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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107988
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20220715BHJP
   B23K 26/03 20060101ALI20220715BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20220715BHJP
   B24B 47/22 20060101ALI20220715BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20220715BHJP
   B23K 26/364 20140101ALN20220715BHJP
   B23K 26/53 20140101ALN20220715BHJP
【FI】
H01L21/78 C
H01L21/78 L
B23K26/03
B24B27/06 M
B24B47/22
B24B49/12
B23K26/364
B23K26/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002742
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】森數 洋司
(72)【発明者】
【氏名】三村 純也
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
4E168
5F063
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034BB73
3C034BB93
3C034CA02
3C034CA22
3C034CB01
3C034DD10
3C158AA03
3C158AA13
3C158AB03
3C158AB04
3C158AC02
3C158BA07
3C158CB03
3C158CB04
3C158DA17
4E168AD01
4E168AE02
4E168CA06
4E168CB07
4E168CB24
4E168DA24
4E168DA43
4E168HA02
4E168JA01
4E168JA12
4E168JA13
4E168JA15
4E168JA17
5F063AA48
5F063CA04
5F063CA06
5F063DE01
5F063DE12
5F063DE33
(57)【要約】
【課題】画像に写る被加工物内の加工が施された領域と、この領域の加工に適用された加工条件と、の関係を簡単且つ確実に確認できる加工装置を提供する。
【解決手段】加工装置の制御ユニットは、被加工物内の加工ユニットによる加工が施される領域を示す座標を記憶する座標記憶部と、加工ユニットが被加工物に加工を施す際に適用され得る加工条件を記憶する加工条件記憶部と、座標記憶部に記憶された座標が示す被加工物内の領域と、加工条件記憶部に記憶され加工ユニットが領域を加工する際に適用される加工条件と、を紐付ける紐付け情報を生成する紐付け情報生成部と、紐付け情報を記憶する紐付け情報記憶部と、入力ユニットを用いて指定された領域と、紐付け情報記憶部に記憶された紐付け情報と、に基づき、指定された領域に紐付けられた加工条件を表示ユニットに表示させる加工条件表示部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置であって、
被加工物を保持するチャックテーブルと、
該チャックテーブルに保持された該被加工物に加工を施す加工ユニットと、
該チャックテーブルに保持された該被加工物を撮影して該被加工物の写った画像を生成するカメラと、
該カメラが生成した該画像を表示する表示ユニットと、
該表示ユニットに表示された該画像に写る該被加工物内の領域を指定する際に用いられる入力ユニットと、
制御ユニットと、を含み、
該制御ユニットは、
該被加工物内の該加工ユニットによる加工が施される領域を示す座標を記憶する座標記憶部と、
該加工ユニットが該被加工物に加工を施す際に適用され得る加工条件を記憶する加工条件記憶部と、
該座標記憶部に記憶された座標が示す該被加工物内の領域と、該加工条件記憶部に記憶され該加工ユニットが該領域を加工する際に適用される加工条件と、を紐付ける紐付け情報を生成する紐付け情報生成部と、
該紐付け情報を記憶する紐付け情報記憶部と、
該入力ユニットを用いて指定された該領域と、該紐付け情報記憶部に記憶された該紐付け情報と、に基づき、該指定された該領域に紐付けられた加工条件を該表示ユニットに表示させる加工条件表示部と、を有する加工装置。
【請求項2】
該制御ユニットは、該領域を指し示すマークを該画像に重ねて該表示ユニットに表示させるマーク表示部を更に含む請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
該座標記憶部には、複数の該領域が記憶され、
該マーク表示部は、該複数の該領域のそれぞれを区別できる態様で指し示す複数の該マークを該画像に重ねて該表示ユニットに表示させる請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
該加工条件表示部は、複数の該領域を指し示す複数の該マークと、複数の該領域のそれぞれに紐付けられた加工条件と、の関係を示すリストを該表示ユニットに表示させる請求項3に記載の加工装置。
【請求項5】
該入力ユニットを用いて該リスト内の該マークが指定された場合に、該制御ユニットは、該マークが指し示す該領域を拡大した画像が生成されるように該チャックテーブルに保持された該被加工物を該カメラに撮影させる請求項4に記載の加工装置。
【請求項6】
該制御ユニットは、該領域が拡大された画像と、該領域に紐付けられた加工条件と、を対応させたレポート情報を生成する請求項5に記載の加工装置。
【請求項7】
外部記憶装置が接続されるポートを更に含み、
該制御ユニットは、該ポートに接続された該外部記憶装置に該レポート情報を記憶させる請求項6に記載の加工装置。
【請求項8】
該加工ユニットは、該被加工物に照射されるレーザービームを生成するレーザー発振器を有し、
該被加工物内の該加工ユニットによる加工が施された領域には、該レーザービームによる加工痕が形成される請求項1から請求項7のいずれかに記載の加工装置。
【請求項9】
該加工ユニットは、環状の切削ブレードが装着されるスピンドルを有し、
該被加工物内の該加工ユニットによる加工が施された領域には、該切削ブレードによる加工痕が形成される請求項1から請求項7のいずれかに記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハのような板状の被加工物を加工する際に使用される加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やパーソナルコンピュータに代表される電子機器では、各種の機能を持つデバイスを備えたデバイスチップが必須の構成要素になっている。デバイスチップは、例えば、シリコンやサファイア等の材料でなるウェーハの表面を分割予定ライン(ストリート)で複数の領域に区画し、各領域にデバイスを形成した上で、この分割予定ラインに沿ってウェーハを分割することにより得られる。
【0003】
ウェーハのような板状の被加工物を複数のチップへと分割する際には、例えば、環状の切削ブレードが装着されるスピンドルを備えた切削装置や、被加工物に吸収される波長のレーザービームを生成できるレーザー発振器を備えたレーザー加工装置等が使用される。切削ブレードを高速に回転させて被加工物に切り込ませたり、レーザー発振器で生成されたレーザービームを被加工物に照射したりすることで、被加工物が加工される。
【0004】
切削装置やレーザー加工装置等の加工装置には、通常、被加工物を撮影して画像を生成できるカメラが設けられている(例えば、特許文献1参照)。例えば、被加工物に適した加工条件を選定する際には、評価用の被加工物を任意の加工条件で加工した後にカメラで撮影し、得られた画像に写る加工痕等の状態に基づき、適用された加工条件を評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-197702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のような加工条件の選定時には、評価用の1枚の被加工物を複数の異なる加工条件で加工することが多い。この場合には、加工条件が異なる複数の加工痕が1枚の被加工物に形成されるので、オペレーターは、被加工物に形成された加工痕と、適用された加工条件と、の関係を適切に記録しておく必要がある。つまり、この方法では、オペレーターに要求される作業が煩雑になり、人為的なミスも発生し易かった。
【0007】
よって、本発明の目的は、画像に写る被加工物内の加工が施された領域と、この領域の加工に適用された加工条件と、の関係を簡単且つ確実に確認できる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば、加工装置であって、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該被加工物に加工を施す加工ユニットと、該チャックテーブルに保持された該被加工物を撮影して該被加工物の写った画像を生成するカメラと、該カメラが生成した該画像を表示する表示ユニットと、該表示ユニットに表示された該画像に写る該被加工物内の領域を指定する際に用いられる入力ユニットと、制御ユニットと、を含み、該制御ユニットは、該被加工物内の該加工ユニットによる加工が施される領域を示す座標を記憶する座標記憶部と、該加工ユニットが該被加工物に加工を施す際に適用され得る加工条件を記憶する加工条件記憶部と、該座標記憶部に記憶された座標が示す該被加工物内の領域と、該加工条件記憶部に記憶され該加工ユニットが該領域を加工する際に適用される加工条件と、を紐付ける紐付け情報を生成する紐付け情報生成部と、該紐付け情報を記憶する紐付け情報記憶部と、該入力ユニットを用いて指定された該領域と、該紐付け情報記憶部に記憶された該紐付け情報と、に基づき、該指定された該領域に紐付けられた加工条件を該表示ユニットに表示させる加工条件表示部と、を有する加工装置が提供される。
【0009】
本発明の一側面において、該制御ユニットは、該領域を指し示すマークを該画像に重ねて該表示ユニットに表示させるマーク表示部を更に含んでも良い。また、該座標記憶部には、複数の該領域が記憶され、該マーク表示部は、該複数の該領域のそれぞれを区別できる態様で指し示す複数の該マークを該画像に重ねて該表示ユニットに表示させても良い。
【0010】
また、該加工条件表示部は、複数の該領域を指し示す複数の該マークと、複数の該領域のそれぞれに紐付けられた加工条件と、の関係を示すリストを該表示ユニットに表示させても良い。また、該入力ユニットを用いて該リスト内の該マークが指定された場合に、該制御ユニットは、該マークが指し示す該領域を拡大した画像が生成されるように該チャックテーブルに保持された該被加工物を該カメラに撮影させても良い。
【0011】
また、該制御ユニットは、該領域が拡大された画像と、該領域に紐付けられた加工条件と、を対応させたレポート情報を生成しても良い。また、外部記憶装置が接続されるポートを更に含み、該制御ユニットは、該ポートに接続された該外部記憶装置に該レポート情報を記憶させても良い。
【0012】
本発明の一側面において、該加工ユニットは、該被加工物に照射されるレーザービームを生成するレーザー発振器を有し、該被加工物内の該加工ユニットによる加工が施された領域には、該レーザービームによる加工痕が形成されることがある。
【0013】
また、本発明の一側面において、該加工ユニットは、環状の切削ブレードが装着されるスピンドルを有し、該被加工物内の該加工ユニットによる加工が施された領域には、該切削ブレードによる加工痕が形成されることがある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面にかかる加工装置は、被加工物内の加工ユニットによる加工が施される領域を示す座標を記憶する座標記憶部と、加工ユニットが被加工物に加工を施す際に適用され得る加工条件を記憶する加工条件記憶部と、座標記憶部に記憶された座標が示す被加工物内の領域と、加工条件記憶部に記憶され加工ユニットがこの領域を加工する際に適用される加工条件と、を紐付ける紐付け情報を生成する紐付け情報生成部と、紐付け情報を記憶する紐付け情報記憶部と、を有する制御ユニットを含むので、オペレーターは、被加工物内の加工が施された領域と、この加工に適用された加工条件と、の関係を記録する必要がない。
【0015】
また、この制御ユニットは、入力ユニットを用いて指定された領域と、紐付け情報記憶部に記憶された紐付け情報と、に基づき、指定された領域に紐付けられた加工条件を表示ユニットに表示させる加工条件表示部を有するので、入力ユニットを用いて被加工物内の加工が施された領域を指定するだけで、被加工物内の加工が施された領域と、この加工に適用された加工条件と、の関係を確認できる。このように、本発明の一側面にかかる加工装置によれば、画像に写る被加工物内の加工が施された領域と、この加工に適用された加工条件と、の関係を簡単且つ確実に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、レーザー加工装置を示す斜視図である。
図2図2は、レーザー加工装置の内部でレーザービームが進行する様子を示す模式図である。
図3図3は、制御ユニットの機能的な構造の一部を示す機能ブロック図である。
図4図4は、加工条件記憶部に記憶される加工条件の例を示すテーブルである。
図5図5は、座標記憶部に記憶される座標の例を示すテーブルである。
図6図6は、紐付け情報記憶部に記憶される紐付け情報の例を示すテーブルである。
図7図7は、加工後の被加工物の一部の例を示す平面図である。
図8図8は、生成された画像の例を模式的に示す図である。
図9図9は、タッチスクリーンに表示された画像及びマークの例を模式的に示す図である。
図10図10は、タッチスクリーンに表示された画像、マーク、及び加工条件の例を模式的に示す図である。
図11図11は、タッチスクリーンに表示された画像及び2つのマークの例を模式的に示す図である。
図12図12は、タッチスクリーンに表示された画像、2つのマーク、及び加工条件の例を模式的に示す図である。
図13図13は、タッチスクリーンに表示された画像及び複数のマークの例を模式的に示す図である。
図14図14は、タッチスクリーンに表示された画像、複数のマーク、及びリストの例を模式的に示す図である。
図15図15は、リスト内のマークが指定された場合に生成される画像の例を模式的に示す図である。
図16図16は、レポート情報の例を模式的に示す図である。
図17図17は、外部記憶装置を接続できるように構成されたレーザー加工装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかるレーザー加工装置(加工装置)2を示す斜視図である。図1では、レーザー加工装置2の一部の要素が機能ブロックで示されている。また、このレーザー加工装置2の説明に用いられるX軸方向(加工送り方向)、Y軸方向(割り出し送り方向)、及びZ軸方向(鉛直方向)は、互いに垂直である。
【0018】
図1に示すように、レーザー加工装置2は、このレーザー加工装置2を構成する種々の要素を支持する基台4を備えている。基台4の上面には、水平移動機構(加工送り機構、割り出し送り機構)6が配置されている。水平移動機構6は、基台4の上面に固定されY軸方向に対して概ね平行な方向に長い一対のY軸ガイドレール8を備えている。Y軸ガイドレール8には、Y軸移動プレート10がY軸方向に沿ってスライドできる態様で取り付けられている。
【0019】
Y軸移動プレート10の下面側には、ボールネジを構成するナット(不図示)が設けられている。このナットには、Y軸ガイドレール8の長手方向に対して概ね平行な方向に長いネジ軸12が回転できる態様で連結されている。ネジ軸12の一端部には、Y軸パルスモーター14が接続されている。Y軸パルスモーター14でネジ軸12を回転させれば、Y軸移動プレート10は、Y軸ガイドレール8の長手方向に沿ってY軸方向に移動する。
【0020】
Y軸移動プレート10の上面には、X軸方向に対して概ね平行な方向に長い一対のX軸ガイドレール16が設けられている。X軸ガイドレール16には、X軸移動プレート18がX軸方向に沿ってスライドできる態様で取り付けられている。X軸移動プレート18の下面側には、ボールネジを構成するナット(不図示)が設けられている。
【0021】
このナットには、X軸ガイドレール16の長手方向に対して概ね平行な方向に長いネジ軸20が回転できる態様で連結されている。ネジ軸20の一端部には、X軸パルスモーター22が接続されている。X軸パルスモーター22でネジ軸20を回転させれば、X軸移動プレート18は、X軸ガイドレール16の長手方向に沿ってX軸方向に移動する。
【0022】
X軸移動プレート18の上面側には、円柱状のテーブル基台24が配置されている。また、テーブル基台24の上部には、被加工物11の保持に使用されるチャックテーブル26が配置されている。テーブル基台24の下部には、モーター等の回転駆動源(不図示)が接続されている。
【0023】
この回転駆動源から発生する力によって、チャックテーブル26は、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、テーブル基台24及びチャックテーブル26は、上述した水平移動機構6によって、X軸方向及びY軸方向に移動する(加工送り、割り出し送り)。
【0024】
被加工物11は、例えば、シリコンやサファイア等の材料でなる円盤状のウェーハである。この被加工物11の表面(図1では上面)側は、互いに交差する複数のストリート(分割予定ライン)によって複数の小領域に区画されており、各小領域には、IC(Integrated Circuit)やLED(Light Emitting Diode)等のデバイスが形成されている。
【0025】
被加工物11の裏面(図1では下面)側には、例えば、被加工物11よりも径の大きいテープ(ダイシングテープ)13が貼付される。また、テープ13の外周部分は、環状のフレーム15に固定される。このように、本実施形態では、テープ13を介してフレーム15に支持された状態で被加工物11が加工される。
【0026】
なお、本実施形態では、シリコンやサファイア等の材料でなる円盤状のウェーハを被加工物11としているが、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、他のセラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板等を被加工物11として用いることもできる。
【0027】
同様に、被加工物11に形成されるデバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。例えば、加工条件の選定に使用される評価用の被加工物11等には、デバイスが形成されていないこともある。また、被加工物11は、表面側にテープ13が貼付されている状態や、表面側及び裏面側にテープ13が貼付されていない状態、フレーム15に支持されていない状態等でも加工され得る。
【0028】
チャックテーブル26の上面の一部は、例えば、多孔質材で形成されており、テープ13(テープ13が貼付されない場合には被加工物11)と接触して被加工物11を保持する保持面26aとして機能する。この保持面26aは、X軸方向及びY軸方向に対して概ね平行である。
【0029】
また、保持面26aは、チャックテーブル26の内部に設けられた流路(不図示)等を介して真空ポンプ等の吸引源(不図示)に接続されている。そのため、被加工物11を保持面26aに載せて吸引源の負圧を作用させれば、被加工物11は、保持面26aにより保持される。チャックテーブル26の周囲には、被加工物11を支持する環状のフレーム15を固定できる4個のクランプ28が設けられている。
【0030】
水平移動機構6のY軸方向の一方側の領域には、X軸方向に対して概ね垂直な側面を持つ支持構造30が設けられている。この支持構造30の側面には、鉛直移動機構(高さ調整機構)32が配置されている。鉛直移動機構32は、支持構造30の側面に固定されZ軸方向に対して概ね平行な方向に長い一対のZ軸ガイドレール34を備えている。Z軸ガイドレール34には、Z軸移動プレート36がZ軸方向に沿ってスライドできる態様で取り付けられている。
【0031】
Z軸移動プレート36の裏面側(Z軸ガイドレール34側)には、ボールネジを構成するナット(不図示)が設けられている。このナットには、Z軸ガイドレール34の長手方向に対して概ね平行な方向に長いネジ軸(不図示)が回転できる態様で連結されている。ネジ軸の一端部には、Z軸パルスモーター38が接続されている。Z軸パルスモーター38でネジ軸を回転させれば、Z軸移動プレート36は、Z軸ガイドレール34の長手方向に沿ってZ軸方向に移動する。
【0032】
Z軸移動プレート36の表面側には、支持具40が固定されており、この支持具40には、チャックテーブル26に保持された被加工物11に対して加工を施すことができるレーザー照射ユニット(加工ユニット)42の一部が支持されている。図2は、レーザー加工装置2の内部でレーザービーム21が進行する様子を示す模式図である。
【0033】
図1及び図2に示すように、レーザー照射ユニット42は、例えば、基台4に固定されたレーザー発振器44と、支持具40に支持されY軸方向に長い筒状のハウジング46と、ハウジング46の端部(Y軸方向の他方側の端部)に設けられた照射ヘッド48と、を含む。
【0034】
レーザー発振器44は、例えば、レーザー発振に適したNd:YAG等のレーザー媒質を備えており、被加工物11の加工に使用されるレーザービーム21を生成して、ハウジング46側のミラー46aに放射する。本実施形態では、このレーザー発振器44によって、被加工物11に吸収される波長のパルスレーザービームが生成される。
【0035】
ただし、レーザー発振器44は、被加工物11を透過する波長のパルスレーザービームを生成できるように構成されても良い。なお、被加工物11に吸収される波長のレーザービームは、被加工物11のアブレーション加工等に適しており、被加工物11を透過する波長のレーザービームは、被加工物11を多光子吸収等によって改質する加工に適している。
【0036】
ハウジング46は、レーザー照射ユニット42を構成する光学系の一部を収容し、レーザー発振器44から放射されミラー46aで反射されたレーザービーム21を照射ヘッド48へと導く。本実施形態では、図2に示すように、レーザービーム21を照射ヘッド48側へと反射するミラー46bがハウジング46に収容されている。なお、ミラー46aとミラー46bとの双方がハウジング46に収容されても良い。
【0037】
照射ヘッド48には、レーザー照射ユニット42を構成する光学系の別の一部が収容されている。例えば、この照射ヘッド48は、ハウジング46から導かれるレーザービーム21の進路をミラー48a等で下向きに変え、下方に配置されたレンズ48bでチャックテーブル26側の所定の高さの位置に集光する。レンズ48bは、代表的には、凸レンズである。
【0038】
図1に示すように、照射ヘッド48のX軸方向の一方側の領域には、ハウジング46に固定されたカメラ(撮影ユニット)50が配置されている。カメラ50は、例えば、可視光に感度を持つCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の2次元光センサーを含み、チャックテーブル26に保持された被加工物11(被加工物11の上面等)を撮影して、この被加工物11が写った画像を生成する。
【0039】
レーザー照射ユニット42のハウジング46及び照射ヘッド48は、上述したカメラ50とともに、鉛直移動機構32によってZ軸方向に移動する。つまり、鉛直移動機構32は、照射ヘッド48に設けられるミラー48aやレンズ48b等の要素を、チャックテーブル26の保持面26aに対して概ね垂直な方向に移動させる。
【0040】
なお、本実施形態では、レーザー発振器44が基台4に固定されている場合を例に挙げたが、レーザー発振器44は、ハウジング46等とともに鉛直移動機構32によってZ軸方向に移動できるように構成されても良い。また、レンズ48bのみを独立してZ軸方向に移動させることができるように、照射ヘッド48にアクチュエーター等が設けられても良い。
【0041】
基台4の上部は、各要素を収容できるカバー(不図示)によって覆われている。このカバーの側面には、ユーザーインターフェースとなるタッチスクリーン(表示ユニット、入力ユニット)52が配置されている。タッチスクリーン52には、例えば、カメラ50によって生成された画像が表示される。
【0042】
また、例えば、被加工物11を加工する際に適用される加工条件等は、このタッチスクリーン52を用いて入力され、又は選択される。更に、タッチスクリーン52は、後述するように、画像に写る被加工物11内の領域を指定する際にも用いられる。なお、表示ユニットと入力ユニットとが一体になったタッチスクリーン52の代わりに、液晶ディスプレイ等の表示ユニットと、キーボードやマウス等の入力ユニットと、をそれぞれ設けても良い。
【0043】
水平移動機構6、鉛直移動機構32、レーザー照射ユニット42、カメラ50、タッチスクリーン52等の要素は、それぞれ、制御ユニット54に接続されている。制御ユニット54は、例えば、処理装置と、記憶装置と、を含むコンピュータによって構成され、被加工物11の加工に必要な一連の工程に合わせて、上述した各要素を制御する。
【0044】
処理装置は、代表的には、CPU(Central Processing Unit)であり、上述した要素を制御するために必要な種々の処理を行う。記憶装置は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含む。この制御ユニット54の機能は、例えば、記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置が動作することによって実現される。ただし、制御ユニット54の機能は、ハードウェアのみによって実現されても良い。
【0045】
次に、本実施形態にかかる制御ユニット54の機能的な構造の一部を、レーザー加工装置2の動作とともに説明する。図3は、制御ユニット54の機能的な構造の一部を示す機能ブロック図である。なお、この図3には、制御ユニット54の外部の一部の要素が併せて示されている。
【0046】
図3に示すように、制御ユニット54は、被加工物11に対してレーザー照射ユニット42による加工を施す際に適用され得る1以上の加工条件を記憶できる加工条件記憶部54aを含んでいる。例えば、オペレーターがタッチスクリーン52等を用いて制御ユニット54に加工条件を入力すると、この加工条件が加工条件記憶部54aに記憶される。
【0047】
なお、加工条件記憶部54aに1以上の加工条件が記憶された状態では、オペレーターがタッチスクリーン52等を用いて任意の加工条件を選択することにより、対象の加工条件を再び適用して被加工物11を加工することができる。図4は、加工条件記憶部54aに記憶される加工条件の例を示すテーブルである。
【0048】
なお、加工条件に含まれるパラメーターとしては、図4に示されているレーザービーム21の出力、レーザービーム21の繰り返し周波数、レーザービーム21のデフォーカスの他に、レーザービーム21のショット数、チャックテーブル26の送り速度、加工するラインの数、加工するラインの間隔(ピッチ)等がある。ただし、加工条件に含まれるパラメーターの種類や数等に制限はない。
【0049】
また、制御ユニット54は、レーザー照射ユニット42による加工が施される領域(被加工物11内の領域)の座標を記憶する座標記憶部54bを含んでいる。例えば、オペレーターが加工条件を入力(又は選択)し、その後、タッチスクリーン52等を用いて加工を開始する領域の座標を制御ユニット54に入力すると、制御ユニット54は、この加工条件と、入力された座標と、に基づき、加工が施される領域を示す座標を算出し、座標記憶部54bに記憶する。
【0050】
より具体的には、例えば、制御ユニット54は、加工が施される領域を矩形状の領域とみなし、その4隅の座標を算出して、座標記憶部54bに記憶する。また、例えば、互いに離れた複数の領域(代表的には、複数のライン)に加工を施す場合には、制御ユニット54は、全ての領域に対応する座標を算出し、座標記憶部54bに記憶する。
【0051】
図5は、座標記憶部54bに記憶される座標の例を示すテーブルである。なお、図5では、図4のテーブルに含まれる加工条件1で加工される領域1と、図4のテーブルに含まれる加工条件2で加工される領域2と、を示す複数の座標を含んだテーブルが示されている。領域1は、互いに離れた2つの領域(領域1A及び領域1B)によって構成されている。
【0052】
更に、制御ユニット54は、座標記憶部54bに記憶された座標が示す領域と、加工条件記憶部54aに記憶されレーザー照射ユニット42がこの領域を加工する際に適用される加工条件と、を紐付ける紐付け情報を生成する紐付け情報生成部54cを含んでいる。例えば、適用される加工条件が入力(又は選択)され、加工が施される領域を示す座標が座標記憶部54bに記憶されると、紐付け情報生成部54cは、この加工条件と領域とを紐付ける紐付け情報を生成する。
【0053】
紐付け情報は、例えば、座標記憶部54bに記憶された座標が示す領域を指定することによって、制御ユニット54が、指定された領域の加工に適用された加工条件を加工条件記憶部54aから読み出せるように構成される。制御ユニット54は、紐付け情報記憶部54dを含んでおり、紐付け情報生成部54cで生成された紐付け情報は、紐付け情報記憶部54dに記憶される。
【0054】
図6は、紐付け情報記憶部54dに記憶される紐付け情報の例を示すテーブルである。図6のテーブル(紐付け情報)により、領域1に対して加工条件1が、領域2に対して加工条件2が、それぞれ紐付けられる。
【0055】
上述の処理と並列に、又は、上述の処理と前後して、被加工物11に加工が施される。例えば、加工条件と、加工を開始する領域の座標と、が入力されると、制御ユニット54は、これらに基づき、水平移動機構6、鉛直移動機構32、レーザー照射ユニット42等の動作を制御して、チャックテーブル26に保持された被加工物11を加工する。
【0056】
本実施形態では、被加工物11内のレーザー照射ユニット42による加工(アブレーション加工)が施された領域に、レーザービーム21による加工痕11aが形成される。図7は、加工後の被加工物11の一部の例を示す平面図である。なお、この図7には、上述した加工条件1で領域1(つまり、互いに離れた2つの領域1A及び領域1B)が加工された場合の被加工物11が示されている。
【0057】
被加工物11の加工が完了すると、制御ユニット54は、水平移動機構6、鉛直移動機構32、カメラ50等の動作を制御して、チャックテーブル26に保持された被加工物11を撮影する。具体的には、制御ユニット54は、被加工物11内のレーザー照射ユニット42による加工が施された領域をカメラ50で撮影し、加工痕11aが写った画像を生成する。図8は、生成された画像23aの例を模式的に示す図である。
【0058】
カメラ50により生成された画像23aは、例えば、制御ユニット54内の画像記憶部54eに記憶される。画像記憶部54eに記憶された画像23aは、必要に応じて制御ユニット54により読み出され、タッチスクリーン52に表示される。なお、制御ユニット54は、画像23a内の領域を指し示すピン等のマークをタッチスクリーン52に表示できるマーク表示部54fを含んでいる。
【0059】
制御ユニット54にとって、チャックテーブル26、レーザー照射ユニット42、カメラ50等の位置の関係は既知である。つまり、制御ユニット54は、座標記憶部54bに記憶された座標と、カメラ50によって生成された画像23a内の位置と、の関係を把握している。マーク表示部54fは、この関係に基づいて、座標記憶部54bに記憶された座標が示す領域(つまり、加工が施された領域)を画像23a内で指し示すように、マークを画像23aに重ねて表示する。
【0060】
図9は、タッチスクリーン52に表示された画像23a及びマーク25aの例を模式的に示す図である。なお、図9のマーク25aは、加工痕11aが形成された領域1を指し示している。また、マーク25aは、タッチスクリーン52を用いてオペレーターが選択できるように表示されている。例えば、オペレーターが、タッチスクリーン52のマーク25aが表示された部分に触れてマーク25aを選択することで、このマーク25aが指し示す領域1(つまり、加工痕11aが形成された領域1)が指定される。
【0061】
制御ユニット54は、タッチスクリーン52を用いて指定された領域と、紐付け情報記憶部54dに記憶された紐付け情報と、に基づき、指定された領域に紐付けられている加工条件をタッチスクリーン52に表示させる加工条件表示部54gを更に含んでいる。具体的には、加工条件表示部54gは、紐付け情報記憶部54dに記憶された紐付け情報を参照し、指定された領域に紐付けられている加工条件を加工条件記憶部54aから読みだした上で、これを画像23a等に重ねてタッチスクリーン52に表示させる。
【0062】
そのため、例えば、オペレーターがタッチスクリーン52を用いてマーク25aを選択し、このマーク25aが指し示す領域1を指定すると、タッチスクリーン52には、指定された領域1を加工する際(つまり、加工痕11aを形成する際)に適用された加工条件1が表示される。
【0063】
図10は、タッチスクリーン52に表示された画像23a、マーク25a、及び加工条件1の例を模式的に示す図である。なお、加工条件1を表示するための表示欄27aの態様に制限はない。例えば、表示欄27aは、これに重なる画像23aやマーク25aを視認できる態様、代表的には、半透明状に表示されても良い。また、表示欄27aの大きさや形状等も、任意に設定され得る。
【0064】
図11は、タッチスクリーン52に表示された画像23b、マーク25a、及びマーク25bの例を模式的に示す図である。マーク25aは、加工条件1による加工痕11aが形成された領域1を指し示しており、マーク25bは、別の加工条件2による加工痕11bが形成された領域2を指し示している。すなわち、図11の画像23bは、領域1及び領域2に対して加工が施された後に生成されたものである。
【0065】
例えば、オペレーターがタッチスクリーン52を用いてマーク25bを選択し、このマーク25bが指し示す領域2を指定すると、タッチスクリーン52には、指定された領域2を加工する際(つまり、加工痕11bを形成する際)に適用された加工条件2が表示される。
【0066】
図12は、タッチスクリーン52に表示された画像23b、マーク25a、マーク25b、及び加工条件2の例を模式的に示す図である。なお、加工条件2は、上述した表示欄27aと同様の表示欄27bに表示される。また、図11の状態でマーク25aが選択された場合には、図10のように、指定された領域1を加工する際に適用された加工条件1がタッチスクリーン52に表示される。
【0067】
以上のように、本実施形態にかかるレーザー加工装置(加工装置)2は、被加工物11内のレーザー照射ユニット(加工ユニット)42による加工が施される領域を示す座標を記憶する座標記憶部54bと、レーザー照射ユニット42が被加工物11に加工を施す際に適用され得る加工条件を記憶する加工条件記憶部54aと、座標記憶部54bに記憶された座標が示す被加工物11内の領域と、加工条件記憶部54aに記憶されレーザー照射ユニット42がこの領域を加工する際に適用される加工条件と、を紐付ける紐付け情報を生成する紐付け情報生成部54cと、紐付け情報を記憶する紐付け情報記憶部54dと、を有する制御ユニット54を含むので、オペレーターは、被加工物11内の加工が施された領域と、この加工に適用された加工条件と、の関係を記録する必要がない。
【0068】
また、この制御ユニット54は、タッチスクリーン(入力ユニット)52を用いて指定された領域と、紐付け情報記憶部54dに記憶された紐付け情報と、に基づき、指定された領域に紐付けられた加工条件をタッチスクリーン(表示ユニット)52に表示させる加工条件表示部54gを有するので、タッチスクリーン52を用いて被加工物11内の加工が施された領域を指定するだけで、被加工物11内の加工が施された領域と、この加工に適用された加工条件と、の関係を確認できる。このように、本実施形態にかかるレーザー加工装置2によれば、画像に写る被加工物11内の加工が施された領域と、この加工に適用された加工条件と、の関係を簡単且つ確実に確認できる。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。レーザー加工装置(加工装置)2は、更に複数の機能を備えていても良い。例えば、ある加工条件(図5の加工条件1)で加工される領域(図5の領域1)が、互いに離れた複数の領域(図5の領域1A及び領域1B)によって構成されている場合には、マーク表示部54fは、互いに離れた複数の領域のそれぞれを区別できる態様で指し示す複数のマークを画像に重ねてタッチスクリーン(表示ユニット)52に表示させても良い。
【0070】
図13は、タッチスクリーン52に表示された画像23b、マーク25a-1、マーク25a-2、マーク25bの例を模式的に示す図である。図13に示すように、マーク25a-1は、加工痕11a-1が形成された領域1Aを指し示しており、マーク25a-2は、加工痕11a-2が形成された領域1Bを指し示しており、マーク25bは、加工痕11bが形成された領域2を指し示している。
【0071】
また、加工条件表示部54gは、複数の領域を指し示す複数のマークと、複数の領域のそれぞれに紐付けられた加工条件と、の関係を示すリストをタッチスクリーン(表示ユニット)52に表示させても良い。図14は、タッチスクリーン52に表示された画像23b、マーク25a-1、マーク25a-2、マーク25b、及びリストの例を模式的に示す図である。
【0072】
表示欄27cには、領域1A、領域1B、及び領域2のそれぞれを指し示すマーク25a-1、マーク25a-2、及びマーク25bと、領域1A(領域1)、領域1B(領域1)、及び領域2のそれぞれに紐付けられた加工条件1、及び加工条件2と、の関係を示すリストが表示されている。このようなリストをタッチスクリーン52に表示させることで、領域又は条件の比較や確認の作業が容易になる。
【0073】
なお、加工条件表示部54gは、複数の領域の全てを指し示す複数のマークと、複数の領域のそれぞれに紐付けられた加工条件と、の関係を示すリストをタッチスクリーン52に表示させることが望ましい。複数の領域の全てをリストに含めておけば、リストを見るだけで、全ての領域や条件を把握できるので、被加工物11の全体を画像に基づいて確認する必要がなくなり、作業の効率が良くなる。
【0074】
ただし、加工条件表示部54gは、タッチスクリーン(入力ユニット)52を用いて指定される複数の領域を指し示す複数のマークと、指定された複数の領域のそれぞれに紐付けられた加工条件と、の関係を示すリストをタッチスクリーン52に表示させても良い。この場合には、例えば、重要度の低いマークをリストから除外できるので、リストが煩雑にならずに済む。
【0075】
また、タッチスクリーン(入力ユニット)52を用いてリスト内のいずれかのマークが指定された場合に、制御ユニット54は、マークが指し示す領域を拡大した画像が生成されるように、チャックテーブル26に保持された被加工物11をカメラ50に撮影させても良い。図15は、リスト内のマークが指定された場合に生成される画像23cの例を模式的に示す図である。
【0076】
例えば、領域1Aに対応するマーク25a-1がリスト内で指定された場合に、制御ユニット54は、マーク25a-1が指し示す領域1Aを拡大した画像を生成するように、チャックテーブル26に保持された被加工物11をカメラ50に撮影させる。つまり、制御ユニット54は、チャックテーブル26とカメラ50とを相対的に移動させ、また、カメラ50の視野の範囲(拡大の倍率)を調整した上で、このカメラ50に被加工物11を撮影させる。
【0077】
その結果、図15に示すように、拡大された領域1A(つまり、拡大された加工痕11a)が写った画像23cが生成される。なお、リスト内のマークの指定は、例えば、オペレーターが、タッチスクリーン52内の対象のマークや加工条件が表示された部分に触れることで行われる。カメラ50により生成された画像23cは、例えば、制御ユニット54内の画像記憶部54eに記憶される。画像記憶部54eに記憶された画像23cは、必要に応じて制御ユニット54により読み出され、タッチスクリーン52に表示される。
【0078】
更に、制御ユニット54は、リスト内の1又は複数のマークが指定された場合に、各マークが指し示す領域が拡大された画像と、この領域に紐付けられた加工条件と、を対応させたレポート情報を生成しても良い。図16は、生成されたレポート情報29の例を模式的に示す図である。
【0079】
例えば、領域1Aに対応するマーク25a-1がリスト内で指定された状態で、オペレーターがタッチスクリーン(入力ユニット)52を用いてレポート情報の生成の指示を制御ユニット54に入力する。この場合には、制御ユニット54は、領域1Aが拡大された画像23cと、領域1A(領域1)に紐づけられた加工条件1と、を並べたレポート情報を生成する。
【0080】
また、例えば、領域1Aに対応するマーク25a-1と、領域1Bに対応するマーク25a-2と、領域2に対応するマーク25bと、がリスト内で指定された状態で、オペレーターがレポート情報の生成の指示を制御ユニット54に入力する。この場合には、制御ユニット54は、図16に示すレポート情報29を生成する。
【0081】
つまり、制御ユニット54は、領域1Aが拡大された画像23cと、領域1A(領域1)に紐づけられた加工条件1と、を並べる。また、制御ユニット54は、領域1Bが拡大された画像23dと、領域1B(領域1)に紐づけられた加工条件1と、を並べる。そして、制御ユニット54は、領域2が拡大された画像23eと、領域2に紐づけられた加工条件2と、を並べる。
【0082】
このように生成されたレポート情報29は、必要に応じて外部記憶装置に記憶させて配布することができる。図17は、外部記憶装置を接続できるように構成されたレーザー加工装置(加工装置)102を示す斜視図である。なお、図17では、上述した実施形態にかかるレーザー加工装置2の各要素と同じ要素に対して、レーザー加工装置2の各要素と同じ符号が付されている。
【0083】
図17に示すように、レーザー加工装置102は、外部記憶装置(不図示)が接続されるポート56を含んでいる。外部記憶装置は、例えば、USBメモリ(USB flash drive)等の可搬性のある補助記憶装置であり、ポート56は、例えば、USBポートである。ただし、外部記憶装置及びポート56の種類に特段の制限はない。
【0084】
例えば、レポート情報29を外部記憶装置へ記憶する旨の指示がタッチスクリーン(入力ユニット)52を通じて制御ユニット54に入力されると、制御ユニット54は、ポート56に接続された外部記憶装置にレポート情報29を記憶させる。その後、オペレーターは、外部記憶装置をポート56から取り外してレポート情報29とともに配布することができる。
【0085】
更に、上述した実施形態及び変形例では、被加工物11が直線状に加工される場合を例に挙げて説明したが、被加工物11の加工の態様は、任意に設定又は変更され得る。例えば、被加工物11は、1ショットのパルスレーザービームによって点状に加工されても良い。
【0086】
また、上述した実施形態や変形例では、レーザービーム21を照射して被加工物11を加工するレーザー加工装置2について説明したが、本発明にかかる加工装置は、切削ブレードを切り込ませて被加工物11を加工する切削装置等でも良い。切削装置の基本的な構造は、レーザー加工装置2と同じである。ただし、この切削装置には、上述したレーザー照射ユニット(加工ユニット)42の代わりに、切削ユニット(加工ユニット)が設けられる。
【0087】
切削ユニットは、環状の切削ブレードが装着されるスピンドルを有している。スピンドルを回転させて被加工物11に切削ブレードを切り込ませることで、被加工物11は加工される。つまり、この場合には、被加工物11内の切削ユニットによる加工が施された領域に、切削ブレードによる加工痕が形成される。
【0088】
なお、この切削装置には、レーザー加工装置2の水平移動機構(加工送り機構、割り出し送り機構)6の代わりに、チャックテーブルをX軸方向に移動させるX軸移動機構(加工送り機構)と、切削ユニットをY軸方向に移動させるY軸移動機構(割り出し送り機構)と、がそれぞれ設けられても良い。加工条件に含まれるパラメーターには、スピンドルの回転数、チャックテーブルの送り速度、加工するラインの数、加工するラインの間隔(ピッチ)等がある。
【0089】
その他、上述の実施形態及び変形例にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0090】
2 :レーザー加工装置(加工装置)
4 :基台
6 :水平移動機構(加工送り機構、割り出し送り機構)
8 :Y軸ガイドレール
10 :Y軸移動プレート
12 :ネジ軸
14 :Y軸パルスモーター
16 :X軸ガイドレール
18 :X軸移動プレート
20 :ネジ軸
22 :X軸パルスモーター
24 :テーブル基台
26 :チャックテーブル
26a :保持面
28 :クランプ
30 :支持構造
32 :鉛直移動機構(高さ調整機構)
34 :Z軸ガイドレール
36 :Z軸移動プレート
38 :Z軸パルスモーター
40 :支持具
42 :レーザー照射ユニット(加工ユニット)
44 :レーザー発振器
46 :ハウジング
46a :ミラー
46b :ミラー
48 :照射ヘッド
48a :ミラー
48b :レンズ
50 :カメラ(撮影ユニット)
52 :タッチスクリーン(表示ユニット、入力ユニット)
54 :制御ユニット
54a :加工条件記憶部
54b :座標記憶部
54c :紐付け情報生成部
54d :紐付け情報記憶部
54e :画像記憶部
54f :マーク表示部
54g :加工条件表示部
56 :ポート
11 :被加工物
11a :加工痕
11a-1 :加工痕
11a-2 :加工痕
11b :加工痕
13 :テープ(ダイシングテープ)
15 :フレーム
21 :レーザービーム
23a :画像
23b :画像
23c :画像
23d :画像
23e :画像
25a :マーク
25a-1 :マーク
25a-2 :マーク
25b :マーク
27a :表示欄
27b :表示欄
27c :表示欄
29 :レポート情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17