(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106903
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】レーザ生成プラズマ光源向けのドロップレット生成装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20220712BHJP
H05G 2/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G2/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076104
(22)【出願日】2022-05-02
(62)【分割の表示】P 2021070543の分割
【原出願日】2016-11-10
(31)【優先権主張番号】62/253,631
(32)【優先日】2015-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/261,639
(32)【優先日】2016-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アール ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ビカノフ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ルディ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイル レイトン シー
(72)【発明者】
【氏名】ホディキン オレグ
(57)【要約】
【課題】レーザ生成プラズマ光源用ドロップレット生成器を提供する。
【解決手段】装置102は、液体ターゲット素材を吐出するためのノズルと、1個又は複数個の中間チャンバと、を有し、ターゲット素材を受け取れるよう各中間チャンバが配置されていて、ターゲット素材を出しレーザ生成プラズマ(LPP)チャンバ内下流照射に供するための出口開口が各中間チャンバに形成されている。開示されている実施形態のうち幾つかには、装置の中間チャンバのうち1個、幾つか又は全てにてガス温度、ガス圧及びガス組成のうち一通り又は複数通りを制御する制御システムが組み込まれる。ある実施形態では可調長の中間チャンバが開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ生成プラズマ(LPP)チャンバにおけるドライブレーザによる照射のために液体ターゲット素材を吐出するノズルと、
チャンバ入口個所にてターゲット素材を受け取るよう位置決めされた中間チャンバを設定するアセンブリであって、前記中間チャンバが、ターゲット素材をレーザ生成プラズマチャンバにおける下流照射のために排出する出口開口を有し、前記中間チャンバが前記入口個所と出口開口との間に長さLを定めるアセンブリであり、前記中間チャンバの長さLを、該チャンバを加圧状態に保ったまま調整するサブシステムを有するアセンブリと、
を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記中間チャンバが第1中間チャンバであって、更に第2中間チャンバを有し、該第2中間チャンバが、ターゲット素材を前記LPPチャンバにおける下流照射のために排出する出口開口を有する、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記第2中間チャンバが、前記第1中間チャンバの出口開口からターゲット素材を受け取るように位置決めされている装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記アセンブリが、内径D1の円筒壁を有する第1部材と、D1>D2である外径D2の円筒壁を有する第2部材と、前記第1部材の円筒壁と前記第2部材の円筒壁との間に位置する封止材と、を備える装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記第1円筒壁により軸が定義され、前記アセンブリが、更に、前記第1部材と前記第2部材のうち一方を軸方向に動かすことで前記長さLを変えるように配備されたモータを備える装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記アセンブリが、第1端及び第2端を有するベロウズと、前記第1端を前記第2端に対し動かすことで前記長さLを変えるモータと、を備える装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記液体ターゲット素材が液体キセノンを含む、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、前記ドライブレーザが前記液体ターゲット素材を照射して、該液体ターゲット素材に極紫外(EUV)線を発光させるように構成されている、装置。
【請求項9】
ドライブレーザと、
レーザ生成プラズマ(LPP)チャンバにおける前記ドライブレーザによる照射のために液体ターゲット素材を吐出するノズルと、
チャンバ入口個所にてターゲット素材を受け取るよう位置決めされた中間チャンバを設定するアセンブリであって、前記中間チャンバが、ターゲット素材をレーザ生成プラズマチャンバにおける下流照射のために排出する出口開口を有し、前記中間チャンバが前記入口個所と出口開口との間に長さLを定めるアセンブリであり、前記中間チャンバの長さLを、該チャンバを加圧状態に保ったまま調整するサブシステムを有するアセンブリと、
を備えるシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、前記中間チャンバが第1中間チャンバであって、更に第2中間チャンバを有し、該第2中間チャンバが、ターゲット素材を前記LPPチャンバにおける下流照射のために排出する出口開口を有する、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、前記第2中間チャンバが、前記第1中間チャンバの出口開口からターゲット素材を受け取るように位置決めされているシステム。
【請求項12】
請求項9に記載のシステムであって、前記アセンブリが、内径D1の円筒壁を有する第1部材と、D1>D2である外径D2の円筒壁を有する第2部材と、前記第1部材の円筒壁と前記第2部材の円筒壁との間に位置する封止材と、を備えるシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記第1円筒壁により軸が定義され、前記アセンブリが、更に、前記第1部材と前記第2部材のうち一方を軸方向に動かすことで前記長さLを変えるように配備されたモータを備えるシステム。
【請求項14】
請求項9に記載のシステムであって、前記アセンブリが、第1端及び第2端を有するベロウズと、前記第1端を前記第2端に対し動かすことで前記長さLを変えるモータと、を備えるシステム。
【請求項15】
請求項9に記載のシステムであって、前記液体ターゲット素材が液体キセノンを含む、システム。
【請求項16】
請求項9に記載のシステムであって、前記ドライブレーザが前記液体ターゲット素材に極紫外(EUV)線を発光させるように構成されたシステム。
【請求項17】
請求項9に記載のシステムであって、検査ツールを含むシステム。
【請求項18】
請求項9に記載のシステムであって、計量ツールを含むシステム。
【請求項19】
請求項9に記載のシステムであって、リソグラフィツールを含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は、総じて、極端紫外(EUV)域の光(即ちその波長が10nm~124nm域の光例えば波長が13.5nmの光)を生成するプラズマ式光源に関する。本願記載のある種の実施形態に係る高輝度光源は、計量及び/又はマスク検査行為(例.化学線マスク検査やその一例たるブランクマスク又はパターニング済マスク検査)での使用にひときわ適している。より一般的には、本願記載のプラズマ式光源を、(そのまま又は相応に修正し)いわゆる大量生産(HVM)光源としてチップパターニングに用いることもできる。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願は下に列挙されている出願(「関連出願」)に関連する出願であり、当該関連出願における最先、利用可能且つ有効な出願日の利益を主張する(例.暫定特許出願以外に係る最先且つ利用可能な優先日を主張し或いは暫定特許出願についての米国特許法第119条(e)の規定による利益を関連出願のあらゆる親出願、その親出願、更にその親出願等々に関し主張する)出願である。
【0003】
(関連出願)
米国特許商標庁の例外的規定の趣旨を踏まえ、本願は「レーザ生成プラズマ光源向けのドロップレット生成」(DROPLET GENERATION FOR A LASER PRODUCED PLASMA LIGHT SOURCE)と題しBrian Ahr、Alexander Bykanov、Rudy Garcia、Layton Hale及びOleg Khodykinを発明者とする2015年11月10日付米国暫定特許出願第62/253631号の通常(非暫定)特許出願を構成するものであり、この参照を以てその全容を本願に繰り入れることにする。
【0004】
プラズマ式光源例えばレーザ生成プラズマ(LPP)光源は、欠陥検査、フォトリソグラフィ、計量等の用途向けに極端紫外(EUV)光を生成するのに、しばしば用いられている。概略、これらのプラズマ光源では、キセノン、スズ、リチウムその他、相応な線発光又は帯発光元素を含有するターゲット素材で形成されたプラズマにより、所望波長を有する光が放射される。例えばLPP光源では、ターゲット素材を励起源例えばレーザビームで照射することでプラズマを発生させる。
【0005】
これらの光源では、プラズマから発せられる光が反射光学系、例えば集光光学系(例.近垂直入射又はかすり入射鏡)の働きで集光されることが多い。集められた光は、その集光光学系によって光路沿いに中間個所に差し向けられ、場合によってはそこに集束され、次いでその中間個所にて下流ツール、例えばリソグラフィツール(即ちステッパ/スキャナ)、計量ツール又はマスク/ペリクル検査ツールにより用いられる。
【0006】
用途にもよるが、ジェット又はドロップレット(即ち液体ドロップレット又は氷結ペレット)形態のキセノンをターゲット素材として用いることで、確たる長所を提供することができる。例えば、1μmドライブレーザによる照射下でキセノンターゲット素材を用いることで、計量ツールやマスク/ペリクル検査ツールでの使用にひときわ適する比較的高輝度なEUV光源を、提供することができる。
【0007】
キセノンその他のクライオジェニック(低温)ガスは、特殊な圧力及び温度条件下で液体ドロップレット及び固体ペレットの形態になる。ある構成によれば、加圧及び冷却することでキセノンを液化することができる。そして、その液体キセノンをノズルからジェットとして放出させ、続いて減衰していくジェットからドロップレットを発現させる。その後はそれらドロップレット(例.液体ドロップレット又は氷結ペレットドロップレット)を真空環境内のあるサイトまで進行させ、そこでそれらドロップレットにレーザビームを照射することでEUV発光性プラズマを発生させる。それらジェット/ドロップレットの進行中にキセノンの蒸発でキセノンガスが生じ、そのキセノンガスによってEUV光が強く吸収されうることが、顕著なEUV伝搬損失につながっている。例えば、ターゲット素材が照射を受けるLPPチャンバ内環境を、全体として、約40mTorr未満の総圧、約5mTorr未満のキセノン分圧に保持しないと、EUV光を吸収無しで伝搬させることができない。より定量的に言えば、13.5nmのEUV光が室温下で1Torr・cm(圧力×距離)のキセノンガス内を通る際の透光率は、約44%に過ぎない。
【0008】
ドロップレットの位置安定性も、LPPシステム設計時にしばしば考慮されるファクタの一つである。具体的には、ドロップレットが照射個所に正確に到達するよう、ひいてはターゲット素材ドロップレット・集束レーザビーム間結合が確と良好になるようにすることが、良好な変換効率を得る上で望ましい。このとき、ノズルから照射サイトまでの間にターゲット素材が被る環境が位置安定性に影響しうる。位置安定性に影響するファクタの例としては、経路長、経路沿い条件例えば温度及び圧力(これは蒸発速度に影響を及ぼしうる)並びにあらゆる経路沿いガス流がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0223546号
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0174996号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、従来技術の短所が治癒されたレーザ生成プラズマ光源用ドロップレット生成器を生成することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本件開示の第1態様に係る装置は、液体ターゲット素材を吐出するためのノズルと、ターゲット素材を受け取れるよう配置された中間チャンバであり、ターゲット素材を出しLPPチャンバ内下流照射に供するための出口開口が形成されている中間チャンバと、測定されたガス流(measured flow of gas)をその中間チャンバ内に導入することで中間チャンバ内ガス組成を制御するシステムと、を有する。
【0012】
本態様に係る装置は、単一中間チャンバ型装置とすることも複数中間チャンバ型装置(即ち2個以上の中間チャンバを有する装置)とすることもできる。
【0013】
本態様の実施形態の一つは、中間チャンバが第1端から第2端に亘るチャネルを有し、出口開口が第2端にあるものである。
【0014】
格別な実施形態の一つは、中間チャンバが第1端から第2端に亘るチャネルを有し、出口開口が第2端にあり、第1端から第2端までのチャネル長が20μm~500μmの範囲内のものである。格別な実施形態の一つは、中間チャンバの内面がチャネルの第1端に連なっており、当該内面の形状が、円錐台状、凹状、凸状、平坦及び緩テーパ付からなる形状集合に属するものである。ある種の実現形態によれば、そのチャネルをある特定のプロファイルを有するもの、例えばそのチャネルの少なくとも一部分がラベル(Lavelle)ノズルプロファイルを有するものとすることができる。
【0015】
ある実施形態によれば、中間チャンバの出口開口の直径を100μm~1000μmの範囲内とすることができる。
【0016】
格別な実施形態の一つは、中間チャンバが第1端から第2端に亘るチャネルを有し、出口開口が第2端にあり、チャネルにより軸が定義され、中間チャンバがチャネルの第1端から縁に亘る凹状の内面を有し、出口開口からの軸方向距離が2mm~10mmの範囲内のところにその縁があるものである。
【0017】
実施形態の一つは、中間チャンバが、第1端から第2端に亘るチャネルを有し、出口開口が第2端にあり、チャネルにより軸が定義され、中間チャネルがチャネルの第1端に連なる凹状の内面を有し、当該内面と当該軸とが60°超の角をなすものである。
【0018】
本態様の実現形態の一つは、その液体ターゲット素材がキセノン(又はキセノン含有のもの)であり、測定されたガス流を中間チャンバ内に導入することで中間チャンバ内ガス組成を制御するシステムによりキセノン以外のガスがその中間チャンバ内に導入されるものである。例えば、水素、ヘリウム、HBr、アルゴン、窒素又はそれらの組合せ等、ターゲット素材ガス(例.キセノンガス)より高いEUV透光率を有するガスを、ガス組成制御システムによって導入することができる。
【0019】
本態様に係る装置は、更に、1個又は複数個の中間チャンバ内のガス温度を制御するシステムを備え、そのシステムが1個又は複数個の温度制御要素を有するものとすることができる。例えば、中間チャンバ内に配置されたフィン(群)、中間チャンバ外に位置するフィン(群)、ペルチエ冷却素子、自プレート内に伝熱流体を通すための内部流路が形成されているプレート、或いは断熱プレートを、温度制御要素とすることができる。
【0020】
ある実施形態によれば、本装置に、中間チャンバの出口開口を形成する動力付アイリス(絞り)を具備させることができる。
【0021】
本態様の構成の一つは、第1中間チャンバの出口開口からターゲット素材を受け取れるよう第2中間チャンバが配置され、ターゲット素材を出しLPPチャンバ内下流照射に供するための出口開口が第2中間チャンバに形成されている装置であり、測定されたガス流を第1中間チャンバ内に導入することで第1中間チャンバ内のガス組成を制御するシステムと、測定されたガス流を第2中間チャンバ内に導入することで第2中間チャンバ内のガス組成を制御するシステムとを、備えるものである。この構成を有する実施形態によれば、液体ターゲット素材をキセノンとすることができ、また第1中間チャンバ内ガス組成制御システムによりキセノンの分圧をキセノン分圧pXe1に制御すること並びに第2中間チャンバ内ガス組成制御システムによりキセノンの分圧をpXe1>pXe2たるキセノン分圧pXe2に制御することができる。
【0022】
本件開示の別の態様に係る装置は、液体ターゲット素材を吐出するためのノズルと、ターゲット素材を受け取れるよう配置された第1中間チャンバであり、ターゲット素材を出しレーザ生成プラズマ(LPP)内下流照射に供するための出口開口が形成されている第1中間チャンバと、ターゲット素材を受け取れるよう配置された第2中間チャンバであり、ターゲット素材を出しLPPチャンバ内下流照射に供するための出口開口が形成されている第2中間チャンバと、を有する。
【0023】
本態様のある実施形態に係る装置は、ターゲット素材を受け取れるよう配置された第3中間チャンバを有し、ターゲット素材を出しLPPチャンバ内下流照射に供するための出口開口がその第3中間チャンバに形成されているものである。格別な実施形態の一つは、その第2中間チャンバが第1中間チャンバの出口開口からターゲット素材を受け取り、第3中間チャンバが第2中間チャンバの出口開口からターゲット素材を受け取る実施形態であり、エアロダイナミックレンズを形成すべく第1中間チャンバの出口開口の直径d1、第2中間チャンバの出口開口の直径d2並びに第3中間チャンバの出口開口の直径d3がd1>d2>d3とされているものである。
【0024】
本態様の格別な実施形態の一つは、第2中間チャンバが第1中間チャンバの出口開口からターゲット素材を受け取る装置であって、更に、第1中間チャンバ内のガス圧を圧力p1に制御するシステムと、第2中間チャンバ内のガス圧をp1>p2たる圧力p2に制御するシステムと、を備えるものである。第1中間チャンバ内ガス圧制御システムには、例えば、測定されたガス流を第1中間チャンバ内に導入するサブシステムと、測定されたガス流を第1中間チャンバからポンピングするサブシステムと、を具備させることができる。
【0025】
本態様の実施形態の一つは、第2中間チャンバが第1中間チャンバの出口開口からターゲット素材を受け取る装置であって、第1中間チャンバ内のガス温度を温度t1に制御するシステムと、第2中間チャンバ内のガス温度をt1>t2たる温度t2に制御するシステムと、を有するものである。
【0026】
本態様の実施形態の一つは、中間チャンバ内ガス温度制御システムが、中間チャンバ内に配置されたフィン、中間チャンバ外に位置するフィン、ペルチエ冷却素子、自プレート内に伝熱流体を通すための内部流路が形成されているプレート、並びに断熱プレート、からなる温度制御要素集合に属する温度制御要素を備えるものである。
【0027】
本件開示のまた別の態様に係る装置は、レーザ生成プラズマ(LPP)チャンバ内でのドライブレーザによる照射のため液体ターゲット素材を吐出するためのノズルと、チャンバ入口個所にてターゲット素材を受け取れるよう配置された中間チャンバを樹立するアセンブリと、を有し、ターゲット素材を出しレーザ生成プラズマチャンバ内下流照射に供するための出口開口がその中間チャンバに形成されており、その中間チャンバにより入口個所・出口開口間の長さLが定まり、且つそのアセンブリが、そのチャンバを加圧状態に保ったまま中間チャンバの長さLを調整するサブシステムを有するものである。
【0028】
本態様に係る装置は、単一中間チャンバ型装置とすることも複数中間チャンバ型装置(即ち2個以上の中間チャンバを有するもの)とすることもできる。
【0029】
本態様の実施形態の一つは、そのアセンブリが、内径D1の円筒壁を有する第1部材と、D1>D2たる外径D2の円筒壁を有する第2部材と、第1部材の円筒壁と第2部材の円筒壁との間に位置する封止材と、を有するものである。格別な実現形態の一つは、その第1円筒壁により軸が定義され、そのアセンブリが、更に、第1部材及び第2部材のうち一方を軸方向に動かすことで長さLを変化させるよう配備されたモータを備えるものである。
【0030】
本態様のもう一つの実施形態は、そのアセンブリが、第1端及び第2端を有するベロウズと、第1端を第2端に対し動かすことで長さLを変化させるモータと、を有するものである。
【0031】
ある種の実施形態によれば、本願記載の装置を検査システム、例えばブランクマスク又はパターニング済マスク検査システムに組み込むことができる。ある実施形態によれば、検査システムに、例えば、中間個所に輻射を送給する光源と、その輻射で以てサンプルを照明するよう構成された光学システムと、そのサンプルによりイメージング路沿いに反射、散乱又は輻射された照明を受け取るよう構成された検出器と、を具備させることができる。この検査システムには、更に、その検出器と通信する情報処理システムであり、検出した照明に係る信号に基づきサンプルの少なくとも1個の欠陥を所在特定又は計測するよう構成されている情報処理システムを、具備させることができる。
【0032】
ある種の実施形態によれば、本願記載の装置をリソグラフィシステムに組み込むことができる。例えば、その光源をリソグラフィシステムにて用いることで、パターン付輻射ビームで以て、レジストで被覆されたウェハを露光させることができる。ある実施形態によれば、リソグラフィシステムに、例えば、中間個所に輻射を送給する光源と、その輻射を受け取りパターン付輻射ビームを発現させる光学システムと、そのパターン付ビームをレジストで被覆されたウェハへと送給する光学システムと、を具備させることができる。
【0033】
ご理解頂けるように、上掲の概略記述及び後掲の詳細記述は共に専ら例示的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲記載の発明を必ずしも限定するものではない。添付図面は、本明細書に組み込まれその一部を形成するものであり、本発明の実施形態を描出しており、また概略記述と相俟ち本発明の原理を説明する役を負っている。
【0034】
本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、以下の如き添付図面を参照することによって、本件開示に多々備わる長所をより良好に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るLPP光源を示す概略模式図である。
【
図2】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り単一の中間チャンバを有するドロップレット生成器を示す概略模式図である。
【
図3】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り複数個の中間チャンバを有するドロップレット生成器を示す概略模式図である。
【
図4】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るドロップレット生成器の斜視断面図であり、ジェット生成器の内部子細が示されている。
【
図5】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、その先端に出口開口があるチャネルと、そのチャネルの基端に連なる凹状内面と、を有する中間チャンバの先端寄り(下流)部分の斜視断面図である。
【
図6】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る中間チャンバのうち
図5に示した部分の断面図であり、凹状内面の長さ及び傾斜角が示されている。
【
図7】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る中間チャンバのうち
図6にて詳示矢印7-7により括られている部分の詳細断面図であり、チャネルの直径及び長さが示されている。
【
図8】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、その先端に出口開口があるチャネルと、そのチャネルの基端に連なり一定厚シートによって形成されている凸状内面と、を有する中間チャンバの先端寄り(下流)部分の斜視断面図である。
【
図9】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、その先端に出口開口があるチャネルと、そのチャネルの基端に連なる緩テーパ付内面と、を有する中間チャンバの斜視断面図である。
【
図10】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、その先端に出口開口があるチャネルと、そのチャネルの基端に連なりその厚みにテーパが付いているシートによって形成されている凸状内面と、を有する中間チャンバを示す斜視断面図である。
【
図11】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りエアロダイナミックレンズを形成する複数個の中間チャンバを有するドロップレット生成器の斜視断面図である。
【
図12A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る中間チャンバのうち
図11にて詳示矢印12A-12Aで括られている部分の詳細断面図であり、
図11に示した中間チャンバのうち1個に関しチャネル直径が示されている。
【
図12B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る中間チャンバのうち
図11にて詳示矢印12B-12Bで括られている部分の詳細断面図であり、
図11に示した中間チャンバのうち1個に関しチャネル直径が示されている。
【
図12C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る中間チャンバのうち
図11にて詳示矢印12C-12Cで括られている部分の詳細断面図であり、
図11に示した中間チャンバのうち1個に関しチャネル直径が示されている。
【
図13】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り中間チャンバの出口開口を有するドロップレット生成器のうち動力付アイリスアセンブリが形成されている部分の概略断面図である。
【
図14】
図13中の線14-14沿いに見た断面図であり、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る動力付アイリスアセンブリが示されている。
【
図15】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、伝熱流体を通すための通路を有するプレートで形成されたガス温度制御用環境制御システムを有する中間チャンバの斜視図である。
【
図16】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、伝熱流体を通すための通路を有するプレートで形成されたガス温度制御用環境制御システムをそれぞれ有する2個の中間チャンバと、それら2個の中間チャンバを隔てる断熱体プレートと、を示す断面図である。
【
図17】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、温度制御クラムシェルで形成されたガス温度制御用環境制御システムをそれぞれ有する2個の中間チャンバと、第1中間チャンバの出口開口を定めると共にそれら2個の中間チャンバを互いに熱絶縁する断熱体プレートと、を示す断面図である。
【
図18】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る複数個の中間チャンバの断面図であり、それら中間チャンバのうち一方に関しガス圧及び/又はガス組成制御用環境制御システムが示されている。
【
図19】
図18中の線19-19沿いに見た断面図であり、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り中間チャンバ内にガスを導入するためのポートの対称配置が示されている。
【
図20】
図18中の線20-20沿いに見た断面図であり、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り中間チャンバからガスを除去するためのポートの対称配置が示されている。
【
図21】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りその長さが可調な中間チャンバの一例の断面図である。
【
図22】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りその長さが可調な中間チャンバの別例の断面図である。
【
図23】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る光源が組み込まれた検査システムを示す概略模式図である。
【
図24】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る光源が組み込まれたリソグラフィシステムを示す概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面に示す被開示主題について詳細に参照することにする。最初にご理解頂くべきことに、類似する図面符号であり別々の図面上にあるものは、本件開示の構造的構成要素のうち同一のもの又は機能的に同様なものを指し示している。ご理解頂けるように、特許請求の範囲に記載の事項が被開示態様に限定されるものではない。やはりご理解頂けるように、本件開示は記述されている特定の方法論、素材及び修正に限定されるものではなく、無論のことそれらを改変することができる。これもまたご理解頂けるように、本願にて用いられている用語法は専ら特定の態様を記述することを旨としており、本件開示の技術的範囲を限定する意図のものではない。
【0037】
図1に、一実施形態に係りEUV光をもたらす光源(その全体を100で示す)及びドロップレット生成器102を示す。光源100は、例えば、インバンドEUV光(例.13.5nmの波長及び2%の帯域幅を有する光)をもたらすよう構成することができる。図示の通り光源100は励起源104例えばドライブレーザを有しており、これは、照射サイト108にあるターゲット素材106を照らすよう、ひいてはEUV光放射性プラズマをレーザ生成プラズマチャンバ110内で発生させるよう構成されている。場合にもよるが、ターゲット素材106にまず第1パルス(予パルス)、次いで第2パルス(主パルス)を照射することで、プラズマを生成することができる。例えば光源100を化学線マスク検査行為向けに構成する場合、Nd:YAG等の固体利得媒質を有し約1μmの光を発するパルスドライブレーザと、キセノン含有のターゲット素材106とで、励起源104を構成することで、化学線マスク検査に役立つ比較的高輝度なEUV光源を提供するという確たる利点を提供することができる。他種ドライブレーザ、例えばその固体利得媒質がEr:YAG、Yb:YAG、Ti:サファイア、Nd:バナジン酸塩等のものが適することもあろう。ガス放電レーザ例えばエキシマレーザも、所要波長で十分な出力が得られるのなら用いることができる。EUVマスク検査システムでは約10W以下のEUV光で足りるが、小エリア内を高輝度にする必要があろう。この場合、マスク検査システム向けに十分なパワー及び輝度のEUV光を発生させるには、総レーザ出力を数kW以下とし、その出力を小さなターゲットスポット上、典型的にはその直径が約100μm未満のそれに集束させるのが相応しかろう。他方、大量生産(HVM)行為例えばフォトリソグラフィ向けには、複数個の増幅段を伴うハイパワーガス放電CO
2レーザシステムを有し約10.6μmの光を出射するドライブレーザと、スズ含有のターゲット素材106とで、励起源104を構成することで、良好な変換効率で以て比較的ハイパワーなインバンドEUV光を発生させる等、確たる利点を提供することができる。
【0038】
同じく
図1に示すように、光源100の励起源104は、照射サイト108にあるターゲット素材106を、レーザ入射窓112を介し送給される集束照明ビーム又は光パルス列で照らすよう構成することができる。やはり図示の通り、その照射サイト108から放射された光のうち幾ばくかが集光光学系114(例.近垂直入射鏡)へと伝搬し、端部光線116a及び116bで明示されている通り中間個所118へと反射されていく。集光光学系114は2個の焦点を有する偏長楕円体のセグメント、特にインバンドEUV反射向けに最適化された多層鏡(例.Mo/Si又はNbC/Si)で覆った高品質研磨面を有するセグメントとすることができる。実施形態にもよるが、集光光学系114の反射面は、約100~10000cm
2の範囲内の表面積を有するものにすること並びに照射サイト108から約0.1~2mのところに配置することができる。いわゆる当業者には明らかな通り上掲の範囲は例示であるし、偏長楕円体鏡に代え又は加え様々な光学系を、検査システムやフォトリソグラフィシステム等のEUV照明利用装置へと引き続き送給しうるよう光を集め中間個所118に差し向けるのに、用いることができる。
【0039】
光源100のLPPチャンバ110は低圧容器であり、その内部では、生じたプラズマがEUV光源として働き生じたEUV光が集光及び集束される。EUV光はガスによって強く吸収されるので、LPPチャンバ110内の圧力を低くすると光源内部でのEUV光の減衰が少なくなる。通常は、LPPチャンバ110内環境を、40mTorr未満(例.アルゴンバッファガスの場合)の総圧、H2又はヘリウムバッファガスの場合はそれ以上の総圧に保ち、且つ5mTorr未満のキセノン分圧に保つことで、実質的な吸収無しでEUV光を伝搬させることが可能となる。バッファガス例えば水素、ヘリウム、アルゴン又はその他の不活性ガスをその真空チャンバ内で用いてもよい。
【0040】
ドロップレット生成器102は、励起源104からの集束パルス光が照射サイト108に到達するのと同時にドロップレットがその照射サイトに交差する態で、ターゲット素材106のドロップレットをLPPチャンバ110内に送給するよう、構成されている。本願で用いられている「ドロップレット」とは、大略、レーザから放射された輻射に反応しプラズマへと変換される少量の素材のことである。「ドロップレット」は気相、液相及び固相のいずれでも存しうる。「ペレット」とは、大略、固相のドロップレット、例えば真空チャンバ内への移動に伴い氷結したもののことである。例えばターゲット素材106を液体又は固体キセノンのドロップレットで構成することができるが、プラズマへの変換に適した他の素材、例えばスズ、リチウムといった他種ガスでターゲット素材106が構成されていてもよい。ドロップレット生成器102に対するドロップレット方向及びタイミングの調整は制御システム120により制御することができる。場合によっては、ドロップレットの表面に電荷を付帯させ、一通り又は複数通りの電界又は磁界を印加することで、それらドロップレットを操ること/安定化することができる(図示せず)。
【0041】
やはり
図1に示すように、中間個所118にてEUVビームを内部集束モジュール122内に投射すること及びそれをダイナミックガスロックとして働かせることができるので、LPPチャンバ110内低圧環境を保全すること、並びに生じたEUV光を用いるシステムをプラズマ生成プロセスで生じるあらゆるデブリ(破片)から守ることができる。
【0042】
光源100には制御システム120と通信するガス供給システム124をも設けることができ、それによって、ターゲット素材その他のガス(後述)をドロップレット生成器102に供給すること、(例.ポート126を介した)LPPチャンバ110内への保護バッファガス(群)の注入を制御すること、並びにバッファガスを供給して内部集束モジュール122のダイナミックガスロック機能を守ることができる。制御システム120と通信する真空システム128、例えば1個又は複数個のポンプを有するものを設けることによって、(例.ポート130を介し)LPPチャンバ110の低圧環境を樹立及び維持すること、並びに場合によってはドロップレット生成器102を対象にポンピング(汲み出し)を実行することができる(後掲の議論を参照)。場合にもよるが、ターゲット素材及び/又はバッファガス(群)を真空システム128により回収し再循環させることができる。
【0043】
同じく
図1から読み取れるように、光源100には、ドロップレットの在処及び/又はタイミングを計測するためのターゲット素材センサ132を設けることができる。その場合、そのデータを用いることで、ドロップレット方向を調整すること、及び/又は、ドロップレット生成器102及び/又は励起源104のタイミングを調整してそれらドロップレット生成器102及び励起源104を同期させることができる。また、EUVプラズマをイメージングする診断ツール134を設けることや、EUV光パワー出力を計測するためのEUVパワーメータ136を設けることができる。LPPチャンバ110内ガスの温度及び圧力を計測するためのガス監視センサ138を設けることができる。上掲のセンサはいずれも制御システム120と通信可能であり、それによって、リアルタイムデータ捕捉及び分析を制御すること、データロギングを制御すること、並びに励起源104及びドロップレット生成器102を含め様々なEUV光源サブシステムをリアルタイムに制御することができる。
【0044】
図2に、
図1に示した光源100にて用いうるドロップレット生成器の一例102を示す。図示の通り、ドロップレット生成器102には、液体ターゲット素材がノズル142によりジェット144として吐出され、そのジェット144が中間チャンバ148内で追々ドロップレット146へと破断されるよう、ノズル142を有するジェット生成器140を設けることができる。ジェット生成器140の子細については
図4を参照して後述することにする。同じく
図2に示すように、中間チャンバ148には、ターゲット素材を出しLPPチャンバ110内下流照射に供するための出口開口150を、形成することができる。やはり
図2に示すように、中間チャンバ148内ガス組成、ガス温度及びガス圧のうち一通り又は複数通りを制御する環境制御システム152を設けることができる。ライン154,156は、ジェット生成器140及び環境制御システム152が制御システム120(
図1参照)と通信しうることを表している。
【0045】
図3に、
図1に示した光源100にて用いうるドロップレット生成器の一例102aとして、ターゲット素材路に沿い縦続配置された複数個の中間チャンバ148a,148bを有するものを示す。図示の通り、ドロップレット生成器102aには、液体ターゲット素材がノズル142によりジェット144として吐出され、そのジェット144が中間チャンバ148a,148b内で追々ドロップレット146へと破断されるよう、ノズル142を有するジェット生成器140を設けることができる。同じく
図3に示すように、各中間チャンバ148a,148bには、ターゲット素材を出しLPPチャンバ110内下流照射に供するための個別の出口開口150a,150bを、形成することができる。やはり
図3に示すように、各個中間チャンバ148a,148b内ガス組成、ガス温度及びガス圧のうち一通り又は複数通りを制御する環境制御システム152a,152bを設けることができる。ライン154、156a及び156bは、ジェット生成器140及び環境制御システム152a,152bが制御システム120(
図1参照)と通信しうることを表している。
図3には2個の中間チャンバ148a,148bを有するドロップレット生成器102aを示したが、本願記載のドロップレット生成器には、2個超(例.3個、4個又は5個以上)の中間チャンバを設けることもでき、
図2に示す如く中間チャンバを1個まで少なくすることもできる。
【0046】
複数個の中間チャンバ148a,148bを有するドロップレット生成器102aの使用は、場合によっては有益なこととなりうる。例えば、構成にもよるが、単一チャンバ型の装置ではジェット、ドロップレット形成並びにLPPチャンバ110内放出に係る条件を同時に最適化できないことがある。例えばドロップレット形成に必要な圧力はLPPチャンバ110に先行する最後の中間チャンバ内で許容される圧力よりも高くなりうるが、圧力が高いと急流になるであろうし、さもなければその流れを制限する開口を小さくすることが必要になろう。流れが急だとLPPチャンバ110内ターゲット素材(キセノン)圧が増して透光率が下がることとなりうるし、キセノンが高コストであるから高価にもなりかねない。単なるより小さな出口開口の使用は、整列との絡みで行えないことがある。場合にもよるが、複数個の中間チャンバを用いることで、真空中でのドロップレットの安定性を向上させることができる。中間チャンバから中間チャンバへ、更にEUVチャンバ内へと向かう総ガス流(Xeに加え他のガス)を減らすことで、次のチャンバ(群)に入る際にドロップレットが受ける攪乱を減らすことができる。チャンバの個数は、ドロップレット攪乱を減らし場合によっては解消するチャンバ間ガス流がその圧力降下によって生じるよう選択すればよい。
【0047】
図4に、
図1に示した光源100にて用いうるドロップレット生成器の別例102bを示す。図示の通り、ドロップレット生成器102bには、液体ターゲット素材がノズル142によりジェット144として吐出され、そのジェット144が中間チャンバ148c内で追々ドロップレット146へと破断されるよう、ノズル142を有するジェット生成器140を設けることができる。図示の通り、ジェット生成器140は、長尺管(例.毛細管)として形成されたノズル142を介し一定量の液体ターゲット素材を送り込むターゲット素材源158を有している。圧電アクチュエータ160がその管を囲むように配置されており、ノズル尖端162を通るターゲット素材の流速がこれにより変調されている。この変調は、ジェット144のドロップレット146への破断に、可制御的に影響を及ぼしている。本件技術分野で既知なあらゆる変調波形を、この圧電アクチュエータ160の駆動に用いることができる。例えば、癒着(合体)ドロップレットをもたらせるよう設計された駆動波形を用いることができる。
【0048】
同じく
図4に示すように、中間チャンバ148cには、ターゲット素材を出しLPPチャンバ内下流照射に供するための出口開口150cを形成することができる。図示の通り、中間チャンバ148cの先端(即ち下流端)に円錐台状シェル164を配置することができる。円錐台状シェル164についてはよりまとまった記述が「マスク検査にクライオジェニックドロップレットターゲットを用いるEUV光源」(EUV Light Source Using Cryogenic Droplet Targets in Mask Inspection)と題しBykanov et al.を発明者とする2014年2月13日付米国特許出願第14/180107号にて提供されているので、この参照を以てその全容を本願に繰り入れることにする。但し、後続チャンバ内を適正圧力に保つ上で、ある中間チャンバから別のチャンバに向かうガス流が層流であること及び十分低速であることが望ましいことがありうるので、各中間チャンバを終端するのに円錐台状シェルが必ずしも最適形状であるとは限らない。
【0049】
図5~
図7に、中間チャンバ148dの先端寄り(即ち下流)部分、即ち第1端166から第2端168に亘るチャネル164を有しそのチャネル164の第2端168には中間チャンバ148dの出口開口150dがある部分を示す。図示の通り、この中間チャンバ148dは、チャネル164の第1端166に連なる凹状の内面170を有している。図示構成に係る中間チャンバ148dは、典型的には、第1端166から第2端168までのチャネル長Lが約20μm~500μmの範囲内、出口開口直径Dが100μm~1000μmの範囲内のものである。また、図示構成に係る凹状内面170は、典型的には、チャネル164の第1端166から縁172に亘り、出口開口150dから約2mm~10mmの範囲内の軸方向距離dにその縁172が位置していて、内面170とチャネル軸174とが約60°超の角αをなすものである。
【0050】
図5に示すように、出口開口150d及び内面170を提供する部材は、(例.Oリングを介し)中間チャンバ148dの壁と封止状態で当接するプレート又はプレートアセンブリとすることができる(これはしばしば「スキマ」と称される)。このプレートの位置は可調であり(即ち手動で又は1個又は複数個のアクチュエータにより調整することができ)、それにより、(例.ドロップレット軸に対する)チャネル164の傾斜を調整することや、ドロップレット軸に直交する面内で(例.整列目的で)そのチャネルを動かすことができる。この調整の子細を、先の参照によってその全容が既に本願に繰り入れられており「マスク検査にクライオジェニックドロップレットターゲットを用いるEUV光源」(EUV Light Source Using Cryogenic Droplet Targets in Mask Inspection)と題しBykanov et al.を発明者とする2014年2月13日付米国特許出願第14/180107号中に、見いだすことができる。
【0051】
図5に示されているのは、その厚みが最少で凹状プロファイルを呈する簡略構成のスキマである。具体的には、あらゆるチャネル164内擾乱が減り又はなくなるようドロップレット伝搬用チャネル164が小型化されている。上掲の寸法は、後続チャンバ(群)内に向かう流量及び出口開口150d周辺での圧力勾配が最適化されるように選択してある。中間チャンバ(群)をスキマ機能にて終端させることで、中庸な圧力から(EUV生成に必要な)低い圧力へのジェット又はドロップレットの引き渡しと並行してガス流を制限及び成形することができ、ひいては各チャンバの環境を後続チャンバから分離させドロップレットの安定性を保つことができる。
【0052】
図8~
図11は中間チャンバ148e(
図8),148f(
図9),148g,148h(
図10),148i,148j,148k(
図11)それぞれの先端寄り(即ち下流)部分を示す図であり、別々の内面形状を有する幾つかの実施形態が示されている。より具体的には、
図8に示す中間チャンバ148eは、一定厚シート176で形成されたチャネル164eに連なる凸状の内面170eを有している。
図9に示す中間チャンバ148fは、チャネル164fに連なる円滑な緩テーパ付内面170fを有している。この形状(しばしば「スルース構成」と称されるそれ)により、中間チャンバ148fから後続チャンバ例えばLPPチャンバ110内へと引き渡されるガスの乱れを減らすことができる。この構成の意図は、チャネル164fへの出入りの際に周囲ガスの層流を発生させることにある。場合にもよるが、長さ、直径、インレット圧力及びアウトレット圧力を変化させ、それらドロップレットに対する自動センタリング効果を誘起することで、チャネル164f内圧力勾配をチューニングすることができる。
図10に示す中間チャンバ148g及び148hは、テーパ付シート176g及び176hで形成された対応するチャネル164g及び164hに連なる凸状の内面170g及び170hを有している。
図11に示す中間チャンバ148i、148j及び148k(
図12~
図14も参照のこと)は、対応するチャネル164i、164j及び164kに連なる平坦面状の内面170i、170j及び170kを有している。
図8~
図11に示した中間チャンバは円筒形状のチャネルを有するものである。他の形状を有するチャネルを用いてもよい。様々なチャネル形状並びにそのチャネル内を通るドロップレット及びガスに対するそれらの影響の子細を、先の参照によってその全容が既に本願に繰り入れられており「マスク検査にクライオジェニックドロップレットターゲットを用いるEUV光源」(EUV Light Source Using Cryogenic Droplet Targets in Mask Inspection)と題しBykanov et al.を発明者とする2014年2月13日付米国特許出願第14/180107号中に見いだすことができる。また、スキマモジュールとしては、終端させる中間チャンバに対し内方、外方又はその双方に延びるものを採用することができる。
【0053】
図11、
図12A、
図12B及び
図12Cに、複数個の中間チャンバ148i,148j,148kを用いエアロダイナミックレンズを形成し、それによりドロップレットを照射サイト108(
図1参照)へと差し向けるようにしたものを示す。具体的には、ドロップレットを各チャンバ内で能動的に集束させうるエアロダイナミックレンズが生成されるよう、一連の出口開口150i,150j,150kを構成することができる。エアロダイナミックレンズを構成するため、図示の通りそれら中間チャンバの出口開口が、ノズル142から見て下流の方向に沿い縮小されている。より具体的には、出口開口150iの直径d
1、出口開口150jの直径d
2並びに出口開口150kの直径d
3がd
1>d
2>d
3とされている。
図11に示すように、個々の対をなす出口開口間に整列及び診断目的の窓(群)173を設けることで、カメラ(図示せず)によりそれらドロップレットを明視野照明状態で又はシャドウグラムとして看取することが可能になる。
【0054】
お察し頂けるように、ドロップレット生成器にて複数種類の(即ち1個は凸状でもう1個は別の凹状の)スキマを用いてもよい。また、チャネル寸法及び/又は内面寸法を中間チャンバ毎に変えてもよい。
【0055】
図13及び
図14に、動力付アイリス(絞り)アセンブリが形成された出口開口150
1を有し、その動力付アイリスアセンブリがアイリスアセンブリ175及びモータ177を有し、そのモータ177が例えば制御システム120(
図1参照)と通信可能な中間チャンバ148
1を示す。この構成では出口開口150
1の有効直径を可調制御することができる。この構成を用いることで、エアロダイナミックレンズ(
図11参照)の出口開口を定めることができ、場合によってはドロップレット安定性を能動的に保つことができる。この構成によれば、整列目的で出口開口直径を拡張すること、それに加え調整すること、ひいてはドロップレット路沿いの圧力及び流れにつき最適条件を提供することができる。
【0056】
翻って
図2から読み取れるように、単一の中間チャンバ148を有するドロップレット生成器102に、中間チャンバ148内ガス組成、ガス温度及びガス圧のうち一通り又は複数通りを制御する環境制御システム152を設けることができる。加えて、
図3に示すように、複数個の中間チャンバ148a,148bを有するドロップレット生成器102aに、対応する個々の中間チャンバ148a,148b内のガス組成、ガス温度及びガス圧のうち一通り又は複数通りを制御する環境制御システム152a,152bを設けることができる。
【0057】
図15に、中間チャンバ148mに係るガス温度を制御する環境制御システムであり、その中間チャンバ148mに接するよう配置されたプレート178を有するものを示す。図示の通り、プレート178には、自プレート178内に伝熱流体を通せるよう、インレット182及びアウトレット184を有する内部流路180を形成することができる。プレート178は中間チャンバ148mの壁186に接するよう配置することができ、またそれを例えば金属等の熱伝導素材で形成することができる。熱交換流体をプレート178内に通すことで中間チャンバ148m内のガスを加熱又は冷却すること、例えば制御システム120(
図1参照)の制御下でそうすることができる。これに代え、温度制御プレートで中間チャンバの一部分を形成してもよい(即ち、熱交換流体を通すための通路をその中間チャンバを形成している壁や構造のうち一つに形成してもよい)。
【0058】
ターゲット素材を取り巻くガスの温度の制御を、圧力制御(後述)と併せ用いることで、そのターゲット素材の蒸発の速度を制御することができる。周囲にあるチャンバ素材、挿入されている熱要素の温度を制御すること又は注入されるガスの温度を制御することで、温度を調整することができよう。
図15に示すドロップレットチャンバのエンドプレート内熱安定化チャネルは、同じ温度にも別々の温度にも保持することができる。プロセス流体例えば冷却材をそのチャネルを介しポンピングすることで所望温度を達成することができる。熱電対やそれに類する装置を用いることで、それらプレート及びその他の部材の実温度を監視することができよう。ペルチエ素子を以てそれら冷却チャネルに加え又は置き換えることで、温度を安定化させることができよう。それらを用いることで、とりわけチャネルを設けられないエリアにて、必要に応じ熱を加え又は取り去ることができよう。ドロップレットを取り巻くガスの温度を、約160K~300Kの範囲に亘り所望の如く設定することで、ターゲット素材の蒸発速度を低下又は上昇させることができよう。それらの間のガス流の量を制御すること、並びにそのシステム内に断熱障壁を設けることで、隣り合うチャンバを別々の温度に保つことができよう。
【0059】
翻って
図4から読み取れるように、中間チャンバ148cに係るガス温度を制御する環境制御システムに、中間チャンバ148c外に位置する1個又は複数個のフィン188を設けることができる。例えば、その又はそれらのフィン188を中間チャンバ148c、例えばその中間チャンバ148cの壁186c又は他の何らかの部分に接するよう配置することができ、またそれを例えば金属等の熱伝導素材で形成することができる。これに代え、1個又は複数個のフィンを中間チャンバ内に配置しガス温度を制御してもよい。これらのフィンはポンピング対象流体、ペルチエ素子、或いはそれに類する他の装置により加熱又は冷却することができる。
【0060】
図16に、中間チャンバ148n及び148pに係るガス温度を制御する環境制御システムであり、その中間チャンバ148nに接するよう配置されたプレート178nを有するものを示す。プレート178nには、自プレート178n内に伝熱流体を通せるよう、インレット182n及びアウトレット184nを有する内部流路を形成することができる。また、その中間チャンバ148pに接するようプレート178pが配置されている。プレート178pには、自プレート178p内に伝熱流体を通せるよう、インレット182p及びアウトレット184pを有する内部流路を形成することができる。同じく
図16に示すように、断熱プレート190によってプレート178n及び中間チャンバ148nをプレート178p及び中間チャンバ148pから熱絶縁することができ、ひいては各中間チャンバ148n,148p内ガス温度の独立制御が可能となる。
【0061】
図17に、中間チャンバ148q及び148rに係るガス温度を制御する環境制御システムであり、中間チャンバ148qの壁に装着可能な温度制御クラムシェル192qと、中間チャンバ148rの壁に装着可能な温度制御クラムシェル192rとを、有するものを示す。やはり
図17に示すように、断熱プレート194(例.熱絶縁素材で形成されたもの)によって温度制御クラムシェル192q及び中間チャンバ148qを温度制御クラムシェル192r及び中間チャンバ148rから熱絶縁することができ、またその断熱プレート194によって内面170qと中間チャンバ148qに係る出口開口150qとが形成されるので各中間チャンバ148q,148r内ガス温度を独立制御することができる。これもまた
図17に示すように、ペルチエ冷却素子196を中間チャンバ148rに装着して(又はその中に配置して)ガス温度を制御することができる。
【0062】
図18~
図20に、中間チャンバ148t内ガス圧及び/又はガス組成を制御する環境制御システムを示す。図示の通り、この環境制御システムは、測定されたガス流(measured flow of gas)を中間チャンバ148t内に導入するガス供給システム124と、測定されたガス流をその中間チャンバ148tから除去する真空システム128とを有している。
図1を参照して上述した通り、ガス供給システム124及び真空システム128は共に制御システム120と通信する。
図19に示すように、ガス供給システム124からの測定されたガス流の導入は、対称配置されているポート198a~dを介し行うことができる(即ちポート198a~dをドロップレット軸200の周りに等間隔で配置することができる)。同様に、
図20に示すように、測定されたガス流の真空システム128による除去は、対称配置されているポート202a~dを介し行うことができる(即ちポート202a~dをドロップレット軸200の周りに等間隔で配置することができる)。
【0063】
図18に示すように、中間チャンバ148tに入るガスには、ガス供給システム124からの流れ(矢印204で示されているもの)と、中間チャンバ148sから出口開口150sを経てきた流れ(矢印206a,206bで示されているもの)とが含まれている。
【0064】
中間チャンバ148tから出るガスには、真空システム128に向かう流れ(矢印208で示されているもの)と、出口開口150tを経て中間チャンバ148uに向かう流れ(矢印210a,210bで示されているもの)とが含まれている。
【0065】
ある実現形態によれば、ガス供給システム124からの流量及び組成並びに真空システム128に向かう流量を計測すること、並びに出口開口150s及び出口開口150tを経る流れを算出することができる。そして、これらのデータを用いガス供給システム124の流量と真空システム128の流量とを制御することで、中間チャンバ148t内ガス圧及び/又はガス組成を制御することができる。
【0066】
各中間チャンバ148s,148tにはそれ専用の圧力、温度及びガス組成コントローラを設けることができる。とりわけ、ターゲット素材の蒸発速度及び各チャンバ間のガス流を制御することで、各中間チャンバ内システムの安定性が向上するよう、それらのパラメタを最適化することができる。ジェットエリアにおける圧力は約75~750Torrに保てばよい。後続チャンバに入る際の圧力降下を2倍以下のオーダにすることで、システムが急な圧力勾配に対し敏感になりがちな場所例えばLPPチャンバへの最終的な入口にて、ガス膨張を亜音速、ガス流を層流に保つことができる。ターゲット路沿いの個所のうちさほど敏感でない個所では、圧力降下がより大きくてもよい。各チャンバ内の圧力は、各チャンバにおけるガスの注入及びポンピング速度を制御することで調整される。例えば、ガスをチャンバの基端にて対称的に注入し、次いでそのガスに加え液体又は固体のあらゆる気化物を各チャンバの先端にて対称的にポンピングすればよい。別種のガス例えばキセノン、アルゴン、ヘリウム又は水素を各チャンバ内に別々の濃度で注入してもよい。各ガスの流量、典型的には5~1000sccmのそれによりそのチャンバ内でのそのガスの濃度が制御される。それらガス全ての総流量は、同質組成か異質組成かを問わず5~1000sccmとしうる。複数チャンバ型ドロップレット送給システムによれば、そのジェット及びドロップレット路に沿った様々な重要個所における温度、圧力及びガス組成の適正な最適化が可能となる。各セクションにおける圧力を、各チャンバ内の基端側又は先端側出口開口のうちいずれかを経た流れを含め、ガスの円筒対称的ポンピング又は導入を通じて制御することができる。各セクションの温度も同様に個別制御することができる。加えて、圧力の制御と同様にして濃度を制御することで、各セクションのガス組成を変えることができる。これらの条件の制御により、ジェットの形成及び安定性、ドロップレットの形成及び初期安定性、並びにLPPチャンバ内に向かうドロップレットの安定性の能動的又は受動的保持といった、他の特性を最適化することができる。
【0067】
ジェット生成器のすぐ下流にある中間チャンバ内の圧力及び温度は、ターゲット素材の三重点かその付近に保つようにするとよい。例えばキセノンの三重点は約161.4°K及び612Torrにある。とはいえ、場合によっては、ジェット生成器のすぐ下流にある中間チャンバ内の圧力及び温度を、ターゲット素材の三重点でもその付近でもない圧力/温度に保つ方が、より高いドロップレット安定性が得られることがある。ジェット生成器のすぐ下流にある中間チャンバの長さは、ドロップレット形成にちょうど十分な長さになるよう選べばよく、通常は約1cm未満となる。
【0068】
加えて、先に示した通り、各スキマの幾何形状を最適化することで、あるチャンバから次のチャンバへと通り抜ける際のジェット及びドロップレットの擾乱を抑えることができる。それらスキマを予め整列させておいてもよいし、それらをドロップレットストリームに対し整列させるアクチュエータを設けてもよい。場合にもよるが、ガスの除去をスキマの出口開口のみを介し行うのではドロップレット安定性が低下しかねず、更には、LPPチャンバにおけるポンピングの必要性が増すことやEUV光源から提供できる光の量の抑制が必要になることもありうる。
【0069】
図21に、中間チャンバ148vを画定すると共に、その中間チャンバ148vを加圧状態に保ったまま中間チャンバ148vの長さLを調整するアセンブリを示す。図示の通り、この中間チャンバ148vはチャンバ入口個所212にてターゲット素材を受け取っており、ターゲット素材を出すための出口開口150vを有しており、長さLがそれら入口個所212・出口開口150v間で定まっている。図示のアセンブリは、単一中間チャンバ型装置(
図2参照)でも複数中間チャンバ型装置(即ち2個以上の中間チャンバを有するもの(
図3参照))でも採用することができる。同じく
図21に示すように、このアセンブリは、内径D
1の円筒壁を有する第1部材214と、D
1>D
2たる外径D
2の円筒壁を有する第2部材216とを備えている。図示の通り、これら円筒壁は軸218を中心にして同心配置することができ、また第1部材214の円筒壁と第2部材216の円筒壁との間には封止材(シール)220を配置することができる。これもまた読み取れるように、同アセンブリは、スクリュ224を回動させるモータ222例えばステッパモータ、リニアアクチュエータ又はその他の駆動システムを有しており、またそのスクリュ224により部材214,216のうち一方を他方に対し軸218に沿い動かすことで長さLを変えることができる。図示の通り1個又は複数個の軸方向支持材226を設けることで、軸方向並進中にプレート同士を平行に保つことができる。
【0070】
これら2個の同心円筒それぞれの一端には固定封止材を設けることができる(即ち、一方に基端側封止材、他方に先端側封止材を設け、それらでそれぞれ上側,下側のプレートを封止する)。この封止材は接着材、蝋接又は熔接で形成できよう。これに代え、封止材例えばOリングが組み込まれた封止プレートに、接着材、蝋接又は熔接でそれら円筒を取り付けることもできよう。そのOリングを、Teflon(登録商標)で賦活されたエラストマや金属製封止材とし、溝の中に着座させてもよい。この封止材により、2個ある円筒内の空間をその外側のチャンバより高圧に保つことが可能となる。加えて、出口開口その他の造作が形成されたプレートを円筒の一端に蝋接することもできよう。円筒は透明素材製、例えばこれに限られるものではないがサファイア製とすることができよう。加えて、円筒それ自体が透明でなくても、その円筒の長手方向沿いに窓を配置し整列及び診断に役立てることができよう。
【0071】
図22に、中間チャンバ148wを画定すると共に、その中間チャンバ148wを加圧状態に保ったまま中間チャンバ148wの長さLを調整するアセンブリを示す。図示の通り、この中間チャンバ148wはチャンバ入口個所228にてターゲット素材を受け取っており、ターゲット素材を出すための出口開口150wを有しており、長さLがそれら入口個所228・出口開口150w間で定まっている。図示のアセンブリは、単一中間チャンバ型装置(
図2参照)でも複数中間チャンバ型装置(即ち2個以上の中間チャンバを有するもの(
図3参照))でも採用することができる。同じく
図22に示すように、このアセンブリは軸232に沿い整列されたベロウズ230を有しており、そのベロウズ230を軸方向に伸縮させることで長さLを変えることができる。これもまた読み取れるように、同アセンブリはスクリュ236を回動させるモータ234を有しており、そのスクリュ236によってベロウズ230を伸縮させることで長さLを変えることができる。図示の通り1個又は複数個の軸方向支持材238を設けることができる。
【0072】
図21及び
図22に示したアセンブリを用いることで、例えば長さLを変化させ、ジェットが中間チャンバ内でドロップレットへと破断するようにすることができる。先に示した通り、この調整は、その中間チャンバ内の環境(即ち圧力、温度及び/又は組成)を保ったまま行うことができる。この能力は、例えば、ノズル交換その他の何らかの変更のうち、ジェットがドロップレットへと破断する場所に影響を及ぼしうる変更の後に、役立てることができる。例えば、ジェット減衰長が圧電トランスデューサ周波数の変更時に変化する可能性があるところ、そうした変更は、ドロップレット周波数を調整してドライブレーザ周波数に整合させることが必要な場合や、プラズマ輻射周波数をチューニングしてある種の外部プロセスに整合させることが必要な場合に、必要となりうる。本願記載の可変長中間チャンバであれば、例えば、そのチャンバ長をチューニングすることで最適長、即ちそのジェットの格別な減衰長、ドロップレット結合長その他のドロップレット送給システム沿い臨界長に整合する最適長を、得ることができよう。
【0073】
ベロウズ230を、整列及び診断目的にて、透明セクション例えば蝋接ガラス又はサファイアにて終端し或いは透明窓を有するものとすることができる。この動力化はエアロダイナミックレンズアセンブリ(
図11及びそれに対応する記述を参照)でも遜色なく採用可能であり、それにより諸開口(アパーチャ)間距離を調整してそのレンズシステムを最適化することができる。また、中間チャンバ長の調整により、別のパラメタ(圧力、温度、ガス組成等々)に近づける調整や外的変化例えばドライブレーザ周波数又は所望LPP周波数に近づける調整に関し、システムを柔軟なものとすることができる。
【0074】
EUV照明は半導体処理アプリケーション、例えば検査、フォトリソグラフィ又は計量用に用いることができる。例えば、
図23に示すように、本願記載のドロップレット生成器のうち1個を有する光源例えば上述の光源100が組み込まれた照明源242を、検査システム240に設けることができる。更に、半導体ウェハ、ブランクマスク又はパターニング済マスク等、少なくとも1個のサンプル244を支持するよう構成されたステージ246を、その検査システム240に設けることができる。照明源242は照明路を介しサンプル244を照明するよう構成することができ、またそのサンプル244にて反射、散乱又は輻射された照明をイメージング路に沿い少なくとも1個の検出器250(例.カメラ又はフォトセンサアレイ)へと差し向けることができる。その検出器250が可通信結合されている情報処理システム252は、検出された照明信号に係る信号を、非一時的キャリア媒体254上にあり情報処理システム252のプロセッサにより実行可能なプログラム命令256に埋め込まれている検査アルゴリズムに従い処理することで、サンプル244が有している1個又は複数個の欠陥の所在を特定し及び/又はその欠陥の諸属性を計測するよう、構成することができる。
【0075】
更なる例として、
図24に、本願記載のドロップレット生成器のうち1個を有する光源例えば上述の光源100が組み込まれた照明源302を有するフォトリソグラフィシステム300のあらましを示す。このフォトリソグラフィシステムには、リソグラフィ処理のため少なくとも1枚の基板304例えば半導体ウェハを支持するよう構成されたステージ306を、設けることができる。照明源302は、自照明源302により出射される照明で以て、基板304上で或いはその基板304上に位置する層上でフォトリソグラフィを実行するよう、構成することができる。例えば、その出射照明をレティクル308に差し向け、そのレティクル308から基板304へと差し向けることで、基板304の表面又はその基板304上の層を、照明されているレティクルのパターンに従いパターニングすることができる。
図23及び
図24に示した例示的実施形態は総じて上述した光源の用途を示すものであるが、いわゆる当業者には明らかな通り、それら光源は本件開示の技術的範囲から離隔することなく様々な状況に適用することができる。
【0076】
更に、いわゆる当業者にはご承知頂けるように、本願記載のプロセス及び/又はシステム及び/又はその他のテクノロジを実行可能な手段は種々あるし(例.ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェア)、どの手段が相応しいかは当該プロセス及び/又はシステム及び/又はその他のテクノロジが利用される状況によって変わるであろう。実施形態によっては、諸ステップ、機能及び/又は動作が、電子回路、論理ゲート、マルチプレクサ、プログラマブル論理デバイス、ASIC、アナログ又はディジタルコントローラ/スイッチ、マイクロコントローラ及び情報処理システムのうち1個又は複数個により実行される。情報処理システムには、これに限られるものではないが、パーソナル情報処理システム、メインフレーム情報処理システム、ワークステーション、イメージコンピュータ、パラレルプロセッサその他、本件技術分野で既知なあらゆる装置が包括されうる。一般に、語「情報処理システム」は、キャリア媒体から得た命令を実行するプロセッサを1個又は複数個有するデバイス全てが包括されるよう、広く定義することができる。方法例えば本願記載のそれを実行するためのプログラム命令をキャリア媒体上で伝送し又はキャリア媒体に格納することが可能である。キャリア媒体としうるものとしては伝送媒体、例えばワイヤ、ケーブル又は無線伝送リンクがある。キャリア媒体としうるものとしては格納媒体、例えばリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスク、光ディスク又は磁気テープもある。
【0077】
本願記載の方法は、皆、それら方法実施形態を構成する1個又は複数個のステップの結果を格納媒体に格納するステップを、有するものとすることができる。それら結果が本願記載のどの結果を含んでいてもよいし、本件技術分野で既知ないずれの要領でその結果が格納されるのでもよい。その格納媒体には本願記載のあらゆる格納媒体が、また本件技術分野で既知で好適な他のあらゆる格納媒体が包含されうる。結果格納後は、その格納媒体内の結果にアクセスすること、並びにそれを本願記載の方法又はシステム実施形態のうち任意のもので用いること、ユーザへの表示向けにフォーマットすること、他のソフトウェアモジュール、方法又はシステムで用いること等々ができる。更に、それら結果の格納は、「恒久的」なもの、「半恒久的」なもの、一時的なもの、或いは一定期間に亘るもののいずれでもよい。例えば、その格納媒体がランダムアクセスメモリ(RAM)であってもよいし、結果がその格納媒体内に必ずしも永久には存在しないのでもかまわない。
【0078】
本発明の格別な諸実施形態を示してきたが、明らかな通り、いわゆる当業者であれば、以上の開示の技術的範囲及び神髄から離隔することなく本発明につき様々な修正及び実施形態を実現することができよう。従って、本発明の技術的範囲は本明細書に添付する特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。