(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板状の被加工物を保持面で保持するチャックテーブルを支持面で支持できる回転可能なテーブルベースと、被加工物を研削又は研磨する加工工具を装着できるホイールマウントが先端に固定されたスピンドルと、を備える加工装置において、該ホイールマウントに固定した接触式ゲージを該加工工具の回転軌道に沿って走査させて該保持面又は該支持面の高さを測定する際に用いられる高さ測定用治具であって、
該保持面又は該支持面を覆い、複数の開口部が形成されたプレートと、
該プレートから突出する凸状の複数の位置付け部と、を備え、
該位置付け部は、該プレートを該チャックテーブル又は該テーブルベースに対する所定の位置に位置付ける機能を有し、
該開口部は、該チャックテーブル又は該テーブルベースに対する該所定の位置に該プレートが位置付けられた際に該保持面又は該支持面の測定対象領域を露出するように該回転軌道に沿って形成され、
該開口部は、該接触式ゲージが該開口部を通して該測定領域に接触できる大きさであることを特徴とする高さ測定用治具。
【背景技術】
【0002】
シリコンやガリウムヒ素、サファイア、ガラス等からなる板状の被加工物からデバイスを含むデバイスチップを形成する工程では、該被加工物を研削する研削装置や該被加工物を研磨する研磨装置等の各種の加工装置が使用される。該加工装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該被加工物を加工する加工ユニットと、を備え、該チャックテーブル上に保持された該被加工物を該加工ユニットで加工する。
【0003】
該チャックテーブルは、テーブルベースにより支持される。該テーブルベースの上面は平坦な支持面となっており、該支持面の上にチャックテーブルが固定される。被加工物は、該テーブルベースの支持面上に固定されたチャックテーブルの上に保持された状態で該加工ユニットにより加工される。
【0004】
該加工ユニットは、該鉛直方向に略平行なスピンドルと、該スピンドルの下端に配されたホイールマウントと、該ホイールマウントの下面に装着された加工工具と、を備える。該加工工具は、例えば、下面に研削砥石を備える研削ホイールや下面に研磨パッドを備える研磨ホイール等である。
【0005】
被加工物の加工時には、該スピンドルを回転させて該加工工具を回転させるとともに該チャックテーブルを回転させ、該加工ユニットを鉛直方向下方に移動させる。該加工工具に装着された該研削砥石又は研磨パッドが該被加工物に接触すると、該被加工物が加工される。
【0006】
被加工物のより適切な加工を実現するために、テーブルベース、チャックテーブル及び加工ユニットには様々な改善が為されている。例えば、研削装置においては、該被加工物が均一な厚さとなるように研削するために、極めて小さな勾配の側面を有する円錐の該側面の形状を保持面の形状としたチャックテーブルが使用される(特許文献1参照)。
【0007】
また、加工を開始する際にテーブルベース、チャックテーブル及び加工ユニットが所定の位置関係となっていなければ、加工に偏りが生じる場合がある。そのため、加工装置では被加工物を適切に加工できるように、テーブルベース、チャックテーブル及び加工ユニットの位置や傾き等が予め調整される。
【0008】
該調整では、例えば、テーブルベースの支持面の複数の箇所で高さを測定して該支持面の傾きを確認する。また、テーブルベースの支持面上にチャックテーブルを固定し、該チャックテーブルの保持面の複数の箇所で高さを測定して該保持面の傾きを確認する。
【0009】
該支持面や該保持面等のテーブル面の高さの測定は、該加工ユニットのホイールマウントに装着される接触式ゲージを使用して実施される。例えば、加工工具が装着される前のホイールマウントに該接触式ゲージを装着し、スピンドルを回転させることで該接触式ゲージの下端のゲージヘッドを測定対象となる該テーブル面の所定の箇所に接触させる。すると、加工における加工工具の回転軌道に沿って該ゲージヘッドを該テーブル面に接触させて該テーブル面の高さを測定できる(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ホイールマウントに装着された接触式ゲージによるテーブル面の高さの測定は、例えば、該テーブル面の中央部と、該中央部を通る該加工工具の回転軌道上の該テーブル面の端部の2箇所と、の計3点で実施される。該測定は、該加工ユニットを備える加工装置の使用開始時やメンテナンス時、チャックテーブルの交換時等に実施される。加工装置の使用を開始した後で該テーブル面の傾きが変化した場合に変化が生じたことを正しく検出するために、測定のタイミングによらず常に同じ3点で測定が実施されるのが好ましい。
【0012】
しかしながら、測定のタイミング次第では測定を実施する作業者が同一人物になるとは限らず、また、テーブル面には該3点を示すような目印等は形成されていないため、測定が毎回同一箇所で実施されるとは限らない。
【0013】
また、該テーブルベースの該支持面には、チャックテーブルの保持面に負圧を伝えるための経路となる溝が設けられている。そのため、該接触式ゲージを移動させる際に該ゲージヘッドが該溝に落ち込んで高さの変化が大きくなり、接触式ゲージの測定データの安定性が悪化する場合がある。さらに、該支持面には、該溝以外にもねじ穴等の凹凸形状が設けられる場合があり、該ゲージヘッドが該凹凸形状に衝突して該ゲージヘッドが損傷を受ける恐れがある。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、測定対象となるテーブル面の所定の位置に接触式ゲージのゲージヘッドを位置付けて、該テーブル面の高さの測定を安定的に実施できる測定用冶具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によれば、板状の被加工物を保持面で保持するチャックテーブルを支持面で支持できる回転可能なテーブルベースと、被加工物を研削又は研磨する加工工具を装着できるホイールマウントが先端に固定されたスピンドルと、を備える加工装置において、該ホイールマウントに固定した接触式ゲージを該加工工具の回転軌道に沿って走査させて該保持面又は該支持面の高さを測定する際に用いられる高さ測定用治具であって、該保持面又は該支持面を覆い、複数の開口部が形成されたプレートと、該プレートから突出する凸状の複数の位置付け部と、を備え、該位置付け部は、該プレートを該チャックテーブル又は該テーブルベースに対する所定の位置に位置付ける機能を有し、該開口部は、該チャックテーブル又は該テーブルベースに対する該所定の位置に該プレートが位置付けられた際に該保持面又は該支持面の一部を露出するように該回転軌道に沿って形成され、該開口部は、該接触式ゲージが該開口部を通して該保持面又は該支持面の該一部に接触できる大きさであることを特徴とする高さ測定用治具が提供される。
【0016】
なお、複数の環状凹部が同心円状に形成された該支持面を有する該テーブルベースの該支持面の高さを測定する際に用いられる本発明の一態様に係る高さ測定用冶具であって、該プレートは、該環状凹部を覆うことで
該接触式ゲージが該環状凹部に落下するのを防止する機能を有することを特徴とする高さ測定用治具もまた本発明の一態様である。
【0017】
また、本発明の一態様において、該複数の位置付け部は、該プレートの一方の面に形成された複数の第1の位置付け部と、該プレートの他方の面に形成された複数の第2の位置付け部と、を含み、該複数の第1の位置付け部のそれぞれは、該プレートの該一方の面が該保持面に接するように該プレートが該チャックテーブルに対する所定の位置に位置付けられたときに該チャックテーブルの側面に接触して該プレートの該チャックテーブルに対する位置関係の変化を抑制する機能を有し、該複数の第2の位置付け部のそれぞれは、該プレートの該他方の面が該支持面に接するように該プレートが該テーブルベースに対する所定の位置に位置付けられたときに該支持面に形成された凹部に挿入されて該プレートの該テーブルベースに対する位置関係の変化を抑制する機能を有してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様に係る高さ測定用冶具は、該テーブル面を覆うプレートと、該プレートから突出する凸状の複数の位置付け部と、を備え、該テーブル面上の所定の位置に載せられて使用される。該高さ測定用冶具は、該位置付け部が形成された面を下方に向けられた状態で該テーブル面上に載せられる。
【0019】
複数の該位置付け部は、該プレートが該テーブル面上の適切な位置に位置付けられていない場合にいずれかの該位置付け部が該テーブル面に当たる位置に配設されている。そのため、該位置付け部が該テーブル面に当たらない位置に該プレートを位置付けることで、該プレートが所定の位置に位置付けられる。すなわち、複数の該位置付け部は、該プレートを該チャックテーブル又は該テーブルベースに対する所定の位置に位置付ける機能を備える。
【0020】
該プレートには、複数の開口部が形成されており、該プレートがチャックテーブル又はテーブルベース上の所定の位置に位置付けられた時、該開口部により該テーブル面の特定の一部が露出される。該テーブル面の高さを測定する際は、接触式ゲージのゲージヘッドを該開口部により露出された該一部に接触させて、該一部の高さを測定する。
【0021】
該高さ測定用冶具を使用すると、該テーブル面の高さの測定の度に毎回同じ該特定の一部が該開口部により露出される。そのため、測定のタイミングや測定者によらずにテーブル面の同じ部分を安定的に測定できる。
【0022】
したがって、本発明の一態様によると、測定対象となるテーブル面の所定の位置に接触式ゲージのゲージヘッドを位置付けて、該テーブル面の高さの測定を安定的に実施できる測定用冶具が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。本実施形態に係る高さ測定用冶具は、研削装置や研磨装置等の加工装置において、該加工装置が備えるチャックテーブルの保持面又は該加工装置が備えるテーブルベースの支持面等のテーブル面の高さを測定する際に使用される。
図1は、本実施形態に係る高さ測定用冶具が使用される加工装置の一例として研削装置を模式的に示す斜視図である。
【0025】
研削装置2の装置基台4の上面には、開口4aが設けられている。該開口4a内には、被加工物を吸引保持するチャックテーブル6と、該チャックテーブル6を支持するテーブルベース6bと、が上面に載るX軸移動テーブル8が備えられている。該X軸移動テーブル8は、図示しないX軸方向移動機構によりX軸方向に移動可能である。該X軸移動テーブル8は、X軸方向移動機構により被加工物が着脱される搬入出領域10と、該被加工物が研削加工される加工領域12と、に位置付けられる。
【0026】
該テーブルベース6bの上面は、該チャックテーブル8が載せられる支持面6c(
図5(C)参照)となる。該テーブルベース6bの支持面6cには、例えば、同心円状に配列された複数の溝(環状凹部)6d(
図3及び
図5(C)参照)が形成されている。該テーブルベース6bは、一端が該溝6dに通じ他端が吸引源36(
図3参照)に接続された吸引路6f(
図3参照)を内部に備える。
【0027】
該テーブルベース6bの上にはチャックテーブル6が載せられる。該チャックテーブル6の上面は、被加工物が載せられる保持面6aとなる。チャックテーブル6の上部には多孔質部材が配されている。該チェックテーブル6の該多孔質部材の下方には、該チャックテーブル6の底面に通じる通気口が形成されている。該テーブルベース6bの上にチャックテーブル6が載せられると、該通気口は、該テーブルベース6bの該溝6d及び吸引路6fを通じて該吸引源36に連通する。
【0028】
該吸引源36を作動させると、該保持面6a上に載せられた被加工物に負圧が作用して、該被加工物はチャックテーブル6に吸引保持される。また、該チャックテーブル6が載る該テーブルベース6bは、該保持面6aに垂直な軸の周りに回転できる。
【0029】
該加工領域12の上方には、該被加工物を研削加工する研削ユニット(加工ユニット)14が配設される。装置基台4の後方側には支持部16が立設されており、この支持部16により研削ユニット14が支持されている。支持部16の前面には、Z軸方向に伸長する一対のZ軸ガイドレール18が設けられ、それぞれのZ軸ガイドレール18には、Z軸移動プレート20がスライド可能に取り付けられている。
【0030】
Z軸移動プレート20の裏面側(後面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール18に平行なZ軸ボールねじ22が螺合されている。Z軸ボールねじ22の一端部には、Z軸パルスモータ24が連結されている。Z軸パルスモータ24でZ軸ボールねじ22を回転させれば、Z軸移動プレート20は、Z軸ガイドレール18に沿ってZ軸方向に移動する。
【0031】
Z軸移動プレート20の前面側下部には、被加工物の研削加工を実施する研削ユニット14が固定されている。Z軸移動プレート20をZ軸方向に移動させれば、研削ユニット14はZ軸方向(加工送り方向)に移動できる。
【0032】
研削ユニット14は、基端側に連結されたモータにより回転するスピンドル28を有する。該モータはスピンドルハウジング26内に備えられている。該スピンドル28の先端側にはホイールマウント28aが配設されており、該ホイールマウント28aの下面には、該スピンドル28の回転に従って回転する研削ホイール(加工工具)30が装着される。該研削ホイール30の下面には、研削砥石32が備えられている。
【0033】
研削ユニット14についてさらに詳述する。
図2は、研削ユニット14による被加工物の研削加工を模式的に示す斜視図である。
図2に示す通り、チャックテーブル6の保持面6a上に吸引保持された被加工物7を研削加工する際、該チャックテーブル6が載る該テーブルベース6bを回転させるとともに、該研削ホイール30を回転させながら研削ホイール30を下降させる。すると、被加工物1の被研削面に該研削砥石32が当てられて、該被加工物7が研削加工される。
【0034】
図3は、研削ユニットによる被加工物の研削加工を模式的に示す部分断面図である。
図3には、ホイールマウント28a及び研削ホイール30の一部の断面と、テーブルベース6b及びチャックテーブル6の断面と、が示されている。
図3に示す通り、ホイールマウント28aには、該研削ホイール(加工工具)30を該ホイールマウント28aに装着するために使用される固定具34が挿通される挿通孔34aが形成されている。
【0035】
例えば、該固定具34の先端にはねじ山が形成されており、該研削ホイール30の上面には、内壁にねじ溝を備える複数の穴30aが該挿通孔34aに対応する位置に形成されている。該挿通孔34aに挿通された該固定具34が該研削ホイール30の該穴30aに締め込まれることで該研削ホイール30は該ホイールマウント28aに装着される。
【0036】
例えば、該研削ホイール30を該ホイールマウント28aに装着する間に、該チャックテーブル6の該保持面6aが該研削砥石32の研削面に対して平行となるように、テーブルベース6b、チャックテーブル6及び研削ユニット14の位置や傾き等が予め調整される。
【0037】
該調整では、例えば、該テーブルベース6bの該支持面6cの複数の箇所で高さを測定して該支持面6cの傾きを確認する。また、該テーブルベース6bの該支持面6c上に該チャックテーブル6を固定し、該チャックテーブル6の該保持面6aの複数の箇所で高さを測定して該保持面6aの傾きを確認する。該研削ユニット14のホイールマウント28aに装着された接触式ゲージを使用して該支持面6cや該保持面6a等のテーブル面の高さの測定を実施する。
【0038】
図4(A)は、該接触式ゲージ38が装着されたホイールマウント28aを模式的に示す部分断面図である。
図4(A)に示す通り、該接触式ゲージ38の上部は、該ホイールマウント28aの挿通孔34aに挿入可能な大きさに形成されている。例えば、該挿通孔34aの内壁にねじ溝が形成されている場合、該接触式ゲージ38の該上部にねじ山を形成すると、該上部を該挿通孔34aに締め込むことで該接触式ゲージ38を該ホイールマウント28aに装着できる。
【0039】
該接触式ゲージ38の下端には、高さの測定対象となる該テーブル面に接触するゲージヘッド38aが配設されており、該ゲージヘッド38aを該テーブル面に接触させると該テーブル面の高さを測定できる。該接触式ゲージ38には指示部38bが設けられており、測定結果は該指示部38bにより示される。
【0040】
該接触式ゲージ38は、例えば、研削ホイール30が装着される前のホイールマウント28aに装着され、該スピンドル28を回転させることで、該ゲージヘッド38aを測定対象となる該テーブル面の所定の箇所に接触させる。該スピンドル28を回転させると加工における研削砥石32の軌道に沿って該ゲージヘッド38aを該テーブル面に接触させて測定することができる。
【0041】
該接触式ゲージ38によるテーブル面の高さの測定は、例えば、該テーブル面の中央部と、該中央部を通る該研削砥石32の回転軌道上の該テーブル面の端部の2箇所と、の計3点で実施される。該測定は、該研削装置2の使用開始時やメンテナンス時、チャックテーブル6の交換時等に実施される。該研削装置2の使用を開始した後で該テーブル面の傾きに変化が生じた場合に該変化が生じたことを正確に検出するために、測定のタイミングによらず常に同じ3点で測定が実施されるのが好ましい。
【0042】
しかしながら、測定のタイミング次第では測定を同一人物が実施するとは限らず、また、テーブル面には該3点を示すような目印等は形成されないため、測定を毎回同一箇所で実施できるとは限らない。
【0043】
また、該テーブルベース6bの該支持面6cには溝6dが設けられている。そのため、該接触式ゲージ38を移動させる際に該ゲージヘッド38aが該溝6dに落ち込んで高さが大きく変化してしまい、測定データの安定性が悪化する場合がある。
【0044】
さらに、該支持面6cには、該溝6d以外にも、例えば、テーブルベース6bをX軸移動テーブル8上に固定するねじ用のねじ穴や、チャックテーブル6をテーブルベース6bに固定するねじ用のねじ穴等の凹凸形状が設けられる。該支持面6cに該凹凸形状が設けられると、該ゲージヘッド38aが該凹凸形状に衝突して該ゲージヘッド38aが損傷を受ける恐れがある。そこで、該測定の際に本実施形態に係る高さ測定用冶具を使用する。
【0045】
次に、本実施形態に係る高さ測定用冶具について説明する。
図4(B)は、高さ測定用冶具1の第1の面1a側を模式的に示す斜視図であり、
図4(C)は、高さ測定用冶具1の第2の面1b側を模式的に示す斜視図である。該高さ測定用冶具1は、テーブルベース6bの支持面6cや、チャックテーブル6の保持面6aを覆う大きさの略円板状のプレート5cを有する。該プレート5cには、複数の開口部3が形成されている。
【0046】
該高さ測定用冶具1の第1の面1a側には、該プレート5cから突出する凸状の複数の第1の位置付け部5aが形成されている。また、該高さ測定用冶具1の第2の面1b側には、該プレート5cから突出する凸状の複数の第2の位置付け部5bが形成されている。
【0047】
該チャックテーブル6の保持面6aの高さを測定する際には、
図5(A)及び
図5(B)に示す通り、該第2の面1b側を下方に向けて、該高さ測定用冶具1を該保持面6aの上に載せる。
図5(A)は、チャックテーブル及び高さ測定用冶具を模式的に示す斜視図であり、
図5(B)は、チャックテーブル上に位置付けられた高さ測定用冶具を模式的に示す斜視図である。
【0048】
該第2の面1b側に形成された複数の該第2の位置付け部5bは、該保持面6aの外径よりも僅かに大きい径の円(不図示)の円周上に並ぶように配設される。特に、該複数の該第2の位置付け部5bのそれぞれは、チャックテーブル6の保持面6aを外周側から取り囲むことができる位置に配設される。すると、プレート5cが該保持面6a上の適切な位置に位置付けられていない場合にいずれかの該第2の位置付け部5bが該保持面6aに当たる。
【0049】
該高さ測定用冶具1を該保持面6a上に載せる際には、該複数の第2の位置付け部5bが該保持面6aに当たらず該第2の面1bが該保持面6aに接する位置に該プレート5cを位置付けるように載せる。すると、該高さ測定用冶具1は該保持面6a上の所定の位置に位置付けられる。すなわち、複数の該第2の位置付け部5bは、該プレート5cを該チャックテーブル6に対する所定の位置に位置付ける機能を備える。
【0050】
また、このように該保持面6a上に載せられた該高さ測定用冶具1を該保持面6aに平行な面内のいずれかの方向に移動させようとしても、該第2の位置付け部5bが該チャックテーブル6に接触するため移動が妨げられる。すなわち、第2の位置付け部5bは、該プレート5の該チャックテーブル6に対する位置関係の変化を抑制する機能を備える。
【0051】
複数の該開口部3は、例えば、該プレート5cの中央部と、該プレート5cの外周部の2か所と、の計3か所に該研削ホイール(加工工具)30の回転軌道に沿って並ぶように形成される。そのため、接触式ゲージ38が装着されたホイールマウント28aを該高さ測定用冶具1の上方に位置付け、スピンドル28を回転させて該ホイールマウント28aを軌道38c(
図6参照)に沿って回転させると、ゲージヘッド38aを該開口部3に挿入できる。
【0052】
図5(B)に示す通り、該保持面6a上の所定の位置に高さ測定用冶具1を位置付けたとき、該開口部3により該保持面6aの所定の箇所が露出する。該保持面6aの高さを測定する際に該高さ測定用冶具1を該保持面6a上の所定の位置に位置付けると、該開口部3により高さの測定箇所を規定できる。そのため、該高さ測定用冶具1を使用すると該保持面6aの測定を毎回同じ箇所で実施することができ、高さの測定を安定的に実施することができる。
【0053】
また、該テーブルベース6bの支持面6cの高さを測定する際には、
図5(C)及び
図5(D)に示す通り、該第1の面1a側を下方に向けて、該高さ測定用冶具1を該支持面6cの上に載せる。
図5(C)は、テーブルベース6b及び高さ測定用冶具1を模式的に示す斜視図であり、
図5(D)は、テーブルベース6b上に位置付けられた高さ測定用冶具1を模式的に示す斜視図である。
【0054】
該第1の面1a側に形成された複数の該第1の位置付け部5aは、該支持面6cに形成された溝(環状凹部)6dや凹部6eの位置に合わせて配設される。該複数の第1の位置付け部5aを該溝6dや凹部6eに挿入させ該第1の面1aを該支持面6cに接触させるように該高さ測定用冶具1を該支持面6c上に載せると、該高さ測定用冶具1が該支持面6c上の所定の位置に位置付けられる。したがって、該複数の該第1の位置付け部5aは、該プレート5cを所定の位置に位置付ける機能を備える。
【0055】
また、該高さ測定用冶具1を該支持面6cに平行な面内のいずれかの方向に移動させようとしても、該第1の位置付け部5aが該溝6dや凹部6eの壁面に接触するため移動が妨げられる。すなわち、該複数の第1の位置付け部5aは、該プレート5cの該テーブルベース6bに対する位置関係の変化を抑制する機能を備える。
【0056】
図5(D)に示す通り、該支持面6c上の所定の位置に高さ測定用冶具1を位置付けたとき、該開口部3により該支持面6cの所定の箇所が露出する。該支持面6cの高さを測定する際に該高さ測定用冶具1を該支持面6c上の所定の位置に位置付けると、該開口部3により高さの測定箇所を規定できる。そのため、該高さ測定用冶具1を使用すると該支持面6cの測定を毎回同じ箇所で実施することができ、該高さの測定を安定的に実施することができる。
【0057】
さらに、該テーブルベース6bの該支持面6cに形成された溝6dや凹部6e等はプレート5cにより覆われる。そのため、スピンドル28を回転させてホイールマウント28aに装着された該接触式ゲージ38を移動させるとき、ゲージヘッド38aは溝6dや凹部6e等には落ち込まず該プレート5c上を移動する。したがって、ゲージヘッド38aの高さの変化が小さいため、該接触式ゲージ38による測定を安定的に実施できる。なお、該プレート5cの厚さは、例えば、該溝6dや凹部6eの深さよりも小さい。
【0058】
ここで、本実施形態に係る高さ測定用冶具1を使用して該チャックテーブル6の保持面6aの所定の位置で実施する高さの測定について
図6を用いて説明する。
図6は、高さ測定用冶具1が位置付けられたチャックテーブル6の保持面6aの高さを接触式ゲージ38により測定する様子を模式的に示す斜視図である。
【0059】
まず、
図6に示す通り、研削装置2の研削ユニット14のホイールマウント28aの挿通孔34aに接触式ゲージ38を装着する。また、該高さ測定用冶具1の第2の面1b側を下方に向けて、第2の位置付け部5bが該保持面6aに当たらないように該保持面6a上に該高さ測定用冶具1を載せる。すると、チャックテーブル6の保持面6a上の所定の位置に該高さ測定用冶具1が位置付けられ、保持面6aの所定の被測定箇所が開口部3により露出される。
【0060】
次に、スピンドル28を回転させて最初の開口部3にゲージヘッド38aを挿入して該保持面6aに接触させると、該保持面6aの高さが測定されて該指示部38bに測定結果が示される。
【0061】
指示部38bに示された測定結果を読み取って記録した後、該スピンドル28を回転させて、該ゲージヘッド38aを軌道38cに沿って次々に開口部3に挿入して、同様に指示部38bに示された測定結果を読み取って記録する。保持面6aのうち開口部3により露出されたすべての箇所で高さを測定すると、該測定結果から該保持面6aの傾きを算出できる。
【0062】
テーブルベース6bの支持面6cの所定の箇所で高さの測定を実施する際には、該高さ測定用冶具1の第1の面1bを下方に向けて、該支持面6c上の所定の位置に該高さ測定用冶具1を位置付け、同様に開口3により露出した箇所において測定を実施する。
【0063】
なお、高さの測定の結果、該保持面6a又は該支持面6cが所定の方向から傾いていることが検出された場合、例えば、該保持面6a又は該支持面6cが所定の方向に向くようにチャックテーブル6又はテーブルベース6bの傾きを調整する。または、所定の方向に向いた該保持面6a又は該支持面6cを形成するように該保持面6a又は該支持面6cの研削加工または研磨加工を実施する。
【0064】
以上に説明する通り、本実施形態に係る高さ測定用冶具1を使用すると、測定対象となるテーブル面の所定の位置に接触式ゲージ38のゲージヘッド38aを位置付けられるため、該テーブル面の高さの測定を安定的に実施できる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態に係る高さ測定用冶具1では、第1の面1a側に複数の第1の位置付け部5aを配設するとともに第2の面1b側に複数の第2の位置付け部5bを配設する場合について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。
【0066】
上記実施形態に係る高さ測定用冶具1は、テーブルベース6bの支持面6cの高さの測定と、チャックテーブル6の保持面6aの高さの測定と、のいずれの測定においても使用できるが、本発明の一態様はこれに限定されない。
【0067】
例えば、第1の面1a側に複数の第1の位置付け部5aを配設する一方で、第2の面1b側に第2の位置付け部5bを配設しなくてもよい。または、第2の面1b側に複数の第2の位置付け部5bを配設する一方で、第1の面1a側に第1の位置付け部5aを配設しなくてもよい。これらの場合、テーブルベース6bの支持面6cの高さの測定と、チャックテーブル6の保持面6aの高さの測定と、のいずれか一方にのみに使用できる高さ測定用冶具1となる。
【0068】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。