(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102599
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】増幅装置
(51)【国際特許分類】
H03F 3/38 20060101AFI20220630BHJP
H03F 1/26 20060101ALI20220630BHJP
H03F 3/34 20060101ALN20220630BHJP
【FI】
H03F3/38
H03F1/26
H03F3/34 210
H03F3/34 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217427
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大司
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA26
5J500AA53
5J500AC13
5J500AC18
5J500AC50
5J500AC53
5J500AC92
5J500AF17
5J500AF19
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH42
5J500AK04
5J500AK16
5J500AK42
5J500AK46
5J500AK56
5J500AM13
5J500AS15
5J500AT01
5J500MU04
5J500MU05
5J500MV14
5J500RF02
5J500RF05
5J500RU01
(57)【要約】
【課題】高速な制御クロックを生成する複雑な回路や高速なスイッチを必要とせず、より高精度にスパイクノイズによる残差オフセットを低減した高精度な増幅装置を提供する。
【解決手段】チョッパ変調器2が、入力信号を高周波帯域に変調する。相互コンダクタンス増幅器3が、チョッパ変調器2の出力を増幅する。チョッパ変調器4が、相互コンダクタンス増幅器3の出力のうち入力信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調する。チョッパ変調器2は、反転経路と非反転経路とを切り替える際に、全てのスイッチS11~S14をオフして入出力を開放状態とするノンオーバーラップ状態に制御される。チョッパ変調器4は、反転経路と非反転経路とを切り替える際に、全てのスイッチS21~S24をオンして入出力の正極及び負極を短絡状態とするオーバーラップ状態に制御される。チョッパ変調器2がノンオーバーラップ状態であるときにチョッパ変調器4がオーバーラップ状態となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出力が反転接続される反転経路と、前記入出力が非反転接続される非反転経路とを切り替える第1のスイッチを有し、前記第1のスイッチのオンオフにより前記反転経路と前記非反転経路とを交互に切り替えて、入力信号を高周波帯域に変調する第1のチョッパ変調器と、
前記第1のチョッパ変調器の出力を増幅する増幅器と、
入出力が反転接続される反転経路と、前記入出力が非反転接続される非反転経路とを切り替える第2のスイッチを有し、前記第2のスイッチのオンオフにより前記反転経路と前記非反転経路とを交互に切り替えて、前記増幅器の出力のうち前記入力信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調する第2のチョッパ変調器と、を備え、
前記第1のチョッパ変調器は、前記反転経路と前記非反転経路とを切り替える際に、全ての前記第1のスイッチをオフして入出力を開放状態とするノンオーバーラップ状態に制御され、
前記第2のチョッパ変調器は、前記反転経路と前記非反転経路とを切り替える際に、全ての前記第2のスイッチをオンして前記入出力の正極及び負極を短絡状態とするオーバーラップ状態に制御され、
前記第1のチョッパ変調器が前記ノンオーバーラップ状態であるときに前記第2のチョッパ変調器が前記オーバーラップ状態となる、
増幅装置。
【請求項2】
請求項1に記載の増幅装置であって、
前記第2のチョッパ変調器の出力に入力が接続されたツインスイッチ回路をさらに備え、
前記ツインスイッチ回路は、入出力が非反転接続された第1の経路及び第2の経路を切り替える第3のスイッチを有し、前記第1の経路と前記第2の経路とを切り替える際に、全ての前記第3のスイッチをオフして入出力を開放状態とするノンオーバーラップ状態に制御され、
前記第2のチョッパ変調器が前記オーバーラップ状態であるときに前記ツインスイッチ回路がノンオーバーラップ状態となる、
増幅装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の増幅装置であって、
前記第2のチョッパ変調器を、前記反転経路が接続され、前記非反転経路が切断される反転状態、前記オーバーラップ状態、前記非反転経路が接続され、前記反転経路が切断された非反転状態、前記オーバーラップ状態、の順に周期的に遷移させるオーバーラップクロックを前記第2のスイッチに供給するクロック供給部を備えた、
増幅装置。
【請求項4】
請求項2に記載の増幅装置であって、
前記ツインスイッチ回路を、前記第1の経路が接続され、前記第2の経路が切断される第1の経路状態、前記ノンオーバーラップ状態、前記第2の経路が接続され、前記第1の経路が切断される第2の経路状態、前記ノンオーバーラップ状態、の順に周期的に遷移させるノンオーバーラップクロックを前記第3のスイッチに供給するクロック供給部を備えた、
増幅装置。
【請求項5】
請求項1~4何れか1項に記載の増幅装置であって、
前記第2のチョッパ変調器が前記オーバーラップ状態になった後、前記第1のチョッパ変調器が前記ノンオーバーラップ状態となる、
増幅装置。
【請求項6】
請求項2に記載の増幅装置であって、
前記第2のチョッパ変調器を、前記反転経路が接続され、前記非反転経路が切断された反転状態、前記オーバーラップ状態、前記非反転経路が接続され、前記反転経路が切断された非反転状態、前記オーバーラップ状態、の順に周期的に遷移させるオーバーラップクロックを前記第2のスイッチに供給するクロック供給部と、
前記クロック供給部から供給される前記オーバーラップクロックが入力されるNOT回路と、を備え、
前記NOT回路から出力された前記オーバーラップクロックを反転させたノンオーバーラップクロックを前記第3のスイッチに供給する、
増幅装置。
【請求項7】
請求項4に記載の増幅装置であって、
前記クロック供給部から供給される前記ノンオーバーラップクロックが入力されるNOT回路を備え、
前記NOT回路から出力された前記ノンオーバーラップクロックを反転させたオーバーラップクロックを前記第2のスイッチに供給する、
増幅装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の増幅装置であって、
前記第2のチョッパ変調器の出力から同相信号を検出し、前記同相信号を基準値に保つフィードバック信号を前記増幅器の出力に供給するコモンモードフィードバック回路を備えた、
増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
センサ信号などの小信号を増幅する増幅装置として、
図16に示すチョッパ安定化増幅器が知られている。上述したチョッパ安定化増幅器100は、チョッパ変調器101、増幅器102、チョッパ変調器103を備える。
図16に示す構成において、増幅器102には、オフセット成分(Voffset)及び低周波雑音成分(1/fnoise)が発生する。そこで、チョッパ変調器101によって低周波帯域の信号成分を増幅器102のオフセット成分及び低周波雑音成分の少ない高周波帯域に変調する。チョッパ変調器101の出力は、増幅器102によって増幅された後、チョッパ変調器103に入力される。チョッパ変調器103は、増幅器102の出力のうち信号成分は低周波帯域に復調し、オフセット成分及び低周波成分は高周波帯域に変調する。これにより、チョッパ安定化増幅器100の全体のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減することができる。
【0003】
また、上述したチョッパ安定化増幅器100のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する手法として、特許文献1~4、非特許文献1に記載された手法が提案されている。
【0004】
上述したチョッパ安定化増幅器100を構成するチョッパ変調器101、103は、二対のスイッチから構成され、これら二対のスイッチが交互にオンすることにより変調を行っている。このため、スイッチのオンオフ時にノコギリ波状のスパイクノイズが発生する。ノコギリ波状のスパイクノイズには、直流成分が存在するため、スパイクノイズが大きいとチョッパ安定化増幅器100の残差オフセット電圧となり、特性の劣化を招いてしまう場合がある。
【0005】
このスパイクノイズを低減する手法として、非特許文献2に記載された手法が提案されている。非特許文献2には、出力側のチョッパ変調器103において、スイッチを切り替える際に、全てのスイッチを一旦オフするノンオーバーラップ状態つまり切断状態とし、スパイクノイズが出力されないようにする手法が記載されている。
【0006】
しかしながら、ノンオーバーラップ状態の間に、チョッパ変調器103の入力に接続された寄生容量にスパイクノイズにより誤差電荷が溜まるため、チョッパ変調器103のスイッチがオンすると、誤差電荷がスパイクノイズとして出力されてしまう、という問題があった。
【0007】
そこで、特許文献5のように、チョッパ変調器103がノンオーバーラップ状態となっている間に寄生容量に溜まった誤差電荷を、放電スイッチをオンとして、放電する手法などが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6476671号明細書
【特許文献2】米国特許第7292095号明細書
【特許文献3】米国特許第7764118号明細書
【特許文献4】米国特許第8120422号明細書
【特許文献5】米国特許第9685933号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Ion E. Opris and Gregory T.A. Kovacs, “A Rail-to-Rail Ping-Pong Op-Amp”, IEEE J. Solid-State Circuits, vol. 31, no 9, pp. 1320-1324, Sep. 1996.
【非特許文献2】Qiuting Huang and Christian Menolfi, “A 200nV Offset 6.5nV/√Hz Noise PSD 5.6kHz Chopper Instrumentation Amplifier”, IEEE ISSCC Digest of Technial Papers, pp. 362-363, Feb. 2001.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した従来手法では、放電スイッチを制御するため、チョッパ変調器103がノンオーバーラップ状態となっている僅かな間のみオンとなるクロックを生成する必要がある。しかしながら、ノンオーバーラップ状態は、比較的短いため、高速な制御クロックを生成する複雑な回路と高速な制御クロックに応答するスイッチが必要となり、回路面積が増加する他、回路設計を難しくしてしまうという問題点があった。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高速な制御クロックを生成する複雑な回路や高速なスイッチを必要とせず、より高精度にスパイクノイズによる残差オフセットを低減した高精度な増幅装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係る増幅装置は、下記[1]~[8]を特徴としている。
[1]
入出力が反転接続される反転経路と、前記入出力が非反転接続される非反転経路とを切り替える第1のスイッチを有し、前記第1のスイッチのオンオフにより前記反転経路と前記非反転経路とを交互に切り替えて、入力信号を高周波帯域に変調する第1のチョッパ変調器と、
前記第1のチョッパ変調器の出力を増幅する増幅器と、
入出力が反転接続される反転経路と、前記入出力が非反転接続される非反転経路とを切り替える第2のスイッチを有し、前記第2のスイッチのオンオフにより前記反転経路と前記非反転経路とを交互に切り替えて、前記増幅器の出力のうち前記入力信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調する第2のチョッパ変調器と、を備え、
前記第1のチョッパ変調器は、前記反転経路と前記非反転経路とを切り替える際に、全ての前記第1のスイッチをオフして入出力を開放状態とするノンオーバーラップ状態に制御され、
前記第2のチョッパ変調器は、前記反転経路と前記非反転経路とを切り替える際に、全ての前記第2のスイッチをオンして前記入出力の正極及び負極を短絡状態とするオーバーラップ状態に制御され、
前記第1のチョッパ変調器が前記ノンオーバーラップ状態であるときに前記第2のチョッパ変調器が前記オーバーラップ状態となる、
増幅装置であること。
[2]
[1]に記載の増幅装置であって、
前記第2のチョッパ変調器の出力に入力が接続されたツインスイッチ回路をさらに備え、
前記ツインスイッチ回路は、入出力が非反転接続された第1の経路及び第2の経路を切り替える第3のスイッチを有し、前記第1の経路と前記第2の経路とを切り替える際に、全ての前記第3のスイッチをオフして入出力を開放状態とするノンオーバーラップ状態に制御され、
前記第2のチョッパ変調器が前記オーバーラップ状態であるときに前記ツインスイッチ回路がノンオーバーラップ状態となる、
増幅装置であること。
[3]
[1]又は[2]に記載の増幅装置であって、
前記第2のチョッパ変調器を、前記反転経路が接続され、前記非反転経路が切断される反転状態、前記オーバーラップ状態、前記非反転経路が接続され、前記反転経路が切断された非反転状態、前記オーバーラップ状態、の順に周期的に遷移させるオーバーラップクロックを前記第2のスイッチに供給するクロック供給部を備えた、
増幅装置であること。
[4]
[2]に記載の増幅装置であって、
前記ツインスイッチ回路を、前記第1の経路が接続され、前記第2の経路が切断される第1の経路状態、前記ノンオーバーラップ状態、前記第2の経路が接続され、前記第1の経路が切断される第2の経路状態、前記ノンオーバーラップ状態、の順に周期的に遷移させるノンオーバーラップクロックを前記第3のスイッチに供給するクロック供給部を備えた、
増幅装置であること。
[5]
[1]~[4]何れか1項に記載の増幅装置であって、
前記第2のチョッパ変調器が前記オーバーラップ状態になった後、前記第1のチョッパ変調器が前記ノンオーバーラップ状態となる、
増幅装置であること。
[6]
[2]に記載の増幅装置であって、
前記第2のチョッパ変調器を、前記反転経路が接続され、前記非反転経路が切断された反転状態、前記オーバーラップ状態、前記非反転経路が接続され、前記反転経路が切断された非反転状態、前記オーバーラップ状態、の順に周期的に遷移させるオーバーラップクロックを前記第2のスイッチに供給するクロック供給部と、
前記クロック供給部から供給される前記オーバーラップクロックが入力されるNOT回路と、を備え、
前記NOT回路から出力された前記オーバーラップクロックを反転させたノンオーバーラップクロックを前記第3のスイッチに供給する、
増幅装置であること。
[7]
[4]に記載の増幅装置であって、
前記ノンオーバーラップクロックが入力されるNOT回路を備え、
前記クロック供給部から供給される前記NOT回路から出力された前記ノンオーバーラップクロックを反転させたオーバーラップクロックを前記第2のスイッチに供給する、
増幅装置であること。
[8]
[1]~[7]の何れか1項に記載の増幅装置であって、
前記第2のチョッパ変調器の出力から同相信号を検出し、前記同相信号を基準値に保つフィードバック信号を前記増幅器の出力に供給するコモンモードフィードバック回路を備えた、
増幅装置であること。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高速な制御クロックを生成する複雑な回路や高速なスイッチを必要とせず、より高精度にスパイクノイズによる残差オフセットを低減した高精度な増幅装置を提供できる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態の無経路状態における増幅装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の正相状態における増幅装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の逆相状態における増幅装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1~
図3に示す増幅装置に供給されるチョッピング信号のタイムチャートである。
【
図5】
図5は、第1実施形態の増幅装置に供給するチョッピング信号を生成するクロック生成回路を付加した増幅装置の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の増幅装置に供給するチョッピング信号を生成するクロック生成回路を付加した増幅装置の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、
図1~
図3に示す増幅装置に供給されるチョッピング信号の変形例のタイムチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態における増幅装置の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態の増幅装置による信号成分、雑音成分及びオフセット成分の時間波形と周波数特性の一例を示す特性図である。
【
図10】
図10は、従来の増幅装置における入力オフセット電圧を200回測定した結果を示すヒストグラムである。
【
図11】
図11は、第2実施形態の増幅装置における入力オフセット電圧を200回測定した結果を示すヒストグラムである。
【
図12】
図12は、第3実施形態における増幅装置の構成を示す図である。
【
図13】
図13は、第4実施形態における増幅装置の構成を示す図である。
【
図16】
図16は、従来のチョッパ安定化増幅器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1~
図3は、第1実施形態の増幅装置の構成を示す図である。第1実施形態の増幅装置1Aは、入力端により入力される入力信号Vinを高周波帯に変調するチョッパ変調器(第1のチョッパ変調器)2と、チョッパ変調器2の出力を増幅する相互コンダクタンス増幅器3(増幅器)とを備える。また、増幅装置1Aは、相互コンダクタンス増幅器3の出力の信号成分を低周波帯域に復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調するチョッパ変調器(第2のチョッパ変調器)4を備える。また、増幅装置1Aは、出力端の短絡を防ぐためのツインスイッチ回路5を備える。ツインスイッチ回路5の出力が増幅装置1Aの出力端となり、出力信号Voutが出力される。
【0018】
チョッパ変調器2は、増幅装置1Aの入力端と、相互コンダクタンス増幅器3の入力との間に設けられている。チョッパ変調器4は、相互コンダクタンス増幅器3の出力と、ツインスイッチ回路5の入力との間に設けられている。ツインスイッチ回路5は、チョッパ変調器4の出力と、増幅装置1Aの出力端との間に設けられている。チョッパ変調器2は、スイッチS11~S14(第1のスイッチ)を有している。チョッパ変調器4は、スイッチS21~S24(第2のスイッチ)を有している。
【0019】
スイッチS11、S21は、チョッパ変調器2、4の正極側入力と正極側出力との間に接続されている。スイッチS12、S22は、チョッパ変調器2、4の負極側入力と負極側出力との間に接続されている。スイッチS13、S23は、チョッパ変調器2、4の負極側入力と正極側出力との間に接続されている。スイッチS14、S24は、チョッパ変調器2、4の正極側入力と負極側出力との間に接続されている。
【0020】
以上の構成によれば、チョッパ変調器2は、スイッチS11、S12をオフ、スイッチS13、S14をオンすると、入出力が反転接続される反転経路に切り替えられる。また、スイッチS11、S12をオン、スイッチS13、S14をオフすると、入出力が非反転接続される非反転経路に切り替えられる。即ち、チョッパ変調器2は、スイッチS11~S14のオンオフにより、反転経路と、非反転経路とを切り替えることができる。
【0021】
また、チョッパ変調器4は、スイッチS21、S22をオフ、スイッチS23、S24をオンすると、入出力が反転接続される反転経路に切り替えられる。また、スイッチS21、S22をオン、スイッチS23、S24をオフすると、入出力が非反転接続される非反転経路となる。即ち、チョッパ変調器4は、スイッチS21~S24のオンオフにより、反転経路と、非反転経路とを切り替えることができる。
【0022】
ツインスイッチ回路5は、スイッチS31~S34を備えている。スイッチS31、S33は、ツインスイッチ回路5の正極側入力と、正極側出力との間に並列接続されている。スイッチS32、S34は、ツインスイッチ回路5の負極側入力と、負極側出力との間に並列接続されている。ツインスイッチ回路5は、スイッチS31、S32をオン、スイッチS33、S34をオフすると、入出力が非反転接続される第1の経路に切り替えられる。また、スイッチS31、S32をオフ、スイッチS33、S34をオンすると、入出力が非反転接続される第1の経路とは別の第2の経路に切り替えられる。即ち、ツインスイッチ回路5は、スイッチS31~S34のオンオフにより、第1の経路と、第2の経路とに切り替えることができる。
【0023】
次に、上述した構成の増幅装置1Aの動作について
図4を参照して説明する。チョッパ変調器2のスイッチS11、S12には、チョッピング信号φ1が供給され、スイッチS13、S14には、チョッピング信号φ2が供給される。チョッピング信号φ1、φ2は、スイッチS11、S12と、スイッチS13、S14とを交互にオンさせ、反転経路と非反転経路とを交互に切り替える。これにより、チョッパ変調器2は、入力信号Vinをチョッピング信号φ1、φ2の周波数であるチョッパ周波数fcの高周波に変調する。
【0024】
チョッパ変調器4のスイッチS21、S22には、チョッピング信号φ3が供給され、スイッチS23、S24には、チョッピング信号φ4が供給される。チョッピング信号φ3、φ4は、スイッチS21、S22と、スイッチS23、S24とを交互にオンさせ、反転経路と非反転経路とを交互に切り替える。これにより、チョッパ変調器4は、相互コンダクタンス増幅器3の出力である増幅された入力信号Vinをチョッピング信号φ3、φ4で元の周波数に復調すると共に、相互コンダクタンス増幅器3のオフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調する。
【0025】
ツインスイッチ回路5のスイッチS31、S32には、チョッピング信号φ5が供給され、スイッチS33、S34は、チョッピング信号φ6が供給される。チョッピング信号φ5、φ6は、スイッチS31、S32と、スイッチS33、S34とを交互にオンさせる。
【0026】
上述したチョッピング信号φ1、φ2は、ノンオーバーラップクロックから構成される。チョッピング信号φ1、φ2を構成するノンオーバーラップクロックは、スイッチS11~S14の切り替え時に一旦全てのスイッチS11~S14をオフして入出力を開放状態とするノンオーバーラップ状態St1に制御するクロックである。詳しく説明すると、チョッパ変調器2に供給されるノンオーバーラップクロックは、
図4に示すように、反転経路が接続され、非反転経路が切断された反転状態St3、ノンオーバーラップ状態St1、非反転経路が接続され、反転経路が切断された非反転状態St2、ノンオーバーラップ状態St1、の順に周期的に遷移させる一対のクロックから構成されている。
【0027】
チョッピング信号φ5、φ6もチョッピング信号φ1、φ2と同様のノンオーバーラップクロックから構成される。チョッピング信号φ5、φ6を構成するノンオーバーラップクロックは、スイッチS31~S34の切り替え時に一旦全てのスイッチS31~S34をオフして入出力を開放とするノンオーバーラップ状態St1に制御するクロックである。詳しく説明すると、ツインスイッチ回路5に供給されるノンオーバーラップクロックは、第1の経路が接続され、第2の経路が切断された第1の経路状態St5、ノンオーバーラップ状態St1、第2の経路が接続され、第1の経路が切断された第2の経路状態St4、ノンオーバーラップ状態St1、の順に周期的に遷移させる一対のクロックから構成されている。
【0028】
上述したチョッピング信号φ3、φ4は、オーバーラップクロックから構成される。オーバーラップクロックは、スイッチS21~S24の切り替え時に一旦全てのスイッチS11~S14をオンして入出力の正極、負極を短絡状態とするオーバーラップ状態St6に制御するクロックである。詳しく説明すると、オーバーラップクロックは、
図4に示すように、反転経路が接続され、非反転経路が切断された反転状態St3、オーバーラップ状態St6、非反転経路が接続され、反転経路が切断された非反転状態St2、オーバーラップ状態St6、の順に周期的に遷移させる一対のクロックから構成されている。また、チョッピング信号φ1、φ2がノンオーバーラップ状態St1のときに、チョッピング信号φ3、φ4がオーバーラップ状態St6となる。
【0029】
次に、上述したチョッピング信号φ1~φ6をチョッパ変調器2、4、ツインスイッチ回路5のスイッチS11~S14、S21~S24、S31~S34に供給したときの動作について
図1~
図3を参照して説明する。チョッパ変調器2、ツインスイッチ回路5がノンオーバーラップ状態St1となると、
図1に示すように増幅装置1Aは、入力端、出力端から切り離された無経路状態となる。このとき、寄生容量Cpには、ノンオーバーラップ状態St1前の信号成分が蓄積されている。また、スイッチS11~S14のオンオフに伴うスパイクノイズが相互コンダクタンス増幅器3を通って、寄生容量Cpに蓄積される。しかしながら、チョッパ変調器4が、オーバーラップ状態St6となるので、寄生容量Cpに溜まったスパイクノイズの原因となる電荷が放電される。
【0030】
ノンオーバーラップ状態St1が終了すると、増幅装置1Aは、
図2に示す正相動作状態となる。即ち、チョッパ変調器2、4が非反転経路に切り替えられ、ツインスイッチ回路5が第1の経路に切り替えられる。次に、増幅装置1Aは、再び
図1に示す無経路状態となり、その後、
図3に示す逆相動作状態となる。即ち、チョッパ変調器2、4が反転経路に切り替えられ、ツインスイッチ回路5が第2の経路に切り替えられる。増幅装置1Aの状態は、無経路状態、正相状態、無経路状態、逆相状態の順に繰り返す。
【0031】
上述した本実施形態によれば、チョッパ変調器4が無経路状態で寄生容量Cpを放電しているため、その後、第1の経路状態、第2の経路状態に切り替えても、寄生容量Cpに溜まった電荷は既に放電されている。これにより、出力信号Voutにスパイクノイズが現れるのを抑制することができる。また、寄生容量Cpを放電するために、非常に短いノンオーバーラップ状態St1の間だけオンするスイッチを設ける必要がなく、高速で動作するスイッチを必要とせず、回路設計が容易である。
【0032】
また、上述した実施形態によれば、チョッパ変調器4がオーバーラップ状態St6であるときにノンオーバーラップ状態St1となるツインスイッチ回路5を設けている。これにより、チョッパ変調器4がオーバーラップ状態St6であっても、ツインスイッチ回路5により出力端が切り離されるため、出力端の正極と負極とが短絡することを防ぐことができる。
【0033】
上述したノンオーバーラップクロックから構成されるチョッピング信号φ1、φ2、φ5、φ6は、
図5に示すクロック生成回路6(クロック供給部)により生成される。このクロック生成回路6により生成されたノンオーバーラップクロックをNOT回路7で反転させることによって、オーバーラップクロックであるチョッピング信号φ3、φ4を生成する。
【0034】
また、
図6に示すように、オーバーラップクロックであるチョッピング信号φ3、φ4をクロック生成回路8(クロック供給部)により生成するようにしてもよい。この場合、クロック生成回路8により生成されたオーバーラップクロックをNOT回路9で反転させることによって、オーバーラップクロックであるチョッピング信号φ1、φ2、φ5、φ6を生成する。
【0035】
図5、
図6に示すように、チョッパ変調器2、ツインスイッチ回路5のスイッチS11~S14、S31~S34に供給されるチョッピング信号からNOT回路7一つでチョッパ変調器4のS21~S24に供給されるチョッピング信号を生成するため、あるいは、チョッパ変調器4のS21~S24に供給されるチョッピング信号からNOT回路9一つでチョッパ変調器2、ツインスイッチ回路5のスイッチS11~S14、S31~S34に供給されるチョッピング信号を生成するため、スイッチS11~S14、S21~S24、S31~S34のオンオフの切り替わりはほぼ同じタイミングとなる。
【0036】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。第1実施形態では、チョッパ変調器2、ツインスイッチ回路5がノンオーバーラップ状態St1となる期間と、チョッパ変調器4がオーバーラップ状態St6となる期間とが同じであったが、これに限ったものではない。
図7に示すようなチョッピング信号φ1~φ6を供給して、先にチョッパ変調器4をオーバーラップ状態St6、ツインスイッチ回路5をノンオーバーラップ状態St1とした後に、チョッパ変調器2をノンオーバーラップ状態St1とするようにしてもよい。これにより、チョッパ変調器2のスイッチS11~S14をオンオフする際に、既にチョッパ変調器4がオーバーラップ状態St6、ツインスイッチ回路5がノンオーバーラップ状態St6となっている。このため、スイッチS11~S14のオンオフに伴うスパイクノイズが、出力端に現れるのをより一層抑制できる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図8は、第2実施形態の増幅装置の構成を示す図である。
図8において、上述した第1実施形態において既に説明した
図1に示す増幅装置1Aと同等の部分には、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0038】
増幅装置1Bは、コモンモードフィードバック回路10を備えていてもよい。コモンモードフィードバック回路10は、チョッパ変調器4の出力から同相信号を検出し、検出した同相信号を基準値Vcmに保つフィードバック信号を生成して、相互コンダクタンス増幅器3の出力に供給している。コモンモードフィードバック回路10を設けることにより、チョッパ変調器4の入力の寄生容量Cpを低減することができる。また、チョッパ変調器4は、オーバーラップクロックにより動作するため、コモンモードフィードバック回路10の同相帰還ループの接続が切れるタイミングをなくすことができる。
【0039】
また、増幅装置1Bは、増幅器11Aを備えていてもよい。増幅器11Aは、ツインスイッチ回路5から出力される信号成分を増幅する。第2実施形態では、増幅器11Aの出力が増幅装置1Bの出力端となり、出力信号Voutが出力される。増幅器11Aは、相互コンダクタンス増幅器111と、増幅器112と、増幅器111、112の位相補償を行う位相補償回路113と、を有している。相互コンダクタンス増幅器111の出力には増幅器112の入力が接続され、増幅器112の出力が増幅器11Aの出力、すなわち増幅装置1Bの出力端となる。
【0040】
位相補償回路113は、抵抗R3、R4と、容量Cc1~Cc3と、から構成されている。抵抗R3、R4は、ツインスイッチ回路5の出力と、相互コンダクタンス増幅器111の入力との間に接続される。容量Cc1は、増幅器112の入力と出力との間に接続される。容量Cc2は、相互コンダクタンス増幅器111の反転入力と、増幅器112の出力との間に接続される。容量Cc3は、相互コンダクタンス増幅器111の非反転入力とグランドとの間に接続される。
【0041】
上述したようにチョッパ変調器4により
図9(B)の点線で示すオフセット成分及び低周波雑音成分が高周波帯域に変調されると、
図9(C)の点線で示すリップルノイズが発生する。上記位相補償回路113によれば、抵抗R3、R4と容量Cc1、Cc2とによりローパスフィルタを構成するため、出力信号Vinのリップルノイズを
図9(C)の実線に示すように、低減することができる。
【0042】
また、相互コンダクタンス増幅器111の出力と増幅器112の入力との間にフィードフォワードアンプとして機能する相互コンダクタンス増幅器13を接続してもよい。
【0043】
また、増幅装置1Bは、ノイズリダクションループ回路12を備えてもよい。ノイズリダクションループ回路12は、相互コンダクタンス増幅器3とチョッパ変調器4との間に入出力が接続されている。ノイズリダクションループ回路12は、例えば特開2020-145545号公報に記載されているように、相互コンダクタンス増幅器3のオフセット成分を抽出し、抽出したオフセット成分を相互コンダクタンス増幅器3の出力に負帰還する。このノイズリダクションループ回路12により、相互コンダクタンス増幅器3において発生するオフセット成分及び低周波雑音成分を低減して、チョッパ変調器4の出力に含まれるリップルノイズを低減できる(
図9(B)、
図9(C)参照)。
【0044】
本実施形態では、ノイズリダクションループ回路12は、例えば上記公報に記載されているように、ノイズリダクションループ回路12の入力を増幅するオートゼロ増幅器121と、オートゼロ増幅器121の出力の高周波信号成分を低減するフィルタ回路122と、フィルタ回路122の出力を増幅する相互コンダクタンス増幅器123とを有する構成である。
【0045】
オートゼロ増幅器121は、例えばPing-Pongオートゼロ増幅器を用いて構成される。オートゼロ増幅器121は、並列に接続された2つのオートゼロ増幅回路121A、121Bを有して構成される。オートゼロ増幅回路121A、121Bは各々、動作モードとして、校正モードと増幅モードとを有する。校正モードでは、内蔵された増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減させるような校正電圧をサンプリング容量(図示せず)によりサンプリングする。増幅モードでは、校正電圧によりオフセット成分及び低周波雑音成分を低減された増幅器によって、入力された信号を増幅する。2つのオートゼロ増幅回路121A、121Bは、一方が校正モードのとき、他方を増幅モードにし、これを交互に切り替えることにより、常に増幅を行うことができる。
【0046】
フィルタ回路122は、オートゼロ増幅器121の出力の低周波信号成分を増幅し、高周波信号成分を低減する機能を有する。フィルタ回路122によって、高周波信号成分を低減して増幅器のオフセット成分をフィードバックできる。
【0047】
次に、本発明者らは、
図8に示す第2実施形態からツインスイッチ回路5を除き、チョッパ変調器2、4に対してノンオーバーラップクロックを供給する従来の増幅装置と、
図8に示す第2実施形態の増幅装置1Bと、について入力オフセット電圧を測定した。結果を
図10及び
図11に示す。
図10は、従来の増幅装置の入力オフセット電圧を200回測定したときのヒストグラムである。
図11は、
図8に示す第2実施形態の増幅装置1Bの入力オフセット電圧を200回測定したときのヒストグラムである。
図10と
図11とを比較しても明らかなように、第2実施形態の増幅装置1Bは、従来の増幅装置に比べてオフセット成分をより低減することができる。
【0048】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図12は、第3実施形態の増幅装置の構成を示す図である。
図12において、上述した第2実施形態において既に説明した
図8に示す増幅装置と同等の部分には、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0049】
増幅装置1Cは、ノイズリダクションループ回路12に代えて、リップル校正回路14を備えてもよい。リップル校正回路14は、チョッパ変調器4の出力に入力が接続され、チョッパ変調器4の入力に出力が接続されている。リップル校正回路14は、チョッパ変調器4の出力のうち高周波雑音成分(リップルノイズ)を抽出して、抽出したリップルノイズを変調してオフセット成分に変調し、変調したオフセット成分をチョッパ変調器3の出力に負帰還する回路である。リップル校正回路14により、チョッパ変調器3の出力に含まれるオフセット成分を低減して、チョッパ変調器4の出力に含まれるリップルノイズを低減できる(
図9(B)、(C)参照)。
【0050】
本実施形態では、リップル校正回路14は、リップル校正回路14に入力される低周波雑音成分を低減し、リップルノイズを検出するハイパスフィルタ141と、ハイパスフィルタ141の出力のリップルノイズを低周波成分に復調してオフセット成分に変調する位相反転オートゼロ増幅器142と、位相反転オートゼロ増幅器142の出力の高周波成分を低減するフィルタ回路143と、フィルタ回路143の出力を増幅する相互コンダクタンス増幅器144とを有する構成である。
【0051】
位相反転オートゼロ増幅器142は、例えばPing-Pongオートゼロ増幅器を用いて構成される。位相反転オートゼロ増幅器142は、並列に接続された2つのオートゼロ増幅回路142A、142Bを有して構成される。オートゼロ増幅回路142Aは、入力を反転増幅する。オートゼロ増幅回路142Bは、入力を非反転増幅する。オートゼロ増幅回路142A、142Bは各々、動作モードとして、校正モードと増幅モードとを有する。校正モードでは、内蔵された増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減させるような校正電圧をサンプリング容量(図示せず)によりサンプリングする。増幅モードでは、校正電圧によりオフセット成分及び低周波雑音成分を低減された増幅器により入力された信号を増幅する。2つのオートゼロ増幅回路142A、142Bは、一方が校正モードのとき、他方を増幅モードにし、これを交互に切り替えることにより、常に増幅を行うことができる。また、校正モード、増幅モードを交互に切り替えると、位相反転オートゼロ増幅器142は、反転増幅、非反転増幅を交互に切り替える。これにより、位相反転オートゼロ増幅器142は、入力のリップルノイズを低周波のオフセット成分に変調することができる。
【0052】
フィルタ回路143は、位相反転オートゼロ増幅器142の出力の低周波信号成分を増幅し、高周波信号成分を低減する機能を有する。
【0053】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。
図13は、第4実施形態の増幅装置の構成を示す図である。
図13において、上述した第3実施形態において既に説明した
図12に示す増幅装置と同等の部分には、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0054】
第3実施形態では、リップル校正回路14は、チョッパ変調器4の出力に入力が接続されていたが、
図13に示すようにツインスイッチ回路5の出力に入力が接続されていてもよい。これにより、リップル校正回路14は、ツインスイッチ回路5の出力を負帰還してツインスイッチ回路5の出力に含まれる高周波雑音成分を低減する。
【0055】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0056】
例えば、上述した第2~第4実施形態で示した出力段の増幅器11Aは、相互コンダクタンス増幅器111と、増幅器112とから構成されていたが、これに限ったものではない。例えば、
図14に示すように、2つの相互コンダクタンス増幅器114、115から構成された増幅器11Bを設けてもよい。
図14に示す例では、位相補償回路116は、2つの容量Cc4、Cc5から構成されている。容量Cc4は、相互コンダクタンス増幅器114の反転入力と正極側の出力との間に接続されている。容量Cc5は、相互コンダクタンス増幅器114の非反転入力と負極側の出力との間に接続されている。
【0057】
また、
図15に示すように2つのオートゼロ増幅器117A、117Bから構成されたPing-Pongオートゼロ増幅器11Cを増幅器11Aの代わりに設けてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態によれば、ツインスイッチ回路5を設けていたが、これに限ったものではない。出力端の短絡が問題なければ、ツインスイッチ回路5は設ける必要がない。
【符号の説明】
【0059】
1A~1C 増幅装置
2 チョッパ変調器(第1のチョッパ変調器)
3 相互コンダクタンス増幅器(増幅器)
4 チョッパ変調器(第2のチョッパ変調器)
5 ツインスイッチ回路
6、8 クロック生成回路(クロック供給部)
7、9 NOT回路
10 コモンモードフィードバック回路
S11~S14 スイッチ(第1のスイッチ)
S21~S24 スイッチ(第2のスイッチ)
S31~S34 スイッチ(第3のスイッチ)