(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104287
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】通信システム、および、通信プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 47/80 20220101AFI20220701BHJP
【FI】
H04L12/927
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219398
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(71)【出願人】
【識別番号】517137457
【氏名又は名称】リブゼント・イノベーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】岡田 智広
(72)【発明者】
【氏名】中村 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】天坂 光男
(72)【発明者】
【氏名】春日 秀之
(72)【発明者】
【氏名】石塚 広樹
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA14
5K030JA10
5K030LC09
(57)【要約】
【課題】通信要件が動的に変化するアプリケーション群から構成されるコンテンツについて、ネットワークリソースの割り当てを適切に行う。
【解決手段】通信システム1aは、リソース配分決定部323と転送機器設定部34とを備える。リソース配分決定部323は、アプリケーション100がネットワーク経由で通信を行う際の要件である通信要件(例えば、アプリケーション100が用いる通信帯域、当該アプリケーション100に許容される通信遅延、ジッタ幅、当該アプリケーション100が用いるコンピューティングリソース等)ごとに、所定の利用可能リソース量から、各アプリケーション100へ分配するリソースの配分量を決定する。転送機器設定部34は、決定された通信要件に基づく各アプリケーションへのリソースの配分量を、ネットワークに設定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションがネットワーク経由で通信を行う際の要件である通信要件に基づき、所定の利用可能リソース量から各アプリケーションへ分配するリソースの配分量を決定するリソース配分決定部と、
前記決定された前記通信要件に基づく各アプリケーションへのリソースの配分量を、前記ネットワークを構成するネットワーク装置それぞれに設定する設定部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記ネットワーク装置それぞれから取得した前記リソースの利用量の測定結果に基づき、前記所定の利用可能リソース量を更新する更新部をさらに備え、
前記リソース配分決定部は、
前記通信要件に基づき、前記更新された所定の利用可能リソース量から各アプリケーションへ分配するリソースの配分量を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記設定された前記通信要件に基づく各アプリケーションへのリソースの配分量に基づき、前記各アプリケーションのトラフィックの転送制御を行う1以上の前記ネットワーク装置
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
自身のアプリケーションに関する前記通信要件を通知する1以上のアプリケーション
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記リソース配分決定部は、
同じコンテンツに含まれるアプリケーションについて、前記アプリケーションそれぞれへのリソースを配分する際の優先度を示す情報に応じて、通信要件に基づく前記各アプリケーションへ分配するリソースの配分量を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
前記通信要件は、
前記アプリケーションが前記ネットワーク経由で通信を行う際に用いる通信帯域と、許容される通信遅延、許容されるジッタ幅、コンピューティングリソースおよびセキュリティの少なくともいずれかとを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項7】
アプリケーションがネットワーク経由で通信を行う際の要件である通信要件に基づき、所定の利用可能リソース量から各アプリケーションへ分配するリソースの配分量を決定するリソース配分決定部と、
前記決定された前記通信要件に基づく各アプリケーションへのリソースの配分量を、前記アプリケーションそれぞれに設定するアプリケーション設定部と、
前記設定に基づき、自身のアプリケーションが送信するコンテンツの品質レベルを変更する1以上の前記アプリケーションと、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項8】
アプリケーションがネットワーク経由で通信を行う際の要件である通信要件に基づき、所定の利用可能リソース量から各アプリケーションへ分配するリソースの配分量を決定する工程と、
前記決定された前記通信要件に基づく各アプリケーションへのリソースの配分量を、前記ネットワークを構成するネットワーク装置それぞれに設定する工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、および、通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、ネットワーク経由での通話、映像配信、ゲーム、センシング、遠隔操縦等を行うアプリケーションを複合的に組み合わせて、単一のコンテンツとして提供するサービスが登場しつつある。ここでアプリケーションの中には厳しい通信要件(例えば、遅延が10ms以下)を有するものもあり、サービスの提供に様々なトラフィックが流入するネットワークを用いる場合、サービスの安定運用が難しい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】VPNとは?その基本から安全なVPN接続を徹底解説、[2020年8月13日検索]、インターネット<URL:https://cybersecurity-jp.com/security-measures/26436>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、サービスの安定運用のため、帯域保証型の回線を利用する方法もある。しかし、サービスの安定運用のためには、帯域以外の通信要件(例えば、許容される遅延、ジッタ等の要件や、端末やサーバ等への不正アクセスの遮断等のセキュリティ要件)も存在する。また、上記のように複数のアプリケーションから構成されるコンテンツについて、各アプリケーションから要求される通信品質(通信要件で要求される品質)も動的に変化する。よって、コンテンツに対し、適切なネットワークリソースの割り当てを行うことが困難であるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記した問題を解決し、通信要件が動的に変化するアプリケーション群から構成されるコンテンツについて、ネットワークリソースの割り当てを適切に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明は、アプリケーションがネットワーク経由で通信を行う際の要件である通信要件に基づき、所定の利用可能リソース量から各アプリケーションへ分配するリソースの配分量を決定するリソース配分決定部と、前記決定された前記通信要件に基づく各アプリケーションへのリソースの配分量を、前記ネットワークを構成するネットワーク装置それぞれに設定する設定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通信要件が動的に変化するアプリケーション群から構成されるコンテンツについて、ネットワークリソースの割り当てを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、第1の実施形態の通信システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の通信システムの構成の変形例を示す図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態の通信システムの構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4の通信システムの処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第3の実施形態の通信システムの構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6の通信システムの処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、通信プログラムを実行するコンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。本発明は、以下に説明する各実施形態に限定されない。
【0010】
まず、各実施形態の通信システムが扱うコンテンツの例を説明する。例えば、コンテンツは、複数のアプリケーションを備え、それぞれのアプリケーションがネットワーク経由で通信を行うことによりサービスを提供する。このコンテンツは、例えば、対戦型のXRスポーツである。以下、
図1を用いて、コンテンツが対戦型のXRスポーツ(卓球)である場合におけるコンテンツの特徴を説明する。
【0011】
[コンテンツの例]
・本コンテンツのユーザは、Player、Audience、Observer等である。また、仮想空間における試合の様子は、カメラ(仮想のカメラ)で撮影され、モニタ等に配信される。
・Playerは、例えば、ネットワーク経由でVR機器を用いて他のPlayerと試合を行ったり、応援をしたりする。Audienceは、ネットワーク経由でVR機器を用いてゲームの視聴や応援を行う。Observerは、スマートフォン(スマホ)を用いてゲームの視聴を行う。
・コンテンツは、例えば、上記のユーザの種別に応じたアプリケーションによりサービスを提供する。
・Playerのトラフィックの通信要件は、低遅延、ジッタ抑制、および、帯域保証である。また、Audienceのトラフィックの通信要件は、低遅延、および、帯域保証である。さらに、Observerのトラフィックの通信要件は帯域保証である。各アプリケーションのトラフィックの優先度は、Playerのトラフィック(プレイ信号)は「最優先」であり、Audienceの視聴および応援は「中優先」であり、カメラで撮影された画像の視聴は「中優先」であり、Observerによる視聴は「低優先」である。
・Player、Audience、Observerに共通するセキュリティ要件として、上記遅延や帯域の要件が確保されたネットワークは所定の端末・サーバのみが利用可能であり、他の端末等による不正利用がなされないように閉域性が確保されていることがあげられる。
【0012】
[通信要件の例]
また、各実施形態の通信システムが扱う通信要件とその通信要件に示される品質を満たすための処理の例について示す
・通信帯域:ネットワークのエッジノードおよびゲートウェイノードにおけるQoS制御と転送経路の帯域保証
・通信遅延:コンテンツが利用するデータセンタのロケーション、転送経路およびQoSクラス(パケット処理のスケジューリング)の制御
・ジッタ:Time Sensitive Networking、Deterministic Networking等による経路上の各装置内遅延の抑制
・セキュリティ:FirewallやIPS(Intrusion Prevention System)、DDoS(Distributed Denial Of Service)等の攻撃緩和システム等のネットワークアプライアンスの適用による不正アクセス・不正通信の防止、あるいはVPN(Virtual Private Network)技術を用いてインターネット等の外部からの通信経路を持たせなくすることによるネットワークの閉域性の確保
・コンピューティングリソース、ストレージリソース:コンテンツが利用するデータセンタでパケットを処理するために必要なCPU(Central Processing Unit)、メモリ、ストレージ等の提供
【0013】
[第1の実施形態]
[構成例]
次に、
図2を用いて、第1の実施形態の通信システムの構成例を説明する。第1の実施形態の通信システム1は、コンテンツサーバ装置10と、ネットワークと、リソース設定装置30とを備える。コンテンツサーバ装置10は、1以上のアプリケーション100を備えるコンテンツを動作させる。なお、コンテンツサーバ装置10は、アプリケーション別に個別に設置する場合や、アプリケーションの処理負荷等に応じて同一アプリケーションを配備するものを複数設置する場合についても、以降の記載と同様の処理を行うものとする。
【0014】
ネットワークは、複数のネットワーク装置(図示省略)により構成され、例えば、コンテンツの各アプリケーション100のトラフィックを転送する。
【0015】
リソース設定装置30は、通信要件に基づき各アプリケーション100がネットワーク経由で通信を行う際のリソースの配分量を決定し、決定したリソースの配分量を、各ネットワーク装置(転送機器)に設定する。
【0016】
リソース設定装置30は、通信要件統合管理部32と、通信要件受信部33と、転送機器設定部34とを備える。
【0017】
通信要件統合管理部32は、各アプリケーション100の通信要件を管理し、例えば、通信要件管理部321と、通信要件通知部322とを備える。通信要件管理部321は、各アプリケーション100の通信要件を決定する。通信要件通知部322は、決定したアプリケーション100それぞれの通信要件を通信要件受信部33に出力する。
【0018】
通信要件受信部33は、各アプリケーション100の通信要件を受信し、転送機器設定部34に出力する。
【0019】
転送機器設定部34は、ネットワーク内の各ネットワーク装置(転送機器)に、アプリケーション100それぞれの通信要件を設定する。例えば、転送機器設定部34は、各ネットワーク装置に、アプリケーション100の識別情報と、当該識別情報のアプリケーション100の通信要件(例えば、当該アプリケーション100が用いる通信帯域、当該アプリケーション100に許容される通信遅延、ジッタ幅、通信を許可するあるいは規制する通信パターン(IPアドレスやポート番号、パケット到着レート等)等)とを設定する。その後、ネットワーク装置は、当該設定に基づき、例えば、アプリケーション100ごとに、当該アプリケーション100のトラフィックについて、帯域確保、転送先の振り分け、遅延制御、ロケーションごとのコンピューティングリソースの割り当て、通信の許可あるいは規制の制御を行うFirewall等のセキュリティアプライアンスの適用等の制御を行う。
【0020】
このような通信システム1によれば、通信要件が動的に変化するアプリケーション100から構成されるコンテンツであっても、リソースの割り当てを適切に行うことができる。
【0021】
なお、通信システム1のアプリケーション100それぞれが、リソース設定装置30に自身のアプリケーション100の通信要件を通知してもよい。この場合、例えば、
図3に示すように、アプリケーション100それぞれが、通信要件設定部111と、通信要件通知部322とを備える。
【0022】
通信要件設定部111は、自身のアプリケーション100の通信要件を決定し、設定する。通信要件通知部322は、通信要件設定部111により設定された通信要件を、自身のアプリケーション100の識別情報とともにリソース設定装置30に通知する。
【0023】
このような通信システム1によっても、通信要件が動的に変化するアプリケーション100から構成されるコンテンツに対しリソースの割り当てを適切に行うことができる。
【0024】
[第2の実施形態]
[構成例]
次に、
図4を用いて、第2の実施形態の通信システムの構成例を説明する。第1の実施形態と同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。
【0025】
第2の実施形態の通信システム1aは、コンテンツ全体で利用可能なリソース量から、通信要件に基づき、各アプリケーション100がネットワーク経由で通信を行う際のリソースの配分量を決定することを特徴とする。
【0026】
この通信システム1aのリソース設定装置30aは、リソース配分決定部323を備える。リソース配分決定部323は、コンテンツ全体で利用可能なリソース量から、通信要件に基づき、各アプリケーション100がネットワーク経由で通信を行う際のリソースの配分量を決定する。なお、コンテンツ全体で利用可能なリソース量は、例えば、コンテンツの提供者やネットワークから通知される。
【0027】
通信要件通知部322は、リソース配分決定部323により決定された通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を、通信要件受信部33へ出力する。通信要件受信部33は、通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を、転送機器設定部34に出力する。転送機器設定部34は、通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を、ネットワーク内の各転送機器(各ネットワーク装置)に設定する。
【0028】
また、リソース設定装置30aは、記憶部31に、アプリケーション100へリソースを配分する際の優先度(優先クラス)、分配ポリシー等を示したアプリケーション情報を記憶する。このアプリケーション情報は、リソース配分決定部323が、コンテンツ全体で利用可能なリソース量から、通信要件に基づき、各アプリケーション100がネットワーク経由で通信を行う際のリソースの配分量を決定する際に参照される。ここでのリソースの配分量の決定の詳細は、具体例を用いて後記する。
【0029】
[処理手順の例]
次に、
図5を用いて、リソース設定装置30aの処理手順の例を説明する。なお、リソース設定装置30aは、事前にコンテンツ全体で利用可能なリソース量(利用可能リソース量)を受信済みであるものとする。
【0030】
まず、リソース設定装置30aのリソース配分決定部323は、コンテンツ全体で利用可能なリソース量から、通信要件に基づき、各アプリケーション100へのリソースの配分量を決定する(S1)。
【0031】
S1の後、リソース設定装置30aは、S1で決定した通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を、ネットワーク内の各ネットワーク装置に設定する(S2)。つまり、通信要件通知部322は、リソース配分決定部323により決定された、通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を通信要件受信部33へ出力する。そして、通信要件受信部33は、通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を、転送機器設定部34に出力する。転送機器設定部34は、通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を、ネットワーク内の各ネットワーク装置に設定する。
【0032】
ここで、
図4を参照しながら、
図5のS1における、通信要件に基づく、各アプリケーション100へのリソースの配分量の決定方法の例を説明する。
【0033】
例えば、まず、リソース配分決定部323は、1つめの通信要件について、リソースの配分量を、以下のようにして決定する。なお、以下の説明において、コンテンツサーバ装置10には、アプリケーション1~4が装備されるものとする(
図4参照)。ここで、アプリケーション1の優先クラスはClass_1であり、アプリケーション2の優先クラスはClass_2であり、アプリケーション3(
図4において図示省略)の優先クラスはClass_3であり、アプリケーション4の優先クラスは、Class_4であるものとする。
【0034】
リソースの配分量の決定に用いる条件は以下のとおりである。
【0035】
・利用可能リソース量:X(X<Σxl*nl、l=1,2,3,4)
・コンテンツ内の優先クラス:Class_1、Class_2、Class_3、Class_4
・アプリケーション数:Class_1→n1、Class_2→n2、Class_3→n3、Class_4→null
・クラス毎の分配リソース変数:Class_1→x1、Class_2→x2、Class_3→x3、Class_4→x4
・クラス毎の分配ポリシー:Class_1→必須、Class_2、3→重み(α、β)をつけて均等に分配
【0036】
リソース配分決定部323は、上記の条件に基づき、1つめの通信要件におけるクラス毎のリソースの配分量(分配リソース)を、以下のように決定する。
【0037】
クラス毎の分配リソース:
Class_1=x1
Class_2=x2=α(X-x*n1)/(αn2+βn3)
Class_2=x3=β(X-x*n1)/(αn2+βn3)
Class_4=x4=0
【0038】
リソース配分決定部323は、上記のようにして順次、通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を決定する。そして、リソース設定装置30aは、決定した通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を、ネットワーク内の各ネットワーク装置に設定する。
【0039】
このような通信システム1aによれば、コンテンツ全体で利用可能なリソース量が決まっている場合においても、通信要件が動的に変化するアプリケーション100から構成されるコンテンツに対し、リソースの割り当てを適切に行うことができる。
【0040】
なお、通信システム1aにおいても、前記した
図3に示すように、アプリケーション100それぞれが通信要件設定部111と、通信要件通知部322とを備え、アプリケーション100それぞれが自身のアプリケーション100の通信要件をリソース設定装置30aに通知してもよい。
【0041】
[第3の実施形態]
[構成例]
次に、
図6を用いて、第3の実施形態の通信システムの構成例を説明する。前記した各実施形態と同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。
【0042】
第3の実施形態の通信システム1bは、ネットワークのリソース利用量の測定結果に基づき、通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を決定することを特徴とする。
【0043】
この通信システム1bは、通信品質測定部20と、リソース設定装置30bとを備える。また、通信システム1bのコンテンツサーバ装置10は、アプリケーション設定部110を備える。アプリケーション設定部110は、リソース設定装置30bから通知された
通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量に応じて、各アプリケーション100の設定を変更する。また、通信システム1bの記憶部31は、コンテンツに提供可能なリソース量をリソースの種別ごとに示したリソース情報をさらに記憶する。
【0044】
通信品質測定部20は、ネットワークにおけるリソースの種別ごとのリソース利用量を測定し、リソース設定装置30bへ通知する。
【0045】
リソース設定装置30bは、通信品質管理部(更新部)35と、通信品質通知部36とを備える。
【0046】
通信品質管理部35は、通信品質測定部20から通知されたリソースの種別ごとのリソース利用量の測定結果に基づき、コンテンツに提供可能なリソース量を算出し、更新する。
【0047】
例えば、通信品質管理部35は、通信品質測定部20から通知されたリソースの種別ごとのリソース利用量の測定結果に基づき、ネットワーク全体のリソースの利用率を算出する。そして、通信品質管理部35は、ネットワーク全体のリソースの利用率の算出結果に基づき、現在運用されているコンテンツに提供可能なリソース量を算出する。その後、通信品質管理部35は、算出した現在運用されているコンテンツに提供可能なリソース量を用いてリソース情報を更新する。
【0048】
通信品質通知部36は、更新されたリソース情報(最新の利用可能リソース量)を、リソース配分決定部323に通知する。
【0049】
そして、リソース配分決定部323は、通知された最新の利用可能リソース量から、通信要件に基づき各アプリケーション100へのリソースの配分量を決定する。そして、転送機器設定部34は、リソース配分決定部323により決定された通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を、コンテンツサーバ装置10へ通知する。
【0050】
そして、コンテンツサーバ装置10のアプリケーション設定部110は、通知された通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量に応じて、各アプリケーション100の設定を変更する。
【0051】
例えば、アプリケーション設定部110は、通知された通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量に応じて、各アプリケーション100の出力トラフィックや、送信するコンテンツの品質レベルを変更する。
【0052】
このようにすることでリソース設定装置30bは、ネットワークにおけるリソースの利用率に応じ、通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を各アプリケーション100に設定することができる。その結果、例えば、リソース設定装置30bは、ネットワークの混雑時(リソース不足が発生している時)には、各アプリケーション100の出力トラフィックを絞り、ネットワークが混雑していない時(リソースに余裕がある時)は、各アプリケーション100により送信されるコンテンツの品質レベルを向上させることができる。
【0053】
[処理手順の例]
次に、
図7を用いて、リソース設定装置30bの処理手順の例を説明する。
【0054】
まず、リソース設定装置30bの通信品質管理部35は、通信品質測定部20から通知されたリソースの種別ごとのリソース利用量の測定結果に基づき、ネットワークのリソース利用量を取得する(S11)。そして、通信品質管理部35はネットワーク全体のリソースの利用率を算出し、その算出結果に基づき、現在運用されているコンテンツに提供可能なリソース量を算出する。そして、通信品質管理部35は、算出した現在運用されているコンテンツに提供可能なリソース量を用いてリソース情報を更新する(S12:利用可能なリソース量を更新)。
【0055】
S12の後、リソース設定装置30bのリソース配分決定部323は、更新後の利用可能なリソース量から、通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を決定する(S13)。そして、リソース設定装置30bは、決定した通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量をコンテンツサーバ装置10へ通知する(S14)。つまり、リソース設定装置30bの通信要件通知部322は、S13で決定された通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を、通信要件通知部322へ出力する。そして、通信要件通知部322は、この通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を、コンテンツサーバ装置10へ通知する。
【0056】
その後、コンテンツサーバ装置10のアプリケーション設定部110は、通知された通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量に基づき、各アプリケーション100の設定を変更する。
【0057】
このようにすることでリソース設定装置30bは、ネットワークにおけるリソースの利用率に応じて決定された、通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を、ネットワーク内の各アプリケーション100に設定することができる。
【0058】
なお、通信システム1bにおいても、前記した
図3に示すように、アプリケーション100それぞれが通信要件設定部111と、通信要件通知部322とを備え、アプリケーション100それぞれが自身のアプリケーション100の通信要件をリソース設定装置30bに通知してもよい。
【0059】
また、リソース設定装置30bは、リソース利用量の測定結果に基づき決定した、通信要件に基づく各アプリケーション100へのリソースの配分量を各ネットワーク装置に設定してもよいし、各ネットワーク機器と各アプリケーション100の両方に設定してもよい。
【0060】
また、前記した通信システム1,1a,1bは、コンテンツサーバ装置10の各アプリケーション100に割り当てられたリソースの配分量、またはリソースの利用量に応じた課金処理を行ってもよい。
【0061】
また、前記した通信システム1,1a,1bの通信要件統合管理部32は、コンテンツサーバ装置10側に装備されてもよい。
【0062】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0063】
また、前記した実施形態において説明した処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0064】
[プログラム]
前記した通信システム1,1a,1bは、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとしてプログラムを所望のコンピュータにインストールさせることによって実装できる。例えば、上記のプログラムを情報処理装置に実行させることにより、情報処理装置を各実施形態の通信システムとして機能させることができる。ここで言う情報処理装置には、デスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータが含まれる。また、その他にも、情報処理装置にはスマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)等の移動体通信端末、さらには、PDA(Personal Digital Assistant)等のスレート端末等がその範疇に含まれる。
【0065】
また、各実施形態の通信システムは、ユーザが使用する端末装置をクライアントとし、当該クライアントに上記の処理に関するサービスを提供するサーバ装置として実装することもできる。この場合、サーバ装置は、Webサーバとして実装することとしてもよいし、アウトソーシングによって上記の処理に関するサービスを提供するクラウドとして実装することとしてもかまわない。
【0066】
図8は、通信プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010、CPU1020を有する。また、コンピュータ1000は、ハードディスクドライブインタフェース1030、ディスクドライブインタフェース1040、シリアルポートインタフェース1050、ビデオアダプタ1060、ネットワークインタフェース1070を有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0067】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0068】
ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、各実施形態の通信システムが実行する各処理を規定するプログラムは、コンピュータにより実行可能なコードが記述されたプログラムモジュール1093として実装される。プログラムモジュール1093は、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。例えば、各実施形態の通信システムにおける機能構成と同様の処理を実行するためのプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。なお、ハードディスクドライブ1090は、SSDにより代替されてもよい。
【0069】
また、上述した実施形態の処理で用いられる各種情報は、プログラムデータ1094として、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して実行する。
【0070】
なお、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限らず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、ネットワされたーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続他のコンピュータに記憶されてもよい。そして、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、他のコンピュータから、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1,1a,1b 通信システム
10 コンテンツサーバ装置
20 通信品質測定部
30,30a,30b リソース設定装置
31 記憶部
32 通信要件統合管理部
33 通信要件受信部
34 転送機器設定部
35 通信品質管理部
36 通信品質通知部
321 通信要件管理部
322 通信要件通知部
323 リソース配分決定部