(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010533
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】硬さ試験機
(51)【国際特許分類】
G01N 3/42 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
G01N3/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111175
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】沼里 龍
(72)【発明者】
【氏名】小澤 功佳
(72)【発明者】
【氏名】進藤 秀樹
(57)【要約】
【課題】圧子駆動手段と撮像手段との位置交換動作を不要にした硬さ試験機を提供することである。
【解決手段】本発明は、圧子を有し、前記圧子を試料に押し当てて前記試料の硬さ試験を行う硬さ試験機であって、前記圧子の中心を通り前記圧子の移動可能な方向に延びる軸を中心軸とし、前記圧子が前記中心軸上に配置された状態で、前記中心軸と前記試料との交点位置を撮影可能な撮影手段と、前記圧子を前記中心軸に沿って移動させることで前記圧子を前記試料に押し当てる駆動手段と、を有する、ことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧子を有し、前記圧子を試料に押し当てて前記試料の硬さ試験を行う硬さ試験機であって、
前記圧子の中心を通り前記圧子の移動可能な方向に延びる軸を中心軸とし、
前記圧子が前記中心軸上に配置された状態で、前記中心軸と前記試料との交点位置を撮影可能な撮影手段と、
前記圧子を前記中心軸に沿って移動させることで前記圧子を前記試料に押し当てる駆動手段と、
を有する、
ことを特徴とする硬さ試験機。
【請求項2】
前記撮影手段は、画像を撮像する撮像素子と、前記交点位置から前記撮像素子までの光路を形成する光学系と、を有し、
前記撮像素子は、前記中心軸上に配置され、
前記光学系は、前記交点位置で焦点を結ぶ、
ことを特徴とする請求項1に記載の硬さ試験機。
【請求項3】
前記圧子は、前記試料に押し当てられる先端部と、前記先端部から軸方向一方側に延びる軸部と、を有し、
前記光学系は、前記軸部が貫通する貫通孔を有するレンズ部材を有し、
前記レンズ部材は、前記交点位置で焦点を結ぶ、
ことを特徴とする請求項2に記載の硬さ試験機。
【請求項4】
前記撮影手段は、画像を撮像する撮像素子と、前記交点位置から前記撮像素子までの光路を形成する光学系と、を有し、
前記撮像素子は、前記中心軸の径方向外側に配置され、
前記光学系は、前記交点位置で焦点を結ぶ、
ことを特徴とする請求項1に記載の硬さ試験機。
【請求項5】
前記光学系は、前記交点位置からの光束を前記撮像素子に向けて反射する反射部材を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の硬さ試験機。
【請求項6】
前記圧子は、前記試料に押し当てられる先端部と、前記先端部から軸方向一方側に延びる軸部と、を有し、
前記反射部材は、前記軸部が貫通する貫通孔を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の硬さ試験機。
【請求項7】
前記圧子は、前記試料に押し当てられる先端部と、前記先端部から軸方向一方側に延びる軸部と、を有し、
前記反射部材は、前記軸部の径方向外側の少なくとも一部に配置される、
ことを特徴とする請求項5に記載の硬さ試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の試験位置に圧子を押し当てて試料の硬さを試験する硬さ試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試料の試験位置に圧子を押し当て、これにより試験位置に形成されたくぼみの大きさを測定することにより、試料の硬さを試験する硬さ試験機が知られている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1では、ターレット5に、周方向位置を異ならせて圧子機構6とくぼみ測定用レンズ7を配置し、ターレット5を回転させることで、試料の試験位置に圧子機構6を対向配置した状態と、試料の試験位置にくぼみ測定用レンズ7を対向配置した状態とを切り替え可能な構成を開示している。
【0004】
また、特許文献2では、ターレット4に、周方向位置を異ならせて圧痕形成手段23と対物レンズ5、15を配置し、ターレット4を回転させることで、試料の試験位置に圧痕形成手段23を対向配置した状態と、試料の試験位置に対物レンズ5、15を対向配置した状態とを切り替え可能な構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-241984号公報
【特許文献2】特開2004-184211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の硬さ試験機では、撮影用のレンズを試料に対向させた状態で試料を撮影して、圧子が押し当てられる位置を確認した後に、ターレットを回転させることで圧子を試料に対向する位置に移動させて、圧子を試料に押し当てていた。このため、従来は、ターレットを回転させるような、圧子を試料に押し当てる圧子駆動手段と試料の試験位置を撮影する撮像手段との位置交換動作が必要であり、この位置交換動作で位置ずれが生じることにより、圧子を押し当てる位置が目標位置とずれてしまうことがあるという問題があった。
【0007】
また、従来の硬さ試験機では、圧子駆動手段と撮像手段との位置交換動作が必要であるため、硬さ試験に要する時間が余計にかかるという問題があった。
【0008】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、圧子駆動手段と撮像手段との位置交換動作を不要にした硬さ試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、圧子を有し、前記圧子を試料に押し当てて前記試料の硬さ試験を行う硬さ試験機であって、前記圧子の中心を通り前記圧子の移動可能な方向に延びる軸を中心軸とし、前記圧子が前記中心軸上に配置された状態で、前記中心軸と前記試料との交点位置を撮影可能な撮影手段と、前記圧子を前記中心軸に沿って移動させることで前記圧子を前記試料に押し当てる駆動手段と、を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、圧子が中心軸上に配置された状態で試料を撮影して、圧子が押し当てられる位置を確認した後に、圧子を中心軸からずらさずに試料に押し当てることができるので、より正確に狙った試験位置に対して硬さ試験をすることができる。また、従来のような試験位置を確認した後の撮影手段と圧子駆動手段との位置交換動作、及び、圧子を試料に押し当てた後の圧子駆動手段と撮像手段との位置交換動作が不要になり、硬さ試験に要する時間を短縮することができる。
【0010】
また本発明の好ましい態様は、硬さ試験機において、前記撮影手段は、画像を撮像する撮像素子と、前記交点位置から前記撮像素子までの光路を形成する光学系と、を有し、前記撮像素子は、前記中心軸上に配置され、前記光学系は、前記交点位置で焦点を結ぶ、ことを特徴とする。
本発明によれば、試験位置を中心軸方向から撮影することができるので、撮影手段を径方向外側から除くことができ、中心軸の径方向のサイズを小型化することができる。
【0011】
また本発明の好ましい態様は、硬さ試験機において、前記圧子は、前記試料に押し当てられる先端部と、前記先端部から軸方向一方側に延びる軸部と、を有し、前記光学系は、前記軸部が貫通する貫通孔を有するレンズ部材を有し、前記レンズ部材は、前記交点位置で焦点を結ぶ、ことを特徴とする。
本発明によれば、軸部の径方向外側の周囲に配置されたレンズ部材によって、より多くの光を集光することができるので、より正確に試験位置を確認することができる。
【0012】
また本発明の好ましい態様は、硬さ試験機において、前記撮影手段は、画像を撮像する撮像素子と、前記交点位置から前記撮像素子までの光路を形成する光学系と、を有し、前記撮像素子は、前記中心軸の径方向外側に配置され、前記光学系は、前記交点位置で焦点を結ぶ、ことを特徴とする。
本発明によれば、試験位置を中心軸からずれた方向から撮影することができるので、撮影手段を軸方向から除くことができ、中心軸の軸方向のサイズを小型化することができる。
【0013】
また本発明の好ましい態様は、硬さ試験機において、前記光学系は、前記交点位置からの光束を前記撮像素子に向けて反射する反射部材を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、反射部材により光路を変更することができ、試験位置を中心軸からずれた方向から撮影することができるので、撮影手段を軸方向から除くことができ、中心軸の軸方向のサイズを小型化することができる。
【0014】
また本発明の好ましい態様は、硬さ試験機において、前記圧子は、前記試料に押し当てられる先端部と、前記先端部から軸方向一方側に延びる軸部と、を有し、前記反射部材は、前記軸部が貫通する貫通孔を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、軸部の径方向外側の全周に亘って配置された反射部材によって、より多くの光を撮像素子に向けて反射することができるので、より正確に試験位置を確認することができる。
【0015】
また本発明の好ましい態様は、硬さ試験機において、前記圧子は、前記試料に押し当てられる先端部と、前記先端部から軸方向一方側に延びる軸部と、を有し、前記反射部材は、前記軸部の径方向外側の少なくとも一部に配置される、ことを特徴とする。
本発明によれば、軸部の径方向外側の少なくとも一部に配置された反射部材によって、光を撮像素子に向けて反射することができるので、より正確に試験位置を確認することができる。また、軸部のまわりに空間を確保することで硬さ試験するときの試料形状の自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、圧子駆動手段と撮像手段との位置交換動作を不要にした硬さ試験機を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例1に係る硬さ試験機の概略を示す正面図である。
【
図2】
図1の硬さ試験機1を+X側から見た側面図である。
【
図3】
図2の硬さ試験機1から、支持部13、カメラ30及びレンズ40を取り除いて示す側面図である。
【
図4】硬さ試験機1を中心軸Jに沿って見た図である。
【
図5】レンズ40を別のレンズに交換する構造の例を示す図である。
【
図6】本発明の実施例3に係る硬さ試験機の概略を示す正面図である。
【
図7】本発明の実施例4に係る硬さ試験機の概略を示す正面図である。
【
図8】本発明の実施例5に係る硬さ試験機の概略を示す正面図である。
【
図9】
図8の硬さ試験機301を+X側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る硬さ試験機について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺、数等を異ならせる場合がある。
【0019】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、
図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、中心軸Jに対する径方向のうち
図1の左右方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のいずれにおいても、図中に示す矢印が指す側を+側、反対側を-側とする。
【0020】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「一方側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側)を「他方側」と呼ぶ。なお、一方側及び他方側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と呼ぶ。径方向において中心軸Jに近づく側を「径方向内側」と呼び、中心軸Jから遠ざかる側を「径方向外側」と呼ぶ。
【0021】
なお、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また「平行」とは、厳密に平行な場合に加えて、互いに成す角が45°未満の範囲で傾いた場合も含む。
【実施例0022】
(硬さ試験機1の構造)
図1は、本発明の実施例1に係る硬さ試験機の概略を示す正面図である。
硬さ試験機1は、硬さ試験の対象である試料22を載置する台座部10と、試料22に押し当てる圧子17を保持する荷重装置12と、荷重装置12を支持する支柱部11と、を有して構成される。硬さ試験機1は、既知の如何なる硬さ試験機であってもよい。例えば、硬さ試験機1は、ロックウェル硬さ試験機、ビッカース硬さ試験機、及びブリネル硬さ試験機の少なくとも一つの硬さ試験機の機能を有する。
図1(A)は、圧子17を押し当てる試料22の試験位置を確認している状態を示す図である。
図1(B)は、試料22に圧子17を押し当てた状態を示す図である。
図2は、
図1の硬さ試験機1を+X側から見た側面図である。
【0023】
(台座部10の構造)
硬さ試験機1は、台座部10の上に配置したステージ20を有する。試料台21は、ステージ20の上に載置される。試料22は、試料台21の上に載置される。試料22は、硬さ試験の対象物である。試料22は、試料台21を介してステージ20に固定される。ステージ20は、X軸方向及びY軸方向に移動可能に構成されている。硬さ試験機1は、ステージ20をX軸方向及びY軸方向に動かすことで、試料22をX軸方向及びY軸方向に動かすことができ、これにより圧子17を押し当てる試料22の試験位置を調節することができる。
【0024】
(支柱部11の構造)
支柱部11は、台座部10に固定される。本実施例では、支柱部11は、台座部10と一体である。支柱部11は、荷重装置12を支持する。支柱部11は、荷重装置12に上下動(Z軸方向の移動)をさせる駆動手段11aを有する。駆動手段は、予め定めた大きさの力で、荷重装置12が有する圧子17を試料22に押し当てることができる。駆動手段11aとしては、既知の如何なる手段を用いてもよい。駆動手段11aは、圧子駆動手段の一例である。
図1(A)の状態のとき、荷重装置12はZ軸方向において初期位置に位置する。駆動手段11aは、荷重装置12のZ軸方向位置を検出することができる。
支柱部11は、操作者が硬さ試験機1を操作する操作パネルを備えていてもよい。硬さ試験機1は、外部と通信し、外部からの指示によって動作を制御されるものであってもよい。
【0025】
(荷重装置12の構造)
荷重装置12は、画像を撮像するカメラ30と、カメラ30の対物レンズであるレンズ40と、を有する。荷重装置12は、カメラ30を支持する支持部13を有する。支持部13は、中心軸Jから+X側に延びる第一腕部13aと、第一腕部13aの+X側端部から-Z側に延びる第二腕部13bと、を有する。支持部13は、第二腕部13bの軸方向他方側でカメラ30を支持する。カメラ30は、中心軸Jの径方向外側に配置される。支持部13は、カメラ30が撮像する方向を、Y軸と直交する面と平行な方向で調整可能な調整つまみ13cを有する。カメラ30は、荷重装置12が初期位置に位置するときに、中心軸Jと試料22との交点位置及びその近傍を撮影可能な向きで固定される。カメラ30が撮像する方向は、手動で調整つまみ13cで調整するものでもよいし、モータ等によってカメラ30の向きを調整するものであってもよい。
【0026】
図3は、
図2の硬さ試験機1から、支持部13、カメラ30及びレンズ40を取り除いて示す側面図である。
図4は、硬さ試験機1を中心軸Jに沿って見た図である。
図4(A)は圧子17の近傍を-Z側から見た図であり、
図4(B)は試料22の近傍を+Z側から見た図である。
【0027】
荷重装置12は、圧子17を有する。圧子17は、試料22に押し当てられる先端部16と、先端部16から軸方向一方側に延びる軸部15と、を有する。荷重装置12は、保持部14を有する。保持部14は、筒形状であり、筒穴に圧子17の軸部15が挿入されることで圧子17を保持する。圧子17の先端部16は、中心軸J上に配置される。駆動手段11aによって荷重装置12がZ軸方向に移動するとき、先端部16は、中心軸Jに沿って移動する。保持部14は、軸方向他方側の端面に鏡面14aを有する。鏡面14aは、軸部15が貫通する貫通孔を有する。鏡面14aは、軸部15の径方向外側において周方向全周に亘って配置される。鏡面14aは、中心軸Jと試料22との交点位置からの光束L1をカメラ30に向けて反射する。操作者は、試料22の軸方向一方側の面のうち硬さ試験を行いたい場所である位置22aが、中心軸Jと試料22との交点位置にくるようにステージ20を駆動する。
カメラ30は撮像素子の一例である。カメラ30は、CCD又はCMOSなどのイメージセンサを有する。鏡面14aを有する保持部14及びレンズ40は、中心軸Jと試料22との交点位置からカメラ30までの光路を形成する光学系の一例である。鏡面14aを有する保持部14は反射部材の一例である。鏡面14a及びレンズ40は、中心軸Jと試料22との交点位置で焦点を結ぶ。
【0028】
(硬さ試験機1の動作)
硬さ試験機1による、硬さ試験の手順の一例について説明する。
まず硬さ試験機1は、例えば電源ONなどのタイミングで、駆動手段11aにより、荷重装置12を初期位置に移動する。硬さ試験機1は、前回の硬さ試験を行った後に、電源OFFする際に、駆動手段11aにより、荷重装置12を初期位置に移動するようにしてもよい。続いて、操作者は、硬さ試験を実施する試料22を試料台21の上に載置する。
【0029】
次に操作者は、試料22の軸方向一方側の面のうち硬さ試験を行いたい場所である位置22aが、中心軸Jと試料22との交点位置にくるようにステージ20を駆動する。このとき、カメラ30は、中心軸Jと試料22との交点位置を撮像しており、操作者は、カメラ30による撮像画像を参照しながら、ステージ20を駆動する。
なお、位置22aに着色するなどのマーキングをしておき、硬さ試験機1は、カメラ30による撮像画像において、マーキング位置が中心軸Jと試料22との交点位置にくるようにステージ20を自動制御してもよい。
【0030】
位置22aが中心軸Jと試料22との交点位置に移動した後、硬さ試験機1は、駆動手段11aにより、荷重装置12を-Z側に移動させ、所定の大きさの力で圧子17の先端部16を試料22に押し当てる。続いて、硬さ試験機1は、駆動手段11aにより、荷重装置12を+Z側に移動させ、初期位置に戻す。硬さ試験機1は、荷重装置12が初期位置に戻った状態で、カメラ30により、中心軸Jと試料22との交点位置を撮像する。中心軸Jと試料22との交点位置において、試料22には、圧子17の先端部16を押し当てられたことによるくぼみが形成されている。カメラ30はこのくぼみを撮像する。硬さ試験機1は、カメラ30により撮像したくぼみの大きさにより試料22の硬さについての情報を得ることができる。
【0031】
本実施例によれば、中心軸Jと試料22との交点位置に位置22a(目標位置すなわち試験位置)があることを、カメラ30によって確認した後に、そのまま圧子17を中心軸Jに沿って移動させるので、従来のような圧子駆動手段と撮像手段との位置交換動作は不要であり、試料22の目標位置に正確に圧子17を押し当てることができる。
また本実施例によれば、圧子17を試料22に押し当てた後にくぼみを撮像する際にも、従来のような圧子駆動手段と撮像手段との位置交換動作は不要であるので、カメラ30によって正確にくぼみの位置を撮像することができる。
また本実施例によれば、試験位置を中心軸Jからずれた方向から撮影することができるので、カメラ30を軸方向から除くことができ、硬さ試験機1の軸方向のサイズを小型化することができる。