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特開2022-106596熱媒体供給システム及び熱媒体供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106596
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】熱媒体供給システム及び熱媒体供給方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 11/00 20060101AFI20220712BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20220712BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20220712BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20220712BHJP
   C01B 3/00 20060101ALI20220712BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20220712BHJP
【FI】
F17C11/00 C
H01M8/04 J
H01M8/0438
H01M8/04746
C01B3/00 Z
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001709
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 裕太
(72)【発明者】
【氏名】下田 英介
(72)【発明者】
【氏名】前田 哲彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 成輝
【テーマコード(参考)】
3E172
4G140
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA09
3E172AB01
3E172BA04
3E172BB13
3E172BB18
3E172EA02
3E172EA48
3E172EB02
3E172EB18
3E172FA04
3E172JA09
3E172KA03
3E172KA19
4G140AA16
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB22
5H127BA02
5H127BA14
5H127BA23
5H127DB82
5H127DC81
5H127DC92
(57)【要約】
【課題】複数の水素吸蔵合金タンクを切り替えて使用する際に、水素吸蔵合金タンクを継続して充填又は放出できるようにする。
【解決手段】水素吸蔵合金タンク21と水素吸蔵合金タンク22とに熱媒体を供給可能とする。水素吸蔵合金タンク21を加熱する場合に、水素吸蔵合金タンク21に熱媒体を供給し、水素吸蔵合金タンク21から排出される熱媒体を水素吸蔵合金タンク22に供給することで水素吸蔵合金タンク22を予熱する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1水素吸蔵合金タンクと第2水素吸蔵合金タンクとに熱媒体を供給可能な熱媒体供給システムであり、
第1水素吸蔵合金タンクを加熱する場合に、第1水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給し、前記第1水素吸蔵合金タンクから排出される熱媒体を第2水素吸蔵合金タンクに供給することで前記第2水素吸蔵合金タンクを予熱する
熱媒体供給システム。
【請求項2】
前記第2水素吸蔵合金タンクを経由せず前記第1水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給する経路である第1経路を経由して熱媒体を供給し、前記第1水素吸蔵合金タンクから水素を放出している場合において、前記第1水素吸蔵合金タンク内の圧力が第1閾値以下であるか否かを判定し、前記第1閾値以下である場合に、
前記第1水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給し当該第1水素吸蔵合金タンクから排出される熱媒体を前記第2水素吸蔵合金タンクに供給する経路である第2経路に切り替える
請求項1に記載の熱媒体供給システム。
【請求項3】
前記第2経路を経由して熱媒体を供給し、前記第1水素吸蔵合金タンクから水素を放出している場合において、前記第1水素吸蔵合金タンク内の圧力が第1閾値よりも低い第2閾値以下であるか否かを判定し、前記第2閾値以下である場合に、
前記第1水素吸蔵合金タンクを経由せず前記第2水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給する経路である第3経路に切り替え、
前記第2水素吸蔵合金タンクから水素を放出させる
請求項2に記載の熱媒体供給システム。
【請求項4】
水素を放出する水素吸蔵合金タンクを、前記第1水素吸蔵合金タンクから前記第2水素吸蔵合金タンクに切り替える場合に、前記第1水素吸蔵合金タンクと水素を放出する経路との間に設けられる第1放出バルブを開いている状態において、前記第2水素吸蔵合金タンクと前記水素を放出する経路との間に設けられる第2放出バルブを開いた後、前記第1放出バルブを閉じる
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の熱媒体供給システム。
【請求項5】
前記第1放出バルブと前記第2放出バルブの開閉状態を検出する検出部を有し、
前記第1放出バルブが開であることが検出されている状態において、前記第2放出バルブが開となったことを検出した後に、前記第1放出バルブを閉じる
請求項4に記載の熱媒体供給システム。
【請求項6】
第1水素吸蔵合金タンクと第2水素吸蔵合金タンクとに熱媒体を供給可能な熱媒体供給システムであり、
第1水素吸蔵合金タンクを冷却する場合に、第1水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給し、前記第1水素吸蔵合金タンクから排出される熱媒体を第2水素吸蔵合金タンクに供給することで前記第2水素吸蔵合金タンクを予冷する
熱媒体供給システム。
【請求項7】
前記第2水素吸蔵合金タンクを経由せず前記第1水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給する経路である第1経路を経由して熱媒体を供給し、前記第1水素吸蔵合金タンクに水素を充填している場合において、前記第1水素吸蔵合金タンク内の圧力が第3閾値以上であるか否かを判定し、前記第3閾値以上である場合に、
前記第1水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給し当該第1水素吸蔵合金タンクから排出される熱媒体を前記第2水素吸蔵合金タンクに供給する経路である第2経路に切り替える
請求項6に記載の熱媒体供給システム。
【請求項8】
前記第2経路を経由して熱媒体を供給し、前記第1水素吸蔵合金タンクに水素を充填している場合において、前記第1水素吸蔵合金タンク内の圧力が第3閾値よりも高い第4閾値以上であるか否かを判定し、前記第4閾値以上である場合に、
前記第1水素吸蔵合金タンクを経由せず前記第2水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給する経路である第3経路に切り替え、
前記第2水素吸蔵合金タンクに水素を充填させる
請求項7に記載の熱媒体供給システム。
【請求項9】
水素を充填する水素吸蔵合金タンクを、前記第1水素吸蔵合金タンクから前記第2水素吸蔵合金タンクに切り替える場合に、前記第1水素吸蔵合金タンクと前記充填される水素が供給される経路との間に設けられる第1充填バルブを開いている状態において、前記第2水素吸蔵合金タンクと前記充填される水素が供給される経路との間に設けられる第2充填バルブを開いた後、前記第1充填バルブを閉じる
請求項6から請求項8のうちいずれか1項に記載の熱媒体供給システム。
【請求項10】
前記第1充填バルブと前記第2充填バルブの開閉状態を検出する検出部を有し、
前記第1充填バルブが開であることが検出されている状態において、前記第2充填バルブが開となったことを検出した後に、前記第1充填バルブを閉じる
請求項9に記載の熱媒体供給システム。
【請求項11】
前記第1水素吸蔵合金タンクから熱媒体が排出される経路と前記第2水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給する経路との間にバイパス用バルブが設けられ、
前記第1水素吸蔵合金タンクから前記第2水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給する場合に、前記バイパス用バルブを開く
請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載の熱媒体供給システム。
【請求項12】
第1水素吸蔵合金タンクと第2水素吸蔵合金タンクとに熱媒体を供給する熱媒体供給方法であり、
第1水素吸蔵合金タンクを加熱する場合に、第1水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給する工程と、
前記第1水素吸蔵合金タンクから排出される熱媒体を第2水素吸蔵合金タンクに供給することで前記第2水素吸蔵合金タンクを予熱する工程と
を含む熱媒体供給方法。
【請求項13】
第1水素吸蔵合金タンクと第2水素吸蔵合金タンクとに熱媒体を供給可能な熱媒体供給システムであり、
第1水素吸蔵合金タンクを冷却する場合に、第1水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給する工程と、
前記第1水素吸蔵合金タンクから排出される熱媒体を第2水素吸蔵合金タンクに供給することで前記第2水素吸蔵合金タンクを予冷する工程と
を含む熱媒体供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱媒体供給システム及び熱媒体供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水素吸蔵合金タンクに水素を貯蔵しておき、必要に応じて、水素吸蔵合金タンクから水素を取り出し、燃料電池にて発電するシステムが一般的に知られている。そして、このようなシステムにおける水素吸蔵合金タンクの運用方法について検討が行われている。
【0003】
水素吸蔵合金は水素を放出する際に吸熱反応を起こす。したがって、水素吸蔵合金タンクから水素を継続して取り出し、燃料電池で発電を行うためには、水素吸蔵合金タンクを加熱して昇圧させる必要がある。また、水素吸蔵合金は、水素を吸蔵する際に発熱反応を起こす。したがって、水素吸蔵合金タンクへ水素を充填する際には、水素吸蔵合金タンクを冷却することで減圧する必要がある。
【0004】
水素吸蔵合金タンクの加熱及び冷却には、例えば特許文献1に記載されているように、水等の熱媒体を循環させるような循環系が用いられている。また、このときの熱媒体の加熱には、燃料電池排熱を利用する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5360765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば特許文献1に示されているシステムでは、水素吸蔵合金タンクを複数台用意し、複数台の水素吸蔵合金タンクを切り替えて使用している。このように、複数台の水素吸蔵合金タンクを切り替えて使用する場合、タンク切り替え時に、水素を継続的に充填又は放出することが困難になるという問題が生じてくる。
【0007】
例えば2台の水素吸蔵合金タンクを用い、水素を放出するタンクを切り替えて発電する場合を想定する。この場合、まず、一方の水素吸蔵合金タンクを加熱し、水素吸蔵合金タンクからの水素を燃料電池に送って発電を行う。そして、この水素吸蔵合金タンクの圧力が所定値以下まで低下したら、他方の水素吸蔵合金タンクに切り替え、他方の水素吸蔵合金タンクから水素を燃料電池に送って発電を行う。
【0008】
しかしながら、一方の水素吸蔵合金タンクから他方の水素吸蔵合金タンクに水素を取り出すタンクを切り替える際に、他方の水素吸蔵合金タンクの圧力が低い場合には、水素を燃料電池へ供給できず、燃料電池の運転継続が困難である。同様に、一方の水素吸蔵合金タンクから他方の水素吸蔵合金タンクに水素を充填するタンクを切り替える場合には、他方の水素吸蔵合金タンクの圧力が高い場合には、他方の水素吸蔵合金タンクに水素を充填するのが困難である。
【0009】
上述の課題を鑑み、本発明は、複数の水素吸蔵合金タンクを切り替えて使用する際に、水素吸蔵合金タンクを継続して充填又は放出できる熱媒体供給システム及び熱媒体供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る熱媒体供給システムは、第1水素吸蔵合金タンクと第2水素吸蔵合金タンクとに熱媒体を供給可能な熱媒体供給システムであり、第1水素吸蔵合金タンクを加熱する場合に、第1水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給し、前記第1水素吸蔵合金タンクから排出される熱媒体を第2水素吸蔵合金タンクに供給することで前記第2水素吸蔵合金タンクを予熱するものである。
【0011】
本発明の他の態様に係る熱媒体供給システムは、第1水素吸蔵合金タンクと第2水素吸蔵合金タンクとに熱媒体を供給可能な熱媒体供給システムであり、第1水素吸蔵合金タンクを冷却する場合に、第1水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給し、前記第1水素吸蔵合金タンクから排出される熱媒体を第2水素吸蔵合金タンクに供給することで前記第2水素吸蔵合金タンクを予冷するものである。
【0012】
本発明の一態様に係る熱媒体供給方法は、第1水素吸蔵合金タンクと第2水素吸蔵合金タンクとに熱媒体を供給する熱媒体供給方法であり、第1水素吸蔵合金タンクを加熱する場合に、第1水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給する工程と、前記第1水素吸蔵合金タンクから排出される熱媒体を第2水素吸蔵合金タンクに供給することで前記第2水素吸蔵合金タンクを予熱する工程とを含む。
【0013】
本発明の他の態様に係る熱媒体供給方法は、第1水素吸蔵合金タンクと第2水素吸蔵合金タンクとに熱媒体を供給可能な熱媒体供給システムであり、第1水素吸蔵合金タンクを冷却する場合に、第1水素吸蔵合金タンクに熱媒体を供給する工程と、前記第1水素吸蔵合金タンクから排出される熱媒体を第2水素吸蔵合金タンクに供給することで前記第2水素吸蔵合金タンクを予冷する工程とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の水素吸蔵合金タンクを切り替えて使用する際に、水素を充填又は放出に利用している水素吸蔵合金タンクとは別のタンクを予熱又は予冷しておくことで、水素吸蔵合金タンク内の圧力を調整し、利用する水素吸蔵合金タンクを速やかに切り替えられる。これにより、複数の水素吸蔵合金タンクを切り替えて使用する際に、水素吸蔵合金タンクを継続して充填又は放出をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る電源供給システムの概要の説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る熱媒体供給システムの概要の説明図である。
図3】本発明の実施形態で設定できる熱媒体の経路の説明図である。
図4】本発明の実施形態で設定できる熱媒体の経路の説明図である。
図5】本発明の実施形態で設定できる熱媒体の経路の説明図である。
図6】本発明の実施形態で設定できる熱媒体の経路の説明図である。
図7】本発明の実施形態において各経路に設定する際の圧力閾値の一例である。
図8】本発明の実施形態における水素配管の説明図である。
図9A】本発明の実施形態においてタンクの切り替えを行う際のバルブの開閉操作の説明図である。
図9B】本発明の実施形態においてタンクの切り替えを行う際のバルブの開閉操作の説明図である。
図9C】本発明の実施形態においてタンクの切り替えを行う際のバルブの開閉操作の説明図である。
図9D】本発明の実施形態においてタンクの切り替えを行う際のバルブの開閉操作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電源供給システム1の概要の説明図である。図1において、水素製造装置11は、再生可能エネルギー電源や余剰電源から水素を製造する。水素製造装置11としては、例えば固体高分子形水電解により水素を製造するものが用いられる。
【0017】
水素貯蔵装置12は、水素吸蔵合金を用いて水素を貯蔵する。本実施形態では、水素貯蔵装置12は、2台の水素吸蔵合金タンク21及び22から構成されている。水素吸蔵合金としては、例えばチタン・鉄系合金等が用いられる。
【0018】
燃料電池13は、水素を利用して発電を行う。燃料電池13としては、例えば固体高分子形燃料電池が用いられる。
【0019】
熱媒体循環系14は、熱媒体を循環させ、熱交換を行い、各部の加熱や冷却を行う。熱媒体循環系14は、図示していないが、熱媒体を冷却するラジエータや、燃料電池13の発熱を利用して熱媒体を加熱する熱交換器等を含んでいる。熱媒体としては、例えば水が用いられる。
【0020】
監視システム15は、電源供給システム1とともに、空調、配電、照明、換気などの設備を総合的に管理する上位システムである。監視システム15は、例えばBEMS(Building and Energy Management System)である。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に係る熱媒体供給システム50の概要の説明図である。本発明の実施形態に係る熱媒体供給システム50は、図1に示した電源供給システム1において、水素貯蔵装置12内の水素吸蔵合金タンク21(第1水素吸蔵合金タンク)及び水素吸蔵合金タンク22(第2水素吸蔵合金タンク)の水素放出時及び水素充填時の加熱及び冷却に用いることができる。
【0022】
図2において、配管51は、熱媒体循環系14から循環されてきた熱媒体を水素貯蔵装置12に供給する。配管52は、水素貯蔵装置12からの熱媒体を排出して、熱媒体循環系14に循環させる。
【0023】
配管61は、配管51を介して送られてきた熱媒体を水素吸蔵合金タンク21に供給する。配管61中には、操作バルブ71が設けられる。配管62は、水素吸蔵合金タンク21からの熱媒体を配管52へ排出する。配管62中には、操作バルブ72が設けられる。
【0024】
配管63は、配管51を介して送られてきた熱媒体を水素吸蔵合金タンク22に供給する。配管63中には、操作バルブ73が設けられる。配管64は、水素吸蔵合金タンク22からの熱媒体を配管52へ排出する。配管64中には、操作バルブ74が設けられる。
【0025】
配管65は、配管62と配管63とを連結しており、水素吸蔵合金タンク21から排出される熱媒体を水素吸蔵合金タンク22に送るバイパス用の経路を形成する。配管65中には、操作バルブ75が設けられる。
【0026】
配管66は、配管64と配管61とを連結しており、水素吸蔵合金タンク22から排出される熱媒体を水素吸蔵合金タンク21に送るバイパス用の経路を形成する。配管66中には、操作バルブ76が設けられる。
【0027】
操作バルブ71~76は、監視システム15からの指示に基づいて、適宜、開閉される。本実施形態では、操作バルブ71~76の開閉により、以下のような4つの熱媒体の経路(経路ST1~ST4)を容易に設定できる。
【0028】
経路ST1:水素吸蔵合金タンク21のみを加熱又は冷却する。
経路ST2:水素吸蔵合金タンク22のみを加熱又は冷却する。
経路ST3:水素吸蔵合金タンク21を加熱又は冷却しながら水素吸蔵合金タンク22を予熱又は予冷する。
経路ST4:水素吸蔵合金タンク22を加熱又は冷却しながら水素吸蔵合金タンク21を予熱又は予冷する。
【0029】
図3図6は、本発明の実施形態で設定できる熱媒体の経路の説明図である。なお、図3図6において、白抜きで示すバルブは開状態であることを示し、黒塗りで示すバルブは閉状態であることを示している。
【0030】
まず、経路ST1について説明する。図3は、経路ST1に設定されている場合を示す。図3に示すように、経路ST1では、操作バルブ71及び操作バルブ72は開状態とし、操作バルブ73~76は閉状態とする。
【0031】
図3に示すように、循環されてきた熱媒体は、配管51から供給される。操作バルブ73が閉状態、操作バルブ71が開状態であることから、配管51からの熱媒体は、操作バルブ71を介して配管61を伝わり、水素吸蔵合金タンク21に供給される。水素吸蔵合金タンク21から排出された熱媒体は、配管62から操作バルブ72を介して配管52に排出される。
【0032】
このように、経路ST1では、水素吸蔵合金タンク21にのみ熱媒体が送られることになる。ここで、熱媒体として温水が使用されると、水素吸蔵合金タンク21のみ加熱されることになる。また、熱媒体として冷水が使用されると、水素吸蔵合金タンク21のみ冷却されることになる。
【0033】
次に、経路ST2について説明する。図4は、経路ST2に設定されている場合を示す。図4に示すように、経路ST2では、操作バルブ73及び操作バルブ74は開状態とし、操作バルブ71及び72、操作バルブ75及び76は閉状態とする。
【0034】
図4に示すように、循環されてきた熱媒体は、配管51から供給される。操作バルブ71が閉状態、操作バルブ73が開状態であることから、配管51からの熱媒体は、操作バルブ73を介して配管63を伝わり、水素吸蔵合金タンク22に供給される。水素吸蔵合金タンク22から排出された熱媒体は、配管64から操作バルブ74を介して配管52に排出される。
【0035】
このように、経路ST2では、循環されてきた熱媒体は、水素吸蔵合金タンク22にのみ送られることになる。ここで、熱媒体として温水が使用されると、水素吸蔵合金タンク22のみ加熱されることになる。また、熱媒体として冷水が使用されると、水素吸蔵合金タンク22のみ冷却されることになる。
【0036】
次に、経路ST3について説明する。図5は、経路ST3に設定されている場合を示す。図5に示すように、経路ST3では、操作バルブ71及び操作バルブ74は開状態とするとともに、操作バルブ75は開状態とする。また、操作バルブ72及び73、操作バルブ76は閉状態とする。
【0037】
循環されてきた熱媒体は、配管51から供給される。操作バルブ73が閉状態、操作バルブ71が開状態であることから、配管51からの熱媒体は、操作バルブ71を介して配管61に伝わり、水素吸蔵合金タンク21に供給される。操作バルブ72が閉状態、操作バルブ75が開状態であることから、水素吸蔵合金タンク21から排出された熱媒体は、配管65を介して、配管63に送られ、水素吸蔵合金タンク22に供給される。水素吸蔵合金タンク22から排出された熱媒体は、配管64から操作バルブ74を介して配管52に排出される。
【0038】
このように、経路ST3では、循環されてきた熱媒体は、水素吸蔵合金タンク21に送られた後、水素吸蔵合金タンク22に送られる。ここで、熱媒体として温水が使用されると、水素吸蔵合金タンク21がその熱媒体で加熱された後、水素吸蔵合金タンク21から排出された熱媒体で、水素吸蔵合金タンク22を予熱できる。また、熱媒体として冷水が使用されると、水素吸蔵合金タンク21がその熱媒体で冷却された後、水素吸蔵合金タンク21から排出された熱媒体で、水素吸蔵合金タンク22を予冷できる。
【0039】
次に経路ST4について説明する。図6は、経路ST4に設定されている場合を示す。図6に示すように、経路ST4では、操作バルブ72及び操作バルブ73は開状態とするとともに、操作バルブ76は開状態とする。また、操作バルブ71及び74、操作バルブ75は閉状態とする。
【0040】
循環されてきた熱媒体は、配管51から供給される。操作バルブ71が閉状態、操作バルブ73が開状態であることから、配管51からの熱媒体は、操作バルブ73を介して配管63に伝わり、水素吸蔵合金タンク22に供給される。操作バルブ74が閉状態、操作バルブ76が開状態であることから、水素吸蔵合金タンク22から排出された熱媒体は、配管66を介して配管61に送られ、水素吸蔵合金タンク21に供給される。水素吸蔵合金タンク21から排出された熱媒体は、配管62から操作バルブ72を介して配管52に排出される。
【0041】
このように、経路ST4では、循環されてきた熱媒体は、水素吸蔵合金タンク22に送られた後、水素吸蔵合金タンク21に送られる。ここで、熱媒体として温水が使用されると、水素吸蔵合金タンク22がその熱媒体で加熱された後、水素吸蔵合金タンク22から排出された熱媒体で、水素吸蔵合金タンク21を予熱できる。また、熱媒体として冷水が使用されると、水素吸蔵合金タンク22がその熱媒体で冷却された後、水素吸蔵合金タンク22から排出された熱媒体で、水素吸蔵合金タンク21を予冷できる。
【0042】
次に、本発明の実施形態に係る熱媒体供給システム50の運用例について説明する。なお、図7は、本発明の実施形態において各経路に設定する際の圧力閾値の一例である。
【0043】
まず、燃料電池13に水素を放出して行く際に、水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22にタンクを切り替える際の運用方法について説明する。
【0044】
水素吸蔵合金タンク21から水素を放出しているときには、図3に示したように、経路ST1となるように、各操作バルブ71~76が設定される。この間、水素吸蔵合金タンク21から燃料電池13に水素が送られ、燃料電池13により発電が行われる。水素吸蔵合金タンク21から水素を放出して、燃料電池13により発電する場合、水素吸蔵合金タンク21の圧力及び温度は、水素を放出するにつれて低下していく。このため、水素吸蔵合金タンク21を加熱して昇圧させる必要がある。水素吸蔵合金タンク21から水素を放出しているときには、図3に示した経路ST1となるように各操作バルブ71~76を設定している。このため、熱媒体として温水を流すことで、水素吸蔵合金タンク21だけを加熱していくことができる。
【0045】
水素吸蔵合金タンク21からの水素の放出を続けていくと、水素吸蔵合金タンク21の圧力は低下していき、水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22への切り替えが必要になる。このため、監視システム15は、水素吸蔵合金タンク21の圧力が第1の閾値P1以下まで下がったか否かを判定し、水素吸蔵合金タンク21の圧力が第1の閾値P1以下まで下がったら、図5に示した経路ST3になるように、各操作バルブ71~76を設定する。
【0046】
経路ST3に設定されると、図5に示したように、水素吸蔵合金タンク21を加熱しつつ、水素吸蔵合金タンク22を予熱することができる。水素吸蔵合金タンク22を予熱することで水素吸蔵合金タンク22を昇圧し、水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22への切り替えを行った際に、継続して水素を放出できる。
【0047】
そして、監視システム15は、水素吸蔵合金タンク21の圧力が第2の閾値P2以下まで下がったか否かを判定し、水素吸蔵合金タンク21の圧力が第2の閾値P2以下まで下がったら、使用するタンクを水素吸蔵合金タンク22に切り替え、図4に示した経路ST2となるように、各操作バルブ71~76を設定する。
【0048】
燃料電池13に水素を供給するためには、水素吸蔵合金タンク内の圧力は0.070MPaG以上必要である。このため、第2の閾値P2は、図7に示すように、(0.070≦P2≦0.500)の範囲に設定される。また、第1の閾値P1は、第2の閾値P2より高い(0.100≦P1≦0.500)の範囲に設定される。
【0049】
次に、水素製造装置11からの水素を充填していく際に、水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22にタンクを切り替える際の運用方法について説明する。
【0050】
水素吸蔵合金タンク21に水素を充填しているときには、図3に示したように、経路ST1となるように、各操作バルブ71~76が設定される。水素吸蔵合金タンク21の圧力及び温度は、水素を充填するにつれて上昇していく。このため、水素吸蔵合金タンク21を冷却して減圧させる必要がある。水素吸蔵合金タンク21から水素を充填しているときには、経路ST1となるように各操作バルブ71~76を設定している。このため、熱媒体として冷水を流すことで、水素吸蔵合金タンク21だけを冷却していくことができる。
【0051】
水素吸蔵合金タンク21への水素の充填を続けていくと、水素吸蔵合金タンク21の圧力は更に上昇していき、水素の充填を続けていくことが難しくなる。このため、水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22への切り替えが必要になる。このため、監視システム15は、水素吸蔵合金タンク21の圧力が第3の閾値P3以上まで上がったか否かを判定し、水素吸蔵合金タンク21の圧力が第3の閾値P3以上まで上がったら、図5に示す経路ST3になるように、各操作バルブ71~76を設定する。
【0052】
経路ST3に設定されると、図5に示したように、水素吸蔵合金タンク21を冷却しつつ、水素吸蔵合金タンク22を予冷することができる。水素吸蔵合金タンク22を予冷することで水素吸蔵合金タンク22を減圧し、水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22への切り替えを継続して行うことができる。
【0053】
そして、監視システム15は、水素吸蔵合金タンク21の圧力が第4の閾値P4以上まで上がったか否かを判定し、水素吸蔵合金タンク21の圧力が第4の閾値P4以上まで上がったら、使用するタンクを水素吸蔵合金タンク22に切り替え、図4に示す経路ST2となるように、各操作バルブ71~76を設定する。
【0054】
水素吸蔵合金タンク21の圧力は、高圧ガス保安法上の高圧ガスに該当しないためには、1MPaG以下に抑える必要がある。このため、図7に示すように、第4の閾値P4は、(0.700≦P4≦1.000)の範囲に設定される。また、第3の閾値P3は、第4の閾値P4よりも低い値に設定される。
【0055】
次に、燃料電池13に水素を放出して行く際に、水素吸蔵合金タンク22から水素吸蔵合金タンク21にタンクを切り替える際の運用方法について説明する。
【0056】
水素吸蔵合金タンク22から水素吸蔵合金タンク21にタンクを切り替える際の運用方法は、前述した水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22にタンクを切り替える際の運用方法と同様である。すなわち、水素吸蔵合金タンク22から水素を放出しているときには、図4に示したように、経路ST2となるように、各操作バルブ71~76が設定される。水素吸蔵合金タンク22からの水素の放出を続けていくと、水素吸蔵合金タンク22の圧力は低下していき、水素吸蔵合金タンク22から水素吸蔵合金タンク21への切り替えが必要になる。監視システム15は、水素吸蔵合金タンク22の圧力が第1の閾値P1以下まで下がったか否かを判定し、水素吸蔵合金タンク22の圧力が第1の閾値P1以下まで下がったら、図6に示す経路ST4になるように、各操作バルブ71~76を設定する。経路ST4に設定されると、図6に示したように、水素吸蔵合金タンク22を加熱しつつ、水素吸蔵合金タンク21を予熱することができる。そして、監視システム15は、水素吸蔵合金タンク22の圧力が第2の閾値P2以下まで下がったか否かを判定し、水素吸蔵合金タンク22の圧力が第2の閾値P2以下まで下がったら、使用するタンクを水素吸蔵合金タンク21に切り替え、図3に示す経路ST1となるように、各操作バルブ71~76を設定する。
【0057】
次に、水素製造装置11からの水素を充填していく際に、水素吸蔵合金タンク22から水素吸蔵合金タンク21にタンクを切り替える際の運用方法について説明する。
【0058】
水素吸蔵合金タンク22から水素吸蔵合金タンク21にタンクを切り替える際の運用方法は、前述した水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22にタンクを切り替える際の運用方法と同様である。すなわち、水素吸蔵合金タンク22から水素を充填しているときには、図4に示したように、経路ST2となるように、各操作バルブ71~76が設定される。水素吸蔵合金タンク22への水素の充填を続けていくと、水素吸蔵合金タンク22の圧力は更に上昇していき、水素の充填を続けていくことが難しくなる。監視システム15は、水素吸蔵合金タンク22の圧力が第3の閾値P3以上まで上がったか否かを判定し、水素吸蔵合金タンク22の圧力が第3の閾値P3以上まで上がったら、図6に示す経路ST4になるように、各操作バルブ71~76を設定する。経路ST4に設定されると、図6に示したように、水素吸蔵合金タンク22を冷却しつつ、水素吸蔵合金タンク21を予冷することができる。そして、監視システム15は、水素吸蔵合金タンク22の圧力が第4の閾値P4以上まで上がったか否かを判定し、水素吸蔵合金タンク21の圧力が第4の閾値P4以上まで上がったら、使用するタンクを水素吸蔵合金タンク21に切り替え、図3に示す経路ST1となるように、各操作バルブ71~76を設定する。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施形態では、水素吸蔵合金タンク21のみを加熱又は冷却する経路(経路ST1)や水素吸蔵合金タンク22のみを加熱又は冷却する経路(経路ST2)だけでなく、水素吸蔵合金タンク21を加熱又は冷却しながら水素吸蔵合金タンク22を予熱又は予冷する経路(経路ST3)や水素吸蔵合金タンク22を加熱又は冷却しながら水素吸蔵合金タンク21を予熱又は予冷する経路(経路ST4)が設定できる。これにより、水素吸蔵合金タンク21と水素吸蔵合金タンク22とのタンクの切り替えの際に水素の吸蔵又は放出を連続して行うことができる。
【0060】
次に、水素吸蔵合金タンク21と水素吸蔵合金タンク22とを切り替えて水素を充填や放出する場合の水素放出及び水素充填バルブの操作について説明する。図8は、本発明の実施形態における水素配管の説明図である。
【0061】
図8に示すように、水素吸蔵合金タンク21からは水素配管81が導出される。水素配管81は、水素吸蔵合金タンク21に水素が充填又は放出される水素経路を形成している。水素配管81には、バルブ91が設けられる。
【0062】
また、水素吸蔵合金タンク22からは水素配管82が導出される。水素配管82は、水素吸蔵合金タンク22に水素が充填又は放出される水素経路を形成している。水素配管82には、バルブ92が設けられる。水素吸蔵合金タンク21又は22から水素を放出し、燃料電池13に供給する場合には、水素吸蔵合金タンク21又は22から水素は水素配管81又は82を介して燃料電池13に送られる。このとき、バルブ91及びバルブ92は、水素放出に使用するタンクを水素吸蔵合金タンク21と水素吸蔵合金タンク22とで切り替える第1及び第2の放出バルブとなる。また、水素製造装置11からの水素を水素吸蔵合金タンク21又は22に充填する場合には、水素製造装置11からの水素は、水素配管81又は82を介して水素吸蔵合金タンク21又は22に送られる。このとき、バルブ91及びバルブ92は、水素充填に使用するタンクを水素吸蔵合金タンク21と水素吸蔵合金タンク22とで切り替える第1及び第2の充填バルブとなる。
【0063】
バルブ91及び92の開閉は、検出部90により検出されている。検出部90の検出結果は、監視システム15に送られる。
【0064】
図9A図9Dは、本発明の実施形態においてタンクの切り替えを行う際のバルブの開閉操作の説明図である。
【0065】
図9Aは、水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22に水素放出するタンクを切り替える場合のバルブ操作を示している。図9Aに示すように、水素吸蔵合金タンク21が水素を放出している状態のときには、バルブ91のみが開状態に設定され、バルブ92は閉じられている。水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22に切り替える遷移期間で、監視システム15は、検出部90の検出信号からバルブ91及びバルブ92の開閉を判定し、バルブ92が開状態となったのを確認した後、バルブ91を閉じ、バルブ92のみを開状態に設定する。
【0066】
図9Bは、水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22に水素吸蔵するタンクを切り替える場合のバルブ操作を示している。図9Bに示すように、水素吸蔵合金タンク21が水素を吸蔵している状態のときには、バルブ91のみが開状態に設定され、バルブ92は閉じられている。水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22に切り替える遷移期間で、監視システム15は、検出部90の検出信号からバルブ91及びバルブ92の開閉を判定し、バルブ92が開状態となったのを確認した後、バルブ91を閉じ、バルブ92のみを開状態に設定する。
【0067】
図9Cは、水素吸蔵合金タンク22から水素吸蔵合金タンク21に水素放出するタンクを切り替える場合のバルブ操作を示している。図9Aに示した水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22に水素放出するタンクを切り替える場合と同様に、監視システム15は、水素吸蔵合金タンク22から水素吸蔵合金タンク21に水素放出するタンクを切り替える場合、バルブ92のみを開いた状態から、遷移期間でバルブ91が開状態となったのを確認した後、バルブ92を閉じ、バルブ91のみを開状態に設定する。
【0068】
図9Dは、水素吸蔵合金タンク22から水素吸蔵合金タンク21に水素吸蔵するタンクを切り替える場合のバルブ操作を示している。図9Bに示した水素吸蔵合金タンク22から水素吸蔵合金タンク21に水素吸蔵するタンクを切り替える場合と同様に、監視システム15は、水素吸蔵合金タンク22から水素吸蔵合金タンク21に水素吸蔵するタンクを切り替える場合、バルブ92のみを開いた状態から、遷移期間でバルブ91が開状態となったのを確認した後、バルブ92を閉じ、バルブ91のみを開状態に設定する。
【0069】
このように、水素吸蔵合金タンク22と水素吸蔵合金タンク21とのタンクの切り替えを行う際には、バルブ91の開閉タイミングとバルブ92の開閉タイミングをずらしている。これにより、連続した水素の充填或いは放出を可能としている。
【0070】
例えば、燃料電池13の運転中、水素吸蔵合金タンク21と水素吸蔵合金タンク22との切り替えを行うとする。このとき、バルブ91を閉状態にして水素吸蔵合金タンク21からの水素の供給を遮断するのと同時に、バルブ92を開状態にして水素吸蔵合金タンク22からの水素を燃料電池13に送るように設定したとしても、瞬間的に燃料電池13への水素供給ができなくなる期間が生じ、燃料電池13の発電継続が困難となる。
【0071】
これに対して、本実施形態では、図9Aに示したように、水素吸蔵合金タンク21から水素吸蔵合金タンク22に水素放出するタンクを切り替える場合には、監視システム15は、バルブ91とバルブ92とが共に開状態となる期間を設定し、例えば0.5秒以上経過したことを確認した後に、バルブ91を閉じ、バルブ92のみを開状態に設定している。これにより、燃料電池13への水素供給を連続的に行うことができる。
【0072】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0073】
21,22…水素吸蔵合金タンク、51,52,61~66…配管、71~76…操作バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D