特許第6987145号(P6987145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987145
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20211213BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20211213BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G01N35/00 B
   G01N35/02 D
   G01N33/543 501F
   G01N33/543 541A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-549852(P2019-549852)
(86)(22)【出願日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】JP2018028020
(87)【国際公開番号】WO2019087482
(87)【国際公開日】20190509
【審査請求日】2020年2月28日
(31)【優先権主張番号】特願2017-212407(P2017-212407)
(32)【優先日】2017年11月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山下 善寛
(72)【発明者】
【氏名】大草 武徳
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊輔
【審査官】 永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−088164(JP,A)
【文献】 特開平10−311834(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/151058(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器に収容される試料及び試薬を反応させた液体中から未反応成分と反応成分を分離するB/F分離工程を実行するB/F分離部と、
前記B/F分離工程後の液体中の反応成分を検出する検出部と、
前記B/F分離部、及び、前記検出部を、略同一の温度環境に維持する温度維持部と、
反応液を生成するための第1液体が流れる第1流路と、
前記検出部の検出工程に用いられる第2液体が流れる第2流路と、
前記第1流路及び前記第2流路を流れる液体が、外部から区切られた内部空間に流入する前に熱交換されるプレヒータと、を備え、
前記B/F分離部は、
溶液中の磁性微粒子を集磁する集磁部と、
前記反応容器から前記未反応成分を吸引する吸引ノズルと、
前記反応容器内に、前記第1液体を吐出する吐出ノズルと、
前記反応容器内で、前記吸引ノズルにより吸引されなかった成分、及び、前記第1液体を撹拌することにより前記反応液を生成する撹拌部と、を備え、
前記検出部は、前記反応液を発光させ該反応液から出射した光を検出するフローセル方式の検出器を備え、
前記温度維持部は、温調ユニットを備え、
前記B/F分離部と前記検出部は、前記第1流路及び前記第2流路の一部とともに前記内部空間内に配置され、前記内部空間内の前記温調ユニットによって温度制御された雰囲気と熱交換する、自動分析装置。
【請求項2】
前記B/F分離部により処理された反応容器を、前記内部空間の外に搬出することなく前記検出部に搬送可能な搬送部を更に備える、請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記反応液を収容する反応容器、及び、前記第2液体を収容する第2液体用容器、を有する検出部容器搬送部を備える、請求項1記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記B/F分離部は、前記反応容器の下部に配置される、請求項3記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記温度維持部は、ペルチェ素子を利用する冷熱源、空気循環用の送風機、前記内部空間内の温度の一部又は複数の箇所を測定するためのセンサ、を備える、請求項1乃至2、3、又は4何れか一に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療やバイオテクノロジーの分野において、試料に含まれる血液、血清、尿等の生体由来等の試料中に含まれる特定の生体成分や化学物質などに対して、インキュベータ(反応ディスク)の恒温環境下で磁性微粒子と発光標識等を免疫学的に結合させることによって免疫複合体を形成し、その発光標識を検出する免疫分析装置がある。ここで、検出対象成分の検出感度を向上させるために、B/F分離機構にフローセル方式の検出機構を組み合わせる分析装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/151058号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、B/F分離機構と検出器の温度環境を均一化することについて言及されていないため、B/F分離工程等における環境変化(例えば、溶液置換に伴うイオン強度変化、温度変化等)が、免疫学的な結合反応の平衡状態に影響を及ぼし得る、という課題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、種々の環境変化が免疫学的な結合反応の平衡状態に与える影響を抑制する自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の自動分析装置は、反応容器に収容される試料及び試薬を反応させた液体中から未反応成分と反応成分を分離するB/F分離工程を実行するB/F分離部と、前記B/F分離工程後の液体中の反応成分を検出する検出部と、前記B/F分離部、及び、前記検出部を、略同一の温度環境に維持する温度維持部と、反応液を生成するための第1液体が流れる第1流路と、前記検出部の検出工程に用いられる第2液体が流れる第2流路と、前記第1流路及び前記第2流路を流れる液体が、外部から区切られた内部空間に流入する前に熱交換されるプレヒータと、を備え、前記B/F分離部は、溶液中の磁性微粒子を集磁する集磁部と、前記反応容器から前記未反応成分を吸引する吸引ノズルと、前記反応容器内に、前記第1液体を吐出する吐出ノズルと、前記反応容器内で、前記吸引ノズルにより吸引されなかった成分、及び、前記第1液体を撹拌することにより前記反応液を生成する撹拌部と、を備え、前記検出部は、前記反応液を発光させ該反応液から出射した光を検出するフローセル方式の検出器を備え、前記温度維持部は、温調ユニットを備え、前記B/F分離部と前記検出部は、前記第1流路及び前記第2流路の一部とともに前記内部空間内に配置され、前記内部空間内の前記温調ユニットによって温度制御された雰囲気と熱交換する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、種々の環境変化が免疫学的な結合反応の平衡状態に与える影響を抑制する自動分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】自動分析装置の上面図。
図2】実施例1のB/F分離・検出機構の上面図。
図3】実施例1のB/F分離・検出機構の側面図。
図4】実施例2のB/F分離・検出機構の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例を記載する。
【実施例1】
【0010】
以下、図を用いて、第1の実施例について説明する。
【0011】
図1に示す自動分析装置100は、試料(検体)を分注するためのチップ121及び反応容器122を保持するマガジン101、恒温制御されるインキュベータ102、種々の試薬を有する試薬容器123を保持する試薬保持部(試薬ディスク)103、チップ121や反応容器122を搬送する第1搬送部104、試薬を反応容器122へ分注する試薬分注部105、試料を搬送する第2搬送部106、試料を反応容器122に分注する試料分注部107、試料を有する試料容器124を収容する試料ラック108、試料及び試薬を混合した溶液を収容する反応容器122から未反応成分を除去する第1のB/F分離工程に用いられるB/F分離後置換液(以下、第1液体)を収容する第1液体容器111、第2のB/F分離工程(フローセル方式の検出器で実施される検出工程)に用いられる検出液(以下、第2液体)を収容する第2液体容器112、検出器の洗浄に用いられる洗浄液を収容する洗浄液容器113、各々に圧力制御機構を備える流路114、115、116、プレヒータ208、及び、B/F分離・検出機構200等を備える。第1液体容器111、第2液体容器112、及び、洗浄液容器113は、それぞれ、流路114、115、116に接続され、流路114、115、116は、プレヒータ208を経由して、B/F分離・検出機構200に接続される。
【0012】
インキュベータ102は、複数の反応容器122を保持するための反応容器設置孔を円周上に備え、反応容器122を所定位置に搬送するために回転動作を行うものであり、一般的には37℃に恒温制御される。これにより、反応容器122内の溶液に含まれる成分の免疫学的な反応が促進され、免疫複合体が形成される。
【0013】
試薬保持部103は、複数の試薬容器123を保持するための試薬容器設置孔を円周上に備え、試薬容器123を所定位置に搬送するための回転動作を行う。
【0014】
第1搬送部104は、マガジン101に保持される反応容器122をインキュベータ102の反応容器設置孔に、チップ121をチップ装着位置109に搬送する。
【0015】
試薬分注部105は、インキュベータ102に設置された反応容器122に試薬容器123内の試薬を分注する試薬プローブを備える。試薬プローブは流路を介してシリンジ等を用いた圧力制御機構を備えている。試薬分注部105は、試薬プローブを試薬容器123の上方に移動させた後に下降させて試薬容器123内の試薬に浸漬させ、上述の圧力制御によって試薬プローブ先端から所定量の試薬を吸引させる。その後、試薬分注部105は、試薬プローブを上昇させて、試薬容器123の上方から、インキュベータ102の上方に移動させ、所定の反応容器122の位置まで下降させ、上述の圧力制御によって試薬プローブ先端から所定量の試薬を反応容器122内に吐出させる。
【0016】
第2搬送部106は、複数の試料容器124を、試料ラック108上の搬送ライン(レール)に沿って移動させる。
【0017】
試料分注部107は、インキュベータ102に設置された反応容器122に試料容器124内の試料を分注する試料プローブを備える。試料プローブは流路を介してシリンジ等を用いた圧力制御機構を備える。試料分注部107は、回転動作により試料ラック108、インキュベータ102、及びチップ装着位置109にアクセスする。試料分注部107は、試料プローブをチップ装着位置109に設置されたチップ121の上方に移動させた後に下降させて、チップ121を圧入装着させる。そして、試料プローブを上昇させ、回転動作により試料ラック108の上方に移動させ、次いで下降させ、試料プローブに装着されたチップ121を試料容器124内の試料に浸漬させ、上述の圧力制御によって試料プローブ先端から所定量の試料を吸引させる。その後、試料プローブを上昇させて、試料ラック108の上方から、インキュベータ102の上方に移動させ、所定の反応容器122の位置まで下降させ、上述の圧力制御によって試料プローブ先端から所定量の試料を反応容器122内に吐出させる。
【0018】
こうして、所定の試薬及び試料が吐出された反応容器122は、所定温度に制御されたインキュベータ102上で、所定時間保持される。これにより、試薬に含まれる抗体成分、発光標識、磁性微粒子、及び、試料に含まれる測定対象物の免疫反応が進み、免疫複合体が形成される。
【0019】
次に、B/F分離機構と検出機構を一体に収容したB/F分離・検出機構200を図2及び図3に示す。
【0020】
B/F分離・検出機構200は、免疫複合体を保持する反応容器122をインキュベータ102上からB/F分離・検出機構200内へ搬入する反応容器搬送部201、温度維持部230、試料及び試薬を反応させた液体中から未反応成分と反応成分を分離するB/F分離工程を実行するB/F分離部240、B/F分離工程後の液体中の反応成分を検出する検出部209、検出部容器搬送部210、温度センサ220、制御部221、カバー225等を備える。
【0021】
カバー225は、外部から、B/F分離・検出機構200内の空間(以下、内部空間)を区切るため、B/F分離・検出機構200全体を覆っている。また、カバー225は、B/F分離・検出機構200と外部の空間をつなぐ切り欠き状の隙間218を備えており、反応容器搬送部201は、該隙間218を介して、インキュベータ102上の反応容器122にアクセスする。尚、隙間218は、反応容器122の搬送に必要な最小限の開口面積とすることで熱の流入出を最小化している。
【0022】
温度維持部230は、B/F分離部240、及び、検出部209を、略同一の温度環境に維持するものであり、内部空間内を一定温度に保持するためのペルチェ素子等の冷熱源を有する温調ユニット207、及び、内部空間内の空気を循環させる1つ以上のファン219を備える。ファン219は、内部空間内の雰囲気をより均一な温度に保つための効率的な空気対流を促す配置となっている。例えば、温調ユニット207の冷熱源近傍にファン219を設置し、冷熱源近傍の空気を、内部空間内の遠部、即ちインキュベータ102方向へと送風する配置である。
【0023】
制御部221は、温調ユニット207とファン219の出力を、1つ以上の温度センサ220の情報に基づいて該空間内の各機構及び雰囲気温度を所定温度に保持されるように制御する。
【0024】
プレヒータ208は、流路114、115、116を通る溶液がB/F分離・検出機構200に流入する前に、各溶液を標的温度近傍に維持するための補助機能である。プレヒータ208は、その内部に温度制御された金属製流路や雰囲気を備えており、プレヒータ208内部を通る流路114、115、116内部の溶液は、それらと熱交換されることで温度制御される。プレヒータ208は内部にペルチェ素子等の冷熱源と、流路近傍の温度を測定するためのセンサを備え、該センサにより測定される温度情報に基づいてペルチェ素子等の冷熱源を制御する。
【0025】
B/F分離・検出機構200に流入した流路114、115、116の一部又は全ては、温調ユニット207の内部を通り、プレヒータ208と同様に、流路内部の溶液を標的温度に制御する。温調ユニット207内部を通過した流路は、内部空間内で、更に標的温度に制御された雰囲気と熱交換されることによって、B/F分離・検出機構200内の各機構及び雰囲気と同一の温度に保持される。
【0026】
尚、温調ユニット207とプレヒータ208を組み合わせれば温度制御をより効率化できるが、何れか一方のみを備える構成であってもよい。また、流路115及び116が温調ユニット207の内部を経由する構成を図示しているが、流路114のように温調ユニット207を経由せず、B/F分離・検出機構200内で標的温度に制御された雰囲気との熱交換のみによって温度制御してもよい。但し、流路が温調ユニット207を経由しない場合は、プレヒータ208を経由することが望ましい。
【0027】
反応容器搬送部201は、インキュベータ102上からB/F分離・検出機構200へ反応容器122を搬入し、B/F分離部240へと搬送する。
【0028】
B/F分離部240は、永久磁石や電磁石を有し反応容器122内に含まれる磁性粒子を磁気的に容器内壁へ集磁する集磁部202、反応容器122内の溶液を吸引する反応液吸引部203、反応容器122内に第1液体を吐出する第1液体吐出部204、洗浄槽205、及び、反応容器122内の溶液を撹拌する撹拌部を備える。
【0029】
反応液吸引部203は、集磁部202に設置された反応容器122の上方に回転移動した後に下降して、反応液吸引部203に備えられる吸引プローブを反応容器122内の溶液に浸漬させる。吸引プローブは、流路を介してシリンジ等を用いた圧力制御機構を備えており、その圧力制御によって吸引プローブ先端から反応容器122内の溶液を吸引させ、反応容器122の内壁に集磁された免疫複合体や磁性粒子を吸引することなく、未反応物質や夾雑物等を含む試料の検出に不要な成分のみを吸引する。反応液吸引部203は、洗浄槽205の上方に回転移動した後に下降して、上述の圧力制御によって吸引プローブ先端から吸引した溶液を洗浄槽205内に吐出し、洗浄槽205内にて吸引プローブ先端を洗浄水によって流水洗浄する。
【0030】
次いで、第1液体吐出部204は、集磁部202に設置された反応容器122の上方に回転移動した後に下降する。第1液体吐出部204に備えられる吐出プローブは、流路114を介して第1液体を保持する第1液体容器111及びシリンジ等を用いた圧力制御機構と連絡しており、その圧力制御によって、第1液体容器111内の第1液体を流路内に吸引し、吐出プローブから所定量の第1液体を反応容器122内に吐出する。第1液体はプレヒータ208及びB/F分離・検出機構200内における熱交換によって、内部空間内の各機構及び雰囲気と同一の温度に保持される。尚、第1液体としては、一般的に低塩濃度の緩衝液が用いられる。
【0031】
第1液体が吐出された反応容器122は、反応容器搬送部201によって搬送され、攪拌部206に設置される。攪拌部206は回転運動、振動運動、あるいは反応容器内の溶液に対流運動を与えるような例えば超音発振機構等によって、反応容器122内の溶液を攪拌し、容器内壁に集磁した磁性粒子を第1液体中に分散させる。こうして、反応容器122内から試料由来の夾雑物等を含む未反応成分が除去され、免疫複合体を含む磁性粒子のみからなる反応液が反応容器122内に残存する。
【0032】
該反応液を保持する反応容器122は、反応容器搬送部201によって搬送され、検出部209の下部に位置する検出部容器搬送部210の反応容器保持部211に設置される。検出部容器搬送部210は、第2液体が貯留される第2液体容器212及び洗浄液が貯留される洗浄液容器213を備える。該検出は、フローセル方式の検出器216により行う。
【0033】
第2液体供給ノズル214は流路115を介して第2液体を保持する第2液体容器112及びシリンジ等を用いた圧力制御機構に接続されており、その圧力制御によって、第2液体容器112内の第2液体を流路内に吸引し、第2液体供給ノズル214から第2液体容器212内に所定量を吐出する。同様に、洗浄液供給ノズル215は流路116を介して洗浄液を保持する洗浄液容器113及びシリンジ等を用いた圧力制御機構に接続されており、その圧力制御によって、洗浄液容器113内の洗浄液を流路内に吸引し、洗浄液供給ノズル215から洗浄液容器213内に所定量を吐出する。第2液体の流路115及び洗浄液の流路116がプレヒータ208、温調ユニット207及びB/F分離・検出機構200内を経由する際の熱交換によって、内部空間内の各機構及び雰囲気と同一の温度に維持される。
【0034】
検出部容器搬送部210は、検出部209内の検出器216に接続される検出ノズル217を下降、回転、上昇させ、その先端を反応容器122内の反応液に浸漬させる。検出ノズル217は流路226を介してシリンジ等を用いた圧力制御機構と接続されており、その圧力制御によって検出ノズル217に反応容器122内の所定量の反応液を吸引させ、検出器216へと送液する。
【0035】
尚、検出器216は、温調ユニット207に一部接するよう備えられており、温調ユニット207及びB/F分離・検出機構200内の雰囲気との熱交換によって、B/F分離・検出機構200内の各機構及び雰囲気と同一の温度に保持される。或いは、検出器216の温度制御をより効率化する構造として、検出器216のみを温度制御するペルチェ素子等の冷熱源による検出器用温調ユニット、検出器内部或いは近傍の温度を測定するための検出器用温度センサ、及び該温度センサの情報をフィードバックして制御するための検出器温度制御部を追加して備えても良い。この場合、検出器216と温調ユニット207は、より効率的な熱交換を促進し得るよう配置される。検出器216と温調ユニット207の接触面の面積や熱伝導率を考慮した配置にすると、更に効率的である。
【0036】
検出器216へ送液された反応液は、反応液中の免疫複合体を含む磁性粒子のみ検出器216内部の検出領域222に磁気的に捕捉される。検出領域に磁性粒子を磁気的に捕捉するために、検出領域222下部に、上下駆動によって、着脱可能な磁性粒子補足用磁石223を備え、捕捉時には磁性粒子補足用磁石223を検出器216の検出領域下部に近接させる。
【0037】
次いで、検出部容器搬送部210は、検出器216に接続される検出ノズル217を下降、回転、上昇させ、その先端を第2液体容器212内の溶液に浸漬させ、上述の圧力制御によって検出ノズル217に所定量の第2液体を吸引させ、検出器216へと送液する。
【0038】
第2液体は、免疫複合体に含まれる標識物質を検出し測定対象物を定量するために用いられ、免疫複合体を含む磁性粒子が磁気的に捕捉された検出器216内部の検出領域を満たす。標識物質を検出する方式としては、例えば、電気化学発光や化学発光を原理とするものがあり、各々に適する第2液体や標識物質、検出領域の構造と物性が選択され、その標識物質の発光反応に由来する発光量を、光電子増倍管224を検出器として測定する。
【0039】
次いで、検出部容器搬送部210は、検出器216に接続される検出ノズル217を下降、回転、上昇させ、その先端を洗浄液容器213内の溶液に浸漬させ、上述の圧力制御によって検出ノズル217に洗浄液容器213内の所定量の洗浄液を吸引させ、検出器216へと送液する。この際、検出領域に磁性粒子を磁気的に捕捉するため近接させていた磁性粒子補足用磁石223は、検出器216の検出領域222下部から離される。洗浄液は検出領域の免疫複合体を含む磁性粒子と第2液体を除去して洗浄する。これにより検出器216は次の測定に備えられる。
【実施例2】
【0040】
B/F分離・検出機構の第二の実施形態を図4に示す。以下、実施例1との違いについて説明する。
【0041】
実施例2の検出部容器搬送部301は、その回転軌道上の下部にB/F分離部240を備える。反応容器122は、反応容器搬送部303の回転及び上下駆動によってインキュベータ102から検出部容器搬送部301の反応容器保持部304へと搬送され、検出部容器搬送部301の回転動作によって、反応容器122はB/F分離部240上部に搬送され、下降動作によって集磁部202内に設置される。その後の工程は実施例1と同様である。
【0042】
第2の実施例を第1の実施例と比較すると、B/F分離・検出機構及びそれら機構を含む区切られた空間の省スペース化が可能となり、これに伴う温度制御機構の簡素化や高精度化も図られる。但し、分析装置の処理能力に相関する動作サイクル時間が短い場合は、機構動作の時間的な制約が生じる。従って、第二の実施例は、例えば分析処理能力が低く、分析装置サイズの小さい装置に、より好適と言える。
【符号の説明】
【0043】
100:自動分析装置、101:マガジン、102:インキュベータ、103:試薬保持部、104:第1搬送部、105:試薬分注部、106:第2搬送部、107:試料分注部、108:試料ラック、111:第1液体容器、112:第2液体容器、113:洗浄液容器、114:第1液体の流路、115:第2液体の流路、116:洗浄液の流路、200:B/F分離・検出機構
図1
図2
図3
図4