(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103057
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】パッケージおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20220630BHJP
H01L 23/08 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
H01L23/02 C
H01L23/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174728
(22)【出願日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2020217028
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391039896
【氏名又は名称】NGKエレクトロデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134991
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148507
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 弘行
(72)【発明者】
【氏名】西島 英孝
(72)【発明者】
【氏名】長廣 雅則
(57)【要約】
【課題】上面と下面との間の電気的接続を確保しつつ、ろう材が側面へ不必要に多量に流れ出ることを防止することができる、パッケージおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】メタライズ部200は、シール面SS上のシールメタライズ層210と、セラミック部100の下面P2上の下面メタライズ層220と、セラミック部100の側面P3上の側面メタライズ層230とを含む。側面メタライズ層230は、シールメタライズ層210につながれた上方部分231と、下面メタライズ層220につながれた下方部分232と、上方部分231と下方部分232とを互いにつなぐ中間部分233とを有する。金属層300は、メタライジング材料に比してろう材930への濡れ性が高い金属材料からなる。金属層300は、メタライズ部200のシールメタライズ層210を被覆しており、メタライズ部200の側面メタライズ層230の中間部分233は被覆していない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろう材を用いて蓋体が取り付けられることになる、電子部品用のパッケージであって、
平面視において外縁を有するセラミック部を備え、前記セラミック部は、
前記蓋体を支持するためのシール面を含み、前記シール面の内側に前記電子部品を収めるためのキャビティが設けられた上面と、
前記上面と反対の下面と、
前記平面視において前記外縁に配置され、前記上面と前記下面とを互いにつなぐ側面と、
を有しており、前記パッケージはさらに、
前記セラミック部上に設けられ、メタライジング材料からなるメタライズ部を備え、前記メタライズ部は、
前記シール面上に設けられたシールメタライズ層と、
前記セラミック部の前記下面上に設けられた下面メタライズ層と、
前記セラミック部の前記側面上に設けられ、前記シールメタライズ層につながれた上方部分と、前記下面メタライズ層につながれた下方部分と、前記上方部分と前記下方部分とを互いにつなぐ中間部分と、を有する側面メタライズ層と、を含み、前記パッケージはさらに、
前記メタライジング材料に比して前記ろう材への濡れ性が高い金属材料からなる金属層を備え、前記金属層は、前記メタライズ部の前記シールメタライズ層を被覆しており前記メタライズ部の前記側面メタライズ層の前記中間部分は被覆していない、パッケージ。
【請求項2】
前記金属層は前記側面メタライズ層の前記上方部分を被覆している、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記金属層は、厚みが徐々に小さくなる端部を有している、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記平面視において、前記セラミック部の前記外縁は、第1の角と、第2の角と、前記第1の角と前記第2の角とを互いにつなぐ一の辺と、を有しており、前記側面メタライズ層は、前記第1の角および前記第2の角から離れて前記一の辺に接している、請求項1から3のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記側面メタライズ層の前記中間部分には、前記メタライジング材料の酸化物からなる表面酸化膜が設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記側面メタライズ層の前記中間部分の表面は破断面である、請求項1から5のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記外縁は、前記側面メタライズ層が配置された凹部を有している、請求項1から6のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記凹部は、前記側面メタライズ層の前記中間部分が配置された高さ範囲においては、前記側面メタライズ層によって埋め尽くされている、請求項7に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記凹部は、前記側面メタライズ層の前記中間部分が配置された高さ範囲においては、前記側面メタライズ層と、前記側面メタライズ層を介して前記セラミック部に面しセラミックからなる充填部と、によって埋め尽くされている、請求項7に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記パッケージは、前記ろう材と前記ろう材にろう付けされた金属枠体とを用いて前記蓋体が取り付けられることになるパッケージであって、
前記シール面は、前記金属枠体を介して前記蓋体を支持するためのものである、
請求項1から9のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のパッケージの製造方法であって、
(a)前記セラミック部となる部分を含むセラミックグリーン部と、前記メタライズ部となる部分を含むメタライズグリーン部と、を有するグリーン積層体を形成する工程を備え、前記セラミックグリーン部および前記メタライズグリーン部の各々は、前記セラミック部の前記外縁の少なくとも一部となる仮想線にまたがっており、さらに、
(b)前記仮想線に沿って前記グリーン積層体にトレンチを形成する工程と、
(c)前記グリーン積層体を焼成することによって、前記セラミック部および前記メタライズ部を含む焼成体を形成する工程と、
(d)前記金属層を形成するために、前記焼成体の前記メタライズ部をめっきする工程と、
(e)前記メタライズ部をめっきする工程の後に、前記トレンチを起点として前記焼成体にクラックを発生させることによって、前記セラミック部をブレイクしつつ前記メタライズ部の前記側面メタライズ層の前記中間部分の表面を形成する工程と、
を備える、パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージおよびその製造方法に関し、特に、電子部品用のパッケージおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2000-312060号公報(特許文献1)は、水晶振動子などの電子部品を搭載するための電子部品搭載用基板を開示している。電子部品搭載用基板は、下部絶縁層と、上部絶縁層とを有している。下部絶縁層は、上面に電子部品を搭載するための搭載部を有するとともにこの搭載部から下面にかけて電子部品の電極を外部に接続するための複数のメタライズ導体層が被着形成されている。上部絶縁層は、枠状であり、下部絶縁層上に搭載部を取り囲むようにして積層され、その上面に蓋体を接合するための封止用メタライズ層が被着形成されている。上部絶縁層の外周面にこの上部絶縁層を上下に貫通する切り欠き部が形成されている。この切り欠き部にメタライズ導体層と封止用メタライズ層とを電気的に接続するメタライズ導体柱が、その上端面が上部絶縁層の上面に対し同一面となるように埋設されている。
【0003】
上記構成によれば、封止用メタライズ層がメタライズ導体柱を介してメタライズ導体層に電気的に接続される。よって、メタライズ導体層をグランド電位に接続することによって、封止用メタライズ層もグランド電位に接続することができる。
【0004】
また上記公報は、メタライズ導体層、封止用メタライズ層およびメタライズ導体柱の露出表面に、ろう材との濡れ性に優れる金属、例えば金(Au)、をめっき法により被着させることを開示している。このめっきにより、酸化腐食を防止することができる。さらに、このめっきにより、ろう材を介しての封止用メタライズ層と金属蓋体との接合を強固なものとすることができる。ろう材は、例えば、金-スズ(Au-Sn)合金からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公報に記載の技術によれば、メタライズ導体層、封止用メタライズ層およびメタライズ導体柱の露出表面を覆うように、ろう材との濡れ性に優れる金属層が設けられる。これによって、上記のように、封止用メタライズ層と金属蓋体とのろう材を介しての接合を強固なものとすることができる。一方で、ろう材との濡れ性に優れる金属層に被覆されていることに起因して、上面に位置する封止用メタライズ層上から、側面に位置するメタライズ導体柱上へ、ろう材が無用に多量に流れ出やすい。特に、ろう材は、金などの高価な材料の含有率が高いことが多く、この場合、ろう材が無用に多量に流れ出ることは、材料コストの顕著な増大につながる。
【0007】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、上面と下面との間の電気的接続を確保しつつ、ろう材が上面から側面へ不必要に多量に流れ出ることを防止することができる、パッケージおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様のパッケージは、電子部品用であって、ろう材を用いて蓋体が取り付けられることになる。パッケージは、セラミック部と、メタライズ部と、金属層と、を有している。セラミック部は平面視において外縁を有している。セラミック部は、上面と、上面と反対の下面と、平面視において外縁に配置され上面と下面とを互いにつなぐ側面と、を有している。上面は、蓋体を支持するためのシール面を含み、シール面の内側に電子部品を収めるためのキャビティが設けられている。メタライズ部は、セラミック部上に設けられており、メタライジング材料からなる。メタライズ部は、シール面上に設けられたシールメタライズ層と、セラミック部の下面上に設けられた下面メタライズ層と、セラミック部の側面上に設けられた側面メタライズ層と、を含む。側面メタライズ層は、シールメタライズ層につながれた上方部分と、下面メタライズ層につながれた下方部分と、上方部分と下方部分とを互いにつなぐ中間部分と、を有している。金属層は、メタライジング材料に比してろう材への濡れ性が高い金属材料からなる。金属層は、メタライズ部のシールメタライズ層を被覆しており、メタライズ部の側面メタライズ層の中間部分は被覆していない。
【0009】
なお上記金属層を構成する金属材料は、純金属および合金のいずれであってもよい。金属層は側面メタライズ層の上方部分を被覆していてよい。金属層は、厚みが徐々に小さくなる端部を有していてよい。平面視において、セラミック部の外縁は、第1の角と、第2の角と、第1の角と第2の角とを互いにつなぐ一の辺と、を有しており、側面メタライズ層は、第1の角および第2の角から離れて一の辺に接していてよい。側面メタライズ層の中間部分には、メタライジング材料の酸化物からなる表面酸化膜が設けられていてよい。側面メタライズ層の中間部分の表面は破断面である。外縁は、側面メタライズ層が配置された凹部を有していてよい。凹部は、側面メタライズ層の中間部分が配置された高さ範囲においては、側面メタライズ層によって埋め尽くされていてよい。凹部は、側面メタライズ層の中間部分が配置された高さ範囲においては、側面メタライズ層と、側面メタライズ層を介してセラミック部に面しセラミックからなる充填部と、によって埋め尽くされていてよい。
【0010】
上記一態様のパッケージの製造方法は、(a)セラミック部となる部分を含むセラミックグリーン部と、メタライズ部となる部分を含むメタライズグリーン部と、を有するグリーン積層体を形成する工程を備え、セラミックグリーン部およびメタライズグリーン部の各々は、セラミック部の外縁の少なくとも一部となる仮想線にまたがっており、さらに、(b)仮想線に沿ってグリーン積層体にトレンチを形成する工程と、(c)グリーン積層体を焼成することによって、セラミック部およびメタライズ部を含む焼成体を形成する工程と、(d)金属層を形成するために、焼成体のメタライズ部をめっきする工程と、(e)メタライズ部をめっきする工程の後に、トレンチを起点として焼成体にクラックを発生させることによって、セラミック部をブレイクしつつメタライズ部の側面メタライズ層の中間部分の表面を形成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
上記一態様のパッケージによれば、第1に、メタライズ部は、シール面上に設けられたシールメタライズ層と、セラミック部の下面上に設けられた下面メタライズ層と、セラミック部の側面上に設けられた側面メタライズ層と、を含む。これによって、シールメタライズ層が配置された上面と、下面メタライズ層が配置された下面との間の電気的接続を確保することができる。第2に、溶融状態にあるろう材への濡れ性が高い金属材料からなる金属層が、メタライズ部のシールメタライズ層を被覆しつつも、メタライズ部の側面メタライズ層の中間部分は被覆していない。これによって、ろう材が上面から側面へ不必要に多量に流れ出ることを防止することができる。以上から、上面と下面との間の電気的接続を確保しつつ、ろう材が上面から側面へ不必要に多量に流れ出ることを防止することができる。
【0012】
この発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1における電子機器の構成を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1の線II-IIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図3】実施の形態1におけるパッケージの構成を概略的に示す平面図である。
【
図4】
図3の線IV-IVに沿う概略的な部分断面図である。
【
図5】
図3の線V-Vに沿う概略的な部分断面図である。
【
図6】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の第1工程を概略的に示す部分平面図である。
【
図7】
図6の線VII-VIIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図8】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の第2工程を概略的に示す部分平面図である。
【
図9】
図8の線IX-IXに沿う概略的な部分断面図である。
【
図10】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の第3工程を概略的に示す部分平面図である。
【
図11】
図10の線XI-XIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図12】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の第4工程を概略的に示す部分平面図である。
【
図13】
図12の線XIII-XIIIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図14】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の第5工程を概略的に示す部分平面図である。
【
図15】
図14の線XV-XVに沿う概略的な部分断面図である。
【
図16】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の第6工程を概略的に示す部分平面図である。
【
図17】
図16の線XVII-XVIIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図18】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の第7工程を概略的に示す部分断面図である。
【
図19】比較例における電子機器の構成を概略的に示す部分断面図である。
【
図20】実施の形態2におけるパッケージの構成を概略的に示す平面図である。
【
図21】
図20の線XXI-XXIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図22】実施の形態2におけるパッケージの製造方法の第3工程を概略的に示す部分平面図である。
【
図23】
図22の線XXIII-XXIIIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図24】実施の形態2におけるパッケージの製造方法の第4工程を概略的に示す部分平面図である。
【
図25】
図24の線XXV-XXVに沿う概略的な部分断面図である。
【
図26】実施の形態2におけるパッケージの製造方法の第5工程を概略的に示す部分平面図である。
【
図27】
図26の線XXVII-XXVIIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図28】実施の形態2におけるパッケージの製造方法の第6工程を概略的に示す部分平面図である。
【
図29】
図28の線XXIX-XXIXに沿う概略的な部分断面図である。
【
図30】実施の形態2におけるパッケージの製造方法の第7工程を概略的に示す部分平面図である。
【
図31】
図30の線XXXI-XXXIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図32】実施の形態2におけるパッケージの製造方法の第8工程を概略的に示す部分平面図である。
【
図33】
図32の線XXXIII-XXXIIIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図34】実施の形態2におけるパッケージの製造方法の第9工程を概略的に示す部分断面図である。
【
図35】実施の形態2におけるパッケージの製造方法の第6工程(
図29)の変形例を概略的に示す部分断面図である。
【
図36】実施の形態3におけるパッケージの構成を概略的に示す部分断面図である。
【
図37】実施の形態4におけるパッケージの構成を概略的に示す平面図である。
【
図38】実施の形態5における電子機器の構成を、
図2に対応する視野で概略的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて実施の形態について説明する。
【0015】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1における電子機器900の構成を概略的に示す平面図である。
図2は、
図1の線II-IIに沿う概略的な部分断面図である。電子機器900は、パッケージ801と、電子部品910と、ろう材930と、蓋体920とを有している。
【0016】
図3は、パッケージ801の構成を概略的に示す平面図である。
図4および
図5のそれぞれは、
図3の線IV-IVおよび線V-Vに沿う概略的な部分断面図である。パッケージ801は、電子部品910用であり、本実施の形態においては、電子部品910が接合されることになる電極パッド400を有している。パッケージ801には、
図1および
図2に示されているように、ろう材930を用いて蓋体920が取り付けられることになる。蓋体920は、セラミックと熱膨張係数が近似する金属からなることが好ましく、具体的には主成分としてFe(鉄)およびNi(ニッケル)を含む合金からなることが好ましく、例えばFe-Ni-Co(コバルト)系合金またはFe-Ni系合金からなる。ろう材930は、好ましくはAuを主成分とし、より好ましくはAu合金であり、典型的にはAu-Sn合金である。なお、ろう材930の材料はこれらに限定されるものではなく、例えば、Ag(銀)-Cu(銅)合金、Pb(鉛)-Snはんだ、または、Pbフリーはんだであってよい。蓋体の形状は平板状であってよい。
【0017】
パッケージ801は、セラミック部100と、セラミック部100上に設けられたメタライズ部200と、めっき層300(金属層)とを有している。メタライズ部200は、シールメタライズ層210と、下面メタライズ層220と、側面メタライズ層230とを含む。めっき層300は、上方めっき層310と、下方めっき層320とを有している。上方めっき層310と、下方めっき層320とは、互いに分離されている。
【0018】
セラミック部100は、セラミックからなり、例えばアルミナまたは窒化アルミニウムからなる。アルミナからなるセラミックの場合は、機械的強度を高めるためにジルコニアが10~20wt%添加されていてもよい。セラミック部100は、
図3に示されているように、平面視において外縁EOを有している。またセラミック部100は、
図4に示されているように、上面P1と、上面P1と反対の下面P2と、上面P1と下面P2とを互いにつなぐ側面P3とを有している。側面P3は、平面視において外縁EO(
図3)に配置されている。外縁EOは凹部CCを有している。本実施の形態においては、凹部CCはおおよそ半円形状を有している。上面P1は、メタライズ部200および上方めっき層310を介して蓋体920(
図2)を支持するためのシール面SSを含む。また上面P1には、シール面SSの内側に、電子部品910を収めるためのキャビティCVが設けられている。セラミック部100は平面視(
図3)において、キャビティCVを囲む枠部を有している。なお、セラミック部100には、キャビティCVの内と外との間をつなぐ内部配線(図示せず)が設けられている。内部配線は、例えば、キャビティCV内に設けられた電極パッド400と、下面P2上に設けられた電極パッド(図示せず)とを互いに接続している。
【0019】
メタライズ部200はメタライジング材料からなる。メタライジング材料の主成分は、高融点金属であることが好ましく、例えば、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、またはこれらの混合材料である。あるいは、メタライジング材料の主成分は、WとMoからなる合金であってもよい。シールメタライズ層210はシール面SS上に設けられている。下面メタライズ層220はセラミック部100の下面P2上に設けられている。側面メタライズ層230はセラミック部100の側面P3上に設けられている。具体的には、側面メタライズ層230は、外縁EOの凹部CCに配置されている。本実施の形態においては、凹部CCは、側面メタライズ層230の中間部分233が配置された高さ範囲において、側面メタライズ層230(
図4)によって埋め尽くされている。ここで、上記「高さ範囲」が言及されている方向は、パッケージ801の厚み方向(
図4における縦方向)である。側面メタライズ層230は、シールメタライズ層210につながれた上方部分231と、下面メタライズ層220につながれた下方部分232と、上方部分231と下方部分232とを互いにつなぐ中間部分233とを有している。側面メタライズ層230の中間部分233の表面は、焼成面(as-fired surface)ではなく、後述されるブレイク工程によって形成された破断面(fracture surface)SF(
図18)である。
【0020】
平面視(
図3)において、セラミック部100の外縁EOは、4つの辺と、4つの角とを有する長方形形状を有している。なお正方形は長方形の一種である。具体的には、外縁EOは、第1の角N1(図中、右上の角)と、第2の角N2(図中、右下の角)と、第1の角N1と第2の角N2とを互いにつなぐ一の辺(図中、右辺)と、を有している。側面メタライズ層230は、第1の角N1および第2の角N2から離れて一の辺に接している。これに対応して、凹部CCは、第1の角N1および第2の角N2から離れて一の辺に接している。なお本実施の形態においては、さらなる側面メタライズ層230(およびそれが配置された凹部CC)が、当該一の辺と反対の辺、すなわち図中における左辺、に接している。なお、1つのパッケージが有する側面メタライズ層の数(および凹部CCの数)は任意である。
【0021】
めっき層300の上方めっき層310は、メタライズ部200のシールメタライズ層210を被覆している。一方で、めっき層300は、メタライズ部200の側面メタライズ層230の中間部分233は被覆していない。本実施の形態においては、上方めっき層310は、側面メタライズ層230の上方部分231を被覆している。上方部分231と上方めっき層310との界面は、厚み方向(
図4における縦方向)に対する傾斜面を含んでいてよい。当該界面は当該傾斜面のみからなっていてもよい。まためっき層300の下方めっき層320は、メタライズ部200の下面メタライズ層220を被覆している。まためっき層300の下方めっき層320は、メタライズ部200の側面メタライズ層230の下方部分232を被覆している。
【0022】
めっき層300の上方めっき層310は、厚みが徐々に小さくなる端部(
図4における右端部)を有している。同様に、めっき層300の下方めっき層320は、厚みが徐々に小さくなる端部(
図4における右端部)を有している。
【0023】
めっき層300は、メタライジング材料に比して、溶融状態にあるろう材930への濡れ性が高い金属材料からなる。言い換えれば、めっき層300の金属材料の当該濡れ性は、メタライジング材料の当該濡れ性よりも高い。めっき層300の金属材料は、好ましくはAuを主成分とし、例えば実質的にAuである。
【0024】
なお、めっき層300を剥離しにくくするために、めっき層300とメタライズ部200との間に、上記金属材料とは異なる導体材料からなる下地層(図示せず)が形成されていることが好ましい。下地層は、めっき層であってよい。下地層の材料は、Niを主成分としてよく、例えば、NiまたはNi-Co合金である。
【0025】
図5は凹部CCが設けられていない箇所の部分断面図である。
【0026】
【0027】
図6および
図7を参照して、複数のグリーンシートが積層されることによって、セラミックグリーン部100Gが形成される。セラミックグリーン部100Gは、後述される焼成工程によってセラミック部100(
図4)となる部分を含む。なお、図示は省略されているが、セラミックグリーン部100Gには、セラミック部100の内部配線(図示せず)となる部分が設けられていてよい。
【0028】
図8および
図9を参照して、セラミックグリーン部100Gに、厚み方向に沿って延在する貫通孔HLが形成される。貫通孔HLは、セラミック部100の外縁EOの少なくとも一部となる仮想線LVにまたがっている。貫通孔HLは、凹部CC(
図3)となる部分を含む。貫通孔HLは、金型を用いた機械加工によって形成される。なお変形例として、貫通孔HLは、レーザ光を用いた加工によって形成されてもよい。
【0029】
図10および
図11を参照して、金属ペーストの印刷によって、セラミックグリーン部100G上に、シールメタライズグリーン層210Gと下面メタライズグリーン層220Gと側面メタライズグリーン層230Gとを含むメタライズグリーン部200Gが形成される。メタライズグリーン部200Gは、後述される焼成工程によってメタライズ部200となる部分を含む。具体的には、シールメタライズグリーン層210G、下面メタライズグリーン層220Gおよび側面メタライズグリーン層230Gのそれぞれは、後述される焼成工程によって、シールメタライズ層210、下面メタライズ層220および側面メタライズ層230となる部分を含む。この結果、セラミック部100となる部分を含むセラミックグリーン部100Gと、メタライズ部200となる部分を含むメタライズグリーン部200Gと、を有するグリーン積層体500Gが形成される。
【0030】
セラミックグリーン部100Gと、メタライズグリーン部200Gの側面メタライズグリーン層230Gと、の各々は、セラミック部100の外縁EOの少なくとも一部となる仮想線LV(
図10)にまたがっている。具体的には、セラミックグリーン部100Gは仮想線LVに貫通孔HL外において、またがっている。またメタライズグリーン部200Gの側面メタライズグリーン層230Gは仮想線LVに貫通孔HL内においてまたがっている。
【0031】
図12および
図13を参照して、仮想線LV(
図10)に沿ってグリーン積層体500GにトレンチTRが形成される。トレンチTRを形成する工程は、仮想線LVに沿ってグリーン積層体500Gに刃先を押し付けることによって行われる。なお変形例として、トレンチTRを形成する工程は、仮想線LVに沿ってグリーン積層体500Gにレーザ光を照射することによって行われてもよい。
【0032】
次に、グリーン積層体500G(
図12および
図13)が焼成される。
図14および
図15を参照して、この焼成によって、セラミック部100およびメタライズ部200を含む焼成体500が形成される。
図16および
図17を参照して、焼成体500のメタライズ部200がめっきされる。これにより、めっき層300が形成される。
【0033】
図18を参照して、上記めっき処理の後、トレンチTRを起点として焼成体500にクラックが発生させられる。これによって、セラミック部100がブレイクされつつ、メタライズ部200の側面メタライズ層230の中間部分233の表面(破断面SF)が形成される。以上により、複数のパッケージ801が得られる。
【0034】
図19は、比較例における電子機器990の構成を概略的に示す部分断面図である。本比較例においては、実施の形態における電子機器900(
図2)と異なり、側面メタライズ層230の側面全体に、めっき層390が設けられている。その結果、ろう材930を用いて蓋体920が取り付けられる際に、図中の矢印に示されているように、ろう材930が上面から側面へ不必要に多量に流れ出やすい。なお、ろう材930の、図中矢印で示された流れを途中で止めるための部材を追加したとすると、構成および製造方法が複雑化してしまう。
【0035】
また図示は省略するが他の比較例として、
図3に類した平面視において、セラミック部100の枠部に、外縁EOおよびキャビティCVのいずれもから離れた貫通孔を形成し、当該貫通孔内に上面P1と下面P2とを電気的に接続するための導体部材を形成することが考えられる。この場合、貫通孔の大きさは枠部の幅に比して十分に小さい必要がある。よって、枠部の幅が小さい場合、貫通孔を形成する処理の難易度が高い。例えば、微小ピンを有する金型を用いた機械加工の場合、微小な貫通孔に対応する微小なピンは、容易に折れてしまいやすい。金型に代わってレーザ光を用いる場合は、生産性がかなり低下してしまう。さらに、仮に微小な貫通孔を形成することができたとしても、その中に導体部材を充填する処理の難易度が高い。
【0036】
本実施の形態のパッケージ801によれば、第1に、メタライズ部200(
図4)は、シール面SS上に設けられたシールメタライズ層210と、セラミック部100の下面P2上に設けられた下面メタライズ層220と、セラミック部100の側面P3上に設けられた側面メタライズ層230とを含む。これによって、シールメタライズ層210が配置された上面P1と、下面メタライズ層220が配置された下面P2と、の間の電気的接続を確保することができる。第2に、溶融状態にあるろう材930(
図2)への濡れ性が高い金属材料からなるめっき層300が、メタライズ部200のシールメタライズ層210を被覆しつつも、メタライズ部200の側面メタライズ層230の中間部分233は被覆していない。これによって、比較例(
図19)とは異なり、ろう材930が上面から側面へ不必要に多量に流れ出ることを防止することができる。以上から、上面P1と下面P2との間の電気的接続を確保しつつ、ろう材930が上面から側面へ不必要に多量に流れ出ることを防止することができる。
【0037】
上方めっき層310(
図4)は側面メタライズ層230の上方部分231を被覆している。これにより、シールメタライズ層210の縁からろう材930(
図2)が容易に流れ出る範囲は、側面メタライズ層230の上方部分231の範囲に限られる。よって、側面メタライズ層230の上方部分231の寸法を十分に小さくすることによって、ろう材930が流れ出る量を抑えることができる。さらに、ろう材930がシールメタライズ層210の縁から若干は拡がることによって、ろう材930がめっき層300に、より強固に接合される。なお、側面メタライズ層230の中間部分233の表面が焼成工程後のブレイク工程(
図18)によって形成され、かつ、当該ブレイク工程の位置を規定するトレンチTR(
図12)が焼成工程前に予め形成される場合、めっき層300の形成は、焼成工程後かつブレイク工程前のめっき工程(
図17)によって行うことが効率的である。この場合、めっき層300のうちトレンチTR内に形成された部分が、側面メタライズ層230の上方部分231を被覆する部分に対応する。よって、めっき層300が側面メタライズ層230の上方部分231を被覆していることを許容することによって、本実施の形態におけるめっき層300を、効率的に形成することができる。
【0038】
上方めっき層310は、厚みが徐々に小さくなる端部(
図4における右端部)を有している。これにより、端部におけるめっき層300の剥離を抑制することができる。さらにめっき層300が高価なAuからなる場合、原料費を削減できる。なお、側面メタライズ層230の中間部分233の表面が焼成工程後のブレイク工程(
図18)によって形成され、かつ、当該ブレイク工程の位置を規定するトレンチTR(
図12)が焼成工程前に予め形成される場合、めっき層300の形成は、焼成工程後かつブレイク工程前のめっき工程(
図17)によって行うことが効率的である。この場合、完成されたパッケージ801が有するめっき層300の端部となる部分は、めっき工程の時点ではトレンチTRの底部に位置する。トレンチTRの底部ではめっきが進行しにくくなることから、めっき層300は、厚みが徐々に小さくなる端部を有することになる。よって、めっき層300が、厚みが徐々に小さくなる端部を有することを許容することによって、本実施の形態におけるめっき層300を、効率的に形成することができる。
【0039】
側面メタライズ層230は、セラミック部100の外縁EO(
図3)に関して、第1の角N1および第2の角N2から離れて一の辺に接している。外縁EOの角においては側面メタライズ層230の剥がれが起きやすいところ、当該構成によってそれを抑制することができる。特に、セラミック部100の外縁EOを形成するためのブレイク工程(
図18)に起因しての側面メタライズ層230へのダメージを、側面メタライズ層230が外縁EOの角に位置する場合に比して、抑えることができる。ただしこの効果が特に必要ない場合は、すなわち側面メタライズ層230とセラミック部100との間の密着強度が十分に高い場合は、側面メタライズ層230の配置はこれに限定されるものではなく、側面メタライズ層230は角に配置されてもよい。
【0040】
側面メタライズ層230の中間部分233の表面は破断面SF(
図18)である。これにより、当該表面をブレイク工程によって形成することができる。
【0041】
側面メタライズ層230は、外縁EO(
図3)の凹部CCに配置されている。これにより、側面メタライズ層230がセラミック部100の外縁EOから突出してしまうことが避けられる。
【0042】
凹部CC(
図3)は、側面メタライズ層230の中間部分233(
図4)が配置された高さ範囲においては、側面メタライズ層230によって埋め尽くされている。これにより、凹部CCを埋め尽くす部材として、側面メタライズ層230以外の部材を形成する必要がない。なお、凹部CCが埋め尽くされていることによって、蓋体920が接合される領域が凹部CCに起因して小さくなり封止不良が生じるようになることが避けられる。さらに、剛性が高まるため、凹部CCを起点とした、キャビティCVを囲む枠部の破壊も、防止できる。このことは、セラミック部100の、キャビティCVを囲む枠部の幅寸法が、凹部CCから離れた場所においても100μm以下しかない場合に効果的である。なお、枠部の幅寸法を100μm以下とすることは、特に、1mm四方の領域に包含される程度に小さい外縁EOを有する超小型パッケージにおいて、設計上、要請されることが多い。このような超小型パッケージは、典型的には、電子部品910(
図1)が、(電極が設けられた)超小型水晶ブランクである場合に、求められる。
【0043】
本実施の形態のパッケージ801の製造方法によれば、パッケージ801を簡素な方法によって製造することができる。具体的には、ブレイク工程にともなって形成される破断面SF(
図18)が、ろう材930のさらなる流れを抑制する面として利用される。よって、ろう材930の流れを抑制するための特別の部材を形成する必要がない。また、貫通孔HL(
図8および
図9)は、分割されることによってキャスタレーション電極用の凹部CC(
図3)となる。よって、貫通孔HLの径は、本実施の形態と異なり外縁EOおよびキャビティCVのいずれもから離れた貫通孔をセラミック部100の枠部にスルーホール電極用に形成する場合に比べて、比較的、大きく設定できる。よって、貫通孔HLを形成するための金型のピンの径も大きく設定できる。よって貫通孔HLは、金型を用いた機械加工によって容易に形成することができる。これにより、レーザ加工が用いられる場合に比して、生産性を高めることができる。
【0044】
本実施の形態の電子機器900の製造方法によれば、まず、パッケージ801が上記のように製造される。次に、パッケージ801の電極パッド400に電子部品910が接合される。次に、パッケージ801へ、ろう材930を用いて蓋体920が、ろう付けによって取り付けられる。これにより、電子機器900が得られる。ろう付けは、公知の方法によって行われてよく、その場合、ろう材930としては、Au合金、特にAu-Sn合金、を用いるのが典型的である。ただし、ろう付け方法はこれに限定されるものではなく、例えば、次のように行われてよい。まず、蓋体920の一方の面上に、Ag-Cu合金からなるろう材の層が形成される。次に、ろう材の層がシールメタライズ層210に接するように、ろう材の層が設けられた蓋体920が、シールメタライズ層210上に載置される。次に、通電加熱によって、ろう材が溶融される。これにより、電子機器900が得られる。
【0045】
なお電子機器900(
図2)は、前述したように下面P2上に設けられた電極パッド(図示せず)を用いて、外部基板(図示せず)上に実装されることになる。この実装において電極パッドは、外部基板へはんだを用いて接合される。このはんだ接合において、仮に、はんだが下面から側面へと不必要に流れ出てしまったとすると、電極パッドと外部基板との間の接合が不良となりやすい。本実施の形態によれば、溶融状態にあるはんだへの濡れ性が高い金属材料からなるめっき層300が、メタライズ部200の下面メタライズ層220を被覆しつつも、メタライズ部200の側面メタライズ層230の中間部分233は被覆していない。これにより、溶融状態にあるはんだが下面から側面へ不必要に流れ出ることを防止することができる。
【0046】
<実施の形態2>
図20は、本実施の形態2におけるパッケージ802の構成を概略的に示す平面図である。
図21は、
図20の線XXI-XXIに沿う概略的な部分断面図である。本実施の形態においては、凹部CCは、側面メタライズ層230の中間部分233が配置された高さ範囲においては、側面メタライズ層230および充填部150によって埋め尽くされている。充填部150は、側面メタライズ層230を介してセラミック部100に面しており、セラミックからなる。充填部150の材料の主成分は、セラミック部100の材料の主成分と同様であることが好ましい。例えば、充填部150およびセラミック部100が共にアルミナからなっていてよく、あるいは、充填部150およびセラミック部100が共に窒化アルミニウムからなっていてよい。充填部150の表面は、焼成面ではなく破断面SGである。なお、
図21に示された断面は線XXI-XXI(
図20)に沿うものであるところ、線A-A(
図20)に沿う部分断面(図示せず)は、
図4(実施の形態1)とおおよそ同様である。
【0047】
次に、複数のパッケージ802を一括して製造する方法について、以下に説明する。なお、前述した実施の形態1における第1および第2工程(
図6~
図9)は、本実施の形態においても共通して行われるので、その説明を省略する。
図22、
図24、
図26、
図28、
図30および
図32のそれぞれは、第3~第8工程を概略的に示す部分平面図である。また、
図23、
図25、
図27、
図29、
図31および
図33のそれぞれは、線XXIII-XXIII(
図22)、線XXV-XXV(
図24)、線XXVII-XXVII(
図26)、線XXIX-XXIX(
図28)、線XXXI-XXXI(
図30)および線XXXIII-XXXIII(
図32)に沿う概略的な部分断面図である。また
図34は、第9工程を概略的に示す部分断面図である。
【0048】
図22および
図23を参照して、金属ペーストの印刷によって、貫通孔HLを部分的にのみ充填するように、セラミックグリーン部100Gの貫通孔HLの内面上に側面メタライズグリーン層230Gが形成される。
図24および
図25を参照して、次に、セラミックペーストの印刷によって、貫通孔HLが埋め尽くされるように、側面メタライズグリーン層230Gを介して貫通孔HLに充填グリーン部150Gが充填される。
図26および
図27を参照して、金属ペーストの印刷によって、セラミックグリーン部100G上に、シールメタライズグリーン層210Gと下面メタライズグリーン層220Gとが形成される。以上、
図22~
図27の工程によって、セラミックグリーン部100G上に、メタライズ部200となる部分を含むメタライズグリーン部200Gが形成される。この結果、セラミック部100となる部分を含むセラミックグリーン部100Gと、メタライズ部200となる部分を含むメタライズグリーン部200Gと、充填部150となる部分を含む充填グリーン部150Gと、を有するグリーン積層体500Gが形成される。
【0049】
セラミックグリーン部100Gと、メタライズグリーン部200Gの側面メタライズグリーン層230Gと、充填グリーン部150Gと、の各々は、仮想線LV(
図10)にまたがっている。具体的には、セラミックグリーン部100Gは仮想線LVに貫通孔HL外においてまたがっている。また側面メタライズグリーン層230Gおよび充填グリーン部150Gの各々は仮想線LVに貫通孔HL内においてまたがっている。
【0050】
図28および
図29を参照して、仮想線LV(
図26)に沿ってグリーン積層体500GにトレンチTRが形成される。トレンチTRを形成する工程は、仮想線LVに沿ってグリーン積層体500Gに刃先を押し付けることによって行われる。トレンチTRが刃先を用いて形成される場合、シールメタライズグリーン層210Gは、
図29に示されているように、トレンチTRの側面上にまで延ばされやすい。これは、トレンチTRが形成される際に、シールメタライズグリーン層210Gが刃先に巻き込まれるからである。その結果、後述するめっき工程(
図32および
図33)において、セラミックからなる充填部150の表面上にもめっき層300が形成されやすくなる。
【0051】
次に、グリーン積層体500G(
図28および
図29)が焼成される。
図30および
図31を参照して、この焼成によって、セラミック部100およびメタライズ部200を含む焼成体500が形成される。
【0052】
図32および
図33を参照して、焼成体500のメタライズ部200がめっきされる。これにより、めっき層300が形成される。
【0053】
図34を参照して、上記めっきの後、トレンチTRを起点として焼成体500にクラックが発生させられる。これによって、セラミック部100および充填部150がブレイク(スナップ)されつつ、メタライズ部200の側面メタライズ層230の中間部分233の表面(
図20における破断面SF)が形成される。以上により、複数のパッケージ802が得られる。
【0054】
なお、上記以外については、上述した実施の形態1とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0055】
本実施の形態のパッケージ802によれば、凹部CC(
図20)は、側面メタライズ層230の中間部分233(
図21)が配置された高さ範囲においては、側面メタライズ層230と、側面メタライズ層230を介してセラミック部100に面しセラミックからなる充填部150と、によって埋め尽くされている。これにより、側面メタライズ層230を充填部150によって保護することができる。また、凹部CCとなる部分を含む貫通孔HL内に、セラミックからなる充填部150(
図33)が形成されるので、枠部を構成する材料がセラミックである割合が高くなり均質性が高まるため、ブレイク工程(
図34)における凹部CC内でのクラックを、より安定的に発生させることができる。
【0056】
本実施の形態のパッケージ802の製造方法によれば、トレンチTR(
図29)が刃先を用いて形成される。これにより、前述したように、シールメタライズグリーン層210GがトレンチTRの側面上にまで延ばされやすい。シールメタライズグリーン層210GがトレンチTRの側面上にまで延びる結果、パッケージ802のシールメタライズ層210もトレンチTRの側面上にまで延びる。これにより、
図4(実施の形態1)の場合と同様に、トレンチTRの側面上において厚みが徐々に小さくなる端部を有する上方めっき層310(
図21)を得ることができる。
【0057】
<実施の形態2の変形例>
図35は、
図29の工程の変形例を概略的に示す部分断面図である。
図29の工程においてはトレンチTRが刃先を用いて形成されるが、本変形例においては、トレンチTRがレーザ加工(すなわち、レーザ光の照射)によって形成される。この場合は、
図29の場合とは異なり、シールメタライズグリーン層210GがトレンチTRの側面上にまでは延びにくい。本変形例によれば、刃先に代わってレーザ光を用いることによって、微細なトレンチTRを形成することができる。
【0058】
<実施の形態3>
図36は、本実施の形態3におけるパッケージ801Mの構成を概略的に示す部分断面図である。本実施の形態においては、側面メタライズ層230の中間部分233には、メタライジング材料の酸化物からなる表面酸化膜233Xが設けられている。表面酸化膜233Xは、中間部分233の自然酸化膜であってよい。なお、これ以外の構成については、上述した実施の形態1(
図4)の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0059】
本実施の形態によっても、実施の形態1とほぼ同様の効果が得られる。さらに、本実施の形態によれば、ろう材930への中間部分233の濡れ性を、表面酸化膜233Xによって、より低くすることができる。特に、表面酸化膜233Xが中間部分233の自然酸化膜である場合、表面酸化膜233Xを容易に形成することができる。
【0060】
<実施の形態4>
図37は、本実施の形態4におけるパッケージ802Mの構成を概略的に示す平面図である。本実施の形態においては、側面メタライズ層230の中間部分233には、メタライジング材料の酸化物からなる表面酸化膜233Xが設けられている。表面酸化膜233Xは、中間部分233の自然酸化膜であってよい。なお、これ以外の構成については、上述した実施の形態2の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0061】
本実施の形態によっても、実施の形態2とほぼ同様の効果が得られる。さらに、本実施の形態によっても、上述した実施の形態3特有の効果と同様の効果が得られる。
【0062】
<実施の形態5>
図38は、本実施の形態5における電子機器900Mの構成を、
図2(電子機器900:実施の形態1)に対応する視野で概略的に示す部分断面図である。電子機器900Mは、電子機器900が有する部材に加えて、金属枠体940を有している。金属枠体940の形状は、平面視において、シールメタライズ層210の形状とほぼ同じである。よって金属枠体940は平面視においてキャビティCVを囲んでいる。
【0063】
金属枠体940は、セラミックと熱膨張係数が近似する金属からなることが好ましく、具体的には主成分としてFe(鉄)およびNi(ニッケル)を含む合金からなることが好ましく、例えばFe-Ni-Co(コバルト)系合金またはFe-Ni系合金からなる。
【0064】
次に、電子機器900Mの製造方法について説明する。まず、前述した実施の形態1において説明されたパッケージ801が準備される。次に、パッケージ801のシールメタライズ層210に金属枠体940がろう材930を用いて取り付けられる。言い換えれば、シールメタライズ層210に金属枠体940がろう付けされる。ろう付けの方法は、前述した実施の形態1またはその変形例においてシールメタライズ層210に蓋体920をろう付けする方法と同様であってよい。特に本実施の形態においては、ろう材930の材料は、Ag-Cu合金であることが好ましい。次に、金属枠体940上に蓋体920が取り付けられる。この取り付けは、溶接によって行われることが好ましい。
【0065】
本実施の形態においては、蓋体920は、ろう材930と、ろう材930にろう付けされた金属枠体940と、を用いてパッケージ801に取り付けられる。言い換えれば、パッケージ801は、ろう材930と、ろう材930にろう付けされた金属枠体940と、を用いて蓋体920が取り付けられることになるパッケージである。よって本実施の形態においては、パッケージ801のシール面SSは、金属枠体940を介して蓋体920を支持するためのものである。
【0066】
なお変形例として、電子機器900Mにおけるパッケージ801が、パッケージ801以外の、前述した実施の形態1~4およびその変形例のいずれかのパッケージに置き換えられてもよい。
【0067】
上述した実施の形態および変形例は、互いに自由に組み合わされてよい。この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0068】
100 :セラミック部
100G :セラミックグリーン部
150 :充填部
150G :充填グリーン部
200 :メタライズ部
200G :メタライズグリーン部
210 :シールメタライズ層
210G :シールメタライズグリーン層
220 :下面メタライズ層
220G :下面メタライズグリーン層
230 :側面メタライズ層
230G :側面メタライズグリーン層
231 :上方部分
232 :下方部分
233 :中間部分
233X :表面酸化膜
300 :めっき層(金属層)
310 :上方めっき層
320 :下方めっき層
500 :焼成体
500G :グリーン積層体
801,801M,802,802M:パッケージ
900,900M:電子機器
910 :電子部品
920 :蓋体
940 :金属枠体
930 :ろう材
CC :凹部
CV :キャビティ
EO :外縁
HL :貫通孔
LV :仮想線
N1,N2:第1および第2の角
P1 :上面
P2 :下面
P3 :側面
SF :破断面
SG :破断面
SS :シール面
TR :トレンチ