(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光素子の上面に電極が設けられ、前記発光素子の側面に第1光反射性部材が設けられ、前記電極と前記第1光反射性部材との表面に金属膜が形成された発光装置を準備する準備工程と、
前記金属膜を上に向けて、前記発光装置を互いに間隙を空けて導光板上に載置する発光装置載置工程と、
前記発光装置の前記金属膜を被覆するマスクを形成するマスク形成工程と、
前記導光板上の前記発光装置同士の間隙に、第2光反射性部材を形成する第2光反射性部材形成工程と、
前記マスクを除去するマスク除去工程と、
前記発光装置及び前記第2光反射性部材の上に、前記発光装置の前記金属膜と接続する配線を形成する配線形成工程と、を含む発光モジュールの製造方法。
前記マスク形成工程は、前記準備工程よりも後かつ前記発光装置載置工程よりも前に行い、前記発光装置を間隙なく配列して、その上面に前記マスクを形成する請求項1に記載の発光モジュールの製造方法。
前記マスク形成工程は、前記準備工程中に行い、前記金属膜の形成後の個辺化される前の配列された前記発光装置の上面に、前記マスクを形成する請求項1に記載の発光モジュールの製造方法。
前記マスク形成工程は、前記発光装置載置工程よりも後かつ前記第2光反射性部材形成工程よりも前に行い、前記マスクを感光性フィルムで形成する請求項1に記載の発光モジュールの製造方法。
前記第2光反射性部材形成工程は、硬化前の前記第2光反射性部材を、前記発光装置を載置した前記導光板上に前記発光装置を覆うように充填し、硬化した前記第2光反射性部材の前記発光装置の上に堆積された部分を除去して前記マスクを露出させる請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光モジュールの製造方法。
前記配線は、前記金属膜に接続する領域において、互いに対向する方向への延長線上において重複する線幅に形成され、又は、端部が前記方向と直交する方向への延長線上において重複するように形成されている請求項13に記載の発光モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発光モジュール及び発光モジュールの製造方法について、図面を参照して説明する。以下の説明において参照する図面は、本開示の実施形態を概略的に示しているため、図面に示す部材は、大きさや位置関係等を誇張していることがあり、また、形状を単純化していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号は、原則として同一の又は同質の部材や工程を示すものであり、詳細な説明を適宜省略する。
【0010】
〔発光モジュール〕
実施形態に係る発光モジュールの構成について、
図1A〜1Eを参照して説明する。
図1Aは、実施形態に係る発光モジュールの外観を模式的に示す平面図である。
図1Bは、
図1Aに示す発光モジュールの外観を下方から模式的に示す斜視図である。
図1Cは
図1Aに示す発光モジュールを
図1Bとは異なる形状の光反射部を有する導光板を用いて構成した場合の外観を下方から模式的に示す斜視図である。
図1Dは、
図1Aの発光素子近傍を拡大して模式的に示す部分拡大図である。
図1Eは、発光モジュールを
図1Bに示す導光板を用いて構成した場合の、
図1AのIE−IE線における断面を模式的に示す部分断面図である。
【0011】
発光モジュール10は、導光板7と、上面に電極12a,12cを有し、互いに間隙を空けて導光板7上に配列された複数の発光素子11と、電極12a,12cの上面を露出させて発光素子11,11間に形成された第1光反射性部材42及び第2光反射性部材6と、電極12a,12c及び第1光反射性部材42の上面に形成され、電極12a,12c毎にその上面に接続する金属膜2a,2cと、金属膜2a,2cの少なくとも一部の領域に接続するように、金属膜2a,2c及び第2光反射性部材6の上面に形成された配線8と、を備えている。そして、金属膜2a,2cは、平面視で、接続している電極12a,12cから発光素子11の外側まで延在している。さらに、発光モジュール10は、発光素子11と第1光反射性部材42との間に、発光素子11の側面に接続する導光性部材41を備え、発光素子11の下側の導光板7との間に透光性部材3(
図2B参照)及び接合部材5を備えている。
【0012】
発光モジュール10は、バックライト等に適用される面状発光装置であり、間隙を空けて配列された発光素子11が発光した光を、導光板7で面内均一化して、導光板7側(
図1Eにおける下側)へ照射する。発光モジュール10は、平面視における形状および寸法を、用途に応じて適宜選択することができ、ここでは、平面視形状を矩形とする。また、発光モジュール10は、用途や発光素子11の輝度等に応じて発光素子11の配列ピッチを適宜選択することができ、配列ピッチと発光モジュール10の寸法に基づいて発光素子11の個数が決定される。例えば、発光モジュール10は、チップサイズ100〜200μmの発光素子11を備え、その配列ピッチ、つまり隣り合う発光素子11,11の中心間隔が5〜10mmの範囲で設計されている。ここでは、簡潔に説明するために、発光モジュール10は、一例として、16個の発光素子11を、矩形格子状に4×4に配列して備えるものとして説明する。また、発光モジュール10の発光素子11の1個分毎に当該発光素子11が中心に位置するように区画した矩形領域をセルと称し、各図面において、導光板7にセルの境界線を仮想的に付す。
【0013】
発光モジュール10は、全体の寸法や配列ピッチに対して極めて小さい発光素子11を配列して備えるために、後記製造方法で説明するように、1個の発光素子11を、第1光反射性部材42等で封止した発光装置1として導光板7上に配列して製造される。以下、発光装置及びこれを構成する各部材について、
図2A,2B及び
図1B、1Cを参照して説明する。
図2Aは、実施形態に係る発光モジュールに搭載された発光装置の外観を下方から模式的に示す斜視図である。
図2Bは、
図2AのIIB−IIB線における断面図である。なお、
図2Aにおいては、透光性部材3及び導光性部材41を透明として輪郭線のみで表す。
【0014】
(発光装置)
発光装置1は、発光素子11と、発光素子11の一対の電極12a,12cが形成された面と反対側の面に接合された板状の透光性部材3と、透光性部材3と発光素子11とを接合すると共に発光素子11の側面を被覆する導光性部材41と、発光素子11及び導光性部材41を被覆する第1光反射性部材42と、透光性部材3と対向する面に設けられて電極12a,12cにそれぞれ接続する金属膜2a,2cと、を有する。発光装置1は、ファンアウト構造のCSPであり、透光性部材3の側へ光を照射する。そして、発光装置1は、略直方体形状に形成され、平面視形状が、ここでは正方形で、例えば一辺の長さが発光モジュール10における配列ピッチの1/10程度に設計されている。なお、発光装置1は、ここでは、透光性部材3の側を下とし、金属膜2a,2cが形成された面を上面として説明する。
【0015】
発光素子11は、上面に電極12a,12cを備え、主に下面と側面から光を照射する半導体発光素子である。発光素子11は、フリップチップ実装される半導体発光素子を適用することが好ましい。発光素子11は、形状や寸法等は任意のものを選択することができ、一例として、平面視形状が正方形とする。また、発光素子11は、発光色は特に限定されず、発光モジュール10の用途に応じて任意の波長のものを選択することができ、例えば、430〜470nmに発光ピークを有する青色発光の発光素子として、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y≦1)等のInGaN系の窒化物半導体が挙げられる。また、発光モジュール10において、発光装置1毎に発光色の異なる発光素子11を備えていてもよい。
【0016】
電極12a,12cは、発光素子11に電流を供給するためのアノードとカソードの一対の端子であり、Cu,Au等からなるパッド電極である。電極12a,12cは、一例として、発光素子11の平面視形状である正方形の対角線に沿って並んで配置され、平面視形状が直角三角形に形成されている。
【0017】
透光性部材3は、発光装置1と同じ平面視形状の矩形の板状部材であり、発光装置1の下部に設けられ、発光素子11が発光する光を透過する材料で形成されている。例えば、透光性部材3は、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂、またはガラス等を適用することができる。また、透光性部材3は、発光モジュール10の用途に応じて発光装置1が所望の光色の光を照射するように、波長変換部材として蛍光体を含有していてもよい。蛍光体は、透光性部材3の樹脂材料に分散されてもよいし、ガラス等の無機材料と共に焼結されてもよい。
【0018】
導光性部材41は、発光素子11を透光性部材3に接合するための接着剤であり、発光素子11が発光する光を透過する材料で形成されている。導光性部材41は、発光素子11の下面の透光性部材3との間に設けられると共に、透光性部材3に向けて広がるようにフィレットを形成して発光素子11の側面を被覆する。導光性部材41は、絶縁性で、発光素子11の耐熱温度以下で硬化させることができる流動性の材料で形成されることが好ましい。例えば、導光性部材41は、エポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂や半導体素子の封止用のガラス材料等を適用することができる。また、導光性部材41は、波長変換部材として蛍光体を含有していてもよい。
【0019】
第1光反射性部材42は、発光素子11が発光する光を反射して透光性部材3から出射させる。第1光反射性部材42は、電極12a,12cの上面を露出させて発光素子11及び導光性部材41を被覆する。第1光反射性部材42は、絶縁性で、発光素子11の耐熱温度以下で硬化させることができる流動性の材料で形成されることが好ましい。例えば、第1光反射性部材42は、導光性部材41の材料に挙げた熱硬化性樹脂やガラス材料等に、酸化チタン(TiO
2)等の光反射性物質を添加したもので形成することができる。
【0020】
金属膜2aは、発光素子11の電極12aを拡張した発光装置1の外部接続用端子として機能するものであり、電極12aの上面に接続されている。同様に、金属膜2cは、発光素子11の電極12cを拡張した発光装置1の外部接続用端子として機能するものであり、電極12cの上面に接続されている。金属膜2aと金属膜2cは、平面視で、電極12a,12cの相似形状である直角三角形に形成され、斜辺同士を対向させて、発光装置1の平面視形状である正方形の対角線に沿って並んで配置される。金属膜2a,2cは、このような形状及び配置とすることにより、電極12a,12cに短絡させることなくそれぞれ接続することができる。そして、金属膜2a,2cは、電極として、より広い面積で機能することができ、また、容易に形成することができる。金属膜2a,2cは、Cu,Ni等の配線に適用される金属が適用され、2種類以上の金属膜が積層されてもよい。
【0021】
(導光板)
導光板7は、上面に間隔を空けて配列された発光素子11が発光した光を、下方へ効率よく、かつ面内均一に照射する光学部材である。そのために、導光板7は、
図1Bまたは
図1C,及び
図1Eに示すように、光透過部71、光反射部72、及び光遮蔽部73を備える。
光透過部71は、発光素子11が発光する光を透過する材料で形成され、両面のそれぞれに、発光素子11の配置に合わせて凹部分を有する板状に形成されている。光透過部71の上面には、セルの縦横の境界線の交点を最深部とする円錐形状又は四角錐形状の凹部(
図1B参照)、もしくは、セルの縦横の境界線に沿って延び、境界線上で最深部となる断面V字形の溝状の凹部(
図1C参照)が形成されている。さらに、光透過部71の上面には、セルの中央において、発光装置1を収容するための発光素子設置穴7dが形成されている。発光素子設置穴7dは、底面が発光装置1の平面視形状を内包し、さらに、前記平面視形状に対して大き過ぎないことが好ましい。また、発光素子設置穴7dの深さは、発光装置1の厚さ以下であることが好ましく、透光性部材3の厚さ以下であることがさらに好ましい。一方、光透過部71の下面には、セルの中央において、円錐台形状の凹部が形成されている。光透過部71は、発光装置1の透光性部材3の材料として前記に挙げたもので形成することができる。
【0022】
光反射部72は、光透過部71の上面を被覆して、光透過部71を透過してその表面に到達した光を反射して光透過部71の下面から出射させる。光反射部72は、発光素子設置穴7dを除いて導光板7の上面を平坦化するように、光透過部71の上面の円錐形状、四角錐形状、または溝状のいずれかとなる凹部に配置され、それぞれの凹部に沿った形状を有する。光透過部71の上面の凹部を円錐形状に形成する場合、凹部に配置される光反射部72は、光透過部71の上面で縦横方向に隣り合う4つのセルの境界線が交差する点を最深部とする円錐形状であり(
図1E参照)、光透過部71の側端部の凹部に配置される光反射部72はセルの境界線が側端部に垂直に交わる点を最深部とする半円錐形状であり(
図1B参照)、光透過部71の角部の凹部に配置される光反射部72は角部の頂点を最深部とする四分の一円錐形状である(
図1B参照)。また、光透過部71の上面の凹部を四角錐形状に形成する場合、凹部に配置される光反射部72は、光透過部71の上面で縦横方向に隣り合う4つのセルの境界線が交差する点を最深部とする四角錐形状であり(
図1E参照)、その4つの稜線は平面視で4つのセルの境界線と重なり、光透過部71の側端部の凹部に配置される光反射部72はセルの境界線が側端部に垂直に交わる点を最深部とし、四角錐の2つの稜線を通る面で四角錐を半分にした三角錐形状であり(
図1B参照)、光透過部71の角部の凹部に配置される光反射部72は四角錐をその稜線を通り互いに直交する2つの面で分割して四分の一にした三角錐形状である(
図1B参照)。光透過部71の上面の凹部を溝状に形成する場合、凹部に配置される光反射部72は、断面三角形の頂点を下に向けた三角柱を、発光素子11の配列ピッチで配列し(
図1E参照)、格子状に連結した形状に形成されている(
図1C参照)。光反射部72は、発光装置1の第1光反射性部材42の材料として前記に挙げたもので形成することができる。
【0023】
光遮蔽部73は、発光素子11毎にその直下に配置され、発光素子11から真下へ強い光が直接に出射しないようにしている。光遮蔽部73は、光透過部71の下面の凹部に埋め込まれ、平面視形状が発光装置1と同程度の大きさの円錐台に形成されている。光遮蔽部73は光を反射することが好ましく、したがって、第1光反射性部材42の材料として前記に挙げたもので形成することができる。あるいは、光遮蔽部73は、光の一部を反射して、残りを透過するように構成されてもよい。
【0024】
導光板7は、このような構成により、発光素子11から側方へ出射した光が、光透過部71を透過して光反射部72に到達して下方へ反射するので、隣り合う発光素子11,11の中間の領域から照射する光の量を多くすることができる。また、導光板7は、発光装置1の直下に光遮蔽部73が配置されていることにより、この領域に偏ってドットパターン状に強い光が出射することがない。
【0025】
光透過部71は、屈折率の異なる複数の材料を組み合わせて、レンズ等の光学機能を付与されていてもよい。また、光透過部71は、上面及び下面の凹部内面が球面等に形成されたり、上面の凹部内面がフレネルレンズ形状に形成されたりしていてもよい。この場合には、光反射部72及び光遮蔽部73はそれに合わせた形状に形成される。また、光反射部72及び光遮蔽部73は、少なくとも光透過部71の凹部の内面を被覆していればよく、したがって、膜状の部材でもよい。また、導光板7は、上面に発光素子設置穴7dが形成されていなくてもよい。
【0026】
(接合部材)
接合部材5は、発光装置1を導光板7に接合するための接着剤であり、発光素子11が発光する光を透過する材料で形成されている。ここでは、導光板7に発光素子設置穴7dが形成されているので、接合部材5は、発光装置1の下面と発光素子設置穴7dの底面との間に設けられるだけでなく、発光素子設置穴7d内を充填するように発光装置1の下部における側面を被覆し、透光性部材3の側面の全体を被覆することが好ましい。接合部材5は、発光装置1及び導光板7の耐熱温度以下で硬化させることができる流動性の材料で形成されることが好ましく、したがって、発光装置1の導光性部材41の材料として前記に挙げたもので形成することができる。
【0027】
(第2光反射性部材)
第2光反射性部材6は、導光板7上の発光装置1,1間の間隙を埋めて、配線8の形成面を平坦にすると共に、配線8,8間を絶縁する絶縁部材である。さらに、第2光反射性部材6は、接合部材5や導光板7の上面に露出した光透過部71を被覆して、光を上方に漏らさず反射して下方へ出射させる。第2光反射性部材6は、発光装置1及び導光板7の耐熱温度以下で硬化させることができる流動性の材料で形成されることが好ましく、したがって、発光装置1の第1光反射性部材42の材料として前記に挙げたもので形成することができる。
【0028】
(配線)
配線8は、金属膜2a,2c及び第2光反射性部材6の上面に形成され、発光素子11に外部から電流を供給するために、金属膜2a,2cを経由して電気的に接続する。
図1Aに示すように、発光モジュール10においては、配線8は、2個の発光素子11を直列に接続し、さらにこの発光素子11の組を並列に接続する。配線8はさらに、外部との接続パッドとして、アノード、カソードそれぞれの側に面積を拡張した部分が形成されている。配線8は、後記製造方法で説明するように印刷によってパターン形成されるために、銀や銅等の金属フィラーを熱硬化性樹脂材料に混合した導電性ペーストで形成される。配線8が厚いほど、発光モジュール10の接続信頼性が高くなるが、一方で、製造コストが増大する。具体的には、配線8の厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。
【0029】
配線8は、発光素子11との接続における導電性が確保されるように、金属膜2a,2cにそれぞれ十分な面積で接続し、かつ、各発光装置1における金属膜2a,2cを短絡させないように、パターン設定される。ここで、配線8は、予め製作されたマスクによって、発光モジュール10全体でパターン形成される。発光モジュール10においては、配線8が、左右に対向し合い、発光装置1の金属膜2a,2cのそれぞれに接続するように、縦にずらして配置される。配線8は、このようなパターン形状に設定されることにより、発光装置1の位置にある程度誤差があっても、金属膜2a,2cに十分な面積で接続し、かつ短絡させないようにすることができる。
【0030】
〔発光モジュールの製造方法〕
実施形態に係る発光モジュールの製造方法について、
図3を参照して説明する。
図3は、実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示すフローチャートである。発光モジュールの製造方法は、発光素子11の電極12a,12cに接続した金属膜2a,2cが表面に形成された発光装置1を準備する準備工程S1と、金属膜2a,2cを上に向けて発光装置1を互いに間隙を空けて導光板7上に載置する発光装置載置工程S3と、金属膜2a,2cを被覆するマスクを形成するマスク形成工程S4と、導光板7上の発光装置1,1同士の間隙に第2光反射性部材6を形成する第2光反射性部材形成工程S5と、前記マスクを除去するマスク除去工程S6と、発光装置1及び第2光反射性部材6の上に、金属膜2a,2cと接続する配線8を形成する配線形成工程S7と、を含む。さらに、発光装置載置工程S3よりも前に、導光板7を準備する導光板準備工程S2を行う。以下、各工程について詳細に説明する。
【0031】
(準備工程)
準備工程S1について、
図3及び
図4A〜4Eを参照して説明する。
図4Aは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法の準備工程において発光素子を透光性部材に配列して接合した状態を説明する部分断面図である。
図4Bは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法の準備工程において発光素子を第1光反射性部材で覆った状態を説明する部分断面図である。
図4Cは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法の準備工程において発光素子の電極が露出するように第1光反射性部材を研削した状態を説明する部分断面図である。
図4Dは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法の準備工程において金属膜を成膜した状態を説明する部分断面図である。
図4Eは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法の準備工程において発光装置の個片化前の状態を説明する部分断面図である。
【0032】
準備工程S1は、
図1D及び
図2A,2Bに示す発光装置1を準備する工程である。準備工程S1は、発光素子11を透光性部材3上に配列して接合する発光素子配列工程S11と、発光素子11を第1光反射性部材42で封止する封止工程S12と、金属膜2a,2cを形成する金属膜形成工程S13と、連結した発光装置1を切断して個片化する個片化工程S14と、を行う。準備工程S1は、多数個の発光装置1を二次元配列して連結した状態で製造し、最後に切断して個片化する。
【0033】
発光素子配列工程S11は、
図4Aに示すように、発光素子11を透光性部材3上に所定のピッチで二次元配列し、導光性部材41で接合する。発光素子11の配列ピッチは、発光装置1の平面視サイズに、個片化工程S14で切断線に沿って削られる分を加算して設定する。ここでは、発光装置1の平面視形状が正方形であるから、発光素子11を正方格子状に配列する。また、透光性部材3は、発光素子11の配列ピッチ及び個数に応じた大判サイズとする。まず、大判サイズの透光性部材3上の発光素子11のそれぞれの載置箇所に、硬化前の導光性部材41を所定量滴下する。次に、発光素子11を、電極12a,12cを上に向けて導光性部材41の上に載置する。そして、導光性部材41をその材料に対応した条件で硬化させる。なお、大判サイズの透光性部材3の1枚あたりの発光素子11の個数、すなわち発光装置1の個数は特に規定されない。
【0034】
封止工程S12は、上面に電極12a,12cを露出させて発光素子11を封止する第1光反射性部材42を形成する。まず、
図4Bに示すように、硬化前の第1光反射性部材42を、透光性部材3上に、発光素子11及び導光性部材41を完全に覆うように充填する。そして、第1光反射性部材42をその材料に対応した条件で硬化させる。次に、上面から第1光反射性部材42を研削して、
図4Cに示すように、上面に電極12a,12cを露出させる。このとき、電極12a,12cは、第1光反射性部材42と共にある程度研削されて薄肉化してもよいが、十分な厚さで残存するようにする。
【0035】
金属膜形成工程S13は、上面に、金属膜2a,2cを構成する金属膜20を形成する。まず、
図4Dに示すように、上面全体に、すなわち第1光反射性部材42及び電極12a,12cの上に、金属膜20を成膜する。金属膜20の成膜は、スパッタリングや蒸着等の、材料および膜厚に対応した方法で行うことができる。次に、
図4Eに示すように、金属膜20を、各発光素子11の電極12a,12c間の間隙に沿った領域において除去して、第1光反射性部材42を露出させる。発光素子11が電極12a,12cを対角線に沿って配置しているので、前記対角線と直交する線を中心線とした、電極12a,12cの間隙の幅の帯状の領域から金属膜20を除去する。金属膜20の除去方法は、前記帯状の領域へのレーザー光の照射によるレーザーアブレーション加工を用いることができる。あるいは、フォトリソグラフィとエッチングによって、金属膜20における電極12a,12cの間隙の幅の帯状の領域を除去することもできる。
【0036】
個片化工程S14は、
図4Eに示す切断線CLに沿って、金属膜20、第1光反射性部材42、及び透光性部材3を切断して、個片化した発光装置1を得る。個片化工程S14では、ブレードダイシングやレーザダイシング等の、金属膜20、第1光反射性部材42、及び透光性部材3の材料及び厚さに対応した方法で切断することができる。金属膜20は、切断線CLで切断されることにより、分離した金属膜2a,2cとなる。
【0037】
以降の工程について、
図3及び
図5A〜5Eを参照して説明する。
図5Aは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法の発光装置載置工程を説明する部分断面図である。
図5Bは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法のマスク形成工程を説明する部分断面図である。
図5Cは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法の第2光反射性部材形成工程において発光装置を第2光反射性部材で覆った状態を説明する部分断面図である。
図5Dは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法の第2光反射性部材形成工程においてマスクが露出するように第2光反射性部材を研削した状態を説明する部分断面図である。
図5Eは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法のマスク除去工程を説明する部分断面図である。
【0038】
(導光板準備工程)
導光板準備工程S2は、導光板7を製造する。例えば、まず、光透過部71を金型で成形したり、板状部材を機械加工したりして形成する。次に、光透過部71に対して、上面の発光素子設置穴7d以外の凹部に硬化前の光反射部72を充填して硬化させ、下面の凹部に硬化前の光遮蔽部73を充填して硬化させる。
【0039】
(発光装置載置工程)
発光装置載置工程S3は、
図5Aに示すように、導光板7の上面の発光素子設置穴7dの底面に、発光装置1の透光性部材3を接合部材5で接合する。発光素子配列工程S11と同様に、硬化前の接合部材5を導光板7の発光素子設置穴7dに滴下し、その上に、発光装置1を、金属膜2a,2cを上に向けて載置する。そして、接合部材5をその材料に対応した条件で硬化させる。
【0040】
(マスク形成工程)
マスク形成工程S4は、
図5Bに示すように、発光装置1の上面を被覆するマスクMを形成する。導光板7上に配列された発光装置1のそれぞれを被覆するマスクMは、フォトリソグラフィによって形成することができ、感光性フィルム(ドライフィルムレジスト、DFR)で形成することが好ましい。感光性フィルム(レジスト層)の厚さは、10〜100μmが好ましい。発光装置1を搭載した導光板7の上面全体に、感光性フィルムを、カバーフィルムを剥離しながらラミネートする。そして、感光性フィルムをキャリアフィルム越しにパターン露光し、感光性フィルムからキャリアフィルムを剥離する。その後、アルカリ水溶液で現像して、マスクMが形成される。なお、マスクMは、耐熱温度が第2光反射性部材6の硬化温度以上とする。マスクMは、発光装置1の平面視形状と同一形状でもよいし、発光装置1の外側にはみ出し難くなるように、それよりも少し小さく設定されてもよい。
【0041】
(第2光反射性部材形成工程)
第2光反射性部材形成工程S5は、導光板7上の発光装置1,1間の間隙に第2光反射性部材6を形成する。封止工程S12と同様に、まず、
図5Cに示すように、硬化前の第2光反射性部材6を、導光板7上に、発光装置1及びその上のマスクM、ならびに接合部材5を完全に覆うように充填する。そして、第2光反射性部材6をその材料に対応した条件で硬化させる。次に、上面から第2光反射性部材6を研削して、
図5Dに示すように、上面にマスクMを完全に露出させる。このとき、第2光反射性部材6と共にマスクMを薄肉化してもよく、ただし、その下の発光装置1の金属膜2a,2cが露出しないようにする。マスクMの残厚は、配線8の厚さ以下であることが好ましい。
【0042】
(マスク除去工程)
マスク除去工程S6は、発光装置1の上面を被覆するマスクMを、剥離液で除去する。すると、
図5Eに示すように、金属膜2a,2cが露出し、また、発光装置1上がマスクMの残厚だけ凹んだ段差となる以外は、上面が第2光反射性部材6で平坦となる。
【0043】
(配線形成工程)
配線形成工程S7は、第2光反射性部材6及び金属膜2a,2cの上に、導電性ペーストで配線8を形成する(
図1D,1E参照)。導電性ペーストは、スクリーン印刷で形成することが好ましく、メッシュに乳剤の膜を形成したマスク等でパターン形成する。その後、導電性ペーストをその材料に対応した条件で硬化させて配線8とする。
【0044】
発光モジュール10は、配線8及び金属膜2a,2cを保護するために、これらを被覆する絶縁膜を上面に備えてもよく、この場合、配線形成工程S7の後に絶縁膜を形成する。絶縁膜は、ポリイミド等からなるフィルムを接着剤で貼り付けてもよいし、絶縁膜を構成する塗料を塗布して乾燥させてもよい。絶縁膜は、配線8の外部との接続パッド部分を除いた上面全体に設けられていてもよいし、配線8及び金属膜2a,2cならびにその近傍を被覆するようにパターン成形されてもよい。あるいは、絶縁膜は、金属膜2a,2c及び金属膜2a,2cと配線8との接続部分を被覆するように、発光装置1毎に、それよりも平面視で一回り大きな矩形のパターンに形成されてもよい。
【0045】
以上、本開示の実施形態に係る発光モジュールの製造方法は、接続信頼性に優れた薄型の発光モジュールを製造することができる。
【0046】
(変形例)
準備工程S1の金属膜形成工程S13において、金属膜20を、電極12a,12cの間隙に沿った帯状の領域だけでなく、切断線CLに沿った領域も除去してもよい。これにより、個片化工程S14で、第1光反射性部材42及び透光性部材3のみを切断すればよい。また、発光装置1は、発光素子11の側面を直接に第1光反射性部材42で被覆してもよい。この場合、準備工程S1の発光素子配列工程S11において、導光性部材41の滴下量を調整するか、導光性部材41を用いず原子拡散接合等で発光素子11を透光性部材3に接合する。さらに、発光装置1は、透光性部材3を備えなくてもよい。この場合、例えば、準備工程S1の発光素子配列工程S11において、パッケージ製造用のチップ固定テープ等に発光素子11を配列して固定する。そして、封止工程S12の後、発光素子11及び形成された第1光反射性部材42からチップ固定テープを剥離する。
【0047】
発光装置1の上面を被覆するマスクは、発光装置載置工程S3よりも前に形成することもできる。以下、実施形態の変形例に係る発光モジュールの製造方法について、
図6A,6Bを参照して説明する。
図6Aは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法の変形例のマスク形成工程を説明する部分断面図である。
図6Bは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法の変形例のマスク除去工程を説明する部分断面図である。
【0048】
本変形例においては、準備工程S1の金属膜形成工程S13の後(
図4E参照)にマスク形成工程を行い、
図6Aに示すように、二次元配列して連結した発光装置1の上面全体に、粘着フィルムからなるマスクMAを貼り付ける。マスクMAは、個片化工程S14や発光装置載置工程S3において発光装置1から剥離しない程度の粘着力を有し、かつ、金属膜2a,2c及び第1光反射性部材42との剥離性が良好な粘着フィルムが好ましい。また、マスクMAは、基材及び粘着層(糊)の耐熱温度が、接合部材5及び第2光反射性部材6の硬化温度以上とする。また、マスクMAは、基材と粘着層との合計の厚さが、40〜100μmであることが好ましい。このようなマスクMAは、例えば、半導体素子製造用の、ポリイミドフィルム等を基材とするマスキングテープを適用することができる。次に、個片化工程S14で、
図6Aに示す切断線CLに沿って、第1光反射性部材42及び透光性部材3等と同時にマスクMAを切断する。これにより、上面全体にマスクMAが貼り付けられた発光装置1が得られる。
【0049】
発光装置載置工程S3を行い、発光装置1をマスクMAが貼り付けられた状態で、前記実施形態と同様に接合部材5で導光板7に固定する。これにより、
図5Bに示す前記実施形態におけるマスク形成工程S4後の状態になる。そして、第2光反射性部材形成工程S5を、
図5C,5Dに示す前記実施形態と同様に行う。次に、マスク除去工程S6を行う。本変形例では、以下の方法で、マスクMAを発光装置1から除去する。
図6Bに示すように、上面全体に、すなわち第2光反射性部材6及びマスクMAに、粘着シートASを貼り付ける。粘着シートASは、マスクMAよりも強い粘着力を有するものとし、さらに、第2光反射性部材6との剥離性が良好であることが好ましい。粘着シートASを剥離すると、マスクMAが粘着シートASに付着して、発光装置1から剥離する。その後、必要に応じて、第2光反射性部材6及び発光装置1の表面を洗浄してもよい。
【0050】
マスクMAは、個片化工程S14の後に形成することもできる。例えば、個片化工程S14において、ダイシングテープを発光装置1の下面の透光性部材3に貼り付け、ダイシングテープを完全に切断しないように透光性部材3等を切断する。そして、個片化した発光装置1をダイシングテープから剥離する前に、発光装置1の上面にその形状に切断したマスクMAを貼り付ける。
【0051】
マスクM,MAは、マスク形成工程において、発光装置1の上面全体を被覆しなくてもよく、少なくとも金属膜2a,2cのそれぞれの一部を被覆すればよい。したがって、例えば、前記変形例で、個片化前の発光装置1の上面にマスクMAを貼り付けた後に、金属膜20が除去された領域にレーザー光を照射してマスクMAを除去して第1光反射性部材42を露出させてもよい。または、金属膜形成工程S13において、上面全体に金属膜20が成膜された状態(
図4D参照)で、この金属膜20にマスクMAを貼り付け、その後、マスクMA、金属膜20を順次レーザー光で加工してもよい。さらに、マスクM,MAは、金属膜2a,2cをそれぞれ被覆するパターン間の間隙を金属膜2a,2c間の間隙よりも広く設定されて、金属膜2a,2cの一部を覆う第2光反射性部材6を形成してもよい。第2光反射性部材6から露出した金属膜2a,2c間の間隙を発光素子11の電極12a,12c間の間隙よりも広くすることができ、配線8のパターンがずれても短絡し難い。この場合、金属膜2a,2cは、一部を第2光反射性部材6に被覆されて配線8と接続可能な面積が減少するので、発光装置1の平面視サイズを大きく設定することが好ましい。
【0052】
発光モジュール10においては、発光素子11の電極12a,12cの配置に対応して発光装置1の金属膜2a,2cの平面視形状及び配置を設定し、さらに配線8のパターン形状を設定する。例えば、平面視形状が正方形の発光素子11の横一辺方向に並んで電極12a,12cが配置されている場合には、金属膜2a,2cは、正方形の中央で横に二分割した縦長の長方形に設定することができる。そして、このような発光装置1の金属膜2a,2cに接続する配線8,8は、縦方向の位置を揃えたパターン形状に設定してもよい。