(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106044
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】無線タグ管理システムおよび無線タグ
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20220711BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20220711BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
G06K7/10 148
B65G1/137 A
G06K7/10 176
G06K19/07 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000734
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】502369573
【氏名又は名称】ユーピーアール株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】清水 雅史
(72)【発明者】
【氏名】中村 康久
(72)【発明者】
【氏名】酒田 健治
(72)【発明者】
【氏名】酒田 義矢
(72)【発明者】
【氏名】勝田 肇
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB28
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD22
3F522DD34
3F522EE01
3F522EE18
3F522FF02
3F522FF23
3F522GG22
3F522GG23
3F522GG27
3F522GG34
3F522GG36
3F522GG43
3F522GG44
3F522GG48
3F522GG49
3F522LL42
3F522LL57
(57)【要約】
【課題】伝搬損失の大きい荷物が載置された状態のパレットを積層した場合においても、圏外となる無線タグを少なくして倉庫内の無線タグを確実に把握する無線タグ管理システムを提供する。
【解決手段】本発明の無線タグ管理システムは、パレットに搭載された無線タグと、無線タグを配下に接続する無線タグリーダとを備え、無線タグは、他のタグとの間でタグID情報を含む圏内ビーコン信号とタグID情報を含むタグID信号を送受信するように構成され、無線タグリーダから指定された所定のタイミングで、圏内ビーコン信号の送受信処理を間欠的に行い、他の無線タグから圏内ビーコン信号を受信した場合には、圏内ビーコン信号を送信した無線タグに対して、自タグID情報および他の無線タグから受信した他タグID情報を含むタグID信号を送信するように構成され、無線タグリーダに接続している無線タグは、自タグID情報および受信した他タグID情報を、無線タグリーダに送信するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットに搭載された無線タグと、前記無線タグの少なくとも一部をその配下に接続する無線タグリーダとを備え、荷物が載置された状態の前記パレットが積層された状態で収容される倉庫における無線タグ管理システムにおいて、
前記無線タグは、
前記無線タグリーダに接続している場合に、および前記無線タグリーダに接続している無線タグからタグID情報を含む圏内ビーコン信号を受信した場合に、前記圏内ビーコン信号を送信し、他の無線タグから前記圏内ビーコン信号を受信する送受信手段と、他の無線タグから他タグID情報を含むタグID信号を受信し、自タグID情報および他の無線タグから受信した他タグID情報を含むタグID信号を、前記無線タグリーダまたは他の無線タグに送信する送受信手段を備え、
前記無線タグリーダから指定された所定のタイミングに従って、前記圏内ビーコン信号の送受信処理を間欠的に行い、他の無線タグから前記圏内ビーコン信号を受信した場合には、前記圏内ビーコン信号を送信した無線タグの少なくとも1つに対して、自タグID情報および他の無線タグから受信した他タグID情報を含むタグID信号を送信するように構成され、
前記無線タグリーダに接続している場合には、自タグID情報および受信した他タグID情報を、前記無線タグリーダに送信するように構成されること
を特徴とする無線タグ管理システム。
【請求項2】
前記無線タグは、
複数の他の無線タグから前記圏内ビーコン信号を受信した場合には、前記無線タグリーダまでのホップ数および前記圏内ビーコン信号の受信信号強度の少なくともいずれかに基づいて、前記タグID信号を送信する無線タグを選択するように構成されること
を特徴とする請求項1記載の無線タグ管理システム。
【請求項3】
前記無線タグは、
前記圏内ビーコン信号の受信信号強度に基づいて、前記タグID信号を送信する無線タグを選択する場合に、前記圏内ビーコン信号の受信信号強度がより低い前記無線タグを選択するように構成されること
を特徴とする請求項2記載の無線タグ管理システム。
【請求項4】
前記無線タグは、
前記パレットが前記倉庫内に搬入される際に前記無線タグリーダに接続され、前記無線タグリーダから、前記所定のタイミングを指定する信号を受信するように構成されること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線タグ管理システム。
【請求項5】
パレットに搭載された無線タグと、前記無線タグの少なくとも一部をその配下に接続する無線タグリーダとを備え、荷物が載置された状態の前記パレットが積層された状態で収容される倉庫における無線タグ管理システムにおける無線タグであって、
前記無線タグリーダに接続している場合に、および前記無線タグリーダに接続している無線タグからタグID情報を含む圏内ビーコン信号を受信した場合に、前記圏内ビーコン信号を送信し、他の無線タグから前記圏内ビーコン信号を受信する送受信手段と、他の無線タグから他タグID情報を含むタグID信号を受信し、自タグID情報および他の無線タグから受信した他タグID情報を含むタグID信号を、前記無線タグリーダまたは他の無線タグに送信する送受信手段を備え、
前記無線タグリーダから指定された所定のタイミングに従って、前記圏内ビーコン信号の送受信処理を間欠的に行い、他の無線タグから前記圏内ビーコン信号を受信した場合には、前記圏内ビーコン信号を送信した無線タグの少なくとも1つに対して、自タグID情報および他の無線タグから受信した他タグID情報を含むタグID信号を送信するように構成され、
前記無線タグリーダに接続している場合には、自タグID情報および受信した他タグID情報を、前記無線タグリーダに送信するように構成されること
を特徴とする無線タグ。
【請求項6】
複数の他の無線タグから前記圏内ビーコン信号を受信した場合には、前記無線タグリーダまでのホップ数および前記圏内ビーコン信号の受信信号強度の少なくともいずれかに基づいて、前記タグID信号を送信する無線タグを選択するように構成されること
を特徴とする請求項5記載の無線タグ。
【請求項7】
前記圏内ビーコン信号の受信信号強度に基づいて、前記タグID信号を送信する無線タグを選択する場合に、前記圏内ビーコン信号の受信信号強度がより低い前記無線タグを選択するように構成されること
を特徴とする請求項6記載の無線タグ。
【請求項8】
前記パレットが前記倉庫内に搬入される際に前記無線タグリーダに接続され、前記無線タグリーダから、前記所定のタイミングを指定する信号を受信するように構成されること
を特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の無線タグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫内に設置されているパレットに搭載された無線タグを管理する技術に関し、特に、荷物が載置された状態のパレットが積層された状態で収容される倉庫における無線タグ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物流においては、荷物をパレットやラック等の物品運搬用機材に載せて運搬し、荷物をこのパレット等に載せたまま倉庫等に保管することが行われており、倉庫における物品を管理するシステムとしてパレットやラックに無線タグを備えて、この無線タグが送信するID情報を倉庫やフォークリフトに設置した無線タグリーダを用いて読み取ることにより、荷物の位置を管理する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
例えば、特許文献1では、多段ラックの最下段のラックや平置き倉庫の床下等にラックや積載物の位置に対応したID情報を有する無線タグを設置し、フォークリフトに設置した無線タグリーダが、無線タグが送信するID情報を受信することにより、多段ラックに収納する荷物や平置きする荷物の位置の管理を行う。
【0004】
また、特許文献2では、多段ラックの保管エリア毎に無線タグを設置するとともに、荷物が載せられたパレットに無線タグを設置しておき、パレットを各保管エリアに収納する際に、パレットの無線タグの識別情報と保管エリアの無線タグのID情報を読み取り、両者を関連づけて保存することにより、多段ラックに収納する荷物の位置を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-112523号公報
【特許文献2】特開2014-131933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、荷物をこのパレットに載せたまま倉庫等に保管し、パレットに搭載した無線タグが送信するID情報を倉庫等に設置した無線タグリーダを用いて読み取ることにより荷物を管理する場合において、パレットに載置された荷物における伝搬損失が大きいと無線タグリーダが無線タグが送信するビーコン信号を受信することができない場合がある。
【0007】
例えば、米殻が載置されたパレットが山積みにされる米倉の場合には、米殻による伝搬損失が40~50dBと大きいため、山積みにされた米殻パレットの内部の無線タグが送信するビーコン信号を、無線タグリーダが受信することができず、多くの無線タグが無線タグリーダの圏外の状態となってしまうという問題が発生している。
【0008】
本発明は、以上のような問題を解消するためになされたものであり、伝搬損失の大きい荷物が載置された状態のパレットを積層した場合においても、圏外となる無線タグを少なくして倉庫内の無線タグを確実に把握することができる無線タグ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る無線タグ管理システムは、パレットに搭載された無線タグと、前記無線タグの少なくとも一部をその配下に接続する無線タグリーダとを備え、荷物が載置された状態の前記パレットが積層された状態で収容される倉庫における無線タグ管理システムにおいて、前記無線タグは、前記無線タグリーダに接続している場合に、および前記無線タグリーダに接続している無線タグからタグID情報を含む圏内ビーコン信号を受信した場合に、前記圏内ビーコン信号を送信し、他の無線タグから前記圏内ビーコン信号を受信する送受信手段と、他の無線タグから他タグID情報を含むタグID信号を受信し、自タグID情報および他の無線タグから受信した他タグID情報を含むタグID信号を、前記無線タグリーダまたは他の無線タグに送信する送受信手段を備え、前記無線タグリーダから指定された所定のタイミングに従って、前記圏内ビーコン信号の送受信処理を間欠的に行い、他の無線タグから前記圏内ビーコン信号を受信した場合には、前記圏内ビーコン信号を送信した無線タグの少なくとも1つに対して、自タグID情報および他の無線タグから受信した他タグID情報を含むタグID信号を送信するように構成され、前記無線タグリーダに接続している場合には、自タグID情報および受信した他タグID情報を、前記無線タグリーダに送信するように構成されることを特徴とする。
【0010】
また、前記無線タグは、複数の他の無線タグから前記圏内ビーコン信号を受信した場合には、前記無線タグリーダまでのホップ数および前記圏内ビーコン信号の受信信号強度の少なくともいずれかに基づいて、前記タグID信号を送信する無線タグを選択するように構成されてもよい。
【0011】
また、前記無線タグは、前記圏内ビーコン信号の受信信号強度に基づいて、前記タグID信号を送信する無線タグを選択する場合に、前記圏内ビーコン信号の受信信号強度がより低い前記無線タグを選択するように構成されてもよい。
【0012】
また、前記無線タグは、前記パレットが前記倉庫内に搬入される際に前記無線タグリーダに接続され、前記無線タグリーダから、前記所定のタイミングを指定する信号を受信するように構成されてもよい。
【0013】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る無線タグは、パレットに搭載された無線タグと、前記無線タグの少なくとも一部をその配下に接続する無線タグリーダとを備え、荷物が載置された状態の前記パレットが積層された状態で収容される倉庫における無線タグ管理システムにおける無線タグであって、前記無線タグリーダに接続している場合に、および前記無線タグリーダに接続している無線タグからタグID情報を含む圏内ビーコン信号を受信した場合に、前記圏内ビーコン信号を送信し、他の無線タグから前記圏内ビーコン信号を受信する送受信手段と、他の無線タグから他タグID情報を含むタグID信号を受信し、自タグID情報および他の無線タグから受信した他タグID情報を含むタグID信号を、前記無線タグリーダまたは他の無線タグに送信する送受信手段を備え、
前記無線タグリーダから指定された所定のタイミングに従って、前記圏内ビーコン信号の送受信処理を間欠的に行い、他の無線タグから前記圏内ビーコン信号を受信した場合には、前記圏内ビーコン信号を送信した無線タグの少なくとも1つに対して、自タグID情報および他の無線タグから受信した他タグID情報を含むタグID信号を送信するように構成され、前記無線タグリーダに接続している場合には、自タグID情報および受信した他タグID情報を、前記無線タグリーダに送信するように構成されることを特徴とする。
【0014】
また、前記無線タグは、複数の他の無線タグから前記圏内ビーコン信号を受信した場合には、前記無線タグリーダまでのホップ数および前記圏内ビーコン信号の受信信号強度の少なくともいずれかに基づいて、前記タグID信号を送信する無線タグを選択するように構成されてもよい。
【0015】
また、前記無線タグは、前記圏内ビーコン信号の受信信号強度に基づいて、前記タグID信号を送信する無線タグを選択する場合に、前記圏内ビーコン信号の受信信号強度がより低い前記無線タグを選択するように構成されてもよい。
【0016】
また、前記無線タグは、前記パレットが前記倉庫内に搬入される際に前記無線タグリーダに接続され、前記無線タグリーダから、前記所定のタイミングを指定する信号を受信するように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、伝搬損失の大きい荷物が載置された状態のパレットを積層した場合においても、圏外となる無線タグを少なくして倉庫内の無線タグを確実に把握することのできる無線タグ管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態における無線タグ管理システムのシステム構成の一例である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態における無線タグ管理システムにおける無線タグ、無線タグリーダの機能ブロックの一例である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態における無線タグ管理システムの動作の一例である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態における無線タグの動作の一例である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態における無線タグの動作シーケンスの一例である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態における無線タグの動作モードの一例である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態における信号フォーマットの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<発明の実施の形態>
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
<システム構成>
図1は、本発明の実施の形態における無線タグ管理システムのシステム構成の一例である。本発明の無線タグ管理システム1が適用される倉庫2では、荷物5が載置されたパレット4がフォークリフト3により倉庫2に搬入され、荷物5がパレット4に載置された状態のまま倉庫2内に積載されている。無線タグ管理システム1では、パレット4に搭載された無線タグ10が送信する「端末ビーコン信号」を倉庫2に設置された無線タグリーダ20が受信し、無線タグ10が「端末ビーコン信号」に対する「応答信号」を受信することで無線タグリーダ20に接続され、「端末ビーコン信号」に含まれる無線タグ10に固有のタグID情報を用いて倉庫2内のパレット4の管理を行う。
【0021】
ここで、荷物5が載置された状態のパレット4がフォークリフト3により倉庫2に搬入される際には、無線タグリーダ20がパレット4に搭載された無線タグ10が送信する「端末ビーコン信号」を受信し、それに対する「応答信号」を送信することができる。一方、荷物5が載置された状態のパレット4が倉庫2内において山積みされた場合においては、載置された荷物5における伝搬損失が大きいと、無線タグリーダ20が無線タグ10が送信する「端末ビーコン信号」を受信することができない場合がある。
【0022】
例えば、米殻が載置されたパレット4が山積みにされる米倉の場合には、米殻による伝搬損失が40~50dBと大きいため、無線タグリーダ20は山積みにされた米殻パレット4の山の内部の無線タグ10が送信するビーコン信号を受信することができない。このような状態では、パレット4が倉庫内に収容されている間はパレット4の存在を把握できていない状態が継続することになる。
図1はそのような状態を例示したものであり、山積みされた荷物5が載置された状態のパレット4の一番外側のパレット4の無線タグ10が送信する端末ビーコン信号を受信することができるが、それ以外の山の内部の無線タグ10が送信するビーコン信号は、米殻による伝搬損失により受信することができない状態となっている。
【0023】
この問題を解決するために、本発明の無線タグ管理システム1では、無線タグリーダ20に接続してない無線タグ10のタグID情報を無線タグリーダに接続している無線タグ10に送信し、無線タグリーダ20に接続している無線タグ10が自タグID情報と受信した他の無線タグ10の他タグ情報を無線タグリーダ20に送信するマルチホップ動作を行うように構成されている。
図1の例では、無線タグリーダ20に接続している無線タグ10(#1、#4、#7)が、無線タグリーダ20に接続していない無線タグ10(#2、#3、#5、#6、#8、#9)のタグID情報を無線タグリーダ20に転送している。これにより、倉庫2内に荷物5が載置された状態のパレット4を設置し山積みされた場合においても、倉庫2内に無線タグ10(#2、#3、#5、#6、#8、#9)が存在することを把握することができる。
【0024】
<無線タグ、無線タグリーダの機能ブロック>
図2は、本発明の実施の形態における無線タグ、無線タグリーダの機能ブロックの一例である。無線タグ10は、無線タグリーダ20に端末ビーコン信号を送信する処理等を行うためのアンテナ11および無線部12、各種処理を行う中央処理部14、タグID情報等の各種情報を記憶するメモリ15、無線タグ10の振動を検出する振動センサ13と各部に電力を供給する電池16から構成されている。無線タグリーダ20は、無線タグ10と信号を送受信するためのアンテナ21および無線部22、外部ネットワークと接続するためのI/F部23、各種処理を行う中央処理部24、タグID情報等の各種情報を記憶するメモリ25から構成されている。
【0025】
無線タグ10は、無線タグ10が送信した「端末ビーコン信号」に対する無線タグリーダ20からの「応答信号」を受信することで無線タグリーダ20に接続することができる。
図2の例では、初期状態においては、無線タグ#1、#4が無線タグリーダ20に接続されている「圏内」の無線タグであり、無線タグ#2、#5、#6は無線タグリーダ20に接続されていない「圏外」の無線タグである。無線タグ#2、#5、#6のID情報は、無線タグリーダ20に接続されている無線タグ#1、#4経由で無線タグリーダ20に送信される。
【0026】
無線タグリーダ20に接続されている無線タグ#1、#4は、無線タグリーダ20に接続されている「圏内タグ」であることを他の無線タグ10に知らせるための「圏内ビーコン信号」をブロードキャスト送信する。この「圏内ビーコン信号」には、信号を送信した無線タグ10のタグID情報が含まれており、「圏内ビーコン信号」を受信した無線タグ10は、無線タグリーダと通信可能な無線タグ10のID情報を入手することができる。また、「圏内ビーコン信号」には必要に応じて、無線タグリーダ20までのホップ数を含んでもよい。
【0027】
無線タグ10は、ID情報を含む「圏内ビーコン信号」を受信することにより、通信可能な「圏内タグ」の存在を把握することができる。
図2の例では、無線タグ#2、#5は、無線タグ#1、#4が送信した「圏内ビーコン信号#1」、「圏内ビーコン信号#4」をそれぞれ受信することで、「圏内タグ」である無線タグ#1、#4の存在を把握することができる。ここで、「圏内ビーコン信号」が、無線タグリーダ20までのホップ数を含む場合には、「圏内ビーコン信号」を送信した無線タグ10の無線タグリーダ20までのホップ数を知ることができる。
【0028】
また、無線タグ#2、#5は、「圏内ビーコン信号」を受信し、それぞれ「圏内タグ」である無線タグ#1、#4と通信することで、自らも「圏内タグ」となり、「圏内ビーコン信号#2」、「圏内ビーコン信号#5」を送信する。なお、本発明の実施形態における「圏内タグ」とは、無線タグリーダ20に接続している無線タグと、無線タグリーダ20に接続している無線タグを含む他の無線タグから「圏内ビーコン信号」を受信した無線タグを含み、直接または間接に無線タグリーダ20にタグID情報を送信できる無線タグを総称したものであり、以下の説明においても同様である。
図2において、無線タグ#6は、無線タグ#1、#4が送信した「圏内ビーコン信号#1」、「圏内ビーコン信号#4」を受信することはできないが、無線タグ#2、#5が送信した「圏内ビーコン信号#2」、「圏内ビーコン信号#5」を受信し、いずれか一方と通信することで、「圏内タグ」となることができる。
【0029】
「圏内タグ」である無線タグ#1、#4と通信することにより「圏内タグ」となった無線タグ#2、#5は、「圏内ビーコン信号」を送信した無線タグ#1、#4に対して、自タグID情報を含む「タグID信号」を送信する。「タグID信号」を受信した無線タグ#1、#4は、自タグID情報と受信した他タグID情報を、「端末ビーコン信号」を用いて無線タグリーダ20に送信する。これにより、無線タグリーダ20は倉庫内の無線タグ#2、#5の存在を把握することができる。
【0030】
さらに、無線タグ#2、#5が送信した「圏内ビーコン信号#2」、「圏内ビーコン信号#5」を受信した無線タグ#6は、無線タグ#2、#5のいずれか一方を選択し通信することで「圏内タグ」となり、選択した無線タグに自タグID情報を含む「タグID信号」を送信する。
図2では、無線タグ#6は無線タグ#5を選択して「タグID信号」を送信している。「タグID信号」の送信先の選択は、「圏内ビーコン信号」に含まれる無線タグリーダ20までのホップ数や「圏内ビーコン信号」の受信信号強度(RSSI)の少なくともいずれかに基づいて行えばよい。例えば、無線タグリーダまでのホップ数のより少ない無線タグを選択してもよいし、無線タグリーダまでのホップ数が同じ場合には、「圏内ビーコン信号」の受信信号強度(RSSI)に基づいて、受信信号強度(RSSI)の高い無線タグを選択することもできる。
【0031】
ここで、「圏内ビーコン信号」にホップ数が含まれない場合でも受信信号強度(RSSI)のより低い無線タグリーダを選択することで、荷物が載置された状態のパレットが山積みされた状態において、より外側に近い無線タグを選択して、結果的にホップ数の少ない無線タグするように構成することもできる。また、タグID情報が確実に無線タグリーダに送信されるように複数の無線タグを選択するように構成してもよい。無線タグの間のビーコン信号の伝搬状態は、パレットに載置される荷物の種類や数、積載の仕方に応じて変化するので、それらに応じて適切な無線タグの選択条件を設定すればよい。
【0032】
無線タグ#6から「タグID信号」を受信した無線タグ#5は、自タグID情報#5と無線タグ#6から受信した「タグID信号」に含まれる他タグID情報#6を含む「タグID信号」を無線タグ#4に送信する。無線タグ#4は、自タグID情報#4と受信した他タグID情報#5、#6を無線タグリーダ20に送信する。これにより、無線タグリーダ20は倉庫内の無線タグ#1、#2、#4、#5に加えて無線タグ#6の存在を把握することができる。
【0033】
<無線タグ管理システムの動作>
図3は、本発明の実施の形態における無線タグ管理システムの動作の一例である。本発明の無線タグ管理システムは、無線タグの間で「圏内ビーコン信号」の送受信と「タグID信号」の送受信を行うことにより、無線タグリーダに接続していない倉庫内の「圏外タグ」が、「圏内タグ」となるように動作する。
図3の例では、初期状態においては、無線タグ#1、#4が無線タグリーダに接続している「圏内タグ」であり、無線タグ#2、#3、#5、#6は無線タグリーダに接続していない「圏外タグ」である。
【0034】
(1)圏内ビーコン信号送受信においては、「圏内タグ」である無線タグ#1、#4が「圏内ビーコン信号#1」、「圏内ビーコン信号#4」をブロードキャスト送信し、無線タグ#2、#5は、無線タグ#1、#4が送信した「圏内ビーコン信号#1」、「圏内ビーコン信号#4」を受信する。タグID#2、#5は、「圏内ビーコン信号」を送信した無線タグ#1、#4のいずれか一方を選択し通信することで「圏内タグ」となる。「圏内ビーコン信号#1」、「圏内ビーコン信号#4」は、無線タグリーダまでのホップ数を含むことができる。「圏内ビーコン信号#1」、「圏内ビーコン信号#4」におけるホップ数は「1」である。
【0035】
(2)タグID信号送受信においては、タグID#2、#5は、「圏内ビーコン信号」を送信した無線タグ#1、#4から選択した無線タグに対して「タグID信号」を送信する。
図3の例では、タグID#2、#5がぞれぞれ無線タグ#1、無線タグ#4を選択して、自タグID情報を含む「タグID信号#2」、「タグID信号#5」を送信している。(2)終了後においては、無線タグ#1に「圏内タグ」として無線タグ#2が、無線タグ#4に「圏内タグ」として無線タグ#5が登録された状態となる。
【0036】
「タグID信号」の送信先の選択は、「圏内ビーコン信号」に含まれる無線タグリーダまでのホップ数や「圏内ビーコン信号」の受信信号強度(RSSI)に基づいて行うことができる。例えば、無線タグリーダまでのホップ数のより少ない無線タグを選択してもよいし、無線タグリーダまでのホップ数が同じ場合には、「圏内ビーコン信号」の受信信号強度(RSSI)に基づいて、受信信号強度(RSSI)の高い無線タグを選択することもできる。
【0037】
ここで、「圏内ビーコン信号」にホップ数が含まれない場合でも受信信号強度(RSSI)のより低い無線タグリーダを選択することで、荷物が載置された状態のパレットが山積みされた状態において、より外側に近い無線タグを選択して、結果的にホップ数の少ない無線タグするように構成することもできる。また、タグID情報が確実に無線タグリーダに送信されるように複数の無線タグを選択するように構成してもよい。無線タグの間のビーコン信号の伝搬状態は、パレットに載置される荷物の種類や数、積載の仕方に応じて変化するので、それらに応じて適切な無線タグの選択条件を設定すればよい。
【0038】
(3)圏内ビーコン信号送受信においては、「圏内タグ」となった無線タグ#2、#5は、自タグID情報を含む「圏内ビーコン信号#2」、「圏内ビーコン信号#5」を、ブロードキャスト送信する。「圏内ビーコン信号#2」、「圏内ビーコン信号#5」におけるホップ数は「2」である。無線タグ#3、#6は、送信された「圏内ビーコン信号」を受信し、無線タグ#2、#5からいずれか一方を選択し通信することで「圏内タグ」となる。
【0039】
(4)タグID信号送受信においては、タグID#3、#6は、「圏内ビーコン信号」を送信した無線タグ#2、#5から選択した無線タグに対して「タグID信号」を送信する。
図3の例では、タグID#3、#6がぞれぞれ無線タグ#2、無線タグ#5を選択して、自タグID情報を含む「タグID信号#3」、「タグID信号#6」を送信している。(4)終了後においては、無線タグ#2に「圏内タグ」として無線タグ#3が、無線タグ#5に「圏内タグ」として無線タグ#6が登録された状態となる。
【0040】
(5)タグID信号送受信においては、無線タグ#2は、自タグID情報#2と、(4)において無線タグ#3から受信した無線タグ#3のタグID情報#3を含む「タグID信号#2(#3)」を無線タグ#1に送信し、同様に、無線タグ#5は、自タグID情報#5と、(4)において無線タグ#6から受信した無線タグ#6のタグID情報#6を含む「タグID信号#5(#6)」を無線タグ#4に送信する。これにより、(5)終了後においては、無線タグ#1に、「圏内タグ」として無線タグ#2、#3が登録され、無線タグ#4に、「圏内タグ」として無線タグ#5、#6が登録された状態となる。
【0041】
以上のように、無線タグ#1-#6の間で「圏内ビーコン信号」の送受信と「タグID信号」の送受信を行うことにより、無線タグリーダに接続していない倉庫内の「圏外タグ」#2、#3、#5、#6の全てを、「圏内タグ」とすることができる。(6)ビーコン信号送信においては、無線タグ#1、#4は、自タグID情報と「圏内タグ」となった無線タグ#2、#3、#5、#6のタグID情報#2、#3、#5、#6を「端末ビーコン信号」を用いて無線タグリーダに送信する。これにより、無線タグリーダは、#1-#6の全てを倉庫内にある無線タグとして把握することができる。
【0042】
なお、無線タグ#1、#4が「端末ビーコン信号」を用いて、タグID情報#2、#3、#5、#6を送信するタイミングは上述した場合に限られない。「圏内ビーコン信号」の送受信と「タグID信号」の送受信動作の間に「端末ビーコン信号」を送信してもよい。例えば、(2)の終了後に「端末ビーコン信号」の送信タイミングが到来した場合には、「圏内タグ」として無線タグ#2、#5のタグID情報#2、#5が無線タグリーダに送信される。
【0043】
ここで、無線タグに受信したタグID情報を転送する機能を持たせた場合において、無線タグの数が多くなると不要なトラヒックが無線回線を圧迫することも考えられる。例えば、
図3において、無線タグ#2が、無線タグ#3に、自タグID情報#2と他タグID情報#3を含む「タグID信号」を送信するような信号は不要なトラヒックの一例である。このような不要なトラヒックを削減するために、各無線タグにおいて上述したような不要な「タグID信号」を送信しないように構成してもよいし、各無線タグが他の無線タグから受信した「タグID信号」の中に自タグIDが含まれる場合には、そのような「タグID信号」を破棄するように構成してもよい。
【0044】
<無線タグの動作>
図4は、本発明の実施の形態における無線タグの動作の一例である。各無線タグが他の無線タグとの間で「圏内ビーコン信号」を送受信する場合において、各無線タグが非同期でマルチホップ動作を行う場合に、他の無線タグからの「圏内ビーコン信号」を受信するために常に受信待機状態を維持する必要があり、受信待機に伴う消費電力の増大が問題となる。そこで、本発明では、無線タグ間で行う「圏内ビーコン信号」の送受信動作を、無線タグリーダから指定された所定のタイミングに従って間欠的に行うことにより、無線タグにおける消費電力を抑えるように構成している。
【0045】
図4の例では、初期状態においては、無線タグ#1のみが無線タグリーダに接続している「圏内タグ」であり、無線タグ#2、#3は無線タグリーダに接続していない「圏外タグ」である。
図4において無線タグ#1-#3は、倉庫に搬入される際に無線タグリーダに接続し、無線タグリーダから「圏内ビーコン信号」の送受信動作の開始タイミングを指定する信号を受信し、無線タグリーダから指定された所定のタイミングに従って、一定時間間隔で間欠的に「圏内ビーコン信号」の送受信動作を行う。無線タグリーダからは、「圏内ビーコン信号」の送受信動作を開始するタイミングと「圏内ビーコン信号」の送受信を行う時間間隔を指定すればよい。送受信動作を開始するタイミングとしては、例えば、所定の時間経過後に送受信を開始するように指定すればよい。
【0046】
「圏内ビーコン信号」に関わる信号の送受信動作は、「圏内ビーコン信号」の送受信を行うタイムスロットと「圏内ビーコン応答信号」の送受信を行うタイムスロットからなり、一定時間T毎に間欠的に実行される。各無線タグは、「圏内ビーコン信号」の送受信を行うタイムスロットにおいて他の無線タグから「圏内ビーコン信号」を受信し、「圏内ビーコン応答信号」の送受信を行うタイムスロットにおいて他の無線タグから「圏内ビーコン応答信号」を受信することができる。
【0047】
「圏内」の無線タグは、「圏内ビーコン信号」の送受信を行うタイムスロットにおいて「圏内ビーコン信号」をブロードキャスト送信し、「圏内ビーコン応答信号」の送受信を行うタイムスロットにおいては、他の無線タグから「圏内ビーコン応答信号」の受信を行うために起動されて受信待機状態となり、自分宛の「圏内ビーコン応答信号」を受信する。一方、「圏外」の無線タグは、「圏内ビーコン信号」の送受信を行うタイムスロットにおいて「圏内ビーコン信号」の受信のみを行う受信待機状態となり、「圏内ビーコン応答信号」の送受信を行うタイムスロットにおいては休止状態となる。
【0048】
「圏外」の無線タグが他の無線タグから「圏内ビーコン信号」を受信すると、「圏内ビーコン応答信号」の送受信を行うタイムスロットにおいて起動され、選択した無線タグに自タグIDを含む「圏内ビーコン応答信号」を送信する。選択した無線タグに「圏内ビーコン応答信号」を送信して通信を確立することで、「圏外」の無線タグが「圏内」の無線タグとなって動作することができる。このように、無線タグリーダから指定されるタイミングに従って各無線タグが同期して「圏内ビーコン信号」、「圏内ビーコン応答信号」の送受信動作を間欠的に行うことにより、無線タグにおける消費電力を抑えることができる。
【0049】
図4における最初の「圏内ビーコン信号」の送受信を行うタイムスロットでは、無線タグ#1が「圏内ビーコン信号#1」を送信し、無線タグ#2が無線タグ#1が送信した「圏内ビーコン信号#1」を受信する。これに対して、無線タグ#2は、「圏内ビーコン応答信号」の送受信を行うタイムスロットにおいて、無線タグ#1に「圏内ビーコン応答信号#2」を送信する。無線タグ#3は、無線タグ#1が送信した「圏内ビーコン信号#1」を受信することができないので、引き続き「圏内ビーコン信号」の送受信を行うタイムスロットにおいて起動され、「圏内ビーコン信号」の受信を行うための受信待機状態を維持する。
【0050】
無線タグ#2は、無線タグ#1との間で通信を行い、タグID情報の送受信を行う。このタグID情報の送受信は、無線タグ#1と無線タグ#2の間で独自のタイミングで実行される。無線タグ#1は、無線タグ#2からの「圏内ビーコン応答信号」に含まれる受信時間情報に従った所定のタイミングで、「タグID受信時間通知信号」を送信し、無線タグ#2は、「タグID受信時間通知信号」に含まれる受信時間情報に従った所定のタイミングで、自タグID情報を含む「タグID信号#2」を送信する。無線タグ#1との間で通信を確立した無線タグ#2は、「圏内」の無線タグとして動作する。ここで、「圏外」の無線タグが「圏内」の無線タグとなるタイミングは、「タグID受信時間通知信号」を受信したときでもよいし、「タグID信号」に対する応答を受信したときでもよい。「圏内」の無線タグとなった無線タグ#2は、「圏内ビーコン信号」の送受信を行うタイムスロットにおいて、自ら「圏内ビーコン信号#2」の送信を開始する。
【0051】
「圏外」の無線タグであった無線タグ#3は、「圏内」の無線タグとなった無線タグ#2から受信した「圏内ビーコン信号#2」に対して、「圏内ビーコン応答信号」を送信することにより、「圏内」の無線タグとなり、無線タグ#2に対して、タグID情報#3を送信する。無線タグ#2は、無線タグ#1に対して、自タグID情報#2と無線タグ#3から受信した他タグID情報#3を含む「タグID信号#2(#3)」を送信する。
【0052】
以上のように、各無線タグが、無線タグリーダから指定されるタイミングに従って各無線タグが同期して「圏内ビーコン信号」、「圏内ビーコン応答信号」の送受信動作を間欠的に行うことにより、無線タグにおける消費電力を抑えながら、効率よく倉庫内の無線タグを把握し管理することができる。
【0053】
尚、無線タグにおける無線アクセス方式としてCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)を採用した場合には、各無線タグが「圏内ビーコン信号」や「圏内ビーコン応答信号」を送信する際にキャリアセンスを行い、さらに再送する場合でも所定の待ち時間を挿入することで複数の無線タグが送信するビーコン信号の衝突を回避することができる。
【0054】
<信号フォーマット>
図7は、本発明の実施の形態における信号フォーマットの一例である。「(a)圏内ビーコン信号」は、自タグID情報や必要に応じてホップ数の情報を含み、「(b)圏内ビーコン応答信号」には、自タグID情報と送信先の無線タグID情報とともに、「(c)ID受信時間信号」を送受信するための受信時間情報が含まれる。「(c)ID受信時間信号」には、自タグID情報と送信先の無線タグID情報とともに、「タグID信号」を送受信するための受信時間情報が含まれる。
【0055】
「(d)タグID信号」は、自タグID情報、送信先の無線タグのID情報を含み、他の無線タグから他タグID情報を受信した場合には、(e)に示すように他タグID情報が含まれる。「(f)端末ビーコン信号」には、自タグID情報が含まれ、他の無線タグから他タグID情報を受信した場合には、(g)に示すように他タグID情報が含まれる。各信号におけるヘッダには、各信号を識別するための識別子が含まれ、タグ情報には、各タグの振動情報等の情報が含まれる。
【0056】
<動作シーケンス>
本発明の実施の形態における無線タグの動作シーケンスの一例である。
図5においては、無線タグ#1-#3が、倉庫に搬入される際に無線タグリーダに接続して「圏内」の無線タグとなることを利用して、「圏内」の無線タグである間に無線タグリーダから「圏内ビーコン信号」の送受信動作の開始タイミングを指定する信号を受信するようにされている。この送受信動作の開始タイミングの指定には、無線タグが送信する「端末ビーコン信号」に対して、無線タグリーダが送信する「応答信号」を用いることができる。
【0057】
図6を用いて無線タグの動作モードを説明する。本発明の実施形態における各無線タグは、「圏内ビーコン信号」の送受信動作等を行うタイムスロット以外においては、
図6における動作モードで動作するように構成されている。無線タグにおいては、無線タグリーダ20への接続状況や、無線タグ10に備えられた振動センサ13からの情報に基づき動作モードを変更することで、パレットの管理の信頼性を高めつつ、低消費電力化を図っている。
【0058】
図6の例では、無線タグは、パレットに設置された無線タグが倉庫内で接続する無線タグリーダを探索しているモード(「アソシエーションモード」)、パレットに設置された無線タグが倉庫内で無線タグリーダに接続しているモード(「デポモード」)、パレットに設置された無線タグが上下動しているモード(「振動モード」)、パレットに設置された無線タグの上下動が長期間継続し、移動しているモード(「移動モード」)を有しており、各モードにおいて端末ビーコン信号の送信間隔が予め設定されている。
【0059】
無線タグ#1-#3は、倉庫内に搬入され所定の場所に収容される際には、無線タグリーダを探索している「アソシエーションモード」で動作しているので、各無線タグから「アソシエーションモード」において送信された「端末ビーコン信号」に対する「応答信号」に含まれる情報を用いて、所定の時間経過後に所定の時間間隔で「圏内ビーコン信号」の送受信動作を行うように指定することができる。
【0060】
ここで、複数のパレットが別々のタイミングで倉庫に搬入された場合でも、無線タグリーダから指定された所定のタイミングに従って「圏内ビーコン信号」の送受信動作を行うように各無線タグに対して指定することで、山積された複数の無線タグが同期して「圏内ビーコン信号」の送受信動作を行うことができる。
【0061】
図5においては、荷物が載置された状態のパレットが倉庫内に搬入され山積みされた場合に、無線タグ#1は、送信した端末ビーコン信号#1に対する応答信号を無線タグリーダから受信することにより引き続き
図6における「デポモード」で無線タグリーダと接続して「圏内」タグとして動作することができる。一方、無線タグ#2、#3は、送信した端末ビーコン信号#2、3に対する応答信号を無線タグリーダから受信することができず「圏外」の無線タグとなる。
【0062】
「圏内」の無線タグ#1は「圏内ビーコン信号#1」を送信し、無線タグ#2が無線タグ#1が送信した「圏内ビーコン信号#1」を受信する。これに対して、無線タグ#2は、無線タグ#1に「圏内ビーコン応答信号#2」を送信する。無線タグ#3は、無線タグ#1が送信した「圏内ビーコン信号#1」を受信することができないので、「圏外タグ」の状態を維持する。
【0063】
無線タグ#1は、無線タグ#2からの「圏内ビーコン応答信号#2」に含まれる受信時間情報に従った所定のタイミングで、「ID受信時間信号」を送信し、無線タグ#2は、「ID受信時間信号」に含まれる受信時間情報に従った所定のタイミングで、自タグID情報を含む「タグID信号#2」を送信する。無線タグ#2は、「ID受信時間信号」を受信することで「圏内タグ」として動作することができる。「タグID信号#2」に対する応答を受信したときに、「圏内タグ」となってもよい。
【0064】
「圏内」の無線タグとなった無線タグ#2は、「圏内ビーコン#2」を送信し、無線タグ#3は、無線タグ#2から受信した「圏内ビーコン信号#2」に対して、「圏内ビーコン応答信号#3」を送信する。無線タグ#2は、無線タグ#3からの「圏内ビーコン応答信号#3」に含まれる受信時間情報に従った所定のタイミングで、「ID受信時間信号」を送信し、無線タグ#3は、「ID受信時間信号」に含まれる受信時間情報に従った所定のタイミングで、自タグID情報を含む「タグID信号#3」を送信する。無線タグ#3は、「ID受信時間信号」を受信することにより、「圏内」の無線タグとなる。「タグID信号#3」に対する応答を受信したときに、「圏内タグ」となってもよい。
【0065】
無線タグ#3から「タグID信号#3」を受信した無線タグ#2は、無線タグ#1に対して、自タグID情報#2と無線タグ#3から受信した他タグID情報#3を含む「タグID信号#2(#3)」を送信する。無線タグ#1は、自タグID情報#1と「圏内タグ」となった無線タグ#2、#3の他タグID情報#2、#3を「端末ビーコン信号」を用いて無線タグリーダに送信する。これにより、無線タグリーダは、無線タグ#1-#3を「圏内」の無線タグとして把握することができる。
【0066】
このように、本発明の実施の形態によれば、無線タグが倉庫に搬入される際に、無線タグリーダから「圏内ビーコン信号」の送受信動作を行うタイミングを指定することにより、複数の無線タグが同期して「圏内ビーコン信号」の送受信動作を間欠的に行うことができるので、無線タグにおける消費電力を抑えながら、効率よく倉庫内の無線タグを把握し管理することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…無線タグ管理システム、2…倉庫、3…フォークリフト、4…パレット、5…荷物、10…無線タグ、11…アンテナ、12…無線部、13…振動センサ、14…中央処理部、15…メモリ、16…電池、20…無線タグリーダ、21…アンテナ、22…無線部、23…I/F部、24…中央処理部、25…メモリ。