特許第6986574号(P6986574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986574
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】蒸留装置および蒸留方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 3/32 20060101AFI20211213BHJP
   C07C 9/06 20060101ALI20211213BHJP
   C07C 11/04 20060101ALI20211213BHJP
   C07C 7/04 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B01D3/32 Z
   C07C9/06
   C07C11/04
   C07C7/04
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-566597(P2019-566597)
(86)(22)【出願日】2018年6月8日
(65)【公表番号】特表2020-522376(P2020-522376A)
(43)【公表日】2020年7月30日
(86)【国際出願番号】KR2018006502
(87)【国際公開番号】WO2018226056
(87)【国際公開日】20181213
【審査請求日】2019年12月2日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0071649
(32)【優先日】2017年6月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ−ウ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ソン−キュ
(72)【発明者】
【氏名】シン、チュン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】チュ、ヨン−ウク
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/033935(WO,A1)
【文献】 特開2000−273468(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0302650(US,A1)
【文献】 特開平03−005432(JP,A)
【文献】 特開昭63−156732(JP,A)
【文献】 特開2017−064588(JP,A)
【文献】 特表2016−525448(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/182234(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/068676(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/012153(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第105749573(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 3/00−3/42
C07C 7/04
C10G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塔頂流出口、塔底流出口、上部流入口、上部流出口および下部流入口が形成されている第1蒸留塔;塔頂凝縮機と塔底再沸器を具備し、塔頂流出口、塔底流出口、上部流入口、上部流出口および下部流入口が形成されている第2蒸留塔;蒸気再圧縮機;および熱交換器を含み、
前記第1蒸留塔の下部流入口に原料を供給できる第1供給ライン;前記第1蒸留塔の塔底流出口から排出された流れが前記熱交換器を経て第2蒸留塔の下部流入口に導入されるように形成された第1連結ライン;前記第2蒸留塔の塔頂流出口から排出された流れの全てが蒸気再圧縮機を経た後に前記圧縮された第2蒸留塔の塔頂流れの全てが前記熱交換器を経て第2蒸留塔の塔頂凝縮機に導入されるように形成された第2連結ラインを含み、
前記第1連結ラインを流れる流れと第2連結ラインを流れる流れが前記熱交換器で熱交換される、蒸留装置。
【請求項2】
蒸気再圧縮機は機械式蒸気再圧縮機(MVR)である、請求項1に記載の蒸留装置。
【請求項3】
第1蒸留塔の下部流入口は塔頂を基準として算出された理論段数の80%〜100%に位置する、請求項1または2に記載の蒸留装置。
【請求項4】
第2蒸留塔の下部流入口は塔頂を基準として算出された理論段数の60%〜90%に位置する、請求項1〜3のいずれかに記載の蒸留装置。
【請求項5】
第1蒸留塔の上部流出口と第2蒸留塔の上部流出口から流出する生成物は炭素数2〜12のアルケンである、請求項1〜4のいずれかに記載の蒸留装置。
【請求項6】
第2蒸留塔の塔頂流出口から流出する流れの温度T2と第1蒸留塔の塔底流出口から排出されて熱交換器を経た後に第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流れの温度T1の差の絶対値|T2−T1|は、40℃以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の蒸留装置。
【請求項7】
第1蒸留塔の塔底流出口から排出される第1蒸留塔の塔底流れの温度T3と第1蒸留塔の塔底流出口から排出されて熱交換器を経た後に第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流れの温度T4の差の絶対値|T3−T4|は、5℃以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の蒸留装置。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載された蒸留装置を使用して原料を蒸留する方法であって、第1蒸留塔に原料を流入して蒸留する段階;および前記第1蒸留塔の塔底流れを第2蒸留塔に流入させて蒸留する段階を含み、
前記第2蒸留塔の塔頂流れの全てを蒸気再圧縮機に流入させて圧縮した後、前記第1蒸留塔の塔底流れを前記圧縮された第2蒸留塔の塔頂流れの全てと熱交換された後に第2蒸留塔に流入させる、蒸留方法。
【請求項9】
第2蒸留塔の塔頂流れの温度T2と第1蒸留塔の塔底流出口から排出されて熱交換器を経た後に第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流れの温度T1の差の絶対値|T2−T1|は、40℃以下である、請求項8に記載の蒸留方法。
【請求項10】
第1蒸留塔の塔底流出口から排出される第1蒸留塔の塔底流れの温度T3と第1蒸留塔の塔底流出口から排出されて熱交換器を経た後に第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流れの温度T4の差の絶対値|T3−T4|は、5℃以下である、請求項8または9に記載の蒸留方法。
【請求項11】
第1蒸留塔の塔底流出口から排出される第1蒸留塔の塔底流れは熱交換器を経る過程で気化する、請求項10に記載の蒸留方法。
【請求項12】
第1蒸留塔の上部と第2蒸留塔の上部で低沸点物質を流出し、第2蒸留塔の塔底で高沸点物質を流出する、請求項8〜11のいずれかに記載の蒸留方法。
【請求項13】
前記低沸点物質と高沸点物質の純度が99重量%以上となるように制御する、請求項12に記載の蒸留方法。
【請求項14】
前記低沸点物質は炭素数2〜12のアルケンであり、高沸点物質は炭素数1〜12のアルカンである、請求項12または13に記載の蒸留方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2017.06.08付韓国特許出願第10−2017−0071649号に基づいた優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
[技術分野]
本出願は二つの蒸留塔を利用した蒸留装置に関し、蒸気再圧縮機を利用してエネルギー消費を節減できる蒸留装置および前記蒸留装置を利用した蒸留方法に関する。
【背景技術】
【0003】
原油(Crude Oil)等のような各種原料物質は通常多くの化学物質の混合物である場合が多いため、それ自体として産業に利用されることは珍しく、それぞれの化合物に分離された後で使用されるのが普通である。混合物を分離する化学工程のうち代表的なものが蒸留工程である。
【0004】
一般的に蒸留工程は、供給原料の中に存在する2成分系以上の混合物質を沸点差によって蒸発させて分離する。このような蒸留工程に使用される蒸留装置は、蒸留塔(distillation column)、精溜塔(rectification column)、脱去塔(stripping column)、または脱去槽(stripping vessel)等が利用される。蒸留装置の上部で低沸点物質が塔頂蒸気の形態で排出され、蒸留装置の下部で高沸点物質が塔底凝縮液の形態で分離される。
【0005】
一般的にエチレン/エタンまたはプロピレン/プロパンのような同じ炭素数のアルカン/アルケンの分離は、非揮発度が1.04〜1.5水準と非常に低いため、高い還流比(Reflux ratio)と多い理論段数を必要とする。このため、実際の工程では第1蒸留塔の塔底と第2蒸留塔の塔頂が互いに連結されて二つの蒸留塔を一つの蒸留塔のように使用する直列に連結構造を有する場合が多い。
【0006】
このような蒸留装置の処理量を高めるために、二つの蒸留塔を並列に連結して蒸留する多様な方法を考慮することができる。例えば第1蒸留塔を精溜塔(Rectifier)として使用し、第2蒸留塔と並列に連結された構造を使用して蒸留する場合、供給される原料を一次的に第1蒸留塔で蒸留した後、分離対象物質が残留する原料を第2蒸留塔に流入させて蒸留する。図3は二つの蒸留塔を並列に連結構造に連結した蒸留装置の一例を示した概略図である。図3は、流入する原料1011の流れを第1蒸留塔101で蒸留し、第1蒸留塔の上部に生成物流出の流れ1041が流出し、第1蒸留塔の塔底流れ1055を第2蒸留塔201に流入させて蒸留し、第2蒸留塔の上部に生成物流出の流れ2061が流出する装置の構成を示している。
【0007】
図3のように蒸留塔を並列に連結して運転する場合、二つの蒸留塔を運転するのと同じ容量を処理することができるが、第2蒸留塔に流入する流れ1055を熱交換器231を通じて加熱しなければならず、第2蒸留塔の塔頂蒸気を凝縮機211を通じて凝縮しなければならない。この場合、熱交換器231および凝縮機211にそれぞれエネルギーが消費され、特に分離対象物質が低い沸点を有する物質である場合、冷凍機を介した凝縮に多くのエネルギーが消費される問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本登録特許第5756900号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願は蒸留装置および蒸留方法に関するものであって、エネルギー消費量が節減された蒸留装置および蒸留方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願は蒸留装置に関するものである。例示的な前記蒸留装置は並列に連結された二つの蒸留塔および蒸気再圧縮機を含むことができる。前記蒸留装置を利用すると、再沸器および/または凝縮機に供給されるエネルギー消費を最小化しながらも、高純度の生成物を分離精製することができる。以下、図面を参照して前記装置を説明するが、前記図面は例示的なものであり、前記装置の範囲は図面によって制限されるものではない。
【0011】
本明細書で「および/または」は、前後に羅列した構成要素のうち少なくとも一つ以上を含む意味で使用される。
【0012】
本明細書で「第1」、「第2」、「一側」および「他側」等の用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために使用されるものであって、各構成要素は前記用語によって制限されるものではない。以下、本出願を説明するにおいて、関連した公知の汎用的な機能または構成に対する詳細な説明は省略する。
【0013】
本明細書で用語「ライン」とは、装置を連結する配管と実質的に同じ意味であり得、「流れ」とは、ラインまたは配管を介しての流体の移動を意味し得、本明細書でライン、配管および流れは同じ図面符号を共有することができる。
【0014】
図1は、本出願の蒸留装置を例示的に示す図面である。
【0015】
例えば、本出願に係る蒸留装置は、第1蒸留塔102;第2蒸留塔202;蒸気再圧縮機242;および熱交換器232を含むことができる。前記第1蒸留塔102は塔頂凝縮機112を具備し、塔頂流出口および塔底流出口が形成され、上部流入口および上部流出口が形成されており、下部流入口が形成されていることができる。前記第2蒸留塔202は塔頂凝縮機212を具備し、塔頂流出口および塔底流出口が形成され、上部流入口および上部流出口が形成されており、下部流入口が形成されていることができる。また、蒸留装置は、前記第1蒸留塔102の下部流入口に原料を供給できる第1供給ライン1012;前記第1蒸留塔の塔底流出口から排出された流れが前記熱交換器を経て第2蒸留塔の下部流入口に導入されるように形成された第1連結ライン1052;前記第2蒸留塔の塔頂流出口から排出された流れが蒸気再圧縮機を経た後に前記熱交換器を第2蒸留塔の塔頂凝縮機に導入されるように形成された第2連結ライン2012、2022、2032を含むことができる。前記第1連結ライン1052を流れる流れと第2連結ライン2012、2022、2032を流れる流れが前記熱交換器232で熱交換されるように形成されていることができる。
【0016】
前記蒸気再圧縮機242に流入する第2蒸留塔202の塔頂蒸気を圧縮して前記熱交換器232で第1連結ライン1052を介して前記熱交換器232に流入する第1蒸留塔102の塔底流れと熱交換することで、前記第2蒸留塔202の塔頂凝縮機212で第2蒸留塔202の塔頂蒸気を凝縮するために消費されるエネルギーを節減できる。
【0017】
本出願の蒸留装置に使用できる蒸留塔102、202の具体的な種類は特に制限されない。例えば、一般的な構造の蒸留塔を使用することができ、精製効率などを考慮して蒸留塔の段数および内径などは適切に調節され得る。前記「熱交換器」は蒸留装置の外部に別途に設置され、互いに温度が異なる二つの流体の流れの間に熱伝達が円滑に行われるように熱交換を遂行する装置であり得、その種類は特に制限されない。また、前記「凝縮機」は蒸留装置とは別途に設置された装置であって、前記蒸留装置から流出した物質を外部から流入した冷却水と接触させるなどの方式で冷却させるための装置を意味し得る。
【0018】
本明細書で「上部」は前記蒸留装置内で相対的に上側の部分を意味し、より具体的には、前記蒸留装置を縦方向、例えば、蒸留装置の長さまたは高さ方向に垂直に2等分した時、分けられた2つの領域のうち上側の部分を意味し得る。また、前記で「下部」は前記蒸留装置内で相対的に下側の部分を意味し、より具体的には、前記蒸留装置を縦方向、例えば、蒸留装置の長さまたは高さ方向に垂直に2等分した時、分けられた2つの領域のうち下側の部分を意味し得る。また、前記蒸留装置の「塔頂」とは、前記蒸留装置の最も頂き部分を意味し、前述した蒸留装置の上部に位置し得る。前記蒸留装置の「塔底」は前記蒸留装置の塔の最も底の部分を意味し、前述した蒸留装置の下部に位置し得る。一つの例示において、前記蒸留装置の上部と下部の間には中間部領域が存在し得、前記蒸留装置の上部、中間部、下部領域は互いに相対的な概念として本明細書で使用され得る。例えば、前記蒸留装置を縦方向に2等分した時は、前記蒸留装置は上部および下部領域に分けられ得、この場合、蒸留は前記上部領域および下部領域で行われ得る。また、前記蒸留装置を縦方向に3等分した場合には、前記蒸留装置は、上部、中間部および下部領域に分けられ得、この場合、蒸留は上部、中間部および下部領域のすべてにおいて行われ得る。
【0019】
前記蒸気再圧縮機242は外部の動力を利用して蒸気を圧縮できる装置であり得、蒸気を圧縮して温度を上昇させる装置であり得、前記蒸気再圧縮機242で温度を上昇させた圧縮蒸気の潜熱および/または顕熱を蒸発や蒸留、乾燥などの工程の熱源として利用するための装置であり得る。本出願の蒸留装置は、前記蒸気再圧縮機242を利用して第2蒸留塔202の塔頂蒸気を圧縮し、圧縮された第2蒸留塔202の塔頂蒸気を第1蒸留塔102の塔底から流出して第2蒸留塔202に流入する流れと熱交換することで、第2蒸留塔202の塔頂凝縮機212で第2蒸留塔202の塔頂蒸気を凝縮するために消費されるエネルギーを節減できる。
【0020】
本出願に係る蒸留装置は多様な形態および作動原理を有する蒸気再圧縮機を適用することができる。前記蒸気再圧縮機は特に制限されるものではないか、例えば機械式蒸気再圧縮機(MVR、Mechanical Vapor Recompressor)であり得、往復圧縮機(reciprocating compressor)、ねじ式圧縮機(screw compressor)、回転式圧縮機(rotary compressor)、遠心式圧縮機(centrifugal compressor)等を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0021】
本出願の一例において、第1蒸留塔の下部流入口は塔頂を基準として算出された理論段数の最下段に位置することができる。前記第1蒸留塔の下部流入口は塔頂を基準として算出された理論段数の80%以上、85%以上、90%以上であり得、例えば95%以上であり得、例えば、100%以下であり得る。本明細書で、「理論段数」は蒸留塔で気相および液相のような2つの相が互いに平衡をなす仮想の領域または段数を意味し得る。前記下部流入口が塔頂を基準として算出された理論段数の80%に位置するとは、例えば、理論段数が100段である蒸留塔において塔頂を1段と仮定する時、80段に位置することを意味し得る。また、前記下部流入口が塔頂を基準として算出された理論段数の100%に位置するとは、例えば、下部流入口が蒸留塔の塔底に位置することを意味し得る。
【0022】
本出願に係る蒸留装置の第1蒸留塔は下部流入口を前記範囲に位置させることによって、精留区域(rectifying section)が脱去区域(stripping section)よりも長い形態を有することができ、第1蒸留塔の上部から流出する低沸点物質の純度を向上させることができる。また、一つの例示において、第1蒸留塔の下部流入口の位置が前記範囲を満足することによって、実質的に第1蒸留塔は精溜塔(rectifying column)として機能することができる。
【0023】
本出願の一例において、第2蒸留塔の下部流入口は塔頂を基準として算出された理論段数の60%〜90%に位置することができる。前記第2蒸留塔の下部流入口の位置は塔頂を基準として算出された理論段数の60%以上、65%以上、70%以上、75%以上であり得、例えば80%以上であり得、90%以下、89%以下、88%以下、87%以下であり得、例えば85%以下であり得る。本出願に係る蒸留装置の第2蒸留塔は、また、下部流入口を前記範囲に位置させることによって、精留区域(rectifying section)が脱去区域(stripping section)よりも長い形態を有することができ、第2蒸留塔の上部から流出する低沸点物質の純度を向上させることができる。また、一つの例示において、第2蒸留塔の下部流入口の位置が前記範囲を満足することによって、実質的に第2蒸留塔は精溜塔(rectifying column)として機能することができる。
【0024】
一つの例示において、本出願に係る蒸留装置はナフサ分解工程で生産される基礎油分を分離するための装置であり得る。ナフサ分解工程は石油精製工程で生産されるナフサをNCC(Naphtha Cracking Center)で熱分解してC2、C3、C4油分およびBTXなどを生産するが、本出願に係る蒸留装置はこれらの分離精製に使用することができる。
【0025】
本出願の一例において、蒸留装置の第1蒸留塔の上部流出口と第2蒸留塔の上部流出口から流出する生成物は、炭素数〜12、炭素数〜10、炭素数2〜8、炭素数2〜6または炭素数2〜4のアルケンであり得、例えばエチレン(ethylene)であり得る。本出願に係る蒸留装置を利用してエチレンを蒸留することによって、二つの蒸留塔を利用して高純度のエチレンを精製することができ、第2蒸留塔の塔頂凝縮機に使用される冷凍システムの負荷を減らすことができる。
【0026】
一つの例示において、本出願の蒸留装置の第2蒸留塔202の塔頂流出口と蒸気再圧縮機242を連結する第2連結ライン2012を通過する塔頂蒸気の流れ2013の温度Tと第1蒸留塔102の塔底流出口から排出されて第1連結ライン1052を介して熱交換器232を経た後に第2蒸留塔202に流入する第1蒸留塔102の塔底流出の流れ1053の温度Tの差の絶対値|T2−T1|は、40℃以下であり得る。前記温度の差の絶対値|T−T|は、36℃以下、32℃以下、28℃以下、24℃以下、20℃以下または16℃以下であり得るがこれに制限されるものではなく、下限は特に制限されないが例えば1℃以上、3℃以上、5℃以上または7℃以上であり得る。第2蒸留塔の塔頂流出口と蒸気再圧縮機を連結する第2連結ラインを通過する塔頂蒸気の流れの温度Tと第1蒸留塔の塔底流出口から排出されて第1連結ラインを通じて熱交換器を経た後に第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流出の流れの温度Tの差の絶対値|T−T|が前記範囲を満足することによって、蒸気再圧縮機を利用して少ない量のエネルギー供給でも優秀な熱交換効率を示すことができ、第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流れを加熱するために供給されるエネルギーおよび/または第2蒸留塔の塔頂凝縮機に供給されるエネルギーを節減できる。
【0027】
本出願に係る一例において、第1蒸留塔102の塔底流出口から排出される第1蒸留塔102の塔底流れ1054の温度Tと第1蒸留塔102の塔底流出口から排出されて第1連結ライン1052を介して熱交換器232を経た後に第2蒸留塔202に流入する第1蒸留塔102の塔底流出の流れ1053の温度Tの差の絶対値|T−T|は、5℃以下であり得る。前記温度の差の絶対値は例えば4℃以下、3℃以下または2℃以下であり得、0℃以上であり得るが、これに制限されるものではない。前記第1蒸留塔の塔底流れが、熱交換器を経る前と、熱交換器を経た後の温度の差が前記範囲を満足する場合、潜熱を利用して熱交換することでエネルギー効率を高めることができ、第2蒸留塔の塔頂凝縮機に供給されるエネルギーを節減できる。
【0028】
前記温度TおよびTは、第1蒸留塔102の塔底流出口から排出されて第1連結ライン1052を介して熱交換器232を経た後、第2蒸留塔202に流入する同一地点の第1蒸留塔102の塔底流出の流れ1053に対する温度を示したものである。
【0029】
また、本出願は蒸留方法に関するものであって、前記蒸留方法は前述した蒸留装置によって実行され得る。例示的な蒸留方法は、第1蒸留塔に原料を流入して蒸留する段階;および前記第1蒸留塔の塔底流れを第2蒸留塔に流入させて蒸留する段階を含み、前記第2蒸留塔の塔頂流れを蒸気再圧縮機に流入させて圧縮し、前記第1蒸留塔の塔底流れを前記圧縮された第2蒸留塔の塔頂流れと熱交換させて第2蒸留塔に流入させることができる。本出願の蒸留方法において、前記蒸留装置に関する詳しい説明は前述した蒸留装置の説明と同じであるため省略する。
【0030】
本出願の蒸留方法に係る一例において、第2蒸留塔202の塔頂流出口と蒸気再圧縮機242を連結する第2連結ライン2012を通過する塔頂蒸気の流れ2013の温度Tと第1蒸留塔102の塔底流出口から排出されて第1連結ライン1052を介して熱交換器232を経た後に第2蒸留塔202に流入する第1蒸留塔102の塔底流出の流れ1053の温度Tの差の絶対値|T−T|は40℃以下であり得る。前記温度の差の絶対値|T−T|は36℃以下、32℃以下、28℃以下、24℃以下、20℃以下または16℃以下であり得るがこれに制限されるものではなく、下限は特に制限されないが例えば1℃以上、3℃以上、5℃以上または7℃以上であり得る。第2蒸留塔の塔頂流れの温度Tと熱交換器から流出して第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流れの温度Tの差の絶対値|T−T|が前記範囲を満足することによって、蒸気再圧縮機を利用して少ない量のエネルギー供給でも優秀な熱交換効率を示すことができ、第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流れを加熱するために供給されるエネルギーおよび/または第2蒸留塔の塔頂凝縮機に供給されるエネルギーを節減できる。
【0031】
本出願に係る一例において、第2蒸留塔の塔頂流れの温度Tと熱交換器から流出して第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流れの温度Tは、第2蒸留塔の塔頂流れの温度Tと熱交換器から流出して第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流れの温度Tの差の絶対値|T−T|が前記範囲を満足するのであれば、特に制限されない。第2蒸留塔の塔頂流れの温度Tと熱交換器から流出して第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流れの温度Tは、分離しようとする対象物質および分離条件などにより変わり得、例えば、第1蒸留塔の上部流出口と第2蒸留塔の上部流出口から流出する生成物がエチレンの場合であれば、第1蒸留塔の塔底流出口に流出する塔底流れの温度は−15℃〜−30℃であり得、第2蒸留塔の塔頂流れの温度は−20℃〜−35℃であり得るが、これに制限されるものではない。
【0032】
本出願の蒸留方法に係る一例において、第1蒸留塔102の塔底流出口から排出される第1蒸留塔102の塔底流れ1054の温度Tと第1蒸留塔102の塔底流出口から排出されて第1連結ライン1052を介して熱交換器232を経た後に第2蒸留塔202に流入する第1蒸留塔102の塔底流出の流れ1053の温度Tの差の絶対値|T−T|は5℃以下であり得る。前記温度の差の絶対値は例えば4℃以下、3℃以下または2℃以下であり得、0℃以上であり得るが、これに制限されるものではない。前記第1蒸留塔の塔底流れが、熱交換器を経る前と、熱交換器を経た後の温度の差が前記範囲を満足する場合、前記第1蒸留塔の塔底流出口から排出される第1蒸留塔の塔底流れは熱交換器を経る過程で気化され得る。本明細書で「気化」されるとは、物質が液相から気相に変化することを意味し得、例えば液体が気体になることを意味し得る。第1蒸留塔の塔底流れの潜熱を利用して熱交換することでエネルギー効率を高めることができ、第2蒸留塔の塔頂凝縮機に供給されるエネルギーを節減できる。
【0033】
本出願の蒸留方法は、第1蒸留塔の塔底流出口から流出する塔底流れの温度と圧縮された第2蒸留塔の塔頂流れと熱交換された後に第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流れの温度および/または第2蒸留塔の塔頂流出口から流出する第2蒸留塔の塔頂流れの温度を前記範囲に制御することによって、第1蒸留塔および第2蒸留塔の上部流出口から流出する生成物を高純度に精製することができ、蒸気再圧縮機を通じての熱交換効率を向上させることによって凝縮のために冷凍システムを要求する多様な工程のエネルギー消費量を節減することができ、特に、アルカン/アルケン分離工程のエネルギー消費量を大きく節減できる。
【0034】
一つの例示において、本出願に係る蒸留方法は、第1蒸留塔の上部と第2蒸留塔の上部で低沸点物質を流出し、第2蒸留塔の塔底で高沸点物質を流出することができる。本明細書で「高沸点物質」とは、混合物内で他の物質に比べて相対的に沸点が高い物質を意味し、「低沸点物質」とは、混合物内で他の物質に比べて相対的に沸点が低い物質を意味し得る。前記高沸点物質は常温(25℃)および常圧(1気圧)で沸点が−120℃以上または−110℃以上である物質を意味し得、上限は特に制限されない。前記低沸点物質は常温(25℃)および常圧(1気圧)で沸点が200℃以下であり得、下限は特に制限されない。前記沸点は物質の沸点を意味し得、物質の種類によって同じであるか異なり得、温度および/または圧力により変わり得る。前記高沸点物質と低沸点物質は、相対的な沸点の高低差によって分けることができる。本明細書で高沸点物質は混合物を分離するための温度と圧力で低沸点物質に比べて沸点が高い物質であり、低沸点物質は混合物を分離するための温度と圧力で高沸点物質に比べて沸点が低い物質を意味し得る。
【0035】
一つの例示において、本出願に係る蒸留方法は、低沸点物質の純度が99重量%以上となるように制御することができ、また高沸点物質の純度が99重量%以上となるように制御することができる。本出願の蒸留方法は、前述した蒸留装置を利用することによって第1蒸留塔および/または第2蒸留塔の上部から流出する低沸点物質を前記純度を満足するように制御することができ、第2蒸留塔の塔底から流出する高沸点物質を前記純度を満足するように制御することができる、
【0036】
本出願の一例において、前記低沸点物質はアルケンであり、高沸点物質はアルカンであり得、例えば、炭素数〜12、炭素数〜10、炭素数2〜8、炭素数2〜6または炭素数2〜4のアルケン、および/または、炭素数1〜12、炭素数1〜10、炭素数2〜8、炭素数2〜6または炭素数2〜4のアルカンであり得る。前記アルケンおよび/またはアルカンは例えばナフサ(Naphtha)分解工程の生成物であり得、高沸点物質でエタン(ethane)を流出し、低沸点物質でエチレン(ethylene)を流出したり、または高沸点物質でプロパン(propane)と低沸点物質でプロピレン(propylene)を流出することができるが、これに制限されるものではない。
【発明の効果】
【0037】
本出願の蒸留装置によると、第2蒸留塔の塔頂蒸気を蒸気再圧縮機で圧縮した後に熱交換器に流入して第1蒸留塔の塔底流れを加熱することによって、第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流れを加熱するために供給されるエネルギーを節減できる。また、第2蒸留塔の塔頂蒸気を凝縮するために供給される凝縮機のエネルギー消費量を節減させて全工程で使用されるエネルギーを節減できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本出願に係る蒸留装置の一例を示した概略図。
図2】二つの塔を連結した蒸留装置の一例を示した概略図。
図3】二つの塔を連結した蒸留装置の他の一例を示した概略図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本出願に従う実施例を通じて本出願をより詳細に説明するが、本出願の範囲は下記に提示された実施例によって制限されるものではない。
【0040】
<実施例>
図1に例示された蒸留装置を利用してナフサ分解工程で生産されたC2成分のうちエチレンとエタンを分離した。図1に例示された通り、第1原料供給ライン1012を第1蒸留塔102の下部流入口と連結し、第1蒸留塔102の塔底流出口を第1連結ライン1052を介して熱交換器232および第2蒸留塔202の下部流入口と連結した。第2蒸留塔202の塔頂流出口と蒸気再圧縮機242、熱交換器232、バルブ252および第2蒸留塔202の塔頂凝縮機212を第2連結ライン2012、2022、2032を介して連結した。前記熱交換器232は第1連結ライン1052と第2連結ライン2012、2022、2032を熱交換できるように設置した。
【0041】
第1原料供給ライン1012を介して原料物質を198,846kg/hrで第1蒸留塔102の下部流入口に流入させて蒸留し、第1蒸留塔102の塔底流出口から流出する流れを第1連結ライン1052を介して第2蒸留塔202の下部流入口に流入させて蒸留した。
【0042】
第1蒸留塔102の塔頂流出ライン1022を経て第1蒸留塔102の塔頂凝縮機112に流入した第1蒸留塔102の塔頂蒸気を凝縮して貯蔵タンク122に流入させて貯蔵した後に、第1蒸留塔102の上部流入ライン1032を介して第1蒸留塔102に還流させるか、製品排出ライン1030を介して製品として排出した。
【0043】
第2蒸留塔202の塔頂蒸気を第2連結ライン2012、2022、2032を介して第2蒸留塔202の塔頂凝縮機212に流入させ、これを凝縮して貯蔵タンク222に流入させて貯蔵した後に、前記第2蒸留塔202の上部流入ライン2052を介して第2蒸留塔202に還流させた。第1蒸留塔102の上部流出ライン1042および第2蒸留塔202の上部流出ライン2062で低沸点物質であるエチレンを分離し、第2蒸留塔202の塔底流出ライン2072で高沸点物質であるエタンを分離した。
【0044】
前記第2蒸留塔202の塔頂蒸気は第2連結ライン2012を経て蒸気再圧縮機242に流入させて圧縮した後、これを第2連結ライン2022を介して熱交換器232に流入させた。前記第1連結ライン1052を介して流入する第1蒸留塔102の塔底流出の流れを第2連結ライン2012、2022を介して流入する第2蒸留塔202の塔頂蒸気と熱交換器232を通じて熱交換した後に第2蒸留塔202の下部流入口に流入させた。前記第1蒸留塔102の塔底流出口を介して流出して第2蒸留塔202の下部流入口に流入する流れは、153,244kg/hrに維持したし、第2蒸留塔202の塔底再沸器(図示されず)を通じてのエネルギー供給量は11.36Gcal/hrであり、蒸気再圧縮機242に供給されるエネルギーは1,367KWであった。第1蒸留塔102の還流比は4.18であり、第2蒸留塔202の還流比は3.06となるように制御した。また、第1蒸留塔102の塔頂流れの温度は−36.24℃、圧力は15.54kg/cmに維持したし、第2蒸留塔202の塔頂流出口と蒸気再圧縮機242を連結する第2連結ライン2012を通過する塔頂蒸気の流れ2013の温度Tは−36.24℃、圧力は15.54kg/cmに維持した。第1蒸留塔102の塔底流出口から排出される第1蒸留塔102の塔底流れ1054の温度Tは−24.00℃に維持したし、第1蒸留塔102の塔底流出口から排出されて第1連結ライン1052を介して熱交換器232を経た後に第2蒸留塔202に流入する第1蒸留塔102の塔底流出の流れ1053の温度T、Tは20.12℃であった。
【0045】
<比較例1>
図2で例示された通り、第1蒸留塔101および第2蒸留塔201を直列に連結してナフサ分解工程で生産されたC2成分のうちエチレンとエタンを分離した。第2原料供給ライン21を介して第2蒸留塔201の原料流入口に原料物質を流入して蒸留し、第2蒸留塔201の塔頂流出ライン241を介して第2蒸留塔201の塔頂蒸気を第1蒸留塔101に流入させて蒸留し、第1蒸留塔101の塔頂流出ライン81を経て第1蒸留塔101の塔頂凝縮機91に流入した第1蒸留塔101の塔頂蒸気を凝縮して貯蔵タンク131に流入させて貯蔵した後に、第1蒸留塔101の上部流入ライン110を介して第1蒸留塔101に還流させるか、製品排出ライン130を介して製品として排出した。
【0046】
第1蒸留塔101に流入した第2蒸留塔201の塔頂蒸気を蒸留して第1蒸留塔101の塔底流出ライン151を介して第1蒸留塔101の塔底凝縮液を第2蒸留塔201に流入させ、第2蒸留塔201の塔底再沸器261を通じて第2蒸留塔201の塔底流出ライン251に流出した塔底凝縮液を加熱し、第2蒸留塔201の下部流入ライン210を介して第2蒸留塔201に還流させた。
【0047】
第1蒸留塔101の上部流出ライン141で低沸点物質であるエチレンを分離し、第2蒸留塔201の塔底流出ライン271で高沸点物質であるエタンを分離した。前記第1蒸留塔101の塔頂の温度は−36.24℃、圧力は15.54kg/cmcmに維持したし、第2蒸留塔101の塔底再沸器261を通じてのエネルギー供給量は18.89Gcal/hrであり、還流比は5.33に制御した。
【0048】
<比較例2>
図3に例示された蒸留装置を利用してナフサ分解工程で生産されたC2成分のうちエチレンとエタンを分離した。図3に例示された通り、第1原料供給ライン1011を第1蒸留塔101の下部流入口と連結し、第1蒸留塔101の塔底流出口を第1連結ライン1051を介して熱交換器231および第2蒸留塔201の下部流入口と連結した。
【0049】
第1原料供給ライン1011を介して原料物質を198,846kg/hrで第1蒸留塔101の下部流入口に流入させて蒸留し、第1蒸留塔101の塔底流出口から流出する流れを第1連結ライン1051を介して第2蒸留塔201の下部流入口に流入させて蒸留した。
【0050】
第1蒸留塔101の塔頂流出ライン1021を経て第1蒸留塔101の塔頂凝縮機111に流入した第1蒸留塔101の塔頂蒸気を凝縮して貯蔵タンク121に流入させて貯蔵した後に、第1蒸留塔101の上部流入ライン1031を介して第1蒸留塔101に還流させるか、製品排出ライン120を通じて製品として排出した。
【0051】
第2蒸留塔201の塔頂流出ライン2011を経て第2蒸留塔201の塔頂凝縮機211に流入した第2蒸留塔201の塔頂蒸気を凝縮して貯蔵タンク221に流入させて貯蔵した後に、前記第2蒸留塔201の上部流入ライン2051を介して第2蒸留塔201に還流させた。第1蒸留塔101の上部流出ライン1041および第2蒸留塔202の上部流出ライン2061で低沸点物質であるエチレンを分離し、第2蒸留塔201の塔底流出ライン2071で高沸点物質であるエタンを分離した。
【0052】
前記第1連結ライン1051を介して流入する第1蒸留塔101の塔底流出の流れを熱交換器231に流入させて熱交換した後に第2蒸留塔201の下部流入口に流入させた。前記第1蒸留塔101の塔底流出口を通じて流出して第2蒸留塔201の下部流入口に流入する流れは153,244kg/hrに維持したし、第2蒸留塔202の塔底再沸器を通じてのエネルギー供給量は11.35Gcal/hrであった。第1蒸留塔101の還流比は4.18であり、第2蒸留塔201の還流比は3.06となるように制御した。また、第1蒸留塔101の塔頂流れの温度は−36.24℃、圧力は15.54kg/cm2に維持したし、第2蒸留塔201の塔頂流出口から排出される塔頂蒸気の流れ2014の温度T2は−36.24℃、圧力は15.54kg/cm2に維持した。第1蒸留塔101の塔底流出口から排出される第1蒸留塔101の塔底流れ1055の温度T3は−24.00℃に維持したし、第1蒸留塔101の塔底流出口から排出されて第1連結ライン1051を介して熱交換器231を経た後に第2蒸留塔201に流入する第1蒸留塔101の塔底流出の流れ1056の温度T1、T4は9.01℃であった。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例および比較例の蒸留装置を利用してエチレンとエタンを分離する場合の原料物質の供給量、エチレンの生産量、塔底の液体の質量流量、凝縮機に供給されるエネルギー、再沸器に供給されるエネルギーおよび蒸気再圧縮機に供給されるエネルギーを表1に図示した。比較例2と実施例の場合、Feed Rateは第1蒸留塔の塔底から流出して第2蒸留塔に流入する流れの量を意味し、塔底の液体の質量流量は各蒸留塔でトレイごとに下の段に降りて行く液体の質量流量を意味し、Shaftworkは蒸気再圧縮機に供給されるエネルギーの量を意味する.表1を参照すると、本出願の実施例に係る蒸留装置を利用してエチレンとエタンを分離する場合、比較例1に比べて同一大きさの蒸留塔を使用してより多くの製品を生産することができ、比較例1および2に比べて蒸気再圧縮機に1,267KWだけを供給しても第2蒸留塔の塔頂凝縮機に要求されるエネルギー消費量を大幅に節減することができる。
【符号の説明】
【0055】
101、102:第1蒸留塔
201、202:第2蒸留塔
91、111、112:第1蒸留塔の塔頂凝縮機
211、212:第2蒸留塔の塔頂凝縮機
121、122、131、221、222:貯蔵タンク
231、232:熱交換器
242:蒸気再圧縮機
252:バルブ
1011、1012:第1原料供給ライン
21:第2原料供給ライン
151:第1蒸留塔の塔底流出ライン
241、2011:第2蒸留塔の塔頂流出ライン
210:第2蒸留塔の下部流入ライン
261:第2蒸留塔の塔底再沸器
81、1021、1022:第1蒸留塔の塔頂流出ライン
141、1041、1042:第1蒸留塔の上部流出ライン
1051、1052:第1連結ライン
2012、2022、2032:第2連結ライン
2061、2062:第2蒸留塔の上部流出ライン
120、130、1030:製品排出ライン
110、1031、1032:第1蒸留塔の上部流入ライン
2051、2052:第2蒸留塔の上部流入ライン
2061、2062:第2蒸留塔の上部流出ライン
251、271、2071、2072:第2蒸留塔の塔底流出ライン
1054、1055:第1蒸留塔の塔底流出口から排出される第1蒸留塔の塔底流れ
1053、1056:第1蒸留塔の塔底流出口から排出されて第1連結ラインを介して熱交換器を経た後に第2蒸留塔に流入する第1蒸留塔の塔底流出の流れ
2013、2014:第2蒸留塔の塔頂流出口から排出される塔頂蒸気の流れ
図1
図2
図3