(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成は、ヒューズを接続する電気回路にバスバーを用いているため、構成が大型化するとともに、製造コストが増加する原因となっていた。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、小型かつ安価な構成でヒューズ等の相手端子を取り付けることが可能な電気接続ホルダを提供することにある。
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の電気接続ホルダが提供される。即ち、この電気接続ホルダは、保持部材と、2つの接続端子と、を備える。2つの前記接続端子は、導電性を有し、並んで前記保持部材に固定される。それぞれの前記接続端子は、第1接続部と、第2接続部と、を備える。前記第1接続部は、平坦な接続面を介して相手端子に接触可能である。前記第2接続部は、前記第1接続部とは異なる位置で他の部材に電気的に接続可能である。それぞれの接続端子が有する前記接続面は、同一の仮想平面に含まれるように配置される。2つの前記接続端子が並べられる方向は、前記接続面と平行である。
それぞれの前記接続端子は、前記第2接続部を複数備える。前記第2接続部の先端には、他の部材に電気的に接続するための複数の接続凸部が設けられる。それぞれの前記接続凸部は、前記接続面と垂直な方向に突出している。
【0009】
これにより、小型かつ安価な構成でヒューズ等の相手端子を取り付けることが可能な電気接続ホルダを実現することができる。
接続端子が複数の接続凸部で他の部材に接続する構成であるため、大電流を流すのに好適である。また、接続端子に力が加わっても、複数の接続凸部で分担して受け止めることができ、耐久性を高めることができる。
【0010】
前記の電気接続ホルダにおいては、前記保持部材に配置され、前記相手端子を前記第1接続部に対してネジ止めするためのネジ部材を備えることが好ましい。
【0011】
これにより、端子をネジ止めによって強固に固定できるので、大電流が流れる相手端子との接続に好適な構成を実現できる。
【0012】
前記の電気接続ホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ネジ部材は、その軸が前記接続面と垂直となるように配置される。前記ネジ部材は、回転不能かつ軸方向移動可能となるように前記保持部材に配置される。
【0013】
これにより、ネジ止めに伴って発生する軸力が接続端子に直接的に作用しないので、応力が第2接続部に加わるのを大幅に低減することができる。
【0014】
前記の電気接続ホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、それぞれの前記接続端子は、前記第1接続部と前記第2接続部とを連結する連結部を備える。前記連結部は、前記接続面に対して垂直に延びる部分を有する。
【0015】
これにより、第1接続部から、垂直に延びる連結部を経て第2接続部に至る接続端子の簡素でコンパクトな構成を実現できる。
【0016】
前記の電気接続ホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記接続面は矩形状に形成される。前記連結部は、前記接続面の矩形が有する4つの辺のうち少なくとも1つの辺から延びるように構成されている。
【0017】
これにより、第1接続部から連結部に掛けて、大電流を流すのに好適な経路を構成することができる。
【0018】
前記の電気接続ホルダにおいては、前記連結部よりも、前記接続面が大きいことが好ましい。
【0019】
これにより、接続端子の全体としてコンパクトな構成を実現しつつ、相手端子に対して大きな面積で接触させることができる。
【0022】
前記の電気接続ホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、それぞれの前記接続端子において、前記接続凸部は直線状に複数並べて配置されている。前記接続凸部が複数並ぶ方向は、2つの前記接続端子の間で平行である。
【0023】
これにより、限られたスペースに接続凸部を効率良く配置することができる。また、2つの接続端子を保持部材に装着する作業も簡単に行うことができる。
【0024】
前記の電気接続ホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記保持部材は、前記接続面と垂直な方向で見たときに略長方形となるように形成されている。前記接続面と垂直な方向で見たとき、前記接続凸部が複数並ぶ方向は、前記保持部材の長方形が有する短辺に平行である。
【0025】
これにより、保持部材のコンパクトな構成を実現できる。
【0026】
前記の電気接続ホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この電気接続ホルダは、前記相手端子を前記第1接続部に対してネジ止めするためのネジ部材を備える。前記接続面と垂直な方向で見たとき、前記ネジ部材は多角形状に形成されており、前記接続凸部が並べられる方向が、前記ネジ部材の多角形の何れかの辺に平行である。
【0027】
これにより、ネジ部材と接続端子(接続凸部)を、コンパクトなスペースに収まり良く配置することができる。
【0028】
前記の電気接続ホルダにおいては、前記保持部材は、前記第2接続部が固定される部材に対して差し込んで固定するための固定凸部を備えることが好ましい。
【0029】
これにより、接続端子に何らかの力が加わった場合に、その力を固定凸部によって受け止めることができる。従って、接続凸部の部分に発生する応力を軽減し、耐久性を向上させることができる。
【0030】
前記の電気接続ホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記保持部材は、前記接続面と垂直な方向で見たときに略長方形となるように形成されている。前記保持部材の長方形が有する短辺に沿う向きで見たときに、前記固定凸部は、前記第2接続部が備える接続凸部と重ならない位置に配置されている。
【0031】
これにより、接続凸部と固定凸部とを外部から同時に視認し易くなるので、組立作業等における確認を簡単に行うことができる。
【0032】
前記の電気接続ホルダにおいては、それぞれの前記接続端子は、前記保持部材に圧入により固定されていることが好ましい。
【0033】
これにより、製造コストを低減することができる。
【0034】
前記の電気接続ホルダにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、それぞれの前記接続端子には、圧入のために前記保持部材に前記接続端子を差し込む方向とは異なる方向に突出する突起が形成される。前記突起は、前記保持部材に差し込まれている。
【0035】
これにより、圧入による強力な固定を実現することができる。
【0036】
前記の電気接続ホルダにおいては、前記保持部材において前記第2接続部に近い側の部分には、前記接続面に沿う向きで周囲に突出する周囲突出部が形成されていることが好ましい。
【0037】
これにより、保持部材の剛性を高めることができる。
【0038】
前記の電気接続ホルダにおいては、前記周囲突出部には、前記第2接続部が固定される部材に対して差し込んで固定するための固定凸部が配置されていることが好ましい。
【0039】
これにより、固定凸部と接続端子(例えば、接続凸部)とが干渉しないレイアウトを容易に実現することができる。
【0040】
前記の電気接続ホルダにおいては、前記相手端子は、ヒューズ又はリレーの端子であることが好ましい。
【0041】
即ち、本発明の構成は、大電流を流すためのヒューズ又はリレーを接続するためのホルダに適用されることが好適である。
【0042】
前記の電気接続ホルダにおいては、前記第2接続部は、電気基板に接続されることが好ましい。
【0043】
これにより、電気基板と別に設けられたバスバーを用いる構成ではなく、電気基板の導電パターンを用いて電流経路を構成するので、構成の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るヒューズホルダ1の全体的な構成を示す斜視図である。
図2は、ヒューズホルダの分解斜視図である。
図3は、接続端子31の複数の変形例を示す斜視図である。
【0046】
図1及び
図2に示すヒューズホルダ(電気接続モジュールとしての電気接続ホルダ)1は、電気基板60に対し、大電流用のヒューズ70を電気的に接続するために用いられる。
【0047】
電気基板60には、図示しないが、ヒューズ70と電気的に導通する導電パターンが形成される。電気基板60には、大電流を流すのに好適な、例えば数百マイクロメートル程度の厚みの銅箔が用いられている。
【0048】
このように、電気基板60の導電パターンを用いて電流経路が構成されるので、構成の簡素化及び低コスト化を実現することができる。即ち、従来は必要であったヒューズ専用のバスバーを廃止することで、バスバー部品の数を削減できるとともに、バスバーを製造するための金型製作費も減らすことができる。
【0049】
電気基板60は、メタル基板の一種であるメタルコア基板として構成されており、基板内部に金属板が配置されている。これにより、耐熱性及び放熱性を確保することができる。この金属板としては、銅又はアルミ等で構成することが考えられる。
【0050】
ヒューズホルダ1は、ホルダブロック(保持部材)11と、2つの接続端子31と、2つのナット(ネジ部材)51と、を備える。接続端子31は1対で設けられており、それぞれの接続端子31は、ヒューズ70が有する端子71に接触可能な接続面35を有している。ナット51は金属製であり、それぞれの接続端子31と対応するようにホルダブロック11に配置されている。
【0051】
ヒューズ70は、公知の構成であり、溶断部72と、この溶断部72を挟んで配置される1対の端子71と、を備える。この端子71は、ヒューズホルダ1が接続する相手側の電気部品の端子であることから、以下の説明では相手端子と呼ぶことがある。それぞれの端子71は平板状に形成されている。それぞれの端子71には、金属製のボルト81の軸部を通過させることが可能な貫通孔73が形成されている。
【0052】
ホルダブロック11は、電気絶縁性を有する合成樹脂を射出成型することにより、ブロック状に形成されている。このホルダブロック11は、ベース部12と、保持部13と、を一体的に形成した構成となっている。
【0053】
接続面35に垂直な方向で見たとき、ホルダブロック11は細長い略長方形となるように形成されている。この長方形の長辺の向きは、ヒューズ70において溶断部72から1対の端子71が延びる方向と平行であり、2つの接続端子31が並べられる方向と平行である。
【0054】
ベース部12は、所定の厚みを有する長方形の板状に構成されている。ベース部12には、2つの圧入ピン(固定凸部)21が一体的に形成されている。圧入ピン21が突出する向きは、前述の接続面35と垂直であり、かつ、当該接続面35から離れる向きである。それぞれの圧入ピン21の先端を、電気基板60に形成されている取付孔61に圧入することで、ベース部12(ホルダブロック11)を電気基板60に固定することができる。
【0055】
保持部13は、
図2に示すように、互いに間隔をあけて形成した1対のナットハウジング14を備える。それぞれのナットハウジング14は直方体状に形成される。また、それぞれのナットハウジング14には、接続面35に近い側(電気基板60と反対側)が開放する6角形の凹部15が形成されている。この凹部15には、中央にメネジ孔が形成された6角形のナット51が配置される。凹部15の開放部分は、ナットハウジング14を覆うようにホルダブロック11に取り付けられる接続端子31によって塞がれる。
【0056】
凹部15の6角形の大きさは、ナット51の6角形よりも僅かに大きくなっている。従って、凹部15に入れられたナット51は、ホルダブロック11に対して回転することができない。一方、凹部15の深さはナット51の厚みよりもある程度大きくなっているため、ナット51は、凹部15の内部でメネジ孔の軸方向に所定のストロークで移動することができる。凹部15の底部には、メネジ孔に捩じ込まれるボルト81の軸部を通過させることが可能な通過孔16が、ナット51のメネジ孔と対応する位置に形成されている。
【0057】
それぞれのナットハウジング14を挟むように、保持部13にガイド突起17が形成されている。このガイド突起17は、接続端子31が並べられる方向と垂直な方向で、それぞれのナットハウジング14の両側に配置されている。接続面35と垂直な向きで見たときに、ガイド突起17は細長い形状となっており、その長手方向は、接続端子31が並べられる方向と一致する。ホルダブロック11に接続端子31を取り付けた状態で、ガイド突起17は
図1に示すように、当該接続端子31の近傍を通過し、接続面35から更に突出する。
【0058】
このガイド突起17は、ヒューズ70の端子71を接続端子31にボルト81で固定するときに、当該端子71の縁に当たって位置ズレを規制するストッパとして機能する。これにより、ヒューズ70を取り付ける作業を効率的に行うことができる。
【0059】
図2に示すように、1対で配置されるガイド突起17の互いに対向する面には、ナット51の6角形の角部を通過させることが可能なV字状のガイド溝が形成されている。このガイド溝は、ナットハウジング14に形成される凹部15の6角形の角部と実質的に接続するように構成される。これにより、ナット51を凹部15に入れる作業が簡単になる。
【0060】
それぞれのナットハウジング14を挟むように、保持部13には、接続端子31を圧入するためのスリット溝18が形成されている。このスリット溝18は、接続端子31が並べられる方向と同一の方向で、それぞれのナットハウジング14の両側に配置されている。接続面35と垂直な向きで見たときに、スリット溝18の長手方向は、接続端子31が並べられる方向と垂直である。それぞれのスリット溝18は、接続面35と垂直な方向でホルダブロック11を貫通するように形成されている。
【0061】
2つのナットハウジング14の間には、相対的に凹となった窪み部19が形成されている。この窪み部19には、ヒューズ70が有する溶断部72を配置することができる。
【0062】
2つの接続端子31は、導電体からなる板を打ち抜いてU字状に折り曲げることにより形成されている。2つの接続端子31の構成は互いに同一である。それぞれの接続端子31は、第1接続部36と、第2接続部37と、連結部38と、を一体的に形成して構成されている。
【0063】
第1接続部36は、平坦な長方形の板状に形成されており、その厚み方向一側の面は、矩形状の接続面35となっている。この接続面35は、ヒューズ70が有する端子71の厚み方向一側の面に接触することができる。接続端子31をホルダブロック11に取り付けたとき、第1接続部36のうち前記接続面35と反対側の面は、凹部15に配置されるナット51の軸方向端面に対面する。第1接続部36の中央には、ボルト81の軸部を通過させることが可能な差込孔39が形成されている。ナット51と異なり、差込孔39にはメネジが形成されていないので、差込孔39はボルト81とネジ結合しない。
【0064】
第2接続部37の先端には、電気基板60に半田付けすることが可能な複数の接続ピン(接続凸部)41が設けられる。この接続ピン41は、1つの接続端子31につき6つ設けられ、それぞれが、電気基板60に形成された貫通孔62に差し込まれる。それぞれの接続ピン41は、電気基板60に配置される導電パターンに対し、それぞれ半田付けにより電気的に接続され、かつ機械的に固定される。このように、電気基板60に対する接続箇所を複数にすることで、大電流を流すことが容易になるとともに、接続箇所に加わる応力を分散させることができる。
【0065】
具体的に説明すると、第2接続部37は第1接続部36を挟むように1対で(2つ)配置される。それぞれの第2接続部37は、直線状に並べられた3つの接続ピン41を備える。それぞれの接続ピン41は細長く形成され、その先端は、接続面35と垂直な方向に突出している。それぞれの第2接続部37において、3つの接続ピン41は、2つの接続端子31が並ぶ方向と垂直な方向に並んでいる。
【0066】
ホルダブロック11に対して、2つの接続端子31は互いに同一の向きで取り付けられる。従って、各第2接続部37において3つの接続ピン41が並べられる向きは、2つの接続端子31の間で平行となっている。また、3つの接続ピン41が並べられる向きは、接続面35と垂直な向きで見たときに、ホルダブロック11が有する長方形の短辺と平行になっている。これにより、接続ピン41のコンパクトなレイアウトを実現することができる。
【0067】
また、第2接続部37において3つの接続ピン41が並べられる向きは、ナット51の6角形が有する6つの辺のうち1つに平行となっている。これにより、ナット51及び接続端子31のコンパクトなレイアウトを実現できる。
【0068】
更に、圧入ピン21は
図1に示すように、3つの接続ピン41が並べられる仮想直線に対して、適宜の距離L1,L2だけオフセットした構成となっている。従って、3つの接続ピン41が並ぶ線に沿う方向で見たとき、当該接続ピン41と、圧入ピン21と、を同時に視認することができるので、外部から接続及び固定が適切に行われているかどうかを外部から目視で確認することが容易になる。
【0069】
連結部38は、矩形の板状に構成されており、接続端子31が有する第1接続部36と第2接続部37とを互いに連結している。連結部38も第2接続部37と同様に、第1接続部36を挟むように1対で配置されている。
【0070】
連結部38は、矩形状に構成された接続面35において互いに対向する2つの辺から、それぞれ接続面35と垂直な向きに延びるように形成されている。連結部38は、接続端子31の矩形の1辺と同一の幅を保ちつつ延びるように構成されており、これにより、大電流を流すのに好適な構成を実現でき、かつ、放熱性が良好となっている。
【0071】
ただし、連結部38の大きさと接続面35(第1接続部36)の大きさとを比較すると、接続面35の方が大きくなっている。これにより、接続端子の全体としてコンパクトな構成を実現しつつ、ヒューズ70の端子71に対して大きな面積で接触させることができる。第1接続部36と連結部38とは、互いに垂直に接続している。
【0072】
それぞれの連結部38において、3つの前記接続ピン41が並ぶ向きでの両端には、小さな突起42が形成されている。この突起42は、接続面35から連結部38が延びる方向とは異なる向き、具体的には、連結部38が延びる方向と垂直な向きに突出している。この突起42は、ホルダブロック11に形成されたスリット溝18の長手方向端部に差し込まれる。
【0073】
接続端子31をホルダブロック11に圧入した状態では、連結部38がスリット溝18の内部に位置し、第2接続部37は
図1に示すように、接続面35に対して、ホルダブロック11を挟んで反対側に突出している。このように、ヒューズ70側から見てホルダブロック11によって隠れた位置に第2接続部37が配置されているので、省スペース化を良好に実現することができる。
【0074】
ヒューズ70をヒューズホルダ1に取り付ける場合、作業者はボルト81の軸部を端子71の貫通孔73に通過させるとともに、当該軸部の先端を、接続端子31の差込孔39からナットハウジング14の内部に差し込む。この状態で、ボルト81をナット51のメネジ孔に捩じ込んで締め付ける。これにより、端子71を接続面35に圧接するように取り付けることができる。
【0075】
ボルト81で締め付けるとき、当該ボルト81にネジ結合するナット51には、ネジ送りによる軸力が発生する。しかしながら、本実施形態においては、接続端子31はナット51に対して固着されておらず、ナット51はナットハウジング14の凹部15においてボルト81の軸方向で移動可能となっている。従って、ネジ締結に伴う軸力が接続端子31に伝達されにくくなるので、接続端子31と電気基板60との半田付け箇所に応力が発生することを防止できる。
【0076】
接続端子31が並べられる方向は、接続面35と平行となっている。また、2つの接続端子31が有する接続面35は、同一の仮想平面に含まれるように配置される。言い換えれば、2つの接続面35は、互いに平行であり、かつ、当該接続面35に垂直な方向のオフセットがゼロとなるように配置されている。これにより、ヒューズ70の端子71を変形させたりすることなく、2つの端子71を容易に接続面35に対してネジ止めすることができる。
【0077】
次に、圧入ピン21の配置について説明する。上述のとおり圧入ピン21はベース部12に配置されているが、接続面35と垂直な方向で見たとき、ベース部12は保持部13に対して、接続面35に平行な向きで周囲に突出している。この結果、ベース部12と保持部13との間に段差が形成される。このようにベース部12の周囲に突出部(周囲突出部20)が形成されることで、ホルダブロック11の剛性を高めることができる。
【0078】
そして、2つの圧入ピン21は何れも、上記の周囲突出部20に配置されている。従って、圧入ピン21の配置の自由度を確保しつつ、保持部13に配置される接続端子31(特に、接続ピン41)と圧入ピン21とが互いに干渉しないレイアウトを容易に実現することができる。
【0079】
以上に説明したように、本実施形態のヒューズホルダ1は、ホルダブロック11と、2つの接続端子31と、を備える。2つの接続端子31は、導電性を有し、並んでホルダブロック11に固定される。それぞれの接続端子31は、第1接続部36と、第2接続部37と、を備える。第1接続部36は、平坦な接続面35を介してヒューズ70の端子71に接触可能である。第2接続部37は、第1接続部36とは異なる位置で電気基板60に電気的に接続可能である。それぞれの接続端子31が有する接続面35は、同一の仮想平面に含まれるように配置される。2つの接続端子31が並べられる方向は、接続面35と平行である。
【0080】
これにより、小型かつ安価な構成でヒューズ等の端子(相手端子)71を取り付けることが可能なヒューズホルダ1を実現することができる。
【0081】
また、本実施形態のヒューズホルダ1は、ホルダブロック11に配置され、ヒューズ70の端子71を第1接続部36に対してネジ止めするためのナット51を備える。
【0082】
これにより、端子71をネジ止めによって強固に固定できるので、大電流が流れる相手端子との接続に好適な構成を実現できる。
【0083】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、ナット51は、その軸が接続面35と垂直となるように配置される。ナット51は、回転不能かつ軸方向移動可能となるようにホルダブロック11に配置されている。
【0084】
これにより、ネジ止めに伴って発生する軸力が接続端子31に直接作用しないので、応力が第2接続部37(半田付けされる部分)に加わるのを防止することができる。
【0085】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、それぞれの接続端子31は、第1接続部36と第2接続部37とを連結する連結部38を備える。連結部38は、接続面35に対して垂直に延びる部分を有する。
【0086】
これにより、第1接続部36から、垂直に延びる連結部38を経て第2接続部37に至る接続端子31の簡素でコンパクトな構成を実現できる。
【0087】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、接続面35は矩形状に形成される。連結部38は、接続面35の矩形が有する4つの辺のうち2つの辺から延びるように構成されている。
【0088】
これにより、第1接続部36から連結部38に掛けて、大電流を流すのに好適な経路を構成することができる。
【0089】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、それぞれの連結部38の大きさよりも、接続面35が大きくなっている。
【0090】
これにより、接続端子31の全体としてコンパクトな構成を実現しつつ、ヒューズ70の端子71に対して大きな面積で接触させることができる。
【0091】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、それぞれの接続端子31は、第2接続部37を複数備える。第2接続部37の先端には、電気基板60に電気的に接続するための複数の接続ピン41が設けられる。それぞれの接続ピン41は、接続面35と垂直な方向に突出している。
【0092】
これにより、接続端子31が複数の接続ピン41で電気基板60に接続する構成であるため、大電流を流すのに好適である。また、接続端子31に力が加わっても、複数の接続ピン41で分担して受け止めることができ、耐久性を高めることができる。
【0093】
また、本実施形態のヒューズホルダ1においては、それぞれの接続端子31において、接続ピン41は直線状に複数並べて配置されている。接続ピン41が複数並ぶ方向は、2つの接続端子31の間で平行である。
【0094】
これにより、限られたスペースに接続ピン41を効率良く配置することができる。また、2つの接続端子31をホルダブロック11に装着する作業も効率良く行うことができる。
【0095】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、ホルダブロック11は、接続面35と垂直な方向で見たときに略長方形となるように形成されている。接続面35と垂直な方向で見たとき、接続ピン41が複数並ぶ方向は、ホルダブロック11の長方形が有する短辺に平行である。
【0096】
これにより、ホルダブロック11のコンパクトな構成を実現できる。
【0097】
また、本実施形態のヒューズホルダ1は、ヒューズ70の端子を第1接続部36に対してネジ止めするためのナット51を備える。接続面35と垂直な方向で見たとき、ナット51は6角形状に形成されており、3本の接続ピン41が並べられる方向が、ナット51の6角形の何れかの辺に平行である。
【0098】
これにより、ナット51と接続端子31(接続ピン41)を、コンパクトなスペースに収まり良く配置することができる。
【0099】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、ホルダブロック11は、第2接続部37が固定される部材に対して差し込んで固定するための圧入ピン21を備える。
【0100】
これにより、接続端子31に何らかの力が加わった場合に、その力を圧入ピン21によって受け止めることができる。従って、接続ピン41の部分に発生する応力を軽減し、耐久性を向上させることができる。
【0101】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、ホルダブロック11は、接続面35と垂直な方向で見たときに略長方形となるように形成されている。ホルダブロック11の長方形が有する短辺に沿う向きで見たときに、圧入ピン21は、第2接続部37が備える接続ピン41と重ならない位置に配置されている。
【0102】
これにより、接続ピン41と圧入ピン21とを外部から同時に視認し易くなるので、組立作業等における確認を簡単に行うことができる。
【0103】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、それぞれの接続端子31は、ホルダブロック11に圧入により固定されている。
【0104】
これにより、製造コストを低減することができる。
【0105】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、それぞれの接続端子31には、圧入のためにホルダブロック11に接続端子31を差し込む方向とは異なる方向に突出する突起42が形成される。突起42は、ホルダブロック11に差し込まれている。
【0106】
これにより、圧入による強固な固定を実現することができる。
【0107】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、ホルダブロック11において第2接続部37に近い側の部分には、接続面35に沿う向きで周囲に突出する周囲突出部20が形成される。
【0108】
これにより、ホルダブロック11の剛性を高めることができる。
【0109】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、周囲突出部20に圧入ピン21が配置されている。
【0110】
これにより、圧入ピン21と接続端子31とが互いに干渉しないレイアウトを容易に実現することができる。
【0111】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、第1接続部36が接続可能である端子71は、ヒューズ70の端子である。
【0112】
即ち、本実施形態の構成は、大電流を流すためのヒューズホルダに適用すると好適である。
【0113】
また、本実施形態のヒューズホルダ1において、第2接続部37は電気基板60に接続される。
【0114】
これにより、電気基板60と別に設けられたバスバーを用いる構成ではなく、電気基板60の導電パターンを用いて電流経路を構成するので、構成の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【0115】
次に、接続端子31の複数の変形例について説明する。
図3は、接続端子31の複数の変形例を示す斜視図である。本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0116】
図3(a)に示す接続端子31aは、第2接続部37及び連結部38を1つずつ有し、L字状に形成されている。連結部38は、矩形状の接続面35の1つの辺から延びている。
【0117】
図3(b)に示す接続端子31bは、第2接続部37及び連結部38を3つずつ有している。連結部38は、矩形状の接続面35の3つの辺からそれぞれ延びている。
【0118】
図3(c)に示す接続端子31cは、第2接続部37及び連結部38を4つずつ有している。連結部38は、矩形状の接続面35の4つの辺からそれぞれ延びている。
【0119】
このように、接続端子31が備える第2接続部37及び連結部38の数は、1個以上4個以下の範囲で任意に変更することができる。
【0120】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0121】
第2接続部37の1つあたりに備えられる接続ピン41の数は任意である。ただし、上記の実施形態のように大電流を流す用途で用いられる場合は、接続ピン41が複数あることが好ましい。
【0122】
6角形の凹部15の向き(言い換えれば、ホルダブロック11にナット51が取り付けられる向き)は、
図2に示す向きに限定されず、例えば
図2に示す向きから30°回転させた向きとすることもできる。
【0123】
ナット51は、6角形に限らず、他の多角形状、例えば4角形のナットに変更することもできる。また、ナット51ではなくボルトの頭部を前記凹部15に収容し、当該ボルトの軸部が差込孔39から外部に出るように変更することもできる。この場合は、その軸部にナットを捩じ込むことで端子71を固定することになる。
【0124】
ヒューズホルダ1及び電気基板60の向きは、
図1に示すように水平向きとすることに限定されず、横向き等の任意の向きに変更することもできる。また、ヒューズホルダ1は、電気基板以外の部品に取り付けることもできる。
【0125】
本発明は、ヒューズ70以外の電気部品、例えばリレーを電気基板に電気的に接続するために用いることもできる。