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特開2022-101483生体データ処理装置、生体データ計測システム、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101483
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】生体データ処理装置、生体データ計測システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/248 20210101AFI20220629BHJP
【FI】
A61B5/248
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192184
(22)【出願日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】P 2020214933
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021169911
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(71)【出願人】
【識別番号】504179255
【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】星 文和
(72)【発明者】
【氏名】宮野 由貴
(72)【発明者】
【氏名】山形 秀明
(72)【発明者】
【氏名】川端 茂▲徳▼
(72)【発明者】
【氏名】長岡 信頼
(72)【発明者】
【氏名】渡部 泰士
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA10
4C127DD03
4C127FF07
4C127GG13
(57)【要約】
【課題】複数の部位に対する刺激に紐づいたトリガー信号に応じて計測される複数の生体データを加算平均処理する場合に、加算平均処理の効果を部位ごとで等しく得ること。
【解決手段】本発明の一態様に係る生体データ処理装置は、少なくとも1つの部位に対する刺激に紐づいたトリガー信号に応じて計測される生体データの加算回数が所定回数に達するたびに加算平均処理する加算平均処理部と、少なくとも1つの刺激部位ごとでの加算平均処理結果である加算平均データと、前記加算平均データにおける前記加算回数と、を対応付けて保存する保存部と、指定された前記加算回数に基づき前記保存部を参照して取得される少なくとも1つの刺激部位ごとでの前記加算平均データを用いて、前記生体データに基づく処理を行う生体データ処理部と、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの部位に対する刺激に紐づいたトリガー信号に応じて計測される生体データの加算回数が所定回数に達するたびに加算平均処理する加算平均処理部と、
少なくとも1つの刺激部位ごとでの加算平均処理結果である加算平均データと、前記加算平均データにおける前記加算回数と、を対応付けて保存する保存部と、
指定された前記加算回数に基づき前記保存部を参照して取得される少なくとも1つの刺激部位ごとでの前記加算平均データを用いて、前記生体データに基づく処理を行う生体データ処理部と、を有する生体データ処理装置。
【請求項2】
前記生体データは、生体が発生する磁場データであり、
前記生体データ処理部は、前記磁場データに基づき、前記生体における少なくとも1つの刺激部位ごとでの活動電流の強さを推定する処理を行う請求項1に記載の生体データ処理装置。
【請求項3】
前記加算回数の指定を受け付ける第1指定受付部を有する請求項1又は2に記載の生体データ処理装置。
【請求項4】
前記所定回数の指定を受け付ける第2指定受付部をさらに有する請求項3に記載の生体データ処理装置。
【請求項5】
更新間隔回数の指定を受け付ける第3指定受付部をさらに有し、
前記所定回数は、前記加算回数が前記所定回数に達するたびに、前記第3指定受付部により受け付けられた前記更新間隔回数が前記所定回数に加算された回数に自動更新される請求項3又は4に記載の生体データ処理装置。
【請求項6】
前記加算回数に応じて前記生体データ処理部に処理方法を切り替えさせる切替部を有する請求項1乃至5の何れか1項に記載の生体データ処理装置。
【請求項7】
前記切替部は、前記加算回数が総加算回数に対応する加算回数である場合にのみ前記処理方法を切り替え、
前記生体データ処理部は、前記加算回数が総加算回数に対応する加算回数以外である場合には、総加算回数に対応する加算回数の場合と比較して高速な処理を行い、前記加算回数が総加算回数に対応する加算回数である場合には、前記加算回数が総加算回数に対応する加算回数以外である場合と比較して高精度な処理を行う請求項6に記載の生体データ処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の生体データ処理装置と、
生体を計測する計測装置と、を有する生体データ計測システム。
【請求項9】
前記生体データ処理部による処理結果に基づき、前記計測装置による計測の中断又は延長を制御する計測制御部をさらに有する請求項8に記載の生体データ計測システム。
【請求項10】
前記生体データ処理部による前記処理結果を表示する表示部と、
前記計測装置による計測の中断又は延長の何れか一方の指示を受け付ける指示受付部と、を有し、
前記計測制御部は、前記指示に応じて前記計測装置による計測を中断又は延長させる請求項9に記載の生体データ計測システム。
【請求項11】
少なくとも1つの部位に対する刺激に紐づいたトリガー信号に応じて計測される生体データの加算回数が所定回数に達するたびに加算平均処理し、
少なくとも1つの刺激部位ごとでの加算平均処理結果である加算平均データと、前記加算平均データにおける前記加算回数と、を対応付けて保存部が保存し、
指定された前記加算回数に基づき前記保存部を参照して取得される少なくとも1つの刺激部位ごとでの前記加算平均データを用いて、前記生体データに基づく処理を行う
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項12】
トリガー信号に応じた生体データの加算回数が所定回数に達するたびに磁場データをセグメント加算平均処理する加算平均処理部と、
複数のセグメント加算平均処理結果であるセグメント加算データと、前記セグメント加算データにおける加算回数と、を対応付けて保存する保存部と、
前記セグメント加算データを表示させる表示部と、
前記保存部を参照して取得される前記セグメント加算データのうち、任意の前記セグメント加算データを加算平均処理して加算平均データを取得する加算平均処理部と、
を有する生体データ処理装置。
【請求項13】
前記セグメント加算データ及び前記加算平均データの少なくとも一方を対象として、前記生体データに基づく処理を行う生体データ処理部を有する請求項12に記載の生体データ処理装置。
【請求項14】
表示部を有し、
前記生体データは、生体が発生する磁場データであり、
前記生体データ処理部は、前記磁場データに基づく体内の活動電流の強さを推定する処理及び前記磁場データに周波数解析を行う処理の少なくとも一つを行い、その結果を前記表示部に表示させる請求項13に記載の生体データ処理装置。
【請求項15】
前記表示部は、複数の前記セグメント加算データ及び複数の前記加算平均データを並べて表示する請求項14に記載の生体データ処理装置。
【請求項16】
トリガー信号に応じた生体データの加算回数が所定回数に達するたびに磁場データをセグメント加算平均処理する加算平均処理部と、
セグメント加算データを表示させる表示部と、
トリガー信号に対応付けられた全エポックデータを保存する保存部と、
前記保存部を参照して取得される全エポックデータのうち、任意のエポックデータを選択して加算平均処理し、加算平均データを取得する加算平均処理部と、を有する生体データ処理装置。
【請求項17】
前記所定回数の設定とセグメント幅の設定は、別々に行われる請求項16に記載の生体データ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体データ処理装置、生体データ計測システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気刺激等の刺激に対して発生する生体の磁場データ等の生体データを計測する生体データ計測システムが知られている。このような生体データ計測システムでは、微弱な生体データに含まれるノイズを低減するために、定期的に発生するトリガー信号に応じて計測された生体データが加算平均処理される場合がある。
【0003】
また、加算平均処理を伴う心電図検査の利便性を向上させるために、所定のテンプレートに合致する心電図信号を加算対象とし、合致しないものを加算対象外とするように加算平均処理を実行する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のトリガー信号に応じて計測される生体データを加算平均処理する場合には、前記トリガー信号に対応する刺激部位ごとでの加算回数の違いにより、加算平均処理の効果を刺激部位ごとで等しく得ることができない場合がある。特許文献1の構成は1つのトリガー信号に応じた生体データの加算平均処理を開示するものであるため、このような課題を解決することはできない。
【0005】
本発明は、複数の部位に対する刺激に紐づいたトリガー信号に応じて計測される複数の生体データを加算平均処理する場合に、加算平均処理の効果を刺激部位ごとで等しく得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る生体データ処理装置は、少なくとも1つの部位に対する刺激に紐づいたトリガー信号に応じて計測される生体データの加算回数が所定回数に達するたびに加算平均処理する加算平均処理部と、少なくとも1つの刺激部位ごとでの加算平均処理結果である加算平均データと、前記加算平均データにおける前記加算回数と、を対応付けて保存する保存部と、指定された前記加算回数に基づき前記保存部を参照して取得される少なくとも1つの刺激部位ごとでの前記加算平均データを用いて、前記生体データに基づく処理を行う生体データ処理部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の部位に対する刺激に紐づいたトリガー信号に応じて計測される複数の生体データを加算平均処理する場合に、加算平均処理の効果を前記トリガー信号に対応する刺激部位ごとで等しく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る生体データ計測システムの全体構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る計測装置の構成例を説明する図である。
図3】実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成例のブロック図である。
図4】第1実施形態に係る計測WSの機能構成例のブロック図である。
図5】第1実施形態に係るデータ保存サーバの機能構成例のブロック図である。
図6】第1実施形態に係る解析WSの機能構成例のブロック図である。
図7】第1実施形態に係る計測WSの動作例のフローチャートである。
図8】第1実施形態に係る解析WSの動作例のフローチャートである。
図9】所定回数及び総加算回数の指定画面例を示す図である。
図10】計測画面及び操作画面例を示す図である。
図11】加算平均データリスト例を示す図である。
図12】活動電流推定中の表示画面例を示す図である。
図13】適切でない活動電流推定結果の表示画面例を示す図である。
図14】適切な活動電流の推定結果の表示画面例を示す図である。
図15】第2実施形態に係る解析WSの機能構成例のブロック図である。
図16】第3実施形態に係る計測WSの機能構成例のブロック図である。
図17】第3実施形態に係る所定回数及び総加算回数の指定画面の第1例の図である。
図18】第3実施形態に係る所定回数及び総加算回数の指定画面の第2例の図である。
図19】第4~6実施形態に係る生体データ計測システムの全体構成例の図である。
図20】第4実施形態に係る計測WSの機能構成図のブロック図である。
図21】第4実施形態に係るデータ保存サーバの機能構成図のブロック図である。
図22】第4実施形態に係る解析WSの機能構成図のブロック図である。
図23】第4実施形態に係る生体データ処理装置の動作例のフローチャートである。
図24】第4実施形態に係る所定回数、セグメント幅及び総加算回数の指定画面の第1例の図である。
図25】第4実施形態に係る所定回数、セグメント幅及び総加算回数の指定画面の第2例の図である。
図26】計測画面または解析画面上に表示された波形データ例の図である。
図27】計測画面または解析画面上に表示された周波数スペクトル例の図である。
図28】セグメント加算データリスト例を示す図である。
図29】第5実施形態に係る計測WSの機能構成図のブロック図である。
図30】第5実施形態に係るデータ保存サーバの機能構成図のブロック図である。
図31】第5実施形態に係る解析WSの機能構成図のブロック図である。
図32】第5実施形態に係る生体データ処理装置の動作例のフローチャートである。
図33】第6実施形態に係る所定回数、セグメント幅及び総加算回数の指定画面を示す図である。
図34】第6実施形態に係る生体データ処理装置の動作例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
また以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための生体データ処理装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の形状、その相対的配置、パラメータの値等は特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0011】
実施形態に係る生体データ処理装置は、計測装置で計測された生体データに基づく処理を行う装置である。生体データに基づく処理は、例えば生体の活動電流を推定する処理である。
【0012】
計測装置は、電気刺激等の刺激に対して発生する生体の磁場データを生体データとして計測する脊磁計等の計測装置である。また脊磁計とは、脊髄の神経活動によって生じるわずかな磁場を計測し、身体を傷つけることなく神経活動を可視化する計測装置をいう(例えば、「https://reader.elsevier.com/reader/sd/pii/S1388245718313415?token=C588DF7ADF1D16EAB0CF51EEF358B69D0570B5948A51FB4CFE60D5406A1D8A4DF9D54238F814CBD7DF87EFFF38BBDBC0」参照)。
【0013】
生体の活動電流とは、生体の細胞や組織が刺激を受けたときに発生する活動電位により、刺激を受けた部分が他の部分に対して負の電位をもつことで、電位差が生じて流れる微弱な電流をいう。
【0014】
実施形態では、複数のトリガー信号に応じて計測される生体データの加算回数が所定回数に達するたびに加算平均処理された結果である加算平均データと、該加算平均データにおける加算回数とを対応付けて保存する。
【0015】
そして、指定された加算回数に基づき保存部を参照して取得されるトリガー信号に対応した加算平均データを用いて、生体データに基づく処理を行う。生体データに基づく処理は、例えば少なくとも1つの刺激部位ごとでの活動電流の強さを推定する処理である。
【0016】
実施形態では、少なくとも1つの刺激部位ごとで同じ加算回数による加算平均データを用いることで、刺激部位ごとでの加算回数の違いをなくし、刺激部位ごとで加算平均処理の効果を等しく得ることを可能にする。
【0017】
以下では、生体の磁場を計測する計測装置と、該計測装置により計測された生体データに対して、該生体データから生体の活動電流を推定する生体データ処理装置とを有する生体データ計測システムを一例として実施形態を説明する。また、実施形態では、生体に電気刺激を与えることで、生体における脊髄内の神経を流れる電流の強さを推定する例について説明する。
【0018】
なお、上記及び以下に示す「ユーザ」は、生体データ計測システムを使用するユーザである。より具体的には、生体データ計測システムを使用して生体データを取得する技師、或いは診察又は診断を行う医師である。
【0019】
[実施形態]
<生体データ計測システム1の全体構成>
まず、実施形態に係る生体データ計測システム1の全体構成について、図1を参照して説明する。
【0020】
図1は、生体データ計測システム1の全体構成の一例を説明する図である。図1に示すように生体データ計測システム1は、計測装置2と、計測WS(Work Station)3と、解析WS4と、データ保存サーバ5とを有する。これらは有線又は無線によって、相互に通信可能に接続されている。これらのうち、計測WS3、解析WS4及びデータ保存サーバ5は、生体データ処理装置10を構成する。
【0021】
計測装置2は、複数のトリガー信号のそれぞれに応じた電気刺激等の刺激に対して生体で発生する磁場データを計測する脊磁計である。磁場データは計測データの一例である。計測装置2は複数の部位に対する刺激に紐づいたトリガー信号に対する計測結果である磁場データを、複数のトリガー信号とともに計測WS3に送信する。
【0022】
計測WS3は、計測装置2から受信した複数のトリガー信号をカウントして複数の刺激部位ごとでの加算回数を取得し、複数の刺激部位ごとでの加算回数が所定回数に達するたびに磁場データを加算平均処理する。そして、加算平均処理結果である加算平均データと、該加算平均データにおける加算回数の情報とを対応付けてデータ保存サーバ5に送信する。
【0023】
データ保存サーバ5は、計測WS3から受信した加算平均データと加算回数とを対応付けて保存する。
【0024】
解析WS4は、ユーザが指定した加算回数に基づいて、データ保存サーバ5を参照して複数の刺激部位ごとでの加算平均データを取得し、取得された加算平均データを用いて、複数の刺激部位ごとでの活動電流の強さを推定する。解析WS4は、解析WS4が有するディスプレイに推定結果を表示したり、データ保存サーバ5に送信して保存させたり、外部サーバ等の外部装置に送信したりすることができる。
【0025】
なお、本実施形態では、計測WS3、解析WS4及びデータ保存サーバ5の3台の装置により生体データ処理装置10を構成する構成を例示するが、これに限定されるものではない。計測WS3、解析WS4及びデータ保存サーバ5の機能を集約した1台の装置で生体データ処理装置10を構成してもよいし、計測WS3、解析WS4及びデータ保存サーバ5の機能を分散させた4台以上の装置で生体データ処理装置10を構成してもよい。
【0026】
また生体データ計測システム1は、計測WS3、解析WS4及びデータ保存サーバ5以外の装置を通信可能に備えてもよいし、計測装置2以外の他の生体データの計測装置を通信可能に備えてもよい。
【0027】
<計測装置2の構成例>
次に図2を参照して、計測装置2の構成について説明する。
【0028】
図2は、計測装置2の構成の一例を説明する図である。図2に示すように、計測装置2は、磁気センサアレイ200と、磁気センサアレイ200を収容するデュワー210とを有する。
【0029】
磁気センサアレイ200は、複数の磁気センサ201がアレイ状に配置された生体センサであり、被検者100の首の背後に設置されている。ここで、被検者100は、「生体」の一例である。
【0030】
複数の磁気センサ201のそれぞれは、図2に矢印で示したx軸、y軸、及びz軸の各方向における生体の磁場を計測し、磁場データを出力する。図2の例では、磁気センサアレイ200は、7×5個の磁気センサを含んでおり、複数の磁気センサ201のそれぞれが計測した磁場データは、生体データ処理装置10に出力される。なお、被検者100に対して磁気センサアレイ200を設置する位置は、マーカーコイル等を用いて予め調整されている。
【0031】
また、デュワー210の内部は、液体ヘリウムが充填されており、磁気センサアレイ200を極低温で動作させるための冷却が行われている。
【0032】
なお、実施形態では、磁気センサアレイ200上の点240の位置を、x軸、y軸及びz軸の原点とする。磁気センサアレイ200上の点240の位置をx軸、y軸、及びz軸の原点とすることで、磁気センサアレイ200における複数の磁気センサ201間の相対的な位置関係を、全てx座標、y座標及びz座標により表すことができる。
【0033】
また、計測装置2による磁場の計測方法には、特開2018―089104号公報等に記載された公知技術を適用できるため、ここではさらに詳細な説明を省略する。
【0034】
さらに、図2では、磁気センサアレイ200が被検者100の首の背後に設置された例を示したが、以下では、磁気センサアレイ200が被検者100の腰の背後に設置され、腰付近の生体内部の磁場データが計測されて、脊髄内の神経を流れる電流の強さを推定する例を説明する。但し、推定対象は、脊髄内の神経を流れる電流の強さに限定されるものではない。例えば腕や足等の四肢の末梢神経を流れる電流の強さを推定対象にすることもできる。
【0035】
<コンピュータのハードウェア構成例>
本実施形態における計測WS3、解析WS4及びデータ保存サーバ5はそれぞれコンピュータにより構築可能である。図3を参照して、このコンピュータのハードウェア構成について説明する。
【0036】
図3は、コンピュータのハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。なお、図3では計測WS3を構築するコンピュータのハードウェア構成を例示するが、解析WS4及びデータ保存サーバ5のそれぞれを構築するコンピュータのハードウェア構成も図3と同様である。
【0037】
図3に示すように、計測WS3は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、HD(Hard Disk)504と、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505と、ディスプレイ506と、外部機器接続I/F(Interface)508と、ネットワークI/F509とを有する。
【0038】
また、計測WS3は、データバス510と、キーボード511と、ポインティングデバイス512と、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514と、メディアI/F516とを有する。
【0039】
これらのうち、CPU501は、計測WS3全体の動作を制御する。ROM502は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。
【0040】
RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御に従って、HD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0041】
ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。
【0042】
ネットワークI/F509は、ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。データバス510は、CPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0043】
キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。
【0044】
DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0045】
[第1実施形態]
<生体データ処理装置10の機能構成例>
次に図4乃至図6を参照して、生体データ処理装置10を構成する計測WS3、解析WS4及びデータ保存サーバ5のそれぞれの機能構成について説明する。
【0046】
(計測WS3の機能構成例)
まず図4は、計測WS3の機能構成の一例を説明するブロック図である。図4に示すように、計測WS3は、通信部31と、加算平均処理部32と、計測制御部33とを有する。
【0047】
これら各部は、図3に示されている各構成要素の何れかがROM502からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。なお図4は、計測WS3が有する主な構成を示すが、計測WS3はこれら以外の構成を有してもよい。例えば計測WS3は計測装置2から受信した磁場データを示す波形データを表示する表示部を備えてもよい。
【0048】
通信部31は、計測装置2、解析WS4及びデータ保存サーバ5のそれぞれとの間でデータ及び信号の送受信を行う。
【0049】
加算平均処理部32は、ユーザがキーボード511(図3参照)等を用いて入力した所定回数及び総加算回数の情報を取得する。総加算回数は、加算平均処理部32が磁場データの加算を行う総回数である。なお、加算平均処理部32は、HD504等に予め保存された所定回数及び総加算回数の情報を、HD504等を参照して取得してもよい。
【0050】
加算平均処理部32は、計測装置2から通信部31を介して、複数のトリガー信号を受信する。また加算平均処理部32は、複数のトリガー信号のそれぞれに対して、磁場計測が開始された時刻から所定の周期で計測装置2が計測した磁場データを、通信部31を介して受信して加算処理する。なお、所定の周期はトリガー信号ごとで異なる場合がある。
【0051】
加算平均処理部32は、受信した複数のトリガー信号をカウントして各トリガー信号に対応する刺激部位ごとでの加算回数を取得し、加算回数が所定回数に達するたびに、各トリガー信号に対応した磁場データを加算平均処理する。各トリガー信号に対応する刺激部位ごとで加算回数が異なる場合には、同じ時刻で加算平均処理する刺激部位と加算平均処理しない刺激部位が生じる。
【0052】
加算平均処理は、計測装置2が計測した磁場データを逐次加算処理した値を加算回数で除算して平均値を算出する処理である。加算平均処理部32は、処理結果である加算平均データと、加算平均データにおける加算回数の情報とを対応付けて、通信部31を介してデータ保存サーバ5に送信する。
【0053】
計測制御部33は、解析WS4が有する推定部(後述)による活動電流の強さの推定結果に基づく指示を、通信部31を介して受信し、この推定結果に基づき、計測装置2に計測を中断させ、又は延長させることができる。計測制御部33は、解析WS4からの計測の中断又延長の指示を、指示があった任意のタイミングで割込みデータとして受信可能である。
【0054】
(データ保存サーバ5の機能構成例)
次に図5は、データ保存サーバ5の機能構成の一例を説明するブロック図である。図5に示すように、データ保存サーバ5は、通信部51と、保存部52とを有する。
【0055】
これら各部は、図3に示されている各構成要素の何れかがROM502からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。なお図5は、データ保存サーバ5が有する主な構成を示すが、データ保存サーバ5はこれら以外の構成を有してもよい。
【0056】
通信部51は、計測WS3及び解析WS4のそれぞれとの間でデータ及び信号の送受信を行う。
【0057】
保存部52は、通信部51を介して計測WS3から受信した加算平均データ522と加算平均で用いた加算回数521とを対応付けて保存する。なお、加算平均データ522は、複数の加算平均データの総称表記であり、加算回数521は、複数の加算回数の総称表記であり、パラメータ523は、複数のパラメータの総称表記である。
【0058】
(解析WS4の機能構成例)
次に図6は、解析WS4の機能構成の一例を説明するブロック図である。図6に示すように、解析WS4は、通信部41と、推定部42と、第1指定受付部43と、指示受付部44と、表示部45と、判断部46とを有する。
【0059】
これら各部は、図3に示されている各構成要素の何れかがROM502からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。なお図6は、解析WS4が有する主な構成を示すが、解析WS4はこれら以外の構成を有してもよい。
【0060】
通信部41は、計測WS3及びデータ保存サーバ5のそれぞれとの間でデータ及び信号の送受信を行う。
【0061】
第1指定受付部43は、ユーザがキーボード511等を用いて指定した加算回数の情報を受け付ける。例えば、第1指定受付部43は、通信部41を介して保存部52が保存する加算平均データのリストを取得し、取得した加算平均データのリストを表示部45によりディスプレイ506等に表示させる。第1指定受付部43は、ユーザが加算平均データのリストを視認して選択した結果から加算回数の情報を受け付けることができる。
【0062】
推定部42は、生体データに基づく処理を行う生体データ処理部の一例である。推定部42は、計測装置2が計測した磁場データに基づき、生体の活動電流の強さを推定する処理を行う。
【0063】
具体的には、推定部42は、指定された加算回数に基づき、通信部41を介してデータ保存サーバ5の保存部52を参照して複数の刺激部位ごとでの加算平均データを取得する。保存部52は、生体の複数の刺激部位ごとで、加算回数と加算平均データを対応付けて保存しているため、加算回数を指定することで、加算回数に対応する加算平均データを複数の刺激部位ごとで取得できる。
【0064】
推定部42は、取得した加算平均データを用いて、複数の刺激部位ごとでの活動電流の強さを推定する。この推定アルゴリズムには、「Array-Gain Constraint Minimum-Norm Spatial Filter With Recursively Updated Gram Matrix」(例えば、「https://ieeexplore.ieee.org/document/5415622」参照)等を用いることができる。
【0065】
ここで、計測装置2による磁場データの計測の周期は、生体の複数の刺激部位ごとで異なる場合がある。あるいは、特定の刺激部位のトリガーにのみ、トリガーの発生または測定に不具合が生じ、一部のデータが欠落する場合もある。そのため、例えば計測時刻に基づき刺激部位ごとでの加算平均データを取得すると、刺激部位ごとで加算回数が異なる場合がある。加算回数が異なると、加算平均処理の効果を刺激部位ごとで等しく得ることができず、活動電流の強さの推定精度が刺激部位ごとで異なるものとなる。
【0066】
これに対し、本実施形態では、刺激部位ごとで同じ加算回数に対応する加算平均データを用いて活動電流の強さの推定するため、加算平均処理の効果を刺激部位ごとで等しく得ることができる。これにより、活動電流の強さの推定精度が刺激部位ごとで等しくなる。
【0067】
表示部45は、推定部42による活動電流の強さの推定結果を表示する。例えば表示部45は、ディスプレイ506に推定結果を表示し、ユーザに視認させることができる。また、表示部45は、計測装置2が計測した磁場データを示す波形データを、計測WS3を介して受信し、これを表示することもできる。
【0068】
推定部42は、測定途中であっても、すでに保存されている(途中の加算回数の)データについて活動電流の強さを推定し、ユーザは、表示部45が表示した推定部42による推定結果を視認できる。
【0069】
ユーザは、ディスプレイ506に表示された活動電流の強さの推定結果を視認し、刺激部位ごとでの推定結果が妥当であるか否か、或いは十分な数量の磁場データを計測できたか否か等を判断できる。
【0070】
ユーザは活動電流の推定結果が妥当でないと判断した場合には、キーボード511等を用いて計測の中断を指示する。指示受付部44は、受け付けた中断の指示を、通信部41を介して計測WS3に送信する。計測WS3の計測制御部33は、指示に応答して計測装置2に計測を中断させることができる。
【0071】
また、ユーザは磁場データの数量が不足していると判断した場合には、キーボード511等を用いて計測の延長を指示する。指示受付部44は、受け付けた延長の指示を、通信部41を介して計測WS3に送信する。計測WS3の計測制御部33は、指示に応答して計測装置2に計測を延長させることができる。
【0072】
判断部46は、推定部42による推定結果が総加算回数に対応するものであるか否かを判断し、総加算回数に対応する加算平均データがあるか否かを判断する。また、計測を延長するか否かを判断する。そして、判断部46はこれらの判断結果に応じて、計測の中断、又は延長の指示を示す信号を指示受付部44に出力する。
【0073】
指示受付部44は、ユーザの判断による計測の中断、又は延長の何れか一方の指示だけでなく、判断部46による計測の中断、又は延長の何れか一方の指示を受け付け、通信部41を介して計測WS3に送信することができる。
【0074】
<生体データ処理装置10の動作例>
次に図7及び図8を参照して、生体データ処理装置10を構成する計測WS3及び解析WS4のそれぞれの動作について説明する。
【0075】
(計測WS3の動作例)
まず図7は、計測WS3の動作の一例を示すフローチャートである。図7は、生体データ計測システム1が計測を開始した時点をトリガーにした計測WS3の動作を示している。
【0076】
まず、ステップS71において、加算平均処理部32は、ユーザがキーボード511等を用いて入力した所定回数及び総加算回数の情報を取得する。なお、加算平均処理部32は、HD504等に予め保存された所定回数及び総加算回数の情報をHD504等から取得してもよい。
【0077】
続いて、ステップS72において、加算平均処理部32は、複数のトリガー信号と、複数のトリガー信号のそれぞれに対応する複数の刺激部位ごとで計測された磁場データを、計測装置2から通信部31を介して受信して加算処理する。
【0078】
続いて、ステップS73において、加算平均処理部32は、受信した複数のトリガー信号をカウントして複数の刺激部位ごとでの加算回数を取得し、複数の刺激部位ごとでの加算回数が所定回数に達したか否かを判定する。
【0079】
ステップS73で達したと判定された場合には(ステップS73、Yes)、ステップS74において、加算平均処理部32は、複数の刺激部位ごとの磁場データを加算平均処理する。一方、達していないと判定された場合には(ステップS73、No)、ステップS72以降の動作が再度行われる。
【0080】
続いて、ステップS74において、加算平均処理部32は、加算平均処理結果である加算平均データと、加算平均データにおける加算回数の情報とを対応付けて、通信部31を介してデータ保存サーバ5に送信する。データ保存サーバ5は、受信した加算平均データと、加算回数の情報とを対応付けて保存できる。
【0081】
続いて、ステップS76において、計測制御部33は、計測の中断の指示があったか否かを判定する。
【0082】
ステップS76で、指示があったと判定された場合には(ステップS76、Yes)、動作はステップS79に移行する。一方、指示がなかったと判定された場合には(ステップS76、No)、動作はステップS77に移行する。
【0083】
なお、ステップS76の動作は、解析WS4からの割込みデータに基づくものであり、任意のタイミングで行われる。従って、ステップS71乃至S79のどの順番でステップS76の動作が行われてもよい。
【0084】
続いて、ステップS77において、計測制御部33は、加算回数は総加算回数に達したか否かを判定する。なお、この判定は、計測制御部33でなく、加算平均処理部32が行ってもよい。
【0085】
ステップS77で、達していないと判定された場合には(ステップS77、No)、ステップS72以降の動作が再度行われる。一方、ステップS77で、達したと判定された場合には(ステップS77、Yes)、ステップS78において、計測制御部33は、計測の延長の指示があったか否かを判定する。
【0086】
ステップS78で、指示があったと判定された場合には(ステップS78、Yes)、ステップS72以降の動作が再度行われる。一方、指示がなかったと判定された場合には(ステップS78、No)、ステップS79において、計測制御部33は、計測装置2に計測を終了させる。
【0087】
なお、ステップS78の動作は、解析WS4からの割込みデータに基づくものであり、任意のタイミングで行われる。従って、ステップS71乃至S79のどの順番でステップS78の動作が行われてもよい。
【0088】
このようにして、計測WS3は加算平均処理を実行し、また計測の中断又は延長の指示に応じた計測装置2の制御を行うことができる。
【0089】
(解析WS4の動作例)
次に図8は、解析WS4の動作の一例を示すフローチャートである。図8は、ユーザが解析WS4を操作して加算平均データを用いて生体の活動電流の推定処理を開始した時点をトリガーにした解析WS4の動作を示している。
【0090】
まず、ステップS81において、第1指定受付部43は、通信部41を介して保存部52が保存する加算平均データのリストを取得し、取得した加算平均データのリストを表示部45によりディスプレイ506等に表示させる。ユーザは、表示された加算平均データのリストを視認し、キーボード511等を用いて加算平均データを選択することができる。
【0091】
続いて、ステップS82において、第1指定受付部43はユーザが選択した結果から加算回数の情報を受け付ける。
【0092】
続いて、ステップS83において、推定部42は、第1指定受付部43が受け付けた加算回数に基づき、通信部41を介してデータ保存サーバ5の保存部52を参照して複数の刺激部位ごとでの加算平均データを取得する。
【0093】
続いて、ステップS84において、推定部42は、取得した加算平均データ用いて、複数の刺激部位ごとでの活動電流の強さを推定する。
【0094】
続いて、ステップS85において、表示部45は、推定部42による活動電流の強さの推定結果を表示する。例えば表示部45は、ディスプレイ506に推定結果を表示し、ユーザに視認させる。推定部42は、測定途中であっても、すでに保存されている(途中の加算回数の)データについて活動電流の強さを推定し、ユーザは、表示部45が表示した推定部42による推定結果を視認できる。
【0095】
続いて、ステップ86において、指示受付部44は、活動電流の強さの推定結果を視認したユーザによる、推定結果が妥当であるか否かの判断結果を受け付ける。
【0096】
ステップS86で、妥当であるという判断結果を受け付けた場合には(ステップS86、Yes)、解析WS4は動作を終了する。一方、妥当でないという判断結果を受け付けた場合には(ステップS86、No)、ステップS87において、判断部46は、推定結果は総加算回数に対応する加算平均データによるものであるか否かを判断する。ここで、妥当であるか否かの判断には、測定途中のデータを用いて推定された活動電流の強さを視認して判断する場合には、測定途中のデータとして妥当であるか否かの判断も含まれる。
【0097】
ステップS87において、総加算回数に対応する加算平均データによるものでないと判断された場合には(ステップS87、No)、ステップS88において、判断部46は、総加算回数に対応する加算平均データがあるか否かを判断する。
【0098】
ステップS88で、総加算回数に対応する加算平均データがあると判断された場合には(ステップS88、Yes)、解析WS4は動作を終了する。一方、総加算回数に対応する加算平均データがないと判断された場合には(ステップS88、No)、ステップS89において、指示受付部44は判断部46から計測の中断の指示を受け付け、通信部41を介して計測WS3に送信する。その後、解析WS4は動作を終了する。
【0099】
一方で、ステップS87で、総加算回数に対応する加算平均データによるものであると判断された場合には(ステップS87、Yes)、ステップS90において、判断部46は、計測を延長するか否かを判断する。
【0100】
ステップS90で、計測を延長しないと判断された場合には(ステップS90、No)、解析WS4は動作を終了する。一方、計測を延長すると判断された場合には(ステップS90、No)、ステップS91において、指示受付部44は判断部46から計測の延長の指示を受け付け、通信部41を介して計測WS3に送信する。その後、解析WS4は動作を終了する。
【0101】
このようにして、解析WS4は、生体の活動電流の推定処理を実行し、また推定結果に基づく計測の中断又は延長の指示を計測WS3に対して行うことができる。
【0102】
<各種表示画面例>
次に、生体データ計測システム1が表示する各種表示画面について説明する。
【0103】
(所定回数及び総加算回数の指定画面例)
まず図9は、計測WS3が表示する所定回数及び総加算回数の指定画面の一例を示す図である。計測WS3は、計測装置2による磁場データの計測を開始する際に、図9の画面をディスプレイに表示させる。
【0104】
図9に示す例では、2000回、2500回、3000回及び3500回のそれぞれが所定回数に該当する。また4000回は総加算回数に該当する。
【0105】
生体データ計測システム1では、加算回数が所定回数に達するたびに加算平均処理を行って、加算平均データと加算平均データにおける加算回数を対応付けてデータ保存サーバ5に保存する。また加算回数が所定回数に達するたびに、加算平均処理した加算平均データに基づいて、生体の複数の刺激部位ごとでの活動電流の強さを推定し、推定結果を表示して、推定結果が妥当であるか否か等を途中確認させることもできる。
【0106】
(計測画面及び操作画面例)
次に、図10乃至図14を参照して計測画面及び操作画面を説明する。
【0107】
ここで、図10は、計測装置2による計測中に表示される計測画面と操作画面の一例を説明する図である。図11は、加算平均データリストの一例を説明する図である。図12は、活動電流推定中の表示画面の一例を説明する図である。図13は、適切でない活動電流推定結果の表示画面の一例を説明する図である。図14は、適切な活動電流の推定結果の表示画面の一例を説明する図である。
【0108】
図10に示すように、計測画面60は、操作画面61と、計測データ画面62とを含む。これらのうち、操作画面61は、計測の開始や計測の終了、計測データの表示方法の変更等をユーザが指示するために操作する画面である。
【0109】
また、計測データ画面62は、計測装置2が計測した磁場計測データを表示する画面である。計測データ画面62は、x計測データ画面621と、y計測データ画面622と、z計測データ画面623とを含む。
【0110】
x計測データ画面621は、図2のx軸方向における磁場データを表示する。また、y計測データ画面622は、図2のy軸方向における磁場データを表示し、z計測データ画面623は、図2のz軸方向における磁場データを表示する。
【0111】
計測データ画面62に表示された波形データ63は、磁気センサアレイ200に含まれる1つの磁気センサによる磁場データを表示するものである。波形データ63の横軸は時間を示し、縦軸は磁場強度を示している。波形データ63は、磁気センサアレイ200に含まれる複数の磁気センサのそれぞれによる磁場データをリアルタイムで表示する。
【0112】
x計測データ画面621、y計測データ画面622及びz計測データ画面623のそれぞれに含まれる波形データ63の数は、磁気センサアレイ200に含まれる磁気センサの数に対応している。
【0113】
ここで、加算平均処理部32は、時系列に取得される波形データ63を加算平均処理する。具体的には、加算平均処理部32は、波形データ63における時間ごとでの磁場データを加算し、時間ごとでの磁場データの加算結果を加算回数で除算することで加算平均データを取得する。
【0114】
波形データ63内に含まれるデータのうち、ノイズに該当するデータは、時間的にランダムに発生するため、加算平均処理することで打ち消される。これに対し、波形データ63内に含まれるデータのうち、磁場データは、加算すると積み上げられる。これにより加算平均処理は、ノイズに該当するデータと比較して磁場データを増幅させることができる。
【0115】
波形データ63は、生体の磁場データの一例であり、また生体データの一例である。複数の波形データ63が加算平均されることで生成された波形データが加算平均データに対応する。
【0116】
また、図10において、破線の四角で示した開始ボタン64は、ユーザが、推定部42による活動電流の強さの推定処理の開始指示を行うためのボタンである。ユーザが、図3におけるポインティングデバイス512のカーソルを用いて開始ボタン64を押すと、解析WS4における指示受付部44は、データ保存サーバ5に加算平均データのリストを要求して取得する。
【0117】
表示部45は、取得された加算平均データのリストをディスプレイ506に表示させる。図11は、加算平均データリストの一例を示している。図11における計測A及び計測Bはそれぞれ生体としての被検者を示す情報を示している。トリガーα及びβは、生体の複数の刺激部位のそれぞれに与える電気刺激を発生させるためのトリガー信号を示し、複数のトリガー信号の一例である。最終フラグは、総加算回数を示す情報である。
【0118】
表示された加算平均データリストの中からユーザが加算回数を選択すると、推定部42は通信部41及び通信部51を介して、保存部52を参照して加算回数に対応する加算平均データを取得する。推定部42は、ユーザが選択した加算回数に対応する加算平均データを用いて推定処理を行うことができる。
【0119】
ここで、開始ボタン64が押された後、図12に示すような脊髄位置指定画面70を表示させてもよい。脊髄位置指定画面70は、被検者毎に異なる脊髄位置を指定するために用いられる画面である。図12に示すように、脊髄位置指定画面70は、レントゲン撮影画像画面701と、推定開始指示受付画面702とを含む。
【0120】
これらのうち、レントゲン撮影画像画面701は、被検者100(図2参照)の側方からのレントゲン撮影画像画面701を表示する。なお、レントゲン撮影画像は、通信部41を介して外部装置から入力された画像である。
【0121】
ユーザは、レントゲン撮影画像画面701を視認し、図3のポインティングデバイス512のカーソルを用いて画面上の点を指定することで、生体の内部で活動電流の強さを推定する位置を指定することができる。指定された位置を含む領域内で活動電流の強さが推定される。
【0122】
図12において、レントゲン撮影画像画面701に含まれる曲線7011は、ユーザがレントゲン撮影画像画面701上で指定した点が含まれるように自動的に描画された曲線であり、側方から見た被検者100の内部における脊髄位置に対応している。
【0123】
ユーザは、曲線7011上の点を指定後、推定開始指示受付画面702における開始ボタン7021を図3のポインティングデバイス512のカーソルを用いて押すことで、指定した点に対応する被検者100内部の位置での活動電流の強さを推定する処理を開始させることができる。
【0124】
次に図13に示すように、推定結果表示画面80は、レントゲン撮影画像画面701と、活動電流の強さの分布図801を含んでいる。分布図801は、磁気センサアレイ200に含まれる各磁気センサによって計測されたデータに基づき、推定された活動電流の強さの二次元分布を、色に置き換えて表示した図である。
【0125】
生体データ計測システム1は、時系列に分布図801を取得し、時系列に分布図801を表示することで、脊髄を電流が流れる様子を動画で可視化することができる。
【0126】
図13の場合、分布図801内では、本来生体内部の活動電流が存在しないはずの場所、すなわち人体の外に強い活動電流が推定されていることが分かる。これは、活動電流の強さの推定結果にノイズの影響が大きく生じていることを示している。換言すると、図13は、加算平均処理部32による処理に用いられた計測データ数が十分でなかったために、ノイズが多く含まれた磁場の計測データに基づいて活動電流が推定された、適切でない場合の推定結果を示している。
【0127】
一方、図14の場合、分布図901内では、本来生体内部の活動電流が存在するはずの場所、すなわち人体の脊髄上に強い活動電流が推定されていることが分かる。これは、活動電流の強さの推定結果で、ノイズの影響が抑制されていることを示している。
【0128】
換言すると、図14は、加算平均処理部32による処理に用いられた計測データ数が十分であったために、ノイズが抑制された磁場の計測データに基づいて活動電流が推定された、適切である場合の推定結果を示している。
【0129】
ユーザは、図13図14で例示される分布図を視認して、推定結果が適切であるか否かを判定できる。適切でないと判定された場合は、ユーザが開始ボタン64(図10参照)を操作することで、再度、推定処理の開始指示が行われる。
【0130】
また、開始指示を受け付ける代わりに、図13に一点鎖線の四角で示したエディットボックス81に計測データ数を数値で入力し、入力した数値に該当する数の計測データ数が取得された時に、推定部42による推定処理が開始されるようにしてもよい。
【0131】
<生体データ処理装置10の作用効果>
以上説明したように、実施形態では、加算平均処理部32は、少なくとも1つの部位に対応する刺激に紐づいたトリガー信号に応じて計測される生体データの加算回数が所定回数に達するたびに加算平均処理する。保存部52は、少なくとも1つの刺激部位ごとでの加算平均処理結果である加算平均データと、該加算平均データにおける加算回数とを対応付けて保存する。推定部42は、指定された加算回数に基づき保存部52を参照して取得される少なくとも1つの刺激部位ごとでの加算平均データを用いて、生体データに基づく処理を行う。例えば、推定部42は、少なくとも1つの刺激部位ごとでの活動電流の強さを推定することにより生体データに基づく処理を行う。
【0132】
このように、少なくとも1つの刺激部位ごとで同じ加算回数による加算平均データを用いることで、刺激部位ごとでの加算回数の違いをなくし、刺激部位ごとで加算平均処理の効果を等しく得ることができる。
【0133】
また本実施形態では、推定部42による活動電流の強さの推定結果に基づき、計測装置2による計測の中断又は延長を制御する計測制御部33を有する。また推定部42による活動電流の強さの推定結果を表示する表示部45と、計測装置2による計測の中断又は延長の何れか一方の指示を受け付ける指示受付部44とを有し、計測制御部33は、指示受付部44が受け付けた指示に応じて計測装置2による計測を中段又は延長させる。
【0134】
これにより、計測の途中に推定結果が妥当であるか否か、又は計測を延長する必要があるか否かの判断をユーザに判断させ、判断結果に応じて計測装置2による計測を中断又は延長させることができる。
【0135】
換言すると、計測の途中に推定結果が妥当であるか否か、又は計測を延長する必要があるか否かの判断をユーザに途中確認させ、確認結果に応じて計測装置2による計測を中断又は延長させることができる。
【0136】
これにより、無駄な計測を抑制するとともに、必要に応じて計測を延長することができる。
【0137】
[第2実施形態]
次に第2実施形態に係る生体データ計測システム1aについて説明する。なお、第1実施形態で説明したものと同じ構成部には、同じ符号を付し、重複する説明を適宜省略する。この点は、以降に示す実施形態においても同様とする。
【0138】
本実施形態では、加算回数に応じて、推定部に推定方法を切り替えさせることで、推定精度を高く確保する。具体的には、推定部は、加算回数が総加算回数に対応する加算回数以外である場合には、総加算回数に対応する加算回数の場合と比較して高速な処理を行い、加算回数が総加算回数に対応する加算回数である場合には、加算回数が総加算回数に対応する加算回数以外である場合と比較して高精度な処理を行う。
【0139】
図15は、生体データ計測システム1aが有する解析WS4aの機能構成の一例を説明するブロック図である。図15に示すように、解析WS4aは切替部47を有する。
【0140】
切替部47は、第1指定受付部43が受け付けた加算回数の指定回数に応じて、推定部42による生体の活動電流の推定処理方法を切り替えさせる。
【0141】
推定方法には、例えば上述した「Array-Gain Constraint Minimum-Norm Spatial Filter With Recursively Updated Gram Matrix」を適用でき、推定処理方法の切替では、この推定処理の繰り返し回数の切替が行われる。推定処理方法は、生体データ処理部による処理方法の一例である。指定回数と繰り返し回数とを予め対応付けておくことで、切替部47は、指定回数に応じて繰り返し回数を切り替えることができる。
【0142】
このように、本実施形態では、加算回数に応じて推定部42に推定処理方法を切り替えさせることで、推定精度を高く確保することができる。また高精度化を行わない場合には、推定部に推定方法を切り替えさせることで、推定を高速に行うことができる。
【0143】
[第3実施形態]
次に第3実施形態に係る生体データ計測システム1bについて説明する。
【0144】
図16は、生体データ計測システム1bが有する解析WS4bの機能構成の一例を説明するブロック図である。図16に示すように、解析WS4bは、所定回数の指定を受け付ける第2指定受付部48と、加算回数を自動更新するために使用される更新間隔回数の指定を受け付ける第3指定受付部49と、を有する。
【0145】
解析WS4bは、第2指定受付部48により、所定回数として次回の加算回数を受け付ける。解析WS4bは、加算回数が所定回数に達するたびに、第2指定受付部48により受け付けた次回の加算回数により所定回数を更新できる。また解析WS4bは、加算回数が所定回数に達するたびに、第3指定受付部49により受け付けられた更新間隔回数が所定回数に加算された回数に、所定回数を自動更新する。
【0146】
図17及び図18は、本実施形態に係る所定回数及び総加算回数の指定画面170を例示する図であり、図17は第1例の図、図18は第2例の図である。指定画面170は、ディスプレイ506等に表示され、キーボード511又はポインティングデバイス512等を用いて操作入力されるGUI(グラフィックユーザインターフェース)である。
【0147】
図17及び図18に示すように、指定画面170は、スイッチ171と、第1入力ボックス172と、第2入力ボックス173と、第3入力ボックス174と、を含む。
【0148】
スイッチ171は、加算回数の自動更新を行う(ON)か、又は行わないか(OFF)の設定を切り替えるスイッチである。
【0149】
第1入力ボックス172は、更新間隔回数を意味する「加算回数の自動更新間隔」を入力するためのボックスである。図16における第3指定受付部49は、第1入力ボックス172を介して更新間隔回数を受け付ける。
【0150】
第2入力ボックス173は、次回の加算回数を入力するためのボックスである。図16における第2指定受付部48は、第2入力ボックス173を介して、所定回数として次回の加算回数を受け付ける。
【0151】
第3入力ボックス174は、総加算回数を入力するためのボックスである。
【0152】
図17では、スイッチ171は、加算回数の自動更新を行わない(OFF)ように設定されている。自動更新は行われないため、第1入力ボックス172は無効化されている。なお、図17の第1入力ボックス172におけるドットハッチングは、無効化されていることを意味する。
【0153】
第2入力ボックス173には、次回の加算回数として「1000回」が入力されている。解析WS4bは、加算回数が1000回に達した後に次回の加算回数として例えば1500回の入力を受け付ける等して、所定回数を任意の回数に指定できる。
【0154】
図18では、スイッチ171は、加算回数の自動更新を行う(ON)ように設定されている。自動更新が行われるため、第1入力ボックス172には、加算回数の自動更新間隔(更新間隔回数)として「1000回」が入力されており、第2入力ボックス173は、無効化されている。なお、図18の第2入力ボックス173におけるドットハッチングは無効化されていることを意味する。
【0155】
解析WS4bは、加算回数が所定回数に達するたびに、所定回数に更新間隔回数の「1000回」を加算して所定回数を更新する。図11では、総加算回数として4000回が指定されているため、所定回数は、加算回数が所定回数に達するたびに、自動更新により1000回、2000回、3000回、4000回と変化する。
【0156】
このようにして、生体データ計測システム1bが第2指定受付部48と、第3指定受付部49と、を有することにより、生体データ計測システム1bのユーザは、生体データ計測システム1bによる計測の状況に応じて、所定回数の指定方法を適宜選択可能になる。その結果、生体データ計測システム1bは利便性を向上させることができる。
【0157】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る生体データ計測システム181について説明する。
【0158】
生体データ計測システムでは、計測中に一時的にでも生体信号が低下すること、またはノイズが混入することを検出することが好ましい。
【0159】
例えば、特開2019―162253号公報等に記載の方法では、突発的な大きなノイズを検出して除外することは可能であるが、加算平均処理を行わないければ明らかにならないような小さいノイズを検出して除外することはできない。また生体信号の低下を検出して除外することはできない。例えば計測中に、何らかの異常が発生した場合に、この異常を精度よく検出することは難しく、最終的な加算平均データの品質を保証するためには十分ではない。
【0160】
本実施形態では、生体データ計測システム181による計測中に異常を検出し、異常が発生した区間のデータは排除することにより、十分な信号品質を保証しつつ、計測の信頼性を保証する。
【0161】
<生体データ計測システム181の全体構成>
図19は、生体データ計測システム181の全体構成の一例を説明する図である。生体データ計測システム181は、計測装置182と、計測WS183と、解析WS184と、データ保存サーバ185とを有する。これらは有線又は無線によって、相互に通信可能に接続されている。これらのうち、計測WS183、解析WS184及びデータ保存サーバ185は、生体データ処理装置186を構成する。
【0162】
計測装置182は、複数のトリガー信号のそれぞれに応じた電気刺激等の刺激に対して生体の複数の部位で発生する磁場データを計測する脊磁計である。磁場データは計測データの一例である。計測装置182は、複数の部位ごとでの計測結果である磁場データを、複数の部位のそれぞれに対応した複数のトリガー信号とともに計測WS183に送信する。
【0163】
計測WS183は、計測装置182から受信したトリガー信号をカウントして加算回数を取得し、加算回数が所定回数に達するたびに磁場データの加算平均処理を行う。加算平均処理は、所定回数から別途指定していた回数分遡った磁場データのみを対象とする。別途指定していた回数をセグメント幅と呼称し、得られたデータをセグメント加算データと呼称する。
【0164】
計測装置182は、セグメント加算データを、セグメント幅と、セグメント幅の始点の加算平均回数と、終点の加算平均回数を対応付けてデータ保存サーバ5に送信する。以降では、上記のセグメント加算に係る3種の情報のうち、少なくとも一つの情報を含む情報をセグメント加算に係る情報と記述する。
【0165】
データ保存サーバ185は、計測WS183から受信した加算平均データと、セグメント加算に係る情報と、を対応付けて保存する。
【0166】
解析WS184は、データ保存サーバ185を参照してすべてのセグメント加算データを取得し、その中から不正なセグメント加算データを除外したうえですべてのセグメント加算データを加算平均し、加算平均データを得る。解析WS184は、得られた加算平均データに基づいて、活動電流の強さを推定する。解析WS184は、解析WS184が有するディスプレイに推定結果を表示したり、データ保存サーバ185に送信して保存させたり、外部サーバ等の外部装置に送信したりすることができる。
【0167】
なお、本実施形態では、生体データ処理装置186が、計測WS183、解析WS184及びデータ保存サーバ185の3台の装置により構成される例を示すが、これに限定されるものではない。生体データ処理装置186は、計測WS183、解析WS184及びデータ保存サーバ185の機能を集約した1台の装置を有しもよいし、計測WS183、解析WS184及びデータ保存サーバ185の機能を分散させた4台以上の装置を有してもよい。
【0168】
生体データ計測システム181は、計測WS183、解析WS184及びデータ保存サーバ185以外の装置を通信可能に有してもよいし、計測装置182以外の他の生体データの計測装置を通信可能に有してもよい。
【0169】
計測装置182の構成は、第1実施形態において図2を用いて説明した計測装置2の構成と同様である。コンピュータのハードウェア構成は、第1実施形態において図3を用いて説明したコンピュータのハードウェア構成と同様である。
【0170】
<生体データ処理装置186の機能構成例>
図20図21及び図22を参照して、生体データ処理装置186を構成する計測WS183、解析WS184及びデータ保存サーバ185それぞれの機能構成について説明する。
【0171】
(計測WS183の機能構成例)
図20は、計測WS183の機能構成の一例を説明するブロック図である。計測WS183は、通信部187と、加算平均処理部188と、計測制御部189と、表示部190とを有する。
【0172】
これら各部は、図3に示されている各構成要素の何れかがROM502からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することにより実現される機能又は機能する手段である。なお図20は、計測WS183が有する主な構成を示すが、計測WS183はこれら以外の構成を有してもよい。
【0173】
通信部187は、計測装置182、解析WS184及びデータ保存サーバ185のそれぞれとの間でデータ及び信号の送受信を行う。
【0174】
加算平均処理部188は、ユーザがキーボード511(図3参照)等を用いて入力した所定回数、セグメント幅、及び総加算回数の情報を取得する。総加算回数は、加算平均処理部188が磁場データの加算を行う総回数である。なお、加算平均処理部188は、HD504等に予め保存された所定回数、セグメント幅及び総加算回数の情報を、HD504等を参照して取得してもよい。
【0175】
加算平均処理部188は、計測装置182から通信部187を介して、少なくとも1つのトリガー信号を受信する。また加算平均処理部188は、少なくとも1つのトリガー信号に対応し、所定回数からセグメント幅分だけ遡って計測装置182が計測した磁場データを、通信部187を介して受信して加算平均処理する。
【0176】
加算平均処理は、計測装置182が計測した磁場データを所定回数からセグメント幅分だけ遡って加算処理した値を加算回数で除算して平均値を算出する処理である。加算平均処理部188は、処理結果であるセグメント加算データを表示部に送る。さらに加算平均処理部188は、セグメント加算データをセグメント加算に係る情報に対応付け、通信部187を介してデータ保存サーバ185に送信する。
【0177】
表示部190は、セグメント加算データを波形データとしてディスプレイに表示させる。表示部190は、セグメント加算データを表示させる際には、複数の所定回数に紐づいたセグメント加算データを波形データとして並列表示させてもよい。また表示部190は、セグメント加算データを何らかの手段により解析した結果である周波数スペクトル等を表示してもよい。計測WS183は、表示された波形データを評価し、セグメントにおいて計測が正常に行われた否かを判断し、記録する。
【0178】
計測WS183は、所定のアルゴリズムに従って、セグメントにおいて計測が正常に行われた否かを判断する。但し、ユーザが目視によりセグメントにおいて計測が正常に行われた否かを判断してもよい。例えばユーザは、周波数スペクトルを目視し、生体信号以外の周波数の箇所にピークが立っている場合には異常と判断したり、波形データから得られる生体信号の振幅が他のセグメント加算データの振幅と比較して明らかに低下していれば異常と判断したりすることができる。「明らかに低下」とは、例えばセグメント加算データに含まれるノイズレベル以上に低下していることをいう。
【0179】
計測WS183は、セグメント加算データが異常なデータであると判断された場合には、加算平均データを生成する際にセグメント加算データを除外するために、セグメント幅分だけ加算回数を増加させる。例えば、計測WS183は、キーボード511等を用いたユーザによる計測の延長指示を受け付け、セグメント幅分だけ加算回数を増加させる。計測制御部189は、延長指示に応答して計測装置182に計測を延長させることができる。
【0180】
計測制御部189は、表示部190に表示された波形データを評価した結果に基づく指示を、通信部187を介して受信し、この評価結果に基づき、計測装置182に計測を中断させ、又は延長させる。計測制御部189は、計測の中断又延長の指示を、指示があった任意のタイミングにおいて、割込みデータとして受信可能である。
【0181】
(データ保存サーバ185の機能構成例)
図21は、データ保存サーバ185の機能構成の一例を説明するブロック図である。データ保存サーバ185は、通信部191と、保存部192とを有する。
【0182】
これら各部は、図3に示されている各構成要素の何れかがROM502からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することにより実現される機能又は機能する手段である。なお図21は、データ保存サーバ185が有する主な構成を示すが、データ保存サーバ185はこれら以外の構成を有してもよい。
【0183】
通信部191は、計測WS183及び解析WS184のそれぞれとの間でデータ及び信号の送受信を行う。
【0184】
保存部192は、通信部191を介して計測WS183から受信したセグメント加算データ524と、セグメント加算に係る情報525と、を対応付けて保存する。なお、セグメント加算データ524は、複数のセグメント加算データの総称表記であり、セグメント加算に係る情報525は、複数のセグメント加算に係る情報の総称表記である。
【0185】
(解析WS184の機能構成例)
次に図22は、解析WS184の機能構成の一例を説明するブロック図である。解析WS184は、通信部193と、加算平均処理部194と、推定部195と、第4指定受付部196と、表示部197とを有する。
【0186】
これら各部は、図3に示されている各構成要素の何れかがROM502からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することにより実現される機能又は機能する手段である。なお図22は、解析WS184が有する主な構成を示すが、解析WS184はこれら以外の構成を有してもよい。
【0187】
通信部193は、計測WS183及びデータ保存サーバ185のそれぞれとの間でデータ及び信号の送受信を行う。
【0188】
加算平均処理部194は、通信部193を介して保存部192が保存するセグメント加算データのリストを取得し、取得したセグメント加算データのリストを表示部197によりディスプレイ506等に表示させる。第4指定受付部196は、ユーザがセグメント加算データのリストを視認して選択した結果から加算回数の情報を受け付けることができる。選択された少なくとも一つのセグメント加算データは、それぞれのデータの加算回数に基づいて加算平均処理が行われる。解析WS184は、提示されたセグメント加算データのリストから異常なセグメント加算データを除外し、加算平均データを取得できる。
【0189】
推定部195は、生体データに基づく処理を行う生体データ処理部の一例である。推定部195は、加算平均処理部194が生成した磁場データに基づき、生体の活動電流の強さを推定する処理を行う。推定部195は、取得した加算平均データを用いて、複数の部位ごとでの活動電流の強さを推定する。この推定アルゴリズムには、上述した「Array-Gain Constraint Minimum-Norm Spatial Filter With Recursively Updated Gram Matrix」(例えば、「https://ieeexplore.ieee.org/document/5415622」参照)等を用いることができる。
【0190】
表示部197は、推定部195による活動電流の強さの推定結果を表示する。例えば表示部197は、ディスプレイ506に推定結果を表示し、ユーザに視認させることができる。また表示部197は、取得した加算平均データやセグメント加算データを示す波形データを表示することもできる。
【0191】
ユーザは、ディスプレイ506に表示された活動電流の強さの推定結果を視認し、セグメントにおける計測が正常に行われているかを確認できる。解析WS184は、セグメント加算データが異常なデータであるとユーザにより判断された場合には、加算平均データを生成する際にセグメント加算データを除外する。
【0192】
<生体データ処理装置186の動作例>
次に図23を参照して、生体データ処理装置186の動作について説明する。図23は、生体データ処理装置186の動作の一例を示すフローチャートである。生体データ処理装置186は、ユーザによる生体データ処理の開始指示を受け付けること等により図23の動作を開始する。
【0193】
まず、ステップS101において、生体データ処理装置186は、加算平均処理部188により、ユーザがキーボード511等を用いて入力した所定回数とセグメント幅及び総加算回数の情報を取得する。なお、加算平均処理部188は、HD504等に予め保存された所定回数とセグメント幅及び総加算回数の情報をHD504等から取得してもよい。
【0194】
続いて、ステップS102において、生体データ処理装置186は、加算平均処理部188により、少なくとも一つのトリガー信号と、このトリガー信号に対応して計測された磁場データと、を計測装置182から通信部187を介して受信して蓄積する。なお、本実施形態の説明では、一つのトリガー信号に対応した一つの磁場データをエポックデータと呼称する。
【0195】
続いて、ステップS103において、生体データ処理装置186は、加算平均処理部188により、受信したトリガー信号をカウントしてトリガーごとに加算回数を取得し、加算回数が所定回数に達したか否かを判定する。
【0196】
ステップS103で達したと判定された場合には(ステップS103、Yes)、ステップS104において、生体データ処理装置186は、加算平均処理部188により、所定回数からセグメント幅分だけ遡って磁場データの加算平均処理を実行する。一方、達していないと判定された場合には(ステップS103、No)、生体データ処理装置186は、ステップS102の動作を再度行う。
【0197】
続いて、ステップS105において、生体データ処理装置186は、加算平均処理部188により、セグメント加算平均処理結果であるセグメント加算データと、セグメント加算データにおける加算回数の情報と、を対応付け、通信部187を介してデータ保存サーバ185に送信する。データ保存サーバ185は、受信したセグメント加算データと、セグメント加算に係る情報と、を対応付けて保存する。また生体データ処理装置186は、セグメント加算データを計測WS183の表示部190に表示させる。
【0198】
続いて、ステップS106において、生体データ処理装置186は、計測WS183により、表示部190に表示されたセグメント加算データを確認し、正常であるか否かを判断する。例えば計測WS183は、キーボード511等を用いたユーザの操作入力を受け付けることにより、正常であるか否かを判断できる。
【0199】
ステップS106において、正常ではないと判断された場合(ステップS106、No)、ステップS107において、生体データ処理装置186は、計測WS183により、このセグメントを異常セグメントとして記録する。
【0200】
続いて、ステップS108において、生体データ処理装置186は、計測WS183により、最終加算回数の増加、すなわち加算平均回数を追加して即時に最終加算回数を更新し、または計測を中断する。その後、生体データ処理装置186は、ステップS102に動作を移行する。
【0201】
なお、生体データ処理装置186は、ステップS101乃至S107における任意の順番においてステップS108の動作を行ってもよい。また生体データ処理装置186は、計測WS183により、セグメント、所定回数についても同様に任意のタイミングにおいて指示を受けて設定を更新してもよい。
【0202】
続いて、ステップS109において、生体データ処理装置186は、計測制御部189により、加算回数が最終加算回数(総加算回数)に到達したか否かを判定する。なお、この判定は、計測制御部189でなく、加算平均処理部188が行ってもよい。
【0203】
ステップS109において、達していないと判定された場合には(ステップS109、No)、生体データ処理装置186は、ステップS102以降の動作を再度行う。一方、ステップS109において、到達したと判定された場合には(ステップS109、Yes)、生体データ処理装置186は、計測装置182に計測を終了させる。
【0204】
このようにして、生体データ処理装置186は、計測WS183により、加算平均処理を実行し、また計測の中断又は延長の指示に応じた計測装置2の制御を行うことができる。
【0205】
続いて、ステップS110において、生体データ処理装置186は、解析WS184の第4指定受付部196により、通信部193を介して保存部192が保存するセグメント加算データのリストを取得し、取得したセグメント加算データのリストを表示部197によりディスプレイ506等に表示させる。ユーザは、表示された加算平均データのリストを視認し、キーボード511等を用いて加算平均データを選択できる。このとき、生体データ処理装置186は、異常セグメントとして記録されているセグメント加算データを除外する。
【0206】
続いて、ステップS111において、生体データ処理装置186は、選択された少なくとも一つのセグメント加算データを、セグメント幅に応じて加算平均処理する。この処理により、生体データ処理装置186は、少なくとも一つのトリガーに対応した加算平均データを得る。
【0207】
このようにして、生体データ処理装置186は、解析WS4により、生体の活動電流の推定処理に必要な加算平均データを得ることができる。
【0208】
<各種表示画面例>
次に、生体データ計測システム181において表示される各種表示画面について説明する。
【0209】
(所定回数及び総加算回数の指定画面例)
所定回数とセグメント幅及び総加算回数の設定は、例えば、ディスプレイ506等に表示された図24または図25のいずれかの画面を用いて行われる。
【0210】
図24及び図25は、本実施形態に係る所定回数、セグメント幅及び総加算回数の指定画面を例示する図である。図24では、スイッチ211はセグメント加算を行わないようにオフに設定されている。この場合、セグメント実行間隔とセグメント幅というセグメント加算平均処理に関わるパラメータは編集できないように入力ボックス212及び213は無効化されている。なお、図24の入力ボックス212及び213におけるドットハッチングは入力を受け付けない状態にされていることを意味する。以降ドットハッチングされているボックスは同様に扱う。入力ボックス214は、総加算回数が入力されるものである。
【0211】
図25は、本実施形態に係る所定回数を更新する間隔、セグメント幅及び総加算回数の指定画面を例示する図である。図25では、スイッチ215は、加算回数の自動更新を行うようにオンに設定されている。自動更新が行われるため、入力ボックス216には、加算回数の自動更新間隔(更新間隔回数)として「500回」が入力されている。入力ボックス217は、自動更新間隔と同じ値が表示され、この値がセグメント幅として指定される。入力ボックス218は、総加算回数が入力されるものである。
【0212】
計測WS183は、加算回数が所定回数に達するたびに、所定回数に加算実行間隔回数の「500回」を加算して所定回数を更新する。図25では、総加算回数として4000回が指定されているため、所定回数は、加算回数が所定回数に達するたびに、自動更新により1000回、1500回、・・・、3500回、4000回と変化する。
【0213】
生体データ計測システム181では、加算回数が所定回数に達するたびにセグメント加算平均処理を行って、セグメント加算データとセグメント加算に係る情報を対応付けてデータ保存サーバ185に保存する。
【0214】
(計測画面及び操作画面例)
次に、図10図24乃至図26を参照して計測画面及び操作画面を説明する。
【0215】
図10図10に含まれる要素については、第1実施例において説明したものと同様であり、ここでは説明を割愛する。
【0216】
図26及び図27は、セグメント加算データの表示結果の一例を説明する図である。図26は、セグメント加算データを波形データとして評価する図である。図27はセグメント加算データに対して周波数解析を適用し、周波数スペクトルを用いて評価する図である。
【0217】
図26は、2つのセグメント加算データを表示させた際の波形データ63のうち、特に生体信号を強く検出したセンサの波形データを抽出し、縦に並べて重畳表示した例である。実線グラフは加算回数1~500回のセグメント加算データ、破線グラフは加算回数501~1000回のセグメント加算データをそれぞれ示している。破線グラフの501~1000回のセグメント加算データにおいては、図中矢印で示した箇所で生体信号の強度低下が起きており、何らかの異常が発生していると見なされる。
【0218】
図27は、1~500回、501~1000回、1001~1500回のセグメント加算データに対して周波数解析が行われた結果を周波数スペクトルとして表示している。1~500回ではノイズは大きく存在していないが、501~1000回の周波数スペクトル、1001~1500回の周波数スペクトルにおいては、特定の周波数にピークが存在しており、何らかのノイズがそれぞれのセグメントに混入していることが分かる。これにより、ユーザは、501~1000回のセグメント、1001~1500回のセグメントに異常が発生していると判断できる。解析WS184は、このセグメント加算データに対応した周波数スペクトルも重畳させて表示してもよい。
【0219】
表示部197は、取得された加算平均データのリストをディスプレイ506に表示させる。図28は、加算平均データリストの一例を示している。図28における計測A及び計測Bはそれぞれ生体としての被検者を示す情報である。トリガーα及びβは、生体の少なくとも一つの部位にそれぞれ与える刺激に対応するトリガー信号を示し、少なくとも一つのトリガー信号の一例である。異常フラグは、対応したセグメント加算データが異常であるとユーザが指定したことを示している。
【0220】
表示されたセグメント加算データリストの中からユーザが少なくとも一つのセグメント加算データを選択すると、加算平均処理部194は、選択された各セグメントに対応した加算回数に基づいて、選択されたセグメント加算データより加算平均処理を行い、加算平均データを生成し、データ保存サーバ185に保存する。推定部195は、手続きにより生成された加算平均データを用いて推定処理を行うことができる。
【0221】
<生体データ処理装置186の作用効果>
以上説明したように、生体データ処理装置186は、加算平均処理部188により、複数のトリガー信号に応じて生体における複数の部位で計測される生体データの加算回数が所定回数に達するたびにセグメント加算平均処理し、表示させる。生体データ処理装置186は、処理結果であるセグメント加算データと、このセグメント加算データにおける加算回数とを対応付けて保存部192に保存させる。
【0222】
その後、生体データ処理装置186は、加算平均処理部188により、表示されたセグメント加算データに基づいてユーザが異常と判断したセグメントを除外したうえで加算平均を行い、加算平均データを得る。
【0223】
このように、生体データ処理装置186は、セグメント加算データを表示、評価及び加算することで、異常なデータを取り除いて加算平均データを得ることができる。
【0224】
また生体データ処理装置186は、セグメント加算データの表示結果に基づき、計測装置182による計測の中断又は延長を制御する計測制御部189を有する。これにより、生体データ処理装置186は、計測中の一期間であるセグメントにおいて異常が発生した場合に、このセグメントの計測データを補うように計測を延長させるか、計測そのものに異常が発生したとして計測を中断させることができる。
【0225】
換言すると、生体データ処理装置186は、計測の途中にある区間の計測が正常に行われているか否か、計測を延長もしくは中断する必要があるか否かの判断をユーザに途中確認させ、確認結果に応じて計測装置182による計測を延長又は中断させることができる。これにより、生体データ処理装置186は、異常が発生している区間のデータを取り除いたうえで、当初予定していた加算回数を保証することができる。
【0226】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る生体データ計測システム181について説明する。本実施形態では、セグメント加算平均データを実行する所定回数とセグメント幅を独立して指定することにより、異常の検出速度を向上させる。生体データ計測システム181の全体構成は、第4実施形態と同様であるため、ここでは説明を割愛する。
【0227】
第5実施形態に係る生体データ計測システム181は、計測WS183aと、解析WS184aと、データ保存サーバ185aと、を有する。計測WS183a、解析WS184a及びデータ保存サーバ185aは、生体データ処理装置186aを構成する。
【0228】
解析WS184aは、データ保存サーバ185aを参照してすべてのセグメント加算データを取得し、表示部でセグメント加算データを表現する波形データ、もしくはセグメント加算データに基づいて推定部により推定された体内の電流分布を表示する。解析WS184aは、表示されたデータに基づいてその中から不正なセグメント加算データを検出し、検出されたセグメント加算データを除外したうえですべてのセグメント加算データを加算平均し、加算平均データを得る。解析WS184aは、得られた加算平均データに基づいて、活動電流の強さを推定する。解析WS184aは、解析WS184aが有するディスプレイに推定結果を表示したり、データ保存サーバ185に送信して保存させたり、外部サーバ等の外部装置に送信したりすることができる。
【0229】
第5実施形態に係る生体データ計測システム181は、計測WS183a、解析WS184a及びデータ保存サーバ185a以外の装置を通信可能に有してもよいし、計測装置182以外の他の生体データの計測装置を通信可能に有してもよい。
【0230】
<生体データ処理装置186aの機能構成例>
図29乃至図31を参照して、生体データ処理装置186aを構成する計測WS183aと解析WS184aそれぞれの機能構成について説明する。
【0231】
(計測WS183aの機能構成例)
図29は、計測WS183aの機能構成の一例を説明するブロック図である。計測WS183aは、通信部221と、加算平均処理部222と、計測制御部223と、表示部224とを有する。
【0232】
これら各部は、図3に示されている各構成要素の何れかがROM502からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することにより実現される機能又は機能する手段である。なお図29は、計測WS183aが有する主な構成を示すが、計測WS183aはこれら以外の構成を有してもよい。
【0233】
通信部221は、計測装置182、解析WS184a及びデータ保存サーバ185aのそれぞれとの間でデータ及び信号の送受信を行う。
【0234】
加算平均処理部222は、ユーザがキーボード511(図3参照)等を用いて入力した所定回数、セグメント幅、及び総加算回数の情報を取得する。総加算回数は、加算平均処理部222が磁場データの加算を行う総回数である。なお、加算平均処理部222は、HD504等に予め保存された所定回数、セグメント幅及び総加算回数の情報を、HD504等を参照して取得してもよい。
【0235】
加算平均処理部222は、計測装置2から通信部221を介して、少なくとも1つのトリガー信号を受信する。また加算平均処理部222は、少なくとも1つのトリガー信号に対応し、所定回数からセグメント幅分だけ遡って計測装置182が計測した磁場データを、通信部221を介して受信して加算平均処理する。
【0236】
加算平均処理は、計測装置182が計測した磁場データを所定回数からセグメント幅分だけ遡って加算処理した値を加算回数で除算して平均値を算出する処理である。加算平均処理部222は、セグメント加算データをセグメント加算データにおける加算回数とセグメントの始点及び終点の加算回数を対応付け、通信部221を介してデータ保存サーバ185aに送信する。
【0237】
計測制御部223は、解析WS184aにおけるセグメント加算データの評価結果に基づく指示を、通信部221を介して受信し、この推定結果に基づき、計測装置182に計測を中断させ、又は延長させることができる。計測制御部223は、計測の中断又延長の指示を、指示があった任意のタイミングで割込みデータとして受信可能である。
【0238】
(データ保存サーバ185aの機能構成例)
図30は、データ保存サーバ185aの機能構成の一例を説明するブロック図である。図30に示すように、データ保存サーバ185aは、通信部225と、保存部226とを有する。
【0239】
これら各部は、図3に示されている各構成要素の何れかがROM502からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することにより実現される機能又は機能する手段である。なお図30は、データ保存サーバ185aが有する主な構成を示すが、データ保存サーバ185aはこれら以外の構成を有してもよい。
【0240】
通信部225は、計測WS183a及び解析WS184aのそれぞれとの間でデータ及び信号の送受信を行う。
【0241】
保存部226は、通信部225を介して計測WS183aから受信したトリガー回数526とエポックデータ527とを対応付けて保存する。また保存部226は、セグメント加算データのリストも保存する。
【0242】
(解析WS184aの機能構成例)
次に図31は、解析WS184aの機能構成の一例を説明するブロック図である。解析WS184aは、通信部227と、加算平均処理部229と、推定部230と、表示部228と、第5指定受付部231と、計測制御部232とを有する。
【0243】
これら各部は、図3に示されている各構成要素の何れかがROM502からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することにより実現される機能又は機能する手段である。なお図31は、解析WS184aが有する主な構成を示すが、解析WS184aはこれら以外の構成を有してもよい。
【0244】
通信部227は、計測WS183a及びデータ保存サーバ185aのそれぞれとの間でデータ及び信号の送受信を行う。
【0245】
加算平均処理部229は、通信部227を介して保存部226が保存するセグメント加算データのリストを取得し、取得したセグメント加算データのリストを表示部228によりディスプレイ506等に表示させる。第5指定受付部231は、ユーザがセグメント加算データのリストを視認し、選択した結果から加算回数の情報を受け付けることができる。選択された少なくとも一つのセグメント加算データは、それぞれのデータの加算回数に基づいて加算平均処理が行われる。すなわち、提示されたセグメント加算データのリストから異常なセグメント加算データを除外し、加算平均データを取得することができる。
【0246】
推定部230は、生体データに基づく処理を行う生体データ処理部の一例である。推定部230は、加算平均処理部229が生成した磁場データに基づき、生体の活動電流の強さを推定する処理を行う。推定部230は、取得した加算平均データを用いて、生体の活動電流の強さを推定する。この推定アルゴリズムには、上述した「Array-Gain Constraint Minimum-Norm Spatial Filter With Recursively Updated Gram Matrix」(例えば、「https://ieeexplore.ieee.org/document/5415622」参照)等を用いることができる。
【0247】
表示部228は、推定部230による活動電流の強さの推定結果を表示する。例えば表示部228は、ディスプレイ506に推定結果を表示し、ユーザに視認させることができる。また、表示部228は、取得した加算平均データやセグメント加算データを示す波形データ、周波数スペクトルあるいは推定結果等の解析結果を表示することもできる。この一連のデータ取得から表示処理は測定途中であっても行われる。
【0248】
解析WS184aは、表示部228にセグメント加算データを波形データ及び周波数スペクトルとして表示する際には、複数の所定回数に紐づいたセグメント加算データを並列表示させてもよい。解析WS184aは、表示された波形データを評価し、セグメントにおいて計測が正常に行われた否かを判断し、記録する。
【0249】
計測が正常に行われた否かの判断は、ユーザが目視で行って解析WS184aに結果を入力してもよいし、解析WS184aが何らかのアルゴリズムに従って自動的に判断してもよい。例えばユーザは周波数スペクトルを目視し、生体信号以外の周波数の箇所にピークが立っている場合は異常と判断したり、波形データから得られる生体信号の振幅が他のセグメント加算データの振幅と比較して明らかに低下していれば異常と判断したりできる。「明らかに低下」とは、例えば該セグメント加算データに含まれるノイズレベル以上に低下していることをいう。
【0250】
セグメント加算データが異常なデータであると判断された場合には、解析WS184aは、加算平均データを生成する際にこのセグメント加算データを除外するため、セグメント幅分だけ加算回数を増加させる。解析WS184aは、ユーザによりキーボード511等を用いて指示された計測の延長を受け付ける。計測制御部232は、指示に応答して計測装置182に計測を延長させることができる。また解析WS184aは、受け付けた延長の指示を、通信部227を介して計測WS183aに送信し、計測WS183aが計測制御部223によって、計測装置182による計測を延長させてもよい。
【0251】
推定部230は、測定途中であっても、すでに保存されているセグメント加算データについて活動電流の強さを推定し、ユーザは、表示部228が表示した推定部230による推定結果を視認できる。
【0252】
また、ユーザは磁場データの数量が不足していると判断した場合には、キーボード511等を用いて計測の延長を指示する。計測制御部232は、指示に応答して計測装置182に計測を延長させることができる。また解析WS184aは、受け付けた延長の指示を、通信部227を介して計測WS183aに送信し、計測WS183aが計測制御部223によって、計測装置182による計測を延長させてもよい。
【0253】
図32は、生体データ処理装置186aの動作の一例を示すフローチャートである。なお、図32におけるステップS121及びステップS122は、図23におけるステップS101、ステップS102と同じである。図32におけるステップS124及びステップS125は、図23におけるステップS103及びステップS104と同じである。図32におけるステップS127からステップS130は、図23におけるステップS106からステップS109と同じである。以下、図23との相違点を中心に説明する。
【0254】
ステップS123において、生体データ処理装置186aは、計測WS183aにより、通信部221を介してエポックデータをデータ保存サーバ185aに送信する。
【0255】
ステップS126において、生体データ処理装置186aは、ステップS125にて生成されたセグメント加算データを表示部224に送り、表示させる。
【0256】
ステップS131において、生体データ処理装置186aは、解析WS184aの第5指定受付部231により、通信部227を介して保存部226が保存する全エポックデータ(以下Rawデータと呼称)を取得し、このRawデータに含まれるエポックデータのリストを表示部228によりディスプレイ506等に表示させる。ユーザは、表示されたエポックデータのリストを視認し、キーボード511等を用いてエポックデータを選択することができる。このとき、解析WS184aは、異常セグメントに含まれるエポックデータは除外する。
【0257】
ステップS132において、解析WS184aは、選択された少なくとも一つのエポックデータを加算平均処理する。この処理により、解析WS184aは、少なくとも一つのトリガーに対応した加算平均データを得る。
【0258】
このようにして、解析WS184aは、活動電流の推定処理に必要な加算平均データを得ることができる。
【0259】
<各種表示画面例>
生体データ計測システム181により表示される各種表示画面について説明する。
【0260】
(所定回数及び総加算回数の指定画面例)
所定回数とセグメント幅及び総加算回数の設定は、例えばディスプレイに表示される図33の画面を用いて行われる。
【0261】
図33は、本実施形態に係る所定回数、セグメント幅及び総加算回数の指定画面を例示する図である。図33では、スイッチ233は、加算回数の自動更新を行うようにオン設定されている。自動更新が行われるため、入力ボックス234には、加算回数の自動更新間隔(更新間隔回数)として「100回」が入力されており、入力ボックス235にはセグメント幅として「500回」が入力されている。入力ボックス236は、総加算回数を入力するものである。
【0262】
計測WS183aは、加算回数が所定回数に達するたびに、所定回数に更新間隔回数の「100回」を加算して所定回数を更新する。図33では、総加算回数として4000回が指定されているため、所定回数は、加算回数が所定回数に達するたびに、自動更新により500回、600回、700回、・・・、3700回、3800回、3900回と変化する。
【0263】
入力ボックス235はセグメント幅を指定するものである。セグメント幅は入力ボックス235を通じて任意のタイミングにより更新されてよい。この時、セグメント加算実行間隔も随時変更されてもよい。また、セグメント幅よりもセグメント加算実行間隔が小さい場合には、最初の所定回数はセグメント幅と同一の値が設定されてもよい。
【0264】
<生体データ処理装置186aの作用効果>
以上説明したように、生体データ処理装置186aは、計測WS183aの加算平均処理部222により、複数のトリガー信号に応じて生体における複数の部位で計測される生体データの加算回数が所定回数に達するたびにセグメント加算平均処理し、表示する。所定回数の間隔はセグメント幅と独立して設定される。
【0265】
生体データ処理装置186aは、所定回数の間隔をセグメント幅より小さく設定することが可能であり、計測中の最新のデータを第4実施形態よりも早く確認することができる。これにより、生体データ処理装置186aは、計測中に何らかの異常が発生した場合、より早く異常を検出でき、計測の中断や、対策を打ったうえでの計測の延長などの対応を行うことができる。
【0266】
生体データ処理装置186aは、異常が発生した場合には、より早く異常を検出し、対策を取ることで計測の正常性を保証する。また、異常の発生している区間のエポックデータを詳細に除外することができる。
【0267】
[第6実施形態]
第4及び第5実施形態においては、セグメント加算データの評価は計測WS上で行われていた。計測WSの最も重要な役割は磁場データの収録と記録である。計測WSは、セグメントごとの計測が正常に行われているかを確認しつつも、表示処理などに処理のリソースを割くことにより磁場データの記録漏れなどの悪影響が発生することを回避しなければならない。
【0268】
本実施形態に係る生体データ処理装置186bは、セグメント加算データの表示機能を解析WS184bに集約することで、計測WS183b上において行われる処理を最小限に留めながら第4実施形態と同等の機能を実現する。なお、計測WS183bの機能構成は計測WS183aの機能構成と同じであり、解析WS184bの機能構成は解析WS184aの機能構成と同じであり、データ保存サーバ185bの機能構成はデータ保存サーバ185aの機能構成と同じであ。
【0269】
<生体データ処理装置186bの動作例>
次に図34を参照して、生体データ処理装置186bの動作について説明する。
【0270】
まず、ステップS141において、生体データ処理装置186bは、計測WS183bの加算平均処理部222により、ユーザがキーボード511等を用いて入力した所定回数、セグメント幅及び総加算回数の情報を取得する。なお、加算平均処理部222は、HD504等に予め保存された所定回数とセグメント幅及び総加算回数の情報をHD504等から取得してもよい。
【0271】
続いて、ステップS142において、生体データ処理装置186bは、加算平均処理部222により、少なくとも一つのトリガー信号と、このトリガー信号に対応して計測された磁場データと、を計測装置182から通信部221を介して受信して蓄積する。
【0272】
続いて、ステップS143において、生体データ処理装置186bは、加算平均処理部222により、受信したトリガー信号をカウントしてトリガーごとに加算回数を取得し、加算回数が所定回数に達したか否かを判定する。
【0273】
ステップS143で達したと判定された場合には(ステップS143、Yes)、生体データ処理装置186bは、加算平均処理部222により、所定回数からセグメント幅分だけ遡って磁場データを加算平均処理する。一方、達していないと判定された場合には(ステップS143、No)、生体データ処理装置186bは、ステップS142の動作を再度行う。
【0274】
続いて、ステップS144において、生体データ処理装置186bは、加算平均処理部222により、セグメント加算平均処理結果であるセグメント加算データと、セグメント加算データにおける加算回数の情報とを対応付け、通信部221を介してデータ保存サーバ185bに送信する。データ保存サーバ185bは、受信したセグメント加算データと、セグメント加算に係る情報と、を対応付けて保存する。セグメント加算データは表示部224に送られ、表示される。
【0275】
続いて、ステップS145において、生体データ処理装置186bは、計測制御部223により、加算回数は最終加算回数(総加算回数)に達したか否かを判定する。なお、この判定は、計測制御部223でなく、加算平均処理部222が行ってもよい。
【0276】
ステップS145で、達していないと判定された場合には(ステップS145、No)、生体データ処理装置186bは、ステップS142以降の動作を再度行う。一方、ステップS145で、達したと判定された場合には(ステップS145、Yes)、生体データ処理装置186bは、計測制御部223により、計測装置182に計測を終了させる。
【0277】
このようにして、生体データ処理装置186bは、計測WS183bにより、加算平均処理を実行し、また計測の中断又は延長の指示に応じた計測装置182の制御を行うことができる。
【0278】
続いて、ステップS146において、生体データ処理装置186bは、解析WS184bの第5指定受付部231により、通信部227を介して保存部226が保存するセグメント加算データのリストを取得する。
【0279】
続いて、ステップS147において、生体データ処理装置186bは、取得したセグメント加算データのリストを表示部228によりディスプレイ506等に表示させる。ユーザは、表示されたセグメント加算データのリストを視認し、任意のセグメント加算データを指定し、表示部228に何らかの解析処理を適用した結果である磁場データの波形データもしくは周波数スペクトルや推定結果等を表示させる。
【0280】
続いて、ステップS148において、生体データ処理装置186bは、表示部228に表示されたセグメント加算データを確認し、正常であるか否かを判断したユーザの指示を受け付ける。
【0281】
ステップS148において、正常ではないと判断された場合(ステップS148、No)、ステップS149において、生体データ処理装置186bは、セグメントを異常セグメントとして記録し、ステップS150において最終加算回数の増加、すなわち計測の延長または計測の中断を指示する。この指示は通信部227を通じて計測WS183bに送られ、即座に指示に応じた処理が実行される。
【0282】
生体データ処理装置186bは、ステップS146乃至ステップS150の処理を最終加算回数に到達するまで繰り返す。
【0283】
一方、ステップS145で達していると判断された後、ステップS151において、生体データ処理装置186bは、第5指定受付部231により、通信部227を介して保存部226が保存するセグメント加算データのリストを取得し、取得したセグメント加算データのリストを表示部228によりディスプレイ506等に表示させる。このとき、生体データ処理装置186bは、異常セグメントとして記録されているセグメント加算データを除外する。
【0284】
続いて、ステップS152において、生体データ処理装置186bは、選択された少なくとも一つのセグメント加算データをセグメント幅に応じて加算平均処理する。この処理により、少なくとも一つのトリガーに対応した加算平均データを得る。
【0285】
このようにして、生体データ処理装置186bは、解析WS184bにより、生体の活動電流の推定処理に必要な加算平均データを得ることができる。
【0286】
<生体データ処理装置186bの作用効果>
以上説明したように、生体データ処理装置186bは、加算平均処理部222により、複数のトリガー信号に応じて計測される生体データの加算回数が所定回数に達するたびにセグメント加算平均処理を実行する。生体データ処理装置186bは、処理結果であるセグメント加算データと、このセグメント加算データにおける加算回数とを対応付けて保存部226に保存させる。
【0287】
その後、セグメントデータは解析WS184b上において評価され、対応するセグメントにおける計測が正常に実施されたか否かを判断される。計測終了後、生体データ処理装置186bは、ユーザが異常と判断したセグメントを除外したうえで加算平均を行い、加算平均データを得る。
【0288】
このように、生体データ処理装置186bは、解析WS184b上においてセグメント加算データを表示、評価及び加算を行うことにより、異常なデータを取り除いて加算平均データを得ることができる。これにより、生体データ処理装置186bは、計測WS183bへの負荷を最小限に留めながら、異常が発生している区間のデータを取り除いたうえで、信号品質を保証することができる。
【0289】
以上に示した実施形態は互いを排さない。
【0290】
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0291】
また、実施形態は、プログラムも含む。例えば、プログラムは、少なくとも1つのトリガー信号に応じて計測される生体データの加算回数が所定回数に達するたびに加算平均処理し、少なくとも1つの刺激部位ごとでの加算平均処理結果である加算平均データと、前記加算平均データまたはセグメント加算データと、いずれかのデータにおける前記加算回数と、を対応付けて保存部が保存し、指定された前記加算回数に基づき前記保存部を参照して取得される少なくとも1つの刺激部位ごとでの前記加算平均データを用いて、前記生体データに基づく処理を行う処理をコンピュータに実行させる。このようなプログラムにより、上述した生体データ処理装置と同様の効果を得ることができる。
【0292】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0293】
1、181 生体データ計測システム
10、186、186a、186b 生体データ処理装置
100 被検者(生体の一例)
2、182 計測装置
200 磁気センサアレイ
201 磁気センサ
210 デュワー
3、183、183a、183b 計測WS
31、187 通信部
32、188 加算平均処理部
33、189 計測制御部
4、184、184a、184b 解析WS
41、193 通信部
42、195 推定部(生体データ処理部の一例)
43 第1指定受付部
44 指示受付部
45、197 表示部
46 判断部
47 切替部
48 第2指定受付部
49 第3指定受付部
5、185 データ保存サーバ
51、191 通信部
52、192 保存部
521 加算回数
522 加算平均データ
524 セグメント加算データ
525 セグメント加算に係る情報
526 トリガー回数
527 エポックデータ
60 計測画面
61 操作画面
62 計測データ画面
63 波形データ(磁場データの一例、生体データの一例)
70 脊髄位置指定画面
80、90、150 推定結果表示画面
196 第4指定受付部
221 通信部
222 加算平均処理部
223、232 計測制御部
224 表示部
225 通信部
226 保存部
227 通信部
228 表示部
229 加算平均処理部
230 推定部
231 第5指定受付部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0294】
【特許文献1】特許第6555830号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34