特許第6987155号(P6987155)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6987155加飾成形用シート、プリフォーム成形体、及び加飾成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987155
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】加飾成形用シート、プリフォーム成形体、及び加飾成形体
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/02 20060101AFI20211213BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20211213BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20211213BHJP
   B32B 27/28 20060101ALI20211213BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20211213BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20211213BHJP
   D06N 7/06 20060101ALI20211213BHJP
   D06N 3/14 20060101ALI20211213BHJP
   D06N 7/04 20060101ALI20211213BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B32B5/02 D
   B32B27/00 E
   B32B27/12
   B32B27/28 101
   B32B27/34
   B32B27/40
   D06N7/06
   D06N3/14
   D06N7/04
   B29C45/14
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-564603(P2019-564603)
(86)(22)【出願日】2018年12月19日
(86)【国際出願番号】JP2018046734
(87)【国際公開番号】WO2019138816
(87)【国際公開日】20190718
【審査請求日】2020年6月29日
(31)【優先権主張番号】特願2018-1073(P2018-1073)
(32)【優先日】2018年1月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100133798
【弁理士】
【氏名又は名称】江川 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100189991
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 通子
(72)【発明者】
【氏名】松田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 道憲
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敏幸
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−132783(JP,A)
【文献】 特開2017−133000(JP,A)
【文献】 特開2014−181414(JP,A)
【文献】 特開2017−061051(JP,A)
【文献】 特開2017−007309(JP,A)
【文献】 特開2016−124156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06N 1/00− 7/06
B32B 1/00− 43/00
B29C 45/00− 45/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元形状にプリフォーム成形される加飾成形用シートであって、
均繊度0.001〜1dtexの極細繊維を含む不織布と前記不織布に付与された高分子弾性体とを含み、皮革様仕上面を有する人工皮革基体と、前記人工皮革基体の前記皮革様仕上面に対する裏面に形成された塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層と、を備える加飾成形用シート。
【請求項2】
前記塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有率が5〜25モル%である請求項1に記載の加飾成形用シート。
【請求項3】
前記塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体のガラス転移温度が65〜85℃である請求項1または2に記載の加飾成形用シート。
【請求項4】
前記樹脂層の目付が50〜100g/m2である請求項1〜3のいずれか1項に記載の加飾成形用シート。
【請求項5】
前記人工皮革基体は前記高分子弾性体を10〜40質量%含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の加飾成形用シート。
【請求項6】
前記高分子弾性体はポリウレタンである請求項1〜5のいずれか1項に記載の加飾成形用シート。
【請求項7】
前記皮革様仕上面は、前記極細繊維を起毛させた起毛面である請求項1〜6のいずれか1項に記載の加飾成形用シート。
【請求項8】
前記皮革様仕上面は、前記人工皮革基体の表面に積層された樹脂層である請求項1〜6のいずれか1項に記載の加飾成形用シート。
【請求項9】
前記極細繊維が、ナイロンの極細繊維を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の加飾成形用シート。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の加飾成形用シートを三次元形状に賦形したプリフォーム成形体。
【請求項11】
樹脂成形体と、前記樹脂成形体の表面に配された表皮層とを備え、
前記表皮層が請求項1〜9のいずれか1項に記載の加飾成形用シートである加飾成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形体の表面に皮革様の外観を付与するための加飾成形用シート、それを賦形したプリフォーム成形体、及び加飾成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話,モバイル機器,家電製品の筐体や、車両,航空機等の内装部品、建材、家具等の外装部材として、真空成形、圧空成形、熱プレス成形、インモールド成形(インサート成形とも称する)等により樹脂成形体の表面を加飾するために用いられる加飾成形用シートが知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1は、裏面に塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体を塗布した不織布をプリフォーム成形し、得られたプリフォーム成形体を用いてインモールド成形によりポリカーボネートを射出して加飾成形体を製造したことを開示する。また、下記特許文献2は、裏面に塩化ビニルを塗布した極細繊維の不織布をプリフォーム成形し、得られたプリフォーム成形体を用いてインモールド成形により加飾成形体を製造したことを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−276366号公報
【特許文献2】特開2013−132783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来、不織布を含むシートを予備成形したプリフォーム成形体を、インモールド成形に用いて樹脂成形体の表面に一体化させた加飾成形体が知られていた。しかし、従来の不織布を含むシートを予備成形したプリフォーム成形体は、プリフォーム成形体を製造する際の賦形性に乏しく、プリフォーム成形後に形状を正確に保形しにくく、形態安定性が低かった。そのために、プリフォーム成形体を、インモールド成形に用いられる金型に収容したときに、インモールド成形の金型のキャビティの形状に正確に沿わないことがあった。その場合には、インモールド成形により成形される樹脂成形体の目的とする領域からずれた位置でプリフォーム成形体が一体化されることがあり、位置精度が低いという問題があった。
【0006】
また、インモールド成形により樹脂成形体を成形する際の溶融樹脂がプリフォーム成形体と接触したときに、流動する溶融樹脂がプリフォーム成形体の表面にせん断力を与えることにより、例えば、樹脂成形体のウェルドラインが形成される部分等でプリフォーム成形体が縮む方向に力が付与されてシワを発生させることがあるという問題もあった。さらに、樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の接着性が不充分であるという問題もあった。
【0007】
本発明は、不織布を含むシートを予備成形したプリフォーム成形体を、インモールド成形に用いて樹脂成形体の表面に一体化させた加飾成形体を製造する場合において、上述した、プリフォーム成形後の形態安定性、樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の位置精度、及び樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の接着性の問題を解決できた、加飾成形用シート、それを賦形したプリフォーム成形体、及び加飾成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面は、平均繊度0.001〜1dtexの極細繊維を含む不織布と不織布に付与された高分子弾性体とを含み、皮革様仕上面を有する人工皮革基体と、人工皮革基体の皮革様仕上面に対する裏面に形成された塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層と、を備える加飾成形用シートである。このような加飾成形用シートは、プリフォーム成形性及びプリフォーム成形後の形態安定性に優れる。また、プリフォーム成形してインモールド成形に用いた場合に、樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の位置精度、及び樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の接着性に優れる。
【0009】
また、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有率は5〜25モル%であることが、プリフォーム成形した場合の形態安定性,加飾成形体を成形した場合のプリフォーム成形体の位置精度及び接着性のバランスに優れる点から好ましい。
【0010】
また、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体のガラス転移温度が65〜85℃であることが、プリフォーム成形した場合の形態安定性,加飾成形体を成形した場合のプリフォーム成形体の位置精度及び接着性のバランスに優れる点から好ましい。
【0011】
また、樹脂層の目付が50〜100g/m2であることが、形態安定性,プリフォーム成形体の位置精度及び接着性のバランスに優れる点から好ましい。
【0012】
また、人工皮革基体は高分子弾性体を10〜40質量%含むことが、プリフォーム成形体を製造した場合の形態安定性にとくに優れる点から好ましい。
【0013】
また、高分子弾性体はポリウレタンであることがプリフォーム成形体の賦形性や形態安定性に優れ、また、優れた皮革様の風合いを維持する点から好ましい。
【0014】
また、皮革様仕上面としては、極細繊維を起毛させた起毛面や、人工皮革基体の表面に積層された樹脂層であることが皮革調の外観が得られる点から好ましい。
【0015】
また、極細繊維が、ナイロンの極細繊維を含む場合であっても、プリフォーム成形体を製造した場合の形態安定性に優れる点から好ましい。ナイロンの極細繊維を含む不織布は、柔軟な風合いを有する点で好ましいがプリフォーム成形したときの形態安定性に乏しく、賦形が困難であった。本発明によれば、ナイロンの極細繊維を含む不織布を含む人工皮革基体を用いた場合であっても、形態安定性に優れたプリフォーム成形体が得られる。
【0016】
また、本発明の他の一局面は、上述した加飾成形用シートを三次元形状に賦形したプリフォーム成形体である。このようなプリフォーム成形体は、形態安定性に優れるために、インモールド成形したときに位置ずれを生じさせにくく、また、射出成形される樹脂成形体との接着性にも優れる点から好ましい。
【0017】
また、本発明の他の一局面は、樹脂成形体と、樹脂成形体の表面に配された表皮層とを備え、表皮層が上述した加飾成形用シートである加飾成形体である。
【発明の効果】
【0018】
人工皮革基体を含む加飾成形用シートをプリフォーム成形し、インモールド成形する場合に、プリフォーム成形体の形態安定性、樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の位置精度、及び樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の接着性に優れる、加飾成形用シート、それを賦形したプリフォーム成形体、及び加飾成形体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態の加飾成形用シートの模式断面図である。
図2図2は、加飾成形用シートをプリフォーム成形する工程を説明する説明図である。
図3図3は、プリフォーム成形を用いてインモールド成形する工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る加飾成形用シート、それに賦形したプリフォーム成形体、及び加飾成形体の好ましい実施形態を説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の加飾成形用シート10の模式断面図である。図1中、1は極細繊維を含む不織布、2は不織布に付与された高分子弾性体、3は皮革様仕上面Mを有する人工皮革基体、4は、人工皮革基体3の皮革様仕上面Mに対する裏面に形成された塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層である。皮革様仕上面Mは、例えば、不織布1の繊維を起毛させたスエード調やヌバック調の起毛面が形成されていたり、皮革の銀面調の樹脂層が積層された仕上げが施されている。
【0022】
人工皮革基体の不織布を形成する極細繊維の繊度は平均繊度0.001〜1dtexであり、0.002〜0.8dtex、とくには0.003〜0.5dtexであることが、成形時の延伸性に優れる点から好ましい。
【0023】
極細繊維を形成する樹脂は、成形時に熱軟化性を有する樹脂であれば特に限定されない。このような樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),変性ポリエチレンテレフタレート(変性PET),ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ナイロン6,ナイロン6・6,ナイロン6・10,ナイロン6・12等のナイロン;ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン等が挙げられる。
これらの中では、ナイロンがしなやかな風合いになる点から特に好ましい。
【0024】
不織布に付与される高分子弾性体は、従来から人工皮革基体に含浸付与されている高分子弾性体であれば特に限定なく用いられる。このような高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリウレタンやアクリル系弾性体が、プリフォーム成形体の賦形性や形態安定性に優れ、また、優れた皮革様の風合いを維持する点から好ましく用いられる。
【0025】
不織布に付与される高分子弾性体の含有率としては、1〜50質量%、さらには、5〜45質量%、とくには、10〜40質量%であることが、プリフォーム成形体の形態安定性にとくに優れる点から好ましい。高分子弾性体の含有率が低すぎる場合には、プリフォーム成形体を製造する場合に形態を維持しにくくなり、とくに、ナイロン繊維の不織布を用いた場合には、プリフォーム成形後の形態を保持しにくくなる傾向がある。また、高分子弾性体の含有率が高すぎる場合には、プリフォーム成形における賦形性及びインモールド成形における成形性が低下する傾向がある。
【0026】
人工皮革基体の加飾成形体の表面になる側になる皮革様仕上面Mには、不織布の繊維を起毛させたスエード調やヌバック調の起毛面が形成されていたり、皮革の銀面調の樹脂層が積層された皮革の表面に似せた仕上げが施されていたりする。人工皮革基体の皮革様仕上面Mに起毛面を形成した場合には立毛人工皮革になり、銀面調の樹脂層を積層した場合には銀付調人工皮革になる。立毛人工皮革を形成する方法としては、人工皮革基体の表面をバフィングすることによりスエード調やヌバック調に仕上げる方法が挙げられる。バフィングは、人工皮革基体の表面をサンドペーパーやブラシ等で擦り、繊維を起毛させる処理である。また、銀付調人工皮革を形成する方法としては、人工皮革基体の表面に乾式造面法やダイレクトコート法などの方法によりポリウレタン等の高分子弾性体を含む銀面調の樹脂層を積層する方法が挙げられる。銀面調の樹脂層を形成する高分子弾性体としては、従来から銀面調の樹脂層の形成に用いられているポリウレタンやアクリル系弾性体等を用いることができる。
【0027】
そして、加飾成形用シートの皮革様仕上面に対する裏面には、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層が形成されている。
【0028】
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有率は、5〜25モル%、さらには、8〜20モル%であることがプリフォーム成形した場合の形態安定性,加飾成形体を成形した場合のプリフォーム成形体の位置精度及び接着性のバランスに優れる点から好ましい。酢酸ビニル単位の含有率が高すぎる場合には、プリフォーム成形体の形態安定性及びプリフォーム成形体の位置精度、ウェルドライン付近の平滑性が向上しにくい傾向がある。また、酢酸ビニル単体の含有率が低すぎる場合には、樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の接着性が向上しにくい傾向がある。なお、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有率は、例えば、FT-IRを用いて測定することができる。
【0029】
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体のガラス転移温度(℃)としては、50〜95℃、さらには65〜85℃、とくには68〜76℃であることが好ましい。ガラス転移温度が低すぎる場合にはプリフォーム成形体の形態安定性,プリフォーム成形体の位置精度,接着性及びウェルドライン付近の平滑性が向上しにくい傾向がある。また、ガラス転移温度が高すぎる場合にはプリフォーム成形体と樹脂成形体との接着性が向上しにくい傾向がある。
【0030】
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層の、その形成面の単位面積当たりに対する量(樹脂目付)としては、25〜200g/m2、とくには、50〜100g/m2、であることが好ましい。樹脂目付が少なすぎる場合には、プリフォーム成形体の形態安定性や加飾成形体を成形した場合のウェルドライン付近の平滑性が向上しにくい傾向があり、とくに、柔軟な風合いのナイロン繊維の不織布を用いた場合には、形態安定性が向上しにくい傾向がある。
【0031】
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層は、加飾成形用シートの皮革様仕上面に対する裏面に塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体のエマルジョンや溶液を塗布した後、乾燥することにより形成される。
【0032】
次に、本実施形態の加飾成形体の製造方法として、加飾成形用シートを射出成形に用いる金型のキャビティに合わせた形状に予備成形したプリフォーム成形体を製造した後、金型のキャビティにプリフォーム成形体を収容し、射出成形するインモールド成形による製造方法を図面を参照して説明する。
【0033】
図2は、加飾成形用シートのプリフォーム成形体を成形するための熱プレス成形の各工程を説明するための説明図である。図2中、10は加飾成形用シート,21は熱プレスのための雄型,22は熱プレスのための雌型であり、21aは雄型21のコア、22aは雌型22のキャビティである。また、5は、トリミング処理前のプリフォーム成形体、6はプリフォーム成形体、7はトリミング処理された加飾成形用シート10の不要部である。
【0034】
はじめに、図2(a)に示すように、加飾成形用シート10を雌型22と雄型21との間に配する。このとき、雌型22と雄型21とは加飾成形用シート10を軟化させる所定の温度に加熱されている。そして、図2(b)に示すように、雌型22と雄型21とを所定の圧力で型締めする。このとき、加飾成形用シート10は雄型21のコア21aと雌型22のキャビティ22aとの間に挟まれて賦形される。
【0035】
そして、図2(c)に示すように、雌型22と雄型21とを型開きし、冷却することにより、トリミング処理前のプリフォーム成形体5が得られる。そして、雌型22及び雄型21からトリミング処理前のプリフォーム成形体5を取り出し、加飾成形用シート10の不要部7をトリミングすることにより、プリフォーム成形体6が得られる。
【0036】
なお、本実施形態においては、プリフォーム成形体を熱プレス成形により成形する例を代表的に説明したが、プリフォーム成形体を成形する方法は熱プレス成形に限られず、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等のシートを立体形状に賦形できる成形方法であれば、特に限定なく用いられる。
【0037】
このようにして得られたプリフォーム成形体は、インモールド成形に用いられて、樹脂成形体の表面に一体化されて加飾成形体とされる。図3を参照して、インモールド成形により、プリフォーム成形体6を、射出成形される樹脂成形体8に一体化して得られる加飾成形体20を製造する方法について説明する。
【0038】
図3中、6はプリフォーム成形体,12aは可動側型,12bは固定側型,13は射出成形機の射出部本体,13aはノズル,13bはシリンダ,13cはインラインスクリュ,14は樹脂流入口,8は樹脂成形体,8aは溶融樹脂,20は加飾成形体である。可動側型12aと固定側型12bとは一対になってキャビティcを形成する射出成形金型12を構成する。なお、本実施形態においては、可動側型12aは射出成形金型の雌型、固定側型12bは射出成形金型の雄型である。
【0039】
はじめに、図3(a)に示すように、可動側型12aのキャビティを形成するための凹部にプリフォーム成形体6を収容する。
【0040】
次に、図3(b)に示すように、可動側型12aと固定側型12bとを型締めする。そして、図3(c)に示すように、可動側型12aと固定側型12bとを型締めした状態で形成されるキャビティcに溶融樹脂8aを充填する。詳しくは、射出成形機の射出部13を前進させ、ノズル13aを固定側型12bに形成された樹脂流入口14に当接させ、シリンダ13b内で溶融樹脂8aをインラインスクリュ13cで射出することにより、溶融樹脂8aが所定の充填圧でキャビティcに充填される。
【0041】
射出成形条件は、射出される樹脂の熱特性や溶融粘度、樹脂成形体の形状、および樹脂厚みに応じて条件(樹脂温度、金型温度、射出圧力、射出速度、射出後の保持圧力、冷却時間)が適宜設定される。
【0042】
成形される射出成形体の樹脂の種類はとくに限定されない。その具体例としては、例えば、ABS樹脂、PMMA樹脂のようなアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、各種ナイロン、COP樹脂等が挙げられる。
【0043】
また、成形される射出成形体の厚さも特に限定されず、用途や成形性に応じて適宜選択される。例えば、家電製品の筐体に用いる場合には、0.3〜2mm、さらには0.5〜1.5mmが好ましい範囲として選ばれる。
【0044】
そして、冷却工程において、可動側型12aと固定側型12bとが型締めした状態で形成されるキャビティc内で成形された樹脂成形体8と樹脂成形体8に積層されたプリフォーム成形体6とが一体化された積層体を所定の時間冷却した後、図3(d)に示すように、可動側型12aと固定側型12bとを型開きして、成形された樹脂成形体8と樹脂成形体8に積層された加飾成形用シートのプリフォーム成形体6とが一体化された加飾成形体20が取り出される。
【実施例】
【0045】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例により何ら限定されるものではない。
【0046】
[実施例1]
6ナイロン(Ny)50質量部(島成分)と高流動性低密度ポリエチレン(海成分)50質量部をチップブレンドし、混合溶融紡糸することにより海島型複合繊維を製造した。そして、海島型複合繊維を70℃の熱水中で2.5倍に延伸し、延伸された海島型複合繊維に繊維油剤を付与し、機械捲縮をかけ、さらに乾燥した後、51mmにカットして4dtexのステープル繊維を得た。このステープル繊維を用いて目付600g/m2のウェッブを形成し、ついで両面から交互に合わせて約500パンチ/cm2のニードルパンチングを行い、さらに120℃に加熱し、カレンダーロールでプレスすることで表面の平滑な絡合不織布を作成した。この絡合不織布に、ポリテトラメチレンエーテル系ポリウレタンジメチルホルムアミド溶液(濃度13%)を含浸し、DMF/水=15/85の混合液の中に浸してポリウレタンを多孔質状に湿式凝固した後、熱トルエン中で海島型複合繊維中の海成分を溶出除去することにより、繊度0.004dtexの極細繊維を発生させた。このようにして、厚さ1.4mmの人工皮革基体を得た。
【0047】
厚さ1.4mmの人工皮革基体を半裁し、スライス面をバフィングすることにより厚み調整し、さらに反スライス面をバフィングしてスエード調の起毛面を形成することにより、ポリウレタン含有率40質量%、目付221g/m2、見掛け密度0.368g/cm3、厚さ0.60mmのスエード調人工皮革を得た。
【0048】
そして、スエード調人工皮革のスエード調の起毛面に対する裏面に、表1に示すような共重合比及び特性の塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体のエマルジョンをグラビアコーティングし、乾燥することにより、樹脂目付99g/m2の塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層を形成した。このようにして平均繊度0.004dtexの極細繊維を含む不織布と、40質量%のポリウレタンとを含むスエード調人工皮革と、起毛面に対する裏面に形成された塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層と、を備える加飾成形用シートが得られた。得られた加飾成形用シートは、目付320g/m2、見掛け密度0.516g/cm3、厚さ0.62mmであった。
【0049】
そして、加飾成形用シートを型温100℃、プレス圧力100kg/cm2で、後述する射出成形金型に対応する形状に賦形するためのプレス金型を用いて熱プレス成形を行うことにより、プリフォーム成形体を成形した。そして、プリフォーム成形体の形態安定性を以下の基準に沿って判定した。
【0050】
(形態安定性)
得られたプリフォーム成形体の高さ保持率を算出し、また、外観を目視し、以下の基準で判定した。
A:高さ保持率が95%以上であり、角の賦形も良好であった。
B:高さ保持率が90〜95%であり、角の賦形も良好であった。
C:高さ保持率が80〜90%であり、角の賦形がやや不明確であった。
D:高さ保持率が50〜80%であり、角の賦形が不明確であった。
E:高さ保持率が0〜50%であり、角の賦形の痕が残っただけであった。
【0051】
次に、得られたプリフォーム成形体を用いてインモールド成形を行った。具体的には、電動式射出成形機(住友重機械工業(株)製のSE−100)に搭載された、射出成形金型の可動側型と固定側型とを型開きした状態で、可動側型のキャビティを形成する凹部にプリフォーム成形体を配置した。そして、可動側型と固定側型とを型締めした。なお、射出成形金型は、キャビティ形状が、厚さ1.6mm、縦100mm、横150mm、高さ5.0mmの一面が開放された箱状であり、2点ゲートで中央部にウェルドラインが形成される金型であった。
【0052】
そして、樹脂温度230℃、金型温度40℃の条件で、ABS樹脂を射出してキャビティ内に充填した。そして、充填後、冷却した後、型開きした。このようにして、ABS樹脂の樹脂成形体の表面にプリフォーム成形体が一体化された加飾成形体を得た。
【0053】
そして、得られた加飾成形体について、樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の位置精度、プリフォーム成形体表面のウェルドライン付近の平滑性、及び樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の接着性を以下の基準に沿って評価した。
【0054】
(樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の位置精度)
加飾成形体のプリフォーム成形体と樹脂成形体との位置ずれを目視により観察し、以下の基準で判定した。
A:樹脂成形体の目的とする領域に対してプリフォーム成形体が0.2mm以内のずれで正確に配されていた。
B:樹脂成形体の目的とする領域に対してプリフォーム成形体が0.2〜0.5mmで位置ずれして配されていた。
C:樹脂成形体の目的とする領域に対してプリフォーム成形体が0.5mm超の位置ずれして配されていた。
【0055】
(ウェルドライン付近の平滑性)
加飾成形体のプリフォーム成形体表面の樹脂成形体のウェルドラインが形成される付近を目視し、以下の基準で判定した。
A:プリフォーム成形体の表面が平滑であり、ウェルドライン痕は全くなかった。
B:プリフォーム成形体の表面が平滑であったが、ウェルドライン痕が1cm以下であることが確認された。
C:プリフォーム成形体の表面が平滑でなく、ウェルドライン痕が1cm以上であることが確認された。
【0056】
(樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の接着性)
加飾成形体における樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の接着強力を引張試験機(テンシロン オリエンテック(株))を用いて次のように評価した。具体的には、幅25mm×長さ100mmに加飾成形体を切り出した試験片を作成した。そして、試験片の加飾成形体の樹脂成形体とプリフォーム成形体とを端部から長さ40mm程度を層間剥離のようにして剥離した。そして、それぞれの端部を、初期間隔50mmに設定した引張試験機の上下それぞれのチャックに挟んで、引張速度100mm/分で引張試験を行って引張時間−剥離強力の曲線を得た。そして、得られた曲線から最大値と最小値の各5点を抽出して平均値を接着強力とした。3本のサンプルの平均値を求め、次のようにしてクラス分けした。
【0057】
A:4Kg/cm以上
B:3〜4Kg/cm
C:2〜3Kg/cm
D:1〜2Kg/cm
E:0〜1Kg/cm
【0058】
結果を下記表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
[実施例2〜4]
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層における、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の共重合比、または樹脂目付を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0061】
[実施例5]
実施例1で得られた人工皮革基体を半裁し、スライス面をバフィングし厚み調整したのち、反スライス面をバフィングして起毛した面に乾式造面法によりポリウレタンの銀面調の樹脂層を接着することにより積層して銀付調人工皮革を得た。実施例1において、スエード調人工皮革の代わりに銀付調人工皮革を用いた以外は実施例1と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0062】
[実施例6]
ナイロン6・12(Ny6・12)60質量部(島成分)と高流動性低密度ポリエチレン(海成分)40質量部からなる海島型複合繊維を溶融紡糸法により調製した。そして、海島型複合繊維を70℃の熱水中で2.5倍に延伸し、延伸された海島型複合繊維に繊維油剤を付与し、機械捲縮をかけ、さらに乾燥した後、51mmにカットすることにより4dtexのステープル繊維を得た。このステープル繊維を用いて目付600g/m2のウェッブを形成し、ついで両面から交互に合わせて約1500パンチ/cm2のニードルパンチングを行い、面積収縮率を20%にし、さらに120℃に加熱し、カレンダーロールでプレスすることにより表面の平滑な絡合不織布を作成した。この絡合不織布に、ポリテトラメチレンエーテル系ポリウレタンジメチルホルムアミド溶液(濃度13%)を含浸し、熱トルエン中で海島型複合複合繊維中の海成分を溶出除去して繊度0.004dtexの極細繊維を発生させた。このようにして、厚さ1.4mmの人工皮革基体を得た。実施例1において、上記人工皮革基体を用いた以外は実施例1と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0063】
[実施例7〜10]
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層における、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の共重合比、または樹脂目付を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0064】
[比較例1]
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0065】
[比較例2]
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層の代わりに、酢酸ビニル単独重合体の樹脂層を形成した以外は実施例1と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0066】
[比較例3]
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層を形成しなかった以外は実施例5と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0067】
[比較例4]
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層の代わりに、塩化ビニル単独重合体の樹脂層を形成した以外は実施例5と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0068】
[比較例5]
実施例6の人工皮革基体の製造において、ポリウレタンを含浸付与する工程を省略した以外は実施例1と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0069】
表1に示すように、実施例1〜10のナイロンの極細繊維の不織布を含む人工皮革基体を加飾成形用シートとして用いた場合、プリフォーム成形体の形態安定性が何れもC以上であった。一方、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層を形成しなかった比較例1及び比較例3の場合、プリフォーム成形体の形態安定性がEであった。また、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層の代わりに酢酸ビニル単独重合体の樹脂層を形成した比較例2の場合は、形態安定性がDであった。また、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層の代わりに塩化ビニル単独重合体の樹脂層を形成した比較例4の場合は、形態安定性はCであったが、接着性がDであった。また、不織布にポリウレタンを含浸しなかった加飾成形用シートを用いた比較例5の場合も、形態安定性はCであったが、ウェルドライン付近の平滑性及び接着性がCであった。
【0070】
[実施例11]
海成分の熱可塑性樹脂としてエチレン変性ポリビニルアルコール、島成分の熱可塑性樹脂として変性PET(イソフタル酸単位の含有割合6.0モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート)を含む、海島型複合繊維の絡合不織布を製造した。そして、海島型複合繊維の絡合不織布にポリカーボネート/エーテル系ポリウレタンのエマルジョンを含浸させた後、加熱乾燥することによりポリウレタンが含浸付与された海島型複合繊維の絡合不織布を得た。
【0071】
そして、ポリウレタンが含浸付与された海島型複合繊維の絡合不織布を90℃の熱水中に20分間浸漬して海成分を抽出除去し、乾燥することにより12質量%のポリウレタンと平均繊度0.08dtexの極細繊維の不織布とを含む、1.4mmの人工皮革基体が得られた。厚さ1.4mmの人工皮革基体を半裁し、スライス面をバフィングすることにより厚み調整し、さらに反スライス面をバフィングすることによりスエード調の起毛面を有する、ポリウレタン含有率12質量%、目付253g/m2、見掛け密度0.496g/cm3、厚さ0.51mmのスエード調人工皮革を得た。
【0072】
そして、スエード調人工皮革のスエード調の起毛面に対する裏面に、表2に示すような共重合比及び特性の塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体のエマルジョンをグラビアコーティングし、乾燥することにより、樹脂目付50g/m2の塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層を形成した。このようにして平均繊度0.08dtexの変性PETの極細繊維を含む不織布と、12質量%のポリウレタンとを含むスエード調人工皮革と、起毛面に対する裏面に形成された塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層と、を備える加飾成形用シートが得られた。得られた加飾成形用シートは、目付303g/m2、見掛け密度0.541g/cm3、厚さ0.56mmであった。
【0073】
そして、加飾成形用シートを型温100℃、プレス圧力100kg/cm2で、実施例1と同様の射出成形金型に対応する形状に賦形するためのプレス金型を用いて熱プレス成形を行うことにより、プリフォーム成形体を成形し、実施例1と同様に形態安定性を評価した。
【0074】
そして、得られたプリフォーム成形体を用いて実施例1と同様にインモールド成形を行ってABS樹脂の樹脂成形体の表面にプリフォーム成形体が一体化された加飾成形体を得た。
【0075】
そして、得られた加飾成形体について、実施例1と同様にして評価した。結果を下記表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
[実施例12]
実施例11で得られた人工皮革基体を半裁し、スライス面をバフィングして厚み調整したのち、反スライス面をバフィングしてスエード調に起毛した面に乾式造面法によりポリウレタンの銀面調の樹脂層を接着して積層することにより銀付調人工皮革を得た。実施例11において、スエード調人工皮革の代わりに銀付調人工皮革を用いた以外は実施例11と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0078】
[実施例13〜16]
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層における、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の共重合比、または樹脂目付を表2に示したように変更した以外は実施例11と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0079】
[比較例6]
実施例11の人工皮革基体の製造において、ポリウレタンを含浸付与する工程を省略し、また、厚さを変更した以外は実施例11と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0080】
[比較例7]
実施例11の人工皮革基体の製造において、ポリウレタンを含浸付与する工程を省略し、また、厚さを変更し、さらに、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層を形成しなかった以外は実施例11と同様にして加飾成形用シート及び加飾成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0081】
表2に示すように、実施例11〜16の変性PETの極細繊維の不織布を含む人工皮革基体を加飾成形用シートとして用いた場合、プリフォーム成形体の形態安定性がC以上であり樹脂成形体に対するプリフォーム成形体の接着性もC以上であった。一方、不織布にポリウレタンを含浸しなかった加飾成形用シートを用いた比較例6の場合、形態安定性、位置精度、平滑性の何れも実施例11よりも劣っていた。また、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の樹脂層を形成しなかった比較例7の場合、とくに接着性評価項目がEであり、実施例11に比べて著しく劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の加飾成形用シート及び加飾成形体は、携帯電話,モバイル機器,家電製品の筐体や、車両,航空機等の内装部品、建材、家具等の外装部材である成形品の表面を皮革様に加飾する用途に好ましく用いられうる。
【符号の説明】
【0083】
1 不織布
2 高分子弾性体
3 人工皮革基体
6 プリフォーム成形体
7 不要部
8 樹脂成形体
10 加飾成形用シート
20 加飾成形体
図1
図2
図3