(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103094
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】高分子分散型液晶組成物、液晶素子及び調光素子
(51)【国際特許分類】
C09K 19/54 20060101AFI20220630BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20220630BHJP
C09K 19/34 20060101ALI20220630BHJP
C09K 19/32 20060101ALI20220630BHJP
C09K 19/30 20060101ALI20220630BHJP
C09K 19/12 20060101ALI20220630BHJP
C09K 19/14 20060101ALI20220630BHJP
C09K 19/16 20060101ALI20220630BHJP
C09K 19/18 20060101ALI20220630BHJP
C09K 19/20 20060101ALI20220630BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
C09K19/54 Z
G02F1/13 505
C09K19/34
C09K19/32
C09K19/30
C09K19/12
C09K19/14
C09K19/16
C09K19/18
C09K19/20
G02F1/1334
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203941
(22)【出願日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2020217627
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(72)【発明者】
【氏名】中田 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】高島 正直
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
4H027
【Fターム(参考)】
2H088EA33
2H088FA29
2H088GA10
2H088GA12
2H088GA17
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA03
2H088KA06
2H088MA06
2H088MA09
2H088MA20
2H189AA04
2H189CA07
2H189CA08
2H189JA14
4H027BA01
4H027BB11
4H027BD02
4H027BD05
4H027BD07
4H027BD24
4H027BE04
4H027CD04
4H027CG04
4H027CM04
4H027CN04
4H027CQ01
4H027CT01
4H027CT03
(57)【要約】
【課題】基材との密着性が強く、信頼性が高く、駆動電圧が低く、散乱性も良好であり、電圧ON時の透明性が高い高分子分散型液晶組成物、液晶素子、及び調光素子を提供する。
【解決手段】本発明の高分子分散型液晶組成物は重合性化合物(MA)と非重合性液晶化合物(LB)とを含有する。前記重合性化合物(MA)は、第1成分として、重量平均分子量が1500以上の多官能の(メタ)アクリレートオリゴマーを1種又は2種以上含有し、第2成分として、環状単官能重合性化合物を1種又は2種以上含有する。前記非重合性液晶化合物(LB)は、第3成分として、アルケニル基を含む非重合性液晶化合物を1種又は2種以上含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性化合物(MA)と非重合性液晶化合物(LB)とを含有する高分子分散型液晶組成物であって、
前記重合性化合物(MA)は、
第1成分として、重量平均分子量が1500以上の多官能の(メタ)アクリレートオリゴマーを1種又は2種以上含有し、
第2成分として、以下の一般式(ii)で表される環状単官能重合性化合物を1種又は2種以上含有し、
【化1】
(一般式(ii)中、P
iiは重合性官能基を表し、
Z
iiは単結合、又は炭素原子数1~7のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の隣接しない-CH
2-は酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよく、
A
iiは一般式(ii-9)~(ii-20)を表し、
【化2】
(一般式(ii-9)~(ii-20)中、1つ以上の-CH
2-はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NH-、-NCH
3-、又は-CO-で置換されていてもよいが、一般式(ii-9)~(ii-12)中に酸素原子及び/又は硫黄原子が合計2個以上存在する場合には、これらは-O-O-、-O-S-又は-S-S-のようにお互い同士結合することは無く、また、一つ以上の-CH
2-CH
2-は、-CH=CH-基に置換されていてもよく、また、一般式(ii-9)~(ii-12)中の水素原子は炭素原子数1~8のアルキル基で置換されていてもよく、該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であっても良く、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の隣接しない-CH
2-は酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよい。また、一般式(ii-9)~(ii-20)中の黒点はZ
iiへの結合手を表す。))
前記非重合性液晶化合物(LB)は、
第3成分として、以下の一般式(iii)で表される化合物を1種又は2種以上含有する、高分子分散型液晶組成物。
【化3】
(一般式(iii)中、R
1は炭素原子数1から10までのアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH
2基は酸素原子、-COO-、-OCO-で置き換えられていてもよく、また一つ以上のメチレン基は-CH=CH-、又は-CH≡CH-よって置き換えられていてもよく、
R
2は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、CF
3基、OCF
3基、OCHF
2基、NCS基、又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH
2基は酸素原子、-COO-、-OCO-で置き換えられていてもよく、また一つ以上のメチレン基は-CH=CH-、又は-C≡C-によって置き換えられていてもよく、好ましくはフッ素原子、シアノ基、又は炭素原子数1~5のアルキル基(該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH
2基は酸素原子で置き換えられていてもよく、また一つ以上のメチレン基は-CH=CH-、又は-CH≡CH-よって置き換えられていてもよい)であり、
ただし、R
1及びR
2の1つは炭素原子数1から5までのアルケニル基を表し、
Z
1、及びZ
2は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH
2-CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、又は-C≡C-を表し、Z
1が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
A
1、A
2、及びA
3は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF
3基、OCF
3基又はCH
3基を有していても良く、A
3が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
n
1は0、1又は2である)
【請求項2】
前記高分子分散型液晶組成物において、前記非重合性液晶化合物(LB)と前記重合性化合物(MA)との重量比(LB/MA)は、30/70~70/30の範囲である、請求項1に記載の高分子分散型液晶組成物。
【請求項3】
前記重合性化合物(MA)は、更に、第4成分として、以下の一般式(iv)で表される、重量平均分子量1500未満の多官能重合性オリゴマー及び多官能重合性モノマーからなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、請求項1または請求項2に記載の高分子分散型液晶組成物。
【化4】
(式中、Y
31は水素原子、又はメチル基を表し、
X
31は炭素原子数130以下のアルキレン基を表し、該アルキレン基は環式炭化水素基や分岐鎖を有していてもよく、該アルキレン基、又は環式炭化水素基中の一つ以上の-CH
2-基は、酸素原子が互いに直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-NH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-で置換されていてもよく、該アルキレン基又は環式炭化水素基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子又は-OHで置換されていてもよく、
n
31は2~6の整数を表す)
【請求項4】
前記重合性化合物(MA)は、更に、第5成分として、以下の一般式(v)で表される鎖状単官能重合性化合物を1種又は2種以上含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶組成物。
【化5】
(式中、P
v1は重合性基を表し、
R
v2は炭素原子数1~22の直鎖又は分岐のアルキル基を表すが、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-P(=O)(-OH)-で置換されていてもよく、該アルキル基中に存在する1又は2以上の水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子又は-OHで置換されていてもよい。)
【請求項5】
前記第1成分が、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶組成物。
【請求項6】
前記第4成分が、以下の一般式(iv―b1)で表される化合物である、請求項3~5のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶組成物。
【化6】
(式中、Y
1、及びY
2は水素原子、又はメチル基を表し、
X
1は直鎖、または分岐の炭素原子数2~80のアルキレンを表し、該アルキレンの任意の炭素原子は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、-C≡C-又はOHで置換されてよい。)
【請求項7】
前記非重合性液晶化合物(LB)は、更に、第6成分として、以下の一般式(vi)で表される化合物を1種又は2種以上含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶組成物。
【化7】
(式中、R
3は、炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つ以上の-CH
2-基は酸素原子、-CH=CH-、-COO-、-OCO-で置き換えられていてもよく、
環A
6は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF
3、OCF
3、又はメチル基を有することができ、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6、Y
7、Y
8、及びY
9は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、CF
3、OCF
3を表し、
Z
6、Z
7は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH
2-CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、又は-C≡C-を表し、
nは0又は1を表す。)
【請求項8】
前記重合性化合物(MA)は、更に、以下の一般式(X)で表される化合物を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶組成物。
【化8】
(式中、Y
31は水素原子、又はメチル基を表し、
X
31は炭素原子数130以下のアルキレン基を表し、該アルキレン基は環式炭化水素基や分岐鎖を有していてもよく、該アルキレン基、又は環式炭化水素基中の一つ以上の-CH
2-基は、酸素原子が互いに直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-NH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-で置換されていてもよく、該アルキレン基又は環式炭化水素基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子又は-OHで置換されていてもよく、
n
31は1~6の整数を表し、
X
31は、以下の式(X-1)で表される基を含む)
【化9】
【請求項9】
更に、重合開始剤を含有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶組成物。
【請求項10】
更に、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、粒子径が1μm未満の粒子、染料、及び顔料からなる群から選択される1種または2種以上を含有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の高分子分散型液晶組成物を用いて得られた液晶素子。
【請求項12】
一対の透明電極基板と、
前記透明電極基板の間に配された、ポリマーネットワークと液晶化合物とを含む複合層と、
を有する調光素子であって、
前記ポリマーネットワークが、請求項1~10のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶組成物に含まれる前記重合性化合物(MA)由来のポリマーネットワークであり、
前記液晶化合物が、請求項1~10のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶組成物に含まれる非重合性液晶化合物(LB)である、調光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子分散型液晶組成物、該高分子分散型液晶組成物を用いて得られた液晶素子、及び液晶素子を用いた調光素子に関する。調光素子は、スマートウィンドウ、住宅やビル等建築物の窓ガラス、ドア、パーティション、プライベートガラス等に使用される調光素子;自動車、飛行機、船舶、電車等輸送媒体に使用されるガラス窓、鏡、屋根等に使用される調光素子;デジタルカメラやスマートフォン等の調光に使用される光シャッター、ディスプレイ用光源の光散乱板、導光板、反射型ディスプレイや透明ディスプレイの反射板等に使用される調光素子を含む。
【背景技術】
【0002】
液晶材料がポリマーマトリックス中に分散している高分子分散型(PNM: :Polymer Network liquid crystal Material)液晶素子や液晶材料がポリマーネットワーク中に介在している高分子分散型液晶素子は、一般的な液晶素子とは異なり、素子の透過/散乱度合いを調整可能である。前記特徴から、反射型ディスプレイ、透明ディスプレイ、ローカルディミング光拡散素子、可変型反射素子等の高付加価値ディスプレイへ等の応用が期待されている。一方、透過/散乱の調光機能を活用した建材用や輸送用の窓ガラス、インテリア、エクステリア、プライベートガラス(SG)や可変型プロジェクタースクリーン、デジタルサイネージ等のスマートガラスやスマートウィンドウ(SW)等への応用も、近年の通信技術の発展に伴い、モバイル端末を用いて工業用、家庭用に関わらず各種設備機器の制御も可能になってきていることから、それらを実現するための調光材料が望まれている。
特に、上記スマートガラスやスマートウィンドウ(SW)に展開する場合、高分子分散型液晶素子や高分子分散型液晶素子全面の調光を行うことから、一般的には透明基材、透明電極層、前記液晶素子層、透明電極層、透明基材層のような単純な構成で全面に電圧を印加することになる。スマートウィンドウ等に使用する場合は、向こう側の様子をわからなくするため、高い散乱性が望まれており、また透明状態では、なにもないような高い透明性も求められる。また、それらの状態は電気的に切り替えるが、省電力化が必要であり、ON、OFF切替電圧の低駆動電圧が望まれている。また、生産性の観点から、ロールtoロール方式で、PETフィルムやPCフィルムのようなフレキシブルな基材に直接形成可能なことが重要である。このロールtoロール方式で生産するためには、基材と前記液晶素子との密着性(接着性)も重要な特性となり、基材に対する高い密着性も求められる。
特許文献1では、特定のモノマー化合物を用いて低電圧駆動を実現した例が示されているが、密着性が不十分という問題があった。また、特許文献2には、耐光性を改善するために特定の液晶化合物を使用しており、耐光性には一定の効果がみられたものの光散乱性が不十分であるという問題があった。特許文献3には密着性を改善するために特定の重合性化合物を使用しており、密着性には一定の効果がみられたものの、駆動電圧が高いという問題を抱えていた。このように、散乱性、駆動電圧、密着性をバランスよく改善する方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-208107号公報
【特許文献2】特開2007-91850号公報
【特許文献3】特開2011-026526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術で述べたように生産性を考慮した場合、前記のようなフレキシブルな基材を用いて生産する際に様々な工程において前記透明基材、あるいは、透明電極層と前記液晶素子層が剥がれない程度の良好な密着性が必要となる。また、使用性や加工性を考慮した場合も同様に密着性が必要となる。さらには、調光素子として実用に耐えうるだけの信頼性、駆動電圧、散乱性、電圧ON時の透明性などの特性が必要である。
従って、本発明が解決しようとする課題は、基材との密着性が強く、信頼性が高く、駆動電圧が低く、散乱性も良好であり、電圧ON時の透明性が高い高分子分散型液晶組成物、液晶素子、及び調光素子を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、基材との密着性が強く、信頼性が高く、駆動電圧が低く、散乱性も良好であり、電圧ON時の透明性が高い高分子分散型液晶組成物、液晶素子、及び調光素子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、重合性化合物(MA)と非重合性液晶化合物(LB)とを含有する高分子分散型液晶組成物であって、
前記重合性化合物(MA)は、
第1成分として、重量平均分子量が1500以上の多官能の(メタ)アクリレートオリゴマーを1種又は2種以上含有し、
第2成分として、以下の一般式(ii)で表される環状単官能重合性化合物を1種又は2種以上含有し、
【化1】
(式中、P
iiは重合性官能基を表し、
Z
iiは単結合、又は炭素原子数1~7のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の隣接しない-CH
2-は酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよく、
A
iiは一般式(ii-9)~(ii-20)を表し、
【化2】
(式中、1つ以上の-CH
2-はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NH-、-NCH
3-、又は-CO-で置換されていてもよいが、一般式(ii-9)~(ii-20)中に酸素原子及び/又は硫黄原子が合計2個以上存在する場合には、これらは-O-O-、-O-S-又は-S-S-のようにお互い同士結合することは無く、また、一つ以上の-CH
2-CH
2-は、-CH=CH-基に置換されていてもよく、また、一般式(ii-9)~(ii-20)中の水素原子は炭素原子数1~8のアルキル基で置換されていてもよく、該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であっても良く、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の隣接しない-CH
2-は酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよい。また、式中の黒点はZ
iiへの結合手を表す。))
前記非重合性液晶化合物(LB)は、
第3成分として、以下の一般式(iii)で表される化合物を1種又は2種以上含有する、高分子分散型液晶組成物。
【化3】
【0006】
(式中、R1は炭素原子数1から10までのアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子、-COO-、-OCO-で置き換えられていてもよく、また一つ以上のメチレン基は-CH=CH-、又は-CH≡CH-よって置き換えられていてもよく、
R2は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、CF3基、OCF3基、OCHF2基、NCS基、又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子、-COO-、-OCO-で置き換えられていてもよく、また一つ以上のメチレン基は-CH=CH-、又は-C≡C-によって置き換えられていてもよく、好ましくはフッ素原子、シアノ基、又は炭素原子数1~5のアルキル基(該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子で置き換えられていてもよく、また一つ以上のメチレン基は-CH=CH-、又は-CH≡CH-よって置き換えられていてもよい)であり、
ただし、R1及びR2の1つは炭素原子数1から5までのアルケニル基を表し、
Z1、及びZ2は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CF2O-、-OCF2-、又は-C≡C-を表し、Z1が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
A1、A2、及びA3は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF3基、OCF3基又はCH3基を有していても良く、A3が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
n1は0、1又は2である。)
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法を用いると、基材との密着性が強く、信頼性が高く、駆動電圧が低く、散乱性も良好であり、電圧ON時の透明性が高い高分子分散型液晶組成物、液晶素子、及び調光素子が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の高分子分散型液晶組成物、及び、それを用いた高分子分散型の液晶素子の実施形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的な例として説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0009】
<高分子分散型液晶組成物>
本発明の高分子分散型液晶組成物は、前記したとおり、重合性化合物(MA)と非重合性液晶化合物(LB)とを含有する。前記重合性化合物(MA)は、第1成分として、重量平均分子量が1500以上の多官能の(メタ)アクリレートオリゴマーを1種又は2種以上含有し、第2成分として、以下の一般式(ii)で表される環状単官能重合性化合物を1種又は2種以上含有する。前記非重合性液晶化合物(LB)は、第3成分として、以下の一般式(iii)で表される化合物を1種又は2種以上含有する。
前記重合性化合物(MA)は、更に、第4成分として、以下の一般式(ii)で表される、重量平均分子量1500未満の多官能重合性オリゴマー及び多官能重合性モノマーからなる群から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましい。また、前記重合性化合物(MA)は、更に、第5成分として、後述の一般式(v)で表される鎖状単官能重合性化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
前記非重合性液晶化合物(LB)は、更に、第6成分として、後述の一般式(vi)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
本発明の高分子分散型液晶組成物において、非重合性液晶化合物(LB)と前記重合性化合物(MA)との重量比(LB/MA)は、30/70~70/30の範囲であることが好ましく、40/60~65/35であることがよりこのましく、45/55~60/40が更に好ましい。以下、各成分について具体的に説明する。
【0010】
〔第1成分〕
第1成分が、重量平均分子量が1500以上の多官能の(メタ)アクリレートオリゴマーである。
第1成分の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリマーのネットワーク構造中に架橋構造を導入するために、また、良好な密着性を得るために必要な化合物である。多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの中でも、2官能アクリレートオリゴマーが好ましい。さらに、基板との密着性を重視するには、前記第1成分が、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましく、ウレタン系アクリレートオリゴマーであることが更により好ましい。ウレタン系アクリレートオリゴマーにはポリエステル系、ポリエーテル系などがあるが、ポリエーテル系の方が好ましい。分子量としては、重量平均分子量が1500以上であり、1500~60000が好ましく、1800~40000がより好ましく、2000~30000が更により好ましい。これは、あまり分子量が小さいと1分子中に含まれる(メタ)アクリル基の増加によって引き起こる架橋密度の増加により、硬化収縮の度合いが大きくなり、密着性が悪化してしまい、逆にあまり分子量が大きいと架橋間距離が長くなるため、隙間が大きくなり、液晶を取り込みやすくなるために高分子分散型液晶としての散乱性が低下するからである。すなわち高温下での環境に放置すると、ポリマーが液晶を吸収してしまい、特性が大きく変化してしまうためである。また、分子量が大きいと重合性化合物添加による高分子分散型液晶の転移点Tnmの低下度合いが小さくなり、Tnmを室温以下にするには、液晶組成物自身のTniが低い材料を用いなければならなくなるため、結果的に動作温度範囲が狭くなってしまう問題も生じてしまう。
また、本発明において、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)はGPC測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
【0011】
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC-8320 GPC」
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「SuperHZ-L」+東ソー株式会社製「SuperHZ2000」×3本+東ソー株式会社製「TSuperHZM-M」
検出器:内蔵RI検出器
データ処理:東ソー株式会社製「EcoSEC-WorkStation Ver2.01」
測定条件:カラム温度40℃、展開溶媒テトラヒドロフラン、流速1.0ml/分
標準:装置測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の単分散ポリスチレンを用いた。
【0012】
多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、水酸基含有アクリレートと、ポリオール、ポリイソシアネートを反応させて得られる。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール等があげられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等があげられる。
ポリイソシアネートとしては、2、4-および2、6-トリレンジイソシアネート(TDI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4、4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロペンタジエンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびカルボジイミド変性MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等があげられる。
【0013】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ε-カプロラクトンで変性されたモノ(メタ)アクリレート等があげられる。
【0014】
具体的には、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート、ポリウレタンジアクリレートオリゴマーが好ましく、用いるポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが好ましく、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが特に好ましく、用いるポリイソシアネートとしては、環状構造を有するポリイソシアネートが好ましく、脂環構造を有するポリイソシアネートが特に好ましい。より具体的には、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、ジシクロペンタジエンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、カルボジイミド変性MDIが好ましく、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、ジシクロペンタジエンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
【0015】
用いる水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ε-カプロラクトンで変性されたモノ(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0016】
また、以下の一般式(i-1)の化合物も好ましい。
【0017】
【0018】
(式中、Xi1はそれぞれ独立して水素原子、又はメチル基を表し、Bi1は炭素原子数1~4までのアルキル基を表し、該アルキル基中の一つ以上の-CH2-は酸素原子、-CO-、-COO-、-OCO-で置換されていても良く、bは1~20を表し、B2は、下記(i-2)~(i-6)を表し、それぞれ単独でもよいし、組み合わせてもよく、
【0019】
【0020】
B3は以下一般式(i-7)、(i-8)又は(i-9)から選ばれる基であり、それぞれ単独でもよいし、組み合わせてもよい。)
【0021】
【0022】
【0023】
(式中、Xi2は水素原子、又はメチル基を表し、Xi3は炭素原子数1~9のアルキル基を表し、
Y5は炭素原子数1~15のアルキレン基、又は2価の芳香族基、2価の脂環式炭化水素基を表し、
Y3、Y4は水素原子、又はメチル基を表し、
t、t1及びt2はそれぞれ独立して0~300の整数を表し、t+t1+t2は20~300の整数を表す。)
【0024】
さらには、脂肪族ウレタンアクリレート、ポリウレタンジアクリレートオリゴマーが特に好ましい。
【0025】
第1成分である重量平均分子量が1500以上の多官能の(メタ)アクリレートオリゴマーから選択される重合性化合物の含有量は、本発明の高分子分散型液晶組成物が含有する重合性化合物(MB)の合計量100質量%に対し、密着性を高める観点から、5質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることが特に好ましい。また、低電圧化の観点から、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。
【0026】
〔第2成分〕
第2成分が、以下の一般式(ii)で表される環状単官能重合性化合物である。
【0027】
【0028】
(式中、Piiは重合性官能基を表し、
Ziiは単結合、又は炭素原子数1~7のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の隣接しない-CH2-は酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよく、
Aiiは一般式(ii-9)~(ii-20)を表す。
【0029】
【0030】
【0031】
(式中、1つ以上の-CH2-はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NH-、-NCH3-、又は-CO-で置換されていてもよいが、一般式(ii-9)~(ii-20)中に酸素原子及び/又は硫黄原子が合計2個以上存在する場合には、これらは-O-O-、-O-S-又は-S-S-のようにお互い同士結合することは無く、また、一つ以上の-CH2-CH2-は、-CH=CH-基に置換されていてもよく、また、一般式(ii-9)~(ii-20)中の水素原子は炭素原子数1~8のアルキル基で置換されていてもよく、該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であっても良く、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の隣接しない-CH2-は酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよい。また、式中の黒点はZiiへの結合手を表す。))
【0032】
上記式(ii-9)~(ii-20)中、上記式(ii-9)、(ii-10)、(ii-11)、(ii-15)、(ii-16)、(ii-17)、(ii-19)が好ましい。
【0033】
第2成分の一般式(ii)で表される化合物は、可撓性に優れる材料であり、この化合物を用いると、曲げた状態でも白濁性を維持することができる。また、密着性を高めると共に、重合性組成物中の各成分の相溶性を高めることができる。一般式(ii)で表される化合物は、非液晶性の化合物である。
【0034】
一般式(ii)で表される化合物において、式中Piiは重合性官能基を表すが、好ましくはそれぞれ独立して、下記式(P-1)~式(P-20)のいずれかがより好ましい。また、下記式(P-1)~式(P-20)中、*は、炭素原子又は他の原子との結合を示す。
【0035】
【0036】
上記式(P-1)~(P-20)で表わされる重合性基のうち、重合性及び保存安定性を高める観点から、式(P-1)、式(P-2)、式(P-7)、式(P-12)、又は式(P-13)が好ましく、式(P-1)、式(P-2)、式(P-7)がより好ましく、特に式(P-1)、及び式(P-2)が好ましい。
【0037】
一般式(ii)で表される化合物において、式中Ziiは単結合又は炭素原子数1~9のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子で置換されていてもよいが、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であることが好ましく、単結合又は炭素原子数1~3のアルキレン基であることがより好ましく、単結合、又は-CH2-基が更により好ましい。
【0038】
一般式(ii)で表される化合物において、式中Aiiは、密着性をより向上させる観点から、Aii中に酸素原子、硫黄原子を有する複素環構造を有することが好ましく、より具体的には、以下の一般式(ii-a6)~(ii-a11)であることが好ましい。
【0039】
【0040】
(式中、1つ以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CO-で置換されていてもよく、また、一般式(ii-a6)~(ii-a11)中の水素原子は炭素原子数1~8のアルキル基で置換されていてもよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の隣接しない-CH2-は酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよい。また、式中の黒点はZiiへの結合手を表す。)具体的には、下記の(II-35)から(II-51)の化合物が好ましい。
【0041】
【0042】
(式中X5は水素原子、又はメチル基を表す。)構造式(II-35)から(II-51)の中でも、(II-36)から(II-51)が好ましく、(II-36)、(II-38)、(II-39)、(II-40)、(II-45)、(II-47)がより好ましい。
【0043】
第2成分である一般式(ii)で表される化合物の含有量は、本発明の高分子分散型液晶組成物が含有する前記重合性化合物(MA)の合計量100質量%に対し、密着性を向上させる観点から、また、重合性組成物中の各成分の相溶性を高める観点から、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。また、低電圧化の観点から、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが特に好ましい。
【0044】
〔第4成分〕
第4成分が、以下の一般式(iv)で表される、重量平均分子量1500未満の多官能重合性オリゴマー、または多官能重合性モノマーである。また、重量平均分子量が1000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましい。
【0045】
【0046】
(式中、Y31は水素原子、又はメチル基を表し、
X31は炭素原子数130以下のアルキレン基を表し、該アルキレン基は環式炭化水素基や分岐鎖を有していてもよく、該アルキレン基、又は環式炭化水素基中の一つ以上の-CH2-基は、酸素原子が互いに直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-NH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-で置換されていてもよく、該アルキレン基又は環式炭化水素基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子又は-OHで置換されていてもよく、
n31は2~6の整数を表す。)
また、X31は炭素原子数100以下のアルキレン基が好ましい。
【0047】
一般式(iv)で表される、重量平均分子量1500未満の多官能重合性オリゴマー、または多官能重合性モノマーは、好ましくは一般式(iv-b1)で表される重合性化合物を用いることが好ましい。
【0048】
【0049】
(式中、Y1、及びY2は水素原子、又はメチル基を表し、
X1は直鎖、または分岐の炭素原子数2~80のアルキレンを表し、該アルキレンの任意の炭素原子は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、-C≡C-又はOHで置換されてよい。)
ここで、一般式(iv-b1)中、X1は直鎖、または分岐のアルキレンは、炭素原子数2~70の範囲であるが、炭素原子数は6~70の範囲であることが好ましく、中でも8~60の範囲であることが好ましく、特に9~50の範囲であることが駆動電圧低下の点から好ましい。
【0050】
上記した一般式(iv-b1)で表される重合性化合物は、例えば、下記の構造のものが挙げられる。
【0051】
【0052】
(式中、n及びmはn+mが1~10、n2は1~18、n3及びm2はn3+m2が1~18となる値、n4は1~23、n5は1~23、n6は4~30、n7は2~10、n8及びn9は2~10をそれぞれ表す。)
【0053】
第4成分である一般式(iv)で表される重合性化合物の含有量は、本発明の高分子分散型液晶組成物が含有する前記重合性化合物(MA)の合計量100質量%に対し、耐熱性向上の観点から、2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、密着性を維持する観点から、50質量%以下であること、40質量%以下であること、30質量%以下であること、25質量%以下であることが特に好ましい。
【0054】
〔第5成分〕
第5成分が、以下の一般式(v)で表される鎖状単官能重合性化合物である。
【0055】
【0056】
(式中、Pv1は重合性基を表し、
Rv2は炭素原子数1~22の直鎖又は分岐のアルキル基を表すが、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-P(=O)(-OH)-で置換されていてもよく、該アルキル基中に存在する1又は2以上の水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子又は-OHで置換されていてもよい。)
【0057】
一般式(v)で表される化合物において、式中Pv1は重合性官能基を表すが、好ましくは一般式(ii)中のPiiが表す重合性基と同じである。
一般式(v)で表される化合物において、式中Rv2は炭素原子数3~20の直鎖又は分岐のアルキル基を表すことがより好ましく、炭素原子数6~18の直鎖又は分岐のアルキル基を表すことが特に結晶性を抑制できる点から好ましく、分岐のアルキル基を表すことが更により好ましく、炭素原子数9~24の分岐のアルキル基を表すことが更により好ましい。
【0058】
Rv2が直鎖アルキル基を表す場合、一般式(v)で表される化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート等の直鎖状アルキル鎖を有するモノ(メタ)アクリレート、あるいは、下記の構造で表される直鎖状アルキル鎖を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、一般式(v)で表される化合物としては、一般式(v)中のRv1が直鎖状のエーテル鎖の構造を有するアクリレートが好ましい。当該エーテル鎖の構造を有するアクリレートとしては、下記の構造で表される化合物が好ましい。
【0059】
【0060】
(上記一般式(ii-a1)~(ii-a3)中、qは1~12、好ましく1~5、より好ましく1~3の整数表す。)
上記一般式(v)のなかでも、駆動電圧を低減効果が顕著なものとなる観点からは、直鎖状アルキル鎖を有するモノ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
Rv2が分岐アルキル基を表す場合、一般式(v)で表される化合物としては、下記の構造で表される分岐状アルキル鎖を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。また、一般式(v)で表される化合物としては、イソブチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0061】
【0062】
また、一般式(v)で表される化合物としては、一般式(v)中のRv1が直鎖状のエーテル鎖の構造を有するアクリレートが好ましい。当該エーテル鎖の構造を有するアクリレートとしては、下記の構造で表される化合物が好ましい。
【0063】
【0064】
(式中qは1~10、好ましく1~5、より好ましく1~3の整数を表す)
これらのなかでも特に電圧無印加時の透明性を良好に維持しつつ、駆動電圧を低減効果が顕著なものとなる点から分岐状アルキル鎖を有するモノ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0065】
第5成分である一般式(v)で表される鎖状単官能重合性化合物の含有量は、本発明の高分子分散型液晶組成物が含有する前記重合性化合物(MA)の合計量100質量%に対し、密着性を向上させる観点から、また、重合性組成物中の各成分の相溶性を高める観点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。また、低電圧化の観点から、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。
【0066】
〔添加剤〕
本発明の高分子分散型液晶組成物において、より密着性を重視した組成のためには、重合性化合物(MA)は、前述の第1~4第成分及び前述のその他の重合性化合物の以外に、更に、以下の一般式(X)で表される添加剤を含有することが好ましい。
【化21】
【0067】
(式中、Y31は水素原子、又はメチル基を表し、
X31は炭素原子数130以下のアルキレン基を表し、該アルキレン基は環式炭化水素基や分岐鎖を有していてもよく、該アルキレン基、又は環式炭化水素基中の一つ以上の-CH2-基は、酸素原子が互いに直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-NH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-で置換されていてもよく、該アルキレン基又は環式炭化水素基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子又は-OHで置換されていてもよく、
n31は1~6の整数を表し、
X31は、以下の式(X-1)で表される基を有することが好ましい。
【0068】
【0069】
具体的には下記の化合物を添加することが好ましい。
【0070】
【0071】
【0072】
(式中X6、X7、及びX8はそれぞれ独立して水素原子、又はメチル基を表し、q、r、及びsは1から4を表す。)
上記一般式(X-1)で表される基を有する化合物の添加量としては、高分子分散型液晶組成物の合計量のうち、0.005~2質量%であることが好ましく、0.01~0.5質量%であることがより好ましく、0.01~0.2質量%であることが更に好ましい。
【0073】
(その他の重合性化合物)
重合性化合物(MA)は、その他の重合性化合物として、メソゲン性骨格を有する重合性化合物を含んでもよいが、含まなくてもよい。このような重合性化合物としては、一般式(2)~(8)で表される化合物は液晶性を示すことが好ましい。
【0074】
【0075】
上記式(2)~(8)中、P11~P74は重合性基を表し、好ましくはそれぞれ独立して、下記式(P-1)~式(P-20)のいずれかがより好ましい。また、下記式(P-1)~式(P-20)中、*は、炭素原子又は他の原子との結合を示す。
【0076】
【0077】
上記式(P-1)~(P-20)で表わされる重合性基のうち、重合性及び保存安定性を高める観点から、式(P-1)、式(P-2)が好ましい。
【0078】
X11~X72は各々独立して-O-、-S-、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH2CH2-、-OCO-CH2CH2-、-CH2CH2-COO-、-CH2CH2-OCO-、-COO-CH2-、-OCO-CH2-、-CH2-COO-、-CH2-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、X11~X72が複数存在する場合それらは各々同一であっても異なっていても良く(ただし、各P-(S-X)-結合には-O-O-を含まない。)、特に単結合、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-から選択される基が好ましい。
M11、M21、M31、M51、M71は、各々独立して、下記一般式(9-a)で表されるメソゲン基
【0079】
【0080】
(一般式(9-a)中、A91、A92、A93は各々独立して少なくとも環構造を1つ以上有する2価の基であり、前記2価の基は1,2-シクロプロピレン基、1,3-シクロブチレン基、2,5-シクロペンチレン基、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-1,5-ジイル基、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-1,6-ジイル基、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-2,5-ジイル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]-1,3-ジイル基、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,5-ジイル基-、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ナフチレン-1,4-ジイル基、ナフチレン-1,5-ジイル基、ナフチレン-1,6-ジイル基、ナフチレン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、ベンゾチアゾール基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b‘]ジチオフェン-2,6-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b‘]ジセレノフェン-2,6-ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2-b]チオフェン-2,7-ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2-b]セレノフェン-2,7-ジイル基、又はフルオレン-2,7-ジイル基から選ばれる基を表すが、これらの基は無置換又は1つ以上のL1によって置換されても良いが、A91及び/又はA92が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、
Z91及びZ92は各々独立して-O-、-S-、-OCH2-、-CH2O-、-CH2CH2-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH2CH2-、-OCO-CH2CH2-、-CH2CH2-COO-、-CH2CH2-OCO-、-COO-CH2-、-OCO-CH2-、-CH2-COO-、-CH2-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、Z91及び/又はZ92が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、
j91及びj92は、各々独立して0~4を表すが、j91+j92は1~4の整数を表し、
L1はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=N-、-CR1=N-N=CR1-、又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状、分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い(なお、R1は水素原子、又は、炭素原子数1から20のアルキル基を表すが、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であっても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、当該アルキル基中の1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されても良い。)。)を表す。
また、M41は、前記A91、A92、A93として例示した環構造を有する3価の有機基であり、M61は前記A91、A92、A93として例示した環構造を有する4価の有機基である。
【0081】
前記一般式(2)~一般式(8)中、R11、R31はそれぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、又は、炭素原子数1から20のアルキル基を表すが、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であっても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、当該アルキル基中の1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されても良く、
m1~m7、n2~n7、l4~l6、k6は各々独立して0から5の整数を表す。)
前記一般式(2)~一般式(8)中、S11~S72は各々独立してスペーサー基を又は単結合を表し、前記S11~S72で表されるスペーサー基は、炭素原子数1~18のアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子、CN基、炭素原子数1~8のアルキル基、または重合性官能基を有する炭素原子数1~8のアルキル基により置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-CO-、-CH(OH)-、CH(COOH)、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。これらのスペーサー基のうち、配向性の観点から、炭素原子数2~8の直鎖アルキレン基、フッ素原子で置換された炭素原子数2~6のアルキレン基、アルキレン基の一部が-O-で置き換えられた炭素原子数5~14のアルキレン基が好ましい。また、S11~S72が複数存在する場合それらは各々同一であっても異なっていても良い。
【0082】
前記一般式(2)~一般式(8)中、m1~m7、n2~n7、l4~l6、k6は各々独立して0から5の整数を表し、m1~m7、n2~n7、l4~l6、k6は各々独立して0または1が好ましい。
【0083】
上記第1、第2、第4、第5成分以外のその他の重合性化合物の合計含有量は、本発明の高分子分散型液晶組成物が含有する前記重合性化合物(MA)の合計量100質量%に対し、配向性、透明性の観点から、2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。また、散乱性、低駆動電圧化の観点から、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが特に好ましい。
【0084】
本発明の高分子分散型液晶組成物において、前記高分子分散型液晶組成物中に含まれる前記重合性化合物(MA)の総量の割合の下限は、高分子分散型液晶組成物中の非重合性液晶化合物(LB)及び重合性化合物(MA)の合計含有量のうち、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることが好ましい。また、本発明の高分子分散型液晶組成物において、前記高分子分散型液晶組成物中に含まれる重合性化合物(MA)の総量の割合の上限は、70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることが好ましい。前記高分子分散型液晶組成物中に含まれる重合性化合物(MA)の総量とは、高分子分散型液晶組成物内に含有する全ての重合性化合物の合計量を意味するものである。
【0085】
〔第3成分〕
第3成分が、以下の一般式(iii)で表される化合物を1種又は2種類以上含有する。
【0086】
【0087】
(式中、R1は炭素原子数1から10までのアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子、-COO-、-OCO-で置き換えられていてもよく、また一つ以上のメチレン基は-CH=CH-、又は-CH≡CH-よって置き換えられていてもよく、
R2は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、CF3基、OCF3基、OCHF2基、NCS基、又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子、-COO-、-OCO-で置き換えられていてもよく、また一つ以上のメチレン基は-CH=CH-、又は-C≡C-によって置き換えられていてもよく、好ましくはフッ素原子、シアノ基、又は炭素原子数1~5のアルキル基(該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子で置き換えられていてもよく、また一つ以上のメチレン基は-CH=CH-、又は-CH≡CH-よって置き換えられていてもよい)であり、
ただし、R1及びR2の1つは炭素原子数1から5までのアルケニル基を表し、
Z1、及びZ2は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CF2O-、-OCF2-、又は-C≡C-を表し、Z1が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
A1、A2、及びA3は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF3基、OCF3基又はCH3基を有していても良く、A3が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
n1は0、1又は2である。)
【0088】
一般式(iii)の化合物としては、Z1、及びZ2が、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-CF2O-、又は-C≡C-(Z2が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良い)を表し、A1、A2、及びA3は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基(該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、又はCH3基を有していても良く、A3が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良い)を表し、n1は0、又は1又を表す化合物であることが好ましい。
【0089】
また、一般式(iii)の化合物としては、A1が1,4-シクロヘキシレン基を表す化合物が好ましく、n1が1の場合、A1、A2が1,4-シクロヘキシレン基を表す化合物が好ましい。
【0090】
また、ただし、R1又はR2が炭素原子数1から5までのアルケニル基を表す場合、そのアルケニル基は、式(iii-A)~(iii-D)で示すアルケニル基が好ましく、式(iii-A)~(iii-C)で示すアルケニル基がより好ましく、式(iii-A)~(iii-B)で示すアルケニル基が更により好ましく、式(iii-A)で示すアルケニル基が最も好ましく用いることができる。
【0091】
【0092】
具体的には以下の式(iii-1)~(iii-11)で表される化合物が好ましく式(iii-3)、式(iii-10)、式(II-11)で表される化合物がより好ましく、式(iii-3)、式(iii-10)で表される化合物が好ましい。
【0093】
【0094】
高分子分散型液晶組成物に含まれている非重合性液晶化合物(LB)の合計質量に対して、第3成分として上記一般式(iii)で表される液晶化合物の含有量は、3~20%であることが好ましく、5~15%であることがより好ましい。
【0095】
〔第6成分〕
前記非重合性液晶化合物(LB)は、第3成分以外に、更に、第6成分として、以下の一般式(vi-0)で表される化合物を1種又は2種類以上含有することが好ましい。
【0096】
【0097】
(式中、R11は炭素原子数1から10までのアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子、-COO-、-OCO-で置き換えられていてもよく、また一つ以上のメチレン基は-CH≡CH-よって置き換えられていてもよく、R12は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、CF3基、OCF3基、OCHF2基、NCS基、シアノ基、又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子、-COO-、-OCO-で置き換えられていてもよく、また一つ以上のメチレン基は-C≡C-によって置き換えられていてもよく、好ましくはフッ素原子、シアノ基又は炭素原子数1~5のアルキル基(該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子で置き換えられていてもよい)であり、
Z11、及びZ12は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CF2O-、-OCF2-、又は-C≡C-を表し、Z12が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
A11、A12、及びA13は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF3基、OCF3基又はCH3基を有していても良く、A13が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
n11は0、1又は2である。)
【0098】
一般式(vi-0)の化合物としては、一般式(vi-0)中のR11が炭素原子数1から5までのアルキル基(該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子で置き換えられていてもよい)であることが好ましく、R12は、フッ素原子、シアノ基、又は炭素原子数1~5のアルキル基(該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子で置き換えられていてもよい)であることが好ましく、Z11、及びZ12は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH2-CH2-、-CF2O-、又は-OCF2-(Z11が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良い)であることが好ましく、単結合、-COO-、-CF2O-であることがより好ましく、A11、A12、及びA13は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基(該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、又はCH3基を有していても良く、A13が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良い)であることが好ましく、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリミジン-2,5-ジイル基、2,6-ナフチレン基(該1,4-フェニレン基、2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、又はCH3基を有していても良く、A13が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良い)であることがより好ましく、n1は0、又は1であることが好ましい。
【0099】
第6成分としては、以下の一般式(vi)で表される化合物を含むことがより好ましい。
【化32】
【0100】
(式中、R3は、炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つ以上の-CH2-基は酸素原子、-COO-、-OCO-で置き換えられていてもよく、
環A6は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF3、OCF3、又はメチル基を有することができ、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、及びY9は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、CF3、OCF3を表し、
Z6、Z7は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CF2O-、-OCF2-、又は-C≡C-を表し、
nは0又は1を表す。)
【0101】
また、一般式(vi)において、R3は炭素原子数1~10のアルキル基、又はアルコキシ基であることがより好ましい。環A6は、1,4フェニレン基、1,4シクロへキシレン基(該1,4フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子を有することができる)であることがより好ましい。Y4、Y5、Y8、及びY9からなる群から選択される1つがフッ素原子を表し、その残りの3つは全部水素原子を表すことがさらに好ましい。Z6、Z7は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH2-CH2-であることがより好ましく、単結合、又は-COO-であることが更に好ましい。
【0102】
また、一般式(vi)において、R3は、炭素原子数1~10、好ましく2~5、より好ましく3~5のアルキル基を表し、
環A6は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個のフッ素原子を有することができ、
Y2、Y3、Y6、及びY7は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子を表し、
Y4、Y5、Y8、及びY9からなる群から選択される1つがフッ素原子を表し、その残りの3つは全部水素原子を表し、
Z6、Z7は、それぞれ独立して、単結合を表し、
nは1を表すことが最も好ましい。
【0103】
具体的には以下の(vi-1)~(vi-10)の化合物が挙げられる。
【0104】
【0105】
(式中R51は炭素原子数1~10のアルキル基、又はアルコキシ基を表し、Y11~Y62は、それぞれ独立して水素原子、又はフッ素原子を表す。Y11~Y62は、それぞれ独立して水素原子、又はフッ素原子を表す。Y11~Y62は、全て水素原子を表しても良く、その中の1つ以上がフッ素原子を表しても良い。)
【0106】
また、具体的には以下の一般式(vi-a)、(vi-b)の化合物が挙げられる。
【0107】
【0108】
(式中R511は炭素原子数2~7のアルキル基、又は炭素原子数2~7のアルコキシ基を表し、好ましく2~5のアルキル基、又は炭素原子数2~5のアルコキシ基を表す。)
【0109】
高分子分散型液晶組成物に含まれている非重合性液晶化合物(LB)の合計質量に対して、上記一般式(vi)で表される液晶化合物の含有量は、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
また、本発明の高分子分散型液晶組成物中には、上記一般式(vi-a)及び/又は一般式(vi-b)で表される非重合性液晶化合物を5~60質量%含有することが好ましく、10~50質量%含有することがより好ましく、12~40質量%含有することが更に好ましく、18~30質量%含有することが更により好ましい。
【0110】
第6成分としては、以下の一般式(vii)で表される化合物を含んでも良い。
【0111】
【0112】
(式中、R1は炭素原子数1から10までのアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子、-COO-、-OCO-で置き換えられていてもよく、
R2は、フッ素原子、塩素原子、CF3基、OCF3基、OCHF2基、NCS基、又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子、-COO-、-OCO-で置き換えられていてもよく、好ましくはフッ素原子、又は炭素原子数1~5のアルキル基(該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つのCH2基は酸素原子で置き換えられていてもよい)であり、
Z1、及びZ2は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CF2O-、-OCF2-、又は-C≡C-を表し、Z1が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
A1、A2、及びA3は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF3基、OCF3基又はCH3基を有していても良く、A3が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
n1は0、1又は2である。)
【0113】
一般式(vii)の化合物としては、Z1、及びZ2が、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-CF2O-を表し(Z2が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良い)、A1、A2、及びA3は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基(該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、又はCH3基を有していても良く、A3が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良い)を表し、n1は0、又は1又を表す化合物、
又は、Z1、及びZ2が、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-CF2O-、又は-C≡C-(Z2が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良いが、少なくとも一つ以上のZ1、又はZ2が-C≡C-を表す)を表し、A1、A2、及びA3は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基(該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、又はCH3基を有していても良く、A3が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良い)を表し、n1は0、1又は2を表す化合物であることが好ましい。
【0114】
一般式(vii)の化合物としては、
R1は炭素原子数1~10までのアルキル基を表し、好ましくは炭素原子数1~5のアルキル基であり、
R2は、フッ素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、又は炭素原子数1から10までのアルコキシ基を表し、好ましくはフッ素原子、炭素原子数1~5のアルキル基、又は炭素原子数1~5までのアルコキシ基であり、
Z1、及びZ2は、それぞれ独立して、単結合、-CH2-CH2-を表し、Z1が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
A1、A2、及びA3は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基を表し、該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子を有していても良く、A3が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
n1は0、1又は2を表す化合物であることがより好ましい。
【0115】
一般式(vii)の化合物としては、
R1は炭素原子数1~10までのアルキル基を表し、好ましくは炭素原子数1~5のアルキル基であり、
R2は、フッ素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、又は炭素原子数1から10までのアルコキシ基を表し、好ましくはフッ素原子、炭素原子数1~5のアルキル基、又は炭素原子数1~5までのアルコキシ基であり、
Z1、及びZ2は、それぞれ独立して、単結合、-CH2-CH2-を表し、Z1が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
A1は、1,4-シクロヘキシレン基を表し、
A2及びA3は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基を表し、該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子を有していても良く、A3が複数個存在する場合は、同じであっても異なっていても良く、
n1は0、1又は2を表す化合物であることがより好ましい。
【0116】
高分子分散型液晶素子に用いる非重合性液晶組成物の屈折率異方性(Δn)は一般に高い方が好ましく、Δnは0.16以上が好ましく、0.18以上がより好ましく、0.20以上が更により好ましく、0.22以上が最も好ましい。これらのΔnを持つ非重合性液晶組成物の常光屈折率(no)は通常1.50~1.54程度である。高分子分散型液晶素子に電圧を印加し、透明状態とした場合、この非重合性液晶組成物のnoとネットワーク構造を形成しているポリマーの屈折率(np)がほぼ一致していると、高い透明性を得ることができる。しかし、モノマー及びオリゴマーがUV照射等によってポリマー化する際に、一部の非重合性液晶組成物を抱き込んだ形で硬化するため、実際のポリマーの屈折率は純粋なものよりも高くなる。そのため、モノマー及びオリゴマーの屈折率は1.5より低い方が好ましく、1.48以下がより好ましく、1.47以下が更により好ましい。
【0117】
高分子分散型液晶組成物に含まれている非重合性液晶化合物(LB)の合計質量に対して、上記一般式(vii)で表される液晶化合物の含有量は、0%以上であることが好ましく、2%以上であることがより好ましく、5%以上であることが更に好ましく、7%以上であることが最も好ましい。
【0118】
〔重合開始剤〕
本発明の高分子分散型液晶組成物は、重合開始剤を含有することができる。本発明で用いられる重合開始剤は、本発明の前記液晶組成物を重合させるために用いる。重合を光照射によって行う場合に使用する光重合開始剤としては、特に限定はないが、前記1つの重合性基を有し、かつ、本発明の重合性化合物(MA)、メソゲン性骨格を有する重合性化合物の配向状態を阻害しない程度で公知慣用のものが使用できる。
例えば1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「Omnirad184」、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン「オムニラッド1173」、2-メチル-1-[(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1「オムニラッド907」、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン「オムニラッドBDK」、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン「オムニラッド369」)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリノ-フェニル)ブタン-1-オン「オムニラッド379」、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン「オムニラッド651」、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ジフェニルフォスフィンオキサイド「オムニラッドTPO」、2,4,6-トリメチルベンゾイル-フェニル-フォスフィンオキサイド「オムニラッド819」(IGM Resins株式会社製)、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)],エタノン「イルガキュアOXE01」)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)「イルガキュアOXE02」、「イルガキュアOXE04」(BASF株式会社製)、「アデカアークルズNCI-831」、「アデカアークルズNCI-930」、「アデカアークルズN-1919」(ADEKA社製)、2,4-ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp-ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワ-ドプレキンソップ社製「カンタキュア-ITX」)とp-ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、「エサキュア ONE」、「エサキュアKIP150」、「エサキュアKIP160」、「エサキュア1001M」、「エサキュアA198」、「エサキュアKIP IT」、「エサキュアKTO46」、「エサキュアTZT」(lamberti株式会社製)、「スピードキュアBMS」、「スピードキュアPBZ」、「ベンゾフェノン」(LAMBSON社製)等が挙げられる。さらに、光カチオン開始剤としては、光酸発生剤を用いることができる。光酸発生剤としてはジアゾジスルホン系化合物、トリフェニルスルホニウム系化合物、フェニルスルホン系化合物、スルフォニルピリジン系化合物、トリアジン系化合物及びジフェニルヨードニウム化合物などが挙げられる。
【0119】
光重合開始剤の含有率は、本発明の高分子分散型液晶組成物に用いる重合性化合物(MA)の合計量100質量%に対し、0.1~10質量%が好ましく、0.2~6質量%が特に好ましい。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
【0120】
また、熱重合の際に使用する熱重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば、メチルアセトアセテイトパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パ-オキシジカーボネイト、t-ブチルパーオキシベンゾエイト、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1-ビス(t-ヘキシルパ-オキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、p-ペンタハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネイト、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾニトリル化合物、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオン-アミヂン)ジハイドロクロライド等のアゾアミヂン化合物、2,2 -アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等のアゾアミド化合物、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)等のアルキルアゾ化合物等を使用することができる。熱重合開始剤の含有量は本発明の高分子分散型液晶組成物の重合性組成物に用いる重合性化合物(MA)の合計量100質量%に対し、0.1~10質量が好ましく、1~6質量%が特に好ましい。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
【0121】
本発明の高分子分散型液晶組成物は、実用的な電気光学特性、及び、高分子分散型液晶素子にした場合の密着性を損なわない範囲で、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤、色素、染料、顔料、粒子径が1μm未満の粒子、キラル化合物、あるいは、配向材料を添加することができる。
【0122】
〔重合禁止剤〕
本発明で用いられる重合禁止剤は、本発明の高分子分散型液晶組成物の重合反応を制御することによって、電気光学特性を制御するため、あるいは、第2成分である極性を有する重合性化合物の効能を補助するために用いることができる。そのような化合物としては、公知慣用のものが使用できる。
例えば、p-メトキシフェノール、クレゾール、t-ブチルカテコール、3.5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、2.2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2.2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4.4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4-メトキシ-1-ナフトール、4,4’-ジアルコキシ-2,2’-ビ-1-ナフトール、等のフェノール系化合物、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、p-ベンゾキノン、メチル-p-ベンゾキノン、tert-ブチル-p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニルベンゾキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジクロロ-1,4-ナフトキノン、アントラキノン、ジフェノキノン、等のキノン系化合物が好ましく、p-メトキシフェノール、4-メトキシ-1-ナフトール、tert-ブチルヒドロキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノンが特に好ましい。
重合禁止剤の含有量は、本発明の高分子分散型液晶組成物の重合性組成物に用いる重合性化合物(MA)の合計量100質量%に対し、0~2.0質量%であることが好ましく、0~0.5質量%であることがより好ましい。
【0123】
〔酸化防止剤〕
本発明で用いられる酸化防止剤は、本発明の高分子分散型液晶素子の実用的な耐久性を付与するために用いることができる。そのような化合物として、ヒドロキノン誘導体、ニトロソアミン系重合禁止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等を用いることができる。
具体的には、tert-ブチルハイドロキノン、和光純薬工業社の「Q-1300」、「Q-1301」、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート「IRGANOX1010」、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート「IRGANOX1035」、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート「IRGANOX1076」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1330」、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール「IRGANOX1520L」、「IRGANOX1726」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」(以上、BASF株式会社製)、株式会社ADEKA製のアデカスタブAO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-60、AO-80、住友化学株式会社のスミライザーBHT、スミライザーBBM-S、およびスミライザーGA-80、及び下記の一般式で表される構造の化合物、等々が好ましい。
【0124】
【0125】
一般式(H-1)から一般式(H-3)中、RH1は炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表すが、基中に存在する1個の-CH2-又は非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-O-又は-S-に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよい。更に具体的には、炭素原子数2から7のアルキル基、炭素原子数2から7のアルコキシ基、炭素原子数2から7のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数3から7のアルキル基又は炭素原子数2から7のアルケニル基であることが更に好ましい。
中でも、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、及び、前記一般式(H-2)~(H-3)で表される化合物が特に好ましい。
酸化防止剤の含有量は、本発明の高分子分散型液晶組成物に用いる重合性化合物(MA)の合計量100質量%に対し、0~2.0質量%であることが好ましく、0~0.5質量%であることがより好ましい。
【0126】
〔光安定剤〕
本発明で用いられる光安定剤は、本発明の高分子分散型液晶素子の実用的な耐久性を付与するために用いることができる。そのような化合物として、例えば、「TINUVIN 111FDL」、「TINUVIN 123」、「TINUVIN 144」、「TINUVIN 152」、「TINUVIN 292」、「TINUVIN 622」、「TINUVIN 770」、「TINUVIN 765」、「TINUVIN 780」、「TINUVIN 905」、「TINUVIN 5100」、「TINUVIN 5050」、「TINUVIN 5060」、「TINUVIN 5151」、「CHIMASSORB 119FL」、「CHIMASSORB 944FL」、「CHIMASSORB 944LD」(以上、BASF株式会社製)、「アデカスタブLA-52」、「アデカスタブLA-57」、「アデカスタブLA-62」、「アデカスタブLA-67」、「アデカスタブLA-63P」、「アデカスタブLA-68LD」、「アデカスタブLA-77」、「アデカスタブLA-82」、「アデカスタブLA-87」(以上、株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は、本発明の高分子分散型液晶組成物に用いる、重合性化合物(MA)の総量に対して、0.0~2.0質量%であることが好ましく、0.0~1.0質量%であることがより好ましい。
【0127】
〔連鎖移動剤〕
本発明で用いられる連鎖移動剤は、高分子分散型液晶組成物と基材との密着性をより向上させるために用いることができる。連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n―ブチルメルカプタン、n―ペンチルメルカプタン、n-ヘキサデシルメルカプタン、n-テトラデシルメルカプタン、n―ドデシルメルカプタン、t-テトラデシルメルカプタン、t―ドデシルメルカプタン等のメルカプタン化合物、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等のチオール化合物、ペンタフェニルエタン、α-メチルスチレンダイマー、アクロレイン、アリルアルコール、ターピノーレン、α-テルピネン、γ-テルビネン、ジペンテン、等が挙げられるが、
具体的には下記一般式(9-1)~(9-8)で表される化合物、α-メチルスチレンダイマー、α-テルピネンが好ましい。
【0128】
【0129】
式中、R95は炭素原子数2~18のアルキル基を表し、該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であっても良く、該アルキル基中の1つ以上のメチレン基は酸素原子、及び硫黄原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、硫黄原子、-CO-、-OCO-、-COO-、又は-CH=CH-で置換されていてもよく、R96は炭素原子数2~18のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ以上のメチレン基は酸素原子、及び硫黄原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、硫黄原子、-CO-、-OCO-、-COO-、又は-CH=CH-で置換されていてもよい。
連鎖移動剤の含有量は、本発明の高分子分散型液晶組成物の重合性組成物に用いる重合性化合物(MA)の合計量100質量%に対し、0.0~10質量%であることが好ましく、0.0~5.0質量%であることがより好ましい。
【0130】
〔色素〕
本発明で用いられる色素は、本発明の高分子分散型液晶素子に色を付与する、あるいは、色を制御するために用いることができる。そのような色素としては、特に制限はなく、液晶に可溶、あるいはポリマーネットワーク中に分散する範囲で公知慣用のものを用いることができる。前記色素としては、例えば、2色性色素、蛍光色素等が挙げられる。そのような色素としては、例えば、ポリアゾ色素、アントラキノン色素、キナクリドン色素、ジオキサジン色素、キノフタロン色素、シアニン色素、フタロシアニン色素、ペリレン色素、ペリノン色素、スクアリリウム色素等が挙げられるが、添加する観点から、前記色素は液晶性を示す色素が好ましい。例えば、特開昭51-2885号公報、特開昭61-21163号公報、特開昭62-555号公報、特開昭63-301850号公報、特開平7-48520号公報、特開平7-179858号公報、特開平10-279945号公報、特開平11-172252号公報、特開2000-239664号公報、特開2012-82400号公報等に示されているポリアゾ色素、特開昭59-20355号公報、特開昭59-172549号公報、特開昭61-148291号公報、特開平1-161086号公報、特開平8-67822号公報等に示されているアントラキノン色素、特開昭59-51947号公報、特開昭61-148292号公報等に示されているキノフタロン色素、特開2000-44825号公報、特開2001-49135号公報等に示されているジオキサジン色素が挙げられる。色素の含有量は、本発明の高分子分散型液晶組成物に用いる非重合性液晶化合物(LB)の合計量100質量%に対し、0~8質量%であることが好ましく、0~4質量%であることがより好ましい。
【0131】
〔顔料〕
本発明で用いられる顔料は、本発明の重合性液晶素子に色を付与する、あるいは色を制御するために用いることができる。そのような色素としては、特に制限はなく、液晶、あるいは、ネットワークポリマー中に分散する範囲で公知慣用のものを用いることができる。そのような顔料としては、アゾ顔料、ジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料、カーボンブラック顔料、等が挙げられるが、効果的に着色性を付与する観点から、前記顔料は、ネットワークポリマーへの分散性が良好な顔料が好ましい。顔料の含有量は、本発明の高分子分散型液晶組成物に用いる非重合性液晶化合物(LB)の合計量100質量%に対し、0~8質量%であることが好ましく、0~4質量%であることがより好ましい。
【0132】
〔粒子径が1μm未満の粒子〕
本発明で用いられる粒子径が1μm未満の粒子は、本発明の高分子分散型液晶素子に各種機能を付与するために用いることができる。そのような粒子としては、特に制限はないが、前記液晶素子の電気光学特性や密着性を損なわない範囲で用いることができる。そのような粒子としては、アルミナ、チタンホワイト、チタンブラック、水酸化アルミニウム、タルク、クレイ、マイカ、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、ガラス繊維等の無機質充填材、銀粉、銅粉などの金属粉末や窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、炭化ケイ素、マグネシア(酸化アルミニウム)、シリカ、結晶性シリカ(酸化ケイ素)、溶融シリカ(酸化ケイ素)、グラファイト、カーボンナノファイバーを含む炭素繊維等などの熱伝導性フィラー、銀ナノ粒子、QD発光体粒子、ペロブスカイト型発光体粒子等が挙げられる。
前記粒子は、ネットワークポリマーへの分散性が良好な粒子が好ましい。粒子の含有量は、本発明の高分子分散型液晶組成物に用いる非重合性液晶化合物(LB)の合計量100質量%に対し、0~5質量%であることが好ましく、0~3質量%であることがより好ましい。
【0133】
〔キラル化合物〕
本発明で用いられるキラル化合物は、本発明の高分子分散型液晶素子に各種機能を付与するために用いることができる。そのようなキラル化合物としては、特に制限はないが、前記液晶素子の電気光学特性や密着性を損なわない範囲で用いることができる。具体的には、例えば、キラル基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、キラル基として2-メチルブチル基を有するビーディーエイチ社製の「CB-15」、「C-15」、メルク社製の「S-1082」、チッソ社製の「CM-19」、「CM-20」、「CM」、キラル基として1-メチルヘプチル基を有するメルク社製の「S-811」、チッソ社製の「CM-21」、「CM-22」、キラル基としてイソソルビド骨格を有するBASF社の「LC756」、特表2009-515818号公報、特開2010-90108号公報、特開2013-87109号公報等に示されている重合性のキラル化合物などが挙げられる。
キラル化合物を含有する場合は、本発明の高分子分散型液晶組成物の重合体の用途によるが、得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1~100の範囲となる量を添加することが好ましく、0.1~20の範囲となる量がさらに好ましい。
前記キラル化合物は、液晶組成物の特性を引き出すために所望の螺旋ピッチが得られるできる限り少ない含有量が好ましい。キラル化合物の含有量は、本発明の高分子分散型液晶組成物に用いる非重合性液晶化合物(LB)の合計量100質量%に対し、0~8質量%であることが好ましく、0~4質量%であることがより好ましい。
【0134】
〔配向材料〕
本発明の高分子分散型液晶組成物は、前記液晶素子の配向を制御するために配向材料を含有することができる。本発明に用いられる配向材料は、前記液晶組成物中に溶解する範囲で公知慣用のものが用いられる。そのような配向材料としては、例えば、メソゲン骨格の一方の末端に極性基、もう一方の末端に長鎖アルキル基を有する重合性化合物やメソゲン骨格のラテラル位に極性基を有する重合性液晶化合物、複数のメソゲン骨格を有し、かつ、一方のメソゲン骨格とメソゲン骨格を結合する長鎖アルキル基の側鎖に極性基を有する重合性化合物等が挙げられる。
【0135】
<液晶素子>
本発明の高分子分散型液晶組成物を用いた液晶素子は、少なくとも液晶とネットワークポリマーが相分離している層(相分離液晶層)、電極、及び、基材を備える。あるいは、相分離液晶層、配向膜相、電極、及び、前記相分離液晶層、配向膜相及び電極を支持する基材を備える。
相分離液晶相は、前記高分子分散型液晶組成物中に含有する重合性化合物(MA)を重合することにより、前記重合性化合物(MA)に含まれている各重合性成分由来のポリマーネットワークを形成することにより得られる。
本発明の前記液晶素子は、上記要素を備えるものであれば、具体的な実施形態は特に限定されるものではないが、例えば、少なくとも一方に電極を有する2枚の基材と垂直配向膜とから構成される中空素子中に相分離液晶層が狭持された構成としてよい。
本発明の液晶素子は、例えば、電圧無印加時には、ポリマーによるネットワーク構造とその空隙に存在する液晶分子によって光散乱状態とすることができる。一方、電圧印加時には、基板に対して液晶分子が垂直に配向することによって透明状態とすることができる。このように、本発明の液晶素子は電圧印加の有無により光の透過状態を変化させられるため、調光機能が求められる装置に組み込んで用いる液晶調光素子や、映像表示用ディスプレイに用いられる液晶表示素子として利用することができる。
本発明の液晶素子は、電圧印加により液晶分子の配向を制御できるよう構成されればよいが、垂直電界型液晶素子として構成されることが好ましい。垂直電界型液晶素子は、配向膜に対して垂直に電界が生じるように電極が配置された液晶素子である。垂直電界型液晶素子においては、通常、相分離液晶層を狭持する2つの透明基板の両方に電極が設けられる。
本発明に係る垂直電界型の液晶素子の構成は、それぞれ透明導電性材料からなる透明電極(層)を具備した第一の基板と第二の基板、前記第一の基板と第二の基板との間に挟持された相分離液晶層を有する。相分離液晶層は、液晶組成物に含まれる液晶分子とポリマー成分によって構成される高分子分散型液晶材料により構成される。
【0136】
〔基板〕
本発明の液晶素子に用いられる基板は、液晶表示素子、有機発光表示素子、その他表示素子、光学部品、調光素子、着色剤、マーキング、印刷物や光学フィルムに通常使用する基板であって、前記液晶素子の製造工程における加熱、及び、使用される温度範囲において耐えうる耐熱性、あるいは、透過性を重視する用途においては、実用に耐えうる透明性を有する材料であれば、特に制限はない。
そのような基板としては、ガラス基材、金属基材、セラミックス基材、プラスチック基材や紙等の有機材料が挙げられる。特に基材が有機材料の場合、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン又はポリスチレン等が挙げられる。中でもポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロース誘導体、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチック基材を用いることが好ましい。
2枚の基板を有する場合、一方の基板が液晶素子として実用性を有する透明性を具備すればよく、他方の基板は、透明性を具備していてもいなくてもよい。
基板の形状としては、平板の形状を示したが、曲面を有するもののような他の形状であっても良い。また、基板は、必要に応じて、電極層、反射防止機能、反射機能を有していてもよい。
本発明の液晶素子における密着性向上のために、これらの基板の表面処理を行っても良い。表面処理として、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、シランカップリング処理などが挙げられる。また、光の透過率や反射率を調節するために、基材表面に有機薄膜、無機酸化物薄膜や金属薄膜等を蒸着など方法によって設ける、あるいは、光学的な付加価値をつけるために、基材がピックアップレンズ、ロッドレンズ、光ディスク、位相差フィルム、光拡散フィルム、マイクロレンズシート、カラーフィルター、等であっても良い。
【0137】
〔電極:透明電極層〕
本発明の液晶素子に用いられる電極は、液晶素子中において、相分離液晶層中の液晶分子を配向制御可能な電界を生じるように設けられる。電界強度は、電極への電圧印加の程度により制御される。
電極の形状は特に限定されず、導電部がストライプ状もしくはメッシュ状、またはランダムな網目状であってよい。
このような電極材料としては、金属材料で構成することが好ましく、具体的には、Al、Cu、Au、Ag、Cr、Ta、Ti、Mo、W、Niまたはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金が挙げられ、AlまたはAlを含む合金が好ましい。
液晶素子の透明性を高めるためには、電極を透明電極層2で構成することが好ましい。このような透明電極層は、例えばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IZTO(Indium Zinc Tin Oxide)のような公知の透明導電性材料で構成することができる。また、一方の基板が透明性を有さない材料で構成される場合には、該透明性を有さない基板上に設けられる電極も透明性を有する必要はなく、公知の金属材料から適宜選択することができる。
【0138】
〔配向膜層〕
上記基板には、本発明の高分子分散型液晶素子中の液晶分子が水平配向、あるいは、垂直配向するように、配向処理が施されていてもよく、あるいは配向膜が設けられていても良い。配向処理としては、延伸処理、ラビング処理、偏光紫外可視光照射処理、イオンビーム処理、基材へのSiO2の斜方蒸着処理、等が挙げられる。そのような配向膜としては、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルホン、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、アゾ化合物、クマリン化合物、カルコン化合物、シンナメート化合物、フルギド化合物、アントラキノン化合物、アリールエテン化合物等の化合物、もしくは、前記化合物の重合体や共重合体が挙げられる。前記液晶分子にチルト角を付与するために、ラビング処理を行う場合、ラビングにより配向処理する化合物は、配向処理、もしくは配向処理の後に加熱工程を入れることで材料の結晶化が促進されるものが好ましい。ラビング以外の配向処理を行う化合物の中では光配向材料を用いることが好ましい。
一般に、配向機能を有する基板に液晶組成物を接触させた場合、液晶分子は基板付近で基板を配向処理した方向に沿って配向する。液晶分子が基板と水平に配向するか、傾斜あるいは垂直して配向するかは、基板への配向処理方法による影響が大きい。
【0139】
〔液晶素子の製造方法の例〕
本発明の液晶素子は、生産性の観点から、例えばロールtoロール法を用いて、基材の上に高分子分散型液晶組成物をODF法等滴下又は塗布し、対向基板をラミネートすることより、液晶素子から作製することが好ましい。
【0140】
ロールtoロール法による前記液晶組成物の製造工程においては、第一の電極、または、配向膜と第一の電極を有するガラス基材、あるいは、プラスチック基材上に前記高分子分散型液晶組成物を塗布し、第二の電極、または、配向膜と第二の電極を有するガラス基材、あるいは、プラスチック基材の前記電極側、または前記配向膜側と前記液晶組成物が接するように貼り合せ、厚みを均一にすることで、前記液晶素子を製造することもできる。本発明に用いられる高分子分散型液晶組成物を塗布する方法としては、アプリケーター法、バーコーティング法、ロールコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、インクジェット法、ダイコーティング法、キャップコーティング法等、公知慣用の方法を挙げることができる。ODF法の前記液晶素子製造工程においては、中空素子のバックプレーンまたはフロントプレーンのどちらか一方の基板にエポキシ系光熱併用硬化剤などのシール剤を、ディスペンサーを用いて閉ループ土手状に描画し、その中に脱気下で所定量の前記液晶組成物を滴下後、フロントプレーンとバックプレーンを接合することによって前記液晶素子を製造することもできる。
【0141】
本発明の液晶素子は、2枚の基板間には、周知の液晶素子と同様、間隔保持用のスペーサーを介在させることより、液晶素子から作製することができる。基板間の厚み、すなわち相分離層の厚みは、2から50μmが好ましく、10から30μmがより好ましい。スペーサーは事前に基板上に散布しても良いが、高分子分散型液晶組成物中にあらかじめ混入しておき、高分子分散型液晶組成物と同時に基板上に塗布しても良い。
2枚の基板間に高分子分散型液晶組成物を狭持させるに方法は、通常の真空注入法でも良いが、ODF法等滴下又は塗布で行うことが好ましい。この滴下又は塗布から重合性組成物が重合するまで間、高分子分散型液晶組成物は均一なアイソトロピック状態であることが好ましい。
滴下又は塗布を行い場合、2枚の基板で高分子分散型液晶組成物を挟みこむ方法としては、2枚の基板をラミネーター等で挟み込む方法で行うことができる。
【0142】
本発明の高分子分散型液晶組成物を、液晶素子の厚みを決定するための粒子を混合した組成物として、該組成物を中空素子に狭持させてもよい。そのような粒子としては、一般的な液晶表示素子や液晶ディスプレイに用いられる公知慣用のガラス粒子やポリマー粒子が用いられる。
その場合、前記高分子分散型液晶組成物、及び、前記液晶素子の厚みを決定する粒子を含む組成物を第一の電極を含有するプラスチック基材上に塗布した後、第二の電極を含有するプラスチック基材を前記第一の電極と前記第二の電極が対向するように貼り合せた後、すぐに紫外線を照射する方法、前記第一のプラスチック基材と前記第二のプラスチック基材に圧力をかけた状態で紫外線を照射する方法、あるいは、前記液晶素子用液晶組成物、及び、前記液晶素子の厚みを決定する粒子を含む組成物を第一の電極を含有する第一のプラスチック基材上に塗布した後、前記第一のプラスチック基材、及び、前記塗布された液晶組成物を真空状態にし、第二の電極を含有する第二のプラスチック基材を前記第一の電極と前記第二の電極が対向するように貼り合せた真空状態で紫外線を照射する方法も好ましい。
【0143】
〔重合方法〕
本発明の高分子分散型液晶組成物を重合させる方法としては、紫外線照射が好適である。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、高分子分散型液晶組成物に含有されている光重合開始剤の吸収波長領域であり、且つ含有されている液晶組成物の吸収波長領域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、具体的には、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプを使用して330nm以下の紫外線をカットして使用することが好ましい。また、単一波長を照射できるUV-LEDランプを用いることも好ましい。
照射する紫外線の強度は、目的とする調光層を得るため適宜調整することができるが、1から200mw/cm2が好ましく、5から50mw/cm2がより好ましい。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10から300秒が好ましい。
また、紫外線照射の時の温度は、調光層の特性を決める重要な要素となるが、高分子分散型液晶組成物のアイソトロピック-ネマティック転移点(Tnm)より高い温度が好ましい。
本発明の晶素子は、そのまま使用することも、他の基材に貼り合せて使用することもできる。また、接着剤や接着層、粘着剤や粘着層、保護フィルムや偏光フィルム等が積層されていてもよい。
【0144】
〔その他の電界型〕
本発明の液晶素子には、上記垂直電界型の他、横電界型やその他の電界型を採用してもよい。FFS駆動モードに採用されるフリンジ電界を採用してもよい。この場合水平配向層を設けてもよい。水平配向層は公知の材料で構成できる。
本発明の液晶素子は、例えば、建材、調光ガラス、車載向けのスマートウィンドウ又はOLEDディスプレイにおける調光ユニット等に用いることが好ましい。本発明の液晶表示素子は、従来の高分子分散型液晶表示素子と同様な用途に用いることができるほか、特に透過型ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ等にも好ましく用いることができる。より具体的には、窓、天窓、屋根、壁、仕切り、間仕切り、扉等の建築用調光素子、扉、窓、ドア、ヘルメット、サンルーフ等の輸送用調光素子、サングラス、眼鏡、サンバイザー、時計、鏡、反射板等の装飾用調光素子、フレキシブル液晶表示素子、反射型液晶表示素子、透明液晶表示素子、可変式拡散フィルム等のディスプレイ用部材等の物品に用いることができる。
<調光素子>
本発明の調光素子は、一対の透明電極基板と、前記透明電極基板の間に配された、ポリマーネットワークと液晶化合物とを含む複合層と、を有する。前記ポリマーネットワークが、請求項1~10のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶組成物に含まれる前記重合性化合物(MA)由来のポリマーネットワークであり、前記液晶化合物が、請求項1~10のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶組成物に含まれる非重合性液晶化合物(LB)である。
本発明の調光素子は、高分子分散型液晶組成物を用いた前述の液晶素子を用い、該液晶素子の光の透過率を電気的に制御する素子としてもよい。本調光素子はただ単に前述の液晶素子に電圧印加装置を取り付けたものでもよいが、液晶素子をPVB(ポリビニルブチラール)、EVA(エチレン酢酸ビニール共重合樹脂)、TPU(ポリウレタン系)、SGP等の中間膜を介して2枚のガラスで挟む、合わせガラスとしてもよい。また、紫外線カット、熱線カット等の機能性フィルムを付加してもよい。
【実施例0145】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「部」は「重量部」を意味する。
【0146】
後述の実施例及び比較例で用いた非重合性液晶化合物(LB)は、表1に示す。後述の実施例及び比較例で用いた重合性化合物(MA)の各成分は、表2に示す。
【0147】
【0148】
表1において各液晶化合物の構造を示す符号の意味は、以下で示す。また、表2において分子量とは、重量平均分子量を表す。
【0149】
【0150】
【0151】
後述の実施例及び比較例で用いた重合性化合物(MA)の各成分の構造は、以下で示す。
【0152】
【0153】
(合成例1)
攪拌羽根のついたフラスコにIPDI(イソホロンジイソシアネート)44.4部(0.2モル)を仕込み、攪拌を行いながらポリプロピレングリコール(平均分子量Mw:8100)810部(0.1モル)を発熱に注意しながら仕込み、70℃まで昇温した。この温度で反応を7時間行い、末端にイソシアネート基を有するウレタンポリマーを得た。次いで2-ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116)23.2部(0.2モル)を仕込み、この温度で更に7時間反応を行った。赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ウレタンアクリレートUA-1(平均分子量Mw:29800)を得た。
【0154】
(実施例1)
第1成分として、合成例1で作製したUA-1を23重量部、第4成分としてA-TMPT-3EOを2重量部及びAPG-400を5重量部、第2成分としてIBXAを35重量部及び#200を15重量部混合し、第5成分としてISTAを20重量部、さらに添加剤P-2Mを0.1重量部、重合開始剤としてIrg651を1重量部加えて、50℃で攪拌しながら溶解させ、本発明の重合性化合物(MA)として重合性化合物ma-1を得た。また、表1に示す液晶組成物LC2を100重量部からなる非重合性液晶化合物lb-1を調製した。
得られた重合性化合物ma-1に、重合性化合物(MA)/非重合性液晶化合物(LB)の重量比(MA/LB重量比)が60/40になるように、非重合性液晶化合物lb-1を加え、50℃で攪拌しながら溶解させ、高分子分散型液晶組成物PL1を得た。
【0155】
得られた前記高分子分散型液晶組成物PL1を、厚み15μmのガラスセル(構成は、ガラス基材/透明電極層/空気層/透明電極層/ガラス基材)に室温で注入した後、室温で紫外線を照射することにより液晶高分子複合体を得た。このときの紫外線の条件は、光源が高圧水銀ランプ、強度が10mW/cm2、時間は60秒であった。
【0156】
(ヘイズ評価)
得られた液晶素子に電極配線を取り付け、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製NDH-7000)を用いて電圧-ヘイズ特性を評価した。電圧無印加時のヘイズ(OFF Haze)は98.7%、AC100V印加時のヘイズ(ON Haze)は2.2%であった。結果を表3に示す。
【0157】
(透過率評価)
得られた液晶高分子複合体を有する液晶素子に対して、LCD-5200(大塚電子社製)を用いて、0~100Vの電圧を印加し、遮光時の透過率を0%、何もない時の透過率を100%とし、0V状態の透過率をT0、100V印加時の透過率をT100として定義し評価した。25℃の条件でそれぞれ0.14%、86.4%であった。結果を表3に示す。
【0158】
(駆動電圧評価)
得られた液晶高分子複合体を有する液晶素子を用いて、0V状態の透過率(T0)を透過率0%、100V印加時の透過率(T100)を透過率100%としたときに、透過率が90%に達するときの電圧を駆動電圧(V90)と定義し、評価した。24.3vであった。結果を表3に示す。
【0159】
(密着性評価)
また、密着性の評価は、以下の方法で行った。まず、保護フィルム付、及び、透明電極付きのPETフィルムの透明電極面上に粒径15μmのガラスビーズを散布し、その上に前記組成物を滴下してアプリケーターで塗布した。その後、塗布面上の前記PETフィルムの透明電極面と塗布面が接するように貼り合せ、上下2枚のPETフィルム全面に均一に圧力をかけたフィルム積層体に室温で紫外線を照射することにより液晶高分子複合体を得た。得られた液晶高分子複合体素子をカッターで幅が1cmになるように切り出した。この際、液晶の染み出しはなかった。切り出した液晶高分子複合体素子を用いて180°剥離試験を行った。密着性評価には、エーアンドディー社製のフォーステスターMCT2150を用い、サンプルの幅10mm、引張速度50mm/分、25℃雰囲気下、透明電極付きPETフィルムで挟んだ片側を180°方向に引き剥がした時の最大強度を求めた。強度は、0.2Nであった。結果を表3に示す。
【0160】
(実施例2~4、比較例1~3)
表3に示す配合比で各成分を用いた以外は、実施例1と同様な方法で実施例2~4、比較例1~3の高分子分散型液晶組成物PL2~PL4、cPL1~cPL3を得た。
得られた前記高分子分散型液晶組成物PL2~PL4、cPL1~cPL3を用いて、実施例1と同様な方法で、液晶素子を得た。
得られた前記高分子分散型液晶組成物PL2~PL4、cPL1~cPL5を用いて、実施例1と同様にして、液晶素子を得た。実施例1と同様に各評価を行った。結果を表3に示す。
【0161】