特許第6985883号(P6985883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6985883有機発光ダイオードのための電子伝達層の積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985883
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】有機発光ダイオードのための電子伝達層の積層体
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20211213BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20211213BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20211213BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20211213BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   H05B33/22 B
   H01L27/32
   H05B33/14 B
   H05B33/10
   C09K11/06 640
   C09K11/06 645
   G09F9/30 365
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】73
(21)【出願番号】特願2017-202421(P2017-202421)
(22)【出願日】2017年10月19日
(65)【公開番号】特開2018-117112(P2018-117112A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2020年10月9日
(31)【優先権主張番号】16195344.3
(32)【優先日】2016年10月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503180100
【氏名又は名称】ノヴァレッド ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ジュリエン,フライ
(72)【発明者】
【氏名】ドマゴイ,パヴィチチ
(72)【発明者】
【氏名】カルステン,ローテ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロディミル,センコフスキー
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ,カルディナリ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンソン,キム
(72)【発明者】
【氏名】ビョンク,キム
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0034915(US,A1)
【文献】 特開2006−279014(JP,A)
【文献】 特表2004−535051(JP,A)
【文献】 特表2015−506092(JP,A)
【文献】 特表2013−534047(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0096020(KR,A)
【文献】 国際公開第2009/054253(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/040915(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/10
C09K 11/06
G09F 9/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード、カソード、上記カソードおよび上記アノードの間に配置された発光層、第1電子伝達層、および第2電子伝達層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
上記第1電子伝達層および上記第2電子伝達層は上記発光層と上記カソードとの間に配置されており、
上記第1電子伝達層は上記第2電子伝達層よりも発光層の近くに配置されており、上記第2電子伝達層は上記第1電子伝達層よりも上記カソードの近くに配置されており、
(a)上記第1電子伝達層は、式(Ia)
【化1】

に記載の第1マトリクス化合物を含み、
ここで、式Iaにおいて、
はC〜C12アリールおよびC〜C11ヘテロアリールから選択され、
およびAは単結合であり、
〜Rは独立した置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり、
a〜eは独立した0または1の整数であり、かつ4≦a+b+c+d+e≦5であって、
Lは単結合、置換もしくは非置換C〜C30アリーレン基、または置換もしくは非置換C〜C30ヘテロアリーレン基であり、
ETは、非置換C〜C40アリールもしくは非置換C〜C40ヘテロアリール基、または置換C〜C40アリールもしくは置換C〜C40ヘテロアリール基であり、
上記置換基において、
少なくとも1つの水素は、
(xxi)重水素、
(xxii)ハロゲン、
(xviii)C〜C60第三アミノ基であって、上記C〜C60第三アミノ基の窒素原子が個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、またはC〜C30複素環基を形成したC〜C60第三アミノ基、
(xxiv)C〜C22シリル基、
(xxv)C〜C30アルキル基、
(xxvi)C〜C10アルキルシリル基、
(xxvii)C〜C22アリールシリル基、
(xxviii)C〜C30シクロアルキル基、
(xxix)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(xxx)C〜C30アリール基、
(xxxi)C〜C30ヘテロアリール基、
(xxxii)C〜C20アルコキシ基、
(xxxiii)C〜C30過フルオロ−ヒドロカルビル基、
(xxxiv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xxxv)シアノ基、によって置換され、
(b)上記第2電子伝達層は、アルカリ金属塩またはアルカリ金属有機錯体と、式(II)
A−W (II)
に記載の第2マトリクス化合物とを含み、ここで、
Aは、非置換もしくは置換ベンゾアクリジンのアクリジン誘導体、または非置換もしくは置換ジベンゾアクリジンのアクリジン誘導体であり、
Wは、2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C16〜C48アリール基、および少なくとも2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C10〜C33ヘテロアリール基の少なくともいずれかから個別に選択され、
上記置換基は、重水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アルコキシから選択され、
fは1または2である有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
式(Ia)において、R〜Rは独立した置換または非置換C〜C12アリール基、置換または非置換C〜Cヘテロアリール基であり、
a〜eは独立した0または1の整数であり、かつ4≦a+b+c+d+e≦5であって、
Lは単結合、置換もしくは非置換C〜C12アリーレン基、または置換もしくは非置換C〜Cヘテロアリーレン基であり、
ETは、非置換C〜C18アリール、非置換C〜C20ヘテロアリール基、置換C〜C18アリール、または置換C〜C20ヘテロアリール基であり、
上記置換基において、少なくとも1つの水素は、
(xxxvi)重水素、
(xxvii)C〜C12アルキル基、
(xxxviii)C〜C12アリール基、
(xxxix)C〜Cヘテロアリール基、
(xl)C〜C12アルコキシ基、によって置換される請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
式(Ia)において、上記ET基はC〜C30ヘテロアリール基、であり、ETは、式E1または式E2
【化2】

から選択されるものであって、
ここで、Ar’およびAr”はC〜C18アリールから個別に選択されるものである、請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
式(II)
A−W (II)
において、
Aは、式(IIIa)または式(IIIb)
【化3】

の群から選択され、
Wは、2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C16〜C48アリール基、および少なくとも2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C10〜C33ヘテロアリール基の少なくともいずれかから個別に選択され、
上記置換基は、重水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アルコキシから選択され、
fは1または2である請求項1からのいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
式(II)
A−W (II)
において、
Aは、式(IIIa)または式(IIIb)
【化4】

の群から選択され、
Wは、式IV
−L−Ar (IV)
の群から個別に選択され、
ここで、
Lは、フェニレン、ナフチレン、およびビフェニレンから選択され、
Arは、置換または非置換ナフチル、アントラニル、クリセニル、ピレニル、ベンズイミダゾリル、ピリジニル、アクリジニル、キノリニル、トリアジニルから選択され、上記置換基は、重水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アルコキシから選択され、
fは1または2である、請求項1からのいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
上記アルカリ金属塩は、LiF、LiCl、LiBrまたはLiを含む群から選択され
記アルカリ金属有機錯体は、リチウムキノリノラート、ホウ酸リチウム、リチウムフェノラート、リチウムピリジノラートを含む群から選択されるか、シッフ塩基配位子を有するリチウムを含む、請求項1からのいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
上記第1マトリクス化合物および上記第2マトリクス化合物の少なくともいずれかの双極子モーメントは、0デバイ以上2.3デバイ以下である、請求項1からのいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
アノード、カソード、上記カソードおよび上記アノードの間に配置された発光層、第1電子伝達層、および第2電子伝達層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
上記第1電子伝達層および上記第2電子伝達層は上記発光層と上記カソードとの間に配置されており、
上記第1電子伝達層は上記第2電子伝達層よりも発光層の近くに配置されており、上記第2電子伝達層は上記第1電子伝達層よりも上記カソードの近くに配置されており、
(a)上記第1電子伝達層は式(I)の第1マトリクス化合物を含み、
【化5】

ここで、
、A、A、およびAは単結合、非置換または置換C〜C30アリーレン、および非置換または置換C〜C30ヘテロアリーレンから個別に選択され、
は非置換または置換C〜C40アリール基および非置換または置換C〜C40ヘテロアリール基の少なくともいずれかから選択され、
〜Rは独立した置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり、
上記置換基において、少なくとも1つの水素は、
(xvi)重水素、
(xvii)ハロゲン、
(xviii)C〜C60第三アミノ基であって、上記第三アミノ基の窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、または上記C〜C60第三アミノ基の上記窒素原子がC〜C30複素環基を形成したC〜C60第三アミノ基、
(xix)C〜C22シリル基、
(xx)C〜C30アルキル基、
(xxi)C〜C10アルキルシリル基、
(xxii)C〜C22アリールシリル基、
(xxiii)C〜C30シクロアルキル基、
(xxiv)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(xxv)C〜C30アリール基、
(xxvi)C〜C30ヘテロアリール基、
(xxvii)C〜C20アルコキシ基、
(xxviii)C〜C30過フルオロ−ヒドロカルビル基、
(xxix)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xxx)シアノ基、によって置換され、
a〜eは独立した0または1の整数であり、かつ4≦a+b+c+d+e≦5であって、
(b)上記第2電子伝達層は、アルカリ金属塩またはアルカリ金属有機錯体と、式(II)
A−W (II)
に記載の第2マトリクス化合物とを含み、ここで、
Aは、非置換もしくは置換ベンゾアクリジンのアクリジン誘導体、または非置換もしくは置換ジベンゾアクリジンのアクリジン誘導体であり、
Wは、2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C16〜C48アリール基、および少なくとも2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C10〜C33ヘテロアリール基の少なくともいずれかから個別に選択され、
上記置換基は、重水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アルコキシから選択され、
fは1または2であり、
上記第1マトリクス化合物の還元電位は、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対するサイクリックボルタンメトリーによって同じ条件下で測定した場合、トリフェニルホスフィンオキシドについて得られた値ほどは負の値ではなく、テトラキス(キノキサリン−5−イルオキシ)ジルコニウムについて得られた値よりも負の値である有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
アノード、カソード、上記カソードおよび上記アノードの間に配置された発光層、第1電子伝達層、および第2電子伝達層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
上記第1電子伝達層および上記第2電子伝達層は上記発光層と上記カソードとの間に配置されており、
上記第1電子伝達層は上記第2電子伝達層よりも発光層の近くに配置されており、上記第2電子伝達層は上記第1電子伝達層よりも上記カソードの近くに配置されており、
(a)上記第1電子伝達層は式(I)の第1マトリクス化合物を含み、
【化6】

ここで、
、A、A、およびAは単結合、非置換または置換C〜C30アリーレン、および非置換または置換C〜C30ヘテロアリーレンから個別に選択され、
は非置換または置換C〜C40アリール基および非置換または置換C〜C40ヘテロアリール基の少なくともいずれかから選択され、
〜Rは独立した置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり、
上記置換基において、少なくとも1つの水素は、
(xvi)重水素、
(xvii)ハロゲン、
(xviii)C〜C60第三アミノ基であって、上記第三アミノ基の窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、または上記C〜C60第三アミノ基の上記窒素原子がC〜C30複素環基を形成したC〜C60第三アミノ基、
(xix)C〜C22シリル基、
(xx)C〜C30アルキル基、
(xxi)C〜C10アルキルシリル基、
(xxii)C〜C22アリールシリル基、
(xxiii)C〜C30シクロアルキル基、
(xxiv)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(xxv)C〜C30アリール基、
(xxvi)C〜C30ヘテロアリール基、
(xxvii)C〜C20アルコキシ基、
(xxviii)C〜C30過フルオロ−ヒドロカルビル基、
(xxix)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xxx)シアノ基、によって置換され、
a〜eは独立した0または1の整数であり、かつ4≦a+b+c+d+e≦5であって、
(b)上記第2電子伝達層は、アルカリ金属塩またはアルカリ金属有機錯体と、式(II)
A−W (II)
に記載の第2マトリクス化合物とを含み、ここで、
Aは、非置換もしくは置換ベンゾアクリジンのアクリジン誘導体、または非置換もしくは置換ジベンゾアクリジンのアクリジン誘導体であり、
Wは、2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C16〜C48アリール基、および少なくとも2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C10〜C33ヘテロアリール基の少なくともいずれかから個別に選択され、
上記置換基は、重水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アルコキシから選択され、
fは1または2であり、
上記発光層はエミッターホストを含み、上記エミッターホストの双極子モーメントは、0.2デバイ以上1.45デバイ以下である有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
アノード、カソード、上記カソードおよび上記アノードの間に配置された発光層、第1電子伝達層、および第2電子伝達層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
上記第1電子伝達層および上記第2電子伝達層は上記発光層と上記カソードとの間に配置されており、
上記第1電子伝達層は上記第2電子伝達層よりも発光層の近くに配置されており、上記第2電子伝達層は上記第1電子伝達層よりも上記カソードの近くに配置されており、
(a)上記第1電子伝達層は式(I)の第1マトリクス化合物を含み、
【化7】

ここで、
、A、A、およびAは単結合、非置換または置換C〜C30アリーレン、および非置換または置換C〜C30ヘテロアリーレンから個別に選択され、
は非置換または置換C〜C40アリール基および非置換または置換C〜C40ヘテロアリール基の少なくともいずれかから選択され、
〜Rは独立した置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり、
上記置換基において、少なくとも1つの水素は、
(xvi)重水素、
(xvii)ハロゲン、
(xviii)C〜C60第三アミノ基であって、上記第三アミノ基の窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、または上記C〜C60第三アミノ基の上記窒素原子がC〜C30複素環基を形成したC〜C60第三アミノ基、
(xix)C〜C22シリル基、
(xx)C〜C30アルキル基、
(xxi)C〜C10アルキルシリル基、
(xxii)C〜C22アリールシリル基、
(xxiii)C〜C30シクロアルキル基、
(xxiv)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(xxv)C〜C30アリール基、
(xxvi)C〜C30ヘテロアリール基、
(xxvii)C〜C20アルコキシ基、
(xxviii)C〜C30過フルオロ−ヒドロカルビル基、
(xxix)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xxx)シアノ基、によって置換され、
a〜eは独立した0または1の整数であり、かつ4≦a+b+c+d+e≦5であって、
(b)上記第2電子伝達層は、アルカリ金属塩またはアルカリ金属有機錯体と、式(II)
A−W (II)
に記載の第2マトリクス化合物とを含み、ここで、
Aは、非置換もしくは置換ベンゾアクリジンのアクリジン誘導体、または非置換もしくは置換ジベンゾアクリジンのアクリジン誘導体であり、
Wは、2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C16〜C48アリール基、および少なくとも2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C10〜C33ヘテロアリール基の少なくともいずれかから個別に選択され、
上記置換基は、重水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アルコキシから選択され、
fは1または2であり、
上記発光層はエミッターホストを含み、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対するサイクリックボルタンメトリーによって同じ条件下で測定した場合、上記エミッターホストの各レドックス電位は7−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)ジベンゾ[c,h]アクリジンについて得られた各値よりも負の値である有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
上記第2電子伝達層および上記カソードの間にさらに電子注入層を含み、
上記第1電子伝達層が上記発光層と上記第2電子伝達層との間に接触しながら挟まれ、上記第2電子伝達層が上記第1電子伝達層と上記電子注入層との間に接触しながら挟まれている、請求項1から10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子(400)の製造方法であって、
アノード上に、正孔注入層(37)、正孔伝達層(31)、任意の電子ブロッキング層(33)、発光層(130)、第1電子伝達層(135)、第2電子伝達層(34)、電子注入層(36)、およびカソード(110)をこの順番で堆積させ、
または、上記の層を、上記カソード(110)から始め、逆の順番で堆積させる、製造方法。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の有機発光ダイオード(100)を少なくとも1つ備える電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、第1電子伝達層が電荷移動化合物を含み、第2電子伝達層がアクリジン化合物およびアルカリ金属塩およびアルカリ金属有機錯体の少なくともいずれかを含む、少なくとも2層の電子伝達層からなるETL積層体を含む有機発光ダイオード(OLED)、当該OLEDの製造方法、および当該OLEDを備えるデバイスに関する。
【0002】
〔背景技術〕
自家発光性デバイスである有機発光ダイオード(OLED)は、広い視野角、優れたコントラスト、迅速な反応、高い輝度、優れた駆動電圧特性、および色の再現性を有する。典型的なOLEDはアノード、正孔伝達層HTL、発光層EML、電子伝達層ETL、およびカソードを備え、これらが順に基板上に積層されている。ここで、HTL、EML、およびETLは、有機化合物から形成された薄膜である。
【0003】
US2006/057427A1は、一対の電極と、一対の電極の間に配置された複数の有機化合物層とを含む有機エレクトロルミネッセンス素子を開示する。有機化合物層は、発光層と正孔伝達層とを含み、発光層は、青色燐光性発光材料と、最低の励起三重項エネルギー(T1)が272kJ/mol(65kcal/mol)以上であるホスト物質とを含む。正孔伝達層の一つは発光層に隣接する層である。発光層のイオン化ポテンシャルをIp1とし、発光層に隣接する正孔伝達層のイオン化ポテンシャルをIp2とし、その他の正孔伝達層のイオン化ポテンシャルをIp3とした場合、Ip1>Ip2>Ip3という関係が満たされる。
【0004】
US2015/034915A1は、第1電極と、第2電極と、有機層とを含む有機発光装置を開示する。有機層は、第1電極と第2電極との間に配置され、発光層を含む。
【0005】
US2004/209116A1は、有機発光ダイオード(OLED)を開示し、特に能率的なOLEDであって、広いエネルギーギャップを有するホスト物質を含む発光層を備えるOLEDを開示する。
【0006】
電圧がアノードおよびカソードに印加される際、アノードから注入された正孔はHTLを通ってEMLに移動し、カソードから注入された電子はETLを通ってEMLに移動する。正孔および電子は、EMLにおいて再結合し、励起子を発生させる。励起子が励起状態から基底状態に下降する際、光が発せられる。上述した構造を有するOLEDが優れた効率および長寿命の少なくともいずれかを有するように、正孔および電子の注入および流れは、均衡が保たれるべきである。
【0007】
WO2011154131A1は、以下の式(A)に係る有機半導体材料を少なくとも1つ含む電子デバイスに関する。式(A)において、Rは、H、ハロゲン、CN、置換または非置換C〜C20アルキルまたはヘテロアルキル、C〜C20アリールまたはC〜C20ヘテロアリール、C〜C20アルコキシまたはC〜C20アリールオキシから個別に選択される。Arは、置換または非置換C〜C20アリールまたはC〜C20ヘテロアリールから選択され、Rは、置換または非置換C〜C20アリールまたはC〜C20ヘテロアリール、H、F、または式(B)から選択される。
【0008】
【化1】
PCT出願番号KR2015−012551は、化学式Iによって示された有機光電子装置のための化合物、有機光電子装置、および表示装置を提供するものに関する。
【0009】
【化2】
先行技術を考慮しても、OLEDおよび有機半導体材料のパフォーマンスを向上させる必要があり、特に、含まれる化合物の特性を向上させることによって高効率化および長寿命化の少なくともいずれかを達成する必要がある。
【0010】
〔開示内容〕
本発明の態様は、外部量子効率EQE等の効率の向上、低動作電圧、および長寿命を達成するために、発光層および少なくとも2層の電子伝達層(ETL)を備える有機発光ダイオード(OLED)を提供する。該有機発光ダイオード(OLED)は、トップエミッション型およびボトムエミッション型の少なくともいずれかの有機発光ダイオード(OLED)のだめのものである。
【0011】
本発明の別の一態様は、該OLEDの製造方法を提供する。
【0012】
本発明の他の態様は、少なくとも1つのOLEDを備える電子デバイスを提供する。
【0013】
本発明の一態様によれば、アノード、カソード、上記カソードおよび上記アノードの間に配置された発光層、第1電子伝達層、および第2電子伝達層を備えるエレクトロルミネッセンス素子が提供され、
上記第1電子伝達層および上記第2電子伝達層は上記発光層と上記カソードとの間に配置されており、
上記第1電子伝達層は上記第2電子伝達層よりも発光層の近くに配置されており、上記第2電子伝達層は上記第1電子伝達層よりも上記カソードの近くに配置されており、
(a)上記第1電子伝達層は式(I)
【0014】
【化3】
の第1マトリクス化合物を含み、ここで、
、A、A、およびAは単結合、非置換または置換C〜C30アリーレン、および非置換または置換C〜C30ヘテロアリーレンから個別に選択され、
は非置換または置換C〜C40アリール基および非置換または置換C〜C40ヘテロアリール基の少なくともいずれかから選択され、
〜Rは独立した置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり、
上記置換基において、少なくとも1つの水素は、
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三アミノ基であって、上記第三アミノ基の上記窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、または上記C〜C60第三アミノ基の上記窒素原子はC〜C30複素環基を形成したC〜C60第三アミノ基、
(iv)C〜C22シリル基、
(v)C〜C30アルキル基、
(vi)C〜C10アルキルシリル基、
(vii)C〜C22アリールシリル基、
(viii)C〜C30シクロアルキル基、
(ix)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(x)C〜C30アリール基、
(xi)C〜C30ヘテロアリール基、
(xii)C〜C20アルコキシ基、
(xiii)C〜C30過フルオロ−ヒドロカルビル基、
(xiv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xv)シアノ基、によって置換され、
a〜eは独立した0または1の整数であり、かつ4≦a+b+c+d+e≦5であって、
(b)上記第2電子伝達層は、アルカリ金属塩またはアルカリ金属有機錯体と、式(II)
A−W (II)
に記載の第2マトリクス化合物とを含み、ここで、
Aは、非置換もしくは置換ベンゾアクリジンのアクリジン誘導体、または非置換もしくは置換ジベンゾアクリジンのアクリジン誘導体であり、
Wは、2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C16〜C48アリール基、および少なくとも2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C10〜C33ヘテロアリール基の少なくともいずれかから個別に選択され、
上記置換基は、重水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アルコキシから選択され、
fは1または2であり、好ましくは1である。
【0015】
エレクトロルミネッセンス素子、例えばOLEDの動作条件下において、電子伝達層に含まれるアルカリ金属塩またはアルカリ金属有機錯体は発光しなくてもよい。
【0016】
第1マトリクス化合物および第2マトリクス化合物は有機化合物であり、金属を有さない。エレクトロルミネッセンス素子、例えばOLEDの動作条件下において、電子伝達層に含まれるマトリクス化合物は発光しなくてもよい。
【0017】
エレクトロルミネッセンス素子、例えば、OLEDの動作条件は、本明細書の実験パートにおいて記載する。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、エレクトロルミネッセンス素子は有機発光ダイオードOLEDであってもよい。
【0019】
式Iおよび式IIに示す化合物、ならびに式Iおよび式IIに示す化合物を含む組成物は、優れた電子伝達特性を有するため、電荷の移動性および安定性を増加させ、それによって輝度効率、電圧特性、および寿命特性を向上させる。
【0020】
本明細書において、「A、A、A、およびAは個別に単結合から選択される」とは、「A、A、A、およびA」が単結合として選択される場合、「A、A、A、およびA」が共に1つの単結合を形成することを意味する。
【0021】
本明細書において、「A、A、A、およびAは個別に単結合から選択される」とは、その中の少なくとも2つの直接接続した部分、例えば、「A、A」が単結合として選択される場合、それらの接続した部分が共に単結合を形成することを意味する。
【0022】
本明細書において、「A、A、A、およびAは個別に単結合から選択される」とは、その中の少なくとも3つの直接接続した部分、例えば、「A、A、A」が単結合として選択される場合、それらの直接接続した部分が共に単結合を形成することを意味する。
【0023】
本明細書において、「置換基において、少なくとも1つの水素は下記に置き換えられる」という記載は、特に断りのない限り、A、A、A、A、およびA、R〜R、Ar、L、ならびにETに関連しており、他のものは規定されない。
【0024】
本明細書において、他に定義されていない場合、「置換された」とは、重水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アルコキシに置換されたものを指す。
【0025】
本明細書において、他に定義されていない場合、「アルキル基」とは脂肪族炭化水素基を意味し得る。アルキル基は、二重結合または三重結合を有しない「飽和アルキル基」を意味し得る。
【0026】
アルキル基はC〜C12アルキル基であってもよい。より具体的には、アルキル基はC〜C10アルキル基またはC〜Cアルキル基であってもよい。例えば、C〜Cアルキル基はアルキル鎖において1〜4つの炭素を含み、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、セクブチル、およびt−ブチルから選択されてもよい。
【0027】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0028】
「シクロアルキル」という用語は、対応するシクロアルカンに含まれる環原子から1つの水素原子を形式的に取り除くことによってシクロアルカンから得られた飽和ヒドロカルビル基を指す。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、アダマントリー基等が挙げられる。
【0029】
ヘテロシクロアルキル下において、少なくとも1つのそのような環を有する化合物における飽和複素環リングから1つの環状水素を形式的に取り除くことによって得られた基が理解される。
【0030】
「ヘテロ」という用語は、共有結合型炭素原子によって形成され得る構造中の少なくとも1つの炭素原子が別の多価原子に置き換えられることを指す。好ましくは、ヘテロ原子はB、Si、N、P、O、Sから選択され、より好ましくはN、P、O、Sから選択される。
【0031】
本明細書において、「アリール基」は、炭化水素芳香族部分を少なくとも1つ含む基を意味し得る。
【0032】
炭化水素芳香族部分の元素は全て、共役(例えば、フェニル基およびナフチル基等)を形成するp軌道を有してもよい。
【0033】
炭化水素芳香族部分のうち、2つ以上はシグマ結合によって結合されてもよく、例えば、ビフェニル基、テルフェニル基、クオーターフェニル基等であってもよい。
【0034】
アリール基は、単環、多環、または縮合環多環(つまり、隣接する、炭素原子の対を共有する環)の官能基を含んでもよい。
【0035】
ここで、「ヘテロアリール」という語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子(好ましくはN、O、S、B、またはSiから選択される)で置換されているアリール基を意味する。ヘテロアリーレンは、さらに2つの部分と結合されている基を意味する。
【0036】
−ヘテロアリールにおける下付きの数値nは、単に、炭素原子の数(ヘテロ原子の数を含まない)を意味する。この文脈において、Cヘテロアリーレン基は5個の炭素原子を含む芳香族化合物(例えば、ピリジル)であることが明確である。
【0037】
本明細書において、単結合は直接結合を意味し得る。
【0038】
本発明の文脈において、「異なる」とは化合物が同一の化学構造を有さないことを意味する。
【0039】
「有さない(free of)」、「含まない(does not contain)」、「備えない(does not comprise)」という記載は、堆積前の化合物に存在し得る不純物を排除しない。不純物は、本発明によって達成される目的に対して技術的な効果を有さない。
【0040】
「接触しながら挟まれる」という記載は、3つの層を配置する場合に真ん中の層が隣接する2つの層に直接接触する配置を指す。
【0041】
本明細書において、正孔特性とは電界が印加された場合に正孔を形成するために電子を提供する能力を指し、アノードに形成された正孔は、最高被占分子軌道(HOMO)レベルによる導電特性のために、発光層に容易に注入されて発光層中を容易に伝達され得ることを指す。
【0042】
さらに電子特性とは電界が印加された場合に電子を受容する能力を指し、カソードに形成された電子は、最低空分子軌道(LUMO)レベルによる導電特性のために、発光層に容易に注入されて発光層中を容易に伝達され得ることを指す。
【0043】
他の実施形態は、その製造方法を提供する。
【0044】
〔有利な効果〕
驚くべきことに、特にcd/A効率について公知の有機エレクトロルミネッセンス素子よりも優れた本発明のETL層積層体が、本発明の基礎をなす課題を解決することがわかった。高いcd/A効率は高効率を達成するために重要であり、これにより、例えば携帯表示装置といった携帯機器の電池寿命が増加する。
【0045】
有機エレクトロルミネッセンス素子を青色蛍光素子として使用した場合に特に良好なパフォーマンスが実現されることを発明者らは驚くべきことに発見した。
【0046】
好適な例として本明細書に記載した、特定の構成が特に有益であることが分かった。
【0047】
同様に、本発明の最も広い定義の範囲に含まれるいくつかの化合物は、驚くべきことに、上述したcd/A効率特性に関して特に良好なパフォーマンスを示すことが分かった。本明細書において説明するこの化合物は特に好適である。
【0048】
さらに、高効率および長寿命の少なくともいずれかである有機エレクトロルミネッセンス素子を実現可能である。
【0049】
以下、一実施形態に係る、第1および第2電子伝達層を備えるETL積層体について記載する。
【0050】
〔第1電子マトリクス化合物〕
さらなる実施形態によれば、第1電子伝達層は式(I)に記載の第1マトリクス化合物を含むか、または式(I)に記載の第1マトリクス化合物から構成されていてもよい。
【0051】
【化4】
ここで、
、A、A、およびAは単結合、非置換または置換C〜C30アリーレン、および非置換または置換C〜C30ヘテロアリーレンから個別に選択され、
は非置換または置換C〜C40アリール基および非置換または置換C〜C40ヘテロアリール基の少なくともいずれかから選択され、
〜Rは独立した置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり、
上記置換基において、
少なくとも1つの水素は、
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三アミノ基であって、上記第三アミノ基の上記窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、または上記C〜C60第三アミノ基の上記窒素原子はC〜C30複素環基を形成したC〜C60第三アミノ基、
(iv)C〜C22シリル基、
(v)C〜C30アルキル基、
(vi)C〜C10アルキルシリル基、
(vii)C〜C22アリールシリル基、
(viii)C〜C30シクロアルキル基、
(ix)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(x)C〜C30アリール基、
(xi)C〜C30ヘテロアリール基、
(xii)C〜C20アルコキシ基、
(xiii)C〜C30過フルオロ−ヒドロカルビル基、
(xiv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xv)シアノ基、によって置換され、
a〜eは独立した0または1の整数であり、かつ4≦a+b+c+d+e≦5である。
【0052】
さらなる実施形態によれば、第1電子伝達層は式(Ia)に記載の第1電子マトリクス化合物を含む。
【0053】
【化5】
ここで、式Iaにおいて、
はC〜C12アリールおよびC〜C11ヘテロアリールから選択され、
およびAは単結合であり、
〜Rは独立した置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり、
a〜eは独立した0または1の整数であり、かつ4≦a+b+c+d+e≦5であって、
Lは単結合、置換もしくは非置換C〜C30アリーレン基、または置換もしくは非置換C〜C30ヘテロアリーレン基であり、
ETは、非置換C〜C40アリールもしくは非置換C〜C40ヘテロアリール基、または置換C〜C40アリールもしくは置換C〜C40ヘテロアリール基であり、
上記置換基において、少なくとも1つの水素は、
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三アミノ基であって、上記C〜C60第三アミノ基の上記窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、またはC〜C30複素環基を形成したC〜C60第三アミノ基、
(iv)C〜C22シリル基、
(v)C〜C30アルキル基、
(vi)C〜C10アルキルシリル基、
(vii)C〜C22アリールシリル基、
(viii)C〜C30シクロアルキル基、
(ix)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(x)C〜C30アリール基、
(xi)C〜C30ヘテロアリール基、
(xii)C〜C20アルコキシ基、
(xiii)C〜C30過フルオロ−ヒドロカルビル基、
(xiv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xv)シアノ基、によって置換される。
【0054】
式(Ia)は、式Iの定義に含まれる。式(Ia)において、AはLであり、Aは、C〜C12アリールおよびC〜C11ヘテロアリールから選択され、AおよびAは単結合であり、A=ETである。
さらなる実施形態によれば、式(Ia)において、
〜Rは独立した置換または非置換C〜C12アリール基、置換または非置換C〜Cヘテロアリール基であり、
a〜eは独立した0または1の整数であり、かつ4≦a+b+c+d+e≦5であって、
Lは単結合、置換もしくは非置換C〜C12アリーレン基、または置換もしくは非置換C〜Cヘテロアリーレン基であり、
ETは、非置換C〜C18アリールもしくは非置換C〜C20ヘテロアリール基、または置換C〜C18アリールもしくは置換C〜C20ヘテロアリール基であり、
上記置換基において、少なくとも1つの水素は、
(xvi)重水素、
(xvii)C〜C12アルキル基、
(xviii)C〜C12アリール基、
(xix)C〜Cヘテロアリール基、
(xx)C〜C12アルコキシ基、によって置換される。
さらなる実施形態によれば、Arはフェニルまたはビフェニルであり、Lは単結合である。
【0055】
さらなる実施形態によれば、第1電子伝達層は式(Ib)に記載の第1電子マトリクス化合物を含む。
【0056】
【化6】
ここで、式Ibにおいて、
〜X11は個別にN、C、またはCRであり、
は個別に、水素、重水素、C〜C30アルキル基、C〜C30シクロアルキル基、C〜C30アリール基、C〜C30ジアリールアミン基、C〜C30アルコキシ基、C〜C21シリル基、C〜C21シリルオキシ基、C〜C30アルキルチオール基、C〜C30アリールチオール基、ハロゲン、C〜C30ハロゲン化ヒドロカルビル基、シアノ基であり、
〜Rは独立した置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり、
a〜eは独立した0または1の整数であり、かつ4≦a+b+c+d+e≦5であって、
Lは単結合、置換または非置換C〜C30アリーレン基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリーレン基であり、
ETは、非置換C〜C40アリールもしくは非置換C〜C40ヘテロアリール基、または置換C〜C40アリールもしくは置換C〜C40ヘテロアリール基であり、
上記置換基において、少なくとも1つの水素は、
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三アミノ基であって、上記C〜C60第三アミノ基の上記窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、またはC〜C30複素環基を形成したC〜C60第三アミノ基、
(iv)C〜C22シリル基、
(v)C〜C30アルキル基、
(vi)C〜C10アルキルシリル基、
(vii)C〜C22アリールシリル基、
(viii)C〜C30シクロアルキル基、
(ix)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(x)C〜C30アリール基、
(xi)C〜C30ヘテロアリール基、
(xii)C〜C20アルコキシ基、
(xiii)C〜C30過フルオロ−ヒドロカルビル基、
(xiv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xv)シアノ基、によって置換される。
【0057】
好ましくは、Rは水素、重水素、C〜C30アルキル基、C〜C30シクロアルキル基、C〜C30アリール基、またはC〜C30アルコキシ基から個別に選択される。
【0058】
さらなる実施形態によれば、第1電子伝達層は式(Ic)に記載の第1電子マトリクス化合物を含む。
【0059】
【化7】
ここで、式Icにおいて、
〜Rは独立した置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり、
a〜eは独立した0または1の整数であり、かつ4≦a+b+c+d+e≦5であって、
Lは単結合、置換または非置換C〜C30アリーレン基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリーレン基であり、
ETは、非置換C〜C40アリールもしくは非置換C〜C40ヘテロアリール基、または置換C〜C40アリールもしくは置換C〜C40ヘテロアリール基であり、
上記置換基において、少なくとも1つの水素は、
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三アミノ基であって、上記C〜C60第三アミノ基の上記窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、またはC〜C30複素環基を形成したC〜C60第三アミノ基、
(iv)C〜C22シリル基、
(v)C〜C30アルキル基、
(vi)C〜C10アルキルシリル基、
(vii)C〜C22アリールシリル基、
(viii)C〜C30シクロアルキル基、
(ix)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(x)C〜C30アリール基、
(xi)C〜C30ヘテロアリール基、
(xii)C〜C20アルコキシ基、
(xiii)C〜C30過フルオロ−ヒドロカルビル基、
(xiv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xv)シアノ基、によって置換される。
【0060】
さらなる実施形態によれば、第1電子伝達層は式(Ic)に記載の第1電子マトリクス化合物を含む。
【0061】
【化8】
ここで、式Icにおいて、
〜Rは独立した置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり、
a〜dは1であり、
eは0であり、
Lは単結合、置換または非置換C〜C30アリーレン基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリーレン基であり、
ETは、非置換C〜C40アリールもしくは非置換C〜C40ヘテロアリール基、または置換C〜C40アリールもしくは置換C〜C40ヘテロアリール基であり、
上記置換基において、少なくとも1つの水素は、
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三アミノ基であって、上記C〜C60第三アミノ基の上記窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、またはC〜C30複素環基を形成したC〜C60第三アミノ基、
(iv)C〜C22シリル基、
(v)C〜C30アルキル基、
(vi)C〜C10アルキルシリル基、
(vii)C〜C22アリールシリル基、
(viii)C〜C30シクロアルキル基、
(ix)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(x)C〜C30アリール基、
(xi)C〜C30ヘテロアリール基、
(xii)C〜C20アルコキシ基、
(xiii)C〜C30過フルオロ−ヒドロカルビル基、
(xiv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xv)シアノ基、によって置換される。
【0062】
さらなる実施形態によれば、上記置換基において、1つの水素原子は、
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三アミノ基であって、上記C〜C60第三アミノ基の上記窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、またはC〜C30複素環基を形成したC〜C60第三アミノ基、
(iv)C〜C22シリル基、
(v)C〜C30アルキル基、
(vi)C〜C10アルキルシリル基、
(vii)C〜C22アリールシリル基、
(viii)C〜C30シクロアルキル基、
(ix)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(x)C〜C30アリール基、
(xi)C〜C30ヘテロアリール基、
(xii)C〜C20アルコキシ基、
(xiii)C〜C30過フルオロ−ヒドロカルビル基、
(xiv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xv)シアノ基、によって置換される。
【0063】
好ましくは、R〜Rは置換または非置換C〜C18アリール基またはC〜C18ヘテロアリール基から個別に選択され、より好ましくは置換または非置換C〜C18アリール基から個別に選択される。好ましくは、R〜Rは置換されない。
【0064】
式Iの化合物がこの範囲内で選択され、特に、真空蒸着によって堆積された層である場合、特に良好なパフォーマンスを得ることができる。
【0065】
1つ以上の置換基は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから選択されてもよい。式Iの化合物がこの範囲から選択された場合、溶液によって処理された層において特に良好な性質が得られる。
【0066】
好ましくは、Lは単結合または非置換フェニルから選択される。
【0067】
さらなる実施形態によれば、ET基はC〜C30ヘテロアリール基であり、好ましくは、ETは式E1またはE2から選択される。
【0068】
【化9】
ここで、
Ar’およびAr”はC〜C18アリールから個別に選択され、好ましくは、C〜C12アリールから個別に選択される。
【0069】
好ましくは、ETは式E1から選択される。好ましくは、式Iの化合物は本質的に非発光性である。
【0070】
本明細書の文脈において、「本質的に非発光性」という用語は、その化合物または層の、デバイスからの可視発光スペクトルに対する寄与が、当該可視発光スペクトルに対して10%未満、好ましくは5%未満であることを意味する。可視発光スペクトルとは波長が約≧380nm〜約≦780nmの発光スペクトルである。
【0071】
本発明のさらなる態様によれば、第1電子伝達マトリクス化合物の還元電位は、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対するサイクリックボルタンメトリーによって同じ条件下で測定した場合、トリフェニルホスフィンオキシドについて得られた値ほどは負ではなく、テトラキス(キノキサリン−5−イルオキシ)ジルコニウムについて得られた値よりも負の値である。
【0072】
これらの条件下において、トリフェニルホスフィンオキシドの還元電位は約−3.06Vであり、テトラキス(キノキサリン−5−イルオキシ)ジルコニウムの還元電位は約−1.78Vである。
【0073】
本発明のさらなる態様によれば、第1電子伝達マトリクス化合物の還元電位は、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対するサイクリックボルタンメトリーによって同じ条件下で測定した場合、トリフェニルホスフィンオキシドについて得られた各値ほどは負ではなく、好ましくはビス(4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)−(フェニル)ホスフィンオキシドについて得られた各値ほどは負ではなく、より好ましくは3−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−5−(4−(t−ブチル)フェニル)−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾールについて得られた各値ほどは負ではなく、さらに好ましくはピレンについて得られた各値ほどは負ではなく、最も好ましくは2,7−ジ−ピレニル−9,9−スピロビフルオレンについて得られた各値ほどは負ではなく、また好ましくは4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンについて得られた各値ほどは負ではなく、また好ましくは2,4,7,9−テトラフェニル−1,10−フェナントロリンについて得られた各値ほどは負ではなく、また好ましくは7−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)ジベンゾ[c,h]アクリジンについて得られた各値ほどは負ではなく、また好ましくは2,4,6−トリフェニルトリアジンについて得られた各値ほどは負ではなく、さらに好ましくは2,4,6−トリ(ビフェニル−4−イル)−1,3,5−トリアジンについて得られた各値ほどは負の値ではない。
【0074】
本発明のさらなる態様によれば、第1電子伝達マトリクス化合物の還元電位は、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対するサイクリックボルタンメトリーによって同じ条件下で測定した場合、テトラキス(キノキサリン−5−イルオキシ)ジルコニウムについて得られた各値よりも負の値であってもよく、好ましくは4,4’−ビス(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,1’−ビフェニルについて得られた各値よりも負の値であってもよく、最も好ましくは2,4,6−トリ(ビフェニル−4−イル)−1,3,5−トリアジンについて得られた各値よりも負の値であってもよい。
【0075】
本発明のさらなる態様によれば、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対して測定した場合、第1電子マトリクス化合物の還元電位は−2.35Vほどは負ではなく−2.14Vよりも負であり、好ましくは−2.3Vほどは負ではなく−2.16Vよりも負であり、より好ましくは−2.25Vほどは負ではなく−2.16Vよりも負であってもよい。
【0076】
還元電位は、定電位装置Metrohm PGSTAT30およびソフトウェアMetrohm Autolab GPESを用いた室温でのサイクリックボルタンメトリーによって測定可能である。特定の化合物に与えられる還元電位は、被測定物質のアルゴン脱気した乾燥THF(0.1M)溶液中、アルゴン雰囲気下で、白金作用電極間の0.1Mヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム支持電解質およびAg/AgCl疑似標準電極(Metrohm社製の銀棒電極)を用いて、走査速度100mV/sで測定した。ここで、当該Ag/AgCl疑似標準電極は塩化銀に覆われた銀ワイヤからなり、測定溶液に直接含浸されている。最初の測定は、作用電極に設定される電位の最大範囲で行われ、以降の測定においてその範囲を適宜調整した。最後の3回の測定は、基準としてフェロセン(濃度0.1M)を添加して行った。対象化合物のカソードおよびアノードのピークに対応する電位の平均は、基準Fc/Fcレドックス対について測定されたカソードおよびアノードの電位の平均を差し引いた後、最終的に上述の報告された値をもたらした。報告された比較化合物だけでなく、すべての対象化合物も明確な可逆的電気化学性質を示した。
【0077】
式Iの化合物の双極子モーメントは、好ましくは、0デバイ以上2.3デバイ以下、好ましくは0.3デバイ以上2デバイ以下、また、好ましくは0.4デバイ以上2デバイ以下、また、好ましくは0.4デバイ以上0.8デバイ以下から選択されてもよい。式Iの化合物がこの範囲から選択された場合、特に良好なパフォーマンスが得られる。
【0078】
N個の原子を含む分子の双極子モーメント
【0079】
【数1】
は以下の式によって与えられる。
【0080】
【数2】
ここで、qiおよび
【0081】
【数3】
は、分子における原子iの部分電荷および位置である。
【0082】
双極子モーメントは、半経験的分子軌道法によって求められる。
【0083】
表2および3における値は以下に説明する方法によって計算されたものである。
【0084】
部分電荷および原子位置は、TURBOMOLE V6.5というプログラムパッケージにおいて実行される、def−SV(P)基底を用いたBeckeおよびPerdew(BP)のDFT汎関数、またはdef2−TZVP基底系を用いた混成汎関数B3LYPのいずれかを用いて求められ得る。1つ以上の配座が可能な場合、もっとも低い全エネルギーを有する配座を選択して双極子モーメントを求める。
【0085】
別の一態様によれば、式Iの化合物のガラス転移温度(Tg)は、125℃以下200℃以下の範囲から、好ましくは130℃以下180℃以下の範囲から選択されてもよい。
【0086】
ガラス転移温度は窒素雰囲気下で測定することができ、当該測定は示差走査熱量計Mettler Toledo DSC822eを用いて10K/分の加熱速度で行われる。当該測定については、DIN EN ISO11357(2010年3月公開)参照。
【0087】
以下の構造A1〜A11
【0088】
【化10】
を有する式Iの化合物が特に好ましい。
【0089】
〔第2電子マトリクス化合物〕
本発明のさらなる態様によれば、式(II)
A−W (II)
において、
Aは、式(IIIa)または式(IIIb)の群から選択されてもよく、
【0090】
【化11】
Wは、2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C16〜C48アリール基、および少なくとも2つ〜8つの芳香族環を含む置換または非置換C10〜C33ヘテロアリール基の少なくともいずれかから個別にから選択されてもよく、
上記置換基は、重水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アルコキシから選択され、
fは1または2であってもよく、好ましくは1である。
【0091】
好ましくは、Aは式(IIIa)から選択され得る。
【0092】
本発明のさらなる態様によれば、Wは、
2つ〜7つの芳香族環を含む置換もしくは非置換C16〜C42アリール基、または2つ〜7つの芳香族環を含む置換もしくは非置換C10〜C33ヘテロアリール基であってもよく、好ましくは2つ〜8つの芳香族環または2つ〜7つの芳香族環または3つ〜7つの芳香族環を含む非置換C12〜C42アリール基であってもよく、
または、2つ〜8つの芳香族環を含む置換もしくは非置換C12〜C33ヘテロアリール基、2つ〜7つの芳香族環を含み、1つ〜3つのヘテロ原子がNである非置換C12〜C33ヘテロアリール基、または3つ〜7つの芳香族環を含み、少なくとも1つ〜3つのヘテロ原子がNである非置換C18〜C33ヘテロアリール基であってもよい。
【0093】
本発明のさらなる態様によれば、Wは、ジアゾール、トリアゾール、アジン、ジアジン、またはトリアジンの有機環を少なくとも一つ含む置換または非置換C10〜C33ヘテロアリール基であってもよい。
【0094】
本発明のさらなる態様によれば、式(II)
A−W (II)
において、Aは、式(IIIa)または式(IIIb)の群から選択されてもよく、
【0095】
【化12】
Wは、式IVの群から個別に選択されてもよく、
−L−Ar (IV)
ここで、
Lは、フェニレン、ナフチレン、およびビフェニレンから選択され、
Arは、置換または非置換ナフチル、アントラニル、クリセニル、ピレニル、ベンズイミダゾリル、ピリジニル、アクリジニル、キノリニル、トリアジニルから選択され、
上記置換基は、重水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アルコキシから選択され、
fは1または2であり、好ましくは1であってもよい。
【0096】
本発明のさらなる態様によれば、式(II)
A−W (II)
において、
Aは、式(IIIa)または式(IIIb)の群から選択され、
【0097】
【化13】
Wは、式IVの群から個別に選択され、
−L−Ar (IV)
ここで、
Lは、フェニレンおよびビフェニレンから選択され、
Arは、置換または非置換ナフチル、アントラニル、クリセニル、ピレニル、ピリジニル、アクリジニル、キノリニル、から選択され、上記置換基は、重水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アルコキシから選択される。
【0098】
本発明のさらなる態様によれば、WはB1〜B55の群
【0099】
【化14】
から選択されてもよい。
【0100】
本発明のさらなる態様によれば、式IIのアクリジン誘導体は(D1)〜(D64)のマトリクス化合物の群
【0101】
【化15】
から選択されてもよい。
【0102】
式IIの化合物は、少なくとも4つ〜約15つの置換または非置換C〜C18アリール基を含み得、好ましくは少なくとも5つ〜8つの置換または非置換C〜C18アリール基を含み得る。式IIの化合物がこの範囲から選択された場合、特に良好なパフォーマンス特性が得られる。
【0103】
式IIの化合物の分子量(Mw)は、400g/mol以上850g/mol以下の範囲内、好ましくは450g/mol以上830g/mol以下の範囲内であってもよい。分子量がこの範囲内で選択される場合、特に、良好な長期安定性が認められる温度の真空下において、再現可能な蒸発および蒸着を行うことができる。
【0104】
好ましくは、式IIの化合物は本質的に非発光性であり得る。
【0105】
式IIの化合物の双極子モーメントは、好ましくは、0デバイ以上2.3デバイ以下、好ましくは0.8デバイ以上2.2デバイ以下、また、好ましくは1デバイ以上2.2デバイ以下、また、好ましくは1.5デバイ以上2.2デバイ以下から選択されてもよい。式IIの化合物がこの範囲から選択された場合、特に良好なパフォーマンスが得られる。
【0106】
好ましくは、第1電子伝達マトリクス化合物および第2電子伝達マトリクス化合物の少なくともいずれかの双極子モーメントは、0デバイ以上2.3デバイ以下であり得、好ましくは0.2デバイ以上2.2デバイ以下であり得る。
【0107】
別の一態様によれば、式IIの化合物の還元電位は、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対して−2.2Vよりも負であり−2.35Vほどは負ではなく、好ましくは−2.25Vよりも負であり−2.3Vほどは負ではない範囲から選択されてもよい。
【0108】
〔アルカリ金属塩およびアルカリ金属有機錯体〕
本発明のさらなる態様によれば、
上記アルカリ金属塩は、LiF、LiCl、LiBrまたはLiJを含む群から選択され、好ましくLiFから選択され、
上記アルカリ金属有機錯体は、リチウムキノリノラート、ホウ酸リチウム、リチウムフェノラート、リチウムピリジノラートを含む群から選択されるか、シッフ塩基配位子を有するリチウムを含み、
好ましくは、上記リチウムキノリノラート錯体は式IV、式V、または式VIを有し、
【0109】
【化16】
ここで、
〜AはCH、CR、N、Oから同一または個別に選択され、
Rは、水素、ハロゲン、アルキルまたはアリールまたはC〜C20ヘテロアリールから同一または個別に選択され、より好ましくは、A〜AはCHであり、
好ましくは、上記ホウ酸系の有機配位子はテトラ(1H−ピラゾール−1−イル)ホウ酸塩であり、
好ましくは、上記フェノラートは、2−(ピリジン−2−イル)フェノラート、2−(ジフェニルホスホリル)フェノラート、イミダゾールフェノラート、または2−(ピリジン−2−イル)フェノラートであり、より好ましくは2−(1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)フェノラートであり、
好ましくは、上記ピリジノラートは、2−(ジフェニルホスホリル)ピリジン−3−オラートであり、
好ましくは、上記リチウムシッフ塩基は構造100、101、102、または103
【0110】
【化17】
を有する。
【0111】
特に好ましいものは、リチウム有機錯体であってもよい。本発明において使われてもよいリチウム有機錯体について、以下の表1に要約する。
【0112】
【表1】
アルカリ金属塩およびアルカリ金属有機錯体は本質的に非発光性であってもよい。
【0113】
〔ETL層積層体〕
他の実施形態によれば、第1マトリクス化合物および第2マトリクス化合物として異なる化合物を選択してもよく、その場合、
第1電子伝達層は化学式(I)の第1マトリクス化合物からなり、
第2電子伝達層は化学式(II)の第2マトリクス化合物およびアルカリ金属塩またはアルカリ金属有機錯体からなる。
【0114】
第2電子伝達層は金属、遷移金属有機錯体、および有機nドーパントを有さない。
【0115】
好ましくは、第1電子伝達層および第2電子伝達層は、本質的に非発光性であってもよい。
【0116】
他の実施形態によれば、第1電子伝達層は、発光層と直接接触してもよい。
【0117】
他の実施形態によれば、第1電子伝達層は、第2電子伝達層と直接接触してもよい。
【0118】
他の実施形態によれば、第1電子伝達層は、発光層と第2電子伝達層との間に接触しながら挟まれてもよい。
【0119】
他の実施形態によれば、第2電子伝達層は、電子注入層と直接接触してもよい。
【0120】
他の実施形態によれば、第2電子伝達層は、第1電子伝達層と電子注入層との間に接触しながら挟まれてもよい。
【0121】
他の実施形態によれば、第2電子伝達層は、カソード電極と直接接触してもよい。
【0122】
他の実施形態によれば、第2電子伝達層は、第1電子伝達層とカソード層との間に接触しながら挟まれてもよい。
【0123】
他の実施形態によれば、第1電子伝達層が発光層と第2電子伝達層との間に接触しながら挟まれ、第2電子伝達層が第1電子伝達層と電子注入層との間に接触しながら挟まれてもよい。
【0124】
本発明の別の一態様による電子デバイスは有機発光ダイオードを少なくとも1つ備え、好ましくは、電子デバイスは表示装置である。
【0125】
本発明の別の一態様によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子(300または400)はOLEDであってもよい。
【0126】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、請求項1に記載の、第1電子伝達層と第2電子伝達層とを含むことによって、低い駆動電圧、高効率、高輝度、および長寿命を実現し得る。
【0127】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、一実施形態に係る有機発光ダイオードを示す断面図である。
【0128】
図2は、一実施形態に係る有機発光ダイオードの有機層の一部を具体的に示す断面図である。
【0129】
図3および図4は、一実施形態に係る有機発光ダイオードの有機層の一部を具体的に示す断面図である。
【0130】
以下、図面について、実施例に基づきより詳細に説明する。しかしながら、本開示は以下の図面に限定されない。
【0131】
図1図4は、本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオード100、200、300、および400を概略的に示す断面図である。以下、図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオードの構造、および当該有機発光ダイオードの製造方法を説明する。有機発光ダイオード100は、カソード110、正孔伝達領域(任意)を含む有機層105、発光層130、およびアノード150が順に積層した構造を有している。
【0132】
基板をカソード100の下、またはアノード150上にさらに配置してもよい。基板は、一般的な有機発光ダイオードに使用される通常の基板であってもよく、優れた機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取扱い性、および耐水性を有する、ガラス基板または透明プラスチック基板であってもよい。
【0133】
アノード150は、基板上にアノード材料を蒸着するかまたはスパッタリングすることによって形成されてもよい。アノード材料は、正孔注入を容易にする高い仕事関数を有する材料から選択することができる。アノード150は、反射電極、半透過電極、または透過電極であってもよい。アノード材料としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、等を用いてもよい。または、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、またはマグネシウム−銀(Mg−Ag)等の金属であってもよい。
【0134】
アノード150は、単層構造または2層以上の多層構造を有してもよい。
【0135】
本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオード100、200、300、および400は、正孔伝達領域、発光層120、および式Iに記載の化合物を含む第1電子伝達層135を備えてもよい。
【0136】
例えば図2に参照して、本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオードを説明する。本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオード100、200、300、および400は、アノード120と発光層130との間に正孔補助層140をさらに備えてもよい。
【0137】
図3に参照すると、正孔伝達領域105は、少なくとも2層の正孔補助層を備えてもよい。この場合、2層の電子伝達層(具体的に、第1電子伝達層35および第2電子伝達層34)と同様に、発光層に接触する正孔補助層を電子ブロッキング層33と定義し、アノードに接触する正孔補助層を正孔伝達層31と定義する。正孔伝達領域は、正孔注入層、正孔伝達層、電子ブロッキング層、および緩衝層のうち少なくとも1つを備えてもよい。
【0138】
正孔伝達領域は、正孔注入層または正孔伝達層のいずれかのみを含んでいてもよい。または、正孔伝達領域は、正孔注入層37/正孔伝達層31もしくは正孔注入層37/正孔伝達層31/電子ブロッキング層がアノード120から順に積層されている構造を有してもよい。
【0139】
例えば、正孔注入層37および電子注入層36をさらに備えて、その場合、図4に示すように、アノード120/正孔注入層37/正孔伝達層31/電子ブロッキング層33/発光層130/第1電子伝達層135/第2電子伝達層34/電子注入層37/アノード110が順に積層されている。
【0140】
本発明の別の一態様によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子(400)は、アノード(150)、正孔注入層(37)、正孔伝達層(31)、任意の電子ブロッキング層(33)、発光層(130)、第1電子伝達層(135)、第2電子伝達層(34)、任意の電子注入層(34)、カソード(110)を備え、これらの層はこの順番で配置されている。
【0141】
正孔注入層37は、アノードとしてのITOと正孔伝達層31に用いられる有機材料との間の界面特性を向上させることができる。また、正孔注入層37を非平坦なITO上に適用することで、ITOの表面が平坦になる。正孔注入層37は、アノードとしてのITOの仕事関数と正孔伝達層31のHOMOの仕事関数との間の差を調節するために、ITOの仕事関数と正孔伝達層31のHOMOの仕事関数との間の中央値を有する材料、特に望ましい伝導性を有する材料を含んでもよい。
【0142】
正孔伝達領域が正孔注入層37を備えている場合、正孔注入層は、例えば、真空蒸着、スピンコーティング、鋳造、およびラングミュア・ブロジェット法(Langmuir Blodgett,LB)等の様々な方法のいずれかによって、アノード150上に形成されてもよい。
【0143】
正孔注入層が真空蒸着を用いて形成される場合、真空蒸着条件は、正孔注入層の形成に使用される材料、目的の構造、および形成される正孔注入層の熱特性によって異なり得る。例えば、真空蒸着は、約100℃〜約500℃の温度、約10−8torr〜約10−3torrの圧力、および約0.01〜約100Å/secの蒸着速度で行われてもよい。しかしながら、蒸着条件はこれらに限定されない。
【0144】
正孔注入層がスピンコーティングを用いて形成される場合、コーティング条件は、正孔注入層の形成に使用される材料、目的の構造、および形成される正孔注入層の熱特性によって異なり得る。例えば、コーティング速度は約2000rpm〜約5000rpmの範囲内であってもよく、コーティング後に溶媒を除去するために行われる熱処理の温度は約80℃〜約200℃の範囲内であってもよいが、コーティング条件はこれらに限定されない。
【0145】
正孔伝達層および電子ブロッキング層を形成する条件は、上述した正孔注入層の形成条件に基づいて定められてもよい。
【0146】
正孔伝達領域の厚さは約100Å〜約10000Åであってもよく、例えば、約100Å〜約1000Åであってもよい。正孔伝達領域が正孔注入層および正孔伝達層を備える場合、正孔注入層の厚さは約100Å〜約10,000Å、例えば約100Å〜約1000Åであってもよく、正孔伝達層の厚さは約50Å〜約2,000Å、例えば、約100nm〜約1500Åであってもよい。正孔伝達領域、HIL、およびHTLの厚さがこれらの範囲内である場合、駆動電圧を実質的に上昇させることなく、十分な正孔伝達特性を得ることができる。
【0147】
正孔伝達領域は、上述した材料に加えて、伝導性を向上させるために電荷生成材料をさらに含んでもよい。電荷生成材料は、正孔伝達領域中に均一にまたは不均一に分散していてもよい。
【0148】
電荷生成材料は、例えば、pドーパントであってもよい。pドーパントはキニン誘導体、金属酸化物、およびシアノ基含有化合物のうちの1つであってもよいが、これらに限定されない。pドーパントの例としては、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)、2,3,5,6−テトラフルオロ−テトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4−TCNQ)等のキノン誘導体、タングステン酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物、および下記化合物HT−D1等のシアノ含有化合物、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0149】
【化18】
正孔伝達領域はさらに緩衝層を含んでもよい。
【0150】
緩衝層はEMLから発せられた光の波長に応じて当該光の光学共鳴距離を補うことが可能であり、これによって効率を向上させることができる。
【0151】
発光層(EML)は、真空蒸着、スピンコーティング、鋳造、またはLB法等を用いて正孔伝達領域上に形成されてもよい。発光層が真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合、蒸着およびコーティングの条件は発光層の形成に使用される材料によって異なり得るが、蒸着およびコーティングの条件は正孔注入層の形成条件と同様であってもよい。発光層はエミッターホスト(EMLホスト)およびドーパントを含んでもよい。
【0152】
ドーパントは、赤色ドーパント、緑色ドーパント、または青色ドーパントであってもよい。
【0153】
好ましくは、エミッターホストは下記式400
【0154】
【化19】
に示すアントラセンマトリクス化合物である。
【0155】
式400において、Ar111およびAr112のそれぞれは独立した置換または非置換C〜C60アリーレン基であってもよく、Ar113〜Ar116のそれぞれは独立した置換もしくは非置換C〜C10アルキル基または置換もしくは非置換C〜C60アリール基であってもよく、g、h、i、およびjのそれぞれは独立した0〜4の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、式400中のAr111およびAr112のそれぞれはフェニレン基、ナフチレン基、フェナントレニレン基、またはピレニレン基の独立したものであってもよく、それぞれがフェニル基、ナフチル基、またはアントリル基の少なくとも1つに置換されたフェニレン基、ナフチレン基、フェナントレニレン基、フルオレニル基、またはピレニレン基であってもよい。
【0156】
式400において、g、h、i、およびjのそれぞれは独立した0、1、または2の整数であってもよい。
【0157】
式400において、Ar113〜Ar116のそれぞれは独立した、
フェニル基、ナフチル基、またはアントリル基の少なくとも1つに置換されたC〜C10アルキル基、
フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基、またはフルオレニル基、
フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基、または、
それぞれが、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、またはそれらの塩の少なくとも1つに置換されたフルオレニル基、
スルホン酸基またはその塩、
リン酸基またはその塩、
〜C60アルキル基、C〜C60アルケニル基、C〜C60アルキニル基、C〜C60アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基、または
フルオレニル基、
【0158】
【化20】
または式(Y2)または式(Y3)
【0159】
【化21】
のうちの1つであってもよい。
【0160】
式(Y2)および式(Y3)中、Xは酸素原子および硫黄原子から選択されるが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。
【0161】
式(Y2)において、R11〜R14の何れか1つはAr111との結合に使用される。Ar111との結合に使用されないR11〜R14およびR15〜R20は、R〜Rと同じである。
【0162】
式(Y3)において、R21〜R24の何れか1つはAr111との結合に使用される。Ar111との結合に使用されないR21〜R24およびR25〜R30は、R〜Rと同じである。
【0163】
好ましくは、EMLホストはN、O、またはSからなる群から選択された1個〜3個のヘテロ原子を含む。より好ましくは、EMLホストはSまたはOから選択された1個のヘテロ原子を含む。
【0164】
EMLホストの双極子モーメントは、0.2デバイ以上1.45デバイ以下、好ましくは0.4デバイ以上1.2デバイ以下、また、好ましくは0.6デバイ以上1.1デバイ以下が選択され得る。
【0165】
双極子モーメントは、TURBOMOLE V6.5というプログラムパッケージにおいて、6−31G*基底系を用いて最適化された混成汎関数B3LYPの計算を実行することで計算される。複数の配座が可能な場合、もっとも低い全エネルギーを有する配座を選択して分子の双極子モーメントを求める。この方法を用いると、2−(10−フェニル−9−アントラセニル)−ベンゾ[b]ナフト[2,3−d]フラン(CAS1627916−48−6)の双極子モーメントは0.88デバイであり、2−(6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イル)ジベンゾ[b,d]チオフェン(CAS1838604−62−8)の双極子モーメントは0.89デバイであり、2−(6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イル)ジベンゾ[b,d]フラン(CAS1842354−89−5)の双極子モーメントは0.69デバイであり、2−(7−(フェナントレン−9−イル)テトラフェン−12−イル)ジベンゾ[b,d]フラン(CAS1965338−95−7)の双極子モーメントは0.64デバイであり、4−(4−(7−(ナフタレン−1−イル)テトラフェン−12−イル)フェニル)ジベンゾ[b,d]フラン(CAS1965338−96−8)の双極子モーメントは1.01デバイである。
【0166】
本発明のさらなる態様によれば、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対するサイクリックボルタンメトリーによって同じ条件下で測定した場合、エミッターホストの各還元電位は7−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)ジベンゾ[c,h]アクリジンについて得られた各値よりも負の値であり、好ましくは9,9’,10,10’−テトラフェニル−2,2’−ビアントラセンについて得られた各値よりも負の値であり、より好ましくは2,9−ジ([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンについて得られた各値よりも負の値であり、さらに好ましくは2,4,7,9−テトラフェニル−1,10−フェナントロリンについて得られた各値よりも負の値であり、さらに好ましくは9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)−2−フェニルアントラセンについて得られた各値よりも負の値であり、さらに好ましくは2,9−ビス(2−メトキシフェニル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンについて得られた各値よりも負の値であり、最も好ましくは9,9’−スピロビ[フルオレン]−2,7−ジイルビス(ジフェニルホスフィンオキシド)について得られた各値よりも負の値である。
【0167】
ドーパントは発光を起こすために少量混合され、一般的には、三重項以上への多重励起によって発光する金属錯体等の物質であり得る。ドーパントは、例えば、無機化合物、有機化合物、または有機/無機化合物であってもよく、それらの1つ以上が使用されてもよい。
【0168】
ドーパントは蛍光性ドーパント(例えばt−フルオレン)であってもよく、その構造を下記に示す。青色蛍光性ドーパントの例としては、4,4’−ビス(4−ジフェニルアミオスチリル)ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(TBPe)、および下記の化合物4が挙げられる。
【0169】
【化22】
別の一態様によれば、式IIの化合物を含む有機半導体層が青色蛍光発光層およびカソード電極の間に配置される。
【0170】
ドーパントは燐光性ドーパントであってもよい。燐光性ドーパントの例としては、Ir、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、またはそれらの組み合わせを含む有機金属化合物が挙げられる。燐光性ドーパントは、例えば、化学式Zに表す化合物であってもよいが、これに限定されない。
MX (Z)
化学式Z中、Mは金属であり、LおよびXは、Mと錯体化合物を形成する同一のまたは異なる配位子である。
【0171】
Mは、例えば、Ir、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、またはそれらの組み合わせであってもよく、LおよびXは、例えば、二座配位子であってもよい。
【0172】
発光層の厚さは約100Å〜約1000Åであってもよく、例えば、約200Å〜約600Åであってもよい。発光層の厚さがこれらの範囲内である場合、駆動電圧を実質的に上昇させることなく、発光層の発光特性を向上させることができる。
【0173】
次に、電子伝達領域は、発光層上に形成される。
【0174】
電子伝達領域は、第1電子伝達層、電子伝達層、および電子注入層のうち少なくとも1つを備えてもよい。
【0175】
例えば、電子伝達領域は、第1電子伝達層/電子伝達層/電子注入層または電子伝達層/電子注入層という構造を有してもよいが、これに限定されない。例えば、本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオードは電子伝達領域に少なくとも2層の電子伝達層を含み、この場合、発光層に接触する電子伝達層を第1電子伝達層135と定義する。
【0176】
電子伝達層は、単層構造または2つ以上の異なる材料を含む多層構造を有してもよい。
【0177】
電子伝達領域における第1電子伝達層135、第2電子伝達層34、および電子注入層36の形成条件としては、正孔注入層の形成条件が適用される。
【0178】
第1電子伝達層の厚さは約20Å〜約1000Åであってもよく、例えば、約30Å〜約300Åであってもよい。第1電子伝達層の厚さがこれらの範囲内である場合、駆動電圧を実質的に上昇させることなく、第1電子伝達層の電子伝達補助能力を向上させることができる。
【0179】
第2電子伝達層の厚さは約100Å〜約1000Åであってもよく、例えば、約150Å〜約500Åであってもよい。電子伝達層の厚さがこれらの範囲内である場合、駆動電圧を実質的に上昇させることなく、電子伝達層は十分な電子伝達能力を有することができる。
【0180】
本発明の別の一態様によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子は第2電子伝達層およびカソードの間にさらに電子注入層を含む。
【0181】
電子注入層(EIL)36はアノード110からの電子の注入を促進することができる。
【0182】
本発明の別の一態様によれば、電子注入層36は、
(i)実質的に元素形態であるアルカリ金属、アルカリ土類金属、および希土類金属から選択される電気陽性金属、好ましくはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Eu、およびYb、より好ましくはLi、Na、Mg、Ca、Sr、およびYb、さらに好ましくはLiおよびYb、最も好ましくはYbから選択される電気陽性金属、および
(ii)アルカリ金属錯体およびアルカリ金属塩の少なくともいずれか、好ましくはLi錯体および塩の少なくともいずれか、より好ましくはLiキノリノラート、さらに好ましくはリチウム8−ヒドロキシキノリノラート、最も好ましくは第2電子伝達層のアルカリ金属塩および錯体の少なくともいずれかであって注入層のアルカリ金属塩および錯体の少なくともいずれかと同一であるアルカリ金属錯体およびアルカリ金属塩、とを含む。
【0183】
電子注入層は、LiF、NaCl、CsF、LiO、およびBaOから選択された少なくとも1つを含んでもよい。
【0184】
好ましくは、第2電子伝達層におけるアルカリ金属塩またはアルカリ金属有機錯体と、電子注入層におけるアルカリ金属塩またはアルカリ金属有機錯体とは、同一となるように選択される。
【0185】
EILの厚さは約1Å〜約100Åであってもよく、または約3Å〜約90Åであってもよい。電子注入層の厚さがこれらの範囲内である場合、駆動電圧を実質的に上昇させることなく、電子注入層は十分な電子注入能力を有することができる。
【0186】
アノード150の材料としては、仕事関数の低い金属、合金、もしくは導電性化合物であってもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。アノード150の材料の具体例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)、等が挙げられる。トップエミッション型発光デバイスを製造するために、アノード150は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透過電極として形成されてもよい。
【0187】
本発明の別の一態様による製造方法は、有機エレクトロルミネッセンス素子(400)の製造方法であって、
アノード上に、正孔注入層(37)、正孔伝達層(31)、任意の正孔伝達補助層(33)、発光層(130)、第1電子伝達層(135)、第2電子伝達層(34)、電子注入層(36)、およびカソード(110)をこの順番で堆積する、
または、上記の層を、上記カソード(110)から始め、逆の順番で堆積する、製造方法である。
【0188】
以下、実施形態について、実施例に基づきより詳細に説明する。しかしながら、本開示は以下の実施例に限定されない。
【0189】
〔詳細な説明〕
式Iの化合物の合成および物性
式Iの化合物は、PCT−KR2015−012551に記載の方法によって合成することができる。
【0190】
式Iの化合物の物性を表2にまとめる。
【0191】
式IIの化合物の合成および物性
式IIの化合物は、WO2011154131A1に記載の方法によって合成することができる。
【0192】
式IIの化合物の物性を表3にまとめる。
【0193】
〔OLED製作の一般的手順〕
トップエミッション型デバイスについて、表4における実施例1〜15および比較例1は、第1電極を設けるために、ガラス基板を50mm×50mm×0.7mmの大きさに切り、イソプロピルアルコールで5分間超音波洗浄した後、純水で5分間超音波洗浄し、その後UVオゾンで30分間清浄した。アノードとして、100nmのAgを10−5mbar〜10−7mbarの圧力で蒸着させた。
【0194】
その後、92重量%のビフェニル−4−イル(9,9−ジフェニル−9H−フルオレン−2−イル)−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−アミン(CAS1242056−42−3)および8重量%の2,2’,2’’−(シクロプロパン−1,2,3−トリイリデン)トリス(2−(p−シアノテトラフルオロフェニル)アセトニトリル)をITO電極に真空蒸着させて、10nmの厚さを有するHILを形成した。その後、ビフェニル−4−イル(9,9−ジフェニル−9H−フルオレン−2−イル)−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−アミンをHILに真空蒸着させて、122nmの厚さを有するHTLを形成した。
【0195】
その後、N,N−ビス(4−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)フェニル)−[1,1’:4’,1’’−テルフェニル]−4−アミン(CAS1198399−61−9)をHTLに真空蒸着させて、5nmの厚さを有する電子ブロッキング層(EBL)を形成した。
【0196】
その後、EMLホストとしての、97重量%の2−(10−フェニル−9−アントラセニル)−ベンゾ[b]ナフト[2,3−d]フラン(CAS1627916−48−6)および3重量%の青色ドーパントをHTLに蒸着させて、20nmの厚さを有する青色発光EMLを形成した。実施例1〜15および比較例1において、青色蛍光性ドーパントとしてNUBD370(Sun Fine Chemicals製)を用いた。
【0197】
その後、第1電子伝達層135を設ける場合、2,4−ジフェニル−6−(4’,5’,6’−トリフェニル−[1,1’:2’,1’’:3’’,1’’’:3’’’,1’’’’−キンキフェニル]−3’’’’−イル)−1,3,5−トリアジンを、実施例1〜15(表4)に係る発光層に蒸着させて、5nmの厚さを有する第1電子伝達層135を堆積する。
【0198】
その後、電子伝達層34を、比較例1(表4)に係る発光層、または実施例1〜15に係る第1電子伝達層に、直接堆積する。電子伝達層が発光層と直接接触している場合、厚さは36nmである。電子伝達層が第1電子伝達層上に堆積されている場合、厚さは31nmである。
【0199】
電子伝達層は50重量%のマトリクス化合物と、50重量%のLiQとを含む。
【0200】
組成を表4に示す。
【0201】
その後、厚さが1.5nmのLiQ、または厚さが2nmのYbを蒸着させて、電子伝達層34の上に電子注入層36を堆積する(表4を参照)。
【0202】
カソードを、10−7mbarの超高真空で蒸発させた。したがって、5nm〜1000nmの厚さを有する均一のカソードを得るために、一種以上の金属を、0.1nm/s〜10nm/s(0.01Å/s〜1Å/s)の速度で、単一の同時熱蒸着させた。カソードは、13nmのマグネシウム銀合金(90:10体積%)または11nmのAgから形成した(表4を参照)。
【0203】
ビフェニル−4−イル(9,9−ジフェニル−9H−フルオレン−2−イル)−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−アミンのキャップ層をカソードに形成した。MgAgカソードの場合、キャップ層の厚さは60nmであり、Agカソードの場合、キャップ層の厚さは75nmであった。
【0204】
OLED積層体は、ガラススライドを用いてデバイスを密閉することにより、周囲環境から保護されている。これにより、さらなる保護のためのゲッター物質を含んだ空洞が形成される。
【0205】
先行技術と比較した本発明の実施例のパフォーマンスを判定するために、周囲条件下(20℃)における電流効率を測定する。Keithley2400ソースメータを用いて電流電圧の測定を行い、Vとして記録する。トップエミッション型デバイスについて、10mA/cmにおけるCIE座標および輝度(単位:カンデラ)を、Instrument Systems製の較正済み分光計CAS140を用いて測定する。デバイスの寿命LTを、Keithley2400ソースメータを用いて、周囲条件(20℃)および10mA/cmで測定し、時間単位で記録する。デバイスの輝度は較正済みフォトダイオードを用いて測定する。寿命LTは、デバイスの輝度がその初期値の97%まで減少するまでの時間として定義する。
【0206】
トップエミッション型デバイスについては、10mA/cmにおける光出力の外部効率EQEおよび出力効率(lm/W効率)を判定する。
【0207】
効率EQEを%単位で判定するために、デバイスの光出力を較正済みフォトダイオードを用いて測定する。
【0208】
出力効率をlm/W単位で判定するために、第1ステップにおいて、Deutsche Akkreditierungsstelle(DAkkS)によって較正済みのアレイ分光計CAS140CT(Instrument Systems製)を用いて1平方メートルあたりのカンデラ(cd/m)を単位とした輝度を測定する。その後、第2ステップにおいて、輝度にπを乗算し、電圧および電流密度で除算する。
【0209】
ボトムエミッション型デバイスにおいて、発光は主にランバート反射によるものであり、外部量子効率(EQE)のパーセンテージとして定量化され、出力効率の単位はlm/Wである。
【0210】
トップエミッション型デバイスにおいて、発光は前方に向けられ、非ランバート反射によるものであり、また、微小空洞に大きく依存する。したがって、外部量子効率(EQE)および出力効率(lm/W)は、ボトムエミッション型デバイスと比べて高い。
【0211】
〔発明の技術的効果〕
〔トップエミッション型デバイス〕
表4に参照して、実施例1〜15に係る有機発光ダイオードは、比較例1に係る有機発光ダイオードに比較して、向上した輝度効率および寿命特性の少なくともいずれかを同時に示した。
【0212】
比較例1において、第1マトリクス化合物を含む第1電子伝達層(ETL)は設けられていない。式IIの第2マトリクス化合物とアルカリ金属有機錯体LiQとを含む電子伝達層は発光層と直接接触している。動作電圧は3.51Vであり、効率は6.6cd/Aであり、寿命は52時間である。
【0213】
実施例1において、発光層と第2電子伝達層との間に第1電子伝達層が配置されている。第1電子伝達層はETM1−2からなる。
【0214】
ETM1−2は、ガラス転移温度が139℃であり、還元電位が−2.18Vであり、双極子モーメントが0.3デバイである。第2電子伝達層の組成は、比較例における組成と同様である。動作電圧は3.27Vに低減され、効率は7.8cd/Aに著しく向上され、寿命は40時間である。
【0215】
実施例2〜9において、式IIの様々な化合物を試験した。cd/A効率は比較例1に比較して著しく向上した。
【0216】
実施例10〜14において、異なる電子注入層およびカソードを用いて、式IIの様々な化合物を試験した。LiQの代わりにYbを用い、Mg:Ag合金の代わりにAgを用いた。cd/A効率は比較例1に比較して著しく向上した。
【0217】
実施例15において、式IIの化合物であって、A=式(IIIb)のものを試験した。cd/A効率は比較例1に比較して著しく向上した。
【0218】
要約すると、電子伝達層において式IIの化合物を用いた場合、大きく向上したcd/A効率を得られた。
【0219】
【表2】
【0220】
【表3】
【0221】
【表4】
本発明は、実用的な実施形態の例として現在考えられるものと関連させて説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、反対に、付随する請求項の技術思想および範囲内に含まれる様々な変更および同等の構成を包含するものとして理解されるべきである。したがって、上述の実施形態は例示的なものであって、本発明を一切限定するものではないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0222】
図1】一実施形態に係る有機発光ダイオードを示す断面図である。
図2】一実施形態に係る有機発光ダイオードの有機層の一部を具体的に示す断面図である。
図3】一実施形態に係る有機発光ダイオードの有機層の一部を具体的に示す断面図である。
図4】一実施形態に係る有機発光ダイオードの有機層の一部を具体的に示す断面図である。
図1
図2
図3
図4