特許第6986494号(P6986494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986494
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/514 20060101AFI20211213BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20211213BHJP
   A61F 13/515 20060101ALI20211213BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20211213BHJP
   A61F 13/533 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   A61F13/514 400
   A61F13/494 100
   A61F13/514 310
   A61F13/515
   A61F13/532 200
   A61F13/533
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-116348(P2018-116348)
(22)【出願日】2018年6月19日
(65)【公開番号】特開2019-216957(P2019-216957A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2020年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】小澤特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】宮前 直夢
(72)【発明者】
【氏名】島津 健
(72)【発明者】
【氏名】中尾 瞳
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 泰一
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−532508(JP,A)
【文献】 特開2013−176509(JP,A)
【文献】 特開2011−130799(JP,A)
【文献】 特開2011−152209(JP,A)
【文献】 特開2017−51294(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/084239(WO,A1)
【文献】 特開2011−177310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する前後方向及び幅方向と、
前記前後方向の中央を含む股下域、前記股下域よりも前側に位置する前側域及び前記股下域よりも後側に位置する後側域と、
少なくとも前記股下域及び前記前側域に配置された吸収コアと、
前記吸収コアの非肌対向側に位置する非肌面シートと、を有する吸収性物品であって、
前記吸収コアには、前記股下域において前記前後方向に延びる一対のサイドスリットと、前記サイドスリットの前端縁に連なり、かつ前記前側域において前記前側に向かって前記幅方向の外側に延び、着用者のそけい部に合わせる一対の補助スリットと、が設けられており、
前記補助スリット及び前記サイドスリットは、前記吸収性物品の肌面側及び前記吸収性物品の非肌面側から視認可能であり、
前記非肌面シートは、前記吸収性物品の非肌面側から視認可能な印刷部を有し、
前記印刷部は、前記補助スリットの外側縁に重なる第1印刷部と、前記サイドスリットの外側縁に重なる第2印刷部と、を有し、
前記第1印刷部は、前記補助スリットの外側縁に重なり、かつ前記前後方向に延びる領域のみに設けられ、
前記第2印刷部は、前記サイドスリットの外側縁に重なり、かつ前記前後方向に延びる領域のみに設けられている、吸収性物品。
【請求項2】
互いに直交する前後方向及び幅方向と、
前記前後方向の中央を含む股下域、前記股下域よりも前側に位置する前側域及び前記股下域よりも後側に位置する後側域と、
少なくとも前記股下域及び前記前側域に配置された吸収コアと、
前記吸収コアの非肌対向側に位置する非肌面シートと、を有する吸収性物品であって、
前記吸収コアには、前記股下域において前記前後方向に延びる一対のサイドスリットと、前記サイドスリットの前端縁に連なり、かつ前記前側域において前記前側に向かって前記幅方向の外側に延び、着用者のそけい部に合わせる一対の補助スリットと、が設けられており、
前記補助スリット及び前記サイドスリットは、前記吸収性物品の肌面側及び前記吸収性物品の非肌面側から視認可能であり、
前記補助スリットの前記幅方向の長さは、前記サイドスリットの前記幅方向の長さに対する1/2以下である、吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収コアは、前記吸収コアの最大幅よりも前記幅方向の長さが短いくびれ部を有し、
前記補助スリットの前端縁は、前記くびれ部よりも前側に位置し、
前記補助スリットの後端縁、前記サイドスリットの前端縁、及び前記サイドスリットの後端縁は、前記前後方向において前記くびれ部が配置された領域に位置する、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記サイドスリットは、前記前後方向に沿っており、
前記前記サイドスリットの前端縁及び後端縁は、前記股下域に位置する、請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記幅方向において前記サイドスリットの間に位置し、かつ前記前後方向に延びる中央スリットを有しており、
前記サイドスリットの後端縁は、前記中央スリットの後端縁よりも前側に位置する、請求項1から請求項4のいずれかい1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収性物品は、前記吸収コアの肌面側に位置する肌面シートと、前記吸収コアの非肌対向側に位置する非肌面シートと、を有し、
前記肌面シートと前記非肌面シートは、前記補助スリットと重なる領域で接合されている、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収コアには、前記補助スリットの内側縁に隣接する領域と、前記補助スリットの外側縁に隣接する領域のいずれかにおいて、少なくとも前記吸収コアを厚さ方向に圧縮したプレス部が形成されている、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品は、前記吸収コアの非肌対向側に位置する非肌面シートを有し、
前記非肌面シートは、前記吸収性物品の非肌面を構成する外装シートを有し、
前記外装シートは、エンボス部が形成されており、
前記エンボス部は、前記補助スリットに重なる領域に配置されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつのような吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、おむつにおける位置を示す目印部を有する吸収性物品が開示されている。特許文献1の目印部は、吸収体と最外シートの間に位置する嵩高部材によって構成されている。装着補助者は、嵩高部材を目印とすることによって、おむつ中心線と身体の中心線を合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−86660号公報
【発明の概要】
【0004】
特許文献1の吸収性物品を装着する際は、着用者のへそに嵩高部材を合わせることができる。しかし、吸収性物品を装着する際に着用者の衣服によってへそが隠れ、吸収性物品の位置合わせができないことがあった。また、一般的に、寝た状態の大人の着用者に吸収性物品を装着する際には、装着補助者は、着用者の正面側に位置せずに着用者の側面側に位置した状態で、着用者に吸収性物品を装着する。装着補助者が着用者の側面側に位置した状態では、着用者のへそを視認し難く、吸収性物品の位置合わせを行い難いことがあった。よって、着用者に対して吸収性物品を適切な位置に合わせることができないことがあった。
【0005】
また、着用者の側面側に位置した装着補助者がテープ型の吸収性物品を装着する際は、例えば、着用者の身体の下に後胴回り域を敷いた状態で前胴回り域によって着用者の腹部を覆い、次いで、後胴回り域において幅方向の外側に位置するファスンニングテープを幅方向の外側に引っ張って、当該ファスニングテープを前胴回り域に止着する。このとき、装着補助者がファスニングテープを幅方向の外側に引っ張ることにより、吸収性物品の幅方向の位置がずれることがある。装着補助者が吸収性物品の幅方向のずれを直そうとしても、吸収性物品によってへそが隠れ、着用者のへそに対する位置合わせを行い難いことがあった。よって、着用者に対して吸収性物品を適切な位置に合わせることができないことがあった。
【0006】
よって、着用者に対して吸収性物品を適切な位置に合わせることができる吸収性物品が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する前後方向及び幅方向と、前記前後方向の中央を含む股下域、前記股下域よりも前側に位置する前側域及び前記股下域よりも後側に位置する後側域と、少なくとも前記股下域及び前記前側域に配置された吸収コアと、を有する吸収性物品であって、前記吸収コアには、前記前側域において前記前側に向かって前記幅方向の外側に延び、着用者のそけい部に合わせる一対の前目印部が設けられており、前記前目印部は、前記吸収性物品の肌面側及び吸収性物品の非肌面側から視認可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る吸収性物品を肌面側から見た平面図である。
図2】実施形態に係る吸収性物品を非肌面側から見た平面図である。
図3】実施の形態に係る吸収コアを肌面側から見た平面図である。
図4図1に示すA−A線に沿った断面図である。
図5図1に示すB−B線に沿った断面における吸収体の変形態様を示す図である。
図6】着用者に装着された状態の吸収性物品を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する前後方向及び幅方向と、前記前後方向の中央を含む股下域、前記股下域よりも前側に位置する前側域及び前記股下域よりも後側に位置する後側域と、少なくとも前記股下域及び前記前側域に配置された吸収コアと、を有する吸収性物品であって、前記吸収コアには、前記前側域において前記前側に向かって前記幅方向の外側に延び、着用者のそけい部に合わせる一対の前目印部が設けられており、前記前目印部は、前記吸収性物品の肌面側及び吸収性物品の非肌面側から視認可能である。
【0010】
本態様によれば、前側域の吸収コアには、吸収性物品の肌面側及び吸収性物品の非肌面側から視認可能な前目印部が設けられている。前目印部は、前側に向かって幅方向の外側に延びており、そけい部に沿うように配置される。そけい部は、衣服や装着中の吸収性物品によって隠れ難く、着用者の側部側に位置する装着補助者から見やすい。着用者のそけい部に対して前目印部を合わせて、吸収性物品を適切な位置に合わせることができる。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記前目印部は、前記吸収コアに形成されたスリットであってよい。
【0012】
本態様によれば、吸収コアは、スリットである前目印部を基点として変形し易い。よって、前目印部をそけい部に位置合わせするとともに、前目印部をそけい部に沿って配置できる。そのため、吸収性物品を適切な位置に合わせるとともに、吸収コアをそけい部に沿わせて配置できる。また、スリットを基点に吸収コアが変形することにより、吸収性物品の肌面及び非肌面におけるスリットの周囲には、皺が生じる。当該皺が目印となり、身体の適切な位置に吸収性物品をより配置し易くなる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアの肌面側に位置する肌面シートと、前記吸収コアの非肌対向側に位置する非肌面シートと、を有し、前記肌面シートと前記非肌面シートは、前記スリットと重なる領域で接合されてよい。
【0014】
本態様によれば、肌面シートと非肌面シートが接合されていることにより、スリットが肌面シート及び非肌面シートに密着し、スリットの視認性が向上する。スリットからなる前目印部の視認性が向上することにより、吸収性物品を適切な位置により合わせ易くなる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアには、前記スリットの内側縁に隣接する領域と、前記スリットの外側縁に隣接する領域のいずれかにおいて、少なくとも前記吸収コアを厚さ方向に圧縮したプレス部が形成されてよい。
【0016】
本態様によれば、プレス部において吸収コアが圧縮され、前目印部を構成するスリットの縁の視認性が高まり、前目印部の視認性を高めることができる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアには、前記股下域において前記前後方向に延びる一対の股下目印部が設けられており、前記股下目印部は、前記吸収性物品の肌面側及び吸収性物品の非肌面側から視認可能である。
【0018】
本態様によれば、そけい部よりも股下側においても、股下目印部によって身体に対する位置合わせを行うことができる。前目印部は、幅方向の外側に向かって延びており、股下目印部は、前後方向に延びている。前目印部と股下目印部が延びる方向が異なるため、その境界が目立ちやすい。そのため、そけい部に沿わせて配置すべき領域を把握し易くなり、吸収性物品を適切な位置により合わせ易くなる。
【0019】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記吸収コアの非肌対向側に位置する非肌面シートを有し、前記非肌面シートは、前記吸収性物品の非肌面側から視認可能な印刷部を有し、前記印刷部は、前記前目印部の外側縁に重なる第1印刷部と、前記股下目印部の外側縁に重なる第2印刷部と、を有してよい。
【0020】
本態様によれば、装着補助者は、第1印刷部によって前目印部を把握し易くなり、第2印刷部によって股下目印部を視認し易くなる。前目印部と股下目印部の境界を把握し、そけい部に沿わせて配置すべき領域を把握し易くなり、吸収性物品を適切な位置により合わせ易くなる。
【0021】
好ましい一態様に係る吸収性物品は、前記前目印部の幅は、前記股下目印部の幅よりも短くてよい。
【0022】
本態様によれば、装着補助者は、前目印部と股下目印部を区別して把握し易くなる。前目印部と股下目印部の境界を把握し、そけい部に沿わせて配置すべき領域を把握し易くなり、吸収性物品を適切な位置により合わせ易くなる。
【0023】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記吸収コアの非肌対向側に位置する非肌面シートを有し、前記非肌面シートは、前記吸収性物品の非肌面を構成する外装シートを有し、前記外装シートは、エンボス部が形成されており、前記エンボス部は、前記前目印部に重なる領域に配置されてよい。
【0024】
本態様によれば、エンボス部によって非肌面シートの厚さが薄くなる。よって、吸収性物品の非肌面側からの前目印部の視認性を向上できる。
【0025】
(2)吸収性物品の実施形態
以下、図面を参照して、実施形態に係る使い捨ておむつについて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0026】
図1は、本実施形態に係る吸収性物品10を肌面側から見た平面図であり、図2は、吸収性物品10を非肌面側から見た平面図であり、図3は、実施形態に係る吸収コア50を肌面側から見た平面図である。図1から図3に示す平面図は、吸収性物品10を皺が形成されない状態まで伸張させた伸長状態を示している。図4は、図1に示すA−A線に沿った断面図である。図5は、B−B線に沿った吸収体の断面図である。本実施の形態の吸収性物品10は、展開型の大人用の吸収性物品であるが、これに限定されない。吸収性物品10は、パンツ型の吸収性物品であってもよいし、子供用の吸収性物品であってもよい。
【0027】
吸収性物品10は、互いに直交する前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。言い換えると、前後方向Lは、展開された吸収性物品10において前後に延びる方向である。また、吸収性物品10は、前後方向Lと幅方向Wの両方に直交する厚さ方向Tを有する。厚さ方向Tは、着用者側に向かう肌面側T1と、着用者から離れる側の非肌面側T2と、に延びる。本明細書において、「肌面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。
【0028】
吸収性物品10は、前側域S1と、後側域S2と、股下域S3と、を有する。前側域S1は、使用時に着用者の身体前側に面する。後側域S2は、使用時に着用者の身体後側に面する。股下域S3は、前側域S1と後側域S2との間に位置し、使用時に着用者の股下に配置される。股下域S3は、吸収コア50によって規定できる。具体的には、くびれ部51を有する吸収コア50においては、吸収コア50のくびれ部51が形成された領域が股下域の前後方向の領域となる。くびれ部51を有しない吸収コア50においては、吸収コア50の前後方向の長さを三等分したうちの中央の領域が股下域の前後方向の領域となる。本実施の形態では、吸収コアのくびれ部51の前端縁が、股下域S3と前側域S1の境界を規定し、吸収コアのくびれ部51の後端縁が、股下域S3と後側域S2の境界を規定している。
【0029】
吸収性物品10は、脚回り開口部65を有する。脚回り開口部65は、吸収性物品の本体部(吸収性物品において後述するファスニングテープ94を除いた部分)の外側縁において幅方向Wの内側に凹んだ部分である。なお、本実施の形態において外側縁は、幅方向の外側の端縁であり、内側縁は、幅方向の内側の端縁である。
【0030】
吸収性物品10は、少なくとも股下域S3及び前側域S1に配置された吸収コア50を有する。吸収コア50は、股下域S3から前側域S1及び後側域S2へ延びていてよい。吸収コア50は、例えば粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物を含む吸収材料の積層体であってよい。図4に示すように、吸収性物品10は、吸収コア50と、コアラップ56と、を含む吸収体を有してよい。コアラップ56は、吸収コア50の肌面側と非肌面側を覆うように配置され、例えば、ティッシュや不織布シートであってよい。吸収コアの構成については、後述にて詳細に説明する。
【0031】
吸収性物品10は、吸収コア50の肌面側T1に位置する肌面シート41と、吸収コア50の非肌面側T2に位置する非肌面シート42と、を有してよい。肌面シート41は、吸収コア50の肌面側T1に位置するコアラップ56と、表面シート41aと、サイドシート41bと、を有してよい。表面シート41aは、液透過性を有し、吸収コア50の少なくとも幅方向Wの中心を覆うように配置されてよい。サイドシート41bは、疎水性を有する不織布からなり、吸収コア50の幅方向Wの中心よりも幅方向Wの外側において、幅方向Wにおける表面シート41aの両側部を覆うように配置されてよい。非肌面シート42は、吸収コア50よりも非肌面側T2に設けられてよい。非肌面シート42は、吸収コア50の非肌面側T2に位置するコアラップ56と、液不透過性のバックフィルム42aと、バックフィルム42aの非肌面側T2に配置された不織布からなる外装シート42bと、を有してよい。
【0032】
吸収性物品10は、脚回り開口部65に配置される脚回り弾性部材67を有してよい。脚回り弾性部材67は、脚回り開口部65に沿って配置されており、脚回り開口部65を着用者の脚回りにフィットさせる。脚回り弾性部材67は、サイドシート41bとバックフィルム42aの間に配置されている。脚回り弾性部材67は、前後方向Lに伸縮可能であり、前後方向Lに沿って配置されてよい。
【0033】
吸収性物品10は、後側域S2の幅方向Wの両外側部に設けられたファスニングテープ94を有してよい。ファスニングテープ94は、前側域S1の非肌面に係合する係合部96を有してよい。
【0034】
次いで、吸収コア50の構成について詳細に説明する。吸収コア50には、前目印部が設けられている。前目印部は、着用時に着用者のそけい部に位置合わせするための印であり、吸収性物品の肌面側T1及び非肌面側T2から視認可能である。本実施の形態の前目印部は、吸収コア50に形成され補助スリット54によって構成されている。
【0035】
前目印部としての補助スリット54は、肌面シート41を介して、吸収性物品の肌面側T1から視認可能に構成され、非肌面シート42を介して、吸収性物品10の非肌面側T2から視認可能に構成されている。なお、本発明における「視認可能」とは、昼白色(色温度目安 4600〜5400 K(ケルビン))で明るく照明された室内(目安:500〜750 lx(ルクス))で約30〜50cmの距離で、良好な視力(1.0以上)を両眼に有する被験者が対象物を見たときに視認できる事を意味している。
【0036】
本実施の形態において、スリットは、吸収コア50を構成する吸収材料が実質的に配置されていない部分である。スリットは、吸収材料の坪量が0の部分又は周囲からの零れた吸収材料が配置されているが、設計上の吸収材料が0の部分である。スリットは、吸収コア50が力を受けた際に、変形を吸収したり、変形の基点となったりする。スリットは、一対の補助スリット54、一対のサイドスリット52及び中央スリット55を有してよい。サイドスリット52は、本発明の股下目印部を構成する。
【0037】
図3に示すように、吸収コア50は、一対のサイドスリット52によって挟まれた第1領域R1と、サイドスリット52と吸収コア50の外側縁50Sの間に位置する第2領域R2と、一対の補助スリット54によって挟まれた第3領域R3と、補助スリット54と吸収コア50の外側縁の間に位置する第4領域R4と、を有してよい。図3において、第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3及び第4領域R4に異なる斜線を付して示す。第2領域R2は、各サイドスリット52の幅方向Wの外側に位置し、一対で設けられている。第1領域R1及び第2領域R2は、サイドスリット52から幅方向Wに沿って延びる領域である第3領域R3は、各補助スリット54の幅方向Wの外側に位置し、一対で設けられている。第3領域R3及び第4領域R4は、補助スリット54から幅方向Wに沿って延びる領域である。
【0038】
補助スリット54は、吸収コア50を厚さ方向Tに変形させるように構成されてよい。吸収コア50は、着用時等に力を受けた際に、補助スリット54を基点として変形するように構成されている。補助スリット54は、サイドスリット52よりも前側に位置し、少なくとも前側域S1に配置されてよい。補助スリット54の前端縁54Fは、前側域S1に配置され、補助スリット54の後端縁54Rは、股下域S3に配置されてよい。補助スリット54の少なくとも一部は、前側域S1において前側に向かって幅方向Wの外側に延びている。
【0039】
本実施の形態の前目印部は、補助スリット54によって構成されているが、前目印部は、これに限定されない。前目印部は、吸収性物品10の肌面側T1及び非肌面側T2から視認可能な構成であればよく、吸収コア50の吸収材料の坪量が周囲よりも低い低坪量領域、吸収コア50を厚さ方向Tに圧縮した圧搾部、吸収コア50に形成されたスリット、及び吸収コア50の剛性差のうち少なくともいずれかによって構成されてよい。
【0040】
本実施の形態の前目印部は、補助スリット54によって構成され、股下目印部を構成するサイドスリット52と連なっている。補助スリット54は、サイドスリット52と一体化していてもよいし、離間していてもよい。補助スリット54の後端縁54Rは、サイドスリット52の前端縁52Fに連なってよい。補助スリット54の後端縁54Rは、吸収性物品10の前後方向Lの中心よりも前側に位置してよく、吸収コア50の前後方向Lの中心よりも前側に位置してよい。
側に延びている。
【0041】
前目印部を構成する補助スリット54は、前側に向かって幅方向Wの外側に延びており、着用者のそけい部に沿うように配置される。そけい部は、衣服や装着中の吸収性物品によってに隠れ難く、着用者の側部側に位置する装着補助者から見やすい。よって、装着する際に、着用者のそけい部に対して補助スリット54を合わせて、吸収性物品10を適切な位置に合わせることができる。また、装着した後に、吸収性物品10の非肌面側T2から補助スリット54を視認して、補助スリット54がそけい部に対応する位置であるかを確認することができる。よって、装着補助者は、正しい位置に吸収性物品が装着されたか否かを吸収性物品の非肌面側から把握することができる。
【0042】
また、前目印部が補助スリット54であることにより、吸収コア50は、着用時に補助スリット54を基点として変形し易い。よって、補助スリット54をそけい部に位置合わせするとともに、補助スリット54をそけい部に沿って配置できる。そのため、吸収性物品を適切な位置に合わせるとともに、吸収コア50をそけい部に沿わせて配置できる。また、図6に示すように、補助スリット54を基点に吸収コア50が変形することにより、吸収性物品10の肌面及び非肌面における補助スリット54の周囲には、皺が生じる。当該皺が目印となり、補助スリット54をそけい部に対してより配置し易くなる。
【0043】
吸収性物品10の前側域S1は、補助スリット54を基点として変形する。補助スリット54は、前側に向かって幅方向の外側に延びており、そけい部に沿うように変形する。補助スリット54間の第3領域R3は、そけい部間の身体の膨らみを覆い、補助スリット54よりも幅方向Wの外側の第4領域R4は、第3領域R3よりも肌面側T1に曲がる。前側域S1が幅方向Wに沿う断面において、身体を覆うような曲線状に変形する。
【0044】
図5に示すように、補助スリット54と重なる領域において、肌面シート41と非肌面シート42が接合されていてよい。本実施の形態では、肌面シート41としてのコアラップ56と、非肌面シート42としてのコアラップ56と、が補助スリット54と重なる領域で接合されている。肌面シート41と非肌面シート42が接合されていることにより、補助スリット54が肌面シート41及び非肌面シート42に密着し、補助スリット54の視認性が向上する。前目印部の視認性が向上することにより、吸収性物品を適切な位置により合わせ易くなる。
【0045】
また、補助スリット54の視認性を高めるために、補助スリット54の内側縁及び外側縁において厚さ方向Tに圧縮したプレス加工を施してもよい。補助スリット54の内側縁及び外側縁にプレス加工を施すことにより、補助スリット54の縁の視認性が高まり、前目印部の視認性を高めることができる。
【0046】
吸収コア50は、股下目印部を有してよい。股下目印部は、着用時に着用者の股下に位置合わせするための印であり、吸収性物品の肌面側T1及び非肌面側T2から視認可能である。本実施の形態の股下目印部は、吸収コア50に形成されサイドスリット52によって構成されている。股下目印部としてのサイドスリット52は、肌面シート41を介して、吸収性物品10の肌面側T1から視認可能に構成され、非肌面シート42を介して、吸収性物品10の非肌面側T2から視認可能に構成されている。
【0047】
本実施の形態の股下目印部は、サイドスリット52によって構成されているが、股下目印部は、これに限定されない。股下目印部は、吸収性物品10の肌面側T1及び非肌面側T2から視認可能な構成であればよく、吸収コア50の吸収材料の坪量が周囲よりも低い低坪量領域、吸収コア50を厚さ方向Tに圧縮した圧搾部、吸収コア50に形成されたスリット、及び吸収コア50の剛性差のうち少なくともいずれかによって構成されてよい。
【0048】
サイドスリット52は、少なくとも股下域S3に配置されてよい。サイドスリット52の前端縁52Fは、股下域S3に配置され、サイドスリット52の後端縁52Rは、股下域S3に配置されてよい。サイドスリット52は、少なくとも前後方向Lに延びていればよく、前後方向Lに沿っていてもよいし、前後方向Lに対して傾斜する部分を有してもよい。サイドスリット52の幅方向Wの長さは、一定であってもよいし、変化していてもよい。サイドスリット52は、吸収コア50の幅方向Wの中心に設けられなく、吸収コア50の幅方向Wの中心に対して対称に一対で設けられてよい。
【0049】
吸収コア50にサイドスリット52を設けることにより、そけい部よりも股下側においてサイドスリット52によって身体に対する位置合わせを行うことができる。サイドスリット52は、前後方向Lに延びており、装着時に股下域S3を身体の前後方向Lに沿って配置し易くなる。また、装着後には、吸収性物品10の非肌面側T2から股下域S3が正しく配置されたか否かを把握できる。補助スリット54は、幅方向Wの外側に向かって延びており、サイドスリット52は、前後方向Lに延びている。補助スリット54とサイドスリット52が延びる方向が異なるため、その境界が目立ちやすい。そのため、そけい部に沿わせて配置すべき領域を把握し易くなり、吸収性物品10を適切な位置により合わせ易くなる。
【0050】
また、股下目印部がサイドスリット52であることにより、吸収コア50は、着用時にサイドスリット52を基点として変形し易い。具体的には、吸収性物品10が着用された状態で、吸収性物品10が両脚によって挟まれることにより、股下域S3には、脚によって幅方向Wの内側に向かう力がかかる。股下域S3の吸収体に幅方向Wの内側に向かう力がかかると、吸収コア50のサイドスリット52が変形し、第2領域R2が幅方向Wの内側に移動し、吸収コア50の幅方向Wの長さが短くなる。吸収コア50は、股下域S3においてサイドスリット52によって幅方向の内側に入り込むことができる。股下域S3における吸収コア50の幅方向の長さが短くことにより、吸収コア50が股間内に収まり易くなり、着用時の違和感を抑制できる。よって、サイドスリット52によって股下に対して位置合わせするとともに、股下域S3を両脚間の領域に配置できる。そのため、吸収性物品を適切な位置に合わせし、吸収コアをより好適なコンパクトな状態で配置できる。
【0051】
図4に示すように、サイドスリット52と重なる領域において、肌面シート41と非肌面シート42が接合されていてよい。本実施の形態では、肌面シート41としてのコアラップ56と、非肌面シート42としてのコアラップ56と、がサイドスリット52と重なる領域で接合されている。肌面シート41と非肌面シート42が接合されていることにより、サイドスリット52が肌面シート41及び非肌面シート42に密着し、サイドスリット52の視認性が向上する。サイドスリット52の視認性が向上することにより、吸収性物品を適切な位置により合わせ易くなる。
【0052】
また、サイドスリット52の視認性を高めるために、サイドスリット52の内側縁及び外側縁において厚さ方向Tに圧縮したプレス加工を施してもよい。サイドスリット52の内側縁及び外側縁にプレス加工を施すことにより、サイドスリット52の縁の視認性が高まり、股下目印部の視認性を高めることができる。
【0053】
補助スリット54の幅は、サイドスリット52の幅よりも短くてよい。サイドスリット52の幅は、サイドスリット52の長手方向と直交する方向の長さであり、前後方向Lに延びるサイドスリット52にあっては、幅方向の長さである。同様に、補助スリット54の幅は、補助スリット54の長手方向と直交する方向の長さであり、前後方向Lに延びる補助スリット54にあっては、幅方向の長さである。サイドスリット52と補助スリット54が一体化した形態にあっては、サイドスリット52と補助スリット54の境界は、幅が変化する部分であってよい。なお、サイドスリット52の幅及び補助スリット54の幅が変化する構成にあっては、補助スリット54の最大幅がサイドスリット52の最大幅よりも短くてもよいし、補助スリット54の平均幅がサイドスリット52の平均幅よりも短くてもよい。
【0054】
補助スリット54は、前側域S1においてそけい部に対して位置合わせするための印であり、股下域S3に設けられたサイドスリット52よりも視認され易い。よって、補助スリット54の幅がサイドスリット52の幅よりも短くても、前目印部の機能を発揮し易い。また、補助スリット54の幅とサイドスリット52の幅が異なることにより、装着補助者は、補助スリット54とサイドスリット52を区別して把握し易くなる。補助スリット54とサイドスリット52の境界を把握し、そけい部に沿わせて配置すべき領域を把握し易くなり、吸収性物品10を適切な位置により合わせ易くなる。
【0055】
また、補助スリット54の幅方向の長さが長すぎると、吸収コア50が変形する部分の幅方向の長さが長く、吸収コア50を身体に沿わせて配置する部分の長さが短くなり、前側域S1における漏れが発生するおそれがある。しかし、補助スリット54の幅がサイドスリット52の幅よりも短いため、前側域S1における吸収コア50の幅方向の長さを確保し、前側域S1における漏れを抑制できる。図6に示すように、前側域S1における漏れを抑制しつつ着用者のそけい部に沿うように吸収コア50がフィットできる。
【0056】
股下域S3における着用時の違和感を抑制するとともに、前側域S1における漏れを抑制しつつ着用者のそけい部に沿うようにフィットできる効果をより得るために、補助スリット54の幅は、サイドスリット52の幅に対する1/2以下であってよい。サイドスリット52による幅方向の内側に移動する距離を確保しつつ、前側域S1における幅方向の内側に移動する距離を抑制できる。
【0057】
中央スリット55は、幅方向Wにおいてサイドスリット52の間に位置し、かつ前後方向Lに延びてよい。中央スリット55は、幅方向においてサイドスリット52と離間し、幅方向において補助スリット54と離間してよい。中央スリット55の少なくとも一部は、股下域S3に配置されてよい。中央スリット55の前端縁55Fは、股下域S3に配置され、中央スリット55の後端縁55Rは、後側域S2に配置されてよい。中央スリット55は、サイドスリット52よりも後側に偏倚してよく、中央スリット55の前端縁は、サイドスリット52の前端縁52Fよりも後側に位置してよい。中央スリット55は、少なくとも前後方向Lに延びていればよく、前後方向Lに沿っていてもよいし、前後方向Lに対して傾斜する部分を有してもよい。
【0058】
中央スリット55によって第1領域R1が厚さ方向Tに曲がりやすくなり、吸収体全体の幅方向の長さをより短くできる。より詳細には、着用時に幅方向の外側から内側に向かう力がかかった際に、第1領域R1の外側縁(サイドスリット52)を起点として、第1領域R1の内側縁が肌面側に向かうように、吸収コア50が変形し易い。よって、吸収コア50の幅方向の長さがより短くなり易い。股下域S3の吸収コア50は、吸収コア50の幅方向の中心を頂点とした凸形状となるように変形し、吸収コア50全体の幅方向の長さをより短くできる。
【0059】
また、吸収性物品10を使用する際に、吸収性物品10の肌面側に吸収パッドを重ねて使用することがある。このとき、股下域S3においては、吸収コア50の第2領域R2が第1領域R1の肌面側T1に移動することにより、吸収コア50の肌面が着用者側に押し上げられ、吸収パッドを肌面に近づけて配置できる。吸収パッドを身体にフィットさせ、漏れをより抑制できる。前側域S1においては、補助スリット54を基点に第4領域R4が第3領域R3に対して肌面側に立ち上がるように変形する。第3領域に吸収パッドを配置することにより、吸収パッドの外側縁を第4領域によって挟むように保持できる。このように、吸収パッドを保持した状態で、吸収コア50がそけい部に沿って変形するため、吸収パッドをそけい部間の領域に沿わせて配置できる。
【0060】
第3領域R3の幅方向Wの最大長さは、第1領域R1の幅方向の最大長さよりも長くてよい。補助スリット54によって挟まれた第3領域R3は、サイドスリット52によって挟まれた第1領域R1よりも幅方向Wの長さを確保でき、広い範囲で吸収コア50によって身体を覆うことができる。前側域S1における吸収コア50の幅方向の長さを確保し、前側域S1における漏れを抑制できる。
【0061】
サイドスリット52は、吸収コア50の外側縁50Sよりも幅方向の内側に位置し、吸収コア50の外側縁50Sに到達してなくてよい。この構成によれば、サイドスリット52よりも幅方向Wの外側に吸収材料が存在する。当該吸収材料でサイドスリット52によって拡散した体液を保持し、横漏れを抑制できる。
【0062】
サイドスリット52の後端縁52Rは、股下域S3内に位置しており、サイドスリット52が後側域S2に到達していなくてよい。この構成によれば、吸収体の幅方向Wの長さが短くなる領域が後側域S2に到達し難く、後側域S2の吸収コア50を広い幅で身体に当て漏れを抑制できる。
【0063】
補助スリット54は、吸収コア50の外側縁50Sよりも幅方向の内側に位置し、吸収コア50の外側縁50Sに到達してなくてよい。この構成によれば、吸収コア50の外側縁が補助スリット54によって変形せずに、吸収コア50の外側縁を身体に対して面状に当てることができる。よって、前側域S1における漏れをより抑制できる。また、補助スリット54がスリットによって構成されている形態にあっては、補助スリット54よりも幅方向の外側に吸収材料が存在する。当該吸収材料で補助スリット54によって拡散した体液を保持し、横漏れを抑制できる。
【0064】
第2領域R2よりも幅方向の外側には、前後方向Lに収縮する脚回り弾性部材67が設けられてよい。脚回り弾性部材67の収縮によって第2領域R2を肌面側T1に引き上げ、着用時に幅方向の外側から内側に向かう力がかかった際に、第2領域R2が第1領域R1の肌面側T1かつ幅方向の内側に移動し易くなる。よって、吸収コア50の幅方向の長さが短くなり易い。
【0065】
吸収コア50は、吸収コア50の最大幅よりも幅方向Wの長さが短いくびれ部51を有してよい。吸収コア50の最大幅50Mの領域は、前側域S1と股下域S3に跨がって配置されるとともに、後側域S2と股下域S3に跨がって配置されている。吸収コア50のくびれ部51は、股下域S3に配置されてよい。着用者の股間に挟まれる股下域S3の吸収コア50の幅方向Wの長さが短いため、着用者の股間内に吸収コア50が収まり易く、着用時の違和感を抑制できる。くびれ部51の前後方向Lの中心51CLは、吸収性物品10の前後方向Lの中心10CLよりも前側に位置してよい。吸収性物品10の前側において吸収体の幅方向Wの長さを短くする効果を得易い。
【0066】
非肌面シートは、吸収性物品の非肌面側T2から視認可能な印刷部81、82を有してよい。印刷部は、補助スリット54の外側縁に重なる第1印刷部81と、サイドスリット52の外側縁に重なる第2印刷部82と、を有してよい。印刷部は、吸収性物品の非肌面側T2から視認可能に構成されてよい。本実施の形態の印刷部は、バックフィルム42aに設けられており、外装シート42bを介して視認可能に構成されている。装着補助者は、第1印刷部81によって補助スリット54を把握し易くなり、第2印刷部82によってサイドスリット52を視認し易くなる。補助スリット54とサイドスリット52の境界を把握し、そけい部に沿わせて配置すべき領域を把握し易くなり、吸収性物品を適切な位置により合わせ易くなる。
【0067】
第1印刷部81及び第2印刷部82は、吸収性物品の前後方向の全域に設けられていてもよいし、吸収コアの前後方向の全域に設けられていてもよいし、補助スリット54及びサイドスリット52と重なる領域のみに設けられていてもよい。本実施の形態の第1印刷部81及び第2印刷部82は、吸収性物品の前後方向の全域に亘って前後方向に設けられている。第1印刷部81及び第2印刷部82は、それぞれを区別し易くするために、幅方向において離間していることが好ましい。
【0068】
非肌面シートの外装シート42bには、エンボス部45が形成されてよい。エンボス部45は、外装シート42bを厚さ方向Tに圧縮した部分である。エンボス部45は、少なくとも補助スリット54に重なる領域に配置されてよい。エンボス部によって非肌面シートの厚さが薄くなる。よって、吸収性物品の非肌面側からの補助スリット54の視認性を向上できる。エンボス部45によって非肌面シート42の厚さが薄くなる。よって、吸収性物品10の非肌面側T2からの補助スリット54の視認性を向上できる。また、エンボス部45は、サイドスリット52に重なるように設けられていてもよい。吸収性物品10の非肌面側T2からのサイドスリット52の視認性も向上できる。
【0069】
エンボス部45は、外装シート42bの全域に設けられていてもよいし、吸収コア50と重なる全領域に設けられていてもよいし、補助スリット54及びサイドスリット52と重なる領域のみに設けられていてもよい。本実施の形態のエンボス部45は、外装シート42bの全域に亘って格子状に設けられている。
【0070】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0071】
10 :吸収性物品
41a :表面シート(肌面シート)
41b :サイドシート(肌面シート)
42a :バックフィルム(非肌面シート)
42b :外装シート(非肌面シート)
50 :吸収コア
52 :サイドスリット
54 :補助スリット(前目印部)
55 :中央スリット
56 :コアラップ(肌面シート及び非肌面シート)
R1 :第1領域
R2 :第2領域
R3 :第3領域
R4 :第4領域
S1 :前側域
S2 :後側域
S3 :股下域
L :前後方向
T :厚さ方向
T1 :肌面側
T2 :非肌面側
W :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6