(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板状の被加工物を保持する保持テーブルを備えた保持手段と、該保持テーブルに保持された被加工物にレーザー光線を照射して加工を施すレーザー光線照射手段と、を少なくとも含み構成されるレーザー加工装置であって、
該保持手段の上部には、該保持テーブルに保持された被加工物の上面との間に隙間を形成して位置付けられる透明板を備えた液体チャンバーと、該透明板を液体チャンバー上で直線移動させる直動手段と、該液体チャンバーの一方から該隙間に液体を供給する液体供給ノズルと、該液体チャンバーの他方から液体を排出する液体排出ノズルと、を備えた液体供給機構が配設され、
該レーザー光線照射手段は、レーザー光線を発振する発振器と、該発振器が発振したレーザー光線を集光し該透明板と該隙間に供給された液体とを透過して該保持テーブルに保持された被加工物に照射する集光器と、から少なくとも構成され、
該レーザー光線照射手段によりレーザー光線が照射される際に、該透明板を、該透明板と該被加工物との該隙間における該液体の流れを該液体チャンバーの該一方から該他方に向けて加速させる方向に直線移動させるレーザー加工装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に基づく実施形態に係るレーザー加工装置について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0014】
図1には、本実施形態のレーザー加工装置2の斜視図が示されている。レーザー加工装置2は、基台21と、基台21上に配置される被加工物を保持する保持手段30と、基台21上の保持手段30の側方に矢印Zで示すZ方向に立設される垂直壁部221、及び垂直壁部221の上端部から水平方向に延びる水平壁部222からなる枠体22と、保持手段30の上部に配設される液体供給機構40と、水平壁部222の下面に配設されるレーザー光線照射手段6と、を備えている。
【0015】
図2は、保持手段30、液体供給機構40を構成する液体チャンバー41、液体供給ノズル43、及び液体排出ノズル44の各構成を分解して示す分解図であり、各構成について、以下に説明する。
【0016】
図2に示すように、保持手段30は、基台21上に固定される直方体状の保持基台31と、保持基台31の上面31aに配設される円形の保持テーブル32と、を備える。保持テーブル32は、図示しない回動機構により回転することが可能に構成されている。保持テーブル32の中央領域は、通気性を有する材質、例えばポーラスセラミックスにより構成される円形の吸着チャック32aからなる。吸着チャック32aは、図示しない吸引源に接続され、吸着チャック32aに載置される板状の被加工物を吸引保持する。
【0017】
保持手段30の上部には、図に示す液体供給機構40が配設される。具体的には、保持基台31の上面31aに、液体供給機構40を構成する液体チャンバー41が載置され固定される。液体チャンバー41は、板状のチャンバー基部41aと、チャンバー基部41aの上方を閉塞する平面視で矩形状の透明板42と、を備えている。透明板42は、後述するレーザー光線LBを透過する透明部材、例えば、ガラスで形成される。チャンバー基部41aは、平面視で矩形状をなす底部41bと、底部41bのX軸方向の両端部にY軸方向に沿って形成された段差部41c、41cと、を備えている。底部41bの中央には、保持テーブル32よりも僅かに大きい寸法で形成された上下に貫通する円形開口部41dが形成されている。円形開口部41dは、チャンバー基部41aを保持基台31上に設置した際に、保持テーブル32が円形開口部41dに位置付けられるように設定される。段差部41c、41c間の寸法は、透明板42のX軸方向の寸法に対し僅かに大きい寸法で形成されている。段差部41c、41cに透明板42を載置することで、透明板42によってチャンバー基部41aの上方が閉塞されると共に、底部41bと透明板42との間には、所定の間隔が形成される。また、段差部41c、41cに載置される透明板42は、段差部41c、41cによってX軸方向への移動が規制され、Y軸方向への移動がガイドされる。段差部41c、41cの表面にはフッ素コーティングが施され、透明板42が段差部41c、41c上を摺動する際の摩擦抵抗を低減し、摩耗等も防止することができる。チャンバー基部41aの底部41bのY軸方向における両端部には、上記したような段差部が形成されず、透明板42が載置されることで、Y軸方向において液体が供給される液体供給口41eと、液体が排出される液体排出口41fとが形成される。なお、本実施形態では、透明板42をガラス板で形成したが、これに限定されず、レーザー光線LBを透過する透明な板であればよく、例えば、アクリル等の樹脂製の板であってもよい。
【0018】
チャンバー基部41aの液体供給口41eには、液体チャンバー41に液体を供給するための液体供給ノズル43が連結される。また、チャンバー基部41aの液体排出口41fには、液体チャンバー41から液体を排出するための液体排出ノズル44が連結される。
【0019】
液体供給ノズル43には、液体が供給される供給口43aと、供給口43aから供給された液体が通過する通路43bと、通路43bを通過した液体が排出される排出口43cと、が備えられる。また、液体供給ノズル43の上面43dにはフッ素コーティングが施される。図中点線で示すように、供給口43aは、液体供給ノズル43の下面に配設され、通路43bは、液体供給ノズル43内部に形成され、排出口43cは、液体チャンバー41の液体供給口41eと対向する位置に形成される。液体チャンバー41に対し液体供給ノズル43を連結することにより、液体供給ノズル43の排出口43cと、液体チャンバー41の液体供給口41eとが連通した状態となる。
【0020】
液体排出ノズル44は、液体供給ノズル43と同一形状で構成されており、
図2に示すように、液体排出ノズル44には、液体が供給される供給口44cと、供給口44cから供給された液体が通過する通路44bと、通路44bを通過した液体が排出される排出口44aと、が備えられ、液体供給ノズル43と同様に、上面44dには、フッ素コーティングが施される。なお、
図2では、フッ素コーティングを施している部位には、斜線を付してある。図中点線で示すように、液体排出ノズル44の供給口44cは、液体チャンバー41の液体排出口41fと対向する位置に形成され、通路44bは液体チャンバー44の内部に形成され、排出口44aは、液体チャンバー41の下面に配設される。
【0021】
液体チャンバー41に対し液体供給ノズル43、及び液体排出ノズル44を連結することにより、液体チャンバー41を介して、液体供給ノズル43の供給口43aと、液体排出ノズル44の排出口44aと、が連通した状態となる。また、液体チャンバー41に対し液体供給ノズル43、及び液体排出ノズル44を連結する際には、液体チャンバー41の段差部41c、41cと、液体供給ノズル43の上面43d、及び液体排出ノズル44の上面部44dとは、同一の高さになるように設定される。
【0022】
透明板42は、上記したように矩形状であり、Y軸方向の寸法は、液体供給ノズル43、液体チャンバー41、及び液体排出ノズル44を連結した状態のY軸方向の総寸法よりも大きく設定される。また、透明板42のX軸方向の寸法は、少なくとも保持テーブル32に保持される被加工物のX軸方向の寸法よりも大きい寸法に設定され、好ましくは、保持テーブル32の直径よりも大きく設定される。このように構成することにより、透明板42は、保持テーブル32全体を上方から覆うことができる。
【0023】
本実施形態の液体供給機構40は、透明板42を液体チャンバー41上でY軸方向に沿って直線移動させる直動手段50を備えている。直動手段50は、二つのローラ52、52と、各ローラ52、52を回転駆動するモータ54、54と、を備える。二つのローラ52、52は、Y軸方向に所定の間隔、例えば、液体チャンバー41のY軸方向の寸法よりも大きい間隔をおいて、X軸方向に沿って平行に配設される。ローラ52の表面は、ウレタンゴム等の弾力性があり透明板42に対して滑りにくい素材で形成されることが好ましい。また、ローラ52の一端部は、モータ54の出力軸に接続され、ローラ52の他端部は、図示しない固定部に回転自在に支持されるように構成されることが好ましい。二つのローラ52、52は、設置した状態で、透明板42を押圧し、二つのモータ54、54の出力軸を同一の方向に回転させることで、Y軸方向に直線移動させることができる。なお、モータ54は必ずしも二つのローラ52、52に配設することに限定されず、1つのモータを一方のローラ52のみに接続し、他方のローラ52とベルトで連結する等してローラ52、52を同時に回転駆動させてもよい。また、ローラ52の数、寸法、及び配設位置等は本実施形態の実施態様に限定されず、透明板42の材質、寸法等に応じて適宜変更することができる。
【0024】
さらに、
図2に示す液体供給機構40を、保持手段30の上部に組み込んだ状態を示す
図3を参照しながら、液体供給機構40、及び液体供給機構40の周辺構成について説明する。
図3では、保持テーブル32に、板状の被加工物としてデバイスが表面に形成されたウエーハ10を吸引保持させた状態を示している。保持基台31の上面31aに液体チャンバー41が載置されることで、保持テーブル32の上方にチャンバー基部41aの円形開口部41dが位置付けられる。そして、保持テーブル32に吸引保持されたウエーハ10の表面が、円形開口部41dに露出し、液体チャンバー41の底部41bと略面一になる。本実施形態に係るレーザー加工装置2は、液体供給機構40内で液体が常に循環するように、液体供給ポンプ45、濾過フィルター46、及び液体貯留タンク47を備えている。液体貯留タンク47は、濾過フィルター46に直接配設されている。液体供給ポンプ45と液体供給ノズル43とは、第一のホース48aで接続され、液体排出ノズル44と濾過フィルター46とは、第二のホース48bで接続され、濾過フィルター46と液体供給ポンプ45とは、第三のホース48cで接続される。各ホース48a〜48cは、樹脂製のフレキシブルホースで形成されている。
【0025】
液体供給ポンプ45からは、レーザー光線LBが透過する液体W、例えば純水が吐出される。液体Wは、第一のホース48a、及び液体供給ノズル43を介して液体チャンバー41に供給され、液体チャンバー41に供給された液体Wは、透明板42とウエーハ10の表面との間を通り、液体排出ノズル44を介して排出される。そして、液体排出ノズル44から排出された液体Wは、濾過フィルター46に導かれて濾過され、液体供給ポンプ45に戻される。本実施形態の液体供給機構40においては、液体チャンバー41のチャンバー基部41aと、透明板42との間における隙間等から徐々に液体Wが漏出することが許容されるが、漏出した液体Wを基台21上の図示しない回収経路によって回収し、濾過フィルター46に還流させるようにしてもよい。また、上記した漏出により液体Wが減少する場合は、液体貯留タンク47から適宜補填すればよい。なお、液体貯留タンク47は、濾過フィルター46に直付けされており、濾過フィルター46に導かれた液体Wに含まれる気泡を排出する機能を備えている。
【0026】
以上のような構成によって、液体Wは、液体供給機構40、液体供給ポンプ45、濾過フィルター46、及び液体貯留タンク47において循環される。液体チャンバー41を流れる液体Wの流量は、液体供給ポンプ45の圧送効率を調整したり、液体チャンバー41の容積を変更したり、液体供給口41e、及び液体排出口41fの開口面積を調整したりすることによって調整することができ、所定の流量になるように調整されている。
【0027】
上記したように、ローラ52、52には、モータ54、54が連結されており、モータ54、54を回転させることにより、透明板42を液体チャンバー41上でY軸方向に直線移動させることができる。特に、本実施形態では、レーザー加工装置2の図示しない制御手段により、モータ54、54の回転方向を
図3に矢印R1で示す正転方向と、矢印R2で示す逆転方向とに切り替えることができるように構成されている。モータ54、54を正転方向R1に回転させることにより、透明板42は、矢印Y1で示す方向に移動させられる。また、モータ54、54を逆転方向R2に回転させることにより、透明板42は、矢印Y2で示す方向に移動させられる。
【0028】
次に、
図1、
図4及び
図5を参照しながら、レーザー光線照射手段6について説明する。なお、
図5は、
図4に示すレーザー光線照射手段6の分解斜視図である。
【0029】
レーザー光線照射手段6は、枠体22の水平壁部222の下面に図示しない固定手段により固定される案内板60と、案内板60にY軸方向において移動自在に支持されたY軸方向可動部材62と、Y軸方向可動部材62をY軸方向に移動させるY軸方向移動機構64とを含む。案内板60のX軸方向両端下部には、Y軸方向に延びる一対の案内レール60aが形成されている。
図4、及び
図5に示すとおり、Y軸方向可動部材62は、X軸方向に間隔をおいて配置された一対の被案内部66と、被案内部66の下端間に架け渡されX軸方向に延びる装着部68とを有する。各被案内部66の上部には、Y軸方向に延びる被案内レール66aが形成されている。被案内部66の被案内レール66aと案内板60の案内レール60aとが係合することにより、Y軸方向可動部材62は、Y軸方向に移動自在に案内板60に支持される。また、装着部68のY軸方向両端下部には、X軸方向に延びる一対の案内レール68aが形成されている。Y軸方向移動機構64は、案内板60の下方においてY軸方向に延びるボールねじ70と、ボールねじ70の片端部に連結されたモータ72とを有する。ボールねじ70の門型形状のナット部70aは、装着部68の上面に固定されている。ボールねじ70のモータ72が連結されないもう一方の片端部は、ナット部70aに螺合された後、案内板60の前方縁部に形成された支持片部60bに回転自在に支持される。そして、Y軸方向移動機構64は、ボールねじ70によりモータ72の回転運動を直線運動に変換してY軸方向可動部材62に伝達し、案内板60の案内レール60aに沿ってY軸方向可動部材62をY軸方向に移動させる。
【0030】
図5を参照しながら、レーザー光線照射手段6の説明を続ける。レーザー光線照射手段6は、さらに、X軸方向に移動自在にY軸方向可動部材62の装着部68に装着されたX軸方向可動板74と、X軸方向可動板74をX軸方向に移動させるX軸方向移動機構76とを含む。X軸方向可動板74のY軸方向両端部と装着部68の案内レール68aとが係合することにより、X軸方向可動板74はX軸方向に移動自在に装着部68に装着される。X軸方向移動機構76は、装着部68の上方において、X軸方向に延びるボールねじ78と、ボールねじ78の片端部に連結され一方の被案内部66に支持されたモータ80とを有する。ボールねじ78のナット部78aは、装着部68の開口68bを通ってX軸方向可動板74の上面に固定される。ボールねじ78のモータ80が連結されないもう一方の片端部は、モータ80が固定されない他方の被案内部66に回転自在に支持される。そして、X軸方向移動機構76は、ボールねじ78によりモータ80の回転運動を直線運動に変換してX軸方向可動板74に伝達し、装着部68の案内レール68aに沿ってX軸方向可動板74をX方向に移動させる。
【0031】
さらに、
図5〜
図8を参照しながら、レーザー光線照射手段6の光学系の構成について説明する。
図5に示すように、レーザー光線照射手段6は、枠体22の水平壁部222に内蔵されパルス状のレーザー光線LBを発振する発振器82と、発振器82が発振したレーザー光線LBの出力を調整するアッテネーター(図示は省略する)と、発振器82とY軸方向に間隔をおいてY軸方向可動部材62の装着部68の下面に装着された直角プリズムミラー84と、X軸方向可動板74の下面にZ軸方向に移動自在に装着された集光器86と、集光器86をZ軸方向に移動して集光器86の集光点のZ軸方向を調整する集光点位置調整手段(図示は省略する。)と、を含む。発振器82は、例えば、被加工物に対して吸収性を有する波長(例えば、355nm)のレーザー光線LBを発振するようになっている。
図6に示すように、発振器82からY軸方向に照射されたレーザー光線LBは、直角プリズムミラー84によって90度進行方向が変換され、集光器86に導かれる。
【0032】
図7(a)に示すように、集光器86の上部ハウジング86aの内部には、上部ハウジング86aの一部を切欠いて示すように、発振器82が発振したレーザー光線LBを分散させる分散手段としてのポリゴンミラー91及びポリゴンミラー91を矢印R3で示す方向に高速回転させるモータ92と、レーザー光線LBを集光して被加工物に照射する集光レンズ(fθレンズ)86bとを備えている。集光器86から照射されるレーザー光線LBは、透明板42、液体Wを介してウエーハ10の被加工部位である分割予定ラインに照射される。
図7(b)に示す一部拡大断面図から理解されるように、透明板42とウエーハ10との間には、0.5mm〜2.0mmの隙間Sが形成されている。そして、
図8に示すように、ポリゴンミラー91は、複数枚のミラーMが、ポリゴンミラー91の回転軸に対して同心状に配置されている。fθレンズ86bは、上記したポリゴンミラー91の下方に位置しており、レーザー光線LBを集光して保持テーブル32上の被加工物に照射する。fθレンズには、直角プリズムミラー84から導かれたレーザー光線LBが、回転するミラーMによってX軸方向にその照射方向が分散するように導かれ、被加工物上において、X軸方向の所定範囲に分散して照射される。
【0033】
図5に戻り説明を続けると、X軸方向可動板74の下面には、集光器86と共に、集光器86とX軸方向に間隔をおいて装着されたアライメント手段88が配設されている。アライメント手段88は、保持テーブル32に保持される被加工物を撮像してレーザー加工すべき領域を検出するようになっている。さらに、レーザー光線照射手段6は、図示しない集光点位置調整手段を備えている。集光点位置調整手段の具体的な構成の図示は省略するが、例えば、ナット部が集光器86に固定されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじの片端部に連結されたモータとを有する構成でよい。このような構成によりモータの回転運動を直線運動に変換し、Z軸方向に配設される案内レール(図示は省略する。)に沿って集光器86を移動させ、これによって、集光器86によって集光されるレーザー光線LBの集光点のZ軸方向の位置を調整する。
【0034】
本発明のレーザー加工装置2は、概ね上記したとおりの構成を備えており、その作用について、以下に説明する。
【0035】
図1を参照しながら説明する。まず、本実施形態で板状の被加工物となる、表面にデバイスが形成されたシリコン(Si)からなるウエーハ10を用意する。ウエーハ10を用意したならば、
図1に示す透明板42を取り外し、液体チャンバー41の上方を開放し、保持テーブル32上にデバイスが形成された表面を上にしてウエーハ10を載置する。ウエーハ10を載置したならば、図示しない吸引源を作動して、保持テーブル32の吸着チャック32aに吸引力を生成し、ウエーハ10を吸着し保持させる。ウエーハ10を保持テーブル32に保持したならば、透明板42を液体チャンバー41上に再びセットして液体チャンバー41上を閉塞した状態とする。
【0036】
ウエーハ10を保持テーブル32に保持し、透明板42によって液体チャンバー41の上方を閉塞したならば、液体貯留タンク47に対して十分な液体Wを補填し、液体供給ポンプ45を作動する。液体供給ポンプ45の作動を開始して、所定時間経過することにより、液体チャンバー41から空気等が抜けて、液体チャンバー41内が液体Wで満たされ、液体Wが液体供給機構40内部を安定的に循環する状態となる。
【0037】
液体供給機構40内を液体Wが安定的に循環している状態で、レーザー光線照射手段6のX軸方向移動機構76によりX軸方向可動板74を移動させると共に、Y軸方向移動機構64によりY軸方向可動部材62をY軸方向に移動させ(
図4、及び
図5を参照。)、アライメント手段88を、ウエーハ10の上方に位置付ける。透明板42は、上記したように、保持テーブル32全体を上方から覆うように配設されていることから、アライメント手段88は、ウエーハ10上のデバイスを含む全ての領域を捉えることが可能である。アライメント手段88をウエーハ10の上方に位置付けたならば、アライメント手段88によりウエーハ10を撮像する。この際、ウエーハ10は、透明板42、及び液体Wを介して撮像される。次いで、アライメント手段88により撮像したウエーハ10の画像情報に基づいて、ウエーハ10と、集光器86との位置合わせを行う。この位置合わせの後に、保持テーブル32を回転させ、かつ、X軸方向移動機構76でX軸方向可動板74を移動させると共に、Y軸方向移動機構64でY軸方向可動部材62を移動させることにより、ウエーハ10上に格子状に形成された分割予定ラインがX軸方向に沿って位置付けられ、分割予定ラインの片端部、すなわち、レーザー光線の照射開始位置に集光器86が位置付けられる。次いで、図示しない集光点位置調整手段によって集光器86をZ軸方向に移動させ、ウエーハ10の分割予定ラインにおける片端部の表面高さに集光点を位置付ける。
【0038】
集光器86をZ軸方向に移動して、集光点位置をウエーハ10の表面高さに位置付けたならば、レーザー加工を開始する前に、透明板42を初期位置に移動させる。この透明板42の初期位置とは、具体的には、透明板42を、矢印Y2で示すY2方向に最も移動させた位置であって、例えば、液体排出ノズル44側に設置されたローラ52の直下に透明板42の端部が位置付けられる状態である。透明板42をこの初期位置に停止させる手段としては、Y2方向にストッパ等を配設して、該ストッパに透明板42の端部を当接させることによりY2方向における透明板42の移動を初期位置で規制することができる。
【0039】
透明板42が、上記した初期位置に移動させられたならば、レーザー加工を開始する。より具体的には、図示しない制御手段により、レーザー光線照射手段6に対して、レーザー光線LBの照射の開始が指示される。レーザー光線LBの照射の開始が指示されたならば、
図7、
図8に基づいて説明したように、ポリゴンミラー91をモータ92によって適宜の回転速度で回転させる。ポリゴンミラー91を構成するミラーMの位置がポリゴンミラー91の回転と共に変化することで、ウエーハ10に対してレーザー光線LBがX軸方向に分散されて照射される。所定のミラーMにレーザー光線LBが照射された後は、ポリゴンミラー91の回転方向R3における下流側の別のミラーMにレーザー光線LBが照射され、上記と同様にウエーハ10に対してレーザー光線LBが分散されて照射される。発振器82からレーザー光線LBが発振され、ポリゴンミラー91が回転している間、このようなレーザー加工が繰り返される。なお、ポリゴンミラー91を構成するミラーMの枚数、ポリゴンミラー91の回転速度等は、被加工物に応じて適宜決定される。
【0040】
上記したレーザー加工装置2におけるレーザー加工条件は、例えば、以下の加工条件で実施することができる。
レーザー光線の波長 :226nm、355nm、532nm、1064nm
平均出力 :10〜100W
繰り返し周波数 :0〜300MHz
パルス幅 :50fs〜1ns
加工送り速度 :10〜1000mm/s
【0041】
レーザー光線LBの照射が開始されたならば、X軸方向移動機構76によってX軸方向可動板74と共に集光器86をX軸方向に対して所定の移動速度で移動させる。このレーザー光線LBの照射の開始に際して、レーザー光線LBの照射の開始よりも少し前に、モータ54、54を正転方向R1に回転させてローラ52、52を回転させて透明板42を矢印Y1で示すY1方向に移動を開始させる。このレーザー加工を実施している状態を
図7(b)に基づき説明する。なお、
図7(b)は、透明板42と、ウエーハ10との一部を拡大した概略断面図であり、紙面に垂直な方向がX軸方向であり、左右方向がY軸方向である。上記したように、ウエーハ10の表面に対してレーザー光線LBが照射されアブレーション加工が施されると、レーザー光線LBが照射された位置から気泡Bが発生する。ここで、
図7(b)に示すように、透明板42は、直動手段50の作用によりY1方向に直線移動させられており、この透明板42の作用によって、加工送りされる方向(X軸方向)と直交する透明板42の移動方向(Y軸方向)に沿うように液体Wの流れが加速される。これにより、レーザー光線LBの照射位置の液体W中に発生した気泡Bは、液体チャンバー41の下流側、すなわち、液体排出ノズル44側に流され除去される。したがって、ポリゴンミラー91を用いてウエーハ10に対してレーザー光線LBを分散させて照射する場合において、アブレーション加工により発生する気泡Bを避けてウエーハ10にレーザー光線LBを継続して照射することができる。
【0042】
上記したように、レーザー光線LBの照射と共に、透明板42をY1方向に直線移動させることで、良好なアブレーション加工を実施することができる。さらに、本実施形態によれば、アブレーション加工によってデブリが発生しても、液体チャンバー41内を液体Wが継続して流れ、さらに、透明板42の直線移動によって液体Wの流れが加速されることにより、上記した気泡Bと同様に液体W中に放出されたデブリが速やかに発生箇所から除去される。この液体W中に放出されたデブリは、濾過フィルター46により速やかに捕捉されるため、再び液体チャンバー41に循環されることが防止される。なお、透明板42のY1方向への移動速度は、一の分割予定ラインに対するレーザー加工が一端部から他端部まで施される時間で透明板42の終端位置、例えば、透明板42がY1方向に移動して、Y2方向側の端部がY2方向側のローラ52の直下に達する位置に達する速度で実施される。したがって、透明板42のY軸方向における寸法が長いほど、Y1方向への移動速度を速めることができる。
【0043】
上記したアブレーション加工を所定の分割予定ラインに実施したならば、Y軸方向移動機構64でY軸方向可動部材62を割り出し送り方向(Y軸方向)に移動させ、集光器86を、隣接した未加工の分割予定ラインの片端部に位置付けて、上記したアブレーション加工と同様のレーザー加工を実施する。ここで、透明板42は、一の分割予定ラインに対するレーザー加工が終了したタイミングでは、Y1方向における終端位置に達している。そこで、本実施形態では、一の分割予定ラインに対するレーザー加工を実施した後、集光器86を割り出し送り方向(Y軸方向)に移動させ、隣接した未加工の分割予定ラインの片端部に位置付ける動作を行っている最中に、モータ54の回転方向を逆転方向R2に切換え、透明板42を上記した初期位置に戻す復帰動作を実施する。具体的には、集光器86が、隣接した未加工の分割予定ラインの加工開始位置に位置付けられるタイミングで、透明板42が初期位置に位置付けられるように制御する。この状態から、上記したレーザー加工と同様のレーザー加工、すなわち、透明板42をY1方向に直線移動させながらアブレーション加工を実施する動作を、隣接する全ての分割予定ラインに対して実施する。隣接する全ての分割予定ラインに対してアブレーション加工を実施したならば、保持テーブル32を90度回転させることで、先に加工した分割予定ラインに直交する未加工の分割予定ラインに対しても、上記したのと同様のレーザー加工を実施する。このようにして、ウエーハ10上の全ての分割予定ラインに対してアブレーション加工を実施することができる。本実施形態によれば、ウエーハ10の表面から発生する気泡や、レーザー加工により発生するデブリ等が、レーザー光線LBの照射位置から速やかに除去され、継続して実施されるレーザー加工の妨げになることがなく、また、加工後のデバイスにデブリが付着すること等を防止して品質を低下させることがない。
【0044】
本発明によれば、上記した実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲に含まれる限り、様々な変形例が提供される。以下に、
図9を参照しながら、他の実施形態について説明する。なお、
図9に示す他の実施形態に係るレーザー加工装置2’は、透明板42’、及び透明板42’を支持する補助ローラ56、57を備える点で、
図1に示す実施形態と相違し、その余の点については同様の構成を備えている。よって、以下の説明では、上記相違点を中心に説明する。
【0045】
図9に示すレーザー加工装置2’は、
図1に示すレーザー加工装置2の透明板42に代えて液体チャンバー41の上方を閉塞するロール状の透明板42’を備えている。この透明板42’は、
図9に示すとおり、端部を有しておらずロール状に形成されるため、可撓性、及び耐久性に優れたアクリル樹脂からなる透明な薄板から形成されることが好ましい。さらに、枠体22’は、垂直壁部221’と水平壁部222’によって形成され、水平壁部222’には、透明板42’を通過させる透明板通路223が形成されている。透明板通路223には、透明板42’を挟持しつつ、図中矢印Dで示す方向に透明板42’を送り出すための二つの第一補助ローラ56を備えている。さらに、
図9に示すように、水平壁部222’の先端部からY軸方向に離間した位置に、第一補助ローラ56から送り出された透明板42’を挟持しつつ液体供給機構40側に送り出すための二つの第二補助ローラ57が備えられている。なお、図では説明の都合上省略しているが、水平壁部222’の先端部に第二の補助ローラ57を回転自在に支持するブラケット等を配置して保持する。
【0046】
上記した他の実施形態によれば、透明板42’は、ロール状に形成されていることから、モータ54を作動させてローラ52を矢印R1で示す方向に回転させることにより、液体チャンバー41上において透明板42’をY1方向に直線移動させると共に、第一補助ローラ56、第二補助ローラ57によって透明板42’をD方向に回転させることができる。これにより、
図1に示す実施形態のように、モータ54を逆転方向R2に回転させて、透明板42を初期位置に戻す復帰動作が不要になり、透明板42’を液体チャンバー41上でY1に示す方向に継続して直線移動させながら、ウエーハ10上の全ての分割予定ラインに対して、レーザー加工を施すことが可能になる。さらに、本実施形態では、透明板42’のY1方向への直線移動が連続的に実施されるものであることから、
図1に示す実施形態に比して、Y1方向に移動させる速度を速めることができ、気泡Bやデブリ等の除去をより効果的に実施することができる。
【0047】
上記した実施形態では、発振器82から照射されたレーザー光線LBを、ポリゴンミラー91により分散させて集光レンズ86bに導くようにした例を提示したが、これに限定されず、ポリゴンミラー91に代えて、固定して設置される反射ミラーであってもよい。さらに、上記した実施形態では、ウエーハ10になされるレーザー加工は、アブレーション加工である例を提示したが、被加工物の内部に改質層を形成する加工(例えば、特許文献2に記載のレーザー加工。)、所謂シールドトンネルを形成する加工(例えば、特許文献3に記載のレーザー加工。)に適用することを妨げない。