(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の基板支持チャンバは、前記基板の角部および/または縁部と、前記基板の角部および/または縁部以外の部分と、に対して鉛直方向の力を独立して印加するように配置される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の基板研磨装置。
前記研磨ヘッド機構および前記オービタル駆動機構は、前記研磨ヘッド機構がオービタル駆動している間、前記基板の研磨面の全ての点が常に前記研磨パッドと接触するように構成される、
請求項1から7のいずれか一項に記載の基板研磨装置。
前記複数の基板支持チャンバは、前記基板の角部および/または縁部と、前記基板の角部および/または縁部以外の部分と、に対して鉛直方向の力を独立して印加するように配置される、
請求項14から17のいずれか一項に記載の基板研磨装置。
前記研磨ヘッド機構および前記オービタル駆動機構は、前記研磨ヘッド機構がオービタル駆動している間、前記基板の研磨面の全ての点が常に前記研磨パッドと接触するように構成される、
請求項14から20のいずれか一項に記載の基板研磨装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今日では、研磨テーブルおよび基板の双方を回転させながら基板を研磨する「ロータリー式」のCMP装置が広く用いられている。しかし、ロータリー式のCMP装置を用いて四辺形の基板を研磨した場合、基板の角部および/または縁部に荷重が集中することによって、基板の角部および/または縁部に過研磨が生じることがある。また、ロータリー式のCMP装置を用いて四辺形の基板を研磨した場合、基板の中央部分に研磨不足が生じることがある。特に、四辺形の基板が大型である場合、基板の角部および/または縁部と、中心部との間の研磨量の差が大きくなりやすい。そこで、本願は、四辺形の基板を研磨するための基板研磨装置において研磨の均一性を向上させることを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、一実施形態として、四辺形の基板を研磨するための基板研磨装置であって、定盤と、定盤に取り付けられ、基板を支持するための基板支持機構と、研磨パッドを取り付けるための研磨ヘッド機構であって、研磨ヘッド機構は定盤に対向する、研磨ヘッド機構と、研磨ヘッド機構をオービタル駆動させるためのオービタル駆動機構と、を備え、基板支持機構は、ベースプレートと、ベースプレートに設けられる、プレート流路と、プレート流路に接続される複数の基板支持チャンバであって、基板支持チャンバのそれぞれは基板に対して鉛直方向の力を独立して印加し、基板に印加される鉛直方向の力は基板支持チャンバの内部圧力に対応する、複数の基板支持チャンバと、を備える、基板研磨装置を開示する。さらに本願は、一実施形態として、基板支持チャンバのそれぞれは、内部圧力に応じた鉛直方向の力を基板に印加する、基板研磨装置を開示する。
【0006】
この基板研磨装置では、研磨テーブルおよび基板の双方を回転させながら基板を研磨する「ロータリー式」のCMP装置と異なり、基板を回転させずに研磨するため、基板の角部および/または縁部への荷重の集中は起こりにくいと考えられる。また、この基板研磨装置は、基板と研磨パッドとの間の押圧力を局所的に制御することが可能である。したがって、この基板装置は、四辺形の基板の研磨の均一性を向上させることができ得るという効果を一例として奏する。
【0007】
さらに本願は、一実施形態として、複数の基板支持チャンバの少なくとも1つは、ベースプレートに形成される凹みによって画定される、基板研磨装置を開示する。
【0008】
この基板研磨装置は、基板を取り付ける面を平坦な面とすることが容易であるという効果を一例として奏する。
【0009】
さらに本願は、一実施形態として、複数の基板支持チャンバの少なくとも1つは、ベースプレートに取り付けられる弾性パッドにより形成され、ベースプレートに取り付けられる弾性パッドは、少なくとも鉛直方向に伸縮可能である、基板研磨装置を開示する。
【0010】
この基板研磨装置は、基板支持チャンバからの流体のリークの発生を抑止できるという効果を一例として奏する。
【0011】
さらに本願は、一実施形態として、複数の基板支持チャンバは、基板の角部および/または縁部と、基板の角部および/または縁部以外の部分と、に対して鉛直方向の力を独立して印加するように配置される、基板研磨装置を開示する。
【0012】
この基板研磨装置は、基板の中央部分の研磨不足を解消し得るという効果を一例として奏する。
【0013】
さらに本願は、一実施形態として、複数の基板支持チャンバの全体的な外形は、基板と相似した四辺形である、基板研磨装置を開示する。
【0014】
この基板研磨装置は、基板支持チャンバを基板の角部および/または縁部に沿って配置することが容易になるという効果を一例として奏する。
【0015】
さらに本願は、一実施形態として、研磨ヘッド機構は、研磨ヘッド本体部と、研磨ヘッド本体部に設けられるヘッド流路と、ヘッド流路に接続される複数の研磨パッド支持チャンバであって、研磨パッド支持チャンバのそれぞれは研磨パッドに対して鉛直方向の力を独立して印加し、研磨パッドに印加される鉛直方向の力は研磨パッド支持チャンバの内部圧力に対応する、複数の研磨パッド支持チャンバと、を備える、基板研磨装置を開示する。
【0016】
この基板研磨装置は、制御可能な押圧力の範囲を広げ得るという効果を一例として奏する。
【0017】
さらに本願は、一実施形態として、研磨ヘッド機構およびオービタル駆動機構は、研磨ヘッド機構がオービタル駆動している間、基板の研磨面の全ての点が常に研磨パッドと接触するように構成される、基板研磨装置を開示する。
【0018】
この基板研磨装置は、基板の研磨面の全ての点において研磨時間を同一にすることができるという効果を一例として奏する。
【0019】
さらに本願は、一実施形態として、プレート流路に接続された圧力制御機構を備える、基板研磨装置を開示する。
【0020】
この基板研磨装置は、基板支持チャンバの内部圧力を制御することができるという効果を一例として奏する。
【0021】
さらに本願は、一実施形態として、四辺形の基板を研磨するための基板研磨装置であって、基板を直接的または間接的に支持するための定盤と、研磨パッドを取り付けるための研磨ヘッド機構であって、研磨ヘッド機構は定盤に対向する、研磨ヘッド機構と、研磨ヘッド機構をオービタル駆動させるためのオービタル駆動機構と、を備え、研磨ヘッド機構は、研磨ヘッド本体部と、研磨ヘッド本体部に設けられる、ヘッド流路と、ヘッド流路に接続される複数の研磨パッド支持チャンバであって、研磨パッド支持チャンバのそれぞれは研磨パッドに対して鉛直方向の力を独立して印加し、研磨パッドに印加される鉛直方向の力は研磨パッド支持チャンバの内部圧力に対応する、複数の研磨パッド支持チャンバと、を備える、基板研磨装置を開示する。
【0022】
この基板研磨装置は、基板支持機構にチャンバを設けなくとも、押圧力の局所的な制御が可能になるという効果を一例として奏する。ただし、この構成に加え、さらに、基板支持機構にチャンバを設けることが排除されるわけではない。
【0023】
さらに本願は、一実施形態として、複数の研磨パッド支持チャンバは、研磨ヘッド本体部に取り付けられる弾性パッドにより形成され、研磨ヘッド本体部に取り付けられる弾性パッドは、少なくとも鉛直方向に伸縮可能である、記載の基板研磨装置を開示する。
【0024】
この開示内容により、研磨パッド支持チャンバの詳細が説明される。
【0025】
さらに本願は、一実施形態として、四辺形の基板を研磨するための基板研磨装置であって、基板を直接的または間接的に支持するための定盤と、研磨パッドを取り付けるための研磨ヘッド機構であって、研磨ヘッド機構は定盤に対向する、研磨ヘッド機構と、研磨ヘッド機構をオービタル駆動させるためのオービタル駆動機構と、研磨ヘッド機構を上下動させるためのヘッド上下動機構と、制御部と、を備え、制御部は、研磨ヘッド機構をオービタル駆動させるよう、オービタル駆動機構を制御し、研磨ヘッド機構がオービタル駆動している間に、基板と研磨パッドとの間の押圧力を増減するよう、ヘッド上下動機構を制御する、基板研磨装置を開示する。さらに本願は、一実施形態として、四辺形の基板の研磨方法であって、基板を保持し、研磨ヘッドに設けられた研磨パッドを保持された基板に摺接させ、かつ、研磨ヘッドをオービタル駆動させて基板を研磨し、基板の研磨中に、研磨ヘッドを上下動させるためのヘッド上下動機構により、研磨パッドの基板に対する押圧力を調整する、研磨方法を開示する。
【0026】
この基板研磨装置および研磨方法は、基板の領域ごとに所望な研磨レートを得ることができるという効果を一例として奏する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態にかかる基板研磨装置100を模式的に示す図である。
図1Aは基板研磨装置100の上面図である。
図1Bは基板研磨装置100の正面図である。なお、以下では、
図1Aの左右方向をX方向、
図1Aの上下方向をY方向、
図1Bの上下方向をZ方向(鉛直方向)として説明する。
【0029】
基板研磨装置100は、四辺形状の基板130を研磨するための装置である。基板研磨装置100は、定盤110と、定盤110に取り付けられる、基板130を支持するための基板支持機構120を備える。
図1の例では基板支持機構120としてベースプレート121が設けられている。ベースプレート121は定盤110の上面に載置されている。基板130の研磨が可能である限り、基板130の支持方法は任意の方法であってよい。同様に、基板130の研磨が可能である限り、ベースプレート121の取り付け方法は任意の方法であってよい。
【0030】
基板研磨装置100はさらに、定盤110に対向して配置される研磨ヘッド機構140を備える。研磨ヘッド機構140は「研磨ヘッド」とも称される。研磨ヘッド機構140は研磨パッド150を取り付けるために設けられている。基板130の研磨中、研磨パッド150は、基板130に摺接する。基板研磨装置100はさらに、研磨ヘッド機構140をオービタル駆動させるためのオービタル駆動機構160を備える。基板研磨装置100はさらに、研磨ヘッド機構140を上昇および下降させるためのヘッド上下動機構170を備える。
【0031】
好ましくは、基板研磨装置100は、XY平面内で研磨ヘッド機構140を平行移動させるための機構を備える。
図1の例では、研磨ヘッド機構140をX方向に駆動するX方向リニアアクチュエータ180と、研磨ヘッド機構140をY方向に駆動するY方向リニアアクチュエータ181とが設けられている。研磨ヘッド機構140を平行移動可能に構成することで、後述するオービタル駆動の中心位置を調整することが可能にある。また、研磨ヘッド機構140を平行移動可能に構成することで、装置のメンテナンス時に研磨ヘッド機構140を所定の位置、たとえば研磨パッド150をドレッシングするための位置へと退避させることが容易になる。
【0032】
また、基板研磨装置100は、各種構成機構を制御するための制御部190を備えることができる。さらに、基板研磨装置100は、各種制御条件を記憶するための記憶部191を備えてもよい。なお、図示の便宜上、
図1Aにおいて、制御部190と他の要素(記憶部191を除く)とを繋ぐ制御線は図示されていない。
【0033】
図1の例におけるベースプレート121は、上部から見て基板130より大きな四辺形状となるように形成されている。換言すれば、ベースプレート121は、下部から見て基板130を完全に覆うことが可能であるように形成されている。さらに、
図1の例における定盤110は、上部から見てベースプレート121より大きな四辺形状となるように形成されている。換言すれば、定盤110は、下部から見てベースプレート121を完全に覆うことが可能であるように形成されている。ただし、定盤110およびベースプレート121の大きさおよび形状は図示したものに限られない。たとえば、上部から見た場合のベースプレート121の大きさは基板130より小さくてもよい。定盤110およびベースプレート121は四辺形以外の形状、たとえば上部から見て円形状などであってもよい。
【0034】
図1の例では、定盤110は、ベースプレート121を介して間接的に基板130を支
持している。したがって、研磨すべき基板130の大きさおよび/または形状が変化した場合であっても、ベースプレート121のみを交換することによって新たな基板130を支持することが可能である。また、ベースプレート121を用いることにより、研磨パッド150が定盤110に接触する可能性を低減することが可能である。
図1の例とは異なった構造として、定盤110が基板130を直接的に支持する構造を採用することも可能である。定盤110が基板130を直接的に支持する構造においては、ベースプレート121を用いないので、使用する部品の点数を削減し得る。部品点数の削減は、組立誤差および/または製造コストの低減をもたらし得る。
【0035】
研磨ヘッド機構140は定盤110の上部に配置されている。より詳細には、研磨ヘッド機構140は、研磨ヘッド機構140の下面、すなわち研磨パッド150を張り付ける面が定盤110に対向するように配置されている。研磨ヘッド機構140の下面は、基板130の形状と同様に、上部から見て四辺形状に構成されていることが好ましい。研磨パッド150もまた、基板130の形状と同様に、上部から見て四辺形状に構成されていることが好ましい。しかし、研磨ヘッド機構140および研磨パッド150を四辺形状以外の形状、たとえば上部から見て円形状などに構成することも可能である。また、研磨ヘッド機構140は、研磨ヘッド本体部220および流体供給ライン221を備えてもよい(
図2を参照)。
【0036】
研磨ヘッド機構140は、研磨ヘッド機構140の上面の中央部分においてオービタル駆動機構160に接続されている。オービタル駆動機構160は、研磨ヘッド機構140のXY平面内の軌跡が円となるように、研磨ヘッド機構140を駆動する機構である。なお、たとえば装置全体が水平から傾いて配置された場合などは、X軸および/またはY軸も共に傾く。オービタル駆動機構160は、オービタル駆動機構160と研磨ヘッド機構140との接続位置を中心とした研磨ヘッド機構140の回転、すなわち研磨ヘッド機構140の自転を制限するように構成される。以下では、その軌跡がXY平面内で円となるような研磨ヘッド機構140の運動であって、研磨ヘッド機構140が自転しない運動を「(研磨ヘッド機構140の)オービタル駆動」と称する。
【0037】
研磨ヘッド機構140は、研磨ヘッド機構140を上昇および下降させるためのヘッド上下動機構170に接続されている。
図1の例では、ヘッド上下動機構170は、オービタル駆動機構160を介して研磨ヘッド機構140に接続されている。ただし、ヘッド上下動機構170の構造は、
図1に示される構造に限定されない。
【0038】
制御部190がヘッド上下動機構170を制御することで、基板130と研磨パッド150を接触させること、および、基板130と研磨パッド150との接触を解除することが可能である。また、制御部190が、基板130と研磨パッド150が接触した状態を保ちつつヘッド上下動機構170を制御し、基板130と研磨パッド150との間の押圧力を増減することも可能である。そうすることで、基板の研磨レートを所望の研磨レートにすることができる。
【0039】
研磨ヘッド機構140をオービタル駆動させている間に基板130と研磨パッド150との間の押圧力を制御することにより、研磨ヘッド機構140の位置に応じて研磨レートを制御することも可能である。たとえば、製造誤差などを原因として、ある瞬間における研磨レートが他の瞬間と比べて変化している場合、その瞬間における押圧力を増減するように制御することで、研磨レートの変化を補償することができる。たとえば、
図1において、研磨ヘッド機構140が最も右側に位置している場合(
図1Aの場合)にのみ研磨レートが低下している場合、研磨ヘッド機構140が最も右側に位置している間の押圧力を増加するように基板研磨装置100を制御することができる。また、研磨ヘッド機構140の大きさが基板130の大きさより小さい場合、基板130上の特定の点に研磨パッド
150が接触している場合の押圧力を増加/減少させ、特定の点に研磨パッド150が接触していない場合の押圧力を減少/増加させるような制御を行うことも可能である。
【0040】
押圧力の制御のために、ヘッド上下動機構170は、記憶部191に予め記憶された制御条件に従って制御されてもよい。基板130の研磨中または研磨後に測定器(図示せず)によって基板130全体のまたは局所的な研磨レート(または研磨量)を測定し、研磨レートの測定結果をフィードバックし、研磨レートの変動を補償することも可能である。さらに、ヘッド上下動機構170は、入力部(図示せず)を用いてユーザにより入力された条件に従って制御されてもよい。
【0041】
ここで、研磨ヘッド機構140のオービタル駆動の半径が大きい場合、研磨ヘッド機構140が基板130から大きく突き出し得る。突出し量が大きい場合に研磨パッド150を基板130へ押し付けると、研磨ヘッド機構140が傾き、基板130の角部および/または縁部に荷重が集中してしまう可能性がある。研磨ヘッド機構140が傾くことによる荷重の集中を防ぐため、研磨ヘッド機構140、オービタル駆動機構160などの基板研磨装置100の部品を剛体で構成し、各部品のたわみおよび部品間のがたつきを低減することが好ましい。一方で、研磨ヘッド機構140にジンバル機構(図示せず)およびバネまたはアクチュエータなどの荷重制御構造(図示せず)を設けることで、研磨ヘッド機構140の傾きを防止してもよい。
【0042】
オービタル駆動の半径を小さくし、研磨ヘッド機構140の突出し量を低減することによって、研磨ヘッド機構140の傾きを防止することができる。ただし、オービタル駆動の半径を極端に小さくした場合、研磨ヘッド機構140のオービタル駆動の速度を大きくし難くなり得る。また、オービタル駆動の半径を極端に小さくした場合、研磨パッド150の局所的な凹凸などに起因して、基板130の研磨の均一性が低下する可能性がある。オービタル駆動の半径は、諸条件、たとえば上述した研磨ヘッド機構140の傾き、研磨ヘッド機構140の駆動速度および要求される均一性など、を考慮して決定することが好ましい。
【0043】
研磨ヘッド機構140およびオービタル駆動機構160の詳細を、
図2を用いて説明する。
図2は、研磨ヘッド機構140およびオービタル駆動機構160などの正面断面図である。
図1でも示された通り、オービタル駆動機構160はヘッド上下動機構170に接続されている。ヘッド上下動機構170は、ハウジング200と、ハウジング200内に保持されたリニアアクチュエータ201とを備える。リニアアクチュエータ201はオービタル駆動機構160を上下動させることができる。リニアアクチュエータ201に代え、エアシリンダまたはモータなどを用いることも可能である。
【0044】
オービタル駆動機構160は、モータボックス210、モータ211、主クランク212、補助クランク213を備える。モータボックス210はリニアアクチュエータ201に接続されている。モータ211はモータボックス210の内部に備えられている。主クランク212の一端は、ジョイント214を介してモータ211のシャフトに接続されている。主クランク212の他の一端は、研磨ヘッド機構140(より詳細には、後述する研磨ヘッド本体部220)の上面の中心に接続されている。また、主クランク212と研磨ヘッド機構140の接続部位では、主クランク212の廻り止めはなされていない。換言すれば、主クランク212は空転可能に構成されている。主クランク212と研磨ヘッド機構140の接続は、はめあい(特に隙間ばめ)による接続でもよいし、軸受などを用いた接続でもよい。
【0045】
補助クランク213の一端はモータボックス210の下面に接続されている。また、補助クランク213とモータボックス210の接続部位では、補助クランク213の廻り止
めはなされていない。補助クランク213の他の一端は研磨ヘッド機構140(より詳細には、後述する研磨ヘッド本体部220)の上面に、主クランク212と干渉しないように接続されている。また、補助クランク213と研磨ヘッド機構140の接続部位では、補助クランク213の廻り止めはなされていない。また、補助クランク213のクランク半径は、主クランク212のクランク半径と同じ半径になるように構成されている。
図2では補助クランク213が1つのみ図示されているが、補助クランクを複数設けることも可能である。
【0046】
制御部190(
図2では図示せず)はリニアアクチュエータ201およびモータ211を制御可能に構成されている。
【0047】
図2の構成において、制御部190の制御によってモータ211を駆動させると、その動力は主クランク212を通じて研磨ヘッド機構140へ伝わる。その結果、研磨ヘッド機構140は、XY面内での軌跡が円となるように(公転するように)駆動する。また、主クランク212が廻り止めされておらず、かつ、補助クランク213が存在することによって、研磨ヘッド機構140の自転は制限されている。したがって、モータ211により、研磨ヘッド機構140のオービタル駆動が行われる。
【0048】
研磨ヘッド機構140の少なくとも一部は、研磨ヘッド本体部220および流体供給ライン221から構成されてもよい。流体供給ライン221は研磨ヘッド本体部220の内部に大気、研磨液、薬液および/または洗浄水などの流体を供給するための配管である。供給された流体は、研磨ヘッド本体部220の下面に設けられた貫通孔222から研磨パッド150(すなわち基板130の研磨面)に向けて排出される。また、研磨パッド150には、貫通孔222に対応するように貫通孔223を設けることが好ましい。
【0049】
オービタル駆動機構160による研磨ヘッド機構140(研磨ヘッド本体部220)のオービタル駆動の様子を、
図3を用いて説明する。
図3は、研磨ヘッド機構140のオービタル駆動が
図1Aから反時計回りに3/8周分進んだ状態の基板研磨装置100を示す上面図である。
図1Aから
図3の間のオービタル駆動の軌跡は、
図3中の実線矢印で示されている。研磨ヘッド機構140の自転は制限されているので、オービタル駆動の間、研磨ヘッド機構140の向きは一定に保たれる。以上に説明した構成によれば、ある瞬間における基板130と研磨ヘッド機構140との間の周速は、基板130上の全ての部分において同一になる。したがって、本実施形態にかかる基板研磨装置100は、基板130の研磨の均一性を向上させ得る。
【0050】
研磨ヘッド機構140のオービタル駆動の間、基板130の研磨面の全ての点が常に研磨パッド150と接触するように、研磨ヘッド機構140およびオービタル駆動機構160を構成することが好ましい。基板130の上面の全ての点が常に研磨パッド150と接触するように装置を構成することで、基板130上の全ての点において研磨時間を同一にすることが可能である。
【0051】
基板130の研磨面に、研磨パッド150と一時的に非接触となる点が存在するように、研磨ヘッド機構140およびオービタル駆動機構160を構成してもよい。同様に、基板130の研磨面に、研磨パッド150と常に非接触となる点が存在するように、研磨ヘッド機構140およびオービタル駆動機構160を構成してもよい。一例として、研磨ヘッド機構140の大きさが研磨する基板130の大きさよりも小さい場合が挙げられる。基板130の研磨面に研磨パッド150と一時的にまたは常に非接触となる点が存在することは、基板130上の位置によって研磨時間が異なることを意味する。基板130の研磨面に研磨パッド150と一時的にまたは常に非接触となる点が存在するように装置を構成することで、基板130上の特定の位置(たとえば研磨が不足している位置など)の研
磨時間を増加させ、それ以外の位置の研磨時間を減少させることも可能である。
【0052】
本実施形態にかかる基板研磨装置100では、基板130自身は回転しない。したがって、本実施形態にかかる基板研磨装置100では、ロータリー式のCMP装置と異なり、四辺形の基板130の角部および/または縁部への荷重の集中は起こりにくいと考えられる。したがって、本実施形態にかかる基板研磨装置100は、四辺形の基板130の研磨の均一性をより一層向上させ得る。また、本実施形態では、ロータリー式のCMP装置と異なり、大型のターンテーブルを設ける必要がない。したがって、本実施形態にかかる基板研磨装置100のフットプリントは、ロータリー式のCMP装置のフットプリントより小さくなり得る。
【0053】
図2に示した構成以外の構成のオービタル駆動機構160を用いることも可能である。
図4は、オービタル駆動機構160の他の一例を示す斜視図である。オービタル駆動機構160は、メインモータ400を備える。メインモータ400は制御部190により制御される。メインモータ400のシャフトはZ軸と平行に設けられている。メインモータ400のシャフトには、XY平面に平行に伸びるアーム410が接続されている。アーム410の他端には補助モータ420が設けられている。補助モータ420は研磨ヘッド機構140(研磨ヘッド本体部220)を回転することができるように構成されている。補助モータ420のシャフトはZ軸と平行に設けられている。
図4のオービタル駆動機構160は、全体としてクランク形状を呈する。
図4に示した構成においてメインモータ400を駆動すると、研磨ヘッド機構140が円運動を始める。
図4に示した構成では、メインモータ400と補助モータ420との間のXY平面内での距離が円運動の半径を画定する。補助モータ420は、メインモータ400による研磨ヘッド機構140の円運動の方向と逆方向に、かつ、円運動の周期と同じ周期で研磨ヘッド機構140を回転させることで、研磨ヘッド機構140の自転を打ち消すことが可能である。メインモータ400と補助モータ420とが協働することにより、研磨ヘッド機構140のオービタル駆動が実現される。
【0054】
X方向リニアアクチュエータ180およびY方向リニアアクチュエータ181をオービタル駆動機構160として用いることも可能である。たとえば、以下に示す条件式を満たすようにX方向リニアアクチュエータ180およびY方向リニアアクチュエータ181を制御することで、研磨ヘッド機構140のオービタル駆動を実現することができる。
条件式の例:X
head=Rcos(ωt)、かつ、Y
head=Rsin(ωt)
ここで、X
headは研磨ヘッド機構140の代表点(たとえば研磨ヘッド本体部220の中心点)のX座標、Y
headは研磨ヘッド機構140の代表点のY座標、Rはオービタル駆動の半径、ωはオービタル駆動の角周波数、tは経過時間である。
【0055】
X方向リニアアクチュエータ180およびY方向リニアアクチュエータ181をオービタル駆動機構160として用いた場合、研磨ヘッド機構140のオービタル駆動は、XY平面内での平行移動により実現されている。したがって、X方向リニアアクチュエータ180およびY方向リニアアクチュエータ181をオービタル駆動機構160として用いた場合、研磨ヘッド機構140の自転は起こらない。よって、この場合は、研磨ヘッド機構140の自転を制限する機構(たとえば補助クランク213または補助モータ420)を設ける必要はない。
【0056】
以上に述べた例の他にも、さまざまな形態のオービタル駆動機構160を用いることが可能である。たとえば、モータ、歯車および/または軸受などの機構を組み合わせて、オービタル駆動機構160を構成してもよい。
【0057】
<第2実施形態>
第2実施形態では、研磨の均一性を前述の第1実施形態よりもさらに向上させるために、基板130と研磨パッド150との間の押圧力を局所的に制御することが可能な基板研磨装置100について説明する。
【0058】
図5は、本実施形態にかかる基板支持機構120を示す図である。
図5Aは基板支持機構120の上面図である。
図5Bは基板支持機構120の正面断面図である。また、
図5Bには、基板130が想像線(二点鎖線)で図示されている。
【0059】
本実施形態にかかる基板支持機構120は、ベースプレート121と、ベースプレート121に設けられるプレート流路520と、プレート流路520に接続される複数の基板支持チャンバ510を備える。さらに、基板130がXY平面内で動いてしまうことのないよう、基板130の側面を保持するためのリテーナ530がベースプレート121の上部に設けられていることが望ましい。ここで、リテーナ530が研磨パッド150と接触してしまうと、リテーナ530が摩耗してしまう。したがって、好ましくは、基板130の厚さの半分以上がリテーナ530の最上部から突出するよう、リテーナ530が構成される。好ましい構成によれば、研磨中の基板130のズレを防止することができるとともに、リテーナ530の摩耗を防止することもできる。
【0060】
なお、リテーナ530を設ける場合、基板130はベースプレート121のうちリテーナ530により囲われる部分(リテーナ530により画定される領域)に支持される。すなわち、リテーナ530により囲われる部分の大きさは、基板130の面積とほぼ等しい。したがって、リテーナ530により囲われる部分の大きさ(より詳細には当該部分の投影面積)を基準にして、研磨ヘッド機構140の大きさ(より詳細には、研磨ヘッド機構140の研磨パッド150を張り付ける部分の投影面積)を設計してもよい。たとえば、研磨ヘッド機構140をリテーナ530により囲われる部分より大きく構成することで、研磨ヘッド機構140のオービタル駆動の間、基板130の研磨面の全ての点を常に研磨パッド150と接触させることができる。たとえば、研磨ヘッド機構140をリテーナ530により囲われる部分より小さく構成することで、研磨ヘッド機構140のオービタル駆動の間、基板130上に、研磨パッド150と一時的にまたは常に非接触となる点を存在させることができる。
【0061】
基板支持チャンバ510は、基板130の裏面に対向するように設けられている。基板支持チャンバ510のそれぞれの内部圧力は、他の基板支持チャンバ510の内部圧力から独立している。基板支持チャンバ510のそれぞれは、基板130に対して鉛直方向の力を独立して印加することができる。また、基板130に印加される鉛直方向の力は、基板支持チャンバ510の内部圧力に対応する。基板支持チャンバ510の全体的な外形が上方から見て基板130と相似し、かつ、基板130よりも小さい形状となるよう、基板支持チャンバ510を構成することが好ましい。基板130と基板支持チャンバ510の外形とを相似した形状に構成することで、基板支持チャンバ510を基板130の角部および/または縁部に沿って配置することが容易になる。
図5の例では、基板支持チャンバ510の全体的な外形が、上方から見て基板130よりもわずかに小さい四辺形状となっている。さらに、基板支持チャンバ510は、少なくとも、基板130の角部および/または縁部と、基板130の角部および/または縁部以外の部分と、に対して鉛直方向の力を独立して印加することが可能であるように配置されている。
【0062】
ここで、基板130の縁部は、一例として、基板130の縁から20センチメートル以内、10センチメートル以内、5センチメートル以内、1センチメートル以内または0.5センチメートル以内の領域であり得る。他の例として、基板130の縁部は、基板130の縁から(1/4*L
substrate)以内、(1/5*L
substrate)以内、(1/10*L
substrate)以内、(1/20*L
substrate)
以内、(1/50*L
substrate)以内または(1/100*L
substrate)以内の領域であり得る。ただし、L
substrateは基板130の辺の長さである。基板130が異なった長さの辺を有する場合、L
substrateはそれぞれの辺の長さの平均値であってよい。また、一例として、基板130の角部は、基板130の縁部の1つと、基板130の縁部の他の1つが重なる領域であり得る。他の一例として、基板130の角部は、基板130の角から所定の距離以内の領域であり得る。さらに、「基板130の角部および/または縁部以外の部分」を「基板130の中央部分」と言い換えることも可能である。
【0063】
基板支持チャンバ510の詳細について、以下に説明する。
図5では、ベースプレート121の基板130が支持される面に複数の凹みが形成されている。それぞれの凹みは独立して形成されており、これらの凹みが基板支持チャンバ510を画定する。
図5の例では、第1の基板支持チャンバ510A、第2の基板支持チャンバ510B、第3の基板支持チャンバ510C、第4の基板支持チャンバ510Dおよび第5の基板支持チャンバ510Eが形成されている。基板130がベースプレート121の上に支持されると、基板130がそれぞれの基板支持チャンバ510の開口部分を覆うこととなる。それぞれの基板支持チャンバ510と基板130との間に、たとえばOリングなどのシール部材(図示せず)を設けてもよい。
【0064】
第1の基板支持チャンバ510Aは、ベースプレート121のうち、基板130の中央部分に相当する部分(
図5の例ではベースプレート121の中央)に設けられている。第1の基板支持チャンバ510Aは、上方から見て基板130と相似し、かつ、基板130よりも小さい形状であることが好ましい。
図5における第1の基板支持チャンバ510Aは、上方から見て基板130よりも小さい四辺形状である。
【0065】
第2の基板支持チャンバ510B〜第5の基板支持チャンバ510Eのそれぞれは上方から見て台形状をしている。
図5の例では、第1の基板支持チャンバ510Aを取り囲むように、第2の基板支持チャンバ510B〜第5の基板支持チャンバ510Eが配置されている。換言すれば、第2の基板支持チャンバ510B〜第5の基板支持チャンバ510Eのそれぞれの、長さが短い底辺が、第1の基板支持チャンバ510Aのそれぞれの辺に対向している。第2の基板支持チャンバ510B〜第5の基板支持チャンバ510Eのそれぞれは、ベースプレート121のうち、基板130の縁部に相当する部分に設けられている。
【0066】
基板支持チャンバ510のそれぞれは、ベースプレート121の内部に設けられたプレート流路520(
図5では、第1のプレート流路520A、第2のプレート流路520B、第3のプレート流路520C、第4のプレート流路520Dおよび第5のプレート流路520E)の一端と連通している。プレート流路520のそれぞれは、他端側において圧力制御機構500と連通している。
【0067】
圧力制御機構500は、基板支持チャンバ510の内部圧力を制御する機構である。
図5では、ポンプ501およびバルブ502が圧力制御機構500を構成している。具体的には、
図5では、第1のポンプ501A、第2のポンプ501B、第3のポンプ501C、第4のポンプ501Dおよび第5のポンプ501Eが、それぞれ第1の基板支持チャンバ510A〜第5の基板支持チャンバ510Eと接続されている。ポンプ501のそれぞれと、基板支持チャンバ510のそれぞれとの間にバルブ502(第1のバルブ502A、第2のバルブ502B、第3のバルブ502C、第4のバルブ502Dおよび第5のバルブ502E)が設けられている。
図5の例における圧力制御機構500は、第1の基板支持チャンバ510A〜第5の基板支持チャンバ510Eの内部圧力をそれぞれ異なった圧力にすることが可能である。なお、圧力制御機構500は、基板支持チャンバ510を
加圧する機構でもよく、減圧する機構でもよく、加圧および減圧する機構でもよい。圧力制御機構500は、制御部190により制御されてよい。
【0068】
図5の構成において、第1のポンプ501Aによって第1の基板支持チャンバ510Aの内部圧力を大気圧より高くした場合、基板130の中央部分は鉛直上向きの力を受けることとなる。内部圧力を高めれば、基板130の中央部分が受ける鉛直上向きの力は強くなる。一方、第1の基板支持チャンバ510Aの内部圧力を大気圧より低くした場合、基板130の中央部分は鉛直下向きの力を受けることとなる。内部圧力を低めれば、基板130の中央部分が受ける鉛直下向きの力は強くなる。同様に、第2の基板支持チャンバ510B〜第5の基板支持チャンバ510Eのそれぞれの内部圧力に応じて、基板130の縁部のそれぞれは鉛直上向きまたは下向きの力を受ける。
【0069】
基板130のうち、他の基板支持チャンバより高圧である基板支持チャンバ510の上方に存在する部分は、他の部分より強く研磨パッド150に対して押圧される。すなわち、本実施形態の構成によれば、基板130と研磨パッド150との間の押圧力を局所的に制御することが可能である。たとえば基板130の中央部分の研磨が不足している場合、第1の基板支持チャンバ510Aの圧力を、第2の基板支持チャンバ510B〜第5の基板支持チャンバ510Eの圧力より高くすることで、基板130の中央部分の研磨不足を解消することができる。
【0070】
なお、
図5で示した構成は一例にすぎない。基板支持チャンバ510の個数、大きさおよび形状は任意であってよい。
図5では、基板支持チャンバ510はベースプレート121の一部として設けられている。しかし、ベースプレート121と基板支持チャンバ510とは別個独立した部品であってよい。
図5ではプレート流路520がベースプレート121の内部のみに設けられている。しかし、定盤110の内部にさらなる流路を設けてもよい。それぞれのプレート流路520は完全に独立している必要はない。一つの主流路から複数の副流路が伸びるよう、プレート流路520を構成してもよい。圧力制御機構500は、基板支持チャンバ510の圧力を制御することが可能である限り、任意の構成であってよい。たとえば、ポンプ501とプレート流路520の間にレギュレータを設けることができる。他の例として、1つのポンプ501を複数のプレート流路520に接続してもよい。
【0071】
基板支持チャンバ510の変形例を、
図6を用いて説明する。
図6Aは弾性パッド600を備える基板支持機構120の上面図である。
図6Bは弾性パッド600を備える基板支持機構120の正面断面図である。また、
図6Bには、基板130が想像線(二点鎖線)で図示されている。
【0072】
図5の例では、ベースプレート121が基板130を直接支持している。一方、
図6の例では、ベースプレート121の上部に弾性パッド600が取り付けられている。弾性パッド600は、少なくとも鉛直方向に伸縮可能である。基板130は弾性パッド600の上面に支持される。また、
図6の例では、基板130がXY平面内で動いてしまうことのないよう、基板130の側面を保持するためのリテーナ610がベースプレート121の上部に設けられている。リテーナ610は、基板130のみならず、弾性パッド600の側面も保持するよう構成されることが好ましい。好ましくは、基板の厚さの半分以上がリテーナ610の最上部から突出するよう、リテーナ610が構成される。
【0073】
弾性パッド600の内部には複数の空間が設けられている。これらの空間が、複数の基板支持チャンバ510を画定する。換言すれば、複数の基板支持チャンバ510は弾性パッド600により形成されている。
図6の例では、2つの基板支持チャンバ510(第1の基板支持チャンバ510A’および第2の基板支持チャンバ510B’)が設けられて
いる。第1の基板支持チャンバ510A’は基板130の中央部分に相当する位置に設けられている。第1の基板支持チャンバ510A’の形状は上方から見て四辺形状である。第2の基板支持チャンバ510B’は第1の基板支持チャンバ510A’の周囲に設けられている。第2の基板支持チャンバ510B’の形状は上方から見て四辺形状である。
図5の例と同様に、基板支持チャンバ510のそれぞれは、プレート流路520(第1のプレート流路520A’および第2のプレート流路520B’)の一端に接続されている。プレート流路520の他端には、圧力制御機構500が接続されている。圧力制御機構500は、第1のポンプ501A’、第2のポンプ501B’、第1のバルブ502A’および第2のバルブ502B’を備えている。
【0074】
弾性パッド600は、基板支持チャンバ510のそれぞれの圧力に応じて、鉛直方向に局所的に膨張または縮小する。したがって、基板130のうち、他の基板支持チャンバより高圧である基板支持チャンバ510の上方に存在する部分は、他の部分より強く研磨パッド150に対して押圧される。以上に説明したとおり、
図6の例においても、基板130と研磨パッド150との間の押圧力を局所的に制御することが可能である。
【0075】
図5のように、ベースプレート121に形成された凹みを基板支持チャンバ510として用いる場合、ベースプレート121は剛体であるので、ベースプレート121の平坦性は比較的高くなり得ると考えられる。
図6の例では、流体のリークは起こりにくいと考えられる。要求される性能に応じて、
図5の構成と
図6の構成を使い分けることが好ましい。
図5の構成と
図6の構成を併用することも可能である。
【0076】
研磨ヘッド機構140にチャンバを設けることも可能である。
図7は、研磨パッド支持チャンバ710を有する研磨ヘッド機構140の図である。
図7Aは研磨ヘッド機構140の正面断面図である。
図7Bは研磨ヘッド機構140の底面図である。
図7Aには、研磨パッド150が想像線(二点鎖線)で図示されている。研磨パッド支持チャンバ710は、研磨パッド150の裏面と対向するように設けられている。
【0077】
研磨ヘッド本体部220の下面には弾性パッド700が設けられており、研磨パッド150は弾性パッド700に張り付けられる。弾性パッド700は、少なくとも鉛直方向に伸縮可能である。弾性パッド700には複数の研磨パッド支持チャンバ710が設けられている。
図7の例では、3つの研磨パッド支持チャンバ710(第1の研磨パッド支持チャンバ710A、第2の研磨パッド支持チャンバ710Bおよび第3の研磨パッド支持チャンバ710C)が設けられている。研磨パッド支持チャンバ710のそれぞれの内部圧力は、他の研磨パッド支持チャンバ710の内部圧力から独立している。第1の研磨パッド支持チャンバ710Aは研磨ヘッド本体部220の中央部分に位置する。第2の研磨パッド支持チャンバ710Bは第1の研磨パッド支持チャンバ710Aの外側に位置する。第3の研磨パッド支持チャンバ710Cは第2の研磨パッド支持チャンバ710Bのさらに外側に位置する。それぞれの研磨パッド支持チャンバ710の外形は四辺形状である。研磨ヘッド本体部220の内部にはヘッド流路720が設けられている。研磨パッド支持チャンバ710のそれぞれは、ヘッド流路720(第1のヘッド流路720A、第2のヘッド流路720Bおよび第3のヘッド流路720C)の一端に接続されている。ヘッド流路720の他端には圧力制御機構730が接続されている。
図7の圧力制御機構730は、研磨パッド支持チャンバ710の内部圧力を制御する機構である。圧力制御機構730は、ポンプ731(第1のポンプ731A、第2のポンプ731Bおよび第3のポンプ731C)およびバルブ732(第1のバルブ732A、第2のバルブ732Bおよび第3のバルブ732C)を備えている。
【0078】
弾性パッド700は、研磨パッド支持チャンバ710のそれぞれの圧力に応じて、鉛直方向に局所的に膨張または縮小する。したがって、研磨パッド150のうち、他の研磨パ
ッド支持チャンバより高圧である研磨パッド支持チャンバ710の上方に存在する部分は、他の部分より強く基板130に対して押圧される。したがって、
図7の例においても、基板130と研磨パッド150との間の押圧力を局所的に制御することが可能である。
図7の構成を単独で用いることで、基板支持機構120にチャンバを設ける必要がなくなる。一方、
図5および/または
図6の構成と、
図7の構成を組み合わせて押圧力を制御することも可能である。
図5および/または
図6の構成と、
図7の構成を組み合わせた場合、制御可能な押圧力の範囲が広がり得る。
【0079】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。