(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101028
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】ウェアラブル装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
A61B5/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215363
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309013336
【氏名又は名称】日清紡テキスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177493
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 修
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】竹本 香菜子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宗
(72)【発明者】
【氏名】北川 雅士
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 正之
(72)【発明者】
【氏名】坂田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山口 楓
(72)【発明者】
【氏名】勝野 晴孝
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA01
4C117XB02
4C117XB06
4C117XB11
4C117XC11
4C117XD03
4C117XD04
4C117XD05
4C117XD06
4C117XD10
4C117XE19
4C117XE23
4C117XE26
4C117XE28
4C117XE29
4C117XE30
4C117XF03
4C117XH02
4C117XH12
4C117XP11
4C117XP12
4C117XR01
4C117XR02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生体情報を収集することができ、かつ装着性に優れたウェアラブル装置を提供する。
【解決手段】ウェアラブル装置10は、使用者の頸部に装着され、使用者の生体情報を生体情報信号に変換して出力する。ここで頸部への装着状態は、使用者の生体情報を生体情報信号に変換するセンサ部が設けられた支持アーム1の端部側の一部は使用者の頸部に接触し、支持アームの一部は使用者に接触させない状態とする突起部2が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頸部に装着可能なC字状の支持アームと、該支持アームに設けられ装着状態で前記頸部から得られる生体情報を生体情報信号に変換する生体情報検出部と、前記生体情報信号を出力する生体情報出力部とを備えたウェアラブル装置において、
前記支持アームに、該支持アームの端部側の一部が前記頸部に当接し、かつ前記支持アームの一部を前記頸部に当接させない状態で前記頸部に装着可能とする一対の突起部を備えていることを特徴とするウェアラブル装置。
【請求項2】
請求項1記載のウェアラブル装置において、
前記突起部は、当接板支持部の先端に前記頸部に当接する当接板を備え、前記当接板支持部は前記頸部との当接角度が可変可能となるように前記当接板を支持していることを特徴とするウェアラブル装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2いずれか記載のウェアラブル装置において、
前記生体情報検出部は、前記頸部に当接する部分の前記支持アーム、前記突起部あるいは前記当接板の少なくともいずれかに配置されるとともに、さらに前記頸部に当接しない部分の前記支持アームに配置されていることを特徴とするウェアラブル装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3いずれか記載のウェアラブル装置において、
前記生体情報出力部は、該生体情報出力部を備えたウェアラブル装置以外のウェアラブル装置に対して前記生体情報信号を出力することを特徴とするウェアラブル装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4いずれか記載のウェアラブル装置において、
前記ウェアラブル装置へ送信された信号を受信する受信部と、受信した前記信号を視覚情報信号、聴覚情報信号あるいは触覚情報信号に変換する再生部とを備えていることを特徴とするウェアラブル装置。
【請求項6】
請求項5記載のウェアラブル装置において、
前記再生部は、前記視覚情報信号を使用者が認知可能な視覚情報として表示する表示装置、前記聴覚情報信号を使用者が認知可能な聴覚信号として再生する発音装置あるいは前記触覚情報信号を使用者が認知可能な振動信号として再生する振動装置の少なくともいずれかを備えていることを特徴とするウェアラブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の頸部に装着可能なウェアラブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高温あるいは低温の環境下で働く作業者を管理するため、各作業者の生体情報や環境情報を収集するシステムが種々提案されている。例えば、高温環境下における作業者の熱中症を予防するため、特許文献1には耳栓型の熱中症警報装置が開示されている。
【0003】
また騒音環境下で作業する場合には、マイクとスピーカ等を含むヘッドセットを装着して作業する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のウェアラブル装置は、使用者の動作の妨げにならず、装着性に優れた構造とするのが好ましい。また、種々のセンサを配置することができる大きさとするのが好ましい。本発明はこのような実状に鑑み、生体情報を収集することができ、かつ装着性に優れたウェアラブル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、使用者の頸部に装着可能なC字状の支持アームと、該支持アームに設けられ装着状態で前記頸部から得られる生体情報を生体情報信号に変換する生体情報検出部と、前記生体情報信号を出力する生体情報出力部とを備えたウェアラブル装置において、前記支持アームに、該支持アームの端部側の一部が前記頸部に当接し、かつ前記支持アームの一部を前記頸部に当接させない状態で前記頸部に装着可能とする一対の突起部を備えていることを特徴とする。
【0007】
本願請求項2に係る発明は、請求項1記載のウェアラブル装置において、前記突起部は、当接板支持部の先端に前記頸部に当接する当接板を備え、前記当接板支持部は前記頸部との当接角度が可変可能となるように前記当接板を支持していることを特徴とする。
【0008】
本願請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2いずれか記載のウェアラブル装置において、前記生体情報検出部は、前記頸部に当接する部分の前記支持アーム、前記突起部あるいは前記当接板の少なくともいずれかに配置されるとともに、さらに前記頸部に当接しない部分の前記支持アームに配置されていることを特徴とする。
【0009】
本願請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3いずれか記載のウェアラブル装置において、前記生体情報出力部は、該生体情報出力部を備えたウェアラブル装置以外のウェアラブル装置に対して前記生体情報信号を出力することを特徴とする。
【0010】
本願請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4いずれか記載のウェアラブル装置において、前記ウェアラブル装置へ送信された信号を受信する受信部と、受信した前記信号を視覚情報信号、聴覚情報信号あるいは触覚情報信号に変換する再生部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本願請求項6に係る発明は、請求項5記載のウェアラブル装置において、前記再生部は、前記視覚情報信号を使用者が認知可能な視覚情報として表示する表示装置、前記聴覚情報信号を使用者が認知可能な聴覚信号として再生する発音装置あるいは前記触覚情報信号を使用者が認知可能な振動信号として再生する振動装置の少なくともいずれかを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のウェアラブル装置は頸部に装着する小型の装置であり、突起部を備えることで支持アームの一部は頸部から離れた状態で装着可能となっているため、装着性に優れている。また突起部により、頸部の周方向に回転することも防止でき、使用者の動作の妨げになることもない。さらに複数のセンサを配置することが可能で、種々の用途に使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態のウェアラブル装置の説明図である。
【
図2】本発明の実施形態のウェアラブル装置の説明図である。
【
図3】本発明のウェアラブル装置を使用した第1の実施例の説明図である。
【
図4】本発明のウェアラブル装置を使用した第2の実施例の説明図である。
【
図5】本発明のウェアラブル装置を使用した第3の実施例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のウェアラブル装置は使用者の頸部に装着され、使用者の生体情報を生体情報信号に変換して出力する。ここで頸部への装着状態は、使用者の生体情報を生体情報信号に変換する生体情報検出部が設けられた支持アームの端部側の一部は使用者の頸部に当接し、支持アームの一部は使用者に当接させない状態とする。以下、本発明のウェアラブル装置の実施形態について説明する。
【0015】
図1に本発明の実施形態のウェアラブル装置10を示す。
図1に示すように本実施形態のウェアラブル装置10は、着脱が容易となるように一部が開口したC字状の支持アーム1を備えている。また、支持アーム1に一対の突起部2を備えている。この突起部2により、支持アーム1の一部を使用者に当接させない状態で装着可能としている。
【0016】
突起部2は、使用者の頸部あるいはその近傍に当接する構造とすることができるが、例えば、装着時に使用者の頸部に接触(当接)する当接板3とこれを支持する当接板支持部4とを備え、当接板3が当接板支持部4を介して支持アーム1に配置する構成とすることができる。ここで、支持アーム1は、着脱を容易にするため開口寸法が広がるように変形可能であり、装着時に先端部側(端部側の一部)が使用者の頸部に当接可能な形状となっている。また当接板3も装着時に使用者の頸部に当接するように当接板支持部4が変形するように形成されている。当接板3を頸部の周に沿うように湾曲させてもよい。支持アーム1は中空構造となっており、内部に生体情報を検知して生体情報信号に変換する生体情報検出部や、生体情報信号を外部に出力する生体情報出力部等を備えている。
【0017】
本発明のウェアラブル装置10は、支持アーム1の端部側と一対の突起部2の先端(当接板3)とで使用者の頸部に装着されるため、使用者の動きによってウェアラブル装置10がずれることはない。また対向するように配置した一対の突起部2で頸部に装着されるため、支持アーム1の端部側が頸部に当接する圧力を低減することができ、装着性に優れている。
【0018】
また本発明のウェアラブル装置10には、1個あるいは複数の生体情報検出部を構成するセンサを配置することができる。このセンサは、支持アーム1の内部に収納される。
図2は使用者の頸部に装着した状態のセンサの設置位置を模式的に示している。
図2に示すように、センサS1、S2は頸部の前側に当接するセンサで支持アーム1の表面に配置している。センサS3、S4は頸部の後側に当接するセンサで突起部2の表面に配置している。またセンサS5は頸部には当接しないものの頸部に対向するセンサで支持アーム1の表面に配置している。
【0019】
このようにセンサの配置とセンサの種類を適宜選択することで、種々の生体情報を検出することが可能となる。また生体情報を検出したウェアラブル装置と別の装置との間で、生体情報信号等を送受信することで様々な用途で使用可能となる。以下、本発明のウェアラブル装置を用いた実施例について詳細に説明する。
【実施例0020】
本発明の第1の実施例として、本発明のウェアラブル装置を使用者の安全を確保する見守りのために使用する場合について説明する。例えば
図2に示すセンサS1、S2をマイクロフォンとし、頸部の内部組織(気管、動脈)で発生する音(呼吸音、脈動、音声)を検出するものとする。センサS1、S2の一方を反射型の酸素飽和度測定センサとしてもよい。センサS3、S4を加速度センサあるいは筋電センサとし、使用者の動きを検出するものとする。S5を温度センサとし、使用者の体温を検出するものとする。
【0021】
本実施例では、突起部2を設けることで支持アーム1の一部が使用者の頸部に当接しない領域を形成することができる。そこで、この領域に使用者の体温を検出するセンサS5を配置する。体温を測定する使用者の頸部表面は支持アーム1に当接していないため、支持アーム1からの影響を受けない。即ち、支持アーム1への熱の拡散、あるいは支持アーム1からの熱の伝導がないので、正確に体温を測定することができる。
【0022】
さらに環境条件を測定するため、
図2に図示しない別のセンサを付加してもよい。例えば、支持アーム1の使用者の頸部と接触しない外側に気温計、湿度計、照度計や紫外線計のような光環境を測定するセンサ、あるいは環境騒音を測定するセンサ等を配置することも可能である。
【0023】
このようなウェアラブル装置を装着した複数の使用者を監視する例を
図3に示す。
図3に示す例では、3人の使用者を監視する例となる。各ウェアラブル装置10-1~10-3は、それぞれ、制御部11により送信部12、センサ部13が制御されており、電池14から電源が供給されている。センサ部13は、上述したセンサS1~S5で構成されている。制御部11の制御により、各センサの検出(測定)が行われ、生体情報から生体情報信号への変換が行われる。この生体情報信号は、送信部12から外部へ送信される。複数のウェアラブル装置10-1~10-3から送信される生体情報信号を識別するため、所望の識別信号を付加された信号が送信される構成としてもよい。また気温等を測定するセンサを備える場合には、その測定結果も送信される。
【0024】
ウェアラブル装置10-1~10-3からそれぞれ送信された生体情報信号は、制御部21により制御された受信部22を備えた監視装置20で受信される。監視装置20では、各ウェアラブル装置10-1~10-3から送信された生体情報信号から各使用者の異常の有無を判定することができる。生体情報信号の送受信は一般的な送受信方法により行うことができる。監視装置20は、専用のコンピュータ装置の他、タブレットやスマートフォン等の携帯用機器で構成することもできる。
【0025】
例えばウェアラブル装置10-1を装着した使用者の体温の上昇(センサS5の検出結果)、脈拍数の変化(センサS1、S2の検出結果)、呼吸数の変化(センサS1,S2の検出結果)、体動の有無(センサS3、S4の検出結果)等を監視することで、異常が生じていること、あるいは異常が生じるおそれがあることを検知することができる。このような検知が行われた場合、その使用者に対して作業の中止やその場からの退避等を指示することができる。
【0026】
本実施例では、支持アーム1と直接接触しないセンサS5を備えているため、支持アーム1への熱の拡散等の影響がない状態で使用者の体温を測定することができるため、熱中症の発生を防止する装置として好適となる。
【0027】
本実施例の変形例として、突起部2にセンサS3、S4を配置する代わりにペルチェ素子を配置し、センサS5の検出により体温の上昇が確認されたときには、ペルチェ素子により冷却を行うように構成してもよい。この場合、制御部11によりペルチェ素子を制御すればよい。また、突起部2にセンサやペルチェ素子を配置せず、支持アーム1の支持部材として機能させることも可能である。突起部2はセンサ等の配置の有無にかかわらず、使用者の頸部と衣服の襟との間に空間を作り、ファン付きの衣服を着用した場合の通風性を向上させることもできる。
次に第2の実施例について説明する。上述の第1の実施例では、ウェアラブル装置101~10-3から生体情報信号を送信し、監視装置20で受信する場合について説明したが、監視装置20から送信される信号をウェアラブル装置10-1~10-3で受信するように構成しても良い。
生体情報信号として音声信号を送受信する場合、ウェアラブル装置10-1~10-3のセンサ部13にはマイクロフォンで構成するセンサS1等を備えているため、ウェアラブル装置を装着した状態で発声すれば、音声信号を送信することができる。一方監視装置20には、受信した音声信号を再生するスピーカやイヤホン等からなる再生部23を備えることで、監視装置20においてウェアラブル装置10-1~10-3から送信された音声信号を監視者が認知できる。
逆に監視装置20で生成した音声信号を監視装置20からウェアラブル装置10-1~10-3へ送信することができる。この場合、ウェアラブル装置10-1~10-3に受信した音声信号を再生するスピーカやイヤホン等からなる再生部15を備えることで、監視装置20から送信された音声信号を使用者が認知できる。
なお、監視装置20からウェアラブル装置10-1~10-3へ送信される信号は音声信号に限らない。ウェアラブル装置10-1~10-3を装着した使用者に対して視覚的、聴覚的、触覚的に認知可能となる信号を送信可能とすればよい。例えば、視覚的に認知可能な信号として、文字情報を表示して使用者に認知可能としたり、光の点滅等により使用者に認知可能とする信号を送信すればよい。聴覚的に認知可能な信号として、音声の他、警報音等により使用者に認知可能とする信号を送信すればよい。また触覚的に認知可能な信号として、支持アーム1等が振動することで使用者に認知可能とする信号を送信すればよい。
このように本実施例においては、異常が検知されたウェアラブル装置10-1~10-3の使用者に対して作業の中止やその場からの退避等を、ウェアラブル装置10-1~10-3に備えられた再生部15によって認知可能とすることが可能となる。