特許第6985170号(P6985170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985170
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ウエーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20211213BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   H01L21/78 F
   B24B27/06 M
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-14984(P2018-14984)
(22)【出願日】2018年1月31日
(65)【公開番号】特開2019-134064(P2019-134064A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2020年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】北村 宏
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−202323(JP,A)
【文献】 特開2005−191232(JP,A)
【文献】 特開2016−201452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスが第一の方向の分割予定ラインと該第一の方向に交差する第二の方向の分割予定ラインとによって区画され表面に形成されたウエーハを個々のデバイスに分割するウエーハの加工方法であって、
ウエーハを保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを着脱自在に備えた切削手段と、該チャックテーブルと該切削手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、を少なくとも備えた加工装置を準備する加工装置準備工程と、
分割予定ラインと隣接する分割予定ラインとの間隔より僅かに幅が広い研削砥石を該切削手段に装着する研削砥石装着工程と、
該X軸送り手段を作動して該研削砥石で該チャックテーブルの保持面を研削すると共に該Y軸送り手段を作動して分割予定ラインの間隔で割り出し送りして該保持面を研削する保持面研削工程と、
該切削手段から該研削砥石を外し切削ブレードを装着する切削ブレード装着工程と、
ウエーハに形成された該第一の方向の分割予定ラインをX軸方向に平行に位置づけて該チャックテーブルの保持面に保持する第一の保持工程と、
該第一の方向の分割予定ラインをX軸方向に切削すると共にY軸方向に割り出し送りして該第一の方向の分割予定ラインを切削する第一の切削工程と、
該チャックテーブルからウエーハを離脱させウエーハに形成された該第二の方向の分割予定ラインをX軸方向に平行に位置づけて該チャックテーブルの保持面に保持する第二の保持工程と、
該第二の方向の分割予定ラインをX軸方向に切削すると共にY軸方向に割り出し送りして該第二の方向の分割予定ラインを切削する第二の切削工程と、
から少なくとも構成されるウエーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のデバイスが第一の方向の分割予定ラインと該第一の方向に交差する第二の方向の分割予定ラインとによって区画され表面に形成されたウエーハを個々のデバイスに分割するウエーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハはダイシング装置によって個々のデバイスに分割され、分割された各デバイスは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
ダイシング装置は、ウエーハを保持する保持面を有するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを着脱自在に備えた切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、チャックテーブルと切削手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、を少なくとも備えて構成されていてウエーハを高精度に切削することができる(たとえば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−66865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、チャックテーブルがX軸方向に相対的に加工送りされる際、送りねじの精度またはガイドレールの精度等に起因してチャックテーブルが上下に10μm前後揺動することから切削溝の深さを高精度に維持できないという問題がある。
【0006】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、切削溝の深さを高精度に維持することができるウエーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明が提供するのは以下のウエーハの加工方法である。すなわち、複数のデバイスが第一の方向の分割予定ラインと該第一の方向に交差する第二の方向の分割予定ラインとによって区画され表面に形成されたウエーハを個々のデバイスに分割するウエーハの加工方法であって、ウエーハを保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを着脱自在に備えた切削手段と、該チャックテーブルと該切削手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、を少なくとも備えた加工装置を準備する加工装置準備工程と、分割予定ラインと隣接する分割予定ラインとの間隔より僅かに幅が広い研削砥石を該切削手段に装着する研削砥石装着工程と、該X軸送り手段を作動して該研削砥石で該チャックテーブルの保持面を研削すると共に該Y軸送り手段を作動して分割予定ラインの間隔で割り出し送りして該保持面を研削する保持面研削工程と、該切削手段から該研削砥石を外し切削ブレードを装着する切削ブレード装着工程と、ウエーハに形成された該第一の方向の分割予定ラインをX軸方向に平行に位置づけて該チャックテーブルの保持面に保持する第一の保持工程と、該第一の方向の分割予定ラインをX軸方向に切削すると共にY軸方向に割り出し送りして該第一の方向の分割予定ラインを切削する第一の切削工程と、該チャックテーブルからウエーハを離脱させウエーハに形成された該第二の方向の分割予定ラインをX軸方向に平行に位置づけて該チャックテーブルの保持面に保持する第二の保持工程と、該第二の方向の分割予定ラインをX軸方向に切削すると共にY軸方向に割り出し送りして該第二の方向の分割予定ラインを切削する第二の切削工程と、から少なくとも構成されるウエーハの加工方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明が提供するウエーハの加工方法は、ウエーハを保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを着脱自在に備えた切削手段と、該チャックテーブルと該切削手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、を少なくとも備えた加工装置を準備する加工装置準備工程と、分割予定ラインと隣接する分割予定ラインとの間隔より僅かに幅が広い研削砥石を該切削手段に装着する研削砥石装着工程と、該X軸送り手段を作動して該研削砥石で該チャックテーブルの保持面を研削すると共に該Y軸送り手段を作動して分割予定ラインの間隔で割り出し送りして該保持面を研削する保持面研削工程と、該切削手段から該研削砥石を外し切削ブレードを装着する切削ブレード装着工程と、ウエーハに形成された該第一の方向の分割予定ラインをX軸方向に平行に位置づけて該チャックテーブルの保持面に保持する第一の保持工程と、該第一の方向の分割予定ラインをX軸方向に切削すると共にY軸方向に割り出し送りして該第一の方向の分割予定ラインを切削する第一の切削工程と、該チャックテーブルからウエーハを離脱させウエーハに形成された該第二の方向の分割予定ラインをX軸方向に平行に位置づけて該チャックテーブルの保持面に保持する第二の保持工程と、該第二の方向の分割予定ラインをX軸方向に切削すると共にY軸方向に割り出し送りして該第二の方向の分割予定ラインを切削する第二の切削工程と、から少なくとも構成されているので、チャックテーブルをX軸方向に加工送りした際にチャックテーブルが上下に揺動しても、切削ブレードで切削する加工位置では実質的にチャックテーブルの揺動が0となり切削溝の深さを高精度に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ウエーハの斜視図。
図2】加工装置準備工程において準備する加工装置の斜視図。
図3図2に示す切削手段の斜視図。
図4図2に示す切削手段の分解斜視図。
図5】研削砥石装着工程が実施されている状態を示す斜視図。
図6】切削ブレードに代えて研削砥石が装着された切削手段の斜視図。
図7】保持面研削工程が実施されている状態を示す斜視図。
図8】第一の保持工程および第一の切削工程が実施されている状態を示す斜視図。
図9】第二の保持工程および第二の切削工程が実施されている状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のウエーハの加工方法の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1には、本発明のウエーハの加工方法によって加工が施され得るウエーハ2が示されている。円盤状のウエーハ2の表面2aは、第一の方向に延びる複数の分割予定ライン4aと第一の方向に交差する第二の方向に延びる複数の分割予定ライン4bとから構成される格子状の分割予定ライン4によって複数の矩形領域に区画され、複数の矩形領域のそれぞれにはIC、LSI等の複数のデバイス6が形成されている。また、分割予定ライン4と隣接する分割予定ライン4との間隔を図1に符号sで示す。図示の実施形態におけるウエーハ2は、周縁が環状フレーム8に固定された粘着テープ10に貼り付けられている。
【0012】
本発明のウエーハの加工方法では、まず、ウエーハ2を保持する保持面を有するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持されたウエーハ2を切削する切削ブレードを着脱自在に備えた切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、チャックテーブルと切削手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、を少なくとも備えた加工装置を準備する加工装置準備工程を実施する。加工装置準備工程では、たとえば図2に示す加工装置12を準備することができる。加工装置12は、装置ハウジング14と、図2に矢印Xで示すX軸方向に移動自在に装置ハウジング14に装着されたチャックテーブル16と、チャックテーブル16をX軸方向に加工送りするX軸送り手段(図示していない。)とを備える。チャックテーブル16の上端部分には、多孔質の円形状吸着チャック18が配置されている。図7に示すとおり、吸着チャック18は、第一の流路17aによって吸引源17bに接続されていると共に、第二の流路19aによって水源19bに接続されている。第一の流路17aには、第一の流路17aを開閉する第一のバルブ17cが設置されている。また、第二の流路19aには、第二の流路19aを開閉する第二のバルブ19cが設置されている。そしてチャックテーブル16においては、第一のバルブ17cを開け第二のバルブ19cを閉じた上で、吸引源17bを作動して吸着チャック18の上面に吸引力を生成することにより、上面に載せられたウエーハ2を吸引保持するようになっている。このように図示の実施形態では、ウエーハ2を保持する保持面が吸着チャック18の上面によって構成されている。また、チャックテーブル16においては、第一のバルブ17cを閉じ第二のバルブ19cを開けた上で、水源19bを作動することにより、吸着チャック18の上面から水を噴射するようになっている。また、チャックテーブル16の周縁には、環状フレーム8を固定するための複数のクランプ20が周方向に間隔をおいて配置されている。図2に示すとおり、チャックテーブル16の移動経路の上方には、チャックテーブル16に保持されたウエーハ2を撮像して切削すべき領域を検出する撮像手段22が設けられている。上記X軸送り手段は、たとえば、チャックテーブル16に連結されX軸方向に延びるボールねじ(図示していない。)と、このボールねじを回転させるモータ(図示していない。)とから構成され得る。このX軸送り手段でチャックテーブル16をX軸方向に加工送りすると、X軸送り手段を構成する部材の精度等に起因してチャックテーブル16が図2に矢印Zで示すZ軸方向に10μm前後揺動することとなる。なお、図2に矢印Yで示すY軸方向はX軸方向に直交する方向であり、X軸方向およびY軸方向が規定する平面は実質上水平である。また、Z軸方向はX軸方向とY軸方向とに直交する上下方向である。
【0013】
加工装置12の装置ハウジング14には、Y軸方向に移動自在かつZ軸方向に移動自在(昇降自在)に支持された切削手段24と、切削手段24をY軸方向に割り出し送りするY軸送り手段(図示していない。)と、切削手段24をZ軸方向に切り込み送りするZ軸送り手段(図示していない。)とが設けられている。Y軸送り手段は、切削手段24に連結されY軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとから構成され得る。また、Z軸送り手段は、切削手段24に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとから構成され得る。
【0014】
図3ないし図5を参照して切削手段24について説明する。切削手段24は、Y軸方向に延びるスピンドルハウジング26と、スピンドルハウジング26の先端に装着されたブレードカバー28と、Y軸方向を軸心として回転自在にスピンドルハウジング26に支持されたスピンドル30と、スピンドル30を回転させるモータ(図示していない。)と、スピンドル30の先端に着脱自在に固定される環状の切削ブレード32と、スピンドル30の先端に切削ブレード32を固定するためのナット34とを含む。図3および図4に示すとおり、ブレードカバー28は、スピンドルハウジング26の先端に配置された第一のカバー部材36と、第一のカバー部材36の前面にねじ38により固定された第二のカバー部材40と、第一のカバー部材36の上面にねじ42により固定されたブレード検出ブロック44とを有する。第一のカバー部材36には、切削ブレード32の側面に沿って延びる第一の切削水供給ノズル36a(図4参照。)と、第一の切削水供給ノズル36aに連通する第一の入口パイプ36bとが設けられている。また、第二のカバー部材40には、第二のカバー部材40が第一のカバー部材36に固定された際に切削ブレード32の側面に沿って延びる第二の切削水供給ノズル40aと、第二の切削水供給ノズル40aに連通する第二の入口パイプ40bとが設けられている。第一の入口パイプ36bおよび第二の入口パイプ40bは共に切削水供給源(図示していない。)に接続されている。そして切削手段24においては、切削ブレード32でウエーハ2を切削する際に、第一の切削水供給ノズル36aおよび第二の切削水供給ノズル40aから切削ブレード32およびウエーハ2に向かって切削水を噴射するようになっている。ブレード検出ブロック44には、切削ブレード32の摩耗や欠けを検出するブレードセンサ(図示していない。)と、ブレードセンサのZ軸方向位置を調整するための調整ねじ44aとが付設されている。ブレードセンサは発光素子および受光素子から構成され得る。図5に示すとおり、スピンドル30の先端側外周面には環状のフランジ30aが設けられ、フランジ30aよりも更に先端側のスピンドル30の外周面には雄ねじ30bが形成されている。そして、スピンドル30に切削ブレード32の開口32aを嵌合し、スピンドル30の雄ねじ30bにナット34を締結することにより、切削ブレード32はフランジ30aとナット34とに挟み込まれてスピンドル30の先端部に着脱自在に固定される。
【0015】
図2を参照して説明すると、装置ハウジング14には、粘着テープ10を介して環状フレーム8に支持されたウエーハ2を複数枚収容したカセット46が昇降自在なカセット載置台48に載置されている。このカセット載置台48は、昇降手段(図示していない。)によって昇降される。また、加工装置12は、カセット46から切削前のウエーハ2を引き出し仮置きテーブル50まで搬出すると共に仮置きテーブル50に位置づけられた切削済みのウエーハ2をカセット46に搬入する搬出入手段52と、カセット46から仮置きテーブル50に搬出された切削前のウエーハ2をチャックテーブル16に搬送する第一の搬送手段54と、切削済みのウエーハ2を洗浄する洗浄手段56と、切削済みのウエーハ2をチャックテーブル16から洗浄手段56に搬送する第二の搬送手段58とを更に備える。
【0016】
上記のような加工装置12を準備する加工装置準備工程を実施した後、分割予定ライン4と隣接する分割予定ライン4との間隔sより僅かに幅が広い研削砥石を切削手段24に装着する研削砥石装着工程を実施する。研削砥石装着工程では、まず、ブレードカバー28のねじ38、42を弛め、第二のカバー部材40およびブレード検出ブロック44を第一のカバー部材36から外す(図4参照。)。次いで、スピンドル30の雄ねじ30bとナット34との締結を解除してスピンドル30から切削ブレード32を外す(図5参照。)。次いで、環状の研削砥石60の開口60aをスピンドル30に嵌合し、スピンドル30の雄ねじ30bにナット34を締結することにより、図6に示すとおり、スピンドル30の先端部に環状の研削砥石60を装着する。分割予定ライン4の間隔sより僅かに広い研削砥石60の幅t(軸方向厚み)については後で詳述するが、たとえば、デバイス6の一辺の寸法が5mmであり、分割予定ライン4の幅が0.1mmであって、分割予定ライン4の間隔sが5.1mmである場合、研削砥石60の幅tは5.2mm程度でよい。そして、第二のカバー部材40およびブレード検出ブロック44をねじ38、42により第一のカバー部材36に固定する。
【0017】
研削砥石装着工程を実施した後、X軸送り手段を作動して研削砥石60でチャックテーブル16の保持面を研削すると共にY軸送り手段を作動して分割予定ライン4の間隔sで割り出し送りして保持面を研削する保持面研削工程を実施する。図7を参照して説明すると、保持面研削工程では、まず、X軸送り手段を作動してチャックテーブル16を切削手段24の下方に位置づける。また、Y軸送り手段を作動して研削砥石60をチャックテーブル16のY軸方向一端部に位置づける。なお、図7においてはブレードカバー28を便宜上省略しているが、保持面研削工程を実施する際は切削手段24にブレードカバー28が装着されており、この点は図8および図9においても同様である。次いで、図7に矢印Aで示す方向にスピンドル30と共に研削砥石60をモータで回転させる。次いで、Z軸送り手段で切削手段24を下降させ、チャックテーブル16に研削砥石60を接触させる。次いで、研削砥石60とチャックテーブル16とが接触した位置から20μm程度下方に研削砥石60を位置づけると共に、X軸送り手段を作動して切削手段24に対してチャックテーブル16を相対的にX軸方向に加工送りすることによって、チャックテーブル16の保持面を構成する吸着チャック18の上面を研削する研削加工を施す。研削加工の際は、第一のバルブ17cを閉じ第二のバルブ19cを開けた上で、水源19bを作動して吸着チャック18の上面から水を噴射する。これによって、多孔質の吸着チャック18に研削屑が付着して目詰まりが発生するのを防止することができる。また研削加工の際は、切削水供給源も作動して第一の切削水供給ノズル36aおよび第二の切削水供給ノズル40aから研削砥石60および吸着チャック18に向かって切削水を噴射する。次いで、Y軸送り手段を作動して分割予定ライン4の間隔sでチャックテーブル16に対して切削手段24を相対的にY軸方向に割り出し送りする。そして、研削加工と割り出し送りとを交互に繰り返して吸着チャック18の上面全体を研削する。研削砥石60の幅tが分割予定ライン4の間隔sより僅かに広いことから、保持面研削工程において分割予定ライン4の間隔sで割り出し送りすることにより研削加工による研削領域がY軸方向において若干重複するので、吸着チャック18の上面全部を研削することができる。このようにして吸着チャック18の上面を研削することにより、チャックテーブル16をX軸方向に加工送りした際におけるチャックテーブル16のZ軸方向への揺動に対応した吸着チャック18の上面を形成することができる。すなわち、チャックテーブル16をX軸方向に加工送りした際にチャックテーブル16がZ軸方向に揺動しても、切削ブレード32で切削する加工位置では、実質的にチャックテーブル16の揺動が0(切削ブレード32に対する吸着チャック18の上面位置が一定)となる。
【0018】
ここで、研削砥石60の幅tおよび保持面研削工程における割り出し送りの距離について説明すると、研削砥石60の幅tが小さく、かつ保持面研削工程における割り出し送りの距離が小さいほど、チャックテーブル16のZ軸方向への揺動に対応した吸着チャック18の上面を精度よく形成することができるものの、研削加工の回数が多くなり効率が悪化してしまう。一方、研削砥石60の幅tが大きく、かつ保持面研削工程における割り出し送りの距離が大きいほど、研削加工の回数が少なくなり効率化を図ることができるものの、吸着チャック18の上面の精度が悪化してしまう。この点、図示の実施形態では、研削砥石60の幅tが分割予定ライン4の間隔sより僅かに広く、かつ保持面研削工程における割り出し送りの距離が分割予定ライン4の間隔sであるので、第一の方向の分割予定ライン4aの数量(図示の実施形態では第二方向の分割予定ライン4bの数量と同一である。)に対応する回数の研削加工を吸着チャック18の上面に施すことができると共に、研削加工による研削領域の重複が少なく、吸着チャック18の上面における分割予定ライン4が位置づけられる部分を複数回にわたって研削することがない。したがって、分割予定ライン4に沿って切削されるウエーハ2の切削加工に適した吸着チャック18の上面を精度よく、そしてまた効率よく形成することができる。
【0019】
保持面研削工程を実施した後、切削手段24から研削砥石60を外し切削ブレード32を装着する切削ブレード装着工程を実施する。切削ブレード装着工程では、まず、第二のカバー部材40およびブレード検出ブロック44を第一のカバー部材36から外す。次いで、スピンドル30の雄ねじ30bとナット34との締結を解除してスピンドル30から研削砥石60を外す。次いで、切削ブレード32の開口32aをスピンドル30に嵌合し、スピンドル30の雄ねじ30bにナット34を締結することにより、スピンドル30の先端部に切削ブレード32を装着する。そして、第二のカバー部材40およびブレード検出ブロック44を第一のカバー部材36に固定する。
【0020】
切削ブレード装着工程を実施した後、ウエーハ2に形成された第一の方向の分割予定ライン4aをX軸方向に平行に位置づけてチャックテーブル16の保持面に保持する第一の保持工程を実施する。第一の保持工程では、まず、粘着テープ10を介して環状フレーム8に支持された切削前のウエーハ2を搬出入手段52によってカセット46から引き出し仮置きテーブル50まで搬出する。次いで、仮置きテーブル50に搬出された切削前のウエーハ2を第一の搬送手段54によってチャックテーブル16に搬送する。この際は、第一の方向の分割予定ライン4aをX軸方向に平行に位置づけて、ウエーハ2を吸着チャック18の上面に載せる。次いで、第一のバルブ17cを開け第二のバルブ19cを閉じた上で、吸引源17bを作動して吸着チャック18の上面に吸引力を生成することによりウエーハ2を吸引保持し、また複数のクランプ20で環状フレーム8を固定する。吸着チャック18でウエーハ2を吸引保持すると、ウエーハ2の厚みが数十〜数百μm程度と薄いことから、保持面研削工程において研削した吸着チャック18の上面に沿うようにウエーハ2が変形する。
【0021】
第一の保持工程を実施した後、第一の方向の分割予定ライン4aをX軸方向に切削すると共にY軸方向に割り出し送りして第一の方向の分割予定ライン4aを切削する第一の切削工程を実施する。図8を参照して説明すると第一の切削工程では、まず、撮像手段22で上方からウエーハ2を撮像し、撮像手段22で撮像したウエーハ2の画像に基づいて、切削すべき第一の方向の分割予定ライン4aを検出する。次いで、X軸送り手段でチャックテーブル16を移動させると共に、Y軸送り手段で切削手段24を移動させることにより、第一の方向の分割予定ライン4aを切削ブレード32の下方に位置づける。次いで、図8に矢印Aで示す方向にスピンドル30と共に切削ブレード32をモータで回転させる。次いで、Z軸送り手段で切削手段24を下降させ、第一の方向の分割予定ライン4aに切削ブレード32の刃先を切り込ませると共に、X軸送り手段を作動して切削手段24に対してチャックテーブル16を相対的にX軸方向に加工送りすることによって、第一の方向の分割予定ライン4aをX軸方向に切削する第一の切削加工を施す。第一の切削加工の際は、第一の切削水供給ノズル36aおよび第二の切削水供給ノズル40aから切削ブレード32およびウエーハ2に向かって切削水を噴射する。次いで、Y軸送り手段を作動して分割予定ライン4の間隔sの分だけチャックテーブル16に対して切削手段24を相対的にY軸方向に割り出し送りする。そして、第一の切削加工と割り出し送りとを交互に繰り返すことにより、第一の方向の分割予定ライン4aのすべてをX軸方向に切削する。第一の方向の分割予定ライン4aに沿って第一の切削加工が施された部分(第一の加工ライン)を図8に符号62aで示す。
【0022】
第一の切削工程を実施した後、チャックテーブル16からウエーハ2を離脱させウエーハ2に形成された第二の方向の分割予定ライン4bをX軸方向に平行に位置づけてチャックテーブル16の保持面に保持する第二の保持工程を実施する。第二の保持工程では、まず、吸引源17bの作動を停止させ又は第一のバルブ17cを閉じ、吸着チャック18の吸引力を解除すると共に、クランプ20による環状フレーム8の固定を解除する。次いで、第一の搬送手段54によってウエーハ2を上昇させてチャックテーブル16から離脱させる。次いでウエーハ2を90度回転させ、第二の方向の分割予定ライン4bをX軸方向に平行に位置づけて吸着チャック18の上面にウエーハ2を載せる。そして、吸着チャック18でウエーハ2を吸引保持すると共に、複数のクランプ20で環状フレーム8を固定する。第二の保持工程においても、吸着チャック18でウエーハ2を吸引保持すると吸着チャック18の上面に沿うようにウエーハ2が変形する。なお、ウエーハ2をチャックテーブル16から離脱させた後、ウエーハ2を90度回転させずにチャックテーブル16を90度回転させてウエーハ2をチャックテーブル16に置き直し、その後チャックテーブル16を90度回転させて元に戻すことにより、第二の方向の分割予定ライン4bをX軸方向に平行に位置づけるようにしてもよい。
【0023】
第二の保持工程を実施した後、第二の方向の分割予定ライン4bをX軸方向に切削すると共にY軸方向に割り出し送りして第二の方向の分割予定ライン4bを切削する第二の切削工程を実施する。図9を参照して説明すると第二の切削工程では、第一の切削工程と同様に、まず、撮像手段22で上方からウエーハ2を撮像し、撮像したウエーハ2の画像に基づいて第二の方向の分割予定ライン4bを検出する。次いで、チャックテーブル16および切削手段24を移動させることにより、第二の方向の分割予定ライン4bを切削ブレード32の下方に位置づける。次いで、図9に矢印Aで示す方向にスピンドル30と共に切削ブレード32をモータで回転させる。次いで、Z軸送り手段で切削手段24を下降させ、第二の方向の分割予定ライン4bに切削ブレード32の刃先を切り込ませると共に、X軸送り手段を作動して切削手段24に対してチャックテーブル16を相対的にX軸方向に加工送りすることによって、第二の方向の分割予定ライン4bをX軸方向に切削する第二の切削加工を施す。第二の切削加工の際も、第一の切削水供給ノズル36aおよび第二の切削水供給ノズル40aから切削ブレード32およびウエーハ2に向かって切削水を噴射する。次いで、Y軸送り手段を作動して分割予定ライン4の間隔sの分だけチャックテーブル16に対して切削手段24を相対的にY軸方向に割り出し送りする。そして、第二の切削加工と割り出し送りとを交互に繰り返すことにより、第二の方向の分割予定ライン4bのすべてをX軸方向に切削する。第二の方向の分割予定ライン4bに沿って第二の切削加工が施された部分(第二の加工ライン)を図9に符号62bで示す。
【0024】
第二の切削工程を実施した後、切削済みのウエーハ2をチャックテーブル16から洗浄手段56に第二の搬送手段58で搬送する。次いで、切削済みのウエーハ2を洗浄手段56で洗浄し、切削屑および切削水を除去すると共にウエーハ2を乾燥させる。次いで、洗浄したウエーハ2を第一の搬送手段54によって仮置きテーブル50に搬送する。そして、仮置きテーブル50に位置づけられた切削済みのウエーハ2を搬出入手段52によってカセット46に搬入する。
【0025】
以上のとおり図示の実施形態では、チャックテーブル16をX軸方向に加工送りした際におけるチャックテーブル16のZ軸方向への揺動に対応するように保持面研削工程において吸着チャック18の上面を研削し、また第一および第二の保持工程において吸着チャック18で保持したウエーハ2が吸着チャック18の上面に沿うように変形するので、チャックテーブル16をX軸方向に加工送りした際にチャックテーブル16がZ軸方向に揺動しても、切削ブレード32で切削する加工位置では、実質的にチャックテーブル16の揺動が0(切削ブレード32に対する吸着チャック18の上面位置が一定)となり、切削溝の深さを高精度に維持することができる。したがって図示の実施形態では、第一の切削工程および第二の切削工程において、たとえば第一の方向の分割予定ライン4aおよび第二の方向の分割予定ライン4bに沿ってウエーハ2の表面2aから裏面までウエーハ2を完全に切断すると共に、粘着テープ10を5μm程度の深さで切削する高精度な加工を行うことができる。
【符号の説明】
【0026】
2:ウエーハ
2a:ウエーハの表面
4:分割予定ライン
4a:第一の方向の分割予定ライン
4b:第二の方向の分割予定ライン
s:分割予定ラインの間隔
12:加工装置
16:チャックテーブル
60:研削砥石
t:研削砥石の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9