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特開2022-100710銅張積層板および銅張積層板の製造方法
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  • 特開-銅張積層板および銅張積層板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100710
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】銅張積層板および銅張積層板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 7/06 20060101AFI20220629BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20220629BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
C25D7/06 M
B32B15/08 J
C25D7/06 B
H05K3/18 N
H05K3/18 G
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214849
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下地 匠
(72)【発明者】
【氏名】西山 芳英
【テーマコード(参考)】
4F100
4K024
5E343
【Fターム(参考)】
4F100AB13C
4F100AB16C
4F100AB17B
4F100AB17D
4F100AB31C
4F100AK01A
4F100AK49A
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100EH66C
4F100EH66D
4F100EH71B
4F100GB43
4K024AA09
4K024AB01
4K024BA12
4K024BB11
4K024BC01
4K024CA01
4K024CA02
4K024CA03
4K024CA04
4K024CA06
4K024CA16
4K024CB03
4K024CB26
4K024DA10
4K024EA01
4K024GA16
5E343AA03
5E343AA16
5E343AA18
5E343AA33
5E343BB17
5E343BB24
5E343BB71
5E343DD25
5E343DD33
5E343DD43
5E343DD63
5E343FF17
5E343GG06
5E343GG20
(57)【要約】
【課題】セミアディティブ法により形成された配線パターンの不良率を低減できる銅張積層板および銅張積層板の製造方法を提供する。
【解決手段】銅張積層板1は、ベースフィルム10の表面に形成された、銅めっき被膜22を含む導体層20を有する。導体層20は、厚さが0.4~3.0μmであり、直径5μm以上のピンホールが0.04個/cm以下である。めっき装置を用いて、ロールツーロールにより基材を搬送しつつ、電解めっきにより基材の表面の銅めっき被膜22を成膜して、厚さ0.4~3.0μmの導体層20を有する銅張積層板1を得る。めっき装置は、基材のめっき面に接触する全てのローラの搬送面の表面粗さ(Rmax)が0.1μm以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムの表面に形成された、銅めっき被膜を含む導体層を有し、
前記導体層は、厚さが0.4~3.0μmであり、直径5μm以上のピンホールが0.04個/cm以下である
ことを特徴とする銅張積層板。
【請求項2】
前記導体層は、直径5μm以上のピンホールが0.02個/cm以下である
ことを特徴とする請求項1記載の銅張積層板。
【請求項3】
前記導体層は、直径5μm以上のピンホールが0.01個/cm以下である
ことを特徴とする請求項2記載の銅張積層板。
【請求項4】
めっき装置を用いて、ロールツーロールにより基材を搬送しつつ、電解めっきにより該基材の表面の銅めっき被膜を成膜して、厚さ0.4~3.0μmの導体層を有する銅張積層板を得るにあたり、
前記めっき装置は、前記基材のめっき面に接触する全てのローラの搬送面の表面粗さ(Rmax)が0.1μm以下である
ことを特徴とする銅張積層板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅張積層板および銅張積層板の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、フレキシブルプリント配線板、チップオンフィルムなどの製造に用いられる銅張積層板、およびその銅張積層板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話などの電子機器には、樹脂フィルムの表面に配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線板(FPC)や、フレキシブルプリント配線板に半導体チップを実装したチップオンフィルム(COF)が用いられる。
【0003】
フレキシブルプリント配線板は、セミアディティブ法、サブトラクティブ法などにより、銅張積層板に配線パターンを形成することで得られる。特に、微細配線の形成や、高精度の配線寸法が要求される場合には、セミアディティブ法が用いられる(例えば、特許文献1)。
【0004】
セミアディティブ法では、銅張積層板の導体層のうち不要部分はエッチングにより除去される。導体層が厚すぎるとエッチング時間が長くなり、配線部のエッチングも進行することから、配線の断面形状を矩形にすることが困難になる。そのため、セミアディティブ法により加工される銅張積層板の導体層は薄い方が好ましい。そこで、セミアディティブ法により加工される銅張積層板として、厚さ0.2~3.0μmの導体層を有するものがよく用いられる。
【0005】
チップオンフィルムは配線パターンメーカとアセンブリメーカが銅張積層板を順に加工することで製造される。配線パターンメーカは、長尺帯状の銅張積層板に後に複数の個片となる複数の配線パターンを配列した状態で形成し、長尺帯状のままのフレキシブルプリント配線板をアセンブリメーカに出荷する。ここで、複数の配線パターンのうち配線の断線、欠けなどの欠陥が生じたものには不良を示すマーキングが付される。アセンブリメーカは、個々の配線パターンに半導体チップを実装する。この際、フレキシブルプリント配線板の不良率(フレキシブルプリント配線板に形成された複数の配線パターンのうち不良配線パターンの割合)が高いと実装の生産性が低下する。そこで、アセンブリメーカに納入されるフレキシブルプリント配線板には配線パターンの許容不良率が定められることが多い。アセンブリメーカにより仕様は異なるが、許容不良率は30%と定められることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-108964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、セミアディティブ法により形成された配線パターンの不良率を低減できる銅張積層板および銅張積層板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の銅張積層板は、ベースフィルムの表面に形成された、銅めっき被膜を含む導体層を有し、前記導体層は、厚さが0.4~3.0μmであり、直径5μm以上のピンホールが0.04個/cm以下であることを特徴とする。
本発明の銅張積層板の製造方法は、めっき装置を用いて、ロールツーロールにより基材を搬送しつつ、電解めっきにより該基材の表面の銅めっき被膜を成膜して、厚さ0.4~3.0μmの導体層を有する銅張積層板を得るにあたり、前記めっき装置は、前記基材のめっき面に接触する全てのローラの搬送面の表面粗さ(Rmax)が0.1μm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の銅張積層板は、導体層に存在する直径5μm以上のピンホールが0.04個/cm以下であるので、セミアディティブ法により形成された配線パターンの不良率を30%以下に抑えることができる。
本発明の銅張積層板の製造方法によれば、直径5μm以上のピンホールが0.04個/cm以下の導体層を有する銅張積層板を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る銅張積層板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(銅張積層板)
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る銅張積層板1は、ベースフィルム10と、ベースフィルム10の表面に形成された導体層20とからなる。図1に示すようにベースフィルム10の片面のみに導体層20が形成されてもよいし、ベースフィルム10の両面に導体層20が形成されてもよい。
【0012】
ベースフィルム10としてポリイミドフィルム、液晶ポリマー(LCP)フィルムなどの樹脂フィルムを用いることができる。導体層20は、スパッタリングなどの乾式成膜法により成膜される金属層21と、電解めっきにより成膜される銅めっき被膜22とからなる。金属層21と銅めっき被膜22とはベースフィルム10の表面にこの順に積層されている。
【0013】
金属層21は下地金属層21aと銅薄膜層21bとからなる。下地金属層21aと銅薄膜層21bとはベースフィルム10の表面にこの順に積層されている。一般に、下地金属層21aはニッケル、クロム、またはニッケルクロム合金からなる。下地金属層21aはなくてもよい。銅薄膜層21bはベースフィルム10の表面に下地金属層21aを介して成膜されてもよいし、下地金属層21aを介さずベースフィルム10の表面に直接成膜されてもよい。
【0014】
特に限定されないが、ベースフィルム10の厚さは10~100μmが一般的である。下地金属層21aの厚さは5~50nmが一般的であり、銅薄膜層21bの厚さは50~400nmが一般的である。セミアディティブ法により加工される銅張積層板1の場合、導体層20の厚さは、0.4~3.0μmが一般的である。
【0015】
セミアディティブ法により銅張積層板1を加工すればフレキシブルプリント配線板を製造できる。セミアディティブ法によるフレキシブルプリント配線板の製造は、つぎの手順で行なわれる。まず、銅張積層板1の銅めっき被膜22の表面にレジスト層を形成する。つぎに、レジスト層のうち配線パターンを形成する部分に開口部を形成する。つぎに、レジスト層の開口部から露出した銅めっき被膜22を陰極として電解めっきを行ない、配線部を形成する。つぎに、レジスト層を除去し、フラッシュエッチングなどにより配線部以外の導体層20を除去する。これにより、フレキシブルプリント配線板が得られる。
【0016】
セミアディティブ法により加工される銅張積層板1は銅めっき被膜22が薄いため、電解めっきにより銅めっき被膜22を成膜する際にピンホールが発生しやすい。セミアディティブ法では電解めっきにより銅めっき被膜22上に配線パターンの銅めっきを積層する。この際、銅めっき被膜22にピンホールが存在すると、積層する銅めっきの成長が阻害され、配線の断線、欠けなどの欠陥が生じる。特に、チップオンフィルムを製造する場合、配線幅が15μm以下の微細配線の形成が必要であるため、ピンホールに起因する配線の欠陥が生じやすい。
【0017】
導体層20のピンホールの数が少ないほど、配線に欠陥が生じにくく、配線パターンの不良率を抑えることができる。本実施形態に係る銅張積層板1の導体層20は、直径5μm以上のピンホールが0.04個/cm以下である。このように、導体層20のピンホールが少ないので、セミアディティブ法により形成された配線パターンの不良率を30%以下に抑えることができる。
【0018】
(銅張積層板の製造方法)
つぎに、本発明の一実施形態に係る銅張積層板の製造方法を説明する。
ロールツーロール方式のスパッタリング装置を用いれば、長尺帯状のベースフィルム10の表面に金属層21を成膜できる。以下、ベースフィルム10の表面に金属層21を成膜したものを基材と称する。ロールツーロール方式のめっき装置を用いれば、長尺帯状の基材の表面に銅めっき被膜22を成膜できる。これにより、長尺帯状の銅張積層板1が得られる。
【0019】
めっき装置は、ロールツーロールにより長尺帯状の基材を搬送しつつ、基材に対して電解めっきを行なう装置である。めっき装置はロール状に巻回された基材を繰り出す供給装置と、めっき後の基材(銅張積層板1)をロール状に巻き取る巻取装置とを有する。供給装置と巻取装置との間の搬送経路には、前処理槽、めっき槽、後処理槽が配置されている。めっき槽では電解めっきが行なわれる。基材はめっき槽内を搬送されつつ、電解めっきよりその表面に銅めっき被膜22が成膜される。
【0020】
めっき槽には銅めっき液が貯留されている。銅めっき液は水溶性銅塩を含む。銅めっき液に一般的に用いられる水溶性銅塩であれば特に限定されず用いられる。銅めっき液は硫酸を含んでもよい。硫酸の添加量を調整することで、銅めっき液のpHおよび硫酸イオン濃度を調整できる。銅めっき液は一般的にめっき液に添加される添加剤を含んでもよい。添加剤として、ブライトナー成分、レベラー成分、ポリマー成分、塩素成分などから選択された1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
銅めっき液の各成分の含有量は任意に選択できる。ただし、銅めっき液は銅を15~70g/L、硫酸を20~250g/L含有することが好ましい。そうすれば、銅めっき被膜22を十分な速度で成膜できる。銅めっき液はブライトナー成分を1~50mg/L含有することが好ましい。そうすれば、析出結晶を微細化し銅めっき被膜22の表面を平滑にできる。銅めっき液はレベラー成分を1~300mg/L含有することが好ましい。そうすれば、突起を抑制し平坦な銅めっき被膜22を成膜できる。銅めっき液はポリマー成分を10~1,500mg/L含有することが好ましい。そうすれば、基材端部への電流集中を緩和し均一な銅めっき被膜22を成膜できる。銅めっき液は塩素成分を20~80mg/L含有することが好ましい。そうすれば、異常析出を抑制できる。
【0022】
銅めっき液の温度は20~35℃が好ましい。また、めっき槽内の銅めっき液を撹拌することが好ましい。例えば、ノズルから噴出させた銅めっき液を基材に吹き付けることで、銅めっき液を撹拌できる。
【0023】
電解めっきにおける電流密度とめっき時間とにより銅めっき被膜22の厚さを調整できる。例えば、導体層20の厚さが0.4~3.0μmとなるように、銅めっき被膜22の厚さが調整される。
【0024】
めっき装置は基材を搬送するための各種のローラを有する。めっき装置が有するローラのうち、基材のめっき面に接触する全てのローラとして、搬送面(ローラ外周面のうち基材のめっき面に接触する領域)の表面粗さ(Rmax)が0.1μm以下のローラを用いる。そうすれば、電解めっきにより銅めっき被膜22を成膜する際にピンホールが発生しにくい。そのため、直径5μm以上のピンホールが0.04個/cm以下の導体層20を有する銅張積層板1を製造できる。
【実施例0025】
(共通の条件)
ベースフィルムとして、幅570mm、厚さ34μmの長尺帯状のポリイミドフィルム(宇部興産社製 Upilex)を用意した。ベースフィルムをマグネトロンスパッタリング装置にセットした。マグネトロンスパッタリング装置内にはニッケルクロム合金ターゲットと銅ターゲットとが設置されている。ニッケルクロム合金ターゲットの組成はCrが20質量%、Niが80質量%である。真空雰囲気下で、ベースフィルムの片面に、厚さ25nmのニッケルクロム合金からなる下地金属層を形成し、その上に厚さ100nmの銅薄膜層を形成した。
【0026】
ロールツーロール方式のめっき装置を用いて基材の片面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得た。めっき槽に貯留される銅めっき液は硫酸銅を120g/L、硫酸を70g/L、ブライトナー成分を16mg/L、レベラー成分を20mg/L、ポリマー成分を1,100mg/L、塩素成分を50mg/L含有する。ブライトナー成分としてビス(3-スルホプロピル)ジスルフィド(RASCHIG GmbH社製の試薬)を用いた。レベラー成分としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド-二酸化硫黄共重合体(ニットーボーメディカル株式会社製 PAS-A―5)を用いた。ポリマー成分としてポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体(日油株式会社製 ユニルーブ50MB-11)を用いた。塩素成分として塩酸(和光純薬工業株式会社製の35%塩酸)を用いた。
【0027】
(実施例1)
めっき装置が有するローラのうち、基材のめっき面に接触する全てのローラとして、搬送面の表面粗さ(Rmax)が0.068~0.074μmのローラを用いた。導体層の厚さが0.4μmとなるように銅めっき被膜の厚さを調整した。
【0028】
(実施例2)
めっき装置が有するローラのうち、基材のめっき面に接触する全てのローラとして、搬送面の表面粗さ(Rmax)が0.068~0.074μmのローラを用いた。導体層厚さが2.0μmとなるように銅めっき被膜の厚さを調整した。
【0029】
(実施例3)
めっき装置が有するローラのうち、基材のめっき面に接触する全てのローラとして、搬送面の表面粗さ(Rmax)が0.068~0.074μmのローラを用いた。導体層の厚さが3.0μmとなるように銅めっき被膜の厚さを調整した。
【0030】
(比較例1)
めっき装置が有するローラのうち、基材のめっき面に接触する全てのローラとして、搬送面の表面粗さ(Rmax)が4.003~4.218μmのローラを用いた。導体層の厚さが3.0μmとなるように銅めっき被膜の厚さを調整した。
【0031】
(比較例2)
めっき装置が有するローラのうち、基材のめっき面に接触する全てのローラとして、搬送面の表面粗さ(Rmax)が7.101~7.129μmのローラを用いた。導体層の厚さが0.5μmとなるように銅めっき被膜の厚さを調整した。
【0032】
実施例1~3および比較例1、2で得られた各銅張積層板から250×160mmの試料を切り出した。各試料を、ハロゲンランプを光源としたバックライト照明で検査し、直径5μm以上のピンホール数を計数した。検査は目視で行ない、予め用意しておいた直径5μmのピンホールの見本と比較しながら行なった。その結果を表1に示す。
【0033】
表面粗さ(Rmax)が0.068~0.074μmのローラを用いた実施例1~3は、いずれも、ピンホール数が0.04個/cm以下であった。これに対し、表面粗さ(Rmax)が4.003~4.218μmまたは7.101~7.129μmのローラを用いた比較例1、2は、いずれも、ピンホール数が0.04個/cmを超えていた。これより、表面粗さ(Rmax)が0.1μm以下のローラを用いれば、直径5μm以上のピンホールが0.04個/cm以下の導体層を有する銅張積層板を製造できることが確認された。
【0034】
つぎに、実施例1~3および比較例1、2で得られた各銅張積層板を加工してフレキシブルプリント配線板を製造した。フレキシブルプリント配線板の製造はつぎの手順で行なった。銅張積層板の銅めっき被膜の表面にドライフィルムレジストをラミネートし、複数の配線パターンを配列したレジストマスクを形成した。各配線パターンの大きさはおよそ70×40mmであり、最小ピッチは20μm、配線幅は10μmである。つぎに、レジストマスクの開口部から露出した銅めっき被膜を陰極として電解めっきを行ない、銅張積層板の導体層と合わせた厚さが8μmとなるように、銅めっきを積層した。
【0035】
レジストマスクの開口部から露出する積層した銅めっき(配線パターン)を顕微鏡で観察した。配線幅の3分の1以上の大きさの欠けまたは断線が存在する配線パターンを不良と判断し、配線パターンの不良率を求めた。その結果を表1に示す。
【0036】
導体層のピンホール数が0.04個/cm以下の実施例1~3は、いずれも、不良率が30%以下であり、許容範囲であることが確認された。これに対し、導体層のピンホール数が0.07個/cm、0.10個/cmの比較例1、2は、いずれも、不良率が30%を超えていた。これより、導体層のピンホール数を0.04個/cm以下とすれば、セミアディティブ法により形成された配線パターンの不良率が30%以下となることが確認された。
【0037】
また、表1から、導体層のピンホール数が少ないほど、配線パターンの不良率が低くなることが分かる。ピンホール数を0.04個/cm以下とすれば、不良率を27%以下できる。ピンホール数を0.02個/cm以下とすれば、不良率を21%以下できる。ピンホール数を0.01個/cm以下とすれば、不良率を18%以下できる。
【0038】
【表1】
【符号の説明】
【0039】
1 銅張積層板
10 ベースフィルム
20 導体層
21 金属層
21a 下地金属層
21b 銅薄膜層
22 銅めっき被膜
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムの表面に形成された、銅めっき被膜を含む導体層を有し、
前記導体層は、厚さが0.4~3.0μmであり、直径5μm以上のピンホールが0.04個/cm以下である
ことを特徴とする銅張積層板。
【請求項2】
前記導体層は、直径5μm以上のピンホールが0.02個/cm以下である
ことを特徴とする請求項1記載の銅張積層板。
【請求項3】
前記導体層は、直径5μm以上のピンホールが0.01個/cm以下である
ことを特徴とする請求項2記載の銅張積層板。
【請求項4】
めっき装置を用いて、ロールツーロールにより基材を搬送しつつ、電解めっきにより該基材の表面の銅めっき被膜を成膜して、厚さ0.4~3.0μmであり、直径5μm以上のピンホールが0.04個/cm 以下である導体層を有する銅張積層板を得るにあたり、
前記めっき装置は、前記基材のめっき面に接触する全てのローラの搬送面の表面粗さ(Rmax)が0.1μm以下である
ことを特徴とする銅張積層板の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムの表面に直接形成された導体層を有し、
前記導体層は、
乾式成膜法により前記ベースフィルム上に直接成膜された金属層と、
電解めっきにより前記金属層上に直接成膜された銅めっき被膜と、を有し、
前記導体層は、厚さが0.4~3.0μmであり、直径5μm以上のピンホールが0.01個/cm以下である
ことを特徴とする銅張積層板。
【請求項2】
めっき装置を用いて、ロールツーロールにより基材を搬送しつつ、電解めっきにより該基材の表面の銅めっき被膜を成膜して、厚さが0.4~3.0μmであり、直径5μm以上のピンホールが0.04個/cm以下である導体層を有する銅張積層板を得るにあたり、
前記めっき装置は、前記基材のめっき面に接触する全てのローラの搬送面の表面粗さ(Rmax)が0.1μm以下である
ことを特徴とする銅張積層板の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の銅張積層板は、ベースフィルムの表面に形成された、銅めっき被膜を含む導体層を有し、前記導体層は、厚さが0.4~3.0μmであり、直径5μm以上のピンホールが0.01個/cm以下であることを特徴とする。
本発明の銅張積層板の製造方法は、めっき装置を用いて、ロールツーロールにより基材を搬送しつつ、電解めっきにより該基材の表面の銅めっき被膜を成膜して、厚さ0.4~3.0μmの導体層を有する銅張積層板を得るにあたり、前記めっき装置は、前記基材のめっき面に接触する全てのローラの搬送面の表面粗さ(Rmax)が0.1μm以下であることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の銅張積層板は、導体層に存在する直径5μm以上のピンホールが0.01個/cm以下であるので、セミアディティブ法により形成された配線パターンの不良率を18%以下に抑えることができる。
本発明の銅張積層板の製造方法によれば、直径5μm以上のピンホールが0.04個/cm以下の導体層を有する銅張積層板を製造できる。