(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987002
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】積層フィルム及び包装袋
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20211213BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20211213BHJP
B65D 30/02 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B27/00 A
B65D30/02
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-49798(P2018-49798)
(22)【出願日】2018年3月16日
(65)【公開番号】特開2019-155868(P2019-155868A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2021年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 甲介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 豊明
(72)【発明者】
【氏名】金澤 麻子
【審査官】
大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/001496(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/105524(WO,A1)
【文献】
国際公開第2016/021682(WO,A1)
【文献】
特開2013−249069(JP,A)
【文献】
特許第5699325(JP,B2)
【文献】
国際公開第2013/094472(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D 30/00−33/38
B65D 65/00−65/46
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30;81/38
C08J 5/00−5/02;5/12−5/22
B29C 48/00−48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、積層フィルムの一方の最表面となるシーラント材とを含む複数の層を有する積層フィルムにおいて、前記シーラント材は、(A)ラミネート層/(B)バリア層/(C)シーラント層からなり、(A)ラミネート層がポリエチレン樹脂、(B)バリア層がシクロオレフィンポリマーとシクロオレフィンコポリマーのブレンド樹脂、(C)シーラント層が10〜25μmの層厚であるポリエチレン樹脂からなることを特徴とする分子量3桁以上の有機化合物に対して非収着性を有する積層フィルム。
【請求項2】
前記(B)バリア層が前記ブレンド樹脂100質量%に対し、前記シクロオレフィンポリマー52〜97質量%、シクロオレフィンコポリマー3〜48質量%であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記(A)ラミネート層/(B)バリア層/(C)シーラント層からなる前記シーラント材の総厚100%に対し、(B)バリア層の層厚が10〜30%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の積層フィルムからなり、前記シーラント材をヒートシールしてなるヒートシール部を有することを特徴とする包装袋。
【請求項5】
前記積層フィルムが前記基材にアルミ箔または蒸着フィルムが積層された積層フィルムであり、前記包装袋がスタンディングパウチであることを特徴とする請求項4に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量100ml以上の包装袋を想定した場合であっても、分子量3桁以上の有機化合物に対する非収着性に優れ、かつヒートシール性、引張特性に優れる積層フィルム及び包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体と環状オレフィン系重合体を含有する樹脂組成物をシーラント層にするという開発に関して記載されている。
特許文献2では、ガラス転移点が異なる以外は同様に構成することが可能な2種類の環状オレフィン系樹脂を溶融押出により成形したフィルムの開発に関して記載されている。
特許文献3では、シーラント層の中間層に環状ポリオレフィン系樹脂と非環状ポリオレフィン系樹脂とを含む環状オレフィン系樹脂層を設けることで、優れたシール強度を示し、内容物に含まれる有効成分の吸着量を低減させたスタンディングパウチの開発に関して記載されている。
特許文献4では、シクロオレフィンポリマーとシクロオレフィンコポリマーを特定の配合領域でブレンドした樹脂組成物をシーラント層に使用することで、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー単体よりも引張伸度が向上するという開発に関して記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−291364号公報
【特許文献2】特開2010−031253号公報
【特許文献3】特許第5699325号公報
【特許文献4】国際公開第2013/105524号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1〜3では、シーラント層またはバリア層である環状オレフィン系樹脂がシクロオレフィンコポリマーでありエチレンとの共重合体であるため、そのエチレン領域を通路として、有効成分が基材層に侵入してしまい、結果非収着性が低下するという問題が生じる。さらに特許文献1、3では、このシーラント層またはバリア層に非環状ポリオレフィン樹脂をブレンドしているため、基材層への有効成分の侵入をさらに加速させてしまっているという問題もある。
【0005】
また、特許文献1、2では、環状オレフィン系樹脂が単層でシーラント層とされるため、スタンディングパウチとした時の屈曲性が悪く、シーラント層にクラックが発生しやすく、結果それが非収着性能を低減させてしまう。特許文献3でも、例えば、(A)ラミネート層10μm/(B)バリア層30μm/(C)シーラント層10μmといった層厚比率構成も含まれるが、バリア層の層厚比率が総厚に対して50%以上あるため、スタンディングパウチとした時の屈曲性が悪く、バリア層にクラックが発生しやすく、結果それが非収着性能を低減させてしまう。
【0006】
特許文献4の技術では、シクロオレフィンポリマーとシクロオレフィンコポリマーをブレンドした樹脂組成物をシーラント層として使用しているため、有効成分の収着抑制には効果がある。しかし、当該樹脂組成物は、シール強度がポリエチレンなどのシーラント樹脂と比較すると低く、引張伸度も低いため、100ml以上の容量の包装袋への使用はできない。またシクロオレフィンコポリマーが主成分となる配合領域では、シクロオレフィンポリマーが主成分となる配合領域よりも非収着性に劣る。
【0007】
本発明は、容量100ml以上の包装袋を想定した場合であっても、分子量3桁以上の有機化合物に対する非収着性に優れ、かつヒートシール性、引張特性に優れる積層フィルム及び包装袋を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、基材と、積層フィルムの一方の最表面となるシーラント材とを含む複数の層を有する積層フィルムにおいて、前記シーラント材は、(A)ラミネート層/(B)バリア層/(C)シーラント層からなり、(A)ラミネート層がポリエチレン樹脂、(B)バリア層がシクロオレフィンポリマーとシクロオレフィンコポリマーのブレンド樹脂、(C)シーラント層が10〜25μmの層厚であるポリエチレン樹脂からなることを特徴とする分子量3桁以上の有機化合物に対して非収着性を有する積層フィルムを提供する。
【0009】
前記(B)バリア層が前記ブレンド樹脂100質量%に対し、前記シクロオレフィンポリマー52〜97質量%、シクロオレフィンコポリマー3〜48質量%であってもよい。
前記(A)ラミネート層/(B)バリア層/(C)シーラント層からなる前記シーラント材の総厚100%に対し、(B)バリア層の層厚が10〜30%であってもよい。
【0010】
また、本発明は、前記の積層フィルムからなり、前記シーラント材をヒートシールしてなるヒートシール部を有することを特徴とする包装袋を提供する。
前記積層フィルムが前記基材にアルミ箔または蒸着フィルムが積層された積層フィルムであり、前記包装袋がスタンディングパウチであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容量100ml以上の包装袋を想定した場合であっても、分子量3桁以上の有機化合物に対する非収着性に優れ、かつヒートシール性、引張特性に優れる積層フィルム及び包装袋を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
図1に示すように、本実施形態の積層フィルム20は、シーラント材10と、基材21とを含む複数の層を有する。ここで、基材21は1層または2層以上を有してもよく、積層フィルム20がシーラント材10および基材21以外の層を含んでもよい。
【0014】
シーラント材10は、積層フィルム20の一方の最表面となる。シーラント材10は、基材21側の外層として(A)ラミネート層11を、最表面側の内層として(C)シーラント層13を有する。また、ラミネート層11とシーラント層13との間の中間層として(B)バリア層12が設けられている。シーラント材10のうち、ラミネート層11およびシーラント層13がポリエチレン樹脂からなる。また、バリア層12は、シクロオレフィンポリマーとシクロオレフィンコポリマーのブレンド樹脂からなる。
【0015】
シーラント材10は、分子量3桁以上の有機化合物に対して非収着性を有する。ここで、分子量が3桁以上とは、例えば100以上であり、500程度、1000程度またはそれ以上であってもよい。非収着性を有する有機化合物の分子量は、例えば5桁未満(4桁以下)、より具体的には10000未満(9999以下)であってもよい。シーラント材10が非収着性を有する化合物としては、例えばポリエチレンが収着性を有しない化合物(タンパク質や多糖類など高分子量または親水性の高い化合物)や、ポリエチレン等の樹脂に対して酸化等の化学反応を引き起こす化合物などを除外した上で、ポリエチレンが収着性を有する化合物であってもよい。「収着」とは、「吸着」または「吸収」を意味する。非収着性の対象となる有機化合物としては、芳香族化合物、脂環式化合物、複素環式化合物等の有効成分、機能性成分、栄養成分、香料等の少なくとも1つが挙げられる。なお、非収着性の対象として選択される有機化合物は、非収着性の指標となるものであり、実際に内容物に含有されてもよく、あるいは内容物に含有されない場合があってもよい。
【0016】
本実施形態の積層フィルム20およびシーラント材10は、シクロオレフィンポリマーを主成分とし、シクロオレフィンコポリマーをある一定の割合とした混合物(ブレンド樹脂)を使用することで、非収着性を保持し、フィルム強度を向上させることができる。バリア層12における配合比率は、例えば、ブレンド樹脂100質量%に対し、シクロオレフィンポリマー52〜97質量%、シクロオレフィンコポリマー3〜48質量%の領域が望ましい。
【0017】
シクロオレフィンポリマーとシクロオレフィンコポリマーは相溶性があるため、所定の配合領域(配合比率)でブレンドすることでシクロオレフィンコポリマーのエチレン成分がより細かく分散する。バリア層12に非環状オレフィン樹脂を配合しなくても、バリア層12の屈曲性が向上し、シーラント材10の強度も向上する。また、バリア層12においてエチレン成分が非常に細かく分散するため、エチレン成分は有効成分がラミネート層11へと通り抜ける侵入路とはならず、結果本実施形態の配合比率であれば、シーラント材10の非収着性は低下しない。
【0018】
シクロオレフィンポリマーは、環状オレフィンの重合体またはその水素添加物である。環状オレフィンの重合体としては、1種類の環状オレフィンから構成される単独重合体と、2種類の環状オレフィンから構成される共重合体があり、また、二重結合を含む環構造が閉じたまま重合する付加重合体と、メタセシスによる開環重合体とがある。シクロオレフィンポリマーのなかでも、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンの重合体またはその水素添加物であることが好ましい。シクロオレフィンポリマーとしては市販品を用いることができ、例えば日本ゼオン株式会社製のゼオネックス(登録商標)、ゼオノア(登録商標)を好適に用いることができる。
【0019】
シクロオレフィンコポリマーは、環状オレフィンと非環状オレフィンとの重合体またはその水素添加物である。環状オレフィンと非環状オレフィンとの重合体としては、1種類の環状オレフィンと1種類の非環状オレフィンとの共重合体でもよく、1種類の環状オレフィンと2種類以上の非環状オレフィンとの共重合体でもよく、2種類の環状オレフィンと1種類の非環状オレフィンとの共重合体でもよく、2種類の環状オレフィンと2種類以上の非環状オレフィンとの共重合体でもよい。シクロオレフィンコポリマーのなかでも、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンと非環状オレフィンとの重合体またはその水素添加物であることが好ましい。シクロオレフィンコポリマーとしては市販品を用いることができ、例えば三井化学株式会社製のアペル(登録商標)、ポリプラスチックス株式会社製のTOPAS(登録商標)を好適に用いることができる。
【0020】
また、バリア層12の層厚は、シーラント材10の総厚100%に対して10〜30%であることが望ましい。バリア層12の層厚比率が、この上限値の比率(30%)より高いと、バリア層12の屈曲によりクラックが発生しやすく、ラミネート層11へ有効成分が通り抜ける侵入路となってしまう。また、バリア層12の層厚比率が、下限値の比率(10%)より低いと、クラックの有無によらず、バリア層12のバリア機能が低下する。
【0021】
さらにシーラント層13の層厚は10〜25μmであることが望ましい。シーラント層13の厚みが、下限値の厚み(10μm)未満であると、シール強度が低く、落下強度も低いという問題が生じる。シーラント層13の厚みが、上限値の層厚(25μm)を超えると、収着率が増加し、実用性に欠けてしまう。積層フィルム20をスタンディングパウチの構成材料として使用する場合は、シーラント層13の厚みが上記の範囲の層厚で、またはバリア層12の厚みが上記の範囲の比率で、且つシーラント材10の総厚は50〜120μmであることが望ましい。
【0022】
ラミネート層11およびシーラント層13に用いるポリエチレン樹脂は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン、あるいは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のエチレンを主体とするポリオレフィン樹脂が挙げられる。エチレンを主体とするポリオレフィン樹脂の具体例としては、ブテンを共重合させたC4−LLDPE、ヘキセンを共重合させたC6−LLDPE、オクテンを共重合させたC8−LLDPE等が挙げられる。重合時の触媒等は特に制約はない。また、ラミネート層11およびシーラント層13の一方または両方について、2種類以上のポリエチレン樹脂をブレンドして使用しても構わない。ラミネート層11に用いられるポリエチレン樹脂と、シーラント層13に用いられるポリエチレン樹脂とは、同種でも異種でもよい。ポリエチレン樹脂のエチレン含有率は、例えば50質量%以上、80質量%程度、90質量%程度、95質量%程度、99質量%程度、100重量程度%等が挙げられる。
【0023】
ラミネート層11とバリア層12との間、バリア層12とシーラント層13との間は、他の材料を介在させることなく、共押出等により全面的に密着していてもよい。シーラント材10の各層を構成する樹脂は、発明の目的を損なわない範囲で、適宜の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、エラストマー等が挙げられる。例えば、バリア層を構成するブレンド樹脂には、スチレン系エラストマー等のエラストマーまたはポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂の一方または両方を、例えば5重量%以下、あるいは2重量%以下の割合で配合してもよい。
【0024】
シーラント材10は、シーラント材10どうしのシール(接合)に用いることができる。シール方法には特に制約はなく、熱板シール、超音波シール、高周波シール、インパルスシール等が挙げられる。シーラント材10は、間に他の接着剤等を介在させることなく、シーラント層13どうしを対向させてヒートシールすることが可能である。シーラント材10の厚さは、加工性、柔軟性、非収着性等の観点から選択することが好ましく、特に限定されないが、例えば20〜200μmの厚さが好ましい。積層フィルム20をスタンディングパウチ等の包装袋として使用する場合は、バリア層12の層厚比率が上記の範囲で、且つシーラント材10の総厚が50〜180μmであることが望ましい。
【0025】
本実施形態の積層フィルム20は、包装袋等の容器を構成するために用いることができる。本実施形態の包装袋は、シーラント材10の内層どうしを対向させてシールしてなるシール部と、シーラント材10がシールされていない未シール部とを有する。シール部においては、シーラント材10の総厚およびシーラント材10を構成する各層の層厚が、ヒートシールの加熱または加圧により変化してもよい。シーラント材10について説明したシーラント層13の層厚や、またはバリア層12の層厚比率は、シーラント材10が内容物と接触する未シール部において、上述の範囲を満足することが好ましい。
【0026】
積層フィルム20は、シーラント材10のラミネート層11側に積層された基材21を有する。シーラント材10と基材21との間や、基材21のシーラント材10と反対側には、他の層が積層されてもよい。基材は、樹脂フィルムまたは樹脂以外の異種材料を含むことができる。異種材料としては、アルミ箔等の金属箔、紙等が挙げられる。基材を構成する材料としては、耐熱性や強度などの機械的特性、印刷適性に優れた延伸フィルムが好ましく、具体的には、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム等を挙げることができる。基材の厚さは通常10〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。
【0027】
基材は、2層以上から構成されてもよい。基材の貼り合わせには、接着剤、アンカー剤などを用いてもよい。基材は、水分やガスの侵入を防ぐため、水蒸気バリア性樹脂、ガスバリア性樹脂、蒸着フィルム等を含むことが好ましい。水蒸気バリア性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。ガスバリア性樹脂としては、ナイロン等のポリアミド樹脂や、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等が挙げられる。蒸着フィルムとしては、金属、シリカ、アルミナ等の無機物を蒸着した樹脂フィルムが挙げられる。
【0028】
包装袋は、内容品が収容される本体部に対して、キャップ、スパウト等の付属品を有してもよい。積層フィルム20から構成される本体部に対し、付属品は、樹脂成形品等であってもよい。包装袋またはその本体部の形態は特に限定されず、例えば、平袋、ガゼット袋、スタンディングパウチ等が挙げられる。本実施形態の積層フィルムは、シール性、屈曲性にも優れるため、スタンディングパウチ等、フィルムに屈曲部を有する包装袋にも好適である。
【0029】
本実施形態の包装袋は、特に、飲食物や化粧品、薬剤等、香料や有効成分を含有する内容品の包装に好適に利用することができる。包装袋の容量または内容物の体積が100ml以上であってもよい。特に限定されないが、本実施形態の包装袋は、次の(1)〜(3)の包装袋に適している。
【0030】
(1)微量な有効成分が含まれる化粧品や医薬品などの包装袋。
(2)微量な有効成分が含まれる化粧品等の詰め替え用の包装袋。
(3)入浴剤などの詰め替え用の包装袋。
【0031】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【実施例】
【0032】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0033】
【表1】
【0034】
なお、表1において用いた略語の意味は、次のとおりである。
「COP」・・・シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名ZEONOR(登録商標)1020R。Tg=102℃、MFR=20g/10min(280℃)、ρ=1.01g/cm
3)
「COC」・・・シクロオレフィンコポリマー(ポリプラスチックス株式会社製、商品名TOPAS(登録商標)8007F04。Tg=78℃、MVR=32cm
3/10min(260℃)、ρ=1.02g/cm
3)
「PE(1)」・・・メタロセン触媒重合C6−LLDPE(ρ=0.924g/cm
3、Tm=120℃、MFR=2.2g/10min(190℃、2.16kgf))
「PE(2)」・・・メタロセン触媒重合C6−LLDPE(ρ=0.930g/cm
3、Tm=130℃、MFR=1.1g/10min(190℃、2.16kgf))
【0035】
(サンプル作製方法)
(1)(シーラント材の作製)
表1に示す樹脂を用いて、実施例および比較例のシーラント材をTダイ押出機により作製した。実施例1〜2のバリア層は、COP:COCのブレンド樹脂であり、等号に続けて示される比率は重量%である。実施例1〜2および比較例2〜3のシーラント材は、3層の共押出フィルムからなる。比較例1のシーラント材は、単層の押出フィルムである。
(2)(ドライラミネート)
上記(1)で作製したシーラント材を、PETフィルムおよびAl箔とNylonをドライラミネートにより貼り合わせ、PET12μm/Al箔9μm/Nylon15μm/シーラント材という層構成を有する積層フィルムを得た。
(3)(製袋)
上記(2)で作製した積層フィルムを用いて、製袋機により、180mm×110mm(シール巾5mm)という寸法の、注出口のないスタンディングパウチを作製した。
【0036】
(評価方法)
(1)落下強度測定
作製したスタンディングパウチに水を250mlまたは350mlを充填し、パウチの開口部を圧力0.2MPa、時間1秒、温度180℃でヒートシールして密封した。
その水を充填したスタンディングパウチを5℃環境下で24時間保管後、高さ120cmから水平落下(スタンディングパウチの側面からの落下)、垂直落下(スタンディングパウチの底部からの落下)の2通りで、落下試験を実施した。水平落下・垂直落下を1セットとし、計5セット実施し、n=10で破袋の有無を確認した。
【0037】
(2)酢酸α−トコフェロールの残存率
有効成分として酢酸α−トコフェロール(ビタミンEアセテート、分子量472.74)を含む市販の化粧水250mlを、作製したスタンディングパウチに入れ、パウチの開口部を圧力0.2MPa、時間1秒、温度180℃でヒートシールして密封した。密封したパウチを40℃で3ヶ月保管した後に開封し、化粧水中の酢酸α−トコフェロールの残存量を高速液体クロマトグラフィ法で定量し、前記残存量をもとに有効成分の残存率を算出した。
【0038】
表2に評価結果を示す。
【0039】
【表2】
【0040】
表2の結果から本発明(実施例1、2)により、酢酸トコフェロールの残存率が85%以上であることを確認でき、スタンディングパウチも破袋しないことが確認できた。
シーラント材をPE単体としたパウチ(比較例1)では、落下試験での破袋は発生しなかったが、酢酸トコフェロールの残存率が70.8%と本発明(実施例1、2)には及ばなかった。
バリア層をCOPとしたパウチ(比較例2)では、容量250mlでの落下試験では問題なかったが、容量350mlでは破袋が発生し、本発明には及ばなかった。
またシーラント層の層厚を50μmとしたパウチ(比較例3)では、落下強度による破袋は発生しなかったが、酢酸トコフェロールの残存率は本発明(実施例1、2)には及ばなかった。
【符号の説明】
【0041】
10…シーラント材、11…ラミネート層、12…バリア層、13…シーラント層、20…積層フィルム、21…基材。