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特開2022-104628走査プローブ、方法、およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104628
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】走査プローブ、方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/012 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
G01B5/012
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214711
(22)【出願日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】17/527,655
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/135,672
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/135,665
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】特許業務法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー リチャード ハムナー
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA04
2F062CC22
2F062EE01
2F062FF02
2F062FG07
2F062GG17
2F062HH01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】クロストークを低減する走査プローブ、方法、およびシステムを提供する。
【解決手段】走査プローブ300内のスタイラス位置測定のための誘導性位置検出構成体は、走査プローブ300内の中心軸に沿って配置されたスタイラス位置検出部を備える。スタイラス位置検出部は、場生成コイル構成体360と、上部軸方向検出コイル構成体と、上部回転検出コイル構成体と、下部軸方向検出コイル構成体と、下部回転検出コイル構成体とを備える。場生成コイル構成体360は変動磁束を生成し、コイル信号は導電性のディスラプター要素および/またはスタイラスの位置を示す。場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、信号処理および制御回路を場生成コイル構成体360に結合してコイル駆動信号を提供し、クロストークを低減するように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標測定機用の走査プローブにおいて、
スタイラスに堅固に結合されるように構成されたスタイラス結合部と、
軸方向に沿って前記スタイラス結合部の軸方向移動、および回転中心の周りの前記スタイラス結合部の回転移動を可能にするように構成されたスタイラス移動機構と、
を備える前記走査プローブのフレームに結合されたスタイラス懸架部と、
少なくとも1つの場生成コイルを備える場生成コイル構成体と、
少なくとも1つの上部軸方向検出コイルを備える上部軸方向検出コイル構成体と、
少なくとも1つの下部軸方向検出コイルを備える下部軸方向検出コイル構成体と、
N個(Nは少なくとも3である整数)の上部回転検出コイルおよびN個の下部回転検出コイルと、
ディスラプター領域を提供し、ディスラプター移動ボリュームの中心軸に沿って配置され、結合構成体によって前記スタイラス懸架部に結合される導電性のディスラプター要素を備えるディスラプター構成体と、
を備え、前記ディスラプター要素が、前記軸方向移動に応じて前記軸方向に沿った動作移動範囲+/-Rzにわたって移動し、前記回転移動に応じて前記軸方向に直交する直交XおよびY方向に沿ったそれぞれの動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ryにわたって移動して、前記ディスラプター要素は、前記スタイラス懸架部の偏向に応じて非偏向位置に対して前記ディスラプター移動ボリューム内で移動し、前記場生成コイル構成体は、コイル駆動信号に応じて、前記ディスラプター移動ボリューム内に前記軸方向にほぼ沿って変動磁束を生成し、前記軸方向に平行である前記中心軸に沿って配置され、前記回転中心に名目上整列しているスタイラス位置検出部と、
前記コイル駆動信号を提供するように前記スタイラス位置検出部のコイルに動作可能に接続され、前記上部軸方向検出コイルと前記下部軸方向検出コイルと前記上部回転検出コイルと前記下部回転検出コイルとによって提供されるそれぞれの信号成分を備える信号を入力し、前記走査プローブの前記フレームに対して前記ディスラプター要素または前記スタイラスの少なくとも一方の軸方向位置および回転位置を示す信号を出力するように構成された信号処理および制御回路と、
前記信号処理および制御回路を前記少なくとも1つの場生成コイルに結合し、前記少なくとも1つの場生成コイルが場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体なしで前記信号処理および制御回路に直接的に接続された場合に、それがなければ生じるであろうクロストークを低減するように構成された前記場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体と、
を備えることを特徴とする走査プローブ。
【請求項2】
請求項1に記載の走査プローブにおいて、
前記場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、第1の上支部および第1の下支部を備えることを特徴とする走査プローブ。
【請求項3】
請求項2に記載の走査プローブにおいて、
前記少なくとも1つの場生成コイルは、前記中心軸に直交し、前記第1の場生成コイルを通過する第1の場生成コイル平面を定義する第1の場生成コイルを備え、そのため、前記場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体の前記第1の上支部および前記第1の下支部はそれぞれ、前記第1の場生成コイル平面の上方および下方に配置されることを特徴とする走査プローブ。
【請求項4】
請求項3に記載の走査プローブにおいて、
前記第1の上支部および前記第1の下支部は、
第1の場生成コイル平面に対して対称的である、
鏡映電流分布構成体の一部である、
第1の場生成コイル平面の上方および下方に、それぞれほぼ等しい距離および同様の相対的なX座標位置およびY座標位置で、同様の電流を流すように構成されている、あるいは
並列に接続されている、
の少なくとも1つであることを特徴とする走査プローブ。
【請求項5】
請求項3に記載の走査プローブにおいて、
前記第1の上支部は第1の上部キャパシタを備え、前記第1の下支部は第1の下部キャパシタを備え、前記第1の上部キャパシタと前記第1の下部キャパシタとが並列に接続されることを特徴とする走査プローブ。
【請求項6】
請求項3に記載の走査プローブにおいて、
前記少なくとも1つの場生成コイルは、前記中心軸に直交し、前記第2の場生成コイルを通過する第2の場生成コイル平面を定義する第2の場生成コイルを備え、そのため、前記第1の場生成コイルおよび前記第2の場生成コイルはそれぞれ、上部場生成コイルおよび下部場生成コイルに対応し、前記場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、前記第2の場生成コイル平面の上方および下方に配置される第2の上支部および第2の下支部それぞれを備えることを特徴とする走査プローブ。
【請求項7】
請求項6に記載の走査プローブにおいて、
前記第1の上支部は第1の上部キャパシタを備え、前記第1の下支部は第1の下部キャパシタを備え、前記第1の上部キャパシタと前記第1の下部キャパシタは並列に接続され、
前記第2の上支部は第2の上部キャパシタを備え、前記第2の下支部は第2の下部キャパシタを備え、前記第2の上部キャパシタと前記第2の下部キャパシタは並列に接続されることを特徴とする走査プローブ。
【請求項8】
請求項1に記載の走査プローブにおいて、
前記場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、鏡映電流分布構成体を備えることを特徴とする走査プローブ。
【請求項9】
請求項8に記載の走査プローブにおいて、
前記鏡映電流分布構成体は、並列に接続された一対のキャパシタを備えることを特徴とする走査プローブ。
【請求項10】
請求項8に記載の走査プローブにおいて、
前記鏡映電流分布構成体は、第1の方向に電流の流れを有する中間電流支部と、前記中間電流支部にそれぞれ結合され、前記第1の方向とほぼ反対の第2の方向に電流の流れを有する上電流支部および下電流支部と、を備える三電流支部構成体を備えることを特徴とする走査プローブ。
【請求項11】
請求項1に記載の走査プローブにおいて、
前記少なくとも1つの場生成コイルは、
第1の場生成コイルと、
場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体と、を備え、
前記場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、前記第1の場生成コイルを前記信号処理および制御回路に結合する第1の導電体を備える第1の導電性結合部を備え、前記第1の導電体の寄与を相殺する第1のツイスト構成体が提供されていることを特徴とする走査プローブ。
【請求項12】
請求項1に記載の走査プローブにおいて、
前記少なくとも1つの場生成コイルは、
第1の場生成コイルと、
前記場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体と、を備え、
前記場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、
前記第1の場生成コイルを前記信号処理および制御回路に結合する第1の導電性結合部と、
前記第1の導電性結合部を遮蔽するために前記第1の場生成コイルおよび前記第1の導電性結合部に近接して配置される第1の導電性遮蔽と、
を備えることを特徴とする走査プローブ。
【請求項13】
請求項12に記載の走査プローブにおいて、
前記場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、更に、前記中心軸に対して第2の位置にある第2の導電性遮蔽を備え、前記第1の導電性遮蔽は前記中心軸に対して第1の位置にあり、前記第1および第2の位置は前記中心軸に関して対称であることを特徴とする走査プローブ。
【請求項14】
ワークピースの表面に沿って走査プローブを移動させる工程と、
前記走査プローブが前記ワークピースの表面に沿って移動するときに前記走査プローブによって生成される誘導検出信号に基づいて3次元位置情報を生成する工程と、
を含む方法であって、
前記走査プローブは、
スタイラスに堅固に結合されるように構成されたスタイラス結合部と、
軸方向に沿って前記スタイラス結合部の軸方向移動、および回転中心の周りの前記スタイラス結合部の回転移動を可能にするように構成されたスタイラス移動機構と、
を備える前記走査プローブのフレームに結合されたスタイラス懸架部と、
少なくとも1つの場生成コイルを備える場生成コイル構成体と、
少なくとも1つの上部軸方向検出コイルを備える上部軸方向検出コイル構成体と、
少なくとも1つの下部軸方向検出コイルを備える下部軸方向検出コイル構成体と、
N個(Nは少なくとも3である整数)の上部回転検出コイルおよびN個の下部回転検出コイルと、
ディスラプター領域を提供し、ディスラプター移動ボリュームの中心軸に沿って配置され、結合構成体によって前記スタイラス懸架部に結合される導電性のディスラプター要素を備えるディスラプター構成体と、
を備え、前記ディスラプター要素が、前記軸方向移動に応じて前記軸方向に沿った動作移動範囲+/-Rzにわたって移動し、前記回転移動に応じて前記軸方向に直交する直交XおよびY方向に沿ったそれぞれの動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ryにわたって移動して、前記ディスラプター要素は、前記スタイラス懸架部の偏向に応じて非偏向位置に対して前記ディスラプター移動ボリューム内で移動し、前記場生成コイル構成体は、コイル駆動信号に応じて、前記ディスラプター移動ボリューム内に前記軸方向にほぼ沿って変動磁束を生成し、前記軸方向に平行である前記中心軸に沿って配置され、前記回転中心に名目上整列しているスタイラス位置検出部と、
前記コイル駆動信号を提供するように前記スタイラス位置検出部のコイルに動作可能に接続され、前記上部軸方向検出コイルと前記下部軸方向検出コイルと前記上部回転検出コイルと前記下部回転検出コイルとによって提供されるそれぞれの信号成分を備える信号を入力し、前記走査プローブの前記フレームに対して前記ディスラプター要素または前記スタイラスの少なくとも一方の軸方向位置および回転位置を示す信号を出力するように構成された信号処理および制御回路と、
前記信号処理および制御回路を前記少なくとも1つの場生成コイルに結合して、前記少なくとも1つの場生成コイルが場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体なしで前記信号処理および制御回路に直接的に接続された場合に、それがなければ生じるであろうクロストークを低減するように構成された前記場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体と、
を備える
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
走査プローブと、
駆動機構と、
前記駆動機構に前記走査プローブを結合する取付部と、を備えるシステムであって、
前記走査プローブは、
スタイラスに堅固に結合されるように構成されたスタイラス結合部と、
軸方向に沿って前記スタイラス結合部の軸方向移動、および回転中心の周りの前記スタイラス結合部の回転移動を可能にするように構成されたスタイラス移動機構と、
を備える前記走査プローブのフレームに結合されたスタイラス懸架部と、
少なくとも1つの場生成コイルを備える場生成コイル構成体と、
少なくとも1つの上部軸方向検出コイルを備える上部軸方向検出コイル構成体と、
少なくとも1つの下部軸方向検出コイルを備える下部軸方向検出コイル構成体と、
N個(Nは少なくとも3である整数)の上部回転検出コイルおよびN個の下部回転検出コイルと、
ディスラプター領域を提供し、ディスラプター移動ボリュームの中心軸に沿って配置され、結合構成体によって前記スタイラス懸架部に結合される導電性のディスラプター要素を備えるディスラプター構成体と、
を備え、前記ディスラプター要素が、前記軸方向移動に応じて前記軸方向に沿った動作移動範囲+/-Rzにわたって移動し、前記回転移動に応じて前記軸方向に直交する直交XおよびY方向に沿ったそれぞれの動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ryにわたって移動して、前記ディスラプター要素は、前記スタイラス懸架部の偏向に応じて非偏向位置に対して前記ディスラプター移動ボリューム内で移動し、前記場生成コイル構成体は、コイル駆動信号に応じて、前記ディスラプター移動ボリューム内に前記軸方向にほぼ沿って変動磁束を生成し、前記軸方向に平行である前記中心軸に沿って配置され、前記回転中心に名目上整列しているスタイラス位置検出部と、
前記コイル駆動信号を提供するように前記スタイラス位置検出部のコイルに動作可能に接続され、前記上部軸方向検出コイルと前記下部軸方向検出コイルと前記上部回転検出コイルと前記下部回転検出コイルとによって提供されるそれぞれの信号成分を備える信号を入力し、前記走査プローブの前記フレームに対して前記ディスラプター要素または前記スタイラスの少なくとも一方の軸方向位置および回転位置を示す信号を出力するように構成された信号処理および制御回路と、
前記信号処理および制御回路を前記少なくとも1つの場生成コイルに結合し、前記少なくとも1つの場生成コイルが場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体なしで前記信号処理および制御回路に直接的に接続された場合に、それがなければ生じるであろうクロストークを低減するように構成された前記場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体と、
を備える
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2020年12月28日に「INDUCTIVE POSITION DETECTION CONFIGURATION FOR INDICATING A MEASUREMENT DEVICE STYLUS POSITION AND INCLUDING COIL MISALIGNMENT COMPENSATION」と題されて出願された米国特許出願第17/135672号の一部継続出願である。なお、米国特許出願第17/135672号は、2019年8月30日に「INDUCTIVE POSITION DETECTION CONFIGURATION FOR INDICATING A MEASUREMENT DEVICE STYLUS POSITION」と題されて出願された米国特許出願第16/557719号の一部継続出願である。そして、米国特許出願第16/557719号は、2018年11月1日に「INDUCTIVE POSITION DETECTION CONFIGURATION FOR INDICATING A MEASUREMENT DEVICE STYLUS POSITION」と題されて出願された米国特許出願第16/178295号の一部継続出願である。
【0002】
本開示は、精密測定に関し、より詳細には、座標測定機で使用されるプローブで使用するための誘導性検出構成体に関する。
【背景技術】
【0003】
座標測定機(CMM)は、検査されたワークピースの測定値を取得できる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,438,746号に記載されている1つの例示的な従来技術のCMMは、ワークピースを測定するためのプローブ、そのプローブを動かすための移動機構、およびその動きを制御するためのコントローラを備える。表面走査プローブを備えるCMMは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,652,275号に記載されている。そこに開示されているように、機械的な接触プローブまたは光学プローブは、加工物の表面を走査することができる。
【0004】
機械的な接触プローブを使用するCMMは、米国特許第6,971,183号にも記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。そこに開示されているプローブは、表面接触部を有するスタイラス、軸方向移動機構、および回転移動機構を備える。軸方向移動機構は、接触部が走査プローブの中心軸方向(Z方向または軸方向とも呼ばれる)に移動することを可能にする移動部材を備える。回転移動機構は、接触部がZ方向に垂直に移動することを可能にする回転部材を備える。軸方向移動機構は、回転移動機構内に入れ子になっている。接触部の位置および/またはワークピースの表面座標は、回転部材の変位および移動部材の軸方向変位に基づいて決定される。
【0005】
誘導性検出技術は環境的にロバストであることが知られており、様々な望ましい検出特性を備えている。上記と同様の機械的な接触プローブにおける様々な内部構成要素の変位または位置を測定するために、精密LVDTなどを使用することが知られている。ただし、CMMプローブで使用するのに十分に正確なLVDTおよびその他の既知の誘導性センサは、かなり大きく、組み込むには扱いにくい場合があり、関連する移動機構および/または変位検出器の配置は、比較的高価であり、および/または(例えば、一般的な構成および/または機構および/または検出器の不完全性などによる)様々な「クロスカップリング」誤差の影響を受けやすい。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,810,966号('966特許)は、比較的平面的でかつ比較的経済的であって、近くにある導電性ターゲットの3次元位置を検出できる誘導性センサ構成体を開示している。しかし、'966特許に開示されている構成には、CMM走査プローブでの使用にうまく適合させるための必要な精度および/またはフォームファクタを提供することに関して、いくつかの設計上の欠陥がある。つまり、'966特許の構成には、CMMプローブのような最新の測定機器で妥当なレベルの精度を提供するために必要な高度な機能と特徴が欠けている。CMMプローブにおいて上記で概説したような既知の誘導性検出システムの使用に関連するその他の問題には、システムの変位応答に固有の信号/応答の非線形性、完全なアセンブリとアライメントを充足しないことによる位置誤差、および機械的および電気的コンポーネントへの(温度変化などによる)環境の影響による信号ドリフト、様々な構成要素間のクロストークなどが含まれる。CMMプローブで使用するための改善された誘導性検出構成体が必要とされている(例えば、変位検出器構成体は、上記のような誤差の影響を受けにくく、および/または比較的安価であるなど)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この概要は、以下の[発明を実施するための形態]においてさらに説明される概念の抜粋を簡略化された形式で紹介するために提供されている。この概要は、特許請求された主題の主要な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求された主題の範囲を決定する際の補助として使用されることも意図していない。
【0007】
3軸で応答する走査プローブは、測定機(CMMなど)で使用するために提供されている。走査プローブは、スタイラス懸架部と、スタイラス位置検出部と、信号処理および制御回路と、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体と、を備える。
【0008】
スタイラス懸架部は、走査プローブのフレームに結合され、スタイラスに堅固に結合されるように構成されたスタイラス結合部と、軸方向に沿ってスタイラス結合部の軸方向移動、および回転中心の周りのスタイラス結合部の回転移動を可能にするように構成されたスタイラス移動機構と、を備える。
【0009】
スタイラス位置検出部は、軸方向に平行で回転中心と名目上整列した中心軸に沿って配置され、誘導性検出原理に基づいている。スタイラス位置検出部は、少なくとも1つの場生成コイルを備える場生成コイル構成体と、少なくとも1つの上部軸方向検出コイルを備える上部軸方向検出コイル構成体(TASCC)と、少なくとも1つの下部軸方向検出コイルを備える下部軸方向検出コイル構成体(BASCC)と、N個の上部回転検出コイル(TRSC)、N個の下部回転検出コイル(BRSC)と、を備え、ここで、Nは3より大きい整数である。なお、「名目上」は、「nominally」の和訳であり、「公称上、名義上、形式上、設計上」などの意味であってもよい。
【0010】
ディスラプター構成体は、ディスラプター領域を提供し、ディスラプター移動ボリューム内の中心軸に沿って配置される導電性のディスラプター要素を備える。ディスラプター要素は、結合構成体によってスタイラス懸架部に結合され、スタイラス懸架部の偏向に応じて、非偏向位置に対してディスラプター移動ボリューム内で移動する。ディスラプター要素は、軸方向移動に応じて軸方向に沿った動作移動範囲+/-Rzにわたって移動し、回転移動に応じて軸方向にほぼ直交する直交XおよびY方向に沿ったそれぞれの動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ryにわたって移動するとして説明することができる。場生成コイル構成体は、コイル駆動信号に応じて、ディスラプター移動ボリューム内に軸方向にほぼ沿って変動磁束を生成する。
【0011】
信号処理および制御回路は、コイル駆動信号を提供するようにスタイラス位置検出部のコイルに動作可能に接続され、それぞれの回転および軸方向検出コイル(即ち、上部軸方向検出コイルと下部軸方向検出コイルと上部回転検出コイルと下部回転検出コイルと)によって提供されるそれぞれの信号成分を備える受信コイル部から信号を入力するように構成されている。さらに、信号処理および制御回路は、走査プローブのフレームに対してディスラプター要素またはスタイラスの少なくとも一方の軸方向位置および回転位置を示す信号を出力するように構成されている。
【0012】
場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、コイル駆動信号を提供するために信号処理および制御回路を少なくとも1つの場生成コイルに結合し、少なくとも1つの場生成コイルが場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体なしで信号処理および制御回路に直接的に接続された場合に、それがなければ生じるであろうクロストークを低減するように構成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、第1の上支部および第1の下支部を有する。
【0014】
このようないくつかの実施形態では、少なくとも1つの場生成コイルは、中心軸に直交し、第1の場生成コイルを通過する第1の場生成コイル平面を定義する第1の場生成コイルを備え、そのため、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体の第1の上支部と第1の下支部はそれぞれ、第1の場生成コイル平面の上方および下方に配置される。
【0015】
このようないくつかの実施形態では、第1の上支部および第1の下支部は、第1の場生成コイル平面に対して対称的であること、鏡映電流分布構成体の一部であること、第1の場生成コイル平面の上方および下方に、それぞれほぼ等しい距離および同様の相対的なX座標位置およびY座標位置で、同様の電流を流すように構成されること、または並列に接続されること、のうちの少なくとも1つである。
【0016】
このようないくつかの実施形態では、第1の上支部は第1の上部キャパシタを備え、第1の下支部は第1の下部キャパシタを備え、第1の上部キャパシタと第1の下部キャパシタとが並列に接続されている。
【0017】
このようないくつかの実施形態では、少なくとも1つの場生成コイルは、中心軸に直交し、第2の場生成コイルを通過する第2の場生成コイル平面を定義する第2の場生成コイルを備え、そのため、第1の場生成コイルおよび第2の場生成コイルはそれぞれ、上部場生成コイルおよび下部場生成コイルに対応し、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、第2の場生成コイル平面の上方および下方にそれぞれ配置される第2の上支部および第2の下支部を備える。このようないくつかの実施形態では、第1の上支部は第1の上部キャパシタを備え、第1の下支部は第1の下部キャパシタを備え、第1の上部キャパシタと第1の下部キャパシタとは並列に接続される。また、第2の上支部は第2の上部キャパシタを備え、第2の下支部は第2の下部キャパシタを備え、第2の上部キャパシタと第2の下部キャパシタとは並列に接続される。
【0018】
いくつかの実施形態では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、鏡映電流分布構成体を有する。いくつかのそのような実施形態では、鏡映電流分布構成体は、並列に接続された一対のキャパシタを備える。このようないくつかの構成では、鏡映電流分布構成体は、第1の方向に電流の流れを有する中間電流支部と、中間電流支部にそれぞれ結合され、第1の方向とほぼ反対の第2の方向に電流の流れを有する上電流支部および下電流支部と、を備える三電流支部構成体を備える。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの場生成コイルは、第1の場生成コイルを備える。このようないくつかの実施形態では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、第1の場生成コイルを信号処理および制御回路に結合する第1の導電体を備える第1の導電性結合部を備え、そのため、第1の導電体の寄与を相殺する第1のツイスト構成体が提供される。
【0020】
このようないくつかの実施形態では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、第1の場生成コイルを信号処理および制御回路に結合する第1の導電性結合部と、第1の導電性結合部を遮蔽するために第1の場生成コイルおよび第1の導電性結合部に近接して配置される第1の導電性遮蔽と、を備える。このようないくつかの実施形態では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は更に、中心軸に対して第2の位置にある第2の導電性遮蔽を備え、第1の導電性遮蔽は中心軸に対して第1の位置にあり、第1の位置および第2の位置は中心軸に関して対称である。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、走査プローブをワークピースの表面に沿って本明細書に開示されるように移動させる工程と、走査プローブがワークピースの表面に沿って移動するときに走査プローブによって生成される誘導検出信号に基づいて3次元位置情報を生成する工程と、を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、システムは、本明細書に開示されるような走査プローブと、駆動機構と、駆動機構に走査プローブを結合するように構成された取付部と、を備える。
【0023】
名目上平面状の検出素子を使用する既知の誘導性センサは、精密な走査プローブに適用するには不正確すぎる。対照的に、本明細書で開示される様々な原理に従って構成される名目上平面状の検出素子を利用する誘導性センサは、ロバストな信号セットを提供し、精密走査プローブへの適用に十分な精度を提供するために使用することができる。特に、上記で概説したような実施形態および/または構成は、以前に誘導性検出に基づく既知の経済的な3次元位置インジケータにおいて位置決定の精度を制限していた特定の信号誤差および/またはクロストーク(例として、信号クロスカップリング)誤差の除去または修正に関して、特に有利な信号成分を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本明細書に開示されるような走査プローブを利用するCMMを備える測定システムの様々な典型的な構成要素を示す図である。
図2】CMMに結合される走査プローブの様々な構成要素を示し、回転および軸方向位置信号を提供するブロック図である。
図3】スタイラスに結合されたスタイラス懸架部の第1の例示的な実施形態の一部、およびスタイラス懸架部の位置を検出するためのスタイラス位置検出部の第1の例示的な実施形態を示す図である。
図4】走査プローブの本体フレーム内に含まれる図3のスタイラス懸架部の一実施形態の断面を示す図である。
図5図3および図4に示されるスタイラス位置検出部の代替実施形態の部分概略等角図であり、本明細書に開示される原理による特定の形態を強調する。
図6図5に示されるスタイラス位置検出部の特定の構成要素の部分概略等角図であり、本明細書に開示される原理による処理および制御回路の一例示的実施形態のブロック図への接続を概略的に表す。
図7A図3および/または図4に示されるスタイラス位置検出部の様々な実施形態で使用可能な、本明細書に開示される原理による受信コイル部およびディスラプター要素構成体のパターンのそれぞれの「4つの相補対」の実施形態を表す図である。
図7B図3および/または図4に示されるスタイラス位置検出部の様々な実施形態で使用可能な、本明細書に開示される原理による受信コイル部およびディスラプター要素構成体のパターンのそれぞれの「4つの相補対」の実施形態を表す図である。
図7C図3および/または図4に示されるスタイラス位置検出部の様々な実施形態で使用可能な、本明細書に開示される原理による受信コイル部およびディスラプター要素構成体のパターンのそれぞれの「4つの相補対」の実施形態を表す図である。
図7D図3および/または図4に示されるスタイラス位置検出部の様々な実施形態で使用可能な、本明細書に開示される原理による受信コイル部およびディスラプター要素構成体のパターンのそれぞれの「4つの相補対」の実施形態を表す図である。
図7E図3および/または図4に示されるスタイラス位置検出部の様々な実施形態で使用可能な、本明細書に開示される原理による受信コイル部およびディスラプター要素構成体のパターンのそれぞれの「4つの相補対」の実施形態を表す図である。
図8A図3および/または図4に示されるスタイラス位置検出部の様々な実施形態で使用可能な、本明細書に開示される原理による受信コイル部およびディスラプター要素構成体のパターンのそれぞれの「3(または6)つの相補対」の実施形態を表す図である。
図8B図3および/または図4に示されるスタイラス位置検出部の様々な実施形態で使用可能な、本明細書に開示される原理による受信コイル部およびディスラプター要素構成体のパターンのそれぞれの「3(または6)つの相補対」の実施形態を表す図である。
図8C図3および/または図4に示されるスタイラス位置検出部の様々な実施形態で使用可能な、本明細書に開示される原理による受信コイル部およびディスラプター要素構成体のパターンのそれぞれの「3(または6)つの相補対」の実施形態を表す図である。
図8D図3および/または図4に示されるスタイラス位置検出部の様々な実施形態で使用可能な、本明細書に開示される原理による受信コイル部およびディスラプター要素構成体のパターンのそれぞれの「3(または6)つの相補対」の実施形態を表す図である。
図8E図3および/または図4に示されるスタイラス位置検出部の様々な実施形態で使用可能な、本明細書に開示される原理による受信コイル部およびディスラプター要素構成体のパターンのそれぞれの「3(または6)つの相補対」の実施形態を表す図である。
図8F図3および/または図4に示されるスタイラス位置検出部の様々な実施形態で使用可能な、本明細書に開示される原理による受信コイル部およびディスラプター要素構成体のパターンのそれぞれの「3(または6)つの相補対」の実施形態を表す図である。
図9A】スタイラス懸架部の位置を検出するためのスタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す図である。
図9B】スタイラス懸架部の位置を検出するためのスタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す図である。
図10図9Aおよび図9Bに示されるスタイラス位置検出部の代替実施形態の部分概略等角図であり、本明細書に開示される原理による特定の形態を強調する。
図11図10に示されるスタイラス位置検出部の代替実施形態の部分概略等角図であり、本明細書に開示される原理による特定の形態を強調する。
図12A】スタイラス懸架部の位置を検出するためのスタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す図である。
図12B】スタイラス懸架部の位置を検出するためのスタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す図である。
図13A】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の部分概略等角図であり、本明細書に開示される原理による特定の形態を強調する。
図13B】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図13C】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図13D】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図13E】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図13F】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図14A】スタイラス位置検出部の様々な実施形態に関連する例示的な周波数シフトおよび軸外れクロストーク特性を示す。
図14B】スタイラス位置検出部の様々な実施形態に関連する例示的な周波数シフトおよび軸外れクロストーク特性を示す。
図14C】スタイラス位置検出部の様々な実施形態に関連する例示的な周波数シフトおよび軸外れクロストーク特性を示す。
図14D】スタイラス位置検出部の様々な実施形態に関連する例示的な周波数シフトおよび軸外れクロストーク特性を示す。
図15A】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図15B】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図15C】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図16】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の部分概略等角図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図17A】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図17B】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図18A】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図18B】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図18C】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図19】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図20】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図21】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図22】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図23】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
図24】スタイラス位置検出部の例示的な実施形態の一部を示す概略図であって、本明細書で開示される原理による特定の形態を強調する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本明細書に開示されるような走査プローブ300を利用するCMM200を備える測定システム100の様々な典型的な構成要素を示す図である。測定システム100は、操作ユニット110、CMM200の動きを制御するモーションコントローラ115、ホストコンピュータ120およびCMM200を備える。操作ユニット110は、モーションコントローラ115に結合され、CMM200を手動で操作するためのジョイスティック111を備えることができる。ホストコンピュータ120は、モーションコントローラ115に結合され、CMM200を動作させ、ワークピースWの測定データを処理する。ホストコンピュータ120は、例えば測定条件を入力するための入力手段125(例えば、キーボードなど)および、例えば測定結果を出力するための出力手段130(例えば、ディスプレイ、プリンタなど)を備える。
【0026】
CMM200は、定盤210に配置された駆動機構220と、走査プローブ300を駆動機構220に取り付けるための取付部224と、を備える。駆動機構220は、走査プローブ300を3次元的に移動させるために、それぞれ、X軸、Y軸、およびZ軸スライド機構222、221、および223を備える。走査プローブ300の端部に取り付けられたスタイラス306は、接触部348を備える。以下により詳細に説明するように、スタイラス306は走査プローブ300のスタイラス懸架部に取り付けられ、これにより接触部348は接触部348がワークピースWの表面上の測定経路に沿って移動するとき、その位置を3方向に自由に変えることができる。
【0027】
図2は、CMM200に結合される走査プローブ300の様々な構成要素を示し、回転(例えば、X、Y)および軸方向(例えば、Z)位置信号を提供するブロック図である。走査プローブ300は、スタイラス懸架部307およびスタイラス位置検出部311を組み込む(例えば、フレームを備える)プローブ本体302を備える(つまり、スタイラス懸架部307は、走査プローブ300のフレームに結合されている)。スタイラス懸架部307は、スタイラス結合部342およびスタイラス移動機構309を備える。スタイラス結合部342は、スタイラス306に堅固に結合されている。スタイラス移動機構309は、図3図4に対して以下でより詳細に説明されるように、軸方向に沿ってスタイラス結合部342および取り付けられたスタイラス306の軸方向運動、および回転中心の周りのスタイラス結合部342および取り付けられたスタイラス306の回転運動を可能にするように構成される。走査プローブ300に備えられる信号処理および制御回路380は、以下でより詳細に説明するように、スタイラス位置検出部311に接続され、その動作を制御し、関連する信号処理を実行することができる。
【0028】
図2に示すように、スタイラス位置検出部311は、誘導性検出原理を使用し、受信コイル部370、場生成コイル構成体360、およびディスラプター要素351(これは、ディスラプター構成体350の一部であり、いくつかの実施形態では複数の部分を備えることができる)を備える。受信コイル部370は、回転検出コイル部(回転検出コイルとも呼ばれる)RSCおよび軸方向検出コイル構成体ASCCを備えることができる。簡単に説明すると、移動するディスラプター要素351(または、より一般的には、ディスラプター構成体350)は、場生成コイル構成体360によって生成される変動磁場(変動磁束)で位置に依存した変化を引き起こす。受信コイル部370は、ディスラプター要素351によって引き起こされた変動磁場およびそのなかの変化に応答する。特に、回転検出コイル部RSCは、例えば、図3図5、および図6を参照して以下でより詳細に説明するように、対応する信号線上にスタイラス結合部342の回転位置(例えば、XおよびY位置信号)を示す少なくとも第1および第2の回転信号成分RSigsを出力する。そして、軸方向検出コイル構成体ASCCは、対応する信号線上にスタイラス結合部342の軸方向位置(例えば、Z位置信号)を示す1つまたは複数の軸方向信号成分ASigsを出力する。様々な実施形態では、信号処理および制御回路380は、回転信号成分RSigsおよび軸方向信号成分ASigsを受信し、様々な実施形態の様々なレベルの関連した信号処理を実行することができる。例えば、一実施形態では、信号処理および制御回路380は、様々な受信コイルからの信号成分を様々な関係で結合および/または処理し、取付部224を介して、回転および軸方向位置信号出力RPSOutおよびAPSOutとして所望の出力形式で結果を提供することができる。(例えば、CMM200、モーションコントローラ115、ホストコンピュータ120などの)1つまたは複数の受信部は、回転および軸方向位置信号出力RPSOutおよびAPSOutを受信することができ、接触部348が測定されるワークピースWの表面に沿って移動するとき、スタイラス結合部342および/または取り付けられたスタイラス306の接触部の3次元位置を決定するために、1つまたは複数の関連する信号処理および制御部が利用されてもよい。
【0029】
図3は、スタイラス懸架部407および/またはスタイラス406の位置を検出するためのスタイラス位置検出部411の第1の例示的な実施形態の部分概略断面図に沿って、スタイラス406に結合されたスタイラス懸架部407の第1の例示的な実施形態の一部を示す部分概略図である(なお、スタイラス位置検出部411は、図3に示す如く、軸方向(Z方向)に平行である中心軸CAに沿って配置され、回転中心RCに名目上整列している)。図3の特定の番号付けされた構成要素4XXは、図2の同様に番号付けされた対応する構成要素3XXに対応し、および/または同様の動作を有し、それに類似することで理解でき、そうでなければ以下で説明されることが理解されよう。類似(同様)の設計および/または機能を有する構成要素を示すこの番号付けの手法は、以下の図4図8Fにも適用される。図3に示すように、スタイラス懸架部407は、スタイラス移動機構409およびスタイラス結合部442を備える。スタイラス結合部442は、ワークピースW(図示せず)の表面Sに接触するための接触部448を有するスタイラス406に堅固に結合されるように構成される。
【0030】
図4に関して以下により詳細に説明するように、スタイラス移動機構409は、走査プローブのフレームに取り付けられ、接触部448は、表面Sの形状に沿って3方向にその位置を変えることができるように、スタイラス結合部442および取り付けられたスタイラス406の軸方向移動および回転移動を可能にするように構成される。例示の目的のために、図3の紙面上の垂直および水平方向は、それぞれ、ZおよびY方向として定義される。そして、紙の平面への垂直な方向は、X方向として定義される。また、軸方向として参照される走査プローブ300の中心軸CAの方向は、この図のZ方向と一致する。
【0031】
図3では、回転部材436、屈曲要素440、および回転部材436内に配置された移動部材412を備えるスタイラス移動機構409の回転移動部が示されている。図4において以下により詳細に説明するように、屈曲要素440は、回転中心RCの周りで回転部材436の回転移動を可能にする。以下により詳細に説明するように、様々な実施形態では、回転検出コイルTRSCiおよびBRSCi(iは特定のコイルを識別するインデックス整数である)およびスタイラス位置検出部411は、ディスラプター要素451の回転した位置を検出することができる。そして、それにより移動部材412の回転した位置(例えば、XおよびY方向)を検出することができ、および軸方向検出コイル構成体(軸方向検出コイルとも呼ばれる)TASCCおよびBASCCは、ディスラプター要素451の軸方向位置を検出することができ、それにより移動部材412の軸方向位置(例えば、Z方向)を検出することができる。
【0032】
図3に示されるように、スタイラス位置検出部411の第1の例示的な実施形態は、移動部材412に結合され、それぞれ、上部コイル基板471Tと下部コイル基板471Bとの間に配置されたディスラプター移動ボリュームMV内に、走査プローブのフレーム(例えば、走査プローブ本体の部分として含まれるフレーム)に対して移動するディスラプター要素451(または、より一般的にはディスラプター構成体450)を備える。図3に示すように、移動部材412は、下部コイル基板(471B)の中心軸CAに沿って配置された穴472を通って延び、その中を移動する(すなわち、移動部材412は、中心軸CAに沿って下部コイル基板471Bに配置された穴472を通り、ほぼ中心軸CAに沿って延在する)。取り付けられたディスラプター要素451は、スタイラス懸架部407および移動部材412の偏向に応じて、非偏向位置UNDFに対してディスラプター移動ボリュームMV内を移動する。
【0033】
スタイラス位置検出部411の様々な他の構成要素、例えば、受信コイル部470および場生成コイル構成体460は、特に明記しない限り、フレームに対して固定することができる。図3に示す実施形態では、場生成コイル構成体460は、ディスラプター移動ボリュームMVのほぼ中央平面に配置され、名目上平面で中心軸CAに直交する単一の平面状の場生成コイル(場生成コイル部とも呼ばれる)461を備える。図2を参照して先に概説したように、受信コイル部470は、一般に、回転検出コイル部(回転検出コイルとも呼ばれる)RSCおよび軸方向検出コイル構成体ASCCを備えることができる。回転位置検出構成体(回転検出コイル部)RSCは、一般に、上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCiを備える。図3に示す断面には、2つの上部回転検出コイルTRSC1とTRSC2、および2つの下部回転検出コイルBRSC1とBRSC2のみが示されている。これらの回転検出コイルは、Y方向に沿ったディスラプター要素451の位置を示す信号成分を提供することができる。特に、それらの信号成分は、ディスラプター要素451のY方向に沿った変位ΔYの量に応じて変化し、したがって、変位ΔYの量を示している。変位ΔYは、ディスラプター要素451と様々な回転検出コイルTRSCiおよびBRSCiとの間の関連する「重複」の量を決定し、それによって、(結果としての信号成分を決定する)場生成コイル461によって生成される変動磁場への結合量を決定する。他の回転検出コイル(図示せず)は、X軸方向に沿ったディスラプター要素451の位置を示す信号成分を提供することができる。様々な回転検出コイルの信号成分はまた、上部回転検出コイルTRSC2に対して図3に示されるように、ディスラプター要素451に対するそれらの局所的な「動作ギャップ」OGに対して望ましくないほど敏感でもよい。しかしながら、そのような望ましくないギャップ感度は、以下でさらに説明されるように、本明細書で開示される様々な原理に従って実質的に除去または補償することができる。
【0034】
軸方向検出コイル構成体ASCCは、一般に、上部軸方向検出コイル構成体TASCCおよび下部軸方向検出コイル構成体BASCCを備える。図3に示す実施形態では、上部軸方向検出コイル構成体TASCCは、中心軸CAを少なくとも部分的に囲む単一の上部軸方向検出コイルを備え、少なくとも1つの下部軸方向検出コイルは、図に示すように、中心軸を少なくとも部分的に囲む単一の下部軸方向検出コイルを備える。これらの軸方向検出コイルは、ディスラプター要素451によって常に完全に「重複」する。したがって、それらの信号成分は、名目上、軸方向またはZ方向に沿ったディスラプター要素451の位置にのみ応答し、Z方向に沿ってディスラプター要素451の位置を示す。様々な信号成分の生成については、図5および図6を参照して以下で詳しく説明する。
【0035】
図2を参照して先に概説した動作と同様に、動作中、移動するディスラプター要素451は、場生成コイル461によって生成される軸方向に沿った変動磁場において位置に依存した局所的な変動を引き起こす。受信コイル部470は、図2を参照して前述し、以下でさらに詳細に説明するように、ディスラプター要素451によって引き起こされた変動磁場およびその中の変動に応答し、ディスラプター要素451の回転位置(例えば、YおよびX位置、および対応する信号)およびディスラプター要素451の軸方向位置(例えばZ位置)を決定するように処理されてもよい回転信号成分RSigsおよび軸方向信号成分ASigsを出力する。ディスラプター要素451の位置は、スタイラス結合部442および/またはその接触部448の位置に既知の幾何学的形状によって関連付けられていることが理解できよう。例えば、小さな回転角度の場合、ヌルから(例えば、非偏向位置UNDFから)離れたY方向に沿ったディスラプター要素451の図示の動きまたは変位ΔYに対して
ΔY=Hθ (式1)
【0036】
ここで、Hは回転中心RCからディスラプター要素451の名目上の平面までの距離であり、θはY方向に平行な平面における回転部材436(および移動部材412)の回転移動の傾き(つまり、回転中心RCでX軸に平行な軸を中心とした回転)である。様々な実施形態では、より大きな回転角が使用される場合、当技術分野で知られているように、より大きな回転角に対して正確な同様の表現が使用されてもよい。回転移動の傾き成分θの関係でスタイラス406の接触部448の(例えば、非偏向位置UNDFに対応する)ヌルから離れるY方向の移動または変位YSTYLUSは、次のように近似することができる。
ΔYSTYLUS =θ*(h+l) (式2)
【0037】
ここで、hはスタイラス結合部442の端から回転中心RCまでの距離であり、lはスタイラス406の長さである。式1と式2を組み合わせて、接触部448のY方向の変位に対するディスラプター要素451の変位ΔYの比率は、次のように近似することができる。
ΔY/ΔYSTYLUS = H/(h+l) (式3)
【0038】
X座標の移動成分は上記の式に類似しているため、本明細書ではこれ以上詳細に説明しないことが理解できよう。様々なスタイラスのスタイラス長lは、X-Y検出スポット位置に基づいて接触部448のX-Y位置を決定するために(例えば、システムの三角法に関する)方程式を利用することができる。 Z座標変位または位置成分に関して、スタイラスの接触部(例えば、接触部448)のZ方向の変位ΔZSTYLUSに対する(例えば、非偏向位置UNDFに対応する)ヌルから離れる軸方向またはZ方向に沿ったディスラプター要素451の変位ΔZ(図示せず)については次のように近似することができる。
ΔZ/ΔZSTYLUS ≒ 1 (式4)
【0039】
図4は、図3に示されるスタイラス位置検出部411に類似するスタイラス位置検出部511の一実施形態ならびに、図3に示されたスタイラス懸架部407として使用可能なスタイラス懸架部407'の一実施形態の断面と、信号処理および制御回路480と、を示す部分概略図である。上記構成要素は、走査プローブ400のプローブ本体402のフレーム408内に含まれるように示されている。上部および下部コイル基板571T、571B、およびスタイラス位置検出部511の場生成コイル561またはその基板(例えば、プリント回路型基板)は、調整および搭載部417、または他の既知の技術を使用して、走査プローブ400における適切な動作のために配置されている。スタイラス位置検出部511に関連する様々な信号接続は、既知の技術に従って、コネクタ(例えば、フレックスプリントおよび/またはワイヤ接続)419などによって提供することができる。いくつかの実施形態では、図4に示すように、信号処理および制御回路480の一部またはすべてを別個の回路アセンブリとして提供することができる。他の実施形態では、必要に応じて、信号処理および制御回路480の一部またはすべてをスタイラス位置検出部511の基板上に組み合わせることができる。
【0040】
図4に示すように、スタイラス懸架部407'は、スタイラス移動機構409と、スタイラス406に結合されたスタイラス結合部442と、を備える。スタイラス移動機構409は、移動部材412、回転部材436、回転部材436の回転移動を支持および可能にするためにフレーム408に結合された屈曲要素440、および移動部材412の軸方向移動を可能にするために移動部材412を支持しそれを回転部材436に結合する屈曲要素414および415(すなわち第1の屈曲要素と呼ばれる)を備える。走査プローブ400は、スタイラス移動機構409および/またはスタイラス406の接触部448の位置および/または移動を決定するために、図5を参照して以下により詳細に説明される構成要素および動作を有するスタイラス位置検出部511を備える。
【0041】
屈曲要素440(すなわち、第2の屈曲要素と呼ばれる)は、軸方向Oにおいて一対の屈曲要素414と415(すなわち、第1の屈曲要素と呼ばれる)のそれぞれの平面の間に配置することができる。屈曲要素414、415、および440に対する適切なたわみ設計は、当技術分野で知られている原理に従って決定することができる。例えば、同時係属中の共通に譲渡された米国特許出願第14/973,376号に1つの可能な実施形態が示されている。その出願は、「Measurement Device With Multiplexed Position Signals」という名称であり、2015年12月17日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。回転部材436は、第2の屈曲要素440に対して対称な形状を有することができ、2つのリング部436A、2つの接続部436Bおよび1つの円筒部436Cを一体的に備えることができる。第1の屈曲要素414および415の周辺部は、リング部436Aに固定されている。接続部436Bは、中空部を有する円筒部436Cに接続するように、リング部436Aの内側に延びている。第1の屈曲要素414および415は、第2の屈曲要素440に対して対称な距離に配置されてもよいが、そのような実施形態は例示に過ぎず、限定ではない。
【0042】
移動部材412を備える軸方向移動機構410は回転部材436の内側に支持され、回転部材436および軸方向移動機構410はスタイラス移動機構409の一部である移動モジュールを一緒に構成する。軸方向移動機構410は、接触部448を軸方向Oに移動可能にしている。回転部材436を備える回転移動機構434は、回転中心RCを中心とした回転移動によってスタイラス406の接触部448が軸方向Oに対して横方向(例えば、ほぼ垂直)に移動することを可能にする。
【0043】
移動部材412は、下部412A、ロッド部412B、および上部412Cを一体的に備える。図3を参照して先に概説し、図5に示すスタイラス位置検出部511に関して以下により詳細に説明するように、移動部材412の上部412Cに取り付けられたディスラプター要素551は、回転および軸方向位置表示要素の両方として機能する。ロッド部412Bは、一対の第1の屈曲要素414と415との間に配置される。ロッド部412Bは、回転部材436に収納される。下部412Aはロッド部412Bの下に形成され、スタイラス結合部442(例えば、フランジ部材)は下部412Aに取り付けられている。スタイラス406の取り付けのためにフランジ部444が設けられている。フランジ部444とスタイラス結合部442とはともに、様々なスタイラス406とスタイラス結合部442との間の脱着(例えば、スタイラスを脱落させる衝突の場合、または意図的にスタイラスを変更する場合)を繰り返し位置決め可能にする取り外し可能な結合機構(例えば、既知のタイプのキネマティックジョイントあるいはキネマティックカップリング)を構成することができる。
【0044】
図5は、図4に示されるスタイラス位置検出部511に類似するスタイラス位置検出部511'の代替実施形態の部分概略等角図であり、本明細書に開示される原理による特定の形態を強調する。スタイラス位置検出部511'および511は、以下でさらに説明するように、場生成コイル構成体560の違いを除いて類似している。一般に、スタイラス位置検出部511'は、図2図3および図4のスタイラス位置検出部311、411および511の構成要素と同様の特定の構成要素を備え、以下で特に説明する場合を除いて同様に動作することが理解されよう。
【0045】
図5に示される実施形態では、スタイラス位置検出部511'は、受信コイル部570、ディスラプター要素551を備えるディスラプター構成体550、および場生成コイル構成体560を備える。
【0046】
様々な実施形態では、ディスラプター要素551(または、より一般的にディスラプター構成体550)は、導電性プレートまたは導電性ループ、または(例えば、プリント回路基板の2つの側面に設けられ、プリント回路基板製造技術によりパターン化された)平行な導電性プレートまたは導電性ループ、またはディスラプター領域(例えば、その内部領域)を提供するその他の望ましい動作構成体を備えることができる。ディスラプター要素551は、上部コイル基板571Tと下部コイル基板571Bとの間のディスラプター移動ボリュームMVの中心軸CAに沿って配置され、(例えば、移動部材512を備える)結合構成体によってスタイラス懸架部507に結合される。説明の目的のために、スタイラス懸架部507および/またはスタイラス506および/または移動部材512の偏向に応じて、図5に示す非偏向位置(図3の非偏向位置UNDFを参照)に対して移動するようなディスラプター要素551が記述されてもよい。ディスラプター要素は、軸方向の動きに応じて軸方向に沿った動作移動範囲+/-Rzにわたって変位増分ΔZで、および回転運動に応じて、軸方向(Z方向)に直交する直交XおよびY方向に沿ったそれぞれの動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ryにわたって変位増分ΔXおよびΔYで、動くように記述されてもよい。指定または予想される動作移動範囲については、以下で詳しく説明する。
【0047】
受信コイル部570は、N個の上部回転検出コイルTRSC(例えば、N=4で、TRSC1~TRSC4)および(例えば、この実施形態では単一の図示された個別のコイルを備える)上部軸方向検出コイル構成体TASCCを備える平面状の上部コイル基板571T、およびN個の下部回転検出コイルBRSC(例えば、N=4で、BRSC1~BRSC4)、および(例えば、この実施形態では単一の図示された個別のコイルを備える)下部軸方向検出コイル構成体BASCCを備える平面状の下部コイル基板571Bを備えることができる。上部および下部コイル基板571Tおよび571Bは、スタイラス506および/またはスタイラス懸架部507により近い下部コイル基板で、走査プローブのフレームに一定の関係で取り付けられる。上部および下部コイル基板571Tおよび571Bは、名目上互いに平行であり、名目上中心軸CAに直交し、中心軸CAに沿って間隔を空けて配置され、それらの間にディスラプター移動ボリュームMVを配置することができる。図5に示される様々な検出コイルは説明を簡単にするために「閉ループ」によって表されているが、すべてのコイルは1つまたは複数の誘導性で結合された「ターン」として動作するように構成される(例えば、図6に表す)第1および第2の接続端を有する巻線または導体を備えることが理解できよう。
【0048】
場生成コイル構成体(例えば、場生成コイル構成体560)は、一般に、ディスラプター移動ボリュームMVに近接して配置され、名目上平面で中心軸CAに直交する少なくとも1つの第1の場生成コイルを備える。図3に示された実施形態における単一の平面状の場生成コイル461(これは、ディスラプター移動ボリュームMVのほぼ中央平面に位置する)とは対照的に、図5に示された実施形態では、場生成コイル構成体560は中心軸CAに沿ってディスラプター移動ボリュームMVの中央平面からほぼ等距離に配置され、名目上平面であり中心軸CAに直交する一対の(それぞれ、上部および下部コイル基板571Tおよび571Bに配置される)平面状の場生成コイル561Tおよび561Bを備える。一般的に言えば、場生成コイル構成体が、軸方向(Z方向)に沿ったその(すなわち、第1の場生成コイルの)コイル領域の投影が(例えば、ディスラプター要素551の)ディスラプター構成体550のディスラプター領域と、上部および下部コイル基板571Tおよび571Bに配置されるすべての回転および軸方向検出コイルRSCiおよびASCCのコイル領域と、を提供する導電性プレートまたはループを包含するように構成される少なくとも第1の場生成コイルを備える(すなわち、軸方向に沿った第1の場生成コイルのコイル領域の投影は、コイル基板構成体に配置されたディスラプター領域と、すべての回転および軸方向検出コイルRSCiおよびASCCのコイル領域と、を提供する導電性プレートまたはループを包含する)ならば、場生成コイル構成体460または560のいずれかは受信コイル部570(または本明細書に開示される他の受信コイル部)で使用することができる。そのような場合、場生成コイル構成体は、スタイラス位置検出部511'の動作に望まれるように、コイル駆動信号に応じてディスラプター移動ボリュームMV内にほぼ軸方向に沿って変動磁束を生成するように構成される。図5に示す様々な場生成コイルは、説明を簡単にするために、(エッジが示されている)幅の広い平らな導電性トレースを備える1つの単一の「閉ループ」で表されるが、実際のデバイスでは(例えば、図6に表されるように)すべてのコイルは、第1および第2の接続端を有する巻線または導体を備え、1つまたは複数の場生成「ターン」として動作するように構成されることが理解できよう。
【0049】
図5に示すように、上部軸方向検出コイル構成体TASCCの内部コイル領域を通る(例えば、図5の細破線PRJで示す)軸方向に沿ったディスラプター要素551の投影は、(その内部コイル領域を埋めるドットパターンで示される)上部軸方向検出重複領域TASOAを定義する。また、下部軸方向検出コイル構成体BASCCの内部コイル領域を通る軸方向に沿ったディスラプター要素551の投影は、(その内部コイル領域を埋めるドットパターンで示される)下部軸方向検出重複領域BASOAを定義する。同様に、iは1~Nの範囲の個別のコイル識別インデックスであり、それぞれの上部回転検出コイルTRSCi(例えば、TRSC1~TRSC4)の内部コイル領域を通る軸方向に沿ったディスラプター要素551の投影は、それぞれの上部回転コイル検出重複領域TRSCOAi(例えば、TRSCOA1~TRSCOA4)を定義する。図5に示す様々なそれぞれの重複領域を埋めるドットパターンで示され、それぞれの下部回転検出コイルBRSCi(例えば、BRSC1~BRSC4)の内部コイル領域を通る軸方向に沿ったディスラプター要素551の投影は、それぞれの下部回転コイル検出重複領域BRSCOAi(例えば、TRSCOA1~TRSCOA4)を定義する。
【0050】
スタイラス位置検出部(例えば、511')における軸方向位置検出に関して、本明細
書で説明および要求される原理によれば、受信コイル部(例えば、570)およびディスラプター要素(例えば、551)は、一般に、上部軸方向検出重複領域TASOAおよび下部軸方向検出重複領域BASOAを提供するように構成される。ここで、重複領域TASOAおよびBASOAのそれぞれの量は、動作移動範囲+/-Rz、+/-Rx、および+/-Ry内でのディスラプター要素551の位置では変化しない、またはその位置に依存しない。(特定の走査プローブについては、必要であれば、この要件を満たすためにプローブの特定のスタイラス位置検出部の構成と組み合わせて、動作移動範囲が規定または指定されることが理解できよう。)このように、上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCで生成される信号成分は、名目上、回転運動(つまり、XおよびY方向に沿ったディスラプター要素551の位置)に依存せず、名目上、ディスラプター要素551との「近接状態」の変化またはギャップのみに敏感である。なお、「近接状態」の変化またはギャップは、ディスラプター要素551の軸方向(Z)位置または変位ΔZに応じて変化する。動作中、場生成コイル構成体560の変動磁場によってディスラプター要素551に誘導される電流は、反対の磁場を引き起こす。一般的に、ディスラプター要素551が図5の軸(Z)方向に沿って上方に移動すると、変動磁場から生じるその信号成分を低減するように、対向する磁場は上部軸方向検出コイル構成体TASCCにより強く結合する。逆に、変動磁場から生じるその信号成分を増加するように、対向する磁場は下部軸方向検出コイル構成体BASCCにより弱く結合する。本開示で使用される慣例により、信号成分SIGTASCCを、特定の上部軸方向検出コイル構成体(またはコイル)TASCCなどから生じる信号成分と呼ぶことができる。
【0051】
非偏向位置UNDFでは、正味の信号成分SIGTASCCとSIGBASCCはほぼバランスが取れていることが理解できよう。動作中に予想されるような小さな変位ΔZの場合、正味の信号成分SIGTASCCおよびSIGBASCCは、互いに比較してほぼ直線的、かつ逆に変化することができる。このような信号の非線形性の程度に関連する特定の考慮事項については、以下でさらに説明される。一実施形態では、軸方向の変位または位置ΔZは、信号関係によって示されるか、または信号関係に対応することができる。
ΔZ=関数 [(SIGBASCC-SIGTASCC)/(SIGBASCC+SIGTASCC)] (式5)
【0052】
この信号関係は単なる例示であり、限定するものではない。様々な実施形態では、必要に応じて、様々な変位方向または信号成分間の幾何学的および/または信号クロスカップリングの影響を低減する動作を含むように、この信号関係は付加のキャリブレーションまたは信号処理動作によって調整または補償されてもよい。様々な実施形態では、上部軸方向検出コイル構成体は、N個の上部回転検出コイルの1つではなく、上部回転検出コイルよりも中心軸の近くに配置された少なくとも1つの上部軸方向検出コイルを備えることができる。そして、少なくとも1つの上部軸方向検出コイルがディスラプター要素よりも小さい内部コイル領域を有し、軸方向に沿ったディスラプター要素の投影が動作移動範囲+/-Rz、+/-Rx、および+/-Ry内のディスラプター要素の任意の位置に対する少なくとも1つの上部軸方向検出コイルの内部コイル領域を完全に満たすように、少なくとも1つの上部軸方向検出コイルとディスラプター要素は特徴づけられている。これにより、上部軸方向検出重複領域TASOAは、ディスラプター要素の位置では変化しない。同様に、様々なそのような実施形態では、下部軸方向検出コイル構成体は、N個の下部回転検出コイルの1つではなく、下部回転検出コイルよりも中心軸の近くに配置された少なくとも1つの下部軸方向検出コイルを備えることができる。そして、少なくとも1つの下部軸方向検出コイルがディスラプター要素よりも小さい内部コイル領域を有し、軸方向に沿ったディスラプター要素の投影が動作移動範囲+/-Rz、+/-Rx、および+/-Ry内のディスラプター要素の任意の位置に対する少なくとも1つの下部軸方向検出コイルの内部コイル領域を完全に満たすように、少なくとも1つの下部軸方向検出コイルとディスラプター要素は特徴づけられている。これにより、下部軸方向検出重複領域BASOAは、ディスラプター要素の位置では変化しない。図5に示されるスタイラス位置検出部511'の特定の実施形態は、上部軸方向検出コイル構成体TASCCおよび下部軸方向検出コイル構成体BASCCがそれぞれ単一の検出コイルを備えており、この説明に適合することが分かる。上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCの様々な構成体を使用することができ、図5に示す特定の構成体は例示にすぎず、限定されるものではないことが理解できよう。様々な代替構成を、以下の他の図を参照して説明する。
【0053】
本明細書に記載および請求される原理によれば、スタイラス位置検出部(例えば、511')における回転位置検出に関して、受信コイル部(例えば、570)およびディスラプター要素(例えば、551)は、一般に、上部回転検出コイルTRSCiと下部回転検出コイルBRSCiをそれぞれ備える回転検出コイルのN個の相補対CPi(例:CP1~CP4、N=4)を提供する構成とされている。ここで、動作移動範囲+/-Rz、+/-Rx、および+/-Ry内の任意のディスラプター要素の変位増分に対する任意の相補対CPiにおいて、そのディスラプター要素の変位増分に関連する重複領域TRSCOAiおよびBRSCOAiの変化の大きさは、その相補対において名目上同じである。(特定の走査プローブでは、この要件を満たすために必要な場合、その特定のスタイラス位置検出部の構成と組み合わせて、その動作移動範囲が決定または指定されることが理解できよう。)図5の表CPTableは、図5に示される実施形態の各相補対CPiの各回転検出コイルTRSCiおよびBRSCiを示す。
【0054】
前述の原理に準拠することにより、図5に示す相補対CPiを使用して、特定のクロスカップリング誤差を補償または除去し、および/または(例えば、Xおよび/またはY方向に沿って)正確な回転位置または変位の測定値を提供するように要求された信号処理を単純化することができる。特に、図5に示す実施形態の回転検出コイルの相補対CPiで発生する信号成分の対は、相補対の個別のコイルとディスラプター要素551との間の「近接状態」の変化またはギャップに対して名目上鈍感な結果の信号を提供する関係で結合または処理されてもよい。すなわち、結果として生じる信号は、以下でさらに詳しく説明するように、ディスラプター要素551の軸方向(Z)位置または変位ΔZに鈍感であり、名目上、(例えば、Xおよび/またはY方向に沿って)回転位置または変位のみに敏感であってもよい。図5に示す特定の実施形態では、Y軸方向に沿った変位成分ΔYを有するディスラプター要素551の変位により、相補対CP2における重複領域TRSCOA2およびBRSCOA2が増加(または減少)し、相補対CP1における重複領域TRSCOA1およびBRSCOA1が減少(または増加)することが理解されよう。同様に、X軸方向に沿った変位成分ΔXを有するディスラプター要素551の変位により、相補対CP3における重複領域TRSCOA3およびBRSCOA3が増加(または減少)し、相補対CP4における重複領域TRSCOA4およびBRSCOA4が減少(または増加)する。
【0055】
前に概説したように、動作中、場生成コイル構成体560の変動磁場によってディスラプター要素551に誘導される電流は、反対の磁場を引き起こす。一般的に、任意の回転検出コイルTRSCi(またはBRSCi)で生成される信号成分SIGTRSCi(またはSIGBRSCi)は、ディスラプター要素551の近接部分が軸方向に沿ってその回転検出コイルに近づくか、または回転検出コイルによるその重複領域TRSCOAi(またはBRSCOAi)を増大させるかで減少する。
【0056】
図5に示されている相補対CP1~CP4(相補対CPiのコイルは同一で軸方向に沿って整列されている)については、図示されている非偏向位置UNDFで、各相補対(例えば、SIGTRSC1とSIGBRSC1)の信号成分はほぼバランスが取れていることが理解できよう。相補対(例えばCP1)に近接するディスラプター要素551の一部おける、動作中に予想されるような小さな変位ΔZに対する先に概説した原理によれば、正味の信号成分(例えばSIGTRSC1およびSIGBRSC1)はおおよそ線形で、互いに比較して逆に変化することができる。したがって、相補対CPiのこのような信号の合計は、ディスラプター要素551の近接部分に関連するΔZに対して名目上鈍感でもよい。さらに、図5に示される実施形態では、動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ry内で、Y方向の変位成分が回転コイル検出重複領域TRSCOA3、BRSCOA3、および/またはTRSCOA4およびBRSCOA4を変更せず、X方向の変位成分は、回転コイル検出重複領域TRSCOA2、BRSCOA2、および/またはTRSCOA1およびBRSCOA1を変更しないように、ディスラプター要素551のエッジをXおよびY方向に対して平行とすることができる。したがって、一実施形態では、理想的にはΔZおよび/またはΔYに関係なく、X方向に沿った回転変位または位置成分ΔXは、以下の信号関係によって示されるか、またはそれに対応することができる。
ΔX=関数 [(SIGTRSC3+SIGBRSC3)-(SIGTRSC4+SIGBRSC4)]÷
[(SIGTRSC3+SIGBRSC3)+(SIGTRSC4+SIGBRSC4)]
(式6)
【0057】
同様に、一実施形態では、理想的にはΔZおよび/またはΔXに関係なく、Y方向に沿った回転変位または位置成分ΔYは、以下の信号関係によって示されるか、それに対応することができる。
ΔY=関数 [(SIGTRSC2+SIGBRSC2)-(SIGTRSC1+SIGBRSC1)]÷
[(SIGTRSC2+SIGBRSC2)+(SIGTRSC1+SIGBRSC1)]
(式7)
【0058】
これらの信号の関係は単なる例であり、限定するものではない。様々な実施形態では、これらの信号関係は、必要に応じて、様々な変位方向または信号成分間の幾何学的および/または信号クロスカップリングの影響を低減する動作を備える付加のキャリブレーションまたは信号処理動作によって調整または補償される。
【0059】
いくつかの特に有利な実施形態では、動作移動範囲+/-Rz、+/-Rx、および+/-Ry内の任意の相補対CPiと任意のディスラプター要素の変位増分に対して、そのディスラプター要素の変位増分に関連する重複領域TRSCOAiとBRSCOAiの変化の大きさと符号の両方がその相補対において同じであるように、受信コイル部(例えば、570)とディスラプター要素(例えば、551)は構成されている。いくつかのそのような実施形態では、軸方向に沿って投影されたときにそれら(即ち、上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCi)の内部領域の形状が名目上一致することを特徴とする上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCiを各相補対CPiが備えるように、受信コイル部は構成される。図5に示されるスタイラス位置検出部511'の特定の実施形態は、この説明に適合することが理解されよう。しかしながら、図5に示される特定の構成は例示に過ぎず、限定するものではなく、相補対の様々な構成が使用されてもよいことが理解されよう。様々な代替構成について、以下の他の図を参照して説明する。
【0060】
いくつかの特に有利な実施形態では、ディスラプター要素が少なくともN個の直線側辺を備え、任意のそれぞれの相補対CPiについて、ディスラプター要素の直線側辺のそれぞれは、そのそれぞれの相補対の上部回転検出コイルTRSCiと下部回転検出コイルBRSCiの両方を横断するように、受信コイル部(例えば、570)およびディスラプター要素(例えば、551)は構成されている。いくつかのそのような実施形態では、N=4であり、少なくともN個の直線側辺は、長方形または正方形の辺に平行に配置された4つの辺を備える。図5に示されるスタイラス位置検出部511'の特定の実施形態は、この説明に適合することが分かるであろう。しかし、相補対の構成体とディスラプター要素のエッジ構成体の様々な組み合わせを使用することができ、図5に示す特定の構成の組み合わせは単なる例示であり、限定されるものではないことが理解できよう。構成の様々な代替の組み合わせについて、以下の他の図を参照して説明する。
【0061】
図6は、図5に示すスタイラス位置検出部511'の特定の構成要素の部分概略等角図であり、本明細書で開示する原理による信号処理および制御回路680の例示的な一実施形態のブロック図に概略的に示された接続CONNを含んでいる。図6に示されるように、信号処理および制御回路680は、スタイラス位置検出部511'の様々なコイルに動作可能に接続される。図6に示される実施形態では、信号処理および制御回路680は、その様々な相互接続された構成要素間の様々なタイミングおよび信号接続を管理するまたは動作を交換できるデジタル制御装置/プロセッサ681を備える。デジタル制御装置/プロセッサ681は、駆動信号発生器682、増幅器/スイッチング部683、サンプル・ホールド部684、多重化部685、およびA/D変換部686を備える。デジタル制御装置/プロセッサ681は、図2を参照して先に概説し、以下でさらに説明するように、様々なデジタル信号処理動作を実行して、出力信号APSOutおよびRPSOutを決定することもできる。信号処理および制御回路680の設計および動作は、一般に、既知の原理に従って、当業者によって認識および理解することができる。例えば、一実施形態では、信号処理および制御回路680の様々な構成要素は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,841,274号に開示された対応する構成要素と同様に設計および動作することができる。したがって、図示された信号処理および制御回路680の動作はここでは簡単にのみ説明する。
【0062】
動作中、駆動信号発生器682は、変化するコイル駆動信号Dsig(例えば、パルス)を場生成コイル構成体560に提供するように動作する。場生成コイル構成体560は、コイル駆動信号に応答してディスラプター移動ボリュームMVの軸方向にほぼ沿って変動磁束を生成する。図示の構成では、上部場生成コイル561Tおよび下部場生成コイル561Bは、互いに強め合う変動磁束を提供するように構成される。増幅器/スイッチング部683は、受信コイル部570から信号成分RSIGsおよびASIGsを入力するように構成されている。受信コイル部570は、上部および下部コイル基板上に配置されたそれぞれの回転および軸方向検出コイルによって提供されるそれぞれの信号成分(例えば、既に概説された信号成分SIGTASCC、SIGBASCC、SIGTRSC1~SIGTRSC4、およびSIGBRSC1~SIGBRSC4)を備える。いくつかの実施形態では、例えば、式5~7などに示された関係で規定されたように、増幅器/スイッチング部683は、様々なアナログ信号を組み合わせて様々な所望の和信号または差信号を(例えば、適切なシリアルまたはパラレル接続などによって)提供するスイッチング回路を備えることができる。しかし、他の実施形態では、増幅器/スイッチング部683は、増幅および信号調整動作(および場合によっては信号反転動作)のみを実行し、すべての信号結合動作は他の回路部分で実行されてもよい。
【0063】
サンプル・ホールド部684は、増幅器/スイッチング部683から様々なアナログ信号を入力し、例えば、受信コイル部570の様々なそれぞれの検出コイルから生じるすべてのそれぞれの信号成分を同時にサンプリングしホールドするように、既知の原理に従ってサンプル動作とホールド動作を実行する。一実施形態では、多重化部685は、様々な信号を連続的にA/D変換部686に、および/または(例えば、式5~7などに示される関係で規定されるような)様々な所望の信号関係に関連する組み合わせで接続することができる。A/D変換部686は、対応するデジタル信号値をデジタル制御装置/プロセッサ681に出力する。次いで、デジタル制御装置/プロセッサ681は、(例えば、式5~7などに示される関係で規定されるような)様々な所望の関係に従って、出力信号APSOutおよびRPSOutを決定および出力するように、デジタル信号値を処理しおよび/または結びつける。出力信号APSOutおよびRPSOutは、走査プローブのフレームまたはハウジングに対するディスラプター要素551またはスタイラス506の少なくとも1つの軸方向位置および回転位置を示す。いくつかの実施形態では、出力信号APSOutおよびRPSOutが走査プローブのフレームに対するスタイラス506またはその接触部548の3次元位置を直接示すように、デジタル制御装置/プロセッサ681を構成することができる。他の実施形態では、デジタル制御装置/プロセッサ681は、走査プローブのフレームに対するスタイラス506またはその接触部548の3次元位置を間接的に示す信号を出力するように構成することができる。そして、ホストシステム(例えばCMM)は、そのような信号をさらに結合または改良し、走査プローブおよび/またはCMM測定に使用される全ての座標システム全体に対するスタイラス506またはその接触部548の3次元位置を決定するように、そのような信号を入力し、付加の処理を実行する。
【0064】
本明細書で開示および特許請求される様々な原理によるスタイラス位置検出部(例えば、511')の実施形態では、受信コイル部(例えば、570)の様々な受信コイルによって提供される信号成分は、ロバストで高精度の3次元位置表示を提供するために比較的高速で単純な信号処理を使用しながら、特定の信号誤差および/または信号クロスカップリング誤差の除去または修正に関して特に有利であることが理解できよう。
【0065】
ロバストで高精度の3次元位置表示を提供するための比較的高速で単純な信号処理の使用に関して、1つの考慮事項は、位置または変位信号成分の線形性(または式5で示されるZ信号関係のような特定の結合信号の線形性)である。重要な3次および/または5次の信号変化の寄与に応じて変位とともに変化する信号または信号関係は、一般に、正確な変位または位置の表示を提供するために、より複雑な信号処理および/または補正および/または較正を必要とすることを理解されたい。本発明者らは、特定の望ましい構成が、軸方向信号成分ASigsおよび/またはそれらの組み合わせにおける高次の信号変化の寄与を抑制する傾向があることを発見した。これらの望ましい構成を説明する1つの方法として、上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCの検出コイルは、中心軸CAと同心で、上部および下部軸方向検出コイル(例えば、図5に示す上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCの検出コイル)がその内側に適合するような必要最小限の半径を有するように定義される「軸方向検出コイル内接シリンダー」を定義すると考えられてもよい(つまり、軸方向検出コイル内接シリンダーは、中心軸CAと同心で、上部および下部軸方向検出コイルのエッジ内に内接できる最大半径である半径を有するように定義されてもよい)。「ディスラプター内接シリンダー」は、中心軸CAと同心で、ディスラプター要素(例えば、ディスラプター要素551など)のエッジ内に内接できる最大半径である半径を有するように定義することができる。様々な実施形態では、ディスラプター内接シリンダーの半径は、軸方向検出コイル領域内接シリンダーの半径の少なくとも1.1倍であることが望ましい(が必須ではない)。いくつかの実施形態では、ディスラプター内接シリンダーの半径が、軸方向検出コイル領域内接シリンダーの半径の少なくとも1.2または少なくとも1.5倍であることが望ましい(が、必須ではない)。
【0066】
図7A図7Eは、本明細書に開示された原理に従って、それぞれ、受信コイル部770A~770Eおよびディスラプター要素751A~751Eを備えるスタイラス位置検出部の構成要素のそれぞれ「4つの相補対」の実施形態を表す(軸方向またはZ方向に沿って見た)「平面視」図を示す。図示された構成要素は、本明細書に開示された原理によるスタイラス位置検出部の様々な実施形態において使用可能である。場生成コイルは図7A図7Eには示されていないが、それらは先に開示された原理に従って提供されることが理解されよう。図7A図7Eに示される様々な構成要素は、前述のスタイラス位置検出部311、411、511、および/または511'における同様の番号付けされた構成要素と同様または類似であり、それとの類似によって一般に理解することができる。したがって、図7A図7Eに含まれる「4つの相補対」の実施形態の特定の固有性または重要な特性のみを以下に説明する。
【0067】
図7Aは、スタイラス位置検出部511'を参照して前述したものと同様の受信コイル部770Aおよびディスラプター要素751Aの実施形態を示しており、それとの類推によって理解することができる。スタイラス位置検出部511'を参照して前述したものと同様の円形の上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCを示すことに加えて、図7Aは、破線で示された、代替の正方形の上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCC'およびBASCC'も示す。より一般的には、本明細書で開示および/または特許請求される様々な原理に従って望ましい動作を提供するように構成される限り、任意の所望の形状を上部および下部軸方向検出コイル構成体に使用できることが理解されよう。
【0068】
ディスラプター要素751Aの形状は、コンパクト化のために「トリミングされた角」を備えることに留意されたい。本明細書で以前に開示された原理を実現するために、ディスラプター変位増分に関連する重複領域TRSCOAiおよびBRSCOAiの変化の大きさは、例示された相補対のいずれにおいても名目上同じであるため、直交XおよびY方向に沿った動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ryは、この原則を満たすために、各相補対を横断する直線エッジ部分を超えないように規定または指定することができる。
【0069】
図7Bは、受信コイル部770Bの相補対CP1~CP4が上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCの検出コイルと重なるより大きな回転検出コイルを備えることを除いて、図7Aを参照して前述したものと同様の受信コイル部770Bおよびディスラプター要素751Bの実施形態を示す。なお、相補対CP1~CP4がそのような大きな回転検出コイルを備えることは、本明細書で開示される様々な原理に従って禁止されてはいない。そのような構成を製造するために、回転および軸方向検出コイルは、例えば、多層プリント回路基板のそれぞれの層に製造することができる。
【0070】
図7Cは、上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCは、様々な回転検出コイルTRSCiおよびBRSCiから分離された軸方向検出コイルによって提供されないことを除いて、図7Bを参照して前述したものと同様の受信コイル部770Cおよびディスラプター要素751Cの実施形態を示す。代わりに、上部軸方向検出コイル構成体TASCCは、N個(N=4)の上部回転検出コイルTRSC1~TRSC4の組み合わせを備え、上部軸方向検出重複領域TASOAは、N個の上部回転検出コイルに関連する個別の重複領域TRSCOAiの合計を備えることが理解されよう。N個の上部回転検出コイルTRSC1~TRSC4の同様の形状と、それらを重複するディスラプター要素の平行な2組の対とにより、ディスラプター要素751Cの変位増分による重複領域TRSCOA1で失われるすべての重複領域は、重複領域TRSCOA2で得られ、その逆も同様であることが観察される。同様に、重複領域TRSCOA3で失われるすべての重複領域は、重複領域TRSCOA4で得られ、その逆も同様である。したがって、重複領域TRSCOAiの合計は、その構成する個別の重複領域TRSCOAiがディスラプター要素751Cの位置に応じて変化する場合でも、動作移動範囲+/-Rz、+/-Rx、および+/-Ry内のディスラプター要素751Cの位置では変化しない、またはその位置に依存しない。同様に、下部軸方向検出コイル構成体BASCCは、N個(N=4)の下部回転検出コイルBRSC1~BRSC4の組み合わせを備え、下部軸方向検出重複領域BASOAは、N個の下部回転検出コイルに関連する個別の重複領域BRSCOAiの合計を備える。重複領域BRSCOAiの合計は、また、その構成する個別の重複領域BRSCOAiがディスラプター要素751Cの位置に応じて変化する場合でも、動作移動範囲+/-Rz、+/-Rx、および+/-Ry内のディスラプター要素751Cの位置では変化しない、またはその位置に依存しない。したがって、前述の構成との違いにもかかわらず、図7Cに示される実施形態は、本明細書に開示される一般原理による構成を提供し、受信コイル部770Cおよびディスラプター要素751Cは、上部軸方向検出重複領域TASOAおよび下部軸方向検出重複領域BASOAを提供するように構成される。重複領域TASOAおよびBASOAのそれぞれの量は、動作移動範囲+/-Rz、+/-Rx、および+/-Ry内のディスラプター要素の位置では変化しない、またはその位置に依存しない。
【0071】
図7Dは、図7Cを参照して前述したものと同様の方法で機能する受信コイル部770Dおよびディスラプター要素751Dの実施形態を示し、軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCは、様々な回転検出コイルTRSCiおよびBRSCiとは分離されている軸方向検出コイルによっては提供されない。代わりに、上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCは、N(N=4)個の上部および下部回転検出コイルTRSC1~TRSC4およびBRSC1~BRSC4のそれぞれの組み合わせを備える。上部軸方向検出重複領域TASOAはN個の上部回転検出コイルに関連付けられた個別の重複領域TRSCOAiの合計を備え、下部軸方向検出重複領域BASOAはN個の下部回転検出コイルに関連付けられた個別の重複領域BRSCOAiの合計を備える。図7Cに示された構成と同様に、重複領域TRSCOAiの合計は、その連続した個別の重複領域TRSCOAiがディスラプター要素751Dの位置に依存して変化しても、動作移動範囲+/-Rz、+/-Rx、および+/-Ry内でディスラプター要素751Dの位置では変化しない、またはその位置に依存しない。そして、重複領域BRSCOAiの合計も、その連続した個別の重複領域BRSCOAiがディスラプター要素751Dの位置に依存して変化しても、動作移動範囲+/-Rz、+/-Rxおよび+/-Ry内でディスラプター要素751Dの位置では変化しない、またはその位置に依存しない。したがって、前述の構成との違いにもかかわらず、図7Dに示される実施形態は、本明細書に開示される一般原理による構成を提供している。受信コイル部770Dおよびディスラプター要素751Dは、上部軸方向検出重複領域TASOAおよび下部軸方向検出重複領域BASOAを提供するように構成される。重複領域TASOAおよびBASOAのそれぞれの量は、動作移動範囲+/-Rz、+/-Rx、および+/-Ry内でディスラプター要素の位置では変化しない、またはその位置に依存しない。ディスラプター要素751Dの図示された形状により、本明細書で先に開示された原理を満たすために、ディスラプター変位増分に関連する重複領域TRSCOAiおよびBRSCOAiの変化の大きさは、図示された相補対のいずれにおいても名目上同じであり、直交XおよびY方向に沿った動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ryは、ディスラプター要素751Dの角のいずれも、それらが任意の相補対CP1~CP4の検出コイルの境界を横断するような程度でそれらの図示された位置に移動しないように規定または指定されることが理解されよう。
【0072】
図7Eは、各相補対CPiの上部および下部回転検出コイルが中心軸を中心に互いに対して角度2*NAAだけ回転することを除いて、図7A(またはスタイラス位置検出部511')を参照して前述したものと同様の受信コイル部770Eおよびディスラプター要素751Eの実施形態を示す。なお、NAAは「非整列角度」である。しかし、この実施形態は、非整列角度NAAが増加するにつれて、(各相補対CPiの上部と下部回転検出コイルが軸方向に沿って整列している)前述の構成と比較してますます不利になる。ますます不利になる理由は、ディスラプター要素751Eとのそれらの重複領域が「同じ場所」にないので、ディスラプター要素751Eと各相補対CPiの上部および下部回転検出コイルとの間の動作ギャップ(例えば、図3に示されている動作ギャップOG)の合計がディスラプター要素751Eのすべての変位に対して必ずしも一定ではないことである。したがって、それらの信号の合計は、式6を参照して前述したように、理想的に軸方向の変位ΔZから独立していないかもしれない。上記の如く概説され図7で示された構成は、本明細書で開示された様々な原則に従って禁止されていない。そのような構成は、本明細書で開示および請求される最も基本的な原理を依然として満たし、既知の誘導性センサ構成体と比較して上記で概説した様々な利点を少なくとも部分的に保持する信号成分を提供することができることが理解されよう。図7Eに示す構成を説明する1つの方法として、相補対の一方の形状が中心軸を中心に他方の角度位置と一致するように中心軸周りに(例えば、角度2*NAA)回転され、軸方向に沿って投影される場合に、それらの内部領域の形状が名目上一致する(つまり、上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCiの内部領域の形状が、それらの一方の形状が中心軸の周りで他方の角度位置で一致するように中心軸の周りで回転したときに名目上一致する)ことを特徴とする上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCiを各相補対CPiが備えるように、受信コイル部770Eは構成される。様々な実施形態では、受信コイル部770Eおよびディスラプター要素751Eは、ディスラプター要素751Eが少なくともN個の直線側辺(例えばN=4)を備え、任意のそれぞれの相補対CPi(例えばCP1~CP4)に対して、ディスラプター要素751Eの直線側辺のそれぞれは、その各相補対CPiの上部回転検出コイルTRSCiと下部回転検出コイルBRSCiの両方を横断するように構成されてもよい。N=4であるそのような実施形態では、ディスラプター要素751Eの少なくともN個の直線側辺は、長方形または正方形の辺に平行に配置された4つの辺を備える。
【0073】
図8A図8Fは、本明細書に開示された原理に従って、それぞれ、受信コイル部870A~870Fおよびディスラプター要素851A~851Fを備えるスタイラス位置検出部の構成要素のそれぞれ「3(または6)つの相補対」の実施形態を表す(軸方向またはZ方向に沿った)「平面視」図を示す。図示された構成要素は、本明細書に開示された原理によるスタイラス位置検出部の様々な実施形態において使用可能である。場生成コイルは図8A図8Fには示されていないが、それらは先に開示された原理に従って提供されることが理解されよう。図8A図8Fのいくつかに示される「3(または6)つの相補対」の構成に示される様々な構成要素は、図7A図7Eを参照して前述した対応する「4つの相補対」の構成に示される対応する構成要素と類似であり、それとの類似によって一般に理解することができる。したがって、図8A図8Fに含まれる「3つの相補対」の実施形態の特定の固有性または重要な特性のみを以下に説明する。
【0074】
図8A図8Cは、対応する図7A図7Cに示される、「4つの相補対」の構成体の「3つの相補対」の類似体である。それらは一般に、以下の付加の説明に基づいて、それらの対応する構成の説明(例えば、図8Aではその対応する図7Aなど)との類似によって理解することができる。
【0075】
(例えば、図7Aに示すように)互いから90度に向けられた前述の4つの相補対とは対照的に、任意の変位増分またはディスラプター要素(例えば、851A)の位置が、本書の様々な図に示されているX軸方向とY軸方向に沿って向けられた変位または位置ベクトル成分または座標によるので、図8A図8Fに示された各ベクトル成分方向VC1、VC2、VC3に沿って向けられた変位または位置ベクトル成分または座標によって容易に特徴付けられていることを考慮することによって、互いから120度に向けられた3つの相補対の使用を理解することができる。ある座標系から別の座標系にベクトル成分を変換する方法はよく知られており、ここで詳細に説明する必要はない。これに基づいて、図8A図8Cに示される相補対CPiは、相補対の前述の説明で概説された同じ原理に従って構成され、それらのそれぞれの重複領域は、それらの対応するベクトル成分方向VC1、VC2、およびVC3に沿ってディスラプター要素の変位または位置を示すことが理解されよう。例えば、図8Aに示されている代表的な重複領域TRSCOA1とBRSCOA1は、対応するベクトル成分方向VC1等に沿ったディスラプター要素の変位または位置を示す前述の原理に従って、関連する信号成分SIGTRSC1およびSIGBRSC1をもたらす。図8A図8C、および図8Eに示される実施形態では、1つの実施形態において、VC1方向に沿った回転変位または位置成分ΔVC1は、以下の信号関係によって示されるか、その信号関係に対応することができ、この信号関係は比較可能な相補対に対する以前に概説された原理によるΔZから名目上は独立している。
ΔVC1=関数 [(SIGTRSC1+SIGBRSC1)-(SIGTRSC1UNDF+SIGBRSC1UNDF] (式8)
【0076】
ここで、SIGTRSC1UNDFおよびSIGBRSC1UNDFは、ディスラプター要素(例えば、851Aなど)の非偏向位置UNDFに対応する重複領域TRSCOA1およびBRSCOA1から生じる参照信号値である。
【0077】
同様に、VC2方向に沿った回転変位または位置成分ΔVC2およびΔVC3方向に沿った回転変位または位置成分ΔVC3は、次の信号関係によって示されるか、それに対応することができる。
ΔVC2=関数 [(SIGTRSC2+SIGBRSC2)-(SIGTRSC2UNDF+SIGBRSC2UNDF] (式9)
ΔVC3=関数 [(SIGTRSC3+SIGBRSC3)-(SIGTRSC3UNDF+SIGBRSC3UNDF] (式10)
【0078】
図8A図8Cに示される軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCは、対応する構成を参照して本明細書で前述したものと実質的に同じであり、同じタイプの信号成分および信号関係に従って決定できることが理解されよう。上記で概説した信号の関係は例示にすぎず、それに限定されるものではない。様々な実施形態では、これらの信号関係は、必要に応じて、様々な変位方向または信号成分間の幾何学的および/または信号クロスカップリングの影響を低減する操作を備え、付加のキャリブレーションまたは信号処理操作によって調整または補償されてもよい。
【0079】
図8Dは、合計6つの相補対を備えるために、相補対CP1~CP3から中心軸を横切って対称的に構成される付加の相補対CP4~CP6が提供されることを除いて、図8Aを参照して前述したものと同様の受信コイル部870Dおよびディスラプター要素851Dの実施形態を示す。特に、CP1とCP4はVC1方向に沿って互いに反対向きであり、CP2とCP5はVC2方向に沿って互いに反対向きであり、CP3とCP6はVC3方向に沿って互いに反対向きである。これらの対向する対は、図7A図7DのXおよびY軸方向に沿って示される対向する相補対に類似している。このような構成は、式8~10で使用される参照信号値(例:SIGTRSC1UNDFなど)に依存する必要はない。したがって、このような構成は、(例えば、様々な原因による信号ドリフトなどに対して本質的な補償をすることで、)よりロバストで正確である。図8Dに示す実施形態の場合、一実施形態では、VC1方向に沿った回転変位または位置成分ΔVC1は、以下の信号関係によって示されるか、または対応することができる。なお、これは、比較可能な相補対に対して前述の原理に従って、名目上、変位ΔZから独立している。
ΔVC1=関数 [(SIGTRSC1+SIGBRSC1)-(SIGTRSC4+SIGBRSC4)]÷
[(SIGTRSC1+SIGBRSC1)+(SIGTRSC4+SI
GBRSC4)] (式11)
ΔVC2=関数 [(SIGTRSC2+SIGBRSC2)-(SIGTRSC5+SIGBRSC5)]÷
[(SIGTRSC2+SIGBRSC2)+(SIGTRSC5+SI
GBRSC5)] (式12)
ΔVC3=関数 [(SIGTRSC3+SIGBRSC3)-(SIGTRSC6+SIGBRSC6)]÷
[(SIGTRSC3+SIGBRSC3)+(SIGTRSC6+SI
GBRSC6)] (式13)
【0080】
図8Bおよび図8Cに示される「3つの相補対」の実施形態は、6つの相補対を備えるように同様に適合され、同様(類似)の利点を有する同様の信号処理を使用できることが理解されよう。
【0081】
図8Eは、図7Eを参照して前述したものに類似する受信コイル部870Eおよびディスラプター要素851Eの実施形態を示し、図8A図8Cの前述の説明と併せてその説明と類似していることにより一般に理解されよう。その説明を簡単に言い換えると、図8Eでは、各相補対CPiの上部および下部回転検出コイルは、中心軸の周りで互いに対して角度2*NAA回転している。なお、NAAは「非整列角度」である。この実施形態は、図7Eを参照して前述したように、非整列角度NAAが増加するにつれて、先に概説した(各相補対CPiの上部および下部回転検出コイルが軸方向に沿って整列されている)構成と比較してますます不利になる。ここで、相補対からの信号の合計は、式6を参照して前述したように、理想的に軸方向の変位ΔZから独立していないかもしれないことが説明されている。それでも、そのような構成は、本明細書で開示される様々な原理にしたがって禁止されていない。そのような構成は、本明細書で開示および請求される最も基本的な原理を依然として満たし、既知の誘導性センサ構成体と比較して上記で概説した様々な利点を少なくとも部分的に保持する信号成分を提供できることが理解されよう。
【0082】
図8Fは、受信コイル部870Fおよびディスラプター要素851Fの実施形態を示し、検出コイルの相補対CPiは、前述の相補対(例えば、図8Aに示す)のそれらとは異なる構成の検出コイルを有し、中心軸を挟んで対称に配置されている。したがって、動作移動範囲+/-Rz、+/-Rx、および+/-Ry内の任意の相補対CPiと任意のディスラプター要素の変位増分に対して、ディスラプターの変位増分に関連する重複領域TRSCOAiおよびBRSCOAiの変化の大きさがその相補対において同じであるように、受信コイル部とディスラプター要素がさらに構成されている点で、それらは前述の相補対と同様に特徴付けられている。さらに、図8Fに示す実施形態では、受信コイル部は、本明細書で前述したいくつかの相補対と同様に構成され、それら(つまり、上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCi)のうちの一方の形状が中心軸の周りで他方の角度位置に一致するように、中心軸の周りにオフセット角度(例えば180度)で回転されて、軸方向に沿って投影された場合に、それらの内部領域の形状が名目上一致するように特徴づけられた上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCiを各相補対CPiは備える。
【0083】
しかしながら、前述の相補対とは対照的に、ディスラプター変位増分に関連する重複領域TRSCOAiとBRSCOAiの変化の符号は、図8Fに示す相補対では反対である。そのような実施形態は、ディスラプター変位増分に関連する重複領域TRSCOAiとBRSCOAiの変化の符号が各相補対で同じである実施形態と比較して、特定の不利な点を持つかもしれない。しかしながら、図8Fに示される構成は、それにもかかわらず、本明細書で開示される様々な原理に従って禁止されていない。適切な信号処理により、そのような実施形態は、既知の誘導性検出構成体と比較して、走査プローブで使用するための特定の利点を提供することができる。信号処理は、様々なクロスカップリング効果などを修正または補償するために、(例えば、より複雑な信号成分関係を使用して様々な変位または位置ベクトル成分を示す)本明細書で以前に開示された実施形態で必要とされるよりも複雑である必要があるかもしれない。しかしながら、受信コイル部870Fについては、そのような効果は、一般に、既知の幾何学的および/または信号関係の制約と、ディスラプター要素851Fの与えられた変位に対する重複領域の変化の大きさが各相補対の検出コイルで同じであるという事実に基づいて補償することができる。例えば、図8Fに示される実施形態では、ディスラプター要素851Fは、(例えば、正六角形の辺に平行に配置される)3対の平行な直線側辺を備え、任意のそれぞれの相補対CPiに対して、平行な直線側辺の対の第1のものが上部回転検出コイルTRSCiを横断し、その平行な直線側辺の対の第2のものがそのそれぞれの相補対の下部回転検出コイルBRSCiを横断する。ディスラプター要素851Fの既知の剛体並進および回転特性に基づいて、各検出コイルのそれぞれの重複領域および局所動作ギャップは互いに対する既知の関係によって制約されるように受信コイル部870Fに備えられ、これらの既知の関係は受信コイル部870Fによって提供される信号成分の信号処理において、正確な変位ベクトルを決定するのに使用することができる。
【0084】
図7A図7Eおよび図8A図8Fに示される変形例は、本明細書に開示および要求される様々な原理に関連して前述した利点の多くまたはすべてを保持する一方で、これらの原理に従ってスタイラス位置検出部内の様々な構成要素の構成および組み合わせをさらに再配置および/または調整する可能性を示していることが理解されよう。一般に、本明細書で開示される様々な実施形態は、例示のみを目的とし、限定するものではないことを理解されたい。
【0085】
図9Aおよび図9Bは、スタイラス位置検出部911の代替構成を示す。このスタイラス位置検出部は、例えば、図2の走査プローブ300でスタイラス位置検出部311として、図3の実施形態においてスタイラス位置検出部411の代わりに、図4の実施形態においてスタイラス位置検出部511などの代わりに、使用することができる。誘導性構成要素が図9Bに示されている。スタイラス位置検出部911は、誘導性検出原理を使用し、受信コイル部970を有するコイル基板構成体990と、図示のように送信コイル(第1の場生成コイル)961を備える場生成コイル構成体960と、図示のように第1および第2のディスラプター要素951を備えるディスラプター構成体950と、を備える。受信コイル部970は、回転検出コイル部(回転検出コイルとも呼ばれる)RSCおよび軸方向検出コイル構成体ASCCを備えることができる。簡単に言えば、移動するディスラプター要素951(または、より一般的には、ディスラプター構成体950)は、場生成コイル構成体960によって生成される変動磁場の位置に依存した変動を引き起こす。受信コイル部970は、ディスラプター要素951で引き起こされる変動磁場およびその間の変動に応答する。
【0086】
コイル基板構成体990は、N個の上部回転検出コイル部(上部回転検出コイル、図示のようにTRSC1~TRSC4であり、この例ではN=4)と上部軸方向検出コイル構成体(図示のようにTASCC)とを備える第1基板部992と、N個の下部回転検出コイル部(下部回転検出コイル、図示のようにBRSC1~BRSC4であり、この例ではN=4)と下部軸方向検出コイル構成体(図示のようにBASCC)を備える第2基板部994と、を備える。コイル基板構成体990は、また、第1基板部992と第2基板部994との間に配置された中央基板部996を備える。中央基板部996は、(図示のように、送信コイル961を備える)少なくとも第1の場生成コイル構成体960を備える。コイル基板構成体990は、スタイラス懸架部307/407(図2および図3を参照)により近いコイル基板構成体990の第2基板部994で、走査プローブのフレーム(図2の走査プローブ300および図4のフレーム408を参照)に一定の関係で取り付けられる。コイル基板構成体990の第1基板部992、第2基板部994および中央基板部996は、名目上互いに平行であり、名目上、走査プローブ300(図2参照)の中心軸CA(図3参照)に直交する。コイル基板構成体990は、例えば、基板またはプリント回路基板の層にプリント導体として製造されたコイルを有する両面基板またはプリント回路基板、基板またはプリント回路基板に固定された自立コイルなど、および/またはそれらの様々な組み合わせを備えることができる。
【0087】
様々な実施形態では、ディスラプター構成体950のディスラプター要素951は、それぞれ、ディスラプター領域を提供する導電性プレートまたは導電性ループの少なくとも1つを備え、ディスラプター要素951は、コイル基板構成体990の反対側に延在するディスラプター移動ボリュームにおいて中心軸CA(図3を参照)に沿って配置されている。ディスラプター要素951は、(例えば、図3の移動部材412と同様の)移動部材912の上部を備え、結合構成体953によって互いに対して一定の関係でスタイラス懸架部307/407(図2および図3を参照)に結合される。ディスラプター要素は、軸方向移動に応じて軸方向に沿った動作移動範囲+/-Rz、および回転移動に応じて軸方向に直交するそれぞれの直交XおよびY方向に沿った各動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ryにわたって移動して、ディスラプター要素951は、スタイラス懸架部307/407(図2および図3を参照)の偏向に応じて非偏向位置に対してディスラプター移動ボリューム内で移動する。軸方向に沿った第1の場生成コイル961のコイル領域の投影は、コイル基板構成体990に配置されたすべての回転および軸方向検出コイルのディスラプター領域およびコイル領域を提供する導電性プレートまたはループを包含する。場生成コイル構成体960は、コイル駆動信号に応じて、ディスラプター移動ボリューム内に軸方向にほぼ沿って変動磁束を生成する。
【0088】
図10は、図9Aおよび図9Bに示されるスタイラス位置検出部911に類似するスタイラス位置検出部1011の実施形態の部分概略等角図であり、本明細書に開示される原理による特定の形態を強調している。一般に、スタイラス位置検出部1011は、図2図3図4図9Aおよび図9Bのスタイラス位置検出部311、411、511および911の構成要素と同様の特定の構成要素を含み、以下に記載された場合を除いて同様に動作することが理解されよう。スタイラス位置検出部1011の構成は、例えば、図2の走査プローブ300においてスタイラス位置検出部311として、図3の実施形態においてスタイラス位置検出部411の代わりに、図4の実施形態においてスタイラス位置検出部511の代わりに、図9Aおよび図9Bの実施形態などにおいてスタイラス位置検出部911の代わりに、使用されてもよい。
【0089】
図10に示される実施形態では、スタイラス位置検出部1011は、コイル基板構成体1090およびディスラプター構成体1050を備える。コイル基板構成体1090は、上部受信コイル基板部1070Tと下部受信コイル基板部1070Bとの間に配置された場生成コイル基板部1060を備え、上部および下部受信コイル基板部1070T、1070Bを備える。様々な実施形態では、上部および下部受信コイル基板部1070T、1070Bは第1および第2基板部1070T、1070Bとも呼ばれ、場生成コイル基板部1060は中央基板部1060とも呼ばれる。ディスラプター構成体1050は、ディスラプター要素1051T、1051Bまたはスケールを備える。様々な実施形態では、ディスラプター要素1051T、1051Bは、第1および第2のディスラプター要素1051T、1051Bとも呼ばれる。
【0090】
様々な実施形態では、ディスラプター要素1051T、1051B(または、より一般的にディスラプター構成体1050)はそれぞれ、ディスラプター領域(例えば、その内部領域)を提供する導電性プレートまたは導電性ループ、または(例えば、プリント回路基板製造技術によりパターン化されたプリント回路基板の2面に設けられたような)平行な導電性プレートまたは導電性ループ、または任意の他の望ましい動作構成体の少なくとも1つを備えることができる。図10に示すように、ディスラプター要素1051Tおよび1051Bはそれぞれ、導電性プレートを備える。ディスラプター要素1051Tおよび1051Bは、コイル基板構成体1090の反対側に延在するディスラプター移動ボリュームMVの中心軸CAに沿って配置され、(例えば、図3の移動部材412と同様の移動部材1012の少なくとも上部を備える)結合構成体によってスタイラス懸架部1007に結合される。説明の目的で、ディスラプター要素1051T、1051Bは、(例えば、図3のスタイラス懸架部407、スタイラス406および移動部材412と類似または同一であってもよい)スタイラス懸架部1007および/またはスタイラス1006および/または移動部材1012の偏向に応じて、(例えば、図3の非偏向位置UNDFに類似している)図10に示される非偏向位置に対して移動する。ディスラプター要素1051T、1051Bは、軸方向移動に応じて軸方向に沿って動作移動範囲+/-Rzにわたって変位増分ΔZで、回転移動に応じて軸方向(Z方向)に直交する直交XおよびY方向に沿ってそれぞれの動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ryにわたってそれぞれ変位増分ΔXおよびΔYで移動するものとして説明することができる。
【0091】
上部受信コイル基板部1070Tは、N個の上部回転検出コイルTRSC(例えば、図示のTRSC1~TRSC4、N=4)および(例えば、この実施形態では単一の図示された個別のコイルを備える)上部軸方向検出コイル構成体TASCC、そして、下部受信コイル基板部1070Bは、N個の下部回転検出コイルBRSC(例えば、図示のBRSC1~BRSC4、N=4)および(例えば、この実施形態では単一の図示された個別のコイルを備える)下部軸方向検出コイル構成体BASCCを備える。
【0092】
コイル基板構成体1090は、スタイラス1006および/またはスタイラス懸架部1007により近い下部受信コイル基板部1070Bで、走査プローブのフレーム(例えば、図4のフレーム408)に一定の関係で取り付けられる。図10に示す様々な検出コイルに関して、すべてのコイルは、誘導性に結合された1つまたは複数のターンで動作するように構成された(例えば図6に示すような)第1および第2接続端を有する巻線または導体の少なくとも1つを備えることが理解されよう。図に示すように、上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCC、ならびに上部および下部回転検出コイル構成体TRSCおよびBRSCは、ディスラプター構成体1050および対応するディスラプター要素1051T、1051Bの位置に対して名目上対称的に空間が設けられている。他の構成も可能である(例えば、いくつかの実施形態では、回転検出コイル構成体TRSCおよびBRSCは、ディスラプター構成体1050に対して名目上中心にならない場合がある)。
【0093】
場生成コイル基板部1060は、一般に、少なくとも第1の場生成コイル1061を備え、上部受信コイル基板部1070Tと下部受信コイル基板部1070Bとの間に配置される。図10に示すように、少なくとも第1の場生成コイルは、ディスラプター要素1051T、1051Bの領域(面積)よりも大きい領域を有する単一の場生成コイル1061を備える。上部受信コイル基板部1070T、場生成コイル基板部1060、および下部受信コイル基板部1070Bは、名目上平面であり、名目上互いに平行であり、名目上中心軸CAに直交する。
【0094】
図3図4、および図5に図示された実施形態では、ディスラプター要素は場生成コイル要素の内側に配置され(例えば、図4のディスラプター要素551は場生成コイル561の内側に収まっている)、ディスラプター要素の領域は場生成コイル要素の領域よりも小さい。図9A図9B、および図10の図示された実施形態では、ディスラプター要素は、場生成コイル要素に平行に配置される(例えば、ディスラプター要素1051T、1051Bは、場生成コイル1061の上方および下方に配置される)。図9A図9B、および図10の構成は、ディスラプター要素および場生成コイル要素の相対的なサイズに関して柔軟性を向上させる。加えて、(例えば、第1基板部、第2基板部、および中央基板部が単一の多層プリント回路基板の部分を含み得る場合に)単一のプリント回路基板を利用することで、複数のプリント回路基板を利用する構成体に対してコストと複雑さを低減することができる。
【0095】
図11は、図10に示されるスタイラス位置検出部1011に類似するスタイラス位置検出部1111の代替実施形態の部分概略等角図であり、本明細書に開示される原理による特定の形態を強調している。一般に、スタイラス位置検出部1111は、図10のスタイラス位置検出部1011の構成要素に類似する特定の構成要素を備え、以下で特に説明する場合を除き、同様に動作することが理解されよう。スタイラス位置検出部1111の構成は、例えば、図2の走査プローブ300においてスタイラス位置検出部311として、図3の実施形態においてスタイラス位置検出部411の代わりに、図4の実施形態においてスタイラス位置検出部511の代わりに、図9Aおよび図9Bの実施形態においてスタイラス位置検出部911の代わりに、図10の実施形態においてスタイラス位置検出部1011の代わりに、など、使用されてもよい。
【0096】
図11に示される実施形態では、スタイラス位置検出部1111は、コイル基板構成体1190およびディスラプター構成体1150を備える。コイル基板構成体1190は、上部受信コイル基板部1170Tと下部受信コイル基板部1170Bとの間に配置された場生成コイル基板部1160を備え、上部および下部受信コイル基板部1170T、1170Bを備える。様々な実施形態では、上部および下部受信コイル基板部1170T、1170Bは第1および第2基板部1170T、1170Bとも呼ばれ、場生成コイル基板部1160は中央基板部1160とも呼ばれる。ディスラプター構成体1150は、ディスラプター要素1151T、1151Bまたはスケールを備える。様々な実施形態では、ディスラプター要素1151T、1151Bは、第1および第2のディスラプター要素1151T、1151Bと呼ばれる。図示の上部および下部受信コイル基板部1170T、1170Bは、図10の対応する上部および下部受信コイル基板部1070T、1070Bと概ね同様である(導電性ビアおよびパッドの詳細は図11に示されている)。
【0097】
様々な実施形態では、ディスラプター要素1151T、1151B(または、より一般的にディスラプター構成体1150)はそれぞれ、導電性プレートまたは導電性ループ、または(例えば、プリント回路基板製造技術によりパターン化されたプリント回路基板の2面に設けられたような)平行な導電性プレートまたは導電性ループ、またはディスラプター領域(例えば、その内部領域)を提供する任意の他の望ましい動作構成体の少なくとも1つを備えることが出来る。様々な実施形態では、導電性ループを備えた構成体は、同心ループ、スパイラルパターンなどの少なくとも1つを備えることができる。図11に示すように、ディスラプター要素1151Tおよび1151Bはそれぞれ、図10に図示された実施形態で使用された導電性プレートの代わりに複数の同心導電性ループ1153を備える。ディスラプター要素1151Tおよび1151Bは、コイル基板構成体1190の反対側に延在し、図10を参照して上述した方法と同様の方法(図10のスタイラス懸架部1007を参照)でスタイラス懸架部に結合されるディスラプター移動ボリュームMVの中心軸CAに沿って配置される。
【0098】
場生成コイル基板部1160は、一般に、少なくとも第1の場生成コイルを備える。図示のように、場生成コイル基板部1160は、上部場生成コイル部1161Tおよび下部場生成コイル部1161Bを備え、上部受信コイル基板部1170Tと下部受信コイル基板部1170Bとの間に配置されている。上部受信コイル基板部1170T、場生成コイル基板部1160および下部受信コイル基板部1170Bは、名目上平面であり、名目上互いに平行であり、名目上中心軸CAに直交する。図11の実施形態では、場生成コイル基板部1160は、2ターンのマルチターン場生成コイルを備える。そして、2つの対応する場生成コイル部1161Tおよび1161Bは、ビアによって接続され、中心軸に沿ったディスラプター移動ボリュームの中央平面からほぼ等距離に位置し、名目上平面で中心軸に直交する(すなわち、場生成コイル構成体は、少なくとも2ターンで、中心軸CAに沿ってディスラプター移動ボリュームMVの中央平面からほぼ等距離に配置され、名目上平面で中心軸CAに直交する2つの対応する場生成コイル部1161Tおよび1161Bを持つマルチターン場生成コイルを備える)。
【0099】
図11に示すように、上部場生成コイル部1161Tおよび下部場生成コイル部1161Bは、ディスラプター要素1151T、1151Bの領域よりも小さい領域を有する。ディスラプター要素の領域よりも小さな領域を有する場生成コイルを使用することにより、ディスラプター要素またはスケールのサイズに対するスタイラス位置検出部1111の感度を低減することが容易になる。導電性プレートまたは単一の導電性ループの代わりに、ディスラプター要素で導電性ループ(例えば、同心ループ、スパイラルパターンなど)を使用すると、良好なXおよびY位置信号強度を維持したまま、ディスラプター要素またはスケールのサイズに対するスタイラス位置検出部1111の感度の低減も容易になる。ディスラプター要素またはスケールのサイズに対するスタイラス部の感度を低減すると、測定の精度が向上し、望ましい出力形式で結果を生成することに関連する処理コストを削減することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、受信コイル(例えば、回転検出コイルBRSC1~BRSC4、TRSC1~TRSC4)が送信機(例えば、場生成コイル部1161T、1161B)に近接しているため、非接続のビア/パッドは、そうでなければ接続トレース(送信機と受信機のリードなど)またはその他の構成要素によって生成されるオフセットをバランスさせるように付加されてもよい。図示した例として、図11の実施形態では、(例えば、電子回路または構成および/またはその一部に接続されたような)特定の接続ビア/パッド/リードは、対称な回転検出コイルBRSC4/TRSC4内に対称的に接続された対応物(例えば、中心軸に対して対称)を持たない(例えば、接続トレース用の)回転検出コイルBRSC3/TRSC3内に示されている(例えば、5つのそのようなビア、ならびに上部および下部送信リードは、図11の構成例の回転検出コイルBRSC3/TRSC3内に示され、軸方向検出コイル構成体TASCC、BASCCのための接続用の3つのビア、正規化コイルRNの部分の接続用のビア、場生成コイル部1161T、1161Bの接続用のビア、および場生成コイル部1161T、1161Bのための上部および下部送信リードを備える)。いくつかの実施形態では、そのようなトレース/ビア/パッド/リードは、補償されない場合、信号オフセットに帰結する受信コイルへの磁場を低減することができる。いくつかの実施形態では、そのようなオフセットは、非接続のビア/パッド/リードを備えた対称的な受信コイル内でそのような特徴を(例えば、中心軸の反対側に)反映すること(mirroring)により対処することができる。例えば、一実施形態では、回転検出コイルBRSC4/TRSC4内に非接続のビア/パッド/リードを付加することができ、回転検出コイルBRSC4/TRSC4それぞれでは、回転検出コイルBRSC3/TRSC3内の対応する接続ビア/パッド/リードを反映/対称にすることができる(例えば、回転検出コイルBRSC4/TRSC4内に5つの非接続のビアならびに上部および下部パッドを付加でき、回転検出コイルBRSC4/TRSC4ではそれぞれ、回転検出コイルBRSC3/TRSC3内に示された対応する接続ビア/パッド/リードを反映/対称に配置することができる)。
【0101】
そのような概念の特定の図示する例として、図11では、正規化コイルRNの部分の接
続用の構成要素(例えばビア)は、VIA1Cを介して電気的に接続されるように示され、回転検出コイルBRSC3/TRSC3内に示される。上述の原理に従って、回転検出コイルBRSC3/TRSC3内に示された対応する接続用のビアVIA1Cを反映/対称にする(例えば、その構成体の中心軸に対して反映および対称にする)回転検出コイルBRSC4/TRSC4内に非接続のビアVIA1Dを含めることができる。より具体的には、ビアVIA1Dは、(例えば、ビアVIA1Cの位置とビアVIA1Dの位置の間のラインがその構成体の中心軸を通り、各位置が中心軸から等距離にあるような)回転検出コイルBRSC3/TRSC3内のビアVIA1Cの位置と対称にある/反映する回転検出コイルBRSC4/TRSC4内の位置にある。ビアVIA1Dは、それにより、上記のようにビアVIA1Cによって生成されるオフセットのバランスを取る。より具体的には、非接続の構成要素VIA1Dは、回転検出コイルBRSC4/TRSC4(第1回転検出コイル)内に配置され、回転検出コイルBRSC3/TRSC3(第2回転検出コイル)内に配置された同様の電子的に接続された構成要素VIA1Cと対称に(つまり、中心軸および/または軸方向に対して)反対側にある。そして、非接続の構成要素VIA1Dは、それにより、回転検出コイルBRSC3/TRSC3内に接続された構成要素VIA1Cの存在により回転検出コイルBRSC3/TRSC3およびBRSC4/TRSC4によって提供される信号成分で生じる信号オフセットを低減する。
【0102】
図11の実施形態では、正規化コイルRNの部分の接続用のビアVIA1Cは、軸方向
検出コイル構成体TASCC、BASCCのための接続用のビアに近接するように示されている。正規化コイルRNは上部と下部を備え、上部は直線で半径方向に延在し、ビアVIA1Cによって直線で同じく半径方向に延在する下部に接続されている(下部は、図を簡単にするために、他の構成要素によって不明瞭になっているため図11には示していないが、上部の真下に配置されている。)。様々な実施形態では、正規化コイルRNは、(例えば、場生成コイル構成体(場生成コイル基板部とも呼ばれる)1160によって生成される変動磁束に対応する)送信場の測定値を提供するのに使用される(つまり、正規化コイルRNは、場生成コイル構成体1160によって生成される変動磁束の測定値を提供するために利用される)。ここで、測定された信号はディスラプター要素1151T、1151Bの位置から相対的に独立している(例えば、ディスラプター要素1151T、1151Bの位置によって名目上だけ影響を受けてもよい)。様々な実施形態では、位置測定値は、この測定された信号で(場生成コイル構成体1160からの)送信振幅の変動に対して比較的鈍感になるようにされてもよい。様々な実施形態では、そのような処理は、信号処理および制御回路(例えば、図2の信号処理および制御回路380)によって実行することができる。
【0103】
図9A図9B図10および図11を参照すると、図2図8Fを参照して上述した方法と同様の方法で、(TRSC1~TRSC4およびBRSC1~BRSC4に示すような)回転検出コイル部RSCは、対応する信号線上のスタイラス結合部342(図2を参照)の回転位置(XおよびY位置信号など)を示す少なくとも第1および第2の回転信号成分RSigsを出力し、そして、(TASCCおよびBASCCに示すような)軸方向検出コイル構成体ASCCは、対応する信号線上のスタイラス結合部の軸方向位置(例えば、Z位置信号)を示す1つまたは複数の軸方向信号成分ASigsを出力する。様々な実施形態では、信号処理および制御回路380(図2を参照)は、回転信号成分RSigsおよび軸方向信号成分ASigsを受信し、様々な実施形態において様々なレベルの関連する信号処理を実行することができる。例えば、一実施形態では、信号処理および制御回路は、様々な受信コイルからの信号成分を様々な関係で結合および/または処理し、取付部224を介して(図2を参照)回転および軸方向位置信号出力RPSOutおよびAPSOutとして結果的に所望の出力形式で提供する。図2を参照すると、(例えば、CMM200、モーションコントローラ115、ホストコンピュータ120などにおける)1つまたは複数の受信部は回転および軸方向位置信号出力RPSOutおよびAPSOutを受信することができ、そして、1つまたは複数の関連する処理および制御部は、その接触部348が測定されているワークピースWの表面に沿って移動するとき、スタイラス結合部342および/または取り付けられたスタイラス306の接触部の3次元位置を決定するように利用されてもよい。様々な実施形態で使用される受信コイル、場生成コイル、およびディスラプター要素の導電性プレートまたはループの数、サイズ、および形状は、位置検出の改善や高次の非線形性の低減などのような、所望の動作特性に基づいて選択することができる。低次の非線形性は、CMMによって較正できることに注意されたい。
【0104】
いくつかの実施形態では1つの基板のみが搭載に必要とされている(例えば、別々のボード間のフレキシブルケーブルは不要な場合である)ので、図9A図9B図10、および図11の実施形態は、より少ない機械部品の使用を容易にしている。また、このような実施形態は、受信コイルのアライメントに関する自由度が低いため、再現性の向上とアセンブリコストの削減を容易にし、例えば、XY位置決め信号に関して、マルチボード実施形態で発生する可能性のある傾斜や回転の問題に対して敏感でなくてもよい。
【0105】
図12Aおよび図12Bは、図4の実施形態のスタイラス位置検出部511の代わり、図3の実施形態のスタイラス位置検出部411の代わりなどにおいて、例えば、スタイラス位置検出部311として図2の走査プローブ300で採用され得る、スタイラス位置検出部1211の代替な構成を示す。スタイラス位置検出部1211は誘導性検出原理を使用し、ディスラプター構成体1250およびコイル基板構成体1290を備える。図示されるようなディスラプター構成体1250は、概して円筒状ディスラプター(円筒状ディスラプター要素)1251を備える。図示されているコイル基板構成体1290は概ね円板形状とされた構成を備えており、図12Bにより詳細に示されている。
【0106】
図示されるように、ディスラプター(円筒状ディスラプター要素)1251は、コイル基板構成体1290の中心開口(孔)1291内に位置決めされ、円板形状とされたコイル基板構成体1290のZ方向に延在する。図12Aおよび図12Bの例ではディスラプター1251がコイル基板構成体1290の上方および下方のZ方向に延在するように示されているが、他の実施形態では必ずしもそうではないことが理解されよう(例えば、様々な代替の実施形態では、ディスラプター1251がZ方向のコイル基板構成体1290と同じであってもよく、またはそれよりも短くてもよい)。様々な実施形態では、Z方向に沿った高さではなく、より重大な要因であるのはディスラプター1251の円筒形である(例えば、図14A図14Dなどに関して以下でより詳細に説明するように、様々な望ましい動作特性をもたらす)。
【0107】
コイル基板構成体1290は、図示されるように、2つの伝送コイル(場生成コイル)1261Tおよび1261Bと、受信コイル部1270とを有する場生成コイル構成体1260を備える。受信コイル部1270は(例えば、図3図6等に関して上述されたように、軸方向に対して横断方向の検出動作のための)回転検出コイル部(回転検出コイルとも呼ばれる)RSC、および(例えば、図3図6等に関して上述されたように、軸方向に沿った検出動作のための)軸方向検出コイル構成体ASCCを備えてもよい。
【0108】
手短に言えば、移動するディスラプター要素1251(またはより一般的には、ディスラプター構成体1250)は、場生成コイル構成体1260によって生成される変化する磁場の位置依存変動を引き起こす。受信コイル部1270は、変化する磁場およびディスラプター要素1251によって生じるその中の変動に応答する。
【0109】
図示するように、コイル基板構成体1290は、上部軸方向検出コイルTASCCと場生成コイル1261Tとを有する第1の基板部1292と、下部軸方向検出コイルBASCCと場生成コイル1261Bとを有する第2の基板部1294と、第1の基板部1292と第2の基板部1294との間に配置される中央基板部1296と、を備える。中央基板部1296は、上部回転検出コイルTRSC1~TRSC4と、上部正規化コイルTRと、下部正規化コイルBRと、下部回転検出コイルBRSC1~BRSC4と、を備える。
【0110】
コイル基板構成体1290は、スタイラス懸架部307/407(図2および図3を参照)により近いコイル基板構成体1290の第2の基板部1294で、走査プローブのフレーム(図2の走査プローブ300および図4のフレーム408を参照)に一定の関係で取り付けられる。コイル基板構成体1290の第1の基板部1292、第2の基板部1294および中央基板部1296は、名目上、互いに平行であり、名目上、走査プローブ300(図2参照)の中心軸CA(図3参照)に直交である。コイル基板構成体1290は、例えば、基板の層内に導体をプリントされ、あるいは回路基板をプリントされ、製造されたコイルを有する両面基板またはプリント回路基板、基板あるいはプリントされた回路基板に接続された自立コイル、および/それらの様々な組み合わせを備えてもよい。
【0111】
様々な実施形態では、ディスラプター構成体1250のディスラプター要素1251はディスラプター領域を提供する導電性シリンダを備えることができ、ディスラプター要素1251は中心軸CA(図3参照)に沿って、コイル基板構成体1290の両側に延在するディスラプター移動ボリューム内に配置される。ディスラプター要素1251は、(例えば、図3の移動部材412と同様の)移動部材1212の上部を含む結合構成体1253によって互いに対して一定の関係でスタイラス懸架部307/407(図2および図3参照)に結合されている。ディスラプター要素1251は、スタイラス懸架部307/407(図2および図3参照)の偏向に応じて非偏向位置に対してディスラプター移動ボリューム内で移動し、ディスラプター要素1251は、軸方向移動に応じて軸方向に沿って動作移動範囲+/-Rzにわたって移動し、回転移動に応じて軸方向に直交する直交XおよびY方向に沿ってそれぞれの動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ryにわたって移動する。場生成コイル構成体1260は、コイル駆動信号に応じて、ディスラプター移動ボリューム内の軸方向に概ね沿って変動磁束を生成する。
【0112】
図11に関して上述したように、種々の実施形態では、上部正規化コイルTRおよび下部正規化コイルBRは、(例えば、場生成コイル構成体1260によって生成される変動磁束に対応する)送信場の測定値を提供するために利用されてもよく、そのために、測定された信号はディスラプター要素1251の位置から比較的独立していてもよい(例えば、単に名目上影響されていてもよい)。種々の実施形態では、位置測定値は、(場生成コイル構成体1260からの)送信振幅の変動に比較的鈍感にさせるために、この測定された信号に基準化されてもよい。種々の実施形態では、そのような処理は、信号処理および制御回路(例えば、図2の信号処理および制御回路380)によって実行されてもよい。
【0113】
図13A図13Fは、図12Aおよび図12Bに示されるスタイラス位置検出部1211に類似するスタイラス位置検出部1311の実施形態を示し、本明細書に開示される原理による特定の形態を強調する。
【0114】
図13Aは、図12Aおよび図12Bに示されるスタイラス位置検出部1211に類似するスタイラス位置検出部1311の実施形態の部分概略等角図である。概して、スタイラス位置検出部1311は、図2図3図4図9A、および図9Bのスタイラス位置検出部311、411、511、および911の構成要素と同様である特定の構成要素を備え、以下に別途記載される場合を除いて、同様に動作することが理解されよう。スタイラス位置検出部1311の構成は、例えば、図2の走査プローブ300においてスタイラス位置検出部311、図3の実施形態ではスタイラス位置検出部411の代わり、図4の実施形態ではスタイラス位置検出部511の代わり、図9Aおよび図9Bの実施形態ではスタイラス位置検出部911の代わり、図12Aおよび図12Bの実施形態ではスタイラス位置検出部1211の代わりなど、として使用されてもよい。
【0115】
図13Aに示される実施形態では、スタイラス位置検出部1311は、コイル基板構成体1390と、ディスラプター構成体1350と、を備える。様々な実施形態では、ディスラプター要素1351(またはより一般的にはディスラプター構成体1350)は、導電性シリンダ、またはディスラプター領域(例えば、その内部領域)を提供する他の所望の動作構成体を備える。図13Aに図示されるように、ディスラプター要素1351は、導電性シリンダを備える。ディスラプター要素1351は、コイル基板構成体1390の反対側に延在するディスラプター移動ボリュームMVの中心軸CAに沿って配置され、(例えば、図3の移動部材412に類似する移動部材1312の少なくとも上部を含む)結合構成体によってスタイラス懸架部に結合される。説明の目的のために、ディスラプター要素1351は、スタイラス懸架部1307および/またはスタイラス1306および/または移動部材1312(例えば、図3のスタイラス懸架部407、スタイラス406および移動部材412と類似または同一でもよい)の偏向に応じて、図13Aに示される非偏向位置に対して移動する(例えば、図3の非偏向位置UNDFに類似)。ディスラプター要素1351は、軸方向移動に応じて、軸方向に沿って動作移動範囲+/-Rzにわたって変位増分ΔZで移動し、回転移動に応じて、軸方向(Z方向)に直交する直交XおよびY方向に沿ったそれぞれの動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ryにわたって、それぞれの変位増分ΔXおよびΔYで移動すると評されてもよい。
【0116】
コイル基板構成体1390は、上部コイル基板部1390Tおよび下部コイル基板部1390Bを備える。上部コイル基板部1390Tは、(例えば、本実施形態では単一の図示された個別コイルからなる)上部軸方向検出コイル構成体TASCC、少なくとも第1の上部場生成コイル構成体1361T、N個の上部回転検出コイルTRSC(例えば、図示されたTRSC1~TRSC4、ここではN=4)、および上部正規化コイル構成体(上部正規化コイル)TRを備える。下部コイル基板部1390Bは、下部正規化コイル構成体(下部正規化コイル)BR、N個の下部回転検出コイルBRSC(例えば、図示されたBRSC1~BRSC4、ここではN=4)、少なくとも第1の下部場生成コイル構成体1361B、および(例えば、本実施形態では単一の図示された個別コイルからなる)下部軸方向検出コイル構成体BASCCを備える。
【0117】
コイル基板構成体1390は、スタイラス1306および/またはスタイラス懸架部1307により近い下部コイル基板部1390Bで、走査プローブのフレーム(例えば、図4のフレーム408)に一定の関係で取り付けられる。図13Aに示される種々の検出コイルに関して、すべてのコイルは1つまたは複数の誘導結合された「ターン」として動作するように構成される(例えば、図6に表されるような)第1および第2の接続端部を有する巻線または導電体のうちの少なくとも1つを備えることが理解されよう。図示されるように、上部軸方向検出コイル構成体TASCCおよび下部軸方向検出コイル構成体BASCC、ならびに上部回転検出コイル構成体(上部回転検出コイル)TRSCおよび下部回転検出コイル構成体(下部回転検出コイル)BRSCは、名目上、ディスラプター構成体1350およびディスラプター要素1351の対応する位置に対して対称に離間される。他の構成も可能である(例えば、いくつかの実施形態では、回転検出コイル構成体TRSCおよびBRSCは、ディスラプター構成体1350に対して名目上中心になくてもよい)。
【0118】
図13Aに示すように、少なくとも第1の上部場生成コイル構成体は、ディスラプター要素1351の領域よりも大きい領域を有する単一の上部場生成コイル(上部場生成コイル構成体)1361Tを備え、少なくとも第1の下部場生成コイル構成体は、ディスラプター要素1351の領域よりも大きい領域を有する単一の下部場生成コイル(下部場生成コイル構成体)1361Bを備える。上部コイル基板部1390Tおよび下部コイル基板部1390Bは名目上平面であり、名目上互いに平行であり、名目上中心軸CAと直交する。
【0119】
図13B図13Eは、図13Aのコイル基板構成体1390のコイルの例示的な実施形態を示す。図13Fは、図13Aのコイル基板構成体1390のコイルの例示的な積層を示す。図13A図13Eは、図11の記載において上述したような接続パッドまたはビアに類似し得る接続パッドまたはビア(図13Bを参照のこと)を示す。
【0120】
図13Bでは、上部軸方向検出コイル構成体TASCCまたは下部軸方向検出コイル構成体BASCCの例示的な実施形態が示されている。図示されているように、単一コイルが上部軸方向コイル構成体TASCCとして採用され、単一コイルが下部軸方向検出コイル構成体BASCCとして採用されている。
【0121】
図13Cでは、上部場生成コイル構成体1361Tまたは下部場生成コイル構成体1361Bの例示的な実施形態が示される。図示するように、単一コイルが上部場生成コイル構成体1361Tとして採用され、単一コイルが下部場生成コイル構成体1361Bとして採用される。
【0122】
図13Dでは、上部回転検出コイル構成体TRSCまたは下部回転検出コイル構成体BRSCの例示的な実施形態が示される。図示するように、4つのコイルTRSC1~TRSC4が上部回転検出コイル構成体TRSCとして採用され、4つのコイルBRSC1~BRSC4が下部回転検出コイル構成体BRSCとして採用される。
【0123】
図13Eでは、上部正規化コイル構成体TRまたは下部正規化コイル構成体BRの例示的な実施形態が示される。図示するように、単一コイルが上部正規化コイル構成体TRとして採用され、単一コイルが下部正規化コイル構成体BRとして採用される。
【0124】
図13Fでは、コイル基板構成体1390の層の例示的な実施形態が示される。図13Aを参照して上述したように、コイル基板構成体1390は、上部コイル基板部1390Tおよび下部コイル基板部1390Bを備える。上部コイル基板部1390Tは順に、上部軸方向検出コイル構成体TASCCを有する第1の層と、少なくとも第1の上部場生成コイル構成体1361Tを有する第2の層と、N個の上部回転検出コイルTRSCを有する第3の層と、上部正規化コイル構成体TRを有する第4の層と、を備える。下部コイル基板部1390Bは概して、上部コイル基板部1390Tの鏡映(鏡面対称)であり、下部正規化コイル構成体BRを有する第1の層と、N個の下部回転検出コイルBRSCを有する第2の層と、少なくとも第1の下部場生成コイル構成体1361Bを有する第3の層と、下部軸方向検出コイル構成体BASCCを有する第4の層と、を備える。図示されるようなディスラプター要素1351は、コイル基板構成体1390の上方および下方に延在する導電性シリンダである。
【0125】
上述したように、図3図4、および図5に示す実施形態では、ディスラプター要素が場生成コイル要素の内側に配置され(例えば、図4のディスラプター要素551は場生成コイル561の内側に適合する)、ディスラプター要素の領域は場生成コイル要素の領域よりも小さい。図9A図9B、および図10に示す実施形態ではディスラプター要素が場生成コイル要素に平行に配置される(例えば、ディスラプター要素1051T、1051Bは場生成コイル1061の上方および下方に配置される)。図12A図12B、および図13A図13Fに示された実施形態では、単一の背の高い円筒状ディスラプター要素1251/1351はコイル要素によって囲まれる孔1291内に適合し、その際に、その構成がコイル基板構成体要素の相対的なサイズおよび位置に関して増大した柔軟性を提供する。一方で、単一のプリント回路基板(例えば、上部基板部分および下部基板部分が単一の多層プリント回路基板の部分を備えてもよい)を利用することで、多層プリント回路基板を利用する構成に対して費用および複雑さを低減し得る。さらに、図14A図14Dに関して以下でより詳細に論じるように、図12A図12B、および図13A図13Fの実施形態では、Z軸に沿った変位の結果として生じる共振周波数変化(RFC)の著しい低減、ならびに軸外れクロストークの低減を得ることができ、その結果、CMMの総合的な性能が向上する。
【0126】
いくつかの実施形態では1つの基板のみを取り付ける必要があり(例えば、別個の基板間のフレキシブルケーブルが必要でない場合がある)、基板を取り付けるまたは取り外すために分解する必要がない単一の高さのディスラプター要素を使用することができるので、図12A図12B、および図13A図13Fの実施形態は、より少ない機械的構成要素を使用することを容易にすることができる。また、そのような実施形態は、受信コイルが位置合わせに関してより少ない自由度を有してもよいので、改良された再現性およびより低い組立コストを容易にする。したがって、そのような実施形態は、例えば、XY位置決め信号に関して、多数基板の実施形態において生じ得る傾斜および回転の問題に対して、より感度が低くなり得る。また、そのような実施形態は、軸外れクロストーク、周波数安定性、および直線性を改善することができる。
【0127】
図14A図14Cは、図3図4、および図5に示す実施形態、図9A図9B、および図10に示す実施形態、ならびに図12A図12B、および図13A図13Fに示す実施形態の例示的な周波数シフトおよび軸外れクロストーク誤差を示す。図14Aは、Z軸に沿ったディスラプター(例えば、図4のディスラプター要素551)の変位が-1mmから+1mmに掃引され、U、V=1.1度であるときの、図3図4および図5に示される実施形態の例示的な軸外れクロストーク誤差を示す。図14Bは、Z軸に沿ったディスラプター(例えば、図9Aのディスラプター要素951)の変位が-1mmから+1mmに掃引され、U、V=1.1度であるときの、図9A図9Bおよび図10に示される実施形態の例示的な軸外れクロストーク誤差を示す。図14CはZ軸に沿ったディスラプター(例えば、図12Aのディスラプター構成体1250)の変位が-1mmから+1mmに掃引され、U、V=1.1度であるときの、図12A図12Bおよび図13Aから図13Fに示される実施形態の例示的な軸外れクロストーク誤差を示す。図14A図14Cのそれぞれにおいて、V字型のZ信号は主(直線)位置決め信号であり、XおよびY信号は、U、V方向におけるクロストークの大きさを示す。図から分かるように、軸外れクロストーク誤差は、図9A図9Bおよび図10の実施形態に対して最も高く、XおよびY軸について32~45mV/Vの範囲であり、その場合、名目上信号範囲の40%は、このように、クロストーク(すなわち、(45~32)/32=40%)である。図3図4および図5の実施形態は、XおよびY軸について16~20mV/Vの範囲の軸外れクロストーク誤差を有し、この場合、名目上信号範囲の25%は、このように、クロストーク(すなわち、(20~16)/16=25%)であり、ある程度の改良がなされている。軸外れクロストーク誤差は、図12A図12Bおよび図13A図13Fの実施形態に対して最も低く、XおよびY軸について15~16mV/Vの範囲であり、この場合、名目上信号範囲の7%は、このように、クロストーク(すなわち、(16~15)/15=7%)である。
【0128】
図14Dは、図3図4および図5に示される実施形態、図9A図9Bおよび図10に示される実施形態、並びに図12A図12Bおよび図13A図13Fに示される実施形態において、スタイラス位置検出部(SPDP)の変位が0mmから2mmの間で変化する際の、共振送信機周波数の変化の例を示す。0mmの変位では、共振周波数が様々な実施形態に対して同じである。2mmのSPDP変位における共振周波数変化(RFC)は、図9A図9Bおよび図10の実施形態(図14DにおいてSPDP1011とラベル付けされている)において最大であり、図12A図12Bおよび図13A図13Fの実施形態(図14DにおいてSPDP1311とラベル付けされている)において最小である。図3図4および図5の実施形態(図14DにおいてSPDP411とラベル付けされている)は、図12A図12Bおよび図13A図13Fの実施形態のRFCよりもわずかに大きいが、図9A図9Bおよび図10の実施形態のRFCよりも著しく小さいRFCを有する。図から分かるように、図12A図12Bおよび図13A図13Fの実施形態は、Z軸に沿った変位が変化することにつれて、インダクタンスの変化が少なく、その結果、軸外れクロストークが最小となることに加えて、ディスラプター位置で小さなRFCとなる。
【0129】
様々な実施形態では、特に単一基板の実施形態では、層間コイルレジストレーション誤差など、プリント回路基板(PCB)の製造公差に起因して、少なくともいくつかの信号オフセット誤差が発生することがある。例えば、場生成コイル構成体と回転検出コイル構成体(RSC)間のミスアライメントは、基板の製造公差により発生する可能性がある。本明細書で開示される原理によれば、1つまたは複数のミスアライメント補償要素は、互いに対するコイル(例えば、第1、第2、および/または中央基板部のコイル構成体のコイルなど)のミスアライメントを補償するためにコイル基板構成体に付加されてもよい。より具体的には以下でより詳細に説明するように、様々な実施形態ではコイル基板構成体の少なくとも1つのコイルのミスアライメントから生じる信号オフセットを低減するように1つまたは複数のミスアライメント補償要素を構成/利用することができる(例えば、コイル基板構成体はコイルが配置される複数の層を有するプリント回路基板を備え、少なくとも1つのコイルのミスアライメントは製造工程の一部としての層間レジストレーションにおいて、製造公差内などのようなレジストレーション誤差から生じてもよい)。
【0130】
図15A図15Cは、場生成コイル構成体(例えば、図12Bの場生成コイル1261Tおよび1261B)と回転検出コイル(回転検出コイル構成体)(例えば、図12BのTRSC1~TRSC4およびBRSC1~BRSC4)との間のレジストレーション誤差の影響を低減するために付加される遮蔽の形態をミスアライメント補償要素がとる実施形態を示す。図15Aは、銅パッドが場生成コイル(例えば、図12Bの場生成コイル1261Tおよび1261B)に付加される内部遮蔽と、銅パッドがその遮蔽された場生成コイル1261'の外部に配置される外部遮蔽1263と、を図示する。図15Bは、スタイラス位置検出部の中心軸(例えば、図13Aの中心軸CA)に対する、回転検出コイル(回転検出コイル構成体)RSC(例えば、TRSC1~TRSC4またはBRSC1~BRSC4)を有する遮蔽された場生成コイル1261'および外部遮蔽1263の整合を図示する上面図である。図示するように、銅パッドは、回転検出コイルRSCの内側ループの領域に概ね合致するようにその遮蔽された場生成コイル1261'の領域を広げるために場生成コイル1261に付加されている。そして、外部遮蔽1263の銅パッドは、回転検出コイルRSCの外側ループの領域に概ね合致するように成形および配置される。
【0131】
図15Cには、コイル基板構成体1590の層の例示的な実施形態が示されている。図示されるように、コイル基板構成体1590は、上部コイル基板部1590Tおよび下部コイル基板部1590Bを備える。上部コイル基板部1590Tは順に、上部軸方向検出コイル構成体TASCCを有する第1の層と、少なくとも第1の遮蔽された上部場生成コイル構成体1261T'および外部遮蔽1263Tを有する第2の層と、N個の上部回転検出コイルTRSCを有する第3の層と、上部正規化コイル構成体TRを有する第4の層と、を備える。下部コイル基板部1590Bは、概して、上部コイル基板部1590Tの鏡映であり、下部正規化コイル構成体BRを有する第1の層と、N個の下部回転検出コイルBRSCを有する第2の層と、少なくとも第1の遮蔽された下部場生成コイル構成体1261B'および外部遮蔽1263Bを有する第3の層と、下部軸方向検出コイル構成体BASCCを有する第4の層と、を備える。
【0132】
一部の実施形態は外部遮蔽(例えば、外部遮蔽1263)を採用せずに、内部遮蔽(例えば、遮蔽された場生成コイル1261')を採用してもよく、一部の実施形態は内部遮蔽(例えば、遮蔽された場生成コイル1261')を採用せずに、外部遮蔽(例えば、外部遮蔽1263)を採用してもよく、一部の実施形態は内部遮蔽(例えば、遮蔽された場生成コイル1261')および外部遮蔽(例えば、外部遮蔽1263)の両方を採用してもよい。遮蔽1261'、1263は、生成される場を、回転検出コイルの端部で、より小さくかつ均一にし、場生成コイルと回転検出コイルとの間のレジストレーション誤差の影響を低減する。以下の表に示すように、内側遮蔽および外部遮蔽を行うことで、利得を5%の低減のみにし、77%のオフセットの低減を容易に行うことができる。
【0133】
【表1】
【0134】
図12Bを参照すると、図16は、補償オフセット信号を導入することによって信号オフセット誤差を補償するために、ピン1298の形をした(例えば、様々な実施形態では、ピン、パッドなどを備えてもよい)ミスアライメント補償要素がコイル基板構成体に付加されるスタイラス位置検出部1211'の例示的な実施形態を図示する。様々な実施形態では、ピンは、コイル基板構成体全体を通って、またはその一部のみを通って延在することができ、またはコイル基板構成体の1層に配置されてもよい。図示のように、1つまたは複数のピンは、中心軸(例えば、図13Aを参照)を含む平面に対してコイル基板構成体1290'の片側に配置された複数のピンを含むことができる。そして、ピンは、中心軸にほぼ並行であり、場生成コイル構成体に対する1つまたは複数の回転検出コイルのミスアライメントを補償する。より具体的には、様々な実施形態では、ピンの配置は、コイルのミスアライメントを補償するように、個々のコイルを通る磁場を増減させるために利用されてもよい。
【0135】
図12Bを参照すると、図17Aは、スタイラス位置検出部1211''の例示的な実施形態を示し、ここで、機械的な調整機構1297は、コイル基板構成体1290''および/またはディスラプター構成体1250の相対位置(例えば、コイル基板構成体1290''またはディスラプター構成体1250の、互いに対するおよび/またはコイル基板構成体1290''のハウジング/囲いに対する相対X、Yおよび/またはZ位置など)を調整するために使用される。様々な実施形態では、コイル基板構成体1290''は、調整可能な位置決め範囲とするために、付加の間隔(例えば、端部および/または中央部などに)を含むことができる。機械的な調整機構1297は、ミスアライメント条件を低減するために利用されてもよいことが理解されよう。例示的な実施形態では、ミスアライメントに対する全体的な補正は、機械的な調整機構1297によって提供された位置微調整で、1つまたは複数の他のミスアライメント補償要素(例えば、図16のパッドまたはピン1298、図15A図15Cの遮蔽1261'(遮蔽された場生成コイル1261')、1263、図18A図18Cの調整可能なコイルTASCC'(以下に説明する)など、および/またはそれらの様々な組合せ)を使用して提供されてもよく、任意の残留ミスアライメント誤差を低減し、または他のミスアライメント補償要素の有効性を改善する。
【0136】
図示されるように、機械的な位置調整機構1297は、セットスクリュー1297A、1297Bを備える。1つの第1のセットスクリュー1297A(または複数の第1のセットスクリュー1297A)は、コイル基板構成体1290''の相対的なXY位置の調整を容易にし、第2のセットスクリュー1297Bは、コイル基板構成体1290''に対してディスラプター構成体1250のZ位置の調整を容易にする。種々の実施形態では、(複数の)セットスクリュー1297Aは、コイル基板構成体1290''が取り付けられている、さもなければその他の方法で結合されている位置合わせおよび搭載部1217の位置を貫通し、調整する。(例えば、図4のフレーム408のような本体フレームの一部となる、あるいは結合される)囲い1208'は、コイル基板構成体1290''を囲み、相対的な動きに関連して動作するスペーサSPを備える。上述のように(例えば、図12Aに関して)、ディスラプター要素1251は、コイル基板構成体1290''の孔1291内を移動し、移動部材1212の上部(例えば、図3および図4の移動部材412と同様)を備える結合構成体1253によってスタイラス懸架部(例えば、図2図4の懸架部307/407/407'を参照)に結合される。様々な実施形態では、第2のセットスクリュー1297Bは、結合構成体1253の一部として含まれてもよく、または結合構成体1253と連動して動作してもよく、したがって、結合構成体1253が少なくとも部分的に調整可能であってもよい。そのために、上述のように、第2のセットスクリュー1297Bは、コイル基板構成体1290''に対するディスラプター要素1251のZ位置の調整を容易にする。
【0137】
図4を参照すると、図17Bは、機械的な調整機構597がコイル基板構成体590''および/またはディスラプター構成体550の相対位置(例えば、互いおよび/またはコイル基板構成体590''のハウジング/囲いなどに対するコイル基板構成体590''またはディスラプター構成体550の相対的なX、Yおよび/またはZ位置)を調整するために使用されるスタイラス位置検出部511''の例示的な実施形態を示している。様々な実施形態では、(例えば、基板571T、571B、および場生成コイル561および/またはその基板を備える)コイル基板構成体590''は調整可能な位置決め範囲とするために、付加の間隔(例えば、端部および/または中心部など)を含むことができる。機械的な調整機構597は、図17Aに関して上述した動作と同様に、ミスアライメント条件を低減するために利用されてもよいことが理解されよう。
【0138】
図示されるように、機械的な位置調整機構597は、セットスクリュー597A、597Bを備える。1つの第1のセットスクリュー597A(または複数の第1のセットスクリュー597A)は、コイル基板構成体590''の相対的なXY位置の調整を容易にし、第2のセットスクリュー597Bは、コイル基板構成体590''に対してディスラプター構成体550のZ位置の調整を容易にする。種々の実施形態では、(複数の)セットスクリュー597Aは、コイル基板構成体590''が取り付けられているか、またはその他のように結合されている位置合わせおよび搭載部517の位置を貫通し、調整する。囲い508'(例えば、図4のフレーム408のような本体フレームに結合されるか、または本体フレームの一部であってもよい)は、コイル基板構成体590''を囲み、相対的な動きに関連して動作するスペーサSPを備える。種々の実施形態では、ディスラプター要素551は、コイル基板構成体590''の孔591内(例えば、場生成コイル561およびその基板内)で移動し、移動部材412の上部を含む結合構成体553によってスタイラス懸架部(例えば、図2図4のスタイラス懸架部307/407/407'を参照)に結合される。様々な実施形態では、第2のセットスクリュー597Bは結合構成体553の一部として含まれてもよく、またはそれと連動して動作してもよい。したがって、結合構成体553は少なくとも部分的に調整可能であってもよく、そのために、上述のように、第2のセットスクリュー597Bはコイル基板構成体590''に対するディスラプター要素551のZ位置の調整を容易にする。様々な実施形態では、第2のセットスクリュー597Bの一部、移動部材412、および/または結合構成体553の他の部分は、基板571Bの孔591B内で移動することができる(例えば、いくつかの実施形態では、基板571Tは、調整を行うために第2のセットスクリュー597Bにアクセス提供ができる同様の孔591Tを含むことができる)。図17Aおよび図17Bに関して、ハッシュ線の有無にかかわらず図示される特定の構成要素は(例えば、特定の相対運動などを可能にするような)孔または開口部を備えてもよいことが理解されよう。それぞれのスタイラス位置検出部511''、1211''内のディスラプター要素551、1251のそのような相対運動の例は、スタイラス位置検出部411内のディスラプター要素451の相対運動に関する図3の図解に少なくとも部分的に基づいて理解されよう。
【0139】
図12Bを参照すると、図18A図18Cは、導電性短絡1299(例えば、ゼロオーム抵抗器)の形態のミスアライメント補償要素がミスアライメント誤差を補償するためにコイル基板構成体1290'''に付加され得る例示的な実施形態を示す。より具体的には、種々の実施形態では、導電性短絡1299は、電流経路を調整するために(例えば、図18Bおよび図18Cに示されるような位置などに)付加され、コイル基板構成体1290'''の1つまたは複数の調整可能なコイルのコイル寸法を本質的に調節し、それによって、一定の決定されたオフセットを効果的にゼロまたは他の方法で補償することができる。様々な実施形態では、調整可能なコイルは、コイル基板構成体1290'''の上部および/または下部の(例えば、図18Aの軸方向検出コイル構成体TASCC'またはBASCC'に近接するか、またはその一部として)外側層にある。そのために、導電性短絡1299は、コイル基板構成体1290'''の内側層へのアクセスを必要とせずに容易に付加または除去することができる。
【0140】
種々の実施形態では、コイル基板構成体が最初に製造/生産されるとき、一定のミスアライメント補償要素(例えば、図15A図15Cの遮蔽1261'、1263)が製造/生産の一部として(例えば、コイルのあらゆるミスアライメントに起因して生じ得るあらゆるミスアライメント誤差を低減するための一般的な技術として)含まれてもよい。様々な実施形態では、コイル基板構成体が製造/生産された後、(例えば、製造/生産中に生じた可能性のあるコイルのミスアライメントに起因する)どのようなオフセットが存在するのかを判断するために、測定および/または試験が行われてもよい。そのような試験/測定に基づいて、(例えば、図16図17A図17B、および図18A図18Cに関して上述したもののような)1つまたは複数のオフセット補償手法の適用に関して、特定の決定を行うことができる。例えば、図16図18B、および図18Cの手法に関して、そのような試験/測定に基づいて、オフセットを補償し、所望のオフセット補償された構成体を達成するために、ミスアライメント補償要素(例えば、ピン、導電性短絡など)がどこに配置され/位置され/付加されるべきかに関する決定を行うことができる。別の例として、図17Aおよび図17Bの手法に関して、そのような試験/測定(例えば、最初に、および/または、図16図18B、および図18Cのような手法がより大きな調整を行うために実行され、そして、図17Aおよび図17Bの手法がより細かい調整を行うために実行された後に、実行されてもよい)に基づいて、オフセット(例えば、残りのオフセット)を補償し、所望のオフセット補償された構成体を達成するために、1つまたは複数の調整のうちの何をおよび/またはどれだけを行うべきかについて決定を行うことができる。様々な実施形態では、1つまたは複数の補正手法の多重反復(例えば、任意の指示されたオフセットの反復試験および/または能動的なモニタリングなどを含む)を実行することができ、これには所望のオフセット補償された構成体(例えば、それぞれのオフセット誤差が許容可能な水準まで低減された構成など)が達成されるまで調整を継続することが含まれる。
【0141】
図15A図15C図16図17A、および図18A図18Cは、図12Bおよび図13Aを参照して一般的に説明されてきたが、図3図4、および図5、ならびに図9A図9B、および図10に関して上述した実施形態のような他の実施形態に、オフセット誤差を補償し、低減/解決するために本明細書で説明する手法を使用することができる。
【0142】
様々な実施形態では、スタイラス位置検出部の構成要素間のクロストークに起因して、少なくともいくつかの信号エラーが発生することがある。いくつかの実施形態では、クロストークは、システムの1つの回路、チャンネルあるいは構成要素によって、またはそれらにおいて生成される信号または場が、システムの別の回路、チャンネルあるいは構成要素において望ましくない影響を生じる場合を参照し得る。このようなクロストークは、1つの回路、チャンネルあるいは構成要素からの望ましくない結合(例えば、容量性、誘導性、導電性など)によって、もう1つの回路、チャンネルあるいは構成要素に引き起こされ得る。例えば、本明細書で説明されるような走査プローブの特定の構成に関して、クロストークは、場生成コイル構成体(それへの結合を含む)、検出コイル構成体、および/またはディスラプター構成体のいずれかの間で生じ得る。本明細書で開示される原理によれば、以下でより詳細に論じられるように、1つまたは複数の場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRCは、スタイラス位置検出部の様々な構成要素間のクロストークの低減を容易にしながら、信号処理および制御回路(たとえば、図4の信号処理および制御回路480、図6の信号処理および制御回路680など)を場生成コイル構成体に結合してコイル駆動信号を提供する。場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRCは、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体を使用せずに場生成コイル構成体を信号処理および制御回路に直結した場合に発生するのであろうクロストークを低減するように構成されている。
【0143】
以下でより詳細に説明するように、図19図24は、本明細書で開示される原理による様々な実施形態の例を示す。このような原理は、図3図18に関して上述したスタイラス位置検出部411、511、511'、911、1011、1111、1211、1211'、1211''および1311のような、スタイラス位置検出部および関連する電子機器の様々な構成およびタイプとともに利用できることが理解されよう。さらに、そのような原理は、そのようなスタイラス位置検出部の様々な構成要素の他の構成および/または組み合わせとともに利用されてもよい。
【0144】
特に、図19図24は、誘導性検出原理を使用し、コイル基板構成体1990およびディスラプター構成体1950を備えるスタイラス位置検出部1911の様々な実施形態を示す。図示されるようなコイル基板構成体1990の場生成コイル基板部1990M(例えば、図22~24において)は、2巻き(2ターン)を有するマルチターン場生成コイル1961を有する場生成コイル構成体1960を備え、2つの対応する場生成コイル部1961Bおよび1961Tは、中心軸に沿ってディスラプター移動ボリュームの中央平面からほぼ等距離に配置され、名目上、平面であり、中心軸に対して直交する。場生成コイル部は、1つまたは複数のビアによって一緒に結合されていてもよい。コイル基板構成体1990は、コイルが配置される1つまたは複数の層を各々が有する1つまたは複数のPCBを備えてもよい。例えば、コイル基板構成体1990は、場生成コイル561を有する場生成コイル構成体560に加えて、平面状の上部コイル基板571Tおよび平面状の下部コイル基板571Bを備える受信コイル部570を備える、図4のマルチボードコイル基板構成体と同様の構成を有してもよい。別の例では、コイル基板構成体1990は、図9のコイル基板構成体990に類似した構成を有してもよい。
【0145】
図示されるようなディスラプター構成体1950のディスラプター要素1951は、単一の丸い平面状ディスラプター要素である。ディスラプター構成体1950は、図5のディスラプター構成体550、図9のディスラプター構成体950、または図12Aおよび図12Bのディスラプター構成体1250と似た構成のように、別の構成を有してもよい。スタイラス位置検出部1911は、典型的には、受信コイル部(例えば、図5の受信コイル部570を参照;図9の受信コイル部970、図12Bの受信コイル部1270など)のような、図を単純化するために図19から図24で省略される他の構成要素を備える。
【0146】
図19図24において、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-1~CCRC-6は、上述のように、スタイラス位置検出部1911の種々の構成要素間のクロストークの低減を容易にする場生成コイル構成体1960に信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480;図6の信号処理および制御回路680など)を結合する。場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-1~CCRC-6によって低減されたクロストークは、例えば、場生成コイル構成体1960と、それへの様々な接続と、ディスラプター構成体1950のディスラプター要素1951、軸方向検出コイル(図19図24には図示せず、図5図6および図12BのTASCCおよびBASCCを参照)、回転検出コイル(図19図24には図示せず、図5図6および図12のTRSC1-4およびBRSC1-4を参照)、および正規化コイル(図19図24には図示せず、図12BのTRおよびBRを参照)のような、スタイラス位置検出部1911の様々な他の構成要素との間のクロストークを含んでもよい。
【0147】
図19は、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-1が導電性結合部CCP-1および導電性遮蔽CSD-1を備える実施形態を示す。導電性結合部CCP-1は、導電体CON-1961BおよびCON-1961Tを備え、これらは導電性結合部CCP-1のフレキシブルケーブル1964を介して信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480等)に戻って結合する。導電性遮蔽CSD-1は、導電体CON-1961BおよびCON-1961Tの少なくとも一部に近接して(例えば、被覆して)いるものとして示されている(導電性遮蔽CSD-1は、遮蔽されている導電体CON-1961Bの部分を示すために透明として示されているが、典型的には透明でなくてもよい)。フレキシブルケーブル1964が図19に示されているが、他のタイプのワイヤ、ケーブル、ファイバなど、またはそれらの様々な組合せを、導電性結合部CCP-1の一部として使用することができる。キャパシタC2は、導電体CON-1961BとCON-1961Tとの間に結合されるように図示されている(例えば、図21図24に関してより詳細に後述するように、キャパシタC2は、導電体CON-1961BおよびCON-1961Tが結合する2つのビアの間に結合されてもよく、いくつかの実施形態では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体の一部として、平行キャパシタ構成体PCCの一部および/または三電流支部構成体TCBの一部であってもよい)。
【0148】
以下では、信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480など)と場生成コイル1961(すなわち、場生成コイル部1961Bおよび1961Tを備える)との間に流れる電流に対する電流経路(例えば、AC電流については両方向に流れてもよいが、以下の例の簡略化のために、単一方向に関連して記載される)について説明する。以下の実施例に対するような電流経路は、図21図24により詳細に例示されることに留意されたい。矢印は、説明される実施例に関連する電流の流れの方向を説明するために、図19図24に提供される。AC電流に関して、例示的な電流の流れの方向(すなわち、1つの例示的な方向)は、実施形態および説明のいずれにおいても逆にできることが理解されよう(例えば、図19および図20は電流の流れの第1の方向に関して示され、一方、図21は電流の流れの第2の方向に関して示されるが、その方向は例のいずれにおいても逆とされていることが理解されよう)。
【0149】
図19(および図20も)の一部に図示されるように、信号処理および制御回路から場生成コイル1961に例示的な方向に流れる電流については、導電体CON-1961Tは、(例えば、図21図24に関して以下により詳細に説明されるように、場生成コイル1961の場生成コイル部1961Tに結合されてもよいビアを介して、)キャパシタC2の1つの側面に結合され、したがって、それが、それらの構成要素を通る電流経路に対応する。場生成コイル1961から信号処理および制御回路への例示的な方向の復路に沿って流れる電流のために、キャパシタC2の他方の側面は、(例えば、図21図24に関して以下により詳細に説明されるように、場生成コイル1961の場生成コイル部1961Bに結合されてもよいビアを介して、)導電体CON-1961Bに結合され、したがって、それが、それらの構成要素を通る電流経路に対応する。
【0150】
導電性遮蔽CSD-1は、(例えば、図21図24に関して以下により詳細に説明されるように、場生成コイル部1961Bおよび1961Tを含む)場生成コイル1961に近接する導電体CON-1961BおよびCON-1961Tの少なくとも一部に近接する(例えば、被覆する)ものとして示される。導電性遮蔽CSD-1は、(例えば、場生成コイル1961およびディスラプター要素1951に近接する少なくとも一部を備える)導電体CON-1961BおよびCON-1961Tの少なくとも一部に近接する(例えば、上および/または下などを被覆する)(例えば、狭い銅パッド、スリーブ、または鏡映導電性パッドなどを備える)導電性遮蔽部を備えてもよい。
【0151】
導電性遮蔽CSD-1が図19の構成に含まれていなかった場合、特定の種類のクロストークが発生し得る(例えば、回転検出コイル信号に誤差を導入し得るなど)ことが理解されよう。例えば、1つのタイプのクロストークとして、導電体CON-1961B、CON-1961T、およびディスラプター要素1951(例えば、スケール要素として参照され得る)の間の結合により、ケーブル結合ディスラプター(スケール)電流CCScSが発生し得る。このようなクロストークは主にディスラプター要素1951の1つの側面で名目上ディスラプター電流NScCに影響を及ぼすことがあり、結合の影響がディスラプター要素1951の異なる側面で異なっていることから、ディスラプター要素1951が回転検出コイル信号に誤差を導入することがある(図19には示されていない、図5図6、および図12のTRSC1-4およびBRSC1-4を参照されたい)。より具体的には、様々な実施形態では、影響は、導電体CON-1961B、CON-1961Tに最も近い(例えば、近接している)ディスラプター要素1951の側面で最大になり得る。導電性遮蔽CSD-1は、導電体CON-1961B、CON-1961T、およびディスラプター構成体1950のディスラプター要素1951の間のそのような結合を低減し、したがって、それから生じるクロストークを低減する(例えば、そうでなければ、ディスラプター要素1951が回転検出コイルからの信号のクロストーク誤差をもたらす可能性がある)。様々な実施態様では、導電性遮蔽CSD-1は、それ自身、X-Y方向に比較的小さなオフセットを導入することができ、これは、いくつかの構成では、図20に関して以下でより詳細に説明するように、鏡映遮蔽構成体によって低減/打ち消すことができる。
【0152】
図20は、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-2が導電性結合部CCP-2、導電性遮蔽CSD-2、ミラースタブ導電性結合部CCP-2M、およびミラースタブ導電性遮蔽CSD-2Mを備える実施形態を示す。導電性結合部CCP-2は、導電体CON-1961BおよびCON-1961Tを備え、これらは、導電性結合部CCP-2のフレキシブルケーブル1964を介して信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480等)に戻って結合する。導電性遮蔽CSD―2は、(例えば、図21図24に関して以下により詳細に説明されるように、場生成コイル部1961Bおよび1961Tを備える)場生成コイル1961に近接する導電体CON-1961BおよびCON-1961Tの少なくとも一部に近接している(例えば、被覆する)ものとして示される。導電性遮蔽CSD-2は、(例えば、場生成コイル1961およびディスラプター要素1951に近接する少なくとも一部を備える)導電体CON-1961BおよびCON-1961Tの少なくとも一部に近接する(例えば、上および/または下などを覆う)(例えば、狭い銅パッド、スリーブ、または鏡映導電性パッドなどを備える)導電性遮蔽部を備えてもよい。図示を容易にするために、導電性遮蔽CSD-2は、導電体CON-1961BおよびCON-1961Tに関して透明として示されている。
【0153】
図19に図示される導電性遮蔽CSD-1と比較して、図20の導電性遮蔽CSD-2のサイズがより大きいことで、ディスラプター構成体1950と場生成コイル構成体1960に関連する結合との間の遮蔽を追加でき、かつ対応する結合を低減でき、したがって、(例えば、回転検出コイル構成体内の信号に望ましくない影響などを及ぼし得るような)クロストークを低減している。種々の実施形態では、図19の構成と比較して、結合に対しての図20のより大きな導電性遮蔽CSD-2によって提供される増大した低減により、(例えば、X-Y方向における)より大きなオフセットを導入する費用を潜在的に生じさせる可能性があるが、与えられた用途のための遮蔽サイズを選択する際に、そのような要因を考慮して、均衡させることができる。
【0154】
導電性遮蔽CSD-2によって導入されるのであろういかなるオフセットも、主にスタイラス位置検出部1911の1つの側面に関連づけられよう。このオフセットを低減するために、ミラースタブ導電性遮蔽CSD-2Mは、導電性遮蔽CSD-2を鏡映する(例えば、導電性遮蔽CSD-2からスタイラス位置検出部1911の反対側にある)ように構成される。さらに、オフセットをさらに低減するために、ミラースタブ導電性結合部CCP-2Mは、導電性結合部CCP-2を鏡映する(例えば、スタイラス位置検出部1911の反対側にある)ように構成される。
【0155】
ミラースタブ導電性遮蔽CSD-2Mは中心軸に対して第2の位置にあり、第1の導電性遮蔽CSD-2は中心軸に対して第1の位置にあり、そのために、第1の位置および第2の位置は中心軸に関して対称である(例えば、Z方向に直交する平面内でスタイラス位置検出部1911の反対側にある)。同様に、ミラースタブ導電性結合部CCP-2Mは中心軸に対して第2の位置にあり、第1の導電性結合部CCP-2は中心軸に対して第1の位置にあり、そのために、第1の位置および第2の位置が中心軸に関して対称である (例えば、Z方向に直交する平面内でスタイラス位置検出部1911の反対側にある)。ミラースタブ導電性結合部CCP-2Mおよびミラースタブ導電性遮蔽CSD-2M、ならびに対称配置は、導電性結合部CCP-2および導電性遮蔽CSD-2によって導入されるオフセットを少なくとも部分的に補償する。
【0156】
また、図20に示される実施形態は、ミラースタブ導電性結合部CCP-2Mに近接し、場生成コイル1961の場生成コイル部1961Bおよび1961Tと直列に結合された第1のキャパシタC1と、場生成コイル構成体1960に近接し、(例えば、図21図24に関して以下により詳細に説明されるように、導電体CON-1961BおよびCON-1961Tが結合される2つのビアの間で結合される)導電体CON-1961BおよびCON-1961Tの間に結合された第2のキャパシタC2と、を備える。したがって、第2のキャパシタC2は、信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480;図6の信号処理および制御回路680など)と並列である。第1のキャパシタC1および第2のキャパシタC2は、中心軸に対して互いに対称に、かつ、場生成コイル基板部1990Mの上部上またはその中に、あるいはその下部上またはその中にといったように、場生成コイル基板部1990Mの一部の上またはその中に配置されてもよい。例えば、場生成コイル1961によって定義される場生成コイル平面FGCP(例えば、図21図24参照)を参照すると、種々の実施形態において、第1のキャパシタC1および第2のキャパシタC2は、場生成コイル平面の上方または下方に配置されてもよい。
【0157】
種々の実施形態において、キャパシタC1およびC2は、信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480;図6の信号処理および制御回路680など)の特性を整合させ、(例えば、場生成コイル1961および導電性結合部CCP-2を備える共振ループRLの)LC共振周波数を設定する構成において、場生成コイル1961のインピーダンスの少なくとも一部を決定する。様々な実施形態において、共振ループRLの主たる目的の1つは、(例えば、コイル駆動信号のための+/-2.5Vのドライバ電圧を有し、場生成コイル1961上で>+/-5Vを達成するなど、電圧のための電気変圧器に類似して機能し得るように)信号振幅を増大させることである。また、共振ループRLは、検出コイルへの雑音結合を低減するなど、特定のフィルタ機能を達成することができる。
【0158】
種々の実施形態において、場生成コイル1961によって定義される場生成コイル平面FGCPの1つの側面に第1のキャパシタC1および第2のキャパシタC2を配置することは、クロストーク、したがって(例えば、図19図24には示されていない軸方向検出コイルによる、図5図6および図12BのTASCCおよびBASCCを参照のこと)生成された信号の誤差を導入し得る軸方向において、ある不均衡(例えば、電磁場など)を導入し得る。特定の実施形態においては、場生成コイル平面FGCPの1つの側面にキャパシタC2を配置することによって導入される信号エラーは、場生成コイル平面FGCPの1つの側面にキャパシタC1を配置することによって導入される信号エラーよりも大きくなり得る。このような潜在的信号エラーを低減するために、(例えば、図21図24に関して以下により詳細に説明するような)種々の実施形態において、キャパシタC1およびC2の一方または両方(例えば、好ましくは、特定の実施形態において少なくともキャパシタC2を備える)が(例えば、場生成コイル平面FGCPの反対側に対応する追加キャパシタを有する)平行キャパシタ構成体PCCの一部および/または三電流支部構成体TCBの一部であるように作製されてもよい。
【0159】
図21において、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-3は、導電体CON-1961BおよびCON-1961Tを備える導電性結合部CCP-3を備え、これらは、導電性結合部CCP-3のフレキシブルケーブル1964を介して信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480等)に戻るように結合する。図20に示すように、場生成コイル部1961Bおよび1961Tへの接続部を横切って結合された単一のキャパシタC2の代わりに、図21の場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-3は、一対のキャパシタC2U、C2Lを有する平行キャパシタ構成体PCCを備える。キャパシタC2Uは場生成コイル平面FGCPを基準にして上側に配置され、キャパシタC2Lは場生成コイル平面FGCPを基準にして下側に配置される。
【0160】
概念的には、図21の鏡映キャパシタ構成体(例えば、キャパシタC2UをミラーリングするキャパシタC2Lを含む)は、回路/構成要素/信号の軸方向および/または他の対称性を改善するのに役立つことに留意されたい。より具体的には、単一のキャパシタC2がちょうど(例えば、場生成コイル平面FGCPの)1つの側面にある場合、そうでなければ、(例えば、軸方向に沿った)構成体は、(例えば、場生成コイル平面FGCPに対して)多少アンバランス/非対称となる可能性があり、これは(例えば、単一のキャパシタの方向で)信号のより高いクロストークおよび/または信号の他のアンバランスに対応する可能性がある。そのような問題は、対応する効果が少なくとも部分的に自己相殺し、かつ/または、そうでなければよりバランスされ得る(例えば、図5図6、および図12BのTASCCおよびBASCCなどのような、上部検出コイルおよび下部検出コイルに対してである。そうでなければアンバランスな信号は、ディスラプター要素/スタイラス懸架部/スタイラスなどのための不正確な位置決定をもたらす可能性がある)鏡映された構成の(例えば、場生成コイル平面FGCPの)いずれかの側面に対称的なキャパシタを有することによって低減され得る。そのようなバランス/対称的なコイル信号が差動構成で処理される場合、そのようなバランス/対称的なコイル信号のある部分は効果的に自己相殺し得ることが理解されよう。図21は、図20に示す単一のキャパシタC2の代わりに平行キャパシタ構成体PCCを使用することを示すが、図20のいくつかの実施形態では単一のキャパシタC1の代わりに同様の並列キャパシタ構成体を使用することもできる。
【0161】
以下では、信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480など)と場生成コイル1961(すなわち、場生成コイル部1961Bおよび1961Tを備える)との間に流れる電流に対する電流経路(例えば、AC電流が両方向に流れてもよいが、以下の例の簡略化のために、単一方向に関連して記載される)について説明する。図21には、以下の記載に沿って電流の流れの向きを示す矢印が提供されている。以下に説明する結合は、図22図24により詳細に示されていることに留意されたい。図21に部分的に示されるように、信号処理および制御回路から場生成コイル1961への例示の方向に流れる電流については、導電体CON-1961BはビアVIA-Aに結合され、したがって、それはそれらの構成要素を通る電流経路に対応する。場生成コイル1961から信号処理および制御回路への例示の方向における戻り路に沿って流れる電流については、ビアVIA-Bは導電体CON-1961Tに結合され、従って、それはそれらの構成要素を通る電流経路に対応する。
【0162】
図21において、(すなわち、キャパシタC2UおよびC2Lを備える)平行キャパシタ構成体PCCを通って例示の方向に流れる電流に対して、キャパシタC2UはビアVIA-AおよびVIA-Bの上部の間で結合され、キャパシタC2LはビアVIA-AおよびVIA-Bの下部の間で結合される。それらは、それらの一連の構成要素を通る電流経路に対応する。より具体的には、導電体CON-1961Bからの電流の一部は、ビアVIA-Aの上部を通って上方に流れ、キャパシタC2Uを通って下方に流れ、ビアVIA-Bの上部を通って下方に流れ、導電体CON-1961Tを通って外に流出する。そして、導電体CON-1961Bからの電流の一部は、ビアVIA-Aの下部を通ってキャパシタC2Lを通って下方に流れ、ビアVIA-Bの下部を通って上方に流れ、導電体CON-1961Tを通って外に流出する。種々の実施形態において、キャパシタC2Uは上支部UBの一部であってもよく、キャパシタC2Lは場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-3の下支部LBの一部であってもよい。種々の実施形態において、上支部UBおよび下支部LBのそれぞれを通る、それに対応してキャパシタC2UおよびC2Lのそれぞれを通る電流の流れは、ほぼ等しくてもよい(例えば、したがって、図5図6および図12BのTASCCおよびBASCCなどのような、上部検出コイルおよび下部検出コイルに関するような、磁場/電磁場に対するバランスの取れた効果をもたらし、そのため、バランスされた/対称的なコイル信号は差動構成で処理される場合に、効果的に自己相殺され得る)。
【0163】
キャパシタC2Lが図21から省略された場合に、電流は場生成コイル平面FGCPより上のキャパシタC2Uを通って流れるであろうが、対応する電流は場生成コイル平面FGCPより下に流れない。そのような構成は、場生成コイル平面FGCPに関連して、(例えば、磁場において)比較的バランスされない効果をもたらし、したがって、軸方向検出コイルによって生成された信号内に(例えば、キャパシタC2Uを通る電流の効果に対応するクロストークからの)クロストーク誤差をもたらす可能性がある。キャパシタC2Uを有する平行キャパシタ構成体PCCの一部としてキャパシタC2Lを備えることによって、同様の電流が、場生成コイル平面FGCPの上下のほぼ等しい距離および同様の相対位置(例えば、同様または同一のX、Y座標を有する)で生じるようにする。そのような(例えば、場生成コイル平面FGCPに対して)バランスされた構成体は、(例えば、軸方向検出コイル内で生成された信号から生じるような)決定された位置信号に生じる可能性のある誤差(例えば、クロストーク誤差)を低減するのに役立つ。
【0164】
図22において、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-4は、信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480など)を場生成コイル構成体1960の(すなわち、場生成コイル部1961Bおよび1961Tを備える)場生成コイル1961に結合する。図22の例では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-4は、ビアVIA-A、VIA-BおよびVIA-C、(例えば、平行キャパシタ構成体PCCの一部として)キャパシタC2UおよびC2L、導電性遮蔽CSD、ならびに導電体CON-1961BおよびCON-1961Tを備える。
【0165】
図22において、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-4の一部として、(例えば、導電性結合部CCP-4の一部として)導電体CON-1961BおよびCON-1961Tは、信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480等)に戻って結合し、そのため、導電性遮蔽CSDは、導電体CON-1961BおよびCON-1961Tの少なくとも一部に近接して(例えば、被覆して)いるように図示されている。特に、導電性遮蔽CSDは、(すなわち、場生成コイル部1961Bおよび1961Tを備える)場生成コイル1961に近接している導電体CON-1961BおよびCON-1961Tの少なくとも一部に近接している(例えば、被覆している)ように図示されている。図19の記載において上述したように、様々な実施形態において、導電性遮蔽CSD-1は、(例えば、場生成コイル1961およびディスラプター要素1951に近接する少なくとも一部を備える)導電体CON-1961BおよびCON-1961Tの少なくとも一部に近接する(例えば、上および/または下などを覆う)(例えば、狭い銅パッド、スリーブ、または鏡映導電性パッドなどを備える)導電性遮蔽部を備えてもよい。
【0166】
図19の記載においてさらに上述したように、導電性遮蔽CSDが図22の構成に含まれなかった場合に、構成の丁度1つの側面に近接して取り付けられる導電体CON-1961BおよびCON-1961Tは、主に構成の1つの側面に存在する効果(例えば、電磁場効果)を生じさせ、これが検出コイル(例えば、図5図6および図12等のTRSC1-4およびBRSC1-4を参照)によって検出される電磁場および対応する信号のアンバランスさを招く。導電体CON-1961BおよびCON-1961Tに近接する導電性遮蔽CSDを備えることにより、1つの側面でのそのような効果を減少させるのに役立ち、したがって、信号の総合的な対称性を向上させる(すなわち、1つの側面でのクロストーク効果を減少させる)。例えば、ディスラプター要素1951(例えば、図19を参照)に関連して、様々な実施形態において、その影響は、導電体CON-1961B、CON-1961Tに最も近く(例えば、近接し)、かつ、したがって、それに対する最大の結合量を有する、ディスラプター要素1951の側面で最大であり得る。導電性遮蔽CSDは、導電体CON-1961B、CON-1961Tと、ディスラプター構成体1950のディスラプター要素1951と、の間のそのような結合(例えば、磁場結合)を低減し、したがって、それから生じるクロストークを低減する(例えば、そうでなければ、それは、回転検出コイルからの信号のクロストーク誤差などをもたらす可能性がある)。
【0167】
以下では、信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480など)と(すなわち、場生成コイル部1961Bおよび1961Tを備える)場生成コイル1961との間に流れる電流に対する電流経路(例えば、AC電流に対しては両方向に流れてもよいが、以下の例の簡略化のために、単一方向に関連して記載される)について説明する。図22には、以下の記載に沿って電流の流れの向きを示す矢印が提供されている。信号処理および制御回路から場生成コイル1961に向かう例示の方向に流れる電流に対して、導電体CON-1961Bは、ビアVIA-Aに結合され、従ってそれはこれらの構成要素を通る電流経路に対応する。場生成コイル1961から信号処理および制御回路への例示の方向における戻り路に沿って流れる電流に対して、ビアVIA-Bは導電体CON-1961Tに結合され、従って、それはこれらの構成要素を通る電流経路に対応する。
【0168】
場生成コイル1961を通って例示の方向に流れる電流に対して、ビアVIA-Aは場生成コイル部1961Bの一端に結合され、そのため、場生成コイル部1961Bの他端はビアVIA-Cに結合されている。ビアVIA-Cは、場生成コイル部1961Tの一端に結合され、そのため、場生成コイル部1961Tの他端はビアVIA-Bに結合されている。したがって、ビアVIA-Bは、場生成コイル1961のためのその一連の構成要素を通る電流経路に対応する。より具体的には、図22に示されるような方向で、導電体CON-1961Bからの電流の一部は、ビアVIA-Aの下部を通って下方に流れ、場生成コイル部1961Bを通って時計回りに流れ、場生成コイル部1961Tを通って時計回りに流れるようにビアVIA-Cを通って上方に流れ、次いで、ビアVIA-Bの下部を通って下方に流れ、導電体CON-1961Tを通って流出する。
【0169】
加えて、図21に関して上述したように、(すなわち、キャパシタC2UおよびC2Lを備える)平行キャパシタ構成体PCCを通って例示の方向に流れる電流に対して、キャパシタC2UはビアVIA-AおよびVIA-Bの上部の間で結合され、キャパシタC2LはビアVIA-AおよびVIA-Bの下部の間で結合される。ビアVIA-AおよびVIA-Bは、それらの一連の構成要素を通る電流経路に対応する。より具体的には、導電体CON-1961Bからの電流の一部は、ビアVIA-Aの上部を通って上方に流れ、キャパシタC2Uを通って流れ、ビアVIA-Bの上部を通って下方に流れ、導電体CON-1961Tを通って外に流出する。そして、導電体CON-1961Bからの電流の一部は、ビアVIA-Aの下部を通って下方に流れ、キャパシタC2Lを通って流れ、ビアVIA-Bの下部を通って上方に流れ、導電体CON-1961Tを通って外に流出する。種々の実施形態において、キャパシタC2Uは上支部UBの一部であってもよく、キャパシタC2Lは場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-4の下支部LBの一部であってもよい。
【0170】
上述のように、種々の実施形態において、場生成コイル1961は、(例えば、導電体CON-1961BおよびCON-1961TがそれぞれビアVIA-AおよびVIA-Bと接触する同一または同様の位置であってもよく、その際、種々の実施形態において導電体CON-1961BおよびCON-1961Tの少なくとも一部が場生成コイル平面FGCP内に存在してもよく、ビアVIA-AおよびVIA-Bをほぼ二分してもよいように、場生成コイル部1961Bおよび1961Tの間の中間点に位置する)場生成コイル平面FGCPを定義する。種々の実施形態において、場生成コイル平面FGCPは、中心軸に直交しており、場生成コイル1961を通過し、そのために、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-4の上支部UB(例えば、キャパシタC2Uを備える)および下支部LB(例えば、キャパシタC2Lを備える)は、それぞれ、場生成コイル平面FGCPの上方および下方に配置される。図22の例では、上支部UBおよび下支部LBは、場生成コイル平面FGCPに関して対称であり、鏡映された電流分布構成体の一部(例えば、下支部LBを通る電流は、上支部UBを通る電流とほぼ同じであり、かつ、鏡映する)であり、並列に接続される(例えば、ビアVIA-AおよびVIA-Bのそれぞれの上部および下部を横切って並列に接続される)。
【0171】
図21を参照して先に議論したように、キャパシタC2Lが図22の構成から省略された場合に、電流は、場生成コイル平面FGCPより上のキャパシタC2Uを通って流れるが、場生成コイル平面FGCPより下に対応する電流は流れないであろう。そのような構成は、場生成コイル平面FGCPに関連して、(例えば、磁場において)比較的アンバランスな効果をもたらし、したがって、軸方向検出コイルによって生成された信号の(例えば、キャパシタC2Uを通る電流の効果に対応するクロストークからの)クロストーク誤差をもたらす可能性がある。キャパシタC2Uを有する平行キャパシタ構成体PCCの一部としてキャパシタC2Lを備えることによって、同様の電流は、場生成コイル平面FGCPの上下のほぼ等しい距離および同様の相対位置(例えば、同様または同一のX、Y座標を有する)で生じるようにしている。そのような(例えば、場生成コイル平面FGCPに対して)バランスされた構成体は、そうでなければ、(例えば、軸方向検出コイルで生成された信号から生じるような)決定された位置信号を生じ得る、あらゆる対応する誤差(例えば、クロストーク誤差)を低減するのに役立つ。
【0172】
複数の場生成コイルが利用される実施形態(例えば、図5および図6の場生成コイル561Tおよび561Bを参照)では、信号処理および制御回路に結合されるための各場生成コイル(例えば、図6の信号処理および制御回路680など)に対する結合のために、平行キャパシタ構成体PCCが提供されてもよいことが理解されよう。そのような実施形態では、各場生成コイルは、中心軸に直交し、それぞれの場生成コイルを通過するそれぞれの場生成コイル平面を定義することができ、そのため、それぞれの平行キャパシタ構成体PCCはそれぞれの場生成コイル平面の上方および下方の位置に対応する(例えば、それぞれのキャパシタを備える)上支部および下支部を備えてもよい。
【0173】
図23において、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-5は、信号処理および制御回路(例えば、図4等の信号処理および制御回路480)を(すなわち、場生成コイル部1961Tおよび1961Bを備える)場生成コイル1961に結合する。図23の例では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-5は、ビアVIA-A~VIA-E、(例えば、平行キャパシタ構成体PCCの一部として)キャパシタC2UおよびC2L、導電性遮蔽CSD、ならびに導電体CON-1961T'、CON-1961T''、CON-1961B'およびCON-DEを備える。以下でより詳細に説明するように、図22との主な違いは、図23において、ビアVIA-DおよびVIA-Eならびに導電体CON-DEがツイスト構成体TWCの一部として備えられていることである。
【0174】
図23において、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-5の一部として、(例えば、導電性結合部CCP-5の一部として)導電体CON-1961T'およびCON-1961B'は信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480等)に戻って結合し、そのため、導電性遮蔽CSDは導電体CON-1961T'およびCON-1961B'の少なくとも一部に近接して(例えば、被覆して)いるように図示されている。特に、導電性遮蔽CSDは、(すなわち、場生成コイル部1961Bおよび1961Tを備える)場生成コイル1961に近接する導電体CON-1961T'およびCON-1961B'の少なくとも一部に近接する(例えば、被覆する)ものとして示される。
【0175】
以下では、信号処理および制御回路(例えば、図2の信号処理および制御回路380など)と(すなわち、場生成コイル部1961Tおよび1961Bを備える)場生成コイル1961との間に流れる電流に対応する電流経路(例えば、AC電流に対しては両方向に流れてもよいが、以下の例の簡略化のために、単一方向に関連して記載される)について説明する。図23には、以下の記載に沿って電流の流れの向きを示す矢印が提供されている。信号処理および制御回路から場生成コイル1961に例示の方向に流れる電流に対して、導電体CON-1961T'は、ビアVIA-Dに結合され、これは導電体CON-DEによってビアVIA-Eに結合される。ビアVIA-Eは、導電体CON-1961T''によりビアVIA-Bに結合される。したがって、導電体CON-1961T'からビアVIA-Bまでの構成要素間の結合は、その一連の構成要素を通る電流経路に対応する。ビアVIA-D、ビアVIA-E、および導電体CON-DEは、以下でより詳細に説明するように、ツイスト構成体TWCの一部である。場生成コイル1961から信号処理および制御回路への例示の方向における戻り路に沿って流れる電流に対して、ビアVIA-Aは、導電体CON-1961B'に結合され、したがって、それはそれらの構成要素を通る電流経路に対応する。
【0176】
ツイスト構成体TWCは、(例えば、導電性遮蔽CSDのために本明細書にも記載されるように)構成体のちょうど1つの側面に近接しているので、さもなければ、導電体CON-1961B'およびCON-1961T'によって生成され得る効果を低減する。より具体的には、導電体CON-1961B'およびCON-1961T'は、主として構成体の1つの側面にある効果/寄与(例えば、電磁場効果/寄与)を生じ、導入されなければ、それは、検出コイル(例えば、図5図6および図12等のTRSC1-4およびBRSC1-4参照)によって検出される電磁場および対応する信号を少なくとも部分的にアンバランスにするかもしれない。(すなわち、導電体CON-1961T''およびCON-DEを含む)ツイスト構成体TWCの包含により、それぞれの方向に電流を運ぶ導電体の部分の相対位置が効果的に反転し、したがって、対応する効果および結合等が平均化するのに役立つ(例えば、効果/寄与のうちの少なくとも部分的な自己相殺をもたらす、等)。
【0177】
場生成コイル1961を通って例示の方向に流れる電流に対しては、ビアVIA-Bは場生成コイル部1961Tの一端に結合され、そのため、場生成コイル部1961Tの他の一端はビアVIA-Cに結合されている。ビアVIA-Cは場生成コイル部1961Bの一端に結合され、そのため、場生成コイル部1961Bの他の一端はビアVIA-Aに結合されている。ビアVIA-Aは、その一連の構成要素を通る電流経路に対応する。より具体的には、図23に示されるような方向では、導電体CON-1961T''からの電流の一部は、ビアVIA-Bの上部を通って上方に流れ、場生成コイル部1961Tを通って反時計回りに流れ、場生成コイル部1961Bを通って反時計回りに流れるようにビアVIA-Cを通って下方に流れ、次いで、ビアVIA-Aの下部を通って上方に流れ、導電体CON-1961B'を通って外に流出する。
【0178】
加えて、図21および図22に関して上述したように、(すなわち、キャパシタC2UおよびC2Lを備える)平行キャパシタ構成体PCCを通って例示の方向に流れる電流に対して、キャパシタC2UはビアVIA-AおよびVIA-Bの上部の間で結合され、キャパシタC2LはビアVIA-AおよびVIA-Bの下部の間で結合される。それらは、それらの一連の構成要素を通る電流経路に対応する。より具体的には、導電体CON-1961T''からの電流の一部は、ビアVIA-Bの上部を通って上方に流れ、キャパシタC2Uを通って流れ、ビアVIA-Aの上部を通って下方に流れ、導電体CON-1961B'を通って外に流出する。そして、導電体CON-1961T''からの電流の一部は、ビアVIA-Bの下部を通って下方に流れ、キャパシタC2Lを通って流れ、ビアVIA-Aの下部を通って上方に流れ、導電体CON-1961B'を通って上方に流出する。上述のように、キャパシタC2Uは上支部UBの一部であってもよく、キャパシタC2Lは場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-5の下支部LBの一部であってもよい。
【0179】
図24において、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-6は、信号処理および制御回路(例えば、図4等の信号処理および制御回路480)を(すなわち、場生成コイル部1961Bおよび1961Tを備える)場生成コイル1961に結合する。図24の例では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-6は、ビアVIA-A1、VIA-A2、VIA-B1、VIA-B2およびVIA-C、キャパシタC2、導電性遮蔽CSD、ならびに導電体CON-1961T、CON-1961B、CON-A2B1およびCON-A2B2を備える。以下により詳細に説明するように、図22との主な相違点は、図24では異なる電流流構成体が利用される(例えば、下電流支部LCBとして導電体CON-A2B2を備え、そのため、特定の同様のバランスする電流効果が達成され得るが、キャパシタC2Lのようなより低いキャパシタは利用されない)ことである。
【0180】
図24において、図22および図23の構成と同様に、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-6の一部として、(例えば、導電性結合部CCP-6の一部として)導電体CON-1961TおよびCON-1961Bは、信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480等)に戻って結合し、そのため、導電性遮蔽CSDは導電体CON-1961BおよびCON-1961Tの少なくとも一部に近接して(例えば、被覆して)いるように図示されている。特に、導電性遮蔽CSDは、(すなわち、場生成コイル部1961Bおよび1961Tを含む)場生成コイル1961に近接する導電体CON-1961BおよびCON-1961Tの少なくとも一部に近接する(例えば、被覆する)ものとして示される。
【0181】
以下では、信号処理および制御回路(例えば、図4の信号処理および制御回路480など)と(すなわち、場生成コイル部1961Bおよび1961Tを備える)場生成コイル1961との間に流れる電流に対する(例えば、AC電流に対しては両方向に流れてもよいが、以下の例の簡略化のために、単一方向に関連して記載される)電流経路について説明する。図24には、以下の記載に沿って電流の流れの向きを示す矢印が提供されている。信号処理および制御回路から場生成コイル1961への例示の方向に流れる電流に対して、導電体CON-1961Bは、ビアVIA-A1に結合され、従ってそれはこれらの構成要素を通る電流経路に対応する。場生成コイル1961から信号処理および制御回路への例示の方向における戻り路に沿って流れる電流に対して、ビアVIA-B2は、導電体CON-1961Tに結合され、従って、それはそれらの構成要素を通る電流経路に対応する。
【0182】
図24の例では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-6は、三電流支部構成体TCBを備える。様々な実施態様では、三電流支部構成体TCBは、レムニスケート形または英語の「8の字」形状に対応すると見なされる形状を有することができる。三電流支部構成体TCBは、第1の方向に電流の流れを有する(例えば、導電体CON-A2B1を備える)中間電流支部MCBと、中間電流支部MCBにそれぞれ結合され、第1の方向とほぼ反対の第2の方向の電流の流れを有する(例えば、それぞれ、キャパシタC2および導電体CON-A2B2を備える)上電流支部UCBおよび下電流支部LCBをそれぞれ備える。種々の実施形態において、上電流支部UCBおよび下電流支部LCBは、中間電流支部MCBおよび/又は場生成コイル平面FGCPの上方および下方に、それぞれほぼ等間隔で配置されてもよい。
【0183】
三電流支部構成体TCBを通って例示の方向に流れる電流に対して、(例えば、上電流支部UCBとしての)キャパシタC2はビアVIA-A1およびVIA-B1の上部の間に結合され、(例えば、中間電流支部MCBとしての)導電体CON-A2B1はビアVIA-B1およびVIA-A2の中央部の間に結合され、(例えば、下電流支部LCBとしての)導電体CON-A2B2はビアVIA-A2およびVIA-B2の下部の間に結合され、従って、それらはその一連の構成要素を通る電流経路に対応する。様々な実施形態において、例示の方向に流れる電流に関連して、(例えば、中間電流支部MCBとしての)導電体CON-A2B1を通る電流の流れは第1の方向であるものとして参照されてもよく、(例えば、上電流支部UCBとしての)キャパシタC2および(例えば、下電流支部LCBとしての)導電体CON-A2B2を通る電流の流れは第2の方向であるものとして参照されてもよい(例えば、第2の方向が第1の方向とほぼ反対であってもよい)。より具体的には、図24に示されるような方向では、導電体CON-1961Bからの電流の一部は、ビアVIA-A1の上部を通って上方に流れ、(例えば、第2の方向の)キャパシタC2を通って流れ、ビアVIA-B1の上部を通って下方に流れ、(例えば、第1の方向の)導電体CON-A2B1を通って流れ、ビアVIA-A2の下部を通って下方に流れ、(例えば、第2の方向の)導電体CON-A2B2を通って流れ、ビアVIA-B2の下部を通って上方に流れ、導電体CON-1961Tを通って外に流出する。
【0184】
平行キャパシタ構成体PCCの議論と同様に、図24の三電流支部構成体TCBにおいて、(例えば、下電流支部LCBとしての)導電体CON-A2B2が省略された場合に、電流は場生成コイル平面FGCPの上方で、場生成コイル平面FGCPの下方に流れる対応する電流なしに、キャパシタC2を通って流れるであろう。そのような構成は、場生成コイル平面FGCPに関連して、(例えば、磁場において)比較的アンバランスな効果をもたらし、したがって、軸方向検出コイルによって生成された信号に(例えば、キャパシタC2を通る電流の効果に対応するクロストークからの)クロストーク誤差をもたらす可能性がある。(例えば、下電流支部LCBとしての)導電体CON-A2B2を三電流支部構成体TCBの一部として含めることによって、同様の電流は、場生成コイル平面FGCPの上下のほぼ等しい距離および同様の相対位置(例えば、同様または同一のX、Y座標を有する)で生じるようにさせることができる。そのような(例えば、場生成コイル平面FGCPに対して)バランスされた構成体は、さもなければ、(例えば、軸方向検出コイルで生成された信号から生じるような)決定された位置信号で生じ得る、あらゆる対応するエラー(例えば、クロストーク誤差)を低減するのに役立つ。
【0185】
様々な実施形態では、下電流支部LCBおよび上電流支部UCBは、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体CCRC-6の上支部UBおよび下支部LBとしてそれぞれ参照することもできるし、又は代替的に参照することもできる。様々な実施形態では、前述の下支部LBおよび上支部UB(例えば、図21図23の場生成コイル結合およびクロストークのそれぞれ)は、それぞれの場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体の上電流支部UCBおよび下電流支部LCBとしてそれぞれ参照することもできるし、又は代替的に参照することもできる。図21図24の記載された場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体のすべてにおいて、同様の電流は、場生成コイル平面のFGCPの上方および下方のほぼ等しい距離および同様の相対的なXおよびY座標位置(例えば、同様のまたは同一のX、Y座標を有する)で生じるようにされ得る(そのため、例えば、そのようなバランスされた構成体は、潜在的なクロストーク誤差を低減するのに役立ち得るなど)。
【0186】
場生成コイル1961を通って例示の方向に流れる電流に対して、ビアVIA-A1は場生成コイル部1961Bの一端に結合され、そのため、場生成コイル部1961Bの他端はビアVIA-Cに結合されている。ビアVIA-Cは場生成コイル部1961Tの一端に結合され、そのため、場生成コイル部1961Tの他端はビアVIA-B1に結合されている。ビアVIA-B1は三電流支部構成体TCBの下部(例えば、導電体CON-A2B1およびCON-A2B2を含む)によって、ビアVIA-B2に結合され、ビアVIA-B2は、その一連の構成要素を通る電流経路に対応する。より具体的には、図24に示すような方向において、導電体CON-1961Bからの電流の一部は、ビアVIA-A1の下部を通って下方に流れ、場生成コイル部1961Bを通って時計回りに流れ、場生成コイル部1961Tを通って時計回りに流れるようにビアVIA-Cを通って上方へ流れ、次に、ビアVIA-B1の上部を通って下方に流れ、導電体CON-A2B1を通って流れ、ビアVIA-A2の下部を通って下方に流れ、導電体CON-A2B2を通って流れ、ビアVIA-B2の下部を通って上方に流れ、導電体CON-1961Tを経て流出する。
【0187】
図19図24は一般に、特定の図(例えば、図3および図4)に示される特定の構成に関して説明されてきたが、図5および図6に関して、図9A図9Bおよび図10に関して、ならびに図12Bおよび図13Aに関して、上で説明された実施形態など、他の実施形態において、クロストーク誤差を補償し、低減/対処するために本明細書で説明される手法を使用することができる。
【0188】
いくつかの実施形態では、走査プローブがスタイラス懸架部、スタイラス位置検出部、信号処理および制御回路、並びに場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体を備える。スタイラス懸架部は、走査プローブのフレームに取り付けられ、スタイラスに堅固に結合されるように構成されたスタイラス結合部と、軸方向に沿ったスタイラス結合部の軸方向移動、および回転中心周りのスタイラス結合部の回転移動を可能にするように構成されたスタイラス移動機構と、を備える。
【0189】
スタイラス位置検出部は、軸方向に平行で回転中心と名目上整列した中心軸に沿って配置され、誘導性検出原理に基づいている。スタイラス位置検出部は、少なくとも1つの場生成コイルを備える場生成コイル構成体と、少なくとも1つの上部軸方向検出コイルを備える上部軸方向検出コイル構成体(TASCC)と、少なくとも1つの下部軸方向検出コイルと、N個の上部回転検出コイル(TRSC)と、N個の下部回転検出コイル(BRSC)と、を備える下部軸方向検出コイル構成体(BASCC)と、を備え、ここで、Nは3より大きい整数である。
【0190】
ディスラプター構成体は、ディスラプター領域を提供し、ディスラプター移動ボリューム内の中心軸に沿って配置される導電性のディスラプター要素を備える。ディスラプター要素は、結合構成体によってスタイラス懸架部に結合され、スタイラス懸架部の偏向に応じて、非偏向位置に対してディスラプター移動ボリューム内で移動する。ディスラプター要素は、軸方向移動に応じて軸方向に沿って動作移動範囲+/-Rzにわたって移動し、回転移動に応じて軸方向にほぼ直交する直交XおよびY方向に沿ったそれぞれの動作移動範囲+/-Rxおよび+/-Ryにわたって移動するとして説明することができる。場生成コイル構成体は、コイル駆動信号に応じて、ディスラプター移動ボリューム内に軸方向にほぼ沿って変動磁場を生成する。
【0191】
信号処理および制御回路は、コイル駆動信号を供給するようにスタイラス位置検出部のコイルに動作可能に接続され、それぞれの回転および軸方向検出コイル(即ち、上部軸方向検出コイルと下部軸方向検出コイルと上部回転検出コイルと下部回転検出コイルと)によって提供されるそれぞれの信号成分を備える受信コイル部から信号を入力するように構成される。さらに、信号処理および制御回路は、走査プローブのフレームに対してディスラプター要素またはスタイラスの少なくとも1つの軸方向位置および回転位置を示す信号を出力するように構成される。
【0192】
場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、コイル駆動信号を提供するために信号処理および制御回路を少なくとも1つの場生成コイルに結合し、少なくとも1つの場生成コイルが場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体なしで信号処理および制御回路に直接的に接続された場合に、それがなければ生じるであろうクロストークを低減するように構成される。
【0193】
いくつかの実施形態では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、第1の上支部および第1の下支部を有する。このようないくつかの実施形態では、少なくとも1つの場生成コイルは、中心軸に直交し、第1の場生成コイルを通過する第1の場生成コイル平面を定義する第1の場生成コイルを備え、そのため、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体の第1の上支部および第1の下支部はそれぞれ、第1の場生成コイル平面の上方および下方に配置される。いくつかのそのような実施形態では、第1の上支部および第1の下支部は、第1の場生成コイル平面に対して対称的であること、鏡映電流分布構成体の一部であること、第1の場生成コイル平面の上方および下方にそれぞれほぼ等しい距離および同様の相対的なX座標位置およびY座標位置で、同様の電流を流すように構成されること、または並列に接続されること、のうちの少なくとも1つである。このようないくつかの実施形態では、第1の上支部は第1の上部キャパシタを備え、第1の下支部は第1の下部キャパシタを備え、第1の上部キャパシタと第1の下部キャパシタとが並列に接続される。
【0194】
このようないくつかの実施形態では、少なくとも1つの場生成コイルは、中心軸に直交し、第2の場生成コイルを通過する第2の場生成コイル平面を定義する第2の場生成コイルを備え、そのため、第1の場生成コイルおよび第2の場生成コイルはそれぞれ、上部場生成コイルおよび下部場生成コイルに対応し、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、第2の場生成コイル平面の上方および下方にそれぞれ配置される第2の上支部および第2の下支部を備える。このようないくつかの実施形態では、第1の上支部は第1の上部キャパシタを備え、第1の下支部は第1の下部キャパシタを備え、第1の上部キャパシタと第1の下部キャパシタとは並列に接続される。また、第2の上支部は第2の上部キャパシタを備え、第2の下支部は第2の下部キャパシタを備え、第2の上部キャパシタと第2の下部キャパシタとは並列に接続される。
【0195】
いくつかの実施形態では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、鏡映電流分布構成体を有する。いくつかのそのような実施形態では、鏡映電流分布構成体は、並列に接続された一対のキャパシタを備える。このようないくつかの構成体では、鏡映電流分布構成体は、第1の方向に電流の流れを有する中間電流支部と、中間電流支部にそれぞれ結合され、第1の方向とほぼ反対の第2の方向に電流の流れを有する上電流支部および下電流支部と、を備える三電流支部構成体を備える。
【0196】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの場生成コイルは、第1の場生成コイルを備える。このようないくつかの実施形態では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、第1の場生成コイルを信号処理および制御回路に結合する第1の導電体を備える第1の導電性結合部を備え、そのため、第1の導電体の寄与を相殺する第1のツイスト構成体が提供される。
【0197】
このようないくつかの実施形態では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、第1の場生成コイルを信号処理および制御回路に結合し、そのために、第1の導電性結合部の少なくとも一部が第1の場生成コイルに近接する第1の導電性結合部と、第1の導電性結合部を遮蔽するために第1の場生成コイルおよび第1の導電性結合部に近接して配置される第1の導電性遮蔽と、を備える。このようないくつかの実施形態では、場生成コイル結合およびクロストーク除去構成体は、更に、中心軸に対して第2の位置にある第2の導電性遮蔽を備え、第1の導電性遮蔽は、中心軸に対して第1の位置にあり、第1の位置および第2の位置は中心軸に関して対称である。
【0198】
いくつかの実施形態では、方法は、ワークピースの表面に沿って本明細書に開示されているように走査プローブを移動させる工程と、走査プローブがワークピースの表面に沿って移動するときに走査プローブによって生成される誘導検出信号に基づいて3次元位置情報を生成する工程と、を含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、システムは、本明細書に開示されるような走査プローブと、駆動機構と、駆動機構に走査プローブを結合するように構成された取付部と、を備える。
【0200】
本開示の好ましい実施形態が図示および説明されたが、特徴および動作のシーケンスの図示および説明された配置の多数の変形例は、本開示に基づいて当業者には明らかであろう。本明細書に開示される原理を実施するために、様々な代替形態を使用することができる。さらに、上記の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で言及されるすべての米国特許および米国特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。必要に応じてさらに実施形態を提供するために様々な特許および出願の概念を採用して、実施形態の側面を変更することができる。
【0201】
上記の詳細な説明に照らして、これらの変更および他の変更を実施形態に加えることができる。一般に、以下の請求項では、使用される用語は、請求項を明細書および請求項に開示された特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような請求項に権利される同等の全範囲に沿って可能なすべての実施形態を備えると解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21
図22
図23
図24