特許第6985611号(P6985611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985611
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】故障箇所推定方法及び故障箇所推定装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/24 20060101AFI20211213BHJP
   H04L 12/70 20130101ALI20211213BHJP
【FI】
   H04L12/24
   H04L12/70 100Z
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-192797(P2018-192797)
(22)【出願日】2018年10月11日
(65)【公開番号】特開2020-61685(P2020-61685A)
(43)【公開日】2020年4月16日
【審査請求日】2021年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 正啓
(72)【発明者】
【氏名】平野 章
【審査官】 安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−44776(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/070274(WO,A1)
【文献】 特開2010−34876(JP,A)
【文献】 特開2014−53658(JP,A)
【文献】 堤 陽祐 他,ネットワーク障害におけるパスの統合・分割による障害箇所の推定,電子情報通信学会技術研究報告(信学技報),2018年02月22日,第117巻, 第459号,pp.175-180(NS2017-198)
【文献】 渡邉 岳彦 他,エンドトゥエンドIP品質情報のアクティブ計測に基づくネットワーク内劣化箇所特定技法,電子情報通信学会技術研究報告(信学技報),2010年03月04日,第109巻, 第463号,pp.87-92(ICM2009-60)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/24
H04L 12/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノードを有するネットワークを分割数k(kは1以上の整数)で分割した部分ネットワークを定める分割ステップと、
前記部分ネットワークを診断単位ネットワークとし、診断単位ネットワークごとに、当該診断単位ネットワークにおける端ノードの組合せそれぞれについてパスの接続性を確認する第一接続性確認ステップと、
前記診断単位ネットワークごとに、前記第一接続性確認ステップにおいて接続性に異常ありと判断された前記組合せのうち一部又は全ての組合せを選択する選択ステップと、
前記診断単位ネットワークごとに、前記選択ステップにおいて選択された前記組合せである選択ノード接続に含まれる前記ノードの組合せそれぞれについてパスの接続性を確認する第二接続性確認ステップと、
前記第二接続性確認ステップにおける接続性の確認結果に基づいて前記ネットワークにおける故障箇所を推定する故障箇所推定ステップと、
を有する故障箇所推定方法。
【請求項2】
前記分割ステップにおいては、隣接する2つの前記部分ネットワークにおいて同一の前記ノードを2以上共有するように前記部分ネットワークを定める、
請求項1に記載の故障箇所推定方法。
【請求項3】
前記選択ステップにおいては、前記診断単位ネットワークごとに、接続性に異常ありと判断された前記端ノードの組合せのうち前記端ノード間の接続に含まれる前記ノードの数が最も少ない又は最も多い組合せを選択する、
請求項1又は請求項2に記載の故障箇所推定方法。
【請求項4】
前記選択ステップにおいては、前記診断単位ネットワークごとに、前記第一接続性確認ステップにおいて接続性に異常ありと判断された前記端ノードの組合せから、前記ノードを共有しない2以上の前記組合せを選択する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の故障箇所推定方法。
【請求項5】
前記診断単位ネットワークから、前記故障箇所推定ステップにおいて推定された前記故障箇所を有する前記選択ノード接続を除いた部分を少なくとも含む残存部分ネットワークを新たな診断単位ネットワークとし、前記第一接続性確認ステップ、前記選択ステップ、前記第二接続性確認ステップ、及び、前記故障箇所推定ステップを行う、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の故障箇所推定方法。
【請求項6】
接続性の確認に、インターネット制御通知プロトコル(ICMP)を利用したping又はtracerouteを用いる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の故障箇所推定方法。
【請求項7】
前記ネットワークは、物理的なノード、論理的なノード、又は、物理的なノードと論理的なノードとの組合せで構成される、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の故障箇所推定方法。
【請求項8】
複数のノードを有するネットワークを分割数k(kは1以上の整数)で分割した部分ネットワークを定める分割部と、
前記部分ネットワークを診断単位ネットワークとし、診断単位ネットワークごとに、当該診断単位ネットワークにおける端ノードの組合せそれぞれについてパスの接続性を確認する第一接続性確認部と、
前記診断単位ネットワークごとに、前記第一接続性確認部において接続性に異常ありと判断された前記組合せのうち一部又は全ての組合せを選択する選択部と、
前記診断単位ネットワークごとに、前記選択部において選択された前記組合せである選択ノード接続に含まれる前記ノードの組合せそれぞれについてパスの接続性を確認する第二接続性確認部と、
前記第二接続性確認部における接続性の確認結果に基づいて前記ネットワークにおける故障箇所を推定する故障箇所推定部と、
を備える故障箇所推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障箇所推定方法及び故障箇所推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークにおいて、物理的な通信回線や論理的な通信路であるパス(以下では総称して「サービス・パス」と記載)に障害が発生したときに、ネットワーク内の何処で(どの装置で)故障が生じているのかを特定することは非常に重要である。ルータやスイッチ(ノード)により構成されるネットワークでは、非特許文献1、2により規定されるインターネット制御通知プロトコル(ICMP:Internet Control Message Protocol)を利用するping等の到達確認プロトコルを用いて故障箇所の特定(切り分け)を試みることが多い。
【0003】
pingでは、ある装置からICMPのecho requestメッセージを対象装置に向けて送信し、対象装置からecho replyメッセージを受け取ることで到達性を確認する。pingを実施する2台の装置の組合せを変え、それらの結果を比較することで故障が発生した箇所を特定する。echo requestやecho replyのpingメッセージは、サービス・パスと同じ物理経路を共有するように送受信される。そのため、通常状態(正常時)には機能させることは殆どなく、障害が発生した際に人が手作業でコマンドを装置に打ち込み機能させる(使用する)ことが一般的である。しかしながら、人がコマンドを装置に打ち込み、得られた結果を基に判断を行うことから故障箇所の切り分け作業を誤ることが多い。特に、ネットワークの規模が大きくなり、装置が多くなる場合にその傾向が強くなる。そこで、pingによる故障箇所の切り分け作業をプログラム化(/自動化/機械化)することが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−53658号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】RFC792, “Internet Control Message Protocol”, 1981年
【非特許文献2】RFC4443, “Internet Control Message Protocol(ICMPv6) for the Internet Protocol Version 6 (IPv6) Specification”, 2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
pingによる故障箇所の切り分け作業をプログラム化する場合、サービス・パスと装置の関係を全て考慮し、予め故障箇所とpingの結果を関連付けておく必要がある。この関連付け(以下、パターンと表記)は複雑かつその数は膨大である。この際、サービス・パスがPoint-to-Point(P2P)のみである場合、切り分けをすべきノードの組合せ(以下、被検証ネットワークと記載)は比較的単純である。一方、サービス・パスがMultiPoint-to-MultiPoint(MP2MP)のような場合、被検証ネットワークの構成は複雑になり、より切り分けに必要な到達確認プロトコルの実施数は多くなる。そのため、自動化が難しくなったり、計算負荷が大きくなったりするという問題があった。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、ネットワーク障害の発生箇所を推定するために行う到達性確認の実施数を低減することができる故障箇所推定方法及び故障箇所推定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、複数のノードを有するネットワークを分割数k(kは1以上の整数)で分割した部分ネットワークを定める分割ステップと、前記部分ネットワークを診断単位ネットワークとし、診断単位ネットワークごとに、当該診断単位ネットワークにおける端ノードの組合せそれぞれについてパスの接続性を確認する第一接続性確認ステップと、前記診断単位ネットワークごとに、前記第一接続性確認ステップにおいて接続性に異常ありと判断された前記組合せのうち一部又は全ての組合せを選択する選択ステップと、前記診断単位ネットワークごとに、前記選択ステップにおいて選択された前記組合せである選択ノード接続に含まれる前記ノードの組合せそれぞれについてパスの接続性を確認する第二接続性確認ステップと、前記第二接続性確認ステップにおける接続性の確認結果に基づいて前記ネットワークにおける故障箇所を推定する故障箇所推定ステップと、を有する故障箇所推定方法である。
【0009】
本発明の一態様は、上述の故障箇所推定方法であって、前記分割ステップにおいては、隣接する2つの前記部分ネットワークにおいて同一の前記ノードを2以上共有するように前記部分ネットワークを定める。
【0010】
本発明の一態様は、上述の故障箇所推定方法であって、前記選択ステップにおいては、前記診断単位ネットワークごとに、接続性に異常ありと判断された前記端ノードの組合せのうち前記端ノード間の接続に含まれる前記ノードの数が最も少ない又は最も多い組合せを選択する。
【0011】
本発明の一態様は、上述の故障箇所推定方法であって、前記選択ステップにおいては、前記診断単位ネットワークごとに、前記第一接続性確認ステップにおいて接続性に異常ありと判断された前記端ノードの組合せから、前記ノードを共有しない2以上の前記組合せを選択する。
【0012】
本発明の一態様は、上述の故障箇所推定方法であって、前記診断単位ネットワークから、前記故障箇所推定ステップにおいて推定された前記故障箇所を有する前記選択ノード接続を除いた部分を少なくとも含む残存部分ネットワークを新たな診断単位ネットワークとし、前記第一接続性確認ステップ、前記選択ステップ、前記第二接続性確認ステップ、及び、前記故障箇所推定ステップを行う。
【0013】
本発明の一態様は、上述の故障箇所推定方法であって、接続性の確認に、インターネット制御通知プロトコル(ICMP)を利用したping又はtracerouteを用いる。
【0014】
本発明の一態様は、上述の故障箇所推定方法であって、前記ネットワークは、物理的なノード、論理的なノード、又は、物理的なノードと論理的なノードとの組合せで構成される。
【0015】
本発明の一態様は、複数のノードを有するネットワークを分割数k(kは1以上の整数)で分割した部分ネットワークを定める分割部と、前記部分ネットワークを診断単位ネットワークとし、診断単位ネットワークごとに、当該診断単位ネットワークにおける端ノードの組合せそれぞれについてパスの接続性を確認する第一接続性確認部と、前記診断単位ネットワークごとに、前記第一接続性確認部において接続性に異常ありと判断された前記組合せのうち一部又は全ての組合せを選択する選択部と、前記診断単位ネットワークごとに、前記選択部において選択された前記組合せである選択ノード接続に含まれる前記ノードの組合せそれぞれについてパスの接続性を確認する第二接続性確認部と、前記第二接続性確認部における接続性の確認結果に基づいて前記ネットワークにおける故障箇所を推定する故障箇所推定部と、を備える故障箇所推定装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、ネットワーク障害の発生箇所を推定するために行う到達性確認の実施数を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態における物理ネットワークの全体構成を示す図である。
図2図1に示す物理ネットワークにおいて構成されるVLANのスイッチ構成を示す図である。
図3】実施形態の故障箇所推定装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4】第1の実施形態による故障箇所推定装置の処理を示すフロー図である。
図5】同実施形態によるVLANネットワークにおける故障箇所を示す図である。
図6】同実施形態による第一試験結果情報を示す図である。
図7】同実施形態による接続性が確認できなかった端ノード間接続のノード数及びノードを示す図である。
図8】同実施形態による最小ノード接続の接続構成及び第二試験結果情報を示す図である
図9】同実施形態による第一試験結果情報と想定試験結果情報との比較を示す図である。
図10】第2の実施形態による故障箇所推定装置の処理を示すフロー図である。
図11】同実施形態によるVLANネットワークの分割を示す図である。
図12】同実施形態による第一試験結果情報を示す図である。
図13】同実施形態による接続性が確認できなかった端ノード間接続のノード数及びノードを示す図である。
図14】同実施形態による最小ノード接続の接続構成及び第二試験結果情報を示す図である。
図15】同実施形態による部分ネットワークの第一試験結果情報と想定試験結果情報との比較を示す図である
図16】第1の実施形態及び第2の実施形態におけるping実施回数を示す図である。
図17】第3の実施形態による故障箇所推定装置の処理を示すフロー図である。
図18】同実施形態によるVLANネットワークにおける故障箇所を示す図である。
図19】同実施形態による第一試験結果情報を示す図である。
図20】同実施形態による接続性が確認できなかった端ノード間接続のノード数及びノードを示す図である。
図21】同実施形態による最小ノード接続それぞれの接続構成及び第二試験結果情報を示す図である。
図22】同実施形態による第一試験結果情報と想定試験結果情報との比較を示す図である。
図23】第4の実施形態による故障箇所推定装置の処理を示すフロー図である。
図24】同実施形態によるVLANネットワークの分割を示す図である。
図25】同実施形態による第一試験結果情報を示す図である。
図26】同実施形態による各部分ネットワークにおいて接続性が確認できなかった端ノード間接続のノード数及びノードを示す図である。
図27】同実施形態による最小ノード接続の接続構成及び第二試験結果情報を示す図である。
図28】同実施形態による第一試験結果情報と想定試験結果情報との比較を示す図である。
図29】同実施形態による部分ネットワークにおける最小ノード接続と残存部分ネットワークを示す図である。
図30】同実施形態による残存部分ネットワークにおける最小ノード接続の接続構成及び第二試験結果情報を示す図である。
図31】同実施形態による第一試験結果情報と想定試験結果情報との比較を示す図である。
図32】第3の実施形態及び第4の実施形態におけるping実施回数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態は、通信ネットワークにおいてネットワーク障害が発生した際の障害部位を推定する故障箇所推定方法と、その故障箇所推定方法を実行する故障箇所推定装置に関する。
【0019】
本実施形態の故障箇所推定方法では、被検証ネットワークとなる通信ネットワークのサービス・パスがMP2MPである場合に、その被検証ネットワークを分割数k(kは1以上の整数)に仮想的に分割する。以下では、分割された被検証ネットワークを、被検証分割ネットワークと記載する。なお、分割数k=1の場合、被検証分割ネットワークは、被検証ネットワーク単体のままである。
【0020】
続いて、全ての被検証分割ネットワークに対して到達確認プロトコルにより接続性を確認した結果に基づいて、被検証ネットワークの故障箇所を特定する。この際、最初に、被検証分割ネットワークそれぞれの端ノード間に対して到達確認プロトコルによる接続性確認を実施し、異常と判断された端ノードの組合せのうち、通過するノード数が最も小さい端ノードの組合せ(以下、最小ノード接続と記載)を選択する。更に、最小ノード接続における全ノードの組合せそれぞれに対して到達確認プロトコルによる接続性確認を実施し、故障箇所の有無の判定と、故障があれば故障箇所の特定を行う。なお、ある被検証分割ネットワークにおいて不接続となる端ノードの組合せが存在しなければ、当該被検証分割ネットワークではそれ以上の接続性確認は不要となるため、それ以降の切り分けプロセスに組み込まない。上記の方法により、故障箇所を特定に必要な、被検証ネットワークにおける到達確認プロトコルの実施数を抑制する。到達確認プロトコルには、例えば、インターネット制御通知プロトコル(ICMP)を利用したping又はtracerouteを用いることができる。
【0021】
図1は、本発明の実施形態における物理ネットワークの全体構成を示す図である。同図に示す管理・監視対象の物理ネットワークは、複数台のイーサネット(登録商標)・スイッチ・ノード(以下、スイッチと記載)N1〜N15を有する。なお、スイッチN1〜N15を総称して、スイッチNと記載する。スイッチNは、物理ノードの一例である。
【0022】
同図に示す物理ネットワークは、複数のスイッチNがリング状に接続されたリングR1〜R5から構成される。リングR1ではスイッチN1〜N4がリング状に接続されている。リングR2ではスイッチN3、N5〜N8がリング状に接続されている。リングR3ではスイッチN6、N13、N14がリング状に接続されている。リングR4ではスイッチN4、N9〜N12がリング状に接続されている。リングR5ではスイッチN11、N15、N16がリング状に接続されている。
【0023】
各リングRi(i=1,2,3,4,5)には、フレームがそのリング内でループしないように、ブロックポートBiが設定されており、通信経路は一意に決まっている。ブロックポートB1は、リングR1に属し、かつ、他のネットワークと接続されるスイッチN1に設けられる。ブロックポートB2は、リングR1及びリングR2に属するスイッチN3に、ブロックポートB3は、リングR2及びリングR3に属するスイッチN6に、ブロックポートB4は、リングR1及びリングR4に属するスイッチN4に、ブロックポートB5はリングR4及びリングR5に属するスイッチN11に設けられる。
【0024】
物理ネットワークは、様々な論理ネットワークを構築可能なベースとなるネットワークである。物理ネットワーク上には、仮想ネットワークである論理ネットワークが1以上構築され得る。論理ネットワークの一例は、VLANネットワークである。物理ネットワークに対して、スイッチNへの設定変更を行うことで、「VLANによるサービス・パスの構築」や「UNIの構築」が行われる。
【0025】
図2は、図1に示す物理ネットワークにおいて構築されるVLANのスイッチ構成(以下、VLANネットワークと記載)を示す図である。同図に示すVLANネットワークは、MP2MPとなるようにサービス・パスが設定されている。論理ネットワークには、物理ネットワークにおける一部のノード又は全ノードが関係するが、同図に示すVLANネットワークは、一部のノードが関係する。関係するノードとは、例えば、論理ネットワークにおいて発又は着となり得るノードと、それらノード間の通信を中継するノードとを含む。同図に示すVLANネットワークは、ノード数Mが12(M=12)であり、スイッチN8、N10、N14、N15が端ノードである。
【0026】
さらに、VLANネットワークには、7つのUNI(User Network Interface)−A〜Gが設定される。UNI−AはスイッチN8に、UNI−BはスイッチN6に、UNI−CはスイッチN14に、UNI−DはスイッチN12に、UNI−EはスイッチN11に、UNI−FはスイッチN15に、UNI−GはスイッチN10に設けられる。図1には、物理ネットワークにおけるUNI−A〜Gが示されている。以下の説明では、同図に示すVLANネットワークの構成を前提とする。また、選択ノード接続の選択規則においては、基本的に最小/最大のどちらを用いても同様の手順となることから、説明を容易にするため、以下では最小のものを選択する場合(最小ノード接続)を例にして説明する。
【0027】
図3は、本実施形態による故障箇所推定装置1の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。故障箇所推定装置1は、通信部11、記憶部12、障害検知部13、分割部14、第一試験実施部15、選択部16、第二試験実施部17及び故障箇所推定部18を備える。
【0028】
通信部11は、ネットワークを構成する各ノードなどの他の装置とデータの送受信を行う。ノードとは、他のノードと通信を行う装置である。本実施形態では、通信部11は、VLANネットワークの各スイッチNと通信する。
【0029】
記憶部12は、ネットワーク構成情報と、想定試験結果情報と、試験結果情報とを含む各種情報を記憶する。ネットワーク構成情報は、被検証ネットワークのネットワーク構成を示す。例えば、ネットワーク構成情報は、図1に示す物理ネットワークの構成、及び、図2に示すVLANネットワークのスイッチ構成を示す情報である。故障箇所推定装置1は、これらのネットワーク構成情報を、通信部11を介して、ネットワークを構築するノード又はネットワークに関する装置、システムなどから取得して、記憶部12に記憶してもよい。また、ネットワークに変更が生じた場合には、その内容を随時反映した情報を記憶部12に記憶してもよい。想定試験結果情報は、障害発生箇所別に、障害発生時に想定される接続性試験の結果(パターン)を示す。試験結果情報は、第一試験実施部15が実施した接続性試験の試験結果を示す第一試験結果情報と、第二試験実施部17が実施した接続性試験の試験結果を示す第二試験結果情報とを含む。
【0030】
障害検知部13は、ネットワークの障害又は障害被疑(障害の可能性があること)を検知する。例えば、障害検知部13は、ノード、又は、ネットワークを管理する装置などから、ネットワークの障害又は障害被疑を検知した旨の通知を受ける。あるいは、障害検知部13は、ネットワークからの送信が期待される信号を受信しないことなどにより、障害又は障害被疑を検出してもよい。
【0031】
分割部14は、検知された障害又は障害被疑に関するネットワークを被検証ネットワークとする。被検証ネットワークは、物理ネットワークの全体又は一部、あるいは、論理ネットワークの全体又は一部であり、検知された障害又は障害被疑の内容に基づいて定められる。分割部14は、被検証ネットワークをあらかじめ設定された分割数k(kは1以上の整数)の部分ネットワークに分割し、診断単位ネットワークとする。つまり、kは、分割後の部分ネットワーク数を表す。k=1の場合、被検証ネットワーク全体を部分ネットワークとする。分割部14は、k≧2の場合、隣接する2つの部分ネットワークにおいて、同一のノードを2以上共有するように部分ネットワークを定めてもよい。
【0032】
なお、被検証ネットワークは、物理的なノードで構成されてもよく、論理的なノードで構成されてもよく、物理的なノードと論理的なノードとの組合せで構成されてもよい。例えば、サーバ仮想化技術により1つのサーバ上で複数の仮想サーバが動作するなど、1つの物理ノードが仮想的に複数のノードとして動作する場合、それら仮想的なノードはそれぞれ論理ノードである。あるいは、ネットワークの仮想化により、複数の装置が連携して一つのノードとして動作する場合、そのノードは論理ノードである。これら論理ノードは、物理ノード又は他の論理ノードと接続され得る。本実施形態では、図2に示すVLANネットワーク全体を被検証ネットワークとする。
【0033】
第一試験実施部15は、ネットワーク構成情報を参照して部分ネットワークの端ノードを特定する。第一試験実施部15は、部分ネットワークごとに、2つの端ノードの異なる組合せである端ノード間それぞれに対して接続性試験を行い、試験結果を示す第一試験結果情報を記憶部12に書き込む。選択部16は、第一試験結果情報を参照し、接続性が確認できなかった(接続性確認NGであった)端ノード間のうち、端ノード間の接続に含まれるノード数が最も少ないものを最小ノード接続として選択する。第二試験実施部17は、選択部16が選択した最小ノード接続に含まれるノードの全ての組合せに対して接続性試験を行い、試験結果を示す第二試験結果情報を記憶部12に書き込む。故障箇所推定部18は、第二試験結果情報に基づいて故障箇所を推定する。故障箇所推定部18は、推定した故障箇所のノードに障害が発生したときの想定試験結果情報と、第一試験結果情報とが一致する場合に、推定した故障箇所に故障が発生したと判断する。
【0034】
以下の第1の実施形態〜第4の実施形態において、故障箇所推定装置1を用いた故障箇所推定方法の詳細を説明する。
【0035】
(第1の実施形態)
本実施形態では、VLANネットワークを分割せずに(分割数k=1)、到達確認プロトコルを用いて故障箇所を特定する。本実施形態は、故障箇所が一箇所の場合である。
【0036】
図4は、本実施形態の故障箇所推定装置1の処理を示すフロー図である。図5図9を用いて、同図に示す処理を説明する。故障箇所推定装置1の障害検知部13がVLANネットワーク(VLAN−NW)の障害又は障害被疑を検出する(ステップS101)。分割部14は、k=1のため、VLANネットワーク全体を診断単位ネットワークとする。第一試験実施部15は、ネットワーク構成情報を参照して、VLANネットワークの端ノードを特定する(ステップS102)。端ノードとは、対象となる診断単位ネットワークのうち、UNIを除く他ノードとの接続を1つのみ持つノードである。なお、これ以外の方法により、端ノードを決めてもよい。
【0037】
第一試験実施部15は、端ノード間でpingを実施させるping試験を行い、その結果を示す第一試験結果情報を記憶部12に書き込む(ステップS103)。なお、スイッチNiとスイッチNjとの間のping試験とは(i、jは1以上の整数、i≠j)、スイッチNiに対してスイッチNjにecho requestメッセージを送信し、echo replyを受信したか否かの結果を通知するよう指示する処理と、スイッチNjに対してスイッチNiへecho requestメッセージを送信し、echo replyを受信したか否かの結果を通知するよう指示する処理との両方又は一方を行うことである。
【0038】
図5は、図2に示すVLANネットワークにおける故障箇所を示す図である。本実施形態では、スイッチN5が有する接続ポートのうちスイッチN3との接続ポートに障害又は故障(総称して故障とも記載)が発生している場合を例に説明する。ステップS102において、第一試験実施部15は、VLANネットワークの端ノードとして、スイッチN8、N10、N14及びN15を抽出する。
【0039】
図6は、第一試験結果情報を示す図である。この第一試験結果情報は、ステップS103において、第一試験実施部15が、図5に示すVLANネットワークの端ノード間でpingを実施した結果を示す。具体的には、第一試験実施部15は、スイッチN8、N10、N14、N15を用いて2つの端ノードからなる全ての組合せを生成する。第一試験実施部15は、それら組合せ毎に、端ノード間でpingを実施するよう端ノードのスイッチNに指示してその結果を取得し、取得した結果を示す第一試験結果情報を記憶部12に書き込む。起点は、echo requestを送信したスイッチNであり、対象は、そのecho requestの宛先のスイッチNである。「〇」は接続性が確認できたことを示し、「×」は接続性が確認できなかった(NGとなった)ことを示す。なお、接続性が確認できたこと、接続性が確認できなかったことを表す設定値に0又は1を用いるなど、別の表現を用いてもよい。同図に示すように、スイッチN8−スイッチN15、スイッチN8−スイッチN10、スイッチN14−スイッチN15、スイッチN14−スイッチN10間の接続性確認がNGである。
【0040】
図4のフロー図において、選択部16は、ネットワーク構成情報及び第一試験結果情報を参照し、接続性試験がNGであった端ノード間のうち、端ノード間に存在するノード数が最も少ない端ノード間を選択する(ステップS104)。
【0041】
図7は、接続性が確認できなかった(NGであった)端ノード間接続のノード数及びノードを示す図である。スイッチN8−スイッチN15間には、スイッチN8、N7、N6、N5、N3、N4、N12、N11、N16、N15の10ノードがある。スイッチN8−スイッチN10間には、スイッチN8、N7、N6、N5、N3、N4、N12、N11、N10の9ノードがある。スイッチN14−スイッチN15間には、スイッチN14、N6、N5、N3、N4、N12、N11、N16、N15の9ノードがある。スイッチN14−スイッチN10間には、スイッチN14、N6、N5、N3、N4、N12、N11、N10の8ノードがある。よって、選択部16は、4つの接続性確認NGとなった端ノード間接続のうち、スイッチN14−スイッチN10間を最小ノード接続として選択する。
【0042】
図4のフロー図において、第二試験実施部17は、ステップS104で選択された最小ノード接続に関係する全てのノード間でping試験を実施し、その結果を示す第二試験結果情報を記憶部12に書き込む(ステップS105)。故障箇所推定部18は、第二試験結果情報を参照し、仮の故障箇所を特定する(ステップS106)。故障箇所推定部18は、第一試験結果情報と、仮の故障箇所のノードに障害が発生したときの想定試験結果情報とが一致する場合に、仮の故障箇所に故障が発生したとの最終判断を行う(ステップS107)。
【0043】
図8は、最小ノード接続の接続構成及び第二試験結果情報を示す図である。同図の上側には、ステップS104において選択された最小ノード接続であるスイッチN14−スイッチN10間の接続構成を示している。第二試験実施部17は、スイッチN14−スイッチN10間を構成するスイッチN14、N6、N5、N3、N4、N12、N11、N10を用いて、2つのノードからなる全ての組合せを生成する。第二試験実施部17は、それら組合せ毎に、ノード間のping試験を実施し、同図の下側に示す第二試験結果情報を生成する。
【0044】
故障箇所推定部18は、この第二試験結果情報に基づいて、スイッチN5とスイッチN3との間の接続に故障が発生したと推測する。すなわち、端ノードであるスイッチN14からスイッチN5までの間のスイッチ群(スイッチN14、N6、N5)については、これらの間では接続性確認ができているが、スイッチN3からもう一方の端ノードであるスイッチN10までの間のスイッチ群(スイッチN3、N4、N12、N11、N10)とは接続性確認がNGである。また、スイッチN3からスイッチN10までの間のスイッチ群については、これらの間では接続性確認ができているが、スイッチN14からスイッチN5までの間のスイッチ群とは接続性確認がNGである。よって、スイッチN5とスイッチN3の間の接続に故障が発生したと推測できる。故障箇所推定部18は、スイッチN5とスイッチN3との間を仮の故障箇所と判断する。
【0045】
図9は、第一試験結果情報と想定試験結果情報との比較を示す図である。図9(a)は、ステップS103において端ノード間でpingを実施した結果であり、図6に示す第一試験結果情報と同じ図である。図9(b)は、スイッチN5とスイッチN3との間の接続に故障が発生した場合に想定される想定試験結果情報を示す図である。図9(b)に示すような想定試験結果情報を得るためは、故障発生後に端ノード間の接続関係モデルに対して仮想的な試験を実施すればよい。または、事前に端ノード間の接続関係をモデル化し、そのモデルにおける故障パターンに応じた想定試験結果情報を作成しておき、仮の故障箇所に応じて該当する故障パターンの想定試験結果情報を選択してもよい。故障箇所推定部18は、図9(a)に示す第一試験結果情報と、図9(b)に示す想定試験結果情報とが一致することから、他に故障箇所が存在しないことが推測できる。故障箇所推定部18は、仮の故障箇所としていたスイッチN5とスイッチN3との間の接続に故障が発生したと判断する。
【0046】
(第2の実施形態)
本実施形態では、VLANネットワークを2つの部分ネットワークに分割し(分割数k=2)、到達確認プロトコルを用いて故障箇所を特定する。本実施形態では、故障箇所が一箇所の場合である。
【0047】
図10は、本実施形態の故障箇所推定装置1の処理を示すフロー図である。図11図15を用いて、同図に示す処理を説明する。故障箇所推定装置1の障害検知部13は、VLANネットワーク(VLAN−NW)の障害又は障害被疑を検出する(ステップS201)。分割部14は、ネットワーク構成情報が示すVLANネットワークをk個の部分ネットワークに分割する(ステップS202)。第一試験実施部15は、ネットワーク構成情報を参照して、部分ネットワークそれぞれの端ノードを特定する(ステップS203)。第一試験実施部15は、部分ネットワーク毎に端ノード間でpingを実施させるping試験を行い、その結果を示す第一試験結果情報を記憶部12に書き込む(ステップS204)。
【0048】
図11は、VLANネットワークの分割を示す図である。本実施形態では、同図に示すように、スイッチN5が有する接続ポートのうちのスイッチN3との接続ポートに故障が発生した場合を例に説明する。ステップS202において、分割部14は、スイッチN3とスイッチN4を共有するように、VLANネットワークを2つの部分ネットワークVL1及び部分ネットワークVL2に分割する。
【0049】
部分ネットワークVL1の端ノードはスイッチN8、N14、N4であり、部分ネットワークVL2の端ノードはスイッチN3、N15、N10である。第一試験実施部15は、部分ネットワークVL1では、スイッチN8とスイッチN14、スイッチN8とスイッチN4、スイッチN8とスイッチN14間でpingを実施する。さらに、第一試験実施部15は、部分ネットワークVL2では、スイッチN3とスイッチN15、スイッチN3とスイッチN10、スイッチN15とスイッチN10間でpingを実施する。
【0050】
図12は、第一試験結果情報を示す図である。図12(a)は、部分ネットワークVL1の第一試験結果情報であり、図12(b)は、部分ネットワークVL2の第一試験結果情報である。部分ネットワークVL2では、全ての組合せの端ノード間で接続性が確認できている。一方、部分ネットワークVL1では、スイッチN8−スイッチN4間、及び、スイッチN14−スイッチN4間で接続性確認がNGである。
【0051】
図10のフロー図において、選択部16は、ネットワーク構成情報及び第一試験結果情報を参照し、接続性試験がNGであった端ノード間のうち、端ノード間に存在するノード数が最も少ない端ノード間を選択する(ステップS205)。
【0052】
図13は、接続性が確認できなかった端ノード間接続のノード数及びノードを示す図である。接続性確認がNGとなった端ノード間接続は部分ネットワークVL1では2つ、部分ネットワークVL2ではゼロなので、これ以降は部分ネットワークVL2についての切り分けプロセスは不要である。また、部分ネットワークVL1において接続性確認がNGとなった2つの端ノード間は、上述したように、スイッチN8−スイッチN4間と、スイッチN14−スイッチN4間である。スイッチN8−スイッチN4間接続には、スイッチN8、N7、N6、N5、N3、N4の6台のノードがあり、スイッチN14−スイッチN4間には、スイッチN14、N6、N5、N3、N4の5台のノードがある。よって、選択部16は、2つの接続性確認NGとなった端ノード間接続のうち、スイッチN14−スイッチN4間を最小ノード接続として選択する。
【0053】
図10のフロー図において、第二試験実施部17は、ステップS205で選択された最小ノード接続に関係する全てのノード間でping試験を実施し、その結果を示す第二試験結果情報を記憶部12に書き込む(ステップS206)。故障箇所推定部18は、第二試験結果情報を参照し、仮の故障箇所を特定する(ステップS207)。故障箇所推定部18は、第一試験結果情報と、仮の故障箇所に障害が発生したときの想定試験結果情報とが一致する場合に、仮の故障箇所に故障が発生したと判断する(ステップS208)。
【0054】
図14は、最小ノード接続の接続構成及び第二試験結果情報を示す図である。同図の上側に、ステップS205において選択された最小ノード接続であるスイッチN14−スイッチN4間の接続構成を示している。第二試験実施部17は、スイッチN14−スイッチN4間を構成するスイッチN14、N6、N5、N3、N4を用いて、2つのノードからなる全ての組合せを生成する。第二試験実施部17は、それら組合せ毎にノード間のping試験を実施し、同図の下側に示す第二試験結果情報を生成する。故障箇所推定部18は、この第二試験結果情報に基づいて、スイッチN5とスイッチN3との間の接続に故障が発生したと推測し、仮の故障箇所とする。
【0055】
図15は、部分ネットワークVL1の第一試験結果情報と想定試験結果情報との比較を示す図である。図15(a)は、ステップS204において部分ネットワークVL1の端ノード間でpingを実施した結果であり、図12(a)に示す第一試験結果情報と同じ図である。図15(b)は、スイッチN5とスイッチN3との間の接続のみに故障が発生した場合に想定される部分ネットワークVL1の想定試験結果情報を示す図である。故障箇所推定部18は、図15(a)に示す部分ネットワークVL1の第一試験結果情報と、図15(b)に示す部分ネットワークVL1の想定試験結果情報とが一致することから、他に故障箇所が存在しないことが推測できる。故障箇所推定部18は、仮の故障箇所としていたスイッチN5とスイッチN3との間の接続に故障が発生したと判断する。
【0056】
なお、分割部14が被検証ネットワークを部分ネットワークへ分割するときの分割位置の決定方法としては、例えば、(1)1つの部分ネットワークに属するノード数の上限を設定し、その数以内となるように分割していく、(2)被検証ネットワークをノード数で等分する、(3)運用者が事前に設定した分割ポイントに従って分割する、などがある。
【0057】
図16は、第1の実施形態及び第2の実施形態におけるping実施回数を示す図である。第1の実施形態及び第2の実施形態ともに、全てのノードに対してpingを実施した場合と比較して、大幅にping実施回数が低く抑えられていることが判る。
【0058】
(第3の実施形態)
本実施形態では、VLANネットワークを分割せずに(分割数k=1)、到達確認プロトコル(ping)を用いて多重(二重)故障箇所を特定する。本実施形態では、最小ノード接続が複数(2つ)存在する。
【0059】
図17は、本実施形態の故障箇所推定装置1の処理を示すフロー図である。図18図22を用いて、図17に示す処理を説明する。故障箇所推定装置1の障害検知部13がVLANネットワーク(VLAN−NW)の障害又は障害被疑を検出する(ステップS301)。分割部14は、k=1のため、VLANネットワーク全体を診断単位ネットワークとする。第一試験実施部15は、ネットワーク構成情報を参照して、VLANネットワークの端ノードを特定する(ステップS302)。第一試験実施部15は、端ノード間でpingを実施させるping試験を行い、その結果を示す第一試験結果情報を記憶部12に書き込む(ステップS303)。
【0060】
図18は、図2に示すVLANネットワークにおける故障箇所を示す図である。本実施形態では、スイッチN7が有する接続ポートのうちスイッチN6との接続ポートに障害又は故障が発生しており(障害/故障Aと記載)、かつ、スイッチN16が有する接続ポートのうちスイッチN15との接続ポートに障害又は故障が発生している(障害/故障Bと記載)場合を例に説明する。ステップS302において、第一試験実施部15は、VLANネットワークの端ノードとして、スイッチN8、N10、N14及びN15を抽出する。
【0061】
図19は、第一試験結果情報を示す図である。この第一試験結果情報は、ステップS303において、第一試験実施部15が、抽出した端ノード間でpingを実施した結果を示す。同図に示すように、スイッチN8−スイッチN14、スイッチN8−スイッチN15、スイッチN8−スイッチN10、スイッチN14−スイッチN15、及び、スイッチN15−スイッチN10間の5つの端ノード間で接続性確認がNGである。
【0062】
図17のフロー図において、選択部16は、ネットワーク構成情報及び第一試験結果情報を参照し、接続性試験がNGであった端ノード間のうち、端ノード間に存在するノード数が最も少ない端ノード間を選択する(ステップS304)。
【0063】
図20は、接続性が確認できなかった(NGであった)端ノード間接続のノード数及びノードを示す図である。接続性確認ができなかった5つの端ノード間接続のうち、最小ノード接続となり得る端ノード間接続は、スイッチN8−スイッチN14間と、スイッチN15−スイッチN10間の2つであり、これらを構成する端ノード間接続には、共通するノード(スイッチN)が存在しない。つまり、スイッチN8−スイッチN14間の端ノード間接続と、スイッチN15−スイッチN10間の端ノード間接続は、互いに素の関係(共通のノードを持たない関係)にある。よって、第一試験実施部15は、これらを共に最小ノード接続として選択する。以下では、スイッチN8−スイッチN14間を最小ノード接続1と記載し、スイッチN15−N10間を最小ノード接続2と記載する。
【0064】
図17のフロー図において、第二試験実施部17は、ステップS304で選択された最小ノード接続1と最小ノード接続2のそれぞれについて、最小ノード接続に関係する全てのノード間でping試験を実施し、その結果を示す第二試験結果情報を記憶部12に書き込む(ステップS305)。故障箇所推定部18は、第二試験結果情報を参照し、仮の故障箇所を特定する(ステップS306)。故障箇所推定部18は、第一試験結果情報と、仮の故障箇所のノードに障害が発生したときの想定試験結果情報とが一致する場合に、仮の故障箇所に故障が発生したとの最終判断を行う(ステップS307)。
【0065】
図21は、最小ノード接続1、2それぞれの最小ノード接続の接続構成及び第二試験結果情報を示す図である。図21(a)の左側は、最小ノード接続1の端ノード間の接続構成を、図21(a)の右側は、最小ノード接続1の第二試験結果情報を示している。図21(b)の左側は、最小ノード接続2の端ノード間の接続構成を、図21(b)の右側は、最小ノード接続2の第二試験結果情報を示している。
【0066】
故障箇所推定部18は、図21(a)に示す第二試験結果情報に基づいて、スイッチN7とスイッチN6との間の接続に故障が発生したと推測する。さらに、故障箇所推定部18は、図21(b)に示す第二試験結果情報に基づいて、スイッチN15とスイッチN16との間の接続に故障が発生したと推測する。故障箇所推定部18は、スイッチN15とスイッチN16との間、及び、スイッチN7とスイッチN6との間を仮の故障箇所と判断する。
【0067】
図22は、第一試験結果情報と想定試験結果情報との比較を示す図である。図22(a)は、ステップS303において端ノード間でpingを実施した結果であり、図19に示す第一試験結果情報と同じ図である。図22(b)は、スイッチN7とスイッチN6との間の接続、及び、スイッチN15とスイッチN16との間の接続に故障が発生した場合に想定される想定試験結果情報を示す図である。故障箇所推定部18は、図22(a)に示す第一試験結果情報と、図22(b)に示す想定試験結果情報とが一致することから、他に故障箇所が存在しないことが推測できる。故障箇所推定部18は、仮の故障箇所としていたスイッチN7とスイッチN6との間の接続、及び、スイッチN15とスイッチN16との間の接続に故障が発生したと判断する。
【0068】
(第4の実施形態)
本実施形態では、VLANネットワークを2つの部分ネットワークに分割し(分割数k=2)、到達確認プロトコル(ping)を用いて多重(二重)故障箇所を特定する。本実施形態は、一方の部分ネットワークに2つの故障が発生する場合である。
【0069】
図23は、本実施形態の故障箇所推定装置1の処理を示すフロー図である。図22図31を用いて、同図に示す処理を説明する。故障箇所推定装置1の障害検知部13は、VLANネットワーク(VLAN−NW)の障害又は障害被疑を検出する(ステップS401)。分割部14は、ネットワーク構成情報が示すVLANネットワークをk個の部分ネットワークに分割し、診断単位ネットワークとする(ステップS402)。第一試験実施部15は、ネットワーク構成情報を参照して、部分ネットワークそれぞれの端ノードを特定する(ステップS403)。第一試験実施部15は、部分ネットワーク毎に端ノード間でpingを実施させるping試験を行い、その結果を示す第一試験結果情報を記憶部12に書き込む(ステップS404)。
【0070】
図24は、VLANネットワークの分割を示す図である。本実施形態では、スイッチN7が有する接続ポートのうちスイッチN6との接続ポートに障害又は故障が発生しており(障害/故障Aと記載)、かつ、スイッチN16が有する接続ポートのうちスイッチN15との接続ポートに障害又は故障が発生している(障害/故障Bと記載)場合を例に説明する。ステップS402において、分割部14は、スイッチN3とスイッチN4を共有するように、VLANネットワークを2つの部分ネットワークVL1及び部分ネットワークVL2に分割する。
【0071】
部分ネットワークVL1の端ノードはスイッチN8、N14、N4であり、部分ネットワークVL2の端ノードはスイッチN3、N15、N10である。第一試験実施部15は、部分ネットワークVL1では、スイッチN8とスイッチN14、スイッチN8とスイッチN4、スイッチN8とスイッチN14間でpingを実施し、部分ネットワークVL2では、スイッチN3とスイッチN15、スイッチN3とスイッチN10、スイッチN15とスイッチN10間でpingを実施する。
【0072】
図25は、第一試験結果情報を示す図である。図25(a)は、部分ネットワークVL1の第一試験結果情報であり、図25(b)は、部分ネットワークVL2の第一試験結果情報である。部分ネットワークVL2では、全ての組合せの端ノード間で接続性が確認できている。一方、部分ネットワークVL1では、スイッチN8−スイッチN14間、スイッチN8−スイッチN4間、スイッチN14−スイッチN4間で接続性確認がNGである。
【0073】
図23のフロー図において、選択部16は、ネットワーク構成情報及び第一試験結果情報を参照し、接続性試験がNGであった端ノード間のうち、端ノード間に存在するノード数が最も少ない端ノード間を選択する(ステップS405)。
【0074】
図26は、接続性が確認できなかった端ノード間接続のノード数及びノードを示す図である。接続性確認がNGとなった端ノード間接続は部分ネットワークVL2ではゼロなので、これ以降は部分ネットワークVL2についての切り分けプロセスは不要である。部分ネットワークVL1において接続性確認ができなかったスイッチN8−スイッチN4間、スイッチN8−スイッチN14間、スイッチN14−スイッチN4間の3つの端ノード間接続のノード数はそれぞれ6、4、5である。よって、選択部16は、スイッチN8−スイッチN14間の端ノード間接続を最小ノード接続として選択する。
【0075】
図23のフロー図において、第二試験実施部17は、ステップS405で選択された最小ノード接続に関係する全てのノード間でping試験を実施し、その結果を示す第二試験結果情報を記憶部12に書き込む(ステップS406)。故障箇所推定部18は、第二試験結果情報を参照し、仮の故障箇所を特定する(ステップS407)。故障箇所推定部18は、第一試験結果情報と、仮の故障箇所に障害が発生したときの想定試験結果情報とを比較する(ステップS408)。
【0076】
図27は、最小ノード接続の接続構成及び第二試験結果情報を示す図である。同図の上側に、ステップS405で選択された最小ノード接続であるスイッチN8−スイッチN14間の接続構成を示しており、同図の下側に、その最小ノード接続の第二試験結果情報を示している。故障箇所推定部18は、同図の下側に示す第二試験結果情報に基づいて、スイッチN7とスイッチN6との間の接続に故障が発生したと推測し、仮の故障箇所と推定する。
【0077】
図28は、部分ネットワークVL1の第一試験結果情報と想定試験結果情報との比較を示す図である。図28(a)は、ステップS404において部分ネットワークVL1の端ノード間でpingを実施した結果であり、図25(a)に示す第一試験結果情報と同じ図である。図28(b)は、スイッチN7とスイッチN6との間の接続のみに故障が発生した場合に想定される部分ネットワークVL1の想定試験結果情報を示す図である。故障箇所推定部18は、これらを比較し、両者が不一致であることから他に故障箇所が存在すると推測する。
【0078】
図23のフロー図において、分割部14は、部分ネットワークVL1のうち、すでに選択した最小ノード接続を除いた部分を含む残存部分ネットワークを抽出する(ステップS409)。故障箇所推定装置1は、残存部分ネットワークを診断単位ネットワークとして、ステップS403〜ステップS408と同様の処理を行う。そこで、第一試験実施部15は、残存部分ネットワークの端ノード間でpingを実施させるping試験を行い、その結果を示す第一試験結果情報を記憶部12に書き込む(ステップS410)。選択部16は、ネットワーク構成情報及び第一試験結果情報を参照し、接続性試験がNGであった残存部分ネットワークの端ノード間のうち、端ノード間に存在するノード数が最も少ない端ノード間を最小ノード接続として選択する(ステップS411)。
【0079】
図29は、部分ネットワークVL1における最小ノード接続と残存部分ネットワークを示す図である。ステップS405において選択された最小ノード接続に対するping実施により、スイッチN6とスイッチN14間の接続性は確認できているため、残存部分ネットワークに含めないことも可能である。しかし、ここでは、最小ノード接続と共有するスイッチを2つとするように残存部分ネットワークとした。また、残存部分ネットワークの端ノードはスイッチN14−スイッチN4間であり、ping実施結果は接続性確認NGである。よって、選択部16は、スイッチN14−スイッチN4を最小ノード接続とする。このように、本実施形態では、残存部分ネットワークが枝分かれしていないため、残存部分ネットワークと、最小ノード接続とが同一となっている。
【0080】
図23のフロー図において、第二試験実施部17は、ステップS411で選択した最小ノード接続に関係する全てのノード間でping試験を実施し、その結果を示す第二試験結果情報を記憶部12に書き込む(ステップS412)。故障箇所推定部18は、ステップS412において書き込まれた第二試験結果情報を参照し、仮の故障箇所を特定する(ステップS413)。故障箇所推定部18は、第一試験結果情報と、仮の故障箇所のノードに障害が発生したときの想定試験結果情報とを比較し、一致する場合には、仮の故障箇所を最終的な判断結果とする(ステップS414)。
【0081】
図30は、残存部分ネットワークにおける最小ノード接続の接続構成及び第二試験結果情報を示す図である。図30の上側は、残存部分ネットワークにおける最小ノード接続の端ノード間(スイッチN14−スイッチN4間)の接続構成である。また、図30の下側は、その最小ノード接続を構成するスイッチN14、N6、N5、N3、N4の全ての組合せに対してpingを実施した結果を示す第二試験結果情報である。故障箇所推定部18は、同図の下側に示す第二試験結果情報に基づいて、スイッチN5とスイッチN3との間の接続に故障が発生したと推測し、仮の故障箇所と推定する。
【0082】
図31は、部分ネットワークVL1の第一試験結果情報と想定試験結果情報との比較を示す図である。図31(a)は、ステップS404において部分ネットワークVL1の端ノード間でpingを実施した結果であり、図25(a)に示す第一試験結果情報と同じ図である。図31(b)は、スイッチN7とスイッチN6との間の接続、及び、スイッチN5とスイッチN3との間の接続にのみ故障が発生した場合に想定される部分ネットワークVL1の想定試験結果情報を示す図である。故障箇所推定部18は、これらを比較し、両者が一致することから、他に故障箇所が存在しないと推測する。
【0083】
図32は、第3の実施形態及び第4の実施形態におけるping実施回数を示す図である。第3の実施形態と第4の実施形態ともに、全てのノードに対してpingを実施した場合と比較して、大幅にping実施回数が低く抑えられていることが判る。
【0084】
なお、上述した各実施形態では、通常時(故障検知前)に予めネットワーク構成情報を取得し、記憶部12に記憶している状態で説明を行ったが、故障検知後にネットワークに関するネットワーク構成情報を取得する形態でもよい。その場合にはステップS101とステップS102の間、ステップS201とステップS202の間、ステップS301とステップS302の間、ステップS401とステップS402の間にネットワーク構成情報の取得を実施する。
【0085】
なお、上述した実施形態においては、系を二つに分けて切り分けて故障箇所を探索する例を示したが、二つに切り分けて探索する方法を繰り返してもよいし、系を最初から3以上の複数に切り分けてそれぞれ適用してもよい。
【0086】
また、上述した実施形態においては、論理ネットワークが一つしかなく、被検証ネットワークとなる対象数が単一である場合を例に説明したが、複数のネットワークを被検証ネットワークとしてもよい。対象となる被検証ネットワークが複数ある場合、故障箇所推定装置1は、被検証ネットワーク一つずつに対して上述した実施形態を適応していく。適応順番は、被検証ネットワークを構成するノード数が少ないものから行う、多いものから行うなどの方法を用いてもよい。
【0087】
本実施形態によれば、従来に比べて、被検証ネットワークに対する到達確認プロトコルの実施数が抑制され、接続性確認の手順が簡素化される等の有利な効果がある。
【0088】
上述した故障箇所推定装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、診断プログラムを実行することによって、上記機能を有する装置として機能する。なお、故障箇所推定装置1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。診断プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。診断プログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0089】
上述した実施形態によれば、故障箇所推定装置は、分割部と、第一接続性確認部と、選択部と、第二接続性確認部と、故障箇所推定部とを備える。分割部は、複数のノードを有するネットワークを分割数k(kは1以上の整数)で分割した部分ネットワークを定める。ネットワークは、物理的なノード、論理的なノード、又は、物理的なノードと論理的なノードとの組合せにより構成される物理ネットワーク又は論理ネットワークである。例えば、分割部は、隣接する2つの部分ネットワークにおいて同一のノードを2以上共有するように部分ネットワークを定める。
【0090】
第一接続性確認部は、部分ネットワークを診断単位ネットワークとし、診断単位ネットワークごとに、当該診断単位ネットワークにおける端ノードの組合せそれぞれについてパスの接続性を確認する。選択部は、診断単位ネットワークごとに、接続性に異常ありと判断された端ノードの組合せから、所定の規則に従って、一部又は全ての組合せを選択し、選択ノード接続とする。所定の規則とは、接続性に異常ありと判断された端ノードの組合せのうち、端ノード間を通過するノードの数が最も少ない又は最も多い組合せを選択するという規則である。あるいは、所定の規則とは、互いに素な関係にある組合せを複数選択するという規則である。
【0091】
第二接続性確認部は、診断単位ネットワークごとに、選択ノード接続に含まれるノードの組合せそれぞれについてパスの接続性を確認する。故障箇所推定部は、これらノードの組合せそれぞれの接続性の確認結果に基づいて、ネットワークにおける故障箇所を推定する。故障箇所推定部は、推定結果が、すでに行った接続性確認の結果と合致しないときには、診断単位ネットワークから、推定された故障箇所を有する選択ノード接続を除いた部分を少なくとも含む残存部分ネットワークを新たな診断単位ネットワークとする。第一接続性確認部、選択部、第二接続性確認部、及び、故障箇所推定部は、新たな診断単位ネットワークを対象に上記の処理を行う。
【0092】
なお、故障箇所推定装置は、1台の情報処理装置を用いて実装されてもよく、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。複数台の情報処理装置を用いる場合、故障箇所推定装置が備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。また、ノードが故障箇所推定装置の一部又は全ての機能を有してもよい。
【0093】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
通信ネットワークに利用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1…故障箇所推定装置, 11…通信部, 12…記憶部, 13…障害検知部, 14…分割部, 15…第一試験実施部, 16…選択部, 17…第二試験実施部, 18…故障箇所推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
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図32