特許第6986562号(P6986562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6986562基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986562
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/268 20060101AFI20211213BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   H01L21/268 Z
   H01L21/20
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-541538(P2019-541538)
(86)(22)【出願日】2017年9月13日
(86)【国際出願番号】JP2017033043
(87)【国際公開番号】WO2019053805
(87)【国際公開日】20190321
【審査請求日】2020年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】豊田 一行
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲夫
【審査官】 桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/145261(WO,A1)
【文献】 特開2014−090058(JP,A)
【文献】 特開2011−077065(JP,A)
【文献】 特開2015−173230(JP,A)
【文献】 特開2014−056927(JP,A)
【文献】 特開2014−053380(JP,A)
【文献】 特開平01−216522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/268
H01L 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記基板を支持し、前記基板を間接的に加熱する誘電体と、
前記処理室内の上部に配置され前記基板を間接的に加熱する加熱板と前記誘電体を加熱する第1の周波数のマイクロ波を供給する第1のマイクロ波供給部と、
前記第1の周波数よりも高い周波数であって前記基板表面を改質する第2の周波数のマイクロ波を供給する第2のマイクロ波供給部と、を有し、
前記基板を前記加熱板との距離が近くなる位置に移動させて、前記基板が所定の温度となるまでは前記第1のマイクロ波供給部を動作させ、前記基板が前記所定の温度となると、前記第2のマイクロ波供給部を動作させるように前記第1のマイクロ波供給部と前記第2のマイクロ波供給部とを制御するよう構成された制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記第1のマイクロ波供給部は、前記基板の被処理面側とその反対面側に対して少なくとも1つずつ配置され、
前記第2のマイクロ波供給部は、前記基板の側面側に少なくとも1つ配置される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記誘電体は前記基板よりも大径に構成されて前記基板と前記第1のマイクロ波供給部の間に配置され、前記第1のマイクロ波を吸収することで前記基板を間接的に加熱する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板と前記誘電体とを挟み込むように配置され、前記基板を昇温させるタイミングの時に第1の処理高さに位置し、前記基板を改質するタイミングのときに第2の処理高さに位置するよう昇降する断熱ユニットをさらに有する請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の処理高さは、前記第2の処理高さよりも高く配置される請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第2の処理高さは前記第2のマイクロ波供給部のマイクロ波供給口と同一の高さに位置する請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記誘電体と前記加熱板とは、同一の材料である請求項1に記載の基板処置装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記基板の温度が前記所定の温度を超えて高くなった場合、前記第1のマイクロ波供給部をOFFまたは前記マイクロ波供給部の出力を低くするように制御する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板の温度を測定する温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサが測定した温度が急激に変化した場合に、前記第1のマイクロ波供給部をOFFとするように制御する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
基板を処理する処理室と、前記基板を支持し、前記基板を間接的に加熱する誘電体と、前記処理室内の上部に配置され前記基板を間接的に加熱する加熱板と前記誘電体を加熱する第1の周波数のマイクロ波を供給する第1のマイクロ波供給部と、前記第1の周波数よりも高い周波数であって前記基板表面を改質する第2の周波数のマイクロ波を供給する第2のマイクロ波供給部と、を有し、前記基板を前記加熱板との距離が近くなる位置に移動させて、前記基板が所定の温度となるまでは前記第1のマイクロ波供給部を動作させ、前記基板が前記所定の温度となると、前記第2のマイクロ波供給部を動作させるように前記第1のマイクロ波供給部と前記第2のマイクロ波供給部とを制御するよう構成された制御部と、を有する基板処理装置の前記処理室内に前記基板を搬送する工程と、
前記第1のマイクロ波供給部から前記第1の周波数のマイクロ波を供給し、前記基板を加熱する工程と、
前記第2のマイクロ波供給部から前記第2の周波数のマイクロ波を供給し、前記基板を改質する工程と、
前記基板を前記処理室から搬出する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【請求項11】
基板を処理する処理室と、前記基板を支持し、前記基板を間接的に加熱する誘電体と、前記処理室内の上部に配置され前記基板を間接的に加熱する加熱板と前記誘電体を加熱する第1の周波数のマイクロ波を供給する第1のマイクロ波供給部と、前記第1の周波数よりも高い周波数であって前記基板表面を改質する第2の周波数のマイクロ波を供給する第2のマイクロ波供給部と、を有し、前記基板を前記加熱板との距離が近くなる位置に移動させて、前記基板が所定の温度となるまでは前記第1のマイクロ波供給部を動作させ、前記基板が前記所定の温度となると、前記第2のマイクロ波供給部を動作させるように前記第1のマイクロ波供給部と前記第2のマイクロ波供給部とを制御するよう構成された制御部と、を有する基板処理装置の前記処理室内に前記基板を搬送する手順と、
前記第1のマイクロ波供給部から前記第1の周波数のマイクロ波を供給し、前記基板を加熱する手順と、
前記第2のマイクロ波供給部から前記第2の周波数のマイクロ波を供給し、前記基板を改質する手順と、
前記基板を前記処理室から搬出する手順と、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程として、例えば、加熱装置を用いて処理室内の基板を加熱し、基板の表面に成膜された薄膜中の組成や結晶構造を変化させたり、成膜された薄膜内の結晶欠陥等を修復するアニール処理に代表される改質処理がある。近年の半導体デバイスにおいては、微細化、高集積化が著しくなっており、これに伴い、高いアスペクト比を有するパターンが形成された高密度の基板への改質処理が求められている。このような高密度基板への改質処理方法としてマイクロ波を用いた熱処理方法が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−070045
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマイクロ波を用いた処理では、基板を均一に加熱することができず、基板を均一に処理することが困難となってしまう場合がある。
【0005】
本発明の目的は、基板を均一に処理することが可能となるマイクロ波処理技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、前記処理室内に配置された誘電体を加熱する第1の周波数のマイクロ波を供給する第1のマイクロ波供給部と、前記第1の周波数よりも高い周波数であって前記基板表面を改質する第2の周波数のマイクロ波を供給する第2のマイクロ波供給部と、を有し、前記基板が所定の温度となるまでは前記第1のマイクロ波供給部を動作させ、前記基板が前記所定の温度となると、前記第2のマイクロ波供給部を動作させるように前記第1のマイクロ波供給部と前記第2のマイクロ波供給部とを制御するよう構成された制御部と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板を均一に処理することが可能となるマイクロ波処理技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の枚葉型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図2】本発明で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図である。
図3】本発明における基板処理のフローを示す図である。
図4】本発明における改質工程の詳細フローを示すである。
図5】本発明の第1の実施形態で好適に用いられる基板処理装置における第1のマイクロ波照射時の処理炉を示した概略構成図である。
図6】本発明の第1の実施形態で好適に用いられる基板処理装置における第2のマイクロ波照射時の処理炉を示した概略構成図である。
図7】本発明における第2の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成図であり、第1のマイクロ波照射時の処理炉を示した図である。
図8】本発明における第2の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成図であり、第2のマイクロ波照射時の処理炉を示した図である。
図9図7における破線領域Aを拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の第1の実施形態>
以下に本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置100は、ウエハに各種の熱処理を施す枚葉式熱処理装置として構成されており、後述する電磁波を用いたアニール処理(改質処理)を行う装置として説明を行う。
【0011】
(処理炉)
図1に示すように、処理炉は、金属などの電磁波を反射する材料で構成されるキャビティ(処理容器)としてのケース102を有している。主にケース102の内側空間をシリコンウエハ等の基板を処理する処理室201として構成している。ケース102の内部に電磁波を透過させる石英製の図示しない反応管を設置してもよく、反応管内部が処理室となるように処理容器を構成してもよい。また、ケース102の天井面を切り欠いて、当該切り欠き部分に金属材料で構成されたキャップフランジ(閉塞板)が設けられることで、処理室201を構成するようにしてもよい。
【0012】
処理室201内には、基板としてのウエハ200が搬入・搬出される際に、所定の位置でウエハ200を支持する第1の基板支持ピン(基板支持部)207が配置されている。処理対象であるウエハ200の垂直方向上下には、後述するサセプタ103を支持するサセプタ支持ピン(サセプタ支持部、誘電体支持部)210a、底板210b、天板210cによって構成される回転・昇降が可能な断熱ユニット(保温ユニット)210が配置されている。
【0013】
また、底板210bとウエハ200の間には、例えば、シリコンプレート(Si板)や炭化シリコンプレート(SiC板)などの、電磁波を吸収して自身が加熱される(発熱する)誘電体などの誘電物質で形成されたウエハ200を間接的に加熱するウエハよりも大径のサセプタ(エネルギー変換部材、輻射板、均熱板、発熱体とも称する)103がサセプタ支持ピン210aに支持されることで載置されている。サセプタ103は、後述する基板処理工程において、サセプタ103表面に設けた第2の基板支持ピン(第2の支持部)103aによってウエハ200を支持する基板支持具(基板保持具、基板載置部)としても機能する。また、サセプタ103、は断熱ユニット210に対して着脱可能に構成されていてもよいし、断熱ユニット210に固定されるように構成されていてもよい。
【0014】
また、ケース102の天井部であって、断熱ユニット210の天板210cよりも上方に位置する場所にはサセプタと同一の材料で構成される加熱板106が配置されている。このように構成することによって、後述する電磁波を供給することによって、ウエハ200を直接的に加熱するだけでなく、サセプタ103および加熱板106からの輻射熱によってウエハ200を間接加熱することが可能となり、ウエハ200をより効率的かつ均一に加熱することが可能となる。
【0015】
処理容器としてのケース102は、例えば横断面が円形であり、平らな密閉容器として構成されている。また、下部容器としての搬送容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料、または、石英などにより構成されている。なお、ケース102に囲まれた空間を処理空間としての処理室201又は反応エリア201と称し、搬送容器202に囲まれた空間を搬送空間としての搬送室203又は搬送エリア203と称する場合もある。なお、処理室201と搬送室203は、本実施形態のように水平方向に隣接させて構成することに限らず、垂直方向に隣接させる構成としてもよい。
【0016】
図1に示すように、搬送容器202の側面には、ゲートバルブ205に隣接した基板搬入搬出口206が設けられており、ウエハ200は基板搬入搬出口206を介して処理室201と搬送室203との間を移動する。
【0017】
ケース102の側面には、後に詳述する加熱装置としての電磁波供給部(マイクロ波供給部)が設置されており、電磁波供給部から供給されたマイクロ波等の電磁波が処理室201に導入されてウエハ200等を加熱し、ウエハ200を処理する。
【0018】
載置台210は回転軸としてのシャフト255によって支持される。シャフト255は、ケース102の底部を貫通しており、更には搬送容器202の外部で回転動作を行う駆動機構267に接続されている。駆動機構267を作動させてシャフト255及び載置台210を回転させることにより、ボート217上に載置されるウエハ200を回転させることが可能となっている。なお、シャフト255下端部の周囲はベローズ212により覆われており、処理室201および搬送エリア203内は気密に保持されている。
【0019】
処理室201の下方であって、断熱ユニット210の外周側には、処理室201の雰囲気を排気する排気部が設けられている。図1に示すように、排気部には排気口221が設けられている。排気口221には排気管231が接続されており、排気管231には、処理室201内の圧力に応じて弁開度を制御するAPCバルブなどの圧力調整器244、真空ポンプ246が順に直列に接続されている。
ここで、圧力調整器244は、処理室201内の圧力情報(後述する圧力センサ245からのフィードバック信号)を受信して排気量を調整することができるものであればAPCバルブに限らず、通常の開閉バルブと圧力調整弁を併用するように構成されていてもよい。
【0020】
主に、排気口221、排気管231、圧力調整器244により排気部(排気系または排気ラインとも称する)が構成される。なお、図1のように排気口221をケース102の底面に配置しなくともよく、ケース102の側壁面や天井面に排気口221が配置されるように構成してもよい。また、排気部の構成に、真空ポンプ246を加えるようにしてもよい。
【0021】
ケース102には、不活性ガス、原料ガス、反応ガスなどの各種基板処理のための処理ガスを処理室201内に供給するためのガス供給管232が設けられている。
ガス供給管232には、上流から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241、および、開閉弁であるバルブ243が設けられている。ガス供給管232の上流側には、例えば不活性ガスである窒素(N)ガス源が接続され、MFC241、バルブ243を介して処理室201内へ供給される。基板処理の際に複数種類のガスを使用する場合には、ガス供給管232のバルブ243よりも下流側に、上流側から順に流量制御器であるMFCおよび開閉弁であるバルブが設けられたガス供給管が接続された構成を用いることで複数種類のガスを供給することができる。ガス種毎にMFC、バルブが設けられたガス供給管を設置してもよい。また、ガス供給管の下流端にガス供給ノズルを設けるようにしてもよい。
【0022】
主に、ガス供給管232、MFC241、バルブ243によりガス供給系(ガス供給部)が構成される。ガス供給系に不活性ガスを流す場合には、不活性ガス供給系とも称する。不活性ガスとしては、Nガスの他、例えば、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0023】
ケース102の天井面には、非接触式の温度測定装置として温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づき後述するマイクロ波発振器655の出力を調整することで、基板を加熱し、基板温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、例えばIR(Infrared Radiation)センサなどの放射温度計で構成されている。温度センサ263は、加熱板106の表面温度、または、断熱ユニット210の天板210cの表面温度、または、ウエハ200の表面温度のいずれか一つまたは複数を測定するように設置される。測定箇所を天板210c、または、ウエハ200とする際には、加熱板106や天板210cに温度測定窓を設けることで測定するとよい。なお、本発明においてウエハ200の温度(ウエハ温度)と記載した場合は、後述する温度変換データによって変換されたウエハ温度、すなわち、推測されたウエハ温度のことを意味する場合と、温度センサ263によって直接ウエハ200の温度を測定して取得した温度を意味する場合と、それらの両方を意味する場合を指すものとして説明する。
【0024】
温度センサ263によって加熱板106、または天板210c、またはサセプタ103と、ウエハ200のそれぞれに対し、後述する基板処理工程における温度変化の推移を予め取得しておくことで加熱板106、または天板210c、またはサセプタ103と、被処理体であるウエハ200の温度の相関関係を示した温度変換データを記憶装置121cまたは外部記憶装置123に記憶させてもよい。このように予め温度変換データを作成することによって、ウエハ200の温度は、加熱板106(または天板210c)の温度のみを測定することで、ウエハ200の温度を推測可能とし、推測されたウエハ200の温度を基に、マイクロ波発振器655の出力、すなわち加熱装置の制御を行うことが可能となる。
【0025】
なお、基板の温度を測定する手段として、上述した放射温度計に限らず、熱電対を用いて温度測定を行ってもよいし、熱電対と非接触式温度計を併用して温度測定を行ってもよい。ただし、熱電対を用いて温度測定を行った場合、熱電対をウエハ200の近傍に配置して温度測定を行う必要がある。すなわち、処理室201内に熱電対を配置する必要があるため、後述するマイクロ波発振器から供給されたマイクロ波によって熱電対自体が加熱されてしまうので正確に測温することができない。したがって、非接触式温度計を温度センサ263として用いることが好ましい。
また、温度センサ263は、ケース102の天井面に設けることに限らず、断熱ユニット210やケース102の底面などに設けるようにしてもよい。また、温度センサ263は、ケース102や断熱ユニット210に直接設置するだけでなく、ケース102や断熱ユニット210に設けられた測定窓からの放射光を鏡等で反射させて間接的に測定するように構成されてもよい。さらに、温度センサ263は1つ設置することに限らず、複数設置するようにしてもよい。
【0026】
図1に示すように、ケース102の天井部、側壁部、底部のそれぞれには電磁波導入ポート653−1、653−2、653−3が設置されている。電磁波導入ポート653−1、653−2、653−3のそれぞれには処理室201内に電磁波を供給するための導波管654−1、654−2、654−3のそれぞれの一端が接続されている。導波管654−1、654−2、654−3のそれぞれの他端には処理室201内に電磁波を供給して加熱する加熱源としての第1の周波数の電磁波を供給する第1のマイクロ波発振器(電磁波源)655−1、655−2と、第1のマイクロ波発振器とは異なる周波数の電磁波を供給する第2のマイクロ波発振器656が接続されている。すなわち、第1のマイクロ波発振器655−1、655−2は、ウエハ200の被処理面(主面とも称する)側と、ウエハ200の被処理面とは反対面(裏面とも称する)側に少なくとも1つずつ配置され、第2のマイクロ波発振器656はウエハの側面側に配置されることとなる。
【0027】
第1のマイクロ波発振器655−1、655−2および第2のマイクロ波発振器656はマイクロ波などの電磁波を導波管654−1、654−2、654−3にそれぞれ供給する。また、マイクロ波発振器655−1、655−2は、マグネトロンやクライストロンなどが用いられる。以降、電磁波導入ポート653−1、653−2、653−3、導波管654−1、654−2、654−3、第1のマイクロ波発振器655−1、655−2は、特にそれぞれを区別して説明する必要のない場合には、電磁波導入ポート653、導波管654、マイクロ波発振器655と記載して説明する。
【0028】
第1のマイクロ波発振器655および第2のマイクロ波発振器656によって生じる電磁波の周波数は、好ましくは13.56MHz以上24.125GHz以下の周波数範囲となるように制御される。さらに好適には、2.45GHzまたは5.8GHzの周波数となるように制御されることが好ましい。ここで、マイクロ波発振器655−1、655−2のそれぞれの周波数は同一の周波数としてもよいし、異なる周波数で設置されてもよい。
【0029】
また、本実施形態において、第1のマイクロ波発振器655、第2のマイクロ波発振器656は、ケース102の天井面、側面、底面のそれぞれに1つずつ配置されるように記載されているが、これに限らず、1つ以上設けられていればよい。また、第1のマイクロ波発振器655は、図1のように垂直方向において異なる軸上に設けられるのに限らず、ケース102に対向するように、すなわち、同軸上に設けられるように配置してもよい。主に、マイクロ波発振器655―1、655−2、656、導波管654−1、654−2、654−3および電磁波導入ポート653−1、653−2、653−3によって加熱装置(または改質装置)としての電磁波供給部(電磁波供給装置、マイクロ波供給部、マイクロ波供給装置とも称する)が構成される。マイクロ波発振器655−1、655−2と、導波管654−1、654−2、および、電磁波導入ポート653−1、653−2を第1のマイクロ波供給部(第1のマイクロ波供給系)とし、マイクロ波発振器656と、導波管654−3、および、電磁波導入ポート653−3を第2のマイクロ波供給部(第2のマイクロ波供給系)と称してもよい。
【0030】
また、本実施の形態において、第1の電磁波供給系を加熱装置、第2の供給系を改質装置と称してもよい。本実施の形態に関する説明では、第第1のマイクロ波発振器655−1、655−2から供給されるマイクロ波は、2.45GHzの周波数(第1の周波数)であり、第2のマイクロ波発振器656から供給されるマイクロ波は、5.8GHz(第2の周波数)であることとして説明する。
【0031】
マイクロ波発振器655−1、655−2、656のそれぞれには後述するコントローラ121が接続されている。コントローラ121には処理室201内に収容される断熱ユニット210またはサセプタ103、若しくはウエハ200の温度を測定する温度センサ263が接続されている。温度センサ263は、上述した方法によって断熱ユニット210またはサセプタ103、若しくは、ウエハ200の温度を測定してコントローラ121に送信し、コントローラ121によってマイクロ波発振器655−1、655−2、656の出力を制御し、後述するウエハ200の加熱、または、ウエハ200の改質を制御する。なお、電磁波供給部による熱または改質エネルギー供給制御の方法としては、マイクロ波発振器655、656へ入力する電圧を制御することで制御する方法と、マイクロ波発振器655、656の電源をONとする時間とOFFとする時間の比率を変更することで制御する方法などを用いることができる。
【0032】
ここで、マイクロ波発振器655−1、655−2は、コントローラ121から送信される同一の制御信号によって制御される。しかし、これに限らず、マイクロ波発振器655−1、655−2それぞれにコントローラ121から個別の制御信号を送信することでマイクロ波発振器655−1、655−2が個々に制御されるように構成してもよい。
【0033】
(制御装置)
図2に示すように、制御部(制御装置、制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0034】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、アニール(改質)処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単にレシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0035】
I/Oポート121dは、上述のMFC241、バルブ243、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、回転機構267、昇降機構107、マイクロ波発振器655、656等に接続されている。
【0036】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241による各種ガスの流量調整動作、バルブ243の開閉動作、圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくマイクロ波発振器655、656の出力調整動作、回転機構267による断熱ユニット210(またはサセプタ103、ウエハ200)の回転および回転速度調節動作、昇降機構107による断熱ユニット210(またはサセプタ103、ウエハ200)の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0037】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0038】
(2)基板処理工程
次に、上述の基板処理装置100の処理炉を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、例えば、基板上に形成されたシリコン含有膜としてのアモルファスシリコン膜の改質(結晶化)方法の一例について図3図4に示した処理フローに沿って説明する。以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0039】
ここで、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0040】
(基板搬入工程(S301))
図示しない移載機によってウエハ収容器から搬送されたウエハ200はゲートバルブ205の開閉動作によって所定の処理室201に搬入(ローディング)される(S301)。
【0041】
(炉内圧力・温度調整工程(S302))
処理室201内へのウエハ200の搬入が完了したら、処理室201内が所定の圧力(例えば10〜102000Pa)となるよう処理室201内の雰囲気を制御する。具体的には、真空ポンプ246により排気しつつ、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて圧力調整器244の弁開度をフィードバック制御し、処理室201内を所定の圧力とする。また、同時に予備加熱として電磁波供給部を制御し、所定の温度まで加熱を行うように制御してもよい(S302)。電磁波供給部によって、所定の基板処理温度まで昇温させる場合、ウエハ200が変形・破損しないように、後述する改質工程の出力よりも小さな出力で昇温を行うことが好ましい。なお、大気圧下で基板処理を行う場合、炉内圧力調整を行わず、炉内の温度調整のみを行った後、後述する不活性ガス供給工程S303へ移行するように制御してもよい。
【0042】
(不活性ガス供給工程(S303))
炉内圧力・温度調整工程S303によって処理室201内の圧力と温度を所定の値に制御すると、回転機構267は、シャフト255を回転させ、断熱ユニット210によって支持されたサセプタ103を介してウエハ200を回転させる。このとき、窒素ガス等の不活性ガスがガス供給管232を介して供給される(S303)。さらにこのとき、処理室201内の圧力は10Pa以上102000Pa以下の範囲となる所定の値であって、例えば101300Pa以上101650Pa以下となるように調整される。なお、シャフトは基板搬入工程S301時、すなわち、ウエハ200を処理室201内に搬入完了後に回転させてもよい。
【0043】
(改質工程(S304))
処理室201内を所定の圧力となるように維持すると、図5に示すように、コントローラ121は昇降装置107を制御することで断熱ユニット210を上昇させ、ウエハ200を加熱する所定の高さ(第1の処理高さ、第1の処理位置)に位置させる。この動作によって、ウエハ200は第1の基板支持ピン207に支持されていた状態から第2の基板支持ピン103aに支持される状態へと移行する。なお、断熱ユニット210の上昇動作は、上述した炉内圧力・温度調整工程S302や、不活性ガス供給工程S303のタイミングで行うようにしてもよい。
【0044】
断熱ユニット210の上昇によってウエハ200が所定の加熱位置に配置されると、コントローラ121によって制御されたマイクロ波発振器655−1、655−2は、上述した各部を介して処理室201内に第1のマイクロ波501、502を供給する(S401)。処理室201内にマイクロ波が供給されることによって、ウエハ200が改質のための所定の処理温度、すなわち、100℃以上、1000℃以下の温度、好適には400℃以上、900℃以下の温度となるように加熱し、さらに好適には、500℃以上、700℃以下の温度となるように加熱する。このような温度で基板処理することによって、ウエハ200が効率よく第1のマイクロ波501、502を吸収する温度下での基板処理となり、改質処理の速度向上が可能となる。換言すると、ウエハ200の温度を100℃よりも低い温度、または1000℃よりも高い温度下で処理してしまうと、ウエハ200の表面が変質してしまい、第1のマイクロ波501、502を吸収し難くなってしまうためにウエハ200を加熱し難くなってしまうこととなる。このため、上述した温度帯で基板処理を行うことが望まれる。なお、ウエハ200の測定温度が上述した所定の処理温度帯、すなわち、上限温度および下限温度となる閾値を超えて高くまたは低くなった場合、マイクロ波発振器655をOFFとするのではなく、マイクロ波発振器655の出力を低くするように制御することでウエハ200の温度が所定の範囲の温度となるようにしてもよい。この場合、ウエハ200の温度が所定の範囲の温度に戻るとマイクロ波発振器655の出力を高くするように制御される。
【0045】
処理室201に第1のマイクロ波501、502が供給されることでウエハ200が所定の温度帯に到達したことを温度センサ263が検知する(S402)と、コントローラ121は、図6に示すように、改質処理を行うための所定の高さ(第2の処理高さ、第2の処理位置)に断熱ユニット210を降下させる。断熱ユニット210が改質処理を行うための所定の高さに位置することでウエハ200が改質位置に配置されると、コントローラ121は第2のマイクロ波発振器656を制御し、処理室201に第2のマイクロ波601を供給し、ウエハ200の改質処理を行う(S403)。このとき、ウエハ200の温度を維持するために第1のマイクロ波501、502はウエハ200を加熱する時と同様に制御され、処理室201内に供給され続ける。このとき、改質処理を行うための第2の処理位置は、図6に示すように第2のマイクロ波発振器656、すなわち、電磁波導入ポート653−3の開口高さと略同一の高さに設定されることが好ましい。このような高さを設定することによって、改質処理を行う際には主として間接加熱によってウエハ200の適切な改質温度を維持することが可能となり、ウエハ200上に形成された所定の膜を効率よく均一に改質することが可能となる。
【0046】
処理室201内に第2のマイクロ波601を供給開始した後に、予め定められた時間が経過すると、第1のマイクロ波501、502および第2のマイクロ波を601供給することを停止するようにコントローラ121は、第1のマイクロ波発振器655と、第2のマイクロ波発振器656をそれぞれ停止させる。
【0047】
ここで、マイクロ波による加熱方式にて加熱を行う本実施形態では、処理室201に定在波が発生し、ウエハ200(サセプタが載置されている場合はサセプタもウエハ200と同様に)上に、局所的に加熱されてしまう加熱集中領域(ホットスポット)とそれ以外の加熱されない領域(非加熱領域)が生じ、ウエハ200(サセプタが載置されている場合はサセプタもウエハ200と同様に)が変形することを抑制するため、電磁波供給部の電源のON/OFFを制御することでウエハ200にホットスポットが生じることを抑制している。
【0048】
このとき、上述したように温度センサ263は非接触式の温度センサであり、測定対象であるウエハ200(サセプタ103が載置されている場合はサセプタ103もウエハ200と同様に)に変形や破損が生じると、温度センサがモニタするウエハ200の位置や、ウエハ200に対する測定角度が変化するため、測定値(モニタ値)が不正確となり、測定温度が急激に変化してしまうこととなる。本実施形態では、このような測定対象の変形や破損に伴って放射温度計の測定温度が急激に変化することを電磁波供給部のON/OFFを行うトリガとして利用している。
【0049】
以上のようにマイクロ波発振器655、656を制御することによって、ウエハ200を加熱し、ウエハ200表面上に形成されているアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜へと改質(結晶化)させる(S304)。すなわち、ウエハ200を均一に改質することが可能となる。
【0050】
その後、予め設定されたタイミングにてボート217の回転、ガスの供給および排気管の排気が停止する。
【0051】
(基板搬出工程(S305))
処理室201内の圧力を大気圧復帰させた後、ゲートバルブ205を開放し処理室201と搬送室203とを空間的に連通させる。その後、ボートに載置されているウエハ200を移載機によって、搬送室203に搬出する(S305)。
【0052】
以上の動作が繰り返されることにより、ウエハ200が改質処理され、次の異なる装置を用いた基板処理工程に移行することとなる。
【0053】
(4)本実施形態による効果
本実施形態によれば以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
【0054】
(a)基板を加熱する第1のマイクロ波と基板を改質する第2のマイクロ波を用いることで、基板を均一に処理することが可能となる。
【0055】
(b)基板昇温時には直接加熱と間接加熱の両方を用い、基板改質時には、主に間接加熱で基板温度を維持することで、基板上にマイクロ波が集中して存在するホットスポット領域が生じることを抑制可能とし、均一に基板を処理することが可能となるため、膜質の向上を図ることが可能となる。
【0056】
<本発明の第2の実施形態>
次に、図7、8、9を用いて本発明における第2の実施形態について説明する。
【0057】
第2の実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、図7に示すように、処理室201が仕切板703によって、ウエハ200を加熱するための加熱室701と、ウエハ200を改質するための改質室702に分割されている点、加熱室701には第1のマイクロ波供給系が配置され、改質室702には第2のマイクロ波供給系が配置されている点、改質室702にガス供給系および排気系が設けられている点、また、第1の実施形態における加熱板106が設けられていない点である。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同一の機能を有する構成要素には、同一の参照番号を付し、説明を省略する。
【0058】
本実施形態における基板処理工程の各種工程は、第1の実施形態と略同一である。このため、改質工程S304を実施する際の第2の実施形態で好適に用いられる基板処理装置700の動作について説明する。図7に示すように、所定の処理が実施されると、ウエハ200を支持したサセプタ103、すなわち断熱ユニット210が昇降装置107によって、所定の高さに上昇する。ウエハ200が所定の処理位置に配置されると、ウエハ200を所定の改質温度に加熱するために、第1のマイクロ波発振器655−1から第1のマイクロ波501が加熱室701に供給されて、ウエハ200およびサセプタ103が加熱される。
【0059】
ウエハ200が所定の温度帯に加熱されると、図8に示すように、第2のマイクロ波発振器656により第2のマイクロ波601が改質室702に供給されて、ウエハ200が改質されることとなる。このとき、図9に示すように、仕切板703の加熱室701側の表面には、第1のマイクロ波501に対するチョーク構造703aを設け、改質室702側の表面には、第2のマイクロ波601に対するチョーク構造703bを設けるようにすることで、第1のマイクロ波501、および第2のマイクロ波601のそれぞれが加熱室701または改質室702に漏えいすることを抑制することが可能となり、加熱室701と改質室702とを電磁界的に分離することが可能となる。このように構成することによって、簡易な制御で、かつ、効率的にウエハ200を処理することが可能となる。
【0060】
(5)本実施形態による効果
(d)基板の昇温時と改質時において基板の保持位置を変更する必要がないため、単純な制御で基板処理を行うことが可能となり、基板の均一処理を行いつつ、生産性を向上させることが可能となる。
【0061】
以上、本発明を実施形態に沿って説明してきたが、上述の各実施形態や各変形例等は、適宜組み合わせて用いることができ、その効果も得ることができる。
【0062】
例えば、上述の各実施形態では、シリコンを主成分とする膜として、アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に改質する処理について記載したが、これに限らず、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)のうち、少なくとも1つ以上を含むガスを供給させて、ウエハ200の表面に形成された膜を改質してもよい。例えば、ウエハ200に、高誘電体膜としてのハフニウム酸化膜(HfxOy膜)が形成されている場合に、酸素を含むガスを供給しながらマイクロ波を供給して加熱させることによって、ハフニウム酸化膜中の欠損した酸素を補充し、高誘電体膜の特性を向上させることができる。
なお、ここでは、ハフニウム酸化膜について示したが、これに限らず、アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、鉛(Pb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の少なくともいずれかを含む金属元素を含む酸化膜、すなわち、金属系酸化膜を改質する場合においても、好適に適用可能である。すなわち、上述の成膜シーケンスは、ウエハ200上に、TiOCN膜、TiOC膜、TiON膜、TiO膜、ZrOCN膜、ZrOC膜、ZrON膜、ZrO膜、HfOCN膜、HfOC膜、HfON膜、HfO膜、TaOCN膜、TaOC膜、TaON膜、TaO膜、NbOCN膜、NbOC膜、NbON膜、NbO膜、AlOCN膜、AlOC膜、AlON膜、AlO膜、MoOCN膜、MoOC膜、MoON膜、MoO膜、WOCN膜、WOC膜、WON膜、WO膜を改質する場合にも、好適に適用することが可能となる。
【0063】
また、高誘電体膜に限らず、不純物がドーピングされたシリコンを主成分とする膜を加熱させるようにしてもよい。シリコンを主成分とする膜としては、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸化膜(SiO膜)シリコン酸炭化膜(SiOC膜)、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)等のSi系酸化膜がある。不純物としては、例えば、臭素(B)、炭素(C)、窒素(N)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)、砒素(As)などの少なくとも1つ以上を含む。
【0064】
また、メタクリル酸メチル樹脂(Polymethyl methacrylate:PMMA)、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、ポリビニルフェニール樹脂などの少なくともいずれかをベースとするレジスト膜であってもよい。
【0065】
また、上述では、半導体装置の製造工程の一工程について記したが、これに限らず、液晶パネルの製造工程のパターニング処理、太陽電池の製造工程のパターニング処理や、パワーデバイスの製造工程のパターニング処理などの、基板を処理する技術にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上述べたように、本発明によれば、基板を均一に処理することが可能となるマイクロ波処理技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0067】
103・・・サセプタ(誘電体、発熱体、基板支持具)、106・・・加熱板、200・・・ウエハ(基板)、201・・・処理室、210・・・断熱ユニット、653・・・電磁波導入ポート、654・・・導波管、655・・・第1のマイクロ波発振器、656・・・第2のマイクロ波発振器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9