特許第6989220号(P6989220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989220
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】半導体装置、及び電池監視システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20211220BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20211220BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20211220BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20211220BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   H01L27/04 U
   H01L27/04 F
   H02J7/00 Q
   H01M10/44 P
   H01M10/48 P
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-215654(P2020-215654)
(22)【出願日】2020年12月24日
(62)【分割の表示】特願2017-127634(P2017-127634)の分割
【原出願日】2017年6月29日
(65)【公開番号】特開2021-64801(P2021-64801A)
(43)【公開日】2021年4月22日
【審査請求日】2020年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】杉村 直昭
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−249793(JP,A)
【文献】 特開2012−078136(JP,A)
【文献】 特開2011−232161(JP,A)
【文献】 特開2015−036649(JP,A)
【文献】 特開2016−121967(JP,A)
【文献】 特開2017−083303(JP,A)
【文献】 特開2016−020921(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/161068(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数の電池セルを含む電池セル群に接続され、前記電池セル群内の電池セルを選択するために各々がオン及びオフする複数のスイッチ素子を含むスイッチ素子群と、
第1の電圧を出力する第1の出力部と、
複数の電圧を出力する第2の出力部と、
前記スイッチ素子群及び前記第2の出力部の間に接続され、前記選択された電池セルの高電位側の電圧を供給するためにオンする第1のスイッチ素子と、
前記スイッチ素子群及び前記第2の出力部の間に接続され、前記選択された電池セルの低電位側の電圧を供給するためにオンする第2のスイッチ素子と、
前記第1の出力部及び前記第2の出力部の間に接続され、前記第1のスイッチ素子がオフする場合に前記第1の電圧を供給するためにオンする第3のスイッチ素子と、
一端が前記第2の出力部に接続され、前記第2のスイッチ素子がオフする場合に前記第1の電圧と異なる第2の電圧を供給するためにオンする第4のスイッチ素子と、
を備え
前記第1の出力部は、前記第2の電圧を昇圧した前記第1の電圧を出力する
半導体装置。
【請求項2】
前記第2の出力部は、前記第1及び前記第3のスイッチ素子に接続された第1のバッファアンプと、前記第2及び前記第4のスイッチ素子に接続された第2のバッファアンプとを有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の出力部及び前記第3のスイッチ素子の間に接続された抵抗素子と、
前記抵抗素子及び前記第3のスイッチ素子の間のノードを介して一端が接続された定電流源と
をさらに備え、
記抵抗素子によって前記第1の電圧から予め定められた電圧を低減した第3の電圧が前記第2の出力部に供給される
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電池セル群と、
前記複数の電池セルの各々のセル電圧を測定するように動作する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記複数の電池セルの各々のセル電圧の測定を指示する指示信号、及び前記半導体装置の動作状態の診断を指示する指示信号を前記半導体装置に出力する制御装置と、
を備えた電池監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、及び電池監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両等に搭載される複数の電池セル各々のセル電圧を半導体装置により測定することにより、電池セルの監視を行う電池監視システムが知られている。このような半導体装置として、電池セル等のセル電圧に応じた電源電圧を昇圧した昇圧電圧を生成する昇圧部を備えたものが知られている。
【0003】
例えば、上記半導体装置として、電池セルの高電位側のセル電圧、及び低電位側のセル電圧が差分出力部に入力され、差分出力部から出力された両セル電圧の差分に基づいて当該電池セルのセル電圧を測定するものがある。ここで、各セル電圧をバッファアンプを介して差分出力部に入力させることにより、セル電圧の測定精度を向上させることが行われているが、このバッファアンプを安定的に動作させるために、昇圧部により昇圧された昇圧電圧を当該バッファアンプの電源電圧として用いる技術がある。
【0004】
そのため、このような昇圧部の動作状態、すなわち、入力された電圧が適切に昇圧されているか否かを診断する技術が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、第1電圧を第2電圧に応じて昇圧した昇圧電圧を生成する昇圧部の診断が可能な昇圧システムとして、昇圧電圧と第1電圧との差分値と、第2電圧と接地電位との差分値と、を比較して比較結果を出力する、または昇圧電圧と第2電圧との差分値と、第1電圧と接地電位との差分値と、を比較して比較結果を出力する比較回路と、 を備えた昇圧システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−151941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術は、昇圧部の動作状態の診断の他にも、半導体装置の動作状態の診断に適用することができる。例えば、上記半導体装置が備えるバッファアンプへの電源電圧の供給状態の診断に適用することができる。この場合、バッファアンプが電源電圧を供給する電源線に接続されるノードの電圧を上記昇圧電圧の替わりとして比較回路で比較した比較結果により診断を行うことができる。
【0008】
この場合、電源線には、バッファアンプ内の複数の素子が接続されるため、これら複数の素子の各々について、順次、電源線に接続されるノードの電圧を上記昇圧電圧の替わりとして比較回路で比較を行わねばならない。
【0009】
このように、複数の素子の全てに関して、比較回路による比較を行う必要があるため、診断に時間を要する場合があった。
【0010】
また、比較回路に入力される電圧を切り替える構成が必要となり、例えば、比較回路に入力される電圧を、上記昇圧電圧と、上記複数の素子の各々が電源線に接続される各ノードの電圧のうちのいずれかの電圧とで切り替えるスイッチ素子を備える場合、半導体装置(電池監視システム)の構成が必要となる。そのため、例えば、半導体装置の面積(回路規模)が増大する等の問題が生じる場合があった。
【0011】
本発明は、容易な構成でより短時間に半導体装置の動作状態の診断が可能な、半導体装置及び電池監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本開示の半導体装置は、直列に接続された複数の電池セルを含む電池セル群に接続され、前記電池セル群内の電池セルを選択するために各々がオン及びオフする複数のスイッチ素子を含むスイッチ素子群と、第1の電圧を出力する第1の出力部と、複数の電圧を出力する第2の出力部と、前記スイッチ素子群及び前記第2の出力部の間に接続され、前記選択された電池セルの高電位側の電圧を供給するためにオンする第1のスイッチ素子と、前記スイッチ素子群及び前記第2の出力部の間に接続され、前記選択された電池セルの低電位側の電圧を供給するためにオンする第2のスイッチ素子と、前記第1の出力部及び前記第2の出力部の間に接続され、前記第1のスイッチ素子がオフする場合に前記第1の電圧を供給するためにオンする第3のスイッチ素子と、一端が前記第2の出力部に接続され、前記第2のスイッチ素子がオフする場合に前記第1の電圧と異なる第2の電圧を供給するためにオンする第4のスイッチ素子と、を備え、前記第1の出力部は、前記第2の電圧を昇圧した前記第1の電圧を出力する
【0013】
また、上記目的を達成するために、本開示の電池監視システムは、前記電池セル群と、前記複数の電池セルの各々のセル電圧を測定するように動作する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置と、前記複数の電池セルの各々のセル電圧の測定を指示する指示信号、及び前記半導体装置の動作状態の診断を指示する指示信号を前記半導体装置に出力する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容易な構成でより短時間に半導体装置の動作状態の診断が可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の電池監視システムの一例の構成を表す構成図である。
図2】第1実施形態のセル電圧測定回路の制御部における処理の流れの一例を表すフローチャートである。
図3】第1実施形態のMCUが実行する診断処理の流れの一例を表すフローチャートである。
図4】第2実施形態の電池監視システムにおけるセル電圧測定回路の一例の構成の概略を表す構成図である。
図5】第2実施形態のセル電圧測定回路の制御部における処理の流れの一例を表すフローチャートである。
図6】第2実施形態のMCUが実行する第1診断処理の流れの一例を表すフローチャートである。
図7】第2実施形態のMCUが実行する第2診断処理の流れの一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して各実施形態について詳細に説明する。
【0017】
[第1実施形態]
まず、本実施形態における電池監視システム10の構成について説明する。図1には、本実施形態の電池監視システム10の一例を表す構成図を示す。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の電池監視システム10は、電池セル群14、MCU(Micro Controller Unit)18、及びセル電圧測定回路20を備えており、MCU18の制御(指示)に応じて、セル電圧測定回路20が電池セル群14に含まれる電池セルCのセル電圧を測定する機能を有する。本実施形態の電池監視システム10は、組電池等の複数の電池セルを使用する製品に適用可能であり、このような製品としては、車両、自動二輪車、パーソナルコンピュータ、及び電動工具等が挙げられる。なお、本実施形態のセル電圧測定回路20が、本開示の半導体装置の一例である。
【0019】
本実施形態のMCU18は、セル電圧測定回路20による電池セル群14に含まれる各電池セルCのセル電圧の測定を制御する機能を有する。また、本実施形態のMCU18は、セル電圧測定回路20による、セル電圧測定回路20を構成する昇圧回路36及び第1バッファアンプ26の異常(正常)の診断を制御する機能を有する。本実施形態のMCU18が、本開示の制御装置の一例である。
【0020】
電池セル群14は、電池セルC1を最下段とし、電池セルCnを最上段として直列に接続されたn個の電池セルC1〜Cn(総称する場合は「電池セルC」という。)を含んでいる。図1に示すように、電池セルC1〜Cnの各々はセル電圧測定回路20に接続されている。電池セルCの具体例としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等が挙げられる。なお、電池セル群14が備える電池セルCの数(n)は、特に限定されるものではない。
【0021】
一方、図1に示すように本実施形態のセル電圧測定回路20は、制御部22、セル選択スイッチ24、第1バッファアンプ26、第2バッファアンプ28、レベルシフタ回路30、AD(Analog to Digital)コンバータ32、診断用回路34、及び昇圧回路36を備える。
【0022】
制御部22は、セル電圧測定回路20の全体を制御する機能を有する。そのため、本実施形態の制御部22は、MCU18から入力される指示信号に応じて、各電池セルCのセル電圧を測定するための制御信号、及びセル電圧測定回路20の診断を行うための制御信号を出力する。
【0023】
昇圧回路36は、電池セル群14の最上段(電池セルCn)の高電位側から入力された電圧VCCを、制御部22から出力される制御信号に基づいて電圧VCCUP(VCC<VCCUP)に昇圧して出力する機能を有する。本実施形態の昇圧回路36が、本開示の昇圧部の一例であり、本実施形態の電圧VCCが、本開示の第1電圧の一例であり、本実施形態の電圧VCCUPが、本開示の第2電圧の一例である。
【0024】
セル選択スイッチ24は、図示を省略した複数のスイッチ素子を含んでいる。セル選択スイッチ24は、制御部22から出力される制御信号に応じて複数のスイッチ素子各々のオン及びオフが制御されることにより、電池セル群14から測定対象となる電池セルCを選択し、選択した電池セルCの高電位側の電圧、及び低電位側の電圧を各々出力する。
【0025】
第1バッファアンプ26は、昇圧回路36から出力された電圧VCCUPを電源電圧として動作する。第1バッファアンプ26の反転端子は、第1バッファアンプ26の出力に接続されており、第1バッファアンプ26の出力は、レベルシフタ回路30に接続されている。
【0026】
第1バッファアンプ26の非反転入力端子は、診断用回路34を介してセル選択スイッチ24に接続されている。本実施形態では、電池セルCのセル電圧を測定する場合、セル選択スイッチ24から出力された測定対象の電池セルCの高電位側の電圧が電圧V01として第1バッファアンプ26の非反転端子に入力される。
【0027】
第2バッファアンプ28は、昇圧回路36から出力された電圧VCCUPを電源電圧として動作する。第2バッファアンプ28の反転端子は、第2バッファアンプ28の出力に接続されており、第2バッファアンプ28の出力は、レベルシフタ回路30に接続されている。
【0028】
第2バッファアンプ28の非反転入力端子は、診断用回路34を介してセル選択スイッチ24に接続されている。本実施形態では、電池セルCのセル電圧を測定する場合、セル選択スイッチ24から出力された測定対象の電池セルCの低電位側の電圧が電圧V02として第2バッファアンプ28の非反転端子に入力される。
【0029】
レベルシフタ回路30は、第1バッファアンプ26の出力及び第2バッファアンプ28の出力に接続されており、第1バッファアンプ26から出力された電圧V及び第2バッファアンプ28から出力された電圧Vが入力される。レベルシフタ回路30は、電圧Vと電圧Vとの差分を、グランド電位を基準としたレベルの電圧V1−2として出力する。本実施形態のレベルシフタ回路30が、本開示の差分出力部の一例である。
【0030】
ADコンバータ32は、レベルシフタ回路30から出力された電圧V1−2に応じたデジタル値Voutをセル電圧測定回路20の外部に出力する。セル電圧測定回路20から出力されたデジタル値Voutは、MCU18に入力される。
【0031】
また、本実施形態の診断用回路34は、昇圧回路36の動作状態、及び第1バッファアンプ26への電源電圧(電圧VCCUP)の供給状態の診断(以下、単に「動作状態の診断」という)を行う機能を有する。図1に示すように、本実施形態の診断用回路34は、抵抗素子R、定電流源38、スイッチ素子SW1−1、スイッチ素子SW1−2、スイッチ素子SW2−1、及びスイッチ素子SW2−2を備える。抵抗素子Rの一端は、昇圧回路36の出力(電圧VCCUPが供給される電源線)に接続されている。また、抵抗素子Rの他端は、電流Ixを供給する定電流源38に接続されている。本実施形態の抵抗素子R及び定電流源38が、本開示の電圧低減部の一例であり、本実施形態の定電流源38が供給する電流Ixが、本開示の予め定められた電流の一例である。
【0032】
スイッチ素子SW1−1の一端は、抵抗素子Rと定電流源38との間、換言すると、抵抗素子Rと定電流源38との接続ノードに接続されており、他端は、第1バッファアンプ26の非反転入力端子に接続されている。また、スイッチ素子SW1−2の一端は、セル選択スイッチ24(セル選択スイッチ24から出力される電圧を供給する信号線)に接続され、他端は、第1バッファアンプ26の非反転入力端子に接続されている。スイッチ素子SW1−1及びスイッチ素子SW1−2は、制御部22から出力される制御信号に応じてオン及びオフが制御される。本実施形態のスイッチ素子SW1−1及びスイッチ素子SW1−2が、本開示の第1切替部の一例である。
【0033】
スイッチ素子SW2−1の一端は、昇圧回路36の入力に接続され、他端は、第2バッファアンプ28の非反転入力端子に接続されている。また、スイッチ素子SW2−2の一端は、セル選択スイッチ24(セル選択スイッチ24から出力される電圧を供給する信号線)に接続され、他端は、第2バッファアンプ28の非反転入力端子に接続されている。スイッチ素子SW2−1及びスイッチ素子SW2−2は、制御部22から出力される制御信号に応じてオン及びオフが制御される。本実施形態のスイッチ素子SW2−1及びスイッチ素子SW2−2が、本開示の第2切替部の一例である。
【0034】
次に、本実施形態のセル電圧測定回路20の動作について説明する。上述したように、セル電圧測定回路20は、MCU18から出力された指示信号に基づいて動作する。そのため、本実施形態の制御部22は、MCU18から出力された指示信号が入力されると、図2に一例を示した処理を実行する。
【0035】
図2に示したステップS100で制御部22は、入力された指示信号が、セル電圧の測定を指示する信号であるか否かを判定する。指示信号がセル電圧の測定を指示する信号である場合、ステップS100の判定が肯定判定となり、ステップS102へ移行する。
【0036】
ステップS102で制御部22は、測定対象の電池セルCの選択を指示する制御信号をセル選択スイッチ24に出力する。
【0037】
次のステップS104で制御部22は、スイッチ素子SW1−2及びスイッチ素子SW2−2をオン状態とするための制御信号を、スイッチ素子SW1−2及びスイッチ素子SW2−2に出力する。
【0038】
次のステップS106で制御部22は、スイッチ素子SW1−1及びスイッチ素子SW2−1をオフ状態とするための制御信号を、スイッチ素子SW1−1及びスイッチ素子SW2−1に出力する。
【0039】
上記ステップS102〜S106の各処理により、第1バッファアンプ26の非反転端子に入力される電圧V01は、セル選択スイッチ24から出力された測定対象の電池セルCの高電位側の電圧となる。従って、第1バッファアンプ26から出力される電圧Vは、測定対象の電池セルCの高電位側の電圧となる。本実施形態におけるセル選択スイッチ24から出力された測定対象の電池セルCの高電位側の電圧が、本開示の第3電圧の一例である。
【0040】
また、第2バッファアンプ28の非反転端子に入力される電圧V02は、セル選択スイッチ24から出力された測定対象の電池セルCの低電位側の電圧となる。従って、第2バッファアンプ28から出力される電圧Vは、測定対象の電池セルCの低電位側の電圧となる。本実施形態におけるセル選択スイッチ24から出力された測定対象の電池セルCの低電位側の電圧が、本開示の第4電圧の一例である。
【0041】
レベルシフタ回路30からは、電圧Vと電圧Vとの差分、すなわち、測定対象の電池セルCに応じた出力電圧V1−2がADコンバータ32に出力される。ADコンバータ32は、出力電圧V1−2をデジタル値に変換したデジタル値VoutをMCU18に出力する。
【0042】
次のステップS108で制御部22は、セル電圧の測定を終了するか否かを判定する。本実施形態のセル電圧測定回路20では、一例としてMCU18からセル電圧の測定を指示されると、電池セル群14に含まれる全ての電池セルCのセル電圧を順次、測定する。そのため、制御部22は、全ての電池セルCについて、セル電圧を測定したか否かについて判定する。未だセル電圧の測定を行っていない電池セルCが残っている場合、ステップS108の判定が否定判定となり、ステップS102に戻り、上記ステップS102〜S106の処理を繰り返す。ステップS102〜S106の処理を繰り返すことにより、MCU18には、順次、各電池セルCのセル電圧に応じたデジタル値Voutが入力される。
【0043】
一方、全ての電池セルCのセル電圧の測定を終了した場合、ステップS108の判定が肯定判定となり、図2に示した本処理を終了する。
【0044】
一方、制御部22は、入力された指示信号が、動作状態の診断を指示する信号である場合、ステップS100の判定が否定判定となり、ステップS110へ移行する。
【0045】
ステップS110で制御部22は、セル選択スイッチ24に含まれる全てのスイッチ素子をオフ状態にするための制御信号をセル選択スイッチ24に出力する。
【0046】
次のステップS112で制御部22は、スイッチ素子SW1−2及びスイッチ素子SW2−2をオフ状態とするための制御信号を、スイッチ素子SW1−2及びスイッチ素子SW2−2に出力する。
【0047】
次のステップS114で制御部22は、スイッチ素子SW1−1及びスイッチ素子SW2−1をオン状態とするための制御信号を、スイッチ素子SW1−1及びスイッチ素子SW2−1に出力した後、図2に示した本動作を終了する。
【0048】
上記ステップS112及びS114の各動作により、第1バッファアンプ26の非反転端子に入力される電圧V01、及び第1バッファアンプ26から出力される電圧Vは、抵抗素子Rの抵抗値をrとすると、下記(1)式で表される。
01=VCCUP−(r×Ix)=V ・・・(1)
【0049】
なお、本実施形態において上記(1)式で表される電圧V01が、本開示の低減電圧の一例であり、本実施形態における抵抗値rと電流Ixとを乗算した値(r×Ix)が、本開示の予め定められた電圧の一例である。
【0050】
一方、第2バッファアンプ28の非反転端子に入力される電圧V02、及び第2バッファアンプ28から出力される電圧Vは、昇圧回路36に入力される電圧VCCとなる。
【0051】
従って、レベルシフタ回路30から出力される出力電圧V1−2は、下記(2)式で表される。
1−2=V−V=VCCUP−(r×Ix)−VCC ・・・(2)
【0052】
上記(2)式において、VCCUP−VCCは、昇圧回路36により昇圧された昇圧電圧Vupに相当するため、上記(2)式は、下記(3)式に書き換えられる。
1−2=Vup−(r×Ix) ・・・(3)
【0053】
従って、昇圧電圧Vupは、下記(4)式で表される。
Vup=V1−2+(r×Ix) ・・・(4)
【0054】
ここで、抵抗素子Rの抵抗値rと定電流源38が供給する電流Ixとを乗算した値(r×Ix)を昇圧回路36の動作が正常な場合の昇圧電圧Vupの下限値に設定しておくことにより、昇圧電圧Vupが下限値以下に低下した異常状態の場合は、上記(3)式より、V1−2≦0となる。従って、ADコンバータ32から出力されるデジタル値Voutは、0(Vout=0)となる。
【0055】
なお、電流Ixが小さいと消費電流を少なくすることができるが、第1バッファアンプ26の非反転端子に入力される電圧V01の値が安定するまでに時間を要する。そのため、抵抗値rと電流Ixとを乗算した値(r×Ix)を昇圧電圧Vupの下限値に設定する場合における、具体的な抵抗値r及び電流Ixの値は、消費電流、及び電圧V01の値が安定するまでに要する時間に応じて定めればよい。
【0056】
また、第1バッファアンプ26に電源電圧として電圧VCCUPが正常に供給されない場合、第1バッファアンプ26から出力される電圧Vが低下し、電圧Vが電圧V以下となる場合がある。この場合、レベルシフタ回路30から出力される電圧V1−2が0以下(V1−2≦0)となる。従って、この場合も、昇圧回路36が異常状態である場合と同様に、ADコンバータ32から出力されるデジタル値Voutが、0(Vout=0)となる。
【0057】
一方、昇圧電圧Vupが、下限値よりも大きい正常状態の場合は、上記(3)式より、V1−2>0となる。従って、ADコンバータ32から出力されデジタル値Voutは、V1−2に応じたデジタル値となる。
【0058】
一方、上記動作状態の診断を行う場合のMCU18の動作について説明する。MCU18は、動作状態の診断を行うタイミングに至ると、図3に一例を示した診断処理を実行する。なお、MCU18が動作状態の診断を行うタイミングは特に限定されないが、例えば、予め定められ期間が経過する毎に定期的に行ってもよい。
【0059】
図3に示したステップS200でMCU18は、動作状態の診断を指示するための上述した指示信号をセル電圧測定回路20に出力する。上述したように、セル電圧測定回路20では、当該指示信号に応じて制御部22の制御により動作状態の診断が行われ、セル電圧測定回路20から出力されたデジタル値VoutがMCU18に入力される。
【0060】
そこで、次のステップS202でMCU18は、入力されたデジタル値Voutが0より大きい(Vout>0)か否かを判定する。デジタル値Voutが0より大きい場合、ステップS202の判定が肯定判定となり、ステップS204へ移行する。
【0061】
昇圧回路36の動作が正常状態の場合、具体的には、本実施形態では、昇圧回路36による昇圧電圧Vupが下限値よりも大きい場合、上述したようにデジタル値Voutは、上記(3)式で表される電圧V1−2に応じたデジタル値となる。そのため、ステップS204でMCU18は、昇圧回路36の動作状態が正常であると診断した後、本診断処理を終了する。
【0062】
なお、電池監視システム10における、MCU18による診断結果の用い方は特に限定されない。例えば、図示を省略した記憶部に診断結果を記憶させておいてもよいし、予め定められた装置や電池監視システム10の外部等に診断結果を報知してもよい。また例えば、後述するように、診断結果が異常となった場合のみ、その旨を報知してもよい。
【0063】
一方、デジタル値Voutが0未満(Vout≦0)の場合、ステップS202の判定が否定判定となりステップS206へ移行する。
【0064】
上述したように、昇圧回路36の動作が異常状態の場合、具体的には、本実施形態では、昇圧回路36による昇圧電圧Vupが下限値以下の場合、または、第1バッファアンプ26に供給される電源電圧が電圧VCCUP未満の場合、上述したようにデジタル値Voutは、0となる。そのため、ステップS206でMCU18は、昇圧回路36の動作、及び第1バッファアンプ26への電源電圧VCCUPの供給の少なくとも一方が異常であると診断した後、本診断処理を終了する。
【0065】
このように本実施形態のセル電圧測定回路20では、診断動作を行う場合、第1バッファアンプ26の非反転端子には、電圧VCCUPから抵抗値rと電流Ixとを乗算した値(r×Ix)が減算された電圧が入力される。一方、第2バッファアンプ28の非反転端子には、電圧VCCが入力される。
【0066】
これにより、本実施形態のセル電圧測定回路20によれば、レベルシフタ回路30から出力される電圧V1−2が0以下となった場合、昇圧回路36の動作、及び第1バッファアンプ26への電源電圧VCCUPの供給の少なくとも一方が異常であると診断することができる。
【0067】
従って、本実施形態のセル電圧測定回路20によれば、容易な構成でより短時間にセル電圧測定回路20の動作状態の診断が可能となる。
【0068】
[第2実施形態]
第1実施形態では、セル電圧測定回路20が、昇圧回路36の動作の診断、及び第1バッファアンプ26への電源電圧の供給状態の診断を行う形態について説明した。これに対して、本実施形態では、セル電圧測定回路20が、さらに第2バッファアンプ28への電源電圧の供給状態の診断を行う形態について説明する。
【0069】
本実施形態の電池監視システム10における、電池セル群14及びMCU18の構成は、第1実施形態の電池監視システム10と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
図4には、本実施形態の電池監視システム10におけるセル電圧測定回路20の一例の概略を表す構成図を示す。なお、本実施形態のセル電圧測定回路20における制御部22、セル選択スイッチ24、及び昇圧回路36は、第1実施形態のセル電圧測定回路20と同様であるため、図4における記載を省略する。
【0071】
図4に示すように、本実施形態のセル電圧測定回路20は、診断用回路34が第1実施形態のセル電圧測定回路20における診断用回路34と異なっている。
【0072】
本実施形態の診断用回路34は、抵抗素子R1、抵抗素子R2、定電流源38、スイッチ素子SW1−1、スイッチ素子SW1−2、スイッチ素子SW2−1、スイッチ素子SW2−2、及びスイッチ素子SW2−3を備える。本実施形態のスイッチ素子SW1−1及びスイッチ素子SW1−2が、本開示の第1切替部の一例であり、本実施形態のスイッチ素子SW2−1、スイッチ素子SW2−2、及びスイッチ素子SW2−3が、本開示の第2切替部の一例である。
【0073】
抵抗素子R1の一端は、昇圧回路36の出力(電圧VCCUPが供給される電源線)に接続されている。また、抵抗素子R1の他端と、抵抗素子R2の一端とは接続されている。また、抵抗素子R2の他端は、定電流源38に接続されている。スイッチ素子SW1−1の一端は、抵抗素子R1と抵抗素子R2との間、換言すると、抵抗素子R1と抵抗素子R2との接続ノードに接続されており、他端は、第1バッファアンプ26の非反転入力端子に接続されている。また、スイッチ素子SW1−2は、第1実施形態と同様に、セル選択スイッチ24と第1バッファアンプ26の非反転入力端子との間に接続されている。本実施形態のスイッチ素子SW1−1及びスイッチ素子SW1−2も、第1実施形態と同様に、制御部22から出力される制御信号に応じてオン及びオフが制御される。
【0074】
また、第1実施形態と同様に、スイッチ素子SW2−1は、昇圧回路36の入力と第2バッファアンプ28の非反転入力端子との間に接続されている。また、第1実施形態と同様に、スイッチ素子SW2−2は、セル選択スイッチ24と第2バッファアンプ28の非反転入力端子との間に接続されている。
【0075】
さらに本実施形態の診断用回路34では、スイッチ素子SW2−3が設けられている。スイッチ素子SW2−3の一端は、抵抗素子R2と定電流源38との間、換言すると、抵抗素子R2と定電流源38との接続ノードに接続されており、他端は、第2バッファアンプ28の非反転入力端子に接続されている。
【0076】
スイッチ素子SW2−1、スイッチ素子SW2−2、及びスイッチ素子SW2−3は、制御部22から出力される制御信号に応じてオン及びオフが制御される。
【0077】
次に、本実施形態のセル電圧測定回路20の動作について説明する。本実施形態のセル電圧測定回路20の制御部22は、MCU18から出力された指示信号が入力されると、図5に一例を示した処理を実行する。なお、第1実施形態における制御部22の処理(図2参照)と同様の処理については、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0078】
図5に示したステップS100で制御部22は、入力された指示信号が、セル電圧の測定を指示する信号であるか否かを判定し、指示信号がセル電圧の測定を指示する信号である場合、肯定判定となりステップS102へ移行する。
【0079】
制御部22は、ステップS102で測定対象の電池セルCの選択を指示する制御信号をセル選択スイッチ24に出力し、次のステップS104でスイッチ素子SW1−2及びスイッチ素子SW2−2をオン状態とするための制御信号を出力した後、本実施形態では、ステップS106代わりにステップS107の処理を実行する。
【0080】
ステップS107で制御部22は、スイッチ素子SW1−1、スイッチ素子SW2−1、及びスイッチ素子SW2−3をオフ状態とするための制御信号を、スイッチ素子SW1−1、スイッチ素子SW2−1、及びスイッチ素子SW2−3に出力する。
【0081】
上記ステップS102〜S107の各処理により、第1実施形態のセル電圧測定回路20と同様に、第1バッファアンプ26の非反転端子に入力される電圧V01は、測定対象の電池セルCの高電位側の電圧となり、第2バッファアンプ28の非反転端子に入力される電圧V02は、測定対象の電池セルCの低電位側の電圧となる。従って、レベルシフタ回路30からは、測定対象の電池セルCに応じた出力電圧V1−2がADコンバータ32に出力され、ADコンバータ32からは、測定対象の電池セルCに応じたデジタル値VoutがMCU18に出力される。
【0082】
次のステップS108で制御部22は、セル電圧の測定を終了するか否かを判定することにより、電池セル群14に含まれる全ての電池セルCのセル電圧の測定が順次行われる。
【0083】
このように、本実施形態のセル電圧測定回路20では、電池セルCのセル電圧を測定する場合、スイッチ素子SW2−3をオフ状態にする点が異なる他は、第1実施形態のセル電圧測定回路20と同様に動作する。
【0084】
一方、制御部22は、入力された指示信号が、昇圧回路36の動作状態、及び第1バッファアンプ26への電源電圧の供給状態の診断(以下、「第1診断」という)を指示する信号または第2バッファアンプ28への電源電圧の供給状態の診断(以下、「第2診断」という)を指示する信号である場合、ステップS100の判定が否定判定となり、ステップS110へ移行する。
【0085】
ステップS110で制御部22は、セル選択スイッチ24に含まれる全てのスイッチ素子をオフ状態にするための制御信号を出力した後、本実施形態では、ステップS110に代わり、ステップS111の動作を実行する。
【0086】
ステップS111でセル制御部22は、入力された指示信号が、第2診断を指示する信号であるか否かを判定する。入力された指示信号が第1診断を指示する信号の場合、ステップS111の判定が否定判定となり、ステップS113へ移行する。ステップS113で制御部22は、スイッチ素子SW1−2、スイッチ素子SW2−2、及びスイッチ素子SW2−3をオフ状態とするための制御信号を、スイッチ素子SW1−2、スイッチ素子SW2−2、及びスイッチ素子SW2−3に出力する。
【0087】
次のステップS114で制御部22は、スイッチ素子SW1−1及びスイッチ素子SW2−1をオン状態とするための制御信号を出力した後、図5に示した本処理を終了する。
【0088】
上記ステップS113及びS114の各処理により、第1バッファアンプ26の非反転端子に入力される電圧V01、及び第1バッファアンプ26から出力される電圧Vは、抵抗素子R1の抵抗値をr1とすると、下記(5)式で表される。
01=VCCUP−(r1×Ix)=V ・・・(5)
【0089】
一方、第2バッファアンプ28の非反転端子に入力される電圧V02、及び第2バッファアンプ28から出力される電圧Vは、昇圧回路36に入力される電圧VCCとなる。
【0090】
従って、レベルシフタ回路30から出力される出力電圧V1−2は、下記(6)式で表され、昇圧電圧Vupは、下記(7)式で表される。
1−2=Vup−(r1×Ix) ・・・(6)
Vup=V1−2+(r1×Ix) ・・・(7)
【0091】
従って、第1実施形態のセル電圧測定回路20と同様に、抵抗素子R1の抵抗値r1と定電流源38が供給する電流Ixとを乗算した値(r×Ix)を昇圧電圧Vupの下限値に設定しておくことにより、昇圧電圧Vupが下限値以下に低下した異常状態の場合は、上記(7)式より、V1−2≦0となる。従って、ADコンバータ32から出力されるデジタル値Voutは、0(Vout=0)となる。
【0092】
また、第1実施形態と同様に、第1バッファアンプ26に電源電圧としてデジタル値Voutが正常に供給されない場合も、ADコンバータ32から出力されるデジタル値Voutが、0(Vout=0)となる。
【0093】
さらに、第1実施形態と同様に、昇圧電圧Vupが、下限値よりも大きい正常状態の場合は、上記(6)式より、V1−2>0となる。従って、ADコンバータ32から出力されデジタル値Voutは、V1−2に応じたデジタル値となる。
【0094】
一方、制御部22は、入力された指示信号が、第2診断を指示する信号の場合、ステップS111の判定が肯定判定となり、ステップS117へ移行する。ステップS117で制御部22は、スイッチ素子SW1−2、スイッチ素子SW2−1、及びスイッチ素子SW2−2をオフ状態とするための制御信号を、スイッチ素子SW1−2、スイッチ素子SW2−1、及びスイッチ素子SW2−2に出力する。
【0095】
次のステップS119で制御部22は、スイッチ素子SW1−1及びスイッチ素子SW2−3をオン状態とするための制御信号をスイッチ素子SW1−1及びスイッチ素子SW2−3に出力した後、図5に示した本処理を終了する。
【0096】
上記ステップS117及びS119の各処理により、第1バッファアンプ26の非反転端子に入力される電圧V01、及び第1バッファアンプ26から出力される電圧Vは、上記(5)式で表される。
【0097】
一方、第2バッファアンプ28の非反転端子に入力される電圧V02、及び第2バッファアンプ28から出力される電圧Vは、抵抗素子R2の抵抗値をr2とすると、下記(8)式で表される。
02=VCCUP−{(r1+r2)×Ix}=V ・・・(8)
【0098】
従って、レベルシフタ回路30から出力される出力電圧V1−2は、下記(9)式で表される。
1−2=V−V=VCCUP−(r1×Ix)−VCCUP+{(r1+r2)×Ix}=r2×Ix ・・・(9)
【0099】
第2バッファアンプ28に電源電圧として電圧VCCUPが正常に供給されない場合、第2バッファアンプ28から出力される電圧Vが低下し、レベルシフタ回路30から出力される電圧V1−2は、抵抗素子R2の抵抗値r2と電流Ixとを乗算した値(r2×Ix)より大きくなる。
【0100】
一方、上記第1診断を行う場合のMCU18の動作について説明する。MCU18は、第1診断を行うタイミングに至ると、図6に一例を示した第1診断処理を実行する。図6に示した本実施形態の第1診断処理は、第1実施形態のMCU18における診断動作(図3参照)のステップS200に代わり、ステップS201の処理を実行する点が異なる。
【0101】
ステップS201でMCU18は、第1診断の実行を指示するための上述した指示信号をセル電圧測定回路20に出力した後、ステップS202に移行する。ステップS202〜S206の各処理は、第1実施形態の診断処理(図3参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0102】
また、上記第2診断を行う場合のMCU18の動作について説明する。MCU18は、第2診断を行うタイミングに至ると、図7に一例を示した第2診断処理を実行する。なお、MCU18が第2診断を行うタイミングは特に限定されないが、例えば、第1診断を行うタイミングと同等であってもよいし、異なるタイミングであってもよい。
【0103】
図7に示したステップS250でMCU18は、第2診断の実行を指示するための上述した指示信号をセル電圧測定回路20に出力する。
【0104】
次のステップS252でMCU18は、入力されたデジタル値Voutが、抵抗素子R2の抵抗値r2と電流Ixとを乗算した値(r2×Ix)のデジタル値以下であるか否かを判定する。デジタル値Voutが抵抗値r2と電流Ixとを乗算した値(r2×Ix)のデジタル値以下の場合、ステップS252の判定が肯定判定となり、ステップS254へ移行する。
【0105】
第2バッファアンプ28に電源電圧として電圧VCCUPが正常に供給される場合、上述したように、電圧V1−2は抵抗値r2と電流Ixとを乗算した値(r2×Ix)よりも大きくなる。そのため、本実施形態のセル電圧測定回路20では、デジタル値Voutは、抵抗値r2と電流Ixとを乗算した値(r2×Ix)のデジタル値よりも大きくなる。
【0106】
そのため、ステップS254で第2バッファアンプ28の電源電圧の供給状態が正常であると診断した後、本第2診断処理を終了する。
【0107】
一方、デジタル値Voutが抵抗値r2と電流Ixとを乗算した値(r2×Ix)のデジタル値よりも大きい場合、ステップS252の判定が否定判定となりステップS256へ移行する。
【0108】
上述したように、第2バッファアンプ28に供給される電源電圧が電圧VCCUP未満の場合、デジタル値Voutは、抵抗値r2と電流Ixとを乗算した値(r2×Ix)のデジタル値以下になる。そのため、ステップS256でMCU18は、第2バッファアンプ28への電源電圧の供給状態が異常であると診断した後、本第2診断処理を終了する。
【0109】
このように本実施形態のセル電圧測定回路20では、第1診断動作を行う場合、第1バッファアンプ26の非反転端子には、電圧VCCUPから抵抗値r1と電流Ixとを乗算した値(VCCUPP−r1×Ix)が減算された電圧が入力される。一方、第2バッファアンプ28の非反転端子には、電圧VCCが入力される。
【0110】
これにより、第1実施形態のセル電圧測定回路20と同様に、本実施形態のセル電圧測定回路20によれば、レベルシフタ回路30から出力される電圧V1−2が0以下となった場合、昇圧回路36の動作、及び第1バッファアンプ26への電源電圧VCCUPの供給の少なくとも一方が異常であると診断することができる。
【0111】
また、本実施形態のセル電圧測定回路20では、第2診断動作を行う場合、第1バッファアンプ26の非反転端子には、電圧VCCUPから抵抗値r1と電流Ixとを乗算した値(r1×Ix)が減算された電圧が入力される。一方、第2バッファアンプ28の非反転端子には、電圧VCCUPから抵抗値r1と抵抗値r2とを加算した値に電流Ixを乗算した値{VCCUP−(r1+r2)×Ix}が減算された電圧が入力される。
【0112】
これにより、本実施形態のセル電圧測定回路20によれば、レベルシフタ回路30から出力される電圧V1−2が抵抗値r2と電流Ixとを乗算した値(r2×Ix)よりも大きくなった場合、第2バッファアンプ28への電源電圧VCCUPの供給が異常であると診断することができる。
【0113】
従って、本実施形態のセル電圧測定回路20によれば、容易な構成でより短時間にセル電圧測定回路20の動作状態の診断が可能となる。
【0114】
以上説明したように、上記各実施形態のセル電圧測定回路20は、電圧VCCを昇圧した電圧VCCUPを出力する昇圧回路36と、電圧VCCUPから予め定められた電圧を低減した低減電圧(VCCUP−r×Ix)を出力する抵抗素子R(R1)及び定電流源38と、抵抗素子Rと定電流源38との接続ノード(抵抗素子R1と抵抗素子R2との接続ノード)に非反転端子が接続された第1バッファアンプ26と、電圧VCCが非反転端子に入力される第2バッファアンプ28と、第1バッファアンプ26の出力と第2バッファアンプ28の出力との差分に応じた電圧を出力するレベルシフタ回路30と、を備える。
【0115】
上記構成を有することにより、本実施形態の電池監視システム10におけるセル電圧測定回路20によれば、容易な構成でより短時間にセル電圧測定回路20の動作状態の診断が可能となる。
【0116】
なお、上記各実施形態では、ADコンバータ32から出力されたデジタル値Voutに基づいて、各診断を行う形態について説明したが、これに限らず、レベルシフタ回路30から出力された電圧V1−2に基づいて、各診断を行ってもよい。
【0117】
また、上記各実施形態では診断処理、または第1診断処理及び第2診断処理をMCU18が行う形態について説明したが、各処理の一部または全部を、セル電圧測定回路20の制御部22等他MCU18以外で行ってもよい。
【0118】
また、第1実施形態の抵抗素子Rが本開示の抵抗素子の一例であり、第2実施形態の抵抗素子R1が本開示の第1抵抗素子の一例であり、第2実施形態の抵抗素子R2が本開示の第2抵抗素子の一例である形態について説明したが、これらに限らず、各抵抗素子は、任意の抵抗値を負荷することが可能な素子であれば限定されない。
【0119】
また、その他の上記各実施形態で説明した電池監視システム10、セル電圧測定回路20、及び診断用回路34等の構成及び動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0120】
10 電池監視システム
14 電池セル群
18 MCU
20 セル電圧測定回路
22 制御部
26 第1バッファアンプ
28 第2バッファアンプ
30 レベルシフタ回路
32 ADコンバータ
34 診断用回路
36 昇圧回路
38 定電流源
C1〜Cn 電池セル
R、R1、R2 抵抗素子
SW1−1、SW1−2、SW2−1、SW2−2、SW2−3 スイッチ素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7