、照射する光は、分光された特定の波長の光を用いても良い。分光された光であれば、その波長の光が被検査体に対して浸透・透過および散乱強度が検出しやすいか、他方、吸収・反射等の影響等のその被検査体の特性を検討して、最適な波長で測定を実施しやすくなるという利点がある。
【0044】
また、照射する光は、レーザー光を用いることが好ましい。照射する光の強度が大きいほど、散乱光の強度も大きくなりより検出しやすい光強度となり、レーザー光はこのような検出に適した光強度を達成しやすい。
【0045】
また、照射する光には、LEDを用いても良く、単色発光のLEDを用いても良い。さらに、高輝度なものを用いるとなお良い。このLEDについても、照射する光の強度が大きいほど、散乱光の強度も大きくなり、検出しやすくなるため、照射する光の強度が高い設定とすることが好ましい。
【0046】
なお、本発明においては、前方散乱を検出する等の構成により、散乱光強度が強くなり過ぎて検出しにくい場合がある。このため、平行光の強度を調整する平行光強度調整手段により平行光の強度を調整する工程を有することが好ましい。これを達成する方法としては、発光手段が光量を調整できるものであることが最も端的な手法である。このほかにも、遮光部による遮光量や対物レンズの倍率、偏光フィルタ(偏光分離手段)の有無やその配置等による調整も可能である。
【0047】
[平行光(平行光照射手段)]
本発明においては、被検査体に照射される光は平行光が集光された光であることが好ましい。この平行光は、集光手段に対して、指向性が強い光が、平行にライン照射または面照射する光を指す。このような平行光が集光手段に照射されると、指向性が強く集光手段に対して広く光が入射していることで、所定の焦点に様々な入射角で、平行光由来の指向性が強い光を照射することができる。
【0048】
平行光としては、例えば、発光手段としてレーザー光を用いて、コリメータレンズ等の公知の光学素子を組み合わせて、疑似平行照射光のライン照射を行ったり、疑似面照射光のエリア照射を行ったりすることができる。
【0049】
また、平行光は、レーザー光源を、集光手段までの距離で適切な平行光相当の光として照射させることができるビームエキスパンダによって、照射することもできる。さらには、後述する凹レンズと凸レンズの組み合わせによる平行光相当の光を照射することもできる。
【0050】
[反射鏡]
本発明においては、各種光の照射、検出等のために適切な位置に配置した反射鏡等により、その光路を制御してもよい。例えば、本発明の実施形態においては、主として、平行光照射手段(ビームエキスパンダや、凹レンズと凸レンズの組み合わせ)により照射された光を、集光手段に照射させる前に反射鏡を設けている。この反射鏡は、光の特性を活かして本発明を達成することができる範囲において、各手段の仕様等に応じて適宜利用してもよい。
【0051】
[集光手段]
本発明において、指向性が強い光が集光手段に対して入射し、所定の焦点に様々な入射角で、指向性が強い光を照射することができる。この集光手段は、例えば、コンデンサレンズや、アキシコンレンズのように、その光学素子に入射した光の入射位置により、その光を所定の焦点の位置に集光させるものである。このような、集光手段の焦点の位置に被検査体の検査位置を配置して欠陥検出が行われる。
【0052】
また、外側に反射鏡部を有する円錐鏡と、内側に反射鏡部を有する円錐台状鏡とを組み合わせた集光手段とすることもできる。この場合、円錐台状鏡の内側に円錐鏡を配置し、円錐鏡の頂点側から光を入射させて、円錐鏡の外側面で入射した光を反射させて、その反射する方向に円錐台状鏡の内側面を配置することで、円錐台状鏡で反射した光は、内側の円錐鏡の底面側に、集光・拡散する光を照射するものとなる。この集光する焦点付近に被検査体を配置することで、この構成も集光手段となる。この構成は、後述する第五の実施形態において図を用いて一例を示す。
【0053】
なお、集光手段に対する平行光等の入射位置によっては、その集光手段から集光されるように照射される光の一部の照射方向が散乱光検出手段の位置となる場合がある。この場合、散乱光検出手段に直接光が照射されることとなってしまい、一般的に散乱光よりも照射される光の方がその強度が強いため、散乱光検出手段が集光手段から直接入射した光の強度の検出がノイズとなり、散乱光を検出できないおそれがある。このため、集光手段に応じて、集光手段から散乱光検出手段へと直接入射する光の方向を遮光する遮光部を設けることが好ましい。
【0054】
集光手段の種類や散乱光検出手段の配置等にもよるが、一般的に集光手段の中央に直行する方向で入射する光が、一般的に中央付近に配置される散乱光検出手段に対して、直接入射する構成となることが多い。この散乱光検出手段の配置は、傾斜角が大きい多くの入射角の散乱光を検出するために適しているためである。よって、遮光部は、平行光等が集光手段に対して照射される範囲の中央にのみ設けられることが好ましい。この範囲は、集光手段に対する平行光等の照射面積に対して5〜30%程度の面積を遮光するような設計とすることができる。なお、遮光部は、簡易的には、集光手段の対象位置に、検査に用いる光の吸収性(黒など)を有するシールを貼付するなどの手法で設けることができる。
【0055】
[支持部]
本発明を実施するにあたっては被検査体全体としては、例えば、被検査体の両端を留め具で把持するなどして支持部に支持される。この支持部は、単に被検査体を支持するだけでもよいが、検査位置を変更しやすいようにいわゆるXYステージのような、位置変更手段と接続されたものであることが好ましい。
【0056】
[被検査体]
本発明の検査対象となる被検査体は、本発明に採用される光を透過することができるものを被検査体とすることができる。例えば、一般的な光(400〜800nm)に対してほぼ透明で、それらの光を透過するガラス素材を用いた部材や、透明樹脂を用いた部材、SiC(シリコンカーバイド,炭化ケイ素)やGaN(ガリウムナイトライド,窒化ガリウム)を用いた部材などがあげられる。また、シリコンウエハについても、近赤外線が透過することから、光源としてそのような透過し得る波長の光を選択することで被検査体とすることができる。なお、本発明では散乱光を検出することで欠陥を検出するため、平滑性が高いものやパターンが把握しやすいことで、欠陥由来のイレギュラーな散乱光と、その他のものとを区別しやすいものを対象とすることが好ましい。
【0057】
[応力印加手段]
本発明においては、被検査体への応力印加の有無を比較する必要があるため、応力印加手段を用いる。応力を印加するためには、押圧や引っ張りなどの力を加える、被検査部に直接接触する手法の方が、より端的な構造としやすく応力を印加しやすいことからこのような応力印加手段を採用してもよい。一方、このような手法は外乱要因になるおそれもあるため、この場合、被検査体に非接触な応力印加手段によって応力印加することが好ましい。非接触な応力印加手段としては、熱応力による応力印加手段や、音波による手段などが挙げられる。
【0058】
本発明に採用する応力印加手段としては、被検査体に加熱および/または冷却することで応力を印加する熱応力印加手段が好ましい。この具体的な熱応力印加手段としては、加熱および/または冷却された気体を被検査体にあてることで加熱および/または冷却するものであることが好ましい。すなわち、被検査体よりも熱い温度の気体や、冷たい温度の気体を被検査体にあてて応力を印加することが好ましい。被検査体にあてる気体は、その気体を被検査体にあてることにより被検査体の位置や形状の変動が少ないように調整しやすく、本発明の熱応力による応力印加手段として適している。または、赤外線のヒートビームを用いたり、ペルチェ素子を部分的に貼付して被検査体内に温度差を発生させて、応力を印加してもよい。
【0059】
[散乱光検出手段(受光手段)]
本発明において、被検査体から散乱した散乱光は、その光に対応する検出が可能な構成により検出される。この散乱光の強度は、受光手段により検出し、応力印加の有無を区別して散乱光強度を比較するために適宜記憶部(メモリ)等に記憶される。この散乱光の検出は、被検査体のどの位置の散乱光かを特定することができるように、1次元の線状の情報としてラインセンサで検出したり、2次元の面状の情報としてエリアセンサで検出してもよい。例えば、散乱光が可視光等の範囲の場合、面状の情報としてCCDカメラなどで検出することができる。なお、散乱光強度の検出感度のバラつきを低減するために、散乱光強度を複数回検出してその積分値として散乱光強度は求めたほうがよい。
【0060】
[演算処理部]
本発明においては、同じ被検査体の被検査部について、前記被検査体に応力を印加した状態と、前記応力を印加していない状態とで、それぞれ被検査部に対して照射光を斜め方向から照射し、その散乱光強度を測定する。これにより、前記被検査体に応力を印加していない状態で求められた散乱光の強度(第一の散乱光の強度)と、前記被検査体に応力を印加した状態で求められた散乱光の強度(第二の散乱光の強度)を得ることができるため、これらの比に基づいて、所定の閾値と対比することで欠陥の検出を行うことができる。この所定の閾値の対比は演算処理部で行われる。
【0061】
この欠陥の判断に用いられる所定の閾値は、検出する欠陥の大きさや被検査体の材質、照射/散乱する光の強度等により設定される。本発明の主な対象となる被検査体は、均質性が高いものである。このような被検査体に応力を印加しない状態で光を照射しても散乱は発生しにくく、異物などが存在するときのみ散乱が発生する。また、ミクロンサイズのクラックのような欠陥は、応力を印加しないとき散乱がほとんどない場合が多い。しかし、ミクロンサイズのクラックが存在するとき応力を印加すると大きな散乱が生じる。よって、散乱光を検出したときノイズとして想定される散乱光強度の範囲内や、明らかに異物等があるとき、応力印加前後で散乱光強度比をとった場合、その比はほぼ1を中心とした範囲となる。一方、ミクロンサイズのクラックが存在すると、前述したように応力印加時に大きな散乱が発生するため、応力印加前後で散乱光強度比を、「応力印加後の散乱光強度/応力印加前の散乱光強度」とすると、1を超え大きな値となる。よって、この比がノイズレベルで想定される範囲を閾値として設定すればよい。
【0062】
[拡大観察処理部]
本発明においては、顕微鏡を用いる観察を行ってもよい。このために、被検査体の被検査部を、拡大して観察する拡大観察工程を有する検査する方法とすることができる。また、前記被検査体の被検査部を観察する顕微鏡を備えてなる検査装置とすることができる。ここで、顕微鏡とは、光学的もしくは電子的な技術を用いることによって、微小な物体を視覚的に拡大して観察することができる構成のことを顕微鏡と呼ぶ。たとえば、拡大レンズ等を介して散乱光の情報を肉眼で観察することができる構成としても良いし、CCDカメラ等で検出して画像としてもよい。本発明は、このような顕微鏡を備えることができる技術に関するものであり、顕微鏡を有することで欠陥と判断された部位を、適宜、速やかに観察することもでき、単に散乱光強度の情報としてのみではなく、その欠陥を拡大観察画像から判別することもできる。
【0063】
[表示部]
本発明により欠陥を検査した結果は、適宜その結果を認識しやすいように出力することができ、表示部として、モニターなどに表示することができる。
【0064】
[第二の実施形態]
図2は、本発明の第二の実施形態に係る欠陥検査装置を示すものである。
図2に示す欠陥検査装置102は、第一の実施形態に係る検査装置101に準じる構成のため、その相違点を中心に以下に説明する。この欠陥検査装置102は、ビームエキスパンダ21に代えて、凹レンズ211と凸レンズ212を有する。また、コンデンサレンズ231に代えてアキシコンレンズ232を有する。なお、アキシコンレンズ232を用いて、適切な配置(距離)で対物レンズ31と散乱光検出手段30を設けることで、散乱光検出手段30に直接入射する光がない状態としているため、遮光部24を省略できる構成である。また、第二の実施形態においては、偏光フィルタ251と、偏光フィルタ252を有する。
【0065】
第二の実施形態においては、発光手段20より照射された光を凹レンズ211により拡げて、その後、凸レンズ212により、その拡げられた光の照射方向をそろえた平行光(
図2中にP2で概要を示す)としている。この平行光は、反射鏡22により反射されアキシコンレンズ232に照射される。このアキシコンレンズ232に入射した光は、集光されて被検査体に照射される。よって、これらの構成により、被検査体10に平行光を集光手段により集光した光を照射する光源装置をなしている。
【0066】
第二の実施形態において、集光手段としてアキシコンレンズ232を用いている。このアキシコンレンズは、円錐状部を有する光学素子である。円錐状部の底面側より入射した光を、円錐の頂点方向に光軸を中心とする複数の位置に線状に集光する。この集光は、例えば、
図2のアキシコンレンズ232で左側に入射した光は、方向C1側に平行の二点破線で示す幅のような光として集光する。同様に、右側に入射した光は、方向C2側に平行の二点破線で示す幅のような光として集光する。なお、ここでは、図の便宜上、方向C1、方向C2を示したが、これは断面的に表記したものであり、この集光は、被検査体10の面に向かって、延長上の位置ではリング状となる。このアキシコンレンズによれば、リング状となる光路の適切な位置に被検査体を配置すれば、実質的に被検査体の被検査位置に、周状に傾角を有する光が照射されるものとなる。さらに、原理上、遮光部を設けなくても中央を透過する高強度の光のノイズは小さいため、検査に用いられる光の合計の強度も強く、その分、散乱光強度も強く生じやすい。
【0067】
さらに、第二の実施形態においては、被検査体10の検査位置に照射する光を偏光とするための偏光フィルタ251と、散乱光検出手段30が散乱光を偏光分離して求めることができるように偏光フィルタ252を有している。この偏光フィルタ251と偏光フィルタ252とは、ともに、直線偏光フィルタや円偏光フィルタ等を採用することができる。例えば、偏光フィルタ251と偏光フィルタ252をともに直線偏光フィルタとして、クロスニコルの配置で利用することで、被検査体10からの散乱が直線偏光の偏光度を変えるようなものを検出して、より、欠陥のみを効率よく検出することができる。特に、本発明では応力印加前後で比較して、応力印加後に顕著な散乱を生じる欠陥は、その偏光度を変える散乱をしている場合が多いため、そのような欠陥をより高い検出精度で検出することができる。
【0068】
[偏光成分の検出]
第二の実施形態に開示したように、偏光フィルタ251、252により、偏光成分の検出を行ってもよい。偏光成分としては、直線偏光や楕円偏光、円偏光を調整できる手段を適宜採用することができる。代表的なものは、偏光板や偏光レンズであるが、これら以外の光学素子を利用してもよい。偏光成分を分析可能とすることで、欠陥検出の精度を高めたり、その欠陥の種類の分類に寄与することができる。
【0069】
[第三の実施形態]
図3は、本発明の第三の実施形態に係る欠陥検査装置の光源装置103を示すものである。
図3に示す光源装置103は、第二の実施形態に係る欠陥検査装置102の一部を変更して利用することができる構成のため、その相違点を中心に以下に説明する。この光源装置103は、平行光照射手段213を有し、平行光(
図3中にP3で概要を示す)を反射鏡22に向けて照射する。そして、反射鏡22で反射された平行光は、第二の実施形態と同様に、アキシコンレンズ232に入射する。また、第三の実施形態は、偏光フィルタ251、偏光フィルタ252を備えない構成である。
図2の第二の実施形態では、偏光フィルタを251、252を合わせて備える構成を開示したが、このように、偏光フィルタ251、252は省略することも可能である。
【0070】
[第四の実施形態]
図4は、本発明の第四の実施形態に係る欠陥検査装置の光源装置104を示すものである。
図4に示す光源装置104は、光源装置103と同様に第二の実施形態に係る欠陥検査装置102の一部を変更して利用することができる構成のものである。ここでは、光源装置103と同様に、偏光フィルタ251、252を省略した構成であるが、遮光部241をアキシコンレンズ232の中心に貼付したものである。アキシコンレンズ232は、前述したように、その中心を透過して散乱光検出手段30に検出される光が少ないが、平行光(平行光照射手段213由来)の入射角度等に依存して、ノイズが検出されてしまう場合がある。この遮光部241を設けることで、そのノイズの懸念をより排除した安定性が高い検査が可能となる。
【0071】
[第五の実施形態]
図5は、本発明の第五の実施形態に係る欠陥検査装置の光源装置105を示すものである。
図5に示す光源装置105は、光源装置103と同様に第二の実施形態に係る欠陥検査装置102の一部を変更して利用することができる構成のものである。この光源装置105は、光照射手段214を有し、光照射手段214から照射された光(
図5中にP4で概要を示す)は反射鏡22で反射され、円錐鏡233の頂点側へと照射される。円錐鏡233は、外側に反射鏡部を有する円錐鏡である。この円錐鏡233の頂点側へ照射された光は、円錐台状鏡234へと反射し、さらに、円錐台状鏡234の内側で反射して、様々な角度から、被検査体10を照射する構成となる。よって、被検査体10に対して、円錐鏡233と円錐台状鏡234とが集光手段として機能する。この第五の実施形態は、円錐鏡と、円錐台状鏡との反射角度を調整することで、これに入射する光の照射面積が狭いものであっても様々な角度からの照射を達成することもできる。このため、光照射手段214から照射された光は第一〜第四の実施形態の平行光(P1〜P3)よりも狭い光であってもよい。
【0072】
[第六の実施形態]
図6は、
図1の欠陥検査装置1等を用いた欠陥検査方法S1の流れをより詳しく説明するための図である。欠陥検査方法S1は、応力印加なしで被検査体の被検査部の散乱光強度(第一の散乱光の強度)を求める工程S10と、応力印加あり(被検査体に応力を印加した状態)で被検査体の被検査部の散乱光強度(第二の散乱光強度)を求める工程S20と、工程S10と工程S20の結果から欠陥の検出を行う工程S30とを有する検査する方法である。この欠陥検査方法S1は、第一の実施形態である欠陥検査装置1等を用いて行うことができる。
【0073】
工程S10は、被検査体に応力を印加していない状態で前記被検査体の検査位置において光を前記面に対して集光させ照射する工程S11を有し、それにより生じた散乱光の強度(第一の散乱光の強度)を求める工程S12を有する工程である。
【0074】
工程S20は、被検査体に応力を印加した状態で工程S11で光を照射したのと同じ被検査体の検査位置において光をその位置に対して集光させ照射する工程S21を有し、それにより生じた散乱光の強度(第二の散乱光強度)を求める工程S22を有する工程である。
【0075】
そして、工程S30は、工程S10により被検査体に応力を印加していない状態で求められた散乱光の強度(第一の散乱光の強度)と、工程S20により被検査体に応力を印加した状態で求められた散乱光の強度(第二の散乱光の強度)を対比する工程S31と、工程S31により得られる対比された値を所定の閾値と対比する工程S32とを有し、この工程S32の結果から欠陥の判断を行う工程S33を有する工程である。これにより、ミクロンサイズのクラックのように、応力印加なしでは検出が困難な欠陥等も、ノイズや異物等と区別して検出することができる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
[実施例1]
第一の実施形態に係る検査装置101に基づいて、以下に主要な構成を示す設計により、実施例1の実験を行った。
【0078】
発光手段20:レーザー(Coherent社製 OBIS,波長532nm,50mW)
ビームエキスパンダ21:ビームエキスパンダー(エドモンドオプティクスジャパン社,20倍)
遮光部24:遮光板(φ15mm)
コンデンサレンズ231:コンデンサーレンズ(φ30mm,焦点f=50mm)
被検査体10:ガラス基板(長さ76mm、幅25mm、厚さ1mm)、コンデンサレンズの焦点距離と合わせてコンデンサレンズの上部50mmに配置
支持部11:ガラス基板の両端部(各端で約2mmずつ)を把持するクランプ、回転ステージ(シグマ光機社)に接続
応力印加手段41:送風口をΦ3mmに調整して指向性の高い熱風が送風されるドライヤー
対物レンズ31:対物レンズ(5倍)
散乱光検出手段30:カメラ(BITRAN社製 冷却CCDカメラ,772×580pixel)
演算処理部50:散乱光強度の比(応力印加後の散乱光強度/応力印加前の散乱光強度)を面画像情報とした。なお、散乱光強度の比が1.2以上の点を欠陥の可能性がある部位として強調(灰色表示)し、特に1.5を超える点を強調(白色表示)する処理を行った。
表示部60:モニターに演算処理部の演算結果等を表示した。
【0079】
この構成により、回転ステージを用いて被検査体の向きを変えながら検出検査をした。なお、この被検査体は、
図11に示す欠陥検査装置200では、
図12に示すように、欠陥検出時に顕著な向きの依存性が見られた対象である。
【0080】
初めに設置したときの被検査体の向きを0°の基準として、90°、180°、270°と回転させたときの欠陥検出の結果を、
図7に示す。
図7(a)は0°、(b)は90°、(c)は180°、(d)は270°回転させたときの観察像である。
【0081】
これらの図から明らかなように、いずれの角度でも、明らかな欠陥が検出された。よって、本発明によれば、被検査体の向きの変更を行わなくても、高い検出精度で欠陥を検出することができる。
【0082】
[実施例2]
第二の実施形態に係る欠陥検査装置102に基づいて、以下に主要な構成を示す設計により、実施例2の実験を行った。なお、第二の実施形態から対物レンズ31は省略した構成である。また、実施例1と共通する発光手段20、被検査体10、支持部11、散乱光検出手段30については、その構成の説明を省略する。
【0083】
凹レンズ211:凹レンズ(φ6mm、焦点距離f=6mm)
凸レンズ212:凸レンズ(φ25mm、焦点距離f=120mm)
偏光フィルタ251、252:偏光フィルター(シグマ光機製 直線偏光)、なお、偏光フィルタ251,252は、クロスニコルとなるように配置した。
アキシコンレンズ232:アキシコンレンズ(シグマ光機社、頂角155度)
表示部60:モニターに演算処理部の演算結果等を表示した。
【0084】
この構成により、回転ステージを用いて被検査体の向きを変えながら検出検査をした。
【0085】
初めに設置したときの被検査体の向きを0°の基準として、90°と移動させたときの欠陥検出の結果を、
図8に示す。
図8(a)は0°、(b)は90°回転させたときの観察像である。なお、対物レンズを用いていないため、レンズの周に相当する縁が同時に表示されている。
【0086】
これらの図から明らかなように、いずれの角度でも、画像の中央に明らかな欠陥が検出された。よって、本発明によれば、被検査体の向きの変更を行わなくても、高い検出精度で欠陥を検出することができる。
【0087】
さらに、
図9は、発光手段20の光量を調整して、
図8(a)に対応する0°で再度撮像した図と、欠陥相当部の拡大図(右側)である。同様に
図10は、発光手段20の光量を調整して、
図8(b)に対応する90°で再度撮像した図と、欠陥相当部の拡大図(右側)である。このように、光量を調整することで、より明確に欠陥を検出することができた。