(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1蓋体及び前記第2蓋体の上面の各々に凹所が形成されており、前記第1蓋体の前記底壁及び前記側壁が前記第1蓋体の凹所の少なくとも一部を画定し、前記第2蓋体の前記底壁及び前記側壁が前記第2蓋体の凹所の少なくとも一部を画定する、請求項1記載の基板液処理装置。
前記第1蓋体の壁体の上部と前記第2蓋体の壁体の上部との間の隙間を上方から覆う覆いを、前記第1蓋体及び前記第2蓋体のうちの少なくとも一方に設けた、請求項1記載の基板液処理装置。
前記第1蓋体及び前記第2蓋体のうちの前記覆いが設けられている蓋体の上面に板状体が取り付けられ、前記板状体は前記側壁を越えて前記隙間の上方に張り出して前記覆いを構成している、請求項3記載の基板液処理装置。
前記第1蓋体の壁体の上部と、前記第2蓋体の壁体の上部との間の隙間をシールするシールを、前記第1蓋体及び前記第2蓋体のうちの少なくとも一方に設けた、請求項1記載の基板液処理装置。
前記第1蓋体及び前記第2蓋体を構成する材料は前記シールを構成する材料よりも耐薬液性が高く、前記シールを構成する材料は前記第1蓋体及び前記第2蓋体を構成する材料よりも柔軟性が高い、請求項5記載の基板液処理装置。
前記第1蓋体及び前記第2蓋体のうちの前記シールが設けられている蓋体の上面に板状体が取り付けられ、前記板状体は前記壁体から前記隙間の上方に張り出して前記シールを構成している、請求項5記載の基板液処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず本発明の一実施形態に係る基板液処理装置1が組込まれた基板液処理システム1A全体について述べる。
【0013】
図1に示すように、基板液処理システム1Aは、キャリア搬入出部2と、ロット形成部3と、ロット載置部4と、ロット搬送部5と、ロット処理部6と、制御部7とを有する。
【0014】
このうちキャリア搬入出部2は、複数枚(たとえば、25枚)の基板(シリコンウエハ)8を水平姿勢で上下に並べて収容したキャリア9の搬入及び搬出を行う。
【0015】
このキャリア搬入出部2には、複数個のキャリア9を載置するキャリアステージ10と、キャリア9の搬送を行うキャリア搬送機構11と、キャリア9を一時的に保管するキャリアストック12,13と、キャリア9を載置するキャリア載置台14とが設けられている。ここで、キャリアストック12は、製品となる基板8をロット処理部6で処理する前に一時的に保管する。また、キャリアストック13は、製品となる基板8をロット処理部6で処理した後に一時的に保管する。
【0016】
そして、キャリア搬入出部2は、外部からキャリアステージ10に搬入されたキャリア9を、キャリア搬送機構11を用いてキャリアストック12やキャリア載置台14に搬送する。また、キャリア搬入出部2は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9を、キャリア搬送機構11を用いてキャリアストック13やキャリアステージ10に搬送する。キャリアステージ10に搬送されたキャリア9は、外部へ搬出される。
【0017】
ロット形成部3は、1又は複数のキャリア9に収容された基板8を組合せて同時に処理される複数枚(たとえば、50枚)の基板8からなるロットを形成する。なお、ロットを形成するときは、隣接する各2枚の基板8のパターンが形成されている表面が互いに対向するようにロットを形成してもよく、また、パターンが形成されている基板8の表面がすべて同じ方向を向くようにロットを形成してもよい。
【0018】
このロット形成部3には、複数枚の基板8を搬送する基板搬送機構15が設けられている。なお、基板搬送機構15は、基板8の搬送途中で基板8の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢及び垂直姿勢から水平姿勢に変更させることができる。
【0019】
そして、ロット形成部3は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9から基板搬送機構15を用いて基板8をロット載置部4に搬送し、ロットを形成する基板8をロット載置部4に載置する。また、ロット形成部3は、ロット載置部4に載置されたロットを基板搬送機構15でキャリア載置台14に載置されたキャリア9へ搬送する。なお、基板搬送機構15は、複数枚の基板8を支持するための基板支持部として、処理前(ロット搬送部5で搬送される前)の基板8を支持する処理前基板支持部と、処理後(ロット搬送部5で搬送された後)の基板8を支持する処理後基板支持部の2種類を有している。これにより、処理前の基板8等に付着したパーティクル等が処理後の基板8等に転着するのを防止する。
【0020】
ロット載置部4は、ロット搬送部5によってロット形成部3とロット処理部6との間で搬送されるロットをロット載置台16で一時的に載置(待機)する。
【0021】
このロット載置部4には、処理前(ロット搬送部5で搬送される前)のロットを載置する搬入側ロット載置台17と、処理後(ロット搬送部5で搬送された後)のロットを載置する搬出側ロット載置台18とが設けられている。搬入側ロット載置台17及び搬出側ロット載置台18には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて載置される。
【0022】
そして、ロット載置部4では、ロット形成部3で形成したロットが搬入側ロット載置台17に載置され、そのロットがロット搬送部5を介してロット処理部6に搬入される。また、ロット載置部4では、ロット処理部6からロット搬送部5を介して搬出されたロットが搬出側ロット載置台18に載置され、そのロットがロット形成部3に搬送される。
【0023】
ロット搬送部5は、ロット載置部4とロット処理部6との間やロット処理部6の内部間でロットの搬送を行う。
【0024】
このロット搬送部5には、ロットの搬送を行うロット搬送機構19が設けられている。ロット搬送機構19は、ロット載置部4とロット処理部6に沿わせて配置したレール20と、複数枚の基板8を保持しながらレール20に沿って移動する移動体21とで構成する。移動体21には、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8を保持する基板保持体22が進退自在に設けられている。
【0025】
そして、ロット搬送部5は、搬入側ロット載置台17に載置されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、そのロットをロット処理部6に受け渡す。また、ロット搬送部5は、ロット処理部6で処理されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、そのロットを搬出側ロット載置台18に受け渡す。さらに、ロット搬送部5は、ロット搬送機構19を用いてロット処理部6の内部においてロットの搬送を行う。
【0026】
ロット処理部6は、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8を1ロットとしてエッチングや洗浄や乾燥などの処理を行う。
【0027】
このロット処理部6には、基板8の乾燥処理を行う乾燥処理装置23と、基板保持体22の洗浄処理を行う基板保持体洗浄処理装置24と、基板8の洗浄処理を行う洗浄処理装置25と、基板8のエッチング処理を行う2台の本発明によるエッチング処理装置(基板液処理装置)1とが並べて設けられている。
【0028】
乾燥処理装置23は、処理槽27と、処理槽27に昇降自在に設けられた基板昇降機構28とを有する。処理槽27には、乾燥用の処理ガス(IPA(イソプロピルアルコール)等)が供給される。基板昇降機構28には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。乾燥処理装置23は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構28で受取り、基板昇降機構28でそのロットを昇降させることで、処理槽27に供給した乾燥用の処理ガスで基板8の乾燥処理を行う。また、乾燥処理装置23は、基板昇降機構28からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受け渡す。
【0029】
基板保持体洗浄処理装置24は、処理槽29を有し、この処理槽29に洗浄用の処理液及び乾燥ガスを供給できるようになっており、ロット搬送機構19の基板保持体22に洗浄用の処理液を供給した後、乾燥ガスを供給することで基板保持体22の洗浄処理を行う。
【0030】
洗浄処理装置25は、洗浄用の処理槽30とリンス用の処理槽31とを有し、各処理槽30,31に基板昇降機構32,33を昇降自在に設けている。洗浄用の処理槽30には、洗浄用の処理液(SC−1等)が貯留される。リンス用の処理槽31には、リンス用の処理液(純水等)が貯留される。
【0031】
エッチング処理装置1は、エッチング用の処理槽34とリンス用の処理槽35とを有し、各処理槽34,35に基板昇降機構36,37が昇降自在に設けられている。エッチング用の処理槽34には、エッチング用の処理液(リン酸水溶液)が貯留される。リンス用の処理槽35には、リンス用の処理液(純水等)が貯留される。上述のように、エッチング処理装置1は本発明による基板液処理装置となっている。
【0032】
これら洗浄処理装置25とエッチング処理装置1は、同様の構成となっている。エッチング処理装置(基板液処理装置)1について説明すると、基板昇降機構36には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。エッチング処理装置1において、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構36で受取り、基板昇降機構36でそのロットを昇降させることでロットを処理槽34のエッチング用の処理液に浸漬させて基板8のエッチング処理を行う。その後、エッチング処理装置1は、基板昇降機構36からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受け渡す。また、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構37で受取り、基板昇降機構37でそのロットを昇降させることでロットを処理槽35のリンス用の処理液に浸漬させて基板8のリンス処理を行う。その後、基板昇降機構37からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受け渡す。
【0033】
制御部7は、基板液処理システム1Aの各部(キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6、エッチング処理装置1)の動作を制御する。
【0034】
この制御部7は、たとえばコンピュータからなり、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体38を備える。記憶媒体38には、基板液処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部7は、記憶媒体38に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板液処理装置1の動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体38に記憶されていたものであって、他の記憶媒体から制御部7の記憶媒体38にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体38としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0035】
上述のようにエッチング処理装置1の処理槽34では、所定濃度の薬剤(リン酸)の水溶液(リン酸水溶液)を処理液(エッチング液)として用いて基板8に液処理(エッチング処理)が施される。
【0036】
次に、エッチング処理装置(基板液処理装置)1の概略構成及び配管系統について
図2を参照して説明する。
【0037】
エッチング処理装置1は、処理液として所定濃度のリン酸水溶液を貯留する前述した処理槽34を有している。処理槽34は、内槽34Aと、外槽34Bとを有する。外槽34Bには、内槽34Aからオーバーフローしたリン酸水溶液が流入する。外槽34Bの液位は、内槽34Aの液位よりも低く維持される。
【0038】
外槽34Bの底部には、循環ライン50の上流端が接続されている。循環ライン50の下流端は、内槽34A内に設置された処理液供給ノズル49に接続されている。循環ライン50には、上流側から順に、ポンプ51、ヒータ52及びフィルタ53が介設されている。ポンプ51を駆動させることにより、外槽34Bから循環ライン50及び処理液供給ノズル49を経て内槽34A内に送られ、その後再び内槽34Aから外槽34Bへと流出する、リン酸水溶液の循環流が形成される。
【0039】
処理槽34、循環ライン50及び循環ライン50内の機器(51,52,53等)により液処理部39が形成される。また、処理槽34及び循環ライン50により循環系が構成される。
【0040】
内槽34A内の処理液供給ノズル49の下方に、内槽34A内にあるリン酸水溶液中に不活性ガス例えば窒素ガスの気泡を吐出するための(バブリングを行うための)ガスノズル60が設けられている。ガスノズル60には、ガス供給源60Bから、開閉弁、流量制御弁、流量計などから構成される流量調節器60Cを介して、不活性ガス例えば窒素ガスが供給される。
【0041】
処理槽34には、前述した基板昇降機構36が付設されている。基板昇降機構36は、複数の基板8を垂直に起立した姿勢で水平方向に間隔をあけて配列させた状態で保持することができ、また、この状態で昇降することができる。
【0042】
エッチング処理装置1は、液処理部39にリン酸水溶液を供給するリン酸水溶液供給部40と、液処理部39に純水を供給する純水供給部41と、液処理部39にシリコン溶液を供給するシリコン供給部42と、液処理部39からリン酸水溶液を排出するリン酸水溶液排出部43とを有する。
【0043】
リン酸水溶液供給部40は、処理槽34及び循環ライン50からなる循環系内、すなわち液処理部39内のいずれかの部位、好ましくは図示したように外槽34Bに所定濃度のリン酸水溶液を供給する。リン酸水溶液供給部40は、リン酸水溶液を貯留するタンクからなるリン酸水溶液供給源40Aと、リン酸水溶液供給源40Aと外槽34Bとを接続するリン酸水溶液供給ライン40Bと、リン酸水溶液供給ライン40Bに上流側から順に介設された流量計40C、流量制御弁40D及び開閉弁40Eとを有している。リン酸水溶液供給部40は、流量計40C及び流量制御弁40Dを介して、制御された流量で、リン酸水溶液を外槽34Bに供給することができる。
【0044】
純水供給部41は、リン酸水溶液を加熱することにより蒸発した水分を補給するために純水を供給する。この純水供給部41は、所定温度の純水を供給する純水供給源41Aを含み、この純水供給源41Aは外槽34Bに流量調節器41Bを介して接続されている。流量調節器41Bは、開閉弁、流量制御弁、流量計などから構成することができる。
【0045】
シリコン供給部42は、シリコン含有化合物溶液例えばコロイダルシリコンを分散させた液を貯留するタンクからなるシリコン供給源42Aと、流量調節器42Bとを有している。流量調節器42Bは、開閉弁、流量制御弁、流量計などから構成することができる。
【0046】
リン酸水溶液排出部43は、液処理部39及び循環ライン50からなる循環系内、すなわち液処理部39内にあるリン酸水溶液を排出するために設けられる。リン酸水溶液排出部43は、循環ライン50から分岐する排出ライン43Aと、排出ライン43Aに上流側から順次設けられた流量計43B、流量制御弁43C、開閉弁43D及び冷却タンク43Eとを有する。リン酸水溶液排出部43は、流量計43B及び流量制御弁43Cを介して、制御された流量で、リン酸水溶液を排出することができる。
【0047】
冷却タンク43Eは、排出ライン43Aを流れてきたリン酸水溶液を一時的に貯留するとともに冷却する。冷却タンク43Eから流出したリン酸水溶液(符号43Fを参照)は、工場廃液系(図示せず)に廃棄してもよいし、当該リン酸水溶液中に含まれるシリコンを再生装置(図示せず)により除去した後に、リン酸水溶液供給源40Aに送り再利用してもよい。
【0048】
図示例では、排出ライン43Aは、循環ライン50(図ではフィルタドレンの位置)に接続されているが、これには限定されず、循環系内の他の部位、例えば内槽34Aの底部に接続されていてもよい。
【0049】
排出ライン43Aには、リン酸水溶液中のシリコン濃度を測定するシリコン濃度計43Gが設けられている。また、循環ライン50から分岐して外槽34Bに接続された分岐ライン55Aに、リン酸水溶液中のリン酸濃度を測定するリン酸濃度計55Bが介設されている。外槽34Bには、外槽34B内の液位を検出する液位計44が設けられている。
【0050】
次に、
図3〜
図7を参照してエッチング処理装置1の処理槽34の構成について詳細に説明する。説明の便宜のため、XYZ直交座標系を設定し、必要に応じて参照する。なお、X負方向を「前側」または「前方」、X正方向を「後側」または「後方」、Y負方向を「右側」または「右方」、Y正方向を「左側」または「左方」と呼ぶこともある。
【0051】
前述したように、処理槽34は、上部を開放させた内槽34Aと、上部を開放させた外槽34Bとを有する。内槽34Aは、外槽34Bの内部に収容されている。外槽34Bには、内槽34Aからオーバーフローしたリン酸水溶液が流入する。液処理が実行されている間、内槽34Aの底部を含む大部分は、外槽34B内のリン酸水溶液中に浸漬される。
【0052】
外槽34Bは液受け容器(シンク)80の内部に収容されており、外槽34Bと液受け容器80との間にドレン空間81が形成されている。ドレン空間81の底部にはドレンライン82が接続されている。
【0053】
処理液供給ノズル49は、内槽34A内をX方向(水平方向)に延びる筒状体からなる。処理液供給ノズル49は、その周面に穿設された複数の吐出口49D(
図3及び
図4を参照)から、基板昇降機構36に保持された基板8に向かって処理液を吐出する。図では2本の処理液供給ノズル49が設けられているが、3本以上の処理液供給ノズル49を設けてもよい。処理液供給ノズル49には、鉛直方向に延びる配管49Aから処理液(リン酸水溶液)が供給される。
【0054】
ガスノズル60は、内槽34A内の処理液供給ノズル49よりも低い高さ位置をX方向(水平方向)に延びる筒状体からなる。ガスノズル60は、その周面に穿設された複数の吐出口60D(
図3及び
図4を参照)から、不活性ガス(例えば窒素ガス)の気泡を吐出する。不活性ガスのバブリングにより、内槽34A内におけるリン酸水溶液の沸騰状態を安定化させることができる。ガスノズル60には、鉛直方向に延びる配管60Aから処理液(リン酸水溶液)が供給される。
【0055】
基板昇降機構36は、図示しない昇降機構により昇降する鉛直方向(Z方向)に延びる支持板36Aと、支持板36Aにより一端が支持される水平方向(X方向)に延びる一対の基板支持部材36Bとを有している(
図9も参照)。各基板支持部材36Bは、水平方向(X方向)に間隔を開けて配列された複数(例えば50〜52個)の基板支持溝(図示せず)を有している。基板支持溝には、基板8の周縁部が挿入される。基板昇降機構36は、複数(例えば50〜52枚)の基板8を、鉛直姿勢で、水平方向(X方向)に間隔を開けた状態で保持することができる。このような基板昇降機構36は当該技術分野において周知であり、詳細な構造の図示及び説明は省略する。
【0056】
処理槽34には、内槽34Aの上部開口を開閉するための第1蓋体71及び第2蓋体72が設けられている。第1蓋体71及び第2蓋体72は、それぞれ、水平方向(X方向)に延びる回転軸71S、72Sに結合されている。回転軸71S、72Sは、液受け容器80に固定された軸受け83及び回転アクチュエータ84(
図4、
図5を参照)に連結されている。回転アクチュエータ84を動作させることにより、第1蓋体71及び第2蓋体72は、水平方向(X方向)に延びる各々の回転軸線を中心として、内槽34Aの上部開口の第1領域(左半部)及び第2領域(右半部)をそれぞれ覆う閉鎖位置(
図3及び
図6に示す位置)と、概ね直立状態となって内槽34Aの上部開口の第1領域及び第2領域を開放する開放位置(
図8に示す位置)との間で回転(旋回)することができる(
図3中の矢印SW1,SW2を参照)。
【0057】
第1蓋体71及び第2蓋体72は内槽34Aの上部開口のうち、支持板36A、配管49A,60Aが設けられている領域を覆っていない。
【0058】
エッチング処理装置1の通常運転中、第1蓋体71及び第2蓋体72は、基板昇降機構36により保持された基板8の内槽34Aへの搬入/搬出が行われるとき以外は、閉鎖位置に位置し、内槽34A内にあるリン酸水溶液の温度低下を防止するとともに沸騰するリン酸水溶液から生じた水蒸気が処理槽34の外部に逃げることを抑制する。
【0059】
第1蓋体71は、真上から見て概ね矩形の本体部71Aと、X方向に延びる第1飛沫遮蔽部71B、第2飛沫遮蔽部71C及び閉鎖部71Dと、Y方向に延びる第3飛沫遮蔽部71Eとを有する。同様に、第2蓋体72は、概ね矩形の本体部72Aと、X方向に延びる第1飛沫遮蔽部72B、第2飛沫遮蔽部72C及び閉鎖部72Dと、Y方向に延びる第3飛沫遮蔽部72Eとを有する。
【0060】
本体部71Aの上面には大きな矩形の凹所71Rが形成されている。凹所71Rは、底壁711R及び4つの側壁712R、713R,714R,715Rにより画定されている。
【0061】
第1蓋体71が閉鎖位置にあるときに、内槽34Aから外槽34Bへのリン酸水溶液のオーバーフロー(
図6の矢印OFを参照)を妨げないように、内槽34Aの側壁と、これに近接して対面する側壁712R、713Rとの間には隙間が設けられている。なお、図示はしていないが、内槽34Aの4つの側壁の上端には、オーバーフローが円滑に行われるように、間隔を空けて複数のV字形の切り欠きが形成されている。
【0062】
第1蓋体71の底壁711Rは、Y方向に第2蓋体72から離れるに従って(Y方向に内槽34Aの側壁に近づくに従って)高くなるように傾斜している。この傾斜により、上記のオーバーフローがスムーズに行われる。
【0063】
内槽34A内のリン酸水溶液は沸騰状態にあるため、内槽34Aから外槽34Bにオーバーフローするリン酸水溶液と一緒にリン酸水溶液の飛沫も内槽34Aから飛び出す。この飛び出した飛沫は、閉鎖位置にある第1蓋体71の第1飛沫遮蔽部71Bに衝突し、内槽34Aの側壁と外槽34Bの側壁との間の空間に落ち、外槽34Bの外側には飛散しない。閉鎖位置にある第1蓋体71の第1飛沫遮蔽部71Bの下端は、近接する内槽34Aの側壁の上端よりも少なくとも低い位置にあることが好ましい。
【0064】
第2飛沫遮蔽部71Cは、第1蓋体71が開放位置にあるときに、第1蓋体71が閉鎖位置にあるときの第1飛沫遮蔽部71Bと同様の役割を果たす。開放位置にある第1蓋体71の第1飛沫遮蔽部71Bの下端は、近接する内槽34Aの側壁の上端よりも少なくとも低い位置にあることが好ましい。
【0065】
閉鎖部71Dは、第1蓋体71が開放位置にあるときに(
図8を参照)、内槽34Aの側壁の上端と外槽34Bの側壁の上端との間の隙間のうちの、回転軸71Sから外槽34Bの側壁までの領域の上方を覆う。閉鎖部71Dは、第1蓋体71が閉鎖位置にあるときに本体部71Aの上面に付着した液(例えば、処理槽34の上方を濡れた基板が通過したときに当該基板から落下した液)を、第1蓋体71が開放位置に位置したときに外槽34Bと液受け容器80との間のドレン空間81に案内し、当該液が外槽34B内に流入することを防止する。ドレン空間81に入った液は、ドレンライン82から廃棄される。
【0066】
第3飛沫遮蔽部71Eは、基板昇降機構36から遠い側において、内槽34Aの側壁と外槽34Bの側壁との間の空間の上方で延びるように設けられている。第3飛沫遮蔽部71Eは、第1蓋体71の端縁に沿って、当該端縁の全長に亘って、回転軸71SからY方向に延びている。第3飛沫遮蔽部71Eは、第1蓋体71が閉鎖位置にあるときに、第1飛沫遮蔽部71Bと同様の役割を果たす。開放位置にある第1蓋体71の第3飛沫遮蔽部71Eの下端は、近接する内槽34Aの側壁の上端よりも少なくとも低い位置にあることが好ましい。
【0067】
基板昇降機構36に近い側には第1蓋体71のY方向に延びる端縁に沿って延びる飛沫遮蔽部を設けなくてもよい。X正方向に飛散するリン酸水溶液は、基板昇降機構36の支持板36A、配管49A,60A等に衝突するため、外槽34Bまでは殆ど到達しないからである。
【0068】
第2蓋体72は第1蓋体71に対して実質的に鏡面対称に形成されており、第1蓋体71及び第2蓋体72の構造は互いに実質的に同一である。従って、第1蓋体71の構成及び作用に関する説明は、第2蓋体72の構成及び作用に関する説明に援用することができる。第1蓋体71及び第2蓋体72の互いに対応する部材(対称位置にある部材、同じ機能を有する部材)の参照符号の末尾には同じアルファベットが付けられており、参照符号の頭二桁が「71」であるか「72」であるかの相違しかない。
【0069】
図6に示すように、第1蓋体71及び第2蓋体72が閉鎖位置にあるとき、第1蓋体71の底壁711Rから上方に延びる側壁712Rと第2蓋体72の底壁721Rから上方に延びる側壁722Rとが互いに対面し、両側壁の間に高さHの隙間Gが形成される。凹所71R、72Rを設けることにより、高さHの隙間を設けることに起因する第1蓋体71及び第2蓋体72の重量の増大を抑制することができる。
【0070】
図6に示すように閉鎖位置にある第1蓋体71の本体部71Aの下面(底壁711Rの下面)及び第2蓋体72の本体部72Aの下面(底壁721Rの下面)が内槽34A内の処理液の液面に接している場合、第1蓋体71と第2蓋体との間の隙間から沸騰したリン酸水溶液が上方に飛び出し、周囲に飛散することがある。しかしながら、上述したように高さHの隙間Gを設けることにより、隙間Gから沸騰した処理液が外方に飛び出し難くなる。この効果を実現するために、高さHは、例えば約5cm以上とすることができる。
【0071】
内槽34A内の処理液が沸騰状態にあるリン酸水溶液である場合、第1蓋体71及び第2蓋体72のうち少なくとも本体部71A,72Aは処理液により侵されない、例えば石英などの材料により形成される。本体部71A、72Aが石英により形成された場合、石英同士が衝突して割れや欠けが生じるおそれがあるが、これを防止するため、第1蓋体71及び第2蓋体72が閉鎖位置にあるときに本体部71A,72A同士が接触しないように両者の間に隙間を設けることが望ましい。本体部71A,72A同士の間に隙間を設けた場合には、その隙間を通って処理槽34内特に内槽34A内のリン酸水溶液が外方に飛散するおそれがある。しかしながら、上記のような高さHの隙間Gを設けることにより、隙間Gからのリン酸水溶液の飛散を少なくとも大幅に抑制することが可能となる。
【0072】
また、オーバーフローを円滑にするために、前述したように底壁711R(721R)に傾斜を付け、かつ、底壁711R(721R)を内槽34A内のリン酸水溶液に接液させる場合には、底壁711R(721R)から上方に延びる側壁712R(722R)が無い場合には、底壁711R(721R)の先端がリン酸水溶液中に没してしまう。しかしながら、上記のように底壁711R(721R)から上方に延びる側壁712R(722R)を設けることにより、リン酸水溶液の液面の高さ位置を側壁712R(722R)の上端より低くすることが可能となる。
【0073】
図6に示すように、第1蓋体71の本体部71A及び第2蓋体72の本体部72Aのいずれか一方(ここでは本体部71A)に、他方(ここでは本体部72A)の先端の上方まであるいは上方を越えて延び、隙間Gを上方から覆う覆い73を設けることが好ましい。覆い73を設けることにより、隙間Gから処理液が上方に飛び出すことを防止することができる。なお、
図3〜
図5では、図面の煩雑化を防止するため、覆い73(及び板状体73P)が記載されていないことに注意されたい。
【0074】
なお、隙間Gが高さHを有しているため、内槽34A内のリン酸水溶液の液面から飛散した処理液の液滴の勢いが、覆い73に衝突するまでに弱まる。このため、覆い73に衝突した処理液が側方に飛び出すことはない。
【0075】
覆い73は、例えば
図6に示すように、第1蓋体71の凹所71Rの輪廓に合わせた略矩形の切除部73Qを有する板状体73Pを、第1蓋体71の本体部71Aの上面に装着することにより設けることができる。この場合、板状体73Pの端縁部により覆い73が構成される。
【0076】
図6に示すように、第1蓋体71及び第2蓋体72が閉鎖位置にあるときに、覆い73と第2蓋体72との間に隙間が設けられていてもよい。これに代えて、第1蓋体71及び第2蓋体72が閉鎖位置にあるときに、覆い73と第2蓋体72とが接触していてもよい。この場合、覆い73は、隙間Gの上端部を塞ぐシールとしての役割を果たす。
【0077】
覆い73を第2蓋体72に接触させる場合には、石英と衝突しても損傷が生じるおそれがなくかつ石英を損傷させることもない程度の柔軟性があり、かつ、比較的高い耐食性を有する樹脂材料、例えばPTFE、PFA等のフッ素系樹脂材料から覆い73を形成することが好ましい。
【0078】
覆い73を第1蓋体71と一体に形成してもよい。また、覆い73は設けなくてもよい。覆い73を設けない場合には、設ける場合よりも上記高さHをより高くすることが好ましい。
【0079】
また、第1蓋体71の本体部71A及び第2蓋体72の本体部72Aのいずれか一方(ここでは第2蓋体72の本体部72Aの先端部)に基板押さえ74を設けてもよい。基板押さえ74の下面には、基板8の配列方向(X方向)に沿って、基板支持部材36Bの基板支持溝(図示せず)と同じピッチで同じX方向位置に配置された複数の基板保持溝74Gが形成されている。基板保持溝74Gの各々には1枚の基板8の周縁部が収容される。なお、
図7では基板押さえ74の下端部(基板保持溝74Gが形成されている部分が見えているが、実際には、凹所72Rの底壁721Rに隠れて見えないことに注意されたい。
【0080】
図示された実施形態では、基板押さえ74は、第2蓋体72と別々に形成された細長い板状体からなり、ネジ止めにより第2蓋体72の本体部72Aに固定されている。これに代えて、基板押さえ74を第2蓋体72と一体に形成してもよい。いずれの場合も、基板押さえ74は、第2蓋体72の本体部72Aの側壁722Rの一部を構成することになる。
【0081】
基板8が処理されているときには、閉鎖位置に位置している第2蓋体72に設けられた基板押さえ74が、基板支持部材36Bにより支持された基板8と係合して、当該基板8の上方への変位を防止または抑制する。このため、処理液供給ノズル49から大流量で処理液を吐出したとしても、あるいは内槽34A内の処理液の沸騰レベルが高くなったとしても、あるいは窒素ガスバブリングを激しく行ったとしても、基板8が基板支持部材36Bから脱落するおそれがなくなる。
【0082】
次に上記エッチング処理装置1の作用について説明する。まず、リン酸水溶液供給部40がリン酸水溶液を液処理部39の外槽34Bに供給する。リン酸水溶液の供給開始後に所定時間が経過すると、循環ライン50のポンプ51が作動し、上述した循環系内を循環する循環流が形成される。
【0083】
さらに、循環ライン50のヒータ52が作動して、内槽34A内のリン酸水溶液が所定温度(例えば160℃)となるようにリン酸水溶液を加熱する。遅くともヒータ52による加熱開始時点までに、第1蓋体71及び第2蓋体72を閉鎖位置に位置させる。160℃のリン酸水溶液は沸騰状態となる。沸騰による水分の蒸発によりリン酸濃度が予め定められた管理上限値を超えたことがリン酸濃度計55Bにより検出された場合には、純水供給部41から純水が供給される。
【0084】
1つのロットの基板8を内槽34A内のリン酸水溶液中に投入する前に、循環系(内槽34A、外槽34B及び循環ライン50を含む)内に存在するリン酸水溶液中のシリコン濃度(これはシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比に影響を及ぼす)の調整が行われる。シリコン濃度の調節は、ダミー基板を内槽34A内のリン酸水溶液中に浸漬すること、あるいはシリコン供給部42から外槽34Bにシリコン含有化合物溶液を供給することにより行うことができる。循環系内に存在するリン酸水溶液中のシリコン濃度が予め定められた範囲内にあることを確認するために、排出ライン43Aにリン酸水溶液を流し、シリコン濃度計43Gによりシリコン濃度を測定してもよい。
【0085】
シリコン濃度調整の終了後、第1蓋体71及び第2蓋体72を開放位置に移動し、内槽34A内のリン酸水溶液中に、基板昇降機構36に保持された複数枚、すなわち1つのロット(処理ロットまたはバッチとも呼ばれる)を形成する複数例えば50枚の基板8を浸漬させる。その後直ちに、第1蓋体71及び第2蓋体72が閉鎖位置に戻される。基板8を所定時間リン酸水溶液に浸漬することにより、基板8にウエットエッチング処理(液処理)が施される。
【0086】
基板8のエッチング処理中に第1蓋体71及び第2蓋体72を閉鎖位置に位置させておくことにより、内槽34A内のリン酸水溶液の液面付近の温度低下が抑制され、これにより、内槽34A内のリン酸水溶液の温度分布を小さく抑えることができる。また、内槽34Aが外槽34B内のリン酸水溶液中に浸漬されているため、内槽34Aの壁体からの放熱による内槽34A内のリン酸水溶液の温度低下が抑制され、また、内槽34A内のリン酸水溶液の温度分布を小さく抑えることができる。従って、基板8のエッチング量の面内均一性及び面間均一性を高く維持することができる。
【0087】
1つのロットの基板8の処理中に、基板8からシリコンが溶出するため、循環系内に存在するリン酸水溶液中のシリコン濃度が上昇する。1つのロットの基板8の処理中に、循環系内に存在するリン酸水溶液中のシリコン濃度を維持するために、あるいは意図的に変化させるために、リン酸水溶液排出部43により循環系内にあるリン酸水溶液を排出しながら、リン酸水溶液供給部40によりリン酸水溶液を供給することができる。
【0088】
上記のようにして一つのロットの基板8の処理が終了したら、第1蓋体71及び第2蓋体72を開放位置に移動し、基板8を内槽34Aから搬出する。
【0089】
その後、再び第1蓋体71及び第2蓋体72を閉鎖位置に移動し、循環系内にあるリン酸水溶液の温度、リン酸濃度、シリコン濃度の調節を行った後に、上記と同様にして別のロットの基板8の処理を行う。
【0090】
上記実施形態では処理液がリン酸水溶液であったが、これに限定されるものではなく、例えば、SC1やリン酸水溶液に酢酸等の添加物を混合した処理液を用いてもよい。また、上記実施形態では、エッチングされる膜をシリコン窒化膜としていたが、これに限らず、その他のエッチング対象となる膜であってもよい。また、処理槽内で基板に施される処理は、エッチング工程を含んでいなくてもよく、洗浄工程のみを含むものであってもよい。すなわち、処理槽において、処理液の液面から飛沫が生じるような条件で処理を行う場合に、本発明は適用される。基板は、半導体ウエハに限定されるものではなく、ガラス、セラミック等の他の材料からなる基板であってもよい。