(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108021
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】センサ付きハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 15/02 20060101AFI20220715BHJP
G01P 1/02 20060101ALI20220715BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20220715BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20220715BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220715BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
H02G15/02
G01P1/02
H02G3/04 062
H02G1/14
B60R16/02 620Z
H01B7/00 301
H01B7/00
H01B7/00 306
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002797
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 和彦
【テーマコード(参考)】
5G309
5G355
5G357
5G375
【Fターム(参考)】
5G309AA09
5G309FA05
5G309FA06
5G309LA27
5G355BA01
5G355BA06
5G355BA08
5G355CA02
5G355CA23
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD05
5G357DG01
5G375AA20
5G375BA08
5G375BB46
5G375CA02
5G375CA19
5G375CB05
5G375CC07
5G375DA02
5G375DB16
(57)【要約】
【課題】配線の引き回しを簡素化することができるセンサ付きハーネスを提供する。
【解決手段】物理量を検出する複数の検出部20を有するセンサ2と、複数の検出部20のそれぞれに接続される複数の電線、及び複数の電線を一括して覆うシース32を有するケーブル3と、ケーブル3におけるセンサ2と反対側の端部に設けられたコネクタ4とを備える。コネクタ4は、複数の検出部20の検出信号をそれぞれ出力する複数のコネクタ接続部42を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を検出する複数の検出部を有するセンサと、
前記複数の検出部のそれぞれに接続される複数の電線、及び前記複数の電線を一括して覆うシースを有するケーブルと、
前記ケーブルにおける前記センサと反対側の端部に設けられたコネクタと、を備え、
前記コネクタは、前記複数の検出部の検出信号をそれぞれ出力する複数のコネクタ接続部を備える、
センサ付きハーネス。
【請求項2】
前記センサは、前記複数の検出部を保持するセンサハウジングを有し、
前記コネクタは、前記複数の電線にそれぞれ接続された複数の端子金具を保持するコネクタハウジングを有し、
前記シースの一端は、前記センサハウジングに埋設されており、
前記シースの他端は、前記コネクタハウジングに埋設されている、
請求項1に記載のセンサ付きハーネス。
【請求項3】
前記複数のコネクタ接続部のそれぞれにおける相手コネクタとの接続方向は、互いに異なる方向である、
請求項1又は2に記載のセンサ付きハーネス。
【請求項4】
前記シースは、中実に形成されており、前記複数の電線を直接覆っている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセンサ付きハーネス。
【請求項5】
前記複数の検出部のそれぞれは、車輪の回転速度を検出する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のセンサ付きハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ付きハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車輪の回転速度を検出する車輪速センサを有するセンサ付きハーネスが開示されている。特許文献1に記載の車輪速センサは、冗長化のため、2つの検出部を備えており、2つの検出部の検出信号を互いに異なる制御装置に出力できるよう構成されている。そして、特許文献1に記載のセンサ付きハーネスは、一方の検出部に接続されるとともに端部に第1のコネクタが設けられた第1のケーブルと、他方の検出部に接続されるとともに端部に第2のコネクタが設けられた第2のケーブルとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のセンサ付きハーネスにおいては、車輪速センサにコネクタ付きのケーブルが2つ取り付けられている。それゆえ、特許文献1に記載のセンサ付きハーネスにおいては、配線の引き回しが複雑になりやすい。
【0005】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、配線の引き回しを簡素化することができるセンサ付きハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の目的を達成するため、物理量を検出する複数の検出部を有するセンサと、前記複数の検出部のそれぞれに接続される複数の電線、及び前記複数の電線を一括して覆うシースを有するケーブルと、前記ケーブルにおける前記センサと反対側の端部に設けられたコネクタと、を備え、前記コネクタは、前記複数の検出部の検出信号をそれぞれ出力する複数のコネクタ接続部を備える、センサ付きハーネスを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配線の引き回しを簡素化することができるセンサ付きハーネスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態における、センサ付きハーネスを搭載した車両の概略構成図である。
【
図2】実施の形態における、センサ付きハーネスの平面図である。
【
図3】実施の形態における、車輪速センサの断面図である。
【
図4】実施の形態における、2つの検出部と4本の電線とを示す斜視図である。
【
図5】実施の形態における、ケーブルの断面図である。
【
図6】実施の形態における、コネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、
図1乃至
図6を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0010】
(車両10の概要)
図1は、本形態のセンサ付きハーネス1を搭載した車両10の概略構成図である。
図1においては、左側が車両10の前方であり、右側が車両10の後方である。車両10は、車体に4つのタイヤハウス101が形成されており、前後左右の4つの車輪102がそれぞれのタイヤハウス101内に配されている。そして、各タイヤハウス101内に収まるように、センサ付きハーネス1の全体が配されている。すなわち、本形態において、センサ付きハーネス1は、例えば車両が走行する際に車輪102によって跳ね上げられる水、石等の異物が当たり得る場所に配されている。
【0011】
センサ付きハーネス1は、所定の物理量を検出する2つの検出部20を有するセンサ2と、2つの検出部20のそれぞれの検出信号を伝送するためのケーブル3と、ケーブル3におけるセンサ2と反対側の端部に設けられたコネクタ4とを備える。本形態において、センサ2は、冗長化のために2つの検出部20を備えており、2つの検出部20のそれぞれが車輪102の回転速度を検出する。以後、センサ2を車輪速センサ2という。車輪速センサ2は、例えばアンチロックブレーキシステム(ABS)を構成するものとすることができる。以後、車輪速センサ2の2つの検出部20において、一方を第1検出部21といい、他方を第2検出部22といい、第1検出部21と第2検出部22とを特に区別しない場合は単に検出部20という。各検出部20の検出信号は、ケーブル3を通ってコネクタ4から出力される。
【0012】
コネクタ4は、第1検出部21の検出信号を出力する第1コネクタ接続部421と、第2検出部22の検出信号を出力する第2コネクタ接続部422との2つのコネクタ接続部42を有する。第1コネクタ接続部421は、第1接続ケーブル104aを介して第1制御装置103aに接続されており、第2コネクタ接続部422は、第2接続ケーブル104bを介して第2制御装置103bに接続されている。すなわち、第1検出部21と第2検出部22とは、互いに異なる制御装置に電気的に接続されている。
【0013】
第1制御装置103aは、主としてアンチロックブレーキシステムの動作を制御するためのECU(Electronic Control Unit)であり、第2制御装置103bは、主としてアンチロックブレーキシステム以外の装置の動作を制御するためのECUである。第2検出部22及び第2制御装置103bは、第1検出部21及び第1制御装置103aを含む回路系統に異常が生じた場合であっても、アンチロックブレーキシステムを正常に作動させるためのバックアップとしての役割を有する。第1制御装置103aは、車両10の前後方向の中央位置よりも前方の位置に配されており、第2制御装置103bは、車両10の前後方向の中央位置よりも後方の位置に配されているが、車両10におけるこれら2つの制御装置の配置はこれに限られない。
【0014】
(センサ付きハーネス1)
図1に示すごとく、センサ付きハーネス1は、各タイヤハウス101の内側に1つずつ、合計4つ配されている。本形態において、4つのセンサ付きハーネス1は、互いに同様の構成を有するため、以下においては1つのセンサ付きハーネス1に着目して説明する。
【0015】
図2は、本形態におけるセンサ付きハーネス1の平面図である。
図3は、車輪速センサ2の断面図である。センサ付きハーネス1は、車輪速センサ2と、2つの検出部20のそれぞれに接続される4本の電線31及び4本の電線31を一括して覆うシース32を有するケーブル3と、ケーブル3における車輪速センサ2と反対側の端部に設けられたコネクタ4と、を備える。
【0016】
車輪速センサ2は、第1検出部21及び第2検出部22の2つの検出部20と、2つの検出部20を保持するセンサハウジング23とを備える。
図2に示すごとく、2つの検出部20は、車輪102と共に回転する環状の磁気エンコーダ105の近傍に配される。磁気エンコーダ105の一方側の面は、N極とS極とが周方向に交互に着磁された着磁面105aとなっている。
【0017】
図4は、2つの検出部20と4本の電線31とを示す斜視図である。検出部20は、内部に図示しない磁気検出素子を備えた検出本体部201と、検出本体部201から引き出された一対のリード端子202とを備える。2つの検出部20の検出本体部201は、互いの厚み方向に重なる位置に配されている。また、各検出本体部201の主面は、磁気エンコーダ105の着磁面105a(
図2参照)を向くよう配されている。検出本体部201の図示しない磁気検出素子は、磁気エンコーダ105の回転に伴う磁界変動の周期に応じた電気信号を出力する。磁気検出素子としては、例えば、ホール素子、GMR(Giant Magneto-Resistance)素子、TMR(Tunneling Magneto-Resistance)素子等を用いることができる。各磁気検出素子の検出信号は、一対のリード端子202から出力される。
【0018】
図4に示すごとく、検出本体部201から引き出された一対のリード端子202は、検出本体部201から互いに同じ側に、かつ互いに平行に引き出されている。一対のリード端子202のそれぞれは、検出本体部201の厚み方向に厚みを有するとともに、検出本体部201からの引き出し方向に長尺な長尺板状に形成されている。2つの検出本体部201から引き出された4つのリード端子202のそれぞれには、ケーブル3における互いに異なる電線31が電気的に接続されている。
図3に示すごとく、4つのリード端子202と4本の電線31との接続部は、センサハウジング23に埋設されている。
【0019】
図3に示すごとく、センサハウジング23は、2つの検出部20、4本の電線31におけるシース32から車輪速センサ2側に露出した部位、シース32の車輪速センサ2側の端部、後述のカラー24を埋設している。センサハウジング23は、センサハウジング23を成形するための成形型に、2つの検出部20、4本の電線31におけるシース32から車輪速センサ2側に露出した部位、シース32の車輪速センサ2側の端部、カラー24を配置し、成形型内にセンサハウジング23を構成する樹脂を注入するインサート成形によって製造される。センサハウジング23は、その成形収縮によってケーブル3のシース32と密接し、これによってセンサハウジング23とケーブル3との間のシール性が確保されている。ケーブル3の軸方向において、シース32のセンサハウジング23内に埋設された部位の長さL1は、ケーブル3の半径R以上であり、本形態においてはケーブル3の直径D(すなわちシース32の直径)以上である。これにより、ケーブル3とセンサハウジング23との間のシール性がより確保されやすくなる。
【0020】
また、センサハウジング23は、センサハウジング23の長手方向(
図3の左右方向)の中央部に、当該長手方向に直交する方向に突出したフランジ部231を有する。フランジ部231には、金属製のカラー24が埋設されている。車輪速センサ2は、カラー24にボルトを挿通し、ボルトを車輪速センサ2の被取付対象(例えばタイヤハウス101内に配されたハブ、ナックル等)に螺合させることにより、被取付対象にボルト締結される。
【0021】
図5は、ケーブル3の断面図である。ケーブル3は、4本の電線31と、4本の電線31の両端部以外の部位を一括して覆うシース32とを有する。電線31は、電気的絶縁性を有する絶縁被膜311にて中心導体312を覆った被覆電線である。中心導体312は、銅等の導電性の高い材料からなる複数の素線を撚ってなる撚線である。絶縁被膜311は、例えば難燃性架橋ポリエチレンからなるが、これに限られず、難燃性を有さない材料から構成されていてもよい。4本の電線31は、シース32内において撚り合わされている。シース32は、その全長にわたって、中実に形成されているとともに4本の電線31を直接的に覆っている。すなわち、シース32は、その内側に4本の電線31を埋設している。シース32は、例えば、熱可塑性ウレタンからなる。ケーブル3は、例えば、タイヤハウス101を区画する車体の壁部に固定されており、当該壁部に沿うよう配される。
【0022】
図3に示すごとく、4本の電線31の車輪速センサ2側の端部においては、絶縁被膜311が剥がされて中心導体312が露出しており、当該中心導体312の露出部が車輪速センサ2のリード端子202に電気的に接続されている。また、後述する
図6に示すごとく、4本の電線31のコネクタ4側の端部は、コネクタ4の互いに異なる端子金具41と電気的に接続されている。
【0023】
図6は、コネクタ4の断面図である。コネクタ4は、コネクタハウジング40と4つの端子金具41とを備える。コネクタハウジング40は、4つの端子金具41のそれぞれの一部、4本の電線31におけるシース32からコネクタ4側に露出した部位、及びシース32のコネクタ4側の端部を埋設している。コネクタハウジング40は、コネクタハウジング40を成形するための成形型に、4つの端子金具41、4本の電線31におけるシース32からコネクタ4側に露出した部位、及びシース32のコネクタ4側の端部を配置して成形型内にコネクタハウジング40を構成する樹脂を注入するインサート成形によって製造される。コネクタハウジング40は、その成形収縮によってケーブル3と密接し、コネクタハウジング40とケーブル3との間のシール性が確保されている。ケーブル3の軸方向において、シース32のコネクタハウジング40内に埋設された部位の長さL2は、ケーブル3の半径R以上であり、本形態においてはケーブル3の直径D以上である。また、図示は省略するが、端子金具41は、電線31の端部にかしめられることにより電線31と導通している。端子金具41は、その一部がコネクタハウジング40に埋設されることでコネクタハウジング40に保持されている。
【0024】
コネクタ4は、2つの検出部20の検出信号をそれぞれ出力する2つのコネクタ接続部42(すなわち第1コネクタ接続部421及び第2コネクタ接続部422)を有する。本形態において、2つのコネクタ接続部42は、互いに同じ形状を有する。各コネクタ接続部42は、コネクタハウジング40に形成された嵌合凹部423と、嵌合凹部423内に突出した一対の端子金具41とを備える。嵌合凹部423は、相手コネクタがコネクタ嵌合されるよう形成された凹部である。
【0025】
第1コネクタ接続部421が有する一対の端子金具41は、それぞれに接続された一対の電線31を介して第1検出部21の一対のリード端子202に電気的に接続されており、第2コネクタ接続部422が有する一対の端子金具41は、それぞれに接続された一対の電線31を介して第2検出部22の一対のリード端子202に電気的に接続されている。これにより、第1コネクタ接続部421は第1検出部21の出力信号を出力し、第2コネクタ接続部422は第2検出部22の検出信号を出力するよう構成されている。また、第1コネクタ接続部421及び第2コネクタ接続部422は、それぞれ異なる被接続対象に接続されるように構成されている。
【0026】
第1コネクタ接続部421に接続される相手コネクタは、第1コネクタ接続部421と第1制御装置103aとを接続する第1接続ケーブル104a(
図1参照)の端部に設けられたコネクタであり、第2コネクタ接続部422に接続される相手コネクタは、第2コネクタ接続部422と第2制御装置103bとを接続する第2接続ケーブル104b(
図1参照)の端部に設けられたコネクタ4である。なお、これに限られず、例えば2つのコネクタ接続部42の一方を、制御装置103に設けられたコネクタ4に直接接続してもよい。
【0027】
図6に示すごとく、本形態において、第1コネクタ接続部421と第1コネクタ接続部421に接続される相手コネクタとの接続方向CD1(すなわち第1コネクタ接続部421の嵌合凹部423の開口方向)と、第2コネクタ接続部422と第2コネクタ接続部422に接続される相手コネクタとの接続方向CD2(すなわち第2コネクタ接続部422の嵌合凹部423の開口方向)とは、互いに異なる方向である。これにより、2つのコネクタ接続部42に接続される2つの相手コネクタ同士が干渉することを抑制しやすい。かかる観点から、接続方向CD1と接続方向CD2とがなす角は、例えば30°以上150°以下とすることが好ましい。なお、これに限られず、2つのコネクタ接続部42における相手コネクタとの接続方向は、2つのコネクタ接続部42に接続された2つの相手コネクタが互いに干渉しなければ、互いに平行となっていてもよい。
【0028】
図示は省略するが、コネクタ4は、タイヤハウス101を区画する車体の壁部に直接、又は別部材を介して固定されている。なお、これに限られず、コネクタ4は、タイヤハウス101外の車体の壁部に固定されていてもよい。
【0029】
(実施の形態の作用及び効果)
本形態のセンサ付きハーネス1は、2つの検出部20を有する車輪速センサ2と、2つの検出部20のそれぞれに接続される4本の電線31、及び4本の電線31を一括して覆うシース32を有するケーブル3と、ケーブル3における車輪速センサ2と反対側の端部に設けられたコネクタ4とを備える。そして、コネクタ4は、2つの検出部20の検出信号をそれぞれ出力する2つのコネクタ接続部42を備える。それゆえ、車輪速センサ2からコネクタ4までの配線経路において、複数のケーブル3が並列することを防止することができ、配線の引き回しを簡素化することができる。すなわち、車輪速センサ2からコネクタ4までの配線経路において複数のケーブル3が並列する場合には、例えば複数のケーブル3を束ねる必要が生じたり、束ねたケーブル3の径が大きくなったりする課題が生じるが、本形態によればかかる課題を解決することができる。特に本形態においては、車輪速センサ2とコネクタ4とを1本のケーブル3にて接続しており、一層配線の引き回しの簡素化を図りやすい。
【0030】
また、シース32の一端は、センサハウジング23に埋設されており、シース32の他端は、コネクタハウジング40に埋設されている。それゆえ、ケーブル3の4本の電線31が外部に露出することを防止することができる。これにより、4本の電線31に水等の異物が付着したり、比較的強度の低い電線31が露出することに起因してケーブル3の耐久性が低下したりすることを防止することができる。
【0031】
また、2つのコネクタ接続部42のそれぞれにおける相手コネクタとの接続方向CD1,CD2は、互いに異なる方向である。それゆえ、2つのコネクタ接続部42のそれぞれに接続される2つの相手コネクタが、互いに干渉することを抑制することができ、これによってコネクタ接続部42と相手コネクタとの接続作業性を向上させることができる。
【0032】
また、シース32は、中実に形成されており、2本の電線31を直接覆っている。それゆえ、例えば、第1検出部21に接続される一対の電線31を第1の被覆部材で囲い、第2検出部22に接続される値対の電線31を第2の被覆部材で囲い、これら第1及び第2の被覆部材を一括してシース32にて被覆するような場合と比べ、ケーブル3を小径化することができる。また、コネクタハウジング40又はセンサハウジング23を、それぞれの成形型にケーブル3の端部を挿入して成形する際、シース32内にコネクタハウジング40又はセンサハウジング23を形成する樹脂が入り込むことを防止することができ、センサ付きハーネス1の製造を容易にしやすい。
【0033】
また、本形態において、複数のコネクタ接続部42は、互いに同じ形状を有する。それゆえ、例えば第1検出部21が機能しなくなった場合の暫定処置として、2つのコネクタ接続部42に接続される相手コネクタを入れ替えて接続し直すことにより、機能している第2検出部22を、第1制御装置103a(すなわちメインの制御装置)に接続することが可能となる。
【0034】
以上のごとく、本形態によれば、配線の引き回しを簡素化することができるセンサ付きハーネスを提供することができる。
【0035】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0036】
[1]物理量を検出する複数の検出部(20)を有するセンサ(2)と、前記複数の検出部(20)のそれぞれに接続される複数の電線(31)、及び前記複数の電線(31)を一括して覆うシース(32)を有するケーブル(3)と、前記ケーブル(3)における前記センサ(2)と反対側の端部に設けられたコネクタ(4)と、を備え、前記コネクタ(4)は、前記複数の検出部(20)の検出信号をそれぞれ出力する複数のコネクタ接続部(42)を備える、センサ付きハーネス(1)。
【0037】
[2]前記センサ(2)は、前記複数の検出部(20)を保持するセンサハウジング(23)を有し、前記コネクタ(4)は、前記複数の電線(31)にそれぞれ接続された複数の端子金具(41)を保持するコネクタハウジング(40)を有し、前記シース(32)の一端は、前記センサハウジング(23)に埋設されており、前記シース(32)の他端は、前記コネクタハウジング(40)に埋設されている、前記[1]に記載のセンサ付きハーネス(1)。
【0038】
[3]前記複数のコネクタ接続部(42)のそれぞれにおける相手コネクタとの接続方向(CD1,CD2)は、互いに異なる方向である、前記[1]又は前記[2]に記載のセンサ付きハーネス(1)。
【0039】
[4]前記シース(32)は、中実に形成されており、前記複数の電線(31)を直接覆っている、前記[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のセンサ付きハーネス(1)。
【0040】
[5]前記複数の検出部(20)のそれぞれは、車輪の回転速度を検出する、前記[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のセンサ付きハーネス(1)。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、前述した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0042】
例えば、前記実施の形態において、車輪速センサとコネクタとの間は、直列に接続された複数のケーブルによって接続されていてもよい。
【0043】
また、前記実施の形態においては、車輪速センサに2つの検出部を設けた例を示したが、これに限られず、例えば3つ以上の検出部を設けてもよい。この場合は、ケーブルには、検出部の数の2倍の数の電線が設けられ、コネクタには各検出部の検出信号を出力する、検出部の数と同数のコネクタ接続部が設けられることとなる。
【0044】
また、前記実施の形態においては、センサの複数の検出部は、車輪の回転速度を検出するためのものとしたが、これに限られず、複数の検出部が互いに異なる機能を有していてもよい。例えば、1つの検出部が車輪の回転速度を検出し、他の1つの検出部が温度を検出してもよい。
【0045】
また、前記実施の形態においては、2つのコネクタ接続部を互いに同じ形状としたが、これに限られず、複数のコネクタ接続部の形状を互いに異ならせることも可能である。この場合は、誤嵌合を防止することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…センサ付きハーネス
2…車輪速センサ(センサ)
20…検出部
23…センサハウジング
3…ケーブル
31…電線
32…シース
4…コネクタ
40…コネクタハウジング
41…端子金具
42…コネクタ接続部