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特開2022-107408分岐接続体、分岐接続体付きハーネス、ハーネス配索構造及び追加回路付きハーネス配索構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107408
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】分岐接続体、分岐接続体付きハーネス、ハーネス配索構造及び追加回路付きハーネス配索構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/02 20060101AFI20220713BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220713BHJP
   H01R 13/684 20110101ALI20220713BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20220713BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
H01R31/02 D
B60R16/02 620A
H01R13/684
H02G15/08
H02G3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002341
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】寺村 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】氷見 晃浩
(72)【発明者】
【氏名】瀬野 俊介
(72)【発明者】
【氏名】三浦 俊亮
(72)【発明者】
【氏名】郡 智之
(72)【発明者】
【氏名】氏川 堅太
【テーマコード(参考)】
5E021
5G361
5G375
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC31
5E021MA11
5G361BA03
5G361BA06
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
5G375AA02
5G375AA03
5G375BA27
5G375DB09
5G375DB16
5G375DB21
(57)【要約】
【課題】電源線における所望の位置でオプション機器を容易に追加できる分岐接続体、分岐接続体付きハーネス、ハーネス配索構造及び追加回路付きハーネス配索構造を提供することを目的とする。
【解決手段】分岐接続体30は、ハウジング40と、メイン側接続導体50と、サブ側接続導体60とが備えられ、ハウジング40は、メイン導体11が露出する導体露出部13を収容する扁平筐体41、ヒューズ70を装着する(ヒューズ装着孔451)、並びにサブ導体21を接続するコネクタ装着部46を有し、メイン側接続導体50は、メイン導体11に当接するメイン導体当接部51、及びヒューズ装着孔451に装着されるヒューズ70の一方の電極と接続される第1音叉端子53を有し、サブ側接続導体60は、ヒューズ70の他方の電極と接続される第2音叉端子61、及びサブ導体21と接続されるオス型端子62を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を導通するメイン導体が絶縁被覆で被覆された電源線に対して、接続対象であるサブ導体を接続して分岐する分岐接続体であって、
ハウジングと、メイン側接続導体と、サブ側接続導体とが備えられ、
前記ハウジングは、
前記電源線において長手方向の一部の前記絶縁被覆が剥がされて前記メイン導体が露出する導体露出部分を収容する収容部、2つの電極を有するヒューズを装着するヒューズ装着部、並びに前記サブ導体を装着して接続するサブ導体装着部を有し、
前記メイン側接続導体は、
前記メイン導体に当接するメイン導体当接部、及び前記ヒューズ装着部に装着される前記ヒューズの一方の電極と接続される第1ヒューズ接続部を有し、
前記サブ側接続導体は、
前記ヒューズの他方の電極と接続される第2ヒューズ接続部、及び前記サブ導体と接続されるサブ導体接続部を有する
分岐接続体。
【請求項2】
前記収容部は、前記電源線を挟み込むよう構成された第1収容体と第2収容体とを有する
請求項1に記載の分岐接続体。
【請求項3】
前記メイン側接続導体及び前記サブ側接続導体は、
導電性を有する板状のバスバーで構成された
請求項1又は請求項2に記載の分岐接続体。
【請求項4】
前記ヒューズ装着部は複数設けられ、
前記メイン側接続導体は、ひとつのメイン導体当接部に対して、前記ヒューズ装着部の設置数に対応して複数の前記第1ヒューズ接続部を有し、
前記サブ側接続導体は、前記ヒューズ装着部の設置数に対応して複数設けられた
請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載の分岐接続体。
【請求項5】
前記サブ導体装着部は、
電線の導体で構成された前記サブ導体の先端に設けられたコネクタが装着されるコネクタ装着部を有し、
前記サブ導体接続部は、前記サブ導体の先端に設けられた接続端子と接続される端子形状で形成された
請求項1乃至請求項4のうちいずれかに記載の分岐接続体。
【請求項6】
前記コネクタ装着部は、前記コネクタが前記長手方向に沿う方向に接続される向きで配置された
請求項5に記載の分岐接続体。
【請求項7】
前記サブ導体装着部は、リレーを装着するリレー装着部を有し、
前記サブ側接続導体は、
前記第2ヒューズ接続部及び前記リレーの制御側接点と接続される制御側接続部を有する第1サブ側接続導体と、
前記リレーの稼働側接点と接続される稼働側接続部及びアース回路に接続されるアース接続部を有する第2サブ側接続導体とが備えられた
請求項1乃至5のうちいずれかに記載の分岐接続体。
【請求項8】
前記メイン導体当接部は、前記メイン導体の外表面と面接触する面状で構成された
請求項1乃至請求項7のうちいずれかに記載の分岐接続体。
【請求項9】
前記メイン導体は、所定幅を有するとともに、断面扁平状となる扁平導体であり、
前記メイン導体当接部は、前記扁平導体の外表面と面接触する平面状で構成された
請求項8に記載の分岐接続体。
【請求項10】
前記ヒューズ装着部は、
前記扁平導体に対して幅方向の内側に配置されるとともに、
前記ヒューズが前記長手方向に直交する方向且つ幅方向に直交する方向から装着される向きで配置された
請求項9に記載の分岐接続体。
【請求項11】
前記ヒューズ装着部は、
前記ヒューズが前記長手方向に直交する方向且つ幅方向から装着される向きで配置された
請求項9に記載の分岐接続体。
【請求項12】
車体に配索されるハーネスと、
請求項1乃至請求項11のうちいずれかに記載の分岐接続体とが備えられ、
前記電源線が前記ハーネスを構成し、
前記分岐接続体が、追加回路を構成する前記サブ導体を前記ハーネスの前記メイン導体に対して分岐接続する箇所に設けられた
分岐接続体付きハーネス。
【請求項13】
車体に配索されたハーネスと、
請求項1乃至請求項11のうちいずれかに記載の分岐接続体とが備えられ、
前記電源線が前記ハーネスを構成し、
前記分岐接続体が、追加回路を構成する前記サブ導体を前記ハーネスの前記メイン導体に対して分岐接続する箇所に設けられた
ハーネス配索構造。
【請求項14】
車体に配索されたハーネスと、
追加回路を構成する追加線と、
請求項1乃至請求項11のうちいずれかに記載の分岐接続体とが備えられ、
前記電源線が前記ハーネスを構成するとともに、前記サブ導体が前記追加線の導体を構成し、
前記分岐接続体が、前記サブ導体を前記ハーネスの前記メイン導体に対して分岐接続する箇所に設けられた
追加回路付きハーネス配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源線から電源を分岐する分岐接続体、分岐接続体付きハーネス、ハーネス配索構造及び追加回路付きハーネス配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両などに搭載されるワイヤーハーネスは、標準として搭載される電源線と、オプション機器類と接続されるサブ電線とで構成されている。例えば、車両の所定の位置に配置された複数のジャンクションボックス同士を接続するように電源線を車両の車幅方向及び前後方向に沿って配索し、ジャンクションボックスからオプション機器と接続されたサブ電線を延出したワイヤーハーネスの配索構造が特許文献1に開示されている。
【0003】
このように車両の所定の位置に配置されたジャンクションボックスを接続するように、車両の幅方向及び前後方向に沿って電源線を配索することにより、ワイヤーハーネスの配索経路の簡素化を図るとともに、電線長の短縮化を図ることができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているワイヤーハーネス配索構造では、
複数のサブ電線がジャンクションボックスを介して接続されていることから、各オプション機器類をジャンクションボックスの近傍で接続する必要があった。このため、オプション機器を接続できる箇所が限定されるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-137394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述の問題を鑑み、電源線における所望の位置でオプション機器を容易に追加できる分岐接続体、分岐接続体付きハーネス、ハーネス配索構造及び追加回路付きハーネス配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、電源を導通するメイン導体が絶縁被覆で被覆された電源線に対して、接続対象であるサブ導体を接続して分岐する分岐接続体であって、ハウジングと、メイン側接続導体と、サブ側接続導体とが備えられ、前記ハウジングは、前記電源線において長手方向の一部の前記絶縁被覆が剥がされて前記メイン導体が露出する導体露出部分を収容する収容部、2つの電極を有するヒューズを装着するヒューズ装着部、並びに前記サブ導体を装着して接続するサブ導体装着部を有し、前記メイン側接続導体は、前記メイン導体に当接するメイン導体当接部、及び前記ヒューズ装着部に装着される前記ヒューズの一方の電極と接続される第1ヒューズ接続部を有し、前記サブ側接続導体は、前記ヒューズの他方の電極と接続される第2ヒューズ接続部、及び前記サブ導体と接続されるサブ導体接続部を有することを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、車体に配索されるハーネスと、上述の分岐接続体とが備えられ、前記電源線が前記ハーネスを構成し、前記分岐接続体が、追加回路を構成する前記サブ導体を前記ハーネスの前記メイン導体に対して分岐接続する箇所に設けられた分岐接続体付きハーネスである。
【0009】
さらにまたこの発明は、車体に配索されたハーネスと、上述の分岐接続体とが備えられ、前記電源線が前記ハーネスを構成し、前記分岐接続体が、追加回路を構成する前記サブ導体を前記ハーネスの前記メイン導体に対して分岐接続する箇所に設けられたハーネス配索構造である。
【0010】
さらにまたこの発明は、車体に配索されたハーネスと、追加回路を構成する追加線と、上述の分岐接続体とが備えられ、前記電源線が前記ハーネスを構成するとともに、前記サブ導体が前記追加線の導体を構成し、前記分岐接続体が、前記サブ導体を前記ハーネスの前記メイン導体に対して分岐接続する箇所に設けられた追加回路付きハーネス配索構造である。
【0011】
前記電源線は、電源となる電流が流れている電線であれば、その種類は限定されず、メイン導体が断面扁平状の扁平導体である扁平電線や、メイン導体が一本の導電線や複数の導電線を束ねた構成、束ねた複数の導電線を撚り合わせた撚線導体である丸電線などを含む。
前記サブ導体接続部は、サブ導体に接続されたコネクタ端子やアース用端子などを接続する接続用端子を含む。
【0012】
前記メイン側接続導体及び前記サブ側接続導体とは、ヒューズを介して電源線の電源をサブ導体接続部に供給できればその構成は限定されず、例えば、導電性を有する電線やバスバーなどで構成されてもよい。
【0013】
この発明によると、電源線における所望の位置に配置した分岐接続体により、電源を分岐させることができるため、電源線における所望の位置でオプション機器を容易に追加できる。
具体的には、ハウジング内において、メイン導体と当接されているメイン側接続導体とサブ側接続導体とをヒューズを介して電気的に接続できるため、サブ側接続導体におけるサブ導体接続部に接続されたサブ導体に対してメイン導体から電源を供給できる。このように簡易な構造でメイン導体からサブ側接続導体に電源を分岐できるため、電源線におけるオプション機器の配置箇所に対応した位置分岐接続体を配置し、サブ導体装着部に接続させたオプション機器に対して電源を供給することができる。
【0014】
また、例えばハーネスが車体に配索されたハーネス配索構造において、配索されたメイン導体の任意の箇所に対して分岐接続体を介してサブ導体を接続することで、メイン導体に対してサブ導体を事後的に分岐できる。さらに、外部からサブ導体を接続しやすい位置に分岐接続体を配置しておけば、容易に外部から分岐接続体にオプション機器を接続させることができる。
【0015】
このように、電源線からサブ導体に電源を分岐できる分岐接続体を電源線における所望の位置に配置できるため、メイン導体における所望の位置でオプション機器を容易に追加できる。また、分岐接続体を所望の位置に配置できるため、例えば車体に搭載するハーネスの設計の自由度を向上させることができる。
【0016】
さらにまた、オプション機器に応じた位置に分岐接続体を設けることができるため、オプション機器と分岐接続体とを接続するサブ導体の長さを短くでき、追加回路であるサブ導体と接続されたハーネス配索構造である追加回路付きハーネス配索構造を軽量化できる。
【0017】
この発明の態様として、前記収容部は、前記電源線を挟み込むよう構成された第1収容体と第2収容体とを有してもよい。
この発明により、前記電源線の断面方向における一方側に配置された第1収容体と前記電源線の断面方向における他方側に配置された第2収容体で電源線を挟み込むことで収容部を電源線に組み付け、導体露出部を収納できる。これにより、例えば電源線を車体に配索するハーネスとして準備した後に、電源線における所望の位置に収容部を組み付けることができ、電源線における所望の位置に収容部を効率よく組み付けることができる。
【0018】
また、オプション機器を接続する際に、電源線における所望の位置において絶縁被覆を剥がして収容部を組み付けることができるため、あらかじめ分岐接続体を設けていない箇所であっても、後からオプション機器を所望の位置に追加することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記メイン側接続導体及び前記サブ側接続導体は、導電性を有する板状のバスバーで構成されてもよい。
この発明によると、メイン側接続導体及びサブ側接続導体の導電性を向上させることができるため、大電流の電源線に対応することができる。また、メイン側接続導体及びサブ側接続導体を板状のバスバーとすることで、設計の自由度を向上させるとともに、コンパクト化を図ることができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記ヒューズ装着部は複数設けられ、前記メイン側接続導体は、ひとつのメイン導体当接部に対して、前記ヒューズ装着部の設置数に対応して複数の前記第1ヒューズ接続部を有し、前記サブ側接続導体は、前記ヒューズ装着部の設置数に対応して複数設けられてもよい。
【0021】
この発明により、電源線から供給される電流を複数のサブ導体に分配できるため、電源線における所望の位置に複数のオプション機器を追加できる。これにより、例えば車体に搭載するハーネスの設計の自由度をより向上させることができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記サブ導体装着部は、電線の導体で構成された前記サブ導体の先端に設けられたコネクタが装着されるコネクタ装着部を有し、前記サブ導体接続部は、前記サブ導体の先端に設けられた接続端子と接続される端子形状で形成されてもよい。
コネクタ装着部は、単数又は複数のいずれでもよく、またリレーを含む他の接続体と接続する装着部と併用してもよい。
【0023】
この発明によると、電線で構成されたサブ導体の先端において接続端子が配置されたコネクタをコネクタ装着部に装着することで、サブ導体とサブ側接続導体を確実に導通できる。また、複数の接続端子がコネクタに配置されている場合、サブ導体に設けられた接続端子を一括してサブ導体接続部に装着できる。これにより、メイン導体とサブ導体との導通を確実かつ容易に確保できる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記コネクタ装着部は、前記コネクタが前記長手方向に沿う方向に接続される向きで配置されてもよい。
この発明により、前記長手方向と直交する方向に対してコンパクトな分岐接続体を構成することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記サブ導体装着部は、リレーを装着するリレー装着部を有し、前記サブ側接続導体は、前記第2ヒューズ接続部及び前記リレーの制御側接点と接続される制御側接続部を有する第1サブ側接続導体と、前記リレーの稼働側接点と接続される稼働側接続部及びアース回路に接続されるアース接続部を有する第2サブ側接続導体とが備えられてもよい。
【0026】
この発明により、サブ導体に接続されているオプション機器を、リレー装着部に装着されたリレーを用いて制御できる。したがって、目的に応じた様々なオプション機器を電源線における所望の位置に追加することができ、車体に搭載するハーネスの設計の自由度をより向上させることができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記メイン導体当接部は、前記メイン導体の外表面と面接触する面状で構成されてもよい。
前記面状とは、前記メイン導体における長手方向と直交する直交断面が略円形状の導体である場合には、前記メイン導体当接部の直交断面が円弧状に形成された面状である。一方、メイン導体における長手方向と直交する直交断面が矩形状の扁平導体である場合には、前記メイン導体当接部の直交断面が線形状に形成された平面状である。
【0028】
この発明によると、メイン導体とメイン側接続導体との接触面積が確保できるため、メイン導体とメイン側接続導体との導通性を確保できる。これにより、分岐接続体を介してメイン導体からサブ導体に電源を安定して供給できる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記メイン導体は、所定幅を有するとともに、断面扁平状となる扁平導体であり、前記メイン導体当接部は、前記扁平導体の外表面と面接触する平面状で構成されてもよい。
この発明により、平面状のメイン導体当接部が扁平導体に対して面接触するため、扁平導体に対してメイン導体当接部が安定して配置できる。したがって、メイン導体からサブ導体に電源をより安定して供給できるとともに、導通の安定性を向上させることができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記ヒューズ装着部は、前記扁平導体に対して幅方向の内側に配置されるとともに、前記ヒューズが前記長手方向に直交する方向且つ幅方向に直交する方向から装着される向きで配置されてもよい。
【0031】
この発明によると、扁平導体の面と直交する法線方向に向けてヒューズを装着するため、幅方向にヒューズ装着部が拡幅することを防止でき、幅方向に対してコンパクトな分岐接続体を構成することができる。また、扁平導体がヒューズの装着を阻害することを防止できる。したがって、サイズを小さくしながら、ヒューズを容易に装着することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記ヒューズ装着部は、前記ヒューズが前記長手方向に直交する方向且つ幅方向から装着される向きで配置されてもよい。
この発明によると、扁平導体の幅方向に沿ってヒューズを装着するため、扁平導体の面と直交する法線方向にヒューズ装着部が拡幅することを防止でき、法線方向に対してコンパクトな分岐接続体を構成することができる。また、扁平導体がヒューズの装着を阻害することを防止できる。したがって、サイズを小さくしながら、ヒューズを容易に装着することができる。
【発明の効果】
【0033】
この発明により、電源線における所望の位置でオプション機器を容易に追加できる分岐接続体、分岐接続体付きハーネス、ハーネス配索構造及び追加回路付きハーネス配索構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】追加回路付きハーネス配索構造の模式図。
図2】追加回路付きハーネス配索構造の概略斜視図。
図3】追加回路付きハーネス配索構造の概略分解斜視図。
図4】サブ電線の説明図。
図5】分岐接続体の説明図
図6】メイン側接続導体及びサブ側接続導体の説明図
図7】分岐接続体の組み付け方法の説明図。
図8】追加回路付きハーネス配索構造における電源の分岐を示す説明図。
図9】他の実施形態における追加回路付きハーネス配索構造の概略斜視図。
図10】他の実施形態における追加回路付きハーネス配索構造の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
図1は追加回路付きハーネス配索構造1の模式図を示し、図2は追加回路付きハーネス配索構造1の概略斜視図を示す。図3は追加回路付きハーネス配索構造1の概略分解斜視図を示す。図4はサブ電線20の説明図を示し、図5は分岐接続体30の説明図を示し、図6はメイン側接続導体50及びサブ側接続導体60の説明図を示す。図7は分岐接続体付きハーネス2に対してヒューズ70及びサブ電線20を組み付ける組み付け方法を示し、図8は、追加回路付きハーネス配索構造1における電流Iの分岐を表した説明図を示す。
【0036】
図1図4乃至図8について詳述する。
図1(a)は車両Yに配策されたハーネス10及び追加回路付きハーネス配索構造1の模式図を示し、図1(b)は追加回路付きハーネス配索構造1の模式図を示す。図4(a)はサブ電線20の概略斜視図を示し、図4(b)はサブ電線20の概略分解斜視図を示し、図4(c)は図4(b)のA-A矢視断面に対応するコネクタハウジング23の断面図を示す。
【0037】
図5(a)は分岐接続体30の概略斜視図を示し、図5(b)はハウジング40の内部に配置されたメイン側接続導体50及びサブ側接続導体60の概略斜視図を示し、図5(c)はハウジング40の平面図を示し、図5(d)は図4(c)におけるB―B矢視断面図を示す。なお、図5(b)において、ハウジング40の内部を明確にするため、ハウジング40を点線で表して便宜上ハウジング40を透過させている。
【0038】
図6(a)はハウジング40に配置されているメイン側接続導体50及びサブ側接続導体60,60の側面図を示し、図6(b)及び図6(c)はメイン側接続導体50の平面図及び背面図を示し、図6(d)及び図6eはサブ側接続導体60,60の平面図及び正面図を示す。
【0039】
図7(a)はハウジング40の内部を表した分岐接続体付きハーネス2に対してサブ電線20及びヒューズ70を挿入する状態の概略斜視図を示し、図7(b)はハウジング40の内部を表した分岐接続体付きハーネス2に対してサブ電線20及びヒューズ70を挿入する状態の側面図を示す。
【0040】
図8(a)はハウジング40の内部を表した追加回路付きハーネス配索構造1の概略斜視図を示し、図8(b)はハウジング40の内部を表した追加回路付きハーネス配索構造1の平面図を示す。なお、図7及び図8は、図5(b)と同様に、ハウジング40の内部を明確にするため、ハウジング40を点線で表して便宜上ハウジング40を透過させている。
【0041】
ここで、図2における上下方向を上下方向Zとし、ハーネス10の延びる方向を長手方向Lとする。また、図2におけるハーネス10の幅方向を幅方向Wとする。なお、長手方向Lと幅方向Wと上下方向Zはそれぞれ直交しているものとする。
また、図2における右奥方向を長手方向Lの先端側(単に『先端側』)、図2における左手前方向を長手方向Lの基端側(単に『基端側』)とする。
【0042】
追加回路付きハーネス配索構造1は、図1及び図2に示すように、車両Yに配策された配策構造であり、バッテリーBと接続され電源を導通するハーネス10と、接続対象である複数のオプション機器Xが接続された2本のサブ電線20と、ハーネス10とサブ電線20とを接続する分岐接続体30とで構成されている。
【0043】
ハーネス10は、図3に示すように、導電性を有する導体を並列に配置し、断面扁平状に構成された扁平導体であるメイン導体11と、メイン導体11の外周面を被覆する絶縁性の絶縁被覆12とで構成された扁平電線である。このハーネス10には、所定の場所において絶縁被覆12を剥いでメイン導体11を露出させた導体露出部13が設けられている。
【0044】
サブ電線20は、図4(a)及び図4(b)に示すように、先端がオプション機器Xと接続されているサブ導体21と、サブ導体21の基端に接続されたコネクタ端子22と、コネクタ端子22を収容するコネクタハウジング23で構成されている。
【0045】
サブ導体21は、ハーネス10と同様に、導電性を有する素線を撚り合わせたサブ導体211と、サブ導体211の外周面を被覆する絶縁被覆212とで構成された丸電線である。このサブ導体21の基端側は、絶縁被覆212が剥がされてサブ導体211が露出しており、コネクタ端子22と電気的に接続されている。
【0046】
コネクタ端子22は、いわゆるメス型端子であり、図4(b)に示すように、サブ導体21を接続する電線接続部221と、後述するオス型端子62を挿入する端子挿入部222と、コネクタハウジング23に係止固定するための被係止部223とを備えている。
【0047】
コネクタハウジング23は、コネクタ端子22を幅方向Wに並列して2つ収容することができる中空状の筐体である。コネクタハウジング23は、先端側から基端側に向けてコネクタ端子22を挿入し収容できるコネクタ収容部231と、コネクタ収容部231に収容されたコネクタ端子22に挿入されるオス型端子62を挿入する端子用開口部232と、分岐接続体30に対して係止されるコネクタ被係止部233を備えている(図4(c)参照)。また、コネクタ収容部231には、内部に収容されたコネクタ端子22の端子挿入部222を係止して、コネクタ端子22を所望の位置に固定する端子係止部234が設けられている。
【0048】
次に、このように構成されたハーネス10とサブ電線20とを接続する分岐接続体30について説明する。
分岐接続体30は、図5(a)に示すように、ハーネス10の先端及びコネクタハウジング23の基端側を収納するハウジング40と、ハーネス10と電気的に接続されるメイン側接続導体50と、サブ電線20と電気的に接続されるサブ側接続導体60,60とが備えられている。
【0049】
ハウジング40は、図5(a)及び図5(b)に示すように、扁平筐体41と、扁平筐体41の上方に設けられたハウジング本体42とで構成されている。
扁平筐体41は、図5(a)及び図5(b)に示すように、底面を形成する第1収容部43と、上面を形成する第2収容部44とを係止固定部411で固定した、平面視略長方形の中空状の筐体である。この扁平筐体41の長手方向Lの両端面に扁平な挿通孔412を有し、内部に収容部413が形成されている。
【0050】
第1収容部43は、上方が開口した凹状で構成され(図3参照)、幅方向Wの側面には係止固定部411を構成する被係止部431が設けられ、長手方向Lの両端に下方に窪んだ半楕円状の下方開口形成部432が設けられている(図5(a)参照)。なお、第1収容部43の底面には、上方に向けて立設した導体支持部433が設けられている(図5(d)参照)。
【0051】
第2収容部44は、下方が開口した凹状で構成され、幅方向Wの側面には被係止部431に対応する位置に、係止固定部411を構成する係止部441が設けられている。また、第2収容部44は、長手方向Lの両端に上方に窪んだ半楕円状の上方開口形成部442が設けられ(図5(a)参照)、下方に向けて立設した導体押圧部443が上面に設けられている(図5(d)参照)。
【0052】
このように構成された第1収容部43と第2収容部44と上下方向Zから組み合わせて被係止部431と係止部441とで係止固定され、扁平筐体41を形成する。この扁平筐体41は、内部に収容部413が形成されるとともに、下方開口形成部432と上方開口形成部442とで、長手方向Lから視た絶縁被覆12の外周面と同形状の挿通孔412を形成する。なお、挿通孔412の内部に配置される導体支持部433と導体押圧部443との間隔はメイン導体11の板厚と略同じ長さとなる。
【0053】
ハウジング本体42は、第2収容部44と一体に形成されている筐体であって、導体露出部13の幅方向W及び長手方向Lの長さと略同じ長さを有する略直方体で形成されている。このハウジング本体42の基端側には、ヒューズ装着部45を、先端側にはコネクタ装着部46を有する。
【0054】
ヒューズ装着部45は、図5(a)及び図5(d)に示すように、上方が開口した有底のヒューズ装着孔451が2つ設けられており、それぞれにヒューズ70を装着することができる。また、ヒューズ装着孔451の底面には、後述する第1音叉端子53及び第2音叉端子61を挿通するメイン側挿通部452及びサブ側挿通部453がそれぞれ基端側と先端側に設けられている。
なお、ヒューズ70は、いわゆるブレードヒューズであり、板状に形成されたメイン側電極71とサブ側電極72の2つの電極を有する(図3参照)。
【0055】
コネクタ装着部46は、先端側に長手方向Lに沿ってコネクタハウジング23を挿入可能なコネクタ挿入口461を有するとともに、コネクタハウジング23の先端側を長手方向Lに沿って収容可能な収容空間Sを備えた中空の筐体である。また、コネクタ装着部46の基端側には、サブ側挿通部453に第2音叉端子61を挿通させた状態において、端子用開口部232に対向する位置にオス型端子62を配置するバスバー配置部462がspl設けられている。なお、コネクタ装着部46の下方側は開口しており、扁平筐体41と連通している。
【0056】
メイン側接続導体50及びサブ側接続導体60は、導電性を有する導電板で形成された板状のバスバーであり、図5(b)及び図6(a)に示すように、ハウジング40に内装された状態において、互いに対向するように配置されている。
【0057】
メイン側接続導体50は、図6(a)乃至図6(c)に示すように、平面状に構成されたメイン導体当接部51と、メイン導体当接部51の長手方向Lの端部から長手方向Lに沿って延出する2本の連結部52,52と、連結部52,52の先端から立設する第1音叉端子53、53とで一体に構成されている。
【0058】
メイン導体当接部51は、導体露出部13の長手方向Lの長さ及び幅方向Wの長さと略同じ長さを有する平面視略長方形状の導電板である。なお、メイン導体当接部51は、導体露出部13の長手方向Lの中央部分に配置される。
【0059】
このメイン導体当接部51の長手方向Lの端部には、長手方向Lに沿って延出する連結部52,52が、幅方向Wに沿って所定の間隔を隔てて2つ備えられている。なお、連結部52はヒューズ装着部45に装着するヒューズ70の個数に対応するように備えられている。
【0060】
この連結部52は、図6(a)乃至図6(c)に示すように、メイン導体当接部51の基端から幅方向Wに沿って延出する第1延出部521と、第1延出部521の基端から立設部522と、立設部522の上端から基端側に第2延出部523とで一体に構成されている。
【0061】
第1延出部521は、メイン導体当接部51を導体露出部13の中央部分に配置した状態において、導体露出部13における基端側端部の近傍まで延出している。すなわち、導体露出部13の基端側に配置された絶縁被覆12の端部付近まで延出している。
【0062】
立設部522は、絶縁被覆12の厚みと略同じ長さだけ上方に延びており、メイン導体当接部51がメイン導体11と当接した状態において、第2延出部523が絶縁被覆12よりも上方に配置されるように構成されている(図2図7(b)参照)。
【0063】
第2延出部523は、第1延出部521の長手方向Lに沿った長さと略同じ長さだけ立設部522から基端側に延出している。
このように構成された連結部52は、側面視において、第1延出部521と立設部522と第2延出部523とで段差状に構成されている(図6(a)参照)。
【0064】
第1音叉端子53は、上方に向けて立設したメイン側基部531と、メイン側基部531の上端において幅方向Wの端部から分岐するように延出するメイン係止片532、532とで一体に構成されている。
【0065】
メイン係止片532,532は、図5(b)に示すように、幅方向Wに所定の間隔を隔てて配置されている。すなわち、メイン係止片532,532の間には開口が設けられている。このメイン係止片532,532の間に設けられた開口の間隔は、メイン側電極71の板厚と略同じ長さで構成されている。
【0066】
サブ側接続導体60は、導電性を有する導電板から形成されたバスバーであり、ヒューズ装着部45に装着するヒューズ70の個数に対応した数(すなわち、本実施形態では2つ)だけ設けられている。
【0067】
このサブ側接続導体60は、図6(a)、図6(d)及び図6(e)に示すように、第2音叉端子61と、コネクタ装着部46の内部に収納された雌型端子32に挿入されるオス型端子62と、第2音叉端子61とオス型端子62とを連結する板状の連結部63とで構成されている。
【0068】
第2音叉端子61は、上方に向けて立設したサブ側基部611と、サブ側基部611の上端において幅方向Wの端部から分岐するように延出するサブ係止片612、612とで一体に構成されている。
【0069】
この第2音叉端子61は、第1音叉端子53と同様の構成をしている。すなわち、サブ係止片612,612は、幅方向Wに所定の間隔を隔てて配置されており、サブ係止片612,612の間には開口が設けられている。このサブ係止片612,612の間に設けられた開口の間隔はサブ側電極72の板厚と略同じ長さで構成されている。
【0070】
オス型端子62は、長手方向Lに沿って延出する接続端子であって、端子挿入部222と接続される端子形状で形成されている。
連結部63は、第2音叉端子61とオス型端子62とを連結した板状体であり、平面視において、第2音叉端子61よりもオス型端子62が幅方向Wの内側に配置されるように折り曲げられているとともに、第2音叉端子61の基端がオス型端子62に対して下方側に配置されるように折り曲げられている。すなわち、サブ側接続導体60は側面視において下方に窪んだ凹状に形成されている。
【0071】
次に、このように構成されたハーネス10に対する分岐接続体30の組み付け方法について、図7に基づいて簡単に説明する。
はじめに、オプション機器Xを設置したい箇所の近傍におけるハーネス10、あるいはオプション機器Xを設置する際に設置しやすい箇所の近傍におけるハーネス10の絶縁被覆12を所定の長さだけ剥いで、メイン導体11を露出させ導体露出部13を形成する。
【0072】
次に、第2収容部44の下方から、ハウジング本体42のメイン側挿通部452及びサブ側挿通部453に第1音叉端子53及び第2音叉端子61をそれぞれ挿通するようにメイン側接続導体50及びサブ側接続導体60を挿入し、メイン側接続導体50及びサブ側接続導体60をハウジング本体42の所定の位置に配置させる。
【0073】
そして、導体露出部13を覆うように下方から第1収容部43をハーネス10に対して組み付けるとともに、上方から第2収容部44をハーネス10に対して組み付け、係止固定部411で第1収容部43と第2収容部44とを係止固定させる。これにより、扁平筐体41は、第1収容部43と第2収容部44とでハーネス10を挟み込んで、導体露出部13を収容することができる。
【0074】
このように、ハーネス10に分岐接続体30が接続された分岐接続体付きハーネス2を設けることができる(図7(a)参照)。この分岐接続体付きハーネス2では、メイン導体当接部51がメイン導体11の外表面と面接触するようにメイン側接続導体50がハウジング本体42に内装されている。
【0075】
ここで、メイン導体当接部51は平面状に構成されているため、メイン導体当接部51とメイン導体11との接触面積を確保することができる。また、導体押圧部443によってメイン導体当接部51が下方に押されているため、メイン導体当接部51が導体露出部13(メイン導体11)に確実に当接させることができる。
【0076】
また、ハウジング本体42に内装されたメイン側接続導体50及びサブ側接続導体60,60は、2つ並んで配置されたヒューズ装着孔451において第1音叉端子53,53と第2音叉端子61,61とがそれぞれ対向するように配置される。これにより、ヒューズ装着孔451に対してヒューズ70を挿入することでメイン側電極71及びサブ側電極72が第1音叉端子53,53と第2音叉端子61,61に挟持される(図7及び図8参照)。
【0077】
このように構成された分岐接続体付きハーネス2に対して、サブ電線20におけるコネクタハウジング23を長手方向Lに沿ってコネクタ挿入口461から挿入する。これにより、端子用開口部232を介してオス型端子62、62が端子挿入部222,222に挿入され、サブ側接続導体60とサブ導体21とが電気的に接続される。
【0078】
このように分岐接続体付きハーネス2に対してサブ電線20を接続した追加回路付きハーネス配索構造1は、図8(b)に示すように、ハーネス10(メイン導体11)を流れる電流Iを、メイン側接続導体50(メイン導体当接部51及び連結部52)を介して2つに分配させることができる。
【0079】
そして、このように分配された電流I1,I2は、第1音叉端子53と第2音叉端子61とを接続するヒューズ70を介して、メイン側接続導体50からサブ側接続導体60に流れ、サブ電線20(オプション機器X)に供給される。
【0080】
このようにバッテリーBからの電源を導通するメイン導体11が絶縁被覆12で被覆されたハーネス10に対して、接続対象であるサブ導体21を接続して分岐する分岐接続体30は、ハウジング40と、メイン側接続導体50と、サブ側接続導体60とが備えられている。ハウジング40は、ハーネス10において長手方向Lの一部の絶縁被覆12が剥がされてメイン導体11が露出する導体露出部13を収容する扁平筐体41、2つの電極を有するヒューズ70を装着するヒューズ装着部45(ヒューズ装着孔451)、並びにサブ導体21を装着して接続するコネクタ装着部46を有している。また、メイン側接続導体50は、メイン導体11に当接するメイン導体当接部51、及びヒューズ装着部45(ヒューズ装着孔451)に装着されるヒューズ70の一方の電極と接続される第1音叉端子53を有する。そして、サブ側接続導体60は、ヒューズ70の他方の電極と接続される第2音叉端子61、及びサブ導体21と接続されるオス型端子62を有する。
【0081】
また分岐接続体付きハーネス2は、車体に配索されるハーネス10と、分岐接続体30とが備えられ、分岐接続体30が、追加回路を構成するサブ導体21をハーネス10のメイン導体11に対して分岐接続する箇所に設けられている。
【0082】
さらにまた分岐接続体付きハーネス2を車体に配索した追加回路付きハーネス配索構造1は、車体に配索されたハーネス10と、追加回路を構成するサブ導体21と、分岐接続体30とが備えられ、分岐接続体30が、サブ導体21をハーネス10のメイン導体11に対して分岐接続する箇所に設けられている。
【0083】
このようなハーネス10における所望の位置に配置した分岐接続体30により、バッテリーBから供給される電源を分岐させることができるため、ハーネス10における所望の位置でオプション機器Xを容易に追加できる。
【0084】
具体的には、ハウジング40において、メイン導体11と当接されているメイン側接続導体50とサブ側接続導体60とをヒューズ70を介して電気的に接続できる。このため、サブ側接続導体60におけるオス型端子62に接続されたサブ導体21に対してメイン導体11からバッテリーBを供給できる。このように簡易な構造でメイン導体11からサブ側接続導体60にバッテリーBからの電源を分岐できるため、ハーネス10におけるオプション機器Xの配置箇所に対応した位置に分岐接続体30を配置し、コネクタ装着部46に接続させたオプション機器Xに対して電源を供給することができる。
【0085】
また、例えばハーネス10が車体に配索された分岐接続体付きハーネス2において、配索されたメイン導体11の任意の箇所に対して分岐接続体30を介してサブ導体21を接続することで、メイン導体11に対してサブ導体21を事後的に分岐させることができる。さらに、外部からサブ導体21を接続しやすい位置に分岐接続体30を配置しておけば、容易に外部から分岐接続体30にオプション機器Xを接続させることができる。
【0086】
このように、ハーネス10からサブ導体21に電源を分岐できる分岐接続体30をハーネス10における所望の位置に配置できるため、メイン導体11における所望の位置でオプション機器Xを容易に追加できる。また、分岐接続体30を所望の位置に配置できるため、例えば車体に搭載するハーネス10の設計の自由度を向上させることができる。
【0087】
さらにまた、オプション機器Xに応じた位置に分岐接続体30を設けることができるため、オプション機器Xと分岐接続体30とを接続するサブ導体21の長さを短くでき、追加回路付きハーネス配索構造1を軽量化できる。
【0088】
また、扁平筐体41は、ハーネス10を挟み込むよう構成された第1収容部43と第2収容部44とを有している。これにより、ハーネス10の下方に配置された第1収容部43とハーネス10の上方に配置された第2収容部44で、ハーネス10を挟み込むように扁平筐体41を組み付け、ハーネス10の導体露出部13を収納することができる。
【0089】
このため、例えばハーネス10を車体に配索するハーネス10として準備した後に、ハーネス10における所望の位置に扁平筐体41を組み付けることができ、ハーネス10における所望の位置に扁平筐体41を効率よく組み付けることができる。
なお、本実施形態において、第1収容部43と第2収容部44とで上下方向Zからハーネス10を挟み込んでいるが、幅方向Wからハーネス10を挟み込む構成としてもよい。
【0090】
また、オプション機器Xを接続する際に、ハーネス10における所望の位置において絶縁被覆12を剥がして扁平筐体41を組み付けることができるため、あらかじめ分岐接続体30を設けていない箇所であっても、後からオプション機器Xを所望の位置に追加することができる。
【0091】
さらにまた、メイン側接続導体50及びサブ側接続導体60は、導電性を有する板状のバスバーで構成されている。これにより、メイン側接続導体50及びサブ側接続導体60の導電性を向上させることができるため、大電流のハーネス10に対応することができる。また、メイン側接続導体50及びサブ側接続導体60を板状のバスバーとすることで、設計の自由度を向上させるとともに、コンパクト化を図ることができる。
【0092】
また、ヒューズ装着部45にヒューズ装着孔451が2つ設けられ、メイン側接続導体50は、ひとつのメイン導体当接部51に対して、ヒューズ装着孔451の設置数に対応して2つの第1音叉端子53を有し、サブ側接続導体60は、ヒューズ装着孔451の設置数に対応して2つ設けられている。
【0093】
これにより、ハーネス10から供給される電流Iを2本のサブ導体21に分配することができ、ハーネス10における所望の位置に2つのオプション機器Xを追加できる。これにより、例えば車体に搭載するハーネス10の設計の自由度をより向上させることができる。
【0094】
また、コネクタ装着部46は、サブ電線20の導体であるサブ導体21の先端に設けられたコネクタハウジング23が装着されるコネクタ装着部46を有し、オス型端子62は、サブ導体21の先端に設けられたコネクタ端子22と接続される端子形状で形成されている。
【0095】
これにより、サブ導体21の先端においてコネクタ端子22が配置されたコネクタハウジング23をコネクタ装着部46に装着することで、サブ導体21とサブ側接続導体60を確実に導通できる。また、2つのコネクタ端子22がコネクタハウジング23に配置されているため、サブ導体21に設けられた接続端子を一括してオス型端子62に装着できる。これにより、メイン導体11とサブ導体21との導通を確実かつ容易に確保できる。
【0096】
さらにまた、コネクタ装着部46は、コネクタハウジング23が長手方向Lに沿う方向に接続される向きで配置されていることにより、長手方向Lと直交する方向に対してコンパクトな分岐接続体30を構成することができる。
【0097】
また、メイン導体当接部51は、メイン導体11の外表面と面接触する面状で構成されていることにより、メイン導体11とメイン側接続導体50との接触面積が確保でき、メイン導体11とメイン側接続導体50との導通性を確保できる。このため、分岐接続体30を介してメイン導体11からサブ導体21に電源を安定して供給できる。
【0098】
また、メイン導体11は、所定幅を有するとともに、断面扁平状となる扁平電線であり、メイン導体当接部51は、メイン導体11の外表面と面接触する平面状で構成されている。
これにより、平面状のメイン導体当接部51がメイン導体11に対して面接触するため、メイン導体11に対してメイン導体当接部51が安定して配置できる。したがって、メイン導体11からサブ導体21にバッテリーBをより安定して供給できるとともに、導通の安定性を向上させることができる。
【0099】
また、ヒューズ装着部45(ヒューズ装着孔451)は、メイン導体11に対して幅方向Wの内側に配置されるとともに、ヒューズ70が長手方向Lに直交する方向且つ幅方向Wに直交する方向から装着される向きで配置されている。
【0100】
これにより、メイン導体11の面と直交する上下方向Zに向けてヒューズ70を装着するため、幅方向Wにヒューズ装着部45が拡幅することを防止でき、幅方向Wに対してコンパクトな分岐接続体30を構成することができる。また、メイン導体11がヒューズ70の装着を阻害することを防止できる。これにより、サイズを小さくしながら、ヒューズ70を容易に装着することができる。
【0101】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、この発明のメイン導体は、メイン導体11に対応し、以下同様に、
絶縁被覆は、絶縁被覆12に対応し、
電源線は、ハーネス10に対応し、
サブ導体は、サブ導体21に対応し、
分岐接続体は、分岐接続体30に対応し、
ハウジングは、ハウジング40に対応し、
メイン側接続導体は、メイン側接続導体50に対応し、
サブ側接続導体は、サブ側接続導体60に対応し、
長手方向は、長手方向Lに対応し、
導体露出部分は、導体露出部13に対応し、
収容部は、扁平筐体41に対応し、
ヒューズ装着部は、ヒューズ装着部45(ヒューズ装着孔451)に対応し、
サブ導体装着部は、コネクタ装着部46に対応し、
メイン導体当接部は、メイン導体当接部51に対応し、
第1ヒューズ接続部は、第1音叉端子53に対応し、
第2ヒューズ接続部は、第2音叉端子61に対応し、
サブ導体接続部は、オス型端子62に対応し、
第1収容体は、第1収容部43に対応し、
第2収容体は、第2収容部44に対応し、
コネクタは、コネクタハウジング23に対応し、
コネクタ装着部は、コネクタ装着部46に対応し、
ハーネスは、ハーネス10に対応し、
ハーネス配索構造は、分岐接続体付きハーネス2に対応し、
追加線は、サブ電線20に対応し、
追加回路付きハーネス配索構造は、追加回路付きハーネス配索構造1に対応するも、この発明は、前述の実施形態に限定されるものではない。
【0102】
例えば、本実施形態においてハーネス10は、断面扁平状のメイン導体11を絶縁被覆12で覆った扁平電線であるが、電線であれば、その種類は限定されない。例えば、メイン導体11が一本の導電線や複数の導電線を束ねた構成の丸電線や、メイン導体11が複数の導電線を束ねて撚り合わせた撚線導体である丸電線でもよい。
【0103】
また、本実施形態において、メイン導体当接部51はメイン導体11の外表面と面接触する平面状で構成されているが、このメイン導体当接部51の形状は、メイン導体11の形状に合わせて変化させてもよい。具体的には、ハーネス10が丸電線である場合には、ハーネス10のメイン導体11の形状に合わせてメイン導体当接部51を断面円弧状としてもよい。
【0104】
また、オス型端子62は、サブ導体21に接続されたコネクタ端子22の他、アース用端子などを接続する接続用端子であってもよい。
【0105】
また、本実施形態において、メイン側接続導体50及びサブ側接続導体60は、板状のバスバーとしている。しかしながら、ヒューズ70を介してハーネス10の電流Iをオス型端子62に分配できればその構成は限定されず、導電性を有する電線などとしてもよい。
【0106】
さらにまた、本実施形態において、ハウジング40が有するコネクタ装着部46は単数としているが、複数設けてもよい。また、コネクタハウジング23に配置されるコネクタ端子22は2つとしているが、1つでもよいし、3つ以上でもよい。さらにまた、コネクタ装着部46とともに、リレーRを含む他の接続体と接続する装着部を併用してもよい。
【0107】
また、本実施形態において、ヒューズ装着部45(ヒューズ装着孔451)は、ヒューズ70が上下方向Zから装着される向きで配置されているがこの構成に限らない。例えば、図9(a)に示す追加回路付きハーネス配索構造1xのように、ヒューズ70が長手方向Lに直交する幅方向Wから装着される向きで配置されてもよい。
【0108】
具体的には、図9(b)に示すように、分岐接続体付きハーネス2xにおける分岐接続体30xは、メイン側接続導体50の代わりにメイン側接続導体50xを備え、サブ側接続導体60の代わりである第1サブ側接続導体60xを備えている。
【0109】
メイン側接続導体50xは、第1音叉端子53がメイン導体当接部51の幅方向Wの一方側端面から突出するように構成されている。また第1サブ側接続導体60xは、長手方向Lに沿ったオス型端子62と幅方向Wに沿った第2音叉端子61とを連結する平面視略L字状の連結部63xを備えている。
【0110】
またハウジング40に対応するハウジング40xは、コネクタ装着部46が長手方向Lに沿うとともに、ヒューズ装着部45xが幅方向Wの一方側に突出した平面視略L字状に構成され、ヒューズ装着部45xには、ヒューズ70を幅方向Wに沿って挿入するヒューズ装着孔451xが、長手方向Lに沿って2つ配置されている。
【0111】
これにより、メイン導体11の幅方向Wに沿ってヒューズ70を装着するため、メイン導体11の面と直交する方向にヒューズ装着部45xが拡幅することを防止でき、長手方向L及び幅方向Wに直交する方向に対してコンパクトな分岐接続体30を構成することができる。また、メイン導体11がヒューズ70の装着を阻害することを防止できる。これにより、サイズを小さくしながら、ヒューズ70を容易に装着することができる。
【0112】
加えて、本実施形態において、コネクタ装着部46は、コネクタハウジング23を装着する構成としたが、必ずしもこの構成である必要はない。例えば、図10に示す追加回路付きハーネス配索構造1yの模式図のように、分岐接続体30yを構成するハウジング40y(ハウジング40の代わりとなる)は、コネクタ装着部46の代わりにリレーRを装着するリレー装着部46yを有し、サブ側接続導体60の代わりに、第2音叉端子61及びリレーRの制御側接点と接続される制御側接続部62yを有する第1サブ側接続導体60yと、リレーRの稼働側接点と接続される稼働側接続部61z及びアース回路Gに接続されるアース接続部62zを有する第2サブ側接続導体60zとが備えられてもよい。
【0113】
これにより、サブ導体21に接続されているオプション機器Xを、リレー装着部46zに装着されたリレーRを用いて制御できる。このため、目的に応じた様々なオプション機器Xをハーネス10における所望の位置に追加できるとともに、車体に搭載するハーネス10の設計の自由度をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0114】
1、1x、1y 追加回路付きハーネス配索構造
2、2x 分岐接続体付きハーネス
10 ハーネス
11 メイン導体
12 絶縁被覆
13 導体露出部
20 サブ電線
21 サブ導体
23 コネクタハウジング
30 分岐接続体
40,40x、40y ハウジング
41 扁平筐体
43 第1収容部
44 第2収容部
45 ヒューズ装着部
46 コネクタ装着部
46z リレー装着部
50,50x メイン側接続導体
51 メイン導体当接部
53 第1音叉端子
60 サブ側接続導体
61 第2音叉端子
60y 第1サブ側接続導体
60z サブ側接続導体
61z 稼働側接続部
62 オス型端子
62y 制御側接続部
62z アース接続部
B バッテリー
G アース回路
R リレー
L 長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10