特許第6986616号(P6986616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986616
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】積層体及び光学積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/023 20190101AFI20211213BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20211213BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20211213BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B32B7/023
   B32B7/022
   B32B7/06
   G02B5/30
【請求項の数】9
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2020-195268(P2020-195268)
(22)【出願日】2020年11月25日
(65)【公開番号】特開2021-92770(P2021-92770A)
(43)【公開日】2021年6月17日
【審査請求日】2021年9月30日
(31)【優先権主張番号】特願2019-222902(P2019-222902)
(32)【優先日】2019年12月10日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴景
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−91029(JP,A)
【文献】 特開2019−159200(JP,A)
【文献】 特開2019−159197(JP,A)
【文献】 特開2019−159198(JP,A)
【文献】 特開2019−159199(JP,A)
【文献】 特開2016−112825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材層、第1液晶硬化層、粘接着層、第2液晶硬化層及び第2基材層をこの順で含む積層体であって、
前記第1液晶硬化層及び前記第2液晶硬化層はともに、重合性液晶化合物の硬化物を含む層と配向層とを含み、
前記第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、それぞれ、該層を形成するフィルムを中央部が30mm×30mmの正方形で切り抜かれた糊付き台紙に貼合した測定試料を用い、先端径が1mmφ0.5Rのニードルを0.33cm/秒の速度で、該フィルムの面に対し垂直に突刺し、破断が生じたときに測定される、該フィルムの突刺し方向の撓みによる変位量をひずみ量S(mm)とし、該フィルムに加えられた応力をF(g)としたとき、式(1):
突刺し弾性率(g/mm)=F(g)/S(mm) (1)
により算出される突刺し弾性率が50g/mm以下であり、
前記第1基材層及び前記第2基材層は、それぞれ、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層から剥離可能であり、前記第1基材層及び前記第2基材層のうち、先に剥離される基材層を第1剥離層とし、後で剥離される基材層を第2剥離層とすると、第1剥離層を剥離する際の剥離力は、第2剥離層を剥離する際の剥離力よりも大きく、
前記第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは、前記第2液晶硬化層に含まれる配向層の厚さよりも小さく、
前記積層体から第1基材層及び第2基材層を剥離して得られる光学積層体の引張弾性率が1,000N/mm以下である、積層体。
【請求項2】
前記第1剥離層を剥離する際の剥離力が0.15N/25mm以下であり、前記第2剥離層を剥離する際の剥離力が0.05N/25mm以上である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは、前記第2液晶配向層に含まれる配向層の厚さの1/3以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは10nm〜500nmであり、前記第2液晶配向層に含まれる配向層の厚さは1μm〜3.5μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
前記第1液晶硬化層及び前記第2液晶硬化層は、λ/4の位相差を与える層及びポジティブC層であるか、又は、λ/4の位相差を与える層及びλ/2の位相差を与える層である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
前記粘接着層は接着層である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
第1液晶硬化層、粘接着層、第2液晶硬化層をこの順で含む光学積層体であって、
前記第1液晶硬化層及び前記第2液晶硬化層はともに、重合性液晶化合物の硬化物を含む層と配向層とを含み、
前記第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、それぞれ、該層を形成するフィルムを中央部が30mm×30mmの正方形で切り抜かれた糊付き台紙に貼合した測定試料を用い、先端径が1mmφ0.5Rのニードルを0.33cm/秒の速度で、該フィルムの面に対し垂直に突刺し、破断が生じたときに測定される、該フィルムの突刺し方向の撓みによる変位量をひずみ量S(mm)とし、該フィルムに加えられた応力をF(g)としたとき、式(1):
突刺し弾性率(g/mm)=F(g)/S(mm) (1)
により算出される突刺し弾性率が50g/mm以下であり、
前記第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは、前記第2液晶硬化層に含まれる配向層の厚さよりも小さく、
前記光学積層体の引張弾性率が1,000N/mm以下である、光学積層体。
【請求項8】
前記第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは、前記第2液晶配向層に含まれる配向層の厚さの1/3以下である、請求項7に記載の光学積層体。
【請求項9】
前記第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは10nm〜500nmであり、前記第2液晶配向層に含まれる配向層の厚さは1μm〜3.5μmである、請求項7又は8に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体及び光学積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELともいう。)表示装置に代表される画像表示装置が急速に普及している。有機EL表示装置には、偏光子及び位相差フィルムを備える円偏光板やさらに他光学機能層を積層された光学積層体が搭載される。
【0003】
有機EL表示装置等の画像表示装置向けの位相差フィルムとして、従来の樹脂フィルムを延伸したフィルムや、液晶化合物を材料として形成したフィルムが検討されている。そして、画像表示装置の薄型化への要望が強くなるに伴って、位相差フィルム及びそれを備える光学積層体についても薄型化が求められている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−102286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来知られる位相差フィルムを含む光学積層体は、温度変化による膨張収縮により位相差フィルムを起点としてクラックが生じることがあった。このようなクラックは、特に急激な温度変化(熱衝撃)が与えられた際に生じやすい。該クラックが発生しやすいと、光学積層体の耐久性が低下することに加えて、画像表示装置における視認性も低下する場合がある。
【0006】
また、例えば位相差層等の液晶硬化層を2以上積層させた光学積層体は、製造工程において、該光学積層体の両面に基材層を貼り合わせた積層体を製造し、該積層体の両面の基材層を剥離する工程を経て、製造される場合が多いが、上記の剥離工程において、積層された2以上の液晶硬化層間に外力がかかることにより、液晶硬化層間にわずかな剥離が生じる場合がある。このような剥離によっても、光学積層体を画像表示装置に組み込んだ際に、視認性が低下する場合がある。
【0007】
したがって、本発明は、急激な温度変化によるクラックの発生が抑制された光学積層体を提供することを課題とする。また、本発明は、光学積層体に積層された基材層の剥離等による外力によって、積層された液晶硬化層間での剥離が生じにくい光学積層体、及び、積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、光学積層体における液晶硬化層及び光学積層体の構成について検討を行った。その結果、液晶硬化層を形成するフィルムが所定の突刺し弾性率を有し、光学積層体が所定の引張弾性率を有する場合に、上記の課題が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕第1基材層、第1液晶硬化層、粘接着層、第2液晶硬化層及び第2基材層をこの順で含む積層体であって、
前記第1液晶硬化層及び前記第2液晶硬化層はともに、重合性液晶化合物の硬化物を含む層と配向層とを含み、
前記第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、それぞれ、該層を形成するフィルムを中央部が30mm×30mmの正方形で切り抜かれた糊付き台紙に貼合した測定試料を用い、先端径が1mmφ0.5Rのニードルを0.33cm/秒の速度で、該フィルムの面に対し垂直に突刺し、破断が生じたときに測定される、該フィルムの突刺し方向の撓みによる変位量をひずみ量S(mm)とし、該フィルムに加えられた応力をF(g)としたとき、式(1):
突刺し弾性率(g/mm)=F(g)/S(mm) (1)
により算出される突刺し弾性率が50g/mm以下であり、
前記第1基材層及び前記第2基材層は、それぞれ、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層から剥離可能であり、前記第1基材層及び前記第2基材層のうち、先に剥離される基材層を第1剥離層とし、後で剥離される基材層を第2剥離層とすると、第1剥離層を剥離する際の剥離力は、第2剥離層を剥離する際の剥離力よりも大きく、
前記第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは、前記第2液晶硬化層に含まれる配向層の厚さよりも小さく、
前記積層体から第1基材層及び第2基材層を剥離して得られる光学積層体の引張弾性率が1,000N/mm以下である、積層体。
〔2〕前記第1剥離層を剥離する際の剥離力が0.15N/25mm以下であり、前記第2剥離層を剥離する際の剥離力が0.05N/25mm以上である、前記〔1〕に記載の積層体。
〔3〕前記第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは、前記第2液晶配向層に含まれる配向層の厚さの1/3以下である、前記〔1〕又は〔2〕のいずれかに記載の積層体。
〔4〕前記第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは10nm〜500nmであり、前記第2液晶配向層に含まれる配向層の厚さは1μm〜3.5μmである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の積層体。
〔5〕前記第1液晶硬化層及び前記第2液晶硬化層は、λ/4の位相差を与える層及びポジティブC層であるか、又は、λ/4の位相差を与える層及びλ/2の位相差を与える層である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の積層体。
〔6〕前記粘接着層は接着層である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の積層体。
〔7〕第1液晶硬化層、粘接着層、第2液晶硬化層をこの順で含む光学積層体であって、
前記第1液晶硬化層及び前記第2液晶硬化層はともに、重合性液晶化合物の硬化物を含む層と配向層とを含み、
前記第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、それぞれ、該層を形成するフィルムを中央部が30mm×30mmの正方形で切り抜かれた糊付き台紙に貼合した測定試料を用い、先端径が1mmφ0.5Rのニードルを0.33cm/秒の速度で、該フィルムの面に対し垂直に突刺し、破断が生じたときに測定される、該フィルムの突刺し方向の撓みによる変位量をひずみ量S(mm)とし、該フィルムに加えられた応力をF(g)としたとき、式(1):
突刺し弾性率(g/mm)=F(g)/S(mm) (1)
により算出される突刺し弾性率が50g/mm以下であり、
前記第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは、前記第2液晶硬化層に含まれる配向層の厚さよりも小さく、
前記光学積層体の引張弾性率が1,000N/mm以下である、光学積層体。
〔8〕前記第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは、前記第2液晶配向層に含まれる配向層の厚さの1/3以下である、前記〔7〕に記載の光学積層体。
〔9〕前記第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは10nm〜500nmであり、前記第2液晶配向層に含まれる配向層の厚さは1μm〜3.5μmである、前記〔7〕又は〔8〕に記載の積層体。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、急激な温度変化によるクラックの発生が抑制され、積層された液晶硬化層間での剥離が生じにくい光学積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の積層体の一例を示す断面模式図である。
図2】突刺し弾性率の測定の測定に使用する空隙部を有する糊付き台紙(以下、場合により「糊付き台紙」という)を上面からみた模式図である。
図3】(a)は、糊付き台紙に測定フィルムを貼り合わせる際の要部を示す模式斜視図であり、(b)は、糊付き台紙に測定フィルムを貼り合わせた後の上部を模式的に示す図である。
図4】糊付き台紙に測定フィルムを貼り合わせた後のサンプル(以下、場合により「測定フィルム付き台紙」という)にニードルを突刺す際の断面を模式的に示す図である。
図5】突刺し弾性率測定時の断面を模式的に示す図であり、(a)及び(b)は、ニードルをフィルムに突刺すことにより、フィルムに変形が生じている状態を示す。
図6】光学積層体の引張弾性率の測定に使用する測定試料を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
【0013】
<積層体及び光学積層体>
本発明の光学積層体は、第1液晶硬化層、粘接着層及び第2液晶硬化層をこの順で含み、本発明の積層体は、第1基材層、第1液晶硬化層、粘接着層、第2液晶硬化層及び第2基材層をこの順で含む。本発明の光学積層体及び積層体は、上記の層を上記の順で含む限り、上記以外のさらなる層を含んでいてもよい。当該光学積層体及び当該積層体に含まれる第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層はともに、重合性液晶化合物の硬化物を含む層と配向層とを有する。
【0014】
本発明の積層体及び光学積層体に含まれる第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、配向層と重合性液晶化合物の硬化物を含む層とが積層された層である。重合性液晶化合物は、重合性基を有する化合物であって、液晶状態となり得る化合物である。重合性液晶化合物の重合性基同士が反応して重合性液晶化合物が重合することにより、重合性液晶化合物が硬化し、各液晶硬化層が形成される。なお、重合性液晶化合物が重合した硬化物は、液晶性を示す必要はない。
【0015】
第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、好ましくは位相差層であり、より好ましくは、それぞれ独立に、λ/4の位相差を与える層、λ/2の位相差を与える層、及びポジティブC層からなる群から選択される層である。第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、λ/4の位相差を与える層及びポジティブC層の組み合わせ、又は、λ/4の位相差を与える層及びλ/2の位相差を与える層の組み合わせであることが好ましい。
【0016】
第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、それぞれ、該層を形成するフィルムを中央部が30mm×30mmの正方形で切り抜かれた糊付き台紙に貼合した測定試料を用い、先端径が1mmφ0.5Rのニードルを0.33cm/秒の速度で、該フィルムの面に対し垂直に突刺し、破断が生じたときに測定される、該フィルムの突刺し方向の撓みによる変位量をひずみ量S(mm)とし、該フィルムに加えられた応力をF(g)としたとき、式(1):
突刺し弾性率(g/mm)=F(g)/S(mm) (1)
により算出される突刺し弾性率が50g/mm以下である。なお、本明細書において、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層を単に「液晶硬化層」とも称する。各液晶硬化層の、上記式(1)により算出される突刺し弾性率が50g/mm以下である場合、急激な温度変化によるクラックの発生を抑制することができる。積層体及び光学積層体において、液晶硬化層の突刺し弾性率が50g/mmを超える場合、当該層において急激な温度変化によるクラックの発生を抑制することが困難であり、このような光学積層体を画像表示装置に組み込む場合、光学積層体の耐久性が十分でないと共に、視認性が損なわれる場合がある。
【0017】
液晶硬化層の突刺し弾性率は、光学積層体における急激な温度変化によるクラックの発生を抑制しやすい観点から、好ましくは40g/mm以下、より好ましくは35g/mm以下、さらに好ましくは30g/mm以下である。また、基材層を剥離する際の剥離性を向上する観点、及び、光学積層体の強度を高めやすい観点からは、好ましくは5g/mm以上、より好ましくは10g/mm以上、さらに好ましくは15g/mm以上である。
【0018】
本明細書において、突刺し弾性率は、フィルムを中央部が30mm×30mmの正方形で切り抜かれた糊付き台紙に貼合した測定試料を用い、先端径が1mmφ0.5Rのニードルを0.33cm/秒の速度で、該フィルムの面に対し垂直に突刺し、破断が生じたときに測定される、該フィルムの突刺し方向の撓みによる変位量をひずみ量S(mm)とし、該フィルムに加えられた応力をF(g)としたとき、応力FとひずみSの間の比例定数(応力F/ひずみS)として、式(1):
突刺し弾性率(g/mm)=F(g)/S(mm) (1)
により算出される物性値である。突刺し弾性率の測定は、ロードセルを備えた圧縮試験機を用いて行うことができ、圧縮試験機の例としては、カトーテック株式会社製の突刺し試験機「NDG5」、ハンディー圧縮試験機「KES−G5」、株式会社島津製作所の小型卓上試験機「EZ Test」等が挙げられる。この様な圧縮試験機を用いて求められる応力―ひずみ曲線から、破断が生じた際にフィルムに加えられた応力とそれまでにフィルムに生じたひずみ量を測定することができる。なお、突刺し冶具を押圧時にフィルムに生じる破断には、冶具先端によりフィルムに貫通穴が生じる場合も含まれる。突刺し弾性率の測定は、具体的には、実施例に記載の通り、中央部が30mm×30mmの正方形で切り抜かれた空隙部を有する糊付き台紙にフィルムを貼合した測定試料を用いて、空隙部にあるフィルムの略中央に先端径が1mmφ0.5Rのニードルを0.33cm/秒の速度で、該フィルムの面に対し略垂直に突刺し、破断が生じたときに測定される、該フィルムの突刺し方向の撓みによる変位量をひずみ量S(mm)と該フィルムに加えられた応力F(g)から、上記の式(1)により算出される。
【0019】
図面を用いて、カトーテック株式会社製の突刺し試験機「NDG5」を用いた場合の突刺し弾性率の測定手段に関して、要部を説明する。
【0020】
図2は、液晶硬化層の突刺し弾性率を求めるための空隙部を有する糊付き台紙(糊付き台紙7)を上部からみた模式図である。糊付き台紙7は、中央部に、測定に供するフィルム(液晶硬化層、以下、「測定フィルム12」ともいう)を貼り合わせる部分となる、30mm×30mmの正方形に刳り貫かれた部分(空隙部6)を有する。
【0021】
図3は、糊付き台紙7に測定フィルム12を貼り合わせる際の要部を示す模式図であり、(a)は、糊付き台紙7に測定フィルム12を貼り合わせる際の斜視図であり、糊付き台紙7に測定フィルム12を貼り合わせた後の測定フィルム付き台紙1を上部(図3(a)の方向A)からみた模式図である。点線は空隙部6の外周8を示す。空隙部6の略中央部に位置する、ニードルNを突刺す位置Mは、空隙部6の外周8の斜め方向に対向する点(R及びR’)を結んだ2つの直線の交点である。図4は、測定フィルム付き台紙1において、I−I’に沿った断面図(ニードルNを突刺す前)を模式的に図4に示す。
【0022】
ニードルNを態様1の測定フィルム12の略中央に突刺す。かかる突刺しにおいて、ニードルNに印加した応力F(g)をフィルムの突刺し方向の撓みによるひずみ量S(mm)の相関を求め、フィルムの破断が生じた際の応力F(g)及びひずみ量S(mm)から、上記式(1)に応じて突刺し弾性率を求める。突刺し弾性率を求める際には、フィルムに変形が生じた状態で破断が生じる場合(図5(a)の状態で破断が生じる場合)、フィルムにさらに変形が生じた状態で破断が生じる場合(図5(b)の状態で破断が生じる場合)があるが、本発明における突刺し弾性率は、前記突刺し試験機における印加応力と、ひずみ量Sとから求めることとし、ひずみ量Sは、図5(a)の状態で破断が生じる場合のSであってもよいし、図5(b)の状態で破断が生じる場合のSであってもよい。なお、フィルムに破断が生じることによって、印加応力が上昇傾向から低下傾向に代わるため、この変更点で破断が生じたと理解することができる。
【0023】
なお、測定フィルム付き台紙1の作成手段は特に限定されない。特定の寸法にした、基材付き液晶硬化膜を糊付き台紙7の空隙部6に貼り合わせた後に、貼り合わされた基材付き液晶硬化膜から基材を剥離して、測定フィルム付き台紙1を作成してもよいし、糊付き台紙7に貼り合わせる前に、基材付き液晶硬化膜から基材を剥離し、剥離後の液晶硬化膜を貼り合わせてもよい。
【0024】
糊付き台紙7において、測定フィルムを固定するための糊は、突刺し弾性率測定の途中で、測定フィルム付き台紙から部分的にでも、測定フィルムが剥がれないようにできるものであれば、特に限定されない。突刺し弾性率測定に用いる糊付き台紙7の糊を見出すための、適当な予備実験を行ってもよい。
【0025】
第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層の厚さは、特に限定されないが、積層体及び光学積層体の耐久性を十分に高めやすい観点から、それぞれ、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上である。また、該厚さは、積層体及び光学積層体を薄膜化させやすく、視認性を高めやすい観点からは、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3.5μm以下である。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。また、液晶硬化層の厚さはレーザー顕微鏡を用いて測定できる。
【0026】
第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層のような液晶硬化層において、後述するように、例えば、重合性液晶化合物を含む組成物を適当な基材上に塗布し、重合性液晶化合物を含む塗布層を基材上に形成し、当該塗布層に含まれる重合性液晶化合物を重合させることで形成することができる。かかる液晶硬化層の塗布手段に応じた、塗布層の厚さ制御手段により、所望の厚さの液晶硬化層を製造することができる。塗布層の厚さと、得られる液晶硬化層の厚さの相関を求めるため、適当な予備実験を行ってもよい。
【0027】
本発明の積層体において、第1基材層及び前記第2基材層は、それぞれ、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層から剥離可能であり、前記積層体から第1基材層及び第2基材層を剥離して得られる光学積層体の引張弾性率が1,000N/mm以下である。該光学積層体の引張弾性率が1,000N/mmを超える場合、光学積層体に積層された基材層の剥離等による外力によって生じる積層された液晶硬化層間での剥離を十分に抑制することができない。上記の光学積層体の引張弾性率は、液晶硬化層間の剥離を防止しやすい観点から、好ましくは980N/mm以下、より好ましくは900N/mm以下である。また、光学積層体の引張弾性率は、液晶硬化層間の剥離を防止しやすい観点から、好ましくは400N/mm以上、より好ましくは500N/mm以上であり、特に粘接着層が接着層である場合に、さらに好ましくは600N/mm以上、さらにより好ましくは700N/mm以上、とりわけ好ましくは800N/mm以上である。
【0028】
本発明の積層体において、前記第1基材層及び前記第2基材層のうち、先に剥離される基材層を第1剥離層とし、後で剥離される基材層を第2剥離層とすると、第1剥離層を剥離する際の剥離力は、液晶硬化層間の剥離を防止しやすい観点から、好ましくは0.15N/25mm以下、より好ましくは0.13N/25mm以下、さらに好ましくは0.10N/25mm以下であり、かつ、第2剥離層を剥離する際の剥離力は、液晶硬化層間の剥離を防止しやすい観点から、好ましくは0.05N/25mm以上、より好ましくは0.07N/25mm以上である。上記の剥離力は、引張り試験機を用いて測定することができ、例えば実施例に記載の方法により測定することができる。
【0029】
本発明の光学積層体は、好ましくは、本発明の積層体から第1基材層及び第2基材層を剥離した後に得られる積層体である。
【0030】
光学積層体における急激な温度変化によるクラックの発生は、液晶硬化層が配向層を含む場合に生じやすい傾向がある。本発明の積層体及び光学積層体によれば、上記の場合であっても、急激な温度変化によるクラックの発生を抑制することが可能である。
【0031】
また、積層された液晶硬化層間での剥離は、積層体における第1基材層及び第2基材層のうち、先に剥離される基材層を第1剥離層とし、後で剥離される基材層を第2剥離層とすると、第1剥離層を剥離する際の剥離力が第2剥離層を剥離する際の剥離力よりも大きい場合、液晶硬化層が接着層を介して貼合される場合に生じやすい。本発明によれば、上記の場合であっても、積層された液晶硬化層間での剥離を抑制することが可能である。
【0032】
本発明の積層体においては、先に剥離される基材層を第1剥離層とし、後で剥離される基材層を第2剥離層とするとした場合、第1剥離層を剥離する際の剥離力が第2剥離層を剥離する際の剥離力よりも大きい。この場合であっても、本発明の積層体においては、積層された液晶硬化層間での剥離を抑制するという効果が得られる。
【0033】
本発明の積層体の厚さは、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある点から、好ましくは80μm以上、より好ましくは140μm以上である。また、上記の厚さは、長尺化した際、厚すぎると重量が重くなり、取り扱いが困難になるという点から、好ましくは170μm以下、より好ましくは160μm以下である。
【0034】
本発明の光学積層体の厚さは、光学積層体を薄膜化させやすく、視認性を高めやすい観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは6μm以上である。また、上記の厚さは、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。
【0035】
<液晶硬化層>
本発明の積層体及び光学積層体に含まれる第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、配向層と重合性液晶化合物の硬化物を含む層とが積層された層である。
【0036】
(重合性液晶硬化物含有層)
本発明の積層体及び光学積層体に含まれる第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、重合性液晶化合物の硬化物を含む層(「重合性液晶硬化物含有層」とも称する)を少なくとも含む。重合性液晶化合物の種類は、特に限定されず、その形状から分類すると、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(円盤状液晶化合物、ディスコティック液晶化合物)とのいずれであってもよい。さらに、それぞれの分類における、低分子タイプと高分子タイプとのいずれであってもよい。なお、本明細書において高分子とは、重合度が100以上のものを表す。液晶硬化層に硬化物として含まれる重合性液晶化合物は、1種類であってもよいし、2種類以上の混合物(例えば2種以上の棒状液晶化合物の混合物、2種以上の円盤状液晶化合物の混合物、又は棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物)であってもよい。
【0037】
棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報の請求項1に記載の化合物を好適に用いることができる。円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報の段落[0020]〜[0067]、又は、特開2010−244038号公報の段落[0013]〜[0108]に記載のものを好適に用いることができる。
【0038】
重合性液晶化合物は、1種類であってもよいし、2種類以上を併用してもよいが、少なくとも1種の重合性液晶化合物は、分子内に2以上の重合性基を有することが好ましい。
【0039】
重合性液晶化合物が有する重合性基は、特に限定されないが、好ましくは付加重合反応が可能な官能基であり、より好ましくはエチレン性不飽和基及び環重合性基であり、さらに好ましくはエチレン性不飽和基である。エチレン性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などが挙げられる。重合性基は、取り扱いが容易な上、製造も容易である点から、好ましくは(メタ)アクリロイル基である。なお、(メタ)アクリロイル基とは、メタアクリロイル基及びアクリロイル基の両者を包含する概念である。
【0040】
液晶硬化層は、例えば、後述する基材層上に、配向層を形成し、該配向層上に重合性液晶化合物を含む組成物を塗布することにより形成される。基材層は、通常、液晶硬化層から剥離して使用されるが、剥離する際、該配向層と基材層との間で剥離が生じ、配向層が光学積層体に含まれる。そのため、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、重合性液晶化合物の硬化物を含む層と配向層とを含む。また、この場合、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層に含まれる配向層は、基材とともに剥離されない、転写型の配向層である。
【0041】
重合性液晶化合物の硬化物を含む層の厚さは、特に限定されないが、積層体及び光学積層体の耐久性を十分に高めやすい観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上である。また、該厚さは、積層体及び光学積層体を薄膜化させやすく、視認性を高めやすい観点からは、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは4μm以下である。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。また、重合性液晶化合物の硬化物を含む層の厚さはレーザー顕微鏡を用いて測定することができる。液晶硬化層がλ/4の位相差を与える層、λ/2の位相差を与える層、及びポジティブC層からなる群から選択される層である場合、重合性液晶化合物の硬化物を含む層の厚さを、所望の面内位相差値、及び厚さ方向の位相差値が得られるよう調整してよい。
【0042】
(配向層)
配向層は、液晶硬化層を形成する重合性液晶化合物の分子軸の方向を所望の位相差特性となるように規制する能力を有する層である。重合性液晶化合物が硬化した層(液晶硬化層)は、配向層を介して基材上に形成される。配向層としては、配向性ポリマーを含む配向層、光配向膜及び表面に凹凸パターンや複数の溝を形成し配向させるグルブ配向層が挙げられる。
【0043】
配向層は、配向層上に液晶硬化層を形成した後、液晶硬化層を含む積層体から基材層を剥離する際に、基材層と共に剥離除去されるか、又は、液晶硬化層に残る。本発明においては液晶硬化層に配向層を含ませるために、配向層が液晶硬化層に残るようにして基材層を剥離除去する。このように配向層を液晶硬化層に残すことにより、液晶硬化層の突刺し弾性率を上記の所望の範囲に調整しやすく、かつ、基材層を剥離する際の剥離性を向上させやすい。したがって、同様の観点から、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、配向層と重合性液晶化合物の硬化物を含む層とが積層された層であることが好ましい。
【0044】
配向層は、配向層が基材層と共に剥離除去されず、液晶硬化層に残しやすい観点、及び、突刺し弾性率を所望の範囲に調整しやすい観点からは、単官能や2官能の(メタ)アクリレート系モノマー、イミド系モノマーもしくはビニルエーテル系モノマーを硬化させた硬化物等の樹脂を含むことが好ましく、単官能や2官能の(メタ)アクリレート系モノマーを硬化させた硬化物を含むことがより好ましい。配向層が基材層と共に剥離除去されず、液晶硬化層が配向層を含むと、光学積層体の強度を維持しやすいという利点もある。
【0045】
液晶硬化層が配向層を含む本発明の積層体又は光学積層体において、好ましい単官能の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、炭素数4〜16のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数2〜14のβ−カルボキシアルキル(メタ)アクリレート、炭素数2〜14のアルキル化フェニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びイソボニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。2官能の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、エトキシ化ビスフェノールA−ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及び3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。イミド系モノマーを硬化させたイミド系樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド等が挙げられる。なお、イミド系樹脂は、これらの1種類であってもよいし、2種類以上の混合物であってもよい。
【0046】
配向層に含まれる樹脂は、単官能や2官能の(メタ)アクリレート系モノマー、イミド系モノマー及びビニルエーテル系モノマー以外の他のモノマーに由来する構成単位を含んでいてもよいが、該樹脂における、単官能や2官能の(メタ)アクリレート系モノマー、イミド系モノマー及びビニルエーテル系モノマーに由来する構成単位の含有割合は、全構成単位に基づいて、好ましくは50モル%以上、より好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上である。
【0047】
配向層の厚さは、好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは500nm以上、さらにより好ましくは1,000nm以上、とりわけ好ましくは2,000nm以上である。また、配向層の厚さは、好ましくは10,000nm以下、より好ましくは7,000nm以下、さらに好ましくは5,000nm以下である。特に、該配向層が液晶硬化層に含まれる場合、配向層の厚さが上記の範囲内であると、液晶硬化層の突刺し弾性率を上記の好ましい範囲に調整しやすい。
【0048】
上述のとおり、先に剥離される基材層を第1剥離層とし、後で剥離される基材層を第2剥離層とした場合、第1剥離層を剥離する際の剥離力が第2剥離層を剥離する際の剥離力よりも大きいときであっても、積層された液晶硬化層間での剥離を抑制するという効果を発現するためには、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層にそれぞれ含まれる配向層の厚さを異なるものとすることが効果的である。具体的には、第1液晶硬化層と第1剥離層、第2液晶硬化層と第2剥離層が積層されている場合、第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さは、第2液晶配向層に含まれる配向層の厚さよりも小さい。このように、先に剥離される第1剥離層の剥離強度を高くしつつ、当該第1剥離層に積層している第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さを薄くすることにより、適度な剥離性を有しつつ、熱衝撃によるクラック発生を抑制できるという効果が発現する理由は必ずしも明確ではなく、本発明者の知見に基づく成果である。
【0049】
上記の通り、第1液晶硬化層に含まれる配向層(以下、「第1配向層」ともいう。)の厚さは、10nm〜500nmであることが好ましく、50nm〜200nmであることがより好ましい。第2液晶硬化層に含まれる配向層(以下、「第2配向層」ともいう。)の厚さは、1μm〜3.5μmであることが好ましく、1.5μm〜3.0μmであることがより好ましい。このような配向層の厚さの組み合わせは、急激な温度変化によるクラックの発生を防止しつつ、剥離性を向上させる(すなわち、積層された液晶硬化層間での剥離を抑制しつつ、基材層を剥離する)ために有効である。第1液晶硬化層に含まれる配向層の厚さを上記範囲とすることは、クラックの発生防止に効果的である。一方、第2基材層は第1基材層よりも後に剥離されるため、第2基材層上の第2液晶硬化層に含まれる配向層の剛性は、剥離性に影響を与えやすい。第2液晶硬化層に含まれる配向層の厚さを上記範囲とすることは、配向層の剛性を高めることにつながり、剥離性の向上に効果的である。第1配向層及び第2配向層の厚さは、これらの配向層を形成できる配向層形成組成物という液状の組成物を基材上に塗布することで、当該基材上に配向層を形成する際の塗布膜の厚さを調整することで、所望の範囲に調整することができる。配向層形成組成物の塗布は例えば、ダイ塗布手段によって行ってよく、塗布した塗布膜の厚さで、形成される配向層の厚さが決定する。従って、通常、配向層の厚さには、用いる塗布手段の厚さ誤差等による誤差を含むため、第1配向層の厚さを、第2配向層の厚さよりも小さくするために、用いる塗布手段の誤差を考慮する必要がある。このような誤差を考慮する必要がある場合には、配向層の厚さを測定する際に、少なくとも3点以上、より好ましくは5点以上の位置で配向層の厚さの測定を行い、得られた結果の平均値を配向層の厚さとすることが好ましい。本発明の効果をより享受するためには、第1配向層の厚さが、第2配向層の厚さの1/3以下であると好ましく、1/5以下であるとさらに好ましく、1/10以下であるととりわけ好ましい。
【0050】
配向層は、重合性液晶化合物の分子軸を垂直に配向させる垂直配向層であってもよいし、重合性液晶化合物の分子軸を水平配向させる配向層であってもよいし、重合性液晶化合物の分子軸を傾斜配向させる配向層であってもよい。配向層としては、後述する重合性液晶化合物を含む組成物の塗工等により溶解しない溶媒耐性を有し、また、溶媒の除去や液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。配向層としては、配向性ポリマーを含む配向層、光配向膜及び表面に凹凸パターンや複数の溝を形成し配向させるグルブ配向層が挙げられる。
【0051】
配向層は、液晶硬化層の突刺し弾性率を上記の好ましい範囲に調整しやすい観点から、好ましくは、モノマーの分子量に対するモノマー1分子あたりの水酸基数の割合が0.4%未満であるモノマーから得た樹脂から構成されることが好ましい。なお、配向層を構成する樹脂が2以上のモノマーを重合させて得た樹脂である場合には、各モノマーについてモノマーの分子量に対するモノマー1分子あたりの水酸基数の割合を算出し、当該割合と各モノマーの混合比から加重平均値を算出し、上記の水酸基数の割合を算出してよい。モノマーの分子量に対するモノマー1分子あたりの水酸基数の割合は、好ましくは0.4%未満であり、より好ましくは0.35%以下、さらに好ましくは0.30%以下であり、0%であってもよい。
【0052】
(重合性液晶化合物の硬化物を含む層及び配向層)
上記のとおり、本発明の液晶硬化層は、配向層と重合性液晶化合物の硬化物を含む層とを含み、好ましくは配向層と重合性液晶化合物の硬化物を含む層とが積層された層である。本発明の液晶硬化層において、液晶硬化層の突刺し弾性率を上記の好ましい範囲に調整しやすい観点からは、該液晶硬化層に関し、次の式(A):
【数1】
により算出されるNが0.67以下であることが好ましい。液晶硬化層の突刺し弾性率を上記の好ましい範囲に調整しやすい観点から、上記のNは、より好ましくは0.64以下、さらに好ましくは0.50以下である。また、上記のNは、高温環境下における耐久性を維持する観点からは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.15以上である。
【0053】
ここで、上記の式(A)中の各記号について説明する。
ALは、配向層を構成する樹脂を構成する重合性化合物に由来する構成単位の種類数を表す。なお、液晶硬化層が配向層を含まない場合、AL=0である。
wiは、配向層を構成する樹脂における重合性化合物に由来する全構成単位を基準として、重合性化合物iに由来する構成単位の含有量(質量%)を示し、Mは、配向層を構成する重合性化合物iの分子量を示し、Nは、配向層を構成する重合性化合物iが有する重合性基の数を示す。
LCは、重合性液晶化合物の硬化物を含む層に関し、該層を構成する重合性液晶化合物に由来する構成単位の種類数を表す。
wjは、重合性液晶化合物の硬化物を含む層における重合性液晶化合物に由来する全構成単位を基準として、重合性液晶化合物jに由来する構成単位の含有量(質量%)を示し、Mは、該層を構成する重合性液晶化合物jの分子量を示し、Nは、該層を構成する重合性液晶化合物jが有する重合性基の数を示す。
ALは配向層の厚さ(μm)を示し、LLCは重合性液晶化合物の硬化物を含む層の厚さ(μm)を示す。Ltotalは、LALとLLCとの和を示す。
【0054】
<基材層>
本発明の積層体は、第1基材層及び第2基材層を含む。第1基材層及び第2基材層は、それぞれ、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層から剥離可能なように積層されており、これらの基材は、離型性支持体として機能し、転写用の液晶硬化層(好ましくは位相差層)、配向層を支持することができる。基材としては、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;マレイミド系樹脂等からなるフィルムが挙げられる。
【0055】
基材層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは20μm以上、より好ましくは35μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは105μm以下である。基材の厚さが上記の下限以上であると、積層体に強度を付与しやすく、上記の上限以下であると、積層体を長尺化した際、取り扱いし易い。基材の厚さは、例えば接触式膜厚計(MH−15M Nikon社製)により測定できる。
【0056】
基材層には、種々のブロッキング防止処理が施されていてもよい。ブロッキング防止処理としては、例えば、易接着処理、フィラー等を練り込ませる処理、エンボス加工(ナーリング処理)等が挙げられる。このようなブロッキング防止処理を基材に対して施すことによって、基材を巻き取る際の基材同士の張り付き、いわゆるブロッキングを効果的に防止することができ、積層体及び光学積層体を効率的に製造することが可能となり、生産性を向上させやすい。
【0057】
<粘接着層>
本発明の積層体及び光学積層体は、第1液晶硬化層と第2液晶硬化層との間に粘接着層を含む。粘接着層は、粘着剤により形成された粘着層又は接着剤により形成された接着剤層のいずれかであってよい。なお、本明細書において、粘着層は、貼合後も粘性を有する層であり、通常は固体状ではない。接着層は、貼合後は硬化等により固体状となる層である。通常、液晶硬化層が粘接着層を介して積層される場合に、急激な温度変化によるクラックの発生、及び、基材層を剥離する際の剥離が生じやすい傾向がある。しかし、本発明の積層体及び光学積層体によれば、第1液晶硬化層と第2液晶硬化層とが粘接着層を介して積層される場合であっても、上記のようなクラック及び剥離の発生を十分に抑制することができる。特に、基材層を剥離する際の剥離は、これらの層が接着層を介して積層される場合に生じやすいが、本発明の積層体及び光学積層体によれば、第1液晶硬化層と第2液晶硬化層とが接着層を介して積層される場合であっても、上記のような剥離の発生を十分に抑制することができる。
【0058】
光学積層体の引張弾性率を調整しやすいという観点から、粘接着層の引張弾性率は好ましくは2200N/mm以下、より好ましくは1900N/mm以下、さらに好ましくは1500N/mm以下、さらにより好ましくは、1300N/mm以下である。粘接着層の引張弾性率は、後述の実施例に記載された方法で測定される。
【0059】
(粘着層)
粘着層は、(メタ)アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂のような樹脂を主成分として含む。上記の樹脂の中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる観点から、(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。本明細書において、粘着層を形成するためのする組成物を、粘着剤組成物とも称する。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型の組成物であってもよい。粘着層の厚さは、好ましくは3〜30μmであり、より好ましくは3〜25μmである。
【0060】
粘着層に含まれる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が挙げられる。上記のようなベースポリマー中に、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーが挙げられる。
【0061】
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0062】
(接着層)
接着層を形成する接着剤としては、水系接着剤、又は、活性エネルギー線又は熱により硬化可能な硬化性接着剤が挙げられる。活性エネルギー線としては、紫外線、可視光、電子線、X線等が挙げられる。なお、硬化性接着剤を使用して接着層を形成する場合、これらの硬化性接着剤の硬化物が接着層を構成する。上記接着剤の中で、加熱して溶剤を除去する乾燥工程を省略可能であることから、活性エネルギー線又は熱により硬化可能な硬化性接着剤が好ましく、活性エネルギー線硬化性接着剤がより好ましい。
【0063】
水系接着剤としては、例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を水に溶解したもの又は水に分散させた組成物が挙げられ、該組成物に、多価アルデヒド、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物、グリオキザール、水溶性エポキシ樹脂のような硬化性成分や架橋剤をさらに含有させてもよい。
【0064】
硬化性接着剤は、通常、主成分として硬化性化合物を含む。硬化性接着剤は、その硬化様式により分類して、該硬化性化合物としてカチオン重合性化合物を含むカチオン重合型接着剤、該硬化性化合物としてラジカル重合性化合物を含むラジカル重合型接着剤、カチオン重合性化合物及びラジカル重合性化合物の両方を含むハイブリッド型硬化性接着剤等が挙げられる。カチオン重合性化合物の具体例としては、分子内に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、分子内に1個以上のオキセタン環を有するオキセタン化合物、ビニル化合物が挙げられる。また、ラジカル重合性化合物の具体例としては、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系化合物、ビニル化合物が挙げられる。硬化性接着剤は、カチオン重合性化合物を1種又は2種以上含むことができ、及び/又は、ラジカル重合性化合物を1種又は2種以上含むことができる。
【0065】
カチオン重合型接着剤の主成分であるカチオン重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射や加熱によりカチオン重合反応が進行し、硬化する化合物又はオリゴマーをいい、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニル化合物等を例示することができる。中でも、好ましいカチオン重合性化合物はエポキシ化合物である。エポキシ化合物とは、分子内に1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物は、1種のみを単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、水素化エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。中でも、耐候性、硬化速度及び接着性の観点から、エポキシ化合物は、好ましくは脂環式エポキシ化合物及び/又は脂肪族エポキシ化合物を含み、より好ましくは脂環式エポキシ化合物を含む。
【0066】
脂環式エポキシ化合物は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する化合物である。「脂環式環に結合したエポキシ基」とは、下記式(I)で示される構造における橋かけの酸素原子−O−を意味する。下記式(I)中、mは2〜5の整数である。
【0067】
【化1】
【0068】
上記式(I)における(CH中の1個又は複数個の水素原子を取り除いた形の基が他の化学構造に結合している化合物が、脂環式エポキシ化合物となり得る。(CH中の1個又は複数個の水素原子は、メチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。式(I)で表される化合物としては、m=3であるエポキシシクロペンタン構造を有する化合物、及び、m=4であるエポキシシクロヘキサン構造を有する化合物が好ましい。
【0069】
脂環式エポキシ化合物の具体例としては、以下が挙げられる:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジシクロペンタジエンジオキサイド。
【0070】
芳香族エポキシ化合物は、分子内に芳香族環とエポキシ基とを有する化合物である。その具体例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテル等のビスフェノール型エポキシ化合物又はそのオリゴマー;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型のエポキシ樹脂;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシジフェニルメタンのグリシジルエーテル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル等の多官能型のエポキシ化合物;エポキシ化ポリビニルフェノール等の多官能型のエポキシ樹脂が挙げられる。
【0071】
水素化エポキシ化合物は、脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテルであり、芳香族ポリオールを触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行うことにより得られる核水添ポリヒドロキシ化合物をグリシジルエーテル化したものであることができる。芳香族ポリオールの具体例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール型化合物;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラック樹脂等のノボラック型樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ポリビニルフェノール等の多官能型の化合物が挙げられる。芳香族ポリオールの芳香環に水素化反応を行って得られる脂環式ポリオールにエピクロロヒドリンを反応させることにより、グリシジルエーテルとすることができる。水素化エポキシ化合物の中でも好ましいものとして、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0072】
脂肪族エポキシ化合物は、脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環(3員の環状エーテル)を分子内に少なくとも1個有する化合物である。例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等の単官能のエポキシ化合物;1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等の2官能のエポキシ化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の3官能以上のエポキシ化合物;4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド等の、脂環式環に直接結合するエポキシ基1個と、脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環とを有するエポキシ化合物等がある。中でも、偏光フィルムと保護フィルムの間の接着性の観点から、脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環を分子内に2個有する2官能のエポキシ化合物(脂肪族ジエポキシ化合物ともいう)が好ましい。かかる好適な脂肪族ジエポキシ化合物は、例えば、下記式(II):
【化2】
[式(II)中、Yは、炭素数2〜9のアルキレン基、エーテル結合が介在している総炭素数4〜9のアルキレン基、又は脂環構造を有する炭素数6〜18の2価の炭化水素を表す]
で表される化合物である。式(II)で表される脂肪族ジエポキシ化合物としては、具体的には、アルカンジオールのジグリシジルエーテル、繰り返し数4程度までのオリゴアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、又は脂環式ジオールのジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0073】
上記式(II)で表される脂肪族ジエポキシ化合物を形成し得るジオール(グリコール)の具体例を以下に掲げる。アルカンジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等がある。オリゴアルキレングリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール等がある。脂環式ジオールとしては、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどのシクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール等がある。
【0074】
カチオン重合性化合物の1つであるオキセタン化合物は、分子内に1個以上のオキセタン環(オキセタニル基)を含有する化合物であり、その具体例は、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(オキセタンアルコールとも呼ばれる。)、2−エチルヘキシルオキセタン、1,4−ビス〔{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}メチル〕ベンゼン(キシリレンビスオキセタンとも呼ばれる。)、3−エチル−3〔{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}メチル〕オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−(シクロヘキシルオキシ)メチル−3−エチルオキセタンを含む。オキセタン化合物は、カチオン重合性化合物の主成分として用いてもよいし、エポキシ化合物と併用してもよい。オキセタン化合物を併用することで、硬化速度や接着性を向上できることがある。
【0075】
カチオン重合性化合物となり得るビニル化合物としては、脂肪族又は脂環式のビニルエーテル化合物が挙げられ、具体例としては、例えば、n−アミルビニルエーテル、i−アミルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、オレイルビニルエーテル等の炭素数5〜20のアルキル又はアルケニルアルコールのビニルエーテル;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル;シクロヘキシルビニルエーテル、2−メチルシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル等の脂肪族環又は芳香族環を有するモノアルコールのビニルエーテル;グリセロールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ペンタエリトリトールジビニルエーテル、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンモノビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサンモノビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジビニルエーテル等の多価アルコールのモノ〜ポリビニルエーテル;ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルモノビニルエーテル等のポリアルキレングリコールモノ〜ジビニルエーテル;グリシジルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテルメタクリレート等のその他のビニルエーテルが挙げられる。ビニル化合物は、カチオン重合性化合物の主成分として用いてもよいし、エポキシ化合物、又はエポキシ化合物及びオキセタン化合物と併用してもよい。ビニル化合物を併用することで、硬化速度や接着剤の低粘度化を向上できることがある。
【0076】
カチオン重合型接着剤は、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物のような上記以外の他のカチオン重合性化合物をさらに含むことができる。
【0077】
接着性を向上させやすい観点から、カチオン重合型接着剤(ハイブリッド型の硬化性接着剤である場合を含む。)に含まれる硬化性化合物の全量を100重量%とするとき、カチオン重合性化合物の含有量(カチオン重合型接着剤に含まれるすべてのカチオン重合性化合物の含有量であり、2種以上のカチオン重合性化合物が含まれる場合にはそれらの合計含有量)は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。また上述のように、カチオン重合型接着剤は、ポリマー成分(熱可塑性樹脂等)をさらに含んでいてもよい。
【0078】
カチオン重合型接着剤は、活性エネルギー線硬化性であってもよいし熱硬化性であってもよいが、加熱する工程を省略することが可能であり、積層体の加熱による変形等を防止しやすい観点から、好ましくは活性エネルギー線硬化性である。カチオン重合性化合物を含有するカチオン重合型接着剤に活性エネルギー線硬化性を付与する場合には、当該接着剤に光カチオン重合開始剤を配合することが好ましい。光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、又は電子線のような活性エネルギー線の照射によって、カチオン種又はルイス酸を発生し、カチオン硬化性化合物の重合反応を開始させるものである。光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、光カチオン硬化性化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種又はルイス酸を生じる化合物として、例えば、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、鉄−アレーン錯体等を挙げることができる。
【0079】
芳香族ヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウムカチオンを有する化合物であり、当該カチオンとして、典型的にはジフェニルヨードニウムカチオンを挙げることができる。芳香族スルホニウム塩は、トリアリールスルホニウムカチオンを有する化合物であり、当該カチオンとして、典型的にはトリフェニルスルホニウムカチオンや4,4’−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィドカチオン等を挙げることができる。芳香族ジアゾニウム塩は、ジアゾニウムカチオンを有する化合物であり、当該カチオンとして、典型的にはベンゼンジアゾニウムカチオンを挙げることができる。また、鉄−アレーン錯体は、典型的にはシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩である。
【0080】
上に示したカチオンは、アニオン(陰イオン)と対になって光カチオン重合開始剤を構成する。光カチオン重合開始剤を構成するアニオンの例を挙げると、特殊リン系アニオン[(Rf)PF6−n、ヘキサフルオロホスフェートアニオンPF、ヘキサフルオロアンチモネートアニオンSbF、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネートアニオンSbF(OH)、ヘキサフルオロアーセネートアニオンAsF、テトラフルオロボレートアニオンBF、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンB(C等がある。中でも、カチオン重合性化合物の硬化性及び得られる接着剤層の安全性の観点から、特殊リン系アニオン[(Rf)PF6−n、ヘキサフルオロホスフェートアニオンPFであることが好ましい。
【0081】
光カチオン重合開始剤は、1種のみを単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。中でも、芳香族スルホニウム塩は、300nm付近の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械的強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため好ましく用いられる。
【0082】
光カチオン重合開始剤の配合量は、カチオン重合性化合物100重量部に対して通常、0.5〜10重量部であり、好ましくは6重量部以下である。光カチオン重合開始剤を0.5重量部以上配合することにより、カチオン重合性化合物を十分に硬化させることができ、得られる偏光板に高い機械的強度と接着強度を与えることができる。一方で、その量が過度に多くなると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、偏光板の耐久性が低下する可能性がある。
【0083】
上述のように、カチオン重合型接着剤に、カチオン重合性化合物に加えてラジカル重合性化合物を含有させることによりハイブリッド型の硬化性接着剤とすることもできる。ラジカル重合性化合物を併用することにより、接着剤層の硬度や機械的強度を高める効果が期待でき、さらには硬化性接着剤の粘度や硬化速度等の調整がより一層容易に行えるようになる。
【0084】
ラジカル重合型接着剤の主成分であるラジカル重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射や加熱によりラジカル重合反応が進行し、硬化する化合物又はオリゴマーをいい、具体的にはエチレン性不飽和結合を有する化合物を挙げることができる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系化合物の他、スチレン、スチレンスルホン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドンのようなビニル化合物等が挙げられる。中でも、好ましいラジカル重合性化合物は(メタ)アクリル系化合物である。
【0085】
(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、及び、官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルオリゴマー等の(メタ)アクリロイル基含有化合物を挙げることができる。(メタ)アクリルオリゴマーは好ましくは、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーである。(メタ)アクリル系化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0086】
(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー、分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
【0087】
単官能(メタ)アクリレートモノマーの例として、アルキル(メタ)アクリレートがある。アルキル(メタ)アクリレートにおいて、そのアルキル基は炭素数3以上であれば直鎖でも分岐していてもよい。アルキル(メタ)アクリレートの具体例を挙げると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ベンジル(メタ)アクリレートのようなアラルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレートのようなテルペンアルコールの(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートのようなテトラヒドロフルフリル構造を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートのようなアルキル基部位にシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのようなアミノアルキル(メタ)アクリレート;2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのようなアルキル部位にエーテル結合を有する(メタ)アクリレートも単官能(メタ)アクリレートモノマーとして用いることができる。
【0088】
さらに、アルキル部位に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートや、アルキル部位にカルボキシル基を有する単官能(メタ)アクリレートも用いることができる。アルキル部位に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートの具体例は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレートを含む。アルキル部位にカルボキシル基を有する単官能(メタ)アクリレートの具体例は、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノ(メタ)アクリレート、1−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタル酸、1−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ヘキサヒドロフタル酸、1−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]コハク酸、4−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]トリメリット酸、N−(メタ)アクリロイルオキシ−N’,N’−ジカルボキシメチル−p−フェニレンジアミンを含む。
【0089】
(メタ)アクリルアミドモノマーは、好ましくはN−位に置換基を有する(メタ)アクリルアミドであり、そのN−位の置換基の典型的な例はアルキル基であるが、(メタ)アクリルアミドの窒素原子とともに環を形成していてもよく、この環は、炭素原子及び(メタ)アクリルアミドの窒素原子に加え、酸素原子を環構成員として有してもよい。さらに、その環を構成する炭素原子には、アルキルやオキソ(=O)のような置換基が結合していてもよい。
【0090】
N−置換(メタ)アクリルアミドの具体例は、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミドのようなN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドのようなN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドを含む。また、N−置換基は水酸基を有するアルキル基であってもよく、その例として、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド等がある。さらに、上記した5員環又は6員環を形成するN−置換(メタ)アクリルアミドの具体的な例としては、N−アクリロイルピロリジン、3−アクリロイル−2−オキサゾリジノン、4−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン等がある。
【0091】
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ハロゲン置換アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、脂肪族ポリオールのジ(メタ)アクリレート、水添ジシクロペンタジエン又はトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコール又はジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA又はビスフェノールFのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA又はビスフェノールFのエポキシジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0092】
2官能(メタ)アクリレートモノマーのより具体的な例を挙げれば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシシクロヘキシル]プロパン、水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルジ(メタ)アクリレート〔別名:ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート〕、ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物〔化学名:2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート等である。
【0093】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、アルコキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレートが代表的なものであり、その他に、3官能以上のハロゲン置換ポリオールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリス[(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ]プロパン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0094】
一方、(メタ)アクリルオリゴマーには、ウレタン(メタ)アクリルオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリルオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリルオリゴマー等がある。
【0095】
ウレタン(メタ)アクリルオリゴマーとは、分子内にウレタン結合(−NHCOO−)及び少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。具体的には、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1個の水酸基をそれぞれ有する水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとポリイソシアネートとのウレタン化反応生成物や、ポリオールをポリイソシアネートと反応させて得られる末端イソシアナト基含有ウレタン化合物と、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1個の水酸基をそれぞれ有する(メタ)アクリルモノマーとのウレタン化反応生成物等であり得る。
【0096】
上記ウレタン化反応に用いられる水酸基含有(メタ)アクリルモノマーは、例えば水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーであることができ、その具体例は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを含む。水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー以外の具体例は、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドモノマーを含む。
【0097】
水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとのウレタン化反応に供されるポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのうち芳香族のイソシアネート類を水素添加して得られるジイソシアネート(例えば、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジベンジルベンゼントリイソシアネート等のジ−又はトリ−イソシアネート、及び、上記のジイソシアネートを多量化させて得られるポリイソシアネート等が挙げられる。
【0098】
また、ポリイソシアネートとの反応により末端イソシアナト基含有ウレタン化合物とするために用いられるポリオールとしては、芳香族、脂肪族又は脂環式のポリオールの他、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を使用することができる。脂肪族及び脂環式のポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリセリン、水添ビスフェノールA等が挙げられる。
【0099】
ポリエステルポリオールは、上記したポリオールと多塩基性カルボン酸又はその無水物との脱水縮合反応により得られるものである。多塩基性カルボン酸又はその無水物の例を、無水物であり得るものに「(無水)」を付して表すと、(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸等がある。
【0100】
ポリエーテルポリオールは、ポリアルキレングリコールの他、上記したポリオール又はジヒドロキシベンゼン類とアルキレンオキサイドとの反応により得られるポリオキシアルキレン変性ポリオール等であり得る。
【0101】
ポリエステル(メタ)アクリルオリゴマーとは、分子内にエステル結合と少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基(典型的には(メタ)アクリロイルオキシ基)とを有する化合物である。具体的には、(メタ)アクリル酸、多塩基性カルボン酸又はその無水物、及びポリオールを用いた脱水縮合反応により得ることができる。脱水縮合反応に用いられる多塩基性カルボン酸又はその無水物の例を、無水物であり得るものに「(無水)」を付して表すと、(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等がある。また、脱水縮合反応に用いられるポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリセリン、水添ビスフェノールA等が挙げられる。
【0102】
エポキシ(メタ)アクリルオリゴマーは、例えば、ポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応により得ることができ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有している。付加反応に用いられるポリグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0103】
ラジカル重合型接着剤は、活性エネルギー線硬化性であってもよいし熱硬化性であってもよいが、好ましくは活性エネルギー線硬化性である。ラジカル重合性化合物を含有するラジカル重合型接着剤に活性エネルギー線硬化性を付与する場合には、当該接着剤に光ラジカル重合開始剤を配合することが好ましい。光ラジカル重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、又は電子線のような活性エネルギー線の照射によって、ラジカル硬化性化合物の重合反応を開始させるものである。光ラジカル重合開始剤は、1種のみを単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
【0104】
光ラジカル重合開始剤の具体例は、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤;4−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;その他、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノンを含む。
【0105】
光ラジカル重合開始剤の配合量は、ラジカル重合性化合物100重量部に対して通常、0.5〜20重量部、好ましくは1〜6重量部である。光ラジカル重合開始剤を0.5重量部以上配合することにより、ラジカル重合性化合物を十分に硬化させることができ、得られる積層体及び光学積層体に高い機械的強度と接着強度を与えることができる。一方で、その量が過度に多くなると、積層体及び光学積層体の耐久性が低下する可能性がある。
【0106】
(添加剤)
上記の粘接着層、ならびに、該層を形成するための粘着剤及び接着剤は、必要に応じて、その他の添加剤を含むことができる。添加剤の具体例は、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、重合促進剤(ポリオール等)、増感剤、増感助剤、光安定剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、色素、帯電防止剤、紫外線吸収剤、熱重合開始剤を含む。なお、熱重合開始剤は、熱硬化性接着剤を調製する場合に、光重合開始剤の代わりに用いられる。光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することもできる。イオントラップ剤としては粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、カルシウム系、チタン系及びこれらの混合系等の無機化合物が挙げられ、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
【0107】
<積層体の製造方法>
図1に示す積層体を例に、本発明の積層体の製造方法を説明する。なお、図1は積層体の層構成を説明するための模式図であり、図1中に示す各層の厚さは、各層の厚さの好ましい関係を示すものではない。図1に示す積層体100は、第1基材層111/第1液晶硬化層121(第1配向層131及び第1の重合性液晶硬化物含有層141)/粘接着層15/第2液晶硬化層122(第2の重合性液晶硬化物含有層142及び第2配向層132)/第2基材層112を備える構成を有する。なお、図1に示す本発明の一実施形態における積層体においては、第1基材層111を剥離する際に、第1配向層131が共に剥離されない。そのため、第1液晶硬化層121は、第1配向層131及び第1の重合性液晶硬化物含有層141から構成される。また、第2基材層112を剥離する際に、第2配向層132が共に剥離されない。そのため、第2液晶硬化層122は、第2配向層132及び第2の重合性液晶硬化物含有層142から構成される。
【0108】
本発明の積層体は、通常、配向層形成工程、液晶硬化層形成工程及び貼合工程を少なくとも含む製造方法により製造することができる。具体的には、まず、配向層形成工程において、基材上に配向層形成用組成物を塗工する。塗工方法としては、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が挙げられる。本発明の積層体をRoll to Roll形式の連続的方法により製造する場合、塗布方法は、好ましくはグラビアコーティング法、ダイコーティング法、又は、フレキソ法などの印刷法である。上記方法を用いて配向層形成用組成物を基材上に塗布することにより、該基材上に第1塗布膜が形成される。第1塗布膜に、必要に応じて硬化を行うと共に、光配向、ラビング処理等の通常の方法で配向規制力を付与することにより、配向層が形成される。ここで、配向層を形成する前に、基材に、ケン化処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー処理、アンカーコーティング処理のような易接着処理を施してもよい。このような処理を施すことにより、基材と配向層との接着性が弱くなり、基材を積層体から剥離する際に、配向層が基材と共に剥離されず、液晶硬化層に残るようにすることができる。
【0109】
次に、配向層上に重合性液晶化合物を含む組成物を塗工する。塗工方法としては、上記配向層形成用組成物について記載した塗工方法を用いてよい。次いで、重合性液晶化合物を配向させた状態で、加熱処理又は活性エネルギー線を照射し、重合性液晶化合物を硬化させることによって、重合性液晶硬化物含有層が形成される。重合性液晶化合物を含む組成物には、上述した重合性液晶化合物以外の成分が含まれていてもよい。例えば、該組成物には、重合開始剤が含まれていることが好ましい。使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤が選択される。例えば、光重合開始剤としては、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせなどが挙げられる。重合開始剤の使用量は、前記塗工液中の全固形分に対して、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。なお、本発明において、「硬化した」とは、形成された層単独でも変形、流動することなく自立して存在できる状態を示し、形成された層の突刺し弾性率は、好ましくは3g/mm以上である。
【0110】
また、前記組成物には、塗工膜の均一性及び膜の強度の点から、重合性モノマーが含まれていてもよい。重合性モノマーとしては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の化合物が挙げられる。その中でも、多官能性ラジカル重合性モノマーが好ましい。なお、重合性モノマーとしては、上述した重合性液晶化合物と共重合することができるものが好ましい。重合性モノマーの使用量は、重合性液晶化合物の全質量に対して、1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
【0111】
また、前記組成物には、塗工膜の均一性及び膜の強度の点から、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられる。その中でも特に、フッ素系化合物が好ましい。
【0112】
また、前記組成物には、溶媒が含まれていてもよく、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒としては、例えば、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が挙げられる。その中でも、アルキルハライド、ケトンが好ましい。また、2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
【0113】
また、前記組成物には、偏光子界面側垂直配向剤、空気界面側垂直配向剤などの垂直配向促進剤、並びに、偏光子界面側水平配向剤、空気界面側水平配向剤などの水平配向促進剤といった各種配向剤が含まれていてもよい。さらに、前記組成物には、上記成分以外にも、密着改良剤、可塑剤、ポリマーなどが含まれていてもよい。
【0114】
上記活性エネルギー線は、紫外線、可視光、電子線、X線を含み、好ましくは紫外線である。前記活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380〜440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
【0115】
紫外線の照射強度は、通常、紫外線B波(波長域280〜310nm)の場合、100mW/cm〜3,000mW/cmである。紫外線照射強度は、好ましくはカチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。紫外線を照射する時間は、通常0.1秒〜10分であり、好ましくは0.1秒〜5分であり、より好ましくは0.1秒〜3分であり、さらに好ましくは0.1秒〜1分である。
【0116】
紫外線は、1回又は複数回に分けて照射することができる。使用する重合開始剤にもよるが、波長365nmにおける積算光量は、700mJ/cm以上とすることが好ましく、1,100mJ/cm以上とすることがより好ましく、1,300mJ/cm以上とすることがさらに好ましい。上記積算光量とすることは、位相差フィルムを構成する重合性液晶化合物の重合率を高め、耐熱性を向上させるのに有利である。波長365nmにおける積算光量は、2,000mJ/cm以下とすることが好ましく、1,800mJ/cm以下とすることがより好ましい。上記積算光量とすることは、位相差フィルムの着色を招くおそれがある。また、紫外線の照射後に、冷却工程を設けてもよい。冷却温度は、例えば、20℃以下とすることができ、10℃以下とすることができる。冷却時間は、例えば、10秒間以上とすることができ、20秒間以上とすることができる。
【0117】
上記のようにして、第1基材層と第1液晶硬化層とを含む第1積層体を製造し、同様にして、第2基材層と第2液晶硬化層とを含む第2積層体を製造する。得られた2つの積層体を、粘接着層を介して貼り合わせることにより、本発明の積層体を製造することができる。積層体が長尺状である場合は、粘接着層(好ましくは接着層)を介して、ロール・トゥ・ロールでそれぞれの部材を貼り合わせてもよい。
【0118】
具体的には、粘着剤組成物又は接着剤組成物を第1液晶硬化層及び/又は第2液晶硬化層上に塗工し、塗膜を介してこれらの積層体を貼合し、塗膜を乾燥させるか、活性エネルギー線又は熱により該組成物を硬化させることにより、粘接着層を形成することができる。粘着剤及び接着剤の塗工は、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等の種々の塗工方式を利用して行ってよい。また、第1積層体及び第2積層体の貼合面が内側となるように連続的に供給しながら、その間に粘着剤又は接着剤を流延させる方式を採用することもできる。
【0119】
<光学積層体の製造方法>
上記のようにして製造した積層体から、第1基材層及び第2基材層を剥離することにより、本発明の光学積層体を製造することができる。
【0120】
<用途>
本発明の光学積層体は、さまざまな表示装置に用いることができる。表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子又は発光装置を含む。表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(以下、無機ELともいう)表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FEDともいう)、表面電界放出表示装置(SEDともいう))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLVともいう)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMDともいう)を有する表示装置)及び圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。光学積層体は、特に有機EL表示装置又は無機EL表示装置に特に有効に用いることができる。
【0121】
また、表示装置は、フレキシブル表示装置であることもでき、フレキシブル有機EL表示装置であることができる。フレキシブル有機EL表示装置は、本発明の光学積層体と、有機EL表示素子とを含む。有機EL表示素子に対して視認側に本発明の光学積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。折り曲げ可能とは、クラック及び破断を生じさせずに屈曲できることを意味する。本発明の光学積層体をフレキシブル有機EL表示装置に適用する場合、光学積層体は、前面板及びタッチセンサの少なくとも一方とさらに積層されていることが好ましい。
【0122】
具体的な積層体としては、視認側から前面板、偏光板、位相差フィルム、タッチセンサの順に積層された態様、又は視認側から前面板、タッチセンサ、偏光板、位相差フィルムの順に積層された態様が挙げられる。タッチセンサの視認側に偏光板が存在すると、タッチセンサのパターンが視認されにくくなり表示画像の視認性が良くなるので好ましい。それぞれの部材は接着剤、粘着剤等を用いて積層することができる。また、前面板、偏光板、位相差フィルム、タッチセンサのいずれかの層の少なくとも一面に形成された遮光パターンを具備することができる。
【実施例】
【0123】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。実施例、比較例中の「%」及び「部」は、特記しない限り、質量%及び質量部である。なお、以下の例における各物性の測定は、次の方法で行った。
【0124】
(突刺し弾性率の測定)
基材層付き液晶硬化層を形成するためのフィルムを、40mm×40mmの断片に切り出した。また40mm×40mmの糊付き台紙を用意した。この糊付き台紙は、中央部が30mm×30mmの正方形で切り抜かれている。液晶硬化層の表面が糊付き台紙における糊に接するように、該フィルムを糊付き台紙に貼合した。基材層付き液晶硬化層から基材層を剥離して、突刺し弾性率の測定試料を作製した。
【0125】
突刺し弾性率の測定は、次のように行った。カトーテック株式会社製のハンディー圧縮試験機「NDG5 突刺し試験機、ニードル貫通力測定仕様」にニードルを取り付けた。ニードルを上記測定試料のフィルム面に対して垂直に突刺した。測定試料突刺し試験用サンプルが破断する直前の応力F(g)とそのときのひずみ量S(mm)を算出し、突刺し弾性率(g/mm)を応力F(g)/ひずみ量S(mm)の式から算出した。この操作を、5枚の測定試料に対してそれぞれ行い、その平均値を突刺し弾性率とした。ニードルとしては、先端径が1mmφ、0.5Rであるものを使用した。ニードルを突刺す速度は、0.33cm/秒とした。測定は温度23℃、湿度50%の室温環境下で行った。
【0126】
(光学積層体の引張弾性率の測定)
測定試料の作成方法を、図6を参照して説明する。両面基材層付き光学積層体を60mm×200mmの断片に切り出した。また60mm×200mmの糊付き台紙17を用意した。この糊付き台紙は、中央部に10mm×140mmの長方形で切り抜かれた切抜部18を有している。両面基材層付き光学積層体から第1基材層を剥離した。第1液晶硬化層の表面が糊付き台紙の糊に接するように、上記積層体を糊付き台紙に貼合した。その後、第2基材層を剥離した。このようにして、図6に示すようなサンプルを得る。切抜部18の部分には光学積層体16が存在し、その他の部分においては、糊付き台紙17と光学積層体16とが貼り合わされている。次に、糊付き台紙17の切り抜き部18を含むように、10mm×60mmの長方形部分(図6中の点線で囲われた部分)を裁断し、これを、引張弾性率の測定試料として使用した。
引張弾性率の測定は、JIS K7161に則って行った。引張試験は、上記の測定試料の両端の台紙部分(図6中の斜線部分)を把持し、速度1mm/分で引っ張って行った。引張試験は、温度23℃、湿度50%の室温環境下で行った。
【0127】
(粘接着層の引張弾性率の測定)
粘接着層として活性エネルギー線硬化性接着剤を用いた場合の温度30℃における引張弾性率[N/mm]は次の手順で算出した。厚み50μmの環状ポリオレフィン系樹脂フィルムの片面に、塗工機〔バーコーター、第一理化(株)製〕を用い、活性エネルギー線硬化性接着剤を塗工し、その塗工面にさらに厚み50μmの環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層した。次に、フュージョンUVシステムズ社製の「Dバルブ」により、積算光量が1500mJ/cm(UVB)となるように紫外線を照射して、接着剤組成物層を硬化させた。一方の環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを剥がして、樹脂フィルム付き接着層を得た。樹脂フィルム付き接着層を60mm×200mmの断片に切り出した。また60mm×200mmの糊付き台紙17を用意した。この糊付き台紙は、中央部に10mm×140mmの長方形で切り抜かれた切抜部18を有している。接着層の表面が糊付き台紙の糊に接するように、上記樹脂フィルム付き接着層を糊付き台紙に貼合した。その後、もう一方の環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを剥離した。このようにして、図6に示すようなサンプルを得る。切抜部18の部分には接着層が存在し、その他の部分においては、糊付き台紙17と接着層とが貼り合わされている。次に、糊付き台紙17の切り抜き部18を含むように、10mm×60mmの長方形部分(図6中の点線で囲われた部分)を裁断し、これを、引張弾性率の測定試料として使用した。
引張弾性率の測定は、JIS K7161に則って行った。引張試験は、上記の測定試料の両端の台紙部分(図6中の斜線部分)を把持し、速度1mm/分で引っ張って行った。引張試験は、温度23℃、湿度50%の室温環境下で行った。なお
、粘接着層として粘着層を使用した場合にも同様の形状のサンプルで評価を行った。
【0128】
(基材層の剥離力の測定)
得られた基材層付き液晶硬化層の液晶硬化層側に、それぞれ粘着剤層1(リンテック株式会社製、感圧式粘着剤 厚さ25μm)を貼合した。この粘着剤層1を形成した積層体を裁断し、幅25mm×長さ約150mmの試験片を作製した。試験片の粘着剤層面をガラス板に貼合した後、試験片の基材層側の表面(幅25mmの一辺)に剥離用テープ(幅25mm×長さ約180mm)を貼り付けた。剥離用テープの一端をつかみ、引張り試験機を用いて基材層を剥離し、剥離力を測定した。剥離試験は、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で行った。クロスヘッドスピード(つかみ移動速度)は300mm/分であった。剥離角度は180°とした。なお、本実施例では上記の通り、基材層の剥離力を粘接着層を介して貼り合わせる前の基材層付き液晶硬化層を用いて行ったが、基材層の剥離力を粘接着層を介して貼り合わせた後の積層体を用いて行ってもよい。
【0129】
(剥離性試験)
40mm×40mmの糊付きガラスを用意した。両面基材層付き液晶硬化層積層体を、第2基材層の表面が糊付きガラスにおける糊に接するように、貼合した。続いて、第1基材層を剥離した。剥離性は以下の基準で評価した。
剥離性が良好である:第1液晶硬化層と第2液晶硬化層との間、及び第2液晶硬化層と第2基材層との間に剥がれがなく、第1液晶硬化層が第1基材層に剥がれ残らなかった。
剥離性が不良である:第1液晶硬化層と第2液晶硬化層との間、及び/又は第2液晶硬化層と第2基材層との間に剥がれがあるか、第1液晶硬化層が第1基材層に剥がれ残った。
同じ評価を24個のサンプルに対して行い、剥離性が良好であるサンプルの個数が24〜17個の場合は◎と評価し、16〜9個の場合は○と評価し、8〜0個の場合は×と評価した。
【0130】
(熱衝撃試験)
偏光板の作製
厚さ20μmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上)を、乾式延伸により約4倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、40℃の純水に40秒間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.052/5.7/100の水溶液に28℃で30秒間浸漬して染色処理を行った。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が11.0/6.2/100の水溶液に70℃で120秒間浸漬した。引き続き、8℃の純水で15秒間洗浄した後、300Nの張力で保持した状態で、60℃で50秒間、次いで75℃で20秒間乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している厚さ8μmの偏光子を得た。
【0131】
得られた偏光子の両面に、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤を塗布し、環状オレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製、ゼオノアZF14)及びトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フイルム株式会社製 フジタックTJ25)をそれぞれ貼り合わせた。この長尺状の偏光板を、8cm×8cmの正方形に切り出し、偏光板を得た。
【0132】
熱衝撃試験用サンプルの作製
両面にセパレータが付いた粘着剤層2(厚さ25μm リンテック株式会社製P−3132)を2枚用意した。両面にセパレータが付いた粘着剤層2から一方のセパレータを剥離し、偏光板のTACフィルム側表面に貼合した。両面基材層付き液晶硬化層積層体から第1基材層を剥離し、粘着剤層付き偏光板からもう一方のセパレータを剥離した。第1液晶硬化層の表面が粘着剤層に接するように、両者を貼合した。さらに、第2基材層を剥離し、もう1枚の両面にセパレータが付いた粘着剤層2から一方のセパレータを剥離し、第2液晶硬化層の表面が粘着剤層に接するように貼合した。粘着剤層2に積層されていたもう一方の剥離フィルムを剥離し、露出した粘着剤層を介してガラス板に貼合した。このようにして偏光板/粘着剤層2/光学積層体(第1液晶硬化層と粘接着層と第2液晶硬化層との積層体)/粘着剤層2/ガラス板からなる熱衝撃試験用サンプルを得た。得られた熱衝撃試験用サンプルを次に示す方法で評価した。
【0133】
評価方法
荷重 10Nに設定したエリクセンペン(エリクセン社製 型番318)のペン先を熱衝撃試験用サンプルに押し当て起点を形成した。同様の起点を他2カ所(計3カ所)に等間隔で設けた。その後、−20℃ 30分と60℃ 30分を1サイクルとする熱衝撃性試験を3サイクル実施した。熱衝撃試験には、エスペック株式会社製のTSA−303EL−Wを使用した。3サイクル経過後に、各起点から生じたクラックの長さを測定した。3か所の起点から生じたクラックの長さの平均値をクラック長さ(mm)とした。
クラック長さが1mm未満のものを◎と評価し、1mm以上10mm未満のものを○と評価し、10mm以上のものを×と評価した。
【0134】
〔粘着剤の調製〕
撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、アクリル酸n−ブチル95.0質量部、アクリル酸4.0質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1.0質量部、酢酸エチル200質量部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.08質量部を仕込み、上記反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。窒素雰囲気下で攪拌しながら、反応溶液を60℃に昇温し、6時間反応させた後、室温まで冷却した。得られた溶液の一部の重量平均分子量を測定したところ、重量平均分子量180万の(メタ)アクリル酸エステル重合体の生成を確認した。
【0135】
得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、下記に示す、イソシアネート系架橋剤1.5質量部、シランカップリング剤0.30質量部、紫外線硬化性化合物7.5質量部、及び光重合開始剤0.5質量部を混合した。溶液を十分に撹拌して、酢酸エチルで希釈することにより、粘着剤組成物の塗工溶液を得た。
・イソシアネート系架橋剤:トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(東ソー株式会社製、コロネートL)
・シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM403)
・紫外線硬化性化合物:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−9300)
・光重合開始剤:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製、イルガキュア907)
【0136】
セパレータ(リンテック株式会社製、SP−PLR382190)の離型処理面(剥離層面)に、アプリケーターにより、乾燥後の厚さが5μmとなるように前記塗工溶液を塗工した。塗膜を100℃で1分間乾燥し、その上に、もう1枚のセパレータ(リンテック株式会社製、SP−PLR381031)を貼合した。この粘着剤層にベルトコンベア付き紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ社製、ランプはDバルブを使用した。)を用いてセパレータ越しに紫外線(照度500mW/cm、積算光量500mJ/cm)を照射し、粘着剤層を得た。粘着剤層の引張弾性率は0.4N/mmであった。
【0137】
〔接着剤1の調製〕
下記に示すカチオン硬化性成分a1〜a3及びカチオン重合開始剤を混合した。得られた混合物に、下記に示すカチオン重合開始剤及び増感剤をさらに混合した。得られた溶液を脱泡して、光硬化型の接着剤1を得た。なお、下記の配合量は固形分量に基づく。
・カチオン硬化性成分a1(70部):3',4'−エポキシシクロヘキシルメチル 3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製、CEL2021P)
・カチオン硬化性成分a2(20部):ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、EX−211)
・カチオン硬化性成分a3(10部):2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、EX−121)
・カチオン重合開始剤(2.25部(固形分量)):CPI−100(サンアプロ株式会社製)の50%プロピレンカーボネート溶液
・増感剤(2部):1,4−ジエトキシナフタレン
接着剤1から得られる接着層の引張弾性率は1280.8N/mmであった。
【0138】
〔接着剤2の準備〕
下記に示すカチオン硬化性成分a1、a4〜a6及びカチオン重合開始剤を混合した。得られた混合物に、下記に示すカチオン重合開始剤及び増感剤をさらに混合した。得られた溶液を脱泡して、光硬化型の接着剤2を得た。なお、下記の配合量は固形分量に基づく。
・カチオン硬化性成分a1(7部):3',4'−エポキシシクロヘキシルメチル 3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製、CEL2021P)
・カチオン硬化性成分a4(40部):フルオレン型エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル株式会社製、OGSOL EG−200)
・カチオン硬化性成分a5(33部):ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製EX−211L)
・カチオン硬化性成分a6(20部):3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亞合成株式会社、OXT−221)
・カチオン重合開始剤(2.25部(固形分量)):商品名:CPI−100(サンアプロ株式会社製)の50%プロピレンカーボネート溶液
・増感剤(2部):1,4−ジエトキシナフタレン
接着剤2から得られる接着層の引張弾性率は1756.3N/mmであった。
【0139】
〔接着剤3の調製〕
下記に示すカチオン硬化性成分a1、a6、a7及びカチオン重合開始剤を混合した。得られた混合物に下記に示すカチオン重合開始剤及び増感剤をさらに混合した。得られた溶液を脱泡して、光硬化型の接着剤3を得た。なお、下記の配合量は固形分量に基づく。
・カチオン硬化性成分a1(32.5部):3',4'−エポキシシクロヘキシルメチル 3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製、CEL2021P)
・カチオン硬化性成分a6(50部):3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亞合成株式会社、OXT−221)
・カチオン硬化性成分a7(17.5部):2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(株式会社ダイセル製、EHPE3150)
・カチオン重合開始剤(2.25部(固形分量)):商品名:CPI−100(サンアプロ株式会社製)の50%プロピレンカーボネート溶液
・増感剤(2部):1,4−ジエトキシナフタレン
接着剤3から得られる接着層の引張弾性率は2345.5N/mmであった。
【0140】
〔光配向層形成用組成物(1)の調製〕
下記の成分を混合し、得られた混合物を温度80℃で1時間撹拌することにより、光配向層形成用組成物(1)を得た。
・光配向性材料(5部):
【化3】
・溶剤(95部):シクロペンタノン
【0141】
〔配向層形成用組成物(2)の調製〕
配向層形成用の組成物として、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−600)15部と、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−DCP)15部と、光重合開始剤としてイルガキュア907(BASF社製)1.5部とを、溶媒メチルエチルケトン 70部中で溶解させ、配向層形成用組成物(2)を調製した。
【0142】
〔配向層形成用組成物(3)の調製〕
配向層形成用の組成物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−DPH)5部と、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−600)5部と、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−TMPT)10部と、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−DCP)10部と、光重合開始剤としてイルガキュア907(BASF社製)1.5部とを、溶媒メチルエチルケトン 70部中で溶解させ、配向層形成用組成物(3)を調製した。
【0143】
〔配向層形成用組成物(4)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−DPH)10部と、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−600)5部と、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−TMPT)10部と、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−DCP)5部と、光重合開始剤としてイルガキュア907(BASF社製)1.5部とを、溶媒メチルエチルケトン 70部中で溶解させ、配向層形成用組成物(4)を調製した。
【0144】
〔液晶硬化層形成用組成物(A−1)の調製〕
下記の成分を混合し、得られた混合物を80℃で1時間撹拌することにより、液晶硬化層形成用組成物(A−1)を得た。重合性液晶化合物A1及び重合性液晶化合物A2は、特開2010−31223号公報に記載の方法で合成した。
・重合性液晶化合物A1(80部):
【化4】
・重合性液晶化合物A2(20部):
【化5】
・重合開始剤(6部):2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(チバスペシャルティケミカルズ社製、イルガキュア369)
・溶剤(400部):シクロペンタノン
【0145】
〔液晶硬化層形成用組成物(B−1)の調製〕
下記の成分を混合し、得られた混合物を80℃で1時間撹拌した後、室温まで冷却して液晶硬化層形成用組成物(B−1)を得た。
・重合性液晶化合物LC242(BASF社製)(19.2%):
【化6】
・重合開始剤(0.5%):イルガキュア907(BASF社製)
・反応添加剤(1.1%):Laromer(登録商標)LR−9000(BASF社製)
・溶剤(79.1%):プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート
【0146】
〔第1基材層付き第1液晶硬化層(1−1)の製造〕
第1基材層として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを準備した。第1基材層の表面をコロナ処理した。コロナ処理は、コロナ処理装置(AGF−B10、春日電機株式会社製)を用いて、出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回行った。コロナ処理を施した面に、光配向層形成用組成物(1)をバーコーター塗布した。塗膜を80℃で1分間乾燥した。塗膜に、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、100mJ/cmの積算光量で偏光UV露光を行い、光配向層を得た。得られた光配向層の厚さをレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)で測定したところ、100nmであった。
【0147】
光配向層上に液晶硬化層形成用組成物(A−1)を、バーコーターを用いて塗布した。塗膜を120℃で1分間乾燥した。高圧水銀ランプ(ユニキュアVB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、塗膜に紫外線を照射した。紫外線照射は窒素雰囲気下で行った。紫外線の波長は365nmであり、波長365nmにおける照射強度は10mW/cmであり、積算光量は1000mJ/cmであった。このようにして、位相差層としての第1液晶硬化層(層A−1)を形成し、第1基材層付き第1液晶硬化層(1−1)を得た。第1液晶硬化層(層A−1)の厚さをレーザー顕微鏡で測定したところ2μmであった。第1基材層付き第1液晶硬化層(1−1)の基材剥離力は0.10N/25mmであった。第1液晶硬化層(1−1)の突刺し弾性率は22.3g/mmであった。
【0148】
〔第2基材層付き第2液晶硬化層(2−1)の製造〕
第2基材層として、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを準備した。第2基材層の表面をコロナ処理した。コロナ処理は、コロナ処理装置(AGF−B10、春日電機株式会社製)を用いて、出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回行った。コロナ処理を施した面に、配向層形成用組成物(2)をバーコーター塗布した。塗膜を90℃で1分間乾燥した。積算光量が220mJ/cmとなるように紫外線(UVB)を塗膜に照射し、配向層を得た。得られた配向層の厚さをレーザー顕微鏡で測定したところ、2.8μmであった。
【0149】
配向層上に液晶硬化層形成用組成物(B−1)を、バーコーターを用いて塗布した。塗膜を90℃で1分間乾燥した。高圧水銀ランプ(ユニキュアVB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、塗膜に紫外線を照射した。紫外線照射は、窒素雰囲気下で行った。紫外線の波長は365nmであり、波長365nmにおける積算光量は500mJ/cmであった。このようにして、位相差層としての第2液晶硬化層(層B−1)を形成して、第2基材層付き第2液晶硬化層(2−1)を得た。第2液晶硬化層(層B−1)の厚さをレーザー顕微鏡で測定したところ0.6μmであった。第2基材層付き第2液晶硬化層(2−1)の基材剥離力は0.07N/25mmであった。第2液晶硬化層(2−1)の突刺し弾性率は20.3g/mmであった。
【0150】
(第2基材層付き第2液晶硬化層(2−2)の製造)
配向層形成用組成物(2)の代わりに配向層形成用組成物(3)を使用した以外は、第2液晶硬化層(2−1)の製造と同様に製造した。配向層厚さ、基材剥離力、突き刺し弾性率データは表1に示す。
【0151】
(第2基材層付き第2液晶硬化層(2−3)〜(2−7)の製造)
配向層の厚さを変更した以外は、第2液晶硬化層(2−1)の製造と同様に製造した。配向層厚さ、基材剥離力、突き刺し弾性率データは表1に示す。
【0152】
(第2基材層付き第2液晶硬化層(2−8)の製造)
配向層形成用組成物(2)の代わりに配向層形成用組成物(4)を使用した以外は、第2液晶硬化層(2−1)の製造と同様に製造した。配向層厚さ、基材剥離力、突き刺し弾性率データは表1に示す。
【0153】
〔実施例1〕
上記で準備した第1基材層付き第1液晶硬化層(1−1)の液晶硬化層側の表面にコロナ処理(800W、10m/分、バー幅700mm、1Pass)を施した。上記で準備した両面にセパレータが付いた粘着剤層から一方のセパレータを剥離し、貼付装置(フジプラ株式会社製の“LPA3301”)を用いて第1基材層付き第1液晶硬化層(1−1)のコロナ処理面と貼合し、粘着剤層付き液晶硬化層を得た。さらに、上記で準備した第2基材層付き第2液晶硬化層(2−1)の液晶硬化層側の表面に同様にコロナ処理を施した後、粘着剤層付き液晶硬化層のもう一方のセパレータを剥離し、第2基材層付き第2液晶硬化層(2−1)のコロナ処理面と同様に貼合して、積層体(I)を得た。得られた積層体(I)を温度23℃、湿度50%の環境下で1晩静置させた。得られた両面基材層付き液晶硬化層積層体(I)について、剥離性、及び両基材を剥離して得られる光学積層体の引張弾性率を評価した結果を表1に示す。
【0154】
〔実施例2〕
上記で準備した第1基材層付き第2液晶硬化層(1−1)の液晶硬化層側の表面にコロナ処理(800W、10m/分、バー幅700mm、1Pass)を施した。上記で準備した接着剤1を、塗工機(第一理化株式会社製のバーコーター)を用いて、コロナ処理面に塗工した。次に、上記で準備した第2基材層付き第2液晶硬化層(2−1)の液晶硬化層側の表面に上記と同様の条件でコロナ処理を施した。接着剤1を介して、第1基材層付き第1液晶硬化層(1−1)と第2基材層付き第2液晶硬化層(2−1)とを貼付装置(フジプラ株式会社製の“LPA3301”)を用いて貼合した。第2基材層付き第2液晶硬化層(2−1)の基材層側から、ベルトコンベア付き紫外線照射装置(ランプは、フュージョンUVシステムズ社製の“Hバルブ”使用)を用いて紫外線を照射した。紫外線照射は、UVA域では照射強度が390mW/cmとなり、積算光量が420mJ/cmとなるようにし、UVB域では照射強度が400mW/cmとなり、積算光量が400mJ/cmとなるようにした。このようにして、積層体(II)を得た。得られた積層体(II)の接着剤層の厚みは1.5μmであった。得られた積層体(II)を温度23℃、湿度50%の環境下で1晩静置させた。得られた積層体(II)について、剥離性及び両基材を剥離して得られる光学積層体の引張弾性率を評価した結果を表1に示す。
【0155】
〔実施例3〜7、比較例1〜4〕
用いる第2基材層付き第2液晶硬化層、接着剤を表1及び表2に示すように変えたこと以外は、実施例2と同様の手順で両面基材層付き液晶硬化層積層体(III〜XI)を得た。得られた両面基材層付き液晶硬化層積層体(III〜XI)について、剥離性及び引張弾性率を評価した結果を表1及び表2に示す。なお、接着剤2又は3を用いる貼合に関しては、接着剤1を用いる実施例2と同様の条件で貼合を行った。また、接着剤層の厚みは、積層体(III)において2.0μm、積層体(IV)において1.5μm、積層体(V)において2.0μm、積層体(VI)において1.5μm、積層体(VII)において1.5μm、積層体(VIII)において2.0μm、積層体(IX)において1.5μm、積層体(X)において1.5μm、積層体(XI)において1.5μmであった。
【0156】
さらに、実施例及び比較例の積層体における液晶硬化層および配向層に関し、上記の式(A)に従いNを算出した結果を表3に示す。
【0157】
【表1】
【0158】
【表2】
【0159】
【表3】
【0160】
表1に示すように、実施例1〜7で得た光学積層体は、基材層の剥離性が良好であり、液晶硬化層間での剥離が生じにくいことに加えて、急激な温度変化によるクラックの発生が抑制されていることが確認された。これに対し、比較例に示す積層体は、基材層を剥離する際に、液晶硬化層間でも剥離が生じやすいか、又は、急激な温度変化によってクラックが生じやすいものであった。
【符号の説明】
【0161】
1 測定フィルム付き台紙
6 空隙部
7 糊付き台紙
8 外周
12 測定フィルム
N ニードル
M ニードルNを突刺す位置
S ひずみ量
100 積層体
111 第1基材層
121 第1液晶硬化層
131 第1配向層
141 第1の重合性液晶硬化物含有層
15 粘接着層
122 第2液晶硬化層
142 第2の重合性液晶硬化物含有層
132 第2配向層
112 第2基材層
図1
図2
図3
図4
図5
図6