特許第6986927号(P6986927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6986927レドックスドープされた電子伝達層および補助電子伝達層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986927
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】レドックスドープされた電子伝達層および補助電子伝達層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20211213BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20211213BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20211213BHJP
   C07D 221/18 20060101ALN20211213BHJP
   C07D 251/24 20060101ALN20211213BHJP
   C07D 239/70 20060101ALN20211213BHJP
   C07D 495/04 20060101ALN20211213BHJP
【FI】
   H05B33/22 A
   H05B33/14 A
   H01L27/32
   G09F9/30 365
   !C07D221/18
   !C07D251/24
   !C07D239/70
   !C07D495/04 105Z
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2017-202427(P2017-202427)
(22)【出願日】2017年10月19日
(65)【公開番号】特開2018-129502(P2018-129502A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2020年10月9日
(31)【優先権主張番号】16195375.7
(32)【優先日】2016年10月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503180100
【氏名又は名称】ノヴァレッド ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ドマゴイ,パヴィチチ
(72)【発明者】
【氏名】ジェロム,ガニエ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィギンタス,ヤンクス
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンソン,キム
(72)【発明者】
【氏名】ビョンク,キム
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−200941(JP,A)
【文献】 特開2016−185914(JP,A)
【文献】 特表2018−518036(JP,A)
【文献】 特表2018−534768(JP,A)
【文献】 特表2019−511464(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/140780(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/042098(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0140603(KR,A)
【文献】 特開2006−279014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
H01L 27/32
G09F 9/30
C07D 221/18
C07D 251/24
C07D 239/70
C07D 495/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード、カソード、上記アノードおよび上記カソードの間に配置された発光層、第1電子伝達マトリクスを有する第1電子伝達層、第2電子伝達マトリクスを有する第2電子伝達層、およびレドックスnドーパントを備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
上記第1電子伝達層および上記第2電子伝達層は上記発光層および上記カソードの間に配置されており、上記第1電子伝達層は上記第2電子伝達層よりも上記発光層の近くに配置されており、上記第2電子伝達層は上記第1電子伝達層よりも上記カソードの近くに配置されており;上記第2電子伝達層は、上記レドックスnドーパントを含有し、少なくとも上記第1電子伝達マトリクスは化学式Iのマトリクス化合物を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子
【化1】

ここで、
、A、A、およびAは単結合、非置換または置換C〜C30アリーレン、
および非置換または置換C〜C30ヘテロアリーレンから個別に選択され;
A5は非置換または置換C〜C40アリール基および/または非置換または置換C〜C40ヘテロアリール基から選択され;
〜Rは個別に置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり;
a〜eは個別に0または1および4≦a+b+c+d+e≦5の整数であり;
上記置換基において、少なくとも1つの水素は下記に置き換えられる:
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三級アミノ基、ここで、上記第三級アミノ基の窒素原子は個
別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、または上記C〜C60第三級アミノ基の上記窒素原子はC〜C30複素環基を形成する、
(iv)C〜C60ホスフィンオキシド基、ここで、上記ホスフィンオキシド基のリン原子はヒドロカルビル、ハロゲン化ヒドロカルビル、およびヒドロカルビルオキシから
個別に選択された2つのC〜C30の基に置換されるか、または上記ホスフィンオキシド基の上記リン原子はC〜C30複素環基を形成する、
(v)C〜C22シリル基、
(vi)C〜C30アルキル基、
(vii)C〜C10アルキルシリル基、
(viii)C〜C22アリールシリル基、
(ix)C〜C30シクロアルキル基、
(x)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(xi)C〜C30アリール基、
(xii)C〜C30ヘテロアリール基、
(xiii)C〜C20アルコキシ基、
(xiv)C〜C30パーフルオロ−ヒドロカルビル基、
(xv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xvi)シアノ基。
【請求項2】
上記レドックスnドーパントは、元素金属、電気的に中性な金属錯体、および/または電気的に中性な有機ラジカルから選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
上記電気的に中性な金属錯体および/または電気的に中性な有機ラジカルのレドックス電位は、フェロセン/フェロセニウム基準レドックス対に対するサイクリックボルタンメトリーによって測定した場合、−1.7Vよりも負の値である、請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
上記マトリクス化合物(I)は、化学式(Ia)に記載の化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化2】

ここで、化学式Iaにおいて、
ArはC〜C12アリーレンおよびC〜C11ヘテロアリーレンから選択され;
〜Rは個別に置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり;
a〜eは個別に0または1および4≦a+b+c+d+e≦5の整数であり;
Lは単結合、置換もしくは非置換C〜C30アリーレン基、または置換もしくは非置換C〜C30ヘテロアリーレン基であり;
ETは、非置換C〜C40アリールもしくは非置換C〜C40ヘテロアリール基、
または置換C〜C40アリールもしくは置換C〜C40ヘテロアリール基であり;
上記置換基において、少なくとも1つの水素は下記に置き換えられる:
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三級アミノ基、ここで、上記C〜C60第三級アミノ基の窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、またはC〜C30複素環基を形成する、
(iv)C〜C60ホスフィンオキシド基、ここで、上記ホスフィンオキシド基のリン原子はヒドロカルビル、ハロゲン化ヒドロカルビル、およびヒドロカルビルオキシから個別に選択された2つのC〜C30の基に置換されるか、または上記ホスフィンオキシド基の上記リン原子はC〜C30複素環基を形成する、
(v)C〜C22シリル基、
(vi)C〜C30アルキル基、
(vii)C〜C10アルキルシリル基、
(viii)C〜C22アリールシリル基、
(ix)C〜C30シクロアルキル基、
(x)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(xi)C〜C30アリール基、
(xii)C〜C30ヘテロアリール基、
(xiii)C〜C20アルコキシ基、
(xiv)C〜C30パーフルオロ−ヒドロカルビル基、
(xv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xvi)シアノ基。
【請求項5】
上記マトリクス化合物(I)は、化学式(Ib)に記載の化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化3】

ここで、化学式Ibにおいて、
〜X11は個別にN、C、またはCRであり;
は個別に、水素、重水素、C〜C30アルキル基、C〜C30シクロアルキル基、C〜C30アリール基、C〜C30ジアリールアミン基、C〜C30アルコキシ基、C〜C21シリル基、C〜C21シリルオキシ基、C〜C30アルキルチオール基、C〜C30アリールチオール基、ハロゲン、C〜C30ハロゲン化ヒドロカルビル基、シアノ基であり;
〜Rは個別に置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり;
a〜eは個別に0または1および4≦a+b+c+d+e≦5の整数であり;
Lは単結合、置換または非置換C〜C30アリーレン基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリーレン基であり;
ETは、非置換C〜C40アリールもしくは非置換C〜C40ヘテロアリール基、または置換C〜C40アリールもしくは置換C〜C40ヘテロアリール基であり;
上記置換基において、少なくとも1つの水素は下記に置き換えられる:
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三級アミノ基、ここで、上記C〜C60第三級アミノ基の
窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、また
はC〜C30複素環基を形成する、
(iv)C〜C60ホスフィンオキシド基、ここで、上記ホスフィンオキシド基のリン原子はヒドロカルビル、ハロゲン化ヒドロカルビル、およびヒドロカルビルオキシから個別に選択された2つのC〜C30の基に置換されるか、または上記ホスフィンオキシド基の上記リン原子はC〜C30複素環基を形成する、
(v)C〜C22シリル基、
(vi)C〜C30アルキル基、
(vii)C〜C10アルキルシリル基、
(viii)C〜C22アリールシリル基、
(ix)C〜C30シクロアルキル基、
(x)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(xi)C〜C30アリール基、
(xii)C〜C30ヘテロアリール基、
(xiii)C〜C20アルコキシ基、
(xiv)C〜C30パーフルオロ−ヒドロカルビル基、
(xv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xvi)シアノ基。
【請求項6】
上記化合物(I)は、式(Ic)に記載の化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化4】

ここで、式Icにおいて、
〜Rは個別に置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり;
a〜eは個別に0または1および4≦a+b+c+d+e≦5の整数であり、
Lは単結合、置換または非置換C〜C30アリーレン基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリーレン基であり、
ETは、非置換C〜C40アリールもしくは非置換C〜C40ヘテロアリール基、
または置換C〜C40アリールもしくは置換C〜C40ヘテロアリール基であり;
上記置換基において、少なくとも1つの水素は下記に置き換えられる:
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三級アミノ基、ここで、上記C〜C60第三級アミノ基の窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、またはC〜C30複素環基を形成する、
(iv)C〜C60ホスフィンオキシド基、ここで、上記ホスフィンオキシド基のリン原子はヒドロカルビル、ハロゲン化ヒドロカルビル、およびヒドロカルビルオキシから個別に選択された2つのC〜C30の基に置換されるか、または上記ホスフィンオキシド基の上記リン原子はC〜C30複素環基を形成する、
(v)C〜C22シリル基、
(vi)C〜C30アルキル基、
(vii)C〜C10アルキルシリル基、
(viii)C〜C22アリールシリル基、
(ix)C〜C30シクロアルキル基、
(x)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(xi)C〜C30アリール基、
(xii)C〜C30ヘテロアリール基、
(xiii)C〜C20アルコキシ基、
(xiv)C〜C30パーフルオロ−ヒドロカルビル基、
(xv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xvi)シアノ基。
【請求項7】
上記ET基はC〜C30ヘテロアリール基である、請求項〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
上記ET基はカルバゾリル基ではないという条件で、上記ETは少なくとも1つのNを含む、請求項〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
上記レドックスnドーパントは、実質的に安定したアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、および遷移金属Ti、V、CrおよびMnから選択される電気陽性金属である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
上記第2電子伝達マトリクスは少なくとも1つの窒素原子を含む複素環基を有し、および/または上記第2電子伝達マトリクスは少なくとも1つのホスフィンオキシド基を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
有機発光ダイオードである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
請求項1〜11に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、特に、第1電子伝達層が第1電子伝達マトリクス化合物を含み第2電子伝達層が第2電子伝達マトリクス化合物を含む少なくとも2層の電子伝達層からなるETL積層体と、レドックスnドーパントとを含む有機発光ダイオード(OLED)、および当該OLEDを備えるデバイスに関する。
【0002】
〔背景技術〕
自家発光性デバイスである有機発光ダイオード(OLED)は、広い視野角、優れたコントラスト、迅速な反応、高い明度、優れた駆動電圧特性、および色の再現性を有する。典型的なOLEDはアノード、正孔伝達層HTL、発光層EML、電子伝達層ETL、およびカソードを備え、これらが順に基板上に積層されている。ここで、HTL、EML、およびETLは、有機化合物から形成された薄膜である。
【0003】
電圧がアノードおよびカソードに印加される際、アノードから注入された正孔はHTLを通ってEMLに移動し、カソードから注入された電子はETLを通ってEMLに移動する。正孔および電子は、EMLにおいて再結合し、励起子を発生させる。励起子が励起状態から基底状態に下降する際、光が発せられる。明度/輝度が高い状態での動作電圧を可能な限り低くし、正孔および電子の注入および流れの均衡を保つことを目的として、上述した構造を有するOLEDが優れた効率および/または長寿命を有するように、改良された材料の開発が望まれ続けている。
【0004】
低動作電圧および高電流密度/高輝度を実現するための確立されたアプローチの1つとして、電荷注入層/伝達層における電気的p型ドーピングおよび/または電気的n型ドーピングが挙げられ、特に、高電荷キャリア濃度のドープされた層を生成するレドックスドーピングが挙げられる。本願の著作者の内の数人は、先の出願であるPCT出願番号KR2015−012551において、嵩高い芳香族基を適切に設計された電子伝達ユニットと組み合わせた新規な電子伝達マトリクス化合物を開発し、エミッター層と電気的にドープされた電子伝達層との間に挟まれた層の中にその発明の電子伝達マトリクス化合物が含まれている場合に、それらの層を備えるOLEDデバイスが特に有望な成果をもたらすことを首尾よく証明した。デバイスのパフォーマンスをさらに向上させるために、本発明は、レドックスドープされた電子伝達層を備えるOLEDにおける独創的な電荷伝達化合物を提供する。
【0005】
〔開示内容〕
本発明の態様は、外部量子効率EQE等の効率の向上、低動作電圧、および長寿命を達成するために、発光層および少なくとも2層の電子伝達層(ETL)を備える有機発光デバイスを提供し、特に、トップエミッション型および/またはボトムエミッション型有機発光ダイオード(OLED)中に使用される有機発光デバイスを提供する。
【0006】
本発明の他の態様は、少なくとも1つのOLEDを備える電子デバイスを提供する。
【0007】
本発明の一態様によれば、アノード、カソード、上記アノードおよび上記カソードの間に配置された発光層、第1電子伝達マトリクスを有する第1電子伝達層、第2電子伝達マトリクスを有する第2電子伝達層、およびレドックスnドーパントを備えるエレクトロルミネッセンス素子であって、上記第1電子伝達層および上記第2電子伝達層は上記発光層と上記カソードとの間に配置されており、上記第1電子伝達層は上記第2電子伝達層よりも発光層の近くに配置されており、上記第2電子伝達層は上記第1電子伝達層よりも上記カソードの近くに配置されており;少なくとも上記第1電子伝達マトリクスは式Iに示すマトリクス化合物を含み:
【0008】
【化1】
【0009】
ここで、
、A、A、およびAは単結合、非置換または置換C〜C30アリーレン、および非置換または置換C〜C30ヘテロアリーレンから個別に選択され;
は非置換または置換C〜C40アリール基および/または非置換または置換C〜C40ヘテロアリール基から選択され;
〜Rは個別に置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり;
a〜eは個別に0または1および4≦a+b+c+d+e≦5の整数であり;
上記置換基において、少なくとも1つの水素は下記に置き換えられる、エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【0010】
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三級アミノ基、ここで、上記第三級アミノ基の上記窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、または上記C〜C60第三級アミノ基の上記窒素原子はC〜C30複素環基を形成する、
(iv)C〜C60ホスフィンオキシド基、ここで、上記ホスフィンオキシド基の上記リン原子はヒドロカルビル、ハロゲン化ヒドロカルビル、およびヒドロカルビルオキシから個別に選択された2つのC〜C30の基に置換されるか、または上記ホスフィンオキシド基の上記リン原子はC〜C30複素環基を形成する、
(v)C〜C22シリル基、
(vi)C〜C30アルキル基、
(vii)C〜C10アルキルシリル基、
(viii)C〜C22アリールシリル基、
(ix)C〜C30シクロアルキル基、
(x)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(xi)C〜C30アリール基、
(xii)C〜C30ヘテロアリール基、
(xiii)C〜C20アルコキシ基、
(xiv)C〜C30パーフルオロ−ヒドロカルビル基、
(xv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xvi)シアノ基。
【0011】
さらなる実施形態によれば、第1電子伝達層は式(I)に記載の第1マトリクス化合物からなる。
【0012】
デバイスの特定の態様についての詳細は後述する。
【0013】
エレクトロルミネッセンス素子、例えば、OLEDの動作条件は、本明細書の実験パートにおいて記載する。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、エレクトロルミネッセンス素子は有機発光ダイオードOLEDであってもよい。
【0015】
本明細書において、「A、A、A、およびAは個別に単結合から選択される」とは、「A、A、A、およびA」が単結合として選択される場合、「A、A、A、およびA」が共に1つの単結合を形成することを意味する。
【0016】
本明細書において、「A、A、A、およびAは個別に単結合から選択される」とは、その中の少なくとも2つの直接接続した部分、例えば、「A、A」が単結合として選択される場合、それらの接続した部分が共に単結合を形成することを意味する。
【0017】
本明細書において、「A、A、A、およびAは個別に単結合から選択される」とは、その中の少なくとも3つの直接接続した部分、例えば、「A、A、A」が単結合として選択される場合、それらの直接接続した部分が共に単結合を形成することを意味する。
【0018】
本明細書において、「置換基において、少なくとも1つの水素は下記に置き換えられる」という記載は、特に断りのない限り、A、A、A、A、およびAに関連し;R〜Rに関連し;Arに関連し;Lに関連し;ならびにETに関連する。
【0019】
本明細書において、他に定義されていない場合、「置換された」とは、重水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アルコキシに置換されたものを指す。
【0020】
本明細書において、他に定義されていない場合、「アルキル基」とは飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。アルキル基はC〜C12アルキル基であってもよい。より具体的には、アルキル基はC〜C10アルキル基またはC〜Cアルキル基であってもよい。例えば、C〜Cアルキル基はアルキル鎖において1〜4つの炭素を含み、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびt−ブチルから選択されてもよい。
【0021】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、が挙げられる。
【0022】
「シクロアルキル」という用語は、対応するシクロアルカンに含まれる環原子から1つの水素原子を形式的に取り除くことによってシクロアルカンから得られた飽和ヒドロカルビル基を指す。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、アダマントリー基、等が挙げられる。
【0023】
本明細書において、「アリール基」は、対応する芳香族炭化水素に含まれる芳香族環から1つの水素原子を形式的に取り除くことによって生成することができるヒドロカルビル基を指す。芳香族炭化水素とは、少なくとも1つの芳香族環または芳香族環構造を含む炭化水素を指す。芳香族環または芳香族環構造は共有結合型炭素原子の平面環または環構造を指し、平面環または環構造はヒュッケル則を満たす非局在化電子の共役系を含む。アリール基の例としては、フェニラートリル等の単環基、ビフェニリル等の単結合によって結合したより多い芳香族環を有する多環基、およびナフチルまたはフルオレン−2−イル等の縮合環を備える多環基、が挙げられる。
【0024】
同じように、ヘテロアリールとは、少なくとも1つのそのような環を有する化合物における複素環式芳香族環から1つの環状水素を形式的に取り除くことによって得られた基であると理解される。
【0025】
ヘテロシクロアルキルとは、少なくとも1つのそのような環を有する化合物における飽和複素環リングから1つの環状水素を形式的に取り除くことによって得られた基であると理解される。
【0026】
「ヘテロ」という用語は、共有結合型炭素原子によって形成され得る構造中の少なくとも1つの炭素原子が別の多価原子に置き換えられることを指す。好ましくは、ヘテロ原子はB、Si、N、P、O、Sから選択され;より好ましくはN、P、O、Sから選択される。
【0027】
本明細書において、単結合とは直接結合を指す。
【0028】
本発明の文脈において、「異なる」とは化合物が同一の化学構造を有さないことを意味する。
【0029】
「有さない(free of)」、「含まない(does not contain)」、「備えない(does not comprise)」という記載は、堆積前の化合物に存在し得る不純物を排除しない。不純物は、本発明によって達成される目的に対して技術的な効果を有さない。
【0030】
「接触しながら挟まれる」という記載は、3つの層を配置する場合に真ん中の層が隣接する2つの層に直接接触する配置を指す。
【0031】
本明細書において、正孔特性とは電界が印加された場合に正孔を形成するために電子を提供する能力を指し、アノードに形成された正孔は、最高被占分子軌道(HOMO)レベルによる導電特性のために、発光層に容易に注入されて発光層中で容易に伝達され得ることを指す。
【0032】
さらに、電子特性とは電界が印加された場合に電子を受容する能力を指し、カソードに形成された電子は、最低空分子軌道(LUMO)レベルによる導電特性のために、発光層に容易に注入されて発光層中で容易に伝達され得ることを指す。
【0033】
〔有利な効果〕
驚くべきことに、特に電圧および/または効率について当該技術分野で知られている有機エレクトロルミネッセンス素子よりも優れた様々な態様の本発明の有機発光デバイスが、本発明の基礎をなす課題を解決することがわかった。これらの要素は高効率を達成するために重要であり、これにより、例えば携帯表示装置といった携帯機器の電池寿命が増加する。
【0034】
驚くべきことに、有機エレクトロルミネッセンス素子を青色蛍光素子として使用した場合に特に良好なパフォーマンスが実現されることを発明者らは発見した。
【0035】
本明細書に記載の、好ましい特定の構成が特に有益であることが分かった。
【0036】
さらに、高効率および/または長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子を実現可能である。
【0037】
以下、一実施形態に係る、第1および第2電子伝達層を備えるETL積層体について記載する。
【0038】
〔第1電子伝達マトリクス化合物〕
発光層の外側の本発明のデバイスに含まれる他の化合物と同様に、エレクトロルミネッセンス素子、例えば、OLEDの動作条件下において、第1電子伝達マトリクス化合物は発光しなくてもよい。
【0039】
さらなる実施形態によれば、第1マトリクス化合物は式(Ia)に記載の化合物である。
【0040】
【化2】
【0041】
ここで、式Iaにおいて、
ArはC〜C12アリーレンおよびC〜C11ヘテロアリーレンから選択され;
〜Rは個別に置換または非置換C6〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり;
a〜eは個別に0または1および4≦a+b+c+d+e≦5の整数であり;
Lは単結合、置換もしくは非置換C〜C30アリーレン基、または置換もしくは非置換C〜C30ヘテロアリーレン基であり;
ETは、非置換C〜C40アリールもしくは非置換C〜C40ヘテロアリール基、または置換C〜C40アリールもしくは置換C〜C40ヘテロアリール基であり;
上記置換基において、少なくとも1つの水素は下記に置き換えられる:
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三級アミノ基、ここで、上記C〜C60第三級アミノ基の上記窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、またはC〜C30複素環基を形成する、
(iv)C〜C60ホスフィンオキシド基、ここで、上記ホスフィンオキシド基の上記リン原子はヒドロカルビル、ハロゲン化ヒドロカルビル、およびヒドロカルビルオキシから個別に選択された2つのC〜C30の基に置換されるか、または上記ホスフィンオキシド基の上記リン原子はC〜C30複素環基を形成する、
(v)C〜C22シリル基、
(vi)C〜C30アルキル基、
(vii)C〜C10アルキルシリル基、
(viii)C〜C22アリールシリル基、
(ix)C〜C30シクロアルキル基、
(x)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(xi)C〜C30アリール基、
(xii)C〜C30ヘテロアリール基、
(xiii)C〜C20アルコキシ基、
(xiv)C〜C30パーフルオロ−ヒドロカルビル基、
(xv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xvi)シアノ基。
【0042】
一実施形態において、ET基はカルバゾリル基ではない。
【0043】
さらなる実施形態によれば、式(Ia)において、
〜Rは個別に置換または非置換C〜C12アリール基、置換または非置換C〜Cヘテロアリール基であり;
a〜eは個別に0または1および4≦a+b+c+d+e≦5の整数であり;
Lは単結合、置換もしくは非置換C〜C12アリーレン基、または置換もしくは非置換C〜Cヘテロアリーレン基であり;
ETは、非置換C〜C18アリールもしくは非置換C〜C20ヘテロアリール基、または置換C〜C18アリールもしくは置換C〜C20ヘテロアリール基であり;
上記置換基において、少なくとも1つの水素は下記に置き換えられる:
(i)重水素、
(ii)C〜C12アルキル基、
(iii)C〜C12アリール基、
(iv)C〜Cヘテロアリール基、または
(v)C〜C12アルコキシ基。
【0044】
一実施形態において、ET基はカルバゾリル基ではない。
【0045】
さらなる実施形態によれば、Arはフェニルまたはビフェニリルであり、Lは単結合である。
【0046】
さらなる実施形態によれば、第1電子伝達化合物は式(Ib)に記載の化合物である。
【0047】
【化3】
【0048】
ここで、式Ibにおいて、
〜X11は個別にN、C、またはCRであり;
は個別に、水素、重水素、C〜C30アルキル基、C〜C30シクロアルキル基、C〜C30アリール基、C〜C30ジアリールアミン基、C〜C30アルコキシ基、C〜C21シリル基、C〜C21シリルオキシ基、C〜C30アルキルチオール基、C〜C30アリールチオール基、ハロゲン、C〜C30ハロゲン化ヒドロカルビル基、シアノ基であり;
〜Rは個別に置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり;
a〜eは個別に0または1および4≦a+b+c+d+e≦5の整数であり;
Lは単結合、置換または非置換C〜C30アリーレン基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリーレン基であり;
ETは、非置換C〜C40アリールもしくは非置換C〜C40ヘテロアリール基、または置換C〜C40アリールもしくは置換C〜C40ヘテロアリール基であり;
上記置換基において、少なくとも1つの水素は下記に置き換えられる:
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三級アミノ基、ここで、上記C〜C60第三級アミノ基の上記窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、またはC〜C30複素環基を形成する、
(iv)C〜C60ホスフィンオキシド基、ここで、上記ホスフィンオキシド基の上記リン原子はヒドロカルビル、ハロゲン化ヒドロカルビル、およびヒドロカルビルオキシから個別に選択された2つのC〜C30の基に置換されるか、または上記ホスフィンオキシド基の上記リン原子はC〜C30複素環基を形成する、
(v)C〜C22シリル基、
(vi)C〜C30アルキル基、
(vii)C〜C10アルキルシリル基、
(viii)C〜C22アリールシリル基、
(ix)C〜C30シクロアルキル基、
(x)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(xi)C〜C30アリール基、
(xii)C〜C30ヘテロアリール基、
(xiii)C〜C20アルコキシ基、
(xiv)C〜C30パーフルオロ−ヒドロカルビル基、
(xv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xvi)シアノ基。
【0049】
好ましくは、Rは水素、重水素、C〜C30アルキル基、C〜C30シクロアルキル基、C〜C30アリール基、またはC〜C30アルコキシ基から個別に選択される。
【0050】
一実施形態において、ET基はカルバゾリル基ではない。
【0051】
さらなる実施形態によれば、第1電子伝達層は式(Ic)に記載の第1電子マトリクス化合物を含む。
【0052】
【化4】
【0053】
ここで、式Icにおいて、
〜Rは個別に置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり;
a〜eは個別に0または1および4≦a+b+c+d+e≦5の整数であり、
Lは単結合、置換または非置換C〜C30アリーレン基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリーレン基であり、
ETは、非置換C〜C40アリールもしくは非置換C〜C40ヘテロアリール基、または置換C〜C40アリールもしくは置換C〜C40ヘテロアリール基であり;
上記置換基において、少なくとも1つの水素は下記に置き換えられる:
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三級アミノ基、ここで、上記C〜C60第三級アミノ基の上記窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、またはC〜C30複素環基を形成する、
(iv)C〜C60ホスフィンオキシド基、ここで、上記ホスフィンオキシド基の上記リン原子はヒドロカルビル、ハロゲン化ヒドロカルビル、およびヒドロカルビルオキシから個別に選択された2つのC〜C30の基に置換されるか、または上記ホスフィンオキシド基の上記リン原子はC〜C30複素環基を形成する、
(v)C〜C22シリル基、
(vi)C〜C30アルキル基、
(vii)C〜C10アルキルシリル基、
(viii)C〜C22アリールシリル基、
(ix)C〜C30シクロアルキル基、
(x)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(xi)C〜C30アリール基、
(xii)C〜C30ヘテロアリール基、
(xiii)C〜C20アルコキシ基、
(xiv)C〜C30パーフルオロ−ヒドロカルビル基、
(xv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xvi)シアノ基。
【0054】
一実施形態において、ET基はカルバゾリル基ではない。
【0055】
さらなる実施形態によれば、式(Ic)において、
【0056】
【化5】
【0057】
〜Rは個別に置換または非置換C〜C30アリール基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリール基であり;
a〜dは1であり;
eは0であり;
Lは単結合、置換または非置換C〜C30アリーレン基、置換または非置換C〜C30ヘテロアリーレン基であり、
ETは、非置換C〜C40アリールもしくは非置換C〜C40ヘテロアリール基、または置換C〜C40アリールもしくは置換C〜C40ヘテロアリール基であり;
上記置換基において、少なくとも1つの水素は下記に置き換えられる:
(i)重水素、
(ii)ハロゲン、
(iii)C〜C60第三級アミノ基、ここで、上記C〜C60第三級アミノ基の上記窒素原子は個別に選択された2つのC〜C30ヒドロカルビル基に置換されるか、またはC〜C30複素環基を形成する、
(iv)C〜C22シリル基、
(v)C〜C30アルキル基、
(vi)C〜C10アルキルシリル基、
(vii)C〜C22アリールシリル基、
(viii)C〜C30シクロアルキル基、
(ix)C〜C30ヘテロシクロアルキル基、
(x)C〜C30アリール基、
(xi)C〜C30ヘテロアリール基、
(xii)C〜C20アルコキシ基、
(xiii)C〜C30パーフルオロ−ヒドロカルビル基、
(xiv)C〜C10トリフルオロアルキル基、または
(xv)シアノ基。
【0058】
好ましくは、R〜Rは置換または非置換C〜C18アリール基またはC〜C18ヘテロアリール基から個別に選択され、より好ましくは置換または非置換C〜C18アリール基から個別に選択される。好ましくは、R〜Rは置換されていない。一実施形態において、ET基はカルバゾリル基ではない。
【0059】
式Iの化合物がこの範囲内で選択され、特に、真空蒸着によって成膜された層である場合、特に良好なパフォーマンスを得ることができる。
【0060】
1つ以上の置換基は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから選択されてもよい。
【0061】
式Iの化合物がこの範囲から選択された場合、溶液によって処理された層において特に良好な性質が得られる。
【0062】
好ましくは、Lは単結合または非置換フェニルから選択される。
【0063】
さらなる実施形態によれば、ET基はC〜C30ヘテロアリール基であり、好ましくは、ETは式E1またはE2から選択され:
【0064】
【化6】
【0065】
ここで、
Ar’およびAr”はC〜C18アリールから個別に選択され、好ましくは、C〜C12アリールから個別に選択される。
【0066】
好ましくは、ETは式E1から選択される。
【0067】
好ましくは、式Iの化合物は本質的に非発光性である。
【0068】
本明細書の文脈において、「本質的に非発光性」という用語は、その化合物または層の、デバイスからの可視発光スペクトルに対する寄与が、当該可視発光スペクトルに対して10%未満、好ましくは5%未満であることを意味する。可視発光スペクトルとは波長が約≧380nm〜約≦780nmの発光スペクトルである。
【0069】
本発明のさらなる態様によれば、第1電子伝達マトリクス化合物の還元電位は、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対するサイクリックボルタンメトリーによって同じ条件下で測定した場合、トリフェニルホスフィンオキシドについて得られた値ほどは負の値ではなく、テトラキス(キノキサリン−5−イルオキシ)ジルコニウムについて得られた値よりも負の値である。
【0070】
これらの条件下において、トリフェニルホスフィンオキシドの還元電位は約−3.06Vであり、テトラキス(キノキサリン−5−イルオキシ)ジルコニウムの還元電位は約−1.78Vである。
【0071】
本発明のさらなる態様によれば、第1電子伝達マトリクス化合物の還元電位は、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対するサイクリックボルタンメトリーによって同じ条件下で測定した場合、トリフェニルホスフィンオキシドについて得られた各値ほどは負の値ではなく、好ましくはビス(4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)−(フェニル)ホスフィンオキシドについて得られた各値ほどは負の値ではなく、より好ましくは3−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−5−(4−(t−ブチル)フェニル)−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾールについて得られた各値ほどは負の値ではなく、さらに好ましくはピレンについて得られた各値ほどは負の値ではなく、最も好ましくは2,7−ジ−ピレニル−9,9−スピロビフルオレンについて得られた各値ほどは負の値ではなく、また好ましくは4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンについて得られた各値ほどは負の値ではなく、また好ましくは2,4,7,9−テトラフェニル−1,10−フェナントロリンについて得られた各値ほどは負の値ではなく、また好ましくは7−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)ジベンゾ[c,h]アクリジンについて得られた各値ほどは負の値ではなく、また好ましくは2,4,6−トリフェニルトリアジンについて得られた各値ほどは負の値ではなく、さらに好ましくは2,4,6−トリ(ビフェニル−4−イル)−1,3,5−トリアジンについて得られた各値ほどは負の値ではない。
【0072】
本発明のさらなる態様によれば、第1電子伝達マトリクス化合物の還元電位は、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対するサイクリックボルタンメトリーによって同じ条件下で測定した場合、テトラキス(キノキサリン−5−イルオキシ)ジルコニウムについて得られた各値よりも負の値であってもよく、好ましくは4,4’−ビス(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,1’−ビフェニルについて得られた各値よりも負の値であってもよく、最も好ましくは2,4,6−トリ(ビフェニル−4−イル)−1,3,5−トリアジンについて得られた各値よりも負の値であってもよい。
【0073】
本発明のさらなる態様によれば、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対して測定した場合、第1電子マトリクス化合物の還元電位は−2.35Vほどは負ではなく−2.14Vよりも負であり、好ましくは−2.3Vほどは負ではなく−2.16Vよりも負であり、より好ましくは−2.25Vほどは負ではなく−2.16Vよりも負であってもよい。
【0074】
還元電位は、定電位装置Metrohm PGSTAT30およびソフトウェアMetrohm Autolab GPESを用いた室温でのサイクリックボルタンメトリーによって測定可能である。特定の化合物に与えられる還元電位は、被測定物質のアルゴン脱気した乾燥THF(0.1M)溶液中、アルゴン雰囲気下で、白金作用電極間の0.1Mヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム支持電解質およびAg/AgCl疑似標準電極(Metrohm社製の銀棒電極)を用いて、走査速度100mV/sで測定した。ここで、当該Ag/AgCl疑似標準電極は塩化銀に覆われた銀ワイヤからなり、測定溶液に直接含浸されている。最初の測定は、作用電極に設定される電位の最大範囲で行われ、以降の測定においてその範囲を適宜調整した。最後の3回の測定は、基準としてフェロセン(濃度0.1M)を添加して行った。対象化合物のカソードおよびアノードのピークに対応する電位の平均は、基準Fc/Fcレドックス対について測定されたカソードおよびアノードの電位の平均を差し引いた後、最終的に上述の報告された値をもたらした。報告された比較化合物だけでなく、すべての対象化合物も明確な可逆的電気化学性質を示した。
【0075】
別の一態様によれば、式Iの化合物のガラス転移温度(Tg)は、≦125℃〜≦200℃の範囲から、好ましくは≦130℃〜≦180℃の範囲から選択されてもよい。
【0076】
ガラス転移温度は窒素雰囲気下で測定することができ、当該測定は示差走査熱量計Mettler Toledo DSC822eを用いて10K/分の加熱速度で行われる。当該測定については、DIN EN ISO11357(2010年3月公開)を参照。
【0077】
以下の構造A1〜A18を有する式Iの化合物が特に好ましい:
【0078】
【化7】
【0079】
〔第2電子伝達マトリクス化合物〕
第2電子伝達マトリクスは特に限定されない。発光層の外側に設けられる本発明のデバイスに含まれる他の物質と同様に、第2電子伝達マトリクスは発光しなくてもよい。
【0080】
一実施形態によれば、第2電子伝達マトリクスは有機化合物、有機金属化合物、または金属錯体であり得る。
【0081】
一実施形態によれば、第2電子伝達マトリクスは、少なくとも6個の非局在化電子の共役系を含む共有結合化合物であってもよい。共有結合材料を最も広義に解釈すれば、すべての化学結合中少なくとも50%が共有結合である材料が共有結合材料であると理解され、ここで、配位結合も共有結合であると考えられる。本出願において、最も広義に解釈した場合の共有結合材料という用語は、有機化合物からだけでなく、例えば置換2,4,6−トリボラ−1,3,5トリアジンといった炭素を含まない構造部分を含む化合物から主に選択される、または例えばアルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリノラート)といった金属錯体から主に選択される、すべての一般的な電子伝達マトリクスを包含する。
【0082】
分子的共有結合材料は、好ましくは真空熱蒸発(VTE)によって加工可能な程度に安定している低分子量化合物を含んでもよい。または、共有結合材料は高分子共有結合化合物を含んでもよく、好ましくは、溶媒に対して可溶な化合物であって、したがって溶液の形態で処理可能である化合物を含んでもよい。実質的に共有結合を有する高分子材料は架橋されて無限の不規則なネットワークを形成し得ることを理解すべきであるが、そのような実質的に共有結合を有する架橋高分子マトリクス化合物はなおも骨格原子および周辺原子の両方を含むと推定される。共有結合化合物の骨格原子は、少なくとも2つの隣接原子と共有結合している。共有結合化合物の他の原子は、1つの隣接原子と共有結合している周辺原子である。ケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、硫化亜鉛、ケイ酸塩ガラス等のような部分的に共有結合を有するが実質的に周辺原子を欠く無機無限結晶または完全架橋ネットワークは、本願の意味において共有結合マトリクスとはみなされない。これは、そのような完全架橋共有結合材料が、そのような材料によって形成された相の表面上のみに周辺原子を含んでいるためである。カチオンおよびアニオンを含む化合物も、少なくとも当該カチオンまたは少なくとも当該アニオンが少なくとも10個の共有結合原子を含んでいる場合に、共有結合化合物であるとみなされる。
【0083】
共有結合を有する第2電子伝達マトリクス化合物の好ましい例としては有機化合物が挙げられ、当該有機化合物は主に共有結合したC、H、O、N、Sからなり、共有結合したB、P、As、Seも任意に含んでもよい。一実施形態において、第2電子伝達マトリクス化合物には金属原子が含まれておらず、第2電子伝達マトリクス化合物の骨格原子の大部分は、C、O、S、Nから選択される。
【0084】
他の実施形態において、第2電子伝達マトリクス化合物は、少なくとも6個、より好ましくは少なくとも10個、さらに好ましくは少なくとも14個の非局在化電子の共役系を含む。
【0085】
非局在化電子の共役系の例としては、パイ結合およびシグマ結合が交互に起こる系が挙げられる。原子間にパイ結合を有する1つ以上の2原子構造単位は、少なくとも1つの孤立電子対を持つ原子(一般的に、O、S、Se、Teから選択される二価原子、またはN、P、As、Sb、Biから選択される三価原子)に任意に置き換わってもよい。好ましくは、非局在化電子の共役系はヒュッケル則に準拠した少なくとも1つの芳香族環またはヘテロ芳香族環を含む。また、好ましくは、第2電子伝達マトリクス化合物は、共有結合によって連結されたかまたは縮合された少なくとも2つの芳香族環またはヘテロ芳香族環を含んでもよい。
【0086】
特定の実施形態のうちの1つにおいて、第2電子伝達マトリクス化合物は、共有結合原子からなる環を含み、当該環における少なくとも1つの原子はリンである。
【0087】
より好ましい実施形態において、共有結合原子からなるリン含有環は、ホスフェピン環である。
【0088】
他の好ましい実施形態において、共有結合マトリクス化合物は、ホスフィンオキシド基を含む。また、好ましくは、実質的に共有結合を含むマトリクス化合物は少なくとも1つの窒素原子を含む複素環を有している。本発明のデバイスに用いる第2電子伝達マトリクス化合物として特に有利な窒素含有複素環化合物の例としては、ピリジン構造部分、ジアジン構造部分、トリアジン構造部分、キノリン構造部分、ベンゾキノリン構造部分、キナゾリン構造部分、アクリジン構造部分、ベンゾアクリジン構造部分、ジベンゾアクリジン構造部分、ジアゾール構造部分、およびベンゾジアゾール構造部分を、単独またはそれらの組合せで備えているマトリクスが挙げられる。
【0089】
第2マトリクス化合物の分子量(Mw)は、400g/mol以上850g/mol以下の範囲内、好ましくは450g/mol以上830g/mol以下の範囲内であってもよい。分子量がこの範囲内で選択される場合、特に、良好な長期安定性が認められる温度の真空下において、再現可能な蒸発および蒸着を行うことができる。
【0090】
好ましくは、第2電子伝達マトリクス化合物は、本質的に非発光性であってもよい。
【0091】
一実施形態において、第2電子伝達マトリクス化合物の双極子モーメントは、0デバイ以上2.3デバイ以下、好ましくは0.8デバイ以上2.2デバイ以下、また、好ましくは1デバイ以上2.2デバイ以下、また、好ましくは1.5デバイ以上2.2デバイ以下から選択されてもよい。他の実施形態において、第2電子伝達マトリクス化合物は2.3デバイよりも高い双極子モーメントを有してもよい。好ましい実施形態として、元素金属から選択されるレドックスドーパントと組み合わせてもよい。
【0092】
別の一態様によれば、第2電子伝達マトリクス化合物の還元電位は、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対して−2.2Vよりも負であり−2.35Vほどは負ではなく、好ましくは−2.25Vよりも負であり−2.3Vほどは負ではない範囲から選択されてもよい。
【0093】
〔レドックスnドーパント〕
レドックスnドーパントとは、電子伝達マトリクスに埋め込まれた場合、同一の物理的条件下におけるニートマトリクスと比較して、自由電子濃度を増加させる化合物であると理解される。
【0094】
エレクトロルミネッセンス素子、例えばOLEDの動作条件下において、レドックスnドーパントは発光しなくてもよい。一実施形態において、レドックスnドーパントは、元素金属、電気的に中性な金属錯体、および/または電気的に中性な有機ラジカルから選択される。
【0095】
nドーパントの強度の最も実用的な基準は、nドーパントのレドックス電位値である。レドックス電位値が取り得る負の程度については特に限定されない。
【0096】
有機発光ダイオードに使用される通常の電子伝達マトリクスの還元電位は、フェロセン/フェロセニウム基準レドックス対に対するサイクリックボルタンメトリーによって測定した場合、おおよそ、約−1.8V〜約−3.1Vの範囲内である。そのようなマトリクスを効果的にnドープ可能なnドーパントについて、実際に適用可能なレドックス電位はわずかに広い範囲である約−1.7V〜約−3.3Vである。
【0097】
レドックス電位の測定は、実際には、同一の化合物の還元物および酸化物からなる対応するレドックス対に対して行われる。
【0098】
レドックスnドーパントが電気的に中性な金属錯体および/または電気的に中性な有機ラジカルである場合、当該レドックスnドーパントのレドックス電位の測定は、以下によって形成されるレドックス対に対して実際には行われる:
(i)電気的に中性な金属錯体、および電気的に中性な金属錯体から1つの電子を取り除くことによって形成されたカチオンラジカル、または、
(ii)電気的に中性な有機ラジカル、および電気的に中性な有機ラジカルから1つの電子を取り除くことによって形成されたカチオン。
【0099】
好ましくは、電気的に中性な金属錯体および/または電気的に中性な有機ラジカルのレドックス電位は、下記(i)および(ii)からなる対応するレドックス対についてフェロセン/フェロセニウム基準レドックス対に対するサイクリックボルタンメトリーによって測定した場合、−1.7Vよりも負の値であり、好ましくは−1.9Vよりも負の値であり、より好ましくは−2.1Vよりも負の値であり、さらに好ましくは−2.3Vよりも負の値であり、最も好ましくは−2.5Vよりも負の値である。
【0100】
(i)電気的に中性な金属錯体、および電気的に中性な金属錯体から1つの電子を取り除くことによって形成されたカチオンラジカル、または、
(ii)電気的に中性な有機ラジカル、および電気的に中性な有機ラジカルから1つの電子を取り除くことによって形成されたカチオン。
【0101】
好ましい実施形態において、nドーパントのレドックス電位は、選択された電子伝達マトリクスの還元電位値に対して約±0.5Vの値である。
【0102】
レドックスnドーパントとして好適な電気的に中性な金属錯体としては、例えば、低酸化状態にあるいずれかの遷移金属の強く還元的な錯体であってもよい。特に強いレドックスnドーパントは、例えば、WO2005/086251により詳細に記載されているように、W(hpp)等のCr(II)、Mo(II)および/またはW(II)グアニジナート錯体から選択され得る。
【0103】
レドックスnドーパントとして好適な電気的に中性な有機ラジカルは、例えば、EP1837926B1、WO2007/107306、またはWO2007/107356により詳細に記載されているように、有機ラジカルの安定した二量体、オリゴマーまたは重合体からの付加的なエネルギーの供給によって生成された有機ラジカルであってもよい。
【0104】
元素金属とは、ニート金属状態の金属、金属合金状態の金属、または自由原子もしくは金属クラスター状態の金属であると理解される。金属相(例えば、ニートバルク金属)からの真空熱蒸発によって蒸着された金属は、当該金属の元素形態で蒸発すると理解されている。蒸発した元素金属が共有結合マトリクスと共に蒸着される場合、金属原子および/またはクラスターが共有結合マトリクスに埋め込まれることがさらに理解されている。言い換えれば、真空熱蒸発によって調製された、金属ドープされた共有結合材料はいずれも、少なくとも部分的に元素形態の金属を含んでいることが理解されている。
【0105】
民生電子機器における使用については、安定した核種を含む金属または放射性崩壊の非常に長い半減期を有する核種を含む金属のみが適用可能である。核安定性の許容レベルとしては、天然カリウムの核安定性とすることができる。
【0106】
一実施形態において、nドーパントは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、および第1遷移系列の金属Ti、V、CrおよびMnから選択される電気陽性金属から選択される。好ましくは、nドーパントはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sm、Eu、Tm、Ybから選択され;より好ましくはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、およびYbから選択され、さらに好ましくはLi、Na、Cs、およびYbから選択され、最も好ましくはLi、Na、およびYbから選択される。
【0107】
レドックスドーパントは本質的に非発光性であってもよい。
【0108】
〔ETL積層体〕
他の実施形態によれば、第1マトリクス化合物および第2マトリクス化合物として異なる化合物を選択してもよく、その場合、
第1電子伝達層は式(I)の第1マトリクス化合物からなり;
第2電子伝達層は式(II)の第2マトリクス化合物およびアルカリ金属塩またはアルカリ金属有機錯体からなる。
【0109】
好ましくは、第1電子伝達層および第2電子伝達層は、本質的に非発光性であってもよい。
【0110】
他の実施形態によれば、第1電子伝達層は、発光層と直接接触してもよい。
【0111】
他の実施形態によれば、第1電子伝達層は、第2電子伝達層と直接接触してもよい。
【0112】
他の実施形態によれば、第1電子伝達層は、発光層と第2電子伝達層との間に接触しながら挟まれてもよい。
【0113】
他の実施形態によれば、第2電子伝達層は、電子注入層と直接接触してもよい。
【0114】
他の実施形態によれば、第2電子伝達層は、第1電子伝達層と電子注入層との間に接触しながら挟まれてもよい。
【0115】
他の実施形態によれば、第2電子伝達層は、カソード電極と直接接触してもよい。
【0116】
他の実施形態によれば、第2電子伝達層は、第1電子伝達層とカソード層との間に接触しながら挟まれてもよい。
【0117】
他の実施形態によれば、第1電子伝達層が発光層と第2電子伝達層との間に接触しながら挟まれ、第2電子伝達層が第1電子伝達層と電子注入層との間に接触しながら挟まれてもよい。
【0118】
本発明の別の一態様によれば、本願に記載のいずれかの実施形態に係る少なくとも1つの有機発光デバイスを備える電子デバイスを提供し、好ましくは、本願に記載の実施形態のうちの1つにおける有機発光ダイオードを備える電子デバイスを提供する。より好ましくは、電子デバイスは表示装置である。
【0119】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオードを示す断面図である。
【0120】
図2は、本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオードの有機層の一部を具体的に示す断面図である。
【0121】
図3は、本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオードの有機層の一部を具体的に示す断面図である。
【0122】
以下、図面について、実施例に基づきより詳細に説明する。しかしながら、本開示は以下の図面に限定されない。
【0123】
図1図3は、本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオード100、300、および400を概略的に示す断面図である。以下、図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオードの構造、および当該有機発光ダイオードの製造方法を説明する。有機発光ダイオード100は、アノード110、正孔伝達領域(任意)と、発光層130とを含む有機層積層体105、およびカソード150が順に積層した構造を有している。
【0124】
基板をアノード110の上またはカソード150の下に配置してもよい。基板は、一般的な有機発光ダイオードに使用される通常の基板から選択されてもよく、ガラス基板または透明プラスチック基板であってもよい。
【0125】
アノード110は、基板上にアノード材料を蒸着するかまたはスパッタリングすることによって形成されてもよい。アノード材料は、正孔注入を容易にする高い仕事関数を有する材料から選択することができる。アノード110は、反射電極、半透過電極、または透過電極であってもよい。アノード材料としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、等を用いてもよい。または、銀(Ag)もしくは金(Au)もしくはそれらの合金等の金属であってもよい。
【0126】
アノード110は、単層構造または2層以上の多層構造を有してもよい。
【0127】
本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオード100、300、および400は、正孔伝達領域;発光層130;および式Iに記載の化合物を含む第1電子伝達層33を備えてもよい。
【0128】
図2を参照すると、有機層積層体105の正孔伝達領域は、少なくとも2層の正孔伝達層を備えてもよい。この場合、発光層(130)に接触する正孔伝達層を第1正孔伝達層135と定義し、アノード(110)と接触する正孔伝達層を第2正孔伝達層34と定義する。有機層積層体105は、2層の電子伝達層、すなわち第1電子伝達層33および第2電子伝達層31をさらに備えている。積層体105の正孔伝達領域は、正孔注入層、正孔伝達層、電子ブロッキング層、および緩衝層のうち少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0129】
積層体105の正孔伝達領域は、正孔注入層または正孔伝達層のみを含んでいてもよい。または、正孔伝達領域は、正孔注入層36/正孔伝達層34もしくは正孔注入層36/正孔伝達層34/電子ブロッキング層(135)がアノード110から順に積層されている構造を有してもよい。
【0130】
例えば、正孔注入層36および電子注入層37をさらに備えてもよく、その場合、OLEDは、順に積層されたアノード110/正孔注入層36/正孔伝達層34/電子ブロッキング層135/発光層130/第1電子伝達層33/第2電子伝達層31/電子注入層37/カソード150を備えてもよい。
【0131】
本発明の別の一態様によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子(400)は、アノード(110)、正孔注入層(36)、正孔伝達層(34)、任意の電子ブロッキング層(135)、発光層(130)、第1電子伝達層(33)、第2電子伝達層(31)、任意の電子注入層(37)、カソード(150)を備え、これらの層はこの順番で配置されている。
【0132】
正孔注入層36は、アノードとしてのITOと正孔伝達層34に用いられる有機材料との間の界面特性を向上させることができる。また、正孔注入層36を非平坦なITO上に適用することで、ITOの表面が平坦になる。正孔注入層36は、アノードとしてのITOの仕事関数と正孔伝達層34の最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギーレベルとの間の差を調節するために、例えば、自身のHOMOのエネルギーレベルの中央値が、ITOの仕事関数と正孔伝達層34のHOMOのエネルギーレベルとの間の値である材料を含んでもよい。
【0133】
正孔伝達領域が正孔注入層36を備えている場合、正孔注入層は、例えば、真空蒸着、スピンコーティング、鋳造、およびラングミュア・ブロジェット法(Langmuir Blodgett, LB)等の様々な方法のいずれかによって、アノード110上に形成されてもよい。
【0134】
正孔注入層が真空蒸着を用いて形成される場合、真空蒸着条件は、正孔注入層の形成に使用される材料、目的の構造、および形成される正孔注入層の熱特性によって異なり得る。例えば、真空蒸着は、約100℃〜約500℃の温度、約10−6Pa〜約10−1Paの圧力、および約0.1nm/sec〜約10nm/secの蒸着速度で行われてもよい。しかしながら、蒸着条件はこれらに限定されない。
【0135】
正孔注入層がスピンコーティングを用いて形成される場合、コーティング条件は、正孔注入層の形成に使用される材料、目的の構造、および形成される正孔注入層の熱特性によって異なり得る。例えば、コーティング速度は約2000rpm〜約5000rpmの範囲内であってもよく、コーティング後に溶媒を除去するために行われる熱処理の温度は約80℃〜約200℃の範囲内であってもよいが、コーティング条件はこれらに限定されない。
【0136】
正孔伝達層および電子ブロッキング層を形成する条件は、上述した正孔注入層の形成条件に基づいて定められてもよい。
【0137】
電荷伝達領域における正孔伝達部の厚さは約10nm〜約1000nmであってもよく、例えば、約10nm〜約100nmであってもよい。電荷伝達領域の正孔伝達伝達部が正孔注入層および正孔伝達層を備える場合、正孔注入層の厚さは約10nm〜約1000nm、例えば約10nm〜約100nmであってもよく、正孔伝達層の厚さは約5nm〜約200nm、例えば、約10nm〜約150nmであってもよい。電荷伝達領域の正孔伝達部、HIL、およびHTLの厚さがこれらの範囲内である場合、駆動電圧を実質的に上昇させることなく、十分な正孔伝達特性を得ることができる。
【0138】
正孔伝達領域に使用される正孔伝達マトリクス材料は特に限定されない。少なくとも6個の非局在化電子の共役系を含む共有結合化合物が好ましい。正孔伝達層に広く使用されている正孔伝達マトリクス材料の典型例としては、多環式芳香族炭化水素、トリアリールアミン化合物、および複素環式芳香族化合物が挙げられる。正孔伝達領域の様々な層において有用な正孔伝達マトリクスのフロンティア軌道エネルギーレベルの好適な範囲はよく知られている。レドックス対HTLマトリクスのレドックス電位/HTLマトリクスのカチオンラジカルとして表した場合(例えば、基準としてのフェロセン/フェロセニウムレドックス対に対するサイクリックボルタンメトリーによって測定した場合)、好ましい値は0.0V〜1.0Vの範囲内であり、より好ましくは0.2V〜0.7Vの範囲内であり、さらに好ましくは0.3V〜0.5Vの範囲内であってもよい。
【0139】
有機層積層体の正孔伝達領域は、上述した材料に加えて、伝導性を向上させるために電荷生成材料をさらに含んでもよい。電荷生成材料は、正孔伝達領域中に均一にまたは不均一に分散していてもよい。
【0140】
電荷生成材料は、例えば、pドーパントであってもよい。pドーパントはキノン誘導体、金属酸化物、およびシアノ基含有化合物のうちの1つであってもよいが、これらに限定されない。pドーパントの例としては、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)、2,3,5,6−テトラフルオロ−テトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4−TCNQ)等のキノン誘導体;タングステン酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物;および下記化合物HT−D1等のシアノ含有化合物、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0141】
【化8】
【0142】
電荷伝達領域の正孔伝達部はさらに緩衝層を含んでもよい。
【0143】
緩衝層はEMLから発せられた光の波長に応じて当該光の光学共鳴距離を補うことが可能であり、これによって効率を向上させることができる。
【0144】
発光層(EML)は、真空蒸着、スピンコーティング、鋳造、またはLB法等を用いて正孔伝達領域上に形成されてもよい。発光層が真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合、蒸着およびコーティングの条件は発光層の形成に使用される材料によって異なり得るが、蒸着およびコーティングの条件は正孔注入層の形成条件と同様であってもよい。発光層はエミッターホスト(EMLホスト)およびエミッタードーパント(さらに、エミッターのみ)を含んでもよい。
【0145】
エミッターは、赤色エミッター、緑色エミッター、または青色エミッターであってもよい。
【0146】
一実施形態において、エミッターホストは下記式400に示すアントラセンマトリクス化合物である:
【0147】
【化9】
【0148】
式400中、Ar111およびAr112のそれぞれは個別に置換または非置換C〜C60アリーレン基であってもよく;Ar113〜Ar116のそれぞれは個別に置換もしくは非置換C〜C10アルキル基または置換もしくは非置換C〜C60アリール基であってもよく;g、h、i、およびjのそれぞれは個別に0〜4の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、式400中のAr111およびAr112のそれぞれは個別に、フェニレン基、ナフチレン基、フェナントレニレン基、またはピレニレン基であってもよく;それぞれがフェニル基、ナフチル基、またはアントリル基の少なくとも1つに置換されたフェニレン基、ナフチレン基、フェナントレニレン基、フルオレニル基、またはピレニレン基であってもよい。
【0149】
式400中、g、h、i、およびjのそれぞれは個別に0、1、または2の整数であってもよい。
【0150】
式400中、Ar113〜Ar116のそれぞれは個別に、下記のうちの1つであってもよい:
フェニル基、ナフチル基、またはアントリル基の少なくとも1つに置換されたC〜C10アルキル基;
フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基、またはフルオレニル基;
フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基、または、
それぞれが、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、またはそれらの塩の少なくとも1つに置換された、フルオレニル基、
スルホン酸基またはその塩、
リン酸基またはその塩、
〜C60アルキル基、C〜C60アルケニル基、C〜C60アルキニル基、C〜C60アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基、または
フルオレニル基;または
【0151】
【化10】
【0152】
式(Y2)または式(Y3)である。
【0153】
【化11】
【0154】
式(Y2)および式(Y3)中、Xは酸素原子および硫黄原子から選択されるが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。
【0155】
式(2Y)において、R11〜R14の何れか1つはAr111との結合に使用される。Ar111との結合に使用されないR11〜R14およびR15〜R20は、R〜Rと同じである。
【0156】
式(3Y)において、R21〜R24の何れか1つはAr111との結合に使用される。Ar111との結合に使用されないR21〜R24およびR25〜R30は、R〜Rと同じである。
【0157】
好ましくは、EMLホストはN、O、またはSからなる群から選択される1個〜3個のヘテロ原子を含む。より好ましくは、EMLホストはSまたはOから選択される1個のヘテロ原子を含む。
【0158】
本発明のさらなる態様によれば、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対するサイクリックボルタンメトリーによって同じ条件下で測定した場合、エミッターホストの各還元電位は、7−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)ジベンゾ[c,h]アクリジンについて得られた各値よりも負の値であり、好ましくは9,9’,10,10’−テトラフェニル−2,2’−ビアントラセンについて得られた各値よりも負の値であり、より好ましくは2,9−ジ([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンについて得られた各値よりも負の値であり、さらに好ましくは2,4,7,9−テトラフェニル−1,10−フェナントロリンについて得られた各値よりも負の値であり、さらに好ましくは9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)−2−フェニルアントラセンについて得られた各値よりも負の値であり、さらに好ましくは2,9−ビス(2−メトキシフェニル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンについて得られた各値よりも負の値であり、最も好ましくは9,9’−スピロビ[フルオレン]−2,7−ジイルビス(ジフェニルホスフィンオキシド)について得られた各値よりも負の値である。
【0159】
エミッターは発光を起こすために少量混合され、一般的には、三重項以上への多重励起によって発光する金属錯体等の物質であり得る。エミッターは、例えば、無機化合物、有機化合物、または有機金属化合物であってもよく、それらの1つ以上が使用されてもよい。
【0160】
エミッターは蛍光性エミッター(例えばt−フルオレン)であってもよく、その構造を下記に示す。青色蛍光性エミッターの例としては、4.4’−ビス(4−ジフェニルアミオスチリル)ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(TBPe)、および下記の化合物4が挙げられる。
【0161】
【化12】
【0162】
別の一態様によれば、式Iの化合物を含む有機半導体層が青色蛍光発光層およびカソード電極の間に配置される。
【0163】
エミッターは燐光性エミッターであってもよく、燐光性エミッターの例としては、Ir、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、またはそれらの組み合わせを含む有機金属化合物が挙げられる。燐光性エミッターは、例えば、式Zに表す化合物であってもよいが、これに限定されない:
MX(Z)。
【0164】
式Z中、Mは金属であり、LおよびXは、Mと錯体化合物を形成する同一のまたは異なる配位子である。
【0165】
Mは、例えば、Ir、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pdまたは、多核錯体におけるそれらの組み合わせであってもよく、LおよびXは、例えば、二座配位子であってもよい。
【0166】
発光層の厚さは約10nm〜約100nmであってもよく、例えば、約20nm〜約60nmであってもよい。発光層の厚さがこれらの範囲内である場合、駆動電圧を実質的に上昇させることなく、発光層の発光特性を向上させることができる。
【0167】
次に、有機層積層体105の電子伝達領域は、発光層上に形成されてもよい。
【0168】
有機層積層体の電子伝達領域は、少なくとも第1電子伝達層および第2電子伝達層を含む。有機層積層体の電子伝達領域はさらに電子注入層を含んでもよい。
【0169】
例えば、有機層積層体の電子伝達領域は、第1電子伝達層/第2電子伝達層/電子注入層という構造を有してもよいが、これに限定されない。例えば、本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオードは有機層積層体105の電子伝達領域に少なくとも2層の電子伝達層を含み、この場合、発光層に接触する電子伝達層を第1電子伝達層33と定義する。
【0170】
電子伝達層は、2つ以上の異なる電子伝達マトリクス化合物を含んでもよい。
【0171】
有機層積層体の電子伝達領域における第1電子伝達層33、第2電子伝達層31、および電子注入層37の形成条件としては、正孔注入層の形成条件が適用される。
【0172】
第1電子伝達層の厚さは約2nm〜約100nmであってもよく、例えば、約3nm〜約30nmであってもよい。第1電子伝達層の厚さがこれらの範囲内である場合、駆動電圧を実質的に上昇させることなく、第1電子伝達層の電子伝達補助能力を向上させることができる。
【0173】
第2電子伝達層の厚さは約10nm〜約100nmであってもよく、例えば、約15nm〜約50nmであってもよい。電子伝達層の厚さがこれらの範囲内である場合、駆動電圧を実質的に上昇させることなく、電子伝達層は十分な電子伝達能力を有することができる。
【0174】
本発明の別の一態様によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子は第2電子伝達層およびカソードの間にさらに電子注入層を含む。
【0175】
電子注入層(EIL)37はカソード150からの電子の注入を促進することができる。
【0176】
本発明の別の一態様によれば、電子注入層37は下記を含む:
(i)実質的に元素形態であるアルカリ金属、アルカリ土類金属、および希土類金属から選択される電気陽性金属、好ましくはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Eu、およびYb、より好ましくはLi、Na、Mg、Ca、Sr、およびYb、さらに好ましくはLiおよびYb、最も好ましくはYbから選択される電気陽性金属;および/または
(ii)アルカリ金属錯体および/またはアルカリ金属塩、好ましくはLi錯体および/または塩、より好ましくはLiキノリノラート、さらに好ましくはリチウム8−ヒドロキシキノリノラート、最も好ましくは第2電子伝達層のアルカリ金属塩および/または錯体が注入層のアルカリ金属塩および/または錯体と同一である。
【0177】
電子注入層は、LiF、NaCl、CsF、LiO、およびBaOから選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0178】
EILの厚さは約0.1nm〜約10nmであってもよく、または約0.3nm〜約9nmであってもよい。電子注入層の厚さがこれらの範囲内である場合、駆動電圧を実質的に上昇させることなく、電子注入層は十分な電子注入能力を有することができる。
【0179】
カソード150の材料としては、仕事関数の低い金属、合金、もしくは導電性化合物であってもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。カソード150の材料の具体例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)、等が挙げられる。基板上に形成された反射アノード110を有するトップエミッション型発光デバイスを製造するために、カソード150は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透過電極として形成されてもよい。
【0180】
以下、実施形態について、実施例に基づきより詳細に説明する。しかしながら、本開示は以下の実施例に限定されない。
【0181】
〔詳細な説明〕
式Iの化合物の合成および物性
式Iのトリアジン化合物は、PCT出願番号KR2015−012551に記載の方法に基づき合成することができる。
【0182】
合成例1:化合物A6(化学式中、化合物[3]として表記)
【0183】
【化13】
【0184】
〔第1ステップ:中間体I−5の合成〕
中間体I−4(20.4g、34.92mmol)および1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(16.5g、52.39mmol)を窒素環境下において使用し、化合物1の合成方法と同じ合成方法で13gの中間体I−5(61%)を得た。
【0185】
〔第2ステップ:中間体I−6の合成〕
中間体I−5(12.6g、20.54mmol)を窒素環境下において使用し、中間体I−4の合成方法と同じ合成方法で10gの中間体I−6(74%)を得た。
【0186】
〔第3ステップ:化合物A6の合成〕
中間体I−6(10g、15.2mmol)および2−(3−ブロモフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(7.9g、18.32mmol)を用いて、8.7gの化合物A6(化学式中、[3]として表記)を68%の収量で得た。これらの試薬を窒素環境下において250mLのテトラヒドロフラン中に溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.9g、0.75mmol)をそこに添加し、その混合物を撹拌した。その後、水に飽和した炭酸カリウム(5.2g、37mmol)を上述の混合物に添加し、当該混合物を80℃で24時間加熱および還流した。反応が完了したとき、反応溶液に水を加え、ジクロロメタンを用いて抽出を行い、無水MgSOを用いて水分除去を行い、結果として得られたものを濾過して減圧下で濃縮させた。この得られた残渣をカラムクロマトグラフィによって分離および精製した。
【0187】
LC質量(理論値:842.04g/mol、実測値:M+H=843.03g/mol)
ベンゾキナゾリン化合物A9を同じように調製した。試験した式(I)の化合物の物性を表1にまとめる。
【0188】
式Iのジベンゾアクリジン化合物は、WO2011/154131A1に記載の方法によって合成することができる。
【0189】
別の代替物を合成例2に示す。本手順は、一般的に、ヘキサフェニルベンゼン構造部分を有する化合物の合成に適用することができる。
【0190】
合成例2:化合物A16
ステップ1:7−(4−(フェニルエチニル)フェニル)ジベンゾ[c,h]アクリジンの合成
【0191】
【化14】
【0192】
三つ口丸底フラスコ(250mL)をNによって浄化する。一定流量のN下において、7−(4−ブロモフェニル)ジベンゾ[c,h]アクリジン(10.0g、23.0mmol)、フェニルアセチレン(4.70g、46.0mmol、2.0eq.)およびビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム塩化物(3.23g、4.6mmol、0.2eq.)を導入し、その後、THF中のフッ化テトラブチルアンモニウムの1M溶液(70mL)を導入した。得られた混合物を還流まで熱し、2時間にわたって反応させた。反応の完了後、MeOH(70mL)を添加し、当該溶液を放置して室温まで冷却した。冷却によって形成された沈殿物を濾過によって回収し、MeOH(2×50mL)を用いて洗浄し、その後、ヘキサン(3×50mL)を用いて洗浄し、最後に、40℃の真空状態下で乾燥させた。
【0193】
収量:約7.0g(約67%、黄色がかった固体)。
【0194】
ステップ2:7−(3’,4’,5’,6’−テトラフェニル−[1,1’:2’,1”−テルフェニル]−4−イル)ジベンゾ[c,h]アクリジンの合成
【0195】
【化15】
【0196】
三つ口丸底フラスコ(100mL)に7−(4−(フェニルエチニル)フェニル)ジベンゾ[c,h]アクリジン(6.8g、14.9mmol)、2,3,4,5−テトラフェニルシクロペンタ−2,4−ジエノン(6.31g、16.4mmol、1.1eq.)、およびベンゾフェノン(35gの溶融溶媒として)を充填した。Nを用いて固体の脱ガス処理を行った後、得られた混合物を300℃まで熱した。1時間にわたる300℃の還流の後、ガスの発生が止まり、その結果、混合物は約80℃まで冷却された。トルエン(100mL)を添加し、得られた沈殿物を濾過してトルエン(2×40mL)で洗浄し、続けてヘキサン(2×40mL)で洗浄した。その後、当該固体を高温のクロロベンゼン(60mL)中で倍散することによって精製し、続けて高温のMeOH(60mL)中で倍散した。濾過および120℃の真空状態下での乾燥後、対象物を分離して黄色がかった粉末を得た。
【0197】
収量:約6.8g(約56%、黄色がかった固体)。
【0198】
ベンゾアクリジン化合物A18を同じように調製した。式Iのジベンゾアクリジン化合物およびその出発原料、収量、m/z、ガラス転移温度、テトラヒドロフランにおけるFc/Fcに対する還元電位を表1にまとめる。
【0199】
【表1】
【0200】
〔OLED製作の一般的手順〕
モデルとなるボトムエミッション型青色蛍光OLEDを以下に説明する。
【0201】
補助材料F1、F2、F3、F4、およびPD−2を用いて作成した:
【0202】
【化16】
【0203】
ビフェニル−4−イル(9,9−ジフェニル−9H−フルオレン−2−イル)−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−アミン、CAS1242056−42−3、F1;
【0204】
【化17】
【0205】
N,N−ビス(4−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)フェニル)−[1,1’:4’,1”−テルフェニル]−4−アミン,CAS1198399−61−9,F2;
【0206】
【化18】
【0207】
1,3−ビス(9−フェニル−1,10−フェナントロリン−2−イル)ベンゼン、CAS721969−94−4、F3;
【0208】
【化19】
【0209】
2,4−ジフェニル−6−(3’−(トリフェニレン−2−イル)−[1,1’−ビヘニル]−3−イル)−1,3,5−トリアジン,CAS1638271−85−8,F4;
【0210】
【化20】
【0211】
2,2’,2”−(シクロプロパン−1,2,3−トリイリデン)トリス(2−(p−シアノテトラフルオロフェニル)アセトニトリル),CAS1224447−88−4,PD−2。
【0212】
〔デバイス例1(ボトムエミッション型青色OLED)〕
PD2によってドープされた厚さ5nmのF1(マトリクス対ドーパントの重量比が92:8wt%)の層をITOガラス基板上に成膜し、続けてドープされていない厚さ125nmのF1の層およびドープされていない厚さ10nmのF2の層を成膜することで、青色発光デバイスを作成した。次に、BD200(Sun Fine Chemicals製)によってドープされたABH113(Sun Fine Chemicals製)(3:97wt%)の青色蛍光層を、厚さ25nmで成膜した。その後、厚さ15nmまたは20nmの試験対象化合物の中間層および元素状リチウムによってドープされた厚さ15nmまたは10nmのF3(0.5:99.5wt%)の層を、発光層上に成膜した。最後に、カソードとして厚さ100nmのアルミ層を金属ドープされた層の上に成膜した。
【0213】
OLED積層体は、ガラススライドを用いてデバイスを密閉することにより、周囲環境から保護することができる。これにより、さらなる保護のためのゲッター物質を含んだ空洞が形成される。
【0214】
デバイス実験の評価
先行技術と比較した本発明の実施例のパフォーマンスを判定するために、周囲条件下(20℃)における電流効率を測定する。トップエミッション型デバイスについて、Keithley2400ソースメーターを用いて動作電圧の測定を行い、標準電流密度10mA/cmにおけるVとして記録する。ボトムエミッション型デバイスについては、標準電流密度は通例15mA/cmである。CIE座標および明度(単位:カンデラ)の測定に、Instrument Systems製の較正済み分光計CAS140を用いる。デバイスの寿命LTを、Keithley2400ソースメーターを用いて、周囲条件(20℃)および標準電流密度10mA/cmまたは15mA/cmで測定し、時間単位で記録する。デバイスの明度を較正済みフォトダイオードを用いて測定する。寿命LTは、デバイスの明度がその初期値の97%まで減少するまでの時間として定義する。
【0215】
トップエミッション型デバイスについては、10mA/cmにおける光出力の外部効率EQEおよび出力効率Peff(lm/W)を判定する。
【0216】
効率EQEを%単位で判定するために、デバイスの光出力を較正済みフォトダイオードを用いて測定する。
【0217】
出力効率をlm/W単位で判定するために、第1ステップにおいて、Deutsche Akkreditierungsstelle(DAkkS)によって較正済みのアレイ分光計CAS140CT(Instrument Systems製)を用いて1平方メートルあたりのカンデラ(cd/m)を単位とした輝度を測定する。その後、第2ステップにおいて、輝度にπを乗算し、電圧および電流密度で除算する。
【0218】
ボトムエミッション型デバイスにおいて、発光は主にランバート反射によるものであり、外部量子効率(EQE)のパーセンテージとして定量化され、出力効率の単位はlm/Wである。
【0219】
補助化合物F4が技術水準の基準として機能した。色座標xおよびy、動作電圧、輝度電流効率Ceff、出力効率Peff、および量子効率Qeffについての結果を表2に示す。
【0220】
【表2】
【0221】
〔発明の効果〕
表2からわかるように、レドックスドープされた第2ETLおよびレドックスドープされたHTLを含む技術水準の青色OLEDにおいて用いられた式(I)の試験対象化合物の大半が、基準として用いた技術水準マトリクス化合物F4よりも良好な結果(太字の結果)を示した。最も印象的なのは、すべての試験対象化合物において出力効率の向上が達成されたことである。
【0222】
本発明は、実用的な実施形態の例として現在考えられるものと関連させて説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、反対に、付随する請求項の技術思想および範囲内に含まれる様々な変更および同等の構成を包含するものとして理解されるべきである。したがって、上述の実施形態は例示的なものであって、本発明を一切限定するものではないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0223】
図1】一実施形態に係る有機発光ダイオードを示す断面図である。
図2】一実施形態に係る有機発光ダイオードの有機層の一部を具体的に示す断面図である。
図3】一実施形態に係る有機発光ダイオードの有機層の一部を具体的に示す断面図である。
図1
図2
図3