特許第6987215号(P6987215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6987215エピタキシャル堆積プロセスのための注入アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987215
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】エピタキシャル堆積プロセスのための注入アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20211213BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/455
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-511426(P2020-511426)
(86)(22)【出願日】2018年7月10日
(65)【公表番号】特表2020-532130(P2020-532130A)
(43)【公表日】2020年11月5日
(86)【国際出願番号】US2018041529
(87)【国際公開番号】WO2019040195
(87)【国際公開日】20190228
【審査請求日】2020年4月24日
(31)【優先権主張番号】62/550,048
(32)【優先日】2017年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】大木 慎一
(72)【発明者】
【氏名】青木 裕司
(72)【発明者】
【氏名】森 義信
【審査官】 田中 崇大
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0273503(US,A1)
【文献】 特表2015−531171(JP,A)
【文献】 特開2010−258169(JP,A)
【文献】 特開2007−324286(JP,A)
【文献】 特開2003−115459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体を有するガス分配アセンブリと、
前記ガス分配アセンブリ内に形成された複数のガス注入チャネルであって、前記複数のガス注入チャネルの少なくとも一部が前記ガス分配アセンブリに形成されたブラインドチャネルに隣接する、複数のガス注入チャネルと、
前記複数のガス注入チャネルおよび前記ブラインドチャネルの一方の側を境界付ける整流板であって、前記ガス分配アセンブリの前記ブラインドチャネルの位置に対応する位置に非穿孔部分を含む、整流板と
を含み、
前記複数のガス注入チャネルのそれぞれが、前記整流板、外壁、および中央隔壁によって境界付けられている、ガス導入インサート。
【請求項2】
前記ブラインドチャネルが、前記ガス分配アセンブリの端部に配置されている、請求項1に記載のガス導入インサート。
【請求項3】
前記ブラインドチャネルが2つのブラインドチャネルを含み、前記整流板が各対向端部に前記非穿孔部分を含む、請求項1に記載のガス導入インサート。
【請求項4】
前記整流板の長さが、前記ガス分配アセンブリのガス注入部分の長さよりも大きい、請求項1に記載のガス導入インサート。
【請求項5】
前記ガス分配アセンブリの前記ガス注入部分の前記長さが、基板の直径に実質的に等しい、請求項4に記載のガス導入インサート。
【請求項6】
前記ブラインドチャネルが、前記整流板、前記外壁、および前記ガス分配アセンブリの端部壁によって境界付けられている、請求項に記載のガス導入インサート。
【請求項7】
少なくとも2つのガス源からの前駆体ガスを複数のプレナムに供給するための少なくとも1つの入り口を有する注入ブロックと、
前記注入ブロックに結合されたガス分配アセンブリと、
前記複数のプレナムの一方の側を境界付ける整流板であって、各対向端部に非穿孔部分を含む、整流板と、
前記ガス分配アセンブリの本体内に形成された複数のガス注入チャネルであって、前記複数のガス注入チャネルの少なくとも一部が前記整流板の前記非穿孔部分の位置に対応する前記本体に形成されたブラインドチャネルに隣接する、複数のガス注入チャネルと
を含
前記複数のガス注入チャネルのそれぞれが、前記整流板、外壁、および中央隔壁によって境界付けられている、反応チャンバのためのガス導入インサート。
【請求項8】
前記ブラインドチャネルが、前記整流板、前記外壁、および前記ガス分配アセンブリの端部壁によって境界付けられている、請求項に記載のガス導入インサート。
【請求項9】
前記整流板の長さが、前記ガス分配アセンブリのガス注入部分の長さよりも大きい、請求項に記載のガス導入インサート。
【請求項10】
前記ガス分配アセンブリの前記ガス注入部分の前記長さが、基板の直径に実質的に等しい、請求項に記載のガス導入インサート。
【請求項11】
前記ブラインドチャネルが、前記ガス分配アセンブリの端部に配置されている、請求項に記載のガス導入インサート。
【請求項12】
前記ブラインドチャネルが2つのブラインドチャネルを含み、前記整流板が各対向端部に前記非穿孔部分を含む、請求項に記載のガス導入インサート。
【請求項13】
前記ガス分配アセンブリを横切る速度が±0.5メートル/秒変動する、請求項に記載のガス導入インサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、半導体デバイス製造プロセスを実行するために前駆体ガスを提供することに関する。より詳細には、本開示の実施形態は、一般に、エピタキシャル堆積プロセスまたは他の化学気相堆積プロセスなどの、半導体基板上で実行される堆積およびエッチング反応で使用される前駆体ガスを提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
基板上のシリコンおよび/またはゲルマニウム含有膜のエピタキシャル成長は、他の半導体デバイスの中でもとりわけ、高度なロジックおよびDRAMデバイスならびに半導体電力デバイス向けの新規の用途のためにますます重要になっている。これらの用途のうちの一部の重要な要件は、基板表面全体にわたる成長層または堆積層の膜厚の均一性である。典型的には、膜厚の均一性は、基板全体にわたるガス流量の均一性に関連する。
【0003】
しかしながら、一部の従来のチャンバでの堆積またはキャリアガス流(すなわち速度)は、均一ではなく、その結果、基板表面全体にわたる成長層または堆積層の厚さの不均一が生じることがある。場合によっては、不均一性がある特定の限界を超えると、基板が使用できなくなることがある。
【0004】
したがって、当技術分野において、エピタキシャル成長または堆積プロセス中に流れる前駆体ガス流または速度の差を最小化する装置および方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載される実施形態は、チャンバ内の処理領域にプロセスガスを供給して、基板の露出表面全体にわたって実質的に等しい厚さを有する膜層を形成するための装置および方法に関する。
【0006】
一実施形態では、ガス導入インサートは、本体を有するガス分配アセンブリと、ガス分配アセンブリ内に形成された複数のガス注入チャネルであって、複数のガス注入チャネルの少なくとも一部がガス分配アセンブリに形成されたブラインドチャネルに隣接する、複数のガス注入チャネルと、複数のガス注入チャネルおよびブラインドチャネルの一方の側を境界付ける整流板であって、ガス分配アセンブリのブラインドチャネルの位置に対応する位置に非穿孔部分を含む整流板とを含む。
【0007】
別の実施形態では、少なくとも2つのガス源からの前駆体ガスを複数のプレナムに供給するための少なくとも1つの入り口を有する注入ブロックと、注入ブロックに結合されたガス分配アセンブリと、複数のプレナムの一方の側を境界付ける整流板であって、各対向端部に非穿孔部分を含む、整流板と、ガス分配アセンブリの本体内に形成された複数のガス注入チャネルであって、複数のガス注入チャネルの少なくとも一部が整流板の非穿孔部分の位置に対応する本体に形成されたブラインドチャネルに隣接する、複数のガス注入チャネルとを含む、反応チャンバのためのガス導入インサートが提供される。
【0008】
別の実施形態では、前駆体ガスをチャンバ内の処理領域に供給する方法が提供される。本方法は、ガス注入部分を画定する複数のガス注入チャネルと流体連結する非穿孔領域および穿孔領域であって、複数のガス注入チャネルの少なくとも一部がブラインドチャンネルに隣接して配置されている、非穿孔領域および穿孔領域を有する整流板に前駆体ガスを提供するステップと、前駆体ガスを非穿孔領域に向けて、および整流板の穿孔領域の開口部を通して複数のガス注入チャネルに流すステップとを含み、整流板の長さがガス注入部分の長さよりも大きく、ガス注入部分の長さが基板の直径に実質的に等しい。
【0009】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、一部が添付図面に示される実施形態を参照することによって上で要約された本開示のより具体的な説明を得ることができる。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定していると考えられるべきではなく、その理由は本開示が他の等しく効果的な実施形態を受け入れることができるためであることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】エピタキシャル成長装置の一実施形態を示す断面図である。
図2図1のエピタキシャル成長装置の反応チャンバを示す分解斜視図である。
図3図1のエピタキシャル成長装置の反応チャンバを示す分解斜視図である。
図4】断面でのエピタキシャル成長装置の一部の概略上面図を示す図である。
図5】反応チャンバの処理容積に結合されたガス分配アセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするために、可能な限り同一の参照番号を使用して、各図に共通の同一の要素を指定した。一実施形態において開示される要素は、異なる実施形態における具体的な記載なしに、他の実施形態で有益に利用され得ることも企図されている。
【0012】
本開示は、基板の成長面全体にわたって高い膜厚の均一性を有するエピタキシャル膜層の安定かつ高い成長速度を達成することができる、エピタキシャル成長を使用する膜層形成方法およびエピタキシャル成長装置を提供する。より具体的には、本開示は、この成膜方法を可能にするエピタキシャル成長装置用のチャンバ部品について説明する。例示的なチャンバ部品およびその改善により、基板の成長面上に形成されるエピタキシャル層の膜厚の均一性および成長速度が向上し、結果として、より均一な膜層をエピタキシャル成長させた基板のスループットが向上し、エピタキシャル成長膜の欠陥が減少する。
【0013】
最初に、本明細書では、本開示の一実施形態によるエピタキシャル成長装置100の構成について説明する。図1は、エピタキシャル成長装置100の構成を示す断面図である。図2は、エピタキシャル成長装置100の反応チャンバ101の部分の構成を示す分解斜視図である。図3は、エピタキシャル成長装置100の反応チャンバ101の外部構成を示す分解斜視図である。
【0014】
エピタキシャル成長装置100は、例えば、シリコンの膜層を基板102上にエピタキシャル成長させることができる成膜装置である。
【0015】
エピタキシャル成長装置100は、反応チャンバ101を含む。反応チャンバ101は、エピタキシャル膜層を成長させるための基板102が取り付けられたサセプタ103、取り囲む本体104、および天井105を含む。
【0016】
サセプタ103は、上方から見ると円環状の形状を有する板状部材であり、基板102の外周よりもわずかに大きい外周を有する。サセプタ103には凹部103aが設けられており、この凹部103aに膜層をエピタキシャル成長させるための基板102が取り付けられる。サセプタ103は、サセプタ103の下側まで上方向かつ半径方向に延在する複数のアーム108を有するサセプタ支持体106によって支持されている。
【0017】
サセプタ支持体106の複数のアーム108は、サセプタ支持体106と共に、サセプタ103を支持しながらサセプタ103を上下に移動させるように構成されている。サセプタ支持体106およびアーム108は、サセプタ103をその長手方向軸110の周りに回転させるように構成されている。基板102が取り付けられるサセプタ103の表面のチャンバ内の位置は、サセプタ103上に位置する基板102上に膜が成長する成膜面P1から、基板102がエピタキシャル成長装置100の壁のバルブ付き開口部109を通してエピタキシャル成長装置100に装填され、そこから引き出される基板搬送面P2までの範囲である。サセプタ支持体106は、サセプタ支持体106の長手方向軸110を中心に回転することによって、サセプタ103、したがって基板102が、成膜面P1に位置している間、回転することができるように構成されている。
【0018】
サセプタ103が成膜面P1に位置するとき、環状サセプタリングアセンブリ107がサセプタ103の周りに配置される。その詳細は本明細書で後述するが、サセプタリング107アセンブリは、第1のリング111と、第1のリング111上に配置された第2のリング112とを含む。サセプタリングアセンブリ107は、反応チャンバ101の支持体104の内側壁から内側に延在するフランジ部113によって反応チャンバ101内で支持されている。
【0019】
天井部105は、天井板121と、天井板121の周りに延在して、天井板121を支持する支持体122とを含む。天井板121は、可視スペクトルおよび可視スペクトルに近い波長の放射エネルギーに対して透明である。天井板121は、天井板121の上方、および上部反射器126の下方に配置された加熱デバイス123(例えばハロゲンランプ)からのエネルギーを伝搬させることによって、放射エネルギーを通過させ、反応チャンバ101内の基板102を加熱するように構成されている。すなわち、本実施形態によるエピタキシャル成長装置100は、コールドウォール型のエピタキシャル成長装置である。本実施形態では、天井板121は、透明な石英で形成されている。
【0020】
天井板121を支持する支持体122は、環状であり、天井板121を取り囲む。天井板121は、支持体122の内側円錐台形壁124の基部において、基板102に近接して支持体122の端部に固定されている。固定方法の一例は、溶接法である。
【0021】
側面支持体104は、上部リング131および下部リング132を含む。フランジ部113は、下部リング132の内周からチャンバ容積の内側に延在する。基板搬送ポート130は、フランジ部113の下の位置で下部リング132を貫いて延在する。上部リング131は、支持体122の突出部125と整合する内側傾斜部115に対応する外側傾斜部114を有する。支持体122は、上部リング131の傾斜部116上に配置されている。
【0022】
下部リング132の頂面に沿って、その外周に沿った部分が、上部リング131が取り付けられる取り付け面133(図2に示す)を形成する。下部リング132に切り欠き領域を設けることによって、下部リング132に第1の凹部134が形成される。すなわち、第1の凹部134は、下部リング132の頂面の一部に形成された窪み部分である。上部リング131には、下部リング132の第1の凹部134に対応する位置に、第1の凹部134の形状に対応するように、かつ第1の凹部134と第1の凸部136との間に間隙135を形成するように、第1の凸部136が形成されている。第1の凸部136と第1の凹部134との間の間隙135は、反応ガス供給路141(供給路)として機能する。反応ガス供給路141のさらなる詳細は、本明細書で後述する。
【0023】
下部リング132の第1の凹部134に対向する領域では、第2の凹部137を形成するために、下部リング132の頂面の外周部の一部が切り欠かれている。上部リング131には、第2の凹部137に対応する位置に、第2の凹部137の形状に対応するように、かつ第2の凹部137と第2の凸部139との間に間隙138を形成するように、第2の凸部139が形成されている。第2の凹部137と上部リング131の第2の凸部139との間の間隙138にガス排出路142が形成されている。
【0024】
このように、反応ガス供給路141とガス排出路142は、反応チャンバ101の処理領域を横切って対角線状に向かい合い、ガス供給路141から反応チャンバ101に導入された反応ガスは、基板102の上を(長手方向軸110に直交する)水平方向に流れる。
【0025】
パージガスが排出されるパージ孔144が、下部リング132の第2の凸部137の壁面143に形成されている。パージ孔144は、フランジ部113の下に形成されている。パージ孔144は、ガス排出路142と連結しているため、反応ガスとパージガスの両方をガス排出路142から排出することができる。
【0026】
環状プラットフォーム145が本体104の下部リング132の底面側の下に設けられ、本体104は、プラットフォーム145上に配置されている。プラットフォーム145は、環状クランプ部151内に配置されてもよい。
【0027】
環状クランプ部151は、天井部105、側壁104、およびプラットフォーム145の外周に配置されている。環状クランプ部151は、天井部105、側壁104、およびプラットフォーム145をクランプして支持する。クランプ部151には、反応ガス供給路141と連結する供給側連結路152と、ガス排出路142と連結する排出側連結路153とが設けられている。ガス導入インサート155は、供給側連結路152に設けられている。ガス排出インサート158は、排出側連結路153に設けられている。
【0028】
反応ガス導入部154がクランプ部151の外側に配置され、反応ガス導入部154と供給側連結路152とが互いに流体連結している。本実施形態では、第1の原料ガスおよび第2の原料ガスが反応ガス導入部154から導入される。第2の原料ガスは、キャリアガスとしても機能する。3種類以上のガスの混合物を反応ガスとして使用することができる。整流板156は、反応ガス導入部154に配置され、そこで供給側連結路152に合流する。整流板156には、サセプタ103の上面に略平行な直線経路に沿って貫通する複数の開口部156a(図5)が設けられ、第1の原料ガスと第2の原料ガスは、反応ガスを、開口部156aを通過させることによって混合され、整流される。ガス排出部157は、クランプ部151の外側に配置されている。ガス排出部157は、反応チャンバ101の中心を間に挟んで反応ガス導入部154に対向する位置に配置されている。
【0029】
チャンバ底部161がプラットフォーム145の内周側の下部に配置されている。別の加熱デバイス162および下部反射器165がチャンバ底部161の外側に配置されているため、基板102は、下側からも加熱することができる。
【0030】
チャンバ底部161の中心には、サセプタ支持体106の長手方向軸110に沿ってパージガス導入部166が設けられている。パージガスは、パージガス源(図示せず)から、チャンバ底部161、下部リング132、およびプラットフォーム145によって形成された下部反応チャンバ部164に導入される。パージ孔144も、チャンバ101の下部内容積を通して下部反応チャンバ部164と流体連結している。
【0031】
本実施形態によるエピタキシャル成長装置を用いた成膜方法について以下に説明する。
【0032】
最初に、サセプタ103を基板搬送面P2に移動し、基板102をバルブ付き開口部109および基板搬送ポート130を介して搬送し、基板が載置されたサセプタ103を成膜面P1に移動させる。例えば、200mmの直径を有するシリコン基板が基板102として使用される。次いで、加熱デバイス123、162を用いて、基板を待機温度(例えば、800℃)から成長温度(例えば、1100℃)に加熱する。パージガス166(例えば、水素)は、パージガス供給から下部反応チャンバ部164に導入される。反応ガス(例えば、第1の原料ガスとしてのトリクロロシランおよび第2の原料ガスとしての水素)は、反応ガス導入部154から反応ガス供給路141を介して反応チャンバ101に導入される。反応ガスは、基板102の表面に境界層を形成し、境界層で反応が起こる。それに応じて、シリコン膜が基板102上に形成される。反応ガスは、反応チャンバ101と連結するガス排出路142から排出される。パージガスは、パージ孔144を介してガス排出路142に排出される。エピタキシャル成長後、基板102の温度は、待機温度に戻り、基板102は、チャンバ101から取り出され、半導体製造装置の別のチャンバに移される。
【0033】
図4は、断面でのエピタキシャル成長装置100の一部の概略上面図である。ガス分配アセンブリ400として図4に表されているガス導入インサート155は、環状クランプ部151に結合されて示されている。ガス分配アセンブリ400は、1つまたは複数のガス源410Aおよび410Bに結合された注入ブロック405を含む。注入ブロック405は、内側プレナム415Aおよび外側プレナム415Bなどの、整流板156の開口部156aの上流に配置された1つまたは複数のプレナムを含む。
【0034】
ガス源410A、410Bは、シラン(SiH4)、ジシラン(Si26)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6)、ジブロモシラン(SiH2Br2)、高次シラン、それらの誘導体、およびそれらの組合せを含むシラン類などのシリコン前駆体を含むことができる。ガス源410A、410Bは、ゲルマン(GeH4)、ジゲルマン(Ge26)、四塩化ゲルマニウム(GeCl4)、ジクロロゲルマン(GeH2Cl2)、それらの誘導体、およびそれらの組合せなどの前駆体を含有するゲルマニウムも含むことができる。シリコンおよび/またはゲルマニウム含有前駆体は、塩化水素(HCl)、塩素ガス(Cl2)、臭化水素(HBr)、およびそれらの組合せと組み合わせて使用されてもよい。ガス源410A、410Bは、ガス源410A、410Bの一方または両方に存在するシリコンおよびゲルマニウム含有前駆体のうちの1つまたは複数を含むことができる。例えば、外側プレナム415Bと連結することができるガス源410Aは、水素ガス(H2)または塩素ガス(Cl2)などの前駆体材料を含むことができ、一方、ガス源410Bは、シリコンおよび/またはゲルマニウム含有前駆体、それらの誘導体、またはそれらの組合せを含むことができる。
【0035】
ガス源410A、410Bからの前駆体材料は、内側プレナム415Aおよび外側プレナム415Bに供給される。前駆体材料は、内側プレナム415Aおよび外側プレナム415B、整流板156の開口部156a、ならびにガス分配アセンブリ400の本体425に形成された1つまたは複数のガス注入チャネル420を通って、反応チャンバ101の処理容積に入る。
【0036】
図4に示す平面図では、1つまたは複数のガス注入チャネル420は、外壁430、整流板156、および中央隔壁435によって境界付けられている。外壁430の外側にブラインドチャネル440が示されており、そこには、整流板156に開口部156aが形成されていない(すなわち、整流板156の非穿孔部分)。本体425は、整流板156の非穿孔部分および外壁430と共に、ブラインドチャネル440を境界付ける側板445も含む。ブラインドチャネル440ならびに1つまたは複数のガス注入チャネル420は、反応チャンバ101の処理容積と流体連結していてもよい(例えば、ブラインドチャネル440がその一端部で開いている)。しかしながら、前駆体ガスは、注入ブロック405からブラインドチャネル440を通って反応チャンバ101の処理容積には流れない。供給源410Aによって導入された前駆体ガスは、最初にプレナム415Bに入り、そこからプレナム410に流入する。供給源410Bによって導入された前駆体ガスは、最初にプレナム415Aに入り、そこからプレナム410に流入し、供給源410Aからの前駆体ガスと混合される。次いで、前駆体ガスは、基板102の上を流れ、ガス排出部157を介して反応チャンバ101の処理容積から出る。外壁430および整流板156を含むガス分配アセンブリ400の少なくとも本体425は、石英材料から製造されてもよい。
【0037】
図5は、反応チャンバ101の処理容積に結合されたガス分配アセンブリ400の斜視図である。基板102がサセプタ103上に示されており、環状サセプタリング107がサセプタ103を実質的に取り囲んでいる。一部の実施形態では、環状サセプタリング107は、熱シールドを含む。
【0038】
ガスがチャンバ101に導入される幅がガス分配アセンブリ400の外壁430間の距離510によって画定される、ガス分配アセンブリ400のガス注入部分505が図5に示されている。
【0039】
一部の実施形態では、距離510は、ガス分配アセンブリ400の寸法515(すなわち、一方の端部プレート445からもう一方の端部プレート445までの長さ)よりも短い。ブラインドチャネル440を含むガス分配アセンブリ400の外側部分520を使用して、反応チャンバ101の本体530の既存の開口部525をふさぐことができ、それによって、ガス分配アセンブリ400をカスタマイズして、既存のチャンバに後付けすることが可能になる。一部の実施形態では、ガス分配アセンブリ400は、交換可能なライナーアセンブリであり、ガス分配アセンブリ400は、必要に応じて交換することができる。外側部分520は、上述したようにガス流には必要ではないが、他の属性の中でもとりわけ、真空を維持するために既存の開口部525をふさぐために利用することができる。
【0040】
一部の実施形態では、ガス分配アセンブリ400のガス注入部分505の距離510は、基板102の直径535に実質的に等しい。例えば、基板102が200ミリメートル(mm)の直径を有する場合、ガス分配アセンブリ400のガス注入部分505の距離510は、実質的に200mmに等しい。「実質的に等しい」という用語は、200mm基板に基づいて、+/−約3mm以下と定義することができる。
【0041】
この比例性の理由は、多数あり、観察およびシミュレーションに基づいている。反応チャンバ101の処理容積は、円筒形であるが、ガス分配アセンブリ400のガス注入部分505は、矩形であることが順守されている。ブラインドチャネル440を有するガス分配アセンブリ400の容積がブラインドチャネルの位置にもガスを流すことができるように変更されておらず、整流板156の全長にわたって開口部156aがあり、その結果、ガス注入部分が基板102の距離510よりも大きくなるのみならず直径535よりも大きくなる従来のガス分配アセンブリでは、ガス流は、ガス注入部分の中心と比較して、ガス注入部分の端部でより高い速度を有する傾向がある。ガス分配アセンブリの縁部でのこの比較的高い速度は、縁部での断面積の減少に起因し、これにより縁部での速度が増加する。この不均一なガス流は、基板上での不均一な膜成長につながる。例えば、従来のガス分配アセンブリでは流量を制御することはできるが、流量の制御は、基板の縁部での膜成長にはほとんど影響を及ぼさない。この不均一なガス流は、基板全体にわたって約+/−1.0%の厚さの不均一性を生成することが示されており、これは、一部の半導体デバイス用途の仕様外である。
【0042】
対照的に、本明細書に開示されるような、基板102の直径535に実質的に等しいガス分配アセンブリ400のガス注入部分505の距離510を有するガス分配アセンブリ400を利用することにより、厚さの不均一性が基板102全体にわたって約+/−0.6%に改善された。
【0043】
本明細書に開示されるようなガス分配アセンブリ400で実行された試験により、ガス注入部分505を横切る(例えば、距離510に沿った)実質的に均一な流速が確認された。例えば、ガス注入部分505を横切る速度は、±1.5メートル/秒変動する従来のガス分配アセンブリの速度と比較して、±0.5メートル/秒変動する。本明細書に開示されるようなガス分配アセンブリ400のガス注入部分505を横切るこの流速の変動の減少により、上で論じたように厚さの均一性の改善が得られる。
【0044】
前述の事項は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のおよびさらなる実施形態が本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5