特許第6989456号(P6989456)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6989456入出庫システムおよび入出庫システムの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989456
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】入出庫システムおよび入出庫システムの使用方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20211220BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20211220BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20211220BHJP
   F24F 9/00 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   F25D23/02 301Z
   F25D23/06 303T
   F25D21/04 N
   F24F9/00 C
   F24F9/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-138443(P2018-138443)
(22)【出願日】2018年7月24日
(65)【公開番号】特開2020-16367(P2020-16367A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2021年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】増井 克教
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 延王
(72)【発明者】
【氏名】間中 昭文
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−072981(JP,A)
【文献】 特開2013−013434(JP,A)
【文献】 特開2005−187201(JP,A)
【文献】 特開2004−077113(JP,A)
【文献】 特開2002−303477(JP,A)
【文献】 特開2006−349221(JP,A)
【文献】 特開昭53−139264(JP,A)
【文献】 実開昭55−077788(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 23/06
F25D 21/04
F24F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフトによって被冷凍品を入出庫する入出庫システムであって、
前記被冷凍品を冷凍保管する本庫と、
前記本庫に隣り合うように設けられ、冷却器が設置されていない前室と、
前記前室の前記本庫が設けられる側と反対側に隣り合うように設けられるとともに、エアカーテンを形成する形成部を備えるエアカーテン室と、
前記エアカーテン室の前記前室が設けられる側と反対側に隣り合うように設けられるとともに、前記被冷凍品の仕分けが行われる荷捌室と、
前記本庫および前記前室の間に設けられる左右開きの本庫防熱扉と、
前記前室および前記エアカーテン室の間に設けられる左右開きの前室防熱扉と、
前記エアカーテン室および前記荷捌室の間に設けられる上下開きのシートシャッターと、
前記本庫防熱扉、前記前室防熱扉、前記シートシャッター、および前記形成部の動作を制御する制御部と、を有する、入出庫システム。
【請求項2】
前記前室に設けられ、前記前室の内部を除湿するデシカント除湿装置をさらに有する、請求項1に記載の入出庫システム。
【請求項3】
前記前室内の前記エアカーテン室側の上方に設けられるのれんと、
前記のれんおよび前記デシカント除湿装置を連結する第1配管と、
前記デシカント除湿装置によって除湿された空気を吹き出す吹き出し部と、
前記デシカント除湿装置および前記吹き出し部を連結する第2配管と、をさらに有する、請求項2に記載の入出庫システム。
【請求項4】
前記形成部は、
前記荷捌室から前記前室への暖気の侵入を防止するためのエアカーテンを形成する第1形成部と、
前記前室から前記荷捌室への冷気の漏れを防止するためのエアカーテンを形成する第2形成部と、を有し、
前記第1形成部および前記第2形成部は互いに離間して配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の入出庫システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の入出庫システムの使用方法であって、
前記被冷凍品を入庫する際、前記制御部は、
予め前記前室防熱扉を開いた状態で、前記エアカーテンを形成させるとともに、前記シートシャッターおよび前記本庫防熱扉を開き、
前記リフトが停止することなく、前記荷捌室から、前記エアカーテン室および前記前室を介して前記本庫に移動する際に、前記リフトが前記シートシャッターを通過した後に前記シートシャッターを閉め、前記リフトが前記本庫防熱扉を通過した後に前記本庫防熱扉を閉め、
前記被冷凍品を出庫する際、前記制御部は、
予め前記前室防熱扉を開いた状態で、前記エアカーテンを形成させるとともに、前記本庫防熱扉および前記シートシャッターを開き、
前記リフトが停止することなく、前記本庫から、前記前室および前記エアカーテン室を介して前記荷捌室に移動する際に、前記リフトが前記本庫防熱扉を通過した後に前記本庫防熱扉を閉め、前記リフトが前記シートシャッターを通過した後に前記シートシャッターを閉める、入出庫システムの使用方法。
【請求項6】
前記被冷凍品を入庫する際、前記制御部は、
前記リフトが停止することなく、前記荷捌室から、前記エアカーテン室および前記前室を介して前記本庫に移動した後に、前記シートシャッターおよび前記本庫防熱扉を同時に閉め、
前記被冷凍品を出庫する際、前記制御部は、
前記リフトが停止することなく、前記本庫から、前記前室および前記エアカーテン室を介して前記荷捌室に移動した後に、前記本庫防熱扉および前記シートシャッターを同時に閉める、請求項5に記載の入出庫システムの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフトによって被冷凍品を入出庫する入出庫システムおよび入出庫システムの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高級冷凍マグロのような被冷凍品を保管する超低温冷凍庫の開発が種々行われている。
【0003】
これに関連して、例えば、下記の特許文献1には、冷凍庫の構造として、被冷凍品の入出庫時に冷凍庫内の冷気が漏れることを防止する目的で、冷凍庫の出入口に付帯して前室が設けられている構成が開示されている。また、下記の特許文献2には、外気よりも室温が低く設定された荷捌室に関する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−252883号公報
【特許文献2】特開2015−01445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、高級冷凍マグロを保管する超低温冷凍庫では、冷凍庫の庫内温度が−50℃以下になるように維持されている。
【0006】
従来の冷凍庫では、超低温の本庫、および本庫に隣り合うように設けられる前室の間に本庫防熱扉が設けられるとともに、前室、および前室に隣り合うように設けられる荷捌室の間に前室防熱扉が設けられる。また、前室は冷却器によって、−25℃に維持されている。また、本庫防熱扉および前室防熱扉は、被冷凍品の鮮度等の品質維持を図るため、同時に開かない構成となっている。
【0007】
従来の冷凍庫における入出庫の方法は、以下の通りである。
【0008】
被冷凍品の入庫時は、前室防熱扉を開放して、リフトが荷捌室から前室へ移動した後、前室防熱扉を閉じて、その後本庫防熱扉を開放して、リフトが前室から本庫へ移動した後、本庫防熱扉を閉める。
【0009】
一方、被冷凍品の出庫時は、本庫防熱扉を開放して、リフトが本庫から前室へ移動した後、本庫防熱扉を閉じて、その後前室防熱扉を開放して、リフトが前室から荷捌室へ移動した後、前室防熱扉を閉じる。
【0010】
このような従来の入出庫システムでは、前室内で、リフトを一旦停止させる必要があり、入出庫に時間がかかる。さらにリフトの停止に伴うスリップによる防熱扉への衝突という問題がある。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、被冷凍品を入出庫する際、リフトを停止させることなく移動させて、搬送時間を短縮するとともに、防熱扉への衝突を防止することのできる、入出庫システムおよび入出庫システムの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する入出庫システムは、リフトによって被冷凍品を入出庫する入出庫システムであって、前記被冷凍品を冷凍保管する本庫と、前記本庫に隣り合うように設けられ、冷却器が設置されていない前室と、前記前室の前記本庫が設けられる側と反対側に隣り合うように設けられるとともに、エアカーテンを形成する形成部を備えるエアカーテン室と、前記エアカーテン室の前記前室が設けられる側と反対側に隣り合うように設けられるとともに、前記被冷凍品の仕分けが行われる荷捌室と、前記本庫および前記前室の間に設けられる左右開きの本庫防熱扉と、前記前室および前記エアカーテン室の間に設けられる左右開きの前室防熱扉と、前記エアカーテン室および前記荷捌室の間に設けられる上下開きのシートシャッターと、前記本庫防熱扉、前記前室防熱扉、前記シートシャッター、および前記形成部の動作を制御する制御部と、を有する。
【0013】
また、上記目的を達成する入出庫システムの使用方法は、上述した入出庫システムの使用方法であって、前記被冷凍品を入庫する際、前記制御部は、予め前記前室防熱扉を開いた状態で、前記エアカーテンを形成させるとともに、前記シートシャッターおよび前記本庫防熱扉を開き、前記リフトが停止することなく、前記荷捌室から、前記エアカーテン室および前記前室を介して前記本庫に移動する際に、前記リフトが前記シートシャッターを通過した後に前記シートシャッターを閉め、前記リフトが前記本庫防熱扉を通過した後に前記本庫防熱扉を閉め、前記被冷凍品を出庫する際、前記制御部は、予め前記前室防熱扉を開いた状態で、前記エアカーテンを形成させるとともに、前記本庫防熱扉および前記シートシャッターを開き、前記リフトが停止することなく、前記本庫から、前記前室および前記エアカーテン室を介して前記荷捌室に移動する際に、前記リフトが前記本庫防熱扉を通過した後に前記本庫防熱扉を閉め、前記リフトが前記シートシャッターを通過した後に前記シートシャッターを閉める。
【発明の効果】
【0014】
このような入出庫システムおよび入出庫システムの使用方法によれば、被冷凍品を入出庫する際、リフトを停止させることなく移動させることができる。したがって、搬送時間を短縮するとともに、防熱扉への衝突を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る入出庫システムを示す概略斜視図である。
図2】本実施形態に係る入出庫システムを示す上面図である。
図3】本実施形態に係る入出庫システムを示す側面図である。
図4】第1形成部の構成を説明するための概略図である。
図5】制御部(リモコン)の構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<入出庫システム1>
本発明の実施形態を、図1図5を参照しつつ説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る入出庫システム1を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る入出庫システム1を示す上面図である。図3は、本実施形態に係る入出庫システム1を示す側面図である。図4は、第1形成部31の構成を説明するための概略図である。図5は、制御部80の構成を説明するための概略図である。本実施形態に係る入出庫システム1では、リフトRによって、高級冷凍マグロが搬送される。
【0018】
本実施形態に係る入出庫システム1は、図1図3に示すように、高級冷凍マグロを冷凍保管する本庫10と、本庫10に隣り合うように設けられる前室20と、前室20に隣り合うように設けられるエアカーテン室30と、エアカーテン室30に隣り合うように設けられる荷捌室40と、を有する。また、入出庫システム1は、本庫10および前室20の間に設けられる本庫防熱扉50と、前室20およびエアカーテン室30の間に設けられる前室防熱扉60と、エアカーテン室30および荷捌室40の間に設けられるシートシャッター70と、を有する。また、入出庫システム1は、本庫防熱扉50、前室防熱扉60、シートシャッター70等の動作を制御する制御部80と、を有する。以下、各構成について説明する。
【0019】
本庫10は、高級冷凍マグロを冷凍保管する倉庫である。本庫10には、冷凍装置(不図示)が配置されており、冷凍装置によって、本庫10の内部は、およそ−50℃以下に維持されている。冷凍装置としては、例えば、二元冷凍サイクルやエアーサイクル冷凍装置を用いることができる。
【0020】
前室20は、本庫10に隣り合うように設けられている。前室20の内部には、冷却器が設けられていない。本庫10および前室20の間には、本庫防熱扉50が設けられている。
【0021】
前室20の内部には、図1図3に示すように、デシカント除湿装置21と、のれん22と、第1配管23と、第2配管24と、吹き出し部25と、が設けられる。
【0022】
デシカント除湿装置21は、図3に示すように、台26の上に載置されている。のれん22は、前室20の上方であって、エアカーテン室30側(図3の左側)に配置されている。のれん22は、短冊状に構成されている。
【0023】
第1配管23は、のれん22およびデシカント除湿装置21を連結するように配置されている。第2配管24は、デシカント除湿装置21および吹き出し部25を連結するように配置されている。吹き出し部25は、前室20の本庫10側(図3の右側)であって、本庫防熱扉50の上方に設けられている。
【0024】
このように構成された前室20において、エアカーテン室30から前室20に漏れた比較的暖かく湿度の高い空気は、前室20の上方に移動して、のれん22に衝突してのれん22近傍に滞留する。そして、この空気は、不図示のファンによって、第1配管23を介して、デシカント除湿装置21に送られる。なお、滞留した空気を不図示の冷却コイルで予め冷却除湿して、デシカント除湿装置21に送る場合もある。空気は、デシカント除湿装置21の内部において、乾燥した空気となる。乾燥した空気は、第2配管24を介して、吹き出し部25に送られ、吹き出し部25から前室20の内部に送られる。以上から前室20の内部が除湿される。このため、前室20内の結氷や着霜を抑制でき、前室20の隣に配置されるエアカーテン室30に設けられる形成部31、32の氷結を防止できる。
【0025】
エアカーテン室30は、前室20に隣り合うように設けられる。エアカーテン室30および前室20の間には、前室防熱扉60が設けられている。
【0026】
エアカーテン室30の内部には、図1図3に示すように、第1形成部31と、第2形成部32と、が設けられている。第1形成部31は、第2形成部32に対して、荷捌室40側に設置されている。
【0027】
第1形成部31は、主に荷捌室40から前室20への暖気の侵入を防止し、第2形成部32は、主に前室20から荷捌室40への冷気の漏洩を防止するが、第1形成部31および第2形成部32は、それぞれ、荷捌室40から前室20への暖気の流入を防止し、前室20から荷捌室40への冷気の流出を防止するためのエアカーテンを形成している。
【0028】
第1形成部31および第2形成部32は、図3に示すように、リフトRの移動方向(図3の左右方向)に沿って、互いに離間して配置されている。このように第1形成部31および第2形成部32が互いに離間して配置されることによって、第1形成部31によって形成されるエアカーテンおよび第2形成部32によって形成されるエアカーテンが互いに干渉しない。したがって、好適にエアカーテンを形成することができ、暖気の侵入および冷気の漏れを好適に抑制することができる。
【0029】
第1形成部31および第2形成部32は、同一の構成であるため、以下、第1形成部31の構成について説明する。
【0030】
第1形成部31は、図1図4に示すように、正面から視て左側に位置する左側形成部31A、および右側に位置する右側形成部31Bを有する。左側形成部31Aの下方には、4つのファンF1が設けられている。また、右側形成部31Bの上方には、4つのファンF2が設けられている。
【0031】
左側形成部31Aの下方には、4つのファンF1に対向して、孔部H1が設けられている。右側形成部31Bの下方には、左側形成部31AのファンF1に対向して、孔部H2が設けられている。右側形成部31Bの上方には、4つのファンF2に対向して、孔部H3が設けられている。左側形成部31Aの上方には、右側形成部31BのファンF2に対向して、孔部H4が設けられている。孔部H1、H2、H3、H4の個数は特に限定されないが、例えば4つである。
【0032】
このように構成された第1形成部31によれば、右側形成部31BのファンF2によって、孔部H3を介して左側に向けて空気が移動し(矢印V1参照)、左側に向けて移動した空気は孔部H4を介して左側形成部31Aの内部に入って下方に向けて移動する(矢印V2参照)。そして、下方に向けて移動した空気は、ファンF1によって、孔部H1を介して右側に向けて移動し(矢印V3参照)、右側に向けて移動した空気は孔部H2を介して右側形成部31Bの内部に入って上方に向けて移動する(矢印V4参照)。この結果、左側形成部31Aおよび右側形成部31Bの間には、エアカーテンが図4の面方向に形成される。
【0033】
荷捌室40は、エアカーテン室30に隣り合うように設けられる。荷捌室40は、トラックで搬送された高級冷凍マグロの仕分けを行う部屋である。エアカーテン室30および荷捌室40の間には、シートシャッター70が設けられている。
【0034】
本庫防熱扉50は、左右開きとなるように構成されている。本庫防熱扉50の開閉は、制御部80によって制御される。本庫防熱扉50は、例えば、約12秒で全開する。
【0035】
前室防熱扉60は、左右開きとなるように構成されている。前室防熱扉60の開閉は、制御部80によって制御される。
【0036】
シートシャッター70は、上下開きとなるように構成されている。シートシャッター70の上下開きのスピードは、本庫防熱扉50および前室防熱扉60の左右開きのスピードよりも速いことが好ましい。この構成によれば、被冷凍品の入出庫に伴うシートシャッター70における出入口の外気の内部流入と冷気の外部流出という換気負荷の低減による省エネ効果および荷役作業の効率化を図ることができる。
【0037】
制御部80は、図2に示すように、本庫防熱扉50、前室防熱扉60、シートシャッター70、および形成部31、32の動作を制御する。制御部80は、例えば、リモコンである。
【0038】
制御部80は、本庫防熱扉50、前室防熱扉60、シートシャッター70、および形成部31、32に対して動作の信号を送信する送信部を備えている。本庫防熱扉50、前室防熱扉60、およびシートシャッター70は、送信部から送信された信号を受信して不図示の駆動部によって、開閉が行われる。また、形成部31、32は、送信部から送信された信号を受信して、エアカーテンのオン/オフが行われる。
【0039】
制御部(リモコン)80は、図5に示すように、作業中ボタン81と、作業終了ボタン82と、開放ボタン83と、閉鎖ボタン84と、を有する。作業中ボタン81を押すことによって、前室防熱扉60が開くとともに、エアカーテン室30内の形成部31、32によってエアカーテンが形成される。作業終了ボタン82を押すことによって、前室防熱扉60が閉じるとともに、エアカーテン室30の形成部31、32によって形成されるエアカーテンが停止する。開放ボタン83を押すことによって、本庫防熱扉50およびシートシャッター70が開く。閉鎖ボタン84を押すことによって、本庫防熱扉50およびシートシャッター70が閉じる。
【0040】
<入出庫システム1の使用方法>
次に、本実施形態に係る入出庫システム1の使用方法について説明する。以下、高級冷凍マグロを荷捌室40から本庫10に入庫する場合、および本庫10から荷捌室40に出庫する場合の使用方法についてそれぞれ説明する。
【0041】
まず、高級冷凍マグロを入庫する場合の使用方法について説明する。以下の各構成要素の動作は、作業者がリモコンを操作することによって行われる。
【0042】
高級冷凍マグロを入庫する場合、まず、作業者は、作業中ボタン81を押すことによって、前室防熱扉60を開くとともに、エアカーテン室30内の形成部31、32によってエアカーテンを形成する。そして、作業者は、開放ボタン83を押すことによって、シートシャッター70および本庫防熱扉50を開く。
【0043】
この状態で、作業者は、リフトRを停止させることなく、荷捌室40から、エアカーテン室30および前室20を介して、本庫10まで移動させる。リフトRを移動させる作業者およびリモコンを操作する作業者は、同一であっても異なっていてもよい。
【0044】
作業者は、リフトRがシートシャッター70および本庫防熱扉50を通過した後に、閉鎖ボタン84を押すことによって、シートシャッター70および本庫防熱扉50を同時に閉める。
【0045】
次に、高級冷凍マグロを出庫する場合の使用方法について説明する。
【0046】
高級冷凍マグロを出庫する場合、まず、作業者は、作業中ボタン81を押すことによって、前室防熱扉60を開くとともに、エアカーテン室30内の形成部31、32によってエアカーテンを形成する。そして、作業者は、開放ボタン83を押すことによって、本庫防熱扉50およびシートシャッター70を開く。
【0047】
この状態で、作業者は、リフトRを停止させることなく、本庫10から、前室20およびエアカーテン室30を介して、荷捌室40まで移動させる。作業者は、リフトRが本庫防熱扉50およびシートシャッター70を通過した後に、閉鎖ボタン84を押すことによって、本庫防熱扉50およびシートシャッター70を同時に閉める。
【0048】
ここで、従来の入出庫システムでは、入庫時は、前室防熱扉を開放して、リフトが荷捌室から前室へ移動した後、前室防熱扉を閉じて、本庫防熱扉を開放して、リフトが前室から本庫へ移動した後、本庫防熱扉を閉める。このため、前室内で、リフトを一旦停止させる必要があり、入出庫に時間がかかるとともにリフトの停止に伴うスリップによる防熱扉への衝突といった問題がある。
【0049】
これに対して、本実施形態に係る入出庫システム1の使用方法によれば、リフトRが停止することなく、入出庫できるため、移動時間を短縮することができる。さらに、リフトRの停止に伴うスリップによる本庫防熱扉50または前室防熱扉60への衝突を好適に防止することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る入出庫システム1は、リフトRによって高級冷凍マグロを入出庫する入出庫システム1である。入出庫システム1は、高級冷凍マグロを冷凍保管する本庫10と、本庫10に隣り合うように設けられ、冷却器が設置されていない前室20と、前室20の本庫10が設けられる側と反対側に隣り合うように設けられるとともに、エアカーテンを形成する形成部31、32を備えるエアカーテン室30と、エアカーテン室30の前室20が設けられる側と反対側に隣り合うように設けられるとともに、高級冷凍マグロの仕分けが行われる荷捌室40と、本庫10および前室20の間に設けられる左右開きの本庫防熱扉50と、前室20およびエアカーテン室30の間に設けられる左右開きの前室防熱扉60と、エアカーテン室30および荷捌室40の間に設けられる上下開きのシートシャッター70と、本庫防熱扉50、前室防熱扉60、シートシャッター70、および形成部31、32の動作を制御する制御部80と、を有する。このように構成された入出庫システム1によれば、高級冷凍マグロを入出庫する際、リフトRを停止させることなく移動させることができる。したがって、搬送時間を短縮するとともに、本庫防熱扉50または前室防熱扉60への衝突を防止することができる。
【0051】
また、入出庫システム1は、前室20に設けられ、前室20の内部を除湿するデシカント除湿装置21をさらに有する。このように構成された入出庫システム1によれば、前室20の内部を除湿することができるため、前室20内の結氷や着霜を抑制でき、エアカーテン室30の形成部31、32の氷結を防止できる。
【0052】
また、入出庫システム1は、前室20内のエアカーテン室30側の上方に設けられるのれん22と、のれん22およびデシカント除湿装置21を連結する第1配管23と、デシカント除湿装置21によって除湿された空気を吹き出す吹き出し部25と、デシカント除湿装置21および吹き出し部25を連結する第2配管24と、をさらに有する。このように構成された入出庫システム1によれば、のれん22に滞留した比較的暖かく湿度の高い空気を除湿するため、より好適に前室20内を低温低湿度にすることができる。
【0053】
また、形成部31、32は、荷捌室40から前室20への暖気の侵入を防止するためのエアカーテンを形成する第1形成部31と、前室20から荷捌室40への冷気の漏れを防止するためのエアカーテンを形成する第2形成部32と、を有し、第1形成部31および第2形成部32は互いに離間して配置される。このように構成された入出庫システム1によれば、第1形成部31によって形成されるエアカーテンおよび第2形成部32によって形成されるエアカーテンが互いに干渉しないため、好適にエアカーテンを形成することができる。
【0054】
また、以上説明したように、本実施形態に係る入出庫システム1の使用方法において、高級冷凍マグロを入庫する際、制御部80は、予め前室防熱扉60を開いた状態で、エアカーテンを形成させるとともに、シートシャッター70および本庫防熱扉50を開き、リフトRが停止することなく、荷捌室40から、エアカーテン室30および前室20を介して本庫10に移動する際に、リフトRがシートシャッター70を通過した後にシートシャッター70を閉め、リフトRが本庫防熱扉50を通過した後に本庫防熱扉50を閉める。また、高級冷凍マグロを出庫する際、制御部80は、予め前室防熱扉60を開いた状態で、エアカーテンを形成させるとともに、本庫防熱扉50およびシートシャッター70を開き、リフトRが停止することなく、本庫10から、前室20およびエアカーテン室30を介して荷捌室40に移動する際に、リフトRが本庫防熱扉50を通過した後に本庫防熱扉50を閉め、リフトRがシートシャッター70を通過した後にシートシャッター70を閉める。この使用方法によれば、高級冷凍マグロを入出庫する際において、リフトRを停止させることなく移動させることができる。したがって、搬送時間を短縮するとともに、本庫防熱扉50または前室防熱扉60への衝突を防止することができる。
【0055】
また、高級冷凍マグロを入庫する際、制御部80は、リフトRが停止することなく、荷捌室40から、エアカーテン室30および前室20を介して本庫10に移動した後に、シートシャッター70および本庫防熱扉50を同時に閉め、高級冷凍マグロを出庫する際、制御部80は、リフトRが停止することなく、本庫10から、前室20およびエアカーテン室30を介して荷捌室40に移動した後に、本庫防熱扉50およびシートシャッター70を同時に閉める。この使用方法によれば、本庫防熱扉50およびシートシャッター70の開閉を同時にすることができるため、制御がより容易となる。
【0056】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0057】
例えば、上述した実施形態では、前室20には、デシカント除湿装置21が設けられていたが、デシカント除湿装置21が設けられていなくてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、入出庫システム1には、のれん22、第1配管23、第2配管24、および吹き出し部25が設けられていたが、これらは設けられていなくてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、2つの形成部31、32が設けられていたが、1つまたは3つ以上の形成部が設けられていてもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、リフトRが入出庫する際、シートシャッター70および本庫防熱扉50は同時に閉まっていたが、互いに異なるタイミングで閉まってもよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、本庫10によって冷凍する対象として、高級冷凍マグロを例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【0062】
また、上述した実施形態では、第1形成部31および第2形成部32は、互いに離間して配置されていたが、離間することなく隣接して配置されていてもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、リモコンの閉鎖ボタン84を押すことによって、本庫防熱扉50およびシートシャッター70を閉めたが、所定の時間設定したタイマーによって本庫防熱扉50およびシートシャッター70を閉める構成であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 入出庫システム、
10 本庫、
20 前室、
21 デシカント除湿装置、
22 のれん、
23 第1配管、
24 第2配管、
25 吹き出し部、
30 エアカーテン室、
31、32 形成部、
40 荷捌室、
50 本庫防熱扉、
60 前室防熱扉、
70 シートシャッター、
80 制御部、
R リフト。
図1
図2
図3
図4
図5