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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103885
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】咬合鍛錬装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/03 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
A63B23/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218785
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】598144719
【氏名又は名称】株式会社 タナック
(71)【出願人】
【識別番号】516047083
【氏名又は名称】西の風技術工房合同会社
(71)【出願人】
【識別番号】391025899
【氏名又は名称】昭和スプリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 浩助
(72)【発明者】
【氏名】大園 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】内田 佳伯
(72)【発明者】
【氏名】西本 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】北村 勝博
(72)【発明者】
【氏名】尾形 安央
(57)【要約】
【課題】ユーザの咬合力を適切に発揮させることにより咬合力を好適に鍛錬できる咬合鍛錬装置を提供する。
【解決手段】咬合鍛錬装置10は、咬合部20と、前記咬合部20を支持する支持部30と、を有し、前記咬合部20は、第1部材20Aと、前記第1部材20Aと対向する第2部材と、を含み、前記第1部材20Aは、咬合により変形する第1板ばねを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
咬合部と、
前記咬合部を支持する支持部と、を有し、
前記咬合部は、第1部材と、
前記第1部材と対向する第2部材と、を含み、
前記第1部材は、咬合により変形する第1板ばねを含む
咬合鍛錬装置。
【請求項2】
前記第2部材は、咬合により変形する第2板ばねを含む
請求項1に記載の咬合鍛錬装置。
【請求項3】
前記第1板ばねの凹部と前記第2板ばねの凹部とが対向する
請求項2に記載の咬合鍛錬装置。
【請求項4】
前記咬合部および前記支持部を収容する収容空間を備える収容部をさらに有する
請求項1~3のいずれか一項に記載の咬合鍛錬装置。
【請求項5】
前記収容部は、前記収容空間と外部とを接続する開口を備え、
前記開口を覆う被覆部をさらに有する
請求項4に記載の咬合鍛錬装置。
【請求項6】
前記被覆部は、シリコーン、合成ゴム、および、熱可塑性樹脂の少なくとも1つを含む
請求項5に記載の咬合鍛錬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、咬合力を向上させる咬合鍛錬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
咬合力の低下は、口腔のみならず人体の他の組織に対して影響が生じる恐れがある。このため、咬合力の低下を抑制することが求められている。特許文献1は、エラストマーで構成されたマウスピースを用いた咬合力のトレーニング装置の一例を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-192865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなトレーニング装置では、適切な咬合力でマウスピースを噛むことが難しい場合がある。ユーザの発揮する咬合力が低い場合には、咬合力の向上が望めない。一方でユーザの発揮する咬合力が高すぎる場合は、トレーニング装置が破壊される、または、ユーザの歯が破砕する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の咬合鍛錬装置は、咬合部と、前記咬合部を支持する支持部と、を有し、前記咬合部は、第1部材と、前記第1部材と対向する第2部材と、を含み、前記第1部材は、咬合により変形する第1板ばねを含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示に関する咬合鍛錬装置によれば、ユーザの咬合力を適切に発揮させることにより咬合力を好適に鍛錬できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の咬合鍛錬装置の斜視図。
図2】咬合部および支持部の構成を示す正面図。
図3】咬合部および支持部の構成を示す斜視図。
図4】第1状態の咬合部を示す断面図。
図5】収容部に収容された咬合部および支持部を示す正面図。
図6】咬合鍛錬装置の使用例を示す斜視図。
図7】第2状態の咬合部の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(咬合鍛錬装置が取り得る形態の一例)
(1)本開示に関する咬合鍛錬装置は、咬合部と、前記咬合部を支持する支持部と、を有し、前記咬合部は、第1部材と、前記第1部材と対向する第2部材と、を含み、前記第1部材は、咬合により変形する第1板ばねを含む。
上記咬合鍛錬装置によれば、第1部材と第2部材で構成され、第1部材が第1板ばねで構成される。また第2部材が設けられることにより、ユーザが第1板ばねを所定の力よりも大きい力で咬合した際に第1板ばねが座屈する。このため、ユーザの上顎または下顎の一方の咬合力を適切に発揮させることができ、咬合力を好適に鍛錬できる。
【0009】
(2)前記咬合鍛錬装置の一例によれば、前記第2部材は、咬合により変形する第2板ばねを含む。
上記咬合鍛錬装置によれば、第2部材が第2板ばねを含む。このため、上顎または下顎の両方の咬合力を適切に発揮させることができ、咬合力を好適に鍛錬できる。
【0010】
(3)前記咬合鍛錬装置の一例によれば、前記第1板ばねの凹部と前記第2板ばねの凹部とが対向する。
上記咬合鍛錬装置によれば、第1板ばねと第2板ばねにより咬合力を好適に鍛錬できる。
【0011】
(4)前記咬合鍛錬装置の一例によれば、前記咬合部および前記支持部を収容する収容空間を備える収容部をさらに有する。
上記咬合鍛錬装置によれば、咬合部および支持部が収容部に収容されるため、ユーザが好適に咬合部を咬合できる。
【0012】
(5)前記咬合鍛錬装置の一例によれば、前記収容部は、前記収容空間と外部とを接続する開口を備え、前記開口を覆う被覆部をさらに有する。
上記咬合鍛錬装置によれば、被覆部が設けられるため開口から咬合部および支持部が飛び出す可能性が抑制される。
【0013】
(6)前記咬合鍛錬装置の一例によれば、前記被覆部は、シリコーン、合成ゴム、および、熱可塑性樹脂の少なくとも1つを含む。
上記咬合鍛錬装置によれば、被覆部は、シリコーン、合成ゴム、および、熱可塑性樹脂の少なくとも1つを含む。このためユーザの咬合力を好適に咬合部に伝達できる。
【0014】
(実施形態)
図1から図7を参照して、実施形態の咬合鍛錬装置10について説明する。図1に示される咬合鍛錬装置10は、咬合力低下の抑制、咬合力維持、または、咬合力強化のために用いられる。咬合力は、ユーザが口腔内において対象物を噛む力である。咬合力の鍛錬は、口腔の周りに存在する筋肉の鍛錬を含む。口腔の周りに存在する筋肉は、例えば側頭筋、咬筋、および、翼突筋である。咬合鍛錬装置10は、独立して使用してもよく、別の構成に取り付けられて使用してもよい。咬合鍛錬装置10は、単独で使用してもよく、2つ以上の複数個で使用してもよい。2つ以上で使用される場合、咬合力の鍛錬の対象となる部位が異なる。対象となる部位は、前歯部位および奥歯部位の少なくとも1つである。前歯部位は、中切歯、側切歯、および、犬歯を含む。奥歯部位は、小臼歯および大臼歯を含む。咬合鍛錬装置10は、ユーザの口腔内に入れることに適した形状および大きさで構成される。咬合鍛錬装置10の形状は、例えば図1に示されるような四角柱状である。別の例では、咬合鍛錬装置10の形状は、円柱状である。なお、以下の説明において咬合鍛錬装置10を使用する際にユーザの対象となる部位の歯が接触し、力が作用する方向を上下方向XAと記載する場合がある。上下方向XAと直交する方向を、左右方向XBまたは前後方向XCと記載する場合がある。
【0015】
図2および図3に示されるとおり、咬合鍛錬装置10を構成する主な要素は、咬合部20、および、咬合部20を支持する支持部30である。咬合部20は、所定の力以上で咬合される場合に、第1状態から第2状態に変化するように構成される。咬合部20は、所定の力以上の力で咬合されない場合、第2状態から第1状態に変化するように構成される。第1状態は、咬合部20が変形していない状態を含む。第2状態は、咬合部20の少なくとも一部分が変形している状態を含む。
【0016】
咬合部20は、第1部材20Aおよび第2部材20Bを含む。第1部材20Aおよび第2部材20Bの少なくとも1つは、金属で構成される。第1部材20Aおよび第2部材20Bの一方が金属で構成される場合、第1部材20Aおよび第2部材20Bの他方は、シリコーン、硬質ゴム、熱可塑性樹脂の少なくとも1つで構成されていてもよい。第1部材20Aと第2部材20Bとは、互い上下方向XAにおいて対向するように設けられる。
【0017】
第1部材20Aは、第1板ばね21を含む。第1板ばね21は、1つまたは複数設けられる。第1板ばね21の形状は、例えば平面視において長方形状に形成される。第1板ばね21の形状は、側面視において、端部21Aと中心部21Bとが曲線で結ばれるように構成される。第1状態の第1板ばね21は、上下方向XAにおいて、中心部21Bが端部21Aよりも上に設けられる場合、端部21Aと中心部21Bとは、上に凸の形状の曲線で結ばれる。上下方向XAにおいて中心部21Bが端部21Aよりも下に設けられる場合、端部21Aと中心部21Bとは、下に凸の形状の曲線で結ばれる。端部21Aと中心部21Bとを結ぶ曲線の曲率は、6R~8Rの範囲に含まれる。一例では、端部21Aと中心部21Bとを結ぶ曲線の曲率は、7Rである。第1板ばね21には、曲率が7Rの凹部21Cが形成される。
【0018】
第1板ばね21は、所定の力が作用することにより図4に示される第1状態から図7に示される第2状態に変化する。一例では、第1状態の第1板ばね21が座屈することにより、第1板ばね21が第2状態に変化する。座屈した第1板ばね21は、座屈していない第1板ばね21に比べて、端部21Aに対する中心部21Bの上下方向XAにおける相対的な位置が変化する。所定の力の作用がなくなった場合、第2状態の第1板ばね21は、第1状態に変化する。第1板ばね21の第1状態および第2状態の一方から他方の変化の際には、座屈に伴い音が発生する。
【0019】
第2部材20Bは、第2板ばね22を含む。第2板ばね22の形状は、例えば平面視において長方形状に形成される。第2板ばね22の形状は、側面視において、端部22Aと中心部22Bとが曲線で結ばれるように構成される。第1状態の第2板ばね22は、上下方向XAにおいて中心部22Bが端部22Aよりも上に設けられる場合、端部22Aと中心部22Bとは、上に凸の形状の曲線で結ばれる。上下方向XAにおいて、中心部22Bが端部22Aよりも下に設けられる場合、端部22Aと中心部22Bとは、下に凸の形状の曲線で結ばれる。端部22Aと中心部22Bとを結ぶ曲線の曲率は、6R~8Rの範囲に含まれる。一例では、端部22Aと中心部22Bとを結ぶ曲線の曲率は、7Rである。第2板ばね22には、曲率が7Rの凹部22Cが形成される。
【0020】
第2板ばね22は、所定の力が作用することにより図4に示される第1状態から図7に示される第2状態に変化する。一例では、第1状態の第2板ばね22が座屈することにより、第2板ばね22が第2状態に変化する。座屈した第2板ばね22は、座屈していない第2板ばね22に比べて、端部22Aに対する中心部22Bの上下方向XAにおける相対的な位置が変化する。所定の力の作用がなくなった場合、第2状態の第2板ばね22は、第1状態に変化する。第2板ばね22の第1状態および第2状態の一方から他方の変化の際には、座屈に伴い音が発生する。
【0021】
第1板ばね21と第2板ばね22とは、上下方向XAにおいて対向するように配置される。具体的には、第1板ばね21に形成される凹部21Cと第2板ばね22に形成される凹部22Cとが対向するように配置される。
【0022】
第1板ばね21および第2板ばね22の少なくとも1つを座屈させ、第1状態から第2状態に変化させるための所定の力は、咬合鍛錬装置10の使用対象および使用目的に応じて任意の力に設定される。使用対象は、一例では幼児または高齢者である。別の例では、使用対象は成人である。使用目的は、咬合力低下の抑制、咬合力維持、または、咬合力強化の少なくとも1つである。使用対象が高齢者であり、使用目的が咬合力低下の抑制である場合、所定の力は5N~200Nの範囲であることが好ましい。一例では、所定の力は100Nである。使用対象が成人であり、使用目的が咬合力強化である場合、所定の力は5N~50Nの範囲であることが好ましい。一例では、所定の力は10Nである。所定の力は、例えば第1板ばね21および第2板ばね22を構成する金属の材料および上下方向XA方向の厚みにより変更される。
【0023】
支持部30は、咬合部20を構成する第1部材20Aおよび第2部材20Bの少なくとも1つを支持する。本実施形態において、支持部30は、第1板ばね21および第2板ばね22の両方を支持する。
【0024】
支持部30は、第1支持部31および第2支持部32を含む。第1支持部31は、第1部材20Aおよび第2部材20Bの所定方向の一方の端部を支持する。第2支持部32は、第1部材20Aおよび第2部材20Bの所定方向の他方の端部を支持する。所定方向は、例えば第1部材20Aおよび第2部材20Bの前後方向XCである。
【0025】
第1支持部31を構成する材料は、咬合部20を支持し、所定の力が作用した場合に適切に咬合部20を第1状態および第2状態の一方から他方に変形させることに適した材料で構成される。第1支持部31を構成する材料は、例えばシリコーン、合成ゴム、または、熱可塑性樹脂である。第1支持部31を構成する材料は、シリコーンの中に発泡剤を加えた発泡シリコーンであってもよい。
【0026】
第1支持部31は、咬合部20を支持する1つまたは複数のスリット31Aを備える。スリット31Aは、第1板ばね21および第2板ばね22の端部を支持可能に構成される。スリット31Aに第1板ばね21および第2板ばね22の端部が挿入されることで、第1板ばね21および第2板ばね22が第1支持部31に支持される。
【0027】
第2支持部32を構成する材料は、咬合部20を支持し、所定の力が作用した場合に適切に咬合部20を第1状態および第2状態の一方から他方に変形させることに適した材料で構成される。第2支持部32を構成する材料は、例えばシリコーン、合成ゴム、または、熱可塑性樹脂である。第2支持部32を構成する材料は、シリコーンの中に発泡剤を加えた発泡シリコーンであってもよい。
【0028】
第2支持部32は、咬合部20を支持する1つまたは複数のスリット32Aを備える。スリット32Aは、第1板ばね21および第2板ばね22の端部を支持可能に構成される。スリット32Aに第1板ばね21および第2板ばね22の端部が挿入されることで、第1板ばね21および第2板ばね22が第2支持部32に支持される。
【0029】
咬合鍛錬装置10は、咬合部20および支持部30を収容する収容部40をさらに備える。収容部40は、本体41を含む。本体41の内部には、咬合部20および支持部30の少なくとも一部分が収容される収容空間Sが形成される。本体41を構成する材料は、例えばシリコーン、合成ゴム、または、熱可塑性樹脂である。本体41を構成する材料は、シリコーンの中に発泡剤を加えた発泡シリコーンであってもよい。
【0030】
収容部40の本体41には、開口42が形成される。開口42は、収容空間Sと外部とを接続する。開口42は、1つまたは複数形成される。少なくとも1つの開口42は、咬合部20および支持部30が一体に形成された構成よりも左右方向XBおよび前後方向XCの長さが長くなるように構成されることが好ましい。収容部40には、他の構成要素との連結、または、ユーザの把持のためのハンドルHが形成される。
【0031】
被覆部50は、本体41に設けられた開口42を少なくとも部分的に覆うように構成される。好ましくは、被覆部50は開口42の全体を覆うように構成される。被覆部50は、ユーザの咬合力を咬合部20に伝達可能な材料で構成される。被覆部50を構成することに適した材料の硬度は、比較的低いことが好ましい。被覆部50を構成する材料は、例えばシリコーン、合成ゴム、または、熱可塑性樹脂である。被覆部50を構成する材料は、シリコーンの中に発泡剤を加えた発泡シリコーンであってもよい。被覆部50は、シート51により少なくとも一部分がさらに覆われる。シート51を構成する材料は、例えばシリコーン、合成ゴム、または、熱可塑性樹脂である。シート51を構成する材料は、シリコーンの中に発泡剤を加えた発泡シリコーンであってもよい。
【0032】
被覆部50の中心には、中心マーク50Aが形成される。中心マーク50Aは、例えば人体に影響を及ぼさない塗料により形成される。中心マーク50Aと咬合部20を構成する第1板ばね21の中心部21Bと第2板ばね22の中心部22Bとは、少なくとも上下方向XAにおける場所が一致する。
【0033】
被覆部50は、収容部40に対して接着する。一例では、被覆部50と収容部40とは、熱圧着される。別の例では、収容部40の本体41の端部41Aと被覆部50とは、口腔内に溶け出しても人体への影響がない接着剤により接着される。被覆部50を収容部40に対して剥がすことが可能な程度の接着強度であることが好ましい。
【0034】
図6は、口腔ケアアイテム100に咬合鍛錬装置10を取り付けた状態を示す。口腔ケアアイテム100は、たとえばハンドル110およびヘッド部120を備える従来の歯ブラシである。咬合鍛錬装置10は、ヘッド部120に取り付けられる。咬合鍛錬装置10の取付は、例えば接着剤であってもよく、図示しない係合部により口腔ケアアイテム100のヘッド部120に取り付けられていてもよい。
【0035】
本実施形態の咬合鍛錬装置10の使用方法について説明する。
ユーザが咬合鍛錬装置10の被覆部50を対象となる部位の歯で所定の力より大きい力で噛むことにより、咬合部20が図4に示される第1状態から図7に示される第2状態に変化する。第1状態から第2状態への変化の際には、第1板ばね21および第2板ばね22の少なくとも1つの座屈に伴って音が発生する。ユーザは音の発生により、咬合部20に座屈が発生したことを認識し、咬合鍛錬装置10の咬合を終了する。咬合の終了に伴い、咬合部20が図7に示される第2状態から図4に示される第1状態に変化する。第2状態から第1状態への変化の際には、第1板ばね21および第2板ばね22の少なくとも1つが座屈から元の状態に戻ることに伴って音が発生する。ユーザは音の発生により、咬合部20の座屈が解消したことを認識でき、咬合鍛錬装置10の咬合を再度実行する。
【0036】
本実施形態の咬合鍛錬装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1)本実施形態の咬合鍛錬装置10は、第1部材20Aと第2部材20Bで構成され、第1部材20Aが第1板ばね21で構成される。また第2部材20Bが設けられることにより、ユーザが第1板ばね21を所定の力よりも大きい力で咬合した際に第1板ばね21が座屈する。このため、ユーザの上顎または下顎の一方の咬合力を適切に発揮させることができ、咬合力を好適に鍛錬できる。
【0037】
(2)咬合鍛錬装置10は、第2部材20Bが第2板ばね22を含む。このため、上顎または下顎の両方の咬合力を適切に発揮させることができ、咬合力を好適に鍛錬できる。
【0038】
(3)咬合鍛錬装置10は、第1板ばね21と第2板ばね22により咬合力を好適に鍛錬できる。
【0039】
(4)咬合鍛錬装置10は、咬合部20および支持部30が収容部40に収容されるため、ユーザが好適に咬合部を咬合できる。
【0040】
(5)咬合鍛錬装置10は、被覆部が設けられるため開口から咬合部および支持部が飛び出す可能性が抑制される。
【0041】
(6)咬合鍛錬装置10は、被覆部50にシリコーン、合成ゴム、および、熱可塑性樹脂の少なくとも1つを含む。シリコーン、合成ゴム、および、熱可塑性樹脂の少なくとも1つにより構成されることで、ユーザの咬合力を好適に咬合部20に伝達できる。
【0042】
(7)咬合部20が第1状態および第2状態の一方から他方に変わる場合に、第1板ばね21および第2板ばね22の少なくとも1つから座屈に伴う音が発生する。このため、ユーザは第1状態および第2状態の一方から他方に変化したことを容易に認識できる。第1状態から第2状態に変化した場合、ユーザはこれ以上咬合鍛錬装置10を噛む必要がないことを容易に認識できる。第2状態から第1状態に変化した場合、ユーザは再度咬合鍛錬装置10を噛み、咬合力を鍛錬できることが認識できる。
【0043】
(8)咬合鍛錬装置10は、スリット31Aおよびスリット32Aに第1部材20Aおよび第2部材20Bを差し込むことで支持部30は咬合部20を支持する。このため、第1部材20Aおよび第2部材20Bを容易に着脱できる。例えば、対象とするユーザおよび使用目的に応じて適切な咬合部20を構成する第1部材20Aおよび第2部材20Bを選択して咬合鍛錬装置10を使用できる。
【0044】
(9)支持部30および収容部40は、シリコーン、合成ゴム、または、熱可塑性樹脂といった比較的柔らかい材料で構成される。このため、ユーザが支持部30を噛んだ場合でも、咬合鍛錬装置10の破損、および、歯が破砕される恐れが低減される。
【0045】
(10)収容部40の開口42により、咬合部20および支持部30の構成を任意の構成に容易に交換することができる。このため、咬合鍛錬装置10のユーザビリティが向上する。
【0046】
(11)被覆部50には、中心マーク50Aが形成される。このため、例えば咬合鍛錬装置10を使うユーザとは別の実施者が、咬合鍛錬装置10を使用する場合に、位置調節を容易に実行できる。一例では、別の実施者はユーザを保育または介護する者である。
【0047】
(実施例)
実施例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本開示は、実施例に記載の構成に限定されるものではない。
実施例A~実施例Gは、咬合部20、支持部30、収容部40、被覆部50、シート51、および、口腔ケアアイテム100の少なくとも1つを変更した。表1は、各実施例の構成の詳細を示す。いずれの実施例においても、ユーザの咬合力を好適に鍛錬できた。
【0048】
【表1】
【0049】
咬合部20は、第1板ばね21および第2板ばね22のいずれも同様の材料および仕様の板ばねを使用した。板ばねは、標準の板ばね、標準の板ばねよりも硬い板ばね、標準の板ばねよりも前後方向XCに長い板ばねのうちの1つを使用した。
【0050】
支持部30は、第1支持部31および第2支持部32のいずれも同様の材料および仕様で構成される。支持部30は、シリコーンで構成される。支持部30を構成するシリコーンは、標準の硬さのもの、または、標準の硬さよりも硬いものを使用した。シリコーンの硬さは、タイプAのデュロメータで測定された値を参照した。
【0051】
収容部40は、シリコーンで構成される。収容部40を構成するシリコーンは、標準のもの、または、標準のものよりも前後方向XCに長いものを使用した。シリコーンの硬さは、タイプEのデュロメータで測定された値を参照した。
【0052】
被覆部50は、シリコーンで構成される。被覆部50は、標準のもの、または、標準のものよりも前後方向XCに長いものを使用した。
【0053】
シート51は、シリコーンで構成される。シート51は、標準のもの、標準のものよりも硬いもの、または、標準のものよりも前後方向XCに長いもののうちの1つを使用した。
【0054】
ハンドル110は、ユーザが握ることに適した材料で構成される。ハンドル110は、ハンドル部分の長手方向において長くポリエチレンテレフタラートで構成されるもの、ハンドル部分の長手方向において短いもの、および、ハンドル部分の長手方向において長くシリコーンで構成されるもののうちの1つを使用した。
【0055】
咬合鍛錬装置10の好ましい仕様について例示する。
咬合鍛錬装置10の上下方向XAの長さは、4mm~14mmの範囲に収まることが好ましい。一例では、咬合鍛錬装置10の上下方向XAの長さは、9mmである。咬合鍛錬装置10の左右方向XBの長さは、7mm~27mmの範囲に収まることが好ましい。一例では、咬合鍛錬装置10の左右方向XBの長さは、17mmである。咬合鍛錬装置10の前後方向XCの長さは、8mm~37mmの範囲に収まることが好ましい。一例では、咬合鍛錬装置10の前後方向XCの長さは、23mmである。
【0056】
第1板ばね21および第2板ばね22の上下方向XAの長さは、2mm~15mmの範囲に収まることが好ましい。一例では、第1板ばね21および第2板ばね22の上下方向XAの長さは、5mmである。第1板ばね21および第2板ばね22の左右方向XBの長さは、3mm~20mmの範囲に収まることが好ましい。一例では、第1板ばね21および第2板ばね22の左右方向XBの長さは、11mmである。第1板ばね21および第2板ばね22の前後方向XCの長さは、5mm~30mmの範囲に収まることが好ましい。一例では、第1板ばね21および第2板ばねの前後方向XCの長さは、18mmである。
【0057】
支持部30を構成する第1支持部31および第2支持部32のシリコーンの硬度は、10°~70°の範囲に収まることが好ましい。一例では、シリコーンの硬度は30°である。収容部40を構成するシリコーンの硬度は、10°~70°の範囲に収まることが好ましい。一例では、収容部40を構成する発泡シリコーンの硬度は、30°である。
【0058】
被覆部50を構成するシリコーンの硬度は、10°~70°の範囲に収まることが好ましい。一例では、被覆部50を構成するシリコーンの硬度は、30°である。シート51を構成するシリコーンの硬度は、10°~70°の範囲に収まることが好ましい。一例では、シート51を構成するシリコーンの硬度は、30°である。
【0059】
ハンドル110の長手方向の長さは、50mm~250mmの範囲に収まることが好ましい。一例では、ハンドル110の長手方向の長さは、150mmである。
【0060】
(変形例)
実施の形態に関する説明は本発明に関する咬合鍛錬装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明は実施の形態以外に例えば以下に示される実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0061】
・第1部材20Aと第2部材20Bとは、任意に変更される。一例では、第1部材20Aは、第1板ばね21に代わり金属で構成された板を含む。第2部材20Bは、第2板ばね22で構成される。板は、第2板ばね22よりも座屈しにくい。別の例では、第2部材20Bは、第2板ばねに代わり金属で構成された板を含む。
【0062】
・第1部材20Aおよび第2部材20Bの少なくとも一方を、複数の第1板ばね21および第2板ばね22により構成してもよい。複数の第1板ばね21および第2板ばね22で構成されることにより、座屈に必要な所定の力を任意に増加させることができる。
【0063】
・中心マーク50Aは、ユーザ自身が咬合鍛錬装置10の中心を認識できるように構成されていてもよい。一例では、中心マーク50Aは、被覆部50において形成される凹凸である。ユーザは、口腔内において中心マーク50Aの凹凸を認識することで咬合鍛錬装置10において適切な咬合位置を認識できる可能性が高まる。凹凸は、1つの凹凸であってもよく、複数の凹凸を含んでいてもよい。複数の凹凸は、例えば点字状に形成される。
【符号の説明】
【0064】
10…咬合鍛錬装置、20…咬合部、30…支持部、40…収容部、50…被覆部。
図1
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図7