(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105448
(43)【公開日】2022-07-14
(54)【発明の名称】検査装置、及び加工装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20220707BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
G01N21/956 A
H01L21/68 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000263
(22)【出願日】2021-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】美細津 祐成
【テーマコード(参考)】
2G051
5F131
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051CA03
2G051CA04
2G051CD03
2G051DA07
2G051EA12
2G051EA14
5F131AA02
5F131BA39
5F131BA52
5F131EA05
5F131EB02
(57)【要約】
【課題】載置部越しに被検査物を良好に撮像することができること。
【解決手段】検査装置300は、上面が被加工物を載置する載置面311となる透明体314を有する載置部312を有し、被加工物を保持する被検査物保持機構310と、載置部312の上方に配置された第1の撮像ユニット342と、載置部312の下方に配置された第2の撮像ユニットとを有する撮像機構340と、載置面311の上方に配置されエア353を噴射するエア噴射ユニット350と、エア噴射ユニット350を載置部312に対して相対的に移動させる保持機構移動ユニット331とを備える。エア噴射ユニット350は、エアカーテン355のY軸方向の長さが、載置面311のY軸方向の長さよりも長く形成されて、保持機構移動ユニット331により載置部312に対して相対的に移動されることで、載置面311全体にエア353を吹き付けることが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を検査する検査装置であって、
上下に露出した透明体を有する載置部を有し、該透明体の上面が被検査物を載置する載置面となり、該載置面に載せられた該被検査物を保持する被検査物保持機構と、
該載置部の上方に配置された第1の撮像ユニットと、該載置部の下方に配置された第2の撮像ユニットと、を有する撮像機構と、
該載置面の上方に配置され該被検査物の上方からエアを噴射するエア噴射ユニットと、
該エア噴射ユニットを該載置部に対して該載置面に平行な方向に相対的に移動させる移動ユニットと、
を備え、
該エア噴射ユニットは、噴射するエアで構成されるエアカーテンの該移動ユニットによって該載置部に対して相対的に移動される方向に交差する方向の長さが、該載置面の該交差する方向の長さよりも長く形成されて、該移動ユニットにより該載置部に対して相対的に移動されることで、該載置面全体に該エアを吹き付けることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
該被検査物は、
環状フレームの開口にテープを介して貼着され、
該被検査物保持機構は、
該被検査物保持機構に載せられた該被検査物の外周と、該被検査物に該テープを介して装着された該環状フレームの内周と、の間の領域において、該テープを吸引保持できるテープ吸引保持面を該載置面の外周側に備えるテープ保持部と、
該テープ保持部の周囲に配置され、該環状フレームを支持できるフレーム支持部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の検査装置と、
被加工物を保持する被加工物保持ユニットと、
該被加工物保持ユニットで保持された該被加工物を加工する加工ユニットと、
該被加工物保持ユニットから該被検査物保持機構の該載置部へと該被加工物を搬送する搬送ユニットと、を備えた加工装置であって、
該検査装置は、該加工ユニットで加工された該被加工物を該被検査物として該撮像機構により撮像できることを特徴とする加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物の表裏面を撮像して検査する検査装置、及び加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査物を透明の載置部にのせ、表裏面を撮像して撮像した画像から各種の検査を行う検査装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された検査装置は、被検査物の載置部に保持された側の面も載置部越しに撮像するため、載置部の被検査物が載置される載置面の被検査物が重ねられる領域に吸引溝があることは好ましくない。
【0005】
また、特許文献1に記載された検査装置は、被検査物が表面にデバイス領域と該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域を有する場合、載置面の少なくともデバイス領域が重ねられる領域には、吸引溝がある事は好ましくない。
【0006】
よって、特許文献1に記載された検査装置は、載置面の被検査物を保持するテープ又は被検査物の外周余剰領域を保持する領域に吸引溝を形成するが、吸引溝で被検査物を吸引するとき吸引溝より内側の被検査物と載置面との間に空気が封止されてしまい、載置部越しに被検査物の載置面側を良好に撮像する事ができないことがある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、載置部越しに被検査物を良好に撮像することができる検査装置、及び加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の検査装置は、被検査物を検査する検査装置であって、上下に露出した透明体を有する載置部を有し、該透明体の上面が被検査物を載置する載置面となり、該載置面に載せられた該被検査物を保持する被検査物保持機構と、該載置部の上方に配置された第1の撮像ユニットと、該載置部の下方に配置された第2の撮像ユニットと、を有する撮像機構と、該載置面の上方に配置され該被検査物の上方からエアを噴射するエア噴射ユニットと、該エア噴射ユニットを該載置部に対して該載置面に平行な方向に相対的に移動させる移動ユニットと、を備え、該エア噴射ユニットは、噴射するエアで構成されるエアカーテンの該移動ユニットによって該載置部に対して相対的に移動される方向に交差する方向の長さが、該載置面の該交差する方向の長さよりも長く形成されて、該移動ユニットにより該載置部に対して相対的に移動されることで、該載置面全体に該エアを吹き付けることを特徴とする。
【0009】
前記検査装置において、該被検査物は、環状フレームの開口にテープを介して貼着され、該被検査物保持機構は、該被検査物保持機構に載せられた該被検査物の外周と、該被検査物に該テープを介して装着された該環状フレームの内周と、の間の領域において、該テープを吸引保持できるテープ吸引保持面を該載置面の外周側に備えるテープ保持部と、該テープ保持部の周囲に配置され、該環状フレームを支持できるフレーム支持部と、を備えても良い。
【0010】
本発明の加工装置は、前記検査装置と、被加工物を保持する被加工物保持ユニットと、該被加工物保持ユニットで保持された該被加工物を加工する加工ユニットと、該被加工物保持ユニットから該被検査物保持機構の該載置部へと該被加工物を搬送する搬送ユニットと、を備えた加工装置であって、該検査装置は、該加工ユニットで加工された該被加工物を該被検査物として該撮像機構により撮像できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、載置部越しに被検査物を良好に撮像することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された加工装置の検査装置の構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示された検査装置の被検査物保持機構の平面図である。
【
図5】
図5は、
図3に示された被検査物保持機構が載置面に被加工物が載置された状態の平面図である。
【
図7】
図7は、
図2に示された検査装置の撮像機構を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図2に示された検査装置のエア噴射ユニットの構成を示す図である。
【
図9】
図9は、
図8に示されたエア噴射ユニットのエア噴射部材を下方からみた斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態2に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る検査装置及び加工装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示された加工装置の検査装置の構成例を示す斜視図である。
【0015】
(被加工物)
実施形態1に係る
図1に示す加工装置1は、被加工物200を切削加工(加工に相当)する切削装置である。
図1に示す加工装置1の加工対象の被加工物200は、シリコン、ガリウムヒ素、SiC(炭化ケイ素)又はサファイア、などを基板とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハなどのウェーハである。被加工物200は、表面201に格子状に複数の分割予定ライン202が形成され、複数の分割予定ライン202によって区画された各領域にデバイス203が形成されている。デバイス203は、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサである。
【0016】
また、本発明では、被加工物200は、中央部が薄化され、外周部に厚肉部が形成された所謂TAIKO(登録商標)ウェーハでも良い。実施形態1において、被加工物200は、表面201の裏側の裏面204が外周縁に環状フレーム205が装着されたテープ206に貼着されて、環状フレーム205の開口208内にテープ206を介して貼着される。テープ206は、非粘着性と可撓性を有する樹脂で構成された基材層と、基材層に積層されかつ粘着性と可撓性を有する樹脂で構成された糊層とを備え、全体として可撓性を有している。
【0017】
実施形態1に係る被加工物200は、分割予定ライン202に沿って、個々のチップ207に分割される。なお、チップ207は、基板の一部分と、基板上に形成されたデバイス203とを含む。
【0018】
(加工装置)
図1に示された加工装置1は、被加工物200を被加工物保持ユニット10で保持し分割予定ライン202に沿って切削ブレード21で切削加工して、被加工物200を個々のチップ207に分割する切削装置である。また、加工装置1は、分割後のチップ207を検査する装置でもある。
【0019】
加工装置1は、被加工物200を保持面11で吸引保持する被加工物保持ユニット10と、スピンドル23に固定された切削ブレード21によって、被加工物保持ユニット10に保持された被加工物200を分割予定ライン202に沿って切削加工し、複数のチップ207に分割する切削ユニット20と、被加工物保持ユニット10に保持された被加工物200を撮影する図示しない撮像ユニットと、検査装置300と、制御ユニット100と、を備える。
【0020】
また、加工装置1は、
図2に示すように、被加工物保持ユニット10と切削ユニット20のスピンドル23とを相対移動させる移動ユニット30を備える。移動ユニット30は、被加工物保持ユニット10を水平方向と平行なX軸方向に加工送りする加工送りユニット31と、切削ユニット20を水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りする割り出し送りユニット32と、切削ユニット20をX軸方向とY軸方向との双方と直交する鉛直方向に平行なZ軸方向に切り込み送りする切り込み送りユニット33と、被加工物保持ユニット10をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転移動ユニット34とを少なくとも備える。
【0021】
加工送りユニット31は、被加工物保持ユニット10及び回転移動ユニット34を加工送り方向であるX軸方向に移動させることで、切削ユニット20と被加工物保持ユニット10とを相対的にX軸方向に沿って移動させるものである。割り出し送りユニット32は、切削ユニット20を割り出し送り方向であるY軸方向に移動させることで、切削ユニット20と被加工物保持ユニット10とを相対的にY軸方向に沿って移動させるものである。切り込み送りユニット33は、切削ユニット20を切り込み送り方向であるZ軸方向に移動させることで、切削ユニット20と被加工物保持ユニット10とを相対的にZ軸方向に沿って移動させるものである。回転移動ユニット34は、加工送りユニット31に支持され、被加工物保持ユニット10を支持して、被加工物保持ユニット10とともにX軸方向に移動自在に配設されている。
【0022】
加工送りユニット31、割り出し送りユニット32及び切り込み送りユニット33は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び被加工物保持ユニット10又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0023】
被加工物保持ユニット10は、円盤形状であり、被加工物200を保持する保持面11がポーラスセラミック等から形成されている。また、被加工物保持ユニット10は、加工送りユニット31により切削ユニット20の下方の加工領域と、切削ユニット20の下方から離間して被加工物200が搬入出される搬入出領域とに亘って移動自在に設けられることで、X軸方向に移動自在に設けられている。
【0024】
被加工物保持ユニット10は、回転移動ユニット34によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。被加工物保持ユニット10は、図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源より吸引されることで、保持面11に載置された被加工物200を吸引、保持する。実施形態1では、被加工物保持ユニット10は、テープ206を介して被加工物200の裏面204側を吸引、保持する。また、被加工物保持ユニット10の周囲には、
図1に示すように、環状フレーム205をクランプするクランプ部12が複数設けられている。
【0025】
切削ユニット20は、切削ブレード21がスピンドル23に装着され、被加工物保持ユニット10に保持された被加工物200を切削加工する加工ユニットである。加工装置1は、
図1に示すように、切削ユニット20を2つ備えた、即ち、2スピンドルのダイサ、いわゆるフェイシングデュアルタイプの切削装置である。
【0026】
切削ユニット20は、それぞれ、被加工物保持ユニット10に保持された被加工物200に対して、割り出し送りユニット32によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、切り込み送りユニット33によりZ軸方向に移動自在に設けられている。切削ユニット20は、割り出し送りユニット32及び切り込み送りユニット33により、被加工物保持ユニット10の保持面11の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。
【0027】
切削ユニット20は、割り出し送りユニット32及び切り込み送りユニット33によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転自在に設けられかつスピンドルモータにより回転されるとともに先端に切削ブレード21が装着されるスピンドル23と、被加工物保持ユニット10で保持された被加工物200を切削する切削ブレード21とを備える。切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。切削ユニット20のスピンドル23及び切削ブレード21の軸心は、Y軸方向と平行に設定されている。
【0028】
撮像ユニットは、切削ユニット20と一体的に移動するように、一方の切削ユニット20に固定されている。撮像ユニットは、被加工物保持ユニット10に保持された切削前の被加工物200の分割すべき領域を撮影する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニットは、被加工物保持ユニット10に保持された被加工物200を撮影して、被加工物200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0029】
また、加工装置1は、被加工物保持ユニット10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、被加工物保持ユニット10のX軸方向、切削ユニット20の切削ユニット20のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニット100に出力する。
【0030】
なお、実施形態1では、加工装置1の被加工物保持ユニット10及び切削ユニット20のX軸方向の位置、Y軸方向及びZ軸方向の位置は、予め定められた図示しない基準位置に基づいて定められる。実施形態1では、X軸方向の位置、Y軸方向及びZ軸方向の位置は、基準位置からのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の距離で定められる。
【0031】
また、加工装置1は、切削加工前後の被加工物200を複数枚収容するカセット40が載置されかつカセット40をZ軸方向に移動させるカセットエレベータ41と、切削加工後の被加工物200を洗浄する洗浄ユニット42と、カセット40に被加工物200を出し入れするとともに被加工物200をカセット40、被加工物保持ユニット10、洗浄ユニット42及び検査装置300の被検査物保持機構310との間で搬送する搬送ユニット43とを備える。即ち、搬送ユニット43は、被加工物保持ユニット10から切削加工後の被加工物200を洗浄ユニット42に搬送し、洗浄ユニット42から被検査物保持機構310の載置部312へと被加工物200を搬送する。
【0032】
(検査装置)
次に、検査装置300を説明する。
図3は、
図2に示された検査装置の被検査物保持機構の平面図である。
図4は、
図3中のIV-IV線に沿う断面図である。
図5は、
図3に示された被検査物保持機構が載置面に被加工物が載置された状態の平面図である。
図6は、
図6中のVI-VI線に沿う断面図である。
図7は、
図2に示された検査装置の撮像機構を示す斜視図である。
図8は、
図2に示された検査装置のエア噴射ユニットの構成を示す図である。
図9は、
図8に示されたエア噴射ユニットのエア噴射部材を下方からみた斜視図である。
【0033】
図2に示す実施形態1に係る検査装置300は、切削加工後の被加工物200が被検査物保持機構310に搬入されて、切削加工後の被加工物200を撮像機構340で撮像して、被加工物200を検査する検査装置である。即ち、切削加工後の被加工物200は、検査装置300の検査対象であり、検査装置300は、切削ユニット20で切削加工された被加工物200を被検査物として、撮像機構340により撮像することができる。
【0034】
実施形態1では、検査装置300は、切削加工後の被加工物200の検査として、チップ207の表面201及び裏面204それぞれの欠け(以下、チッピングと記す)を検出する。チッピングは、切削加工時にチップ207の一部分が表面201又は裏面204の外縁から欠けることにより形成されるものである。
【0035】
検査装置300は、
図2に示すように、装置本体301と、切削加工後の被加工物200を保持する透明な載置面311を含む被検査物保持機構310と、移動ユニット330と、撮像機構340と、エア噴射ユニット350とを備える。
【0036】
移動ユニット330は、被検査物保持機構310と撮像機構340とを相対的に移動させるものであって、
図2に示すように、保持機構移動ユニット331と、撮像ユニット移動ユニット332とを備える。
【0037】
保持機構移動ユニット331は、被検査物保持機構310をX軸方向に移動させることで、被検査物保持機構310と撮像機構340とをX軸方向に相対的に移動させるものである。保持機構移動ユニット331は、被検査物保持機構310に被加工物200が搬送ユニット43により搬入出される搬入出領域と、被検査物保持機構310に保持された被加工物200のチップ207が検査される検査領域とに亘って被検査物保持機構310をX軸方向に移動させる。なお、実施形態1において、保持機構移動ユニット331が被検査物保持機構310を移動させる移動距離は、被検査物保持機構310の載置部312の載置面311の外径よりも長く、載置面311の外径の数倍程度である。
【0038】
撮像ユニット移動ユニット332は、撮像機構340をY軸方向に移動させることで、被検査物保持機構310と撮像機構340とをY軸方向に相対的に移動させるものである。
【0039】
保持機構移動ユニット331、及び撮像ユニット移動ユニット332は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び被加工物保持ユニット10又は撮像機構340をX軸方向又はY軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0040】
実施形態1では、保持機構移動ユニット331は、ボールねじとガイドレールとが装置本体301の上面の開口302をY軸方向に互いの間に位置付けて、装置本体301の上面に配置されている。また、実施形態1では、保持機構移動ユニット331は、軸心周りに回転するボールねじによりX軸方向に移動するとともに、被検査物保持機構310のY軸方向の一端部を支持する第1支持部材333と、ガイドレールによりX軸方向に移動自在に設けられているとともに、被検査物保持機構310のY軸方向の他端部を支持する第2支持部材334と、を備える。
【0041】
実施形態1では、撮像ユニット移動ユニット332は、ボールねじとガイドレールとが、装置本体301の上面上の門型の支持フレーム303上に配置されている。支持フレーム303は、開口302、保持機構移動ユニット331のボールねじ及びガイドレールを跨って、装置本体301の上面のX軸方向即ち保持機構移動ユニット331が被検査物保持機構310を移動させる移動範囲の中央に配置されている。
【0042】
また、撮像ユニット移動ユニット332は、軸心周りに回転するボールねじによりY軸方向に移動し、かつガイドレールによりY軸方向に移動自在に設けられているとともに、撮像機構340を支持する支持部材335を備える。
【0043】
被検査物保持機構310は、載置面311上に載せられた被加工物200を保持するものである。被検査物保持機構310は、
図3及び
図4に示すように、円板状の載置部312と、吸引保持部313とを有している。載置部312は、
図3及び
図4に示すように、円板状の透明体314と、透明体314の外縁を保持する円環状の枠体315とを備える。
【0044】
透明体314は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム等の透明な材料から構成されて、厚みが一定の円板状に形成されている。透明体314は、外縁が枠体315に支持されて、被検査物保持機構310の上下に露出している。透明体314の上面は、被加工物200を載置して、保持する載置面311となる。透明体314は、載置面311が水平方向に沿って平坦に形成されている。実施形態1では、透明体314は、載置面311上にテープ206を介して被加工物200の裏面204側が載置される。載置面311は、被加工物200の貼着されたテープ206を介して被加工物200を保持する。
【0045】
枠体315は、例えば、ステンレス鋼等の金属から構成される。枠体315は、内径が透明体314の外径と等しく形成されて、透明体314の外縁に取り付けられている。枠体315の上面316は、水平方向に沿って平坦に形成され、載置面311と同一平面上に配置されている。枠体315は、両端部が第1支持部材333と第2支持部材334とに支持されている。
【0046】
吸引保持部313は、枠体315の上面316の内縁部に設けられた吸引溝317と、枠体315等を貫通した吸引路318を介して吸引溝317と連通した吸引源319とを備える。実施形態1では、吸引溝317は、枠体315の上面316から凹でかつ平面形状が円環状の溝である。実施形態1では、吸引溝317は、枠体315の上面316の内縁部に互いに同軸に複数(実施形態3では、三つ)設けられ、連通溝320(
図3に示す)により互いに連通している。吸引源319は、吸引路318を通して、吸引溝317を吸引する。
【0047】
前述した構成の被検査物保持機構310は、
図5及び
図6に示すように、載置面311及び上面316に切削加工後の被加工物200の裏面204に貼着したテープ206が載置されて、載置面311上にテープ206を介して切削加工後の被加工物200が載置される。載置面311に被加工物200が載置されると、枠体315の上面316に環状フレーム205がテープ206を介して載置され、載置面311に被加工物200がテープ206を介して載置されるとともに、吸引溝317がテープ206の被加工物200の外周である外縁と環状フレーム205の内周である内縁との間で塞がれる。被検査物保持機構310は、吸引源319が吸引路318を介して吸引溝317を吸引して、被加工物200を載置面311及び上面316にテープ206を介して吸引保持する。
【0048】
また、被検査物保持機構310は、被加工物200を載置面311及び上面316にテープ206を介して吸引保持すると、枠体315の上面316のうちの被検査物保持機構310に載せられた被加工物200の外縁と、被加工物200にテープ206を介して装着された環状フレーム205の内縁との間の領域において、テープ206を吸引保持できるテープ保持部316-1を載置面311の外周側に備える。即ち、被検査物保持機構310は、被加工物200を載置面311及び上面316にテープ206を介して吸引保持すると、枠体315の上面316のうちの被加工物200の外縁と環状フレーム205の内縁との間の領域にテープ保持部316-1を備える。このテープ保持部316-1は、テープ吸引保持面でもある。また、テープ保持部316-1は、枠体315の上面316の内縁部であり、吸引溝317が開口している。
【0049】
また、被検査物保持機構310は、被加工物200を載置面311及び上面316にテープ206を介して吸引保持すると、枠体315の上面316のうちのテープ保持部316-1の周囲に配置されて、環状フレーム205を支持できるフレーム支持部316-2を備える。このように、枠体315の上面316は、テープ吸引保持面であるテープ保持部316-1と、フレーム支持部316-2とを備える。
【0050】
撮像機構340は、被検査物保持機構310に保持された被加工物200のチップ207の表面201及び裏面204を撮像するものである。撮像機構340は、
図7に示すように、長手方向がZ軸方向と平行な柱状に形成され、支持部材335に取り付けられて、撮像ユニット移動ユニット332によりY軸方向に移動自在に設けられた機構本体341と、機構本体341の上端部に設けられた第1の撮像ユニット342と、機構本体341の下端部に設けられた第2の撮像ユニット343とを備える。第1の撮像ユニット342と、第2の撮像ユニット343とは、それぞれ、昇降ユニット344により機構本体341の上端部及び下端部にZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0051】
なお、昇降ユニット344は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び第1の撮像ユニット342又は第2の撮像ユニット343をZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0052】
第1の撮像ユニット342は、被加工物保持ユニット10の載置部312の透明体314の上方に配設され透明体314で保持された被加工物200のチップ207を上方から撮像する撮像素子を複数備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。第1の撮像ユニット342は、被加工物保持ユニット10の透明体314に保持された被加工物200のチップ207を撮像して、得た画像を制御ユニット100に出力する。実施形態1では、第1の撮像ユニット342は、被加工物200の表面201側を撮像する。
【0053】
第2の撮像ユニット343は、被加工物保持ユニット10の載置部312の透明体314の下方に配設され透明体314で保持された被加工物200のチップ207を透明体314を介して撮像する撮像素子を複数備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。第2の撮像ユニット343は、被加工物保持ユニット10の透明体314に保持された被加工物200のチップ207を透明体314越しに被加工物200の下方から撮像して、得た画像を制御ユニット100に出力する。実施形態1では、第2の撮像ユニット343は、被加工物200の裏面204側を透明体314越しに撮像する。なお、実施形態1では、第1の撮像ユニット342と第2の撮像ユニット343とは、被加工物200の同一位置のチップ207の表面201及び裏面204側を撮像する。
【0054】
エア噴射ユニット350は、被加工物保持ユニット10の載置部312の載置面311の上方に配置され、載置面311に載置された被加工物200の上方から被加工物200にエアを噴射するものである。エア噴射ユニット350は、
図2に示すように、中空の棒状に形成されたエア噴射部材351と、エア噴射部材351内にエアを供給するエア供給源352とを備える。
【0055】
エア噴射部材351は、実施形態1では、
図8及び
図9に示すように、外観が四角柱状に形成され、長手方向がY軸方向と平行に配置されている。エア噴射部材351は、両端が支持フレーム303に取り付けられている。エア噴射部材351は、
図9に示すように、被加工物保持ユニット10の載置部312の載置面311に対向する下面にエア供給源352からエア353(
図2に点線で示す)を下方に噴射する噴射口354を設けている。
【0056】
実施形態1では、噴射口354は、エア噴射部材351を貫通しかつ平面形状が丸形の孔であり、エア噴射部材351の長手方向に間隔をあけて複数設けられている。互いに隣り合う噴射口354間の間隔は、噴射口354から噴射するエア353の流れが一体となる間隔である。このために、エア噴射部材351は、複数の噴射口354から噴射されたエア353が一体となって、あたかもY軸方向と平行な壁状のエアカーテン355を形成する。なお、本発明では、エア噴射部材351の噴射口354の形状及び配置は、実施形態1に記載されたものに限定されない。エア噴射ユニット350は、エア噴射部材351がエア353を噴射する噴射口354を設けていることで、載置面311に載置された被加工物200の上方から被加工物200にエア353を噴射することとなる。
【0057】
また、エア噴射部材351は、両端が支持フレーム303に取り付けられているために、保持機構移動ユニット331によって、載置部312に対して載置面311に平行なX軸方向に相対的に移動される。このように、保持機構移動ユニット331は、エア噴射ユニット350のエア噴射部材351を載置部312に対して載置面311に平行な方向に相対的に移動させる。
【0058】
検査装置300の装置本体301の平面視において、エア噴射ユニット350のエア噴射部材351の両端は、被検査物保持機構310の載置面311よりも載置面311の外周側に位置し、実施形態1では、エア噴射部材351の最も両端寄りの噴射口354は、被検査物保持機構310の載置面311よりも載置面311の外周側に位置している。このために、エア噴射ユニット350は、エア噴射部材351の最も両端寄りの噴射口354が載置面311よりも外周側に位置していることで、噴射するエア353で構成されるエアカーテン355のY軸方向の長さが、載置面311のY軸方向の長さよりも長く形成されている。なお、Y軸方向は、X軸方向に対して交差する方向であり、X軸方向は、エア噴射ユニット350のエア噴射部材351が保持機構移動ユニット331によって載置部312に対して相対的に移動される方向である。
【0059】
また、保持機構移動ユニット331が被検査物保持機構310を移動させる移動距離が載置面311の外径の数倍程度であり、保持機構移動ユニット331が被検査物保持機構310を移動させる移動範囲の中央に支持フレーム303が配置されているので、エア噴射ユニット350は、保持機構移動ユニット331により載置部312に対してX軸方向に相対的に移動されることで、載置面311全体にエア353及びエアカーテン355を吹き付けることが可能である。
【0060】
制御ユニット100は、加工装置1の各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を加工装置1に実施させるものでもある。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して加工装置1の各構成要素に出力する。
【0061】
制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニット110と、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニット120と、オペレータに報知する報知ユニット130とに接続されている。入力ユニット120は、表示ユニット110に設けられたタッチパネルにより構成される。報知ユニット130は、音と光のうち少なくとも一方を発して、オペレータに報知する。
【0062】
(加工動作)
次に、実施形態1に係る加工装置1の加工動作を説明する。前述した構成の加工装置1は、被加工物200を収容したカセット40がカセットエレベータ41に設置される。また、加工装置1は、制御ユニットに加工条件が設定される。加工装置1は、オペレータ等からの加工動作の開始指示を制御ユニット100が受け付けると、加工動作を開始する。
【0063】
加工動作を開始すると、加工装置1は、制御ユニット100が搬送ユニット43を制御してカセット40から被加工物200を1枚取り出し、テープ206を介して搬入出領域の被加工物保持ユニット10の保持面11に載置する。加工動作では、加工装置1は、テープ206を介して被加工物200を保持面11に吸引保持し、クランプ部12で環状フレーム205をクランプし、スピンドル23を軸心回りに回転し、切削水を切削ブレード21に供給する。加工装置1は、制御ユニット100が移動ユニット30を制御して搬入出領域から加工領域に向けて被加工物保持ユニット10を撮像ユニットの下方まで移動し、撮像ユニットにより被加工物保持ユニット10に吸引保持した被加工物200を撮像して、アライメントを遂行する。
【0064】
加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100が加工条件に基づいて移動ユニット30等を制御して、切削ブレード21と被加工物200とを分割予定ライン202に沿って相対的に移動させながら被加工物200の分割予定ライン202に切削ブレード21をテープ206に到達するまで切り込ませて切削加工する。加工装置1は、加工条件に沿って、被加工物200の分割予定ライン202を切削して、被加工物200を個々のチップ207に分割する。加工装置1は、被加工物200の全ての分割予定ライン202を切削すると、被加工物保持ユニット10を加工領域から搬入出領域に向けて移動する。
【0065】
加工装置1は、搬入出領域において被加工物保持ユニット10の移動を停止し、被加工物保持ユニット10の被加工物200の吸引保持を停止し、クランプ部12のクランプを解除して、搬送ユニット43で被加工物200を被加工物保持ユニット10から洗浄ユニット42に搬送する。加工装置1は、被加工物200を洗浄ユニット42で洗浄した後、搬送ユニット43で切削加工後の被加工物200を搬入出領域に位置付けられた被検査物保持機構310まで搬入し、被検査物保持機構310の載置面311に被加工物200を載置させる。
【0066】
加工装置1は、制御ユニット100が吸引源319を制御して、吸引溝317を吸引して、載置面311にテープ206を介して被加工物200を吸引保持する。このとき、吸引溝317が枠体315の上面316の内縁部に設けられているので、載置面311とテープ206との間に気泡が入り込むことがある。加工装置1は、制御ユニット100がエア供給源352を制御して、エア噴射ユニット350のエア噴射部材351の噴射口354からエア353を下方に向けて噴射する。加工装置1は、制御ユニット100が保持機構移動ユニット331を制御して、被加工物200を保持した被検査物保持機構310を検査領域に向けて移動させる。
【0067】
すると、被検査物保持機構310がエア噴射部材351の下方に差し掛かると、エア噴射部材351の最も両端寄りの噴射口354が載置面311よりも外周側に位置しているので、エア噴射ユニット350が噴射口354から噴射したエア353が載置面311のY軸方向の全長に亘って載置面311上の被加工物200及びテープ206に吹き付けられ、被加工物200及びテープ206を載置面311に押し付けることとなる。
【0068】
また、被検査物保持機構310が検査領域に向けて移動されるのにしたがって、載置面311のエア353が吹き付けられる箇所が載置面311の検査領域寄りの端から搬入出領域寄りの端部に向けて徐々に移動することとなる。このために、載置面311とテープ206との間に侵入した気泡は、載置面311の検査領域寄りの端から搬入出領域寄りの端部に向けて徐々に移動して、載置面311の外縁即ち吸引溝317に向けて徐々に移動する。
【0069】
加工装置1は、制御ユニット100が、被検査物保持機構310の載置部312がエア噴射ユニット350の下方を通過すると、噴射口354からのエア353の噴射を停止する。すると、載置面311とテープ206との間に侵入した気泡は、載置面311の外縁から外周側に押し出されて、気泡内の気体が吸引溝317に吸引される。こうして、加工装置1は、テープ206と載置面311との間に侵入して気泡を除去して、載置面311の全体に亘ってテープ206と載置面311とを密着させることとなる。
【0070】
加工装置1は、制御ユニット100が保持機構移動ユニット331及び撮像ユニット移動ユニット332を制御して、被加工物200と撮像ユニット342,343とをX軸方向及びY軸方向に相対的に移動させながら被加工物200の各チップ207を第1の撮像ユニット342及び第2の撮像ユニット343で撮像する。加工装置1は、制御ユニット100が、各チップ207の表面201と裏面204との双方のチッピングを検出し、各チッピングの大きさ、及び表面201側のチッピングの数と裏面204側のチッピングの数等を各チップ207に対応付けて記憶して、各チップ207を検査する。
【0071】
加工動作では、加工装置1は、被加工物200の全てのチップ207を第1の撮像ユニット342及び第2の撮像ユニット343で撮像し、被検査物保持機構310に保持した被加工物200のチップ207の検査を完了すると、被検査物保持機構310を搬入出領域まで移動させて、被検査物保持機構310を搬入出領域で停止させる。
【0072】
加工動作では、加工装置1は、搬送ユニット43を制御して、被加工物200を被検査物保持機構310から搬出し、被加工物200をカセット40内に搬入する。加工装置1は、カセット40内の全ての被加工物200を切削加工し、チップ207を検査すると、加工動作を終了する。
【0073】
以上説明した実施形態1に係る検査装置300は、Y軸方向の長さが、載置面311のY軸方向の長さよりも長いエアカーテン355を形成するエア噴射ユニット350のエア噴射部材351の噴射口354からエア353を噴射しながら、被検査物保持機構310を搬入出領域からエア噴射部材351の下方を通過するまで検査領域に向けて移動させる。このために、検査装置300は、載置面311とテープ206との間に侵入した気泡を載置面311の外縁に向かって移動させて外縁から押し出して吸引溝317に吸引させることができる。その結果、検査装置300は、撮像機構340により載置部312越しに被加工物200を良好に撮像することができるという効果を奏する。
【0074】
また、実施形態1に係る加工装置1は、前述した検査装置300を備えるので、載置部312越しに被加工物200を良好に撮像することができるという効果を奏する。
【0075】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る加工装置を図面に基づいて説明する。
図10は、実施形態2に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。なお、
図10は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
実施形態2に係る加工装置1は、エア噴射ユニット350のエア噴射部材351を載置部312に対して載置面311に平行な方向に相対的に移動させる移動ユニット336を備える。移動ユニット336は、エア噴射ユニット350のエア噴射部材351を長手方向の一端部を中心にZ軸方向と平行な軸心回りに回転して、エア噴射ユニット350のエア噴射部材351を載置部312に対して載置面311に平行な方向に相対的に移動させる。実施形態2では、エア噴射ユニット350は、移動ユニット336によりエア噴射部材351を長手方向の一端部を中心にZ軸方向と平行な軸心回りに回転されることで、載置面311全体にエア353を吹き付けることが可能となる。
【0077】
実施形態2に係る加工装置1は、搬入出領域に位置付けられた被検査物保持機構の載置面311にテープ206を介して被加工物200を吸引保持した後、制御ユニット100がエア供給源352を制御して、エア噴射ユニット350のエア噴射部材351の噴射口354からエア353を下方に向けて噴射する。加工装置1は、制御ユニット100が移動ユニット336を制御して、エア噴射ユニット350のエア噴射部材351をY軸方向と平行な位置から載置面311に保持された被加工物200の上方を通過してX軸方向と平行な位置に向けて一端部を中心に回転する。
【0078】
すると、被検査物保持機構310がエア噴射部材351の下方に差し掛かると、エア噴射部材351の最も両端寄りの噴射口354が載置面311よりも外周側に位置しているので、エア噴射ユニット350が噴射口354から噴射したエア353が載置面311のY軸方向の全長に亘って載置面311上の被加工物200及びテープ206に吹き付けられ、被加工物200及びテープ206を載置面311に押し付けることとなる。
【0079】
また、エア噴射ユニット350のエア噴射部材351が回転するのにしたがって、載置面311のエア353が吹き付けられる箇所が載置面311の検査領域寄りの端から搬入出領域寄りの端部に向けて徐々に移動することとなる。このために、載置面311とテープ206との間に侵入した気泡は、載置面311の検査領域寄りの端から搬入出領域寄りの端部に向けて徐々に移動して、載置面311の外縁即ち吸引溝317に向けて徐々に移動する。
【0080】
加工装置1は、制御ユニット100が、エア噴射ユニット350のエア噴射部材351が被加工物200の上方を通過すると、X軸方向と平行な位置で噴射口354からのエア353の噴射を停止する。すると、載置面311とテープ206との間に侵入した気泡は、載置面311の外縁から外周側に押し出されて、気泡内の気体が吸引溝317に吸引される。こうして、加工装置1は、テープ206と載置面311との間に侵入して気泡を除去して、載置面311の全体に亘ってテープ206と載置面311とを密着させることとなる。その後、実施形態2に係る加工装置1は、実施形態1と同様に、チップ207を検査する。
【0081】
実施形態2に係る検査装置300は、Y軸方向の長さが、載置面311のY軸方向の長さよりも長いエアカーテン355を形成するエア噴射ユニット350のエア噴射部材351の噴射口354からエア353を噴射しながら、エア噴射部材351をY軸方向と平行な位置から被加工物200の上方を通過してX軸方向と平行な位置まで一端部を中心に回転する。このために、検査装置300は、実施形態1と同様に、載置面311とテープ206との間に侵入した気泡を載置面311の外縁に向かって移動させて外縁から押し出して吸引溝317に吸引させることができる。その結果、検査装置300は、実施形態1と同様に、撮像機構340により載置部312越しに被加工物200を良好に撮像することができるという効果を奏する。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。たとえは、本発明の加工装置1は、加工ユニットとして、被加工物200を切削加工する切削ユニット20以外に、被加工物200を研削加工する研削ユニット、被加工物200にレーザービームを照射するレーザービーム照射ユニット等の被加工物200に種々の加工を施す種々の加工ユニットを備えても良い。
【符号の説明】
【0083】
1 加工装置
10 被加工物保持ユニット
20 切削ユニット(加工ユニット)
43 搬送ユニット
200 被加工物(被検査物)
205 環状フレーム
206 テープ
208 開口
300 検査装置
310 被検査物保持機構
311 載置面
312 載置部
314 透明体
316-1 テープ保持部(テープ吸引保持面)
316-2 フレーム支持部
331 保持機構移動ユニット(移動ユニット)
336 移動ユニット
340 撮像機構
342 第1の撮像ユニット
343 第2の撮像ユニット
350 エア噴射ユニット
353 エア
355 エアカーテン