(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のアンテナを備える移動体に搭載可能であり、ガードインターバルを付加したOFDMシンボルを用いて生成したOFDM信号を前記複数のアンテナのいずれかを用いて送信する送信装置であって、
パイロット信号、TMCC信号およびAC信号それぞれからキャリアシンボルを生成する生成部と、
データキャリアシンボルと、前記生成部により生成されたキャリアシンボルとを所定の配置に従い配置し、1OFDMシンボルずつ出力するフレーム構成部と、
前記フレーム構成部から出力されたOFDMシンボルにガードインターバルを付加する付加部と、
前記ガードインターバルが付加されたODFMシンボルに対する直交変調を行い、前記OFDM信号を生成する直交変調部と、を備え、
前記付加部は、前記ガードインターバルの先頭のタイミングで、前記OFDM信号を送信する送信アンテナを切り替えるアンテナ切替タイミングの候補である切替候補タイミングを示す切替候補タイミング信号を、前記送信アンテナを制御するアンテナ制御装置に出力し、
前記生成部は、前記送信アンテナの切り替えを指示する切替信号が、前記アンテナ制御装置から出力されると、前記送信アンテナを切り替えるアンテナ切替タイミングを示す切替タイミング信号を前記キャリアシンボルに含めることを特徴とする送信装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
OFDM伝送方式では、
図17に示すように、時間方向(シンボル方向)に連続してパイロットキャリアシンボル(右斜め上がりのハッチングが付されたパイロットキャリアシンボル)が配置されたContinual Pilot(CP)方式と、
図18に示すように、時間方向と周波数方向(キャリア方向)とに拡散してパイロットキャリアシンボルが配置されたScattered Pilot(SP)方式とがある。
【0008】
CP方式では、OFDMシンボル毎に等化処理が完結するため、シンボル間で急峻な位相変動が発生しても、追従して等化処理を行うことができる。一方、SP方式では、
図18に示すように、あるOFDMシンボル(矢印を付したシンボル)の等化処理を行う場合、そのOFDMシンボルの前後3シンボル分のOFDMシンボルのパイロットキャリアシンボルを使用してシンボル方向に補間が行われる。その後、キャリア方向に補間することで、チャネル推定し、等化処理が行われる。すなわち、SP方式では、複数シンボルにわたるパイロットキャリアシンボルを用いて等化処理が行わる。そのため、SP方式では、複数OFDMシンボル相当の時間内では、ほぼ一定と見なせる伝搬状況での伝送が前提となる。したがって、
図19に示すように、アンテナの切り替えによる急峻な位相変動が発生した際に、その変動を捕らえきれず、実際の位相(太実線)と位相推定結果(太点線)とに誤差(推定誤差)が生じてしまい、伝送エラーが発生する。
【0009】
また、送信側から複数のアンテナを用いて信号を送信するとともに、受信側も複数のアンテナを用いて信号を受信するMIMO(Multi−input Multi−output)伝送では、送信側の複数のアンテナからの送信信号を受信側で分離するために、CP方式でも2シンボルにわたって直交化したパイロットが用いられている。
【0010】
図20に示すように、MIMO伝送にCP方式が適用された場合(CP・MIMO方式)、2種類のパイロット信号のパイロットキャリアシンボル(右斜め上がりのハッチングが付されたパイロットキャリアシンボルおよび右斜め下がりのハッチングが付されたパイロットキャリアシンボル)が、時間方向に交互に連続して配置される。例えば、2系統(系統1、系統2)の場合、右斜め上がりのハッチングが付されたパイロットキャリアシンボルの値は、系統1では“+1”となり、系統2では“+1”となる。また、右斜め下がりのハッチングが付されたパイロットキャリアシンボルは、系統1では“+1”となり、系統2では“−1”となる。
【0011】
CP・MIMO方式においては、等化処理は、
図20に示すように、連続する2シンボルを用いて行われる。そのため、連続する2シンボル間で、アンテナの切り替えによる急峻な位相変動が発生すると、大きな位相の推定誤差が生じてしまう。したがって、CP方式でも、任意のガードインターバルで送信アンテナを切り替えると、正常な受信ができないことがある。
【0012】
上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、送信アンテナの切り替えに伴う伝送エラーの発生の抑制を図ることができる送信装置、受信装置およびアンテナ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係る送信装置は、複数のアンテナを備える移動体に搭載可能であり、ガードインターバルを付加したOFDMシンボルを用いて生成したOFDM信号を前記複数のアンテナのいずれかを用いて送信する送信装置であって、前記OFDM信号を送信する送信アンテナを切り替える場合、前記ガードインターバルの先頭のタイミングで切り替えるとともに、前記送信アンテナを切り替えるアンテナ切替タイミングを示す切替タイミング信号を、前記OFDMシンボルに含めて送信する。
【0014】
また、本発明に係る送信装置において、パイロット信号、TMCC信号およびAC信号それぞれからキャリアシンボルを生成する生成部と、データキャリアシンボルと、前記生成部により生成されたキャリアシンボルとを所定の配置に従い配置し、1OFDMシンボルずつ出力するフレーム構成部と、前記フレーム構成部から出力されたOFDMシンボルにガードインターバルを付加する付加部と、前記ガードインターバルが付加されたODFMシンボルに対する直交変調を行い、前記OFDM信号を生成する直交変調部と、を備え、前記付加部は、前記ガードインターバルの先頭のタイミングで、前記アンテナ切替タイミングの候補である切替候補タイミングを示す切替候補タイミング信号を、前記送信アンテナを制御するアンテナ制御装置に出力し、前記生成部は、前記送信アンテナの切り替えを指示する切替信号が、前記アンテナ制御装置から出力されると、前記切替タイミング信号を前記OFDMシンボルに含めて送信することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る送信装置において、前記付加部は、OFDMフレームを構成する複数のOFDMシンボルの内、予め定められた1つのOFDMシンボルのガードインターバルの先頭のタイミングで、前記切替候補タイミング信号を前記アンテナ制御装置に出力することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る送信装置において、前記生成部は、前記切替タイミング信号を、前記OFDMフレームの伝送を制御するTMCC信号に付加して、前記キャリアシンボルを生成することが好ましい。
【0017】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る受信装置は、複数のアンテナを備える移動体に搭載可能であり、OFDMシンボルを用いて生成したOFDM信号を前記複数のアンテナのいずれかを用いて送信する送信装置から前記OFDM信号を受信する受信装置であって、前記OFDMシンボルは、データキャリア、および、パイロット信号から生成されたパイロットキャリアシンボルを含むとともに、ガードインターバルが付加されており、前記パイロットキャリアシンボルは、時間方向と周波数方向とに拡散して配置され、前記送信装置は、前記ガードインターバルの先頭のタイミングで、前記OFDM信号を送信する送信アンテナを切り替え、前記受信したOFDM信号に対する直交復調を行う直交復調部と、前記直交復調により得られたOFDMシンボルから前記ガードインターバルを除去する除去部と、前記除去部によるガードインターバルの除去後のOFDMシンボルから前記パイロット信号を抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出されたパイロット信号を用いて、1OFDMシンボルで等化処理を行う等化処理部と、を備える。
【0018】
また、本発明に係る受信装置において、前記等化処理部は、前記OFDMシンボルに、前記移動体からの送信であることを示す信号が含まれている場合、1OFDMシンボルで等化処理を行うことが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る送信装置において、前記等化処理部は、前記OFDMシンボルに、前記送信アンテナを切り替えるアンテナ切替タイミングを示す切替タイミング信号が含まれる場合、前記アンテナ切替タイミングを含む所定の期間内では、1OFDMシンボルまたは前記アンテナ切替タイミングを跨がない連続する複数のOFDMシンボルで等化処理を行うことが好ましい。
【0020】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る受信装置は、複数のアンテナを備える移動体に搭載可能であり、OFDMシンボルを用いて生成したOFDM信号を前記複数のアンテナのいずれかを用いて送信する送信装置から前記OFDM信号を受信する受信装置であって、前記OFDMシンボルは、データキャリア、および、パイロット信号から生成されたパイロットキャリアシンボルを含むとともに、ガードインターバルが付加されており、前記受信したOFDM信号に対する直交復調を行う直交復調部と、前記直交復調により得られたOFDMシンボルから前記ガードインターバルを除去する除去部と、前記除去部によるガードインターバルの除去後のOFDMシンボルから前記パイロット信号を抽出する抽出部と、前記OFDMシンボルに、前記OFDM信号を送信する送信アンテナを切り替えるアンテナ切替タイミングを示す切替タイミング信号が含まれている場合、前記アンテナ切替タイミングの直前のOFDMシンボルおよび前記アンテナ切替タイミングの直後のOFDMシンボルそれぞれについて、チャネル推定を行い、前記送信アンテナの切り替えに伴う位相変動を求め、前記アンテナ切替タイミングの直前のOFDMシンボルまたは前記アンテナ切替タイミングの直後のOFDMシンボルに前記位相変動を打ち消すような位相オフセットを付与して、前記OFDMシンボルの等化処理を行う等化処理部と、を備える。
【0021】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るアンテナ制御装置は、複数のアンテナを備える移動体に搭載され、ガードインターバルを付加したOFDMシンボルを用いて生成されたOFDM信号を前記複数のアンテナのいずれかを用いて送信する送信装置により前記OFDM信号を送信する送信アンテナを制御するアンテナ制御装置であって、前記送信装置から出力される、前記送信アンテナを切り替えるアンテナ切替タイミングの候補である切替候補タイミングを取得し、前記送信アンテナを切り替えると決定すると、前記切替候補タイミングに合わせて、前記送信アンテナの切り替えを指示する切替信号を前記送信装置に出力する。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る送信装置、受信装置およびアンテナ制御装置によれば、送信アンテナの切り替えに伴う伝送エラーの発生の抑制を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線伝送システム1の構成例を示す図である。本実施形態に係る無線伝送システム1は、
図15に示すように、ヘリコプターなどの移動体に搭載された複数のアンテナの中から信号を送信する送信アンテナを切り替えながら、地上に設けられた受信基地局(FPU受信基地局)にOFDM信号を送信するものである。
【0026】
図1に示す無線伝送システム1は、FPU送信機(送信装置)10と、切替器20と、アンテナ21A,21Bと、アンテナ制御装置30と、受信機31と、位置・姿勢センサ32と、FPU受信基地局40と、受信追尾装置60と、無線伝送装置61とを備える。FPU送信機10、切替器20、アンテナ21A,21B、アンテナ制御装置30、受信機31および位置・姿勢センサ32は、移動体に搭載される。また、FPU受信基地局40、受信追尾装置60および無線伝送装置61は、地上に設けられる。
【0027】
FPU送信機10は、ヘリコプターなどの移動体に搭載可能である。FPU送信機10は、映像信号が入力され、入力された映像信号に基づきOFDMシンボルを生成し、生成したOFDMシンボルに対して所定の処理を行うことでOFDM信号を生成する。そして、FPU送信機10は、切替器20を介して、アンテナ21A,21Bのいずれか一方と接続され、生成したOFDM信号を接続されたアンテナから送信する。また、FPU送信機10は、送信アンテナを切り替えるアンテナ切替タイミングの候補となる切替候補タイミングを示す切替候補タイミング信号(例えば、パルス信号)をアンテナ制御装置30に出力する。また、FPU送信機10は、送信アンテナの切り替えを指示する切替信号がアンテナ制御装置30から出力されると、アンテナ切替タイミングを示す切替タイミング信号をOFDMシンボルに含めて送信する。
【0028】
切替器20は、アンテナ制御装置30の制御に従い、アンテナ21A,21Bのいずれか一方をFPU送信機10と接続する。
【0029】
受信機31は、無線伝送装置61から無線送信された信号を受信する。無線伝送装置61から受信する信号としては、例えば、アンテナ41(受信アンテナ)の追尾方向を示す情報がある。受信機31は、受信した信号をアンテナ制御装置30に出力する。
【0030】
位置・姿勢センサ32は、GPS(Grobal Positioning System)受信機、地磁気センサ、ジャイロセンサなどからなり、移動体(ヘリコプター)の位置および姿勢を検出し、検出結果をアンテナ制御装置30に出力する。
【0031】
アンテナ制御装置30は、受信機31から出力された信号(受信アンテナの追尾方向を示す信号)および位置・姿勢センサ32による移動体の位置および姿勢の検出結果に基づき、アンテナ21A,21Bのうち、FPU受信基地局40との間が見通しとなるアンテナを送信アンテナとして選択する。そして、アンテナ制御装置30は、選択したアンテナがFPU送信機10と接続されるように、切替器20に制御信号を出力する。また、アンテナ制御装置30は、移動体に搭載された複数のアンテナが常にFPU受信基地局40の方向を向くように、追尾処理を行う。
【0032】
アンテナ制御装置30は、送信アンテナの切り替えが、FPU送信機10から出力された切替候補タイミング信号に示される切替候補タイミングに合わせて行われるようにする。また、アンテナ制御装置30は、送信アンテナの切り替えを行うと決定すると、送信アンテナの切り替えを指示する切替信号(切替パルス)をFPU送信機10に出力する。
【0033】
FPU受信基地局40は、移動体に搭載されたアンテナ21Aまたはアンテナ21Bから送信されたOFDM信号を受信するアンテナ41と、受信したOFDM信号に所定の処理を行って、映像信号を取得するFPU受信機(受信装置)50とを備える。
【0034】
受信追尾装置60は、アンテナ41の受信信号が常に最大となるように、アンテナ41の方向を制御する。また、受信追尾装置60は、アンテナ41の追尾方位を無線伝送装置61に出力する。
【0035】
無線伝送装置61は、受信機31に信号を送信する。無線伝送装置61は、例えば、受信追尾装置60から出力されたアンテナ41の追尾方位を示す信号を受信機31に送信する。
【0036】
次に、FPU送信機10およびFPU受信機50の構成について説明する。なお、切替器20、受信機31、位置・姿勢センサ32、受信追尾装置60および無線伝送装置61の構成は、本発明とは直接関係しないため、説明を省略する。まず、FPU送信機10の構成について説明する。
【0037】
図2は、本実施形態に係るFPU送信機10の構成例を示す図である。
図2においては、1本の送信アンテナで信号を送信し、1本の受信アンテナで信号を受信するSISO伝送が適用される場合のFPU送信機10の構成例を示している。
【0038】
図2に示すFPU送信機10は、FEC(Forward Error Correction)ブロック構成部101と、BCH符号化部102と、エネルギー拡散部103と、LDPC(Low Density Parity Check)符号化部104と、ビットインターリーブ部105と、周波数インターリーブ部106と、時間インターリーブ部107と、シンボルマッピング部108と、パイロット/TMCC/AC生成部109(生成部)と、フレーム構成部110と、IFFT/GI付加部111(付加部)と、直交変調部112と、高周波部113とを備える。
【0039】
FECブロック構成部101は、映像信号(例えば、MPEG−2 TS(Transport Stream)パケット)が入力され、入力された映像信号のビット列を、誤り訂正符号化を行うためのフォーマットに並べてBCH符号化部102に出力する。
【0040】
BCH符号化部102は、FECブロック構成部101から出力されたビット列に、誤り訂正外符号であるBCH符号化パリティを付加して、エネルギー拡散部103に出力する。
【0041】
エネルギー拡散部103は、連続して“0”または“1”が存在することによって変調信号に偏りが生じないように、BCH符号化部102から出力されたビット列と、所定の疑似ランダムビット列との排他的論理和を計算し、LDPC符号化部104に出力する。
【0042】
LDPC符号化部104は、エネルギー拡散部103から出力されたビット列に、誤り訂正内符号であるLDPC符号化パリティを付加して、ビットインターリーブ部105に出力する。
【0043】
ビットインターリーブ部105は、誤り訂正の効果を発揮しやすいように、LDPC符号化部104から出力されたビット列を並べ替える(ビットインターリーブ)。そして、ビットインターリーブ部105は、キャリア変調におけるキャリアシンボルに対応するビット数のビットごとにグルーピングし、キャリアシンボルとして周波数インターリーブ部106に出力する。例えば、ビットインターリーブ部105は、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)の場合、6ビットを1キャリアシンボルとしてグルーピングする。また、ビットインターリーブ部105は、256QAMの場合、8ビットを1キャリアシンボルとしてグルーピングする。また、ビットインターリーブ部105は、1024QAMの場合、10ビットを1キャリアシンボルとしてグルーピングする。
【0044】
周波数インターリーブ部106は、ビットインターリーブ部105から出力されたキャリアシンボル列(複数のキャリアシンボル)を、データキャリアに順番に割り当てる。そして、周波数インターリーブ部106は、所定の入れ替えテーブルに従って、キャリアの順番を入れ替え(周波数インターリーブ)、時間インターリーブ部107に出力する。周波数インターリーブを行うことで、周波数選択性フェージング下で、誤り訂正の効果が発揮されやすくなる。
【0045】
時間インターリーブ部107は、周波数インターリーブ部106から出力された各キャリアのキャリアシンボルをそれぞれ、異なる所定のシンボル数だけ遅延させて(時間インターリーブ)、シンボルマッピング部108に出力する。時間インターリーブを行うことで、フラットフェージング下で、誤り訂正の効果が発揮されやすくなる。
【0046】
シンボルマッピング部108は、時間インターリーブ部107から出力されたキャリアシンボル毎に、シンボル内のビット列に応じて、実部(I)、虚部(Q)に所定の値を割り当てて、データキャリアシンボル(複素データキャリアシンボル)を生成し、フレーム構成部110に出力する。
【0047】
パイロット/TMCC/AC生成部109は、所定のパイロット信号、TMCC(Transmission and Multiplexing Configulation Control)信号、AC(Auxiliary Channel)信号それぞれから、キャリアシンボル(複素キャリアシンボル)を生成し、フレーム構成部110に出力する。すなわち、パイロット/TMCC/AC生成部109は、パイロット信号からパイロットキャリアシンボル(複素パイロットキャリアシンボル)を生成する。また、パイロット/TMCC/AC生成部109は、TMCC信号からTMCCキャリアシンボル(複素TMCCキャリアシンボル)を生成する。また、パイロット/TMCC/AC生成部109は、AC信号からACキャリアシンボル(複素ACキャリアシンボル)を生成する。
【0048】
また、パイロット/TMCC/AC生成部109は、アンテナ制御装置30から送信アンテナの切り替えを指示する切替パルス(切替信号)が出力されると、アンテナ切替タイミングをFPU受信機50に通知するために、切替タイミング信号をTMCC信号またはAC信号に付加する。
【0049】
また、パイロット/TMCC/AC生成部109は、FPU送信機10からのOFDM信号の送信が、ヘリコプター(移動体)からの送信であるか否かを示す信号をTMCC信号またはAC信号に付加してもよい。一般に、FPU送信機10は、可搬であり、ヘリコプター(移動体)に搭載せずに使用することも可能である。したがって、ヘリコプターからの送信であるか否かを示す信号を送信することで、FPU受信機50は、FPU送信機10からの送信が、ヘリコプターからの送信であるか否かを判定することができる。
【0050】
フレーム構成部110は、シンボルマッピング部108から出力されたデータキャリアシンボル(複素データキャリアシンボル)、パイロット/TMCC/AC生成部109から出力された、パイロットキャリアシンボル(複素パイロットキャリアシンボル)、TMCCキャリアシンボル(複素TMCCキャリアシンボル)およびACキャリアシンボル(複素ACキャリアシンボル)を、所定の配置に従い配置し、1シンボル(1OFDMシンボル)ずつIFFT/GI付加部111に出力する。
【0051】
IFFT/GI付加部111は、フレーム構成部110から出力されたOFDMシンボルを逆フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)して、時間領域の信号を生成する。そして、IFFT/GI付加部111は、生成した時間領域の信号の最後の所定の部分を先頭にコピーすることで、ガードインターバル(GI:Guard Interval)を付加し、直交変調部112に出力する。また、IFFT/GI付加部111は、ガードインターバルの先頭のタイミングで、アンテナ切替タイミングの候補である切替候補タイミングであることを示す切替候補タイミングパルス(切替候補タイミング信号)をアンテナ制御装置30に出力する。
【0052】
直交変調部112は、IFFT/GI付加部111から出力された時間領域のOFDMシンボル(複素数の時間領域信号)に対する直交変調を行い、OFDM信号を生成する。具体的には、直交変調部112は、OFDMシンボルに対する直交変調を行い、実数の時間領域信号(中間周波数信号)を生成し、高周波部113に出力する。
【0053】
高周波部113は、直交変調部112から出力された中間周波数信号を周波数変換して、無線周波数信号を生成する。そして、高周波部113は、生成した無線周波数信号を、切替器20を介して接続されるアンテナ21Aまたはアンテナ21Bから送信する。
【0054】
本実施形態に係る無線伝送システム1は、MIMO伝送に適用することも可能である。
図3は、MIMO伝送が適用される場合のFPU送信機10の構成例を示す図である。
図3においては、2系統(系統1、系統2)でOFDM信号を送信する例を示している。なお、
図3において、
図2と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0055】
図3に示すFPU送信機10は、
図2に示すFPU送信機10と比較して、周波数インターリーブ部106を、周波数・系統間インターリーブ部114に変更した点が異なる。また、
図3に示すFPU送信機10は、系統毎に、時間インターリーブ部107、シンボルマッピング部108、フレーム構成部110、IFFT/GI付加部111、直交変調部112および高周波部113を備える。
【0056】
周波数・系統間インターリーブ部114は、ビットインターリーブ部105から出力されたキャリアシンボル列(複数のキャリアシンボル)を、系統1,2のデータキャリアに順番に割り当てる。また、周波数・系統間インターリーブ部114は、所定の入れ替えテーブルに従って、キャリアシンボルを割り当てたキャリアを系統間をまたいで順番を入れ替え(周波数・系統間インターリーブ)、系統1,2それぞれに対応する時間インターリーブ部107に出力する。周波数・系統間インターリーブを行うことで、系統間で伝搬状況に差がある場合、また、周波数選択性フェージング環境下でも、誤り訂正の効果が発揮されやすくなる。
【0057】
次に、FPU受信機50の構成について説明する。
【0058】
図4は、本実施形態に係るFPU受信機50の構成例を示す図である。
図4においては、SISO伝送が適用される場合のFPU受信機50の構成例を示している。
【0059】
図4に示すFPU受信機50は、高周波部501と、直交復調部502と、GI除去/FFT部503(除去部)と、パイロット/TMCC/AC抽出部504(抽出部)と、等化処理部505と、時間デインターリーブ部506と、周波数デインターリーブ部507と、シンボルデマッピング/LLR算出部508と、ビットデインターリーブ部509と、LDPC復号部510と、エネルギー逆拡散部511と、BCH復号部512と、TSパケット抽出部513とを備える。
【0060】
高周波部501は、アンテナ41が受信した無線周波数信号(OFDM信号)を中間周波数信号に変換して、直交復調部502に出力する。
【0061】
直交復調部502は、高周波部501から出力された中間周波数信号に対する直交復調を行い、GI除去/FFT部に出力する。
【0062】
GI除去/FFT部503は、直交復調部502による直交復調により得られた複素数の時間領域信号(OFDMシンボル)からガードインターバルを除去する。そして、GI除去/FFT部503は、1OFDMシンボル毎にフーリエ変換(FFT)して、周波数領域の信号(周波数領域のOFDMシンボル)を生成し、パイロット/TMCC/AC抽出部504および等化処理部505に出力する。
【0063】
パイロット/TMCC/AC抽出部504は、GI除去/FFT部503から出力された周波数領域の信号(OFDMシンボル)から、所定のキャリアに配置されているパイロット信号、TMCC信号およびAC信号を抽出し、等化処理部505に出力する。
【0064】
等化処理部505は、パイロット/TMCC/AC抽出部504から出力されたパイロット信号から伝搬路の推定(チャネル推定)を行い、ゼロフォーシングにより、GI除去/FFT部503から出力された周波数領域のOFDMシンボルの等化処理を行う。そして、等化処理部505は、等化処理後のOFDMシンボルを時間デインターリーブ部506に出力する。
【0065】
時間デインターリーブ部506は、等化処理部505から出力されたOFDMシンボルの各キャリアについて、FPU送信機10の時間インターリーブ部107で施された遅延を元に戻す処理を行い、周波数デインターリーブ部507に出力する。
【0066】
周波数デインターリーブ部507は、時間デインターリーブ部506から出力されたOFDMシンボルに対して、FPU送信機10の周波数インターリーブ部106で施されたデータキャリアの並べ替えを元に戻す処理を行い、シンボルデマッピング/LLR算出部508に出力する。
【0067】
シンボルデマッピング/LLR算出部508は、周波数デインターリーブ部507から出力されたOFDMシンボルの各データキャリアシンボルをデマッピングして、各データキャリアシンボルに割り当てられたビット列を取得する。そして、シンボルデマッピング/LLR算出部508は、取得したビット列のビットごとに、対数尤度比(LLR:Log Likelihood Ratio)を計算し、ビットデインターリーブ部509に出力する。
【0068】
ビットデインターリーブ部509は、シンボルデマッピング/LLR算出部508から出力されたLLR列(各ビットに対応するLLR)に対して、FPU送信機10のビットインターリーブ部105で施されたビットの並べ替えを元に戻す処理を行い、LDPC復号部510に出力する。
【0069】
LDPC復号部510は、ビットデインターリーブ部509から出力されたLLR列(ビット列)を用いてLDPC復号を行い、エネルギー逆拡散部511に出力する。
【0070】
エネルギー逆拡散部511は、LDPC復号部510から出力されたビット列に対して、所定の疑似ランダムビット列との排他的論理和を計算し、BCH復号部512に出力する。
【0071】
BCH復号部512は、エネルギー逆拡散部511から出力されたビット列を用いてBCH復号を行い、TSパケット抽出部513に出力する。
【0072】
TSパケット抽出部513は、BCH復号部512から出力されたビット列から、予め定められたフォーマットに基づいて、映像信号(MPEG−2 TSパケット)を抽出して出力する。
【0073】
上述したように、本実施形態に係る無線伝送システム1は、MIMO伝送に適用することも可能である。
図5は、MIMO伝送が適用される場合のFPU受信機50の構成例を示す図である。
図5においては、2系統(系統1、系統2)でOFDM信号を受信する例を示している。なお、
図5において、
図4と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0074】
図5に示すFPU受信機50は、
図4に示すFPU受信機50と比較して、周波数デインターリーブ部507を周波数・系統間デインターリーブ部514に変更した点が異なる。また、
図5に示すFPU受信機50は、系統毎に、高周波部501、直交復調部502、GI除去/FFT部503および時間デインターリーブ部506を備える。
【0075】
周波数・系統間デインターリーブ部514は、時間デインターリーブ部506から出力されたOFDMシンボルに対して、FPU送信機10の周波数・系統間インターリーブ部114で施された系統間を跨いだデータの並べ替えを元に戻す処理を行い、シンボルデマッピング/LLR算出部508に出力する。
【0076】
アンテナ制御装置30の構成の詳細については説明を省略するが、
図6に示す従来のアンテナ制御装置30aと概ね同じである。従来のアンテナ制御装置30aも、本実施形態に係るアンテナ制御装置30と同様に、送信アンテナの切り替え、および、アンテナの追尾処理を行う。ただし、従来のアンテナ制御装置30aは、送信アンテナを切り替える際に、切替を従来のFPU送信機10aに通知することは無かった。一方、本実施形態に係るアンテナ制御装置30は、
図1に示すように、送信アンテナを切り替える際に、切替指示をFPU送信機10に出力することで、送信アンテナの切り替えをFPU送信機10に通知する。本実施形態に係るFPU送信機10の構成は、
図6に示す従来のFPU送信機10aの構成と比較して、この切替指示をFPU送信機10に出力する点が主に異なる。なお、このような切替指示を出力するための構成としては種々の構成が考えられるため、詳細な説明は省略する。
【0077】
次に、本実施形態に係るFPU送信機10およびFPU受信機50の動作について、SP方式(SISO伝送)の場合、MIMO伝送にCP方式が適用される場合(CP・MIMO方式)、および、MIMO伝送にSP方式が適用される場合(SP・MIMO方式)に分けて、説明する。まず、SP方式の場合について説明する。
【0078】
SP方式では、
図18に示したように、時間方向と周波数方向とに拡散してパイロットキャリアシンボルが配置される。SP方式では、
図4に示すFPU受信機50の等化処理部505は、CP方式の場合と同様に、
図7に示すように、1OFDMシンボルで等化処理を行う。この場合、等化処理部505は、シンボル方向の補間を行わず、キャリア方向の補間のみでチャネル推定を行う。上述したように、送信アンテナの切り替えは、OFDMシンボルの先頭(OFDMに付加されたガードインターバルの先頭)で行われる。したがって、1OFDMシンボルで等化処理を行うことで、アンテナ切替タイミングを跨いで等化処理を行うことがなくなる。そのため、SP方式の場合にも、送信アンテナの切替に影響されずに復調が可能であり、送信アンテナの切り替えに伴う伝送エラーの発生の抑制を図ることができる。なお、この場合、FPU送信機10は、アンテナ切替タイミング信号をOFDMシンボルに含めて送信する必要は無い。
【0079】
上述したように、FPU送信機10は、ヘリコプターからの送信であるか否かを示す信号を送信してもよい。この場合、等化処理部505は、ヘリコプターからの送信である場合には、上述した1OFDMシンボルでの等化処理を行い、その他の場合には、従来の等化処理(複数シンボルでの等化)を行ってもよい。こうすることで、ヘリコプターからの送信時以外は、通常のSP方式の等化処理と同様の性能が得られる。
【0080】
また、FPU送信機10は、アンテナ切替タイミングを示す切替タイミング信号を、TMCC信号あるいはAC信号などに含めて送信してもよい。この場合、等化処理部505は、
図8に示すように、アンテナ切替タイミングを含む所定の期間内では、アンテナ切替タイミングを跨がないように等化処理を行い、それ以外の期間では、従来の等化処理(所定の複数のOFDMシンボルでの等化処理)を行ってもよい。
図8においては、アンテナ切替タイミングの前後3OFDMシンボルに相当する期間では、アンテナ切替タイミングを跨がないように等化処理が行われる。この期間内では、等化処理部505は、例えば、上述したように、1OFDMずつ等化処理を行う。また、等化処理部505は、アンテナ切替タイミングを跨がない連続する2あるいは3OFDMシンボルで等化処理を行う。また、等化処理部505は、それ以外の期間では、SP方式の場合の通常の等化処理を行う。こうすることで、アンテナ切替タイミングを含む所定の期間内以外では、通常のSP方式の等化処理と同様の性能が得られる。
【0081】
次に、CP・MIMO方式の場合について説明する。
【0082】
CP方式では、
図17,20に示すように、時間方向に連続してパイロットキャリアシンボルが配置される。CP・MIMO方式では、
図9に示すように、切替候補タイミングは、連続する2シンボルに1回と予め決められているものとする。
図5に示すFPU受信機50の等化処理部505は、その連続する2OFDMシンボルのペアで等化処理を行う。こうすることで、アンテナ切替タイミングを跨いで等化処理を行うことがなくなる。そのため、CP・MIMO方式の場合にも、送信アンテナの切替に影響されずに復調が可能であり、送信アンテナの切り替えに伴う伝送エラーの発生の抑制を図ることができる。なお、この場合、FPU送信機10は、アンテナ切替タイミング信号をOFDMシンボルに含めて送信する必要は無い。また、切替候補タイミングは、連続する3以上のシンボルに1回であってもよい。この場合、等化処理部505は、その連続する複数のOFDMシンボルで等化処理を行う。
【0083】
上述したように、FPU送信機10は、ヘリコプターからの送信であるか否かを示す信号を送信してもよい。この場合、等化処理部505は、ヘリコプターからの送信である場合には、上述した連続する2OFDMシンボルのペアでの等化処理を行い、その他の場合には、任意のOFDMシンボルのペアで等化処理(所定の複数のOFDMシンボルでの等化処理)を行ってもよい。こうすることで、ヘリコプターからの送信時以外は、通常のCP・MIMO方式の等化処理と同様の性能が得られる。
【0084】
また、FPU送信機10は、アンテナ切替タイミングを示す切替タイミング信号を、TMCC信号あるいはAC信号に含めて送信してもよい。この場合、等化処理部505は、
図10に示すように、アンテナ切替タイミングを跨がない連続する2OFDMシンボルのペアで等化処理を行う。すなわち、等化処理部505は、アンテナ切替タイミングを跨ぐ連続する2OFDMシンボルのペアでは等化処理を行わないようにする。こうすることで、アンテナ切替タイミングを跨いで等化処理を行うことがなくなる。そのため、送信アンテナの切替に影響されずに復調が可能であり、送信アンテナの切り替えに伴う伝送エラーの発生の抑制を図ることができる。また、アンテナ切替タイミング時以外では、通常のCP・MIMO方式の等化処理と同様の性能が得られる。なお、FPU送信機10からアンテナ切替タイミングをFPU受信機50に通知する場合、切替候補タイミングは、連続する2シンボルに1回に限られない。
【0085】
次に、SP・MIMO方式の場合について説明する。
【0086】
SP・MIMO方式では、
図11に示すように、切替候補タイミングは、連続する2シンボルに1回と予め決められているものとする。
図5に示すFPU受信機50の等化処理部505は、その連続する2つのOFDMシンボルのペアで等化処理を行う。こうすることで、アンテナ切替タイミングを跨いで等化処理を行うことがなくなる。そのため、SP・MIMO方式の場合にも、送信アンテナの切替に影響されずに復調が可能であり、送信アンテナの切り替えに伴う伝送エラーの発生の抑制を図ることができる。なお、この場合、FPU送信機10は、アンテナ切替タイミング信号をOFDMシンボルに含めて送信する必要は無い。また、切替候補タイミングは、連続する3以上のシンボルに1回であってもよい。この場合、等化処理部505は、その連続する複数のOFDMシンボルで等化処理を行う。
【0087】
上述したように、FPU送信機10は、ヘリコプターからの送信であるか否かを示す信号を送信してもよい。この場合、等化処理部505は、ヘリコプターからの送信である場合には、上述した連続する2OFDMシンボルのペアでの等化処理を行い、その他の場合には、通常のSP・MIMO方式の等化処理(所定の複数のOFDMシンボルでの等化処理)を行ってもよい。こうすることで、ヘリコプターからの送信時以外は、通常のSP・MIMO方式の等化処理と同様の性能が得られる。
【0088】
また、FPU送信機10は、アンテナ切替タイミングを示す切替タイミング信号を、TMCC信号あるいはAC信号に含めて送信してもよい。この場合、等化処理部505は、
図12に示すように、アンテナ切替タイミングを含む所定の期間内では、アンテナ切替タイミングを跨がない連続する2OFDMシンボルのペアで等化処理を行う。すなわち、等化処理部505は、アンテナ切替タイミングを含む所定の期間内では、アンテナ切替タイミングを跨ぐ連続する2OFDMシンボルのペアでは等化処理を行わないようにする。また、等化処理部505は、それ以外の期間では、通常のSP・MIMO方式の等化処理(所定の複数のOFDMシンボルでの等化処理)を行う。こうすることで、アンテナ切替タイミングを含む所定の期間内以外では、通常のSP・MIMO方式の等化処理と同様の性能が得られる。
【0089】
次に、FPU送信機10がFPU受信機50にアンテナ切替タイミングを通知する方法について説明する。
【0090】
FPU送信機10は、AC信号が送信されるACキャリアを用いて、切替タイミング信号を送信する。この場合、FPU送信機10のパイロット/TMCC/AC生成部109は、アンテナ切替タイミングの直前のシンボル、または、アンテナ切替タイミングの直後のシンボルのACキャリアの振幅を通常の値とは異なる値に変化させる。FPU受信機50のパイロット/TMCC/AC抽出部504は、この振幅の変化を検知することで、アンテナ切替タイミングを検出することができる。なお、アンテナ切替タイミングの直後のシンボルのACキャリアの振幅を変化させる場合、等化処理部505は、予め受信したOFDMシンボルをバッファリングしておき、アンテナ切替タイミングを検出すると、バッファリングしているOFDMシンボルにさかのぼって等化処理を行う。
【0091】
FPU送信機10(パイロット/TMCC/AC生成部109)は、複数のACキャリアを使用して、同様の処理を行ってもよい。この場合、FPU受信機50は、複数のACキャリアの振幅の変化の有無の多数決などを利用して、アンテナ切替タイミングを検出してもよい。こうすることで、雑音環境下におけるアンテナ切替タイミングの誤検知率を低減することができる。
【0092】
また、FPU送信機10(パイロット/TMCC/AC生成部109)は、アンテナ切替タイミングをACキャリアを用いてFPU受信機50に通知する場合、ヘリコプターに搭載された複数のアンテナのうち、送信アンテナとして選択されているアンテナをFPU受信機50に通知してもよい。すなわち、FPU送信機10は、ACキャリアを用いて、送信アンテナを示す信号を送信してもよい。FPU送信機10は、例えば、ヘリコプターに2本のアンテナが搭載されている場合、2種類の振幅を予め設定しておき、ACキャリアの振幅を、送信アンテナとして選択しているアンテナに対応する振幅にすることで、送信アンテナとして選択されているアンテナをFPU受信機50に通知することができる。また、FPU送信機10は、例えば、切替タイミングを通知するシンボルとは別のシンボルを用いて、送信アンテナとして選択されているアンテナをFPU受信機50に通知してもよい。送信アンテナとして選択されているアンテナをFPU受信機50に通知することで、ヘリコプターに搭載されているアンテナに障害が生じた場合に、どのアンテナに障害が生じているかを、受信側で迅速に把握することができる。
【0093】
これまでは、切替候補タイミングが1シンボルの先頭あるいは連続する2シンボルの先頭である例を用いて説明したが、これに限られるものではない。切替候補タイミングは、複数のOFDMシンボルからなる1OFDMフレームに一度としてもよい。この場合、1
OFDMフレームにおける切替候補タイミング(何シンボル目か)が予め定められる。すなわち、OFDMフレームを構成する複数のOFDMシンボルの内、予め定められた1つのOFDMシンボルのガードインターバルの先頭のタイミングが、切替候補タイミングとして定められる。そして、TMCC信号が割り当てられるTMCCキャリアの所定のシンボルが、アンテナ切替信号を割り当てるシンボルとして予め定められる。FPU送信機10は、
図13に示すように、アンテナ切替信号を割り当てると予め定められたシンボル(
図13において、縦線のハッチングが付されたシンボル)を変化させることで、アンテナ切替タイミングをFPU受信機50に通知することができる。TMCCキャリアは、1OFDMフレームを単位として伝送制御信号を伝送するためのキャリアである。TMCCキャリアは、一部あるいは多くのシンボルが、伝送制御信号の伝送のために割り当てられているが、空きシンボルを、アンテナ切替タイミングを通知するためにシンボルに利用することができる。
【0094】
上述したACキャリアを使用し、任意のシンボルでアンテナ切替タイミングを通知する方法では、アンテナ切替タイミングの通知のために、ACキャリアが占有されてしまう。一方、TMCCキャリアを利用したアンテナ切替タイミングの通知では、アンテナ切替タイミングのために特定のキャリアを占有してしまうことがない。
【0095】
なお、
図13においては、切替タイミング信号を割り当てるキャリアシンボルが、アンテナ切替タイミングよりも前に配置されている。この場合、アンテナ制御装置30からFPU送信機10に前もって、アンテナ切替タイミングを通知しておく必要がある。そこで、アンテナ制御装置30は、TMCCキャリアを用いたアンテナ切替タイミングの通知を行う場合、送信アンテナの切り替え予定を示す信号をFPU送信機10に出力する。
【0096】
また、FPU送信機10(パイロット/TMCC/AC生成部109)は、アンテナ切替タイミングをTMCCキャリアを用いてFPU受信機50に通知する場合、ヘリコプターに搭載された複数のアンテナのうち、送信アンテナとして選択されているアンテナをFPU受信機50に通知してもよい。すなわち、FPU送信機10は、TMCCキャリアを用いて、送信アンテナを示す信号を送信してもよい。FPU送信機10は、例えば、TMCCキャリアにおいて、アンテナ切替タイミングの通知に用いるシンボルとは別のシンボルを用いて、送信アンテナとして選択されているアンテナをFPU受信機50に通知することができる。送信アンテナとして選択されているアンテナをFPU受信機50に通知することで、ヘリコプターに搭載されているアンテナに障害が生じた場合に、どのアンテナに障害が生じているかを、受信側で迅速に把握することができる。
【0097】
また、TMCCキャリアの特定のシンボルを用いてアンテナ切替タイミングが通知され、TMCC信号がDBPSK(Differential Binary Phase Shift Keying)などの差動変調が施される場合、アンテナ切替タイミングの通知に用いられるシンボルの直後のシンボル(
図13において、横線のハッチングが付されたシンボル)を、位相基準となるキャリアシンボルと割り当てておけば、FPU受信機50は、その後のTMCC信号を等化処理することなく、正常に受信することができる。
【0098】
このように本実施形態においては、FPU送信機10(送信装置)は、ガードインターバルを付加したOFDMシンボルを用いて生成したOFDM信号を送信する送信アンテナを切り替える場合、ガードインターバルの先頭のタイミングで切り替えるとともに、送信アンテナを切り替えるアンテナ切替タイミングを示す切替タイミング信号を、OFDMシンボルに含めて送信する。また、FPU受信機50(受信装置)は、SP方式の場合、1OFDMシンボルで等化処理を行う。また、FPU受信機50(受信装置)は、CP・MIMO方式の場合、アンテナ切替タイミングを跨がない連続する複数のOFDMシンボルで等化処理を行う。また、FPU受信機50(受信装置)は、SP・MIMO方式の場合、アンテナ切替タイミングを跨がない連続する複数のOFDMシンボルで等化処理を行う。
【0099】
ガードインターバルの先頭のタイミングで送信アンテナが切り替えられることで、FPU受信機50は、アンテナ切替タイミングを跨がないようにして、OFDMシンボルの等化処理を行うことができる。そのため、SP方式(SP・SISO方式)、CP・MIMO方式およびSP・MIMO方式の場合にも、送信アンテナの切り替えに伴う急峻な位相変動の影響を受けることなく、伝送エラーの発生の抑制を図ることができる。
【0100】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、FPU受信機50は、アンテナ切替タイミングを跨がないようにしてOFDMシンボルの等化処理を行う。一方、本実施形態においては、アンテナ切替タイミングを跨いだ等化処理を行った場合にも、伝送エラーの発生の抑制を図る。なお、本実施形態に係るFPU送信機およびFPU受信機の構成は、第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0101】
本実施形態においては、FPU受信機50の等化処理部505は、アンテナ切替タイミングを跨いだ等化処理を行う場合、アンテナ切替タイミングの直前のOFDMシンボルおよびアンテナ切替タイミングの直後のOFDMシンボルそれぞれについて、チャネル推定を行い、送信アンテナの切り替えに伴う位相変動を求める。そして、等化処理部505は、
図14に示すように、アンテナ切替タイミングの直前のOFDMシンボルまたはアンテナ切替タイミングの直後のOFDMシンボルに、求めた位相変動を打ち消すような位相オフセットを付与して、等化処理を行う。
【0102】
送信アンテナの切り替えの前後のOFDMシンボルのパイロットを用いたチャネル推定により、送信アンテナの切り替えに伴う位相変動を求め、その位相変動によりを打ち消すような位相オフセットを、アンテナ切替タイミングの前後のOFDMシンボルに付与することで、伝送エラーの発生の抑制を図ることができる。
【0103】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。