【文献】
大久保 榮,H.265/HEVC教科書,第1版,日本,株式会社インプレスジャパン 土田 米一,2013年10月21日,pp.47,92,150−154
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
新たな映像メディアの特徴として、従来の映像信号で表現できない黒と白の表現範囲を拡大したHDR(high dynamic range)信号の標準化が行われた。このHDR信号では、従来のSDR(Standard Dynamic Range)信号に比べて、光の強度が低いところから高いところ(すなわち、暗いところから明るいところ)までを限られたビット深度の中に記録するため、従来よりも極端なγ補正と呼ばれる信号抑圧処理が加えられている。HDRの方式としては、現在、ARIB STD−B67で規定されているHLG(Hybrid-Log Gamma)方式と、SMPTE ST.2084で規定されているPQ(Perceptual Quantize)方式がありこれらの方式はITU-RにおいてRecommendation ITU-R BT.2100として国際標準化されている。なお、将来的にはこれら以外の方式が規定される可能性もある。
【0009】
図1に、SDR信号と、HLG方式及びPQ方式のHDR信号について、画像の輝度信号レベルと、表示装置に表示される表示輝度レベルとの対応関係(逆γ補正)を示す。なお、HLG方式は表示装置のピーク輝度を最大値とする相対的なシステムであるため、図中ではピーク輝度を1000cd/m
2として示す。また同様に、従来のSDR信号も表示装置のピーク輝度を最大値とする相対的なシステムであるため、現在市販されているディスプレイを例としてピーク輝度を250cd/m
2として示す。
【0010】
HDR信号では、輝度信号レベルの変動に対する、表示輝度レベル(明るさ)の変化が、従来のSDR信号に比べ大きくなっている。そのため、信号レベルの大きい領域では、量子化ひずみによるブロックノイズが従来の信号劣化に比べ誇張されて表現される。特に、最も信号の抑圧度合いが大きいPQ方式では、輝度信号レベルに対する表示輝度レベルの変動が顕著であり、ブロックひずみによる信号劣化の影響もまた顕著である。この現象を低減するために、信号レベルに応じて量子化パラメータを小さくするという対策を行うことが一般的になっている。
【0011】
従来のデブロッキングフィルタでは、ブロック間のスムージングを実現するフィルタの強度を切り替えるための閾値がフレーム単位で量子化パラメータに応じて予め決められており、輝度信号レベルに応じた制御は行われていなかった。そのため、HDR信号では、輝度信号レベルの差と表示輝度レベルの差の非線形性が強く、従来のデブロッキングフィルタではブロックひずみを十分に低減することが困難であった。また、従来のSDR信号でもガンマ補正による非線形性があるため、輝度レベルが高い領域においてデブロッキングフィルタの効果が低減するという課題があった。
【0012】
また、量子化パラメータを必要以上に小さくすることにより、ブロックの平均的な誤差量を低減させることは可能であるが、量子化パラメータが小さくなることによりデブロッキングフィルタの作用も小さくなり、境界部において輝度信号レベルの差が顕著に表示されてしまうことを十分に改善することはできなかった。また、量子化パラメータを小さくすると情報量が増加するため、圧縮効果も低減してしまうという課題があった。
【0013】
かかる事情に鑑み、本開示は、圧縮効果を損なうことなく、SDR信号の高輝度部、及びHDR信号に対してもブロックひずみを低減することが可能な符号化装置、復号装置、符号化方法、及び復号方法を提供することを目的とする。
【0014】
一実施形態に係る符号化装置は、入力画像を符号化する符号化装置であって、入力画像と該入力画像の予測画像との差を示す残差画像に対して直交変換処理を行って直交変換係数を算出する変換部と、量子化パラメータに基づいて、前記直交変換係数を量子化して量子化係数を生成する量子化部と、前記量子化係数を符号化して符号化データを生成するエントロピー符号化部と、前記量子化パラメータに基づいて、前記量子化係数から直交変換係数を復元し、該直交変換係数に対して逆直交変換を行って復元した残差画像に前記予測画像を加算して再構成画像を生成する画像復号部と、前記再構成画像に対してフィルタ処理を行うデブロッキングフィルタ部と、を備える。前記デブロッキングフィルタ部は、前記再構成画像の輝度信号レベルと前記量子化パラメータに応じてフィルタ強度を制御する。
【0015】
一実施形態に係る復号装置は、入力画像の符号化データを復号する復号装置であって、符号化データを復号して、直交変換係数を量子化した量子化係数を取得するエントロピー復号部と、量子化パラメータに基づいて、前記量子化係数から直交変換係数を復元し、該直交変換係数に対して逆直交変換を行って復元した残差画像に予測画像を加算して再構成画像を生成する画像復号部と、前記再構成画像に対してフィルタ処理を行うデブロッキングフィルタ部と、を備える。前記デブロッキングフィルタ部は、前記再構成画像の輝度信号レベルと前記量子化パラメータに応じてフィルタ強度を制御する。
【0016】
かかる符号化装置及び復号装置によれば、輝度信号レベルに応じてフィルタ強度を変更可能となり、圧縮効果を損なうことなく、SDR信号のみならずHDR信号に対してもブロックひずみを低減することができる。
【0017】
以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(符号化装置)
一実施形態に係る符号化装置について、以下に説明する。
図2に、一実施形態に係る符号化装置の構成例を示す。
図2に示す符号化装置1は、ブロック分割部11と、減算部12と、変換部13と、量子化部14と、逆量子化部15と、逆変換部16と、加算部17と、デブロッキングフィルタ部18と、サンプルアダプティブオフセット部19と、記憶部20と、イントラ予測部21と、動き補償予測部22と、切替部23と、エントロピー符号化部24とを備える。なお、サンプルアダプティブオフセット部19に代えてあるいは追加して、他のポストフィルタ処理を行う処理部を設けてもよい。
【0018】
ブロック分割部11は、入力画像である符号化対象フレームを複数のブロックに分割し、ブロック画像を減算部12に出力する。ブロックのサイズは可変サイズであってもよく、例えば32×32画素、16×16画素、8×8画素、又は4×4画素とする。
【0019】
減算部12は、ブロック分割部11から入力されたブロック画像の各画素値から、入力画像の予測画像の各画素値を減算して、ブロック画像と予測画像との差を示す残差画像を生成し、変換部13に出力する。予測画像は、後述するイントラ予測部21又は動き補償予測部22から切替部23を介して入力される。
【0020】
変換部13は、減算部12から入力された残差画像に対して直交変換処理を行って直交変換係数を算出し、ブロックごとの直交変換係数を量子化部14に出力する。
【0021】
量子化部14は、量子化の粗さを規定する量子化パラメータ(qP)に基づいて、変換部13から入力されたブロックごとの直交変換係数を量子化して量子化係数を生成し、量子化係数を逆量子化部15及びエントロピー符号化部24に出力する。より詳細には、量子化部14は、変換部13から入力されたブロックごとの直交変換係数を、量子化パラメータから導出される量子化ステップで除することにより、量子化係数を生成する。例えば、量子化パラメータの値は0から51までであり、量子化パラメータが6増加すると量子化ステップが2倍となる(すなわち、量子化パラメータと量子化ステップの対数が比例する)ように対応付けられている。
【0022】
逆量子化部15は、量子化パラメータに基づいて、量子化部14から入力された量子化係数から直交変換係数を復元し、逆変換部16に出力する。より詳細には、逆量子化部15は、量子化部14から入力された量子化係数に対して、量子化パラメータから導出される量子化ステップを乗ずることにより、ブロックごとの直交変換係数を復元する。
【0023】
逆変換部16は、逆量子化部15から入力された直交変換係数に対して逆直交変換を行って残差画像を生成し、生成された残差画像を加算部17に出力する。例えば、変換部13が離散コサイン変換を行った場合には、逆変換部16は逆離散コサイン変換を行う。
【0024】
加算部17は、逆変換部16から入力された残差画像と、切替部23から入力された予測画像の各画素値を加算して再構成画像を生成し、再構成画像をデブロッキングフィルタ部18に出力する。
【0025】
デブロッキングフィルタ部18は、加算部17から入力された再構成画像に対してフィルタ処理を行い、フィルタ処理後の再構成画像をサンプルアダプティブオフセット部19に出力する。デブロッキングフィルタ部18は、再構成画像の輝度信号レベル(輝度成分の画素値)と量子化パラメータに応じてフィルタ強度を制御する。この処理の詳細については後述する。
【0026】
サンプルアダプティブオフセット部19は、デブロッキングフィルタ部18から入力された画像を画素単位で分類し、各画素値に分類に応じたオフセットを加算し、その結果を復号画像として記憶部20に出力する。また、サンプルアダプティブオフセット部19は、サンプルアダプティブオフセットの情報をエントロピー符号化部24に出力する。
【0027】
イントラ予測部21は、記憶部20に記憶された復号画像を参照して、イントラ予測を行ってイントラ予測画像を生成し、イントラ予測画像を切替部23に出力する。また、イントラ予測部21は、選択したイントラ予測モードをエントロピー符号化部24に出力する。
【0028】
動き補償予測部22は、記憶部20に記憶された復号画像を参照して、ブロックマッチングなどの手法により動きベクトルを生成し、動きベクトルの情報をエントロピー符号化部24に出力する。さらに、動き補償予測部22は、動きベクトルに基づいて動き補償予測画像を生成し、動き補償予測画像を切替部23に出力する。
【0029】
切替部23は、イントラ予測部21から入力されたイントラ予測画像と、動き補償予測部22から入力された動き補償予測画像とを切替えて、復号画像の予測画像(イントラ予測画像又は動き補償予測画像)を減算部12及び加算部17に出力する。
【0030】
逆量子化部15と、逆変換部16と、加算部17と、イントラ予測部21と、動き補償予測部22と、切替部23とにより、画像復号部10を構成する。画像復号部10は、上記のように、量子化パラメータに基づいて、量子化係数から直交変換係数を復元し、該直交変換係数に対して逆直交変換を行って復元した残差画像に予測画像を加算することにより再構成画像を生成する。
【0031】
エントロピー符号化部24は、量子化部14から入力された量子化係数、イントラ予測部21から入力されたイントラ予測モード、動き補償予測部22から入力された予測動きベクトルの情報、デブロッキングフィルタ部18から入力されたフィルタに関する情報、及びサンプルアダプティブオフセット部19から入力されたサンプルアダプティブオフセットの情報に対してエントロピー符号化を行い、データ圧縮を行って符号化データを生成し、符号化データを符号化装置1の外部に出力する。エントロピー符号化は、0次指数ゴロム符号やCABAC(Context-based Adaptive Binary Arithmetic Coding;コンテキスト適応型2値算術符号)など、任意のエントロピー符号化方式を用いることができる。
【0032】
(デブロッキングフィルタ部)
次に、デブロッキングフィルタ部18の詳細について説明する。本実施形態では、デブロッキングフィルタ部18が処理を行うブロックサイズを例えば8×8画素とする。デブロッキングフィルタ部18は、まずブロックごとに平滑化処理の強さを示す境界強度Bs(Boundary Strength)値を求める。Bs値は0,1,2のいずれかとする。
【0033】
図3にデブロッキングフィルタ処理を行うブロック境界を示す。
図3を参照して、H.265/HEVC方式に準拠したデブロッキングフィルタ処理の一例について説明する。ブロックP又はQがイントラ予測を行うブロックである場合には、Bs値を2とする。ブロックP及びQがインター予測を行うブロックであり、且つ少なくとも以下の一つの条件を満たす場合には、Bs値を1とし、その他の場合には、Bs値を0とする。
・ブロックP又はQが有意な(非ゼロの)直交変換係数を含み、変換ユニットTU(Transform Unit)の境界であること。
・ブロックP及びQの動きベクトルの本数あるいは参照画像が異なること。
・ブロックP及びQの動きベクトルの差の絶対値が4画素以上であること。
【0034】
デブロッキングフィルタ部18は、Bs値が0の場合にはフィルタ処理を行わない。以下、
図3に示す垂直ブロック境界を例に説明する。Bs値が1又は2の場合には、次式(1)を満たす場合にのみ、フィルタリング処理を行う。
【0036】
また、フィルタリング処理を行う際には、デブロッキングフィルタ部18は、以下の条件式(2)〜(7)を全て満たす場合に強いフィルタを適用し、それ以外の場合に弱いフィルタを適用する。
【0038】
閾値β及びt
Cの値は、隣接するブロックPとブロックQの量子化パラメータの平均値Q
avに応じて変わる。デブロッキングフィルタ部18は、Q
avと閾値β及びt
Cとの対応関係を示す基準テーブルを有する。基準テーブルの一例を表1に示す。画像のビット深度が8ビットの場合の閾値β,t
Cをそれぞれ閾値β’,t
C’として表記している。なお、Q
av,β’,t
C’は、フレーム又はスライス単位でそれぞれオフセットを加えた値とすることも可能である。
【0040】
ビット深度をBとすると、閾値β及びt
Cは、それぞれ式(8)(9)で表される。ここで、<<1は1ビットの算術左シフト演算を意味する。
【0042】
本発明では、デブロッキングフィルタ部18は、新たに追加する輝度信号レベル(輝度成分の画素値)Lによって基準テーブルをシフトして閾値β及びt
Cを設定する。輝度信号レベルLの値は、例えば(p0
0+p0
3+q0
0+q0
3)/4や、(p0
0+p0
1+p0
2+p0
3+q0
0+q0
1+q0
2+q0
3)/8とする。なお、輝度信号レベルLの求め方は一例であり、これに限定されるものではない。
【0043】
デブロッキングフィルタ部18は、入力画像の輝度値のダイナミックレンジを規定したフォーマットを取得する。映像フォーマットについては、例えばH.265/HEVC方式ではSequence parameter setと呼ばれる高位シンタックスによって伝送されるものであり、復号装置で信号の種別を識別することが一般的に可能である。本実施形態では、このフォーマットは、例えばSDR,HLG,PQの三種類とする。デブロッキングフィルタ部18は、PQ方式やHLG方式などのHDR方式はSDR方式に比べて輝度信号レベルの差が表示輝度に与える影響が一段と高いことを考慮し、輝度信号レベルLに応じてフィルタ強度を制御する。具体的には、表1に示すβ’及びt
C’を、Q
avをインデックスとするβ’[Q
av]及びt
C’[Q
av]とし、輝度信号レベルLに応じて閾値β’[Q
av−a]及びt
C’[Q
av−b]をシフト量a,bによって制御する。シフト量a,bは、例えば式(10)の基準によって決定する。式(10)では、輝度信号レベルLを0〜1.0に正規化した場合のシフト量a,bの一例を示す。また、デブロッキングフィルタ部18は、アプリケーションごとの要求条件に応じてシフト量a,bを決定してもよく、簡単にはa=bとしてもよい。また、a=0又はb=0として、閾値β’,t
C’の一方のみをシフトさせるようにしてもよい。
SDR信号の場合
if (L < 0.75)
a=0;
else if (L >= 0.75)
a=2;
if (L < 0.75)
b=0;
else if (L >= 0.75)
b=1;
HLG信号の場合
if (L < 0.5)
a=0;
else if (L >= 0.5 && L < 0.75)
a=2;
else if (L >= 0.75)
a=5;
if (L < 0.5)
b=0;
else if (L >= 0.5 && L < 0.7)
b=3;
else if (L >= 0.7)
b=6;
PQ信号の場合
if (L < 0.3)
a=-1;
else if (L >= 0.3 && L < 0.4)
a=0;
else if (L >= 0.4 && L < 0.5)
a=1;
else if (L >= 0.5 && L < 0.7)
a=5;
else if (L >= 0.7 && L < 0.85)
a=10;
else if (L >= 0.85 && L < 0.95)
a=12;
else if (L >= 0.95)
a=15;
if (L < 0.3)
b=-1;
else if (L >= 0.3 && L < 0.5)
b=0;
else if (L >= 0.5 && L < 0.7)
b=1;
else if (L >= 0.7 && L < 0.95)
b=5;
else if (L >= 0.95)
b=7; (10)
【0044】
例えば、シフト量a=b=5のとき、デブロッキングフィルタ部18は、基準テーブルの閾値β’及びt
C’を左に5だけシフトする。その結果を表2に示す。なお、シフト量aがマイナスであれば、右にシフトする。なお、表に示すように閾値β’及びt
C’が0となった場合には、それ以降の閾値も下限0とする。閾値β’及びt
C’が上限値64及び24に至った場合には、それ以降は上限値で補完する。
【0046】
デブロッキングフィルタ部18は、輝度信号レベルLに応じて規定されたシフト量aに従って基準テーブルの閾値β’及びt
C’をシフトすることにより、Q
avに応じたフィルタ強度の切替えの閾値を適応的に制御することができる。基準テーブルの閾値β’及びt
C’を右にシフトすると、閾値β及びt
Cの値が大きくなるので、上記条件式(2)〜(7)を満たしやすくなり、強いフィルタが適用されやすくなる。したがって、本発明に係る符号化装置1においては、輝度信号レベルLが大きい場合にはデブロッキングフィルタ部18で強いフィルタが適用されやすくなり、その結果、圧縮効果を損なうことなくブロックひずみの発生を低減することができる。
【0047】
このように、符号化装置1において、デブロッキングフィルタ部18は、再構成画像の輝度信号レベルと量子化パラメータに応じてフィルタ強度を制御する。一実施形態では、デブロッキングフィルタ部18は、量子化パラメータから算出される第1の値(Q
av)とフィルタ強度を定める第2の値(β、t
C)との対応関係を示すフィルタ強度設定情報(基準テーブル)を保持する。デブロッキングフィルタ部18は、再構成画像の輝度信号レベルに応じてフィルタ強度設定情報を修正し、修正されたフィルタ強度設定情報に第1の値を適用することによって第2の値を導出する。第1の値は、再構成画像において隣接する2つのブロックの量子化パラメータの平均値によって定まる値である。第2の値は、フィルタ強度を切り替えるための閾値として機能する値である。デブロッキングフィルタ部18は、第2の値を用いてフィルタ強度を切り替える。
【0048】
一実施形態では、デブロッキングフィルタ部18は、入力画像の輝度値のダイナミックレンジを規定したフォーマットに応じてフィルタ強度を制御する。デブロッキングフィルタ部18は、量子化パラメータから算出される第1の値(Q
av)とフィルタ強度を定める第2の値(β、t
C)との対応関係を示すフィルタ強度設定情報(基準テーブル)と、フィルタ強度設定情報の修正方法をフォーマットごとに定義する修正用情報(式(10)参照)とを保持する。デブロッキングフィルタ部18は、入力画像に適用されたフォーマットに対応する修正方法を修正用情報に基づいて特定し、特定された修正方法を用いて、再構成画像の輝度信号レベルに応じてフィルタ強度設定情報を修正し、修正されたフィルタ強度設定情報に第1の値を適用することによって第2の値を導出する。
【0049】
なお、上述した符号化装置1として機能させるためにコンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、符号化装置1の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。なお、このプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録可能である。
【0050】
(復号装置)
次に、一実施形態に係る復号装置について説明する。
図4は、一実施形態に係る復号装置の構成例を示すブロック図である。
図4に示す復号装置2は、エントロピー復号部31と、逆量子化部32と、逆変換部33と、加算部34と、デブロッキングフィルタ部35と、サンプルアダプティブオフセット部36と、記憶部37と、イントラ予測部38と、動き補償予測部39と、切替部40とを備える。復号装置2は、符号化装置1によって符号化された、入力画像の符号化データを復号する。
【0051】
エントロピー復号部31は、符号化装置1が出力する符号化データを復号し、量子化係数、イントラ予測モード、動き予測情報、フィルタに関する情報、及びサンプルアダプティブオフセットの情報を取得する。そして、エントロピー復号部31は、量子化係数を逆量子化部32に出力し、イントラ予測モードをイントラ予測部38に出力し、動き予測情報を動き補償予測部39に出力し、フィルタに関する情報をデブロッキングフィルタ部35に出力し、サンプルアダプティブオフセットの情報をサンプルアダプティブオフセット部36に出力する。
【0052】
逆量子化部32は、エントロピー復号部31から量子化係数及び量子化パラメータを入力し、量子化係数に量子化パラメータから導出される量子化ステップを乗算してブロックごとの直交変換係数を復元し、直交変換係数を逆変換部33に出力する。
【0053】
逆変換部33は、逆量子化部32から入力された直交変換係数に対して逆変換を行って残差画像を生成し、残差画像を加算部34に出力する。
【0054】
加算部34は、逆変換部33から入力された残差画像と、切替部40から入力された予測画像の各画素値を加算して再構成画像を生成し、再構成画像をデブロッキングフィルタ部35に出力する。
【0055】
デブロッキングフィルタ部35は、加算部34から入力された再構成画像に対してフィルタ処理を行い、フィルタ処理後の再構成画像をサンプルアダプティブオフセット部36に出力する。デブロッキングフィルタ部35は、再構成画像の輝度信号レベル(輝度成分の画素値)と量子化パラメータに応じてフィルタ強度を制御する。
【0056】
サンプルアダプティブオフセット部36は、エントロピー復号部31から入力されたサンプルアダプティブオフセットの情報に従って、デブロッキングフィルタ部35から入力された画像にオフセットを加算し、その結果を復号画像として記憶部37に出力する。
【0057】
記憶部37は、1フレーム分の画像を記憶するとともに、記憶した画像を復号装置2の外部に出力する。
【0058】
イントラ予測部38は、記憶部37に記憶された復号画像を参照し、エントロピー復号部31から入力されたイントラ予測モードに従って予測処理を行ってイントラ予測画像を生成し、イントラ予測画像を切替部40に出力する。
【0059】
動き補償予測部39は、記憶部37に記憶された復号画像を参照し、エントロピー復号部31から入力された動きベクトルの情報に従って予測処理を行って動き補償予測画像を生成し、動き補償予測画像を切替部40に出力する。
【0060】
切替部40は、イントラ予測部38から入力されたイントラ予測画像と、動き補償予測部39から入力された動き補償予測画像とを切替えて、イントラ予測画像又は動き補償予測画像を加算部34に出力する。
【0061】
逆量子化部32と、逆変換部33と、加算部34と、イントラ予測部38と、動き補償予測部39と、切替部40とにより、画像復号部30を構成する。画像復号部30は、上記のように、量子化パラメータに基づいて、量子化係数から直交変換係数を復元し、該直交変換係数に対して逆直交変換を行って復元した残差画像に復号画像の予測画像を加算することにより再構成画像を生成する。
【0062】
デブロッキングフィルタ部35の処理はデブロッキングフィルタ部18と同様である。すなわち、デブロッキングフィルタ部35は、輝度信号レベルLに応じて規定されたシフト量aに従って基準テーブルの閾値β’及びt
C’をシフトすることにより、Q
avに応じたフィルタ強度の切替えの閾値を適応的に制御することができる。基準テーブルの閾値β’及びt
C’を右にシフトすると、閾値β及びt
Cの値が大きくなるので、上記条件式(2)〜(7)を満たしやすくなり、強いフィルタが適用されやすくなる。したがって、本発明に係る復号装置2においては、輝度信号レベルLが大きい場合にはデブロッキングフィルタ部35で強いフィルタが適用されやすくなり、その結果、圧縮効果を損なうことなくブロックひずみの発生を低減することができる。
【0063】
このように、復号装置2において、デブロッキングフィルタ部35は、再構成画像の輝度信号レベルと量子化パラメータに応じてフィルタ強度を制御する。一実施形態では、デブロッキングフィルタ部35は、量子化パラメータから算出される第1の値(Q
av)とフィルタ強度を定める第2の値(β、t
C)との対応関係を示すフィルタ強度設定情報(基準テーブル)を保持する。デブロッキングフィルタ部35は、再構成画像の輝度信号レベルに応じてフィルタ強度設定情報を修正し、修正されたフィルタ強度設定情報に第1の値を適用することによって第2の値を導出する。第1の値は、再構成画像において隣接する2つのブロックの量子化パラメータの平均値によって定まる値である。第2の値は、フィルタ強度を切り替えるための閾値として機能する値である。デブロッキングフィルタ部35は、第2の値を用いてフィルタ強度を切り替える。
【0064】
一実施形態では、デブロッキングフィルタ部35は、入力画像の輝度値のダイナミックレンジを規定したフォーマットに応じてフィルタ強度を制御する。デブロッキングフィルタ部35は、量子化パラメータから算出される第1の値とフィルタ強度を定める第2の値との対応関係を示すフィルタ強度設定情報(基準テーブル)と、フィルタ強度設定情報の修正方法をフォーマットごとに定義する修正用情報(式(10)参照)とを保持する。デブロッキングフィルタ部35は、入力画像に適用されたフォーマットに対応する修正方法を修正用情報に基づいて特定し、特定された修正方法を用いて、再構成画像の輝度信号レベルに応じてフィルタ強度設定情報を修正し、修正されたフィルタ強度設定情報に第1の値を適用することによって第2の値を導出する。
【0065】
なお、上述した復号装置2として機能させるためにコンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、復号装置2の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。なお、このプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録可能である。
【0066】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【0067】
本願は日本国特許出願第2016−230524(2016年11月28日出願)及び日本国特許出願第2017−23345(2017年2月10日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。