特許第6987298号(P6987298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987298
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20211213BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G01N35/00 C
   G01N35/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2021-501672(P2021-501672)
(86)(22)【出願日】2020年1月9日
(86)【国際出願番号】JP2020000428
(87)【国際公開番号】WO2020170636
(87)【国際公開日】20200827
【審査請求日】2021年3月9日
(31)【優先権主張番号】特願2019-26317(P2019-26317)
(32)【優先日】2019年2月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】金井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】横山 洸幾
(72)【発明者】
【氏名】大草 武徳
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−094624(JP,A)
【文献】 特開2008−096221(JP,A)
【文献】 特開2006−030170(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/173464(WO,A1)
【文献】 特許第6550667(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転支点により開閉可能な蓋を有するとともに試薬や検体を収容する容器を収納する容器収納部と、前記容器収納部と相対移動することにより前記蓋を閉める蓋閉めガイド部を備える自動分析装置であって、
前記蓋閉めガイド部は前記蓋の上面には接触せず、前記蓋の辺縁部に接触して前記蓋を閉めることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記蓋閉めガイド部と前記辺縁部が接触するときに、前記蓋閉めガイド部と前記蓋との接触角度が鋭角であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
回転支点により開閉可能な蓋を有するとともに試薬や検体を収容する容器を収納する容器収納部と、前記容器収納部と相対移動することにより前記蓋を閉める蓋閉めガイド部を備える自動分析装置であって、
前記蓋閉めガイド部は前記蓋の辺縁部に接触して前記蓋を閉め、
前記蓋閉めガイド部と前記辺縁部が接触するときに、前記蓋閉めガイド部と前記蓋との接触角度が鋭角であり、
前記容器収納部を覆うとともに、前記容器収納部と相対移動するカバーをさらに備え、
前記蓋閉めガイド部は前記カバーに設けられ、
前記容器収納部の移動方向が複数あり、移動方向毎に前記蓋閉めガイド部が設けられることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動分析装置であって、
前記蓋閉めガイド部は前記カバーに埋設されていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項3に記載の自動分析装置であって、
前記蓋閉めガイド部は前記カバーから突出していることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項3に記載の自動分析装置であって、
前記カバーは、前記容器が投入される投入口と、前記投入口に被せられる投入口蓋を備え、
前記容器収納部の底面から前記投入口蓋までの距離は、開いた状態の前記蓋の上端から前記容器収納部の底面までの距離よりも長いことを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、血液や尿等の検体に含まれる特定成分を自動的に定量あるいは定性分析するための装置である。自動分析装置による検体の分析には様々な試薬が用いられ、安定した分析結果を得るためには、蒸発乾燥による試薬の濃縮や埃等の混入による試薬の劣化を防ぐ必要がある。そこで分析に用いられる試薬は開閉可能な蓋を備えた試薬容器に収容され、状況に応じて試薬容器の蓋が開閉される。
【0003】
特許文献1には、突出した爪部を有すると共に回転支点により開閉可能な蓋を備えた試薬容器と、試薬容器の蓋を開閉するための開閉部材とを相対移動させることにより、開閉部材を爪部や蓋に当接させて蓋を開閉させる自動分析装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−101910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1では、容器の蓋の上面に開閉部材が当接するため、容器に収容される試薬や検体に係る情報が記入される蓋の上面が摩耗し、試薬や検体に係る情報を失う場合がある。また容器の蓋が閉め損ねられたまま容器が保管庫に収納されると、蓋と保管庫とが干渉しあい、いずれかに過剰な負荷がかかることがある。
【0006】
そこで、本発明は、試薬や検体が収容される容器の蓋の閉め損ねがあった場合でも、蓋の上面を摩耗させることなく蓋を閉めることができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、回転支点により開閉可能な蓋を有するとともに試薬や検体を収容する容器を収納する容器収納部と、前記容器収納部と相対移動することにより前記蓋を閉める蓋閉めガイド部を備える自動分析装置であって、前記蓋閉めガイド部は前記蓋の辺縁部に接触して前記蓋を閉めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、試薬や検体が収容される容器の蓋の閉め損ねがあった場合でも、蓋の上面を摩耗させることなく蓋を閉めることができる自動分析装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】自動分析装置の構成例を示す平面図。
図2】自動分析装置に使用される試薬容器の概略構成図。
図3】自動分析装置の主要部である試薬保管庫の構成例を示す平面図。
図4】試薬ディスクカバーに設けられる蓋閉めガイド部の一例を示す図。
図5】試薬ディスクカバーに設けられる蓋閉めガイド部の他の例を示す図。
図6】試薬容器の蓋が閉じていく様子を示す平面図。
図7】試薬容器の蓋が閉じていく様子を示す試薬容器の正面図。
図8】試薬容器の蓋と蓋閉めガイド部との接触角度を説明する図。
図9】蓋閉めガイド部と蓋との接触角度のいくつかの例について説明する図。
図10】試薬容器を収納する試薬保管庫の断面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に従って本発明に係る自動分析装置の好ましい実施例について説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、図面は実施形態を模式的に表したものであり、現実の物体を簡略化して示す場合がある。
【実施例1】
【0011】
図1を用いて、血液や尿等の検体に含まれる特定成分を自動的に定量あるいは定性分析する自動分析装置1−1の全体構成の一例を説明する。自動分析装置1−1は、検体の分析に必要な作業が行われる作業台1−3と、作業台1−3に設けられる各部を制御する制御部1−25を備える。作業台1−3には、試薬保管庫1−2、試薬分注部1−13、ヒートブロック1−4、検体ラック搬送部1−5、検体分注部1−6、分注チップ・反応容器搬送部1−9、分析ユニット1−14が設けられる。以下、各部について説明する。
【0012】
試薬保管庫1−2は、分析に用いられる試薬を収容する試薬容器1−15を所定の温度で保管するものであり、試薬ディスク1−24と試薬ディスクカバー1−16を有する。試薬ディスク1−24は、複数の試薬容器1−15を収納する。試薬ディスクカバー1−16は試薬ディスク1−24に被せられるカバーであり、試薬容器1−15を試薬ディスク1−24へ投入するための投入口1−17と、試薬容器1−15から試薬を分注するための分注孔1−18を備える。試薬保管庫1−2の詳細は、図3を用いて後述する。
【0013】
試薬分注部1−13は、試薬保管庫1−2に保管される試薬容器1−15から分注孔1−18を介して試薬を吸引し、ヒートブロック1−4に搭載される空の反応容器1−19に試薬を分注する。
【0014】
ヒートブロック1−4は、反応容器1−19を一定の温度で保持するとともに、回転運動により反応容器1−19を円周方向に移動させ、検体分注部1−6や試薬分注部1−13がアクセス可能な位置へ配置する。
【0015】
検体ラック搬送部1−5は、検体が収容される複数の検体容器1−21を搭載する検体ラック1−20を搬送し、検体分注部1−6がアクセス可能な位置に検体容器1−21を配置する。
【0016】
検体分注部1−6は、検体容器1−21に収容される検体を吸引し、ヒートブロック1−4に搭載される反応容器1−19に検体を分注する。検体を分注するときの異物混入を防ぐため、検体分注部1−6は検体を分注する度に検体分注チップ1-23を付け替えて用いる。使用後の検体分注チップ1-23および反応容器1−19は廃棄孔1−8へ廃棄される。
【0017】
分注チップ・反応容器搬送部1−9は、分注チップ・反応容器搭載部1−7に搭載される検体分注チップ1−23と反応容器1−19を搬送し、チップ装着位置1−10に検体分注チップ1-23を、ヒートブロック1−4に反応容器1−19をそれぞれ配置する。なお分注チップ・反応容器搭載部1−7には保持部材1−22が架設され、保持部材1−22に未使用の検体分注チップ1−23と反応容器1−19が収納される。
【0018】
分析ユニット1−14は、反応容器攪拌部1−11によって攪拌された後、反応液吸引部1−12によって反応容器1−19から吸引される反応液を分析し、分析結果を出力する。
【0019】
制御部1−25は、キーボードやタッチパネル等を介して操作者が入力した分析依頼を受けて分析計画を作成し、分析計画に基づいて制御信号を送信することにより作業台1−3に設けられる各部の動作を制御する。制御部1−25は、分析依頼に係る情報や分析パラメータ、分析結果等を記憶する記憶部を備えていても良い。
【0020】
図2を用いて、試薬や検体を収容する容器の一例として試薬容器1−15を説明する。図2(a)と図2(b)は、試薬容器1−15が有する蓋2−1が開いた状態の平面図と正面図である。また図2(c)と図2(d)は、蓋2−1が閉じた状態の平面図と正面図である。なお図2では、蓋2−1にハッチングをつけて見やすくしている。
【0021】
試薬容器1−15は、蓋2−1とともに、ヒンジ2−2、試薬収容部2−3を有する。ヒンジ2−2は、開閉可能な蓋2−1を支持する回転支点である。試薬収容部2−3は試薬が収容される空間である。蓋2−1が閉じられることにより、試薬収容部2−3に収容される試薬の蒸発乾燥や試薬への埃等の混入を防止できる。なお試薬収容部2−3には、試薬の代わりに検体が収容されても良い。
【0022】
図3を用いて、試薬保管庫1−2について詳細に説明する。試薬保管庫1−2は、前述のように、試薬容器1−15を収納する試薬ディスク1−24と、投入口1−17と分注孔1−18を備える試薬ディスクカバー1−16を有する。
【0023】
試薬ディスク1−24は、図示しないモータ等に接続されるシャフト3−1を備え、モータ等の駆動力により回転するシャフト3−1を回転軸としてx−y平面上を回転する。なお試薬ディスク1−24に被せられる試薬ディスクカバー1−16はシャフト3−1が回転しても回転しない。試薬ディスク1−24の回転により、投入口1−17から投入される試薬容器1−15を分注孔1−18の直下に配置したり、初期位置に戻したりできる。また操作者がシャフト3−1または試薬ディスク1−24を所望の位置まで手動で回転させることもできる。なお試薬ディスク1−24に収納される試薬容器1−15は、試薬ディスク1−24の径方向に対して一定の傾斜角度をもって配置される。傾斜角度が0度のとき、試薬容器1−15は試薬ディスク1−24の径方向と平行に配置される。
【0024】
試薬ディスクカバー1−16は、投入口1−17及び分注孔1−18とともに、蓋開閉部3−2と投入口蓋3−3を備える。蓋開閉部3−2は、試薬容器1−15の蓋2−1を開閉するための爪を有しており、分注孔1−18の直下に配置される試薬容器1−15の蓋2−1を、試薬分注部1−13による試薬吸引中には開いた状態にし、試薬吸引後には閉じた状態にする。投入口蓋3−3は投入口1−17に被せられる蓋であり、図3には投入口蓋3−3が開けられた状態が示される。
【0025】
図4を用いて、試薬ディスクカバー1−16の一例について説明する。図4(a)は試薬ディスク1−24の側から見た試薬ディスクカバー1−16の平面図、つまり図3の試薬ディスクカバー1−16の裏面である。また図4(b)は、図4(a)中の直線4−5で切断した断面図である。
【0026】
試薬ディスク1−24に相対する試薬ディスクカバー1−16の面には、蓋2−1の辺縁部に接触することにより蓋2−1を閉める蓋閉めガイド部4−1が試薬ディスクカバー1−16の周方向に沿うように投入口1−17の両側に設けられる。なお蓋閉めガイド部4−1と蓋2−1との接触角度4−4は、両者が接触する点を始点とする、ヒンジ2−2の回転軸方向の半直線4−2と蓋閉めガイド部4−1の接線方向の半直線4−3とにより挟まれる角度である。接触角度4−4の大きさは、試薬ディスク1−24の径方向に対する試薬容器1−15の傾斜角度に応じて設定される。また図4(b)に示されるように、蓋閉めガイド部4−1は試薬ディスクカバー1−16に埋設され、凹形状を有する。蓋閉めガイド部4−1が凹形状を有する場合、試薬保管庫1−2の中の容積が小さくなるので、収納される試薬容器1−15を所定の温度に保ちやすくなる。
【0027】
試薬ディスク1−24が回転することにより、試薬容器1−15が蓋閉めガイド部4−1へ向かって移動し、開いた状態の蓋2−1の辺縁部に蓋閉めガイド部4−1が接触して蓋2−1が閉まる。すなわち蓋閉めガイド部4−1は、試薬に係る情報が記入される蓋2−1の上面に接触せずに蓋2−1を閉めることができる。図4(a)には、蓋閉めガイド部4−1と蓋2−1とが接触する様子を示すために、開いた状態の蓋2−1の一つを示した。
【0028】
なお投入口1−17の両側に蓋閉めガイド部4−1が設けられることにより、試薬ディスク1−24がどちらの方向に回転しても蓋2−1を閉めることができる。また蓋閉めガイド部4−1は分注孔1−18の近傍に設けられても良い。分注孔1−18の近傍に蓋閉めガイド部4−1が設けられることにより、試薬吸引後に蓋開閉部3−2が蓋2−1を閉め損ねた場合にも、蓋閉めガイド部4−1によって蓋2−1が閉じられる。
【0029】
図5を用いて、試薬ディスクカバー1−16の他の例について説明する。図5(a)は、図4(a)と同様に、試薬ディスク1−24の側から見た試薬ディスクカバー1−16の平面図である。また図5(b)は、図5(a)中の直線4−5で切断した断面図である。図5に示す試薬ディスクカバー1−16にも、試薬ディスク1−24に相対する面に蓋閉めガイド部4−1が設けられる。なお図5(b)に示されるように、本例の蓋閉めガイド部4−1は、試薬ディスクカバー1−16から突出し、凸形状を有する。凸形状を有する蓋閉めガイド部4−1は、試薬ディスクカバー1−16とは別個に製作できるので、蓋閉めガイド部4−1と蓋2−1との接触角度4−4が調整しやすい。
【0030】
図6及び図7を用いて、試薬容器1−15の蓋2−1が閉じていく様子について説明する。図6は平面図、図7は試薬容器1−15の正面図であり、一つの蓋閉めガイド部4−1だけを図示している。図6(a)及び図7(a)から図6(d)及び図7(d)へ進むにつれ、試薬ディスク1−24の回転にともなって試薬容器1−15が矢印6−1の方向へ移動経路6−2に沿って移動する。なお試薬ディスク1−24の回転は、モータ等の駆動力によるものであっても手動によるものであっても良い。また試薬ディスク1−24の回転の代わりに、試薬ディスクカバー1−16を回転させても良く、試薬容器1−15の蓋2−1と蓋閉めガイド部4−1とが相対移動すれば良い。以下、順を追って説明する。
【0031】
図6(a)及び図7(a)では、蓋2−1が開いた状態であり、蓋閉めガイド部4−1は蓋2−1から離れている。なお蓋2−1が開いた状態における蓋2−1の開き角、すなわち試薬容器1−15の上面であるx−y面と蓋2−1とのなす角は、図7(a)に示されるような90度に限らず、180度未満であれば良い。試薬ディスク1−24の回転によって試薬容器1−15が蓋閉めガイド部4−1に向かって移動すると、図6(b)及び図7(b)では、蓋2−1の辺縁部に蓋閉めガイド部4−1が接触し、蓋2−1に対し矢印6−3の方向への力が作用し始める。試薬ディスク1−24がさらに回転すると、図6(c)及び図7(c)では、蓋閉めガイド部4−1による矢印6−3の方向への力が蓋2−1に対して作用し続けることにより、蓋2−1が閉まりかける。図6(d)及び図7(d)では、試薬容器1−15が蓋閉めガイド部4−1の位置を通り過ぎて蓋2−1が閉まりきった状態である。
【0032】
なお、蓋閉めガイド部4−1と蓋2−1とが接触している間、両者の接触角度4−4が鋭角になるように蓋閉めガイド部4−1は設けられることが好ましい。接触角度4−4が鋭角であることにより、蓋閉めガイド部4−1は蓋2−1の上面に当接せずに、蓋2−1の辺縁部に接触して、蓋2−1に対し矢印6−3の方向への力を作用させる。すなわち、試薬や検体に係る情報が記入される蓋2−1の上面を摩耗させることなく、蓋2−1を閉めることができる。
【0033】
図8を用いて、蓋閉めガイド部4−1と蓋2−1との接触角度4−4について説明する。なお図8は、図6(b)から蓋閉めガイド部4−1と蓋2−1とともに、接触角度4−4と矢印6−3を抜き出した図である。接触角度4−4をθ、蓋閉めガイド部4−1が蓋2−1に及ぼす垂直抗力をFとすると、FはFcosθとFsinθの成分に分けられる。Fcosθは蓋2−1を閉める方向である矢印6−3の方向の成分であり、Fsinθは矢印6−3と垂直な方向の成分である。Fsinθはヒンジ2−2の回転軸と平行な成分でもあるので、ヒンジ2−2への負荷を低減するには、Fsinθをより小さくするのが好ましい。また蓋2−1を閉める方向の成分を大きくするにはFcosθをより大きくするのが好ましい。したがって、θ、すなわち接触角度4−4を小さくすることが好ましい。なお、蓋閉めガイド部4−1と蓋2−1との相対移動にかかわるトルクを調整し、垂直抗力Fを制御しても良い。
【0034】
図9を用いて、蓋閉めガイド部4−1と蓋2−1との接触角度4−4のいくつかの例について説明する。なお蓋閉めガイド部4−1と蓋2−1とは相対移動するので、図9では固定される試薬容器1−15に対して、蓋閉めガイド部4−1が矢印7−1の方向に点7−2を回転中心として回転する場合について説明する。また蓋閉めガイド部4−1の傾きをθ、試薬容器1−15の傾きをθとする。図9(a)と図9(b)は、点7−2の側に蓋2−1が閉まる場合であり、試薬容器1−15の中心7−3と点7−2を結ぶ直線7−4から反時計回りをθの正方向、直線7−4と垂直な直線7−5から時計回りをθの正方向とする。図9(c)と図9(d)は、点7−2とは反対側に蓋2−1が閉まる場合であり、直線7−4から時計回りをθの正方向、直線7−5から反時計回りをθの正方向とする。いずれの場合も、0≦θ≦π、0≦θ≦2πであり、接触角度4−4であるθは、(θ+θ)/πの商を整数としたときの余りであり、θ=θ+θ[mod π rad]とする。
【0035】
図10を用いて、試薬保管庫1−2の中の好ましい高さについて説明する。図10は試薬保管庫1−2の断面図であり、試薬容器1−15を収納する試薬ディスク1−24が基部9−4の中に納められ、基部9−4及び試薬ディスク1−24が試薬ディスクカバー1−16により覆われる。また試薬ディスクカバー1−16の投入口1−17は投入口蓋3−3により閉じられた状態である。なお投入口蓋3−3が開けられた状態は二点鎖線で示される。
【0036】
試薬ディスク1−24の内側の底面9−1から投入口蓋3−3までの距離9−2は、開いた状態の蓋2−1の上端から底面9−1までの距離9−3よりも長いことが好ましい。距離9−2を距離9−3よりも長くすることにより、開いた状態の蓋2−1と投入口蓋3−3とが接触せずに済む。すなわち試薬容器1−15の蓋2−1の閉め損ねがあった状態で、投入口蓋3−3が閉じられたとしても、試薬容器1−15と試薬保管庫1−2とが干渉せずに済み、蓋2−1に意図しない負荷がかかることを防げる。
【0037】
以上、本発明の実施例について説明した。本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形しても良い。例えば、容器と蓋閉めガイド部との相対移動は回転に限らず、任意の線状移動による相対移動であっても良い。また試薬や検体が収容される容器に限らず、回転支点により開閉可能な蓋を有する容器であれば本発明は適用可能である。また、上記実施例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、上記実施例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0038】
1−1:自動分析装置、1−2:試薬保管庫、1−3:作業台、1−4:ヒートブロック、1−5:検体ラック搬送部、1−6:検体分注部、1−7:分注チップ・反応容器搭載部、1−8:廃棄孔、1−9:分注チップ・反応容器搬送部、1−10:チップ装着位置、1−11:反応容器攪拌部、1−12:反応液吸引部、1−13:試薬分注部、1−14:分析ユニット、1−15:試薬容器、1−16:試薬ディスクカバー、1−17:投入口、1−18:分注孔、1−19:反応容器、1−20:検体ラック、1−21:検体容器、1−22:保持部材、1−23:検体分注チップ、1−24:試薬ディスク、1−25:制御部、2−1:蓋、2−2:ヒンジ、2−3:試薬収容部、3−1:シャフト、3−2:蓋開閉部、3−3:投入口蓋、4−1:蓋閉めガイド部、4−2:半直線、4−3:半直線、4−4:接触角度、4−5:直線、6−1:矢印、6−2:移動経路、6−3:矢印、7−1:矢印、7−2:点、7−3:中心、7−4:直線、7−5:直線、9−1:底面、9−2:距離、9−3:距離、9−4:基部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10