(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107989
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】検査装置及びテープ拡張装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
H01L21/78 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002743
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】川口 吉洋
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA31
5F063CB06
5F063CB29
5F063DD67
5F063DD73
5F063DE32
(57)【要約】
【課題】隣接するチップの間隔を容易に確認できる検査装置を提供する。
【解決手段】検査装置は、テープに貼付されたワークピースを囲むようにテープに貼付された環状のフレームを保持するテーブルと、フレーム及びテープを介してテーブルに保持されたワークピースの第1面又は第1面とは反対側の第2面に光を照射する光源と、第1面と第2面とのうちの光源により光が照射されていない一方を撮像して画像を生成するカメラと、カメラで生成された画像に写る2つの隣接するチップの間の画素の輝度の閾値を記憶する閾値記憶部と、閾値で分けられる輝度の区分に応じて画素に異なる色が付された評価画像を生成する評価画像生成部と、評価画像を表示装置に表示させる画像表示部と、閾値を変更して閾値記憶部に記憶させる閾値変更部と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面側がテープに貼付された状態の板状のワークピースを分割予定ラインに沿って分割することで得られる2つの隣接するチップの間隔を確認する際に用いられる検査装置であって、
該ワークピースを囲むように該テープに貼付された環状のフレームを保持するテーブルと、
該フレーム及び該テープを介して該テーブルに保持された該ワークピースの該第1面又は該第1面とは反対側の第2面に光を照射する光源と、
該第1面と該第2面とのうちの該光源により光が照射されていない一方を撮像して画像を生成するカメラと、
該カメラで生成された画像に写る2つの隣接する該チップの間の画素の輝度の閾値を記憶する閾値記憶部と、
該閾値で分けられる該輝度の区分に応じて該画素に異なる色が付された評価画像を生成する評価画像生成部と、
該評価画像を表示装置に表示させる画像表示部と、
該閾値を変更して該閾値記憶部に記憶させる閾値変更部と、を含む検査装置。
【請求項2】
該閾値変更部によって変更された該閾値が該閾値記憶部に記憶された場合に、
該評価画像生成部は、変更された該閾値に対応する該評価画像を再び生成し、
該画像表示部は、該評価画像生成部で再び生成された該評価画像を該表示装置に表示させる請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
該閾値変更部は、該表示装置に表示されるスライダーのつまみ部の位置に応じて該閾値を変更する請求項1又は請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の検査装置と、
該テーブルに該フレームが保持された状態で該テープを拡張するテープ拡張ユニットと、を含むテープ拡張装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状のワークピースを分割して得られるチップの間隔を確認する際に用いられる検査装置、及びこの検査装置を含むテープ拡張装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やパーソナルコンピュータに代表される電子機器では、各種の機能を持つデバイスを備えたデバイスチップが必須の構成要素になっている。デバイスチップは、例えば、シリコンやサファイア等の材料でなるウェーハを分割予定ライン(ストリート)で複数の領域に区画し、各領域にデバイスを形成した上で、この分割予定ラインに沿ってウェーハを分割することにより得られる。
【0003】
ウェーハのような板状のワークピースを複数のチップへと分割する際には、例えば、このワークピースを透過する波長のレーザービームを分割予定ラインに集光させて、ワークピースを分割予定ラインで改質する(例えば、特許文献1参照)。その後、外部からワークピースに力を加えることで、改質されて脆くなった分割予定ラインに対応する領域を境にワークピースが複数のチップへと分割される。
【0004】
ところで、上述の方法でワークピースを分割する前には、力を加えることによって拡張する性質(拡張性)を持つテープをワークピースに貼付しておくのが一般的である。予めワークピースにテープを貼付しておくことで、ワークピースを分割した後に複数のチップがテープで保持された状態となるので、ワークピース(複数のチップ)を取り扱い易くなる。また、テープを拡張させる向きの力(張力)をテープに加えることで、隣接するチップの間に隙間を形成することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、テープに加わる張力の大きさをテープ内の全ての領域において一定にするのは容易でない。したがって、隣接するチップの間に形成される隙間の大きさは、必ずしもワークピースの全体で等しくならない。例えば、隣接するチップの隙間が小さいと、搬送の際にチップ同士が接触して破損したり、テープからチップを適切にピックアップできなくなったりする。
【0007】
よって、本発明の目的は、隣接するチップの間隔を容易に確認できる検査装置、及びこの検査装置を含むテープ拡張装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば、第1面側がテープに貼付された状態の板状のワークピースを分割予定ラインに沿って分割することで得られる2つの隣接するチップの間隔を確認する際に用いられる検査装置であって、該ワークピースを囲むように該テープに貼付された環状のフレームを保持するテーブルと、該フレーム及び該テープを介して該テーブルに保持された該ワークピースの該第1面又は該第1面とは反対側の第2面に光を照射する光源と、該第1面と該第2面とのうちの該光源により光が照射されていない一方を撮像して画像を生成するカメラと、該カメラで生成された画像に写る2つの隣接する該チップの間の画素の輝度の閾値を記憶する閾値記憶部と、該閾値で分けられる該輝度の区分に応じて該画素に異なる色が付された評価画像を生成する評価画像生成部と、該評価画像を表示装置に表示させる画像表示部と、該閾値を変更して該閾値記憶部に記憶させる閾値変更部と、を含む検査装置が提供される。
【0009】
好ましくは、該閾値変更部によって変更された該閾値が該閾値記憶部に記憶された場合に、該評価画像生成部は、変更された該閾値に対応する該評価画像を再び生成し、該画像表示部は、該評価画像生成部で再び生成された該評価画像を該表示装置に表示させる。また、好ましくは、該閾値変更部は、該表示装置に表示されるスライダーのつまみ部の位置に応じて該閾値を変更する。
【0010】
本発明の別の一側面によれば、上述の検査装置と、該テーブルに該フレームが保持された状態で該テープを拡張するテープ拡張ユニットと、を含むテープ拡張装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
分割された後の板状のワークピースの第1面又は第2面に光を照射し、その反対側からワークピースを撮影して画像を生成すると、この画像に写る2つの隣接するチップの間の画素の輝度は、チップの間隔に依存することになる。例えば、チップの間隔が大きいと、チップの間の画素の輝度は高くなり、チップの間隔が小さいと、チップの間の画素の輝度は低くなる。
【0012】
このような前提の下、本発明の一側面にかかる検査装置は、カメラで生成された画像に写る2つの隣接するチップの間の画素の輝度の閾値を記憶する閾値記憶部と、閾値で分けられる輝度の区分に応じてチップの間の画素に異なる色が付された評価画像を生成する評価画像生成部と、評価画像を表示装置に表示させる画像表示部と、閾値を変更して閾値記憶部に記憶させる閾値変更部と、を含んでいる。
【0013】
よって、この検査装置は、任意の閾値で分けられる輝度の区分に応じてチップの間の画素に異なる色が付された評価画像を生成し、表示装置に表示させることができる。すなわち、検査装置は、基準となるチップの間隔に応じてチップの間の画素に異なる色が付された評価画像を生成し、表示装置に表示させることができる。そして、オペレーターは、表示装置に表示される評価画像に基づいて、隣接するチップの間隔を容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、検査装置を含むテープ拡張装置等を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、テープ拡張装置を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、検査装置を構成する制御ユニットの機能的な構造の一部を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、複数のチップへと分割された後のワークピースを撮影して画像を取得する様子を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、生成される画像の例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、タッチスクリーンに表示されるスライダー及び評価用の画像の例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、タッチスクリーンに表示されるスライダー及び評価用の画像の別の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の検査装置2を含むテープ拡張装置4等を模式的に示す斜視図であり、
図2は、テープ拡張装置4等を模式的に示す断面図である。なお、
図1では、検査装置2及びテープ拡張装置4の一部の要素が機能ブロックで示されている。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の検査装置2が検査の対象とする板状のワークピース11は、例えば、シリコンやサファイア等の材料でなる円盤状のウェーハである。このワークピース11の表面(第2面)11a側は、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)によって複数の小領域に区画されており、各小領域には、IC(Integrated Circuit)やLED(Light Emitting Diode)等のデバイスが形成されている。
【0017】
ワークピース11は、分割の際の起点となるように分割予定ラインにおいて改質されており、この分割予定ラインに対応する領域は、他の領域に比べて脆くなっている。そのため、外部からワークピース11に力を加えれば、ワークピース11は、分割予定ラインに沿って複数のチップへと分割される。なお、ワークピース11を分割予定ラインで改質する際には、ワークピース11を透過する波長のレーザービームを対象の領域に集光させる方法が用いられる。
【0018】
例えば、このワークピース11の裏面(第1面)11b側には、力を加えると拡張する性質(拡張性)を持つエキスパンドテープ(テープ)13が貼付されている。また、エキスパンドテープ13の外周部には、ワークピース11を囲む環状のフレーム15が貼付されている。つまり、エキスパンドテープ13の直径及びフレーム15の中央に位置する開口部の直径は、ワークピース11の直径よりも大きい。このように、本実施形態では、ワークピース11がエキスパンドテープ13を介してフレーム15に支持されている。
【0019】
なお、ワークピース11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、他のセラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板をワークピース11として用いることもできる。同様に、ワークピース11に形成されるデバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。ワークピース11には、デバイスが形成されていなくても良い。更に、エキスパンドテープ13は、ワークピース11の表面11a側に貼付されても良い。
【0020】
本実施形態のテープ拡張装置4は、上述のエキスパンドテープ13を拡張する際に用いられる。エキスパンドテープ13を拡張すると、ワークピース11には、このエキスパンドテープ13から力が加わり、ワークピース11は、複数のチップへと分割される。そして、本実施形態の検査装置2は、ワークピース11を分割予定ラインに沿って分割することで得られる2つの隣接するチップの間隔を確認(検査)する際に用いられる。
【0021】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のテープ拡張装置4は、例えば、このテープ拡張装置4(検査装置2)を構成する種々の要素を支持する基台6を備えている。基台6には、
図2に示すように、基台6の上面6aで円形に開口する孔(凹部)6bが形成されており、孔6bには、エキスパンドテープ13を拡張できるテープ拡張ユニット8の拡張ドラム10が部分的に挿入されている。
【0022】
拡張ドラム10は、円筒状のドラム部10aと、ドラム部10aの外側の側面から突出する環状のフランジ部10bと、を備えている。ドラム部10aの外側の側面の直径(外径)は、孔6bの直径よりも僅かに小さく、また、フレーム15の中央に位置する開口部の直径(内径)よりも小さく、更に、ドラム部10aの内側の側面の直径(内径)は、ワークピース11の直径よりも大きい。
【0023】
フランジ部10bより下方に位置するドラム部10aの一部は、基台6の上面6aに対して概ね垂直な回転軸の周りに拡張ドラム10を回転させることができる状態で孔6bに挿入されている。なお、ドラム部10aは、フランジ部10bの下面が基台6の上面6aと接触するように孔6bに挿入される。
【0024】
フランジ部10bの上面には、拡張ドラム10とともにテープ拡張ユニット8を構成する昇降機構12が配置されている。昇降機構12は、例えば、流体を利用するアクチュエーターであり、フランジ部10bの上面に下部が固定される筒状のシリンダーケース14と、上部が露出するようにシリンダーケース14に挿入されるピストンロッド16と、を備えている。
【0025】
例えば、外部からシリンダーケース14に流体を供給したり、シリンダーケース14から外部に流体を排出したりすることで、ピストンロッド16を上下に移動させることができる。なお、アクチュエーターに利用される流体には、空気等の気体や、オイル等の液体がある。本実施形態のテープ拡張装置4は、このテープ拡張ユニット8と検査装置2とで構成されている。
【0026】
ピストンロッド16の上端部には、フレーム15を保持できる環状のテーブル18が固定されている。テーブル18の中央に位置する開口部の直径(内径)は、ドラム部10aの外側の側面の直径よりも大きく、ドラム部10aの上部は、テーブル18の開口部内に配置されている。そのため、昇降機構12のピストンロッド16を上下に移動させると、ドラム部10aの上部がテーブル18の開口部内に配置された状態で、拡張ドラム10に対するテーブル18の高さが変化する。
【0027】
テーブル18の外周部には、テーブル18の上面に載せられるフレーム15を固定するための複数のクランプ20が設けられている。フレーム15は、例えば、ワークピース11の表面11aが上を向くようにテーブル18の上面に載せられ、複数のクランプ20でテーブル18に固定される。なお、ワークピース11の表面11aが下を向くようにフレーム15をテーブル18に固定することもできる。
【0028】
例えば、フレーム15がテーブル18に固定された状態で、昇降機構12によりテーブル18を下降させれば、ドラム部10aの上端部で突き上げるようにしてエキスパンドテープ13を拡張できる。ワークピース11は分割予定ラインで改質されており、ワークピース11の分割予定ラインに対応する領域は、他の領域に比べて脆い。よって、エキスパンドテープ13を拡張すると、ワークピース11に力が加わり、ワークピース11は、分割予定ラインに沿って複数のチップへと分割される。
【0029】
図1に示すように、拡張ドラム10の近傍には、モーター等の回転機構22と、この回転機構22に連結され基台6の上面6aに対して概ね垂直な回転軸の周りに回転するプーリー24と、が配置されている。プーリー24及びフランジ部10bの外周面には、無端ベルト26が架けられている。回転機構22によってプーリー24を回転させることで、テープ拡張ユニット8と、テーブル18と、を基台6の上面6aに対して概ね垂直な回転軸の周りに回転させることができる。
【0030】
また、拡張ドラム10の近傍には、昇降機構28が配置されている。昇降機構28は、例えば、流体を利用するアクチュエーターであり、基台6に固定される筒状のシリンダーケース30と、一端側が露出するように他端側がシリンダーケース14に挿入されるL字状の支持アーム32と、を備える。例えば、シリンダーケース30に流体を供給したり、シリンダーケース30から流体を排出したりすることで、支持アーム32を上下に移動させることができる。
【0031】
支持アーム32の一端部には、フレーム15及びエキスパンドテープ13を介してテーブル18に保持されるワークピース11の上を向いた表面11a(又は裏面11b)を撮影して画像(画像のデータ)を生成できるカメラ34が固定されている。このカメラ34は、表面11a(又は裏面11b)の全体が写った画像を生成できるように、例えば、ドラム部10aより内側の領域の直上に配置される。
【0032】
カメラ34の具体的な構造に制限はない。例えば、ワークピース11を透過し難い任意の波長の光に感度を持つCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の2次元光センサーと、レンズと、を備えるカメラ34を用いることができる。
【0033】
ドラム部10aの内側には、テーブル18に保持されるワークピース11に下方から光を照射できる光源36が配置されている。光源36は、代表的には、ワークピース11を透過し難い任意の波長の光を放射できるLEDである。また、この光源36は、光が照射される裏面11b(又は表面11a)の全体で概ね均一な照度を実現できるように構成されることが望ましい。
【0034】
テープ拡張装置4(検査装置2)を構成する昇降機構12、回転機構22、昇降機構28、カメラ34、光源36等の要素は、それぞれ、制御ユニット38に接続されている。制御ユニット38は、例えば、処理装置と、記憶装置と、を含むコンピュータによって構成され、エキスパンドテープ13の拡張や、チップの間隔の確認に必要な一連の工程に合わせて、上述した各要素を制御する。
【0035】
処理装置は、代表的には、CPU(Central Processing Unit)であり、上述した要素を制御するために必要な種々の処理を行う。記憶装置は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含む。この制御ユニット38の機能は、例えば、記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置が動作することによって実現される。ただし、制御ユニット38の機能は、ハードウェアのみによって実現されても良い。
【0036】
制御ユニット38には、更に、ユーザーインターフェースとなるタッチスクリーン(表示装置、入力装置)40が接続されている。タッチスクリーン40には、例えば、制御ユニット38から送られる画像等が表示される。また、例えば、チップの間隔の確認に利用される情報は、このタッチスクリーン40を介して制御ユニット38に入力される。
【0037】
なお、表示装置と入力装置とが一体になったタッチスクリーン40の代わりに、液晶ディスプレイ等の表示装置と、キーボードやマウス等の入力装置と、がそれぞれ制御ユニット38に接続されても良い。また、表示装置と入力装置とは、テープ拡張装置4(検査装置2)を構成する要素である必要はなく、テープ拡張装置4(検査装置2)の外部に設けられることがある。例えば、スマートフォン等を表示装置や入力装置として代用しても良い。
【0038】
図3は、検査装置2を構成する制御ユニット38の機能的な構造の一部を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、制御ユニット38は、複数のチップへと分割された後のワークピース11が写った画像を取得できるように各要素の動作を制御する画像取得部38aを含む。例えば、オペレーターがタッチスクリーン40等を用いてチップの間隔を確認(検査)する旨の指示を制御ユニット38に入力すると、画像取得部38aは、各要素の動作を制御して、ワークピース11が写った画像を取得する。
【0039】
図4は、複数のチップ17へと分割された後のワークピース11を撮影して画像を取得する様子を模式的に示す断面図である。画像取得部38aは、まず、光源36への電力の供給を制御して、この光源36に光21を放射させる。例えば、光源36から放射された光21の一部は、エキスパンドテープ13を透過し、ワークピース11の下を向いた裏面11bに照射される。
【0040】
ワークピース11内で互いに隣接する2つのチップ17の間には、隙間19が形成されている。よって、エキスパンドテープ13を透過した光21の一部は、隙間19を通過して上方のカメラ34に入射する。一方で、ワークピース11の裏面11bに照射された光21の大部分は、ワークピース11を透過せず、カメラ34に入射しない。
【0041】
この状態で、画像取得部38aは、カメラ34等の動作を制御して、ワークピース11の上を向いた表面11aの全体をカメラ34に撮影させる。つまり、光21が照射されていない表面11aの全体がカメラ34により撮影される。これにより、カメラ34は、ワークピース11の表面11aの全体が写った画像を生成できる。
【0042】
図5は、カメラ34により生成される画像23の例を模式的に示す図である。なお、
図5では、説明の便宜上、画像23内のチップ17に対応する暗い領域が白色で表され、画像23内の隣接するチップ17の隙間19に対応する明るい領域が黒色で表されている。つまり、画像23内のワークピース11に対応する領域では、明暗が反転されている。取得された画像23は、カメラ34から制御ユニット38へと送られ、制御ユニット38の画像記憶部38bに記憶される。
【0043】
図4に示すように、制御ユニット38は、カメラ34により生成される画像23を加工して評価用の画像(評価画像)を生成する評価画像生成部38cを含む。評価画像生成部38cは、例えば、画像23内のチップ17の隙間19に対応する明るい領域を抽出し、この隙間19に対応する領域を構成する画素(つまり、隣接するチップ17の間の画素)の輝度の大きさに応じて、各画素に色を付す。
【0044】
制御ユニット38は、各画素の輝度の大きさを判定する際に用いられる1又は複数の閾値(輝度の閾値)を記憶する閾値記憶部38dを含んでいる。評価画像生成部38cは、例えば、予め閾値記憶部38dに記憶されている閾値を参照し、各画素の輝度と閾値とを比較して、各画素の輝度が、閾値で分けられる複数の区分(輝度の区分)のいずれに属するかを判定する。
【0045】
例えば、ある画素の輝度が、閾値記憶部38dに記憶された閾値以上の大きさ(又は閾値を超える大きさ)の第1区分に属する場合に、評価画像生成部38cは、この画素に第1色を付す。また、ある画素の輝度が、閾値未満の大きさ(又は閾値以下の大きさ)の第2区分に属する場合に、評価画像生成部38cは、この画素に第1色とは異なる第2色を付す。なお、画素に付される第1色や第2色は、オペレーターが容易に区別できるように選択されることが望ましい。
【0046】
閾値記憶部38dに異なる複数の閾値が記憶されている場合の処理も、同様である。例えば、閾値記憶部38dに異なる2つの閾値が記憶されている場合には、評価画像生成部38cは、2つの閾値で分けられる3つの区分に応じて、対象の画素に異なる3つの色のいずれかを付す。
【0047】
なお、閾値記憶部38dには、対象の画素の性質や属性に応じて選択的に適用される複数の閾値が記憶されても良い。例えば、互いに交差する複数の分割予定ラインが設定されているワークピース11を分割すると、第1方向に延びる分割予定ラインに沿う隙間19と、第1方向に対して交差する第2方向に延びる分割予定ラインに沿う隙間19と、が形成されることになる。
【0048】
このような場合には、第1方向に延びる隙間19と、第2方向に延びる隙間19と、に異なる基準を適用して隣接するチップの間隔を評価したいことがある。そこで、第1方向に延びる隙間19に対応する領域の画素に適用される閾値と、第2方向に延びる隙間19に対応する領域の画素に適用される閾値と、をそれぞれ閾値記憶部38dに記憶させる。これにより、隣接するチップの間隔をより適切に評価できるようになる。
【0049】
評価画像生成部38cで生成される評価用の画像は、元の画像23と同様に、画像記憶部38bに記憶される。制御ユニット38は、評価用の画像等をタッチスクリーン40に表示させる画像表示部38eを含む。画像表示部38eは、例えば、評価用の画像が画像記憶部38bに記憶される度に、記憶された評価用の画像をタッチスクリーン40に表示させる。
【0050】
制御ユニット38は、評価用の画像を生成する際に用いられる閾値を変更して閾値記憶部38dに記憶させる閾値変更部38fを更に含む。例えば、オペレーターがタッチスクリーン40を用いて変更後の新たな閾値に関する情報を制御ユニット38に入力すると、閾値変更部38fは、この情報に基づき、既に記憶されている閾値を置き換えるように変更後の閾値を閾値記憶部38dに記憶させる。
【0051】
なお、画像表示部38eは、閾値変更部38fの指示に基づき、閾値に関する情報を入力する際に用いられる入力欄をタッチスクリーン40に表示させる。本実施形態では、入力欄として、つまみ部を直線的に移動させることで値を選択(変更)できるスライダーが採用される。すなわち、閾値変更部38fは、スライダーのつまみ部の位置に応じて閾値を変更する。ただし、画像表示部38eは、数値等を直に入力できる入力欄をタッチスクリーン40に表示させても良い。
【0052】
閾値変更部38fによって変更後の閾値が閾値記憶部38dに記憶されると、評価画像生成部38cは、変更後の閾値を用いて評価用の画像を再び生成する。変更後の閾値を用いて再び生成された評価用の画像は、同様に、画像記憶部38bに記憶される。そして、画像表示部38eは、この評価用の画像をタッチスクリーン40に表示させる。
【0053】
図6は、タッチスクリーン40に表示されるスライダー27a、27b、27c、27d、及び評価用の画像(評価画像)25の例を模式的に示す図である。タッチスクリーン40の表示領域40aには、
図6に示すように、4種類のスライダー27a、27b、27c、27dが表示されている。
【0054】
例えば、スライダー27aは、横方向に延びる隙間19に対応する領域の画素に関する第1閾値を変更する際に用いられ、スライダー27cは、横方向に延びる隙間19に対応する領域の画素に関する第2閾値を変更する際に用いられる。つまり、
図6の例では、横方向に延びる隙間19に対応する領域の画素に関する2つの閾値が閾値記憶部38dに記憶されている。
【0055】
また、例えば、スライダー27bは、縦方向に延びる隙間19に対応する領域の画素に関する第3閾値を変更する際に用いられ、スライダー27dは、縦方向に延びる隙間19に対応する領域の画素に関する第4閾値を変更する際に用いられる。つまり、
図6の例では、縦方向に延びる隙間19に対応する領域の画素に関する2つの閾値が閾値記憶部38dに記憶されている。
【0056】
図6に示すように、4つの閾値の全てが20.0に設定された状態では、隙間19に対応する領域の全ての画素25aに同じ第1色(例えば、緑色)が付された画像25が生成される。これは、隙間19に対応する領域の全ての画素25aの輝度が、例えば、各閾値(20.0)以上の大きさの区分に属していることを示す。なお、
図6では、説明の便宜上、画素25aに第1色が付された様子が実線で表現されている。
【0057】
次に、オペレーターがスライダー27aのつまみ部を移動させて、第1閾値が50.0に変更された場合を想定する。
図7は、この場合にタッチスクリーン40に表示されるスライダー27a、27b、27c、27d、及び評価用の画像(評価画像)29の例を模式的に示す図である。
【0058】
図7に示すように、第1閾値が50.0に設定されると、横方向に延びる隙間19に対応する領域の画素には、第1閾値と第2閾値とで分けられる3つの区分(輝度の区分)に応じて異なる色が付される。例えば、ワークピース11の主に外周側の領域では、隙間19に対応する領域の画素29aに、第1閾値以上かつ第2閾値以上の区分に属していることを示す第1色(例えば、緑色)が付される。なお、
図7では、説明の便宜上、画素29aに第1色が付された様子が実線で表現されている。
【0059】
また、例えば、ワークピース11の主に中央側の領域では、隙間19に対応する領域の画素29bに、第1閾値と第2閾値との間の区分(つまり、第1閾値未満かつ第2閾値以上の区分)に属していることを示す第2色(例えば、赤色)が付される。
図7では、画素29bに第2色が付された様子が破線で表現されている。なお、画像29内には、第1閾値未満かつ第2閾値未満の区分に属し第3色が付される画素は存在しない。また、縦方向に延びる隙間19に対応する領域の全ての画素に、第1色が付されている。
【0060】
上述のように、分割された後の板状のワークピース11の裏面(第1面)11bに光を照射し、その反対側からワークピース11を撮影して画像23を生成すると、この画像23に写る2つの隣接するチップ17の間の画素の輝度は、隣接するチップ17の間隔に依存する。例えば、隣接するチップ17の間隔が大きいと、隣接するチップ17の間の画素の輝度は高くなり、隣接するチップ17の間隔が小さいと、隣接するチップ17の間の画素の輝度は低くなる。
【0061】
このような前提の下で、本実施形態にかかる検査装置2は、カメラ34で生成された画像23に写る2つの隣接するチップ17の間の画素の輝度の閾値を記憶する閾値記憶部38dと、閾値で分けられる輝度の区分に応じてチップの間の画素に異なる色が付された評価用の画像(評価画像)25、29を生成する評価画像生成部38cと、評価用の画像25、29をタッチスクリーン(表示装置)40に表示させる画像表示部38eと、閾値を変更して閾値記憶部38dに記憶させる閾値変更部38fと、を含んでいる。
【0062】
よって、本実施形態の検査装置2は、任意の閾値で分けられる輝度の区分に応じてチップ17の間の画素に異なる色が付された評価用の画像25、29を生成し、タッチスクリーン40に表示させることができる。すなわち、検査装置2は、基準となるチップ17の間隔に応じてチップ17の間の画素に異なる色が付された評価用の画像25、29を生成し、タッチスクリーン40に表示させることができる。そして、オペレーターは、タッチスクリーン40に表示される評価用の画像25、29に基づいて、隣接するチップ17の間隔を容易に確認できる。
【0063】
なお、本発明は、上述した実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、上述した実施形態では、ワークピース11が分割予定ラインで改質されており、このワークピース11に力を加えることで、ワークピース11が複数のチップ17へと分割される場合を例に挙げて説明したが、本発明の検査装置2は、任意の方法で複数のチップへと分割されたワークピース内の隣接するチップの間隔を確認する際に用いることができる。
【0064】
その他、上述の実施形態及び変形例にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0065】
2 :検査装置
4 :テープ拡張装置
6 :基台
6a :上面
6b :孔(凹部)
8 :テープ拡張ユニット
10 :拡張ドラム
10a :ドラム部
10b :フランジ部
12 :昇降機構
14 :シリンダーケース
16 :ピストンロッド
18 :テーブル
20 :クランプ
22 :回転機構
24 :プーリー
26 :無端ベルト
28 :昇降機構
30 :シリンダーケース
32 :支持アーム
34 :カメラ
36 :光源
38 :制御ユニット
38a :画像取得部
38b :画像記憶部
38c :評価画像生成部
38d :閾値記憶部
38e :画像表示部
38f :閾値変更部
40 :タッチスクリーン(表示装置、入力装置)
40a :表示領域
11 :ワークピース
11a :表面(第2面)
11b :裏面(第1面)
13 :エキスパンドテープ(テープ)
15 :フレーム
17 :チップ
19 :隙間
21 :光
23 :画像
25 :評価用の画像(評価画像)
25a :画素
27a :スライダー
27b :スライダー
27c :スライダー
27d :スライダー
29 :評価用の画像(評価画像)
29a :画素
29b :画素