(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板が、前記誘電体材料の隆起領域と、前記誘電体材料のトレンチ領域とを含むパターン誘電体材料を含む表面を備え、前記隆起領域の高さと前記トレンチ領域の高さの差がステップ高さである、請求項1に記載の方法。
前記除去速度加速剤が、アセトヒドロキサム酸、ベンゾヒドロキサム酸、サリチルヒドロキサム酸、N−ヒドロキシウレタン、N−bocヒドロキシルアミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
前記パターン誘電体材料が、酸化ケイ素、テトラエトキシシラン、ホスホシリケートガラス、またはボロホスホシリケートガラスから選択される誘電体材料からなる、請求項6に記載の方法。
前記研削粒子が、40〜100ナノメートルのメジアン粒径を有する湿式法セリア粒子であり、前記研磨組成物中に0.005重量パーセント〜2重量パーセントの濃度で存在し、少なくとも300ナノメートルの粒径分布を有する、請求項17記載の組成物。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスデバイスを製造するプロセスでは、導電性、半導体性、及び誘電体性の材料の複数の層が基板の表面上に段階的に堆積される。その層の一部は、除去され、続いて材料を選択的に添加及び除去することによってさらに加工することができ、そのすべては非常な正確さで行われる。層が基板上に堆積され、次いで基板から除去されると、基板の最上面は非平面になる場合がある。より多くの材料を追加する前に、非平面の表面は、後の層及び加工のための滑らかな表面を生成させるために「平坦化」によって時に加工される。
【0003】
非平面表面を平坦化または研磨することは、非平面表面の材料を除去して高度に平坦な表面を残すプロセスである。平坦化は、望ましくない表面トポグラフィ、例えば粗い(凹凸)表面、または欠陥、例えば凝集した材料、結晶格子損傷、スクラッチ、もしくは汚染された層または材料を除去するのに有用である。1つの特定の用途では、平坦化は、堆積層が凹凸表面を示す場合、下の単層または複層のチャネルまたはホール等の形状を充填するために基板表面上に堆積された過剰な材料を除去する。
【0004】
化学的機械的平坦化、または化学機械的研磨(CMP)は、マイクロデバイス製造において基板を平坦化するための確立された商業的技術である。CMPは、CMP組成物として知られている液体化学組成物、あるいは研磨組成物、研磨スラリー、またはCMPパッドと組み合わせてスラリーのみを使用して、非平面基板表面から材料を機械的かつ化学的に除去する。スラリーは、典型的には、スラリーが適用されたCMP研磨パッドと基板の表面を接触させることによって基材に適用することができる。材料は、典型的には、スラリーに含まれる研削材の機械的活性と、スラリーの化学材料の化学的活性との組み合わせによって、基材表面から除去される。
【0005】
マイクロエレクトロニクスデバイスのサイズを縮小させる方向への継続的な進歩のためには、デバイスを構成するコンポーネントは、より小さいものでなければならず、かつより密接に配置されなければならない。回路間の電気的分離は、ピーク半導体性能を確保する上で重要であるが、より小さいデバイスでは増々困難になる。この目的のために、様々な製造方法は、浅いトレンチを半導体基板中にエッチングし、次いでそのトレンチを絶縁材料で充填し、それによって集積回路の近傍活性区域を分離することを含む。そのようなプロセスの1つの例は、シャロートレンチアイソレーション(STI)と呼ばれている。これは、半導体層が基板上に形成され、浅いトレンチがエッチングまたはフォトリソグラフィによって半導体層中に形成され、誘電体材料がエッチング表面上に堆積されてトレンチを充填するプロセスである。
【0006】
確実にトレンチを完全に充填するために、過剰量の誘電体材料がエッチング表面上に堆積される。堆積誘電体材料(例えば酸化ケイ素)は、トレンチにおけるトポグラフィを含む、下地半導体基板のトポグラフィに適合する。したがって、誘電体材料が置かれた後、その堆積誘電体材料の表面は、誘電体材料中のトレンチによって分離された誘電体材料の隆起領域の凹凸の組み合わせによって特徴付けられ、その隆起領域及びトレンチは下地表面の隆起領域及びトレンチに対応している。隆起誘電体材料及びトレンチを含む基板表面の区域は、基板のパターンフィールド、例えば「パターン材料」、「パターン酸化物」、「パターン誘電体」等と呼ばれる。この区域は、トレンチ高さに対する誘電体材料の隆起領域の高さにおける差である「ステップ高さ」によって特徴付けられる。隆起領域を構成する過剰な誘電体材料は、CMPプロセスによって除去されて平坦な表面を生成する。
【0007】
パターン誘電体材料を除去するための化学機械研磨プロセスは、様々な研磨速度(すなわち除去速度)、トレンチ損失、平坦化効率、及び「自己停止」挙動の非常に望ましい特性を含む性能パラメータによって特徴付けることができる。
【0008】
除去速度は、単位時間当たりの長さ(厚さ)の単位(例えば1分当たりのオングストローム(Å))によって通常表される、基板の表面からの材料の除去速度を指す。基板の異なる区域に関する、または除去ステップの異なる段階に関する異なる除去速度は、プロセス性能を評価する上で重要であり得る。「パターン除去速度」(あるいは「活性」除去速度)は、基板の所望の(「活性」または「標的」)領域からの材料の除去速度であり、例えば、基板が実質的なステップ高さを示すプロセスの段階におけるパターン誘電体の隆起領域からの誘電体材料の除去速度である。「ブランケット除去速度」とは、ステップ高さが有意に(例えば実質的に完全に)低減されたとき、すなわち研磨工程の終わりにおける、平坦化(すなわち「ブランケット」)誘電体材料からの誘電体材料の除去率を指す。
【0009】
様々な誘電体研磨ステップでは(例えば、STI加工中またはNANDもしくは3D−NAND基板を加工しているとき)、パターン誘電体の除去速度はプロセス全体の律速因子である。したがって、パターン誘電体の高い除去速度が加工能力を増加させるために望ましい。化学物質をスラリーに含有させて、基板の活性領域または「標的」領域における基板の材料の除去速度を増加させることができる。除去速度「加速剤」または「ブースター」と時に呼ばれることがあるそのような化合物は、スラリーまたはCMPプロセスに対して異なる重大な負の効果、例えばスラリーの不安定性、より高い欠陥率、望ましくないトポグラフィ等も生じさせない場合にのみ有用である。過去には、ある種の特定の基板加工用途では、異なるタイプの化学的除去速度加速剤(chemical removal rate accelerator)が、他の特定のスラリー成分と組み合わせて使用されてきた。米国特許第6,863,592号は、金属酸化物研削粒子及びアニオン性ポリマー不動態化剤と組み合わせて使用される可能性のある除去速度加速剤としてホスフェート及びホスファイト化合物を記載している。可能性のある「除去速度加速剤」として、ホスフェート、ホスファイト、リン酸などを列挙する米国特許第6,914,001号も参照されたい。米国特許第6,436,834号は、他のタイプの化学物質を「研削加速剤」として列挙している。
【0010】
高い活性除去速度に加えて、誘電体基板を加工する際に重要な別の性能因子は、平坦化効率(PE)であり、それは「トレンチ損失」と関連がある。隆起領域誘電体材料の除去中に、ある量のトレンチの材料も除去される。トレンチからの材料のこの除去は「トレンチ損失」と呼ばれる。有用なCMPプロセスでは、トレンチからの材料の除去速度は隆起領域からの除去速度に比べてかなり低い。トレンチ損失は、初期のステップ高さを除去することによってパターン材料の平坦化を達成する際にトレンチから除去される材料の量(厚さ、例えばオングストローム(Å)単位)である。トレンチ損失は、初期トレンチ厚さから最終トレンチ厚さを差し引いたものとして計算される。平坦化効率は、平坦な表面になる間に生じるトレンチ損失の量当たりに達成されるステップ高さの減少量、すなわちステップ高さの減少をトレンチの損失で割ったものと関係がある。
【0011】
ある特定の基板を加工する際に、窒化ケイ素の高い除去速度も望ましくかつ有益である。窒化ケイ素は、ライナーとして3D NAND製造においてしばしば使用して、(誘電体)トレンチ領域を保護し、かつ平坦化効率を改善する。誘電体トレンチ領域を保護するために窒化ケイ素「ライナー」を含む基板を加工するとき、パターン活性領域上の窒化ケイ素ライナーは、最初に、比較的速い除去速度で(トレンチ領域に過度に影響を及ぼすことなく)除去されなければならない。そのような基板を加工する場合、スラリーは好ましくは、パターン誘電体に関する望ましく高い除去速度と、望ましく高い平坦化効率とを組み合わせて、比較的速い窒化ケイ素除去速度を示すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
基板の誘電体含有表面から誘電体材料を除去するのに有用であるCMP研磨組成物、別名「CMP組成物」、「研磨スラリー」、「研磨組成物」、「スラリー」等は以下で説明する通りである。そのスラリーは、パターン誘電体材料の区域を含有する基板の表面を研磨または平坦化するのに有用である。好ましいスラリーは、パターン誘電体材料の高い除去速度においても実施するプロセス、かつ、低いトレンチ損失及び高い研磨効率を提供するプロセスを使用して、パターン誘電体材料を研磨または平坦化するのに有用であり得る。
【0028】
記載のスラリーは、液体担体、除去速度加速剤、及びその液体担体中に分散された研削粒子を含む。そのスラリーは、任意には、他の化学物質、添加剤、または少量の成分、例えば特に界面活性剤、触媒、酸化剤、抑制剤、pH調整剤を含むことができる。
【0029】
除去速度加速剤は、以下の構造を有する置換ヒドロキサム酸またはヒドロキサミン誘導体を含む化合物であり、
【化3】
式中、Rは、直鎖または分枝鎖アルキル、アリール、置換アリール、または直鎖または分枝鎖アルコキシを有するアルコキシ基から選択される。用語「アルキル」は、分枝鎖及び直鎖の基が可能であり、飽和基(例えば−C
nH
2n+1)を指す。「置換」基は、炭素結合水素が、ハロゲン等の非水素原子によって、またはアミン、水酸化物等の官能基によって、置換される基を指す。除去速度加速剤は、任意の化学的形態で、例えば遊離酸形態または塩として、研磨組成物に含めることができる。式1の好ましい化合物において、アミン置換ヒドロキシ基の水素は少なくとも7、8、または9のpK
aを有し、それは、その化合物がスラリーの中性または酸性、すなわち7未満のpHにおいて、中性分子であることを意味している。
【0030】
ある特定の実施形態では、除去速度加速剤は、Rが、芳香族、例えばフェニル(ベンゾヒドロキサム酸)、2−ヒドロキシフェニル(サリチルヒドロキサム酸)等である置換ヒドロキサム酸である。
【0031】
ある特定の他の実施形態では、除去速度加速剤は、アルキルまたはアルコキシ置換基、好ましくは低級アルキル基(C1〜C4)または酸素と低級アルキル基(C1〜C4)から構成されているアルコキシを有するヒドロキサム酸誘導体である。例えばメチル基(アセトヒドロキサム酸)、tert−ブチル基(N−bocヒドロキサミン)、及びヒドロキシエチル基(N−ヒドロキシウレタン)が挙げられる:
【化4】
【化5】
【化6】
【0032】
ヒドロキサム酸及び種々の置換ヒドロキサム酸及びヒドロキサム酸誘導体は、CMPスラリー及びCMP加工において有用な形態(例えば塩または酸)と純度で市販されている。サリチルヒドロキサム酸(SHA)(別名SHAM、2−ヒドロキシベンゼンカルボゾルヒドロキサム酸、2−ヒドロキシベンゾヒドロキサム酸、N,2−ジヒドロキシベンズアミド)はミズーリ州セントルイスにあるSigma−Aldrich Co.LLCから純度99%で市販されている。
【0033】
除去速度加速剤は、所望のCMP加工性能を提供するのに有用な任意の量でスラリー中に存在させることができ、好ましい性能としては、パターン誘電体を研磨するときの望ましく高い誘電体除去速度、好ましくはまた望ましく高い平坦化効率、及び任意には、低いブランケット除去速度と、望ましく低いトレンチ損失と、自己停止挙動のうちの1つ上が挙げられる。ある特定の例示的なスラリーは、約5〜約3,000パーツパーミリオン(ppm)の除去速度加速剤(すなわち、慣例によれば、1リットルのスラリー当たりミリグラムの除去速度加速剤)を含むことができ、例えば約50〜約2,000ppm、約100ppm〜約1,500ppm、約100ppm〜約1,200ppm、約100ppm〜約1,000ppm、約100ppm〜約800ppm、約100ppm〜約750ppm、約100ppm〜約650ppm、約100ppm〜約500ppm、約250ppm〜約1000ppm、約250ppm〜約800ppm、約500ppm〜約1000ppm、または約500ppm〜約800ppmの除去速度加速剤を含むことができる。
【0034】
説明のスラリーは、任意の有用なタイプまたは量の研削粒子を含みことができる。好ましいスラリーは、パターン誘電体等の基板の非金属部分、例えば基板表面のパターン酸化物区域を研磨または平坦化するのに有効な粒子を含む。好ましい研削粒子の例としては、セリア(例えばCeO
2)またはジルコニア(例えばZrO
2)、シリカ(種々の形態のいずれか)の粒子またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
スラリーは、パターン誘電体を研磨するのに特に有用であり得るので、粒子は、銅、銀、タングステン等の金属、または別の金属を基板表面から除去することを目的とするあらゆる実質的な量の研削粒子を含む必要はなく、好ましくは除外することができる。したがって、好ましいスラリーの研削粒子は、セリア粒子、ジルコニア粒子、シリカ粒子、またはそれらの組み合わせからなることができるか、または実質的にからなることができ、好ましくは金属基板表面を研磨または平坦化するのに有用な粒子の非現実的な量を超えるあらゆる量を除外することができ、そのような粒子としては、金属表面を研磨するのに有用であることが知られているある特定のタイプの金属酸化物、例えばアルミナ粒子が挙げられる。そのようなスラリーは、スラリーの総重量を基準としてセリア系、シリカ系、またはジルコニア系粒子以外の研削粒子を0.1重量パーセント以下、例えば、スラリーの総重量を基準としてセリア系、シリカ系、またはジルコニア系粒子以外の研削粒子を0.05または0.01重量パーセント未満含有していてもよい。別の言い方をすれば、そのようなスラリーは、スラリー中の研削粒子の総重量当たりセリア系、シリカ系、またはジルコニア系粒子以外の研削粒子を0.5重量パーセント以下含有していてもよく、例えば、シリカ、またはジルコニアベースの粒子以外の研削剤粒子、例えば、スラリー中の研削粒子の総重量当たりセリア系、シリカ系、またはジルコニア系粒子以外の研削粒子を0.1、0.05、または0.01重量パーセント未満含有していてもよい。
【0036】
誘電体材料を研磨するのに有用なセリア粒子は、CMP技術で知られており、市販されている。例としては、特に、湿式法セリア、焼成セリア、及び金属ドープセリアと呼ばれるタイプが挙げられる。同様に、誘電体材料を研磨するのに有用なジルコニア粒子は、CMP技術で知られており、市販されている。例としては、特に、金属ドープジルコニア及び非金属ドープジルコニアが挙げられる。金属ドープジルコニアの中では、ドーパント元素の重量パーセンテージが好ましくは0.1〜25%の範囲のセリウム、カルシウム、マグネシウム、またはイットリウムがドープされたジルコニアである。
【0037】
適切なジルコニア粒子の例は、特許WO2012/092361(その全体が本明細書に組み込まれる)及びそこで引用されている参考文献に記載されている。本出願で記載されるスラリーに適するジルコニア粒子の例としては、単斜晶相、正方晶相、及び立方晶相、または混合相が挙げられる。ドーピング純度に関して、ジルコニア粒子は、セリア、カルシア、イットリア、マグネシア、またはそれらのいずれかの組み合わせを最大50重量%ドープすることができる。好ましい金属酸化物のドーピング範囲は0.1〜20重量%である。イットリアをドーパントとして使用するとき、ジルコニアは一般にイットリア安定化ジルコニアと呼ばれる。ジルコニア粒子は、例えば、約10〜1000nm、例えば30〜250nm等のD50(重量平均基準)を有する粒径分布を有する。ジルコニア粒子は、好ましくは酸性pH(例えばpH4.0)において正のゼータ電位を示す。ジルコニア粒子は、塩基を用いてその塩化物塩を沈殿させ、水熱処理の有無にかかわらず焼成することにより製造することができる。あるいは、炭酸ジルコニア(Zr(CO
3)(OH)
2)を焼成して直接製造することができる。好ましい焼成温度は、500℃〜1700℃の範囲であり、最も好ましくは750℃〜1100℃の範囲である。
【0038】
記載されているようなスラリーで使用するためのある特定の好ましいセリア粒子としては、“Polishing Composition Containing Ceria Abrasive”という名称の2015年3月に出願された本出願人の係属中の米国仮特許出願第14/639,564号に記載されているものが挙げられる。本明細書の好ましい研磨組成物は、湿式法セリア粒子を含むその仮出願に記載されているような研削粒子を含有することができる。その中では、大きさ、組成、調製方法、粒径分布、または他の機械的もしくは物理的特性に基づいて、単一のタイプの研削粒子または複数の異なるタイプの研削粒子を含有することができるスラリーが記載されている。その記載及び本明細書の記載は、スラリーが少なくともこの「第1の」研削粒子を含有するスラリーを指しており、そのスラリーは、少なくともこの「第1の」タイプの研削粒子を含有し、またその「第1の」研削粒子とは異なる追加の研削粒子を任意に含有していてもよいことを意味している。
【0039】
セリア研削粒子は、様々な異なるプロセスによって製造することができる。例えば、セリア研削粒子は、コロイド状セリア粒子を含む沈降セリア粒子または縮合重合セリア粒子であってもよい。
【0040】
もう1つの特定の例として、セリア研削粒子(例えば第1の研削粒子として)は、以下のプロセスに従って作製される湿式法セリア粒子であり得る。湿式法セリア粒子を合成する際の第1のステップは、セリア前駆体を水に溶解するステップであり得る。セリア前駆体は、任意の適切なセリア前駆体であることができ、任意の適切な電荷のセリアイオン、例えばCe
3+またはCe
4+を有するセリア塩を含むことができる。適切なセリア前駆物質としては、例えば硝酸セリウムIII、硝酸アンモニウムセリウムIV、炭酸セリウムIII、硫酸セリウムIV、及び塩化セリウムIIIが挙げられる。好ましくは、セリア前駆体は硝酸セリウムIIIである。
【0041】
セリア前駆体溶液のpHを上昇させて非晶質Ce(OH)
3を形成することができる。溶液のpHは、任意の適切なpHまで、例えば約10以上のpHまで、例えば約10.5以上のpHまで、約11以上のpHまで、または約12以上のpHまで上昇させることができる。典型的には、その溶液は約14以下のpH、例えば約13.5以下のpH、または約13以下のpHを有することになる。任意の適切な塩基を用いて溶液のpHを上昇させることができる。適切な塩基としては、例えばKOH、NaOH、NH
4OH、及び水酸化テトラメチルアンモニウムが挙げられる。エタノールアミン及びジエタノールアミン等の有機塩基も適する。その溶液は、pHが上昇し、非晶質Ce(OH)
3が形成されるにつれて、白く濁ることになる。
【0042】
セリア前駆体溶液は、典型的には、数時間、例えば約1時間以上など、例えば約2時間以上、約4時間以上、約6時間以上、約8時間以上、約12時間、約16時間以上、約20時間以上、または約24時間以上の間混合される。典型的には、その溶液は、約1時間〜約24時間、例えば約2時間、約8時間、または約12時間混合される。混合が完了したら、溶液を加圧容器に移して加熱することができる。
【0043】
次いで、セリア前駆体溶液を任意の適切な温度まで加熱することができる。例えば、溶液は、約50℃以上、例えば約75℃以上、約100℃以上、約125℃以上、約150℃以上、約175℃以上、または約200℃以上の温度まで加熱することができる。あるいは、またはさらに、溶液は、約500℃以下、例えば約450℃以下、約400℃以下、約375℃以下、約350℃以下、約300℃以下、約250℃以下、約225℃、または約200℃以下の温度まで加熱することができる。したがって、溶液は、上記の終点の任意の2つによって限定される範囲内の温度まで加熱することができる。例えば、溶液は、約50℃〜約300℃、例えば約50℃〜約275℃、約50℃〜約250℃、約50℃〜200℃、約75℃〜約300℃、約75℃〜約250℃、約75℃〜約200℃、約100℃〜約300℃、約100℃〜約250℃、または約100℃〜約225℃の温度まで加熱することができる。
【0044】
セリア前駆体溶液は典型的には数時間加熱される。例えば、溶液は、約1時間以上、例えば約5時間以上、約10時間以上、約25時間以上、約50時間、約75時間以上、約100時間以上、または約110時間以上の間加熱することができる。あるいは、またはさらに、溶液は、約200時間以下、例えば約180時間以下、約165時間以下、約150時間以下、約125時間以下、約115時間以下、または約100時間以下の間加熱することができる。したがって、溶液は、上記の終点の任意の2つによって限定される時間加熱することができる。例えば、溶液は、約1時間〜約150時間、例えば約5時間〜約130時間、約10時間〜約120時間、約15時間〜約115時間、または約25時間〜約100時間加熱することができる。
【0045】
加熱後、セリア前駆体溶液を濾過して沈殿セリア粒子を分離することができる。沈殿粒子は、過剰の水ですすいで未反応のセリア前駆体を除去することができる。沈殿粒子と過剰の水との混合物は、各すすぎステップ後に濾過して不純物を除去することができる。十分に洗浄したら、セリア粒子は、追加の加工のために、例えば焼結のために、乾燥させることができるか、またはセリア粒子は直接再分散させることができる。
【0046】
セリア粒子は、任意に、再分散前に乾燥させ、焼結させることができる。用語「焼結」及び「焼成」は、本明細書では交換可能に使用され、以下に記載される条件下でのセリア粒子の加熱を指す。セリア粒子を焼結することは、それらの生成する結晶性に影響を及ぼす。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、高温でかつ長時間セリア粒子を焼結することは、粒子の結晶格子構造中の欠陥を減少させると考えられる。任意の適切な方法を用いてセリア粒子を焼結することができる。一例として、セリア粒子を、乾燥させ、次いで高温で焼結することができる。乾燥は、室温または高温で行うことができる。特に、乾燥は、約20℃〜約40℃、例えば約25℃、約30℃、または約35℃の温度で行うことができる。あるいは、またはさらに、乾燥は、約80℃〜約150℃の高温で、例えば約85℃、約100℃、約115℃、約125℃、または約140℃で行うことができる。セリア粒子を乾燥させた後、それらを粉砕して粉末を作ることができる。粉砕は、ジルコニア等の任意の適切な粉砕材料を用いて行うことができる。
【0047】
セリア粒子は、任意の適切なオーブンで任意の適切な温度で焼結することができる。例えば、セリア粒子は、約200℃以上の温度、例えば約215℃以上、約225℃以上、約250℃以上、約275℃以上、約300℃以上、約350℃以上、または約375℃以上の温度で焼結することができる。あるいは、またはさらに、セリア粒子は、約1000℃以下の温度で、例えば約900℃以下、約750℃以下、約650℃以下、約550℃以下、約500℃以下、約450℃以下、または約400℃以下の温度で焼結することができる。したがって、溶液は、上記の終点の任意の2つによって限定される時間加熱することができる。例えば、セリア粒子は、約200℃〜約1000℃の温度で、例えば約250℃〜約800℃、約300℃〜約700℃、約325℃〜約650℃、約350℃〜約600℃、約350℃〜約550℃、約400℃〜約550℃、約450℃〜約800℃、約500℃〜約1000℃、または約500℃〜約800℃の温度で焼結することができる。
【0048】
セリア粒子は、任意の適切な時間にわたって焼結することができる。例えば、セリア粒子は、約1時間以上、例えば約2時間以上、約5時間以上、または約8時間以上焼結することができる。あるいは、またはさらに、セリア粒子は、約20時間以下、例えば約18時間以下、約15時間以下、約12時間以下、または約10時間以下の間焼結することができる。したがって、セリア粒子は、上記の終点の任意の2つによって限定される時間焼結することができる。例えば、セリア粒子は、約1時間〜約20時間、例えば約1時間〜約15時間、約1時間〜約10時間、約1時間〜約5時間、約5時間〜約20時間、または約10時間〜約20時間焼結することができる。
【0049】
セリア粒子はまた、上記の範囲内の様々な温度及び様々な時間にわたって焼結することもできる。例えば、セリア粒子は、ゾーン炉内で焼結することができ、そこでは、セリア粒子を様々な時間にわたって1つ以上の温度に曝露する。一例として、セリア粒子は、約200℃〜約1000℃の温度で約1時間以上焼結することができ、次いで約200℃〜約1000℃の範囲内の異なる温度で約1時間以上焼結することができる。
【0050】
乾燥、粉砕、及び任意の焼結等の後、セリア粒子は、適切な液体担体、例えば水性担体、特に水に再分散することができる。セリア粒子が焼結される場合、セリア粒子は、焼結完了後に再分散される。任意の適切なプロセスを用いてセリア粒子を再分散することができる。典型的には、セリア粒子は、適切な酸を用いてセリア粒子と水との混合物のpHを低下させることによって再分散される。pHが低下すると、セリア粒子の表面はカチオン性ゼータ電位を生じる。このカチオン性ゼータ電位は、セリア粒子間に反発力を作り出し、それらの再分散を容易にする。任意の適切な酸を用いて混合物のpHを低下させることができる。適切な酸の例としては塩酸及び硝酸が挙げられる。高度に水溶性であり、かつ親水性官能基を有する有機酸も適する。適切な有機酸としては、例えば特に酢酸が挙げられる。H
3PO
4及びH
2SO
4等の多価アニオンを有する酸は一般に好ましくない。混合物は任意の適切なpHまで低下させることができる。例えば、混合物のpHは、約2〜約5、例えば約2.5、約3、約3.5、約4、または約4.5に低下させることができる。典型的には、混合物のpHは約2未満まで低下される。
【0051】
再分散したセリア粒子は、典型的には、それらの粒径を小さくするために粉砕される。好ましくは、セリア粒子は、再分散と同時に粉砕することができる。粉砕は、ジルコニア等の任意の適切な粉砕材料を使用して行うことができる。粉砕はまた、超音波処理手順または湿式ジェット手順を用いて行うこともできる。粉砕後、セリア粒子を濾過してあらゆる残留している大きな粒子を除去することができる。例えば、セリア粒子は、約0.3μm以上、例えば約0.4μm以上、または約0.5μm以上の孔径を有するフィルターを使用して濾過することができる。
【0052】
特定の好ましい研削粒子(例えば第1の研削粒子)は、約40nm〜約100nmのメジアン粒径を有することができる。粒子の粒径は粒子を包含する最小の球の直径である。粒径は、様々な既知で適切な技術のいずれかを使用して測定することができる。例えば、粒径は、ディスク遠心分離機によって、すなわち示差遠心沈降(DCS)を使用して測定することができる。適切なディスク遠心分離機粒径測定装置は、例えばCPS Instruments(ルイジアナ州プレイリービル)から市販されており、例えばCPS Disc Centrifuge Model DC24000UHRである。特に明記しない限り、本明細書に報告され特許請求されているメジアン粒径値はディスク遠心分離機の測定に基づく。
【0053】
好ましいセリア研削粒子(例えば第1の研削粒子)は、約40nm以上、例えば約45nm以上、約50nm以上、約55nm以上、約60nm以上、約65nm以上、約70nm以上、約75nm以上、または約80nm以上のメジアン粒径を有することができる。あるいは、またはさらに、セリア研削粒子は、約100nm以下、例えば約95nm以下、約90nm以下、約85nm以下、約80nm以下、約75nm以下、約70nm以下、または約65nm以下のメジアン粒径を有することができる。したがって、セリア研削粒子は、上記の終点の任意の2つによって限定される範囲内のメジアン粒径を有することができる。例えば、セリア研削粒子(例えば第1の研削粒子)は、約40nm〜約100nm、例えば、約40nm〜約80nm、約40nm〜約75nm、約40nm〜約60nm、約50nm〜約100nm、約50nm〜約80nm、約50nm〜約75nm、約50nm〜約70nm、約60nm〜約100nm、約60nm〜約80nm、約60nm〜約85nm、または約65nm〜約75nmのメジアン粒径を有することができる。好ましい研削粒子(例えば第1の研削粒子)は、約60nm〜約80nmのメジアン粒径、例えば約65nmのメジアン粒径、約70nmのメジアン粒径、または約75nmのメジアン粒径を有することができる。
【0054】
研削粒子(例えば第1研削粒子)は、任意の有用な濃度(例えば濃度の総重量当たり)で研磨組成物中に存在することができる。有用な濃度の例示的な範囲は、研磨組成物の約0.005〜約2重量パーセントであり得る。例えば、第1の研削粒子は、約0.005重量パーセント以上、例えば約0.0075重量パーセント以上、約0.01重量パーセント以上、約0.025重量パーセント以上、約0.05重量パーセントパーセント以上、約0.075重量パーセント以上、約0.1重量パーセント以上、または約0.25重量パーセント以上の濃度で研磨組成物中に存在することができる。あるいは、またはさらに、第1の研削粒子は、約2重量パーセント以下、例えば約1.75重量パーセント以下、約1.5重量パーセント以下、約1.25重量パーセント以下、約1重量パーセントパーセント以下、約0.75重量パーセント以下、約0.5重量パーセント以下、または約0.25重量パーセント以下の濃度で研磨組成物中に存在することができる。したがって、研削粒子(例えば第1の研削粒子)は、上記の終点の任意の2つによって限定される範囲内の濃度で研磨組成物中に存在することができる。例えば、研削粒子(例えば第1の研削粒子)は、スラリーの総重量を基準として、約0.005重量パーセント〜約2重量パーセント、例えば約0.005重量パーセント〜約1.75重量パーセント、約0.005重量パーセント〜約1.5重量パーセント、約0.005重量パーセント〜約1.25重量パーセント、約0.005重量パーセント〜約1重量パーセント、約0.01重量パーセント〜約2重量パーセント、約0.01重量パーセント〜約1.5重量パーセント、約0.05重量パーセント〜約2重量パーセント、約0.05重量パーセント〜約1.5重量パーセント、約0.1重量パーセント〜約2重量パーセント、約0.1重量パーセント〜約1.5重量パーセント、または約0.1重量パーセント〜約1重量パーセントの濃度で研磨組成物中に存在することができる。
【0055】
ある特定の好ましいスラリータイプは、研磨組成物の総重量を基準として、例えば約0.1重量パーセント〜約0.5重量パーセント等のこの範囲の下端において、例えば約0.15重量パーセント〜約0.4重量パーセント、約0.15重量パーセント〜約0.35重量パーセント、または約0.2重量パーセント〜約0.3重量パーセントで、第1の研削粒子を含有することができる。より好ましくは、スラリーは、研磨組成物の総重量を基準として、約0.1重量パーセント〜約0.3重量パーセント、例えば約0.1重量パーセント、約0.15重量パーセント、約0.2重量パーセント、約0.25重量パーセント、約0.28重量パーセント、または約0.29重量パーセントの濃度で、第1の研削粒子を含有していてもよい。
【0056】
好ましい第1の研削粒子は、少なくとも約300nmの粒径分布を有することができる。粒径分布は、最大粒子の粒径と最小粒子の粒径との間の差を指す。例えば、第1の研削粒子は、少なくとも約315nm、例えば少なくとも約320nm、少なくとも約325nm、少なくとも約330nm、少なくとも約340nm、少なくとも約350nm、少なくとも約355nm、少なくとも約360nm、少なくとも約365nm、少なくとも約370nm、少なくとも約375nm、または少なくとも約380nmの粒径分布を有することができる。好ましくは、第1の研削粒子は、少なくとも約320nm、例えば少なくとも約325nm、少なくとも約335nm、または少なくとも約350nmの粒径分布を有する。第1の研削粒子はまた、好ましくは、約500nm以下、例えば約475nm以下、約450nm以下、約425nm以下、または約415nm以下の粒径分布を有することもできる。したがって、研削粒子(例えば第1の研削粒子)は、上記の終点の任意の2つによって限定される範囲内の粒径分布を有することができる。例えば、研削粒子は、約315nm〜約500nm、例えば約320nm〜約480nm、約325nm〜約475nm、約335nm〜約460nm、または約340nm〜約450nmの粒径分布を有することができる。
【0057】
記載の第1の研削粒子は、任意の適切な最大粒径及び任意の適切な最小粒径を有することができ、好ましい粒子は少なくとも約300nmの粒径分布を有する。例えば、研削粒子は、約1nm〜約50nm、例えば約1nm〜約40nm、約1nm〜約30nm、約1nm〜約25nm、約1nm〜約20nm、約5nm〜約25nm、または約10nm〜約25nmの最小粒径を有することができる。好ましくは、第1の研削粒子は、約10nm〜約30nm、例えば約15nm、約20nm、または約25nmの最小粒径を有する。研削粒子は、約250nm〜約500nm、例えば約250nm〜約450nm、約250nm〜約400nm、約300nm〜約500nm、または約300nm〜約400nmの最大粒径を有することができる。好ましくは、第1の研削粒子は、約350nm〜約450nm、例えば約375nm、約400nm、または約425nmの最大粒径を有する。
【0058】
研磨組成物は、任意に、追加の研削粒子(例えば第2の研削粒子、第3の研削粒子等)を含有することができる。追加の研削粒子は、例えば、第1の研削粒子とは異なる金属の金属酸化物研削粒子であることができ、例えばチタニア(例えば二酸化チタン)、ゲルマニア(例えば二酸化ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム)、マグネシア(例えば酸化マグネシウム)、酸化ニッケル、それらの共生成物(co−formed product)、またはそれらの組み合わせの金属酸化物研削粒子であることができる。追加の研削粒子はまた、ゼラチン、ラテックス、セルロース、ポリスチレン、またはポリアクリレートの有機粒子でもあり得る。あるいは、研磨組成物は、約40nm〜約100nmのメジアン粒径及び少なくとも約300nmの粒径分布を有する湿式法セリア粒子である第1の研削粒子を含有することができ、その研磨組成物はなんらの追加の(第2または第3の)研削粒子を含まない。
【0059】
追加の研削粒子はまた、研磨組成物の第1の研削粒子と比べて異なるタイプのセリアであり、すなわち湿式法セリア粒子ではない、例えばヒュームドセリア粒子または焼成セリア粒子であるセリア(例えば酸化セリウム)の金属酸化物研磨粒子でもあり得る。あるいは、研磨組成物は、約40nm〜約100nmのメジアン粒径及び少なくとも約300nmの粒径分布を有する湿式法セリア粒子である第1の研削粒子を含有することができ、その研磨組成物はなんらの追加のセリア粒子を含まない。
【0060】
研磨組成物が追加の研削粒子(例えば第2の研削粒子、第3の研削粒子等)を含むとき、その追加の研削粒子は任意の適切なメジアン粒径を有することができる。例えば、研磨組成物は、約1nm〜約60nm、例えば約1nm〜約55nm、約1nm〜約50nm、約1nm〜約40nm、約1nm〜約35nm、約1nm〜約30nm、約1nm〜約25nm、約1nm〜約20nm、約5nm〜約50nm、約5nm〜約35nm、または約15nm〜約30nmのメジアン粒径を有する第2の研削粒子を含むことができる。あるいは、第2の研削粒子は、約100nm〜約350nm、例えば約100nm〜約300nm、約105nm〜約350nm、約115nm〜約350nm、約135nm〜約325nm、約150nm〜約315nm、約175nm〜約300nm、約200nm〜約275nm、または約225nm〜約250nmのメジアン粒径を有することができる。好ましくは、追加の研削粒子(例えば第2の研削粒子、第3の研削粒子等)は、約1nm〜約35nmのメジアン粒径、または約125nm〜約300nmのメジアン粒径を有することができる。
【0061】
追加の研削粒子(全体で、例えば第2の研削粒子、第3の研削粒子等)は、第1の研削粒子に加えて、任意の適切な量で研磨組成物中に存在することができる。ある特定のスラリーの実施形態では、追加の研削粒子は、スラリーの総重量を基準として約0.005重量パーセント〜約2重量パーセントの濃度で存在することができる。例えば、追加の研削粒子は、約0.005重量パーセント以上、例えば約0.0075重量パーセント以上、約0.01重量パーセント以上、約0.025重量パーセント以上、約0.05重量パーセントパーセント以上、約0.075重量パーセント以上、約0.1重量パーセント以上、または約0.25重量パーセント以上の濃度で研磨組成物中に存在することができる。あるいは、またはさらに、追加の研削粒子は、スラリーの総重量を基準として、約2重量パーセント以下、例えば約1.75重量パーセント以下、約1.5重量パーセント以下、約1.25重量パーセント以下、約1重量パーセントパーセント以下、約0.75重量パーセント以下、約0.5重量パーセント以下、または約0.25重量パーセント以下の濃度で研磨組成物中に存在することができる。したがって、追加の研削粒子は、上記の終点の任意の2つによって限定される範囲内の濃度で研磨組成物中に存在することができる。例えば、好ましい研磨組成物は、(上記した第1の研削粒子のある量に加えて)、約0.005重量パーセント〜約2重量パーセント、例えば約0.005重量パーセント〜約1.75重量パーセント、、約0.005重量パーセント〜約1.5重量パーセント、約0.005重量パーセント〜約1.25重量パーセント、約0.005重量パーセント〜約1重量パーセント、約0.01重量パーセント〜約2重量パーセント、約0.01重量パーセント〜約1.75重量パーセント、約0.01重量パーセント〜約1.5重量パーセント、約0.05重量パーセント〜約2重量パーセント、約0.05重量パーセント〜約1.5重量パーセント、約0.1重量パーセント〜約2重量パーセント、または約0.1重量パーセント〜約1.5重量パーセントの濃度で第2研削粒子を含むことができる。より好ましくは、追加の研削粒子は、約0.01重量パーセント〜約0.5重量パーセント、例えば約0.025重量パーセント、約0.05重量パーセント、約0.08重量パーセント、約0.1重量パーセント、約0.15重量パーセント、約0.2重量パーセント、約0.25重量パーセント、約0.3重量パーセント、または約0.4重量パーセントの濃度で存在することができる。
【0062】
研磨組成物が追加の研削粒子(例えば第2の研削粒子、第3の研削粒子等)を含有するとき、その研磨組成物は選択的に多峰性の粒径分布を示すことができる。本明細書で使用される用語「多峰性」は、研磨組成物が少なくとも2つの極大(例えば2つ以上の極大、3つ以上の極大、4つ以上の極大、または5つ以上の極大)を有する粒径分布を示すことを意味している。特に、研磨組成物が第2の研削粒子を含有するとき、その研磨組成物は二峰性の粒径分布を示すことができ、すなわち、その研磨組成物は2つのメジアン粒径極大を有する粒径分布を示す。用語「最大」及び「極大」は粒径分布における1つのピークまたは複数のピークを意味する。1つまたは複数のピークは、第1、第2、及び任意の追加の研削粒子に関して本明細書に記載されるメジアン粒径に対応している。したがって、例えば、研磨組成物が第1の研削粒子及び第2の研削粒子を追加の研削粒子無しで含有するとき、粒子の数または粒子の相対重量対粒径のプロットは、二峰性の粒径分布を反映することができ、約40nm〜約100nmの粒径範囲において第1のピークを有し、約1nm〜約35nmの粒径範囲において第2のピークを有する。
【0063】
研磨組成物中に存在する第1の研削粒子及び任意の追加の研削粒子は、望ましくは、研磨組成物中に懸濁され、より具体的には、研磨組成物の水性担体中に懸濁される。研削粒子が研磨組成物中に懸濁されるとき、研削粒子は好ましくはコロイド的に安定である。コロイドという用語は、水性担体中の研削粒子の懸濁を指す。コロイド安定性は、その懸濁液を経時的に維持することと関連がある。本発明の文脈では、研削粒子を100mlのメスシリンダーに入れ、2時間撹拌せずに静置するとき、メスシリンダーの底部の50mlにおける粒子濃度([B]、単位g/ml)と、メスシリンダーの上部50mlにおける粒子の濃度([T]、単位g/ml)と差を、研削組成物における粒子の初期濃度([C]、単位g/ml)で割る(すなわち{[B]−[T]}/[C]≦0.5)と0.5以下である場合、コロイド的に安定であると考えられる。[B]−[T]/[C]の値は望ましくは0.3以下であり、好ましくは0.1以下である。
【0064】
研磨組成物は、約7未満、例えば約1〜約6.5のpHを示し得る。典型的には、研磨組成物は約3以上のpHを有する。また、研磨組成物のpHは典型的には約6以下である例えば、pHは約3.5〜約6.5の範囲、例えば約3.5のpH、約4のpH、約4.5のpH、約5のpH、約5.5のpH、約6のpH、約6.5のpH、またはこれらのpH値の任意の2つによって規定される範囲のpHを有することができる。
【0065】
好ましい研磨組成物はさらに、pH調整剤を含み、それは任意の適切なpH調整剤であり得る。例えば、pH調整剤は、アルキルアミン、アルコールアミン、第四級アミン水酸化物、アンモニア、またはそれらの組み合わせであり得る。特に、pH調整剤は、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAHまたはTMA−OH)、またはテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAHまたはTEA−OH)であり得る。ある特定の好ましい実施形態では、pH調整剤はトリエタノールアミンであり得る。
【0066】
pH調整剤は、任意の適切な濃度で研磨組成物中に存在することができる。望ましくは、pH調整剤は、本明細書に記載のpH範囲内、例えば約7未満、例えば約1〜約6の範囲等、または約3.5〜約5の範囲の研磨組成物のpHを達成または維持する量で存在する。例えば、pH調整剤は、約10ppm〜約300ppm、例えば約50ppm〜約200ppm、または約100ppm〜約150ppmの濃度で研磨組成物中に存在することができる。
【0067】
研磨組成物は、水(例えば脱イオン水)を含有し、任意には1つ以上の水混和性有機溶媒を含有することができる水性担体を含む。使用することができる有機溶媒の例としては、アルコール、例えばプロペニルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、1−プロパノール、メタノール、1−ヘキサノール等;アルデヒド、例えばアセチルアルデヒド等;ケトン、例えばアセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン等;エステル、例えばギ酸エチル、蟻酸プロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、乳酸エチル等;エーテル、例えばスルホキシド、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ダイグライム等;アミド、例えばN,N‐ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジン、N−メチルピロリドン等;多価アルコール及びその誘導体、例えばエチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等;及び例えばアセトニトリル、アミルアミン、イソプロピルアミン、イミダゾール、ジメチルアミン等の窒素含有有機化合物が挙げられる。好ましくは、水性担体は、水単独であり、有機溶媒は存在しないか、またはほんのわずかな量の有機溶媒、例えば0.1、0.05、0.01、または0.005重量パーセント未満の有機溶媒が存在している。
【0068】
研磨組成物は添加剤として追加の成分を含むことができる。任意の添加剤の一例は、カルボン酸モノマー、スルホン化モノマーまたはホスホン化モノマー、及びアクリレートモノマーを包含するモノマーから誘導されるアニオンコポリマーである。他の例としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(例えばポリエチレングリコール)、及びポリビニルアルコール(例えば2−ヒドロキシエチルメタクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー)を包含する他のポリマー(例えば非イオン性ポリマー)が挙げられる。さらに他の任意の添加剤としては、シラン、例えばアミノシラン、ウレイドシラン、及びグリジルシランが挙げられる。さらに他の任意の添加剤としては、官能化ピリジンのN−オキシド(例えばピコリン酸N−オキシド)、デンプン、シクロデキストリン(例えばアルファ−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン)、またはそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0069】
ポリビニルピロリドンは、添加剤として有用であることができ、任意の適切な分子量を有することができる。例えば、添加剤としてのポリビニルピロリドンは、約10,000グラムパーモル(g/mol)〜約1,000,000g/mol、例えば約20,000g/mol以下、30,000g/mol以下、40,000g/mol、50,000g/mol以下、または60,000g/mol以下の分子量を有することができる。
【0070】
スラリーが添加剤として非イオン性ポリマーを含み、その非イオン性ポリマーがポリエチレングリコールであるとき、ポリエチレングリコールは任意の適切な分子量を有することができる。例えば、ポリエチレングリコールは、約200g/mol〜約200,000g/mol、例えば約8000g/mol、約100,000g/molの分子量を有することができる。
【0071】
スラリーが添加剤としてシランを含むとき、シランは、任意の適切なアミノシラン、ウレイドシラン、またはグリシジルシランであり得る。いくつかの特定の例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルシラントリオール、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラントリオール、(N、N−ジメチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、及び3−グリシドプロピルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
【0072】
研磨組成物におけるある特定の特に好ましい添加剤としては、2−ヒドロキシエチルメタクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、ポリビニルピロリドン、アミノプロピルシラントリオール、ピコリン酸N−オキシド、ピコリン酸、デンプン、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0073】
1つの添加剤または複数の添加剤(全体で、例えばカルボン酸モノマー、スルホン化モノマー、またはホスホン化モノマーとアクリレート、ポリビニルピロリドン、またはポリビニルアルコールとのアニオン性コポリマー;シラン;官能化ピリジンのN−オキシド;ピコリン酸;デンプン;シクロデキストリン;またはそれらの組み合わせ)は、任意の適切な濃度において、記載の研磨組成物中に存在することができる。好ましくは、1つの添加剤または複数の添加剤は、約1ppm〜約500ppm、例えば約5ppm〜約400ppm、約10ppm〜約400ppm、約15ppm〜約400ppm、約20ppm〜約400ppm、約25ppm〜約400ppm、約10ppm〜約300ppm、約10ppm〜約250ppm、約30ppm〜約350ppm、約30ppm〜約275ppm、約50ppm〜約350ppm、または約100ppm〜約300ppmの濃度で研磨組成物中に存在する。より好ましくは、1つの添加剤または複数の添加剤は、約1ppm〜約300ppm、例えば約1ppm〜約275ppm、約1ppm〜約250ppm、約1ppm〜約100ppm、約1ppm〜約50ppm、約10ppm〜約250ppm、約10ppm〜約100ppm、または約35ppm〜約250ppmの濃度で研磨組成物中に存在する。
【0074】
特定の実施形態では、ピコリン酸をスラリーに含めることができる。ピコリン酸の量は、任意の所望の量であることができ、例えば1ppm〜1,000ppm等、例えば100ppm〜約800ppm、例えば250ppm〜750ppm等の範囲の量であることができる。本明細書で使用されるppmは重量対重量基準の百万分率である。すなわち1,000ppmは0.1重量%に相当する。除去速度加速剤と比較して、ピコリン酸の例示的な範囲は、除去速度加速剤の重量を基準としてピコリン酸を約5〜80重量パーセント、例えば除去速度加速剤の重量を基準としてピコリン酸を20〜60重量パーセントであることができる。
【0075】
記載の研磨組成物はまた任意にカチオン性ポリマーを含んでいてもよい。そのカチオン性ポリマーは、第四級アミン、カチオン性ポリビニルアルコール、カチオン性セルロース、及びそれらの組み合わせから選択される。研磨組成物は、任意に、上記の添加剤のうちの1つ以上に加えて、すなわちカルボン酸モノマー、スルホン化モノマーまたはホスホン化モノマー、及びアクリレート;ポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコール;ポリエチレングリコール;非イオン性ポリマー;シラン;官能化ピリジンのN−オキシド;デンプン;及びシクロデキストリンのアニオン性コポリマーのうちの1つ以上に加えて、第四級アミン、カチオン性ポリビニルアルコール、カチオン性セルロース、及びそれらの組み合わせから選択されるカチオン性ポリマーを含むことができる。あるいは、研磨組成物は、上記したそれらの添加剤のうちの1つ以上を有していないカチオンポリマーを含むことができる。
【0076】
カチオン性ポリマーは、第四級アミン基を含有するポリマーであり得るか、または第四級アミンモノマーから作製され得る。例えば、カチオンポリマーは、ポリ(ビニルイミダゾリウム)、ポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム)ハリド、例えばポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム)クロリド(ポリMADQUAT)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)ハリド、例えばポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリド(ポリDADMAC)、及びポリクオタニウム−2から選択することができる。好ましくは、カチオンポリマーが第四級アミンポリマーであるとき、カチオンポリマーはポリ(ビニルイミダゾリウム)である。
【0077】
あるいは、カチオン性ポリマーは、任意の適切なカチオン性ポリビニルアルコールまたはカチオン性セルロースであり得る。好ましくは、カチオン性ポリマーはカチオン性ポリビニルアルコールである。例えば、カチオン性ポリビニルアルコールはNippon Gosei GOHSEFIMER K210(商標)ポリビニルアルコール製品であり得る。
【0078】
カチオン性ポリマー(全体で、例えば第四級アミンポリマー、カチオン性ポリビニルアルコール、カチオン性セルロース、またはそれらの組み合わせ)は、研磨組成物中に、任意の適切な濃度で、例えば約1ppm〜約250ppm、例えば、約1ppm〜約100ppm、約1ppm〜約50ppm、約1ppm〜約40ppm、約1ppm〜約25ppm、約5ppm〜約225ppm、約5ppm〜約100ppm、約5ppm〜約50ppm、約10ppm〜約215ppm、約10ppm〜約100ppm、約15ppm〜約200ppm、約25ppm〜約175ppm、約25ppm〜約100ppm、または約30ppm〜約150ppmの濃度で存在することができる。
【0079】
カチオン性ポリマーがポリ(ビニルイミダゾリウム)であるとき、カチオン性ポリマーは、研磨組成物中に、好ましくは、約1ppm〜約10ppm、例えば約2ppm、約5ppm、約6ppm、約7ppm、約8ppm、または約9ppmの濃度で存在することができる。より好ましくは、カチオン性ポリマーがポリ(ビニルイミダゾリウム)であるとき、カチオン性ポリマーは、研磨組成物中に、好ましくは、約1ppm〜約5ppm、例えば約2ppm、約3ppm、または約4ppmの濃度で存在することができる。
【0080】
研磨組成物はまた、任意にカルボン酸を含むこともできる。カルボン酸は、例えば約1〜約6、例えば約2〜約6、例えば約3.5〜約5等のpKaを有する任意の適切なカルボン酸であり得る。有用なカルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、及びブタン酸が挙げられる。
【0081】
カルボン酸は、任意の適切な濃度で研磨組成物中に存在することができる。好ましくは、カルボン酸は、約10ppm〜約1000ppm、例えば約10ppm〜約500ppm、約10ppm〜約250ppm、約25ppm〜約750ppm、約25ppm〜約500ppm、約25ppm〜約250ppm、約30ppm〜約250ppm、約35ppm〜約350ppm、約50ppm〜約425ppm、約55ppm〜約400ppm、または約75ppm〜約350ppmの濃度で研磨組成物中に存在する。より好ましくは、カルボン酸は、約25ppm〜約150ppm、例えば約40ppm、約50ppm、約60ppm、約75ppm、約100ppm、または約125ppmの濃度で研磨組成物中に存在することができる。
【0082】
望ましくは、研磨組成物のpHはカルボン酸のpKaの約2単位以内であり得る。例として、研磨組成物のpHが約3.5である場合、カルボン酸のpKaは好ましくは約1.5〜約5.5である。
【0083】
研磨組成物がカチオン性ポリマーを含むとき、かつカチオン性ポリマーが第四級アミンポリマーであるとき、研磨組成物は好ましくはカルボン酸も含む。研磨組成物がカチオン性ポリマーを含み、かつカチオン性ポリマーがカチオン性ポリビニルアルコール及びカチオン性セルロースから選択されるとき、研磨組成物は任意にカルボン酸をさらに含む。
【0084】
研磨組成物は、任意に、粘度増強剤及び凝固剤(例えばウレタンポリマー等のポリマーレオロジー制御剤)、分散剤、殺生物剤(例えばKATHON(商標)LX)等を含む界面活性剤またはレオロジー制御剤等の1つ以上の他の添加剤を含むことができる。適切な界面活性剤としては、例えばカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、アニオン性高分子電解質、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素化界面活性剤、それらの混合物が挙げられる。
【0085】
本明細書の好ましい研磨組成物は、誘電体材料、例えばパターン誘電体のCMP加工に使用されるように設計される。この目的のために、その研磨組成物は、基板の金属表面を加工するために設計されておらず、また基板の金属表面を加工する場合に有効であることを要求されない。したがって、これらの好ましい研磨組成物は、金属表面を加工するために設計されかつ有効なCMP組成物の研磨成分及び化学成分を除外することができ、そのような化学成分の例は金属不動態化剤及び金属キレート剤である。これらの好ましいスラリーは、CMP加工中に金属不動態化剤としてまたは金属キレート化剤として作用することを意図される化学成分を必要とせず、好ましくは除外することができる。勿論、これは、特に、金属含有基板を加工するために使用されるスラリー中に存在する場合、金属不動態化(例えばサリチルヒドロキサム酸)または金属キレート化の挙動のいずれかを示し得る化学物質を含有するものとして本明細書記載のスラリーが表現され得る範囲において、この明細書のすべてのスラリーが、あるレベルの金属不動態化または金属キレート化の挙動を示し得る任意の形態の成分を除外することを要求しない。代わりに、スラリーの実施形態は、金属不動態化または金属キレート化または金属キレート化を引き起こすことが意図されるかまたは有効である成分(特定の除去速度加速剤等の本明細書で詳細に記載される成分とは異なる)を必要とせずに有用であり得る。あるレベルの金属不動態化(例えばサリチルヒドロキサム酸または他の除去速度加速剤)または金属キレート化活性を示し得る本スラリーにおいて有用として詳細に記載される成分を含まないが、いくつかのスラリーの実施形態は、金属不動態化材料または金属キレート化材料である成分の非実質量以下、例えば、スラリーの総重量を基準として0.001、0.0005、または0.0001重量パーセント未満の金属不動態化剤、スラリーの総重量を基準として0.01、0.005、または0.001重量%未満の金属キレート化合物を含むことができる。
【0086】
本明細書のスラリーにおいて必要とされない、そして本明細書のスラリーから特に除外され得る特定の金属不動態化剤の例は、米国特許第8,435,421号の組成物の「第2の膜形成性金属不動態化剤」として認められる(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)(第6欄、29〜67行を参照されたい)。これらの薬剤は、一般式(II):Z−X
2(Y
2R
5)(Y
3R
6)を有する化合物、ならびに式(II)の化合物の塩または他の化学(例えば塩基または酸)形態、及び式(II)の部分的に中和された形態を含む。
【0087】
式(II)において、ZはNH
2またはOHであり、X
2はP=OまたはCであり、Y
2及びY
3はそれぞれ独立して、N、NHまたはOであり、R
5及びR
6はそれぞれ独立して、R
7−(OCH
2CH
2)
n−(式中、R
7はH、C
1〜C
20−アルキル、フェニルまたはC
1〜C
20アルキル置換フェニルであることができ、式中、「n」は約2〜約1000の範囲の平均値を有する)であることができる、またはY
2及びY
3がそれぞれ独立して、NまたはNHであるとき、R
5及びR
6はそれぞれ独立して、N、NH、またはCHであることができ、一緒になってX
2、Y
2、及びY
3と5員環のヘテロ環を形成することができる。好ましくは、R
7はC
1−C
20−アルキル、フェニル、またはC
1−C
20−アルキル−置換フェニルである。いくつかの好ましい実施形態ではR
7はC
1−C
20−アルキル−置換フェニルであり、特にノニルフェニルである。
【0088】
式(II)の化合物の非限定的な例としては、ヘテロ環(例えば5−アミノテトラゾール、5−アミノ−−1,2,−4−トリアゾール等)、及びリン酸エステル、例えばビスペグ化リン酸エステル、特に、ホスフェート基の2個の酸素に結合したポリ(オキシエチレン)鎖を含むリン酸エステルが挙げられ、ここで、そのポリ(オキシエチレン)鎖は、アリールエーテル基(例えばフェニル)、アルキルエーテル基(例えばラウリルまたはステアリル等のC
1−C
20−アルキル)、またはアルキルアリールエーテル基(例えばノニルフェニル等のC
1−C
20−アルキルフェニル)によって終端される。用語「ポリ(オキシエチレン)」は、ポリ(オキシエチレン)鎖1つ当たり、平均2〜約1000のオキシエチレン(−OCH
2CH
2−)モノマー単位、好ましくは2〜100(例えば5、10、20、30、40、50、60、70、80、または90)のオキシエチレン単位を有するポリマーまたはオリゴマーを指す。リン酸エステル型不動態化剤の1つの特定の例は、HuntsmanからSURFONIC(商標)PE 1198の商品名で市販されているビス−(ノニルフェニルポリ(オキシエチレン))リン酸エステル(NPPOP)である。
【0089】
本明細書のスラリーにおいて必要とされない、そして本明細書のスラリーから特に除外され得る特定の金属キレート化剤の例は、米国特許第8,435,421号の第7欄、17〜51行において組成物の「第2の膜形成性金属不動態化剤」として認められる。これらのものとしては、シュウ酸、アミノ置換カルボン酸(例えば、アミノポリカルボキシレート、例えばイミノ二酢酸(IDA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、イミノ二コハク酸(IDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)等、ならびにアルファ−アミノ酸、例えばグリシン、ベータ−アミノ酸等);ヒドロキシル置換カルボン酸(例えば、グリコール酸及び乳酸、ならびにヒドロキシルポリカルボン酸、例えばリンゴ酸、クエン酸、酒石酸等);ホスホノカルボン酸;アミノホスホン酸;上記したもののいずれかの塩;上記したものの2つ以上の組み合わせ;等が挙げられる。
【0090】
研磨組成物は、任意の有用な方法で調製することができ、その多くの例は当業者に知られている。研磨組成物はバッチプロセスまたは連続プロセスで調製することができる。一般に、研磨組成物は、その構成成分を任意の順序で適切に混合して構成成分の均一な混合物(スラリー)を製造することによって調製することができる。本明細書で使用される用語「構成成分」は、個々の成分(例えば第1の研削粒子、ヒドロキサム酸、または置換ヒドロキサム酸、pH調整剤等)ならびに成分の任意の組み合わせを包含する。
【0091】
例えば、除去速度加速剤は所望の濃度で水に添加することができる。次いで、得られた水溶液のpHを(必要に応じて)調整し、研削粒子(例えば第1の研削粒子)を所望の濃度で溶液に添加することができる。他の成分もまた、溶液に一度に混和させてその成分を均一に混和させることもできる。
【0092】
研磨組成物は、1つ以上の構成成分を使用前速やかにまたは直前に研磨組成物に添加することによって、CMPプロセスにおけるその使用前速やかにまたは直前に調製することができる(例えば、使用前約1分以内に、または使用前約1時間以内に、または使用前約7日以内に)。研磨組成物はまた、CMP研磨操作中に、またはスラリーを基板に施用する直前に、基板の表面において構成成分を混合することによって調製することができる。
【0093】
代替の実施形態では、研磨組成物は、商業的に輸送または貯蔵され、次いで使用前速やかな時間に、適切な量の水性担体、特に水で希釈されるように設計される濃縮物として提供することができる。これらの実施形態では、研磨組成物濃縮物は、適切な量の水で濃縮物を希釈するとき、研磨組成物の構成成分それぞれが、研磨組成物について上で規定した範囲内の量で希釈研磨組成物中に存在することになるような量で、第1の研磨粒子、除去速度加速剤、pH調整剤、及び水を含むことができる。さらに、濃縮物は、他の構成成分が濃縮物中に少なくとも部分的にまたは完全に溶解されることを保証するために、使用中に研磨組成物中に存在する水性担体(例えば水)をわずかに含有することができる。
【0094】
研磨組成物は、使用の充分前にまたは使用前速やかに調製することができるが、研磨組成物はまた、使用ポイントまたは使用ポイント近くで研磨組成物の構成成分を混合することによって製造することもできる。本明細書で使用される用語「使用ポイント」は、研磨組成物が基板表面(例えば研磨パッドまたは基板表面それ自体)に施用されるポイントを指す。研磨組成物を使用ポイントでの混合によって調製すべきとき、研磨組成物の構成成分は2つ以上の貯蔵デバイスに別々に貯蔵される。
【0095】
貯蔵デバイスに含まれる構成成分を混合して使用ポイントまたはその近くで研磨組成物を製造するために、貯蔵デバイスは、典型的には、各貯蔵デバイスから研磨組成物の使用ポイント(例えばプラテン、研磨パッド、または基板表面)まで導く1つ以上のフロー経路を備えている。用語「フロー経路」は、個々の貯蔵容器から、その中に貯蔵された構成成分の使用ポイントまでの流れの経路を指す。1つ以上のフロー経路は、それぞれが使用ポイントへと直接導くことができるか、または2つ以上のフロー経路が使用される状況において、フロー経路の2つ以上を任意のポイントで組み合わせて使用ポイントへと導く単一のフロー経路にすることができる。さらに、1つ以上のフロー経路(例えば、個々のフロー経路または組み合わされたフロー経路)のいずれかは、最初に、構成成分(複数を含む)の使用ポイントに到達する前に、他のデバイス(例えばポンピングデバイス、測定デバイス、混合デバイス等)の1つ以上へと導くことができる。
【0096】
研磨組成物の構成成分は、独立に使用ポイントまで送達され得るか(例えば、構成成分は基板表面へと送達され、そこで構成成分は研磨プロセス中に混合される)、または構成成分は、使用ポイントへ送達する直前に組み合わせることができる。使用ポイントに到達する10秒未満前、好ましくは使用ポイントに到達する5秒未満前、より好ましくは使用ポイントに到達する1秒未満前、または使用ポイントにおける構成成分の送達と同時でも、構成成分が組み合わされるならば、構成成分は、「使用ポイントへの送達直前に」組み合わされる(例えば、構成要素は基板または研磨パッド等の使用ポイントにおいてディスペンサーで組み合わされる)と言える。構成成分が、使用ポイントから5m以内で組み合わされるならば、例えば使用ポイントの1m以内またはさらに使用ポイントの10cm以内等(例えば使用ポイントの1cm以内)で組み合わされるならば、構成成分はまた「使用ポイントへの送達直前に」組み合わされると言える。
【0097】
研磨組成物の2つ以上の構成成分が使用ポイントに到達する前に組み合わされるとき、その構成成分は、フロー経路において組み合わせることができ、混合デバイスを使用せずに使用ポイントまで送達することができる。あるいは、1つ以上のフロー経路は、混合デバイス中に導いて、2つ以上の構成成分の組み合わせを容易にすることができる。任意の適切な混合デバイスを使用することができる。例えば、混合デバイスは、2つ以上の構成成分のフローが通るノズルまたはジェット(例えば高圧のノズルまたはジェット)であることができる。あるいは、混合デバイスは、研磨組成物の2つ以上の構成成分が容器型混合デバイスへと導入される1つ以上の入口と、装置に直接または装置の他の要素を介して(例えば1つまたは複数のフロー経路を介して)使用ポイントへと送達される混合構成成分が出る少なくとも1つの出口とを含む容器型混合デバイスであることができる。混合デバイスは、単一チャンバまたは2つ以上のチャンバを含み、各チャンバは少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を有し、2つ以上の構成成分が各チャンバ中で組み合わされる。容器型混合デバイスが使用される場合、好ましくは、その混合デバイスは、好ましくは過度の泡または空気の閉じ込めを生じさせることなく、構成成分を均一に撹拌し組み合わせるための混合機構を含む。混合機構は、当技術分野において一般に知られており、スターラー、ブレンダー、撹拌機、パドル付きバッフル、ガススパージャシステム、バイブレータ等を含む。
【0098】
記載の研磨組成物は、任意の適切な基板を研磨するのに有用であることができ、また、誘電体含有(例えば酸化ケイ素含有)表面を含む基板、特に、誘電体材料のトレンチ領域によって分離される隆起誘電体領域を含むパターン誘電体の領域を有する基板を研磨するのに特に有用であり得る。例示的な基板としては、フラットパネルディスプレイ、集積回路、メモリまたは剛性ディスク、層間誘電体(ILD)デバイス、マイクロ電気機械システム(MEMS)、3D NANDデバイス等のコンポーネントとして使用するために加工される基板が挙げられる。
【0099】
研磨組成物は、シャロートレンチアイソレーション(STI)または類似のプロセスを受けた基板を平坦化または研磨するのに特に良く適しており、それにより、誘電体は、構造化下層の上にコーティングされて、パターン誘電体材料の区域を生成する。シャロートレンチアイソレーションを受けた基板に関しては、典型的なステップ高さは1,000オングストロームから7,000オングストロームの範囲であり得る。
【0100】
記載している研磨組成物のある特定の実施形態はまた、プロセス中の3D NANDフラッシュメモリデバイスである基板を平坦化または研磨するためにも有用である。そのような基板では、下層は、高アスペクト比、例えば少なくとも10:1、30:1、60:1、または80:1等のアスペクト比を有する、トレンチ、ホール、または他の構造を含む半導体層から作製される。そのような高アスペクト比の構造を有する表面が誘電体材料によってコーティングされると、得られるパターン誘電体は、高いステップ高さ、例えば7,000オングストロームを実質的に超える、例えば10,000、20,000、30,000、または40,000オングストロームを超えるステップ高さ等を示すことになる。
【0101】
本明細書に記載のデバイスのいずれかの誘電体層は、任意の適切な誘電体材料、を含んでいてもよく、から実質的になっていてもよく、またはからなっていてもよく、その誘電体材料の多くはよく知られており、例えば酸化ケイ素及び酸化ケイ素系の誘電体の様々な形態が挙げられる。例えば、酸化ケイ素または酸化ケイ素系の誘電体層を含む誘電体層は、テトラエトキシシラン(TEOS)、高密度プラズマ(HDP)酸化物、ホスホシリケートガラス(PSG)、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)、高アスペクト比法(HARP)酸化物、スピンオン誘電体(SOD)酸化物、化学蒸着(CVD)酸化物、プラズマ強化テトラエチルオルトシリケート(PETEOS)、熱酸化物、または無ドープシリケートガラスのいずれか1つ以上、を含むことができるか、からなることができるか、またはから実質的になることができる。
【0102】
本明細書のプロセスによれば、基板は、誘電研磨除去ステップの意図した目的の位置に配置された窒化ケイ素ライナーを含むことができる。他の実施形態では、基板は、活性領域から誘電体を除去するステップの目的の位置に配置された窒化ケイ素「ライナー」または「キャップ」を必要とせず、任意にかつ好ましくは排除することができる。
【0103】
説明したように、スラリーを用いる方法によって加工することができる基板のこれらの及び他の実施形態によると、基板はまた、例えば誘電体層の上に窒化ケイ素層を含むこともできる。隆起した(12)及びより低い(例えばトレンチ14)形状を有する誘電体基板を加工するとき、窒化ケイ素の層(図示せず)を隆起した誘電体材料及びより低い誘電体材料の上に置いて、トレンチ領域を保護し、CMP加工中に平坦化効率を向上させることができる。
【0104】
基板は、任意の適切な技術によって、特に化学機械研磨(CMP)機器を用いるCMP加工によって、本明細書に記載の研磨組成物で平坦化または研磨することができる。典型的には、CMP装置は、使用時に、運動し、軌道運動、直線運動、または円運動から生じる速度を有するプラテンと、プラテンと接触し、運動しているときにプラテンと一緒に移動する研磨パッドと、研磨パッドの表面に対して接触しかつ移動することによって研磨される基板を保持するキャリアとを含む。研磨は、記載の研磨組成物、典型的には研磨パッドと接触して置かれている基板によって行われ、次いで基板の表面の少なくとも一部、例えばパターン誘電体材料を除去する。任意の適切な研磨条件を使用することができる。
【0105】
基板は、任意の適切な研磨パッド(例えば研磨表面)と関連して化学機械研磨組成物で平坦化または研磨することができる。適切な研磨パッドとしては、例えば織布及び不織布の研磨パッドが挙げられる。さらに、適切な研磨パッドとしては、密度、硬度、厚さ、圧縮率、圧縮時に反発する能力、及び圧縮弾性率を変化させる任意の適切なポリマーが挙げられる。適切なポリマーとしては、例えばポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの共生成物(coformed product)、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0106】
任意に、CMP装置は、現場で研磨終了点を検出するシステムを含み、その多くは当技術分野で知られている。加工物の表面から反射される光または他の放射線を分析することによって研磨プロセスを検査及びモニターするための技術は当技術分野で知られている。そのような方法は、例えば米国特許第5,196,353号、第5,433,651号、第5,609,511号、第5,643,046号、第5,658,183号、第5,730,642号、第5,838,447号、第5,872,633号、第5,893,796号、第5,949,927号、米国特許第5,964,643号に記載されている。望ましくは、研磨される加工物に関する研磨プロセスの進行の検査またはモニタリングにより、研磨終了点の決定、すなわち、特定の加工物に関して研磨プロセスを終了する時点の決定が可能になる。
【0107】
加工される基板に依存して、CMP加工のステップを開始する前に測定される、初期ステップ高さは、少なくとも1,000、2,000、または5,000オングストロームであってもよく、実質的にそれらを超えてもよく、例えば7,000オングストロームを超える、または少なくとも10,000、20,000、30,000、または40,000オングストローム等であってもよい。
【0108】
図1は、研磨前の基板の初期ステップ高さh0及び初期トレンチ厚さt0を概略的に示している。研磨後、ステップ高さは、h1へと減少し、トレンチ厚さはt1へと減少する。
図1を参照すると、初期ステップ高さh0及び初期トレンチ厚さt0を有する例示的な基板が示されている。ステップ高さの材料は、大部分は誘電体であることができ、例えばTEOS、BPSG、または他の非晶質シリカ含有材料等であることができる。3D NAND誘電体加工(及び他のバルク酸化物除去)における重要なステップは、できる限り低いトレンチ損失(t0−t1)において、低い数(例えば<1000または<900オングストローム)までステップ高さh1を減少させることである。トレンチ損失とは、CMP処理前のトレンチの厚さ(t0)から、CMP処理後のトレンチの厚さ(t1)を引いた差を指し、トレンチ損失は(所定の量の加工に関する)t0−t1に等しい。良好な平坦化効率(PE)のためには、最終ステップ高さは、合理的なトレンチ損失において、達成されなければならない。これには、トレンチ領域における除去速度に比べて、活性(隆起)領域に関してより速い除去速度を有するスラリーが必要である。
【0109】
隆起(活性)領域における誘電体材料の除去速度は、パターン材料の除去速度(例えばパターン酸化物)または「パターン除去速度」または「活性除去速度」と呼ばれる。記載のプロセス及びスラリーを使用して達成されるパターン除去速度は、あらゆる有用な速度であることができ、あらゆる所定のプロセス及び基板に関して、隆起領域の寸法(例えば幅)及びプロセス条件、例えば研磨パッドと基板との間の圧力量などに大部分左右されることになる。好ましいプロセスによれば、パターン誘電体材料の除去速度は、少なくとも2,000オングストローム/分、好ましくは少なくとも4000オングストローム/分、例えば少なくとも約5,000または6,000オングストローム/分など、任意には10,000、14000、または15,000オングストローム/分までもあり得る。
【0110】
本明細書に記載の基板のCMP平坦化の好ましいプロセスによれば、パターン誘電体は、5分未満、例えば3分未満、2分未満、または1分未満の時間、パターン誘電体をCMP加工することによって、平坦化された表面へ加工することができる。これは、少なくとも7,000または10,000、例えば20,000、30,000、または40,000オングストロームの初期ステップ高さを含むパターン誘電体を有する基板に関して達成することができる。その表面は、1,000オングストローム未満、例えば900オングストローム未満、500オングストローム未満、300オングストローム未満、または250オングストローム未満の減少した(研磨による)ステップ高さ(すなわち「残存ステップ高さ」)を達成するときに、効果的に平坦化されると考えられる。
【0111】
記載したようなある特定のプロセス及びスラリーによれば、(CMPスラリー中で)式1の除去速度加速剤を使用することによって、誘電材料の除去速度(例えば酸化ケイ素のパターン速度)、平坦化効率、または両方を、式1の除去速度加速剤を使用しない別の同一のプロセスと比較して、向上させることができる。ある特定の特に好ましいプロセス及びスラリーによれば、式1の除去速度加速剤の使用によって、誘電体材料の除去速度(例えば酸化ケイ素のパターン速度)を増大させることができ、また同時に平坦化効率を向上させることができる。CMPスラリー及びプロセスでは、高い活性除去速度及び良好な平坦化効率の両方が望まれる。それぞれが個々に望ましいが、単一のCMPプロセスにおいて2つの性能特性を向上させることは、容易に達成されず、特に高い商業価値を有すると理解される。
【0112】
本明細書に記載しているように、活性除去速度、平坦化効率、またはその両方の改善、ならびにトレンチ損失、自己停止挙動における改善などは、他の点では同一のスラリーは式1の除去速度加速剤を含有していない点を除いて、他の点では同一のスラリーを用いる他の点では同一のCMPプロセスと比較して測定される。他の点では同一のスラリーは、式1の速度加速剤と同等の化学化合物を含有していなくてもよいか、または、いくつかの点で式1の速度加速剤に類似している化学化合物をある量含有していてもよいが、式1の構造定義からは依然として外れている。例えば、いくつかの点で式(1)の速度加速剤に類似しているが、依然として式(1)の定義から外れている化学化合物は、式(1)に類似しているが、異なるR基を有する化学化合物を含む。他の同等の化合物は、他の点では式1と異なる場合があるが、カルボキシル(−C(O)−)基に隣接するアミン基(−NH
2)を含むなお同等の分子量の化学化合物であってもよく、その化合物はまた、アミン基(すなわち、−NH(OH))に結合した、または他のところに結合した水酸化物(−OH)基も含有する。これらの点において式1の除去速度加速剤と同等である化合物の例としては、化学的に式1の定義からは外れているが、4−ヒドロキシベンズアミド、ヒドロキシ尿素、サリチルアミド、及びベンズアミドが挙げられる。(
図2〜4を参照されたい)
【実施例】
【0113】
図2は、図示されている機器及び条件、例えばIC1010パッド、CMP研磨スラリー中1%ジルコニア研削粒子、パッド圧力5psi、示してある異なる化合物のそれぞれのスラリーpH5.5及び300ppmのスラリーを用いた、ブランケット誘電体材料の除去速度の比較を示している。いくつかの化合物は式1の除去速度加速剤であり、他は式1の除去速度加速剤(例えばアミン基、アミド基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、及び芳香族基または置換芳香族基)と共通の化学基を含有してはいるが、式1の定義からは外れている化学化合物(必ずしも従来技術ではない)である。グラフの第1のバーは、イットリウムをドープしたジルコニア粒子を有するサリチルヒドロキサム酸(SHA)を表す。そのデータは、同じ量で存在する化学的に類似の式1ではないいくつかの化合物に比べて、また除去速度加速剤を含有していないスラリーに比べて、式1の除去速度加速剤の使用による除去速度はより速いことを示している。
【0114】
図3は、図示されている機器及び条件、例えばIC1010パッド、CMP研磨スラリー中0.286パーセントのセリア研削粒子、パッド圧力3psi、示してある異なる化合物のそれぞれのスラリーpH5.5、及び250ppmのスラリーを用いた、ブランケット誘電体材料の除去速度の比較を示している。いくつかの化合物は式1の除去速度加速剤であり、他は式1の除去速度加速剤(例えばアミン基、アミド基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、及び芳香族基または置換芳香族基)と共通の化学基を含有してはいるが、式1の定義からは外れている化学化合物(必ずしも従来技術ではない)である。そのデータは、同じ量で存在する化学的に類似の式1ではないいくつかの化合物に比べて、また除去速度加速剤を含有していないスラリーに比べて、式1の除去速度加速剤の使用による除去速度はより速いことを示している。
【0115】
図4は、比較スラリーと、除去速度加速剤としてのサリチルヒドロキサム酸(SHA)を含有する本発明のスラリーとを用いて、ブランケット酸化ケイ素誘電体材料の除去速度(オングストローム/分)の比較を示している。この実施例の比較スラリーは、酸化ケイ素に関して高い研磨速度を示したセリア含有スラリーである。使用した機器及び条件は、Reflexion LK CMPツール、IC1010パッド、及び3または4psiのパッドダウンフォース圧力であった。比較研削スラリー(A〜D)は、5重量パーセントのセリア研削粒子、500ppmのピコリン酸を含有し、式1の除去速度加速剤を含有せず、そのセリア粒子のD50粒径は100ナノメートルであった。本発明のスラリー(E〜H)は、5重量パーセントのジルコニア研削粒子(St.Gobain ZrO
2−180)、除去速度加速剤として600ppmのサリチルヒドロキサム酸(SHA)を含有し、スラリーのpHは5.5であった。スラリーA、B、E及びFは、3psiのダウンフォース圧力で評価したが、スラリーC、D、G及びHは4psiであった。すべての研磨条件及び研磨材料は、示した異なるスラリー及びダウンフォース圧力以外は同じであった。そのデータは、ジルコニアと式1の除去速度加速剤(SHA)とを使用することによって有益に高い除去速度を示しており、その除去速度は比較スラリーと同等である。
【0116】
図示してある酸化物除去速度に加えて、窒化ケイ素が(平坦化効率の向上のために)トレンチ領域を保護するためのライナーとして3D NAND製造でしばしば使用されることから、窒化ケイ素除去速度もまた重要である。そのようなプロセスステップを使用して、パターン活性領域上の窒化ケイ素ライナーは、比較的速い速度で(トレンチ領域に過度に影響を与えることなく)最初に除去されなければならない。
図4の同じスラリーに関して、ジルコニアと、式1の除去速度加速剤(SHA)とを含有する本発明のスラリーは2100A/分の窒化ケイ素除去速度を示し、セリアとピコリン酸とを有する比較スラリーは200A/分未満の窒化ケイ素除去速度を示した。