(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
メチオニンをキャリアガスを用いて気流搬送するに際して、メチオニンの流動状態を低濃度浮遊流形とし、かつメチオニンとキャリアガスの混合比を、4〜10kg‐メチオニン/ kg‐キャリアガスの範囲とし、
前記メチオニンの搬送前のD50は、150〜425μmの範囲にあり、
管内圧力は0.05〜0.19MPaであり、気流速度は20〜40m/sである、
ことを特徴とする、メチオニンの気流搬送方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製造されたメチオニンがパイプ内を気流搬送している間に、配管下部や曲管部等との衝突により破砕してしまうと、粉立ちによってパイプに設けられているバルブ等に詰りが生ずるなどのハンドリング性が低下したり、微粉増加によりメチオニン自体の製品品質が低化する。
したがって、輸送を円滑に進め、良好な製品品質のメチオニンを提供するには搬送中の破砕を極力避けなければならない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、メチオニンの破砕を最小限に抑制できるメチオニンの気流搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は粉粒体であるメチオニンを気流搬送するに際して搬送中の破砕防止につき鋭意研究したところ、メチオニンとキャリアガスの混合比を制御することで、メチオニンの破砕を効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
上記知見に基づき、本願の発明は、以下の態様を包含する。
第1態様のメチオニンの気流搬送方法(以下、本明細書中、「本発明の方法」と記すことがある)は、メチオニンをキャリアガスを用いて気流搬送するに際して、メチオニンの流動状態を低濃度浮遊流形とし、かつメチオニンとキャリアガスの混合比を、4〜10kg‐メチオニン/ kg‐キャリアガスの範囲とすることを特徴とする。
第2態様のメチオニンの気流搬送方法は、第1態様において、前記混合比を、5〜10kg‐メチオニン/ kg‐キャリアガスの範囲とすることを特徴とする。
第3態様のメチオニンの気流搬送方法は、第1態様または第2態様において、前記メチオニンの搬送前のD50が、150〜425μmの範囲にあることを特徴とする。
【0009】
本願第1態様によれば、メチオニンとキャリアガスとの混合比を4〜10kg‐メチオニン/kg‐キャリアガスとすれば、閉塞も生じず、微粉増加率を1.5%以下に抑えることができる。
本願第2態様によれば、メチオニンとキャリアガスとの混合比を5〜10kg‐メチオニン/ kg‐キャリアガスとすれば、閉塞も生じず、微粉増加率を1%以下に抑えることができる。
本願第3態様によれば、メチオニンのD50が150〜425μmの範囲内のものとすれば、前記混合比4〜10kg‐メチオニン/ kg‐キャリアガスに保つことで、微粉増加率を1.5%以下に抑制することができ、混合比を5〜10kg‐メチオニン/ kg‐キャリアガスに保つことで、微粉増加率を1%以下にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明のメチオニン気流搬送方法が適用されるのは、代表的にはメチオニンの製造設備であり、このような製造設備では、製造され乾燥されたメチオニンは、タンクなどの貯留部へ搬送され、さらに計量して容器に充填する充填部への搬送に供される。また、不良品はこれを破棄すべく外部に搬送される。
【0012】
これらの搬送に供する搬送経路は、製造工程末端から貯留部までの貯留部向け搬送ラインや、貯留部から充填部までの充填部向け搬送ラインであり、さらに破棄部に向けた破棄ラインなどがある。貯留部向け搬送ラインと充填部向け搬送ラインは、メチオニンの破砕を抑制したいので、本発明の適用に意義が大きい搬送ラインである。ただし、ここに例示したもの以外の搬送ラインにも本発明は適用される。なお、破棄ラインは本発明の適用が可能であるが、破棄ラインに送られるメチオニンは破砕しても問題ないので、必ずしも適用の必要性はない。
【0013】
搬送ラインの構成は、主にパイプとパイプに気流を流す気流発生手段とからなる。
パイプとしては、とくに制限は無いが、材料としてステンレス鋼製や塩化ビニール樹脂製などであり、直径が20mm〜300mm位のものが用いられる。
パイプの長さは、搬送ライン毎に必要な長さのものが用いられる。
パイプの配管形状はプラントの構造物や敷地形状などに合わせられており、必然的に曲管部(いわゆるエルボ)が用いられ、それには垂直面内や水平面内、あるいは傾斜面内で曲ったものが含まれる。
【0014】
気流発生手段としては、搬送ラインの始端に設けられた圧送用のブロワー、搬送ラインの終端に設けられた吸気用のブロワーなどを例示できる。圧送用のブロワーと吸気用のブロワーのどちらか一方を用いてもよく、両方を用いてもよい。また、ブロワー以外の適当な機器、たとえば、コンプレッサー、真空ポンプなどを用いてもよい。
【0015】
上記した気流搬送装置においてメチオニンが搬送されるが、搬送されるメチオニンは、乾燥したものであり、この乾燥後のメチオニンは、粉状もしくは粒状またはそれらの混合形態である。
【0016】
本発明の気流搬送方法が適用されるメチオニンの気流搬送形態は、低濃度浮遊流形である。
低濃度浮遊流形とは、粒子が管内断面にほぼ均一に分布し、搬送気体に浮遊しながら流れていく形態から、粒子の一部が浮遊しつつも残る部分が管底部に接触しながら停滞することなく流れていく形態までを含む搬送形態である。
【0017】
上記の低濃度浮遊流形を維持する場合の管内圧力や気流速度は、搬送ラインの物理条件に依存して変動するものの、概ね管内圧力が0.05〜0.19MPa、気流速度が20〜40m/sである。ただし、ここに記載した管内圧力と気流速度の数値範囲内を外れていても、搬送形態が低濃度浮遊流形である限り、本発明を適用することができる。
【0018】
本発明の気流搬送方法が適用される、乾燥後のメチオニンのD50は150〜425μmの範囲が好ましい。D50は、メジアン径ともいわれ、粉体の粒度をある粒子径から2つに分けて分類したとき、その粒子径を基準にして粒度分布が大きい側と小さい側が等量となる径のことをいう。
【0019】
本発明におけるD50は、ふるい分け法により測定される粒度分布より求められる。ふるい分け法の具体的な操作は以下の通りである。
(1)目開きが45μm、106μm、150μm、250μm、355μm、425μm、500μm、710μm、850μmの順になるように各ふるいを受け皿の上に積み重ねる。
(2)メチオニン20gを850μmのふるいの上に乗せ、ふるい振とう機を用いて16分間振とうする。
(3)受け皿および各ふるい上のメチオニンの重量を測定し、これらの重量の合計に対する重量百分率を求め、粒度分布をふるい下積算分布で表す。
【0020】
気流搬送に用いるキャリアガスは、空気、窒素、または窒素と空気の混合気体などから任意に選択して用いることができる。
粉じん爆発を抑制するためには、酸素濃度16%以下のキャリアガスが好ましい。
【0021】
気流搬送形態が低濃度浮遊流形であって、上記したメチオニンのD50の数値範囲を加えた気流搬送時の条件を前提とすると、以下に説明するメチオニンとキャリアガスとの混合比を守った場合は、メチオニンの破砕率を効果的に抑制することができる。
【0022】
上記の混合比は、4〜10kg‐メチオニン/ kg‐キャリアガスの範囲が好ましい。
図1に示すように、混合比が4を下廻ると搬送中のメチオニンの破砕率が増えはじめ、3.8以下では破砕率が高くなる。混合比が10を上廻ると閉塞が生じやすくなり、12以上であると閉塞により搬送ができなくなる。
したがって、混合比を、4〜10の範囲内とすると、閉塞も生じず乾燥後のメチオニンの破砕も生じにくく、破砕率を1.5%以下に抑制することができる。
【0023】
本発明において、混合比のより好ましい範囲は5〜10 kg‐メチオニン/ kg‐キャリアガスである。
混合比が、5〜10であると、メチオニンの破砕はより生じにくく、
図1に示すように破砕率を1%以下に抑制することができる。
【0024】
本明細書において、用いた用語の意味は、以下のとおりである。
「混合比」は、時間当りに搬送するメチオニン重量とブロワー等の気流発生手段から吐き出されるキャリアガス(例えば、空気)の重量比で計算された比率である。
「破砕」とは、粒径が100μm以下に小さくなったことをいう。
「破砕率(%)」は(搬送後の粒径100μm以下の微粉の増加量/搬送前のメチオニン粉粒体の全量)×100で計算された割合である。
【実施例】
【0025】
つぎに実験例を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
まず、
図2に基づき実験設備を説明する。
1はホッパー、2はメチオニンの搬送ライン用の搬送ポンプ、3は第1受けタンク、4は第2受けタンクである。ホッパー1にはメチオニンが投入される。搬送ライン2の始端にはキャリアガスが送気される。第1受けタンク3の入側直前には分離機5が設置され、正常粒径のメチオニンを第1受けタンク3に落下させ、微粉に粉砕されたメチオニンは第2受けタンク4に送られる。なお、ガスはバグフィルター6を通って大気に放出される。
搬送ライン2を構成する搬送パイプ2は、内径50mmで、長さ100m、曲率半径450mmの曲管部が10カ所である。
【0026】
気流搬送を行うメチオニンの粒度分布D50は、150〜425μmの範囲であった。
キャリアガスには粉じん爆発を抑制するために、酸素濃度16%以下のガスを用いた。
【0027】
図2の設備を使用し、管内圧力を0.05〜0.15MPa、気流速度を20〜40m/sにして低濃度浮遊流形を維持した。そして、メチオニンとキャリアガスの混合比を変化させて、気流搬送テストを実施した。搬送前サンプルと、搬送後の第1受けタンク3、第2受けタンク4におけるサンプルの粒度測定を行い、搬送後の100μm以下の破砕率、すなわち微粉増加率の測定を行った。結果を
図1に示す。
【0028】
図1において、横軸は混合比(単位は、kg‐メチオニン/ kg‐キャリアガスとしての空気)であり、縦軸は破砕率(単位は%)、つまり100μm以下の粉粒体の増加割合である。
同図より、混合比が4から10の間は破砕率(%)が1.5%以下の小さい値を示しているが、混合比が4を下廻ると混合比が小さくなるにつれて破砕率が約1.5%を越え約2%へ上昇しているのが分かった。
【0029】
また、混合比を5から10の間とすると、破砕率が1%未満であり、混合比を5から10に向け増加させると、破砕率が約0.8から約0.4に低減することも分かった。
なお、混合比が12を超えると閉塞が生じ搬送できなくなることが分かった。
【0030】
上記実験結果に基づき、破砕率を1.5%以下に抑えるためには混合比を4〜10程度にすればよく、さらに1%以下に抑えるためには5〜10程度とすることがよいことが分かった。なお、混合比が10を超えると搬送ができなくなる閉塞を生じるので、混合比の上限は10とみなされた。
【0031】
メチオニンの製造における後工程でのハンドリング性や品質面を考慮すると、破砕率を1.5%以下、望ましくは1%以下に抑えることが望ましいが、本発明の気流搬送方法では、このような低い破砕率の達成に効果のあることが分かった。