【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、SC1は異方性エッチングを伴う薬液であり、ウェーハ面上に突起状の欠陥が発生するという問題や表面粗さが悪化するという問題があった。
【0007】
また、SC1のような薬品は環境負荷が高く廃水処理が必要であることや、温調機構が必要であることのために、非常にコストが高いという問題がある。
【0008】
一方、スピン洗浄方法において、分子量10,000以下である高分子の中性水溶液を基板に供給し、高分子を基板から脱離させ、オゾンを溶解した溶液で洗浄することが開示されている(特許文献1)。
【0009】
しかしながら、バッチ式洗浄方法において、上記問題を解決する方法は提案されていない。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、従来の半導体シリコンウェーハの洗浄方法におけるウェーハ面上の突起状の欠陥の発生や表面粗さの悪化を抑制してウェーハ品質を向上させることができる半導体シリコンウェーハの洗浄方法及び洗浄処理装置を提供することを目的とする。
また、従来よりも、コストを削減することができる半導体シリコンウェーハの洗浄方法及び洗浄処理装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、
研磨後の半導体シリコンウェーハを洗浄する半導体シリコンウェーハの洗浄方法であって、
前記研磨後の半導体シリコンウェーハをオゾン水に浸漬する研磨後のオゾン水処理工程と、
前記半導体シリコンウェーハを、オゾン水に浸漬するとともに、超音波を印加しながら常温で洗浄する第一の超音波オゾン水処理を行う工程と、
該第一の超音波オゾン水処理を行う工程後、前記半導体シリコンウェーハを前記オゾン水から引き出し、回転させるウェーハ回転処理を行い、該ウェーハ回転処理後の前記半導体シリコンウェーハを、再び、オゾン水に浸漬するとともに、超音波を印加しながら常温で洗浄する第二の超音波オゾン水処理を行う工程と
を有し、前記第二の超音波オゾン水処理を行う工程を1回以上行い、その後、前記半導体シリコンウェーハをフッ酸に浸漬するフッ酸処理工程と、該フッ酸処理工程後の半導体シリコンウェーハを、オゾン水に浸漬するオゾン水処理工程とを行うことを特徴とする半導体シリコンウェーハの洗浄方法を提供する。
【0012】
このような半導体シリコンウェーハの洗浄方法であれば、ウェーハを回転させることによって、ウェーハ面内だけでなくエッジ部分に付着する研磨剤を効率よく除去することができ、ウェーハ品質を向上させることが可能である。
また、ウェーハのエッチングを伴わない洗浄なので、表面粗さと突起状欠陥を改善することができる。
さらに、オゾン水を使用することで常温処理が可能であるため、コストを削減することができる。
【0013】
またこの場合、前記第二の超音波オゾン水処理を行う工程をn回行うとしたときに、前記ウェーハ回転処理における前記半導体シリコンウェーハの回転角度を、360°/(1+n)とすることが好ましい。
【0014】
このような洗浄方法であれば、ウェーハの面内だけでなくエッジ部分も超音波を均等に当てることが可能であり、ウェーハ品質をさらに向上させることができる。
【0015】
またこの場合、前記第二の超音波オゾン水処理を行う工程を2回行うことが好ましい。
【0016】
このような洗浄方法であれば、実際の製造工程においてスループットの低下が発生することがない。
【0017】
またこの場合、前記半導体シリコンウェーハを純水に浸漬する純水処理工程を有し、該純水処理工程を少なくとも前記フッ酸処理工程の前に行うことが好ましい。
【0018】
このような洗浄方法であれば、ウェーハ品質をより確実に向上させることができる。
【0019】
またこの場合、前記各工程で出た廃液のうちオゾン水及び純水の廃液を回収し、再利用することが好ましい。
【0020】
このような洗浄方法であれば、廃液の再利用ができるので、コスト削減に繋げることができる。
【0021】
またこの場合、前記各工程のうちオゾン水を用いる工程のオゾン水濃度を10ppm以上とすることが好ましい。
【0022】
このような洗浄方法であれば、ウェーハ品質をより確実に向上させることができる。
【0023】
またこの場合、前記研磨後の半導体シリコンウェーハを、研磨剤としてシリカを用いて研磨された半導体シリコンウェーハとすることが好ましい。
【0024】
このような洗浄方法であれば、第一及び第二の超音波オゾン水処理を行う工程によって、有機物だけでなくシリカも除去され、その後、フッ酸処理によって自然酸化膜を除去することで、シリカと金属汚染を取り除くことができるため、ウェーハ品質をより確実に向上させることができる。
【0025】
さらに、本発明は、
研磨後の半導体シリコンウェーハを洗浄するための半導体シリコンウェーハの洗浄処理装置であって、
前記研磨後の半導体シリコンウェーハをオゾン水に浸漬するための、オゾン水を充填した第一のオゾン水槽と、
前記半導体シリコンウェーハをフッ酸に浸漬するための、フッ酸を充填したフッ酸槽と、
前記フッ酸に浸漬した後の前記半導体シリコンウェーハをオゾン水に浸漬するための、オゾン水を充填した第二のオゾン水槽と、
前記半導体シリコンウェーハをオゾン水に浸漬して、超音波を印加しながら洗浄するための、超音波印加手段を有するオゾン水槽と、
前記半導体シリコンウェーハを、前記超音波印加手段を有するオゾン水槽から取り出し、回転させるためのウェーハ回転処理手段と
を有するものであることを特徴とする半導体シリコンウェーハの洗浄処理装置を提供する。
【0026】
このような半導体シリコンウェーハの洗浄処理装置であれば、ウェーハを回転させることによって、ウェーハ面内だけでなくエッジ部分に付着する研磨剤を効率よく除去することができ、ウェーハ品質を向上させることが可能となる。
また、ウェーハのエッチングを伴わない洗浄が可能となり、表面粗さと突起状欠陥を改善することができる。
さらに、オゾン水を使用することで常温処理が可能となるため、コストを削減することができる装置となる。
【0027】
またこの場合、前記オゾン水槽に充填するオゾン水が、濃度10ppm以上のものであることが好ましい。
【0028】
このような半導体シリコンウェーハの洗浄処理装置であれば、ウェーハ品質をより確実に向上させることができる。