特許第6985292号(P6985292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985292
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリアミド粒子
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20211213BHJP
   C08L 79/04 20060101ALI20211213BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20211213BHJP
   C08G 73/06 20060101ALI20211213BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20211213BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20211213BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20211213BHJP
   C08K 3/10 20180101ALI20211213BHJP
【FI】
   C08L77/00
   C08L79/04 A
   C08K3/013
   C08G73/06
   C11D3/37
   D06F35/00 Z
   C08K3/08
   C08K3/10
【請求項の数】15
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2018-555882(P2018-555882)
(86)(22)【出願日】2017年4月25日
(65)【公表番号】特表2019-515080(P2019-515080A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】EP2017059726
(87)【国際公開番号】WO2017186677
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2020年4月22日
(31)【優先権主張番号】16166968.4
(32)【優先日】2016年4月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティナ シェーマー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ピエール ベルカン リントナー
(72)【発明者】
【氏名】ズィーモン クニーゼル
(72)【発明者】
【氏名】ユアゲン ヴィータン
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−514284(JP,A)
【文献】 特開2004−333566(JP,A)
【文献】 特表2012−513432(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/004444(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/006424(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 77/00
C08L 79/04
C08K 3/013−3/10
C08G 73/06
C11D 3/37
D06F 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリアミドと、イミダゾリウム基を有する少なくとも1種のポリマー型イオン性化合物(イミダゾリウム化合物)とを含む熱可塑性ポリアミド粒子であって、1mm〜100mmの最大直径を有する楕円体形状または略楕円体形状を有し、少なくとも2.5g/cm3の密度を有する少なくとも1種の粒状無機充填剤をさらに含み、その際、前記熱可塑性ポリアミド粒子は、少なくとも1.65g/cm3の密度を有し、かつ前記熱可塑性ポリアミド粒子に対する前記粒状無機充填剤の量は、50質量%〜80質量%であり、ここで、略楕円体形状は、楕円体の任意に選択されたいずれかの位置で、理想楕円体の相応の直径から20%以下だけ逸脱した楕円体の直径を特徴とし、前記ポリマー型イオン性化合物は、前記ポリアミドと共有結合を形成することが可能な少なくとも1個の末端基を有し、かつポリマー型イミダゾリウム化合物およびポリアミドの混合および加熱から、ポリマー型イミダゾリウム化合物とポリアミド主鎖との間の共有結合または結合が形成される熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項2】
前記イミダゾリウム基を有するポリマー型イオン性化合物(イミダゾリウム化合物)は、
a)少なくとも1種のα−ジカルボニル化合物、
b)少なくとも1種のアルデヒド、
c)少なくとも2個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のアミノ化合物、
d)任意に、1個だけの第一級アミノ基を有するアミノ化合物、および
e)少なくとも1種のプロトン酸
を反応させ、任意にその反応生成物をアニオン交換に供することによって得ることができ、その際、
前記成分a)およびb)において、前記アルデヒドのカルボニル基は、ヘミアセタールまたはアセタールとして存在してもよく、かつ前記α−ジカルボニル化合物のアルデヒド基またはケト基は、ヘミケタールまたはケタールとして存在してもよく、かつ
前記ポリマーは、少なくとも8個のイミダゾリウム環を含み、または前記イミダゾリウム基を有する少なくとも1種のポリマー型イオン性化合物(イミダゾリウム化合物)は、一般式(IV)
【化1】
[式中、
1およびR2は、独立して水素、ならびに非置換または置換されたC1〜C20−アルキル、C1〜C20−アルコキシ、C1〜C20−アルキルチオ、C3〜C8−シクロアルキル、C3〜C8−シクロアルコキシ、C3〜C8−シクロアルキルチオ、アリール、アリールオキシ、およびアリールチオから選択され、
3は、水素、C1〜C20−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、任意に置換されたアリール、および基−CH2−[O−CH2CH2x−ORa(式中、xは、1、2、3、4、5または6であり、かつRaは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択され、
それぞれのAは、独立して、二価の脂肪族基、脂環式基、脂肪族−脂環式基、芳香族基、または芳香脂肪族基であり、上述の脂肪族基、脂肪族−脂環式基または芳香脂肪族基中の脂肪族部は、−O−、−S−および−N(Rb)−から選択される1個以上の隣接していない基により中断されていてよく、ここで、Rbは、水素、C1〜C20−アルキル、および基−[CH2CH2−O]y−Rc(式中、yは、1、2、3、4、5または6であり、かつRcは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択され、上述の脂環式基、脂肪族−脂環式基、芳香族基または芳香脂肪族基中の脂環式部または芳香族部は、C1〜C20−アルキル、C1〜C20−アルコキシ、式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基、カルボキシルおよびカルボキシレートから選択される1個、2個、3個または4個の基により置換されていてよく、かつ上述の脂肪族基、脂肪族−脂環式基、または芳香脂肪族基中の脂肪族部は、C1〜C20−アルコキシ、式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基、カルボキシルおよびカルボキシレートから選択される1個、2個、3個または4個の基により置換されていてよく、かつ
n-は、n価のアニオンである]の少なくとも8個の繰返単位からなる、請求項1記載の熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項3】
前記少なくとも1種のプロトン酸e)のアニオン、および/または前記イミダゾリウム化合物のアニオンは、
− 塩化物イオン、臭化物イオン、およびヨウ化物イオンの群、
− カルボン酸イオン、および多塩基性カルボン酸の群、
− 硫酸イオン、亜硫酸イオン、およびスルホン酸イオンの群、
− リン酸イオンの群
から選択される、請求項記載の熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項4】
前記少なくとも1種のプロトン酸e)のアニオン、および/または前記イミダゾリウム化合物のアニオンは、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、グリコール酸イオン(ヒドロキシ酢酸イオン)、アジピン酸イオン、コハク酸イオン、フタル酸イオン、テレフタル酸イオン、メトキシ酢酸イオン、(C1〜C4−アルコキシ)(CH2CH2O)xCH2COO-(式中、xは、1、2、3または4である)、安息香酸イオン、リン酸水素イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、およびメタンスルホン酸イオンから選択される、請求項2または3記載の熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項5】
前記イミダゾリウム基を有する少なくとも1種の化合物の主鎖は、1,4−結合されたフェニレン環を含まない、請求項2から4までのいずれか1項に記載の熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項6】
前記少なくとも2個の第一級アミノ基を有するアミノ化合物は、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、または1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンではない、請求項2から5までのいずれか1項に記載の熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項7】
前記少なくとも1種のイミダゾリウム化合物の主鎖は、該イミダゾリウム基の窒素原子の他に、水素とは異なる4個の残基を有する第四級窒素原子を一切含まない、請求項2からまでのいずれか1項記載の熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項8】
成分c)は、
− 式1
2N−A−NH2 (1)
[式中、Aは、二価の脂肪族基、脂環式基、脂肪族−脂環式基、芳香族基、または芳香脂肪族基であり、上述の脂肪族基、脂肪族−脂環式基または芳香脂肪族基中の脂肪族部は、−O−、−S−および−N(Rb)−から選択される1個以上の隣接していない基により中断されていてよく、ここで、Rbは、水素、C1〜C20−アルキル、および基−[CH2CH2−O]y−Rc(式中、yは、1、2、3、4、5または6であり、かつRcは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択され、上述の脂環式基、脂肪族−脂環式基、芳香族基または芳香脂肪族基中の脂環式部または芳香族部は、C1〜C20−アルキル、C1〜C20−アルコキシ、式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基、カルボキシルおよびカルボキシレートから選択される1個、2個、3個または4個の基により置換されていてよく、かつ上述の脂肪族基、脂肪族−脂環式基、または芳香脂肪族基中の脂肪族部は、C1〜C20−アルコキシ、式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基、カルボキシルおよびカルボキシレートから選択される1個、2個、3個または4個の基により置換されていてよい]のアミン、
− 式2
【化3】
[式中、
Yは、CRC、N、C2〜C6−アルキル、またはC3〜C6−シクロアルキルであり、
1、E2、およびE3は、互いに独立して、単結合、C1〜C10−アルキレン、−NRD−C2〜C10−アルキレン、または−O−C1〜C10−アルキレンであるが、ただし、E1、E2、およびE3は、単結合ではなく、かつYがNである場合に−NRD−C2〜C10−アルキレンではなく、
Cは、H、C1〜C4−アルキル、C2〜C4−ヒドロキシアルキル、またはC1〜C4−アルコキシであり、かつ
BおよびRDは、互いに独立して、H、C1〜C4−アルキル、C2〜C4−ヒドロキシアルキル、またはC1〜C4−アルコキシである]のアミン、および
− それらの混合物から選択され、かつ/または
成分c)は、窒素含有ポリマーである、請求項2からまでのいずれか1項記載の熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項9】
前記式中、
− 前記二価の脂肪族基Aは、直鎖状および分枝鎖状のC1〜C30−アルキレンから選択され、該C1〜C30−アルキレンは、−O−、−S−および−N(Rb)−[式中、Rbは、水素、C1〜C20−アルキル、および基−[CH2CH2−O]y−Rc(式中、yは、1、2、3、4、5または6であり、かつRcは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択される]から選択される1個以上の隣接していない基により中断されていてよく、かつ/またはC1〜C20−アルコキシ、式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基、カルボキシルおよびカルボキシレートから選択される1個、2個、3個または4個の基により置換されていてよく、
− 前記二価の脂環式基Aは、1個、2個、3個または4個のC1〜C4−アルキル基を有し得るC5〜C8−シクロアルキレンから選択され、
− 前記二価の脂肪族−脂環式基Aは、C1〜C4−アルキレン−C5〜C8−シクロアルキレン、C5〜C8−シクロアルキレン−C1〜C4−アルキレン−C5〜C8−シクロアルキレン、およびC1〜C4−アルキレン−C5〜C8−シクロアルキレン−C1〜C4−アルキレンから選択され、その際、該シクロアルキレン基は、1個、2個、3個または4個のC1〜C4−アルキル基を有し得、
− 前記二価の芳香族基Aは、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフチレン、およびビフェニレンから選択され、その際、該フェニレン基は、C1〜C20−アルキル、C1〜C20−アルコキシ、および式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基から選択される1個、2個、3個または4個の基を有し得、かつ
− 前記二価の芳香脂肪族基Aは、フェニレン−C1〜C4−アルキレン、フェニレン−C1〜C4−アルキレンフェニレン、およびC1〜C4−アルキレンフェニレン−C1〜C4−アルキレンから選択され、その際、該フェニレン基は、C1〜C20−アルキル、C1〜C20−アルコキシ、および式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基から選択される1個、2個、3個または4個の基を有し得る、請求項記載の熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項10】
成分c)は、
− 式H2N−(CH2m−NH2(式中、mは、3〜20の整数であり、ここでCH2基は、カルボキシル基またはカルボキシレート基により置換されていてよい)の化合物、
− 式NH2−[B−X]k−B−NH2(式中、XはOであり、それぞれのBは、独立して、C2〜C6−アルキレンであり、かつkは、1〜100の整数である)の化合物、
− ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、1,1−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2−アミノプロピルシクロヘキシルアミン、3(4)−アミノメチル−1−メチルシクロヘキシルアミン、
− 3−アミノメチルベンジルアミン、
− 式2で示され、式中、YがCRCであり、ここでRCはHまたはC1〜C4−アルキルであり、かつE1、E2およびE3が、互いに独立して、−O−C1〜C6−アルキレンであるアミン、ならびに
それらの混合物から選択され、または成分c)は、2個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のアミン、および2個より多くの第一級アミノ基を有する少なくとも1種のアミンを含む、アミノ化合物の混合物である、請求項または記載の熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項11】
前記ポリマー型イオン性化合物の末端基は、アミノ基である、請求項1から10までのいずれか1項記載の熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項12】
前記熱可塑性ポリアミド粒子は、少なくとも1.9g/cm3の密度を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項13】
前記粒状無機充填剤は、金属、金属酸化物、金属塩、およびそれらの混合物から選択される、請求項12記載の熱可塑性ポリアミド粒子。
【請求項14】
成分を、240℃〜350℃の範囲の温度で混合、引き続き成形する、請求項1から13までのいずれか1項記載の熱可塑性ポリアミド粒子の製造方法。
【請求項15】
前記成形は、ペレット化である、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリアミド粒子、その製造方法、および洗濯方法におけるその使用に関する。
【0002】
テキスタイルの清浄化におけるポリアミド粒子の使用は、自体公知である。国際公開第2012/056252号パンフレット(WO2012/056252)は、改善された洗濯および清浄化方法であって、テキスタイルを、水と0.5g/cm3〜2.5g/cm3の範囲の平均密度および5mm3〜275mm3の範囲の平均体積を有する円柱形もしくは球形を有するポリマー粒子とを用いて処理する方法に関する。洗濯に使用される洗浄ドラムは、有孔の側壁を備え、0.05g〜900gの範囲の重力加速度をもたらすような速度で回転される。適切であると記載されるポリマー粒子は、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリアルケン、ポリアミド、ポリエステル、またはポリウレタンを基礎とする発泡粒子または未発泡粒子である。特に好ましいと指摘されているのは、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートである。円柱形または球形を有する例示されるポリアミド粒子は、1.10g/cm3〜1.16g/cm3の密度を有する。同様に1.16g/cm3〜1.88g/cm3の範囲の密度を有する球形のナイロン−6,6粒子が第7表に記載されているが、どのようにしてその粒子の密度にするかについては示されていない。さらに、粒子密度および粒子サイズの両方とも、洗濯作業の後の粒子の回収に影響を及ぼすことが示されている。
【0003】
ポリアミド粒子がテキスタイルの清浄化において使用される場合に、色捕集効果があるだけでなく、洗濯効果に対しても大きな補助をもたらす。ポリアミド粒子を使用する洗濯および清浄化方法の目的は、使用される水、エネルギー、および洗剤の量を減らすと同時に、改善された洗濯効果を達成することである。その方法の状況、例えば簡単かつ完全なポリアミドペレットの除去、匹敵する洗浄サイクル時間、および洗浄機の価格は、最終消費者に従来の洗濯方法に代わる魅力的な選択肢を提供するべきである。その洗濯効果は、作業温度、洗剤配合、サイクル時間、および粒子特徴等の多くの要因により影響される。
【0004】
既知のポリマー粒子については、洗濯作業の完了後のそれらの除去は、さらなる改善が可能である。さらに、該粒子は、テキスタイルを優しく処理するために摩耗性であるべきではない。さらに、既知のポリマー粒子は、しばしば湿潤環境中で室温または高められた温度で貯蔵される。これにより、ポリマー粒子の表面上にカビもしくは菌類の形成、または一般的に細菌もしくは菌類による粒子の汚染が引き起こされることがある。
【0005】
ポリマーに添加することができる種々の抗微生物剤、例えば銀または銀化合物が知られている。銀添加剤は、それらがマイグレーションおよび湿分によってのみ活性化されるにすぎないことと、水との長期の接触に際して浸出することが欠点である。
【0006】
本発明の課題は、前記洗濯方法において使用するためのポリマー粒子であって、細菌および菌類に対して耐性であり、かつ細菌および菌類に耐性の添加剤が浸出しないポリマー粒子を提供することである。
【0007】
本発明のさらなる課題は、前記洗濯方法において使用するためのポリマー粒子であって、洗濯液および/または洗浄液から容易に除去可能であり、かつテキスタイルに摩耗作用を生じないポリマー粒子を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる課題によれば、該ポリマー粒子の洗濯効果は、改善されるべきである。
【0009】
前記の2つの課題は、一般化された形では、先行技術と比較して改善された洗濯特性を発揮する熱可塑性ポリアミド粒子を提供することとして表現され得る。
【0010】
前記課題は、本発明により、少なくとも1種のポリアミドと、イミダゾリウム基を有する少なくとも1種のポリマー型イオン性化合物(イミダゾリウム化合物)とを含む熱可塑性ポリアミド粒子であって、1mm〜100mm、好ましくは2mm〜10mm、より好ましくは3mm〜8mmの最大直径を有する楕円体形状または略楕円体形状を有する熱可塑性ポリアミド粒子によって解決される。
【0011】
イミダゾリウム基を有するポリマー型イオン性化合物は、例えば以下の参考文献から公知であり、それらは、本発明により使用することができるイミダゾリウム基を有するポリマー型イオン性化合物(イミダゾリウム化合物)を記載している。
【0012】
国際公開第2010/072571号パンフレット(WO2010/072571A1)は、ポリマー型イオン性イミダゾリウム化合物を製造する方法であって、α−ジカルボニル化合物、アルデヒド、少なくとも2個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のアミノ化合物、およびプロトン酸を互いに反応させる方法を開示している。ポリマー型イオン性イミダゾリウム化合物も同様に開示されている。
【0013】
これらのポリマー型イミダゾリウム化合物の殺生物剤としての使用は、国際公開第2012/127009号パンフレット(WO2012/127009)に開示されている。これらの殺生物剤は、とりわけ熱可塑性ポリマー、例えばポリアミドに添加され得ることが開示されている。しかしながら、開示された例は、ポリマー型イミダゾリウム化合物の化粧品用途に関する。
【0014】
欧州特許出願公開第0594329号明細書(EP−A−0594329A1)は、ポリ第四級アンモニウム化合物を含む抗微生物剤を開示している。該化合物は、抗微生物剤として、特に菌類および細菌に対して有用であると記載されている。
【0015】
米国特許第6,416,770号明細書(US6,416,770B1)は、複素環式の第四級ポリアンモニウムポリマーの、ケラチン繊維用の保護剤および化粧品組成物としての使用を開示している。この参考文献は、ポリマー型イミダゾリウム化合物の製造を開示している。
【0016】
前記参考文献に開示されるポリマー型イミダゾリウム化合物は、本発明の熱可塑性ポリアミド粒子中で使用され得る。
【0017】
本発明により使用することができるイミダゾリウム化合物を含有しないポリアミド粒子は、2015年11月30日に出願された未(事前)公開のPCT/EP2015/078025に記載されている。
【0018】
本発明によれば、ポリマー型イミダゾリウム化合物は、好ましくは洗濯洗浄方法において使用される、1mm〜100mm、好ましくは2mm〜10mm、より好ましくは3mm〜8mmの最大直径を有する楕円体形状または略楕円体形状を有する熱可塑性ポリアミド粒子において特に有用であり、かつ活性であることが判明した。該ポリマー型イミダゾリウム化合物は、熱可塑性ポリアミド粒子中で優れた抗微生物活性を示すと同時に、湿気のある環境または水性環境において長期間にわたり貯蔵される場合にもほとんど浸出を示さない。
【0019】
優れた抗微生物活性を発揮するポリマー型イミダゾリウム化合物は、配合により永続的にポリマーマトリックスと混和され得る。該イミダゾリウム化合物のポリマー的性質により、該化合物は、ポリマーマトリックス中での低下したマイグレーション挙動を示す。さらに、該ポリマー型イミダゾリウム化合物の高熱安定性により、ポリアミドの融点を上回る温度での配合による該化合物とポリアミドとの混和が可能となる。
【0020】
本発明による熱可塑性ポリアミド粒子は、少なくとも2.5g/cm3の密度を有する少なくとも1種の粒状無機充填剤を含有しても、または含有しなくてもよい。好ましくは、本発明による熱可塑性ポリアミド粒子は、少なくとも2.5g/cm3の密度を有する少なくとも1種の粒状無機充填剤を含み、その際、該熱可塑性ポリアミド粒子(粒状無機充填剤およびポリマー型イミダゾリウム化合物を含む)は、少なくとも1.65g/cm3、好ましくは少なくとも1.9g/cm3の密度を有する。
【0021】
さらに、本発明によれば、少なくとも1.65g/cm3、好ましくは少なくとも1.9g/cm3の密度を有するとともに、1mm〜100mm、好ましくは2mm〜10mm、より好ましくは3mm〜8mm、例えば3mm〜6mmの最大直径を有する楕円体形状または略楕円体形状を有する、ポリマー型イミダゾリウム化合物を含有する熱可塑性ポリアミド粒子は、洗濯作業が終わった後に簡単に除去され、さらに該粒子は鋭い縁部を一切有さないので、洗濯されるべきテキスタイルに摩耗作用を生じないことが判明した。
【0022】
前記課題はまた、そのような熱可塑性ポリアミド粒子を製造する方法であって、それらの成分を配合、好ましくは押出して、引き続き成形、好ましくはペレット化、より具体的には水中ペレット化を行うことによる方法によって解決される。
【0023】
前記課題はまた、洗濯方法における前記熱可塑性ポリアミド粒子の使用であって、好ましくは、汚れたテキスタイルが、前記ポリアミド粒子および液体媒体を含む清浄化組成物の存在下で該テキスタイルを撹拌することにより清浄化される使用によって解決される。
【0024】
何らかの特定の理論により制約されることを望むものではないが、より高い密度を有する好ましい清浄化粒子は、清浄化方法の終わりに清浄化された生地からより良好に分離し、このことは、高密度の充填剤の使用により非常に効果的に達成される一方で、優れた清浄化特徴とリサイクル可能性とをもたらす低密度ナイロン熱可塑性プラスチックの使用もなおも可能にすると考えられる。
【0025】
本明細書で使用されるテキスタイルという用語は、好ましくは、繊維、一般的に糸に撚られた繊維を含む織布を意味する。
【0026】
生地は、例えばタオル、衣服、シート、履物、またはバッグの形であってもよい。適切な衣服の例としては、シャツ、ズボン、スカート、コート、靴下、ジャンパー等が挙げられる。前記テキスタイルは、任意の適切な材料の繊維から製造されてよく、好ましくは、該テキスタイルは、羊毛、セルロース、絹、ナイロン、ポリエステル、またはアクリルでできた1種以上の繊維であるか、またはそれらを含む。前記生地は、好ましくは汚れている。汚れ物質の例としては、体液および身体産物(例えば、血液、汗、垢、皮脂)、草、食物(例えば、卵、チョコレート、カレー、ワイン、小麦粉、トマト)、飲料(特に、果汁、コーヒー、および紅茶)、泥、インキ(例えば、ペンおよびフェルトペン由来)、化粧品(メークアップ)、およびオイル(例えば、エンジンオイル)が挙げられる。
【0027】
本発明の熱可塑性ポリアミド粒子は、好ましくは2mm〜10mm、より好ましくは3mm〜8mmの最大直径を有する楕円体形状または略楕円体形状を有する。
【0028】
楕円体は、本発明によれば、三次元空間において球面(球体)の伸長または圧縮された(アフィン)像として説明することができる楕円の三次元類似体であると解釈される。直交座標と、楕円体の対称軸に従うx、yおよびzの座標軸の方向を使用すると、その方程式は、(x2/a2)+(y2/b2)+(z2/c2)−1=0となり得、式中の正の実数a、bおよびcは、半軸の長さに相当する。種々の長さの半軸の場合に、区別され得る4つの異なる場合:
a>b>cの場合に、三軸楕円体となる
a=b>cの場合に、扁平楕円体となる
a=b<cの場合に、拡張または伸長楕円体となる
a=b=cの場合に、球形となる
が存在する。
【0029】
2つの半軸が同じ長さを有する場合に、これらの2つの半軸によって張られる相応の楕円体は、円形断面を有する。
【0030】
本発明の楕円体は、鋭い縁部が存在しないことを特徴とし、その代わりに、該楕円体は全ての側面で丸みを帯びている。
【0031】
本発明の楕円体において、半軸a、bおよびcの長さは自由に選択することができ、したがって該楕円体は、真の楕円体か、あるいは球形状を表し得る。異なる長さの半軸a、bおよびcは、異なる直径をもたらし得る。本発明によれば、前記楕円体または熱可塑性ポリアミド粒子は、3mm〜8mm、好ましくは4mm〜7mmの最大直径を有する。最大直径は、本明細書においては、一般的に楕円体の最長半軸の2倍である。したがって、最大直径は、楕円体の中心点を通る最大長さを有する虚軸を指す。
【0032】
本発明による略楕円体形状は、例えば楕円体の表面における突出および窪みの結果として、理想的楕円体の形状から逸脱した形状である。楕円体の相応の突出および窪みも、楕円体の湾曲も、これらの点で楕円体の直径の変化をもたらす。本発明によれば、略楕円体形状は、楕円体の任意に選択されたいずれかの位置で、理想楕円体の相応の直径から20%以下、好ましくは10%以下、より具体的に5%以下だけ逸脱した楕円体の直径を特徴としている。
【0033】
熱可塑性ポリアミド粒子の製造の過程において、特にペレット化段階においては、得られた楕円体の半軸の長さにおいて、しばしばある特定のばらつきが存在する。一般的に、熱可塑性ポリアミドを圧縮成形、射出成形または注型成形する成形法によって、非常に大幅に同一の楕円体が得られる。
【0034】
成分の押出による本発明により好ましい成形、それに続いてのペレット化、好ましくは水中ペレット化による成形の過程において、楕円体形状のある特定のばらつきと、理想形状からの逸脱が存在する。
【0035】
特に好ましい楕円体は、球形状から逸脱した楕円体である。
【0036】
前記粒子は、好ましくは、後ろに行くほど好ましくなる順序で、1.5、1.4、1.3、1.28、1.25、1.22、1.20、1.17、1.15、および1.12のアスペクト比を有する。もちろん、考えられる最低のアスペクト比は1.0である。これらの比は、洗浄サイクルの終わりにより良好に分離する、より平滑で楕円体/球体状の形状に相当する。該アスペクト比は、それぞれの粒子について最大長さ寸法および最小長さ寸法を計測することにより計算される。これから、それぞれの粒子のアスペクト比を計算することができ、次いで多くの粒子の数平均を求めることができる。粒子の最大長さ寸法および最小長さ寸法を計測するために好ましい方法は、ノギスの使用による方法である。
【0037】
好ましくは、清浄化粒子の数平均サイズまたはアスペクト比は、少なくとも10個、より好ましくは少なくとも20個、最も好ましくは少なくとも30個の清浄化粒子からの計測結果である。
【0038】
本発明の粒子についてのアスペクト比は、最も好ましくは1.2未満である。
【0039】
前記(略)楕円体形状および前記アスペクト比は、画像的に、または好ましくは光学/デジタル画像処理法、例えば粒子の1つ以上のデジタル画像またはそれらの投影を、例えば自動的にまたはコンピュータを用いて解析する画像処理法により測定することができる。例えば、粒子がスクリーンに落とす投影の動的画像解析のために2つのCCDカメラとストロボライトとを使用するカムサイザー(Retsch Technology社)が使用され得る。
【0040】
本発明の熱可塑性ポリアミド粒子は、少なくとも1種のポリアミドを含む。このポリアミドは、任意に選択され得る。
【0041】
ポリアミドは、必須成分としてポリマー主鎖に繰り返しアミド基を有する合成の長鎖ポリアミドのホモポリマーまたはコポリマーであると解釈される。そのようなポリアミドの例は、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ナイロン−4,6(ポリテトラメチレンアジパミド)、ナイロン−5,10(ポリペンタメチレンアジパミド)、ナイロン−6,10(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ナイロン−7(ポリエナントラクタム)、ナイロン−11(ポリウンデカノラクタム)、およびナイロン−12(ポリドデカノラクタム)である。これらのポリアミドは、ナイロンという総称を有する。
【0042】
ポリアミドは、原則的に2つの方法により製造され得る。
【0043】
アミノ酸からの重合でのように、ジカルボン酸およびジアミンからの重合においては、出発モノマーまたは出発オリゴマーのアミノ末端基およびカルボキシル末端基が互いに反応して、アミド基および水を形成する。その水は、引き続きポリマー組成物から除去することができる。カルボキサミドからの重合の場合には、出発モノマーまたは出発オリゴマーのアミノ末端基およびアミド末端基が互いに反応して、アミド基およびアンモニアを形成する。そのアンモニアは、引き続きポリマー組成物から除去することができる。
【0044】
ポリアミドの製造のための適切な出発モノマーまたは出発オリゴマーの例は、以下の通りである。
(1)C2〜C20、好ましくはC3〜C18アミノ酸、例えば6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、そしてまたそれらの二量体、三量体、四量体、五量体、または六量体、
(2)C2〜C20アミノ酸アミド、例えば6−アミノカプロアミド、11−アミノウンデカンアミド、そしてそれらの二量体、三量体、四量体、五量体、または六量体、
(3)(3a)C2〜C20、好ましくはC2〜C12アルキレンジアミン、例えばテトラメチレンジアミン、または好ましくはヘキサメチレンジアミンと、(3b)C2〜C20、好ましくはC2〜C14脂肪族ジカルボン酸、例えばセバシン酸、デカンジカルボン酸、またはアジピン酸との反応生成物、そしてそれらの二量体、三量体、四量体、五量体、または六量体、
(4)(3a)と、(4b)C8〜C20、好ましくはC8〜C12芳香族ジカルボン酸、またはその誘導体、例えば塩化物、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸、好ましくはイソフタル酸またはテレフタル酸との反応生成物、そしてまたそれらの二量体、三量体、四量体、五量体、または六量体、
(5)(3a)と、(5b)C9〜C20、好ましくはC9〜C18アリール脂肪族ジカルボン酸、またはその誘導体、例えば塩化物、例えばo−、m−、またはp−フェニレン二酢酸との反応生成物、そしてまたそれらの二量体、三量体、四量体、五量体、または六量体、
(6)(6a)C6〜C20、好ましくはC6〜C10芳香族ジアミン、例えばm−またはp−フェニレンジアミンと、(3b)との反応生成物、そしてまたそれらの二量体、三量体、四量体、五量体、または六量体、
(7)(7a)C7〜C20、好ましくはC8〜C18アリール脂肪族ジアミン、例えばm−またはp−キシリレンジアミンと、(3b)との反応生成物、そしてまたそれらの二量体、三量体、四量体、五量体、または六量体、
(8)C2〜C20、好ましくはC2〜C18アリール脂肪族ラクタム、または好ましくは脂肪族ラクタム、例えばエナントラクタム、ウンデカノラクタム、ドデカノラクタム、またはカプロラクタムのモノマーまたはオリゴマー、そしてまたそのような出発モノマーまたは出発オリゴマーのホモポリマー、コポリマー、または混合物。
【0045】
本明細書で好ましいのは、重合によりポリアミドのナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−4,6、ナイロン−5,10、ナイロン−6,10、ナイロン−7、ナイロン−11、ナイロン−12、より具体的にはナイロン−6およびナイロン−6,6がもたらされる出発モノマーまたは出発オリゴマーである。
【0046】
さらにまた、例えば1,4−ジアミノブタンとアジピン酸との高められた温度での縮合により得ることができるポリアミド(ナイロン−4,6)を挙げることもできる。この構造を有するポリアミドのための製造方法は、例えば、欧州特許出願公開第38094号明細書(EP−A38094)、欧州特許出願公開第38582号明細書(EP−A38582)、および欧州特許出願公開第39524号明細書(EP−A39524)に記載されている。
【0047】
該ポリアミドの製造は、慣例的なものであるか、または自体公知の方法に従って実施することができる。このように、出発モノマーの重合または重縮合は、慣用の方法条件下で実施することができ、該反応は、連続的にまたは断続的に実施することができる。
【0048】
また上述のモノマーまたはそれらの成分の2種以上の共重縮合によって製造されたポリアミド、例えばアジピン酸、イソフタル酸またはテレフタル酸と、ヘキサメチレンジアミンとのコポリマー、またはカプロラクタム、テレフタル酸、およびヘキサメチレンジアミンのコポリマーを使用することも可能である。これらの種類の部分芳香族コポリアミドは、テレフタル酸およびヘキサメチレンジアミンに由来する単位を40質量%〜90質量%含有する。少量の、好ましくは使用される全体の芳香族ジカルボン酸の10質量%以下のテレフタル酸を、イソフタル酸によって、またはその他の芳香族ジカルボン酸、好ましくはカルボキシル基がパラ位にある芳香族ジカルボン酸により置き換えることができる。
【0049】
1つの部分芳香族ポリアミドは、ノナンジアミンおよびテレフタル酸に由来するナイロン−9Tである。
【0050】
モノマーとしては、環状ジアミン、例えば一般式
【化1】
(式中、
1は、水素またはC1〜C4−アルキル基であり、
2は、C1〜C4−アルキル基または水素であり、かつ
3は、C1〜C4−アルキル基または水素である)の環状ジアミンを検討することも可能である。
【0051】
そのようなジアミンの特に好ましいのは、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、または2,2−ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)プロパンである。そのようなジアミンのさらなるものには、1,3−または1,4−シクロヘキサンジアミン、またはイソホロンジアミンが含まれる。テレフタル酸およびヘキサメチレンジアミンに由来する単位と同様に、部分芳香族コポリアミドは、ε−カプロラクタムに由来する単位、および/またはアジピン酸とヘキサメチレンジアミンとに由来する単位を含む。
【0052】
ε−カプロラクタムに由来する単位の割合は、50質量%以下、好ましくは20質量%〜50質量%、より具体的には25質量%〜40質量%である一方で、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとに由来する単位の割合は、60質量%以下、好ましくは30質量%〜60質量%、より具体的には35質量%〜55質量%である。
【0053】
前記コポリアミドはまた、ε−カプロラクタムの単位およびアジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの単位を含んでもよく、この場合に、芳香族基を含まない単位の割合は、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも20質量%であることが保証されるべきである。ε−カプロラクタムに由来する単位の、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとに由来する単位に対する比率には、本明細書では何ら特定の制約は課されない。
【0054】
部分芳香族コポリアミドは、例えば欧州特許出願公開第129195号明細書(EP−A−129195)および欧州特許出願公開第129196号明細書(EP−A−129196)に記載される方法によって製造され得る。
【0055】
以下の網羅的でない一覧表は、上述のポリアミドと共に、本発明の意味の範囲内のさらなるポリアミド、そして含まれるモノマーを含んでいる。
【0056】
ABポリマー:
PA 4 ピロリドン
PA 6 ε−カプロラクタム
PA 7 エタノラクタム
PA 8 カプリロラクタム
PA 9 9−アミノペラルゴン酸
PA 11 11−アミノウンデカン酸
PA 12 12−ラウロラクタム
AA/BBポリマー
PA 46 テトラメチレンジアミン、アジピン酸
PA 66 ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸
PA 69 ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸
PA 610 ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸
PA 612 ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸
PA 613 ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸
PA 1212 1,12−ドデカンジアミン、デカンジカルボン酸
PA 1313 1,13−ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸
PA 6T ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA 9T 1,9−ノナンジアミン、テレフタル酸
PA MXD6 m−キシリレンジアミン、アジピン酸
PA 6I ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸
PA 6−3−T トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA 6/6T (PA 6およびPA 6Tを参照)
PA 6/66 (PA 6およびPA 66を参照)
PA 6/12 (PA 6およびPA 12を参照)
PA 66/6/610 (PA 66、PA 6、およびPA 610を参照)
PA 6I/6T (PA 6IおよびPA 6Tを参照)
PA PACM 12 ジアミノジシクロヘキシルメタン、ラウロラクタム
PA 6I/6T/PACM PA 6I/6T+ジアミノジシクロヘキシルメタン
PA 12/MACMI ラウロラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、イソフタル酸
PA 12/MACHT ラウロラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、テレフタル酸
PA PDA−T フェニレンジアミン、テレフタル酸。
【0057】
本発明により特に好ましいのは、脂肪族ポリアミドの使用である。これに関連して、脂肪族ポリアミドの混合物を使用することもできる。
【0058】
特に好ましくは、前記少なくとも1種のポリアミドは、ナイロン−6、ナイロン−6,6、またはこれらのポリアミドのブレンドもしくはコポリマーである。
【0059】
したがって、好ましいポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、およびポリカプロラクタム、そしてまたコポリアミド6/66、より具体的には5質量%〜95質量%のカプロラクタム単位の割合を有するコポリアミド6/66(例えば、BASF SE社製のUltramid(登録商標)C33)である。さらに適したポリアミドは、ω−アミノアルキルニトリル、例えばアミノカプロニトリル(PA 6)およびアジポニトリルとヘキサメチレンジアミン(PA 66)とから、独国特許出願公開第10313681号明細書(DE−A10313681)、欧州特許出願公開第1198491号明細書(EP−A1198491)、および欧州特許第922065号明細書(EP922065)に記載される水の存在下での直接重合として知られる重合によって得ることができる。
【0060】
本発明により使用されるポリアミドは、ISO 307により測定されて、好ましくは90ml/g〜350ml/g、より好ましくは110ml/g〜240ml/gの範囲の粘度数を有する。
【0061】
本発明の好ましい熱可塑性ポリアミド粒子において、このポリアミドは、好ましくは、少なくとも2.5g/cm3、好ましくは少なくとも4g/cm3の密度を有する少なくとも1種の粒状無機充填剤と組み合わせられる。その密度の上限は、好ましくは20g/cm3、より好ましくは10g/cm3である。
【0062】
使用することができる粒状無機充填剤は、本発明による密度を有するとともに、熱可塑性ポリアミド粒子に何ら不利な特性をもたらさず、または熱可塑性ポリアミド粒子を使用する洗濯方法に悪影響を及ぼす特性をもたらさない任意の適切な材料である。製造条件および適用条件下で、粒状無機充填剤の性質は不活性であるべきである。
【0063】
前記粒状無機充填剤材料は、好ましくは、金属塩、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、セラミック、金属、合金、およびそれらの組み合わせから選択される1種以上の充填剤であるか、または該充填剤を含む。該無機充填剤は、好ましくは、金属酸化物、金属塩、金属、または合金であるか、またはそれらを含み、より好ましくは金属酸化物、または金属塩であるか、またはそれらを含み、特に金属塩であるか、またはそれを含む。
【0064】
好ましい金属には、バリウム、ビスマス、クロム、カドミウム、銅、コバルト、金、鉄、イリジウム、鉛、モリブデン、ニッケル、オスミウム、パラジウム、白金、銀、タングステン、およびスズが含まれる。
【0065】
好ましい合金には、青銅、真鍮、ローズ合金、合金鋼およびフェロアロイ、ピューター、白目、ニクロム、ならびにコンスタンタンが含まれる。
【0066】
好ましい金属塩は、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、リン酸塩、ケイ酸塩、リン酸水素塩、ハロゲン化物(特に、フッ化物、塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、酢酸塩、および硫酸塩の形である。
【0067】
適切な金属塩には、ケイ酸カルシウム(特に、ウォラストナイト)、炭酸カルシウム(特に、白亜)、ケイ酸マグネシウム(特に、タルク)、および硫酸バリウム(合成または重晶石のいずれか)が含まれる。特に好ましい金属塩は、硫酸バリウムである。
【0068】
適切な金属酸化物には、酸化鉄(特に、マグネタイト)、酸化ビスマス、酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素(特に、石英)が含まれる。
【0069】
好ましくは、前記無機充填剤は、8未満、より好ましくは7未満、なおもより好ましくは6未満、さらにより好ましくは5未満、特に4未満のモース硬度を有する。基準のダイヤモンドがモース硬度10を有する場合に、硫酸バリウムは3のモース硬度を有し、かつ石膏は2のモース硬度を有する。比較的低いモース硬度を有する無機充填剤を使用することが幾つかの観点の助けとなる。まず、低い硬度の無機充填剤の使用は、テキスタイルへの損傷を引き起こす傾向にあるテキスタイル生地への不所望な摩耗を防ぐ助けになると考えられる。さらに、低い硬度の無機充填剤の使用は、充填剤とポリアミドとのホットメルト混合および押出に役立つ。それというのも、その使用は、これらの材料の混合および押出に使用される装置に該充填剤が摩耗、摩損、または損傷を与える傾向を減らすまたは抑えるからである。
【0070】
これらの充填剤は、水中に溶けるべきではなく、または少量だけしか溶けるべきではなく、水との一切の反応を示すべきではない。金属もしくは金属酸化物、または金属硫化物、金属硫酸塩を使用することが好ましい。適切な金属の1つの例は鉄である。
【0071】
適切な金属酸化物の例は、TiO2、Fe23である。
【0072】
前記無機充填剤は、好ましくは、BaSO4、TiO2、ZnS金属、またはそれらの混合物から選択される。BaSO4、ZnS、または両者の混合物は、特に有利に充填剤として使用される。特に関連が深いのはリトポンである。リトポンは、硫酸バリウムおよび硫化亜鉛の共沈により製造される。最も一般的には、共沈は、等モル量の硫酸亜鉛と硫化バリウムとを合することにより行われる。この経路により、29.4質量%のZnSおよび70.6質量%のBaSO4である生成物が得られる。
【0073】
該充填剤は、楕円体、好ましくは、2mm〜10mm、好ましくは3mm〜5mmの最大直径を有し、平滑な表面を有する楕円体の製造を可能にする粒子サイズを有する。したがって、該充填剤の最大直径は、楕円体の最小直径を十分に下回るべきである。
【0074】
金属は、例えば金属ビーズの形で使用することができる。高密度を有する金属は、例えば鉄またはタングステンである。
【0075】
高密度を有する金属酸化物は、例えばFe23、TiO2である。
【0076】
粒状無機充填剤が使用される場合に、完成した熱可塑性ポリアミド粒子に対する、粒状無機充填剤の量は、好ましくは30質量%〜80質量%、より好ましくは40質量%〜80質量%である。残部割合は、少なくとも1種のポリアミド、ポリマー型イミダゾリウム化合物、および任意のその他の成分によって構成される。
【0077】
本発明の熱可塑性ポリアミド粒子のすべての成分の合計は、常に足して100質量%となる。
【0078】
粒状無機充填剤は、好ましくは、該熱可塑性ポリアミド粒子が少なくとも1.4g/cm3の密度を有するような量で使用される。該熱可塑性ポリアミド粒子の密度の上限は、当初は限定されない。好ましい上限は、該熱可塑性ポリアミド粒子の密度に関しては4g/cm3、より好ましくは3g/cm3である。
【0079】
本発明の熱可塑性粒子は、慣用の加工助剤、例えば安定化剤、酸化防止剤、熱分解および紫外線による分解に対抗する作用剤、滑沢剤、および防かび剤、着色剤、例えば顔料、成核剤、可塑剤等を含み得る。
【0080】
このように、本発明の粒子は、0.05質量%〜3質量%、好ましくは0.1質量%〜1.5質量%、より具体的には0.1質量%〜1質量%の滑沢剤を含み得る。
【0081】
10個〜44個の炭素原子、好ましくは12個〜44個の炭素原子を有する脂肪酸のAl、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属の塩、またはエステル、もしくはアミドが好ましい。
【0082】
金属イオンは、好ましくはアルカリ土類、Zn、およびAlであり、CaまたはMgが特に好ましい。
【0083】
好ましい金属塩は、ステアリン酸カルシウムおよびモンタン酸カルシウム、そしてまたステアリン酸アルミニウムである。
【0084】
異なる塩の混合物を使用してもよく、その場合には混合比は任意である。
【0085】
前記カルボン酸は、一塩基性または二塩基性であり得る。例としては、ペラルゴン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、マルガリン酸、ドデカン二酸、ベヘン酸、特に好ましくはステアリン酸、カプリン酸、およびモンタン酸(30個〜40個の炭素原子を有する脂肪酸の混合物)が挙げられる。
【0086】
前記脂肪族アルコールは、一価ないし四価であり得る。アルコールの例は、n−ブタノール、n−オクタノール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびペンタエリトリトールであり、その際、グリセロールおよびペンタエリトリトールが好ましい。
【0087】
前記脂肪族アミンは、一官能性ないし三官能性であり得る。その例は、ステアリルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジ(6−アミノヘキシル)アミンであり、その際、エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンが特に好ましい。相応して、好ましいエステルまたはアミドは、グリセロールジステアレート、グリセロールトリステアレート、エチレンジアミンジステアレート、グリセロールモノパルミテート、グリセロールトリラウレート、グリセロールモノベヘネート、およびペンタエリトリトールテトラステアレートである。
【0088】
異なるエステルもしくはアミドの混合物、またはエステルとアミドとを組み合わせた混合物を使用してもよく、その場合には混合比は任意である。
【0089】
本発明の粒子は、酸化防止剤、例えば立体障害フェノールを、例えば0.01質量%〜1質量%、好ましくは0.05質量%〜0.3質量%の量で含み得る。
【0090】
適切な立体障害フェノールは、原則的に、フェノール構造を有し、そのフェノール環上に少なくとも1個の立体的に嵩高い基を有するあらゆる化合物である。
【0091】
検討される化合物の例は、好ましくは式
【化2】
(式中、R1およびR2は、アルキル基、置換アルキル基、または置換トリアゾール基であり、ここで、基R1およびR2は、同一または異なってよく、かつR3は、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、または置換アミノ基である)の化合物である。
【0092】
示された種類の酸化防止剤は、例えば独国特許出願公開第2702661号明細書(DE−A2702661)(米国特許第4360617号明細書(US−4360617))に記載されている。
【0093】
好ましい立体障害フェノールのさらなる群は、置換ベンゼンカルボン酸に由来し、より具体的には置換ベンゼンプロピオン酸に由来する。
【0094】
このクラスからの特に好ましい化合物は、式
【化3】
(式中、R4、R5、R7、およびR8は、互いに独立して、C1〜C8−アルキル基であり、該アルキル基は置換されていてもよく(その少なくとも1個は立体的に嵩高い基である)、かつR6は、1個〜10個の炭素原子を有する二価の脂肪族基であり、該脂肪族基は主鎖中にC−O結合を有してもよい)の化合物である。
【0095】
この式に従う好ましい化合物は、
【化4】
(BASF SE社製のIrganox(登録商標)245)
【化5】
(BASF SE社製のIrganox(登録商標)259)
である。
【0096】
全般的に、立体障害フェノールの例としては、以下の:2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジステアリル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ[2.2.2]オクタ−4−イルメチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−3,5−ジステアリルチオトリアジルアミン、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルジメチルアミンが挙げられる。
【0097】
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート](Irganox(登録商標)259)、ペンタエリトリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、そしてまたN,N’−ヘキサメチレンビス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド(Irganox(登録商標)1098)、ならびに前記のBASF SE社製のIrganox(登録商標)245は、特に有効であることが判明し、したがって有利に使用される。
【0098】
特定の場合において、1個以下の立体障害基をフェノール性ヒドロキシル基に対してオルト位で有する立体障害フェノールは、特に長期にわたる散光中での貯蔵における色安定性を評価する場合に特に有利であると判明した。
【0099】
好ましい酸化防止剤のもう1つの群は、0.02質量%〜1質量%、好ましくは0.05質量%〜0.5質量%の量での、いわゆる銅安定化剤である。
【0100】
これらの銅安定化剤は、一般的に2種の成分からなり、その際、これらは銅化合物と特定のハロゲン塩との混合物である。慣用の銅化合物は、銅(I)ハロゲン化物、そしてまた銅塩、例えば酢酸銅、硫酸銅、またはステアリン酸銅、および銅錯体、例えば銅アセチルアセトネートである。酸化防止剤として有効であるこれらの化合物の場合には、ハロゲン化合物は大過剰で添加されねばならない。本明細書では、より具体的にはヨウ化カリウムが使用されるが、臭化カリウムも使用される。使用される量は、慣例的には、銅:ハロゲンのモル比が1:5〜15であるように選択される。添加のために推奨される量は、一般的には30ppm〜200ppmの銅である。さらに、トリフェニルホスフィン、メルカプトベンゾイミダゾール、アセチルアセトネート、およびグリシンという錯体配位子を有する銅錯体が好ましい。トリフェニルホスフィンおよびメルカプトベンゾイミダゾールが特に好ましい。
【0101】
使用される好ましい銅錯体は、慣例的には、銅(I)イオンとホスフィン化合物またはメルカプトベンゾイミダゾール化合物との反応により形成される。これらの錯体は、例えばトリフェニルホスフィンと銅(I)ハロゲン化物のクロロホルム懸濁液との反応により得ることができる(G.Kosta,E.Reisenhofer,and L.Stafani,J.Inorg.Nucl.Chem.27(1965)2581)。しかしまた、銅(II)化合物をトリフェニルホスフィンとの還元的反応に供することで、銅(I)付加化合物を得ることも可能である(F.U.Jardine,L.Rule,A.G.Vohrei,J.Chem.Soc.(A)238−241(1970))。
【0102】
適切な錯体の例は、以下の式:[Cu(PPh33X]、[Cu22(PPh33]、[Cu(PPh3)X]4、および[Cu(PPh32)X](式中、Xは、Cl、Br、I、CN、SCN、または2−MBIから選択される)によって表され得る。
【0103】
酸化防止剤および熱安定化剤の例は、立体障害フェノールおよび/またはホスフィットおよびアミン(例えば、TAD)、ヒドロキノン、芳香族第二級アミン、例えばジフェニルアミン、これらの基の様々な置換された類似物、ならびにそれらの混合物であり、その濃度は、熱可塑性成形コンパウンドの質量に対して1質量%以下である。
【0104】
一般的に前記成形コンパウンドに対して2質量%以下の量で使用されるUV安定化剤としては、様々な置換されたレゾルシノール、サリチレート、ベンゾトリアゾール、およびベンゾフェノンを挙げることができる。
【0105】
無機顔料、例えば二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄、およびカーボンブラック、そしてまた有機顔料、例えばフタロシアニン、キナクリドン、およびペリレン、そしてまた色素、例えばアントラキノンを着色剤として添加することができる。
【0106】
検討される成核剤には、フェニルホスフィン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、またはタルクが含まれる。
【0107】
公知のポリアミド粒子と比べて、粒状無機充填剤を含有する本発明の熱可塑性ポリアミド粒子は、洗浄作業のサイクル終了後に改善された除去特性を示す。さらに、本発明の熱可塑性ポリアミド粒子は、鋭い縁部を有さないため摩耗性ではなく、有利な洗濯特性を示す。
【0108】
前記熱可塑性ポリアミド粒子は、イミダゾリウム基を有する少なくとも1種のポリマー型イオン性化合物(イミダゾリウム化合物)を含む。
【0109】
前記ポリマー型イミダゾリウム化合物は、ポリマー鎖当たりに平均して、好ましくは少なくとも8個のイミダゾリウム環、より好ましくは少なくとも10個のイミダゾリウム環を有する。
【0110】
前記ポリマー型イミダゾリウム化合物は、形成されたポリアミド粒子中に残留し、水と接触した時にポリアミド粒子の外にマイグレーションまたは浸出しない。その一方で、熱可塑性ポリアミド粒子に対して1質量%または3質量%の低い適用レベルでさえも、前記ポリマー型イミダゾリウム化合物は、該ポリアミド粒子の表面で十分な活性を示し、こうしてそれらの抗微生物活性は長時間にわたり十分となる。
【0111】
好ましくは、前記ポリマー型イオン性化合物は、該ポリアミドと共有結合を形成することができる少なくとも1個の末端基を有する。該末端基は、好ましくはアミノ基である。ポリマー型イミダゾリウム化合物およびポリアミドの混合および加熱から、ポリマー型イミダゾリウム化合物とポリアミド主鎖との間の共有結合または結合が形成され、それによりポリマー型イミダゾリウム化合物が固定化され、水と接触した場合に該ポリアミド粒子からのマイグレーションまたは浸出が抑えられる。この効果は、ポリマー型イミダゾリウム化合物と熱可塑性ポリアミドとの間に共有結合または結合が達成される場合に最も顕著である。前記共有結合または結合は、一般的に240℃〜350℃の範囲の温度への加熱に際して形成される。
【0112】
このように、本発明による熱可塑性ポリアミド粒子は、バイオフィルム形成および変色に関する問題を示さずに湿式条件下で貯蔵することができる。したがって、本発明による熱可塑性ポリアミド粒子は、工業用または家庭用の洗濯洗浄方法において、その交換を要するまでに、数百回も使用することができる。したがって、前記熱可塑性ポリアミド粒子は、例えばXeros technology社による特定の洗浄機における化学、温度、および時間等のようなその他の洗浄パラメーターの低下により洗浄結果を改善する助けとなり得る。
【0113】
前記ポリマー型イミダゾリウム化合物は、自体公知である。すべての利用可能なポリマー型イミダゾリウム化合物は、本発明に従って使用することができる。適切なポリマー型イミダゾリウム化合物は、例えば米国特許第6,416,770号明細書(US6,416,770)、欧州特許出願公開第0594329号明細書(EP−A−0594329)、特に国際公開第2012/127009号パンフレット(WO2012/127009)、および国際公開第2010/072571号パンフレット(WO2010/072571)、ならびにその導入部に論じられるさらなる参考文献に開示される。
【0114】
本発明により使用されるポリマー型イミダゾリウム化合物は、優れた抗微生物活性または殺生物活性を示し、こうして前記熱可塑性ポリアミド粒子中で、特に少なくとも2.5g/cm3の密度を有する少なくとも1種の粒状無機充填剤を含有する熱可塑性ポリアミド粒子中で長期持続的な抗微生物活性または殺生物活性のために使用することができる。
【0115】
具体的には、国際公開第2010/072571号パンフレット(WO2010/072571)および国際公開第2012/127009号パンフレット(WO2012/127009)によるイミダゾリウム化合物は、その広い適用範囲において様々な微生物に対して迅速な効果を示す。
【0116】
これらのポリマー型イミダゾリウム化合物は、以下でより詳細に記載されている。アルキル、シクロアルキル、アリール、アルキレン等の特定の用語の定義については、国際公開第2012/127009号パンフレット(WO2012/127009)の第11頁第25行〜第17頁第15行が参照され得る。
【0117】
本発明による殺生物剤組成物のために適したイミダゾリウム化合物およびその製造方法は、国際公開第2010/072571号パンフレット(WO2010/072571)に記載され、それは参照により本明細書で援用される。したがって、前記イミダゾリウム化合物は、必須出発材料としての少なくとも1種のα−ジカルボニル化合物、少なくとも1種のアルデヒド、少なくとも2個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のアミノ化合物、および少なくとも1種のプロトン酸の重縮合反応により得ることができる。重縮合においては、重合は、水またはアルコール等の低分子量化合物の脱離を伴って生ずる。当該事例においては、水が脱離される。前記α−ジカルボニル化合物のカルボニル基が完全にもしくは部分的にケタールとして存在し、かつ/または前記アルデヒドのアルデヒド基がアセタールもしくはヘミアセタールとして存在する場合に、相応して水ではなくアルコールが脱離される。
【0118】
好ましくは、イミダゾリウム基を有するポリマー型イオン性化合物(イミダゾリウム化合物)は、
a)少なくとも1種のα−ジカルボニル化合物、
b)少なくとも1種のアルデヒド、
c)少なくとも2個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のアミノ化合物、
d)任意に、1個だけの第一級アミノ基を有するアミノ化合物、および
e)少なくとも1種のプロトン酸
を反応させ、任意にその反応生成物をアニオン交換に供することにより得ることができ、
前記成分a)およびb)において、前記アルデヒドのカルボニル基は、ヘミアセタールまたはアセタールとして存在してもよく、かつ前記ケトンのカルボニル基は、ヘミケタールまたはケタールとして存在してもよく、
前記イミダゾリウム基を有する少なくとも1種の化合物の主鎖は、好ましくは1,4−結合されたフェニレン環を含まず、
前記少なくとも2個の第一級アミノ基を有するアミノ化合物は、好ましくは1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、または1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンではなく、かつ
前記ポリマーは、好ましくは少なくとも8個のイミダゾリウム環を含み、または前記イミダゾリウム基を有する少なくとも1種のポリマー型イオン性化合物(イミダゾリウム化合物)は、本質的に一般式(IV)
【化6】
[式中、
1およびR2は、独立して水素、ならびにそれぞれの場合に非置換または置換されたC1〜C20−アルキル、C1〜C20−アルコキシ、C1〜C20−アルキルチオ、C3〜C8−シクロアルキル、C3〜C8−シクロアルコキシ、C3〜C8−シクロアルキルチオ、アリール、アリールオキシ、およびアリールチオから選択され、好ましくは水素、ならびにそれぞれの場合に非置換または置換されたC1〜C20−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、およびアリールから選択され、
3は、水素、C1〜C20−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、任意に置換されたアリール、および基−CH2−[O−CH2CH2x−ORa(式中、xは、1、2、3、4、5または6であり、かつRaは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択され、かつ好ましくは、水素、C1〜C20−アルキル、およびC1〜C20−アルキル、C1〜C6−ハロアルキル、C1〜C20−アルコキシ、C1〜C6−ハロアルコキシ、およびNR’R’’(式中、R’およびR’R’’は、互いに独立して、水素およびC1〜C6−アルキルから選択される)から選択される1個、2個、3個、4個または5個の基により置換され得るフェニルから選択され、
それぞれのAは、独立して、二価の脂肪族基、脂環式基、脂肪族−脂環式基、芳香族基、または芳香脂肪族基であり、上述の脂肪族基、脂肪族−脂環式基または芳香脂肪族基中の脂肪族部は、−O−、−S−および−N(Rb)−から選択される1個以上の隣接していない基により中断されていてよく、ここで、Rbは、水素、C1〜C20−アルキル、および基−[CH2CH2−O]y−Rc(式中、yは、1、2、3、4、5または6であり、かつRcは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択され、上述の脂環式基、脂肪族−脂環式基、芳香族基または芳香脂肪族基中の脂環式部または芳香族部は、C1〜C20−アルキル、C1〜C20−アルコキシ、式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基、カルボキシルおよびカルボキシレートから選択される1個、2個、3個または4個の基により置換されていてよく、上述の脂肪族基、脂肪族−脂環式基、または芳香脂肪族基中の脂肪族部は、C1〜C20−アルコキシ、式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基、カルボキシルおよびカルボキシレートから選択される1個、2個、3個または4個の基により置換されていてよく、かつ好ましくは、1,4−結合されたフェニレン単位を含まず、好ましくは2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイルまたは2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1,3−ジイルではなく、かつAは、好ましくはC1〜C30−アルキレン基から選択され、該アルキレン基は、−O−、−S−および−N(Rb)−から選択される1個以上の隣接していない基により中断されていてよく、ここで、Rbは、水素、C1〜C20−アルキル、および基−[CH2CH2−O]y−Rc(式中、yは、1、2、3、4、5または6であり、かつRcは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択され、より好ましくはAは、基−(CH2m−(式中、mは、3〜20、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜12の整数であり、ここで1個のCH2基は、カルボキシル基またはカルボキシレート基により置換されていてよい)、基−[B−X]k−B−(式中、それぞれのXは、独立してOまたはSであり、それぞれのBは、独立してC2〜C6−アルキレン、好ましくはC2〜C3−アルキレンであり、かつkは、1〜100、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜4の整数である)、および以下の式
【化7】
(式中、#は、イミダゾリウム環への結合点である)の1つの基から選択され、かつ
n-は、n価のアニオンである]の少なくとも8個の繰返単位からなる。
【0119】
化合物a)〜e)を後述する。
【0120】
a)α−ジカルボニル化合物
前記α−ジカルボニル化合物は、好ましくは式(I)
1−CO−CO−R2 (I)
(式中、R1およびR2は、独立して水素、ならびにそれぞれの場合に非置換または置換されたアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、アリール、アリールオキシ、アリールチオから選択される)の化合物から選択される。
【0121】
好ましくは、R1およびR2は、独立して水素、ならびにそれぞれの場合に非置換または置換されたアルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択され、より好ましくは水素、ならびにそれぞれの場合に非置換または置換されたC1〜C20−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、およびアリールから選択される。
【0122】
前記α−ジカルボニル化合物a)は、好ましくはグリオキサールを含むか、またはグリオキサールからなる。このように、特にR1およびR2は、水素である。
【0123】
化合物a)のアルデヒド基またはケト基はまた、好ましくは低級アルコール、特にC1〜C10−アルカノールのヘミアセタール、アセタール、ヘミケタール、またはケタールとして存在してもよい。この場合に、イミダゾリウム化合物を形成する縮合反応において、そのアルコールが脱離される。
【0124】
好ましくは、化合物a)は、ヘミアセタール、アセタール、ヘミケタール、またはケタールの形で使用されない。
【0125】
b)アルデヒド
アルデヒドb)は、好ましくは式(II)
3−CHO (II)
(式中、R3は、水素、アルキル、シクロアルキル、およびアリールから選択される)の化合物から選択される。
【0126】
好ましくは、R3は、水素、C1〜C20−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、任意に置換されたアリール、および式−CH2−[O−CH2CH2x−ORa(式中、xは、1、2、3、4、5または6であり、かつRaは、水素またはC1〜C4−アルキルである)の基から選択され、かつより好ましくは、水素、C1〜C20−アルキル、基−CH2−[O−CH2CH2x−ORa(式中、xは、1、2、3、4、5または6であり、かつRaは、水素またはC1〜C4−アルキルである)、およびC1〜C20−アルキル、C1〜C6−ハロアルキル、C1〜C20−アルコキシ、C1〜C6−ハロアルコキシ、およびNR’R’’(式中、R’およびR’R’’は、互いに独立して、水素およびC1〜C6−アルキルから選択される)から選択される1個、2個、3個、4個または5個の基により置換され得るフェニルから選択される。
【0127】
適切なアルデヒドは、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、および20個以下の炭素原子を有するより高級の同族体、ベンゾアルデヒド、置換ベンゾアルデヒド、例えば2−、3−もしくは4−メチルベンゾアルデヒド、2−、3−もしくは4−トリフルオロメチルベンゾアルデヒド、または2−、3−もしくは4−メトキシベンゾアルデヒド、および式CH(=O)−CH2−[O−CH2CH2x−ORa(式中、xは、1、2、3、4、5または6であり、かつRaは、水素またはC1〜C4−アルキルである)のアルデヒドであって、式HOCH2CH2−[O−CH2CH2x−ORa(式中、xは、1、2、3、4、5または6であり、かつRaは、水素またはC1〜C4−アルキルである)のポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールモノエーテルから1個のCH2OH基がCHO基へと酸化されて誘導されるアルデヒドである。
【0128】
アルデヒドb)のアルデヒド基はまた、ヘミアセタールまたはアセタールとして、好ましくは低級アルコール、特にC1〜C10−アルカノールのヘミアセタールまたはアセタールとして存在してもよい。この場合に、イミダゾリウム化合物を形成する縮合反応において、そのアルコールが脱離される。
【0129】
前記アルデヒド基は、好ましくはヘミアセタールまたはアセタールとして存在しない。
【0130】
好ましくは、成分b)は、ホルムアルデヒド源を含むか、またはホルムアルデヒド源からなる。このように、特にR3は水素である。適切なホルムアルデヒド源は、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドオリゴマー(例えば、トリオキサン)、およびホルムアルデヒドのポリマー(例えば、パラホルムアルデヒド)である。より好ましくは、成分b)は、ホルムアルデヒドを含むか、またはホルムアルデヒドからなる。適切な実施形態においては、該ホルムアルデヒドは、水溶液(ホルマリン溶液)として使用される。
【0131】
あるいは前記アルデヒドは、好ましくは、ベンゾアルデヒドおよび式R3−CHO(式中、R3は、C1〜C20−アルキルである)のアルデヒドから選択され、より好ましくはアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、および20個以下の炭素原子を有するより高級の同族体、およびベンゾアルデヒドから選択される。
【0132】
具体的には、前記アルデヒドは、ホルムアルデヒド(またはホルムアルデヒド源)、ドデカナール、およびベンゾアルデヒドから選択され、さらに具体的にはホルムアルデヒド(またはホルムアルデヒド源)である。
【0133】
c)少なくとも2個の第一級アミノ基を有するアミノ化合物
前記アミノ化合物は、好ましくは式(III)
A(NH2m (III)
(式中、
mは、2より大きいまたはそれと等しい整数であり、かつ
Aは、m価の有機基である)の化合物から選択される。
【0134】
式(III)において、mは、基Aに結合された第一級アミノ基の数を示す。mは、非常に大きな値をとり得、例えば、mは、2〜10000の整数、特に2〜5000の整数であってよい。非常に大きな値のmは、例えば式(III)の化合物c)が窒素含有ポリマーを含む場合に存在する。
【0135】
式(III)で示され、mが2であるアミノ化合物c)(ジアミン)のみが使用されるのであれば、得られるイミダゾリウム化合物は線状である。
【0136】
式(III)で示され、mが2より大きい少なくとも1種のアミノ化合物c)が使用されるのであれば、得られるイミダゾリウム化合物は分岐状である。
【0137】
好ましい実施形態においては、mは、2〜6の整数であり、特に2〜4の整数である。より好ましくは、mは2(ジアミン)であるか、またはmは3(トリアミン)である。特に、mは2である。
【0138】
択一的な実施形態においては、成分c)は、2個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のアミノ化合物、および3個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のアミノ化合物を含む。この実施形態においては、mは2より大きく、かつ3未満の範囲の実数である。
【0139】
前記基Aは、特に、ヘテロ原子を含む官能基により置換されているか、または中断されていてよい炭化水素基であり得る。
【0140】
好ましい実施形態においては、成分c)は、
− 式1
2N−A−NH2 (1)
[式中、Aは、二価の脂肪族基、脂環式基、脂肪族−脂環式基、芳香族基、または芳香脂肪族基であり、上述の脂肪族基、脂肪族−脂環式基または芳香脂肪族基中の脂肪族部は、−O−、−S−および−N(Rb)−から選択される1個以上の隣接していない基により中断されていてよく、ここで、Rbは、水素、C1〜C20−アルキル、および基−[CH2CH2−O]y−Rc(式中、yは、1、2、3、4、5または6であり、かつRcは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択され、上述の脂環式基、脂肪族−脂環式基、芳香族基または芳香脂肪族基中の脂環式部または芳香族部は、C1〜C20−アルキル、C1〜C20−アルコキシ、式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基、カルボキシルおよびカルボキシレートから選択される1個、2個、3個または4個の基により置換されていてよく、かつ上述の脂肪族基、脂肪族−脂環式基、または芳香脂肪族基中の脂肪族部は、C1〜C20−アルコキシ、式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基、カルボキシルおよびカルボキシレートから選択される1個、2個、3個または4個の基により置換されていてよいが、ただし、好ましくは前記芳香族基または芳香脂肪族基は、1,4−結合されたフェニレン環を含まない]のアミン、
− 式2
【化8】
[式中、
Yは、CRC、N、C2〜C6−アルキル、またはC3〜C6−シクロアルキルであり、
1、E2、およびE3は、互いに独立して、単結合、C1〜C10−アルキレン、−NRD−C2〜C10−アルキレン、または−O−C1〜C10−アルキレンであるが、ただし、E1、E2、およびE3は、単結合ではなく、かつYがNである場合に−NRD−C2〜C10−アルキレンではなく、
Cは、H、C1〜C4−アルキル、C2〜C4−ヒドロキシアルキル、またはC1〜C4−アルコキシであり、かつ好ましくはH、C1〜C4−アルキル、またはC1〜C4−アルコキシであり、かつ
BおよびRDは、互いに独立して、H、C1〜C4−アルキル、C2〜C4−ヒドロキシアルキル、またはC1〜C4−アルコキシであり、かつ好ましくはH、C1〜C4−アルキル、またはC1〜C4−アルコキシである]のアミン、および
− それらの混合物
から選択される。
【0141】
二価の脂肪族基は、環状脂肪族成分、芳香族成分、または複素環式成分を含まない基である。例は、アルキレン基、アルケニレン基、およびアルキニレン基である。
【0142】
二価の脂環式基は、1個以上、例えば1個または2個の脂環式基を含み得るが、それらの基は、芳香族成分または複素環式成分を含まない。脂環式基は、脂肪族基により置換されていてよいが、NH2基のための結合部位は、該脂環式基上に位置している。
【0143】
二価の脂肪族−脂環式基は、少なくとも1個の二価の脂肪族基を有するだけでなく、少なくとも1個の二価の脂環式基を有し、その際、NH2基のための2個の結合部位は、両者が前記脂環式基上に位置しているか、もしくは両者が前記脂肪族基上に位置しているか、または一方が脂肪族基上に位置しており、かつもう一方が脂環式基上に位置しているかのいずれかであることが可能である。
【0144】
二価の芳香族基は、1個以上、例えば1個または2個の芳香族基を含み得るが、それらの基は、脂環式成分または複素環式成分を含まない。芳香族基は、脂肪族基により置換されていてよいが、両者のNH2基のための結合部位は、該芳香族基上に位置している。
【0145】
二価の芳香脂肪族基は、少なくとも1個の二価の脂肪族基を有するだけでなく、少なくとも1個の二価の芳香族基を有し、その際、NH2基のための2個の結合部位は、両者が前記芳香族基上に位置しているか、もしくは両者が前記脂肪族基上に位置しているか、または一方が脂肪族基上に位置しており、かつもう一方が芳香族基上に位置しているかのいずれかであることが可能である。
【0146】
好ましくは、前記二価の脂肪族基Aは、直鎖状および分枝鎖状のC1〜C30−アルキレンから選択され、該C1〜C30−アルキレンは、−O−、−S−および−N(Rb)−[式中、Rbは、水素、C1〜C20−アルキル、および基−[CH2CH2−O]y−Rc(式中、yは、1、2、3、4、5または6であり、かつRcは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択される]から選択される1個以上の隣接していない基により中断されていてよく、かつ/またはC1〜C20−アルコキシ、式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基、カルボキシルおよびカルボキシレートから選択される1個、2個、3個または4個の基により置換されていてよい。
【0147】
より好ましくは、前記二価の脂肪族基Aは、直鎖状または分枝鎖状のC2〜C20−アルキレン、さらにより好ましくは直鎖状または分枝鎖状のC3〜C20−アルキレン、特に好ましくは直鎖状または分枝鎖状のC4〜C20−アルキレン、特に直鎖状または分枝鎖状のC4〜C12−アルキレン、殊に直鎖状のC4〜C12−アルキレンである。該アルキレン鎖は、カルボキシル基またはカルボキシレート基を有し得る。好ましくは、該アルキレン二価基は直鎖状である。前記基Aがこの意味(C2〜C20−アルキレン)を有する適切なアミンの例は、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,4−ジアミノ−4−メチルペンタン等である。これらの中でも、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、1,8−オクチレンジアミン、1,12−ドデシレンジアミン、およびそれらの混合物が好ましい。また、式NH2−CH(COOH)CH2CH2CH2−NHおよびNH2−CH(COO)CH2CH2CH2−NH2のカルボキシル置換またはカルボキシレート置換されたアルキレンジアミンが好ましい。
【0148】
選択的により好ましい実施形態においては、前記二価の脂肪族基Aは、基−[B−X]k−B−であって、式中、それぞれのXは、独立して−O−、−S−、または−N(Rb)−[式中、Rbは、水素、C1〜C20−アルキル、および基−[CH2CH2−O]y−Rc(式中、yは、1、2、3、4、5または6であり、かつRcは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択される]であり、好ましくはOであり、それぞれのBは、独立して、C2〜C6−アルキレン、好ましくはC2〜C3−アルキレンであり、かつkは、1〜100、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜4の整数である基である。前記基Aがこの意味を有する適切なアミンの例は、アミン末端ポリオキシアルキレンポリオール、例えばジェファーミン、例えば1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン、1,13−ジアミノ−4,7,10−トリオキサトリデカン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミンおよび4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、またはより通例のアミン末端ポリオキシアルキレンジオール(アミン末端ポリアルキレングリコール、アミン末端ポリアルキレンオキシド)、例えばアミン末端ポリエチレングリコール、アミン末端ポリプロピレングリコール、またはアミン末端ポリブチレングリコールである。最後に挙げた3つのアミン(アミン末端ポリアルキレングリコール)は、好ましくは100g/mol〜3000g/molの分子量を有する。これらの中でも、アミンNH2−[CH2CH2O]x−CH2CH2−NH2(式中、xは、2または3、好ましくは2である)、およびNH2−CH2CH2CH2−[CH2CH2O]x−CH2CH2CH2−NH2(式中、xは、2または3、好ましくは2である)が好ましい。
【0149】
好ましくは、前記二価の脂環式基Aは、1個、2個、3個または4個のC1〜C4−アルキル基を有し得るC5〜C8−シクロアルキレンから選択される。前記基Aがこの意味を有する適切なアミンの例は、シクロペンチレンジアミン、例えば1,2−ジアミノシクロペンタンまたは1,3−ジアミノシクロペンタン、シクロヘキシレンジアミン、例えば1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサンまたは1,4−ジアミノシクロヘキサン、1−メチル−2,4−ジアミノシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジアミノシクロヘキサン、シクロヘプチレンジアミン、例えば1,2−ジアミノシクロヘプタン、1,3−ジアミノシクロヘプタンまたは1,4−ジアミノシクロヘプタン、およびシクロオクチレンジアミン、例えば1,2−ジアミノシクロオクタン、1,3−ジアミノシクロオクタン、1,4−ジアミノシクロオクタン、または1,5−ジアミノシクロオクタンである。該アミノ基(NH2基)は、互いにシス位またはトランス位であり得る。
【0150】
好ましくは、前記二価の脂肪族−脂環式基Aは、C1〜C4−アルキレン−C5〜C8−シクロアルキレン、C5〜C8−シクロアルキレン−C1〜C4−アルキレン−C5〜C8−シクロアルキレン、およびC1〜C4−アルキレン−C5〜C8−シクロアルキレン−C1〜C4−アルキレンから選択され、その際、該シクロアルキレン基は、1個、2個、3個または4個のC1〜C4−アルキル基を有し得る。前記基Aがこの意味を有する適切なアミンの例は、ジアミノジシクロヘキシルメタン、例えばビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンまたはビス(3−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、例えば1,1−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2−アミノプロピルシクロヘキシルアミン、3(4)−アミノメチル−1−メチルシクロヘキシルアミン、2−(2−アミノプロピル)シクロヘキシルアミン等である。前記脂環式基に結合される基は、それぞれの場合に、互いに任意の所望の位置(シス/トランス)をとり得る。
【0151】
好ましくは、前記二価の芳香族基Aは、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフチレン、およびビフェニレンから選択され、その際、該フェニレン基は、C1〜C20−アルキル、C1〜C20−アルコキシ、および式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基から選択される1個、2個、3個または4個の基を有し得る。前記基Aがこの意味を有する適切なアミンの例は、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、トリレンジアミン、例えばo−、m−およびp−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、およびナフチレンジアミン、例えば1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,8−、2,3−、2,6−および2,7−ナフチレンである。
【0152】
好ましくは、前記二価の芳香脂肪族基Aは、フェニレン−C1〜C4−アルキレン、フェニレン−C1〜C4−アルキレンフェニレン、およびC1〜C4−アルキレンフェニレン−C1〜C4−アルキレンから選択され、その際、該フェニレン基は、C1〜C20−アルキル、C1〜C20−アルコキシ、および式−O−[CH2CH2O]z−Rd(式中、Rdは、水素またはC1〜C4−アルキルであり、かつzは、1、2、3、4、5または6である)の基から選択される1個、2個、3個または4個の基を有し得る。前記基Aがこの意味を有する適切なアミンの例は、ジアミノジフェニルメタン、例えば2,2’−、3,3’−および4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3−アミノメチルベンジルアミン等である。
【0153】
アミン2のための例は、式(2.A)
【化9】
(式中、R5、R6およびR7は、それぞれ互いに独立して、C1〜C10−アルキレン基、特に好ましくはC2〜C6−アルキレン基である)の化合物、例えばN,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)プロパン−1,3−ジアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス(2−アミノプロピル)アミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、トリス(2−アミノブチル)アミン、トリス(3−アミノブチル)アミン、トリス(4−アミノブチル)アミン、トリス(5−アミノペンチル)アミン、およびトリス(6−アミノヘキシル)アミンである。好ましい実施形態においては、R5、R6およびR7は、同じ意味を有する。好ましい化合物(2.A)は、トリス(2−アミノエチル)アミン(R5=R6=R7=エチレン)である。
【0154】
アミン2のさらなる例は、トリスアミノヘキサン、トリスアミノノナン、4−アミノメチル−1,8−オクタメチレンジアミン等である。
【0155】
アミン2のさらなる例は、以下の構造(2.B)または(2.C):
【化10】
の化合物である。
【0156】
アミン2のさらなる例は、式2で示され、式中、YがCRCであり、ここでRCはHまたはC1〜C4−アルキルであり、かつE1、E2およびE3が、互いに独立して、−O−C1〜C6−アルキレン、好ましくは−O−CH2CH2CH(CH3)−である化合物である。これらの中でも、式中、YがCRCであり、ここでRCがエチルであり、かつE1、E2およびE3が、−O−CH2CH2CH(CH3)−である化合物が好ましい。
【0157】
前記化合物2の中では、式2で示され、式中、YがCRCであり、ここでRCがエチルであり、かつE1、E2およびE3が、−O−CH2CH2CH(CH3)−であるアミンが好ましい。
【0158】
特に、前記アミンc)は、
− 式H2N−(CH2m−NH2(式中、mは、3〜20、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜12の整数であり、ここでCH2基は、カルボキシル基またはカルボキシレート基により置換されていてよい)の化合物、例えば1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、式NH2−CH(COOH)CH2CH2CH2−NHまたはNH2−CH(COO-)CH2CH2CH2−NH2のカルボキシル置換またはカルボキシレート置換されたアルキレンジアミン、特に1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、1,8−オクチレンジアミン、1,12−ドデシレンジアミン、および式NH2−CH(COOH)CH2CH2CH2−NHまたはNH2−CH(COO-)CH2CH2CH2−NH2のカルボキシル置換またはカルボキシレート置換されたアルキレンジアミン、
− 式NH2−[B−X]k−B−NH2の化合物であって、それぞれのXは、独立して−O−、−S−または−N(Rb)−[式中、Rbは、水素、C1〜C20−アルキル、および基−[CH2CH2−O]y−Rc(式中、yは、1、2、3、4、5または6であり、かつRcは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択される]、好ましくはOであり、それぞれのBは、独立して、C2〜C6−アルキレン、好ましくはC2〜C3−アルキレンであり、かつkは、1〜100、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜4の整数である化合物、例えば1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン、1,13−ジアミノ−4,7,10−トリオキサトリデカン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、および4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、またはより通例のアミン末端ポリオキシアルキレンジオール(アミン末端ポリアルキレングリコール、アミン末端ポリアルキレンオキシド)、例えばアミン末端ポリエチレングリコール、アミン末端ポリプロピレングリコール、またはアミン末端ポリブチレングリコール、特にNH2−[CH2CH2O]x−CH2CH2−NH2(式中、xは、2または3、好ましくは2である)、およびNH2−CH2CH2CH2−[CH2CH2O]x−CH2CH2CH2−NH2(式中、xは、2または3、好ましくは2である)、
− ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、1,1−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2−アミノプロピルシクロヘキシルアミン、3(4)−アミノメチル−1−メチルシクロヘキシルアミン、2−(2−アミノプロピル)−シクロヘキシルアミン、特にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、
− 3−アミノメチルベンジルアミン、
− 式2で示され、式中、YがCRCであり、ここでRCはHまたはC1〜C4−アルキルであり、かつE1、E2およびE3が、互いに独立して、−O−C1〜C6−アルキレン、好ましくは−O−CH2CH2CH(CH3)−である化合物、特に式2で示され、式中、YがCRCであり、ここでRCがエチルであり、かつE1、E2およびE3が、−O−CH2CH2CH(CH3)−であるアミン、ならびに
それらの混合物
から選択される。
【0159】
もちろん、本発明の熱可塑性ポリアミド粒子中で、2種または2種より多くの異なるアミノ化合物c)の混合物から得られるイミダゾリウム化合物を使用することも可能である。式2のアミンが使用される場合に、それを、mが2であるジアミンA(NH2mと組み合わせて使用することがさらに好ましい。好ましい実施形態においては、アミノ化合物c)の混合物は、異なる数の第一級アミノ基を有する少なくとも2種のアミノ化合物を含む。ジアミン(m=2)と2個より多くの第一級アミノ基を有するアミノ化合物(m>2)、例えばトリアミンとを混合して使用することにより、m=2のアミンとm>2のアミンとの割合を介して、設定されるべき所望の架橋度または分岐度が可能となる。
【0160】
アミノ化合物c)の好ましい混合物は、以下:
− トリス(2−アミノエチル)アミン、
− トリス(2−アミノエチル)アミン、および1,4−ブチレンジアミン、
− トリス(2−アミノエチル)アミン、および1,5−ペンチレンジアミン、
− トリス(2−アミノエチル)アミン、および1,6−ヘキシレンジアミン、
− 式2で示され、式中、YがCRCであり、ここでRCがエチルであり、かつE1、E2およびE3が、−O−CH2CH2CH(CH3)−であるアミン、および1,4−ブチレンジアミン
である。
【0161】
好ましい実施形態においては、前記アミノ化合物c)は、10000g/mol未満、特に好ましくは5000g/mol未満、さらに特に好ましくは1000g/mol未満、特に500g/mol未満の分子量を有する。
【0162】
可能なジアミンおよびトリアミンは、特に、60g/mol〜500g/molまたは60g/mol〜250g/molの分子量を有する化合物である。
【0163】
さらなる好ましい実施形態においては、化合物c)は、窒素含有ポリマーから選択される。好ましくは、成分c)は、ポリビニルアミンポリマーから選択される。
【0164】
適切なポリ(アミドアミン)c)は、好ましくは、150〜1000000、より好ましくは250〜10000の範囲の数平均分子量を有する。
【0165】
最も好ましい出発材料は、C4〜C16−アルキレンジアミン、より好ましくはC4〜C12−アルキレンジアミン、またはキシリレンジアミンである。具体的には、ブチレンジアミン、ドデシレンジアミン、またはキシリレンジアミンが使用される。
【0166】
d)その他の出発材料
本発明の方法において、例えば特定の末端基をポリマー中に導入するために、またはさらなる官能基による追加の架橋をもたらすために、定義された特性に設定するために、または得られたポリマー上にできる限り後の時点でさらなる反応を起こすために(ポリマー類似反応)さらなる化合物を使用することが可能である。
【0167】
このように、所望であれば、例えば、ポリマー型イミダゾリウム化合物の分子量に影響を及ぼすために、1個だけの第一級アミノ基を有する化合物(=成分d))の併用も可能である。1個だけの第一級アミノ基を有する化合物は、連鎖停止をもたらし、その後に該当するポリマー鎖の末端基を形成する。1個だけの第一級アミノ基を有する化合物の割合が高いほど、分子量は低くなる。少なくとも2個の第一級アミノ基を有するアミノ化合物100molに対して、好ましい実施形態においては、例えば1個だけの第一級アミノ基を有する化合物を0mol〜10mol使用することが可能である。
【0168】
e)プロトン酸
前記イミダゾリウム化合物のアニオンは、成分e)として使用される1種以上のプロトン酸のアニオンから誘導される。また該イミダゾリウム化合物を、アニオン交換に供することも可能である。これにより、相応の安定なプロトン酸が存在しないアニオンを有するイミダゾリウム化合物の製造が可能となる。そのアニオン交換は、公知の方法、例えばプロトン移動反応、金属塩との反応、イオン交換クロマトグラフィー、電気泳動法、またはこれらの手段の組み合わせにより行うことができる。
【0169】
本発明により使用されるイミダゾリウム化合物は、該イミダゾリウムカチオンに対する対イオンとして働くアニオンを含む。該アニオンは、式Yn-(ここで、nはアニオンの価数である)のアニオンから選択される。相応のプロトン酸は、式Yn-(H+nによって表され得る。
【0170】
第1の実施形態においては、前記式Yn-のアニオンは、無機酸および低分子量の有機酸のアニオンから選択される。この実施形態においては、mは、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜4の整数、特に1または2である。特定の実施形態においては、nは1である。
【0171】
第2の実施形態においては、前記式Yn-のアニオンは、ポリマー型プロトン酸、例えばポリアクリル酸のアニオンから選択される。この実施形態においては、nは非常に大きな値をとることができる。適切なポリマー型プロトン酸は、重合形における少なくとも1種のエチレン性不飽和有機酸を含む。好ましいエチレン性不飽和有機酸は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等、およびそれらの混合物から選択される。特に好ましいのは、アクリル酸および/またはメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーである。適切なポリマー型プロトン酸はまた、少なくとも1種のエチレン性不飽和有機酸、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸から選択される有機酸と少なくとも1種の共重合可能なコモノマー、例えば(メタ)アクリレート、ビニルエステルまたは芳香族モノマー、例えばスチレンおよびそれらの混合物から選択されるコモノマーとのコポリマーである。
【0172】
前記イミダゾリウム化合物のアニオン(=式Yn-のアニオン)および相応のプロトン酸(=Yn-(H+n)のアニオンは、好ましくは、
一般式:F-、Cl-、Br-、I-、BF4-、PF6-、AlCl4-、Al2Cl7-、Al3Cl10-、AlBr4-、FeCl4-、BCl4-、SbF6-、AsF6、−ZnCl3-、SnCl3-、CuCl2-のハロゲン化物イオンおよびハロゲン含有アニオンの群、
式:CN-、SCN-、OCN-、NO2-、NO3-、N(CN)-の擬ハロゲン化物アニオンおよびその他の窒素含有アニオンの群、
一般式:SO42-、HSO4-、SO32-、HSO3-、RaOSO3-、RaSO3-の硫酸イオン、亜硫酸イオンおよびスルホン酸イオンの群、
一般式:PO43-、HPO42-、H2PO4-、RaPO42-、HRaPO4-、RabPO4-のリン酸イオンの群、
一般式:RaHPO3-、RabPO2-、RabPO3-のホスホン酸イオンおよびホスフィン酸イオンの群、
一般式:PO33-、HPO32-、H2PO3-、RaPO32-、RaHPO3-、RabPO3-の亜リン酸イオンの群、
一般式:RabPO2-、RaHPO2-、RabPO-、RaHPO-の亜ホスホン酸イオンおよび亜ホスフィン酸イオンの群、
式:RaCOO-、Re(COO-fのカルボン酸イオンおよび多塩基性カルボン酸の群、
一般式:BO33-、HBO32-、H2BO3-、RabBO3-、RaHBO3-、RaBO32-、B(ORa)(ORb)(ORc)(ORd-、B(HSO4-、B(RaSO4-のホウ酸イオンの群、
一般式:RaBO22-、RabBO-のボロン酸イオンの群、
一般式:CF3SO3-、(CF3SO32-、CF3CO2-、CCl3CO2-のハロゲン化炭化水素の群、
一般式:HCO3-、CO32-、RaCO3-の炭酸イオンおよび炭酸エステルの群、
一般式:SiO44-、HSiO43-、H2SiO42-、H3SiO4-、RaSiO43-、RabSiO42-、RabcSiO4-、HRaSiO42-、H2aSiO4-、HRabSiO4-のケイ酸イオンおよびケイ酸エステルの群、
一般式:RaSiO33-、RabSiO22-、RabcSiO-、RabcSiO3-、RabcSiO2-、RabSiO32-のアルキルシランおよびアリールシラン塩の群、
一般式:
【化11】
のカルボキシイミド、TFSI等のビス(スルホニル)イミドおよびスルホニルイミドの群、
一般式:
【化12】
のメチドの群、
一般式:Ra-のアルコキシドおよびアリールオキシドの群、
一般式:
[MrHalts-
(式中、Mは、金属であり、かつHalは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、rおよびtは、正の整数であり、かつ錯体の化学量論を示し、かつsは、正の整数であり、かつ錯体上の電荷を示す)のハロメタレートの群、
一般式:S2-、HS-、[Sv2-、[HSv-、[RaS]-(式中、vは、2〜10の正の整数である)の硫化物イオン、硫化水素イオン、多硫化物イオン、多硫化水素イオン、およびチオレートの群、
錯体金属イオン、例えばFe(CN)63-、Fe(CN)64-、MnO4 -、Fe(CO)4の群
から選択される。
【0173】
前記式中、Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ互いに独立して、非酸性水素、C1〜C30−アルキル、およびそのアリール置換、ヘテロアリール置換、シクロアルキル置換、ハロゲン置換、ヒドロキシ置換、アミノ置換、カルボキシ置換、ホルミル置換、−O−、−CO−置換、−CO−O−置換もしくは−CO−N<置換された誘導体、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(t−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、フェニルメチル(ベンジル)、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、アセチル、またはCq2(q-a)+(1-b)2a+b(式中、q≦30、0≦a≦q、およびb=0または1)(例えば、CF3、C25、CH2CH2−C(q-2)2(q-2)+1、C613、C817、C1021、C1225)、
3〜C12−シクロアルキル、およびそのアリール置換、ヘテロアリール置換、シクロアルキル置換、ハロゲン置換、ヒドロキシ置換、アミノ置換、カルボキシ置換、ホルミル置換、−O−置換、−CO−置換もしくは−CO−O−置換された誘導体、例えばシクロペンチル、2−メチル−1−シクロペンチル、3−メチル−1−シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチル−1−シクロヘキシル、3−メチル−1−シクロヘキシル、4−メチル−1−シクロヘキシル、またはCq2(q-a)-(1-b)2a-b(式中、q≦30、0≦a≦q、およびb=0または1)、
2〜C30−アルケニル、およびそのアリール置換、ヘテロアリール置換、シクロアルキル置換、ハロゲン置換、ヒドロキシ置換、アミノ置換、カルボキシ置換、ホルミル置換、−O−置換、−CO−置換もしくは−CO−O−置換された誘導体、例えば2−プロペニル、3−ブテニル、シス−2−ブテニル、トランス−2−ブテニル、またはCq2(q-a)-(1-b)2a-b(式中、q≦30、0≦a≦q、およびb=0または1)、
3〜C12−シクロアルケニル、およびそのアリール置換、ヘテロアリール置換、シクロアルキル置換、ハロゲン置換、ヒドロキシ置換、アミノ置換、カルボキシ置換、ホルミル置換、−O−置換、−CO−置換もしくは−CO−O−置換された誘導体、例えば3−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル、またはCq2(q-a)-3(1-b)2a-3b(式中、q≦30、0≦a≦q、およびb=0または1)、
2個〜30個の炭素原子を有するアリールまたはヘテロアリール、およびそのアルキル置換、アリール置換、ヘテロアリール置換、シクロアルキル置換、ハロゲン置換、ヒドロキシ置換、アミノ置換、カルボキシ置換、ホルミル置換、−O−置換、−CO−置換もしくは−CO−O−置換された誘導体、例えばフェニル、2−メチルフェニル(2−トリル)、3−メチルフェニル(3−トリル)、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、4−フェニルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、またはC6(5-a)a(式中、0≦a≦5)
であるか、または2つの基は、不飽和環、飽和環、または芳香族環を形成し、該環は、任意に官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されていてよく、かつ任意に1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換もしくは非置換のイミノ基により中断されていてよい。
【0174】
a、Rb、Rc、およびRdが、それぞれ互いに独立して、水素、および特に好ましくはC1〜C10−アルキル基、好ましくはC1〜C4−アルキル基であることが特に好ましい。
【0175】
e(多塩基性カルボン酸についての前記式を参照)は、複数のカルボン酸基が結合されている有機基である。したがって、fは、少なくとも2の整数である。好ましくは、fは、2〜100000、より好ましくは2〜10000の整数である。そのような多塩基性カルボン酸は、例えばマレイン酸またはイタコン酸、フタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸であってよく、その他の可能性は、例えばエチレン性不飽和化合物の、任意に中でも1個または2個のカルボン酸基を有するモノマー、例えば(メタ)アクリル酸を使用したフリーラジカル重合により得ることができるポリマー型化合物である。
【0176】
カルボン酸の前記カルボン酸イオン、すなわち一般式:RaCOO-およびRe(−COO-fのプロトン酸が特に好ましい。
【0177】
そのようなカルボン酸またはカルボン酸イオンとしては、特に、1個〜20個の炭素原子を有し、1個または2個のカルボン酸イオン基、好ましくは1個のカルボン酸イオン基を有する有機化合物を挙げることができる。
【0178】
前記カルボン酸またはカルボン酸イオンは、脂肪族または芳香族化合物であり得る。ここで芳香族化合物は、芳香族基を有する化合物である。カルボン酸イオン基の酸素原子の他に、さらなるヘテロ原子を有さないか、または多くても1個もしくは2個のヒドロキシル基、カルボニル基もしくはエーテル基を有する脂肪族または芳香族化合物が特に好ましい。カルボン酸イオン基の酸素原子に加えてさらなるヘテロ原子を有さない脂肪族または芳香族化合物がさらに特に好ましい。
【0179】
2個のカルボン酸イオン基を有する化合物としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、C2〜C6−ジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸のアニオンを挙げることができる。
【0180】
1個のカルボン酸イオン基を有する化合物としては、脂肪族、芳香族、飽和または不飽和のC1〜C20−カルボン酸、特にアルカンカルボン酸、アルケンカルボン酸、アルキンカルボン酸、アルカジエンカルボン酸、アルカトリエンカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、もしくはケトンカルボン酸、または芳香族カルボン酸、例えば安息香酸もしくはフェニル酢酸のアニオンを挙げることができる。適切なアルカンカルボン酸、アルケンカルボン酸、およびアルカジエンカルボン酸は、脂肪酸としても知られている。
【0181】
アニオンY-としては、特に、任意に1個または2個のヒドロキシ基、好ましくは1個のヒドロキシ基により置換されていてよい、C1〜C20−アルカンカルボン酸のアニオンを挙げることができる。
【0182】
さらなる好ましいプロトン酸またはプロトン酸の好ましいアニオンは、カルボン酸(カルボン酸イオン)の他に、スルホン酸、リン酸、またはホスホン酸でもあり、その際、該スルホン酸、リン酸、またはホスホン酸の酸基は、部分的にエステル化されていてよい。
【0183】
リン酸およびそのエステルとしては、特に、式VII
【化13】
(式中、R’およびR’’は、それぞれ互いに独立して、水素またはC1〜C10−アルキル基、好ましくはC1〜C4−アルキル基である)の化合物を挙げることができる。
【0184】
ホスホン酸およびそのエステルとしては、特に、式VIII
【化14】
(式中、R’およびR’’は、それぞれ互いに独立して、水素またはC1〜C10−アルキル基、好ましくはC1〜C4−アルキル基である)の化合物を挙げることができる。
【0185】
好ましくは、前記少なくとも1種のプロトン酸e)は、特に前記組成物が化粧品組成物またはパーソナルケア組成物である場合に、ハロゲン化水素酸ではない。したがって、本発明による殺生物剤組成物において使用されるイミダゾリウム化合物は、実質的にハロゲン化水素酸のアニオン(F-、Cl-、Br-、およびI-)を含まない。本発明に関連して、実質的にハロゲン化水素酸のアニオンを含まないイミダゾリウム化合物は、全アニオン含量に対して、多くても1mol%、好ましくは多くても0.1mol%、より好ましくは多くても0.01mol%、特に多くても0.001mol%のハロゲン化水素酸のアニオンを含むイミダゾリウム化合物を示す。
【0186】
好ましくは、前記アニオンは、
− カルボン酸イオンおよび多塩基性カルボン酸の群、
− 硫酸イオン、亜硫酸イオン、およびスルホン酸イオンの群、
− リン酸イオンの群、ならびに
− ハロゲン化炭化水素の群
から選択される。
【0187】
特に、前記アニオンは、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、グリコール酸イオン(ヒドロキシ酢酸イオン)、アジピン酸イオン、コハク酸イオン、フタル酸イオン、テレフタル酸イオン、メトキシ酢酸イオン、(C1〜C4−アルコキシ)(CH2CH2O)xCH2COO-(式中、xは1〜4である)、安息香酸イオン、リン酸水素イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、およびメタンスルホン酸イオンから選択される。
【0188】
最も好ましくは、ビス(スルホニル)イミド、例えばビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、硫酸(水素)、およびトシレートである。
【0189】
好ましい実施形態においては、前記イミダゾリウム化合物は、本質的に、以下に定義される一般式(IV)の繰返単位からなる。その製造方法にかかわらず、本質的に一般式(IV)の繰返単位からなるイミダゾリウム化合物は、殺生物剤として特に有利である。したがって、本発明のさらなる態様においては、イミダゾリウム基を有する前記少なくとも1種のポリマー型イオン性化合物(イミダゾリウム化合物)は、本質的に一般式(IV)
【化15】
の繰返単位からなり、式中、
1およびR2は、独立して水素、ならびにそれぞれの場合に非置換または置換されたアルキル(好ましくは、C1〜C20−アルキル)、アルコキシ(好ましくは、C1〜C20−アルコキシ)、アルキルチオ(好ましくは、C1〜C20−アルキルチオ)、シクロアルキル(好ましくは、C3〜C8−シクロアルキル)、シクロアルコキシ(好ましくは、C3〜C8−シクロアルコキシ)、シクロアルキルチオ(好ましくは、C3〜C8−シクロアルキルチオ)、アリール、アリールオキシ、アリールチオから選択され、
3は、水素、アルキル(好ましくは、C1〜C20−アルキル)、シクロアルキル(好ましくは、C3〜C8−シクロアルキル)、任意に置換されたアリール、および基−CH2−[O−CH2CH2x−ORa(式中、xは、1、2、3、4、5または6であり、かつRaは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択され、
それぞれのAは、独立して、前記の一般的な意味または好ましい意味の1つを有し、好ましくは、1,4−結合されたフェニレン単位を含まず、好ましくは2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイルまたは2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1,3−ジイルではなく、かつAは、好ましくはC1〜C30−アルキレン基から選択され、該アルキレン基は、−O−、−S−および−N(Rb)−[式中、Rbは、水素、C1〜C20−アルキル、および基−[CH2CH2−O]y−Rc(式中、yは、1、2、3、4、5または6であり、かつRcは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択される]、好ましくはOから選択される1個以上の隣接していない基により中断されていてよく、そしてAは、より好ましくは、基−(CH2m−(式中、mは、3〜20、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜12の整数であり、ここで1個のCH2基は、カルボキシル基またはカルボキシレート基により置換されていてよい)、特に1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン、および1,12−ドデシレン、基−[B−X]k−B−から選択され、それぞれのXは、独立して−O−、−S−または−N(Rb)−[式中、Rbは、水素、C1〜C20−アルキル、および基−[CH2CH2−O]y−Rc(式中、yは、1、2、3、4、5または6であり、かつRcは、水素またはC1〜C4−アルキルである)から選択される]、好ましくはOであり、それぞれのBは、独立して、C2〜C6−アルキレン、好ましくはC2〜C3−アルキレンであり、かつkは、1〜100、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜4の整数であり、特に−[CH2CH2O]x−CH2CH2−(式中、xは、2または3、好ましくは2である)、および−CH2CH2CH2−[CH2CH2O]x−CH2CH2CH2−(式中、xは、2または3、好ましくは2である)、ならびに以下の式
【化16】
(式中、#は、イミダゾリウム環への結合点である)の1つの基であり、
n-は、n価のアニオンである。
【0190】
前記ポリマー型イオン性化合物は、好ましくは、少なくとも8個の繰返単位IV、例えば8個〜500個、好ましくは8個〜300個、より好ましくは8個〜200個、さらにより好ましくは8個〜150個、特に10個〜150個の繰返単位IVを有する。
【0191】
前記イミダゾリウム化合物においては、式(IV)の繰返単位は、同じまたは異なる意味を有し得る。このように、例えば、異なる基Aを有する繰返単位を得るために、イミダゾリウム化合物の製造のために異なるアミノ化合物c)の混合物を使用することが可能である。また、前記イミダゾリウム化合物が、異なるアニオンYn-を有することも可能である。
【0192】
本発明に関連して、本質的に一般式(IV)の繰返単位からなるイミダゾリウム化合物は、少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも70質量%、より好ましくは少なくとも80質量%、特に少なくとも90質量%、殊に少なくとも95質量%の式IVの構造単位を含むイミダゾリウム化合物を示す。
【0193】
1、R2、R3、AおよびYn-の適切な意味および好ましい意味に関して、それらの基の上述の定義が参照される。
【0194】
式IVの構造単位においては、好ましくは、R1およびR2は水素である。
【0195】
式IVの構造単位においては、特に、R3は、水素、C1〜C20−アルキル、またはフェニルであり、より具体的には水素である。
【0196】
具体的な実施形態においては、式IVの構造単位においては、好ましくは、Aは、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン、1,12−ドデシレン、3,6−ジオキサ−1,8−オクチレン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデシレン、基−[B−X]k−B−[式中、それぞれのXは、独立して−O−、−S−または−N(Rb)−(式中、Rbは、水素、C1〜C20−アルキル、および基−[CH2CH2−O]y−Rcから選択され、式中、yは、1、2、3、4、5または6であり、かつRcは、水素またはC1〜C4−アルキルである)、好ましくはOであり、それぞれのBは、独立して、C2〜C6−アルキレン、好ましくはC2〜C3−アルキレンであり、かつkは、1〜100、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜4の整数である]、ならびに以下の式
【化17】
の1つの基、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0197】
さらなる好ましい実施形態においては、前記イミダゾリウム化合物は、式(IV)で示され、式中、Aは、2個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のアミン、および2個より多くの、特に3個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のアミンを含む、アミノ化合物の混合物からの第一級アミノ基の形式的脱離により誘導される繰返単位を含む。
【0198】
式IVの構造単位においては、好ましくは、前記アニオンYn-は、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、グリコール酸イオン(ヒドロキシ酢酸イオン)、アジピン酸イオン、コハク酸イオン、フタル酸イオン、テレフタル酸イオン、(C1〜C4−アルコキシ)(CH2CH2O)xCH2COO-(式中、xは1〜4である)、安息香酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、メタンスルホン酸イオンから選択される。最も好ましくは、ビス(スルホニル)イミド、例えばビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、硫酸(水素)、およびトシレートから選択される。
【0199】
イミダゾリウム基を有するポリマー型イオン性化合物は、好ましくは、300〜500000、より好ましくは500〜300000、さらにより好ましくは1000〜200000、特に2000〜200000、具体的には4000〜200000の質量平均分子量Mw[国際公開第2012/127009号パンフレット(WO2012/127009)の実施例に記載される方法に従って測定される:Mwは、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー/サイズ排除クロマトグラフィー)によって溶離剤としての水中0.02mol/lのギ酸+0.2mol/lのKClおよびプルラン標準(線状ポリマルトトリオースおよびマルトヘキソース;PSS社(ドイツ)製)を使用して、または溶離剤としての水中ヘキサフルオロイソプロパノール+0.05%のトリフルオロ酢酸カリウムおよびPMMA標準を使用して得られる質量平均分子量である]を有する。分散性PDI(Mw/Mn;Mn=数平均分子量)は、好ましくは1.1〜20、より好ましくは1.5〜15の範囲である。
【0200】
好ましいイミダゾリウム基を有するポリマー型イオン性化合物(イミダゾリウム化合物)は、ポリアミド鎖に結合することが可能な官能(末端)基を有する化合物である。このように、前記ポリマー型イオン性化合物は、好ましくは、ポリアミドと共有結合を形成することができる少なくとも1個の末端基を有する。前記少なくとも1個の末端基は、好ましくは、ポリアミド鎖、具体的にはそのカルボキシル基への結合を形成することが可能なアミノ基である。
【0201】
このように、前記ポリマー型イオン性化合物は、好ましくは、混合して240℃〜350℃の温度に適切な時間、一般的に0.2分〜30分にわたり加熱すると、ポリアミド主鎖に共有結合を形成することとなる少なくとも1個のアミノ基を有する。
【0202】
好ましいポリイミダゾリウム塩は、
ポリブチルイミダゾリウムTFSI
ポリブチルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェート
ポリブチルイミダゾリウムアセテート
ポリブチルイミダゾリウムトシレート
ポリヘキシルイミダゾリウムTFSI
ポリヘキシルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェート
ポリヘキシルイミダゾリウムアセテート
ポリヘキシルイミダゾリウムトシレート
ポリドデシルイミダゾリウムトシレート
ポリドデシルイミダゾリウムTFSI
ポリドデシルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェート
ポリドデシルイミダゾリウムアセテート
ポリキシリレンイミダゾリウムトシレート
ポリキシリレンイミダゾリウムTFSI
ポリキシリレンイミダゾリウムハイドロジェンスルフェート
ポリキシリレンイミダゾリウムアセテート
である。
【0203】
TFSIは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
【0204】
前記少なくとも1種のポリマー型イミダゾリウム化合物に加えて、前記熱可塑性ポリアミド粒子は、例えば国際公開第2012/127009号パンフレット(WO2012/127009)の第42頁第9行〜第44頁第7行に列挙されるさらなる殺微生物性化合物を含有し得る。
【0205】
前記熱可塑性ポリアミド粒子は、抗微生物活性の発揮に十分な量のポリマー型イミダゾリウム化合物を含有する。好ましくは、充填剤を含む全熱可塑性ポリアミド粒子に対するポリマー型イミダゾリウム化合物の量は、熱可塑性ポリアミド粒子の全質量に対して、0.01質量%〜10質量%、より好ましくは0.1質量%〜10質量%、さらにより好ましくは0.1質量%〜5質量%、最も好ましくは0.5質量%〜5質量%、特に1質量%〜3質量%である。
【0206】
前記熱可塑性ポリアミド粒子のすべての成分の量は、足して100質量%となる。こうして、例えば多量の無機粒状充填剤が使用される場合に、熱可塑性ポリアミド粒子の全質量%が足して100質量%となるようにポリマー型イミダゾリウム化合物の量を制限する必要がある場合がある。少なくとも1種のポリアミドの量は、熱可塑性ポリアミド粒子の全質量に対して、好ましくは10質量%〜58.9質量%、より好ましくは15質量%〜49質量%である。充填剤の対応する量は、熱可塑性ポリアミド粒子の全質量に対して、好ましくは41質量%〜80質量%、より好ましくは50質量%〜80質量%である。
【0207】
ポリアミドについて先に開示されたさらなる添加剤または以下に開示される活性剤の1種以上が熱可塑性ポリアミド粒子中で使用される場合に、ポリアミド含量および/または無機粒状充填剤含量についての上限は、熱可塑性ポリアミド粒子の全ての成分の合計が足して100質量%となるように相応して低減される。
【0208】
本発明による熱可塑性ポリアミド粒子において使用され得るさらなる活性剤は、国際公開第2012/127009号パンフレット(WO2012/127009)の第47頁第24行〜第60頁第22行に開示されているが、そのような追加の活性剤は、該熱可塑性ポリアミド粒子中では使用されないことが好ましい。
【0209】
前記イミダゾリウム化合物の本発明の熱可塑性ポリアミド粒子への導入は、公知の方法により、例えば粉末の形での乾式配合によって、または不活性溶剤、水もしくは油中の溶液、分散液、もしくは懸濁液の形での湿式混合によって行うことができる。該イミダゾリウム化合物は、例えば成形前にもしくは成形の間に導入することができ、または溶解もしくは分散されたイミダゾリウム化合物(またはそれを含有する添加剤混合物)をポリマー材料もしくは重合可能な組成物に適用し、引き続いての溶剤または懸濁剤/分散剤の蒸発を行うかまたは行わないことによって導入され得る。前記イミダゾリウム化合物は、好ましくは加工装置(例えば、押出機、内部ミキサー等)中に直接的に、例えば乾燥混合物もしくは粉末として、または溶液もしくは分散液もしくは懸濁液として添加することができる。
【0210】
前記導入は、例えば撹拌機を備えるあらゆる加熱可能な容器中で、例えば混練機、混合機、または撹拌槽等の閉じた装置中で実施することができる。その導入は、好ましくは押出機または混練機中で行われる。前記加工は、不活性雰囲気中、または酸素の存在において行われ得る。
【0211】
イミダゾリウム化合物(またはイミダゾリウム化合物を含有する添加剤混合物)のポリマー基材への添加は、該ポリマーが240℃から35℃までの範囲の温度で該添加剤と一緒に溶融および混合される全ての慣用の混合機中で行うことができる。適切な機械は、当業者に公知である。それらの機械は、主として混合機、混練機および押出機である。
【0212】
加工(混合)には、押出、同時混練、引抜成形、圧縮成形、シート押出、熱成形、射出成形、または回転成形が含まれる。その過程は、好ましくは、押出機中で加工の間に添加剤を導入することによって行われる。
【0213】
特に好ましい加工装置は、一軸スクリュー押出機、逆方向回転および同方向回転式の二軸スクリュー押出機、回転成形装置、遊星歯車押出機、リング押出機またはコニーダーである。真空を印加することができる少なくとも1つの脱ガス区画を備える加工装置を使用することもできる。
【0214】
適切な押出機および混練機は、例えばHandbuch der Kunststoffextrusion,Vol.1 Grundlagen,Editors F.Hensen,W.Knappe,H.Potente,1989,pp.3−7,ISBN:3−446−14339−4(Vol.2 Extrusionsanlagen 1986,ISBN 3−446−14329−7)に記載されている。
【0215】
前記イミダゾリウム化合物(または該イミダゾリウム化合物を含有する添加剤混合物)は、成分を、例えば約1質量%〜約40質量%、好ましくは約2質量%〜約20質量%の濃度でポリマー中に導入されて含むマスターバッチ(「濃縮物」)の形でポリマーに添加することもできる。該ポリマーは、必ずしも添加剤が最終的に添加されるポリマーと同一である必要はない。そのような操作において、該ポリマーは、粉末、顆粒、溶液、懸濁液、または乳液の形で使用することができる。導入は、成形操作の前にもしくはその間に行うことができ、または分散された化合物をポリマーへと適用して、引き続き溶剤を蒸発させることによるか、もしくは蒸発させずに行うことができる。イミダゾリウム化合物(または該イミダゾリウム化合物を含有する添加剤混合物)をポリマー基材中に導入するためのさらなる手法は、相応のモノマーの重合の前、その間、もしくはその直後に、または架橋の前に前記化合物を添加することである。この関係において、本発明の添加剤は、そのままで、または(例えば、ワックス、オイルまたはポリマー中で)カプセル化された形で添加することができる。
【0216】
前記ポリマー型イミダゾリウム化合物および好ましくは前記粒状無機充填剤を、前記熱可塑性ポリアミド粒子を形成するポリアミド中に導入することは、好ましくは以下の通りに行われる。
【0217】
前記熱可塑性ポリアミド粒子は、成分の押出に引き続き、例えばペレット化、より具体的には水中ペレット化であり得る成形により製造される。
【0218】
この場合に、まず最初に、前記熱可塑性ポリアミド粒子の成分は、互いに混合される。
【0219】
それらの成分を混合する順序は任意である。例えば、出発成分を慣用の混合装置、例えばスクリュー押出機、好ましくは二軸スクリュー押出機、ブラベンダーミキサー、またはバンバリーミキサー、そしてまた混練装置中で混合することにより成形コンパウンドを製造し、引き続き押出することが可能である。押出後に、押出物は冷却され、粉砕される。成分を混合する順序は変動してよく、したがって、2種の、または任意に3種の成分が予備混合されてよい。しかしまた、すべての成分を一緒に混合することも可能である。
【0220】
極めて均質な混合を得るために、激しい同時混同が有利である。この目的のためには、概して、240℃〜350℃、好ましくは245℃〜310℃の温度で0.2分〜30分の平均混合時間が好ましい。その混合は、好ましくは押出である。これにより、イミダゾリウム化合物とポリアミドとの共有結合形成がもたらされる。押出後に、押出物は一般的に冷却され、粉砕される。
【0221】
ペレット化、より具体的には水中ペレット化は、2mm〜10mm、より好ましくは3mm〜5mmの最大直径を有する、本発明の楕円体形状または略楕円体形状をもたらす。ペレット化法、より具体的には水中ペレット化の説明のためには、国際公開第2004/080679号パンフレット(WO2004/080679)が参照される。該方法の第1工程においては、ポリマー溶融物がダイを通じて押出機から押し出される。使用することができるダイの1つの例は、有孔プレート式ペレット化ダイ、例えば円形配置のペレット化ダイである。検討されるペレット化ダイは、一般的に、加熱式ペレット化ダイ、例えばマンドレル/周囲加熱を備えたペレット化ダイ、加熱チャネル型のペレット化ダイ、または熱交換器型のペレット化ダイである。これらの中でも、加熱チャネル型、および熱交換器型が好ましい。
【0222】
本発明により好ましくは、前記ポリマー溶融物は、冷却液で満たされた切断チャンバ中で押し出される。該切断チャンバは、ダイ、例えばペレット化ダイ、および該ポリマー溶融物を粉砕するために使用される装置を取り囲んでいる。切断チャンバのサイズおよび形状は、原則的に自由に選択することができ、ペレット化ダイのサイズ、ナイフの形状、切断チャンバ中で給送される冷却剤の量、またはポリマーの処理量等の実施上の配慮点に依存する。
【0223】
使用される冷却剤は、一般的に水である。原則的に光学的に透明なあらゆる水、例えば濾過された河川水、脱塩水、または井戸水等の水を使用することが可能である。しかしながら、一価アルコールまたは多価アルコール、例えばグリコール、シリコーン油またはパラフィン等のその他の冷却剤を使用することもできる。
【0224】
1つの好ましい実施形態においては、前記冷却剤は、大気圧で使用される。この場合に該冷却剤の温度は、一般的に60℃〜95℃である。冷却剤の温度は、一般的に、70℃〜95℃の範囲、より具体的には80℃〜95℃の範囲、例えば80℃〜90℃の範囲である。しかしながら、もう1つの好ましい実施形態によれば、前記冷却剤は、高められた圧力下で使用することもできる。このように、前記冷却剤は、130℃以下で、例えば高められた圧力下で60℃〜130℃の範囲で、好ましくは70℃〜100℃、より具体的には80℃〜98℃で使用することができる。
【0225】
したがって、その圧力は、10bar以下、例えば1bar〜8barであることが好ましい場合がある。例えば、その圧力は、1bar〜4bar、好ましくは1bar〜3bar、より具体的には1bar〜2barの範囲であり得る。好ましい実施形態の1つによれば、前記切断チャンバ中の冷却剤は、少なくとも1.1barの圧力下である。これは、例えば冷却剤が低沸点を有する場合に、例えば水が冷却剤として使用され、100℃より高い冷却剤温度で作業することが意図される場合に特に好ましい。
【0226】
第2工程においては、前記ポリマー溶融物は粉砕される。この目的のために、切断装置、例えば回転ナイフが設けられていてよい。この場合には、マルチアーム回転ナイフを使用することが好ましい。例えば、6本、8本、12本、14本またはそれより多くの、例えば50本以下の回転ナイフを備えるナイフヘッドが使用される(その数は、必ずしも偶数である必要はない)。該回転ナイフは、それらが回転チャンバ中でダイの前方において、例えば加熱式ダイプレートの前方で回転するように取り付けられる。回転速度は、例えば1分間当たりに300回転〜5000回転の範囲に合わせられる。該ナイフの設定は、手動で、空気圧により、または液圧により行うことができ、またはバネ力により自動的に行うこともできる。これらの措置は、当業者に公知である。
【0227】
ポリマー溶融物の排出とこの溶融物の粉砕との間の時間は、一般的に非常に短い。それらの時間は、本発明によれば20ms以下、好ましくは10ms以下、より具体的には5ms以下である。前記ポリマー溶融物のそのダイからの排出時の温度は、一般的に150℃〜350℃、好ましくは180℃〜320℃、より具体的には200℃〜300℃の範囲であるので、切断の間のポリマー溶融物の温度は、一般的にその排出温度より10℃〜20℃以下だけ低い。
【0228】
本発明によれば、第2工程で得られたペレットは、第3工程で冷却される。ここで好ましい冷却速度は、ポリマーの性質に依存する。本発明によれば、前記冷却速度は、2℃/秒〜30℃/秒、好ましくは5℃/秒〜20℃/秒の範囲、より具体的には8℃/秒〜15℃/秒の範囲である。該冷却工程の間に、ペレット対冷却剤の容量比は、一般的に0.03:1〜0.12:1、好ましくは0.06:1〜0.1:1である。一般的に、第3工程後のペレットの外部温度は、100℃〜200℃、好ましくは100℃〜150℃であることが好ましい。この温度は、規定量の試料を採り、付着した冷却剤を除去し、そしてIRチャンバにより温度を計測することにより測定される。
【0229】
ペレットの冷却に使用される冷却剤は、ポリマー溶融物が圧縮され、粉砕される冷却剤と同じであることが好ましい。本方法の第3工程は、好ましくは満たされた切断チャンバの外側で行われる。
【0230】
ペレットを冷却しながら、それらは、好ましくは同時に乾燥装置に輸送される。全輸送区分を通じて、熱が冷媒から除去され得る。あるいは輸送区分の一部だけにおいて、熱が冷媒から除去され得る。1つの特に好ましい実施形態によれば、輸送区分の第1の部分においては冷媒から熱は除去されず、第2の部分において冷媒から熱が除去される。第1の部分の長さは、全輸送区分の80%以下であってよく、かつその長さは、例えば全輸送区分の長さの4分の3以下であってよい。
【0231】
前記ペレットは、例えば、専門書に記載される種類の慣用の乾燥装置中で乾燥させることができる。適切な乾燥装置の例は、遠心乾燥機または流動床乾燥機である。特に好ましい乾燥装置は、乾燥過程を補助するために、第3工程後にペレット中に存在する残留熱を同時に利用することが可能な乾燥装置である。
【0232】
本発明の熱可塑性ポリアミド粒子は、洗濯方法および清浄化方法において、好ましくはテキスタイルの清浄化のための洗濯方法および清浄化方法において使用される。
【0233】
適切な洗濯方法および清浄化方法は、自体公知であり、かつ例えば、国際公開第2007/128962号パンフレット(WO2007/128962)、国際公開第2010/0949959号パンフレット(WO2010/0949959)、国際公開第2011/064581号パンフレット(WO2011/064581)、国際公開第2011/098815号パンフレット(WO2011/098815)、国際公開第2010/128337号パンフレット(WO2010/128337)、国際公開第2012/056252号パンフレット(WO2012/056252)、国際公開第2012/035342号パンフレット(WO2012/035342)、国際公開第2012/035343号パンフレット(WO2012/035343)、および国際公開第2012/095677号パンフレット(WO2012/095677)に記載される。
【0234】
1つの好ましい洗濯方法および清浄化方法においては、汚れたテキスタイルは、洗濯方法において、本発明の熱可塑性ポリアミド粒子および洗浄水での処理により清浄化され、その際、前記処理は、清浄化されるべきテキスタイル1kg当たりに5l〜50lの容量を有する有孔の側壁を備えたドラムを有する装置において行われ、前記熱可塑性ポリアミド粒子は、テキスタイルに対する質量比において、0.1:1〜10:1の範囲で使用され、かつ前記有孔の側壁を備えたドラムは、0.05g〜900gの範囲の重力加速度が発生される速度で回転される。
【0235】
該方法のより詳細な説明については、特に国際公開第2012/056252号パンフレット(WO2012/056252)が参照され得る。より具体的には、その特許の請求項1、31、および35に示される方法工程を実施することが可能である。
【0236】
該方法の実施のために適切な装置は、好ましくは、回転可能な清浄化チャンバと、前記定義の清浄化粒子を収容するために適した粒子貯蔵タンクとを備える。
【0237】
好ましくは、前記装置は、以下の構成要素:
i. コントローラ、
ii. ディスプレイ、
iii. 電磁弁、
iv. 空気弁
の1つ以上を備える。
【0238】
該装置は、好ましくはコントローラを備える。該コントローラは、利用者が所望の清浄化サイクルおよび/または所望の清浄化条件を選ぶことができ、かつコントローラが自動的に洗浄装置を制御して、所望のサイクルを実施し、および/または所望の清浄化条件を実現するように構成される。該コントローラは、好ましくは電子コントローラである。
【0239】
該装置は、好ましくはディスプレイを備える。該ディスプレイは、好ましくは電子ディスプレイである。適切なディスプレイの例としては、液晶を内蔵するディスプレイおよび発光ダイオードディスプレイが挙げられる。好ましくは、前記ディスプレイは、例えば利用者によりコントローラ上で選ばれた清浄化サイクルおよび/または清浄化条件を含む情報を示す。好ましくは、該装置は、コントローラおよびディスプレイを備える。
【0240】
前記装置は、1つ以上の電磁弁、および/または1つ以上の空気弁を備え得る。これらの弁は、例えば該装置中への清浄化液体媒体の投入、該装置からの汚れた液体媒体の排出、および/または清浄化組成物(例えば、洗剤)中の任意成分の生地への導入を制御する。
【0241】
前記ポリマー型イミダゾリウム化合物を含む熱可塑性ポリアミド粒子は、微生物の攻撃または汚染に対する大幅に高められた耐性を示す。前記ポリマー型イミダゾリウム化合物を少なくとも2.5g/cm3の密度を有する粒状無機充填剤と組み合わせる場合に、その楕円体または略楕円体の熱可塑性ポリアミド粒子は、洗浄機または該洗浄機中に収容される洗濯物に容易に投入することができ、そこから容易に取り出すことができる。したがって、前記ポリマー型イミダゾリウム化合物と前記粒状無機充填剤とを前記熱可塑性ポリアミド粒子中で組み合わせることが最も好ましい。
【0242】
本発明を、以下の実施例により説明する。
【0243】
実施例
1.原材料
・ Ultramid B27は、BASF SE社製のポリアミド(PA6)である。該ポリアミドは、150ml/gの粘度数を有する。
【0244】
・ ポリイミダゾリウム塩は、
− ポリブチルイミダゾリウムTFSI
− ポリブチルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェート
− ポリブチルイミダゾリウムアセテート
− ポリブチルイミダゾリウムトシレート
− ポリヘキシルイミダゾリウムTFSI
− ポリヘキシルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェート
− ポリヘキシルイミダゾリウムアセテート
− ポリヘキシルイミダゾリウムトシレート
− ポリドデシルイミダゾリウムトシレート
− ポリドデシルイミダゾリウムTFSI
− ポリドデシルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェート
− ポリドデシルイミダゾリウムアセテート
− ポリキシリレンイミダゾリウムトシレート
− ポリキシリレンイミダゾリウムTFSI
− ポリキシリレンイミダゾリウムハイドロジェンスルフェート
− ポリキシリレンイミダゾリウムアセテート
である。
【0245】
TFSIは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
【0246】
好ましくは、
− ポリブチルイミダゾリウムTFSI
− ポリブチルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェート
− ポリドデシルイミダゾリウムトシレート
− ポリドデシルイミダゾリウムTFSI
− ポリドデシルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェート
− ポリキシリレンイミダゾリウムTFSI
− である。
・ Imid.は、ポリブチルイミダゾリウムTFSIである。
【0247】
TFSIは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
【0248】
粘度数は、96%硫酸中でDIN ISO 307に従って測定した。
【0249】
前記ポリイミダゾリウム塩は、国際公開第2010/072571号パンフレット(WO2010/072571)の実施例1、または国際公開第2012/127009号パンフレット(WO2012/127009)の第162頁〜第164頁の表と同様にして、適切な(アルキレン)ジアミンおよび対イオンを使用して製造した。該ポリイミダゾリウム塩は、1分子当たりに平均で10個より多くのイミダゾリウム基を有する。
【0250】
2. 抗微生物活性
2.1 試料
Ultramid B27を、DSM Xplore 15 Micro Compounder中で260℃の溶融温度で押出し、その押出機中に1質量%または3質量%の抗微生物性添加剤を混加した。これらの条件でイミダゾリウム化合物とポリアミド主鎖との共有結合が起こったと思われる。引き続き、3×3cmのサイズのプラークを、DSM Research社の10cm3研究所用射出成形機を使用して射出成形した。
【0251】
試料外観:
ライトベージュ色ないしベージュ色、試料サイズ:3×3cm
2.2 試験方法:
ISO 22196 − 2011−08−01 第二版
2.3 試験微生物:
エシェリキア・コリDSM 1576 〜 ATCC 8739
スタフィロコッカス・アウレウスDSM 346 〜 ATCC 6538P
アスペルギルス・ニガーDSM 1957
2.4 試験手順
ISO 22196:2011に従って、通例のフィルムで覆われた試料表面上に微生物を接種し、細菌のために37℃で24時間にわたりインキュベートした。アスペルギルス・ニガー(これはカビであるので、試験方法の一部ではない)を、30℃で48時間にわたりインキュベートした。試料サイズが基準からはずれているため、試験条件を、カバーフィルムのサイズおよび接種容量に関して調節した。試料の数は限られているので、試験は、三重反復試験ではなく二重反復試験として行った。その後に、生きている微生物細胞の数を数えた。それぞれの試料の抗微生物活性の値は、以下の式:
R=Log(B/C)
(式中、
R: 対数減少として表現された抗微生物活性の値
B: 対照試料、すなわち抗微生物性添加剤を含まない24時間にわたるインキュベート後の試料での微生物の数の平均
C: 抗微生物性処理された24時間にわたるインキュベート後の試料での微生物の数)に従って計算した。
【0252】
抗微生物効果についての基準:
試験方法JIS Z 2801(ISO 22196と非常に大幅に同等の方法)によれば、抗微生物活性Rの値は、生成物が抗微生物活性であると判断されるためには、2.0を下回るべきではない。ISO 22196は、抗微生物活性についての最低必要条件を一切含まない。
【0253】
2.5 結果
第1表: 細菌に対する試験(1%活性剤濃度)
【表1】
【0254】
第2表: 細菌に対する試験(3%活性剤濃度)
【表2】
【0255】
第3表: 菌類に対する試験(1%活性剤濃度)
【表3】
【0256】
第4表: 菌類に対する試験(3%活性剤濃度)
【表4】
【0257】
2.6 まとめ
ポリアミド中に導入された活性剤のほとんどは、1%で既に両方の試験細菌に対して優れた抗細菌性能を示した。その性能を示さなかった活性剤は、3%の負荷量では優れた性能を示した。
【0258】
抗菌類活性は、ポリブチルイミダゾリウムTFSIまたはポリヘキシルイミダゾリウムアセテートを含有するポリアミド試料について観察された。
【0259】
該ポリアミドが前記の粒状無機充填剤をさらに含有する場合にも、同様の効果が期待されるべきである。
【0260】
本明細書の詳細な説明および特許請求の範囲の全体にわたり、用語「含む(comprise)」および「含有する(contain)」ならびにそれらの別形は、「限定されるものではないが包含する(including but not limited to)」を意味し、それらは、その他の部、添加剤、成分、整数、または工程を除外すると解釈されない(かつ除外しない)。本明細書の詳細な説明および特許請求の範囲の全体にわたり、単数形は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き複数形を含む。特に、不定冠詞が使用される場合に、本明細書は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、複数形だけでなく、単数形も検討されると解釈されるべきである。
【0261】
本発明の特定の態様、実施形態または例に関連して記載される特徴、整数、特質、化合物、化学的部分または基は、不適合でない限り、あらゆるその他の態様、実施形態または例に適用可能であると解釈されるべきである。本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示される特徴のすべて、および/またはこのように開示される任意の方法またはプロセスの工程のすべては、あらゆる組み合わせで組み合わせることができるが、そのような特徴および/または工程の少なくとも幾つかが相互に排他的である組み合わせを除くものとする。本発明は、あらゆる上述の実施形態の詳細に限定されるものではない。本発明は、本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示される特徴のうちの任意の新規の1つ、もしくは任意の新規の組み合わせに及ぶか、またはこのように開示される任意の方法もしくはプロセスの工程のうちの任意の新規の1つ、もしくは任意の新規の組み合わせに及ぶ。
【0262】
読者の関心は、本出願との関連で本明細書と同時にまたはその前に提出され、かつ本明細書により公衆の閲覧に付されたすべての論文および文献に向けられ、そのようなすべての論文および文献の内容は、参照により本明細書で援用される。