(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107313
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】鳥威嚇システム及び鳥威嚇方法
(51)【国際特許分類】
A01M 29/06 20110101AFI20220713BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220713BHJP
B64C 19/02 20060101ALI20220713BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20220713BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
A01M29/06
B64C39/02
B64C19/02
B64C13/18 Z
G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002184
(22)【出願日】2021-01-08
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、復旧水田における先端技術導入による水田営農の高度安定化に向けた実証研究委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】390025793
【氏名又は名称】岩手県
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】山下 晃平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆延
(72)【発明者】
【氏名】栗原 英治
(72)【発明者】
【氏名】千葉 大基
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴之
【テーマコード(参考)】
2B121
5H301
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121BB40
2B121DA25
2B121EA21
2B121FA13
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC04
5H301CC07
5H301DD01
5H301DD06
5H301GG09
5H301GG10
5H301GG16
5H301GG17
5H301QQ08
(57)【要約】
【課題】鳥を効果的に追い払う鳥威嚇システムを提供すること。
【解決手段】鳥威嚇システム1000は、鳥に接近することによって鳥を追い払う主飛行体10(第1飛行体)と、主飛行体10に所定の位置関係で自動追従する副飛行体40(第2飛行体)と、を備える。主飛行体10が接近することで鳥は驚いて飛び立つ。飛び立った鳥は、主飛行体10に所定の位置関係で追従して飛行する副飛行体40に驚いて逃げて行く。このため、鳥を効果的に追い払うことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥に接近することによって鳥を追い払う第1飛行体と、
所定の位置関係で前記第1飛行体に自動追従する第2飛行体と、を備える鳥威嚇システム。
【請求項2】
前記所定の位置関係は、前記第1飛行体によって威嚇された鳥が前記第1飛行体の後方に回り込むのを抑制する位置関係である、請求項1に記載の鳥威嚇システム。
【請求項3】
前記第2飛行体は、上方から見て前記第1飛行体の斜め後方を前記第1飛行体に自動追従する、請求項1または2に記載の鳥威嚇システム。
【請求項4】
前記第2飛行体は、前記第1飛行体と略同じ高度で前記第1飛行体に自動追従する、請求項1から3のいずれか一項に記載の鳥威嚇システム。
【請求項5】
前記第2飛行体は、前記第1飛行体と前記第2飛行体との位置関係に関する情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記位置関係に関する情報に基づいて、前記第2飛行体が前記第1飛行体との間に前記所定の位置関係を維持して前記第1飛行体に自動追従するように、前記第2飛行体の飛行を制御する飛行制御部と、を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の鳥威嚇システム。
【請求項6】
前記取得部は、前記位置関係に関する情報として前記第2飛行体が有する第1撮像部により撮像された前記第1飛行体を含む画像情報を取得し、
前記飛行制御部は、前記第1飛行体を含む画像情報から取得される前記第1飛行体と前記第2飛行体との位置関係が前記所定の位置関係を維持しながら前記第2飛行体が前記第1飛行体に自動追従するように、前記第2飛行体の飛行を制御する、請求項5に記載の鳥威嚇システム。
【請求項7】
前記取得部は、前記位置関係に関する情報として前記第1飛行体の位置情報と前記第2飛行体の位置情報とを取得し、
前記飛行制御部は、前記第1飛行体の位置情報と前記第2飛行体の位置情報との差分情報から取得される前記第1飛行体と前記第2飛行体との位置関係が前記所定の位置関係を維持しながら前記第2飛行体が前記第1飛行体に自動追従するように、前記第2飛行体の飛行を制御する、請求項5に記載の鳥威嚇システム。
【請求項8】
前記第1飛行体は、予め定められた飛行経路に沿って自動飛行する、請求項1から7のいずれか一項に記載の鳥威嚇システム。
【請求項9】
前記第1飛行体は、前記第1飛行体と前記第2飛行体との位置関係が前記所定の位置関係になった後に前記飛行経路に沿って自動飛行する、請求項8に記載の鳥威嚇システム。
【請求項10】
前記第1飛行体は、地上を撮像する第2撮像部が撮像した画像を画像解析して特定される鳥が居る場所に応じて前記飛行経路を書き換える書換部を有する、請求項8または9に記載の鳥威嚇システム。
【請求項11】
前記第1飛行体を遠隔操作する操縦機と、
地上を撮像する第3撮像部を有し、前記第1飛行体よりも高い高度を飛行して前記第3撮像部が撮像した画像情報を前記操縦機に送信する第3飛行体と、を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の鳥威嚇システム。
【請求項12】
鳥を追い払う鳥威嚇方法であって、
鳥が居る場所に向かって第1飛行体を飛行させるとともに、前記第1飛行体の後方を追従するように、前記鳥が居る場所に向かって第2飛行体を飛行させる、鳥威嚇方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥威嚇システム及び鳥威嚇方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な鳥害が問題となっている。例えば、水稲栽培における種や籾が鳥に食べられてしまうことや、圃場が鳥に踏み荒らされてしまうことや、航空機の離着陸が鳥によって妨害されてしまうこと等が発生している。そこで、威嚇用スピーカーを備えたドローンを無線により遠隔操作することで、鳥を追い払う方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、複数の飛行体が編隊を組んで安定的に飛行するように制御する方法が知られている(例えば、特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-62743号公報
【特許文献2】特開2019-185603号公報
【特許文献3】国際公開第2018/146803号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような威嚇用スピーカーを備えた飛行体を飛ばして鳥を追い払う方法では、鳥は飛行体の通過によって一時的に退避するが、飛行体の通過後に飛行体を迂回して戻ってきてしまうことがある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであり、鳥を効果的に追い払うことが可能な鳥威嚇システム及び鳥威嚇方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の鳥威嚇システムは、鳥に接近することによって鳥を追い払う第1飛行体と、所定の位置関係で前記第1飛行体に自動追従する第2飛行体と、を備えている。
【0008】
本発明の鳥威嚇方法は、鳥を追い払う鳥威嚇方法であって、鳥が居る場所に向かって第1飛行体を飛行させるとともに、前記第1飛行体の後方を追従するように、前記鳥が居る場所に向かって第2飛行体を飛行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鳥を効果的に追い払うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る鳥威嚇システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、主飛行体及び副飛行体の飛行状態を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る鳥威嚇システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態における副飛行体の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、飛行体に対する鳥の退避の仕方の実験結果を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る鳥威嚇システムの構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態における主飛行体の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2の実施形態における副飛行体の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2の実施形態の変形例に係る鳥威嚇システムの構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態の変形例における主飛行体の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2の実施形態の変形例における副飛行体の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第3の実施形態に係る鳥威嚇システムの構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、第3の実施形態における主飛行体の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第3の実施形態における副飛行体の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、第4の実施形態に係る鳥威嚇システムの構成を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、第4の実施形態における主飛行体の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、第4の実施形態における副飛行体の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、第5の実施形態に係る鳥威嚇システムの構成を示すブロック図である。
【
図19】
図19は、第5の実施形態における書換部による飛行経路の書き換え処理の一例を示すフローチャートである。
【
図20】
図20(a)及び
図20(b)は、第5の実施形態における書換部による書き換え前後の飛行経路の一例を示す模式図である。
【
図21】
図21は、第6の実施形態に係る鳥威嚇システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
《第1の実施形態》
第1の実施形態に係る鳥威嚇システムについて、
図1~
図5に基づいて説明する。
図1には、第1の実施形態に係る鳥威嚇システム1000の構成が示されている。
図1に示すように、鳥威嚇システム1000は、主飛行体10と、副飛行体40と、操縦機70と、を備える。
【0012】
主飛行体10は、例えばドローンであり、本体部11と、本体部11に取り付けられた4つの回転翼(プロペラ)12と、を備える。同様に、副飛行体40は、例えばドローンであり、本体部41と、本体部41に取り付けられた4つの回転翼(プロペラ)42と、を備える。主飛行体10及び副飛行体40は、回転翼12及び42が回転することによって飛行する。なお、主飛行体10及び/又は副飛行体40は回転翼を有さない固定翼機の場合でもよい。
【0013】
副飛行体40の本体部41には、撮像部43が設けられている。撮像部43は、副飛行体40の飛行方向における前方が少なくとも撮像できる位置に設けられている。撮像部43は、副飛行体40の飛行を制御するために副飛行体40の前方を所定の画角で撮像するカメラであり、例えばCCDカメラである。なお、副飛行体40には、複数の撮像部43が設けられていてもよい。この場合、複数の撮像部43をステレオカメラとして用いることができる。
【0014】
操縦機70は、本体部71と、本体部71に設けられたコントロールスティック72と、自動追従モードのオン・オフを切替える追従モード切替スイッチ73と、を備える。操縦機70は、ユーザにより操作されると、操作情報を無線通信によって主飛行体10及び副飛行体40に送信する。なお、操縦機70は、例えばスマートフォン等の無線通信端末であってもよい。
【0015】
ユーザは、本体部71を手に取り、コントロールスティック72を操作することで主飛行体10を操縦することができる。なお、コントロールスティック72を操作しても副飛行体40を操縦することはできない。また、ユーザが、自動追従モードのオン・オフを切り替える追従モード切替スイッチ73を操作すると、操縦機70は、追従モードオン信号又は追従モードオフ信号を送信する。副飛行体40は、操縦機70から送信される追従モードオン信号及びオフ信号を受信することが可能となっている。自動追従モードとは、副飛行体40を主飛行体10に自動追従させて飛行させるモードのことである。自動追従とは、ユーザが副飛行体40を操縦することなく、副飛行体40が主飛行体10と略一定の距離を空けて主飛行体10と略同じ方向に向かって飛行することである。
【0016】
操縦機70から主飛行体10に送信される飛行信号と、操縦機70から副飛行体40に送信される追従モードオン信号及びオフ信号とは、周波数帯が異なる。一例として、飛行信号の周波数帯は2.4GHz帯又は5.7GHz帯であり、追従モードオン信号及びオフ信号の周波数帯は920MHz帯である。
【0017】
図2(a)及び
図2(b)には、主飛行体10及び副飛行体40の飛行状態が示されている。
図2(a)は、主飛行体10及び副飛行体40が飛行方向DMに向かって飛行する状態を上方から見た模式図であり、
図2(b)は、側方から見た模式図である。
図2(a)及び
図2(b)において、鉛直方向をZ軸方向、Z軸に直交する方向をX軸方向、Z軸及びX軸に直交する方向をY軸方向とする。主飛行体10及び副飛行体40の飛行方向DMはX軸方向であるとする。なお、
図2(a)及び
図2(b)では、主飛行体10及び副飛行体40の図示の便宜上、主飛行体10と副飛行体40との間の距離に比べて主飛行体10及び副飛行体40の縮尺を大きくしている。
【0018】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、副飛行体40は、主飛行体10の後方から主飛行体10に自動追従して飛行する。すなわち、副飛行体40は、主飛行体10との間を略一定の距離Lに保ちながら、主飛行体10と略同じ方向に向かって主飛行体10に自動追従して飛行する。主飛行体10と副飛行体40との間の距離Lは例えば2m~20mである。例えば、副飛行体40は、上方から見て主飛行体10の斜め後方に位置して、主飛行体10の飛行経路FP1とY軸方向に間隔D1を空けて略平行な飛行経路FP2を飛行する。間隔D1は例えば1m~17mである。例えば、上方から主飛行体10を原点として見た場合に、主飛行体10の進行方向DMに反対の第1方向(-X方向)を0°、第1方向に直交する第2方向(-Y方向)を90°とすると、副飛行体40は30°~60°の範囲内に位置することが好ましく、40°~50°の範囲内に位置することが更に好ましい。略同じ方向及び略平行とは、完全に同じ方向及び平行な場合に限られず、制御精度の誤差程度に同じ方向及び平行からずれている場合も含む。主飛行体10と副飛行体40のX軸方向の間隔D2は例えば1m~17mである。
【0019】
主飛行体10の飛行経路FP1と副飛行体40の飛行経路FP2とは、例えば略同じ高度である。すなわち、副飛行体40は、主飛行体10と略同じ高度を飛行する。略同じ高度とは、完全に同じ高度の場合に限られず、制御精度の誤差程度に高度がずれている場合も含む。
【0020】
なお、副飛行体40は、主飛行体10の略真後ろに位置して主飛行体10に自動追従する場合でもよい。また、副飛行体40は、主飛行体10の飛行経路よりも高い飛行経路を飛行してもよいし、低い飛行経路を飛行してもよい。
【0021】
図3には、第1の実施形態に係る鳥威嚇システム1000の構成がブロック図にて示されている。
【0022】
(主飛行体10)
主飛行体10は、制御部20と、回転翼機構21と、無線通信部22と、位置検出部23と、地磁気検出部24と、超音波検出部25と、角速度検出部26と、加速度検出部27と、記憶部30と、バッテリ31と、を備える。制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)等を用いて構成される。制御部20は、主飛行体10の各部の動作を制御するための信号処理及び他の装置との間の信号の入出力処理等を行う。
【0023】
制御部20は、回転翼機構21を制御して主飛行体10の飛行を制御する飛行制御部36を含む。飛行制御部36は、記憶部30に記憶されたソフトウェアと制御部20のハードウェアとの協働によって実現される。記憶部30は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリであり、本体部11内に設けられていてもよいし、本体部11から取り外し可能となっていてもよい。飛行制御部36は、無線通信部22を介して操縦機70から受信する飛行信号に従って回転翼機構21を制御して主飛行体10の飛行を制御する。
【0024】
回転翼機構21は、複数の回転翼12と、複数の回転翼12を回転させる複数のモータ32と、バッテリ31から供給される電流を増幅してモータ32に供給するモータアンプ33と、を備える。モータアンプ33による電流の増幅量は飛行制御部36からの信号に応じて変化する。
【0025】
無線通信部22は、操縦機70の無線通信部82との間で無線通信をする。無線通信部22は、操縦機70の無線通信部82から制御部20に対する各種の信号(例えば飛行信号等)を受信する。
【0026】
位置検出部23は、例えばGPS(Global Positioning System)センサであり、複数のGPS衛星から発信された各GPS衛星の位置を示す信号を受信し、受信した複数の信号に基づいて主飛行体10の位置を検出する。位置検出部23は、主飛行体10の位置情報を制御部20に出力する。なお、主飛行体10の位置情報の検出は、位置検出部23の代わりに制御部20で行われてもよい。この場合、位置検出部23は、各GPS衛星の位置を示す信号を制御部20に出力する。
【0027】
地磁気検出部24は、例えば地磁気センサであり、方位を検出して検出結果を制御部20に出力する。
【0028】
超音波検出部25は、例えば超音波センサであり、超音波を放射し、地面等によって反射された超音波を検出して、検出結果を制御部20に出力する。検出結果は、主飛行体10から地面までの距離、すなわち主飛行体10の高度を含んでいてもよい。
【0029】
角速度検出部26は、例えばジャイロセンサであり、主飛行体10のピッチ軸、ロール軸、及びヨー軸の3軸方向の角速度を検出し、検出結果を制御部20に出力する。
【0030】
加速度検出部27は、例えば加速度センサであり、主飛行体10の前後、左右、及び上下の3軸方向の加速度を検出し、検出結果を制御部20に出力する。
【0031】
(副飛行体40)
副飛行体40は、制御部50と、回転翼機構51と、無線通信部52と、撮像部43と、位置検出部53と、地磁気検出部54と、超音波検出部55と、角速度検出部56と、加速度検出部57と、計時部58と、追従モード切替スイッチ59と、記憶部60と、バッテリ61と、を備える。制御部50は、例えばCPU、MPU、又はDSP等を用いて構成される。制御部50は、副飛行体40の各部の動作を制御するための信号処理及び他の装置との間の入出力処理等を行う。
【0032】
制御部50は、取得部65と飛行制御部66とを含む。取得部65は、主飛行体10と副飛行体40との位置関係に関する情報を取得する。飛行制御部66は、取得部65が取得した位置関係に関する情報に基づいて、副飛行体40が主飛行体10との間に所定の位置関係を維持して主飛行体10に自動追従するように、副飛行体40の飛行を制御する。例えば、取得部65は、主飛行体10と副飛行体40との位置関係に関する情報として撮像部43が撮像した主飛行体10を含む画像情報を取得する。飛行制御部66は、取得部65が取得した主飛行体10を含む撮像画像から取得される主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係を維持しながら副飛行体40が主飛行体10に自動追従するように、副飛行体40の飛行を制御する。例えば、飛行制御部66は、主飛行体10を含む画像情報から取得される副飛行体40と主飛行体10との間の距離L及び副飛行体40から主飛行体10を見たときの方向が所定の距離及び所定の方向を維持しながら副飛行体40が主飛行体10に自動追従するように、副飛行体40の飛行を制御する。取得部65及び飛行制御部66は、記憶部60に記憶されたソフトウェアと制御部50のハードウェアとの協働によって実現される。記憶部60は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリであり、本体部41内に設けられていてもよいし、本体部41から取り外し可能となっていてもよい。
【0033】
回転翼機構51は、複数の回転翼42と、複数の回転翼42を回転させる複数のモータ62と、バッテリ61から供給される電流を増幅してモータ62に供給するモータアンプ63と、を備える。モータアンプ63による電流の増幅量は飛行制御部66からの信号に応じて変化する。
【0034】
撮像部43は、副飛行体40の飛行方向の前方を少なくとも撮像する。撮像部43は、撮像した画像情報を制御部50に出力する。副飛行体40が主飛行体10に追従して飛行することで、撮像部43は、主飛行体10を含む画像を撮像し、撮像した主飛行体10を含む画像情報を制御部50に出力する。
【0035】
無線通信部52は、操縦機70の無線通信部82との間で無線通信をする。無線通信部52は、操縦機70の無線通信部82から例えば追従モードオン信号及びオフ信号を受信する。
【0036】
位置検出部53、地磁気検出部54、超音波検出部55、角速度検出部56、及び加速度検出部57は、主飛行体10の位置検出部23、地磁気検出部24、超音波検出部25、角速度検出部26、及び加速度検出部27と同様の機能であるため説明を省略する。
【0037】
計時部58は、例えばタイマーを有していて、時間の計測を行い、その結果を制御部50に出力する。
【0038】
追従モード切替スイッチ59は、自動追従モードのオン・オフの切替えを行うスイッチである。ユーザが追従モード切替スイッチ59を操作すること又は操縦機70から送信される追従モードオン信号及びオフ信号に応じて、制御部50は自動追従モードのオン・オフを切り替える。
【0039】
(操縦機70)
操縦機70は、制御部80と、コントロールスティック72と、追従モード切替スイッチ73と、無線通信部82と、を備える。制御部80は、CPU、MPU、又はDSP等を用いて構成される。制御部80は、操縦機70の各部の動作を統括して制御するための信号処理及び他の装置との間の信号の入出力処理等を行う。
【0040】
制御部80は、ユーザによるコントロールスティック72の操作に応じて主飛行体10の飛行を制御するための飛行信号を生成する。制御部80は、生成した飛行信号を無線通信部82に出力する。また、制御部80は、ユーザによる追従モード切替スイッチ73の操作によって追従モードオン信号又はオフ信号を生成する。制御部80は、生成した追従モードオン信号及びオフ信号を無線通信部82に出力する。
【0041】
無線通信部82は、主飛行体10の無線通信部22との間で所定の無線通信方式(例えば2.4GHz帯又は5.7GHz帯の無線通信)を用いた信号の送受信を行う。無線通信部82は、制御部80が生成した飛行信号を主飛行体10の無線通信部22に送信する。これにより、ユーザは操縦機70のコントロールスティック72を操作することで主飛行体10を遠隔操縦することができる。
【0042】
また、無線通信部82は、副飛行体40の無線通信部52との間で所定の無線通信方式(例えば920MHz帯の無線通信)を用いた信号の送受信を行う。無線通信部82は、制御部80が生成した追従モードオン信号及びオフ信号を副飛行体40の無線通信部52に送信する。これにより、操縦機70の追従モード切替スイッチ73を操作することで副飛行体40の自動追従モードをオン又はオフさせることができる。
【0043】
(飛行制御)
以下、鳥威嚇システム1000における飛行制御について、
図4のフローチャートに沿って説明する。なお、主飛行体10の飛行については、ユーザが操縦機70を操縦することによって制御されるものであり、一般的な制御であるため説明を省略する。したがって、以下においては、副飛行体40の飛行制御について、
図4のフローチャートに沿って説明する。
【0044】
図4に示すように、副飛行体40の飛行制御部66は、副飛行体40の追従モード切替スイッチ59又は操縦機70の追従モード切替スイッチ73によって自動追従モードがオンされるまで待機し(ステップS10:No)、オンされると(ステップS10:Yes)、ホームポイントの設定を行う(ステップS11)。例えば、飛行制御部66は、副飛行体40が現在存在している場所をホームポイントに設定する。飛行制御部66は、位置検出部53において検出されるホームポイントの位置情報を記憶部60に記憶する。ホームポイントを設定した後、飛行制御部66は、回転翼機構51に指示を出し、副飛行体40を所定の高度まで上昇させてその場でホバリングさせる(ステップS12)。
【0045】
副飛行体40がホバリングを始めると、取得部65は、撮像部43が撮像した画像に主飛行体10が含まれているか否か、すなわち撮像部43から主飛行体10を含む画像情報を取得したか否かを判断する(ステップS13)。この場合、取得部65は、撮像した画像と予め用意されている主飛行体10の画像とのパターンマッチング処理により、画像に主飛行体10が含まれているか否かを判断する。ただし、これに限らず、取得部65は、その他の一般的に知られた画像解析技術を用いて、画像に主飛行体10が含まれているか否かを判断することとしてもよい。
【0046】
取得部65は、主飛行体10を含む画像情報を取得していない場合(ステップS13:No)、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS14)、所定時間が経過していない場合は(ステップS14:No)、ステップS13に戻って主飛行体10を含む画像情報の取得を引き続き試みる。所定時間としては、ユーザが操縦機70を操作して主飛行体10を撮像部43の撮像範囲内に移動させ、ホバリングさせるのに十分な時間が設定される。ユーザが所定時間内に主飛行体10を撮像部43の撮像範囲内に移動させることができれば(ステップS13:Yes)、ステップS15に移行する。一方、ユーザが所定時間内に主飛行体10を撮像部43の撮像範囲内に移動させることができず、所定時間が経過しても主飛行体10を含む画像情報を取得できない場合は(ステップS14:Yes)、飛行制御部66は、副飛行体40をホームポイントに着陸させる(ステップS19)。その後は、
図4の全処理が終了する。
【0047】
ステップS13において、副飛行体40は、主飛行体10を含む画像情報を取得したときに、画像情報取得信号を操縦機70に送信してもよい。操縦機70は、画像情報取得信号を受信したときにランプ等を点灯させてもよい。これにより、ユーザは適切な位置で主飛行体10をホバリングさせているか否かを認識し易くなる。また、ステップS13において、副飛行体40は、主飛行体10を含む画像情報を取得できるように、その場で旋回したり撮像部43を回転させたりしてもよい。
【0048】
取得部65が主飛行体10を含む画像情報を取得した場合(ステップS13:Yes)、飛行制御部66は、主飛行体10を含む画像情報から主飛行体10と副飛行体40との位置関係を取得する(ステップS15)。例えば、飛行制御部66は、主飛行体10を含む画像情報から副飛行体40と主飛行体10との間の距離及び副飛行体40から主飛行体10を見たときの方向を算出する。例えば、飛行制御部66は、撮像画像に対する主飛行体10のサイズを抽出することで副飛行体40と主飛行体10との間の距離を算出することができる。また、飛行制御部66は、撮像画像における主飛行体10が映り込んだ領域の位置によって副飛行体40から主飛行体10を見たときの方向を算出することができる。なお、副飛行体40が複数の撮像部43を有する場合には、複数の撮像部43をステレオカメラとして用いることができるため、複数の撮像部43の撮像画像から距離を算出することが可能である。
【0049】
なお、主飛行体10がホバリングした状態(停止した状態)の場合、副飛行体40は主飛行体10の飛行方向DMの判断ができずに主飛行体10を追従し易い位置に移動できないことが起こり得る。したがって、主飛行体10の本体部11に後方を示すマーキングをしておき、副飛行体40はそのマーキング画像を撮像部43によって取得することで主飛行体10の飛行方向DMを認識するようにしてもよい。または、主飛行体10が上昇してから移動した後に停止した場合、副飛行体40は主飛行体10の移動方向を撮像部43によって取得することで主飛行体10の飛行方向DMを認識するようにしてもよい。若しくは、副飛行体40は、主飛行体10が地磁気検出部24などから取得した主飛行体10の向きを主飛行体10から取得し、その向きを主飛行体10の飛行方向DMと認識するようにしてもよい。
【0050】
ステップS15の後、飛行制御部66は、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になるように、副飛行体40を移動させる(ステップS16)。例えば、飛行制御部66は、副飛行体40と主飛行体10との間の距離及び副飛行体40から主飛行体10を見たときの方向が所定の距離及び所定の方向となるように、副飛行体40を移動させる。飛行制御部66は、取得部65が逐次取得する主飛行体10を含む画像情報から主飛行体10と副飛行体40の位置関係を逐次取得することで、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になるように移動させてもよい。所定の位置関係(所定の距離及び所定の方向)は、事前に位置関係を異ならせて行った実験の結果、鳥を威嚇して追い払うのに適した位置関係(距離及び方向)とすることができる。
【0051】
副飛行体40は、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になった場合に、配置完了信号を操縦機70に送信してもよい。操縦機70は、配置完了信号を受信したときにランプ等を点灯させてもよい。これにより、操縦機70を操作するユーザは、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になったことを認識し易くなる。
【0052】
ステップS16の後も、取得部65は撮像部43から主飛行体10を含む画像情報を取得している否かを判断する(ステップS17)。主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になった後、ユーザは操縦機70を操作して主飛行体10を飛行させるため、主飛行体10の位置が変化する。したがって、取得部65が主飛行体10を含む画像情報を取得している間は(ステップS17:Yes)、飛行制御部66は、操縦機70から追従モードオフ信号を受信するまで(ステップS18:No)、所定のタイミングで、主飛行体10と副飛行体40との位置関係を取得し(ステップS15)、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係を維持するように副飛行体40を移動させる(ステップS16)。これにより、主飛行体10と副飛行体40との位置関係を所定の位置関係に維持して、副飛行体40を主飛行体10に自動追従させることができる。
【0053】
副飛行体40を主飛行体10に自動追従させている際に、取得部65が主飛行体10を含む画像情報を取得できなくなった場合(ステップS17:No)、飛行制御部66は、危険回避のために、副飛行体40をホームポイントに着陸させる(ステップS19)。なお、副飛行体40をホームポイントに着陸させる代わりに、副飛行体40をその場でホバリングさせ、操縦機70に副飛行体40の自動追従が中断されたことを知らせる信号を送信してもよい。
【0054】
主飛行体10及び副飛行体40によって鳥を威嚇して追い払うことが終了した後、主飛行体10及び副飛行体40の飛行を終了させるために、ユーザは操縦機70の追従モード切替スイッチ73を操作して自動追従モードをオフにする。したがって、飛行制御部66は、操縦機70から追従モードオフ信号を受信したときは(ステップS18:Yes)、副飛行体40をホームポイントに着陸させる(ステップS19)。
【0055】
図5(a)及び
図5(b)は、飛行体に対する鳥の退避の仕方の実験結果を示す模式図である。
図5(a)は、鳥1が居る場所に向かって単体の飛行体2を飛行させたときの鳥1の退避の仕方を示す模式図であり、
図5(b)は、本実施形態のように主飛行体10と副飛行体40を飛行させたときの鳥1の退避の仕方を示す模式図である。
【0056】
図5(a)に示すように、鳥1が居る場所に向かって単体の飛行体2を直線的に真っ直ぐに飛行させた場合、鳥1は飛行体2が接近することに驚いて飛び立ったが、実線矢印のように飛行体2が通過した後に飛行体2を迂回して再び舞い戻って来てしまった。一方、
図5(b)に示すように、鳥1が居る場所に向かって主飛行体10と主飛行体10に自動追従する副飛行体40とを直線的に真っ直ぐ飛行させた場合、鳥1は主飛行体10が接近することに驚いて飛び立った後、主飛行体10の後方から追従してくる副飛行体40に驚いて実線矢印のように逃げたため、元の場所に戻る鳥1の数は
図5(a)に比べて少なかった。
【0057】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、鳥が居る場所に向かって鳥に接近することによって鳥を追い払う主飛行体10(第1飛行体)を飛行させるとともに、主飛行体10の後方を追従するように鳥が居る場所に向かって副飛行体(第2飛行体)を飛行させる。これにより、鳥を効果的に追い払うことができる。副飛行体40が所定の位置関係で主飛行体10に自動追従することで、ユーザが副飛行体40を操作しなくても、主飛行体10と副飛行体40の位置関係を良好な精度で鳥を追い払うのに適した位置関係に維持し続けることができ、鳥を効果的に追い払うことができる。主飛行体10と副飛行体40との間の所定の位置関係は、鳥を効果的に追い払うことができる位置関係を予め実験によって求めておき、その位置関係とするため、鳥の種類や場所などに応じた適切な位置関係を設定することができる。
【0058】
また、本第1の実施形態では、副飛行体40は、主飛行体10によって威嚇された鳥が主飛行体10の後方に回り込むのを効果的に抑制する位置関係で主飛行体10に自動追従している。具体的には、副飛行体40は、上方から見て主飛行体10の斜め後方の略同一高度を追従している。副飛行体40が主飛行体10の斜め後方を追従することで、鳥を追い払う方向を制御することができる。
【0059】
また、本第1の実施形態では、副飛行体40は、
図3のように、主飛行体10と副飛行体40との位置関係に関する情報を取得する取得部65と、取得部65が取得した位置関係に関する情報に基づいて、副飛行体40が主飛行体10との間に所定の位置関係を維持して主飛行体10に自動追従するように、副飛行体40の飛行を制御する飛行制御部66と、を有する。これにより、主飛行体10と副飛行体40とが所定の位置関係を良好に維持しつつ、副飛行体40を主飛行体10に自動追従させることができる。
【0060】
また、本第1の実施形態では、取得部65は、主飛行体10と副飛行体40との位置関係に関する情報として撮像部43が撮像した主飛行体10を含む画像情報を取得する。飛行制御部66は、主飛行体10を含む画像情報から取得される主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係を維持しながら副飛行体40が主飛行体10に自動追従するように、副飛行体40の飛行を制御する。このように、主飛行体10を含む画像情報を用いて副飛行体40を主飛行体10に自動追従させることで、主飛行体10と副飛行体40との間で無線通信を行うことなく、副飛行体40を主飛行体10に自動追従させることができる。
【0061】
なお、上記第1の実施形態では、主飛行体10を鳥が存在する方向に向かって水平に飛行させる場合について説明したが、これに限らず、例えば、地上に存在する鳥を効果的に追い払うために、主飛行体10を地上に存在する鳥に向かって急降下させるようにしてもよい。
【0062】
なお、上記第1の実施形態では、飛行制御部66が主飛行体10を含む画像情報から主飛行体10と副飛行体40との位置関係を算出する場合を例に示したが、この場合に限られない。例えば、主飛行体10を含む画像情報を副飛行体40の外部にある装置に送信し、この外部装置が主飛行体10と副飛行体40との位置関係を算出して副飛行体40に送信することで、飛行制御部66は主飛行体10と副飛行体40との位置関係を取得してもよい。また、第1の実施形態では、操縦機70から副飛行体40に追従モードオン信号及びオフ信号を直接送信する場合を例に示したが、操縦機70から主飛行体10に追従モードオン信号及びオフ信号を送信し、主飛行体10を経由して副飛行体40に追従モードオン信号及びオフ信号が送信される場合でもよい。
【0063】
なお、上記第1の実施形態において、副飛行体40は主飛行体10を含む画像情報を用いて主飛行体10に自動追従する場合ではなく、操縦機70から主飛行体10に送信する飛行信号を副飛行体40にも送信し、副飛行体40はこの飛行信号に応じて飛行することで主飛行体10に自動追従する場合でもよい。
【0064】
《第2の実施形態》
図6には、第2の実施形態に係る鳥威嚇システム1100の構成がブロック図にて示されている。
図6に示すように、第2の実施形態に係る鳥威嚇システム1100には操縦機70が備わっていない。主飛行体10の記憶部30には飛行経路(飛行ルート)が記憶されていて、飛行制御部36は記憶部30に記憶された飛行経路に沿って主飛行体10を自動飛行させる。また、主飛行体10の無線通信部22と副飛行体40の無線通信部52との間で無線通信が可能となっていて、所定の無線通信方式(例えば920MHz帯の無線通信)を用いた信号の送受信が行われる。主飛行体10には、時間を計測する例えばタイマーを有する計時部28が備わっている。その他の構成は第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。また、主飛行体10と副飛行体40の飛行状態も
図2(a)及び
図2(b)に示した第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0065】
(飛行制御)
鳥威嚇システム1100における飛行制御について、
図7及び
図8に沿って説明する。
図7は、主飛行体10の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
図8は、副飛行体40の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、主飛行体10の飛行制御部36は、ホームポイントを設定した後(ステップS20)、回転翼機構21に指示を出し、主飛行体10を所定の高度まで上昇させてその場でホバリングさせる(ステップS21)。ホームポイントとして、例えば主飛行体10が現在存在している場所を設定することができ、飛行制御部36は、位置検出部23において検出されるホームポイントの位置情報を記憶部30に記憶する。
【0066】
図8に示すように、副飛行体40の飛行制御部66は、自動追従モードがオンされるまで待機し(ステップS30:No)、オンされると(ステップS30:Yes)、ホームポイントを設定した後(ステップS31)、回転翼機構51に指示を出し、副飛行体40を所定の高度まで上昇させてその場でホバリングさせる(ステップS32)。
【0067】
副飛行体40がホバリングを始めると、取得部65は、撮像部43から主飛行体10を含む画像情報を取得したか否かを判断する(ステップS33)。取得部65は、主飛行体10を含む画像情報を取得していない場合(ステップS33:No)、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS34)、所定時間が経過していない場合は(ステップS34:No)、ステップS33に戻って主飛行体10を含む画像情報の取得を引き続き試みる。所定時間としては、主飛行体10及び副飛行体40が所定の高度まで上昇してホバリングするのに十分な時間が設定される。ホバリングさせる前の主飛行体10と副飛行体40の位置を、主飛行体10と副飛行体40が所定の高度まで上昇してホバリングした際に撮像部43の撮像範囲に主飛行体10が入るような位置にすることで、主飛行体10及び副飛行体40が所定時間内に所定の高度まで上昇すると取得部65が主飛行体10を含む画像情報を取得するようになり(ステップS33:Yes)、ステップS35に移行する。一方、主飛行体10及び/又は副飛行体40が所定時間内に所定の高度まで上昇することができず、所定時間が経過しても主飛行体10を含む画像情報を取得できない場合は(ステップS34:Yes)、飛行制御部66は、副飛行体40をホームポイントに着陸させる(ステップS42)。その後、
図8の全処理が終了する。
【0068】
取得部65が主飛行体10を含む画像情報を取得した場合(ステップS33:Yes)、飛行制御部66は、主飛行体10を含む画像情報から主飛行体10と副飛行体40との位置関係を取得し(ステップS35)、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になるように副飛行体40を移動させる(ステップS36)。主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になった後、飛行制御部66は、主飛行体10に飛行開始信号を送信する(ステップS37)。
【0069】
図7に示すように、飛行制御部36は、主飛行体10のホバリングを始めた後、副飛行体40から飛行開始信号を受信したか否かを判断する(ステップS22)。飛行制御部36は、飛行開始信号を受信していない場合(ステップS22:No)、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS23)、所定時間が経過していない場合は(ステップS23:No)、ステップS22に戻って飛行開始信号の受信を引き続き試みる。所定時間としては、副飛行体40が主飛行体10に対して所定の位置関係になるように移動するのに十分な時間が設定される。一方、所定時間が経過しても飛行開始信号を受信できない場合は(ステップS23:Yes)、飛行制御部36は、主飛行体10をホームポイントに着陸させる(ステップS27)。
【0070】
飛行開始信号を所定時間内に受信した場合(ステップS22:Yes)、飛行制御部36は、記憶部30に記憶された飛行経路に沿って主飛行体10を自動飛行させ(ステップS24)、飛行経路の最後まで(ステップS25:No)、主飛行体10を自動飛行させる。
【0071】
図8に示すように、ステップS37の後も、取得部65は撮像部43から主飛行体10を含む画像情報を取得しているか否かを判断する(ステップS38)。
図7で説明したように、主飛行体10は飛行開始信号を受信した後に記憶部30に記憶された飛行経路に沿って自動飛行するため、主飛行体10の位置が変化する。したがって、取得部65が主飛行体10を含む画像情報を取得している間は(ステップS38:Yes)、飛行制御部66は、主飛行体10から追従モードオフ信号を受信するまで(ステップS41:No)、所定のタイミングで、主飛行体10と副飛行体40との位置関係を取得し(ステップS39)、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係を維持するように副飛行体40を移動させる(ステップS40)。これにより、主飛行体10と副飛行体40との位置関係を所定の位置関係に維持しつつ、副飛行体40を主飛行体10に自動追従させて飛行させることができる。副飛行体40を主飛行体10に自動追従させている際に、取得部65が主飛行体10を含む画像情報を取得できなくなった場合(ステップS38:No)、飛行制御部66は、副飛行体40をホームポイントに着陸させる(ステップS42)。
【0072】
図7に示すように、飛行制御部36は、記憶部30に記憶された飛行経路の最後まで主飛行体10を自動飛行させた後(ステップS25:Yes)、副飛行体40に追従モードオフ信号を送信する(ステップS26)。その後、飛行制御部36は、主飛行体10をホームポイントに着陸させる(ステップS27)。
【0073】
図8に示すように、飛行制御部66は、主飛行体10から追従モードオフ信号を受信した場合(ステップS41:Yes)、副飛行体40をホームポイントに着陸させる(ステップS42)。
【0074】
第2の実施形態によれば、主飛行体10は予め定められた飛行経路に沿って自動飛行する。これにより、ユーザは主飛行体10を操縦しなくて済むため、ユーザの負担が減る。また、例えば所定の時間になれば自動飛行するように設定しておくことで、ユーザが不在の場合でも主飛行体10及び副飛行体40を飛行させて鳥を追い払うことができる。
【0075】
また、第2の実施形態では、主飛行体10は、副飛行体40から主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になった後に送信される飛行開始信号を受信した後に、飛行経路に沿って自動飛行する。このように、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になった後に主飛行体10が飛行経路に沿って自動飛行することで、鳥を追い払うのに適した位置関係となって主飛行体10と副飛行体40を飛行させることを容易に実現できる。
【0076】
次に、第2の実施形態の変形例に係る鳥威嚇システムについて説明する。
図9には、第2の実施形態の変形例に係る鳥威嚇システム1200の構成がブロック図にて示されている。
図9に示すように、第2の実施形態の変形例に係る鳥威嚇システム1200では、主飛行体10の制御部20は飛行制御部36に加えて取得部35を含む。取得部35は、位置検出部23が検出する主飛行体10の位置情報と副飛行体40から送信される副飛行体40の位置情報とを取得する。その他の構成は第2の実施形態の
図6と同じであるため説明を省略する。また、主飛行体10と副飛行体40の飛行状態は
図2(a)及び
図2(b)に示した第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0077】
(飛行制御)
鳥威嚇システム1200における飛行制御について、
図10及び
図11に沿って説明する。
図10は、主飛行体10の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
図11は、副飛行体40の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
図10に示すように、主飛行体10の飛行制御部36は、ホームポイントを設定した後(ステップS50)、回転翼機構21に指示を出し、主飛行体10を所定の高度まで上昇させてその場でホバリングさせる(ステップS51)。
【0078】
主飛行体10がホバリングを始めると、取得部35は、位置検出部23から主飛行体10の位置情報及び副飛行体40から副飛行体40の位置情報を取得したか否かを判断する(ステップS52)。取得部35は、位置情報を取得していない場合(ステップS52:No)、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS53)、所定時間が経過していない場合は(ステップS53:No)、ステップS52に戻って位置情報の取得を引き続き試みる。一方、所定時間が経過しても位置情報を取得できない場合は(ステップS53:Yes)、飛行制御部36は、主飛行体10をホームポイントに着陸させる(ステップS59)。
【0079】
取得部35が主飛行体10の位置情報及び副飛行体40の位置情報を取得した場合(ステップS52:Yes)、飛行制御部36は、主飛行体10の位置情報及び副飛行体40の位置情報から主飛行体10と副飛行体40との位置関係を取得する(ステップS54)。例えば、飛行制御部36は、主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報との差分情報、すなわち主飛行体10に対する副飛行体40の相対位置に関する情報を取得する。飛行制御部36は主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係であるか否かを判断し(ステップS55)、所定の位置関係でない場合(ステップS55:No)、ステップS52~S55が繰り返し行われる。
【0080】
主飛行体10は、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になった後(ステップS55:Yes)、ステップS56~S59を実行するが、これは第2の実施形態の
図7におけるステップS24~S27と同じであるため説明を省略する。
【0081】
図11に示すように、副飛行体40の飛行制御部66は、自動追従モードがオンされるまで待機し(ステップS60:No)、オンされると(ステップS60:Yes)、ホームポイントを設定した後(ステップS61)、回転翼機構51に指示を出し、副飛行体40を所定の高度まで上昇させてその場でホバリングさせる(ステップS62)。飛行制御部66は、副飛行体40のホバリングを始めた後、位置検出部53が検出する副飛行体40の位置情報を主飛行体10に送信する(ステップS63)。
【0082】
ステップS63の後、取得部65は、撮像部43から主飛行体10を含む画像情報を取得したか否かを判断する(ステップS64)。取得部65は、主飛行体10を含む画像情報を取得していない場合(ステップS64:No)、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS65)、所定時間が経過していない場合は(ステップS65:No)、ステップS64に戻って主飛行体10を含む画像情報の取得を引き続き試みる。一方、所定時間が経過しても主飛行体10を含む画像情報を取得できない場合は(ステップS65:Yes)、飛行制御部66は、副飛行体40をホームポイントに着陸させる(ステップS73)。
【0083】
取得部65が主飛行体10を含む画像情報を取得した場合(ステップS64:Yes)、飛行制御部66は、主飛行体10を含む画像情報から主飛行体10と副飛行体40との位置関係を取得し(ステップS66)、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になっているか否かを判断する(ステップS67)。所定の位置関係でない場合(ステップS67:No)、飛行制御部66は、所定の位置関係になるように副飛行体40を移動させる(ステップS68)。取得部65及び飛行制御部66は、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になるまでステップS63~S67を繰り返し行う。
【0084】
副飛行体40は、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になった後(ステップS67:Yes)、ステップS69~S73を実行するが、これは第2の実施形態の
図8におけるステップS38~S42と同じであるため説明を省略する。
【0085】
第2の実施形態の変形例によれば、主飛行体10は、位置検出部23で検出される主飛行体10の位置情報と副飛行体40から送信される副飛行体40の位置情報との差分情報から取得される主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になった後に、飛行経路に沿って自動飛行する。このように、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になった後に主飛行体10が飛行経路に沿って自動飛行することで、鳥を追い払うのに適した位置関係となって主飛行体10と副飛行体40を飛行させることを容易に実現できる。
【0086】
なお、上記第2の実施形態及び第2の実施形態の変形例において、鳥の種類毎に追い払うのに効果的な飛行経路(飛行パターン)を予め求めて記憶部30に複数の飛行経路を記憶させておき、その中から適宜選択できるようにしてもよい。
【0087】
《第3の実施形態》
図12には、第3の実施形態に係る鳥威嚇システム1300の構成がブロック図にて示されている。
図12に示すように、第3の実施形態に係る鳥威嚇システム1300では、副飛行体40は撮像部43を備えていない。また、操縦機70の無線通信部82と副飛行体40の無線通信部52との間は無線通信が行われず、主飛行体10の無線通信部22と副飛行体40の無線通信部52との間で無線通信が可能となっていて、所定の無線通信方式(例えば920MHz帯の無線通信)を用いた信号の送受信が行われる。副飛行体40の取得部65aは、主飛行体10と副飛行体40との位置関係に関する情報として、主飛行体10から送信される主飛行体10の位置情報と位置検出部53で検出される副飛行体40の位置情報とを取得する。飛行制御部66aは、取得部65aが取得する主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報との差分情報から取得される主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係を維持しながら副飛行体40が主飛行体10に自動追従するように、副飛行体40の飛行を制御する。その他の構成は第1の実施形態の
図3と同じであるため説明を省略する。また、主飛行体10と副飛行体40の飛行状態も
図2(a)及び
図2(b)に示した第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0088】
(飛行制御)
鳥威嚇システム1300における飛行制御について、
図13及び
図14に沿って説明する。
図13は、主飛行体10の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
図14は、副飛行体40の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
図13に示すように、主飛行体10の飛行制御部36は、操縦機70から飛行信号を受信するまで待機し(ステップS80:No)、飛行信号を受信すると(ステップS80:Yes)、飛行信号に応じて主飛行体10を飛行させる(ステップS81)。飛行制御部36は、主飛行体10を飛行させ始めると、所定のタイミングで、位置検出部23で検出される主飛行体10の位置情報を副飛行体40に送信し(ステップS82)、ステップS80に戻る。
【0089】
図14に示すように、副飛行体40の飛行制御部66aは、自動追従モードがオンされるまで待機し(ステップS90:No)、オンされると(ステップS90:Yes)、ホームポイントを設定した後(ステップS91)、回転翼機構51に指示を出し、副飛行体40を所定の高度まで上昇させてその場でホバリングさせる(ステップS92)。
【0090】
副飛行体40がホバリングを始めた後、取得部65aは、主飛行体10から主飛行体10の位置情報及び位置検出部53から副飛行体40の位置情報を取得したか否かを判断する(ステップS93)。取得部65aは、位置情報を取得していない場合(ステップS93:No)、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS94)、所定時間が経過していない場合は(ステップS94:No)、ステップS93に戻って位置情報の取得を引き続き試みる。一方、所定時間が経過しても位置情報を取得できない場合(ステップS94:Yes)、飛行制御部66aは、副飛行体40をホームポイントに着陸させる(ステップS101)。
【0091】
取得部65aが主飛行体10の位置情報及び副飛行体40の位置情報を取得した場合(ステップS93:Yes)、飛行制御部66aは、主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報とから主飛行体10と副飛行体40との位置関係を取得する(ステップS95)。例えば、飛行制御部66aは、主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報との差分情報から主飛行体10に対する副飛行体40の相対位置の位置関係を取得する。
【0092】
ステップS95の後、飛行制御部66aは、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になるように、副飛行体40を移動させる(ステップS96)。ステップS96の後も、取得部65aは主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報とを取得しているか否かを判断する(ステップS97)。取得部65aが主飛行体10及び副飛行体40の位置情報を取得している間は(ステップS97:Yes)、飛行制御部66aは、主飛行体10から追従モードオフ信号を受信するまで(ステップS100:No)、所定のタイミングで、主飛行体10と副飛行体40との位置関係を取得し(ステップS98)、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係を維持するように副飛行体40を移動させる(ステップS99)。これにより、主飛行体10と副飛行体40との位置関係を所定の位置関係に維持しつつ、副飛行体40を主飛行体10に自動追従させて飛行させることができる。
【0093】
副飛行体40を主飛行体10に自動追従させている際に、取得部65aが位置情報を取得できなくなった場合(ステップS97:No)、飛行制御部66aは、副飛行体40をホームポイントに着陸させる(ステップS101)。また、主飛行体10及び副飛行体40によって鳥を威嚇して追い払うことが終了した後、主飛行体10及び副飛行体40の飛行を終了させるために、ユーザは操縦機70の追従モード切替スイッチ73を操作して自動追従モードをオフにする。したがって、飛行制御部66aは、操縦機70から送信された追従モードオフ信号を主飛行体10を介して受信したときは(ステップS100:Yes)、副飛行体40をホームポイントに着陸させる(ステップS101)。
【0094】
第3の実施形態によれば、取得部65aは、主飛行体10と副飛行体40との位置関係に関する情報として主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報とを取得する。飛行制御部66aは、主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報との差分情報から取得される主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係を維持しながら副飛行体40が主飛行体10に自動追従するように、副飛行体40の飛行を制御する。このように、主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報とを用いて副飛行体40を主飛行体10に自動追従させることで、副飛行体40は撮像部を備えなくて済むため、部品点数の削減によるコスト低減及び軽量化を実現できる。
【0095】
《第4の実施形態》
図15には、第4の実施形態に係る鳥威嚇システム1400の構成がブロック図にて示されている。
図15に示すように、第4の実施形態に係る鳥威嚇システム1400では、副飛行体40は撮像部43を備えていない。副飛行体40の取得部65aは、主飛行体10と副飛行体40との位置関係に関する情報として主飛行体10から送信される主飛行体10の位置情報と位置検出部53で検出される副飛行体40の位置情報とを取得する。飛行制御部66aは、取得部65aが取得した主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報との差分情報から取得される主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係を維持しながら副飛行体40が主飛行体10に自動追従するように、副飛行体40の飛行を制御する。その他の構成は第2の実施形態の
図6と同じであるため説明を省略する。また、主飛行体10と副飛行体40の飛行状態は
図2(a)及び
図2(b)に示した第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0096】
(飛行制御)
鳥威嚇システム1400における飛行制御について、
図16及び
図17に沿って説明する。
図16は、主飛行体10の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
図17は、副飛行体40の飛行制御の一例を示すフローチャートである。
図16に示すように、主飛行体10の飛行制御部36は、ホームポイントを設定した後(ステップS110)、回転翼機構21に指示を出し、主飛行体10を所定の高度まで上昇させてその場でホバリングさせる(ステップS111)。飛行制御部36は、主飛行体10のホバリングを始めた後、位置検出部23で検出される主飛行体10の位置情報を副飛行体40に送信する(ステップS112)。
【0097】
図17に示すように、副飛行体40の飛行制御部66aは、自動追従モードがオンされるまで待機し(ステップS120:No)、オンされると(ステップS120:Yes)、ホームポイントを設定した後(ステップS121)、回転翼機構51に指示を出し、副飛行体40を所定の高度まで上昇させてその場でホバリングさせる(ステップS122)。
【0098】
副飛行体40がホバリングを始めると、取得部65aは、主飛行体10から主飛行体10の位置情報及び位置検出部53から副飛行体40の位置情報を取得したか否かを判断する(ステップS123)。取得部65aは、位置情報を取得していない場合(ステップS123:No)、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS124)、所定時間が経過していない場合は(ステップS124:No)、ステップS123に戻って位置情報の取得を引き続き試みる。一方、所定時間が経過しても位置情報を取得できない場合は(ステップS124:Yes)、飛行制御部66aは、副飛行体40をホームポイントに着陸させる(ステップS132)。
【0099】
取得部65aが主飛行体10の位置情報及び副飛行体40の位置情報を取得した場合(ステップS123:Yes)、飛行制御部66aは、主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報とから主飛行体10と副飛行体40との位置関係を取得する(ステップS125)。例えば、飛行制御部66aは、主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報との差分情報から主飛行体10に対する副飛行体40の相対位置である位置関係を取得する。ステップS125の後、飛行制御部66aは、主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になるように、副飛行体40を移動させる(ステップS126)。主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係になった後、飛行制御部66aは、主飛行体10に飛行開始信号を送信する(ステップS127)。
【0100】
図16に示すように、主飛行体10は、位置情報を副飛行体40に送信した後、ステップS113~S118を実行するが、これは第2の実施形態の
図7におけるステップS22~S27と同じであるため説明を省略する。
【0101】
図17に示すように、副飛行体40は、主飛行体10に飛行開始信号を送信した後、ステップS128~S132を実行するが、これは第3の実施形態の
図14におけるステップS97~S101と同じであるため説明を省略する。
【0102】
第4の実施形態によれば、主飛行体10は予め定められた飛行経路に沿って自動飛行する。この場合において、取得部65aは主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報とを取得し、飛行制御部66aは主飛行体10の位置情報と副飛行体40の位置情報との差分情報から取得される主飛行体10と副飛行体40との位置関係が所定の位置関係を維持しながら副飛行体40が主飛行体10に自動追従するように、副飛行体40の飛行を制御する。例えば、霧や暗闇のような視界が悪い場合では、ユーザは操縦機を操作して主飛行体10を飛行させることが難しく、また、副飛行体40は主飛行体10を含む画像情報を取得することが難しい。しかしながら、第4の実施形態のように、主飛行体10は予め定められた飛行経路に沿って飛行し、副飛行体40は主飛行体10と副飛行体40の位置情報を用いて主飛行体10に自動追従することで、霧や暗闇のような視界が悪い場合でも、主飛行体10と主飛行体10に自動追従する副飛行体40とを飛行させることができる。
【0103】
《第5の実施形態》
第5の実施形態は、第2の実施形態と同様に、主飛行体10は記憶部30に記憶された飛行経路に沿って自動飛行する。
図18には、第5の実施形態に係る鳥威嚇システム1500の構成がブロック図にて示されている。
図18では、図面の制約上、第2の実施形態の
図6と同じ構成部分については図示を省略している。
図18に示すように、第5の実施形態に係る鳥威嚇システム1500では、主飛行体10と副飛行体40に加えて第3の飛行体90が備わっている。第3の飛行体90は、制御部100と、回転翼機構101と、無線通信部102と、撮像部93と、位置検出部103と、地磁気検出部104と、超音波検出部105と、角速度検出部106と、加速度検出部107と、記憶部110と、バッテリ111と、を備える。回転翼機構101は、複数の回転翼92と、モータ112と、モータアンプ113と、を備える。制御部100は、記憶部110に記憶された飛行経路に沿って第3の飛行体90を自動飛行させる飛行制御部116を含む。
【0104】
第3の飛行体90は、例えば主飛行体10及び副飛行体40よりも高い高度を飛行する。第3の飛行体90の撮像部93は、地上を撮像する。撮像部93で撮像された画像は無線通信部102に出力される。第3の飛行体90の位置検出部103、地磁気検出部104、超音波検出部105、角速度検出部106、及び加速度検出部107は、主飛行体10の位置検出部23、地磁気検出部24、超音波検出部25、角速度検出部26、及び加速度検出部27と同様の機能であるため説明を省略する。
【0105】
主飛行体10の無線通信部22と副飛行体40の無線通信部52との間に加えて、主飛行体10の無線通信部22と第3の飛行体90の無線通信部102との間で無線通信が可能となっていて、所定の無線通信方式(例えば920MHz帯の無線通信)を用いた信号の送受信が行われる。主飛行体10の制御部20は、飛行制御部36に加えて、第3の飛行体90から送信される撮像部93が撮像した画像を画像解析して記憶部30に記憶された飛行経路を書き換える書換部37を含む。その他の構成は第2の実施形態の
図6と同じであるため説明を省略する。また、主飛行体10と副飛行体40の飛行状態は
図2(a)及び
図2(b)に示した第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0106】
図19は、書換部37による飛行経路の書き換え処理の一例を示すフローチャートである。
図19に示すように、書換部37は、第3の飛行体90の撮像部93が撮像した地上の画像情報を第3の飛行体90から受信する(ステップS140)。書換部37は、受信した地上の画像情報を一般的な画像解析技術を用いて解析し、鳥が居る場所を特定する(ステップS141)。書換部37は、特定した鳥が居る場所の上空を主飛行体10が飛行するように、記憶部30に記憶された飛行経路を書き換える(ステップS142)。
【0107】
図20(a)及び
図20(b)は、書換部37による書き換え前後の飛行経路の一例を示す模式図である。
図20(a)に示すように、書換部37による書き換え前では、鳥を追い払いたい領域5(例えば圃場領域)の中央部分を主飛行体10が飛行するような飛行経路が記憶部30に記憶されていたとする。
図20(b)に示すように、第3の飛行体90から受信した地上の画像を画像解析して鳥1が領域5の端に寄って位置していると特定された場合、書換部37は主飛行体10が領域5の端の上空を飛行するような飛行経路に書き換える。
【0108】
第5の実施形態によれば、主飛行体10は、地上を撮像する撮像部93が撮像した画像を画像解析して特定される鳥1が居る場所に応じて飛行経路を書き換える書換部37を有する。これにより、主飛行体10が飛行経路に沿って自動飛行する場合に、鳥に接近するようになるため、鳥を効果的に追い払うことができる。
【0109】
なお、第5の実施形態では、第3の飛行体90は例えばドローンの場合を例に示したが、気球などの空中に浮遊する飛行体の場合でもよい。また、第3の飛行体90が有する撮像部93が撮像した地上の画像に基づいて鳥1が居る場所を特定する場合を例に示したが、主飛行体10及び/又は副飛行体40が地上を撮像する撮像部を有し、この撮像部が撮像した地上の画像に基づいて鳥1が居る場所を特定してもよい。また、第3の飛行体90は自動飛行する場合を例に示したが、ユーザが操縦機を操作することで遠隔操縦される場合でもよい。
【0110】
《第6の実施形態》
図21には、第6の実施形態に係る鳥威嚇システム1600の構成がブロック図にて示されている。
図21では、図の制約上、第1の実施形態の
図3と同じ構成部分については図示を省略している。
図21に示すように、第6の実施形態に係る鳥威嚇システム1600では、主飛行体10と副飛行体40と操縦機70とに加えて第3の飛行体90が備わっている。第3の飛行体90の構成は、第5の実施形態の
図18における第3の飛行体90と同じであるため説明を省略する。第3の飛行体90は、主飛行体10よりも高い高度を飛行する。操縦機70の無線通信部82と第3の飛行体90の無線通信部102との間は無線通信が可能となっていて、所定の無線通信方式(例えば920MHz帯の無線通信)を用いた信号の送受信が行われる。操縦機70は、第3の飛行体90から送信される撮像部93が撮像した地上の画像を表示可能な表示部83を有する。その他の構成は第1の実施形態の
図3と同じであるため説明を省略する。また、主飛行体10と副飛行体40の飛行状態も
図2(a)及び
図2(b)に示した第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0111】
第6の実施形態によれば、主飛行体10よりも高い高度を飛行する第3の飛行体90から撮像部93が撮像した地上の画像情報が操縦機70に送信される。これにより、操縦機70を操作するユーザは、例えば表示部83に表示された地上の画像から鳥が居る場所を認識できるようになる。よって、ユーザは、鳥が居る場所に向かって主飛行体10を飛行させることができるようになり、鳥を効果的に追い払うことができる。
【0112】
上記第1の実施形態から第6の実施形態では、主飛行体10に自動追従する副飛行体40が1機である場合を例に示したが、複数機の副飛行体40が主飛行体10に自動追従する場合でもよい。例えば、2機の副飛行体40が主飛行体10に自動追従し、2機の副飛行体40のうち一方は主飛行体10の左斜め後方を、他方は主飛行体10の右斜め後方を自動追従する場合でもよい。例えば、主飛行体10の一方の斜め後方に所定の間隔を空けて順々に並んだ複数の副飛行体40が主飛行体10に自動追従する場合でもよい。
【0113】
また、上記第1の実施形態から第6の実施形態では、主飛行体10及び副飛行体40は鳥を威嚇する音をスピーカー等から発していない場合を例に示したが、主飛行体10及び/又は副飛行体40から鳥を威嚇する音をスピーカー等を用いて発する場合でもよい。
【0114】
また、上記第1の実施形態から第6の実施形態において、主飛行体10及び副飛行体40の少なくとも一方に樹脂製又は金属製のチェーンをぶら下げてもよい。これにより、鳥に対して主飛行体10及び/又は副飛行体40を大きく見せることができ、鳥を効果的に追い払うことができる。
【0115】
また、上記第1の実施形態から第6の実施形態では、鳥を追い払う場合を例に示したが、虫や動物等を追い払う場合に実施形態に係る発明を適用してもよい。
【0116】
以上、本願発明の実施形態について詳述したが、本願発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本願発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0117】
10 主飛行体
20 制御部
22 無線通信部
23 位置検出部
30 記憶部
35 取得部
36 飛行制御部
37 書換部
40 副飛行体
43 撮像部
50 制御部
52 無線通信部
53 位置検出部
59 追従モード切替スイッチ
60 記憶部
65、65a 取得部
66、66a 飛行制御部
70 操縦機
73 追従モード切替スイッチ
80 制御部
82 無線通信部
83 表示部
90 第3の飛行体
93 撮像部
100 制御部
102 無線通信部
1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600 鳥威嚇システム