(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106593
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】3次元表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 30/31 20200101AFI20220712BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20220712BHJP
G02B 30/32 20200101ALI20220712BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G02B30/31
G02F1/13 505
G02B30/32
G09F9/00 313
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001706
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】草深 薫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀也
(72)【発明者】
【氏名】濱岸 五郎
【テーマコード(参考)】
2H088
2H199
5G435
【Fターム(参考)】
2H088EA06
2H088EA33
2H088MA01
2H199BA09
2H199BA48
2H199BA49
2H199BB46
2H199BB52
2H199BB65
2H199BB66
5G435AA01
5G435BB05
5G435BB12
5G435BB19
5G435CC09
5G435DD09
5G435EE12
5G435EE49
5G435FF13
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】 3次元表示装置の構成を大きく変更せずに、観察距離に応じてバリアピッチと画像ピッチとの間の累積誤差を解消し、高画質の3次元画像を表示可能な3次元表示装置を提供する。
【解決手段】 画像光を出射する表示パネル10と、画像光の光路において表示パネル10に重なって位置し、透光領域20Aおよび遮光領域20Bのいずれかに切換え可能な複数のシャッタセルSを有するバリアパネル20と、観察者の第1眼および第2眼の少なくとも一方の位置を検出する位置検出部と、表示パネル10およびバリアパネル20を制御する制御部30と、を含む。制御部30は、位置検出部の位置検出情報に基づいて、観察者の第1眼および第2眼の位置に対応するバリアピッチBpおよび画像ピッチkの累積誤差を算出し、算出された累積誤差が1ドット分に対する割合が第1割合より大きくなるとき、画像ピッチkを少なくとも1ドット分大きくして累積誤差を小さくする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向および該第1方向に交わる第2方向に沿って並び、画像光を出射するように構成される複数のサブピクセルを有する表示パネルと、
前記画像光の光路において前記表示パネルに重なるバリアパネルであって、前記第1方向および前記第2方向に沿って並び、光を透過させる透光領域、および前記光を遮断する遮光領域のいずれかに切換え可能な複数のシャッタセルを有するバリアパネルと、
観察者の第1眼および第2眼の少なくとも一方の位置を検出して、前記光路に沿った位置および前記第1方向に対応する視差方向に沿った位置を含む位置検出情報を出力するように構成される位置検出部と、
前記表示パネルおよび前記バリアパネルを制御するように構成される制御部と、を含み、
観察距離から見たときの、透光部および遮光部が規則的に並ぶバリアピッチをBpとし、
前記観測距離から見たときの隣接する一組の右目画像と左目画像の画像ピッチをkとするとき、
前記制御部は、前記観察距離から離れた位置に存在する観察者の位置検出情報に基づいて、観察者の第1眼および第2眼の位置に対応するバリアピッチBpおよび画像ピッチkの累積誤差を算出し、算出された前記累積誤差が1ドット分に対する割合が第1割合より大きくなるとき、前記画像ピッチを部分的に少なくとも1ドット分大きくして前記累積誤差を小さくするよう制御可能に構成される3次元表示装置。
【請求項2】
前記バリアピッチは、前記透光領域および前記遮光領域の前記第1方向の周期に対応している、請求項1に記載の3次元表示装置。
【請求項3】
前記第2方向は、前記第1方向に垂直である、請求項1または2に記載の3次元表示装置。
【請求項4】
前記第1割合は、0.5または1近傍の値である、請求項1~3のいずれか1項に記載の3次元表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記サブピクセルの前記第1方向の幅をHpとし、
前記サブピクセルの前記第2方向の幅をVpとし、
前記透光領域および前記遮光領域の前記第2方向に対する傾斜角度θとし、
aおよびbをa≠bの自然数とするとき、
前記透光領域および前記遮光領域を、以下の式1によって表される傾斜角度θ、
に沿って前記複数のサブピクセルおよび前記複数のシャッタセルを位置させ、
前記バリアパネルの前記バリアピッチとは異なるバリアピッチとなるように、前記複数のシャッタセルを制御するように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の3次元表示装置。
【請求項6】
前記バリアパネルは、前記光路において、前記表示パネルの前にあり、
前記表示パネルは、
観察者が第1眼で認識するための画像光を出射する第1表示領域と、
観察者が第2眼で認識するための画像光を出射する第2表示領域と、を含み、
前記第1表示領域と前記第2表示領域は、前記第1方向に沿って配列され、
前記制御部は、
観察者が適視距離から移動したとき、前記第1眼および前記第2眼のうちの少なくとも一方と前記バリアパネルとの間の観察距離をzとし、
前記表示パネルと前記バリアパネルとの間隔をgとしたとき、
画像サイクルピッチCp(z)は、以下の式、
を満たすように、画像を表示するサブピクセルを1個増加する、請求項5に記載の3次元表示装置。
【請求項7】
前記バリアパネルは、前記光路において、前記表示パネルの後ろにあり、
前記表示パネルは、
観察者が第1眼で認識するための画像光を出射する第1表示領域と、
観察者が第2眼で認識するための画像光を出射する第2表示領域と、を含み、
前記第1表示領域と前記第2表示領域は、前記第1方向に沿って配列され、
前記制御部は、
前記透光領域および前記遮光領域を構成するシャッタセルの第2方向の数をb(bは自然数)とし、
観察者が前記表示パネルに近づいたときの、前記第1眼および前記第2眼のうちの少なくとも一方と前記バリアパネルとの間の観察距離をzとし、
前記表示パネルと前記バリアパネルとの間隔をgとしたとき、
画像サイクルピッチCp(z)は、以下の式、
を満たすように画像を表示するサブピクセルを1個増加する、請求項5に記載の3次元表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、
観察者が前記バリアパネルに近づいたとき、前記第1眼および前記第2眼の間の眼間距離をEとし、一組の両眼画像を連続して表示するサブピクセル数をnとすると、前記第1眼および前記第2眼の間の中央位置を通りかつ前記表示パネルの表示面に垂線な垂線が前記表示面と交差する交点を基準点としたとき、両眼で同時に観察されるサブピクセル数t
1(z)は、
と表され、
観察者が前記バリアパネルから離れたとき、前記第1眼および前記第2眼の間の眼間距離をEとし、一組の両眼画像を連続して表示するサブピクセル数をnとすると前記第1眼および前記第2眼の間の中央位置を通りかつ前記表示パネルの表示面に垂線な垂線が前記表示面と交差する交点を基準点としたとき、両眼で同時に観察されるサブピクセル数t
2(z)、
と表され、
t
1(z)=t
2(z)となるときに、前記画像サイクルピッチで、前記透光領域および前記遮光領域の組合わせによって構成される複数のパターン領域を切り替えて前記表示面上に形成させる、請求項6または7に記載の3次元表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3次元画像を高品位で表示することができる3次元表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、観察者が眼鏡を用いずに3次元画像を視認できるように、表示パネルから出射される画像光の一部を、バリアパネルを介して観察者の右眼に到達させ、表示パネルから出射される画像光に他の一部を、バリアパネルを介して観察者の左眼に到達させる3次元表示装置が知られている。例えば、特許文献1には、バリアパネルにおいて、対向する2枚の基材の厚みを変化させることによって、適視距離を短くした3次元表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載される従来技術では、3次元画像の画質向上のために、バリアパネルにおけるバリアピッチと、表示パネルにおける画像ピッチとを最適値に近づけるように構成されるので、表示パネルとバリアパネルとを、それぞれ専用のパネルとして作製しなければ、観察距離に応じたバリアピッチと画像ピッチとの間の累積誤差によって画質が低下する。したがって従来から、累積誤差による画質の低下を解消し、高画質の3次元画像を表示することができる技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の3次元表示装置は、第1方向および該第1方向に交わる第2方向に沿って並び、画像光を出射するように構成される複数のサブピクセルを有する表示パネルと、
前記画像光の光路において前記表示パネルに重なるバリアパネルであって、前記第1方向および前記第2方向に沿って並び、光を透過させる透光領域、および前記光を遮断する遮光領域のいずれかに切換え可能な複数のシャッタセルを有するバリアパネルと、
観察者の第1眼および第2眼の少なくとも一方の位置を検出して、前記光路に沿った位置および前記第1方向に対応する視差方向に沿った位置を含む位置検出情報を出力するように構成される位置検出部と、
前記表示パネルおよび前記バリアパネルを制御するように構成される制御部と、を含み、
観察距離から見たときの、透光部および遮光部が規則的に並ぶバリアピッチをBpとし、
前記観測距離から見たときの隣接する一組の右目画像と左目画像の画像ピッチをkとするとき、
前記制御部は、前記観察距離から離れた位置に存在する観察者の位置検出情報に基づいて、観察者の第1眼および第2眼の位置に対応するバリアピッチBpおよび画像ピッチkの累積誤差を算出し、算出された前記累積誤差が1ドット分に対する割合が第1割合より大きくなるとき、前記画像ピッチkを部分的に少なくとも1ドット分大きくして前記累積誤差を小さくするよう制御可能に構成される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の3次元表示装置によれば、3次元表示装置の構成を大きく変更せずに、観察距離に応じてバリアピッチBpと画像ピッチkとの間の累積誤差を小さくし、高画質の3次元画像を表示可能な3次元表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態の3次元表示装置100の構成の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、3次元表示装置100の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、表示パネルの構成の一例を示す正面図である。
【
図4】
図4は、バリアパネルの構成の一例を示す正面図である。
【
図5】
図5は、観察者、バリアパネル、表示パネルの位置関係を示す図である。
【
図6】
図6は、バリアパネルの画素番号割り当てを説明するための図である。
【
図7】
図7は、画像サイクルピッチの導出を説明するための図である。
【
図8】
図8は、画像サイクルピッチ法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、観察者の横方向の移動によるパターン形成位置を説明するための図である。
【
図10】
図10は、観察者の前後方向の移動によるサイクルピッチの変化を示す図である。
【
図11】
図11は、観察者が適視距離から近づいた場合に観察されるサブピクセルを示す図である。
【
図12】
図12は、観察者が適視距離から離れた場合に観察されるサブピクセルを示す図である。
【
図13】
図13は、同時に観察されるサブピクセルを右眼画像として処理する場合の説明図である。
【
図14】
図14は、バリアピッチの切換え基準を説明するための図である。
【
図15】
図15は、バリアピッチの切換え基準を説明するための図である
【
図16】
図16は、バリアピッチの切換え基準とクロストークとの関係を説明するための図である。
【
図17】
図17は、観察者の前後方向に移動に対する3次元表示画像の追従性の相違を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本開示の3次元表示装置の実施形態について説明する。なお、本開示に係る構造を示す図は、模式的に記載されている。
【0009】
図1は本開示の実施形態の3次元表示装置100の構成の一例を示す平面図であり、
図2は3次元表示装置100の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の3次元表示装置100は、表示パネル10と、バリアパネル20と、制御部30と、を備える。表示パネル10とバリアパネル20とは、重なって位置している。
【0010】
表示パネル10は、例えば、透過型の液晶パネル、有機ELパネル、または無機ELパネル等の表示デバイスによって実現されてよい。表示パネル10は、表示面10Aを有し、表示面10Aに視差画像を表示するように構成されている。視差画像は、左眼画像と、左眼画像に対して視差を有する右眼画像と、を含む。
【0011】
図3は、表示パネル10の構成の一例を示す正面図である。左眼画像および右眼画像はそれぞれ、第1画像および第2画像ともいう。観察者の左眼5Lで視認させる左眼画像を表示する領域は、左眼画像領域PgLである。観察者の右眼5Rで視認させる右眼画像を表示する領域は、右眼画像領域PgRである。左眼画像領域PgLと右眼画像領域PgRとは、X軸方向に沿って、交互に配列される。観察者の左眼5Lおよび観察者の右眼5Rのそれぞれは、第1眼および第2眼ともいう。左眼画像領域PgLおよび右眼画像領域Pgのそれぞれは、第1画像領域および第2画像領域ともいう。X軸方向は、観察者の左眼5Lと右眼5Rとに対して視差を与える方向に対応する。
【0012】
3次元表示装置100には、3次元画像を観察するのに適した最適観察距離があり、この距離を適視距離(Optimum Viewing Distance;OVD)と呼び、符号dによって表す。適視距離dは、3次元表示装置100の使用環境に応じて、適切に設定可能であることが好ましい。
【0013】
3次元表示装置100は、表示面10Aを含む鉛直な仮想一平面において、水平方向をX軸方向とし、鉛直方向をY軸方向とし、鉛直な仮想一平面に垂直な方向をZ軸方向としたとき、X軸方向およびY軸方向にマトリクス状に複数の画素が整列して形成された表示パネル10およびバリアパネル20が重なった状態で配置されている。表示パネル10およびバリアパネル20の画素ピッチkは同一である。バリアパネル20は、パララックスバリアとして使用される。バリアパネル20は、カラーフィルタを除いた液晶パネルによって容易に実現することができる。
【0014】
バリアパネル20を表示パネル10の表示面10A上に配置する2眼式3次元表示において、バリアパネル20のバリアピッチBpは、集光光学系を実現するために、表示パネル10の画像ピッチkに対して若干狭くなっている。
【0015】
図3は、表示パネル10の構成を示す正面図である。表示パネル10の表示面10Aは、表示境界15によって、左眼画像領域PgLと、右眼画像領域PgRと、に分けられる。左眼画像領域PgLは、観察者の左眼5Lの位置に伝播する画像光を出射する。右眼画像領域PgRは、観察者の右眼5Rの位置に伝播する画像光を出射する。表示パネル10は、左眼画像領域PgLに左眼画像を表示し、右眼画像領域PgRに右眼画像を表示可能に構成される。観察者は、左眼画像領域PgLに表示される左眼画像を左眼5Lで視認し、右眼画像領域PgRに表示される右眼画像を右眼5Rで視認する。X軸方向は、観察者から見て水平方向(または左右方向)であり、Y軸方向は、観察者から見て垂直方向(または上下方向)であり、Z軸方向は、観察者から見て奥行方向(または前後方向)である。
【0016】
表示パネル10は、格子状のブラックマトリックス51によって区画される複数の区画領域を有する。複数の区画領域は、表示面10A上において水平方向および垂直方向に沿って格子状に区画される。各区画領域には、1個のサブピクセル12が対応する。サブピクセル12の水平方向の長さは、符号Hpで表される。サブピクセル12の垂直方向の長さは、符号Vpで表される。表示パネル10における両眼画像の画像ピッチは、第1周期ともいい、符号kで表される。表示パネル10における両眼画像の画像ピッチをkとしたとき、表示パネル10における片眼画像の画像ピッチは、k/2で表される。画像ピッチは、制御部30によって適宜設定される。
【0017】
左眼画像領域PgLに含まれる複数のサブピクセル12は、6個のサブピクセル12を含むと仮定する。複数のサブピクセル12は、例えば、枝番として、P1,P2,P3,P4,P5およびP6がそれぞれ付された6個のサブピクセル12であってよい。以下、枝番としてP1が付されたサブピクセル12は、サブピクセル12(P1)と表すものとする。左眼画像領域PgLに含まれるピクセルを構成するサブピクセル12の個数は、特に限定されるものではない。
【0018】
右眼画像領域PgRに含まれる複数のサブピクセル12は、例えば6個のサブピクセル12を含むと仮定する。複数のサブピクセル12は、例えば、サブピクセル12(P7)、サブピクセル12(P8)、サブピクセル12(P9)、サブピクセル12(P10)、サブピクセル12(P11)、サブピクセル12(P12)、という6個のサブピクセル12である。右眼画像領域PgRに含まれるピクセルを構成するサブピクセル12の個数は、特に限定されるものではない。
【0019】
複数のサブピクセル12は、表示面10A上における水平方向に、ピッチをHpとして配列される。
図3の例においては、左眼画像領域PgLに含まれる複数のサブピクセル12は、サブピクセル12(P2),12(P4),12(P6)の順に配列されている。右眼画像領域PgRに含まれる複数のサブピクセル12は、サブピクセル12(P8),12(P10),12(P12)の順に配列されている。
【0020】
複数のサブピクセル12は、表示面10A上における垂直方向に、ピッチをVpとして配列されるとする。
図3の例においては、左眼画像領域PgLに含まれる複数のサブピクセル12は、サブピクセル12(P2)、サブピクセル12(P1)の順に配列されている。右眼画像領域PgRに含まれる複数のサブピクセル12は、サブピクセル12(P12)、サブピクセル12(P11)、サブピクセル12(P10)、サブピクセル12(P9)の順に配列されている。
【0021】
異なる色に対応する複数のサブピクセル12は、集合してピクセルを構成する。サブピクセル12は、ピクセルを構成する複数の色ごとの制御単位である。サブピクセル12は、例えば制御部30が制御可能な最小単位としうる。制御部30は、所謂マイクロピクセルのようにサブピクセル12をより細かく制御しうる。制御部30がサブピクセル12を制御することによって、表示パネル10は、任意の画像を表示することができる。
図3の例では、サブピクセル12の形状が長方形である場合を一例に挙げて説明しているが、サブピクセル12の正面視における形状は、正方形、台形、などの種々の形状であってよい。
【0022】
表示パネル10は、制御部30によって制御されて、表示面10A上における水平方向に沿った所定周期で不規則処理が実行されうる。不規則処理とは、規則的な画像ピッチを不規則にすることを意味する。不規則処理の一例としては、例えば、左眼画像領域PgLと右眼画像領域PgRとの間に、右眼画像および左眼画像の何れにも属さない画像を表示するサブピクセル12を追加する処理、又は、左眼画像領域PgLに含まれる所定のサブピクセル12を減す処理、あるいは右眼画像領域PgRに含まれる所定のサブピクセル12が減す処理がある。右眼画像および左眼画像の何れにも属さない画像を表示するサブピクセル12を追加する処理の一例としては、例えば、
図3に示すように、左眼画像領域PgLと右眼画像領域PgRとの間に、黒色画像を表示するサブピクセル12を追加する処理、あるいは左眼画像領域PgLと右眼画像領域PgRとの間に、白色画像を表示するサブピクセル12を追加する処理が含まれうる。
【0023】
例えば、表示パネル10は、左眼画像領域PgLと右眼画像領域PgRとの間に、所定周期で並ぶ、いずれにも属さないサブピクセル12が黒色画像を表示する。当該所定周期で並ぶサブピクセル12とは、不規則処理される箇所に存在するサブピクセル12である。
例えば、表示パネル10は、左眼画像領域PgLと右眼画像領域PgRとの間に、所定周期で並ぶ、いずれにも属さないサブピクセル12が白色画像を表示する。当該所定周期で並ぶサブピクセル12とは、不規則処理される箇所に存在するサブピクセル12である。
【0024】
表示パネル10が、制御部30によって所定周期で不規則処理されることで、バリアパネル20におけるバリアピッチと表示パネル10における画像ピッチとの最適値からのずれを小さく保つことができる。これによって、例えば、同じピッチの表示パネル10とバリアパネル20とであっても、3次元表示装置100に利用できる。
【0025】
バリアパネル20は、例えば、液晶シャッタによって実現されうる。液晶シャッタは、マトリクス状に配列された複数のシャッタセルSを有し、各シャッタセル内の液晶に印加される電圧を、制御部30によって制御することによって、液晶シャッタの光透過率を変化させることができる。バリアパネル20は、液晶シャッタに限定されるものではなく、例えば、MEMSシャッタパネルで構成されてよい。
【0026】
図4は、バリアパネル20の構成を示す正面図である。バリアパネル20は、パネル面20Cを有し、パネル面20C上における水平方向および垂直方向に沿って、格子状に配列される複数のシャッタセルSを有する。バリアパネル20は、透光領域20Aと、遮光領域20Bと、を含む。透光領域20Aおよび遮光領域20Bは、それぞれ第1透過領域および第2透過領域ともいう。透光領域20Aは、表示パネル10から出射される画像光を第1所定値以上の第1透過率で透過させる。遮光領域20Bは、表示パネル10から出射される画像光を第2所定値以下の第2透過率で透過させる。第1所定値は、第2所定値より高くされてよい。第1所定値に対する第2所定値の比率は、一例では、1/100とすることできる。第1所定値に対する第2所定値の比率は、他の例では、1/1000とすることができる。バリアパネル20は、表示パネル10から出射される画像光の相対的な減光量を変更可能であるといえる。
【0027】
バリアパネル20は、表示パネル10から出射される画像光の進行方向を規定する。画像光の進行方向は、光線方向ともいう。バリアパネル20が光線方向を規定することによって、観察者の右眼5Rおよび観察者の左眼5Lによって視認可能な表示面10A上の領域が決定される。観察者の右眼5Rおよび観察者の左眼5Lによって視認可能な領域は、それぞれ右眼視認領域および左眼視認領域ともいう。例えば、バリアパネル20は、表示面10Aの一部のサブピクセル12から出射した画像光を、透光領域20Aを透過させて観察者の左眼5Lに到達させる。例えば、バリアパネル20は、表示面10Aの他の一部のサブピクセル12から出射した画像光を、透光領域20Aを透過させて観察者の右眼5Rに到達させる。制御部30は、左眼視認領域に左眼画像領域PgLが位置し、右眼視認領域に右眼画像領域PgRが位置するように表示パネル10を制御する。これによって、観察者の左眼5Lは左眼画像を視認し、観察者の右眼5Rは右眼画像を視認することができる。その結果、観察者は、3次元画像を視認することができる。
【0028】
バリアパネル20において、各シャッタセルSの光透過率は、制御部30によって制御され、複数のシャッタセルSの一部が、透光領域20Aとなり、複数のシャッタセルSの他の一部が、遮光領域20Bとなる。透光領域20Aと遮光領域20Bとは、パネル面20C上における水平方向に沿って、交互に配列される。シャッタセルSの水平方向の長さは、長さSWと表され、シャッタセルSの垂直方向の長さは、長さSHと表される。バリアパネル20におけるバリアピッチは、バリアピッチBpと表される。バリアピッチBpは、第2周期ともいう。バリアピッチBpは、制御部30によって適宜設定される。バリアパネル20における各シャッタセルSの大きさと、表示パネル10における各サブピクセル12の大きさとは、等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0029】
シャッタセルSは、制御部30が制御可能な最小単位である。制御部30は、シャッタセルSを制御することによって、バリアパネル20における透光領域20Aと遮光領域20Bとを任意の形状に変更することができる。
【0030】
バリアパネル20は、制御部30によって制御されて、水平方向に沿って、所定周期で、不規則処理される。所定周期は、第3周期ともいう。不規則処理されるとは、例えば、透光領域20Aに含まれる所定のシャッタセルSが増やされ、遮光領域20Bに含まれる所定のシャッタセルSが減らされることを意味する。不規則処理されるとは、例えば、遮光領域20Bに含まれる所定のシャッタセルSが増やされ、透光領域20Aに含まれる所定のシャッタセルSが減らされることを意味する。
【0031】
例えば、バリアパネル20は、所定周期で、透光領域20Aに含まれるシャッタセルSが水平方向に1個分増やされ、遮光領域20Bに含まれるシャッタセルSが水平方向に1個分減らされる。例えば、バリアパネル20は、所定周期で、遮光領域20Bに含まれるシャッタセルSが水平方向に1個分増やされ、透光領域20Aに含まれるシャッタセルSが水平方向に1個分減らされる。
【0032】
例えば、バリアパネル20は、所定周期で、透光領域20Aに含まれるシャッタセルSが水平方向に2個分増やされ、遮光領域20Bに含まれるシャッタセルSが水平方向に2個分減らされる。例えば、バリアパネル20は、所定周期で、遮光領域20Bに含まれるシャッタセルSが水平方向に2個分増やされ、透光領域20Aに含まれるシャッタセルSが水平方向に2個分減らされる。
【0033】
バリアパネル20のバリアピッチBpは、制御部30によって、任意に制御されることで、バリアピッチBpと画像ピッチkとの最適値からのずれを小さく保つことができる。これによって、例えば、表示パネル10とバリアパネル20とが同ピッチであっても、3次元表示装置100に利用できる。
【0034】
制御部30は、3次元表示装置100が備える各構成要素に接続され、各構成要素を制御する。制御部30は、例えばプロセッサとして構成される。制御部30は、1以上のプロセッサを含んでよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(Application Specific Integrated Circuit;ASIC)を含んでよい。
【0035】
プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device;PLD)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。制御部30は、1個または複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、およびSiP(System in a Package)のいずれかであってよい。制御部30は、記憶部を備え、記憶部に各種情報、または3次元表示装置100の各構成要素を動作させるためのプログラム等を格納してよい。記憶部は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。記憶部は、制御部30のワークメモリとして機能してよい。
【0036】
制御部30は、表示パネル10の左眼画像領域PgLに位置するサブピクセル12に左眼画像の一部を表示させる。例えば、制御部30は、表示パネル10の左眼画像領域PgLに位置するサブピクセル12(P1)~サブピクセル12(P6)に左眼画像の一部を表示させる。
【0037】
制御部30は、表示パネル10の右眼画像領域PgRに位置するサブピクセル12に右眼画像の一部を表示させる。例えば、制御部30は、表示パネル10の右眼画像領域PgRに位置するサブピクセル12(P7)~12(P12)に右眼画像の一部を表示させる。
【0038】
制御部30は、表示パネル10における所定のサブピクセル12に、黒色画像を表示させる。当該所定のサブピクセル12とは、不規則処理される箇所に存在するサブピクセル12である。黒色画像は、例えば、黒色のような、所定輝度を有する画像である。所定輝度は、サブピクセル12が表示可能な階調レベルのうち、最も低い階調の輝度またはこれに準じる階調の輝度に対応する値とすることができる。
【0039】
制御部30は、表示パネル10における所定のサブピクセル12に、白色画像を表示させる。当該所定のサブピクセル12とは、不規則処理される箇所に存在するサブピクセル12である。白色画像は、例えば、白色のような、所定輝度を有する画像である。所定輝度は、サブピクセル12の表示可能な階調レベルのうち、最も高い階調の輝度またはこれに準じる階調の輝度に対応する値とすることができる。
【0040】
制御部30は、所定周期で、不規則処理する。例えば、制御部30は、
図3に示すように、所定周期で、所定のサブピクセル12に黒色画像を表示させて、不規則処理する。当該所定のサブピクセル12は、左眼画像領域PgLに含まれるサブピクセル12と右眼画像領域PgRに含まれるサブピクセル12との間に位置する。例えば、制御部30は、所定周期で、所定のサブピクセル12に白色画像を表示させて、不規則処理する。当該所定のサブピクセル12は、左眼画像領域PgLに含まれるサブピクセル12と右眼画像領域PgRに含まれるサブピクセル12との間に位置する。
【0041】
例えば、制御部30は、所定周期で、所定のサブピクセル12に右眼画像および左眼画像の何れにも属さない画像を表示させて、不規則処理する。当該所定のサブピクセル12は、左眼画像領域PgLに含まれるサブピクセル12と右眼画像領域PgRに含まれるサブピクセル12との間に位置する。例えば、制御部30は、所定周期で、左眼画像領域PgLに含まれるサブピクセル12を減らして、不規則処理する。例えば、制御部30は、所定周期で、右眼画像領域PgRに含まれるサブピクセル12を減らして、不規則処理する。
【0042】
制御部30は、バリアパネル20における複数のシャッタセルSを制御して、表示パネル10から出射される画像光を第1所定値以上の光透過率で透過させる透光領域20Aを形成する。制御部30は、バリアパネル20における複数のシャッタセルSを制御して、表示パネル10から出射される画像光を第2所定値以下の光透過率で透過させる遮光領域20Bを形成する。
【0043】
制御部30は、所定周期で、不規則処理する。例えば、制御部30は、所定周期で、透光領域20Aに含まれる所定のシャッタセルSの数を増やし、遮光領域20Bに含まれる所定のシャッタセルSの数を減らす。例えば、制御部30は、所定周期で、遮光領域20Bに含まれる所定のシャッタセルSの数を増やし、透光領域20Aに含まれる所定のシャッタセルSの数を減らす。
【0044】
例えば、制御部30は、所定周期で、透光領域20Aに含まれるシャッタセルSを水平方向に1個分増やし、遮光領域20Bに含まれるシャッタセルSを1個分減らす。例えば、制御部30は、所定周期で、遮光領域20Bに含まれるシャッタセルSを水平方向に1個分増やし、透光領域20Aに含まれるシャッタセルSを水平方向に1個分減らす。
【0045】
制御部30は、水平方向における画像ピッチkとバリアピッチBpとのずれの累積に基づいて所定周期を算出してよい。制御部30は、水平方向における画像ピッチkとバリアピッチBpとのずれの累積が所定量を超える位置で不規則処理をするように、所定周期を算出してよい。例えば、制御部30は、水平方向における画像ピッチkとバリアピッチBpとのずれの累積が、水平方向におけるサブピクセル12の1/2個分の長さHp/2を超える位置で不規則処理をするように、所定周期を算出してよい。期間が所定周期として算出される。例えば、制御部30は、水平方向における画像ピッチkとバリアピッチBpとのずれの累積が、水平方向におけるサブピクセル12の1個分の長さ1Hpを超える位置で不規則処理をするように、所定周期を算出してよい。この場合、水平方向における画像ピッチkとバリアピッチBpとのずれの累積が、ゼロから水平方向におけるサブピクセル12の1個分の長さとなるまでの期間が所定周期として算出される。
【0046】
制御部30は、表示パネル10に含まれるサブピクセル12の水平方向における長さを基準として、所定量を設定してよい。例えば、制御部30は、水平方向におけるサブピクセル12の1/2個分の長さである長さHp/2を、所定量として設定してよい。例えば、制御部30は、水平方向におけるサブピクセル12の1個分の長さである長さ1Hpを、所定量として設定してよい。
【0047】
例えば、制御部30は、水平方向における画像ピッチkとバリアピッチBpとのずれの累積が、長さ1/2Hpを超える位置で不規則処理をしてよい。制御部30は、不規則処理として、左眼画像領域PgLに含まれるサブピクセル12と右眼画像領域PgRに含まれるサブピクセル12との間の所定のサブピクセル12に黒色画像を表示させてよい。
【0048】
例えば、制御部30は、水平方向における画像ピッチkとバリアピッチBpとのずれの累積が、長さ1/2Hpを超える位置で不規則処理をしてよい。制御部30は、不規則処理として、左眼画像領域PgLに含まれるサブピクセル12と右眼画像領域PgRに含まれるサブピクセル12との間の所定のサブピクセル12に白色画像を表示させてよい。
【0049】
例えば、制御部30は、水平方向における画像ピッチkとバリアピッチBpとのずれの累積が、長さ1Hpを超える位置で不規則処理をしてよい。制御部30は、不規則処理として、透光領域20Aに含まれるシャッタセルSを水平方向に1個分増やしたり、遮光領域20Bに含まれるシャッタセルSを水平方向に1個分減らしたりしてよい。
【0050】
例えば、制御部30は、水平方向における画像ピッチkとバリアピッチBpとのずれの累積が、長さ1Hpを超える位置で不規則処理をしてよい。制御部30は、不規則処理として、透光領域20Aに含まれるシャッタセルSを水平方向に1個分減らしたり、遮光領域20Bに含まれるシャッタセルSを水平方向に1個分増やしたりしてよい。
【0051】
上述の説明では、表示パネル10は、左眼画像領域PgLと右眼画像領域PgRとの間に、左眼画像領域PgLおよび右眼画像領域PgRのいずれにも属さない領域を含まない。したがって、左眼画像領域PgLと右眼画像領域PgRとが隣接している。表示パネル10の構成は、この構成に限定されるものではない。例えば、表示パネル10は、左眼画像領域PgLと右眼画像領域PgRとの間に、左眼画像領域PgLおよび右眼画像領域PgRの何れにも属さない領域を含んでよい。したがって、左眼画像領域PgLと右眼画像領域PgRとが隣接しなくてよい。表示パネル10が左眼画像領域PgLと右眼画像領域PgRとの間に、左眼画像領域PgLおよび右眼画像領域PgRのいずれにも属さない領域を含む場合、制御部30は、当該領域を、水平方向に短くすることで、不規則処理することも可能である。
【0052】
本実施形態に係る3次元表示装置100によれば、制御部30が所定周期で不規則処理することによって、バリアパネル20におけるバリアピッチと表示パネル10における画像ピッチとの最適値からのずれを小さく保つことができる。これによって、例えば、同ピッチの表示パネル10とバリアパネル20とであっても、3次元表示装置100に利用できる。
【0053】
3次元表示システムは、左眼5Lおよび右眼5Rのいずれか一方を検出するための位置検出部である位置検出装置と、3次元表示装置100とを含んで構成される。3次元表示システムは、ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display;HUD)に搭載されうる。HUDは、3次元表示システムと、反射鏡などの光学部材と、被投影面を有する被投影部材とを備える。HUDは、3次元表示システムから出射される画像光を、光学部材を介して被投影部材に到達させる。したがって、HUDは、被投影部材に画像を投影する。HUDは、被投影部材で反射させた画像光を、観察者の左眼5Lおよび右眼5Rに到達させる。したがって、HUDは、3次元表示システムから観察者の左眼5Lおよび右眼5Rまで画像光を進行させる。観察者は、到達した画像光を、虚像として視認しうる。
【0054】
3次元表示装置100が、位置検出装置を備える場合、位置検出装置は、観察者の左眼5Lおよび右眼5Rのいずれか一方の位置を検出し、制御部30に出力する。位置検出装置は、例えば、カメラを備えてよい。位置検出装置は、カメラによって観察者の顔を撮影してよい。位置検出装置は、カメラの撮影画像から観察者の左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の位置を検出してよい。位置検出装置は、1個のカメラの撮影画像から、観察者の左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の位置を3次元空間の座標として検出してよい。位置検出装置は、2個以上のカメラの撮影画像から、観察者の左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の位置を3次元空間の座標として検出してよい。
【0055】
位置検出装置は、カメラを備えず、装置外のカメラに接続されていてよい。位置検出装置は、装置外のカメラからの信号を入力する入力端子を備えてよい。装置外のカメラは、入力端子に直接的に接続されてよい。装置外のカメラは、共有のネットワークを介して入力端子に間接的に接続されてよい。カメラを備えない位置検出装置は、カメラが映像信号を入力する入力端子を備えてよい。カメラを備えない位置検出装置は、入力端子に入力された映像信号から観察者の左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の位置を検出してよい。
【0056】
位置検出装置は、例えば、センサを備えてよい。センサは、超音波センサまたは光センサ等であってよい。位置検出装置は、センサによって観察者の頭部の位置を検出し、頭部の位置に基づいて観察者の左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の位置を検出してよい。位置検出装置は、1個または2個以上のセンサによって、観察者の左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の位置を3次元空間の座標として検出してよい。
【0057】
位置検出装置は、観察者の左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の位置の検出結果に基づいて、第1方向に沿った、左眼5Lおよび右眼5Rの移動距離を検出してもよい。
【0058】
3次元表示装置100は、位置検出装置を備えなくてよい。3次元表示装置100が位置検出装置を備えない場合、制御部30は、装置外の検出装置からの信号を入力する入力端子を備えてよい。装置外の検出装置は、入力端子に接続されてよい。装置外の検出装置は、入力端子に対する伝送信号として、電気信号および光信号を用いてよい。装置外の検出装置は、共有のネットワークを介して入力端子に間接的に接続されてよい。制御部30は、装置外の位置検出装置から取得した観察者の左眼5Lおよび右眼5Rの少なくとも一方の位置を示す位置座標が入力されてもよい。制御部30は、位置座標に基づいて、第1方向に沿った、観察者の左眼5Lおよび右眼5Rの移動距離を算出してよい。
【0059】
3次元表示装置100を含むHUDは、移動体に搭載されてよい。HUDは、構成の一部を、移動体が備える他の装置、部品と兼用してよい。例えば、移動体は、ウインドシールドを被投影部材として兼用してよい。HUDおよび3次元表示装置100は、構成の一部を移動体が備える他の装置、部品と兼用してよい。構成の一部を当該移動体が備える他の装置、部品と兼用する場合、する場合、他の構成をHUDモジュールまたは3次元表示コンポーネントと呼びうる。本開示における「移動体」には、車両、船舶、航空機を含む。本開示における「車両」には、自動車および産業車両を含むが、これに限られず、鉄道車両および生活車両、滑走路を走行する固定翼機を含めてよい。
【0060】
自動車は、乗用車、トラック、バス、二輪車、およびトロリーバス等を含むがこれに限られず、道路上を走行する他の車両を含んでよい。産業車両は、農業および建設向けの産業車両を含む。産業車両には、フォークリフト、およびゴルフカートを含むがこれに限られない。農業向けの産業車両には、トラクター、耕耘機、移植機、バインダー、コンバインおよび芝刈り機を含むが、これに限らない。建設向けの産業車両には、ブルドーザー、スクレーバー、ショベルカー、クレーン車、ダンプカー、およびロードローラを含むが、これに限られない。車両は、人力で走行するものを含む。車両の分類は、上述に限られない。例えば、自動車には、道路を走行可能な産業車両を含んでよく、複数の分類に同じ車両が含まれてよい。本開示における船舶には、マリンジェット、ボート、タンカーを含む。本開示における航空機には、固定翼機、回転翼機を含む。
【0061】
このような制御部30を備えた本実施形態の3次元表示装置100においては、制御部30は以下のように構成される。
【0062】
(観察者・バリアパネル・表示パネルの位置関係)
図5は、観察者、バリアパネル20、表示パネル10の位置関係を示す図である。眼間距離Eと適視距離dとの比は、以下の式1および式2で表されるように、表示パネル10の画像ピッチkと、表示パネル10およびバリアパネル20間の距離gとの比に等しい。
【0063】
【0064】
【0065】
これらの式1、式2から適視距離dについて整理すると、適視距離dは式3によって表され、バリアピッチBpが変わると、適視距離dも変わる。
【0066】
【0067】
図6は、バリアパネル20の画素番号割り当てを説明するための図である。次に、同図に示すように、バリアパネル20の各サブピクセル12における画素番号の割り当てを行う。制御部30は、サブピクセル12の第1方向(X軸方向)の幅をHpとし、サブピクセル12のY軸方向の幅をVpとし、透光領域20Aおよび遮光領域20Bの第2方向であるY軸方向に対する傾斜角度θとし、aおよびbをa≠bの自然数とするとき、透光領域20Aおよび遮光領域20Bは、以下の式4によって表される。
【0068】
【0069】
画像サイクルピッチ法の場合、表示パネル10ではなく、バリアパネル20に画素番号を割り当てるので、バリアピッチBpと幅Hpのサブピクセル12がn個分の関係は、次式5で表される。
【0070】
【0071】
画像サイクルピッチCpを次の式6~式9のように導出する。
【0072】
【0073】
【0074】
上記の式7を変形すると、式8が得られる。
上記の式8からk‘B
Pを消去して、式9が得られる。
【0075】
【0076】
(画像サイクルピッチ法)
図8は、画像サイクルピッチ法を説明するための図である。同図に示すように、眼間位置から表示パネル10の表示面10Aに垂線を引き、その交点を基準に画像サイクルピッチ幅Cp=τk´の各パターン領域を表示面10A上に形成する。
【0077】
(観察者の横方向の移動)
図9は、観察者の横方向の移動によるパターン形成位置を説明するための図である。同図に示すように、観察者の横方向の移動に応じて、パターン形成位置1,2,…も移動する。
【0078】
(観察者の前後方向の移動)
図10は、観察者の前後方向の移動による画像サイクルピッチCpの変化を示す図である。同図に示すように、観察距離z+gが大きくなるほど画像サイクルピッチCpも大きくなる。
【0079】
図11は、観察者が適視距離から近づいた場合に観察されるサブピクセルを示す図である。同図に示すように、観察者が適視距離dから近づいた場合、両眼5R,5Lで同時に観察されるサブピクセル12は、次の式10~式12で表されるように増加する。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
図12は、観察者が適視距離から離れた場合に観察されるサブピクセルを示す図である。同図に示すように、観察者が適視距離dから遠ざかった場合、両眼5R,5Lで同時に観察されるサブピクセル12は、式13~式15で表されるように増加する。
【0084】
【0085】
【0086】
このような構成によって、観察距離zに応じて画像サイクルピッチCp(z)を変化させ、観察者がZ軸方向に移動しても、高画質の3次元画像を表示することができる。
【0087】
【0088】
図13は、同時に観察されるサブピクセル12を右眼画像として処理する場合の説明図である。同図に示すように、同時に観察されるサブピクセル12を右眼画像として処理を行う。眼間位置ではなく、右眼位置を基準とすることで、同時に観察されるサブピクセル12を右眼画像として処理することができる。
【0089】
図14は、バリアピッチBpの切換え基準を説明するための図である。
図15はバリアピッチBpの切換え基準を説明するための図であり、
図16はバリアピッチBpの切換え基準とクロストークとの関係を説明するための図である。
図14~
図16に示すように、バリアピッチBpの切換え基準は、適視距離間においてバリアピッチBpを切換えるタイミングの基準が必要であり、同時に観察されるサブピクセル12の数から決定することができる。観察者が離れると、バリアピッチBpは、式16で示すBp1となる。
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
片眼サブピクセル数に対する同時観察サブピクセル数の割合が一致するとき、クロストークは同程度であると考えられる。
【0094】
【0095】
【0096】
図17は、観察者の前後方向に移動に対する3次元表示画像の追従性の相違を示す図である。同図に示すように、同一ピッチの2枚の液晶パネルを重ねるアクティブバリア方式において、アクティブバリアピッチを固定し、画像ピッチkに一部異なるピッチを導入する割合を変えることによって、観察者の前後方向の移動に対し、従来技術の右眼画像に比べて、本発明の右眼画像が適視距離の基準画像に対する画像濃度の変化が格段に少なく、より細かい追従が可能であることが分かる。これによって本開示に実施形態によれば、立体視範囲を拡大することが可能となる。
【0097】
以上のように、本実施形態の3次元表示装置100は、X軸方向および該X軸方向に交わるY軸方向に沿って並び、画像光を出射するように構成される複数のサブピクセル12を有する表示パネル10と、画像光の光路において表示パネル10に重なるバリアパネル20であって、X軸方向およびY軸方向に沿って並び、光を透過させる透光領域20A、および光を遮断する遮光領域20Bのいずれかに切換え可能な複数のシャッタセルSを有するバリアパネル20と、観察者の第1眼5Rおよび第2眼5Lの少なくとも一方の位置を検出して、光路に沿った位置および第1方向に対応する視差方向に沿った位置を含む位置検出情報を出力するように構成される位置検出装置と、表示パネル10およびバリアパネル20を制御するように構成される制御部30と、を含む。
【0098】
制御部30は、バリアピッチをBpとし、画像ピッチをCpとするとき、位置検出装置による位置検出情報に基づいて、観察者の第1眼5Rおよび第2眼5Lの位置に対応するバリアピッチBpおよび画像ピッチkの累積誤差を算出し、算出された累積誤差が1ドット(サブピクセル12に相当)分に対する割合が第1割合より大きくなるとき、画像ピッチCpを少なくとも1ドット分大きく、または小さくするよう制御可能に構成される。
【0099】
このような構成によって、3次元表示装置の構成を大きく変更せずに、観察距離zに応じてバリアピッチBpと画像ピッチkとの間の累積誤差が解消され、最適な立体画像を得ることができる。
【0100】
本実施形態の3次元表示装置100では、バリアピッチBpは、透光領域20Aおよび遮光領域20Bの第1方向の周期に対応している構成としてよい。
【0101】
本実施形態の3次元表示装置100では、Z軸方向は、平面視においてX軸方向に垂直である構成であってよい。
【0102】
本実施形態の3次元表示装置100では、第1割合は、0.5または1近傍の値である。
【0103】
本実施形態の3次元表示装置100では、制御部30は、サブピクセル12の第1方向の幅をHpとし、サブピクセル12の第2方向の幅をVpとし、透光領域20Aおよび遮光領域20Bの2方向に対する傾斜角度をθとし、aおよびbをa≠bの自然数とするとき、透光領域20Aおよび遮光領域20Bを、次式によって表される傾斜角度θ、
【0104】
に沿って複数のサブピクセル12および複数のシャッタセルSを位置させ、バリアパネル20のバリアピッチBpとは異なるバリアピッチBp1またはBp2となるように、複数のシャッタセルSを制御するように構成されてよい。これによって、観察距離zの変化に応じてバリアピッチBpと画像ピッチkとの累積誤差が生じても、バリアピッチBpを異ならせる制御によって、累積誤差を低減または解消することができる。
【0105】
本実施形態の3次元表示装置100では、バリアパネル20は、光路において、表示パネル10の前にあり、表示パネル10は、観察者が第1眼5Rで認識するための画像光を出射する第1表示領域と、観察者が第2眼5Lで認識するための画像光を出射する第2表示領域と、を含む。第1表示領域は、第1方向に沿って第1周期で配列され、第2表示領域は、第1方向に沿って第1周期とは異なる第2周期で配列され、制御部30は、透光領域20Aおよび遮光領域20Bを構成するシャッタセルSのZ軸方向の数をb(bは自然数)とし、観察者がバリアパネル20に近づいたときの、第1眼5Rおよび第2眼5Lのうちの少なくとも一方とバリアパネル20との間の観察距離をzとし、表示パネル10とバリアパネル20との間隔をgとしたとき、画像サイクルピッチCp(z)は、以下の式を満たすように前記複数のシャッタセルを制御するように構成されてよい。
【0106】
【0107】
このような構成によって、観察距離zの変化に応じてバリアピッチBpと画像ピッチkとの累積誤差が生じても、バリアピッチBpを異ならせる制御によって、累積誤差を低減または解消することができる。
【0108】
本実施形態の3次元表示装置100では、バリアパネル20は、光路において、表示パネル10の後ろにあり、表示パネル10は、観察者が第1眼5Rで認識するための画像光を出射する第1表示領域と、観察者が第2眼5Lで認識するための画像光を出射する第2表示領域と、を含む。第1表示領域は、第1方向に沿って第1周期で配列され、第2表示領域は、第1方向に沿って第1周期とは異なる第2周期で配列される。
【0109】
制御部30は、透光領域20Aおよび遮光領域20Bを構成するシャッタセルSのX軸方向の数をb(bは自然数)とし、観察者が表示パネル10に近づいたときの、第1眼5Rおよび第2眼5Lのうちの少なくとも一方とバリアパネル20との間の観察距離をzとし、表示パネル10とバリアパネル20との間隔をgとしたとき、画像サイクルピッチCp(z)は、以下の式を満たすように前記複数のシャッタセルSを制御するように構成されてよい。これによって、観察距離zに応じて画像サイクルピッチCp(z)を変化させ、観察者がZ軸方向に移動しても、高画質の3次元画像を表示することができる。
【0110】
【0111】
本実施形態の3次元表示装置100では、制御部30は、観察者がバリアパネル20に近づいたとき、第1眼5Rおよび第2眼5Lの間の眼間距離をEとし、第1眼5Rおよび第2眼5Lの間の中央位置を通りかつ表示パネル10の表示面10Aに垂線な垂線が表示面10Aと交差する交点を基準点としたとき、以下の式によって表されるサブピクセル数t1(z)を、
【0112】
【0113】
によって算出し、画像サイクルピッチCp(z)で、透光領域20Aおよび遮光領域20Bの組合わせによって構成される複数のパターン領域を表示面10A上に形成させるように構成されてよい。これによって、観察距離zに応じて画像サイクルピッチCp(z)を変化させ、観察者が前後方向に移動しても、高画質の3次元画像を表示することができる。
【0114】
このような構成によって、観察距離zが小さくなるほどサブピクセル数t1(z)を増加させ、観察者の近づく方向の移動に追従して、高画質の3次元画像を表示することができる。
【0115】
本実施形態の3次元表示装置100では、制御部30は、観察者がバリアパネル20から離れたとき、第1眼5Rおよび第2眼5Lの間の眼間距離をEとし、第1眼5Rおよび第2眼5Lの間の中央位置を通りかつ表示パネル10の表示面10Aに垂線な垂線が表示面10Aと交差する交点を基準点としたとき、以下の式によって表されるサブピクセル数t1(z)を算出し、画像サイクルピッチCpで、透光領域20Aおよび遮光領域20Bの組合わせによって構成される複数のパターン領域を表示面10A上に形成させるように構成されてよい。
【0116】
【0117】
このような構成によって、観察距離zが大きくなるほどサブピクセル数t1(z)を増加させ、観察者の離れる方向の移動に追従して、高画質の3次元画像を表示することができる。
【0118】
以上の各本実施形態では、観察者から見て表示パネル10の前方にバリアパネル20を配置する場合を一例に挙げて説明したが、バリアパネル20は、表示パネル10の種類に応じて適宜配置変更することが可能である。例えば、表示パネル10がバックライト透過型の表示パネルである場合、バリアパネル20は、観察者から見て表示パネル10の前方に配置されてもよいし、観察者から見て表示パネル10の後方に配置されてもよい。例えば、表示パネル10が自発光型の表示パネルである場合、バリアパネル20は、観察者から見て表示パネル10の前方に配置されてもよい。
【0119】
3次元表示装置100が、バックライト装置を備える場合、バックライト装置は表示パネル10の裏面側に配置され、表示パネル10を面的に照射する。バックライト装置は、マトリクス状に整列して配置された複数のLED等の発光素子を有する光源、導光板、拡散板、拡散シート等を含んで構成されてよい。バックライト装置は、光源により照射光を射出し、導光板、拡散板、拡散シート等により照射光を表示パネル10の面方向に均一化する。バックライト装置は、面方向に均一な光を表示パネル10に向けて出射するように構成される。
【0120】
上述の各実施形態は、代表的な例として説明したが、本開示の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換ができることは当業者に明らかである。従って、本開示は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形または変更が可能である。例えば、実施形態および実施例に記載の複数の構成ブロックを1個に組合せたり、あるいは1個の構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0121】
5R 右眼
5L 左眼
10 表示パネル
10A 表示面
12 サブピクセル
15 表示境界
20 バリアパネル
20A 透光領域
20B 遮光領域
30 制御部
50 ブラックマトリックス
51 ブラックマトリックス
100 3次元表示装置
Bp バリアピッチ
Cp(z) 画像サイクルピッチ
d 適視距離
k 画像ピッチ
PgL 左眼画像領域
PgR 右眼画像領域
S シャッタセル