(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104957
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】リチウム金属アノードのための、カルコゲナイドを用いたエクスシトゥ固体電解質界面修飾
(51)【国際特許分類】
H01M 4/1395 20100101AFI20220705BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20220705BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20220705BHJP
H01M 4/64 20060101ALI20220705BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20220705BHJP
H01G 11/68 20130101ALI20220705BHJP
H01G 11/70 20130101ALI20220705BHJP
H01G 11/26 20130101ALI20220705BHJP
H01G 11/50 20130101ALI20220705BHJP
H01G 11/46 20130101ALI20220705BHJP
【FI】
H01M4/1395
H01M4/134
H01M4/66 A
H01M4/64 A
H01G11/86
H01G11/68
H01G11/70
H01G11/26
H01G11/50
H01G11/46
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022055933
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2020524784の分割
【原出願日】2018-10-02
(31)【優先権主張番号】62/583,911
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴパラクリシュナン ナイア, ギリッシュ クマール
(72)【発明者】
【氏名】ヘール, スブラマニヤ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング, カール ジェイ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】金属電極、より具体的にはリチウム含有アノード、前記リチウム含有電極を含む、二次電池などの高性能電気化学デバイス、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一実施形態では、アノード電極構造体が提供される。アノード電極構造体は、銅を含む集電体を備える。アノード電極構造体は、集電体上に形成されたリチウム金属膜を、さらに備える。アノード電極構造体は、リチウム金属膜上に形成された固体電解質界面(SEI)膜スタックを、さらに備える。SEI膜スタックは、リチウム金属膜上に形成されたカルコゲナイド膜を含む。一実施形態では、SEI膜スタックは、カルコゲナイド膜上に形成された酸化リチウム膜を、さらに含む。一実施形態では、SEI膜スタックは、酸化リチウム膜上に形成された炭酸リチウム膜を、さらに含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅膜を含む集電体上にリチウム金属膜を形成することと、
前記リチウム金属膜上に形成されたカルコゲナイド膜であって、ビスマスカルコゲナイド、銅カルコゲナイド、およびそれらの組み合わせの群から選択されるカルコゲナイド膜を形成することを含む、前記リチウム金属膜上にSEI膜スタックを形成することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記SEI膜スタックが、フッ化リチウム(LiF)膜、炭酸リチウム(Li2CO3)膜、酸化リチウム膜、窒化リチウム(Li3N)膜、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リチウム金属膜が、約1マイクロメートルと約20マイクロメートルとの間の厚さを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記集電体が、約2マイクロメートルと約8マイクロメートルとの間の厚さを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記集電体が、
第1のニッケルまたはクロム含有膜、
前記第1のニッケルまたはクロム含有膜上に形成され、約50ナノメートルと約500ナノメートルとの間の厚さを有する前記銅膜、および
前記銅膜上に形成され、約20ナノメートルと約50ナノメートルとの間の厚さを有する第2のニッケルまたはクロム含有膜、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記集電体が、
ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマー基材、および
前記PETポリマー基材上に形成された前記銅膜であって、物理的気相堆積プロセスによって堆積された前記銅膜、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記銅膜を含む前記集電体が、プラズマ処理またはコロナ放電プロセスに曝されて、前記集電体の曝された表面から有機材料を除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
銅膜を含む集電体、
前記集電体上に形成されたリチウム金属膜、および
前記リチウム金属膜上に形成された固体電解質界面(SEI)膜スタックであって、前記リチウム金属膜上に形成されたカルコゲナイド膜を含む、固体電解質界面(SEI)膜スタック、
を含むアノード電極構造体。
【請求項9】
前記SEI膜スタックが、前記カルコゲナイド膜上に形成されたフッ化リチウムを、さらに含む、請求項8に記載のアノード電極構造体。
【請求項10】
前記カルコゲナイド膜が、ビスマスカルコゲナイド、銅カルコゲナイド、およびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項8に記載のアノード電極構造体。
【請求項11】
前記カルコゲナイド膜が、CuS、Cu2Se、Cu2S、Cu2Te、CuTe、Bi2Te3、Bi2Se3、およびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項10に記載のアノード電極構造体。
【請求項12】
前記SEI膜スタックが、前記カルコゲナイド膜上に形成された酸化リチウム膜を、さらに含む、請求項8に記載のアノード電極構造体。
【請求項13】
前記SEI膜スタックが、前記酸化リチウム膜上に形成された炭酸リチウム膜を、さらに含む、請求項12に記載のアノード電極構造体。
【請求項14】
銅膜を含む集電体、
前記集電体上に形成されたリチウム金属膜、ならびに
前記リチウム金属膜上に形成された固体電解質界面(SEI)膜スタックであって、
酸化リチウム膜、
前記酸化リチウム膜上に形成された炭酸リチウム膜、および
前記炭酸リチウム膜上に形成されたカルコゲナイド膜、
を含む固体電解質界面(SEI)膜スタック、
を含むアノード電極構造体。
【請求項15】
前記SEI膜スタックが、前記リチウム金属膜と前記酸化リチウム膜との間に形成された窒化リチウム膜を、さらに含む、請求項14に記載のアノード電極構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書に記載される実施形態は、一般に、金属電極、より具体的にはリチウム含有アノード、前記リチウム含有電極を含む、二次電池などの高性能電気化学デバイス、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]再充電可能電気化学貯蔵システムが、日常生活の多くの分野において重要性を増している。リチウムイオン(Liイオン)電池およびキャパシタなどの大容量エネルギー貯蔵デバイスが、携帯電子機器、医療、輸送、グリッド接続された大型エネルギー貯蔵、再生可能エネルギー貯蔵、無停電電源装置(UPS)を含む、ますます多くの用途に使用されている。これらの用途の各々において、エネルギー貯蔵デバイスの充放電時間および容量は、重要なパラメータである。加えて、そのようなエネルギー貯蔵デバイスのサイズ、重量、および/またはコストも、重要なパラメータである。さらに、低い内部抵抗が、高性能のために不可欠である。抵抗が低いほど、エネルギー貯蔵デバイスが電気エネルギーを送達する際に遭遇する制約が少なくなる。例えば、電池の場合、内部抵抗は、電池によって蓄えられる有用なエネルギーの総量ならびに大電流を送達する電池の能力を減少させることによって、性能に影響を及ぼす。
【0003】
[0003]Liイオン電池は、求められている容量およびサイクル数を達成する可能性が最も高いと考えられている。しかし、現在構成されているようなLiイオン電池は、これらの成長する用途のためのエネルギー容量および充放電サイクル数に欠けることが多い。
【0004】
[0004]従って、サイクル数を改善し、より高い費用対効果で製造することができる、より速く充電され、より大容量のエネルギー貯蔵デバイスが、当該技術分野において必要とされている。エネルギー貯蔵デバイスの内部抵抗を減少させるエネルギー貯蔵デバイスの構成要素も必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本明細書に記載される実施形態は、一般に、金属電極、より具体的にはリチウム含有アノード、前記リチウム含有電極を含む、二次電池などの高性能電気化学デバイス、およびその製造方法に関する。一実施形態では、アノード電極構造体が提供される。アノード電極構造体は、銅を含む集電体を備える。一実施形態では、アノード構造体は、銅膜を備える。アノード電極構造体は、集電体上に形成されたリチウム金属膜を、さらに備える。アノード電極構造体は、リチウム金属膜上に形成された固体電解質界面(SEI)膜スタックを、さらに備える。SEI膜スタックは、リチウム金属膜上に形成されたカルコゲナイド膜を含む。一実施形態では、SEI膜スタックは、カルコゲナイド膜上に形成された酸化リチウム膜を、さらに含む。一実施形態では、SEI膜スタックは、酸化リチウム膜上に形成された炭酸リチウム膜を、さらに含む。別の実施形態では、SEI膜スタックは、カルコゲナイド膜上に形成されたフッ化リチウムを、さらに含む。
【0006】
[0006]別の実施形態では、アノード電極構造体が提供される。アノード電極構造体は、銅を含む集電体を備える。アノード電極構造体は、集電体上に形成されたリチウム金属膜を、さらに備える。アノード電極構造体は、リチウム金属膜上に形成された固体電解質界面(SEI)膜スタックを、さらに備える。SEI膜スタックは、酸化リチウム膜と、酸化リチウム膜上に形成された炭酸リチウム膜と、炭酸リチウム膜上に形成されたカルコゲナイド膜とを含む。一実施形態では、SEI膜スタックは、リチウム金属膜と酸化リチウム膜との間に形成された窒化リチウム膜を、さらに含む。
【0007】
[0007]別の実施形態では、方法が提供される。この方法は、集電体上にリチウム金属膜を形成することを含み、集電体は銅を含む。この方法は、リチウム金属膜上にSEI膜スタックを形成することを、さらに含む。SEI膜スタックを形成することは、リチウム金属膜上にカルコゲナイド膜を形成することを含み、カルコゲナイド膜は、ビスマスカルコゲナイド、銅カルコゲナイド、およびそれらの組み合わせの群から選択される。一実施形態では、SEI膜スタックは、フッ化リチウム(LiF)膜、炭酸リチウム(Li2CO3)膜、酸化リチウム膜、窒化リチウム(Li3N)膜、およびそれらの組合せのうちの少なくとも1つを、さらに含む。
【0008】
[0008]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した実施形態のより具体的な説明を、いくつかが添付の図面に示されている実施形態を参照することによって行うことができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではなく、本開示は、他の等しく有効な実施形態を認めることができることに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書に記載の実施形態に従って形成された固形電解質界面(SEI)膜スタックを有する電極構造体を組み込んだエネルギー貯蔵デバイスの一実施形態の概略断面図を示す。
【
図2】本明細書に記載の実施形態に従って形成された固形電解質界面(SEI)膜スタックを有する両面アノード電極構造体の一実施形態の断面図を示す。
【
図3】本明細書に記載の実施形態に従って形成された固形電解質界面(SEI)膜スタックを有する両面アノード電極構造体の別の実施形態の断面図を示す。
【
図4】本明細書に記載の実施形態に従って形成された固形電解質界面(SEI)膜スタックを有する両面アノード電極構造体の別の実施形態の断面図を示す。
【
図5】本明細書に記載の実施形態に従って形成された固形電解質界面(SEI)膜スタックを有する両面アノード電極構造体の別の実施形態の断面図を示す。
【
図6】本明細書に記載の実施形態に従って形成された固形電解質界面(SEI)膜スタックを有する両面アノード電極構造体の別の実施形態の断面図を示す。
【
図7】本明細書に記載された実施形態による固形電解質界面(SEI)膜スタックを有するアノード電極構造体を形成するための方法の一実施形態を要約したプロセスフローチャートを示す。
【
図8】本明細書に記載された実施形態による固形電解質界面(SEI)膜スタックを有するアノード電極構造体を形成するための別の方法の一実施形態を要約したプロセスフローチャートを示す。
【
図9】本明細書に記載された実施形態による固形電解質界面(SEI)膜スタックを有するアノード電極構造体を形成するための別の方法の一実施形態を要約したプロセスフローチャートを示す。
【
図10】本明細書に記載された実施形態による固形電解質界面(SEI)膜スタックを有するアノード電極構造体を形成するための別の方法の一実施形態を要約したプロセスフローチャートを示す。
【
図11】本明細書に記載された実施形態によるアノード電極構造体を形成するための統合された処理ツールの概略図を示す。
【
図12A】0.25mA/cm
2の電流密度での対称リチウムセル(1時間サイクル)におけるセル電圧変化対時間を示すグラフである。
【
図12B】0.25mA/cm
2の電流密度での対称リチウムセル(1時間サイクル)におけるセル電圧変化対時間を示すグラフである。
【
図12C】0.25mA/cm
2の電流密度での対称リチウムセル(1時間サイクル)におけるセル電圧変化対時間を示すグラフである。
【
図12D】0.25mA/cm
2の電流密度での対称リチウムセル(1時間サイクル)におけるセル電圧変化対時間を示すグラフである。
【
図13】本明細書に記載された実施形態によるカルコゲナイド修飾界面を用いたLi/Li対称セルにおけるインピーダンススペクトルのグラフである。
【
図14】リチウム対照試料と、本明細書に記載された実施形態によるカルコゲナイド修飾界面との比較を示すグラフである。
【
図15】対照セルおよび本明細書に記載された実施形態によるカルコゲナイド修飾界面を有するセルにおけるリチウムのSEM画像である。
【
図16】裸のリチウム金属アノードおよび本明細書に記載された実施形態によるカルコゲナイド修飾界面で保護されたリチウム金属アノードにおける放電容量対サイクル数を示すグラフである。
【
図17】本明細書に記載された実施形態によるカルコゲナイド修飾界面で保護されたリチウム金属アノードについての、様々な放電レート(0.1C~5C)におけるセル電圧対容量を示すグラフである。
【
図18】本明細書に記載された実施形態によるカルコゲナイド修飾界面で保護されたリチウム金属アノードについての、Cレートに対する対応する放電容量の変動を示すグラフである。
【
図19】様々な放電レートにおける放電容量維持率を比較したグラフである。
【
図20】対照試料と、本明細書に記載された実施形態によるカルコゲナイド修飾界面で保護されたリチウム金属アノードとについて、Cレートに対する充電レート容量の変動を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0029]理解を容易にするために、図面に共通する同一の要素は、可能であれば同一の参照番号を使用して示してある。1つの実施形態の要素および特徴は、さらなる列挙なしに、他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【0011】
[0030]以下の開示は、リチウム含有電極、リチウム含有電極を含む二次電池などの高性能電気化学デバイス、およびその製造方法を記載する。本開示の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明および
図1~
図20に特定の詳細を記載する。電気化学セルおよび二次電池にしばしば関連する周知の構造およびシステムを説明する他の詳細は、前記様々な実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、以下の開示には記載されない。
【0012】
[0031]図面に示される詳細、寸法、角度、および他の特徴の多くは、特定の実施形態を単に例示しているにすぎない。したがって、他の実施形態は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他の詳細、構成要素、寸法、角度、および特徴を有することができる。加えて、本開示のさらなる実施形態が、以下に記載される詳細のいくつかなしに実施され得る。
【0013】
[0032]本明細書に記載される実施形態は、TopMet(登録商標)ロールツーロールウェブコーティングシステム、SMARTWEB(登録商標)ロールツーロールウェブコーティングシステム、TOPBEAM(登録商標)ロールツーロールウェブコーティングシステムなどのロールツーロールコーティングシステムを参照して以下に記載され、これらの全てが、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能である。高速堆積プロセスを実行することができる他のツールもまた、本明細書で説明される実施形態から利益を得るように適合され得る。加えて、本明細書に記載の堆積プロセスを可能にする任意のシステムを有利に使用することができる。本明細書に記載される装置の説明は、例示的なものであり、本明細書で説明される実施形態の範囲を限定するものとして解釈または理解されるべきではない。ロールツーロールプロセスとして記載されているが、本明細書に記載されている実施形態は、個別の基材上で実行することもできることも理解されたい。
【0014】
[0033]再充電可能リチウム金属電池の開発は、エネルギー貯蔵のための高エネルギー密度システムを可能にすることができる、有望な技術と考えられている。しかし、現在のリチウム金属電池は、樹枝状結晶成長に苦しんでおり、これが、携帯電子機器や電気自動車におけるリチウム金属電池の実用化を妨げている。数回の充放電サイクルの間に、樹枝状結晶と呼ばれるリチウムの微細繊維が、リチウム金属表面上に形成され、他の電極と接触するまで広がる。これらの樹枝状結晶に電流を流すと、電池が短絡する可能性がある。リチウム金属電池技術を可能にする側面のうち最も困難な側面の一つは、安定で効率的な固体電解質界面(SEI)の開発である。安定で効率的なSEIは、樹枝状結晶成長を抑制し、したがって改善されたサイクル数を達成するための、有効な戦略を提供する。
【0015】
[0034]現在のSEI膜は、典型的には、セル形成サイクルプロセス中にインシトゥで形成され、これは、一般に、セル製造の直後に行われる。適切な電位がアノードに確立され、特定の有機溶媒が電解質として使用される、セル形成サイクルプロセス中に、最初の充電で、有機溶媒が分解されて、SEI膜を形成する。典型的な液体電解質を用いて、低い電流密度で、苔状リチウム析出物が報告され、リチウム成長は、「ボトム成長」に帰せられた。より高い電流密度では、電解質中の濃度勾配が、「チップ成長」を引き起こし、このチップ成長が、セルの短絡を引き起こしている。使用される有機溶媒に応じて、アノード上に形成されるSEI膜は、典型的には、酸化リチウム、フッ化リチウム、およびセミカーボネートの混合物である。最初、SEI膜は、電気的に絶縁性であるが、リチウムイオンに対して十分に伝導性である。SEIは、2回目の充電後の電解質の分解を防止する。SEIは、2つの重要な界面を有する3層システムと考えることができる。従来の電気化学的研究では、電気二重層と呼ばれることが多い。その最も単純な形態では、SEIでコーティングされたアノードは、充電されたときに、3つの段階を経る。これらの3段階には、アノード(M)とSEIとの間の電子移動(M0-ne→Mn+
M/SEI);アノード‐SEI界面からSEI‐電解質(E)界面へのカチオン移動(Mn+
M/SEI→Mn+
SEI/E);およびSEI/電解質界面でのSEIから電解質へのカチオン移動(E(solv)+Mn+
SEI/E→Mn+E(solv))が含まれる。
【0016】
[0035]電池の出力密度と再充電速度は、アノードがどのくらい速く電荷を解放し、獲得できるかに依存する。これは、次に、アノードがどのくらい速くリチウムイオンを、SEIを通って電解質と交換できるかに依存する。SEIでのリチウムイオン交換は多段階プロセスであり、ほとんどの多段階プロセスと同様に、プロセス全体の速度は、最も遅い段階に依存する。研究により、アニオン移動がほとんどのシステムにとってのボトルネックであることが示されている。加えて、溶媒の拡散特性が、アノード-SEI界面とSEI-電解質(E)界面との間の移動速度を決定すると考えられている。したがって、最良の溶媒は、拡散速度を最大にするために、少しの質量しか有さない。
【0017】
[0036]SEIで起こる具体的な特性および反応は十分に理解されていないが、これらの特性および反応は、アノード電極構造体のサイクル数および容量に重大な影響を及ぼすと考えられている。さらに、SEIは、サイクルさせると厚くなり、電極/SEI界面からSEI/電解質への拡散を遅くする可能性があると考えられている。例えば、高温で、電解質中のアルキルカーボネートが、不溶性Li2CO3に分解し、これが、SEI膜の厚さを増加させ、SEI膜の細孔を詰まらせ、アノードへのリチウムイオンの接近を制限する可能性がある。SEI成長は、カソードでのガス発生と、アノードに向かう粒子移動によっても起こり得る。これにより、インピーダンスが増加し、容量が減少する。さらに、インターカレーション中にアノードに埋め込まれた金属リチウムのランダム性が、樹枝状結晶の形成をもたらす。時間が経つと、樹枝状結晶がセパレータに穴をあけ、短絡を引き起こし、熱、火災、および/または爆発に至る。
【0018】
[0037]本開示の実施形態は、安定で効率的なSEI膜をエクスシトゥで作製することに関する。SEI膜は、エネルギー貯蔵デバイスの製造中にエネルギー貯蔵デバイス内に形成される。この新規で効率的なSEI膜は、リチウム樹枝状結晶成長を抑制し、したがって、インシトゥSEI膜に依存する現在のリチウムベースのアノードと比較して優れたリチウム金属サイクル性能を達成すると考えられている。
【0019】
[0038]
図1は、本明細書に記載の実施形態に従って形成されたSEI膜スタック140を有するアノード電極構造体を組み込んだエネルギー貯蔵デバイス100の一実施形態の断面図を示す。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイス100は、再充電可能電池セルである。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイス100は、他のセルと組み合わされて、再充電可能電池を形成する。エネルギー貯蔵デバイス100は、カソード集電体110、カソード膜120、セパレータ膜130、SEI膜スタック140、アノード膜150、およびアノード集電体160を有する。
図1では、集電体およびセパレータは、スタックを越えて延在しているように示されているが、集電体はスタックを越えて延在する必要はなく、スタックを越えて延在する部分は、タブとして使用されてもよいことに留意されたい。SEI膜スタック140は、1つより多い層、例えば、炭酸リチウム(Li
2CO
3)、酸化リチウム(Li
2O)、窒化リチウム(Li
3N)、およびフッ化リチウム(LiF)のうちの少なくとも1つと組み合わせたカルコゲナイド膜(例えば、CuS、Cu
2Se、Cu
2S、Cu
2Te、CuTe、Bi
2Te
3、またはBi
2Se
3膜)を有することができる。
【0020】
[0039]一実施形態では、SEI膜スタック140の一部分は、リチウム膜をSF6ガス処理に曝して、SEI膜スタック140のLiF部分およびLi2S部分をリチウム膜の表面上に形成することによって、形成される。SF6ガスは、曝されたリチウム表面と反応するように、熱的に活性化することができ、またはSF6ガスは、プラズマ活性化することができる。SEI膜スタック140の厚さは、SF6ガス曝露時間および温度を調節することによって制御することができる。
【0021】
[0040]カソード膜120およびアノード膜150上のそれぞれの集電体110、160は、同一の導電体であってもよいし、または異なる導電体であってもよい。集電体110、160を構成することのできる金属の例としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、それらの合金、およびそれらの組合せが挙げられる。一実施形態では、集電体110、160のうちの少なくとも1つに、孔があいている。さらに、集電体は、任意のフォームファクタ(例えば、金属箔、シート、またはプレート)、形状およびミクロ/マクロ構造であってもよい。一実施形態では、集電体110、160のうちの少なくとも1つが、金属材料でコーティングされたポリエチレンテレフタレート(「PET」)膜を含む。一実施形態では、アノード集電体160は、銅でコーティングされたPET膜である。別の実施形態では、アノード集電体160は、PET上の多金属層である。多金属層は、銅、クロム、ニッケルなどの組み合わせであってもよい。一実施形態では、アノード集電体160は、銅-ニッケルクラッド材料を含む多層構造である。一実施形態では、多層構造は、ニッケルまたはクロムの第1の層と、第1の層上に形成された銅の第2の層と、第2の層上に形成されたニッケル、クロム、またはその両方を含む第3の層とを含む。一実施形態では、アノード集電体160は、ニッケルコーティングされた銅である。さらに、集電体は、任意のフォームファクタ(例えば、金属箔、シート、またはプレート)、形状およびミクロ/マクロ構造であってもよい。一般に、プリズム状セルでは、タブは、集電体と同じ材料で形成されており、スタックの製造中に形成されてもよいし、後で追加されてもよい。集電体110および160を除く全ての構成要素が、リチウムイオン電解質を含む。一実施形態では、カソード集電体110は、アルミニウムである。一実施形態では、カソード集電体110は、約0.5μm~約20μm(例えば、約1μm~約10μm、約5μm~約10μm)の厚さを有する。一実施形態では、アノード集電体160は、銅である。一実施形態では、アノード集電体160は、約0.5μm~約20μm(例えば、約1μm~約10μm、約2μm~約8μm、約5μm~約10μm)の厚さを有する。
【0022】
[0041]アノード膜150またはアノードは、カソード膜120またはカソードと適合する任意の材料であってもよい。アノード膜150は、372mAh/g以上、好ましくは≧700mAh/g、最も好ましくは≧1000mAh/gのエネルギー容量を有することができる。アノード膜150は、リチウム金属、リチウム金属箔もしくはリチウム合金箔(例えば、リチウムアルミニウム合金)、またはリチウム金属および/もしくはリチウム合金ならびに炭素(例えば、コークス、グラファイト)、ニッケル、銅、スズ、インジウム、ケイ素、これらの酸化物、もしくはこれらの組み合わせなどの材料の混合物から作製されてもよい。アノード膜150は、典型的には、リチウムを含有するインターカレーション化合物またはリチウムを含有する挿入化合物を含む。アノード膜150がリチウム金属を含むいくつかの実施形態では、リチウム金属は、本明細書に記載の方法を使用して堆積されてもよい。アノード膜は、押出、スパッタリング、電子ビーム蒸着、化学気相堆積(CVD)、三次元印刷、リチウム粉末堆積などの物理的または化学的薄膜技術によって形成することができる。一実施形態では、アノード膜150は、約0.5μm~約20μm(例えば、約1μm~約10μm、約5μm~約10μm)の厚さを有する。一実施形態では、アノード膜150は、リチウム金属またはリチウム金属合金膜である。
【0023】
[0042]SEI膜スタック140は、アノード膜150上にエクスシトゥで形成される。SEI膜スタック140は、電気的に絶縁性であるが、リチウムイオンに対して十分に伝導性である。一実施形態では、SEI膜スタック140は、非多孔性膜である。別の実施形態では、SEI膜スタック140は、多孔性膜である。一実施形態では、SEI膜スタック140は、平均細孔サイズまたは径が約10ナノメートル未満(例えば、約1ナノメートル~約10ナノメートル、約3ナノメートル~約5ナノメートル)になるようにサイズ決めされた複数のナノ細孔を有する。別の実施形態では、SEI膜スタック140は、平均細孔サイズまたは径が約5ナノメートル未満になるようにサイズ決めされた複数のナノ細孔を有する。一実施形態では、SEI膜スタック140は、約1ナノメートル~約20ナノメートル(例えば、約2ナノメートル~約15ナノメートル、または約5ナノメートル~約10ナノメートル)の範囲の径を有する複数のナノ細孔を有する。
【0024】
[0043]SEI膜スタック140は、1ナノメートル~200ナノメートルの範囲(例えば、5ナノメートル~200ナノメートルの範囲、10ナノメートル~50ナノメートルの範囲)の厚さを有するコーティングまたは個別の層であってもよい。理論によって束縛されるものではないが、200ナノメートルを超えるSEI膜は、再充電可能電池内の抵抗を増加させる可能性があると考えられている。
【0025】
[0044]SEI膜スタック140に含まれ得る材料の例は、カルコゲナイド膜(例えば、CuS、Cu2Se、Cu2S、Cu2Te、CuTe、Bi2Te3、またはBi2Se3膜)または任意選択で、炭酸リチウム(Li2CO3)膜、酸化リチウム(Li2O)膜、窒化リチウム膜(Li3N)、およびハロゲン化リチウム膜(例えば、LiF、LiCl、LiBr、またはLiI)のうちの少なくとも1つと組み合わされた、複合カルコゲナイド膜を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、SEI膜スタック140は、カルコゲナイド膜(例えば、CuS、Cu2Se、Cu2S、Cu2Te、CuTe、Bi2Te3、またはBi2Se3膜)である。理論によって束縛されるものではないが、SEI膜スタック140は、良好な固体電解質界面(SEI)を形成するのに有益であり、抵抗を下げるのにも役立つゲルを、デバイス製造中に形成するために、Li伝導性電解質を取り入れることができると考えられている。SEI膜スタック140の一部分をリチウム金属膜上に直接堆積させるための適切な方法としては、蒸着またはスパッタリングなどの物理的気相堆積(PVD)、スロットダイプロセス、薄膜転写プロセス、または三次元リチウム印刷プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。SEI膜スタックの一部分は、以前に堆積された層のプラズマ処理によって形成されてもよい(例えば、露出したリチウム表面を酸素プラズマ処理して、酸化リチウム膜を形成する)。
【0026】
[0045]カソード膜120またはカソードは、アノードと適合する任意の材料であってもよく、インターカレーション化合物、挿入化合物、または電気化学的に活性なポリマーを含んでもよい。適切なインターカレーション材料としては、例えば、リチウム含有金属酸化物、MoS2、FeS2、MnO2、TiS2、NbSe3、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、V6O13、およびV2O5が挙げられる。適切なポリマーとしては、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、およびポリチオフェンが挙げられる。カソード膜120またはカソードは、コバルト酸リチウムなどの層状酸化物、リン酸鉄リチウムなどのかんらん石、またはリチウムマンガン酸化物などのスピネルから作られてもよい。例示的なリチウム含有酸化物は、層状、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、または混合金属酸化物、例えば、LiNixCo1-2xMnO2、LiNiMnCoO2(「NMC」)、LiNi0.5Mn1.5O4、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2、LiMn2O4、およびドープされたリチウムリッチ層状材料であってもよく、xは、ゼロまたはゼロでない数である。例示的なリン酸塩は、鉄かんらん石(LiFePO4)、およびその変形(例えば、LiFe(1-x)MgxPO4(ここで、xは、0と1との間である))、LiMoPO4、LiCoPO4、LiNiPO4、Li3V2(PO4)3、LiVOPO4、LiMP2O7、またはLiFe1.5P2O7であってもよく、ここで、xは、ゼロまたはゼロでない数である。例示的なフルオロリン酸塩は、LiVPO4F、LiAlPO4F、Li5V(PO4)2F2、Li5Cr(PO4)2F2、Li2CoPO4F、またはLi2NiPO4Fであってもよい。例示的なケイ酸塩は、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、またはLi2VOSiO4であってもよい。例示的な非リチウム化合物は、Na5V2(PO4)2F3である。カソード膜120は、スパッタリング、電子ビーム蒸着、化学気相堆積(CVD)などの物理的または化学的薄膜技術によって形成することができる。一実施形態では、カソード膜120は、約10μm~約100μm(例えば、約30μm~約80μm、または約40μm~約60μm)の厚さを有する。一実施形態では、カソード膜120は、LiCoO2膜である。別の実施形態では、カソード膜120は、NMC膜である。
【0027】
[0046]セパレータ膜130は、細孔でイオンを伝導することができる多孔性(例えば、微細孔性)ポリマー基材(例えば、セパレータ膜)を含む。いくつかの実施形態では、多孔性ポリマー基材自体は、イオン伝導性である必要はないが、電解質(液体、ゲル、固体、組合せなど)で満たされると、多孔性基材と電解質の組合せは、イオン伝導性である。一実施形態では、多孔性ポリマー基材は、多層ポリマー基材である。一実施形態では、細孔は微細孔である。いくつかの実施形態では、多孔性ポリマー基材は、任意の市販のポリマー微細孔性膜(例えば、単層または多層)からなり、これらは、例えば、Polypore(Charlotte,North CarolinaのCelgard Inc.)、Toray Tonen(Battery separator film(BSF))、SK Energy(Li-ion battery separater(LiBS))、Evonik industries(SEPARION(登録商標) ceramic separator membrane)、Asahi Kasei(Hipore(商標) polyolefin flat film membrane)、DuPont(Energain(登録商標))などによって製造される製品である。いくつかの実施形態では、多孔性ポリマー基材は、20~80%の範囲(例えば、28~60%の範囲)の多孔率を有する。いくつかの実施形態では、多孔性ポリマー基材は、0.02~5ミクロン(例えば、0.08~2ミクロン)の範囲の平均細孔サイズを有する。いくつかの実施形態では、多孔性ポリマー基材は、15~150秒の範囲のガーレー数を有する(ガーレー数は、12.2水柱インチの10ccの空気が1平方インチの膜を通過するのにかかる時間を指す)。いくつかの実施形態では、多孔性ポリマー基材は、ポリオレフィン系である。例示的なポリオレフィンには、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0028】
[0047]本開示のエネルギー貯蔵デバイスのいくつかの実施形態では、リチウムが、アノード電極のリチウム金属膜、および、例えば、カソード電極のリチウムマンガン酸化物(LiMnO4)またはコバルト酸リチウム(LiCoO2)に含まれるが、いくつかの実施形態では、アノード電極は、ケイ素、スズなどのリチウム吸収材料を含むこともできる。エネルギー貯蔵デバイスは、平面構造として示されているけれども、層のスタックを巻くことによって円筒に形成されてもよく、さらに、本開示の実施形態は、他のセル構成(例えば、プリズム状セル、ボタン状セル)も意図している。
【0029】
[0048]セル構成要素120、130、140および150に注入される電解質は、液体/ゲルまたは固体ポリマーから構成することができ、それぞれが異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、電解質は、主に塩および媒質を含む(例えば、液体電解質中では、媒質は溶媒と呼ばれてもよく、ゲル電解質中では、媒質はポリマーマトリックスであってもよい)。塩は、リチウム塩であってもよい。リチウム塩は、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO3)3、LiBF6、およびLiClO4、リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミデート(例えば、LiTFSI)、BETTE電解質(Minneapolis,MNの3M Corp.から市販されている)、およびそれらの組み合わせを含むことができる。溶媒は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、EC/PC、2-MeTHF(2-メチルテトラヒドロフラン)/EC/PC、EC/DMC(ジメチルカーボネート)、EC/DME(ジメチルエタン)、EC/DEC(ジエチルカーボネート)、EC/EMC(エチルメチルカーボネート)、EC/EMC/DMC/DEC、EC/EMC/DMC/DEC/PE、PC/DME、およびDME/PCを含むことができる。ポリマーマトリックスは、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDF:THF(PVDF:テトラヒドロフラン)、PVDF:CTFE(PVDF:クロロトリフルオロエチレン) PAN(ポリアクリロニトリル)、およびPEO(ポリエチレンオキシド)を含むことができる。
【0030】
[0049]
図2は、本明細書に記載の実施形態に従って形成された固体電解質界面(SEI)膜スタック240a、240b(まとめて240)を有する両面アノード電極構造体200の一実施形態の断面図を示す。SEI膜スタック240a、240bは、
図1に示すSEI膜スタック140の代わりに使用することができる。各SEI膜スタック240a、240bは、各アノード膜150a、150b上にそれぞれ形成されたカルコゲナイド膜210a、210b(まとめて210)を含む。カルコゲナイド膜は、銅カルコゲナイド(例えば、CuS、Cu
2Se、Cu
2S、Cu
2Te、CuTe)、ビスマスカルコゲナイド(例えば、Bi
2Te
3、Bi
2Se
3)、およびそれらの組み合わせの群から選択される。
【0031】
[0050]
図3は、本明細書に記載の実施形態に従って形成された固体電解質界面(SEI)膜スタック340a、340b(まとめて340)を有する両面アノード電極構造体300の別の実施形態の断面図を示す。SEI膜スタック340a、340bは、
図1に示すSEI膜スタック140の代わりに使用することができる。各SEI膜スタック340a、340bは、各アノード膜150a、150b上にそれぞれ形成されたカルコゲナイド膜210a、210b(まとめて210)を含む。カルコゲナイド膜は、銅カルコゲナイド(例えば、CuS、Cu
2Se、Cu
2S、Cu
2Te、CuTe)、ビスマスカルコゲナイド(例えば、Bi
2Te
3、Bi
2Se
3)、およびそれらの組み合わせの群から選択される。各SEI膜スタック340a、340bは、カルコゲナイド膜210a、210b(まとめて210)上に形成されたLi
2O膜310a、310b(まとめて310)を、さらに含む。各SEI膜スタック340a、340bは、Li
2O膜310a、310b(まとめて310)上に形成されたLi
2CO
3膜320a、320b(まとめて320)を、さらに含む。
【0032】
[0051]
図4は、本明細書に記載の実施形態に従って形成された固体電解質界面(SEI)膜スタック440a、440b(まとめて440)を有する両面アノード電極構造体400の別の実施形態の断面図を示す。SEI膜スタック440a、440bは、
図1に示すSEI膜スタック140の代わりに使用することができる。各SEI膜スタック440a,440bは、各アノード膜150a,150b上にそれぞれ形成されたLi
2O膜310a,310b(まとめて310)を含む。各SEI膜スタック440a、440bは、Li
2O膜310a、310b(まとめて310)上に形成されたLi
2CO
3膜320a、320b(まとめて320)を、さらに含む。各SEI膜スタック440a、440bは、Li
2CO
3膜320a、320b(まとめて310)上に形成されたカルコゲナイド膜210a、210b(まとめて210)を、さらに含む。
【0033】
[0052]
図5は、本明細書に記載の実施形態に従って形成された固体電解質界面(SEI)膜スタック540a、540b(まとめて540)を有する両面アノード電極構造体500の別の実施形態の断面図を示す。SEI膜スタック540a、540bは、
図1に示すSEI膜スタック140の代わりに使用することができる。各SEI膜スタック540a,540bは、各アノード膜150a,150b上にそれぞれ形成された窒化リチウム(Li
3N)膜510a,510b(まとめて510)を含む。各SEI膜スタック540a,540bは、各窒化リチウム膜510a,510b上にそれぞれ形成されたLi
2O膜310a,310b(まとめて310)を、さらに含む。各SEI膜スタック540a、540bは、Li
2O膜310a、310b(まとめて310)上に形成されたLi
2CO
3膜320a、320b(まとめて320)を、さらに含む。各SEI膜スタック540a、540bは、Li
2CO
3膜320a、320b(まとめて310)上に形成されたカルコゲナイド膜210a、210b(まとめて210)を、さらに含む。
【0034】
[0053]
図6は、本明細書に記載の実施形態に従って形成された固体電解質界面(SEI)膜スタック640a、640b(まとめて640)を有する両面アノード電極構造体600の一実施形態の断面図を示す。SEI膜スタック640a、640bは、
図1に示すSEI膜スタック140の代わりに使用することができる。各SEI膜スタック640a、640bは、各アノード膜150a、150b上にそれぞれ形成されたカルコゲナイド膜210a、210b(まとめて210)を含む。カルコゲナイド膜は、銅カルコゲナイド(例えば、CuS、Cu
2Se、Cu
2S、Cu
2Te、CuTe)、ビスマスカルコゲナイド(例えば、Bi
2Te
3、Bi
2Se
3)、およびそれらの組み合わせの群から選択される。各SEI膜スタック640a、640bは、カルコゲナイド膜210a、210b(まとめて210)上に形成されたハロゲン化リチウム膜610a、610b(まとめて610)を、さらに含む。一実施形態では、ハロゲン化リチウム膜は、LiF、LiCl、LiBr、およびLiIから選択される。
【0035】
[0054]
図2~
図6で、アノード集電体160は、スタックを越えて延在しているように示されているが、アノード集電体160は、スタックを越えて延在する必要はなく、スタックを越えて延在する部分は、タブとして使用されてもよいことに留意されたい。
図2~
図6に示されるアノード電極構造体は、両面電極構造体として描かれているが、
図2~
図6に記載される実施形態は、片面電極構造体にも適用されることを理解されたい。
【0036】
[0055]
図7は、本明細書に記載の実施形態による固体電解質界面(SEI)膜スタックを有するアノード電極構造体を形成するための方法700の一実施形態を要約したプロセスフローチャートを示す。一実施形態では、アノード電極構造体は、
図2に示される両面アノード電極構造体200である。別の実施形態では、アノード電極構造体は、
図3に示される両面アノード電極構造体300である。工程710において、基材が提供される。一実施形態では、基材は、
図11に示すような材料の連続シート1150である。一実施形態では、基材は、アノード集電体160である。基材を構成することのできる金属の例としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、ステンレス鋼、クラッド材料、これらの合金、およびこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、基材は銅材料である。一実施形態では、基材に孔があいている。さらに、基材は、任意のフォームファクタ(例えば、金属箔、シート、またはプレート)、形状、およびミクロ/マクロ構造であってもよい。
【0037】
[0056]いくつかの実施形態では、基材は、集電体の曝された表面から有機材料を除去するためのプラズマ処理またはコロナ放電プロセスのうちの少なくとも一方を含む前処理プロセスに曝される。前処理プロセスは、基材上への膜堆積の前に実行される。
【0038】
[0057]工程720において、リチウム金属膜が、基材上に形成される。一実施形態では、リチウム金属膜は、アノード膜150であり、基材は、アノード集電体160である。一実施形態では、リチウム金属膜は、銅集電体上に形成される。いくつかの実施形態では、アノード膜が、基材上に既に存在する場合、リチウム金属膜は、アノード膜上に形成される。アノード膜150が存在しない場合、リチウム金属膜は、基材上に直接形成されてもよい。リチウム金属の薄膜を堆積させるための任意の適切なリチウム金属膜堆積プロセスを使用して、リチウム金属の薄膜を堆積させることができる。リチウム金属の薄膜の堆積は、蒸着、スパッタリングプロセスなどのPVDプロセス、スロットダイプロセス、転写プロセス、または三次元リチウム印刷プロセスによって行うことができる。リチウム金属の薄膜を堆積させるためのチャンバは、電子ビーム蒸着器、熱蒸着器、もしくはスパッタリングシステムなどのPVDシステム、薄膜転写システム(グラビア印刷システムなどの大面積パターン印刷システムを含む)、またはスロットダイ堆積システムを含むことができる。一実施形態では、アノード膜150は、100マイクロメートル以下(例えば、約1μm~約100μm、約3μm~約30μm、約20μm~約30μm、約1μm~約20μm、または約50μm~約100μm)の厚さを有する。
【0039】
[0058]工程730において、SEI膜スタックが、リチウム金属膜上に形成される。SEI膜スタックは、カルコゲナイド膜(例えば、CuS、Cu
2Se、Cu
2S、Cu
2Te、CuTe、Bi
2Te
3、またはBi
2Se
3膜)、ならびに任意選択で炭酸リチウム(Li
2CO
3)膜および酸化リチウム(Li
2O)膜を含む。一実施形態では、SEI膜スタックは、
図2に示されるSEI膜スタック240と同様に、カルコゲナイド膜(例えば、CuS、Cu
2Se、Cu
2S、Cu
2Te、CuTe、Bi
2Te
3、またはBi
2Se
3膜)のみを含む。別の実施形態では、SEI膜スタックは、
図3に示すSEI膜スタック340と同様に、カルコゲナイド膜(例えば、CuS、Cu
2Se、Cu
2S、Cu
2Te、CuTe、Bi
2Te
3、またはBi
2Se
3膜)、カルコゲナイド膜上に形成された酸化リチウム膜、および酸化リチウム膜上に形成された炭酸リチウム膜のみを含む。
【0040】
[0059]工程740において、カルコゲナイド膜が、リチウム金属膜上に形成される。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、Bi
2Te
3膜である。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、
図2~
図6に示すカルコゲナイド膜210である。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、500ナノメートル以下(例えば、約1nm~約400nm、約25nm~約300nm、約50nm~約200nm、約100nm~約150nm、約10nm~約80nm、または約30~約60ナノメートル)の厚さを有する。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、ターゲットに結合されたRF電源を有するPVDプロセスを用いて堆積される。ターゲットは、典型的には、カルコゲナイド膜の材料から構成される。一実施形態では、ターゲットは、テルル化ビスマス合金ターゲットである。一実施形態では、テルル化ビスマス合金ターゲットは、約5原子%~約95原子%のビスマスと、約5原子%~約95原子%のテルルとを含む。プラズマが、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、窒素などの非反応性ガスから生成され得る。例えば、プラズマは、約30標準立方センチメートル(sccm)~約200sccmの範囲内、例えば約100sccm~約150sccmの流量を有するアルゴンガスから生成することができる。RF電力は、約50W~約4,000Wの範囲内の電力レベル、例えば約1000W~約3000W、例えば約2000Wで、ターゲットに印加することができる。堆積チャンバは、約0.1ミリトル~約500ミリトルに加圧することができる。堆積チャンバは、約0.1ミリトル~約100ミリトル、例えば約10ミリトル~約30ミリトル、例えば25ミリトルに加圧することができる。基材は、電気的に「フローティング」であってもよく、バイアスを有していなくてもよい。工程740の堆積プロセスは、約50℃~約400℃、例えば約100℃~約200℃、例えば約120℃の堆積温度で実行することができる。
【0041】
[0060]別の実施形態において、プラズマは、テルル化ビスマス合金ターゲットに結合されたDC電源を使用して生成されてもよい。基材は、電気的に「フローティング」であってもよく、バイアスを有していなくてもよい。この実施形態では、プラズマは、約30標準立方センチメートル(sccm)~約200sccmの範囲内、例えば約100sccm~約150sccmの流量を有するアルゴンガスから生成することができる。DC電力は、約50W~約5,000Wの範囲内の電力レベル、約1000W~約3000W、例えば約1000W~約2000W、例えば約2000Wで、ターゲットに印加することができる。堆積チャンバは、約0.1ミリトル~約500ミリトルに加圧することができる。堆積チャンバは、約0.1ミリトル~約500ミリトルに加圧することができる。堆積チャンバは、約0.1ミリトル~約100ミリトル、例えば約10ミリトル~約30ミリトル、例えば25ミリトルに加圧することができる。基材は、電気的に「フローティング」であってもよく、バイアスを有していなくてもよい。工程740の堆積プロセスは、約50℃~約400℃、例えば約100℃~約200℃、例えば約120℃の堆積温度で実行することができる。
【0042】
[0061]任意選択で、工程750において、酸化リチウム(Li
2O)膜が、カルコゲナイド膜上に形成される。一実施形態では、酸化リチウム膜は、
図2~
図6に示す酸化リチウム膜310である。一実施形態では、酸化リチウム膜は、500ナノメートル以下(例えば、約1nm~約4000nm、約25nm~約300nm、約50nm~約200nm、または約100nm~約150nm)の厚さを有する。一実施形態では、酸化リチウム膜は、カルコゲナイド膜上に追加のリチウム金属膜を堆積させ、リチウム金属膜をプラズマ酸化プロセスに曝して、リチウム金属膜を酸化させることによって、形成される。一実施形態では、酸化リチウム膜は、酸素含有雰囲気中でPVDによって追加のリチウム金属膜を堆積させることによって、形成される。一実施形態では、工程720中に堆積されたリチウム金属膜の一部分は、工程740でのカルコゲナイド膜の堆積後に露出したままである。次いで、リチウム金属膜の露出部分が、プラズマ酸化プロセスに曝されて、酸化リチウム膜を形成する。
【0043】
[0062]任意選択で、工程760において、炭酸リチウム(Li
2CO
3)膜が、酸化リチウム膜上に形成される。一実施形態では、炭酸リチウム膜は、
図3~
図5に示す炭酸リチウム膜320である。一実施形態では、炭酸リチウム膜は、500ナノメートル以下(例えば、約1nm~約400nm、約25nm~約300nm、約50nm~約200nm、または約100nm~約150nm)の厚さを有する。一実施形態では、炭酸リチウム膜は、酸化リチウム膜上に追加のリチウム金属膜を堆積させ、リチウム金属膜をプラズマ酸化プロセス(例えば、O
2およびCO
2のうちの少なくとも一方を使用するガス処理)に曝して、リチウム金属膜を酸化させることによって、形成される。一実施形態では、酸化リチウム膜は、酸素含有雰囲気(例えば、O
2およびCO
2のうちの少なくとも一方を含む雰囲気)中でPVDによって追加のリチウム金属膜を堆積させることによって、形成される。一実施形態では、工程750中に堆積された酸化リチウム膜の一部分が、プラズマ酸化プロセスに曝されて、炭酸リチウム膜を形成する。
【0044】
[0063]
図8は、本明細書に記載の実施形態による、固体電解質界面(SEI)膜スタックを有するアノード電極構造体を形成するための別の方法800の一実施形態を要約したプロセスフローチャートを示す。一実施形態では、アノード電極構造体は、
図4に示される両面アノード電極構造体400である。別の実施形態では、アノード電極構造体は、
図5に示される両面アノード電極構造体500である。工程810において、基材が提供される。一実施形態では、基材は、
図11に示すような材料の連続シート1150である。一実施形態では、基材は、アノード集電体160である。基材を構成することのできる金属の例としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、ステンレス鋼、クラッド材料、これらの合金、およびこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、基材は銅材料である。一実施形態では、基材に孔があいている。さらに、基材は、任意のフォームファクタ(例えば、金属箔、シート、またはプレート)、形状、およびミクロ/マクロ構造であってもよい。
【0045】
[0064]いくつかの実施形態では、基材は、集電体の曝された表面から有機材料を除去するためのプラズマ処理またはコロナ放電プロセスのうちの少なくとも一方を含む前処理プロセスに曝される。前処理プロセスは、基材上への膜堆積の前に実行される。
【0046】
[0065]工程820において、リチウム金属膜が、基材上に形成される。一実施形態では、リチウム金属膜は、アノード膜150であり、基材は、アノード集電体160である。一実施形態では、リチウム金属膜は、銅集電体上に形成される。いくつかの実施形態では、アノード膜が、基材上に既に存在する場合、リチウム金属膜は、アノード膜上に形成される。アノード膜150が存在しない場合、リチウム金属膜は、基材上に直接形成されてもよい。リチウム金属の薄膜を堆積させるための任意の適切なリチウム金属膜堆積プロセスを使用して、リチウム金属の薄膜を堆積させることができる。リチウム金属の薄膜の堆積は、蒸着、スパッタリングプロセスなどのPVDプロセス、スロットダイプロセス、転写プロセス、または三次元リチウム印刷プロセスによって行うことができる。リチウム金属の薄膜を堆積させるためのチャンバは、電子ビーム蒸着器、熱蒸着器、もしくはスパッタリングシステムなどのPVDシステム、薄膜転写システム(グラビア印刷システムなどの大面積パターン印刷システムを含む)、またはスロットダイ堆積システムを含むことができる。一実施形態では、アノード膜150は、100マイクロメートル以下(例えば、約1μm~約100μm、約3μm~約30μm、約20μm~約30μm、約1μm~約20μm、または約50μm~約100μm)の厚さを有する。
【0047】
[0066]工程830において、SEI膜スタックが、リチウム金属膜上に形成される。SEI膜スタックは、酸化リチウム(Li
2O)膜、炭酸リチウム(Li
2CO
3)膜、カルコゲナイド膜(例えば、CuS、Cu
2Se、Cu
2S、Cu
2Te、CuTe、Bi
2Te
3、またはBi
2Se
3膜)、および任意選択で窒化リチウム(Li
3N)膜を含む(
図5参照)。一実施形態では、SEI膜スタックは、
図5に示すSEI膜スタック540と同様に、リチウム金属膜上に形成された窒化リチウム(Li
3N)膜、窒化リチウム膜上に形成された酸化リチウム(Li
2O)膜、酸化リチウム膜上に形成された炭酸リチウム(Li
2CO
3)膜、および炭酸リチウム膜上に形成されたカルコゲナイド膜(例えば、Bi
2Te
3膜)を含む。別の実施形態では、SEI膜スタックは、
図4に示すSEI膜スタック440と同様に、リチウム金属膜上に形成された酸化リチウム(Li
2O)膜、酸化リチウム膜上に形成された炭酸リチウム(Li
2CO
3)膜、および炭酸リチウム膜上に形成されたカルコゲナイド膜(例えば、CuS、Cu
2Se、Cu
2S、Cu
2Te、CuTe、Bi
2Te
3、またはBi
2Se
3膜)を含む。
【0048】
[0067]任意選択で、工程840において、窒化リチウム(Li
3N)膜が、リチウム金属膜上に形成される。一実施形態では、窒化リチウム膜は、
図5に示される窒化リチウム膜510である。一実施形態では、窒化リチウム膜は、500ナノメートル以下(例えば、約1nm~約400nm、約25nm~約300nm、約50nm~約200nm、または約1nm~約50nm)の厚さを有する。一実施形態では、窒化リチウム膜は、リチウム金属膜上に追加のリチウム金属膜を堆積させ、リチウム金属膜をプラズマ窒化プロセスに曝して、窒化リチウム膜を形成することによって、形成される。一実施形態では、窒化リチウム膜は、窒素含有雰囲気中でPVDによって追加のリチウム金属膜を堆積させることによって、形成される。
【0049】
[0068]工程850において、酸化リチウム(Li
2O)膜が形成される。窒化リチウム膜が存在する場合、酸化リチウム膜は、窒化リチウム膜上に形成される。窒化リチウムが存在しない場合、酸化リチウム膜は、リチウム金属膜上に形成される。一実施形態では、酸化リチウム膜は、
図4~
図5に示す酸化リチウム膜310である。一実施形態では、酸化リチウム膜は、500ナノメートル以下(例えば、約1nm~約4000nm、約25nm~約300nm、約50nm~約200nm、または約100nm~約150nm)の厚さを有する。一実施形態では、酸化リチウム膜は、窒化リチウム膜上に追加のリチウム金属膜を堆積させ、リチウム金属膜をプラズマ酸化プロセスに曝して、リチウム金属膜を酸化させることによって、形成される。一実施形態では、酸化リチウム膜は、酸素含有雰囲気中でPVDによって追加のリチウム金属膜を堆積させることによって、形成される。一実施形態では、窒化リチウム膜が、プラズマ酸化プロセスに曝されて、酸化リチウム膜を形成する。窒化リチウム膜が存在しない一実施形態では、工程820中に堆積されたリチウム金属膜が、プラズマ酸化プロセスに曝されて、酸化リチウム膜を形成する。
【0050】
[0069]工程860において、炭酸リチウム(Li
2CO
3)膜が、酸化リチウム膜上に形成される。一実施形態では、炭酸リチウム膜は、
図4~
図5に示す炭酸リチウム膜320である。一実施形態では、炭酸リチウム膜は、500ナノメートル以下(例えば、約1nm~約400nm、約25nm~約300nm、約50nm~約200nm、または約100nm~約150nm)の厚さを有する。一実施形態では、炭酸リチウム膜は、酸化リチウム膜上に追加のリチウム金属膜を堆積させ、リチウム金属膜をプラズマ酸化プロセス(例えば、O
2およびCO
2のうちの少なくとも一方を使用するガス処理)に曝して、リチウム金属膜を酸化させることによって、形成される。一実施形態では、酸化リチウム膜は、酸素含有雰囲気(例えば、O
2およびCO
2のうちの少なくとも一方を含む雰囲気)中でPVDによって追加のリチウム金属膜を堆積させることによって、形成される。一実施形態では、工程750中に堆積された酸化リチウム膜の一部分が、プラズマ酸化プロセスに曝されて、炭酸リチウム膜を形成する。
【0051】
[0070]工程870において、カルコゲナイド膜が、炭酸リチウム膜上に形成される。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、Bi
2Te
3膜である。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、
図4~
図5に示すカルコゲナイド膜210である。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、工程740で説明したプロセス条件を使用して堆積される。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、500ナノメートル以下(例えば、約1nm~約400nm、約25nm~約300nm、約50nm~約200nm、約100nm~約150nm、約10nm~約80nm、または約30~約60ナノメートル)の厚さを有する。カルコゲナイド膜は、任意の適切な堆積プロセスを用いて形成することができる。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、工程740について説明したプロセスを使用して堆積される。
【0052】
[0071]
図9は、本明細書に記載の実施形態による固体電解質界面(SEI)膜スタックを有するアノード電極構造体を形成するための別の方法900の一実施形態を要約したプロセスフローチャートを示す。一実施形態では、アノード電極構造体は、
図6に示される両面アノード電極構造体600である。工程910において、基材が提供される。一実施形態では、基材は、
図11に示すような材料の連続シート1150である。一実施形態では、基材は、アノード集電体160である。基材を構成することのできる金属の例としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、ステンレス鋼、クラッド材料、これらの合金、およびこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、基材は銅材料である。一実施形態では、基材に孔があいている。さらに、基材は、任意のフォームファクタ(例えば、金属箔、シート、またはプレート)、形状、およびミクロ/マクロ構造であってもよい。
【0053】
[0072]いくつかの実施形態では、基材は、集電体の曝された表面から有機材料を除去するためのプラズマ処理またはコロナ放電プロセスのうちの少なくとも一方を含む前処理プロセスに曝される。前処理プロセスは、基材上への膜堆積の前に実行される。
【0054】
[0073]工程920において、リチウム金属膜が、基材上に形成される。一実施形態では、リチウム金属膜は、アノード膜150であり、基材は、アノード集電体160である。一実施形態では、リチウム金属膜は、銅集電体上に形成される。いくつかの実施形態では、アノード膜が、基材上に既に存在する場合、リチウム金属膜は、アノード膜上に形成される。アノード膜150が存在しない場合、リチウム金属膜は、基材上に直接形成されてもよい。リチウム金属の薄膜を堆積させるための任意の適切なリチウム金属膜堆積プロセスを使用して、リチウム金属の薄膜を堆積させることができる。リチウム金属の薄膜の堆積は、蒸着、スパッタリングプロセスなどのPVDプロセス、スロットダイプロセス、転写プロセス、または三次元リチウム印刷プロセスによって行うことができる。リチウム金属の薄膜を堆積させるためのチャンバは、電子ビーム蒸着器、熱蒸着器、もしくはスパッタリングシステムなどのPVDシステム、薄膜転写システム(グラビア印刷システムなどの大面積パターン印刷システムを含む)、またはスロットダイ堆積システムを含むことができる。一実施形態では、アノード膜150は、100マイクロメートル以下(例えば、約1μm~約100μm、約3μm~約30μm、約20μm~約30μm、約1μm~約20μm、または約50μm~約100μm)の厚さを有する。
【0055】
[0074]工程930において、SEI膜スタックが、リチウム金属膜上に形成される。SEI膜スタックは、カルコゲナイド膜(例えば、CuS、Cu
2Se、Cu
2S、Cu
2Te、CuTe、Bi
2Te
3、またはBi
2Se
3膜)を含み、フッ化リチウム(LiF)膜が、
図6に示されたSEI膜スタック640と同様に、カルコゲナイド膜上に形成される。
【0056】
[0075]工程940において、カルコゲナイド膜が、炭酸リチウム膜上に形成される。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、Bi
2Te
3膜である。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、
図4~
図5に示すカルコゲナイド膜210である。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、工程740で説明したプロセス条件を使用して堆積される。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、500ナノメートル以下(例えば、約1nm~約400nm、約25nm~約300nm、約50nm~約200nm、約100nm~約150nm、約10nm~約80nm、または約30~約60ナノメートル)の厚さを有する。カルコゲナイド膜は、任意の適切な堆積プロセスを用いて形成することができる。一実施形態では、カルコゲナイド膜は、工程740について説明したプロセスを使用して堆積される。
【0057】
[0076]工程950において、ハロゲン化リチウム膜が、カルコゲナイド膜上に形成される。一実施形態では、ハロゲン化リチウム膜は、
図6に示すハロゲン化リチウム膜610である。一実施形態では、ハロゲン化リチウム膜は、蒸着もしくはスパッタリングなどの物理的気相堆積(PVD)、特殊原子層堆積(ALD)、スロットダイプロセス、薄膜転写プロセス、または三次元リチウム印刷プロセスによってカルコゲナイド膜上に堆積される。一実施形態では、PVDは、フッ化リチウム膜の堆積方法である。一実施形態では、ハロゲン化リチウム膜は、LiF、LiCl、LiBr、およびLiIから選択される。一実施形態では、ハロゲン化リチウム膜は、フッ化リチウム膜である。一実施形態では、ハロゲン化リチウム膜は、熱蒸着プロセスを使用して堆積される。一実施形態では、フッ化リチウム膜は、500ナノメートル以下(例えば、約1nm~約400nm、約25nm~約300nm、約50nm~約200nm、または約100nm~約150nm)の厚さを有する。
【0058】
[0077]
図10は、本明細書に記載の実施形態による固体電解質界面(SEI)膜スタックを有するアノード電極構造体を形成するための別の方法1000の一実施形態を要約したプロセスフローチャートを示す。一実施形態では、アノード電極構造体は、
図6に示される両面アノード電極構造体600である。工程1010において、基材が提供される。一実施形態では、基材は、
図11に示すような材料の連続シート1150である。一実施形態では、基材は、アノード集電体160である。基材を構成することのできる金属の例としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、ステンレス鋼、クラッド材料、これらの合金、およびこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、基材は銅材料である。一実施形態では、基材に孔があいている。さらに、基材は、任意のフォームファクタ(例えば、金属箔、シート、またはプレート)、形状、およびミクロ/マクロ構造であってもよい。
【0059】
[0078]いくつかの実施形態では、基材は、集電体の曝された表面から有機材料を除去するためのプラズマ処理またはコロナ放電プロセスのうちの少なくとも一方を含む前処理プロセスに曝される。前処理プロセスは、基材上への膜堆積の前に実行される。
【0060】
[0079]工程1020において、リチウム金属膜が、基材上に形成される。一実施形態では、リチウム金属膜は、アノード膜150であり、基材は、アノード集電体160である。一実施形態では、リチウム金属膜は、銅集電体上に形成される。いくつかの実施形態では、アノード膜が、基材上に既に存在する場合、リチウム金属膜は、アノード膜上に形成される。アノード膜150が存在しない場合、リチウム金属膜は、基材上に直接形成されてもよい。リチウム金属の薄膜を堆積させるための任意の適切なリチウム金属膜堆積プロセスを使用して、リチウム金属の薄膜を堆積させることができる。リチウム金属の薄膜の堆積は、蒸着、スパッタリングプロセスなどのPVDプロセス、スロットダイプロセス、転写プロセス、または三次元リチウム印刷プロセスによって行うことができる。リチウム金属の薄膜を堆積させるためのチャンバは、電子ビーム蒸着器、熱蒸着器、もしくはスパッタリングシステムなどのPVDシステム、薄膜転写システム(グラビア印刷システムなどの大面積パターン印刷システムを含む)、またはスロットダイ堆積システムを含むことができる。一実施形態では、アノード膜150は、100マイクロメートル以下(例えば、約1μm~約100μm、約3μm~約30μm、約20μm~約30μm、約1μm~約20μm、または約50μm~約100μm)の厚さを有する。
【0061】
[0080]工程1030において、SEI膜スタックが、リチウム金属膜上に形成される。SEI膜スタックは、ハロゲン化リチウムとカルコゲナイドの複合膜を含む。一実施形態では、SEI膜スタックは、フッ化リチウム(LiF)膜、炭酸リチウム(Li2CO3)膜、酸化リチウム膜、窒化リチウム(Li3N)膜、カルコゲナイド膜、およびそれらの組合せのうちの少なくとも1つを、さらに含む。複合膜は、カルコゲナイド材料(例えば、CuS、Cu2Se、Cu2S、Cu2Te、CuTe、Bi2Te3、またはBi2Se3膜)およびハロゲン化リチウム材料(例えば、フッ化リチウム)を含む複合膜であってもよい。
【0062】
[0081]工程1040において、ハロゲン化リチウムとカルコゲナイドの複合膜が、下にある膜(例えば、リチウム金属膜)上に形成される。一実施形態では、ハロゲン化リチウムとカルコゲナイドの複合膜は、LiFおよびBi
2Te
3複合膜である。一実施形態では、ハロゲン化リチウムとカルコゲナイドの複合膜は、
図4~
図5に示すカルコゲナイド膜210である。一実施形態では、ハロゲン化リチウムとカルコゲナイドの複合膜は、工程740に記載されたプロセス条件、工程940に記載されたプロセス条件、または工程740と940のプロセスの組み合わせを使用して堆積される。一実施形態では、ハロゲン化リチウムとカルコゲナイドの複合膜は、500ナノメートル以下(例えば、約1nm~約400nm、約25nm~約300nm、約50nm~約200nm、約100nm~約150nm、約10nm~約80nm、または約30~約60ナノメートル)の厚さを有する。ハロゲン化リチウムとカルコゲナイドの複合膜は、任意の適切な堆積プロセスを使用して形成することができる。一実施形態では、ハロゲン化リチウムとカルコゲナイドの複合膜は、蒸着またはスパッタリングなどの物理的気相堆積(PVD)、特殊原子層堆積(ALD)、スロットダイプロセス、薄膜転写プロセス、三次元リチウム印刷プロセス、またはそれらの組み合わせによって堆積される。一実施形態では、PVDは、フッ化リチウム膜の堆積方法である。
【0063】
[0082]
図11は、本明細書に記載の実施形態によるアノード電極構造体を形成するためのフレキシブル基材コーティング装置1100の概略図を示す。フレキシブル基材コーティング装置1100は、本明細書に記載の実施形態に従ってリチウムアノードデバイスを製造するように適合された、Applied Materialsによって製造されるSMARTWEB(登録商標)であってもよい。典型的な実施形態によれば、フレキシブル基材コーティング装置1100は、リチウムアノードを製造するために、詳細にはリチウムアノード用のSEI膜スタックのために使用することができる。フレキシブル基材コーティング装置1100は、巻き出しモジュール1102と、処理モジュール1104と、巻き取りモジュール1106とを含むロールツーロールシステムとして構成される。いくつかの実施形態では、処理モジュール1104は、順に配置された複数の処理モジュールまたはチャンバ1110、1120、1130、および1140を備え、それぞれが、材料の連続シート1150または材料のウェブに対して1つの処理動作を実行するように構成される。一実施形態では、
図11に示されるように、処理チャンバ1110~1140は、コーティングドラム1155の周囲に放射状に配置される。放射状以外の配置も考えられる。例えば、別の実施形態では、処理チャンバは、線形構成で配置されてもよい。
【0064】
[0083]一実施形態では、処理チャンバ1110~1140は、独立型モジュール式処理チャンバであり、各モジュール式処理チャンバは、他のモジュール式処理チャンバから構造的に分離されている。したがって、独立型モジュール式処理チャンバの各々は、互いに影響を及ぼすことなく、独立して配置、再配置、交換、または整備することができる。4つの処理チャンバ1110~1140が示されているが、任意の数の処理チャンバがフレキシブル基材コーティング装置1100に含まれてもよいことを理解されたい。
【0065】
[0084]処理チャンバ1110~1140は、フレキシブル基材コーティング装置1100が本開示の実施形態に従ってリチウムアノードデバイスを堆積させることを可能にする任意の適切な構造、構成、配置、および/または構成要素を含むことができる。例えば、限定されないが、処理チャンバは、コーティング源、電源、個々の圧力制御装置、堆積制御システム、および温度制御装置を含む適切な堆積システムを含んでもよい。典型的な実施形態によれば、チャンバには、個々のガス供給源が設けられる。チャンバは、典型的には、良好なガス分離を提供するために互いに分離される。本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基材コーティング装置1100は、堆積チャンバの数において限定されない。例えば、限定されないが、フレキシブル基材コーティング装置1100は、3、6、または12の処理チャンバを含むことができる。
【0066】
[0085]処理チャンバ1110~1140は、典型的には、1つ以上の堆積ユニット1112、1122、1132、および1142を含む。一般に、本明細書に記載されているような1つ以上の堆積ユニットは、CVD源、PECVD源、およびPVD源の群から選択することができる。1つ以上の堆積ユニットは、蒸着源、スパッタ源、例えば、マグネトロンスパッタ源、DCスパッタ源、ACスパッタ源、パルススパッタ源、高周波(RF)スパッタリング、または中周波(MF)スパッタリングを含むことができる。例えば、5kHz~100kHz、例えば、30kHz~50kHzの範囲の周波数を有するMFスパッタリングを備えることができる。1つ以上の堆積ユニットは、蒸着源を含むことができる。一実施形態では、蒸着源は、熱蒸着源または電子ビーム蒸着である。一実施形態では、蒸着源は、リチウム(Li)源である。また、蒸着源は、2種以上の金属の合金であってもよい。堆積される材料(例えば、リチウム)は、るつぼ内に設けることができる。リチウムは、例えば、熱蒸着技術または電子ビーム蒸着技術によって蒸着させることができる。
【0067】
[0086]いくつかの実施形態では、フレキシブル基材コーティング装置1100の処理チャンバ1110~1140のいずれかが、マグネトロンスパッタリングなどのスパッタリングによって堆積を行うように構成されてもよい。本明細書で使用される「マグネトロンスパッタリング」とは、磁石アセンブリ、すなわち、磁場を生成することができるユニットを使用して実行されるスパッタリングを言う。典型的には、このような磁石アセンブリは、永久磁石を含む。この永久磁石は、通常、自由電子が、回転可能なターゲット表面の下方に生成された生成磁場内にトラップされるように、回転可能なターゲット内に配置されるか、または平面ターゲットに結合される。このような磁石アセンブリはまた、平面カソードに結合されて配置されてもよい。
【0068】
[0087]マグネトロンスパッタリングは、限定されるものではないが、TwinMag(商標)カソードアセンブリなどの二重マグネトロンカソードによって実現することもできる。いくつかの実施形態では、処理チャンバ内のカソードは、交換可能であってもよい。したがって、装置のモジュール設計が提供され、これは、特定の製造プロセスのための装置の最適化を容易にする。いくつかの実施形態では、スパッタリング堆積用チャンバ内のカソードの数は、フレキシブル基材コーティング装置1100の生産性を最適化するように選択される。
【0069】
[0088]いくつかの実施形態では、処理チャンバ1110~1140のうちの1つまたはいくつかは、マグネトロンアセンブリなしでスパッタリングを実行するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、チャンバのうちの1つまたはいくつかは、限定されないが、化学気相堆積、原子レーザ堆積、またはパルスレーザ堆積などの他の方法によって堆積を実行するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、チャンバのうちの1つまたはいくつかは、プラズマ酸化またはプラズマ窒化プロセスなどのプラズマ処理プロセスを実行するように構成されてもよい。
【0070】
[0089]特定の実施形態では、処理チャンバ1110~1140は、材料の連続シート1150の両面を処理するように構成される。フレキシブル基材コーティング装置1100は、水平に配向された材料の連続シート1150を処理するように構成されるが、フレキシブル基材コーティング装置1100は、異なる配向で配置された基材を処理するように構成されてもよく、例えば、材料の連続シート1150は、垂直に配向されてもよい。特定の実施形態では、材料の連続シート1150は、フレキシブル導電性基材である。特定の実施形態では、材料の連続シート1150は、1つ以上の層が上に形成された導電性基材を含む。特定の実施形態では、導電性基材は、銅基材である。
【0071】
[0090]特定の実施形態では、フレキシブル基材コーティング装置1100は、移送機構1152を備える。移送機構1152は、処理チャンバ1110~1140の処理領域を通って材料の連続シート1150を移動させることができる任意の移送機構を含むことができる。移送機構1152は、一般的な搬送アーキテクチャを備えることができる。一般的な搬送アーキテクチャは、巻き取りモジュール1106内に配置された一般的な巻き取リール1154と、処理モジュール1104内に配置されたコーティングドラム1155と、巻き出しモジュール1102内に配置された供給リール1156とを有するリールツーリールシステムを含むことができる。巻き取りリール1154、コーティングドラム1155、および供給リール1156は、個々に加熱されてもよい。巻き取りリール1154、コーティングドラム1155および供給リール1156は、各リール内に配置された内部熱源または外部熱源を使用して個々に加熱されてもよい。一般的な搬送アーキテクチャは、巻き取りリール1154、コーティングドラム1155、および供給リール1156の間に配置された1つ以上の補助移送リール1153a、1153bを、さらに備えてもよい。フレキシブル基材コーティング装置1100は、単一の処理領域を有するものとして示されているが、特定の実施形態では、個々の処理チャンバ1110~1140ごとに分離されたまたは個別の処理領域を有することが、有利であり得る。個別の処理領域、モジュール、またはチャンバを有する実施形態では、一般的な搬送アーキテクチャは、各チャンバまたは処理領域が個々の巻き取りリールおよび供給リール、ならびに巻き取りリールと供給リールとの間に配置された1つ以上の任意選択の中間移送リールを有するリールツーリールシステムであってもよい。
【0072】
[0091]フレキシブル基材コーティング装置1100は、種々の処理チャンバ1110~1140を通して材料の連続シート1150を移動させるための供給リール1156および巻き取りリール1154を備えてもよい。一実施形態では、第1の処理チャンバ1110および第2の処理チャンバ1120は、それぞれ、リチウム金属膜の一部を堆積させるように構成される。第3の処理チャンバ1130は、カルコゲナイド膜を堆積させるように構成される。第4の処理チャンバ1140は、カルコゲナイド膜の上に酸化リチウムまたはフッ化リチウム膜を堆積させるように構成される。材料の連続シート1150がポリマー材料である別の実施形態では、第1の処理チャンバ1110は、ポリマー材料上に銅膜を堆積させるように構成される。第2の処理チャンバ1120および第3の処理チャンバ1130は、それぞれ、リチウム金属膜の一部を堆積させるように構成される。第4の処理チャンバ1140は、カルコゲナイド膜を堆積させるように構成される。いくつかの実施形態では、完成した負極は、図に示されるように巻き取りリール1154上に集められるのではなく、セパレータおよび正極等との統合に直接進み、電池セルを形成してもよい。
【0073】
[0092]一実施形態では、処理チャンバ1110~1120は、材料の連続シート1150上にリチウム金属の薄膜を堆積させるように構成される。リチウム金属の薄膜を堆積させるための任意の適切なリチウム堆積プロセスを使用して、リチウム金属の薄膜を堆積させることができる。リチウム金属の薄膜の堆積は、蒸着などのPVDプロセス、スロットダイプロセス、転写プロセス、積層プロセスまたは三次元リチウム印刷プロセスによって行われてもよい。リチウム金属の薄膜を堆積するためのチャンバは、電子ビーム蒸着器などのPVDシステム、薄膜転写システム(グラビア印刷システムなどの大面積パターン印刷システムを含む)、積層システム、またはスロットダイ堆積システムを含んでもよい。
【0074】
[0093]一実施形態では、第3の処理チャンバ1130は、リチウム金属膜上にカルコゲナイド膜を堆積させるように構成される。カルコゲナイド膜は、本明細書に記載されているようなPVDスパッタリング技術を用いて堆積させることができる。一実施形態では、第4の処理チャンバ1140は、カルコゲナイド膜上に酸化リチウム膜またはフッ化リチウム膜を形成するように構成される。リチウム金属の薄膜を堆積させるための任意の適切なリチウム堆積プロセスを使用して、リチウム金属の薄膜を堆積させることができる。リチウム金属の薄膜の堆積は、蒸着などのPVDプロセス、スロットダイプロセス、転写プロセス、積層プロセスまたは三次元リチウム印刷プロセスによって行われてもよい。一実施形態では、第4の処理チャンバ1140は、材料の連続シート1150の上にフッ化リチウム膜または酸化リチウム膜を堆積させるように構成された蒸着チャンバまたはPVDチャンバである。一実施形態では、蒸着チャンバは、るつぼ内に配置することができる蒸着源を備えるように示されている処理領域を有し、これは、例えば、真空環境内の熱蒸着器または電子ビーム蒸着器(低温)であってもよい。
【0075】
[0094]動作中、材料の連続シート1150は、矢印1108によって示される基材移動方向によって示されるように、供給リール1156から巻き出される。材料の連続シート1150は、1つ以上の補助移送リール1153a、1153bを経由して案内されてもよい。材料の連続シート1150が、例えば、フレキシブル基材の向きを微調整することによって、フレキシブル基材の適切な走行を制御する1つ以上の基材案内制御ユニット(図示せず)によって案内されることもまた、可能である。
【0076】
[0095]供給リール1156から巻き出されて、補助移送リール1153aを越えて走行した後、材料の連続シート1150は、コーティングドラム1155に設けられ、堆積ユニット1112、1122、1132、および1142の位置に対応する堆積領域を通って移動する。動作中、コーティングドラム1155は、フレキシブル基材が矢印1108の方向に移動するように、軸1151の周囲を回転する。
【0077】
[0096]実施例:
【0078】
[0097]以下の非限定的な実施例は、本明細書に記載された実施形態をさらに例示するために提供される。しかしながら、これらの実施例は、包括的であることを意図するものではなく、本明細書に記載された実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。
【0079】
[0098]リチウム試料を1.0cm2ディスクに切断して作製し、アルゴングローブボックス内でステンレス鋼ブラシで研磨した。その後、ポリプロピレンを挟んでリチウムをプレスし、美しい金属光沢の箔を得た。厚さ約160μmのリチウム箔をステンレス鋼スペーサ上に置き、移送容器を用いてPVD堆積チャンバに移した。PVD堆積チャンバ内のターゲットは、Bi38.6%、Te55.1%の組成を有するn型であった。PVD堆積チャンバをアルゴンで満たし、約150sccmの連続アルゴン流を確立した。堆積時間は約90秒であった。約25ミリトルのプロセス圧力を、PVD堆積チャンバ内に確立した。セ氏約120度の堆積温度を、PVD堆積チャンバ内に確立した。2kWの堆積電力(86.5Å/秒)を用いた。約57ミリメートルの間隔が、ターゲットとリチウム試料との間に確立された。Bi2Te3堆積プロセスの完了後、試料を、さらなる研究のためにアルゴングローブボックスに移した。堆積されたBi2Te3膜の厚さは、約50~200ナノメートルの範囲で変化した。リチウム膜およびBi2Te3膜を含むコイン状セルを組み立て、試験に供した。
【0080】
[0099]
図12A~
図12Dは、0.25mA/cm
2の電流密度での対称リチウムセル(1時間サイクル)におけるセル電圧変化対時間を示すグラフである。Li/Li対称セル研究は、Liアノードの可逆性を調べるのに優れている。
図11Aは、対照セルのセル配置を示す。対照セルは、電極として裸のリチウム箔を有するLi||Li対称セルであり、一方、
図12B~
図12Dは、上部が数ナノメートルのBi
2Te
3で覆われたリチウム箔を電極として使用するBi
2Te
3で保護されたセルを示す(Li|Bi
2Te
3||Bi
2Te
3|Li)。EC/DEC溶媒(体積比=1:1)中に1M LiPF
6を含有する標準電解質を使用した。標準電解質を有する対称セルを2032型コイン状セルとして組み立て、0.250mA/cm
2と3mA/cm
2の電流密度でサイクルさせた。サイクルが進行するにつれて、リチウムプレーティングおよびストリッピングが、リチウムの表面を連続的に変化させる。新しく保護されたセルは、Bi
2Te
3の絶縁性のために、より高いインピーダンスを示したが、形成サイクル後には、インピーダンスが低減され、性能において対照セルを上回ったことが、
図12Aおよび
図12Bから留意される。
【0081】
[00100]
図13A~
図13Bは、Bi
2Te
3修飾界面および非修飾リチウム対照を用いたLi/Li対称セルのインピーダンススペクトルのグラフである。Bi
2Te
3修飾界面を使用したLi//Li対称セルのインピーダンススペクトルが、トレース1310によって示され、対照非修飾リチウムを使用したLi//Li対称セルのインピーダンススペクトルが、トレース1320によって示される。トレース1330によって示される界面抵抗は、トレース1340によって示されるように、Bi
2Te
3修飾界面を伴った300時間のサイクル後に劇的に減少した。
【0082】
[00101]
図14は、点1410a-dによって示される電流密度0.250mA/cm
2での、および点1420a-dによって示される電流密度3mA/cm
2での、100時間分極後の、対照試料対例1から3に示されるBi
2Te
3修飾界面の電圧降下の比較を示すグラフである。比較すると、Bi
2Te
3で保護されたセルは、同じ電流密度で、400時間の安定したサイクル能力と、低い分極(≒150mV)とを示す(
図12Bおよび
図12C)。したがって、保護されたセルの優れたサイクル性は、均質なリチウム堆積物と、セル内でのリチウムおよび電解質の消費がより少ないこととを意味する。安定なサイクル性は、リチウム樹枝状結晶形成を改善および制限し、可逆性を高める際のBi
2Te
3の有効性を実証する。
【0083】
[00102]
図15Aは、リチウム対照セルのSEM画像である。
図15Bは、Bi
2Te
3で保護されたセルのSEM画像である。定電流サイクル測定からのリチウム金属電極表面の形態を走査型電子顕微鏡で分析した。
図15Aおよび15Bは、1M LiPF
6(EC:DEC 2%FEC)における50回の充放電サイクル後のリチウム表面を示す。対照リチウム金属とのリチウム電極接触は、
図15Aに示されるように、針状ナノ構造を形成し、一方、
図15Bに示されるように、Bi
2Te
3膜と接触するリチウム表面は、密で均一な電着物を形成する。これらの結果は、
図12Aにおいて観察される電圧不安定性および改善された安定性が、Bi
2Te
3の界面修飾から直接にもたらされることを実証する。
【0084】
[00103]
図16A~
図16Bは、裸のリチウム金属アノードおよびBi
2Te
3で保護されたリチウム金属アノードについての放電容量対サイクル数を示すグラフである。Bi
2Te
3修飾Liを有するLi/LiCoO
2 CR2032コイン状セルが、本明細書に記載されたアノード不動態化手順の有効性を試験するための証明プラットフォームとして用いられた。完全なセルを、アノードとしてLi金属を用い、カソードとして市販のコバルト酸リチウムを用い、電解質として1M LiPF
6(EC:DEC 2%FEC)を用いて作製した。リチウム表面上に50~100nmのBi
2Te
3を含むセルは、3mA/cm
2の高電流密度での少なくとも30回の充放電サイクルに対して改善された容量維持を提供することが、
図16Aから観察された。Bi
2Te
3によるリチウム金属の保護は、電気化学的サイクルを開始する前の休止期間中のこの自己放電を防止するだけでなく、最初の10サイクル中の容量損失をも防止し、Bi
2Te
3で保護されたアノードを使用するセルの容量は、
図16Bに示すように、無視できる量しか~3.5mAh/cm
2から下がらない。30サイクル後、裸のLi金属アノードを有するセルは、それらの初期容量の損失がより顕著であったが、一方、保護されたLi金属アノードを有するセルは、わずかな損失しかなかった。
【0085】
[00104]対照例およびBi
2Te
3でコーティングされた試料のレート特性を評価するために、電極を種々の電流での充放電サイクルに供した。放電容量値が、
図17および
図18に示されている。
図19は、種々の放電レートでの放電容量維持率を比較したグラフである。
図20は、Cレートに対する充電レート容量の変動を比較したグラフである。比較例において、材料の放電容量維持率は、非常に安定したままであり、1C放電レートで95%の容量維持率を与えることが分かる。さらに説明するために、充電容量維持率の比較が、プロットされている。この例では、リチウムが、修飾された界面の上に堆積されている。電極のBi
2Te
3コーティングは、維持率に好ましい影響を有し、対照例と比較した場合、C/10、C/5、C/2、1C、および2Cのレートで80%の容量維持率であることが、示されている。これは、Li金属上のBi
2Te
3コーティングの利点を、さらに示す。
【0086】
[00105]要約すると、本開示のいくつかの実施形態は、カルコゲナイド材料を含む安定で効率的なSEI膜、およびSEI膜を組み込んだデバイスを作製するための方法を提供する。SEI膜は、エネルギー貯蔵デバイスの製造中(例えば、エクスシトゥで)にエネルギー貯蔵デバイス内に形成される。SEI膜中にカルコゲナイド材料を含有させると、リチウム樹枝状結晶成長を抑制するのに役立つことを、本発明者らは見出した。理論によって束縛されるものではないが、リチウム樹枝状結晶成長の抑制は、エネルギー貯蔵デバイスの最初の充電中に大部分が形成されるインシトゥSEI膜に依存する現在のリチウムベースのアノードと比較して、優れたリチウム金属サイクル性能を達成するのに役立つと考えられている。
【0087】
[00106]本開示の要素、またはその例示的な態様もしくは実施形態を導入するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、要素の1つ以上が存在することを意味することが意図される。
【0088】
[00107]用語「備える」、「含む」、および「有する」は、包含的であることを意図し、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0089】
[00108]上記は、本開示の実施形態に向けられているが、本開示の他のおよびさらなる実施形態が、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード膜上にリチウム金属膜を形成することであって、前記アノード膜が、銅膜を含む集電体上に形成される、リチウム金属膜を形成することと、
ビスマスカルコゲナイド、銅カルコゲナイド、またはそれらの組み合わせの群から選択されるカルコゲナイド膜を前記リチウム金属膜上に形成することを含む、前記リチウム金属膜上に固体電解質界面(SEI)膜スタックを形成することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記アノード膜が、グラファイトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リチウム金属膜を形成することが、蒸着プロセス、スパッタリングプロセス、グラビア印刷システム、スロットダイプロセス、または三次元リチウム印刷プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記SEI膜スタックが、フッ化リチウム(LiF)膜、炭酸リチウム(Li2CO3)膜、酸化リチウム膜、窒化リチウム(Li3N)膜、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記集電体が、約2マイクロメートルと約8マイクロメートルとの間の厚さを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記集電体が、
第1のニッケルまたはクロム含有膜、
前記第1のニッケルまたはクロム含有膜上に形成され、約50ナノメートルと約500ナノメートルとの間の厚さを有する前記銅膜、および
前記銅膜上に形成され、約20ナノメートルと約50ナノメートルとの間の厚さを有する第2のニッケルまたはクロム含有膜、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記集電体が、
ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマー基材、および
前記PETポリマー基材上に形成された前記銅膜であって、物理的気相堆積プロセスによって堆積された前記銅膜、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記銅膜を含む前記集電体が、プラズマ処理またはコロナ放電プロセスに曝されて、前記集電体の曝された表面から有機材料を除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記SEI膜スタックが、前記カルコゲナイド膜上に形成されたフッ化リチウムをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カルコゲナイド膜が、CuS、Cu2Se、Cu2S、Cu2Te、CuTe、Bi2Te3、Bi2Se3、またはそれらの組み合わせの群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記SEI膜スタックが、前記カルコゲナイド膜上に形成された酸化リチウム膜を、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記SEI膜スタックが、前記酸化リチウム膜上に形成された炭酸リチウム膜を、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記カルコゲナイド膜が、前記カルコゲナイド膜の材料から構成されるターゲットに結合されたRF電源またはDC電源を有する物理的気相堆積(PVD)プロセスを用いて堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
酸素含有雰囲気において実施されるPVDプロセスを介して追加のリチウム金属膜を堆積することにより、前記カルコゲナイド膜上に酸化リチウム膜を形成することを、さらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
銅膜を含む集電体、
前記集電体上に形成されたアノード膜、
前記アノード膜上に形成されたリチウム金属膜、ならびに
前記リチウム金属膜上に形成された固体電解質界面(SEI)膜スタックであって、
酸化リチウム膜、
前記酸化リチウム膜上に形成された炭酸リチウム膜、および
前記炭酸リチウム膜上に形成されたカルコゲナイド膜、
を含み、前記カルコゲナイド膜が、ビスマスカルコゲナイド、銅カルコゲナイド、またはそれらの組み合わせの群から選択される、固体電解質界面(SEI)膜スタック、
を含むアノード電極構造体。
【請求項16】
前記SEI膜スタックが、前記リチウム金属膜と前記酸化リチウム膜との間に形成された窒化リチウム膜を、さらに含む、請求項15に記載のアノード電極構造体。
【請求項17】
前記カルコゲナイド膜が、CuS、Cu
2
Se、Cu
2
S、Cu
2
Te、CuTe、Bi
2
Te
3
、Bi
2
Se
3
、またはそれらの組み合わせの群から選択される、請求項15に記載のアノード電極構造体。
【請求項18】
前記カルコゲナイド膜が、Bi
2
Te
3
である、請求項15に記載のアノード電極構造体。
【請求項19】
前記カルコゲナイド膜が、約1ナノメートルと約400ナノメートルとの間の厚さを有する、請求項17に記載のアノード電極構造体。
【請求項20】
前記リチウム金属膜が、約1マイクロメートルと約20マイクロメートルとの間の厚さを有する、請求項19に記載のアノード電極構造体。
【外国語明細書】