(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102745
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】組成物、カラーフィルタ及び色素
(51)【国際特許分類】
C09B 67/20 20060101AFI20220630BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220630BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20220630BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20220630BHJP
C09B 57/00 20060101ALI20220630BHJP
C09B 67/44 20060101ALI20220630BHJP
C08F 112/12 20060101ALI20220630BHJP
C08F 120/56 20060101ALI20220630BHJP
C08F 126/04 20060101ALI20220630BHJP
C09B 23/04 20060101ALN20220630BHJP
【FI】
C09B67/20 F
G02B5/20 101
G03F7/004 505
G03F7/027
C09B57/00 M CSP
C09B67/44 A
C08F112/12
C08F120/56
C08F126/04
C09B23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217659
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000252300
【氏名又は名称】富士フイルム和光純薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 桂三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛敬
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE14
2H148BE15
2H148BG02
2H148BG11
2H148BH13
2H225AC01
2H225AC05
2H225AC11
2H225AC36
2H225AD10
2H225AM22P
2H225AM25P
2H225AM32P
2H225AM99P
2H225AN22P
2H225AN39P
2H225AN42P
2H225BA01P
2H225BA09P
2H225BA17P
2H225BA32P
2H225CA17
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
4J100AB02P
4J100AM15P
4J100AN13P
4J100BA27P
4J100BA58P
4J100BC43P
4J100BC73P
4J100BC75P
4J100CA01
4J100DA61
4J100FA03
4J100JA38
(57)【要約】
【課題】優れた耐湿熱性を有する色素、上記色素を含む組成物及び上記色素を含むカラーフィルタを提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される色素、上記色素を含む組成物及び上記色素を含むカラーフィルタ。
式(1)中、R
1、R
2及びR
3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、Ar
1及びAr
2はそれぞれ独立して置換基として-NR
4R
5を有するアリール基又は置換基として-NR
4R
5を有するヘテロアリール基を表し、R
4は置換基を表し、R
5は重合性基又は重合性基を有する基を表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される色素と、溶剤と、を含む組成物。
【化1】
式(1)中、R
1、R
2及びR
3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、Ar
1及びAr
2はそれぞれ独立して置換基として-NR
4R
5を有するアリール基又は置換基として-NR
4R
5を有するヘテロアリール基を表し、R
4は置換基を表し、R
5は重合性基又は重合性基を有する基を表す。
【請求項2】
前記R4が、アルキル基、アルキルカルボニル基又はアルキルスルホニル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記重合性基が、スチレン基、アクリロイル基又はメタクリロイル基である、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記式(1)で表される色素が下記式(2)で表される色素である、請求項1に記載の組成物。
【化2】
式(2)中、R
1及びR
3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、R
8及びR
10はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R
9及びR
11はそれぞれ独立して重合性基又は重合性基を有する基を表す。
【請求項5】
前記重合性基が、スチレン基、アクリロイル基又はメタクリロイル基である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
バインダー樹脂を更に含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
重合性化合物を更に含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
重合開始剤を更に含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
下記式(1)で表される色素を含むカラーフィルタ。
【化3】
式(1)中、R
1、R
2及びR
3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、Ar
1及びAr
2はそれぞれ独立して置換基として-NR
4R
5を有するアリール基又は置換基として-NR
4R
5を有するヘテロアリール基を表し、R
4は置換基を表し、R
5は重合性基又は重合性基を有する基を表す。
【請求項10】
下記式(1)で表される色素。
【化4】
式(1)中、R
1、R
2及びR
3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、Ar
1及びAr
2はそれぞれ独立して置換基として-NR
4R
5を有するアリール基又は置換基として-NR
4R
5を有するヘテロアリール基を表し、R
4は置換基を表し、R
5は重合性基又は重合性基を有する基を表す。
【請求項11】
前記R4が、アルキル基である、請求項10に記載の色素。
【請求項12】
下記式(2)で表される色素である、請求項10に記載の色素。
【化5】
式(2)中、R
1及びR
3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、R
8及びR
10はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R
9及びR
11はそれぞれ独立して重合性基又は重合性基を有する基を表す。
【請求項13】
前記重合性基が、スチレン基、アクリロイル基又はメタクリロイル基である、請求項10~請求項12のいずれか1項に記載の色素。
【請求項14】
下記式で表される色素である、請求項10に記載の色素。
【化6】
【請求項15】
下記式で表される色素である、請求項10に記載の色素。
【化7】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組成物、カラーフィルタ及び色素に関する。
【背景技術】
【0002】
ピラゾロトリアゾール骨格を有する化合物は、例えば、次のような組成物において色素として使用されている。
【0003】
特許文献1は、下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物から選ばれる着色剤を含むカラーフィルタ用着色硬化性組成物を開示している。
【0004】
【0005】
一般式(I)中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、分子内に複数存在するR1及びR2はそれぞれ互いに同じでも、異なっていてもよい。一般式(II)中、R4、R5、R6、R7、及びR8はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニルアミノ基、カルボニルアミノ基、シアノ基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、分子内に複数存在するR5は互いに同じでも、異なっていてもよい。
【0006】
特許文献2は、下記一般式(1)で表される染料化合物を含む着色硬化性組成物を開示している。
【0007】
【0008】
式中、R1及びR2は、各々独立に、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基を表す。R3及びR4の少なくとも一方は、炭素炭素二重結合を有する有機基を表し、R3及びR4のいずれか一方のみが炭素炭素二重結合を有する有機基を表す場合、他方は炭素数6~20のアリール基を表す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012-237996号公報
【特許文献2】特開2014-025009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
使用環境の多様化が進み、ピラゾロトリアゾール骨格を有する化合物の耐湿熱性の更なる向上が求められている。例えば、色素としてピラゾロトリアゾール骨格を有する化合物を含むカラーフィルタは、高温多湿の環境下で製造又は使用されることがある。ピラゾロトリアゾール骨格を有する化合物の耐湿熱性が低いと、例えば、色相の変化、分解反応の促進、溶解安定性の低下又は分散安定性の低下が起こることがある。
【0011】
本開示は、優れた耐湿熱性を有する色素、上記色素を含む組成物及び上記色素を含むカラーフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、以下の態様を包含する。
<1> 下記式(1)で表される色素と、溶剤と、を含む組成物。
【0013】
【0014】
式(1)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して置換基として-NR4R5を有するアリール基又は置換基として-NR4R5を有するヘテロアリール基を表し、R4は置換基を表し、R5は重合性基又は重合性基を有する基を表す。
<2> 上記R4が、アルキル基、アルキルカルボニル基又はアルキルスルホニル基である、<1>に記載の組成物。
<3> 上記重合性基が、スチレン基、アクリロイル基又はメタクリロイル基である、<1>又は<2>に記載の組成物。
<4> 上記式(1)で表される色素が下記式(2)で表される色素である、<1>に記載の組成物。
【0015】
【0016】
式(2)中、R1及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、R8及びR10はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R9及びR11はそれぞれ独立して重合性基又は重合性基を有する基を表す。
<5> 上記重合性基が、スチレン基、アクリロイル基又はメタクリロイル基である、<4>に記載の組成物。
<6> バインダー樹脂を更に含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の組成物。
<7> 重合性化合物を更に含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の組成物。
<8> 重合開始剤を更に含む、<7>に記載の組成物。
<9> 下記式(1)で表される色素を含むカラーフィルタ。
【0017】
【0018】
式(1)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して置換基として-NR4R5を有するアリール基又は置換基として-NR4R5を有するヘテロアリール基を表し、R4は置換基を表し、R5は重合性基又は重合性基を有する基を表す。
<10> 下記式(1)で表される色素。
【0019】
【0020】
式(1)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して置換基として-NR4R5を有するアリール基又は置換基として-NR4R5を有するヘテロアリール基を表し、R4は置換基を表し、R5は重合性基又は重合性基を有する基を表す。
<11> 上記R4が、アルキル基である、<10>に記載の色素。
<12> 下記式(2)で表される色素である、<10>に記載の色素。
【0021】
【0022】
式(2)中、R1及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、R8及びR10はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R9及びR11はそれぞれ独立して重合性基又は重合性基を有する基を表す。
<13> 上記重合性基が、スチレン基、アクリロイル基又はメタクリロイル基である、<10>~<12>のいずれか1つに記載の色素。
<14> 下記式で表される色素である、<10>に記載の色素。
【0023】
【0024】
<15> 下記式で表される色素である、<10>に記載の色素。
【0025】
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、優れた耐湿熱性を有する色素、上記色素を含む組成物及び上記色素を含むカラーフィルタが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。本開示は、以下の実施形態に何ら制限されない。以下の実施形態は、本開示の目的の範囲内において適宜変更されてもよい。
【0028】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0029】
本開示において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の成分の合計量を意味する。
【0030】
本開示において、2つ以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
【0031】
本開示において「固形分」との語は、溶剤を除く成分を意味する。
【0032】
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0033】
本開示における基(原子団)の表記について、置換及び無置換を明記していない表記は、置換基を有さないものとともに、置換基を有するものを包含する、例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(いわゆる、無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(いわゆる、置換アルキル基)をも包含する。
【0034】
本開示において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方を包含する用語である。
【0035】
本開示において、分子量分布を有する化合物の分子量は、特に断りがない限り、重量平均分子量(Mw)を表す。
【0036】
本開示における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。ある態様では、GPCによる測定は、測定装置として、HLC(登録商標)-8220GPC〔東ソー株式会社製〕を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標) Super HZ2000〔4.6mmID×15cm、東ソー株式会社製〕、TSKgel(登録商標) Super HZ4000〔4.6mmID×15cm、東ソー株式会社製〕、及びTSKgel(登録商標) Super HZ-H〔4.6mmID×15cm、東ソー株式会社製〕の3本を直列に接続し、溶離液としてNMP(N-メチルピロリドン)を用いる。測定条件としては、試料濃度を0.3質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μL、及び測定温度を40℃とし、検出器として、示差屈折率(RI:Refractive Index)検出器を用いる。検量線は、東ソー株式会社製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-80」、「F-20」、「F-4」、「F-2」、「A-5000」、及び「A-1000」の6サンプルから作製する。
【0037】
<色素>
本開示の一実施形態に係る色素は、下記式(1)で表される。
【0038】
【0039】
式(1)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して置換基として-NR4R5を有するアリール基又は置換基として-NR4R5を有するヘテロアリール基を表し、R4は置換基を表し、R5は重合性基又は重合性基を有する基を表す。
【0040】
特許文献1及び特許文献2に記載されたピラゾロトリアゾール骨格を有する色素に対して、式(1)においてR4で表される置換基及びR5で表される重合性基又は重合性基を有する基は、色素の立体障害を大きくする。色素の立体障害の増大は、高温多湿の環境下で、水による色素の分解を抑制し、多成分系(例えば、後述する組成物及びカラーフィルタ)における色素の凝集を抑制できる。例えば、多成分系における色素の凝集が抑制されると、色相の変化、分解反応の促進、溶解安定性の低下又は分散安定性の低下が抑制される。また、式(1)においてR1、R2及びR3で表される置換基も、色素の立体障害を大きくする。よって、本開示の一実施形態によれば、優れた耐湿熱性を有する色素が提供される。さらに、式(1)で表される化学構造は、耐溶剤性の向上に寄与できる。例えば、重合性基を起点とする色素の重合は、耐湿熱性の向上のみならず、耐溶剤性の向上にも寄与できる。
【0041】
式(1)において、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表す。耐湿熱性の観点から、R1及びR3はそれぞれ独立して置換基であり、R2は水素原子であることが好ましい。
【0042】
R1、R2及びR3で表される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、無置換アミノ基、置換アミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、脂肪族オキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、水酸基、メルカプト基、ホスホノ基、ニトロ基及びスルホ基が挙げられる。置換基の少なくとも1つの炭素原子は、必要に応じて、酸素原子といったヘテロ原子によって置き換えられてもよい。置換基の少なくとも1つの水素原子は、必要に応じて、既述の置換基によって更に置き換えられてもよい。
【0043】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることが好ましい。
【0044】
ハロゲン化アルキル基は、置換又は無置換のハロゲン化アルキル基であってもよい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基であってもよい。ハロゲン化アルキル基の炭素数は、1~30であることが好ましく、1~10であることがより好ましく、1~6であることが特に好ましい。ハロゲン化アルキル基のハロゲン原子としては、既述のハロゲン原子が挙げられる。ハロゲン化アルキル基の具体例としては、例えば、トリフルオロメチル基及びトリフルオロエチル基が挙げられる。ハロゲン化アルキル基は、フッ化アルキル基であることが好ましい。
【0045】
脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基が挙げられる。
【0046】
アルキル基は、置換又は無置換のアルキル基であってもよい。アルキル基の炭素数は、1~30であることが好ましく、2~20であることがより好ましく、2~10であることが更に好ましく、2~8であることが特に好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、n-オクチル基、イコシル基、2-クロロエチル基、2-シアノエチル基、ベンジル基及び2-エチルヘキシル基が挙げられる。耐湿熱性の観点から、アルキル基は、分岐状アルキル基であることが好ましく、tert-ブチル基又は2-エチルヘキシル基であることがより好ましい。ある実施形態において、アルキル基は、tert-ブチル基であることが好ましい。ある実施形態において、アルキル基は、2-エチルヘキシル基であることが好ましい。
【0047】
アルケニル基は、置換又は無置換のアルケニル基であってもよい。アルケニル基の炭素数は、2~30であることが好ましい。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基及びオレイル基が挙げられる。
【0048】
アルキニル基は、置換又は無置換のアルキニル基であってもよい。アルキニル基の炭素数は、2~30であることが好ましい。アルキニル基の具体例としては、エチニル基及びプロパルギル基が挙げられる。
【0049】
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケニル基及びビシクロアルケニル基が挙げられる。脂環式炭化水素基は、スピロ環骨格のように複数の環を含んでもよい。
【0050】
シクロアルキル基は、置換又は無置換のシクロアルキル基であってもよい。シクロアルキル基の炭素数は、3~30であることが好ましい。シクロアルキル基の具体例としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基及び4-n-ドデシルシクロヘキシル基が挙げられる。
【0051】
ビシクロアルキル基は、置換又は無置換のビシクロアルキル基であってもよい。ビシクロアルキル基の炭素数は、5~30であることが好ましい。ビシクロアルキル基の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基及びビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル基が挙げられる。ビシクロアルキル基には、更に環構造が多いトリシクロ構造等を有する基も含まれる。
【0052】
シクロアルケニル基は、置換又は無置換のシクロアルケニル基であってもよい。シクロアルケニル基の炭素数は、3~30であることが好ましい。シクロアルケニル基の具体例としては、2-シクロペンテン-1-イル基及び2-シクロヘキセン-1-イル基が挙げられる。
【0053】
ビシクロアルケニル基は、置換又は無置換のビシクロアルケニル基であってもよい。ビシクロアルケニル基の炭素数は、5~30であることが好ましい。ビシクロアルケニル基の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-1-イル基及びビシクロ[2.2.2]オクト-2-エン-4-イル基が挙げられる。
【0054】
アリール基は、置換又は無置換のアリール基であってもよい。アリール基の炭素数は、6~30であることが好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、p-トリル基、トリメチルフェニル基(例えば、1,3,5-トリメチルフェニル基)、ナフチル基、m-クロロフェニル基及びo-ヘキサデカノイルアミノフェニル基が挙げられる。アリール基は、フェニル基、p-トリル基又はトリメチルフェニル基であることが好ましい。
【0055】
ヘテロ環基は、置換又は無置換のヘテロ環基であってもよい。ヘテロ環基は、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基である。ヘテロ環基は、縮環していてもよい。ヘテロ環基は、5員環又は6員環のヘテロ環基であることが好ましく、炭素数が3~30の5員環又は6員環のヘテロアリール基であることがより好ましい。環を構成するヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。ヘテロ環基におけるヘテロ環の具体例としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、シンノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、ピロール環、インドール環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、ベンズオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イソチアゾール環、ベンズイソチアゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、ベンズイソオキサゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、イミダゾリジン環及びチアゾリン環が挙げられる。
【0056】
脂肪族オキシ基は、置換又は無置換の脂肪族オキシ基であってもよい。脂肪族オキシ基の炭素数は、1~30であることが好ましい。脂肪族オキシ基としては、例えば、アルコキシ基が挙げられる。脂肪族オキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n-オクチルオキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基及び3-カルボキシプロポキシ基が挙げられる。
【0057】
アリールオキシ基は、置換又は無置換のアリールオキシ基であってもよい。アリールオキシ基の炭素数は、6~30であることが好ましい。アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2-メチルフェノキシ基、4-tert-ブチルフェノキシ基、3-ニトロフェノキシ基及び2-テトラデカノイルアミノフェノキシ基が挙げられる。アリールオキシ基は、フェニルオキシ基であることが好ましい。
【0058】
アシルオキシ基は、置換又は無置換のアシルオキシ基であってもよい。アシルオキシ基の具体例としては、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基及びp-メトキシフェニルカルボニルオキシ基が挙げられる。アシルオキシ基は、ホルミルオキシ基であることが好ましい。また、アシルオキシ基は、炭素数が2~30のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数が6~30のアリールカルボニルオキシ基であることが好ましい。
【0059】
カルバモイルオキシ基は、置換又は無置換のカルバモイルオキシ基であってもよい。カルバモイルオキシ基の炭素数は、1~30であることが好ましい。カルバモイルオキシ基の具体例としては、N,N-ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N-ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N-ジ-n-オクチルアミノカルボニルオキシ基及びN-n-オクチルカルバモイルオキシ基が挙げられる。
【0060】
脂肪族オキシカルボニルオキシ基は、置換又は無置換の脂肪族オキシカルボニルオキシ基であってもよい。脂肪族オキシカルボニルオキシ基の炭素数は、2~30であることが好ましい。脂肪族オキシカルボニルオキシ基としては、例えば、アルコキシカルボニルオキシ基が挙げられる。脂肪族オキシカルボニルオキシ基の具体例としては、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert-ブトキシカルボニルオキシ基及びn-オクチルカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0061】
アリールオキシカルボニルオキシ基は、置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基であってもよい。アリールオキシカルボニルオキシ基の炭素数は、7~30であることが好ましい。アリールオキシカルボニルオキシ基の具体例としては、フェノキシカルボニルオキシ基、p-メトキシフェノキシカルボニルオキシ基及びp-n-ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基が挙げられる。アリールオキシカルボニルオキシ基は、フェノキシカルボニルオキシ基であることが好ましい。
【0062】
置換アミノ基は、無置換アミノ基(すなわち、-NH2)の少なくとも1つの水素原子を他の原子又は原子団に置き換えた基である。置換アミノ基としては、例えば、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基及びヘテロ環アミノ基が挙げられる。置換アミノ基は、脂肪族アミノ基であることが好ましい。脂肪族アミノ基は、直鎖状又は分岐状の脂肪族アミノ基であってもよい。脂肪族アミノ基の炭素数は、1~30であることが好ましい。脂肪族アミノ基としては、例えば、モノアルキルアミノ基及びジアルキルアミノ基が挙げられる。モノアルキルアミノ基の窒素原子に結合したアルキル基の炭素数は、1~22であることが好ましく、4~12であることがより好ましく、4~8であることが特に好ましい。ジアルキルアミノ基の窒素原子に結合した各アルキル基の炭素数は、1~22であることが好ましく、4~12であることがより好ましく、4~8であることが特に好ましい。アルキル基の炭素数が大きくなるほど、立体障害が大きくなる。アルキル基の炭素数が小さくなるほど、合成が容易であり、安定性も向上する。脂肪族アミノ基、アリールアミノ基及びヘテロ環アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N-メチル-アニリノ基、ジフェニルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、カルボキシエチルアミノ基、スルホエチルアミノ基、3,5-ジカルボキシアニリノ基及び4-キノリルアミノ基が挙げられる。
【0063】
置換アミノ基としては、例えば、アシルアミノ基も挙げられる。アシルアミノ基は、置換又は無置換のアシルアミノ基であってもよい。アシルアミノ基は、ホルミルアミノ基、炭素数が2~30のアルキルカルボニルアミノ基又は炭素数が7~30のアリールカルボニルアミノ基であることが好ましい。アシルアミノ基の具体例としては、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基及び3,4,5-トリ-n-オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0064】
置換アミノ基としては、例えば、アミノカルボニルアミノ基も挙げられる。アミノカルボニルアミノ基は、置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基であってもよい。アミノカルボニルアミノ基の炭素数は、1~30であることが好ましい。アミノカルボニルアミノ基の具体例としては、カルバモイルアミノ基、N,N-ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N-ジエチルアミノカルボニルアミノ基及びモルホリノカルボニルアミノ基が挙げられる。アミノカルボニルアミノ基の末端に位置する「アミノ」は、無置換アミノ基又は置換アミノ基であってもよい。
【0065】
置換アミノ基としては、例えば、脂肪族オキシカルボニルアミノ基も挙げられる。脂肪族オキシカルボニルアミノ基は、置換又は無置換の脂肪族オキシカルボニルアミノ基であってもよい。脂肪族オキシカルボニルアミノ基の炭素数は、2~30であることが好ましい。脂肪族オキシカルボニルアミノ基としては、例えば、アルコキシカルボニルアミノ基が挙げられる。脂肪族オキシカルボニルアミノ基の具体例としては、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert-ブトキシカルボニルアミノ基、n-オクタデシルオキシカルボニルアミノ基及びN-メチルメトキシカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0066】
置換アミノ基としては、例えば、アリールオキシカルボニルアミノ基も挙げられる。アリールオキシカルボニルアミノ基は、置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基であってもよい。アリールオキシカルボニルアミノ基の炭素数は、7~30であることが好ましい。アリールオキシカルボニルアミノ基の具体例としては、フェノキシカルボニルアミノ基、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ基及びn-オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基が挙げられる。アリールオキシカルボニルアミノ基は、フェニルオキシカルボニルアミノ基であることが好ましい。
【0067】
置換アミノ基としては、例えば、スルファモイルアミノ基も挙げられる。スルファモイルアミノ基は、置換又は無置換のスルファモイルアミノ基であってもよい。スルファモイルアミノ基の炭素数は、0~30であることが好ましい。スルファモイルアミノ基の具体例としては、スルファモイルアミノ基、N,N-ジメチルアミノスルホニルアミノ基及びN-n-オクチルアミノスルホニルアミノ基が挙げられる。
【0068】
置換アミノ基としては、例えば、脂肪族スルホニルアミノ基も挙げられる。脂肪族スルホニルアミノ基は、置換又は無置換の脂肪族スルホニルアミノ基であってもよい。脂肪族スルホニルアミノ基の炭素数は、1~30であることが好ましい。脂肪族スルホニルアミノ基としては、例えば、アルキルスルホニルアミノ基が挙げられる。脂肪族スルホニルアミノ基の具体例としては、メチルスルホニルアミノ基及びブチルスルホニルアミノ基が挙げられる。
【0069】
置換アミノ基としては、例えば、アリールスルホニルアミノ基も挙げられる。アリールスルホニルアミノ基は、置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基であってもよい。アリールスルホニルアミノ基の炭素数は、6~30であることが好ましい。アリールスルホニルアミノ基の具体例としては、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5-トリクロロフェニルスルホニルアミノ基及びp-メチルフェニルスルホニルアミノ基が挙げられる。アリールスルホニルアミノ基は、フェニルスルホニルアミノ基であることが好ましい。
【0070】
脂肪族チオ基に、置換又は無置換の脂肪族チオ基であってもよい。脂肪族チオ基としては、例えば、アルキルチオ基が挙げられる。脂肪族チオ基は、炭素数が1~30のアルキルチオ基であることが好ましい。アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基及びn-ヘキサデシルチオ基が挙げられる。
【0071】
アリールチオ基は、置換又は無置換のアリールチオ基であってもよい。アリールチオ基の炭素数は、6~12であることが好ましい。アリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基及び2-ナフチルチオ基が挙げられる。
【0072】
スルファモイル基は、置換又は無置換のスルファモイル基であってもよい。スルファモイル基の炭素数は、0~30であることが好ましい。スルファモイル基の具体例としては、N-エチルスルファモイル基、N-(3-ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、N-アセチルスルファモイル基、N-ベンゾイルスルファモイル基及びN-(N’-フェニルカルバモイル)スルファモイル)基が挙げられる。
【0073】
脂肪族スルフィニル基は、置換又は無置換の脂肪族スルフィニル基であってもよい。脂肪族スルフィニル基の炭素数は、1~30であることが好ましい。脂肪族スルフィニル基としては、例えば、アルキルスルフィニル基が挙げられる。脂肪族スルフィニル基の具体例としては、メチルスルフィニル基及びエチルスルフィニル基が挙げられる。
【0074】
アリールスルフィニル基は、置換又は無置換のアリールスルフィニル基であってもよい。アリールスルフィニル基の炭素数は、6~30であることが好ましい。アリールスルフィニル基の具体例としては、フェニルスルフィニル基及びp-メチルフェニルスルフィニル基が挙げられる。アリールスルフィニル基は、フェニルスルフィニル基であることが好ましい。
【0075】
脂肪族スルホニル基は、置換又は無置換の脂肪族スルホニル基であってもよい。脂肪族スルホニル基の炭素数は、1~30であることが好ましい。脂肪族スルホニル基としては、例えば、アルキルスルホニル基が挙げられる。脂肪族スルホニル基の具体例としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基及びオクチルスルホニル基が挙げられる。
【0076】
アリールスルホニル基は、置換又は無置換のアリールスルホニル基であってもよい。アリールスルホニル基の炭素数は、6~30であることが好ましい。アリールスルホニル基の具体例としては、フェニルスルホニル基及びp-トルエンスルホニル基が挙げられる。アリールスルホニル基は、フェニルスルホニル基であることが好ましい。
【0077】
アシル基は、置換又は無置換のアシル基であってもよい。アシル基としては、例えば、ホルミル基、炭素数が2~30の脂肪族カルボニル基(例えば、アルキルカルボニル基)、炭素数が7~30のアリールカルボニル基及び炭素が数4~30の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が挙げられる。アリールカルボニル基は、フェニルカルボニル基であることが好ましい。アシル基の具体例としては、アセチル基、ピバロイル基、2-クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p-n-オクチルオキシフェニルカルボニル基、2-ピリジルカルボニル基及び2-フリルカルボニル基が挙げられる。
【0078】
アリールオキシカルボニル基は、置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基であってもよい。アリールオキシカルボニル基の炭素数は、7~30であることが好ましい。アリールオキシカルボニル基の具体例としては、フェノキシカルボニル基、o-クロロフェノキシカルボニル基、m-ニトロフェノキシカルボニル基及びp-tert-ブチルフェノキシカルボニル基が挙げられる。アリールオキシカルボニル基は、フェニルオキシカルボニル基であることが好ましい。
【0079】
脂肪族オキシカルボニル基に、置換又は無置換の脂肪族オキシカルボニル基であってもよい。脂肪族オキシカルボニル基の炭素数は、2~30であることが好ましい。脂肪族オキシカルボニル基としては、例えば、アルコキシカルボニル基が挙げられる。脂肪族オキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基及びn-オクタデシルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0080】
カルバモイル基は、置換又は無置換のカルバモイル基であってもよい。カルバモイル基の炭素数は、1~30であることが好ましい。カルバモイル基の具体例としては、無置換のカルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N,N-ジ-n-オクチルカルバモイル基及びN-(メチルスルホニル)カルバモイル基が挙げられる。
【0081】
アリールアゾ基は、置換又は無置換のアリールアゾ基であってもよい。アリールアゾ基の具体例としては、フェニルアゾ基及びメトキシフェニルアゾ基が挙げられる。
【0082】
ヘテロ環アゾ基は、置換又は無置換のヘテロ環アゾ基であってもよい。ヘテロ環アゾ基の具体例としては、4-ピバロイルアミノフェニルアゾ基及び2-ヒドロキシ-4-プロパノイルフェニルアゾ基が挙げられる。
【0083】
イミド基の具体例としては、N-スクシンイミド基及びN-フタルイミド基が挙げられる。
【0084】
脂肪族オキシスルホニル基は、置換又は無置換の脂肪族オキシスルホニル基であってもよい。脂肪族オキシスルホニル基の炭素数は、1~30であることが好ましい。脂肪族オキシスルホニル基としては、例えば、アルコキシスルホニル基が挙げられる。脂肪族オキシスルホニル基の具体例としては、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基及びn-ブトキシスルホニル基が挙げられる。
【0085】
アリールオキシスルホニル基は、置換又は無置換のアリールオキシスルホニル基であってもよい。アリールオキシスルホニル基の炭素数は、6~12であることが好ましい。アリールオキシスルホニル基の具体例としては、フェノキシスルホニル基及び2-ナフトキシフェニル基が挙げられる。
【0086】
耐湿熱性及び耐溶剤性の観点から、R1、R2及びR3で表される置換基は、脂肪族炭化水素基又はアリール基であることが好ましく、アルキル基又はアリール基であることがより好ましく、アルキル基であることが更に好ましく、tert-ブチル基であることが特に好ましい。
【0087】
式(1)において、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して置換基として-NR4R5を有するアリール基又は置換基として-NR4R5を有するヘテロアリール基を表し、R4は置換基を表し、R5は重合性基又は重合性基を有する基を表す。耐湿熱性の観点から、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して置換基として-NR4R5を有するアリール基であることが好ましい。
【0088】
Ar1及びAr2で表されるアリール基の炭素数は、6~30であることが好ましい。アリール基の環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環が挙げられる。アリール基の環は、ベンゼン環であることが好ましい。アリール基に含まれる-NR4R5の数は、2つ以上であってもよい。アリール基は、-NR4R5以外の置換基を更に有してもよい。
【0089】
Ar1及びAr2で表されるヘテロアリール基の炭素数は、3~30であることが好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、窒素原子を含むことがより好ましい。ヘテロアリール基の環は、5員環又は6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。ヘテロアリール基の環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、シンノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、ピロール環、インドール環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、ベンズオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イソチアゾール環、ベンズイソチアゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環及びベンズイソオキサゾール環が挙げられる。ヘテロアリール基に含まれる-NR4R5の数は、2つ以上であってもよい。ヘテロアリール基は、-NR4R5以外の置換基を更に有してもよい。
【0090】
R4で表される置換基としては、例えば、既述したR1、R2及びR3で表される置換基が挙げられる。耐湿熱性及び耐溶剤性の観点から、R4は、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基又は脂肪族スルホニル基であることが好ましく、アルキル基、アシル基又は脂肪族スルホニル基であることがより好ましく、アルキル基、アルキルカルボニル基又はアルキルスルホニル基であることが更に好ましく、アルキル基又はアルキルスルホニル基であることが特に好ましい。ある実施形態において、R4は、アルキル基であることが好ましく、分岐状アルキル基であることがより好ましい。ある実施形態において、R4は、アルキルスルホニル基であることが好ましい。特にアルキルスルホニル基は、色素の安定性(例えば、耐湿熱性及び耐溶剤性)を向上させる。アルキル基の炭素数は、1~30であることが好ましく、2~20であることがより好ましく、2~10であることが更に好ましく、2~8であることが特に好ましい。アリール基の炭素数は、6~30であることが好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は、3~30であることが好ましい。アルキルカルボニル基の炭素数は、2~30であることが好ましく、2~20であることがより好ましく、2~10であることが更に好ましく、2~6であることが特に好ましい。アルキルスルホニル基の炭素数は、1~30であることが好ましく、2~20であることがより好ましく、3~10であることが特に好ましい。
【0091】
R5で表される重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基及びアニオン重合性基が挙げられる。重合性基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。重合性基の炭素数は、2~20であることが好ましく、2~16であることがより好ましく、2~10であることが特に好ましい。重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、スチレン基(すなわち、-C6H5-CH=CH2)、アクリロイル基及びメタクリロイル基が挙げられる。耐湿熱性及び耐溶剤性の観点から、重合性基は、スチレン基、アクリロイル基又はメタクリロイル基であることが好ましく、スチレン基又はメタクリロイル基であることがより好ましい。R5で表される「重合性基を有する基」における重合性基は、既述した重合性基と同義である。「重合性基を有する基」における重合性基は、2価の連結基を介して-NR4R5の窒素原子に結合してもよい。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基及びアリーレン基が挙げられる。
【0092】
Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、下記式(1A)で表されるアリール基であることが好ましい。
【0093】
【0094】
式(1A)中、R4は置換基を表し、R5は重合性基又は重合性基を有する基を表し、*は結合部位を表す。式(1A)におけるR4は、式(1)におけるR4と同義である。式(1A)におけるR4の好ましい態様は、式(1)におけるR4の好ましい態様と同じである。式(1A)におけるR5は、式(1)におけるR5と同義である。式(1A)におけるR5の好ましい態様は、式(1)におけるR5の好ましい態様と同じである。
【0095】
耐湿熱性及び耐溶剤性の観点から、式(1)で表される色素は、下記式(2)で表される色素であることが好ましい。
【0096】
【0097】
式(2)中、R1及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、R8及びR10はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R9及びR11はそれぞれ独立して重合性基又は重合性基を有する基を表す。
【0098】
式(2)におけるR1は、式(1)におけるR1と同義である。式(2)におけるR1の好ましい態様は、式(1)におけるR1の好ましい態様と同じである。式(2)におけるR3は、式(1)におけるR3と同義である。式(2)におけるR3の好ましい態様は、式(1)におけるR3の好ましい態様と同じである。耐湿熱性及び耐溶剤性の観点から、R1及びR3は、それぞれ独立して、置換基であることが好ましく、アルキル基又はアリール基であることがより好ましく、アルキル基であることが更に好ましく、tert-ブチル基であることが特に好ましい。
【0099】
R8及びR10で表されるアルキル基としては、例えば、式(1)においてR1、R2及びR3で表される置換基として説明されたアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1~30であることが好ましく、2~20であることがより好ましく、3~10であることが特に好ましい。
【0100】
R9及びR11で表される重合性基としては、例えば、式(1)においてR5で表される重合性基が挙げられる。R9及びR11で表される重合性基の好ましい態様は、既述したR5で表される重合性基の好ましい態様と同じである。R9及びR11で表される「重合性基を有する基」における重合性基としては、例えば、式(1)においてR5で表される重合性基が挙げられる。R9及びR11で表される「重合性基を有する基」における重合性基の好ましい態様は、既述したR5で表される重合性基の好ましい態様と同じである。
【0101】
式(1)で表される色素の具体例を以下に示す。以下に示す具体例において、「t-Bu」は、tert-ブチル基を表す。ただし、式(1)で表される色素に包含される化合物は、以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
耐湿熱性及び耐溶剤性の観点から、式(1)で表される色素は、下記式で表される色素であることが好ましい。
【0109】
【0110】
耐湿熱性及び耐溶剤性の観点から、式(1)で表される色素は、下記式で表される色素であることが好ましい。
【0111】
【0112】
式(1)で表される色素は、黄色を示すことが好ましい。式(1)で表される色素の極大吸収波長は、350nm~500nmの範囲内であることが好ましく、380nm~480nmの範囲内であることがより好ましく、400nm~480nmの範囲内であることが特に好ましい。色素の極大吸収波長は、分光光度計(例えば、UV3600、株式会社島津製作所製)を用いて測定される。試料は、色素と溶剤とを混合して調製される。溶剤としては、酢酸エチルを用い、試料中の色素の濃度は、1×10-7mol/L~1×10-5mol/Lの範囲内である。
【0113】
式(1)で表される色素の合成方法は、制限されない。式(1)で表される色素は、公知の合成反応を組み合わせて合成されてもよい。式(1)で表される色素を合成する反応式の一例を以下に示す。
【0114】
【0115】
上記した反応式において、Ra及びRbの一方は既述のR4を表し、Ra及びRbの他方は既述のR5を表し、Xは脱離基を表す。オルトギ酸エステルとしては、例えば、オルトギ酸トリメチル及びオルトギ酸トリエチルが挙げられる。式(1)で表される色素の1種である色素Dは、例えば、特開2014-25010号公報に記載された方法に準じて得られた中間体CにRbを導入することで得られる。中間体CへのRbの導入は、必要に応じて複数の反応工程によって実施されてもよい。なお、中間体Aは、例えば、欧州特許出願公開第0571959号明細書に記載された方法に準じて得られる。
【0116】
式(1)で表される色素の用途は、制限されない。式(1)で表される色素は、塗料、印刷技術及び写真技術に利用されてもよい。式(1)で表される色素の好ましい用途としては、例えば、カラーフィルタ用組成物及びカラーフィルタが挙げられる。カラーフィルタ用組成物は、カラーフィルタの製造に使用される組成物である。
【0117】
<組成物>
本開示の一実施形態に係る組成物は、下記式(1)で表される色素と、溶剤と、を含む。
【0118】
【0119】
式(1)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して置換基として-NR4R5を有するアリール基又は置換基として-NR4R5を有するヘテロアリール基を表し、R4は置換基を表し、R5は重合性基又は重合性基を有する基を表す。
【0120】
<<色素>>
本開示の一実施形態に係る組成物は、式(1)で表される色素を含む。式(1)で表される色素を含む組成物によれば、耐湿熱性が向上される。組成物に含まれる式(1)で表される色素の態様は、上記「色素」の項に記載されている。組成物に含まれる式(1)で表される色素の好ましい態様は、上記「色素」の項に記載された式(1)で表される色素の好ましい態様と同じである。
【0121】
組成物は、1種又は2種以上の式(1)で表される色素を含んでもよい。
【0122】
耐湿熱性の観点から、組成物における式(1)で表される色素の含有率は、組成物の全固形分に対して、0.1質量%~70質量%であることが好ましく1質量%~60質量%であることがより好ましく、10質量%~50質量%であることが更に好ましく、20質量%~40質量%であることが特に好ましい。
【0123】
<<溶剤>>
本開示の一実施形態に係る組成物は、溶剤を含む。溶剤の種類は、制限されない。溶剤の種類は、例えば、組成物に含まれる各成分の溶解性、組成物の塗布性及び安全性を考慮して決定される。溶剤としては、例えば、水及び有機溶剤が挙げられる。溶剤は、有機溶剤であることが好ましい。有機溶剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、アミド化合物、エステル化合物、エーテル化合物、ケトン化合物及び芳香族炭化水素化合物が挙げられる。ただし、有機溶剤の種類は、上記した具体例に制限されない。必要に応じて、上記した具体例以外の有機溶剤が使用されてもよい。溶剤は、有機ハロゲン化合物、アミド化合物、エステル化合物、エーテル化合物、ケトン化合物及び芳香族炭化水素化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0124】
有機ハロゲン化合物の具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼンが挙げられる。
【0125】
アミド化合物の具体例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド及び3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドが挙げられる。
【0126】
エステル化合物の具体例としては、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキルエステル類(例:オキシ酢酸メチル(具体例:メトキシ酢酸メチル及びエトキシ酢酸メチル)、オキシ酢酸エチル(具体例:メトキシ酢酸エチル及びエトキシ酢酸エチル)及びオキシ酢酸ブチル(具体例:メトキシ酢酸ブチル))、3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル及び2-オキソブタン酸エチルが挙げられる。
【0127】
エーテル化合物の具体例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートが挙げられる。
【0128】
ケトン化合物の具体例としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン及び3-ヘプタノンが挙げられる。
【0129】
芳香族炭化水素化合物の具体例としては、トルエン及びキシレンが挙げられる。
【0130】
溶剤は、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0131】
組成物は、1種又は2種以上の溶剤を含んでもよい。
【0132】
組成物における溶剤の含有率は、制限されない。組成物中の固形分濃度は、0.1質量%~99.9質量%であることが好ましく、1質量%~99質量%であることがより好ましく、10質量%~95質量%であることが更に好ましく、30質量%~90質量%であることが特に好ましい。
【0133】
組成物は、溶剤として水を含まないか、又は、水の含有率が溶剤の全質量に対して0質量%を超えて99質量%以下の範囲であることが好ましく、溶剤として水を含まないか、又は、水の含有率が溶剤の全質量に対して0質量%を超えて10質量%以下の範囲であることがより好ましく、溶剤として水を含まないか、又は、水の含有率が溶剤の全質量に対して0質量%を超えて5質量%以下の範囲であることが更に好ましく、溶剤として水を含まないか、又は、水の含有率が溶剤の全質量に対して0質量%を超えて1質量%以下の範囲であることが特に好ましく、水を含まないことが最も好ましい。本開示において、「水を含まない」とは、水の含有率が、溶剤の全質量に対して0質量%であるか、又は、水を実質的に含まないことを意味する。「水を実質的に含まない」とは、不可避的に混入した水の存在は許容するが、意図して添加された水の存在は許容しないことを意味する。
【0134】
<<バインダー樹脂>>
本開示の一実施形態に係る組成物は、バインダー樹脂を更に含むことが好ましい。バインダー樹脂は、例えば、組成物により形成した膜の質及び膜面状の改善に寄与できる。
【0135】
例えば組成物がフォトリソグラフィに利用される場合、バインダー樹脂は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体又はスチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えば、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基)を有するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂は、有機溶剤に可溶で、かつ、弱アルカリ水溶液により現像可能であることが好ましい。
【0136】
線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。上記のようなポリマーは、例えば、特開昭59-44615号公報、特公昭54-34327号公報、特公昭58-12577号公報、特公昭54-25957号公報、特開昭59-53836号公報、特開昭59-71048号公報及び特開平7-140654号公報に記載されている。これらの文献に記載された内容は、参照により本明細書に取り込まれる。
【0137】
アルカリ可溶性樹脂は、(メタ)アクリル酸と、上記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体との共重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート及びビニル化合物が挙げられる。
【0138】
アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、トリルアクリレート、ナフチルアクリレート及びシクロヘキシルアクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の水素原子、及び、アリール(メタ)アクリレートのアリール基の水素原子は、いずれも置換基で置換されていてもよい。
【0139】
ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH2=CR1R2及びCH2=C(R1)(COOR3)が挙げられる。R1は水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表し、R2は炭素数6~10の芳香族炭化水素環を表し、R3は炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~12のアラルキル基を表す。
【0140】
アルカリ可溶性樹脂の原材料として使用される(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体は、1種又は2種以上であってもよい。各単量体は、任意の量で混合して用いることができる。
【0141】
好ましいアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体及びベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの共重合体が挙げられる。
【0142】
アルカリ可溶性樹脂は、例えば、特開2014-055275号公報の段落0105~段落0114に記載されている。上記文献に記載された内容は、参照により本明細書に取り込まれる。
【0143】
アルカリ可溶性樹脂は、例えば、公知のラジカル重合法によって製造される。ラジカル重合法に適用される、温度、圧力、ラジカル開始剤の種類、ラジカル開始剤の量及び溶剤の種類といった重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めることもできる。
【0144】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000~2,000,000であることが好ましく、3,000~1,000,000であることがより好ましく、5,000~3000,000であることが更に好ましく、5,000~50,000であることが特に好ましい。
【0145】
組成物は、1種又は2種以上のバインダー樹脂を含んでもよい。
【0146】
組成物におけるバインダー樹脂の含有率は、組成物の全固形分に対して、1質量%~70質量%であることが好ましく、1質量%~60質量%であることがより好ましく、1質量%~50質量%であることが特に好ましい。
【0147】
<<重合性化合物>>
本開示の一実施形態に係る組成物は、重合性化合物を更に含むことが好ましい。重合性化合物は、組成物に硬化性を付与できる。また、重合性化合物は、例えば、感光性(すなわち、光硬化性)及び硬化膜の強度に寄与できる。
【0148】
重合性化合物としては、例えば、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(以下、「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)が挙げられる。エチレン性不飽和基は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。エチレン性不飽和化合物は、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和化合物は、2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。「2官能以上のエチレン性不飽和化合物」とは、1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を意味する。
【0149】
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメナノールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート及び1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。2官能のエチレン性不飽和化合物の市販品としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート〔商品名:NKエステル A-DCP、新中村化学工業株式会社製〕、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート〔商品名:NKエステル DCP、新中村化学工業株式会社製〕、1,9-ノナンジオールジアクリレート〔商品名:NKエステル A-NOD-N、新中村化学工業株式会社製〕及び1,6-ヘキサンジオールジアクリレート〔商品名:NKエステル A-HD-N、新中村化学工業株式会社製〕が挙げられる。
【0150】
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート及びグリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
【0151】
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物〔例えば、日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標) DPCA-20及び新中村化学工業株式会社製のA-9300-1CL〕、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物〔例えば、日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標) RP-1040、新中村化学工業株式会社製のATM-35E及びA-9300並びにダイセル・オルネクス社製のEBECRYL(登録商標) 135〕及びエトキシル化グリセリントリアクリレート〔例えば、新中村化学工業株式会社製のNKエステル A-GLY-9E〕も挙げられる。
【0152】
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート化合物〔好ましくは、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物〕も挙げられる。3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、8UX-015A〔大成ファインケミカル株式会社製〕、NKエステル UA-32P〔新中村化学工業株式会社製〕及びNKエステル UA-1100H〔新中村化学工業株式会社製〕が挙げられる。
【0153】
例えば現像性向上の観点から、エチレン性不飽和化合物は、酸基を有することが好ましい。酸基としては、例えば、リン酸基、スルホン酸基及びカルボキシ基が挙げられる。酸基は、カルボキシ基であることが好ましい。酸基を有するエチレン性不飽和化合物は、例えば、特開2004-239942号公報の段落0025~段落0030に記載されている。上記文献に記載された内容は、参照により本明細書に取り込まれる。
【0154】
重合性化合物の種類は、例えば、組成物の性能設計にあわせて任意に選択される。例えば、感度の観点では、重合性化合物は、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造を有することが好ましく、多くの場合は2官能以上の不飽和基を有することが好ましい。例えば、膜強度の観点では、重合性化合物は、3官能以上の不飽和基を有することが好ましい。例えば、組成物における各成分(例えば、色素、重合開始剤及びバインダー樹脂)との相溶性及び分散性を考慮し、重合性化合物を選択することも有効である。
【0155】
重合性化合物の分子量は、100~3,000であることが好ましく、250~2,600であることがより好ましく、280~2,200であることが更に好ましく、300~2,200であることが特に好ましい。
【0156】
組成物は、1種又は2種以上の重合性化合物を含んでもよい。
【0157】
組成物が重合性化合物を含む場合、組成物における重合性化合物の含有率は、組成物の全固形分に対して、1質量%~99質量%であることが好ましく、1質量%~90質量%であることがより好ましく、1質量%~70質量%であることが特に好ましい。さらに、組成物における重合性化合物の含有率は、組成物の全固形分に対して、10質量%~70質量%であることが好ましく、20質量%~70質量%であることがより好ましい。
【0158】
<<重合開始剤>>
本開示の一実施形態に係る組成物は、重合開始剤を更に含むことが好ましい。重合開始剤は、既述した重合性化合物と併用されることが好ましい。すなわち、本開示の一実施形態に係る組成物は、重合性化合物及び重合開始剤を更に含むことが好ましい。
【0159】
重合開始剤としては、例えば、公知の重合開始剤が挙げられる。重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤及び熱重合開始剤が挙げられる。重合開始剤は、光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤であってもよい。
【0160】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、活性ハロゲン化合物が挙げられる。活性ハロゲン化合物としては、例えば、ハロメチルオキサジアゾール化合物及びハロメチル-s-トリアジン化合物が挙げられる。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、3-アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体及びその塩並びにオキシム系化合物が挙げられる。光ラジカル重合開始剤は、活性ハロゲン化合物であることが好ましく、トリアジン系化合物であることがより好ましい。
【0161】
ハロメチルオキサジアゾール化合物の具体例としては、特公昭57-6096号公報に記載の2-ハロメチル-5-ビニル-1,3,4-オキサジアゾール化合物が挙げられる。また、ハロメチルオキサジアゾール化合物の具体例としては、2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール及び2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾールも挙げられる。
【0162】
ハロメチル-s-トリアジン化合物の具体例としては、特公昭59-1281号公報に記載のビニル-ハロメチル-s-トリアジン化合物、特開昭53-133428号公報に記載の2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス-ハロメチル-s-トリアジン化合物及び4-(p-アミノフェニル)-2,6-ジ-ハロメチル-s-トリアジン化合物が挙げられる。
【0163】
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2,6-ビス(トリクロロメチル)-4-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,6-ビス(トリクロロメチル)-4-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル-1,3-ブタジエニル)-s-トリアジン、2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-ブトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔4-(2-メトキシエチル)ナフト-1-イル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔4-(2-エトキシエチル)ナフト-1-イル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔4-(2-ブトキシエチル)ナフト-1-イル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(6-メトキシ-5-メチルナフト-2-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(6-メトキシナフト-2-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(5-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4,7-ジメトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(6-エトキシ-ナフト-2-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4,5-ジメトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔o-メチル-p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔p-N,N-ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔o-メチル-p-N,N-ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(p-N-クロロエチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(p-N-エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔p-N,N-ジ(フェニル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(p-N-クロロエチルカルボニルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔p-N-(p-メトキシフェニル)カルボニルアミノフェニル〕2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔m-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔m-ブロモ-p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔m-クロロ-p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔m-フルオロ-p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔o-ブロモ-p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔o-クロロ-p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔o-フルオロ-p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔o-ブロモ-p-N,N-ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔o-クロロ-p-N,N-ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔o-フルオロ-p-N,N-ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔m-ブロモ-p-N,N-ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔m-クロロ-p-N,N-ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-〔m-フルオロ-p-N,N-ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(m-ブロモ-p-N-エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(m-クロロ-p-N-エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(m-フルオロ-p-N-エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(o-ブロモ-p-N-エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(o-クロロ-p-N-エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(o-フルオロ-p-N-エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(m-ブロモ-p-N-クロロエチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(m-クロロ-p-N-クロロエチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(m-フルオロ-p-N-クロロエチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(o-ブロモ-p-N-クロロエチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-(o-クロロ-p-N-クロロエチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、及び4-(o-フルオロ-p-N-クロロエチルアミノフェニル)-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジンが挙げられる。
【0164】
また、光ラジカル重合開始剤の具体例としては、4,4-ビス(ジエチルアミノ)-ベンゾフェノン、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-4-モルホリノブチロフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-(o-クロルフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(p-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(p-メチルメルカプトフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体及びベンゾインイソプロピルエーテルも挙げられる。
【0165】
光重合開始剤としては、例えば、米国特許第2,367,660号明細書に記載のビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号明細書及び第2,367,670号明細書に記載のα-カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に記載のアシロインエーテル化合物、米国特許第2,722,512号明細書に記載のα-炭化水素で置換されたアリールアシロイン化合物、米国特許第3,046,127号及び第2,951,758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に記載のトリアリルイミダゾールダイマー/P-アミノフェニルケトン並びに特公昭51-48516号公報に記載のベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチル-s-トリアジン系化合物が挙げられる。
【0166】
光重合開始剤の市販品としては、例えば、みどり化学株式会社のTAZシリーズ(例えば、TAZ-107、TAZ-110、TAZ-104、TAZ-109、TAZ-140、TAZ-204、TAZ-113、TAZ-123及びTAZ-104)及びPANCHIM社のTシリーズ(例えば、T-OMS、T-BMP、T-R及びT-B)が挙げられる。
【0167】
また、光重合開始剤の市販品としては、例えば、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)〔商品名:Irgacure OXE01、BASF社製〕、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(o-アセチルオキシム)〔商品名:Irgacure OXE02、BASF社製〕、Irgacure OXE03〔BASF社製〕、Irgacure OXE04〔BASF社製〕、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン〔商品名:Irgacure 379EG、BASF社製〕、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン〔商品名:Irgacure 907、BASF社製〕、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン〔商品名:Irgacure 127、BASF社製〕、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1〔商品名:Irgacure 369、BASF社製〕、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン〔商品名:Darocur 1173、BASF社製〕、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔商品名:Irgacure 184、BASF社製〕、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン〔商品名:Irgacure 651、BASF社製〕、Irgacure 784〔BASF社製〕、Irgacure 500〔BASF社製〕、Irgacure 1000〔BASF社製〕、Irgacure 149〔BASF社製〕、Irgacure 819〔BASF社製〕、Irgacure 261〔BASF社製〕、Lunar 6〔DKSHジャパン株式会社製〕、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(o-ベンゾイルオキシム)〔商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料株式会社製〕、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(o-アセチルオキシム)〔商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料株式会社製〕及び3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(o-ベンゾイルオキシム)〔商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料株式会社製〕も挙げられる。なお、上記「Irgacure」、「Darocur」及び「Lunar」は、いずれも登録商標である。
【0168】
光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤」ともいう。)、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤(以下、「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」ともいう。)及びN-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤(以下、「N-フェニルグリシン系光重合開始剤」ともいう。)が挙げられる。
【0169】
光重合開始剤は、オキシム系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤、及び、N-フェニルグリシン系光重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、オキシム系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤及びN-フェニルグリシン系光重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0170】
光重合開始剤としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落0031~段落0042及び特開2015-014783号公報の段落0064~段落0081に記載された重合開始剤を用いてもよい。
【0171】
光重合開始剤の市販品としては、例えば、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製〕、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-02、BASF社製〕、IRGACURE(登録商標)OXE03(BASF社製)、IRGACURE(登録商標)OXE04(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン〔商品名:Omnirad(登録商標)379EG、IGM Resins B.V社製〕、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)907、IGM Resins B.V社製〕、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)127、IGM Resins B.V社製〕、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1〔商品名:Omnirad(登録商標)369、IGM Resins B.V社製〕、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)1173、IGM Resins B.V社製〕、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔商品名:Omnirad(登録商標)184、IGM Resins B.V社製〕、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)651、IGM Resins B.V社製〕、オキシムエステル系の光重合開始剤〔商品名:Lunar(登録商標) 6、DKSHジャパン株式会社製〕、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)、3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)、APi-307(1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、Shenzhen UV-ChemTech Ltd.製)等が挙げられる。
【0172】
光重合開始剤として、1種単独又は2種以上の光重合開始剤が使用されてもよい。2種以上を併用する場合、オキシム系光重合開始剤と、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤及びα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1種と、を使用することが好ましい。
【0173】
組成物は、1種又は2種以上の重合開始剤を含んでもよい。
【0174】
組成物が重合性化合物及び重合開始剤を含む場合、組成物における重合開始剤の含有率は、重合性化合物の全質量に対して、0.01質量%~50質量%であることが好ましく、1質量%~30質量%であることがより好ましく、1質量%~20質量%であることが特に好ましい。
【0175】
組成物が光重合開始剤を含む場合、組成物における光重合開始剤の含有率は、組成物の全固形分に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが特に好ましい。光重合開始剤の含有率は、組成物の全固形分に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0176】
<<他の成分>>
本開示の一実施形態に係る組成物は、本開示の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、上記成分以外の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、式(1)で表される色素以外の色素(例えば、顔料)が挙げられる。
【0177】
顔料としては、例えば、公知の顔料が挙げられる。顔料は、無機顔料又は有機顔料であってもよい。顔料は、高透過率を有することが好ましい。
【0178】
無機顔料としては、例えば、金属酸化物及び金属化合物(例えば、金属錯塩)が挙げられる。具体的な無機顔料としては、例えば、黒色顔料(例えば、カーボンブラック及びチタンブラック)、金属(例えば、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛及びアンチモン)の酸化物及び上記金属の複合酸化物が挙げられる。
【0179】
有機顔料としては、例えば、以下に示す物質が挙げられる。
(1)C.I.ピグメントイエロー11、24、31、53、83、93、99、108、109、110、138、139、147、150、151、154、155、167、180、185及び199
(2)C.I.ピグメントオレンジ36、38、43及び71
(3)C.I.ピグメントレッド81、105、122、149、150、155、171、175、176、177、209、220、224、242、254、255、264及び270
(4)C.I.ピグメントバイオレット19、23、32及び39
(5)C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:3、15:6、16、22、60及び66
(6)C.I.ピグメントグリーン7、36、37及び58
(7)C.I.ピグメントブラウン25及び28
(8)C.I.ピグメントブラック1
【0180】
顔料は、必要に応じて、顔料分散剤と併用されてもよい。顔料分散剤としては、例えば、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミン及びその塩、ポリカルボン酸及びその塩、高分子量不飽和エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体並びにナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、界面活性剤〔例えば、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン及びアルカノールアミン〕及び顔料誘導体が挙げられる。なお、高分子分散剤は、構造の観点で、例えば、直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子及びブロック型高分子に分類することができる。
【0181】
また、他の成分としては、例えば、界面活性剤、重合禁止剤、酸化防止剤、充填剤、密着促進剤及び紫外線吸収剤も挙げられる。
【0182】
界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
【0183】
界面活性剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0017及び特開2009-237362号公報の段落0060~0071に記載の界面活性剤が挙げられる。
【0184】
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。
【0185】
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、MFS-578、MFS-579、MFS-586、MFS-587、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、DS-21(以上、DIC株式会社製)、フロラード FC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム株式会社製)、サーフロン S-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC株式会社製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント 710FL、710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC、681、683(以上、株式会社ネオス製)等が挙げられる。
【0186】
フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC株式会社製のメガファック DSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファック DS-21が挙げられる。 また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。
【0187】
フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーも使用できる。
【0188】
フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく使用できる。
【0189】
フッ素系界面活性剤としては、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体も使用できる。メガファック RS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K(以上、DIC株式会社製)等が挙げられる。
【0190】
フッ素系界面活性剤としては、環境適性向上の観点から、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料に由来する界面活性剤であることが好ましい。
【0191】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニック L10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(以上、BASF社製)、テトロニック 304、701、704、901、904、150R1(以上、BASF社製)、ソルスパース 20000(以上、日本ルーブリゾール株式会社製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(以上、富士フイルム和光純薬株式会社製)、パイオニン D-6112、D-6112-W、D-6315(以上、竹本油脂株式会社製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(以上、日信化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0192】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー及び側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0193】
シリコーン系界面活性剤の具体例としては、DOWSIL 8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)並びに、X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越化学工業株式会社製)、F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0194】
重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ベンゾキノン、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、tert-ブチルカテコール、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)及びN-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩が挙げられる。
【0195】
酸化防止剤としては、例えば、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)及び2,6-ジ-t-ブチルフェノールが挙げられる。
【0196】
充填剤としては、例えば、ガラス及びアルミナが挙げられる。
【0197】
密着促進剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0198】
紫外線吸収剤としては、例えば、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール及びアルコキシベンゾフェノンが挙げられる。
【0199】
組成物が他の成分を含む場合、組成物における他の成分の含有率は、本開示の効果を損なわない範囲において、目的に応じて、適宜設定できる。例えば、組成物が界面活性剤を含む場合、組成物における界面活性剤の含有率は、組成物の全固形分に対して、0.001質量%~5質量%であってもよい。例えば、組成物が重合禁止剤を含む場合、組成物における重合禁止剤の含有率は、組成物の全固形分に対して、0.0001質量%~5質量%であってもよい。
【0200】
<<製造方法>>
組成物の製造方法は、制限されない。以下、組成物の好適な製造方法の一例を説明する。組成物の製造方法は、例えば、式(1)で表される色素と、溶剤と、を混合することを含む。組成物の製造においては、例えば、組成物に含まれる各成分を一括して混合してもよく、撹拌されている溶剤に、式(1)で表される色素といった成分を添加し、混合してもよい。混合手段として、例えば、公知の混合手段が適用される。混合手段の具体例としては、撹拌機を用いる機械的撹拌及び撹拌棒を用いる手撹拌が挙げられる。混合温度及び混合時間は、組成物に含まれる各成分を十分に混合することが可能であれば、制限されない。
【0201】
<<用途>>
本開示の一実施形態に係る組成物の用途は、制限されない。組成物の好ましい用途としては、例えば、カラーフィルタの製造に使用される組成物(すなわち、カラーフィルタ用組成物)が挙げられる。カラーフィルタは、例えば、液晶表示装置(LCD)及び固体撮像素子(例えば、CCD(charge-coupled device)及びCMOS(complementary metal oxide semiconductor))に利用される。組成物は、印刷用インク、インクジェット用インク及び塗料の製造に使用されてもよい。
【0202】
<カラーフィルタ>
本開示の一実施形態に係るカラーフィルタは、下記式(1)で表される色素を含む。
【0203】
【0204】
式(1)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して置換基として-NR4R5を有するアリール基又は置換基として-NR4R5を有するヘテロアリール基を表し、R4は置換基を表し、R5は重合性基又は重合性基を有する基を表す。
【0205】
式(1)で表される色素を含むカラーフィルタによれば、耐湿熱性が向上される。式(1)で表される色素の態様は、上記「色素」の項に記載されている。式(1)で表される色素の好ましい態様は、上記「色素」の項に記載された式(1)で表される色素の好ましい態様と同じである。
【0206】
カラーフィルタは、1種又は2種以上の式(1)で表される色素を含んでもよい。
【0207】
耐湿熱性の観点から、カラーフィルタにおける式(1)で表される色素の含有率は、カラーフィルタの全固形分に対して、0.1質量%~70質量%であることが好ましく1質量%~60質量%であることがより好ましく、10質量%~50質量%であることが更に好ましく、20質量%~40質量%であることが特に好ましい。
【0208】
本開示の一実施形態に係るカラーフィルタは、式(1)で表される色素以外の成分を含んでもよい。他の成分としては、既述した組成物の成分が挙げられる。本開示の一実施形態に係るカラーフィルタは、バインダー樹脂を含むことが好ましい。
【0209】
<<製造方法>>
本開示の一実施形態に係るカラーフィルタの製造方法は、式(1)で表される色素を含むカラーフィルタが得られる限り、制限されない。本開示の一実施形態に係るカラーフィルタは、本開示の一実施形態に係る組成物を用いて製造されることが好ましい。以下、組成物を用いるカラーフィルタの製造方法の一例を説明する。
【0210】
本開示の一実施形態に係るカラーフィルタの製造方法は、組成物を支持体上に塗布して着色層を形成する工程Aと、着色層をパターン露光する工程Bと、パターン露光された着色層を現像してパターンを形成する工程Cと、を含むことが好ましい。本開示の一実施形態に係るカラーフィルタの製造方法は、必要に応じて、着色層を乾燥する工程(以下、「プリベーク」という。)及び現像されたパターンを加熱処理する工程(以下、「ポストベーク」という。)を含んでもよい。
【0211】
支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたもの、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板(例えば、シリコン基板)、並びに、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)が挙げられる。支持体上には、必要に応じて、上部の層との密着性の改良、物質の拡散防止、又は基板表面の平坦化のために、下塗り層を設けてもよい。
【0212】
支持体上に組成物を塗布する方法としては、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スプレー塗布、スピン塗布、スリット・アンド・スピン塗布及びダイコート塗布が挙げられる。
【0213】
本開示において、「パターン露光」とは、パターン状に露光する態様、すなわち、露光部と非露光部とが存在する態様の露光を指す。パターン露光は、マスクを介した露光でもよく、レーザー等を用いたデジタル露光でもよい。パターン露光の光源としては、着色層を硬化し得る波長域の光(例えば、365nm又は405nm)を照射できるものであれば、適宜選定して用いることができる。光源としては、例えば、各種レーザー、発光ダイオード(LED)、超高圧水銀灯、高圧水銀灯及びメタルハライドランプが挙げられる。露光量は、5mJ/cm2~200mJ/cm2であることが好ましく、10mJ/cm2~200mJ/cm2であることがより好ましい。
【0214】
現像液としては、着色層の現像除去しようとする部分(例えば、ネガ型の場合は未硬化部)を溶解する一方、フィルタをなす部分(例えば、ネガ型の場合は硬化部)を溶解しない組成であれば、特に制限はなく、公知の現像液の中から、適宜選択して用いることができる。現像液としては、アルカリ性水溶液を用いることが好ましい。アルカリ性水溶液の調製に用いられるアルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド及びコリン(2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)が挙げられる。アルカリ性水溶液の25℃におけるpHは、8~13であることが好ましく、9~12であることがより好ましく、10~12であることが更に好ましい。アルカリ性水溶液におけるアルカリ性化合物の含有率は、アルカリ性水溶液の全質量に対して、0.1質量%~5質量%であることが好ましく、0.1質量%~3質量%であることがより好ましい。
【0215】
現像液は、水に対して混和性を有する有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε-カプロラクタム及びN-メチルピロリドンが挙げられる。有機溶剤の濃度は、0.1質量%~30質量%であることが好ましい。
【0216】
現像液は、公知の界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤の濃度は、0.01質量%~10質量%であることが好ましい。
【0217】
現像液の液温は、20℃~40℃であることが好ましい。
【0218】
現像の方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像並びにディップ現像が挙げられる。
【0219】
プリベークの手段としては、例えば、ホットプレート及びコンベクションオーブン(いわゆる、熱風循環式乾燥機)が挙げられる。プリベーク温度は、150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることが更に好ましい。プリベーク温度は、例えば、50℃以上又は80℃以上であってもよい。プリベーク時間は、10秒間~300秒間であることが好ましく、30秒間~200秒間であることがより好ましく、60秒間~180秒間であることが更に好ましい。
【0220】
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークの手段としては、例えば、ホットプレート及びコンベクションオーブン(いわゆる、熱風循環式乾燥機)が挙げられる。ポストベーク温度は、例えば、100℃~240℃であることが好ましく、150~240℃であることがより好ましい。ポストベーク時間は、10分間~30分間であることが好ましく、10分間~20分間であることがより好ましい。
【0221】
<<用途>>
カラーフィルタの用途は、制限されない。カラーフィルタは、例えば、液晶表示装置(LCD)及び固体撮像素子(例えば、CCD(charge-coupled device)及びCMOS(complementary metal oxide semiconductor))に利用される。
【実施例0222】
以下、実施例により本開示を詳細に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に制限されるものではない。
【0223】
<色素1の合成>
以下に示す反応式に従って、色素1を合成した。
【0224】
【0225】
(中間体1bの合成)
中間体A(25.5g、100mmol)をピリジン(150mL)中で撹拌しながら4℃に冷却した。得られた混合物にオクタンスルホニルクロライド1a(21.7g、102mmol)を内温25℃以下に保ちながらゆっくり滴下した。2時間撹拌した後、4mol/L塩酸水溶液で中和し、ろ過を行うことで中間体1bの粗体を得た。中間体1bの粗体をメタノール中で再結晶し、得られた結晶をろ過し、中間体1b(33.6g、収率78%)を得た。
【0226】
(中間体1dの合成)
中間体1b(21.6g、50mmol)を酢酸(150mL)中で撹拌しながら、オルトギ酸エチル1c(7.4g、50mmol)を加え、90℃で3時間撹拌した。反応液にメタノールを加え、冷却後、得られた結晶をろ過し、中間体1d(21.3g、収率83%)を得た。
【0227】
(色素1の合成)
中間体1d(13.1g、15mmol)、ニトロベンゼン(0.75g)、炭酸カリウム(10.4g)をジメチルホルムアミド(DMF、60mL)中で撹拌しながら、4℃に冷却し、4-ビニルベンジルクロリド1e(8.0g、52.5mmol)をDMF(10mL)に溶解した液を内温15℃以下を保ちながらゆっくり滴下した。次に、内温50℃に加温し、10時間撹拌を行った。放冷後、酢酸エチルと水を加え、分液し、有機層を水で3回洗浄した後、濃縮した。濃縮物にアセトニトリルを加え、再結晶を行い、得られた結晶をろ過し、色素1(14.0g、収率86%、黄色結晶)を得た。色素1の極大吸収波長(すなわち、λmax)及びマススペクトル(すなわち、MS)における質量電荷比(すなわち、m/z)を以下に示す。
λmax=448nm
MS(m/z)=1105.6([M+1]+)
【0228】
<色素2の合成>
オクタンスルホニルクロライドの代わりにメタクリロイルクロライドを用い、4-ビニルベンジルクロリドの代わりに2-エチルヘキシルブロマイドを用いたこと以外は、色素1の合成方法に準じて色素2(総収率39%)を合成した。色素2の極大吸収波長(すなわち、λmax)及びマススペクトル(すなわち、MS)における質量電荷比(すなわち、m/z)を以下に示す。
λmax=447nm
MS(m/z)=881.6([M+1]+)
【0229】
【0230】
<色素3の合成>
オクタンスルホニルクロライドの代わりにメタクリロイルクロライドを用い、4-ビニルベンジルクロリドの代わりに2-クロロピリミジンを用いたこと以外は、色素1の合成方法に準じて色素3(総収率16%)を合成した。色素3の極大吸収波長(すなわち、λmax)及びマススペクトル(すなわち、MS)における質量電荷比(すなわち、m/z)を以下に示す。
λmax=450nm
MS(m/z)=813.4([M+1]+)
【0231】
【0232】
<色素4の合成>
以下に示す反応式に従って、色素4を合成した。
【0233】
【0234】
(中間体4bの合成)
中間体A(5.1g、20mmol)をジメチルホルムアミド(DMF、30mL)中で撹拌しながら4℃に冷却した。得られた混合物に2-クロロピリミジン4a(2.3g、20mmol)を内温25℃以下に保ちながらゆっくり滴下した。20時間撹拌した後、5%重曹水を加え、ろ過を行うことで中間体4bの粗体を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製し、中間体4b(2.9g、収率43%)を得た。
【0235】
(中間体4dの合成)
中間体4b(2.8g、8.4mmol)、ニトロベンゼン(0.05g)をジメチルホルムアミド(DMF、30mL)中で撹拌しながら、4℃に冷却し、3-ブテニルブロマイド4c(1.1g、8.4mmol)をゆっくり滴下した。次に、5%重曹水を加え、ろ過を行うことで中間体4dの粗体を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製し、中間体4d(0.6g、収率18.4%)を得た。
【0236】
(色素4の合成)
中間体4d(0.5g、1.3mmol)を酢酸(150mL)中で撹拌しながら、ニトロベンゼン(0.05g)、オルトギ酸エチル4e(0.2g、1.3mmol)を加え、90℃で3時間撹拌した。反応液にメタノールを加え、冷却後、得られた結晶をろ過した。濃縮物にアセトニトリルを加え、分散洗浄を行い、結晶をろ過し、色素4(0.4g、収率77%、黄色結晶)を得た。色素4の極大吸収波長(すなわち、λmax)及びマススペクトル(すなわち、MS)における質量電荷比(すなわち、m/z)を以下に示す。
λmax=442nm
MS(m/z)=813.4([M+1]+)
【0237】
<色素5の合成>
オクタンスルホニルクロライドの代わりに塩化アセチルを用い、4-ビニルベンジルクロリドの代わりに3-ブテニルブロマイドを用いたこと以外は、色素1の合成方法に準じて色素5(総収率22%)を合成した。色素5の極大吸収波長(すなわち、λmax)及びマススペクトル(すなわち、MS)における質量電荷比(すなわち、m/z)を以下に示す。
λmax=446nm
MS(m/z)=713.4([M+1]+)
【0238】
【0239】
<実施例1>
(レジスト溶液Aの調製)
以下の成分を混合して、レジスト溶液Aを調製した。
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA):5.20質量部
・シクロヘキサノン:52.6質量部
・バインダー樹脂(メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸及びメタクリル酸-2-ヒドロキシエチルの共重合体、モル比=60:20:20、41質量%)を含むシクロヘキサノン溶液:30.5質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:10.2質量部
・重合禁止剤(p-メトキシフェノール):0.006質量部
・フッ素系界面活性剤(商品名:F-475、DIC株式会社製):0.80質量部
・光重合開始剤(TAZ-107、みどり化学株式会社製):0.58質量部
【0240】
(下塗り層付ガラス基板の作製)
ガラス基板(コーニング1737)を0.5質量%NaOH水で超音波洗浄した後、水洗、脱水ベーク(200℃/20分)を行った。レジスト溶液Aを洗浄したガラス基板上に膜厚2μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、220℃で1時間加熱乾燥させて、硬化膜(すなわち、下塗り層)を形成した。
【0241】
(レジスト溶液Bの調製)
以下の成分を混合して、レジスト溶液Bを調製した。レジスト溶液Bは、本開示に係る組成物である。
・シクロヘキサノン:80質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:12.0質量部
・重合禁止剤(p-メトキシフェノール):0.005質量部
・フッ素系界面活性剤(商品名:F-475、DIC株式会社製):0.69質量部
・光重合開始剤(TAZ-107、みどり化学株式会社製):1.7質量部
・色素1:6.3質量部
【0242】
(露光及び現像)
レジスト溶液Bを、下塗り層付ガラス基板の下塗り層の上に膜厚が0.6μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークした。次いで、露光装置を使用して、塗布膜に365nmの波長で線幅2μmのマスクを通して、200mJ/cm2の露光量で照射した。露光後、現像液CD-2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)を使用して、25℃及び40秒間の条件で現像した。その後、流水で30秒間リンスした後、スプレー乾燥した。その後、200℃で15分間ポストベークを行った。以上のようにしてカラーフィルタを構成する黄色として好適なパターンが得られた。
【0243】
(評価)
既述したレジスト溶液Bを用いて、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0244】
-耐湿熱性-
レジスト溶液Bが塗布された下塗り層付ガラス基板の分光吸収を85℃、85%RH(相対湿度)で50時間静置する前後で測定した。耐湿試験前後の波長400nm~700nmの透過率の変化を測定し、最も透過率変化が大きい波長の透過率変化を耐湿性の評価基準とした。以下に示すΔT%maxの値が小さいほど、耐湿熱性が良好であることを示す。
透過率の変化ΔT%max=|耐湿試験前の透過率-耐湿試験後の透過率|
AA:ΔT%max<0.6%
A:0.6%≦ΔT%max<1.2%
B:1.2%≦ΔT%max<3.6%
D:3.6%≦ΔT%max<6.0%
E:6.0%≦ΔT%max
【0245】
-耐溶剤性-
マスクを使用しないこと以外は、上記「露光及び現像」の項に記載した方法で、レジスト溶液Bを用いたポストベーク後の塗膜を作製し、塗膜の分光を測定した(分光A)。塗膜に対し、レジスト溶液Aを膜厚1μmとなるように塗布しプリベークを行った後、CD-2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)現像液を使用して23℃及び120秒間の条件で現像を行い、再度分光を測定した(分光B)。分光Aと分光Bとの差によって算出された染料残存率(%)を、耐溶剤性を評価する指標とした。染料残存率が100%に近いほど、耐溶剤性に優れていることを示す。
AA:96%≦染料残存率値
A:92%≦染料残存率値<96%
B:89%≦染料残存率値<92%
C:85%≦染料残存率値<89%
D:80%≦染料残存率値<85%
E:染料残存率値<80%
【0246】
<実施例2~5及び比較例1~5>
表1の記載に従って色素の種類を適宜変更したこと以外は、実施例1に記載された方法に準じて評価を行った。
【0247】
【0248】
表1に記載された色素1B~色素3Bの化学構造を以下に示す。以下に示す化学構造において、「t-Bu」は、tert-ブチル基を表す。
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
表1に記載された色素4Bは、「C.I.ソルベントイエロー162」である。
【0253】
表1に記載された色素5Bは、「C.I.ソルベントイエロー82」である。
【0254】
表1は、比較例1~5に比べて、実施例1~5における耐湿熱性が優れていることを示す。